電力制御装置
【課題】蓄電装置を用いて電気負荷の需用電力を補うことにより、発電装置の発電電力のうち逆潮流させる電力の増加を図り、売電による収入の増加を可能にする。
【解決手段】需要家は、太陽電池31を備える太陽光発電装置と、蓄電池41を備える蓄電装置とを備える。需要家の電気負荷には、電源系統と発電装置と蓄電装置とから選択的に電力が供給される。また、発電装置は電源系統への逆潮流が可能になっている。電力余剰判断部103は、発電装置の発電電力と電気負荷の需用電力との差を発電余剰電力として求める。全体動作制御部106は、発電余剰電力が生じている場合に、蓄電装置の蓄電電力を電気負荷の需用電力に充当し、発電余剰電力が生じていない場合には、発電装置の発電電力を需用電力に充当することなく蓄電装置に蓄電させる。
【解決手段】需要家は、太陽電池31を備える太陽光発電装置と、蓄電池41を備える蓄電装置とを備える。需要家の電気負荷には、電源系統と発電装置と蓄電装置とから選択的に電力が供給される。また、発電装置は電源系統への逆潮流が可能になっている。電力余剰判断部103は、発電装置の発電電力と電気負荷の需用電力との差を発電余剰電力として求める。全体動作制御部106は、発電余剰電力が生じている場合に、蓄電装置の蓄電電力を電気負荷の需用電力に充当し、発電余剰電力が生じていない場合には、発電装置の発電電力を需用電力に充当することなく蓄電装置に蓄電させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置と蓄電装置とが設置された電力の需要家において系統連系を行う電源システムに用いられる電力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、発電装置と蓄電装置とが設置された電力の需要家において系統連系を行う電源システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1には、太陽電池(発電装置)の発電電力を蓄電する蓄電手段(蓄電装置)が記載され、蓄電手段には、電源系統の電力または太陽電池の発電電力を蓄電することが記載されている。
【0003】
また、太陽電池の発電電力は、蓄電手段に蓄電されるだけではなく、電気負荷への給電にも用いられている。特許文献1には、太陽電池の発電電力を電源系統に売電(逆潮流)する条件として、電気負荷に供給する電力が太陽電池の発電電力よりも小さいことが記載されている。また、蓄電手段は、電源系統の電力が所定値を超えないように蓄電した電力を放電する。すなわち、特許文献1に記載の技術では、発電装置の発電電力が電気負荷の需用電力を上回って余剰が生じたときに、電源系統への逆潮流を行っている。
【0004】
ところで、太陽電池のように自然エネルギーを用いて発電する発電装置は、発電時に二酸化炭素を発生しないから環境負荷が少ないと考えられている。現状では、この種の発電装置による発電電力を電源系統に逆潮流させる売電について、電源系統から購入する買電よりも電力に対する単価が高く設定されており、売電による収入を与えることにより、発電装置の導入促進が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−369406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の技術では、太陽電池の発電電力が電気負荷の需用電力を上回ると、余剰電力が生じたとみなし、電源系統への逆潮流を行っている。しかしながら、余剰電力が生じるか否かは、発電装置の発電電力と電気負荷の需用電力との時間変化に応じて定まるから、発電電力と需用電力との変化パターンが類似しており、かつ発電電力と需用電力との差が少ない場合には、余剰電力が生じにくくなる。つまり、需要家によっては、余剰電力が少なく、結果的に逆潮流による収入がほとんど得られないことになる。
【0007】
このように余剰電力の少ない需要家では、発電装置の導入に伴って生じた投資費用を回収するのに要する年月が長くなるという問題がある。また、投資費用を回収する年月を短縮するために、余剰電力を増加させようとすると、日中の需用電力を低減させるように生活リズムを変えなければならず、生活に弊害が生じる可能性がある。
【0008】
本発明は、蓄電装置を用いて電気負荷の需用電力を補うことにより、発電装置の発電電力のうち需用電力への割当分を低減させて、発電装置の発電電力のうち逆潮流させる電力の増加を図り、結果的に売電による収入の増加を図る電力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電力制御装置は、上記目的を達成するために、自然エネルギーを用いて発電する発電装置と蓄電池の充放電を行う蓄電装置とを備える需要家において、電源系統と発電装置と蓄電装置とを選択して電気負荷に電力を供給し、発電装置から電源系統への逆潮流を行うシステムに用いられ、需要家で利用される電気負荷での需用電力を取得する第1電力取得部と、発電装置について測定された発電電力を取得する第2電力取得部と、第1電力取得部が取得した需用電力と第2電力取得部が取得した発電電力との差である発電余剰電力について所定時間ごとに条件判断を行う電力余剰判断部と、電力余剰判断部での条件判断の結果に応じて蓄電装置の蓄電と放電とを選択する全体動作制御部とを備え、
全体動作制御部は、発電電力が需用電力に所定の判断閾値を加えた値以下である場合を第1条件として第1条件の成立時に前記発電装置の発電電力を需用電力に充当することなく蓄電装置に蓄電させ、発電電力が需用電力に所定の判断閾値を加えた値を超える場合を第2条件として第2条件の成立時に蓄電装置の蓄電電力を電気負荷での需用電力に充当させることを特徴とする。
【0010】
この電力制御装置において、判断閾値は0であってもよい。
【0011】
この電力制御装置において、全体動作制御部は、蓄電池の残容量が規定の上限値であるときには、電力余剰判断部において前記第1条件が成立しても蓄電を行わずに、発電電力を需用電力に充当することが好ましい。
【0012】
この電力制御装置において、全体動作制御部は、所定期間において蓄電装置の蓄電および放電の回数が規定値を超えると、電源系統から購入する電力の単価が所定値以上である期間には、電力余剰判断部において前記第1条件が成立しても蓄電を行わないことが好ましい。
【0013】
この電力制御装置において、全体動作制御部は、電源系統に逆潮流を行う電力の単価が所定値以上である期間には、電力余剰判断部において前記第2条件が成立しても蓄電装置からの放電を行わないことが好ましい。
【0014】
この電力制御装置において、電力余剰判断部は、蓄電池の残容量が規定の上限値以上の場合に判断閾値を引き下げるように変更し、蓄電池の残容量が規定の下限値以下の場合に判断閾値を引き上げるように変更することが好ましい。
【0015】
この電力制御装置において、電力余剰判断部は、判断閾値を可変に設定することが好ましい。
【0016】
この電力制御装置において、電力余剰判断部は、蓄電池の残容量が規定の下限値以下である期間には第1条件が成立するように判断閾値を相対的に大きく設定し、蓄電池の残容量が規定の上限値以上である期間には第2条件が成立するように判断閾値を相対的に小さく設定することが好ましい。
【0017】
この電力制御装置において、電力余剰判断部は、蓄電池の残容量が規定の下限値以下であって発電余剰電力が発生している期間に判断閾値を正値に設定し、蓄電池の残容量が下限値を超えていると判定閾値を0に設定することが好ましい。
【0018】
この電力制御装置において、電力余剰判断部は、蓄電池の残容量が規定の上限値以上であって発電余剰電力が発生していない期間に判断閾値を負値に設定し、蓄電池の残容量が上限値未満であると判定閾値を0に設定することが好ましい。
【0019】
この電力制御装置において、全体動作制御部は、電源系統から購入する電力の単価が規定値以下である時間帯において、前記第1条件の成立時に電源系統から蓄電装置への蓄電を許容することが好ましい。
【0020】
この場合、全体動作制御部は、電源系統から購入する電力の単価が規定値以下である時間帯の開始までに蓄電池の残容量を下限値以下にすることが好ましい。
【0021】
この電力制御装置において、電力余剰判断部において前記第2条件が成立している期間に電気負荷の利用を抑制するように助言の通知を与える通知手段を備えることが好ましい。
【0022】
この電力制御装置において、電気負荷が制御信号を受けて消費電力を制御する制御部を備えている場合に、電力余剰判断部において前記第2条件が成立している期間に、全体動作制御部から電気負荷の制御部に対して消費電力を抑制する制御信号を与える構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の構成によれば、蓄電装置を用いて電気負荷の需用電力を補うから、発電装置の発電電力のうち需用電力への割当分が低減され、発電装置の発電電力のうち逆潮流させる電力が増加することになり、結果的に売電による収入の増加が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上を用いたシステム構成例を示す概略図である。
【図3】図2に示すシステムの構成例を示す要部の一例を示す構成図である。
【図4】図2に示すシステムの構成例を示す要部の他例を示す構成図である。
【図5】同上の動作説明図である。
【図6】電力の条件例を示す図である。
【図7】図6の条件での比較動作を示す図である。
【図8】同上に図6の条件を適用した場合の動作を示す図である。
【図9】同上に図6の条件を適用した場合の収支を示す図である。
【図10】実施形態2に図6の条件を適用した場合の動作を示す図である。
【図11】実施形態2に図6の条件を適用した場合の収支を示す図である。
【図12】実施形態3の動作説明図である。
【図13】同上の動作説明図である。
【図14】同上に図6の条件を適用した場合の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に説明する実施形態では、自然エネルギーにより発電する発電装置として太陽光発電装置を例示し、需要家としては戸建て住宅を想定する。また、需要家には、太陽光発電装置で発電した「発電電力」を蓄電する蓄電装置が設けられ、太陽光発電装置の発電電力と蓄電装置に蓄電した「蓄電電力」とは、宅内の電気負荷に供給可能になっている。さらに、太陽光発電装置の発電電力は、電力供給事業者(すなわち、電力会社など)が管理する電源系統への逆潮流が可能になっている。電気負荷の動作のために必要な「需用電力」と、太陽光発電装置の発電電力と、電源系統から購入する「購入電力」とは、それぞれ計測される。
【0026】
なお、以下の説明において「電力」は、所定期間の「電力量」の意味で用いる。この所定期間は、後述する電力制御装置が演算に用いるデータを取得する時間間隔とする。この時間間隔が短いほど制御の遅れが抑制され高精度の制御が可能になるが、システムの応答を考慮して、通常は5分〜1時間程度に設定する。ただし、電力の時間変化を監視するために、データを1秒〜1分程度の時間間隔で取得してもよい。
【0027】
本実施形態では、電源系統への逆潮流を行う「余剰電力」と区別するために、発電電力から需用電力を差し引いた電力を「発電余剰電力」と呼ぶ。発電余剰電力は、発電電力が需用電力を上回っている場合は正の値になり、発電電力が需用電力を下回っている場合は負の値になる。ここに、発電余剰電力、発電電力、需要電力は、電力制御装置が演算に用いるデータを取得する時間間隔ごとの電力量であり、実質的には瞬時値に相当する。
【0028】
(実施形態1)
以下に説明する各実施形態に共通の構成を実施形態1として説明する。図2に示すように、需要家(住宅)20には、電力供給事業者が管理する電源系統21から電力メータ22を通して交流電力が供給される。需要家20には、宅内の電気負荷24に電力を分配する分電盤23が配置される。また、分電盤23を通して電気負荷24に供給される電力の総和を需用電力として計測する需用電力計測手段25が設けられる。需用電力計測手段25は、たとえば、変流器のような電流センサと供給電圧を計測する電圧センサとを用いて電力を計測する電子式の電力計測装置を用いる。
【0029】
図示例では、電気負荷24の需用電力を、分電盤23の外部で計測しているが、分電盤23の内部において計測してもよい。また、個々の電気負荷24に通信機能を設け、電気機器24が必要とする電力(消費している電力または消費する予定の電力)を電気負荷24から通信により取得してもよい。あるいはまた、電気負荷24が消費する電力を計測する計測装置に通信機能を設け、電気機器24が消費している電力を計測装置から通信により取得してもよい。
【0030】
需要家20には、太陽光により発電する太陽電池31と、太陽電池31から出力される直流電力の電力変換を行う機能を備えたパワーコンディショナ32とからなる太陽光発電装置30が設置される。また、需要家20には、太陽光発電装置30からの発電電力により蓄電される蓄電池41が配置される。蓄電池41はパワーコンディショナ32に接続され、蓄電池41の充電および放電はパワーコンディショナ32を通して行われる。したがって、蓄電池41はパワーコンディショナ32とともに蓄電装置40を構成する。
【0031】
太陽光発電装置30は、発電電力を計測する発電電力計測手段33を備える。図示例では、太陽電池31とパワーコンディショナ32との間に発電電力計測手段33を設けている。ただし、パワーコンディショナ32において電力変換を行うから、変換効率を加味するために、電力変換を行った後の電力を発電電力計測手段33で計測する構成を採用してもよい。発電電力計測手段33は、需用電力計測手段25と同様に、たとえば、電流センサと電圧センサとを用いて電力を計測する電子式の電力計測装置を用いる。
【0032】
パワーコンディショナ32の構成例を図3に示す。図3に示すパワーコンディショナ32は、太陽電池31から出力される直流電力の最大電力点追従装置(MPPT)の機能と直流電圧の安定化を行う機能とを備えたDC/DCコンバータ321を備える。また、パワーコンディショナ32は、蓄電池41の充電と放電とを行う双方向DC/DCコンバータ322を備える。DC/DCコンバータ321の出力端と双方向DC/DCコンバータ322の一方の入出力端とはDCバス324に接続される。パワーコンディショナ32は、DCバス324から供給される直流電力を交流電力に変換するDC/ACインバータ323も備える。すなわち、DC/ACインバータ323の入力端はDCバス324に接続される。したがって、DC/ACインバータ323は、DC/DCコンバータ321と双方向DC/DCコンバータ322との両方の直流電力を交流電力に変換する。
【0033】
DC/ACインバータ323の出力端は分電盤23に接続され、分電盤23の内部において、パワーコンディショナ32を含む分散電源(太陽光発電装置30および蓄電装置40)と、電源系統21との系統連系が行われる。この分電盤23は、太陽光発電装置30を電源系統21に接続して逆潮流を行う機能と、蓄電装置40から電気負荷24に電力を供給する機能と、電源系統21から蓄電装置40に電力を供給する機能とを選択する。
【0034】
パワーコンディショナ32は、DC/ACインバータ323の出力電力を計測する出力電力計測手段34を備える。出力電力計測手段34には、需用電力計測手段25や発電電力計測手段33と同様に、電子式の電力計測装置を用いる。これらの電子式の電力計測装置は、計測値をデジタル値として出力する構成が望ましい。
【0035】
パワーコンディショナ32は、上述した構成だけではなく、種々の構成を採用することができる。たとえば、図4に示すように、図3に示した構成からDC/ACインバータ323を省略し、DC/DCコンバータ321と双方向DC/DCコンバータ322とを、それぞれDC/ACインバータ325と双方向DC/ACインバータ326とに置換した構成を採用してもよい。すなわち、太陽電池31から出力される直流電力はDC/ACインバータ325により交流電力に変換され、蓄電池41の充放電は双方向DC/ACインバータ326を通して行われる。また、図4に示す例では、出力電力計測手段34を、パワーコンディショナ32の外部に設けている。
【0036】
ここに、上述の構成では、需用電力計測手段25により需用電力を計測しているが、出力電力計測手段34を設けているから、電力メータ22で計測した購入電力と、出力電力計測手段34で計測した出力電力との差分を需用電力に用いてもよい。逆に、需用電力計測手段25を設けている場合には、出力電力計測手段34を省略してもよい。
【0037】
図3に示す構成では、電源系統21からの購入電力を蓄電池41に蓄電することはできないが、図4に示す構成では、電源系統21からの購入電力を蓄電池41に蓄電することが可能になる。なお、図4では、DC/ACインバータ325と双方向DC/ACインバータ326とを分電盤23に共通に接続しているが、DC/ACインバータ325と双方向DC/ACインバータ326とを、電源系統21と電気負荷24とに選択的に接続してもよい。
【0038】
この場合、図4に示すパワーコンディショナ32では、DC/ACインバータ325を双方向DC/ACインバータ326と分電盤23との一方に選択的に接続する。また、パワーコンディショナ32では、DC/ACインバータ325から双方向DC/ACインバータ326への経路を選択しているときは、電源系統21から電気負荷24に電力を供給する。また、DC/ACインバータ325から電源系統21に逆潮流を行うときは、双方向DC/ACインバータ326から電気負荷24に電力を供給する。すなわち、電源系統21と双方向DC/ACインバータ326との間では電力の授受を行わない。これらの接続関係の選択は、電力制御装置10により制御される。
【0039】
電力制御装置10は、コンピュータ(マイコン)で適宜のプログラムを実行することにより、以下の動作を実現する。すなわち、電力制御装置10は、図1のように、需用電力を取得する第1電力取得部101と、発電電力計測手段33から太陽光発電装置30の発電電力を取得する第2取得部102とを備える。
【0040】
以下では、第1電力取得部101が需用電力計測手段25から需用電力を取得する場合を想定して説明する。なお、第1電力取得部101において電力メータ22から購入電力を取得するとともに出力電力計測手段34から出力電力を取得して需用電力を算出する構成を採用してもよい。また、第2電力取得部102は、発電電力計測手段33から発電電力を取得する。
【0041】
第1電力取得部101が取得した需用電力と第2電力取得部102が取得した発電電力とは、電力余剰判断部103に入力され、電力余剰判断部103は、発電電力から需用電力を差し引いた発電余剰電力を算出する。
【0042】
図1では、パワーコンディショナ32を簡略化して記載しており、太陽光発電装置30と蓄電装置40とについて、電力の受給経路を選択することを3個のスイッチ327,328,329で模式化している。
【0043】
図示例では、太陽電池31に2個のスイッチ327,328が接続されている。太陽電池31は、一方のスイッチ327を介して蓄電池41に接続され、他方のスイッチ328を介して電源系統21(図2参照)に接続される。また、両スイッチ327,328は、一方がオンのときに他方がオフになるように制御される。したがって、スイッチ327がオンであることは、太陽光発電装置30の発電電力が蓄電装置40に蓄電されることを意味し、スイッチ328がオンであることは、太陽光発電装置30の発電電力が電源系統21に逆潮流されることを意味する。スイッチ329は、蓄電池41と電気負荷24(図2参照)との間に接続される。スイッチ329がオンであることは、蓄電装置40の蓄電電力が電気負荷24に供給されることを意味する。
【0044】
なお、電気負荷24には電源系統21からの購入電力も供給されるから、蓄電電力が逆潮流されることがないように、電力の仕分け(いわゆる、「カラーリング」)を行う。電力を仕分けるには、電気負荷24に電力を供給する経路の選択を小単位(分電盤23の分岐回路の単位、電気負荷24の単位など)で行うように経路切替のための手段を多数個設けておく。そして、需用電力に見合うように蓄電電力と購入電力との供給経路を上記手段によって切り替えればよい。この際、需用電力に対して蓄電電力を優先的に用い、不足分を購入電力で充足させる。
【0045】
電力制御装置10は、スイッチ327,328のオンオフを制御するために、発電電力制御部104を備え、スイッチ329のオンオフを制御するために、充放電制御部105ヲ備える。発電電力制御部104と充放電制御部105とは、全体動作制御部106からの指示を受けてスイッチ327,328,329のオンオフを制御する。また、全体動作制御部106は、電力余剰判断部103による判断結果を受け、以下に説明する条件に応じて、スイッチ327,328,329のオンオフの状態を決定する。
【0046】
全体動作制御部106は、基本的な動作では、電力余剰判断部103において発電余剰電力が負(つまり、発電電力<需用電力)と判断している間に、発電電力制御部104を通してスイッチ327をオンにするとともにスイッチ238をオフにする。また、全体動作制御部106は、充放電制御部105を通してスイッチ329をオフにする。つまり、発電電力が需用電力よりも少ないときには、太陽光発電装置30から蓄電装置40への蓄電を行うとともに、蓄電装置40から電気負荷24への電力供給は禁止する。
【0047】
一方、電力余剰判断部103において発電余剰電力が正(つまり、発電電力>需用電力)と判断している間には、全体動作制御部106は発電電力制御部104を通してスイッチ327をオフにするとともにスイッチ238をオンにする。また、全体動作制御部106は、充放電制御部105を通してスイッチ329をオンにする。つまり、発電電力が需用電力よりも多いときには、太陽光発電装置30から蓄電装置40への充電を行わず、蓄電装置40から電気負荷24に電力を供給する。
【0048】
このとき、蓄電装置40から供給可能な電力(蓄電池41の残容量とDC/ACインバータ323の出力電力とにより決まる)を考慮し、蓄電装置40から供給可能な電力に対して電気負荷24の需用電力が上回っている場合には、太陽光発電装置30の発電電力も電気負荷24に電力を供給し、その上で、なお余剰電力があれば(余剰電力=需用電力−(蓄電電力+発電電力)>0)、太陽光発電装置30の余剰電力を電源系統21に逆潮流する。ここに、蓄電電力が需用電力を上回っている場合には、発電電力はすべて逆潮流されることになる。したがって、余剰電力が売電されて収入になる。なお、余剰電力が発生しない場合は、電気負荷24の需用電力に対する不足分を電源系統21から供給することになる。すなわち、購入電力が発生する。
【0049】
なお、本実施形態は、発電余剰電力の有無を、発電電力と需要電力との大小のみよって判断しているが、需要電力に所定の判断閾値を加えた値と発電電力とを比較することにより発電余剰電力の有無を判断することが望ましい。すなわち、理想的には発電電力が需要電力を上回っていれば発電電力で需要電力を充足させることが可能であると言えるが、実際には、種々の損失が生じるから、発電電力は需要電力に判断閾値を加算した値と比較することが好ましい。ただし、説明を簡単に行うために、本実施形態では判断閾値を0として説明する。
【0050】
上述した動作によって、電気負荷24が要求する需用電力の一部が蓄電装置40からの蓄電電力によって充足されることになり、太陽光発電装置30の発電電力に余剰電力が生じやすくなる。言い換えると、逆潮流させる余剰電力に蓄電電力に相当する電力が加算されていることになる。すなわち、発電電力を蓄電装置40に蓄電している間は需用電力を電源系統21からの購入電力によって充足させ、発電余剰電力が生じている間は蓄電電力を電気負荷24に供給するので、電源系統21からの購入電力を平準化していることになる。発電余剰電力が生じている間は、蓄電装置40の蓄電電力、太陽光発電装置30の発電電力、電源系統21からの購入電力の優先順で電気負荷24に電力を供給する。
【0051】
この動作では、蓄電装置40の蓄電電力は電気負荷24に供給しているだけであって、蓄電電力は電源系統21には逆潮流されていない。すなわち、蓄電装置40は、電源系統21からの購入電力のタイムシフトを行っていると言える。
【0052】
上述の動作は蓄電装置40の充放電が可能な場合に関する動作である。しかしながら、蓄電池41の残容量が満充電とみなせる上限値に達しているときには、蓄電池41への充電ができない。このときには、発電電力が需用電力より少ない場合でも、全体動作制御部106は、スイッチ237をオフにするとともに、スイッチ239をオンにして、太陽光発電装置30から電気負荷24に電力を供給する。また、蓄電池41への充電は停止し、蓄電装置40から電気負荷24への給電を行う。一方、蓄電池41の残容量が0とみなせる下限値に達しているときには、全体動作制御部106は、蓄電装置40から蓄電電力を供給することができないから、発電電力が需用電力より多い場合でも、蓄電装置40から電気負荷24への電力供給は禁止する。
【0053】
電力制御装置10の動作を図5にまとめて記載する。電力制御装置10は、需用電力計測手段25が計測した需用電力を第1電力取得部101において取得し、発電電力計測手段33が測定した発電電力を第2電力取得部102において取得する(S11)。次に、電力余剰判断部103において、発電余剰電力の有無を判断し(S12)、発電余剰電力が生じており(S12:Yes)、かつ需用電力が生じていれば(S13:Yes)、蓄電装置40から蓄電電力を供給する(S15)。
【0054】
ただし、蓄電装置40から蓄電電力を供給するのは、蓄電池41の残容量が下限値を上回っている場合(S14:No)であり、蓄電池41の残容量が下限値以下であれば(S14:Yes)、蓄電装置40からは電力の供給を行わない。また、ステップS13において需用電力が生じていなければ(S13:No)、発電電力は、蓄電装置40に蓄電されるか、電源系統21に逆潮流される(S17)。また、発電電力余剰が生じているから、蓄電電力と発電電力とにより需用電力が充足され、依然として余剰電力が生じている場合には(S16:Yes)、電源系統21に余剰電力を逆潮流させる(S17)。ステップS16において、余剰電力が生じていない場合は、電源系統21から電気負荷24に電力が供給され購入電力が発生する(S18)。
【0055】
一方、ステップS12において発電余剰電力が生じておらず(S12:No)、かつ蓄電池41の残容量が上限値未満の場合(S19:No)、発電電力は蓄電装置40に蓄電される(S20)。ステップS19において蓄電池41の残容量が上限値以上である場合には(S16:Yes)、発電電力を蓄電装置40に蓄電することなく電気負荷24の需用電力に充当する(S21)。この場合、発電余剰電力が生じていないから、電気負荷24の需用電力を発電電力のみで充足させることはできない。したがって、需用電力の残りは電源系統21からの購入電力を充当させる。この動作は、蓄電装置40を備えていない場合の動作と同様である。
【0056】
なお、蓄電池41の残容量が上限値に達するのは、発電余剰電力が生じない状態が長期間に亘って継続した場合、発電余剰電力が生じない期間と生じる期間との発電電力が同程度であって発電余剰電力が生じない期間の合計のほうが長い場合などである。
【0057】
上述の動作を行うことによって、蓄電池41に充電できないにもかかわらず発電電力を蓄電装置40に与えることがなく、無用な電力損失の発生を防止して、発電電力を有効利用することができる。
【0058】
ステップS11における発電電力と需用電力との取得は所定時間ごとに繰り返される。この時間は、たとえば5分〜1時間程度に設定される。ただし、発電電力や需用電力は時々刻々変化しているから、発電電力や需用電力は短い時間間隔(1秒〜1分程度)で取得し、ステップS11では上記所定時間における積算値を用いることが望ましい。
【0059】
以下では、上述した電力制御装置10を用いた場合の動作例を説明する。図6は、需要家20における発電電力(白抜き)と需用電力(斜線)との1日の推移例を示している。図示例では、発電電力および需用電力を1時間周期で取得している。また、発電装置が太陽光発電装置30であって、夜間には発電電力が発生しないので、18時から翌日7時までの時間帯は図6に示していない。すなわち、日の出から太陽光発電装置30の発電電力が発生して時間経過に伴って発電電力が増加し、日中には発電電力が最大になり、やがて発電電力が減少して日の入によって太陽光発電装置30の発電電力が停止するのである。また、図示例においては、需用電力が発電電力と同様に推移し、朝夕において小さく、昼頃に最大になっている。
【0060】
図示例では、8時台、10時台、12時台、14時台、16時台の各時間帯では、発電電力に対して需用電力のほうが大きく電源系統21からの購入電力が発生する。一方、9時台、11時台、13時台、15時台、17時台の各時間帯では、発電電力が需用電力よりも大きいから発電余剰電力が発生している。
【0061】
需用電力と発電電力とが図6に示すように推移している場合に、蓄電装置40を用いなければ、発電余剰電力がそのまま余剰電力として電源系統21に逆潮流される。売電の単価が買電の単価よりも大きい場合(たとえば、売電単価を48円/kWh、買電単価を20円/kWhとする)、売電と買電との電力の収支および対価の収支は、図7のようになる。
【0062】
図7において、斜線が電力の収支を示し、白抜きが対価の収支を示している。また、図7は収支が0である場合を基準として示してあり、基準線(時刻軸)に対して上側は売電であって利益が生じている場合、基準線に対して下側は買電であって損失が生じている場合を示している。この図によれば、需用電力と発電電力とが図6のように推移すると、1日当たりの売電による利益は少ないことがわかる。すなわち、売電した電力を月間で積算したとしても得られる利益は少ない。
【0063】
一方、蓄電装置40を用いて上述の制御を行うと、発電電力と需用電力とが図6のように推移した場合の電力の収支は図8のようになる。図8において、横軸の上側は発電電力(白抜き)または需用電力(斜線)を示し、横軸の下側は蓄電装置40に蓄電する電力(縦線で示し「充」と記載した電力)と蓄電装置40から放出する電力(横線で示し「放」と記載した電力)とを示している。
【0064】
図8において、需用電力の一部が横軸の上限に跨っている箇所は、蓄電装置40の蓄電電力が需用電力の一部を充足していることを示している。すなわち、発電余剰電力が生じていない期間において蓄電装置40に蓄電した電力を、発電余剰電力が生じている期間に需用電力の一部に当てることによって、残りの需用電力と発電電力との差が広げられ、結果的に逆潮流させる余剰電力が増加している。ここに、余剰電力が生じていない時間帯は、電源系統21から電力を購入していることになる。なお、図8において、蓄電装置40に蓄電した電力よりも蓄電装置40から放電した電力が少ない時間帯(12−13時、14時−15時、16時−17時)には、蓄電装置40に電力が残されるが、蓄電装置40に残った電力は翌日(図示例の場合、翌日の午前中)に利用される。なお、夜間においては、発電余剰電力が生じないから、夜間においては蓄電装置40の蓄電電力を需用電力に充当することはない。
【0065】
図8に示した例に対応する売電と買電との電力の収支および対価の収支を図9に示す。図9は図7と同様に表記してある。図9と図7とを比較するとわかるように、図9に示す例では、発電余剰電力が発生していない午前中の時間帯には、逆潮流を行わないから電力および対価の収支が一時的に悪化するが、発電余剰電力が増加すると電力および対価の収支がより大きく改善されている。すなわち、蓄電装置40を用いない場合に比較して、1日当たりの売電による利益が増加し、売電した電力を月間で積算した場合の利益が大きく増加することになる。
【0066】
上述した構成例は、蓄電装置40には発電電力のみが蓄電される場合を想定しており、蓄電装置40の蓄電電力は需用電力を充足させるためにのみ用いている。この動作は、パワーコンディショナ32が図3に示す構成であれば、DC/ACインバータ323がDCバス324から分電盤23に向かう向きにしか電力変換を行わないことによって保証されている。この構成を採用すれば、ハードウェアとしては簡単な構成ながら電源系統21から購入した電力を蓄電していないことを保証することができる。
【0067】
また、パワーコンディショナ32として、図4に示す構成を採用する場合であっても、上述のように電力の仕分け(カラーリング)を行って、蓄電装置40に蓄電された電力が発電電力のみであることを証明すればよい。あるいはまた、蓄電装置40に電源系統21からの購入電力が蓄電される場合であっても、電源系統21からの購入電力は需用電力に当てるためにのみ用いることを証明すればよい。たとえば、蓄電装置40に蓄電した電力が電源系統21からの購入電力である場合には、夜間における需用電力にのみ充当させるようにして、蓄電装置40の蓄電電力を逆潮流に用いていないことを証明するように電力の仕分けを行う。
【0068】
上述の動作では、発電余剰電力のみの情報を用いて蓄電装置40の蓄電と放電とを選択している。したがって、発電余剰電力が生じて蓄電装置40からの蓄電電力を需用電力に充当している間に電気負荷24が増加すると、蓄電電力で需用電力を充足できない場合がある。この場合、発電電力が需用電力の不足分に充当され、結果的に、電力系統21への逆潮流を行う電力が減少することになる。しかも、蓄電装置40から需用電力に蓄電電力を充当する場合には、充放電に伴う損失が発生しているから、電源系統21からの購入電力を需用電力に充当する場合よりも損失が大きくなっている。
【0069】
すなわち、発電余剰電力が生じて蓄電装置40から蓄電電力を需用電力に充当する期間に電気負荷24を増加させるよりも、発電余剰電力がなく蓄電装置40に発電電力を蓄電している期間において電気負荷24を増加させるほうが、電力損失が低減される。したがって、電力余剰判断部103において発電余剰電力が発生し蓄電装置40の蓄電電力を需用電力に充当している期間であって、電気負荷24の使用を抑制するように助言する通知を、需要家における電気負荷24の利用者に対して行うことが望ましい。また逆に、発電余剰電力がなく蓄電装置40に発電電力を蓄電している期間には、電気負荷24の利用を増加させてもよい旨の通知を行うようにしてもよい。この種の通知のために、電力制御装置10には、電力余剰判断部103の判断結果を利用者に通知する通知手段(図示せず)を設けることが望ましい。
【0070】
また、電気負荷24が外部信号を受けて消費電力を制御する制御部を備えている場合には、通知手段で通知するのではなく、制御部に消費電力を制御する外部信号としての制御信号を与えるようにしてもよい。たとえば、空調装置や給湯装置のような電気負荷24では、JEM−A端子(いわゆる、HA端子)を備える場合がある。JEM−A端子を備える電気負荷24では、運転、停止を制御信号により指示する制御部を備え、また、運転、停止の状態をモニタ信号で監視することができる。JEM−A端子に対応する制御部は、運転、停止のみの制御であるが、温度調節、光量調節などの監視や制御を行うための制御部を備える電気負荷24も提供されている。
【0071】
したがって、電気負荷24が制御部を備える場合には、電力余剰判断部103における発電余剰電力の有無に応じて、電気負荷24の制御部に指示を与え、需用電力を増減させることが望ましい。具体的には、電力余剰判断部103において蓄電装置40の放電を選択する条件が成立している期間には、全体動作制御部106から電気負荷24の消費電力を抑制するように制御部に制御信号を与えるのが望ましい。
【0072】
上述したように、発電余剰電力の有無に応じた通知を利用者に行うことにより電気負荷24による需用電力の増減を促すか、発電余剰電力の有無に応じて電気負荷24による需用電力を自動的に増減させる構成を採用するのが望ましい。この場合、蓄電装置40における蓄電と放電との切替の頻度が低減され、しかも、全体の動作としては、蓄電装置40の蓄電および放電に伴って生じる電力損失を低減させることになり、結果的に、売電により得られる収益の増加が見込まれる。
【0073】
(実施形態2)
実施形態1では、発電余剰電力の有無のみを条件として、蓄電装置40の蓄電と放電とを選択している。したがって、太陽光発電装置30が発電電力を生じている期間には蓄電と放電とが繰り返されることになる。現状において用いることができる蓄電池41は、充放電を繰り返すことによって劣化するから、充放電の回数に制限がある。すなわち、蓄電と放電とを繰り返すと、蓄電池41の寿命を縮める可能性がある。
【0074】
一方、売電による収益を決める要素には、電源系統21から購入する電力の単価と、電源系統21に逆潮流を行う電力の単価とがある。これらの単価は、1日の時間帯や年間の時期(為替レートや燃料価格)によって変動することがある。現状では、売電の単価が買電の単価を上回っているから、逆潮流を行う電力の単価と購入電力の単価との差が大きい時間帯において蓄電装置40の蓄電電力を需用電力に充当すると、売電による収益が増加することになる。逆に、売電の単価と売電の単価との差が小さい時間帯であれば、売電による収益は小さいから、この時間帯には蓄電装置40の蓄電および放電を停止させても収益への影響は少ない。
【0075】
このような事情を踏まえて、本実施形態では、図示しない構成(たとえば、インターネットを通して情報を取得する構成)によって、電力供給事業者から購入する電力の単価の情報を取得し、この情報を用いて蓄電装置40を動作させるか否かを選択している。蓄電装置40を動作させるか否かは、全体動作制御部106において、売電と買電との単価の差額を規定の閾値と比較して決定し、差額が閾値以下の時間帯であるときに、蓄電装置40の動作を停止させる。この動作は、電力余剰判断部103における条件判断に優先し、電力余剰判断部103において蓄電装置40の蓄電を選択する条件が成立しても蓄電を行わない。
【0076】
また、この動作は、所定期間(たとえば、1日、1週間)の中で蓄電装置40の蓄電および放電を行う回数が、規定回数(たとえば、3〜5回/1日)を超える場合にのみ行うのが望ましい。この場合、所定期間の経過後には、通常の動作に復帰させればよい。
【0077】
この動作により、売電による収益を確保しながらも、蓄電池41の充放電の頻度を低減させ、結果的に蓄電池41の寿命の低下を抑制することができる。なお、蓄電池41の寿命の判断のためには、蓄電池41の使用開始からの蓄電と放電との回数を計数する。計数した回数が規定の閾値(たとえば、300回)に達したときに寿命に達したと判断すればよい。蓄電池41が寿命に達したと判断した場合には、蓄電装置40の充電および放電の動作を停止し、蓄電池41の交換を促す提示などを行う。
【0078】
本実施形態の動作を行った場合の効果を図10、図11を用いて説明する。図10、図11は、図8、図9と同様に表記している。ただし、図10には購入電力の単価を破線で書き入れている。図示例では、購入電力の単価が1日で3段階に設定されている例を示している。すなわち、太陽光発電装置30が発電を行わない夜間における購入電力の単価がもっとも安く、日中の11時から14時まで(11時台、12時台、13時台)における購入電力の単価がもっとも高くなっている。また、売電する電力の単価は一定と仮定している。したがって、図10に示す動作では、11時から14時までは、購入電力の単価と売電する電力の単価との差額が小さくなっている。
【0079】
図8と図10とを比較すると、図8の動作では蓄電装置40の蓄電と放電とが5回ずつ行われているのに対して、図10の動作では4回ずつ行われており、蓄電池41の充放電の回数が低減されていることがわかる。また、発電電力が増加する昼前後では購入電力の単価も高いから、蓄電装置40の動作を制限しない場合には、図9のように、売電を行っても購入電力によって収益が低減されていることがわかる。一方、本実施形態のように蓄電装置40の動作を制限する場合には、図11のように、売電による収益の少ない時間について選択的に蓄電装置40の動作を停止させることができる。
【0080】
しかも、パワーコンディショナ32での電力変換に伴って損失が生じるから、売電する電力と買電する電力との単価の差額が小さい場合には、蓄電装置40を動作させると、収益がさらに圧縮されか、場合によって損失が生じる可能性がある。したがって、収益が得られる可能性の低いこのような時間帯には、蓄電装置40の動作を停止させておくことが望ましい。その意味でも、電力の単価に応じて蓄電装置40の動作を停止させるか否かを決定することには効果があると言える。
【0081】
本実施形態では、蓄電池41の充放電による寿命を考慮し、売電による収益の増加が見込める場合にのみ蓄電装置40を動作させるので、収益を確保することができる上に、蓄電池41の寿命を長くして、費用対効果を高めることができる。しかも、売電による収益の増加が見込めない場合には、蓄電装置40の動作を停止させるので、収益にほとんど影響を与えることなく蓄電池41の劣化を抑制することができる。その結果、太陽光発電装置30および蓄電装置40を備えた設備の導入に伴う投資を比較的短い期間で回収することが可能になる。
【0082】
上述の動作例では、1日における時間帯別の購入電力の単価が3段階に設定されている場合を例示したが、さらに多段階に単価が設定されている場合でも本実施形態の技術思想は適用可能である。この場合、蓄電装置40の動作を停止させる時間帯を、購入電力の単価が高い時間帯から順に選択してもよい。また、売電による電力の単価が一定である場合を想定して説明したので、実質的には、売電による電力の単価が高い場合に上述の動作を行うことになる。ただし、売電による電力の単価が変動する場合であっても、単価の差額に応じて同様の制御を行えばよい。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0083】
(実施形態3)
実施形態1は、原則として、発電余剰電力が生じている場合に蓄電装置40の蓄電電力を電気負荷24の需用電力に充当させ、発電余剰電力が生じていない場合には太陽光発電装置30の発電電力を蓄電装置40に蓄電している。すなわち、蓄電装置40が蓄電と放電とのどちらの動作を行うかは、発電余剰電力のみによって決定されている。
【0084】
本実施形態では、電力余剰判断部103における蓄電装置40の蓄電と放電との動作を選択する条件として、発電余剰電力と判断閾値との大小関係を用い、蓄電池41の残容量に応じてこの判断閾値を調整する構成を採用している。
【0085】
実施形態1の動作では、判断閾値を0に設定したことに相当する。したがって、実施形態1では、蓄電池41が満充電(残容量が上限値以上)であっても、発電余剰電力が生じていない(発電余剰電力が負)場合には、蓄電装置40の蓄電電力は需用電力に充当していない。逆に、蓄電池41の残容量が下限値以下であっても、発電余剰電力が生じている(発電余剰電力が正)場合には、太陽光発電装置30の発電電力を蓄電装置40に蓄電していない。すなわち、蓄電池41の蓄電電力に余裕があっても発電余剰電力が生じていなければ蓄電装置40の蓄電電力が利用されず、蓄電池41の蓄電電力が不足していても発電余剰電力が生じていると蓄電装置40への蓄電が行われていない。
【0086】
蓄電値41の残容量が上限値に達するのは、発電余剰電力が生じない状態が長期間に亘って継続した場合などであり、蓄電池41の残容量が下限値に達するのは、発電余剰電力が生じる状態が長期間に亘って継続した場合などである。蓄電池41の残容量が上限値以上である場合には蓄電装置40への蓄電を停止させ、蓄電池41の残容量が下限値以下である場合には蓄電装置40からの放電を低解被させる必要がある。その結果、蓄電池41の残容量によっては買電と売電とによる収支の改善効果が望めなくなる。
【0087】
本実施形態では、電力余剰判断部103の条件判断において、発電余剰電力が判断閾値以下と判断された場合に蓄電装置40に発電電力を蓄電し、発電余剰電力が判断閾値を超えると判断された場合に蓄電装置40の蓄電電力を需用電力に充当する。条件判断に用いる発電余剰電力は、発電電力から需用電力を減算した差を意味する。判断閾値は、蓄電池41の残容量が上限値以上の場合には引き下げ(負の値とし)、蓄電池41の残容量が下限値以下の場合には引き上げる(正の値とする)。また、蓄電池41の残容量が下限値と上限値との間であれば0にする。判断閾値を0にした場合の動作は実施形態1と同様である。
【0088】
本実施形態は、蓄電装置40の蓄電と放電との頻度を高めて売電に伴う収支を改善するために、以下に説明するように判断閾値を変化させる技術を採用している。すなわち、蓄電池41の残容量が上限値以上になると、蓄電装置40からの放電の頻度が高くなるように判断閾値を高く設定し、蓄電池41の残容量が下限値以下になると、蓄電装置40への蓄電の頻度が高くなるように判断閾値を低く設定する。
【0089】
本実施形態では、買電単価が複数段階に設定されている場合を例として判断閾値を可変に設定する動作を説明する。買電単価(つまり、電気料金の単価)は、1日の時間帯別で3段階に設定されているものとする。ここでは、「夜間」(23:00〜翌7:00)、「昼間」(10:00〜17:00)、「その他」(7:00〜10:00、17:00〜23:00)の3種類の時間帯に電気料金の単価が設定されている料金体系を想定する。また、電気料金の単価を、「夜間」は10円/kWh、「昼間」は30円/kWh、「その他」は20円/kWhとする。一方、売電による電力の単価は、現状では電気料金の単価よりも高く設定されているから、実施形態1で説明した例と同様に、48円/kWhとする。
【0090】
すなわち、上述したように買電単価が「昼間」と「その他」では、「昼間」のほうが高い場合、通常の動作では収支を高めるために、「その他」の時間帯で蓄電を行い、「昼間」の時間帯で放電を行うことが好ましい。しかしながら、蓄電池41の残容量が上限値に達している場合には、買電単価にかかわりなく放電を行い、蓄電池41の残容量が下限値に達しているときには、買電単価にかかわりなく蓄電を行うことが好ましい。この動作を可能にするために、判断閾値を変更するのである。
【0091】
発電装置が太陽光発電装置30(図2参照)である場合、「夜間」には実質的に発電電力が得られないとみなせるから、「昼間」と「その他」とを考慮すればよい。ここにおいて、「昼間」と「その他」とでは、「その他」のほうが売電による電力の単価との差額が大きくなる。たとえば、上述の例では、「昼間」の差額は18円/kWhであるのに対して、「その他」の差額は28円/kWhになっている。
【0092】
ところで、上述したように、蓄電装置40を設けた構成では、太陽光発電装置30が発電した発電電力を蓄電装置40に一旦蓄電することにより、発電電力が生じた時間帯に対して電力系統21への逆潮流を行う時間帯のタイムシフトが可能になる。ただし、逆潮流が可能な時間帯は、発電余剰電力が生じている時間帯に限られており、「夜間」には逆潮流を行うことができない。
【0093】
上述した料金体系では、電力系統21からの買電単価がより低い「その他」の時間帯の発電電力を「昼間」の時間帯に逆潮流させるように、時間帯のタイムシフトを行うことができれば、需要家にとっては大きい収益が得られることになる。要するに、「昼間」と「その他」とで売電を行う電力量の合計が同じであるとすると、「昼間」に売電を行う電力量の割合を増やしたほうが、「その他」に売電を行う電力量の割合を増やす場合よりも需要家の収益が大きくなる。そのため、「その他」に比べて「昼間」に売電を行う比率を高めるように蓄電装置40の蓄電と放電とを制御することが需要家にとって好ましいと言える。
【0094】
しかしながら、上述したように、蓄電池41の残容量が上限値以上の場合は放電の頻度を高めなければならず、蓄電池41の残容量が下限値以下の場合は蓄電の頻度を高めなければならない。発電余剰電力が生じているときに蓄電装置40への蓄電を行って蓄電池41の残容量を低減させると買電電力が増加する場合があり、需要家にとっては電気料金の増加につながる。また、発電余剰電力が生じていないときに蓄電装置40からの放電を行って蓄電池41の残容量を増加させると逆潮流させる電力を増加させる場合があり、需要家にとっては売電による利益の増加につながる。
【0095】
以下では、蓄電装置40への蓄電量を増加させることによる電気料金の増加と、蓄電装置40からの放電量を増加させることによる売電利益の増加とについて考察する。
【0096】
いま、図12に示すように、発電電力PVが需要電力DEMよりも大きく、発電電力PVと需要電力DEMとの差である発電余剰電力Cpが正であると仮定する。また、発電電力PVのうち蓄電装置40に蓄電可能な電力をCとし、蓄電可能な電力Cのうち発電余剰電力Cpを差し引いた電力をCdとする。すなわち、電力Cdは発電電力PVのうち需要電力DEMに充当せずに、蓄電装置40に蓄電される電力であって、需要電力DEMに充当するために電力系統21からの購入電力に相当する。したがって、発電電力PVのうち需要電力DEMに充当される電力は、PV−C=PV−(Cp+Cd)になる。さらに、以下では、発電余剰電力Cpの売電による単価をSとし、発電余剰電力を蓄電装置40に蓄電している時間帯において電力系統21からの買電単価をBとする。
【0097】
発電電力PVのうち、発電余剰電力Cpに加えて電力Cdを蓄電装置40に蓄電したとすると、電気料金の増加分Xは、X=(Cp×S+Cd×B)/Cで表すことができる。たとえば、C=1kWhとして、Cp=0.3kWh、Cd=0.7kWhとし、S=48円/kWh、B=20円/kWhとした場合、X=28.4円/kWhになる。
【0098】
ここで、同じ時間帯における発電電PVを需要電力DEMに充当することなく蓄電装置40に蓄電したと仮定する。この場合、PV−C=0、Cd=DEM、Cp=PV−DEMの関係が成立するから、電気料金の増加分Xは、X={(PV−DEM)×S+DEM×B)}/PV=S+(B−S)×(DEM/PV)になる。
【0099】
一方、図13に示すように、発電電力PVが需要電力DEMよりも小さく、発電電力PVと需要電力DEMとの差である発電余剰電力Cpが負である場合には、蓄電装置40の蓄電電力が電気負荷24の需要電力に充当される。ここに、蓄電装置40から放電可能な蓄電電力をDとし、需要電力DEMに対する発電電力PVの不足分の電力をDdで表し、蓄電電力Dのうち電力Ddを差し引いた残りの電力をDpで表す。すなわち、D=Dp+Ddである。
【0100】
この動作では、需要電力DEMに対する発電電力PVの不足分を電力系統21から充当するのではなく、蓄電電力Dのうちの電力Ddを充当している。その結果、需要家にとっては、電力系統21から電力Ddを充当する場合の料金分に相当する利益が得られたことになる。また、蓄電電力Dのうち電力Dpを需要電力DEMに割り当てているから、、需要電力DEMと蓄電電力Dとを合わせた実質的な需要電力はDEM−Dになり、発電電力PVに対してPV−Dpに相当する発電余剰電力が生じていることになる。つまり、需要家は、PV−Dpに相当する電力の逆潮流を行うことによって利益が得られることになる。
【0101】
以上のことから、蓄電装置40が発電電力PVの不足分である電力Ddに加えて、余剰の蓄電電力Dpも併せて需要電力DEMに充当したとすると、売電利益の増加分Yは、Y=(Dp×S+Dd×B)/Dで表すことができる。たとえば、D=1kWhとして、Dp=0.7kWh、Dd=0.3kWhとし、S=48円/kWh、B=30円/kWhとした場合、Y=42.6円/kWhになる。
【0102】
ここで、電力系統21から電力を充当することなく蓄電装置40の蓄電電力Dによって需要電力DEMを充足できると仮定する。この場合、DEM−D=0、Dp=PV、Dd=DEM−PVの関係が成立するから、売電利益の増加分Yは、Y={PV×S+(DEM−PV)×B)}/DEM=B+(S−B)×(PV/DEM)になる。
【0103】
以上説明したように、発電電力が需要電力よりも大きいときに発電余剰電力の逆潮流を行わずに蓄電した場合と逆潮流を行わない場合との収支は、1kWh当たりX円の損失になる。一方、発電電力が需要電力よりも小さいときに蓄電電力を用いて需要電力を充足させた場合と蓄電電力を用いない場合との収支は、1kWh当たりY円の利益になる。
【0104】
ところで、発電余剰電力が生じている状態で蓄電装置40に蓄電すると、上述したように、買電電力が増加するから電気料金が増加する。1kWh当たりの増加分Xは、上述のように、X=(Cp×S+Cd×B)/Cで表され、増加分の最大値は買電単価の上限値である30円/kWhになる。したがって、S=48円/kWh、B=20円/kWhとおき、説明を簡単にするために、蓄電装置40に蓄電可能な電力を1kWhで考えると、30≧Cp×48+Cd×20になる。Cp+Cd=1であり、Cp=PV−DEMであるから、PV≦(10+DEM×28)/28≒DEM+0.36が得られる。この関係から、需要電力DEMが1.3kWであれば、発電電力PVが1.66kWより小さければ、1kWh以上の電力を蓄電装置40に蓄電可能であることがわかる。すなわち、上述の条件であれば、判定閾値は0.36に設定することができる。
【0105】
ここで、蓄電池41としてLiイオン電池を用いる場合であれば、蓄電池41の残容量の下限値を30%に設定し、上限値を80%などに設定することが、電池寿命を延ばすために望ましい。したがって、蓄電池41の残容量が30%以下になると蓄電装置40への蓄電を優先的に行うように判断閾値を変更し、残容量が80%以上になると蓄電装置40からの放電を優先的に行うように判断閾値を変更すればよい。また、電力余剰判断部103は、判断閾値を変更したことによって、蓄電池41の残容量が上限値と下限値との間になれば、判断閾値を0に戻す。
【0106】
上述した判断閾値は、蓄電池41の残容量が下限値に達して蓄電装置40に蓄電する頻度を高める際の設定例を示したが、蓄電池41の残容量が上限値に達して蓄電装置40からの放電の頻度を高める場合は、以下のようにして判断閾値を設定すればよい。売電単価に変化がなく48円/kWhであると仮定すると、売電単価から10%程度を割り引いた売電単価(この場合、43.2円/kWh)を用いて判断閾値を決定することができる。すなわち、蓄電による1kWh当たりの売電利益の減少分は、Y=(Dp×S+Dd×B)/Dで表されるから、蓄電と同様の条件を用いると、18PV≧18DEM−4.8になる。この関係により、PV≧(18DEM−4.8)/18≒DEM−0.27が得られるから、上記条件であれば、判定閾値を−0.27に設定することができる。
【0107】
以上説明したように、発電余剰電力と比較する判断閾値を設定し、蓄電池41の残容量が上限値以上か下限値以下かに応じて判断閾値を調節する構成を採用することにより、以下の動作が可能になる。すなわち、蓄電池41の残容量が上限値以上であるときには、蓄電装置40を動作させるか否かの判断閾値が負に設定される。発電余剰電力が判断閾値以下になるまでは発電装置40は蓄電電力を需用電力に充当するから、発電余剰電力が生じていないにもかかわらず蓄電池41は放電して残容量が低下する。ここにおいて、蓄電池41の残容量に対して設定した停止閾値(上限値と下限値との間)まで残容量が低下した時点で蓄電装置40の放電を停止するのが望ましい。
【0108】
上述の動作において、発電余剰電力が0から判断閾値までの電力に充当される蓄電電力は、蓄電池41の残容量が下限値と上限値との間であるときに発電電力を蓄電することにより得られた電力である。すなわち、この蓄電電力は、蓄電装置41に蓄電した時間帯において蓄電電力に相当する購入電力を電源系統21から買電して得られている。したがって、電源系統21から購入電力の買電を行う代わりに、蓄電電力を需用電力に充当しても差し引きは0になり、収益も損失も発生しない。
【0109】
ただし、蓄電装置40では電力変換に伴う電力の損失や蓄電池41の自然放電による電力の損失などがあり、蓄電装置40の蓄電や放電を行うと、このような電力の損失に伴う収益の損失が発生する。そのため、判断閾値は、蓄電装置40で生じる電力の損失と、蓄電装置40の蓄電電力を需用電力に充当することにより得られる売電の収益とを考慮して設定する。
【0110】
蓄電池41の残容量が下限値以下であるときには、蓄電装置40を動作させるか否かの判断閾値が正に設定される。発電余剰電力が判断閾値を超えるまでは発電素子40に蓄電されるから、発電余剰電力が生じていても蓄電装置40に蓄電されることになる。この場合も、蓄電池41の残容量に対して設定した停止閾値(上述した停止閾値とは異なっていてもよい)まで残容量が増加した時点で蓄電装置40への蓄電を停止するのが望ましい。
【0111】
このように、蓄電池41の残容量に応じて発電余剰電力に対する判断閾値を変更するので、実施形態1の動作よりも蓄電装置40の蓄電と放電との頻度が高くなり、売電に伴う収支を短期間でより大きく改善することができる。また、蓄電池41の過充電あるいは過放電の可能性を抑制することになるので、過充電や過放電による蓄電池41の劣化を抑制することになる。
【0112】
本実施形態の動作を採用すると、図14に示すように、13時以降において蓄電池41の残容量が増加するのに伴って、蓄電装置40から放電して蓄電電力を需用電力に充当する頻度が高くなることがわかる。なお、図14の動作は図8に示した条件において本実施形態の動作を適用した場合を示している。
【0113】
なお、実施形態2において説明したように、買電と売電との少なくとも一方における電力の単価が時間帯や時期に応じて変動する場合には、判断閾値も時間帯や時期に応じて変化させるようにしてもよい。本実施形態の他の構成および動作は、上述した各実施形態と同様である。
【0114】
(実施形態4)
実施形態1において説明したように、発電電力を需用電力に充当していることを保証するには、図3に示す構成のパワーコンディショナ32を用いることが望ましいが、図4に示す構成のパワーコンディショナ32を用いることも可能である。すなわち、電源系統21から蓄電装置40に蓄電したとしても、その蓄電電力を逆潮流に用いなければ、電源系統21からの購入電力により蓄電装置40に蓄電した蓄電電力を需用電力に充当することは可能である。
【0115】
このことから、電源系統21からの購入電力を用いて蓄電装置40に蓄電しておき、太陽光発電装置30の発電電力が需用電力を上回っている時間帯において、蓄電電力を需用電力に充当すれば、売電による収益の増加が見込まれる。この動作によって売電による収益を増大させるには、買電する電力がもっとも低額である時間帯において蓄電装置40に蓄電することが望ましい。
【0116】
このような動作としては、買電する電力がもっとも低額である時間帯(一般に、深夜)において蓄電装置40に蓄電し、蓄電池41を上限値以上に充電しておき、発電電力が生じる(適宜の閾値以上になる)まで蓄電装置40から放電しない動作を採用することができる。発電電力が生じた後の動作は上述した各実施形態と同様に、発電余剰電力に基づいて、蓄電装置40の蓄電と充電とを選択すればよい。
【0117】
また、発電電力が生じた後に、ただちに発電余剰電力に基づいて蓄電装置40の蓄電と充電とを選択するのではなく、発電電力が生じた後に需用電力が生じたときには、できるだけ蓄電装置40から蓄電電力を需用電力に充当する動作を採用してもよい。この場合、蓄電池41の残容量があらかじめ設定した所定値まで低下した後に、上述した各実施形態と同様に、発電余剰電力に基づいて蓄電装置40の蓄電と放電とを選択すればよい。
【0118】
本実施形態の動作を採用すると、日中に比較して単価の低い電力を購入して需用電力に充当することになるので、結果的に、売電と買電との電力に対する差額が大きくなり、売電による収益のより一層の増加が見込めることになる。他の構成および動作は上述した各実施形態と同様である。
【0119】
ところで、本実施形態は、電源系統21から買電した電力を蓄電装置40に蓄電するから、買電の単価がもっとも低い時間帯に蓄電装置40に蓄電すると、買電の単価が高い他の時間帯に蓄電装置40に蓄電するよりも売電の収益を高めることができる。そこで、買電による電力の単価が最低になる時間帯が開始されるまでに、蓄電装置40の蓄電電力を使い切って蓄電池41の残容量を下限値以下にしておけば、蓄電電力を単価がもっとも低い時間帯のみの電力にすることになる。すなわち、売電と買電との電力に対する差額を大きくして、売電による収益の増加が見込める。太陽光発電装置30の発電が停止した状態では、蓄電装置40から放電しないから、太陽光発電装置30の発電が終了するまでに、蓄電池41の残容量を下限値にしておく必要がある。
【0120】
この動作を可能にするために、全体動作制御部106において、需用電力の予測を行うとともに、発電電力の予測を行い、さらに、太陽光発電装置30の発電終了の時刻を予測する。これらの予測を用いて、上述した各実施形態のいずれかの動作を行った場合について、太陽光発電装置30の発電終了時刻までの蓄電池41の残容量を予測する。ここで、蓄電池41の残容量が下限値に達しない場合は、下限値との差分に相当する発電電力(パワーコンディショナ32での損失分を考慮する)については、蓄電池41の充電に用いずに、発電電力を需用電力に充当する。このような動作により、太陽光発電装置30の発電終了時刻までに蓄電池41の残容量を下限値にすることが可能になる。
【0121】
なお、蓄電池41の残容量を発電終了時刻までに下限値に到達させるには、蓄電装置40からの放電の時間を延長するように、実施形態3のように蓄電と放電とのタイミングを切り替える閾値を設定してもよい。他の構成および動作は上述した各実施形態と同様である。
【0122】
(実施形態5)
上述した各実施形態では、需要家20ごとの単独の動作を説明したが、本実施形態は、複数の需要家20における動作を連動させることによって、電源系統21の配電網から見た負荷変動を低減する技術を提供する。
【0123】
実施形態3で説明した技術のように、発電余剰電力に対する閾値を調節し、蓄電装置40の蓄電と放電との動作のタイミングを調節する技術を用いると、各需要家20の売電と買電とのタイミングをある程度調整することができる。したがって、配電網を共通にする複数の需要家20における電力制御装置10を連動させることによって、これらの需要家20の間で相互に電力の需給を行うことが可能である。すなわち、電力系統21に逆潮流を行う電力の変動が抑制される。もちろん、各需要家20での電力の需要と供給とが平衡するわけではないが、需要家20の全体では電源系統21に対する負荷の変動が抑制されることになる。
【0124】
複数の需要家20における電力制御装置10を連動させるには、電力制御装置10が取得している発電電力、需用電力、蓄電池41の残容量などの電力に関する情報を通信により管理装置に集約する構成を採用することができる。あるいは、各需要家20の電力制御装置10が分散処理を行って相互に調整する構成を採用してもよい。通信には、インターネット網のような広域通信網を用いればよい。この動作を可能にするために、電力制御装置10には図示しない通信機能を付加する必要がある。他の構成および動作は上述した各実施形態と同様である。
【0125】
なお、上述した各実施形態において、蓄電装置40を用いることにより電力変換に伴う電力損失が生じ、蓄電装置40を用いない場合に比較すると、この電力損失による電力消費量の増加が生じる可能性がある。しかしながら、売電による収益の増加が見込まれることから、太陽光発電装置30のような再生可能エネルギー(クリーンエネルギーないしグリーンエネルギー)である発電装置の普及が加速されると考えられる。その結果、電力供給事業者における化石燃料の使用量が低減されるとともに、送電に伴うエネルギーの損失も低減され、社会全体としては、省エネルギーになることが期待できる。
【0126】
さらに、将来において、売電による電力の単価が引き下げられるか、売電の買取制度が廃止されたとしても、太陽光発電装置30と蓄電装置40との連携動作によって、需要家20での需用電力に対応することが可能である。すなわち、蓄電装置40が需要家20にあらかじめ導入されているから、需要家20では制度の変更にも利益を極端に損なうことなく対応することができる。また、このような場合に備えて、電力制御装置10は動作の変更を比較的容易に行えるようにしておくことが望ましい。基本的には、電力制御装置10を動作させるプログラムを変更すればよい。
【0127】
上述した各実施形態において、蓄電装置40の蓄電と放電とを選択する条件が短時間で変動する可能性があるが、上述した動作例のように1時間程度の比較的長い時間を単位として、条件を判定することにより動作が不安定になることを防止できる。また、比較的短い時間で蓄電と放電とを選択する場合には、一方の選択後に所定の時間が経過するまでは他方の選択を禁止してもよい。
【0128】
また、蓄電装置40の蓄電と放電との選択は、発電余剰電力の条件(有無や判断閾値との大小関係)が、次の選択までは変化しないことを期待して行っている。発電余剰電力は発電電力と需用電力とにより決定されるから、蓄電装置40の蓄電と放電とを選択する時点で、発電電力と需用電力とが予測できれば、蓄電と放電との選択をより適切に行うことが可能になる。
【0129】
太陽光発電装置30では、発電電力は日照の影響を大きく受けるから、天気予報のような日照に関連した情報を入手することにより、発電電力の時間変化をある程度予測することが可能である。また、需用電力については、日時に応じた過去の実績に基づいて推定すればよい。あるいはまた、過去の直前における発電余剰電力の条件が、蓄電装置40の蓄電と放電とを選択した後にも継続するという推定を行ってもよい。
【0130】
ただし、所定の時間間隔で発電余剰電力の条件を判断する場合であって、直前の条件が継続すると推定する場合において、需用電力が周期的に変動する電気負荷24が存在していると、判断の周期と需用電力の変動周期とが一致することが考えられる。この場合、誤った推定に基づく制御を継続する可能性がある。このような問題の発生を回避するには、発電余剰電力の条件を判断する時点において、判断周期よりも十分に長い時間における需用電力の周期性の有無を判定し、需用電力の変動周期と一致しないように、判断周期を変更すればよい。
【符号の説明】
【0131】
10 電力制御装置
20 需要家
21 電源系統
24 電気負荷
30 太陽光発電装置(発電装置)
40 蓄電装置
41 蓄電池
101 第1電力取得部
102 第2電力取得部
103 電力余剰判断部
106 全体動作制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置と蓄電装置とが設置された電力の需要家において系統連系を行う電源システムに用いられる電力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、発電装置と蓄電装置とが設置された電力の需要家において系統連系を行う電源システムが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1には、太陽電池(発電装置)の発電電力を蓄電する蓄電手段(蓄電装置)が記載され、蓄電手段には、電源系統の電力または太陽電池の発電電力を蓄電することが記載されている。
【0003】
また、太陽電池の発電電力は、蓄電手段に蓄電されるだけではなく、電気負荷への給電にも用いられている。特許文献1には、太陽電池の発電電力を電源系統に売電(逆潮流)する条件として、電気負荷に供給する電力が太陽電池の発電電力よりも小さいことが記載されている。また、蓄電手段は、電源系統の電力が所定値を超えないように蓄電した電力を放電する。すなわち、特許文献1に記載の技術では、発電装置の発電電力が電気負荷の需用電力を上回って余剰が生じたときに、電源系統への逆潮流を行っている。
【0004】
ところで、太陽電池のように自然エネルギーを用いて発電する発電装置は、発電時に二酸化炭素を発生しないから環境負荷が少ないと考えられている。現状では、この種の発電装置による発電電力を電源系統に逆潮流させる売電について、電源系統から購入する買電よりも電力に対する単価が高く設定されており、売電による収入を与えることにより、発電装置の導入促進が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−369406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の技術では、太陽電池の発電電力が電気負荷の需用電力を上回ると、余剰電力が生じたとみなし、電源系統への逆潮流を行っている。しかしながら、余剰電力が生じるか否かは、発電装置の発電電力と電気負荷の需用電力との時間変化に応じて定まるから、発電電力と需用電力との変化パターンが類似しており、かつ発電電力と需用電力との差が少ない場合には、余剰電力が生じにくくなる。つまり、需要家によっては、余剰電力が少なく、結果的に逆潮流による収入がほとんど得られないことになる。
【0007】
このように余剰電力の少ない需要家では、発電装置の導入に伴って生じた投資費用を回収するのに要する年月が長くなるという問題がある。また、投資費用を回収する年月を短縮するために、余剰電力を増加させようとすると、日中の需用電力を低減させるように生活リズムを変えなければならず、生活に弊害が生じる可能性がある。
【0008】
本発明は、蓄電装置を用いて電気負荷の需用電力を補うことにより、発電装置の発電電力のうち需用電力への割当分を低減させて、発電装置の発電電力のうち逆潮流させる電力の増加を図り、結果的に売電による収入の増加を図る電力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電力制御装置は、上記目的を達成するために、自然エネルギーを用いて発電する発電装置と蓄電池の充放電を行う蓄電装置とを備える需要家において、電源系統と発電装置と蓄電装置とを選択して電気負荷に電力を供給し、発電装置から電源系統への逆潮流を行うシステムに用いられ、需要家で利用される電気負荷での需用電力を取得する第1電力取得部と、発電装置について測定された発電電力を取得する第2電力取得部と、第1電力取得部が取得した需用電力と第2電力取得部が取得した発電電力との差である発電余剰電力について所定時間ごとに条件判断を行う電力余剰判断部と、電力余剰判断部での条件判断の結果に応じて蓄電装置の蓄電と放電とを選択する全体動作制御部とを備え、
全体動作制御部は、発電電力が需用電力に所定の判断閾値を加えた値以下である場合を第1条件として第1条件の成立時に前記発電装置の発電電力を需用電力に充当することなく蓄電装置に蓄電させ、発電電力が需用電力に所定の判断閾値を加えた値を超える場合を第2条件として第2条件の成立時に蓄電装置の蓄電電力を電気負荷での需用電力に充当させることを特徴とする。
【0010】
この電力制御装置において、判断閾値は0であってもよい。
【0011】
この電力制御装置において、全体動作制御部は、蓄電池の残容量が規定の上限値であるときには、電力余剰判断部において前記第1条件が成立しても蓄電を行わずに、発電電力を需用電力に充当することが好ましい。
【0012】
この電力制御装置において、全体動作制御部は、所定期間において蓄電装置の蓄電および放電の回数が規定値を超えると、電源系統から購入する電力の単価が所定値以上である期間には、電力余剰判断部において前記第1条件が成立しても蓄電を行わないことが好ましい。
【0013】
この電力制御装置において、全体動作制御部は、電源系統に逆潮流を行う電力の単価が所定値以上である期間には、電力余剰判断部において前記第2条件が成立しても蓄電装置からの放電を行わないことが好ましい。
【0014】
この電力制御装置において、電力余剰判断部は、蓄電池の残容量が規定の上限値以上の場合に判断閾値を引き下げるように変更し、蓄電池の残容量が規定の下限値以下の場合に判断閾値を引き上げるように変更することが好ましい。
【0015】
この電力制御装置において、電力余剰判断部は、判断閾値を可変に設定することが好ましい。
【0016】
この電力制御装置において、電力余剰判断部は、蓄電池の残容量が規定の下限値以下である期間には第1条件が成立するように判断閾値を相対的に大きく設定し、蓄電池の残容量が規定の上限値以上である期間には第2条件が成立するように判断閾値を相対的に小さく設定することが好ましい。
【0017】
この電力制御装置において、電力余剰判断部は、蓄電池の残容量が規定の下限値以下であって発電余剰電力が発生している期間に判断閾値を正値に設定し、蓄電池の残容量が下限値を超えていると判定閾値を0に設定することが好ましい。
【0018】
この電力制御装置において、電力余剰判断部は、蓄電池の残容量が規定の上限値以上であって発電余剰電力が発生していない期間に判断閾値を負値に設定し、蓄電池の残容量が上限値未満であると判定閾値を0に設定することが好ましい。
【0019】
この電力制御装置において、全体動作制御部は、電源系統から購入する電力の単価が規定値以下である時間帯において、前記第1条件の成立時に電源系統から蓄電装置への蓄電を許容することが好ましい。
【0020】
この場合、全体動作制御部は、電源系統から購入する電力の単価が規定値以下である時間帯の開始までに蓄電池の残容量を下限値以下にすることが好ましい。
【0021】
この電力制御装置において、電力余剰判断部において前記第2条件が成立している期間に電気負荷の利用を抑制するように助言の通知を与える通知手段を備えることが好ましい。
【0022】
この電力制御装置において、電気負荷が制御信号を受けて消費電力を制御する制御部を備えている場合に、電力余剰判断部において前記第2条件が成立している期間に、全体動作制御部から電気負荷の制御部に対して消費電力を抑制する制御信号を与える構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の構成によれば、蓄電装置を用いて電気負荷の需用電力を補うから、発電装置の発電電力のうち需用電力への割当分が低減され、発電装置の発電電力のうち逆潮流させる電力が増加することになり、結果的に売電による収入の増加が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上を用いたシステム構成例を示す概略図である。
【図3】図2に示すシステムの構成例を示す要部の一例を示す構成図である。
【図4】図2に示すシステムの構成例を示す要部の他例を示す構成図である。
【図5】同上の動作説明図である。
【図6】電力の条件例を示す図である。
【図7】図6の条件での比較動作を示す図である。
【図8】同上に図6の条件を適用した場合の動作を示す図である。
【図9】同上に図6の条件を適用した場合の収支を示す図である。
【図10】実施形態2に図6の条件を適用した場合の動作を示す図である。
【図11】実施形態2に図6の条件を適用した場合の収支を示す図である。
【図12】実施形態3の動作説明図である。
【図13】同上の動作説明図である。
【図14】同上に図6の条件を適用した場合の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に説明する実施形態では、自然エネルギーにより発電する発電装置として太陽光発電装置を例示し、需要家としては戸建て住宅を想定する。また、需要家には、太陽光発電装置で発電した「発電電力」を蓄電する蓄電装置が設けられ、太陽光発電装置の発電電力と蓄電装置に蓄電した「蓄電電力」とは、宅内の電気負荷に供給可能になっている。さらに、太陽光発電装置の発電電力は、電力供給事業者(すなわち、電力会社など)が管理する電源系統への逆潮流が可能になっている。電気負荷の動作のために必要な「需用電力」と、太陽光発電装置の発電電力と、電源系統から購入する「購入電力」とは、それぞれ計測される。
【0026】
なお、以下の説明において「電力」は、所定期間の「電力量」の意味で用いる。この所定期間は、後述する電力制御装置が演算に用いるデータを取得する時間間隔とする。この時間間隔が短いほど制御の遅れが抑制され高精度の制御が可能になるが、システムの応答を考慮して、通常は5分〜1時間程度に設定する。ただし、電力の時間変化を監視するために、データを1秒〜1分程度の時間間隔で取得してもよい。
【0027】
本実施形態では、電源系統への逆潮流を行う「余剰電力」と区別するために、発電電力から需用電力を差し引いた電力を「発電余剰電力」と呼ぶ。発電余剰電力は、発電電力が需用電力を上回っている場合は正の値になり、発電電力が需用電力を下回っている場合は負の値になる。ここに、発電余剰電力、発電電力、需要電力は、電力制御装置が演算に用いるデータを取得する時間間隔ごとの電力量であり、実質的には瞬時値に相当する。
【0028】
(実施形態1)
以下に説明する各実施形態に共通の構成を実施形態1として説明する。図2に示すように、需要家(住宅)20には、電力供給事業者が管理する電源系統21から電力メータ22を通して交流電力が供給される。需要家20には、宅内の電気負荷24に電力を分配する分電盤23が配置される。また、分電盤23を通して電気負荷24に供給される電力の総和を需用電力として計測する需用電力計測手段25が設けられる。需用電力計測手段25は、たとえば、変流器のような電流センサと供給電圧を計測する電圧センサとを用いて電力を計測する電子式の電力計測装置を用いる。
【0029】
図示例では、電気負荷24の需用電力を、分電盤23の外部で計測しているが、分電盤23の内部において計測してもよい。また、個々の電気負荷24に通信機能を設け、電気機器24が必要とする電力(消費している電力または消費する予定の電力)を電気負荷24から通信により取得してもよい。あるいはまた、電気負荷24が消費する電力を計測する計測装置に通信機能を設け、電気機器24が消費している電力を計測装置から通信により取得してもよい。
【0030】
需要家20には、太陽光により発電する太陽電池31と、太陽電池31から出力される直流電力の電力変換を行う機能を備えたパワーコンディショナ32とからなる太陽光発電装置30が設置される。また、需要家20には、太陽光発電装置30からの発電電力により蓄電される蓄電池41が配置される。蓄電池41はパワーコンディショナ32に接続され、蓄電池41の充電および放電はパワーコンディショナ32を通して行われる。したがって、蓄電池41はパワーコンディショナ32とともに蓄電装置40を構成する。
【0031】
太陽光発電装置30は、発電電力を計測する発電電力計測手段33を備える。図示例では、太陽電池31とパワーコンディショナ32との間に発電電力計測手段33を設けている。ただし、パワーコンディショナ32において電力変換を行うから、変換効率を加味するために、電力変換を行った後の電力を発電電力計測手段33で計測する構成を採用してもよい。発電電力計測手段33は、需用電力計測手段25と同様に、たとえば、電流センサと電圧センサとを用いて電力を計測する電子式の電力計測装置を用いる。
【0032】
パワーコンディショナ32の構成例を図3に示す。図3に示すパワーコンディショナ32は、太陽電池31から出力される直流電力の最大電力点追従装置(MPPT)の機能と直流電圧の安定化を行う機能とを備えたDC/DCコンバータ321を備える。また、パワーコンディショナ32は、蓄電池41の充電と放電とを行う双方向DC/DCコンバータ322を備える。DC/DCコンバータ321の出力端と双方向DC/DCコンバータ322の一方の入出力端とはDCバス324に接続される。パワーコンディショナ32は、DCバス324から供給される直流電力を交流電力に変換するDC/ACインバータ323も備える。すなわち、DC/ACインバータ323の入力端はDCバス324に接続される。したがって、DC/ACインバータ323は、DC/DCコンバータ321と双方向DC/DCコンバータ322との両方の直流電力を交流電力に変換する。
【0033】
DC/ACインバータ323の出力端は分電盤23に接続され、分電盤23の内部において、パワーコンディショナ32を含む分散電源(太陽光発電装置30および蓄電装置40)と、電源系統21との系統連系が行われる。この分電盤23は、太陽光発電装置30を電源系統21に接続して逆潮流を行う機能と、蓄電装置40から電気負荷24に電力を供給する機能と、電源系統21から蓄電装置40に電力を供給する機能とを選択する。
【0034】
パワーコンディショナ32は、DC/ACインバータ323の出力電力を計測する出力電力計測手段34を備える。出力電力計測手段34には、需用電力計測手段25や発電電力計測手段33と同様に、電子式の電力計測装置を用いる。これらの電子式の電力計測装置は、計測値をデジタル値として出力する構成が望ましい。
【0035】
パワーコンディショナ32は、上述した構成だけではなく、種々の構成を採用することができる。たとえば、図4に示すように、図3に示した構成からDC/ACインバータ323を省略し、DC/DCコンバータ321と双方向DC/DCコンバータ322とを、それぞれDC/ACインバータ325と双方向DC/ACインバータ326とに置換した構成を採用してもよい。すなわち、太陽電池31から出力される直流電力はDC/ACインバータ325により交流電力に変換され、蓄電池41の充放電は双方向DC/ACインバータ326を通して行われる。また、図4に示す例では、出力電力計測手段34を、パワーコンディショナ32の外部に設けている。
【0036】
ここに、上述の構成では、需用電力計測手段25により需用電力を計測しているが、出力電力計測手段34を設けているから、電力メータ22で計測した購入電力と、出力電力計測手段34で計測した出力電力との差分を需用電力に用いてもよい。逆に、需用電力計測手段25を設けている場合には、出力電力計測手段34を省略してもよい。
【0037】
図3に示す構成では、電源系統21からの購入電力を蓄電池41に蓄電することはできないが、図4に示す構成では、電源系統21からの購入電力を蓄電池41に蓄電することが可能になる。なお、図4では、DC/ACインバータ325と双方向DC/ACインバータ326とを分電盤23に共通に接続しているが、DC/ACインバータ325と双方向DC/ACインバータ326とを、電源系統21と電気負荷24とに選択的に接続してもよい。
【0038】
この場合、図4に示すパワーコンディショナ32では、DC/ACインバータ325を双方向DC/ACインバータ326と分電盤23との一方に選択的に接続する。また、パワーコンディショナ32では、DC/ACインバータ325から双方向DC/ACインバータ326への経路を選択しているときは、電源系統21から電気負荷24に電力を供給する。また、DC/ACインバータ325から電源系統21に逆潮流を行うときは、双方向DC/ACインバータ326から電気負荷24に電力を供給する。すなわち、電源系統21と双方向DC/ACインバータ326との間では電力の授受を行わない。これらの接続関係の選択は、電力制御装置10により制御される。
【0039】
電力制御装置10は、コンピュータ(マイコン)で適宜のプログラムを実行することにより、以下の動作を実現する。すなわち、電力制御装置10は、図1のように、需用電力を取得する第1電力取得部101と、発電電力計測手段33から太陽光発電装置30の発電電力を取得する第2取得部102とを備える。
【0040】
以下では、第1電力取得部101が需用電力計測手段25から需用電力を取得する場合を想定して説明する。なお、第1電力取得部101において電力メータ22から購入電力を取得するとともに出力電力計測手段34から出力電力を取得して需用電力を算出する構成を採用してもよい。また、第2電力取得部102は、発電電力計測手段33から発電電力を取得する。
【0041】
第1電力取得部101が取得した需用電力と第2電力取得部102が取得した発電電力とは、電力余剰判断部103に入力され、電力余剰判断部103は、発電電力から需用電力を差し引いた発電余剰電力を算出する。
【0042】
図1では、パワーコンディショナ32を簡略化して記載しており、太陽光発電装置30と蓄電装置40とについて、電力の受給経路を選択することを3個のスイッチ327,328,329で模式化している。
【0043】
図示例では、太陽電池31に2個のスイッチ327,328が接続されている。太陽電池31は、一方のスイッチ327を介して蓄電池41に接続され、他方のスイッチ328を介して電源系統21(図2参照)に接続される。また、両スイッチ327,328は、一方がオンのときに他方がオフになるように制御される。したがって、スイッチ327がオンであることは、太陽光発電装置30の発電電力が蓄電装置40に蓄電されることを意味し、スイッチ328がオンであることは、太陽光発電装置30の発電電力が電源系統21に逆潮流されることを意味する。スイッチ329は、蓄電池41と電気負荷24(図2参照)との間に接続される。スイッチ329がオンであることは、蓄電装置40の蓄電電力が電気負荷24に供給されることを意味する。
【0044】
なお、電気負荷24には電源系統21からの購入電力も供給されるから、蓄電電力が逆潮流されることがないように、電力の仕分け(いわゆる、「カラーリング」)を行う。電力を仕分けるには、電気負荷24に電力を供給する経路の選択を小単位(分電盤23の分岐回路の単位、電気負荷24の単位など)で行うように経路切替のための手段を多数個設けておく。そして、需用電力に見合うように蓄電電力と購入電力との供給経路を上記手段によって切り替えればよい。この際、需用電力に対して蓄電電力を優先的に用い、不足分を購入電力で充足させる。
【0045】
電力制御装置10は、スイッチ327,328のオンオフを制御するために、発電電力制御部104を備え、スイッチ329のオンオフを制御するために、充放電制御部105ヲ備える。発電電力制御部104と充放電制御部105とは、全体動作制御部106からの指示を受けてスイッチ327,328,329のオンオフを制御する。また、全体動作制御部106は、電力余剰判断部103による判断結果を受け、以下に説明する条件に応じて、スイッチ327,328,329のオンオフの状態を決定する。
【0046】
全体動作制御部106は、基本的な動作では、電力余剰判断部103において発電余剰電力が負(つまり、発電電力<需用電力)と判断している間に、発電電力制御部104を通してスイッチ327をオンにするとともにスイッチ238をオフにする。また、全体動作制御部106は、充放電制御部105を通してスイッチ329をオフにする。つまり、発電電力が需用電力よりも少ないときには、太陽光発電装置30から蓄電装置40への蓄電を行うとともに、蓄電装置40から電気負荷24への電力供給は禁止する。
【0047】
一方、電力余剰判断部103において発電余剰電力が正(つまり、発電電力>需用電力)と判断している間には、全体動作制御部106は発電電力制御部104を通してスイッチ327をオフにするとともにスイッチ238をオンにする。また、全体動作制御部106は、充放電制御部105を通してスイッチ329をオンにする。つまり、発電電力が需用電力よりも多いときには、太陽光発電装置30から蓄電装置40への充電を行わず、蓄電装置40から電気負荷24に電力を供給する。
【0048】
このとき、蓄電装置40から供給可能な電力(蓄電池41の残容量とDC/ACインバータ323の出力電力とにより決まる)を考慮し、蓄電装置40から供給可能な電力に対して電気負荷24の需用電力が上回っている場合には、太陽光発電装置30の発電電力も電気負荷24に電力を供給し、その上で、なお余剰電力があれば(余剰電力=需用電力−(蓄電電力+発電電力)>0)、太陽光発電装置30の余剰電力を電源系統21に逆潮流する。ここに、蓄電電力が需用電力を上回っている場合には、発電電力はすべて逆潮流されることになる。したがって、余剰電力が売電されて収入になる。なお、余剰電力が発生しない場合は、電気負荷24の需用電力に対する不足分を電源系統21から供給することになる。すなわち、購入電力が発生する。
【0049】
なお、本実施形態は、発電余剰電力の有無を、発電電力と需要電力との大小のみよって判断しているが、需要電力に所定の判断閾値を加えた値と発電電力とを比較することにより発電余剰電力の有無を判断することが望ましい。すなわち、理想的には発電電力が需要電力を上回っていれば発電電力で需要電力を充足させることが可能であると言えるが、実際には、種々の損失が生じるから、発電電力は需要電力に判断閾値を加算した値と比較することが好ましい。ただし、説明を簡単に行うために、本実施形態では判断閾値を0として説明する。
【0050】
上述した動作によって、電気負荷24が要求する需用電力の一部が蓄電装置40からの蓄電電力によって充足されることになり、太陽光発電装置30の発電電力に余剰電力が生じやすくなる。言い換えると、逆潮流させる余剰電力に蓄電電力に相当する電力が加算されていることになる。すなわち、発電電力を蓄電装置40に蓄電している間は需用電力を電源系統21からの購入電力によって充足させ、発電余剰電力が生じている間は蓄電電力を電気負荷24に供給するので、電源系統21からの購入電力を平準化していることになる。発電余剰電力が生じている間は、蓄電装置40の蓄電電力、太陽光発電装置30の発電電力、電源系統21からの購入電力の優先順で電気負荷24に電力を供給する。
【0051】
この動作では、蓄電装置40の蓄電電力は電気負荷24に供給しているだけであって、蓄電電力は電源系統21には逆潮流されていない。すなわち、蓄電装置40は、電源系統21からの購入電力のタイムシフトを行っていると言える。
【0052】
上述の動作は蓄電装置40の充放電が可能な場合に関する動作である。しかしながら、蓄電池41の残容量が満充電とみなせる上限値に達しているときには、蓄電池41への充電ができない。このときには、発電電力が需用電力より少ない場合でも、全体動作制御部106は、スイッチ237をオフにするとともに、スイッチ239をオンにして、太陽光発電装置30から電気負荷24に電力を供給する。また、蓄電池41への充電は停止し、蓄電装置40から電気負荷24への給電を行う。一方、蓄電池41の残容量が0とみなせる下限値に達しているときには、全体動作制御部106は、蓄電装置40から蓄電電力を供給することができないから、発電電力が需用電力より多い場合でも、蓄電装置40から電気負荷24への電力供給は禁止する。
【0053】
電力制御装置10の動作を図5にまとめて記載する。電力制御装置10は、需用電力計測手段25が計測した需用電力を第1電力取得部101において取得し、発電電力計測手段33が測定した発電電力を第2電力取得部102において取得する(S11)。次に、電力余剰判断部103において、発電余剰電力の有無を判断し(S12)、発電余剰電力が生じており(S12:Yes)、かつ需用電力が生じていれば(S13:Yes)、蓄電装置40から蓄電電力を供給する(S15)。
【0054】
ただし、蓄電装置40から蓄電電力を供給するのは、蓄電池41の残容量が下限値を上回っている場合(S14:No)であり、蓄電池41の残容量が下限値以下であれば(S14:Yes)、蓄電装置40からは電力の供給を行わない。また、ステップS13において需用電力が生じていなければ(S13:No)、発電電力は、蓄電装置40に蓄電されるか、電源系統21に逆潮流される(S17)。また、発電電力余剰が生じているから、蓄電電力と発電電力とにより需用電力が充足され、依然として余剰電力が生じている場合には(S16:Yes)、電源系統21に余剰電力を逆潮流させる(S17)。ステップS16において、余剰電力が生じていない場合は、電源系統21から電気負荷24に電力が供給され購入電力が発生する(S18)。
【0055】
一方、ステップS12において発電余剰電力が生じておらず(S12:No)、かつ蓄電池41の残容量が上限値未満の場合(S19:No)、発電電力は蓄電装置40に蓄電される(S20)。ステップS19において蓄電池41の残容量が上限値以上である場合には(S16:Yes)、発電電力を蓄電装置40に蓄電することなく電気負荷24の需用電力に充当する(S21)。この場合、発電余剰電力が生じていないから、電気負荷24の需用電力を発電電力のみで充足させることはできない。したがって、需用電力の残りは電源系統21からの購入電力を充当させる。この動作は、蓄電装置40を備えていない場合の動作と同様である。
【0056】
なお、蓄電池41の残容量が上限値に達するのは、発電余剰電力が生じない状態が長期間に亘って継続した場合、発電余剰電力が生じない期間と生じる期間との発電電力が同程度であって発電余剰電力が生じない期間の合計のほうが長い場合などである。
【0057】
上述の動作を行うことによって、蓄電池41に充電できないにもかかわらず発電電力を蓄電装置40に与えることがなく、無用な電力損失の発生を防止して、発電電力を有効利用することができる。
【0058】
ステップS11における発電電力と需用電力との取得は所定時間ごとに繰り返される。この時間は、たとえば5分〜1時間程度に設定される。ただし、発電電力や需用電力は時々刻々変化しているから、発電電力や需用電力は短い時間間隔(1秒〜1分程度)で取得し、ステップS11では上記所定時間における積算値を用いることが望ましい。
【0059】
以下では、上述した電力制御装置10を用いた場合の動作例を説明する。図6は、需要家20における発電電力(白抜き)と需用電力(斜線)との1日の推移例を示している。図示例では、発電電力および需用電力を1時間周期で取得している。また、発電装置が太陽光発電装置30であって、夜間には発電電力が発生しないので、18時から翌日7時までの時間帯は図6に示していない。すなわち、日の出から太陽光発電装置30の発電電力が発生して時間経過に伴って発電電力が増加し、日中には発電電力が最大になり、やがて発電電力が減少して日の入によって太陽光発電装置30の発電電力が停止するのである。また、図示例においては、需用電力が発電電力と同様に推移し、朝夕において小さく、昼頃に最大になっている。
【0060】
図示例では、8時台、10時台、12時台、14時台、16時台の各時間帯では、発電電力に対して需用電力のほうが大きく電源系統21からの購入電力が発生する。一方、9時台、11時台、13時台、15時台、17時台の各時間帯では、発電電力が需用電力よりも大きいから発電余剰電力が発生している。
【0061】
需用電力と発電電力とが図6に示すように推移している場合に、蓄電装置40を用いなければ、発電余剰電力がそのまま余剰電力として電源系統21に逆潮流される。売電の単価が買電の単価よりも大きい場合(たとえば、売電単価を48円/kWh、買電単価を20円/kWhとする)、売電と買電との電力の収支および対価の収支は、図7のようになる。
【0062】
図7において、斜線が電力の収支を示し、白抜きが対価の収支を示している。また、図7は収支が0である場合を基準として示してあり、基準線(時刻軸)に対して上側は売電であって利益が生じている場合、基準線に対して下側は買電であって損失が生じている場合を示している。この図によれば、需用電力と発電電力とが図6のように推移すると、1日当たりの売電による利益は少ないことがわかる。すなわち、売電した電力を月間で積算したとしても得られる利益は少ない。
【0063】
一方、蓄電装置40を用いて上述の制御を行うと、発電電力と需用電力とが図6のように推移した場合の電力の収支は図8のようになる。図8において、横軸の上側は発電電力(白抜き)または需用電力(斜線)を示し、横軸の下側は蓄電装置40に蓄電する電力(縦線で示し「充」と記載した電力)と蓄電装置40から放出する電力(横線で示し「放」と記載した電力)とを示している。
【0064】
図8において、需用電力の一部が横軸の上限に跨っている箇所は、蓄電装置40の蓄電電力が需用電力の一部を充足していることを示している。すなわち、発電余剰電力が生じていない期間において蓄電装置40に蓄電した電力を、発電余剰電力が生じている期間に需用電力の一部に当てることによって、残りの需用電力と発電電力との差が広げられ、結果的に逆潮流させる余剰電力が増加している。ここに、余剰電力が生じていない時間帯は、電源系統21から電力を購入していることになる。なお、図8において、蓄電装置40に蓄電した電力よりも蓄電装置40から放電した電力が少ない時間帯(12−13時、14時−15時、16時−17時)には、蓄電装置40に電力が残されるが、蓄電装置40に残った電力は翌日(図示例の場合、翌日の午前中)に利用される。なお、夜間においては、発電余剰電力が生じないから、夜間においては蓄電装置40の蓄電電力を需用電力に充当することはない。
【0065】
図8に示した例に対応する売電と買電との電力の収支および対価の収支を図9に示す。図9は図7と同様に表記してある。図9と図7とを比較するとわかるように、図9に示す例では、発電余剰電力が発生していない午前中の時間帯には、逆潮流を行わないから電力および対価の収支が一時的に悪化するが、発電余剰電力が増加すると電力および対価の収支がより大きく改善されている。すなわち、蓄電装置40を用いない場合に比較して、1日当たりの売電による利益が増加し、売電した電力を月間で積算した場合の利益が大きく増加することになる。
【0066】
上述した構成例は、蓄電装置40には発電電力のみが蓄電される場合を想定しており、蓄電装置40の蓄電電力は需用電力を充足させるためにのみ用いている。この動作は、パワーコンディショナ32が図3に示す構成であれば、DC/ACインバータ323がDCバス324から分電盤23に向かう向きにしか電力変換を行わないことによって保証されている。この構成を採用すれば、ハードウェアとしては簡単な構成ながら電源系統21から購入した電力を蓄電していないことを保証することができる。
【0067】
また、パワーコンディショナ32として、図4に示す構成を採用する場合であっても、上述のように電力の仕分け(カラーリング)を行って、蓄電装置40に蓄電された電力が発電電力のみであることを証明すればよい。あるいはまた、蓄電装置40に電源系統21からの購入電力が蓄電される場合であっても、電源系統21からの購入電力は需用電力に当てるためにのみ用いることを証明すればよい。たとえば、蓄電装置40に蓄電した電力が電源系統21からの購入電力である場合には、夜間における需用電力にのみ充当させるようにして、蓄電装置40の蓄電電力を逆潮流に用いていないことを証明するように電力の仕分けを行う。
【0068】
上述の動作では、発電余剰電力のみの情報を用いて蓄電装置40の蓄電と放電とを選択している。したがって、発電余剰電力が生じて蓄電装置40からの蓄電電力を需用電力に充当している間に電気負荷24が増加すると、蓄電電力で需用電力を充足できない場合がある。この場合、発電電力が需用電力の不足分に充当され、結果的に、電力系統21への逆潮流を行う電力が減少することになる。しかも、蓄電装置40から需用電力に蓄電電力を充当する場合には、充放電に伴う損失が発生しているから、電源系統21からの購入電力を需用電力に充当する場合よりも損失が大きくなっている。
【0069】
すなわち、発電余剰電力が生じて蓄電装置40から蓄電電力を需用電力に充当する期間に電気負荷24を増加させるよりも、発電余剰電力がなく蓄電装置40に発電電力を蓄電している期間において電気負荷24を増加させるほうが、電力損失が低減される。したがって、電力余剰判断部103において発電余剰電力が発生し蓄電装置40の蓄電電力を需用電力に充当している期間であって、電気負荷24の使用を抑制するように助言する通知を、需要家における電気負荷24の利用者に対して行うことが望ましい。また逆に、発電余剰電力がなく蓄電装置40に発電電力を蓄電している期間には、電気負荷24の利用を増加させてもよい旨の通知を行うようにしてもよい。この種の通知のために、電力制御装置10には、電力余剰判断部103の判断結果を利用者に通知する通知手段(図示せず)を設けることが望ましい。
【0070】
また、電気負荷24が外部信号を受けて消費電力を制御する制御部を備えている場合には、通知手段で通知するのではなく、制御部に消費電力を制御する外部信号としての制御信号を与えるようにしてもよい。たとえば、空調装置や給湯装置のような電気負荷24では、JEM−A端子(いわゆる、HA端子)を備える場合がある。JEM−A端子を備える電気負荷24では、運転、停止を制御信号により指示する制御部を備え、また、運転、停止の状態をモニタ信号で監視することができる。JEM−A端子に対応する制御部は、運転、停止のみの制御であるが、温度調節、光量調節などの監視や制御を行うための制御部を備える電気負荷24も提供されている。
【0071】
したがって、電気負荷24が制御部を備える場合には、電力余剰判断部103における発電余剰電力の有無に応じて、電気負荷24の制御部に指示を与え、需用電力を増減させることが望ましい。具体的には、電力余剰判断部103において蓄電装置40の放電を選択する条件が成立している期間には、全体動作制御部106から電気負荷24の消費電力を抑制するように制御部に制御信号を与えるのが望ましい。
【0072】
上述したように、発電余剰電力の有無に応じた通知を利用者に行うことにより電気負荷24による需用電力の増減を促すか、発電余剰電力の有無に応じて電気負荷24による需用電力を自動的に増減させる構成を採用するのが望ましい。この場合、蓄電装置40における蓄電と放電との切替の頻度が低減され、しかも、全体の動作としては、蓄電装置40の蓄電および放電に伴って生じる電力損失を低減させることになり、結果的に、売電により得られる収益の増加が見込まれる。
【0073】
(実施形態2)
実施形態1では、発電余剰電力の有無のみを条件として、蓄電装置40の蓄電と放電とを選択している。したがって、太陽光発電装置30が発電電力を生じている期間には蓄電と放電とが繰り返されることになる。現状において用いることができる蓄電池41は、充放電を繰り返すことによって劣化するから、充放電の回数に制限がある。すなわち、蓄電と放電とを繰り返すと、蓄電池41の寿命を縮める可能性がある。
【0074】
一方、売電による収益を決める要素には、電源系統21から購入する電力の単価と、電源系統21に逆潮流を行う電力の単価とがある。これらの単価は、1日の時間帯や年間の時期(為替レートや燃料価格)によって変動することがある。現状では、売電の単価が買電の単価を上回っているから、逆潮流を行う電力の単価と購入電力の単価との差が大きい時間帯において蓄電装置40の蓄電電力を需用電力に充当すると、売電による収益が増加することになる。逆に、売電の単価と売電の単価との差が小さい時間帯であれば、売電による収益は小さいから、この時間帯には蓄電装置40の蓄電および放電を停止させても収益への影響は少ない。
【0075】
このような事情を踏まえて、本実施形態では、図示しない構成(たとえば、インターネットを通して情報を取得する構成)によって、電力供給事業者から購入する電力の単価の情報を取得し、この情報を用いて蓄電装置40を動作させるか否かを選択している。蓄電装置40を動作させるか否かは、全体動作制御部106において、売電と買電との単価の差額を規定の閾値と比較して決定し、差額が閾値以下の時間帯であるときに、蓄電装置40の動作を停止させる。この動作は、電力余剰判断部103における条件判断に優先し、電力余剰判断部103において蓄電装置40の蓄電を選択する条件が成立しても蓄電を行わない。
【0076】
また、この動作は、所定期間(たとえば、1日、1週間)の中で蓄電装置40の蓄電および放電を行う回数が、規定回数(たとえば、3〜5回/1日)を超える場合にのみ行うのが望ましい。この場合、所定期間の経過後には、通常の動作に復帰させればよい。
【0077】
この動作により、売電による収益を確保しながらも、蓄電池41の充放電の頻度を低減させ、結果的に蓄電池41の寿命の低下を抑制することができる。なお、蓄電池41の寿命の判断のためには、蓄電池41の使用開始からの蓄電と放電との回数を計数する。計数した回数が規定の閾値(たとえば、300回)に達したときに寿命に達したと判断すればよい。蓄電池41が寿命に達したと判断した場合には、蓄電装置40の充電および放電の動作を停止し、蓄電池41の交換を促す提示などを行う。
【0078】
本実施形態の動作を行った場合の効果を図10、図11を用いて説明する。図10、図11は、図8、図9と同様に表記している。ただし、図10には購入電力の単価を破線で書き入れている。図示例では、購入電力の単価が1日で3段階に設定されている例を示している。すなわち、太陽光発電装置30が発電を行わない夜間における購入電力の単価がもっとも安く、日中の11時から14時まで(11時台、12時台、13時台)における購入電力の単価がもっとも高くなっている。また、売電する電力の単価は一定と仮定している。したがって、図10に示す動作では、11時から14時までは、購入電力の単価と売電する電力の単価との差額が小さくなっている。
【0079】
図8と図10とを比較すると、図8の動作では蓄電装置40の蓄電と放電とが5回ずつ行われているのに対して、図10の動作では4回ずつ行われており、蓄電池41の充放電の回数が低減されていることがわかる。また、発電電力が増加する昼前後では購入電力の単価も高いから、蓄電装置40の動作を制限しない場合には、図9のように、売電を行っても購入電力によって収益が低減されていることがわかる。一方、本実施形態のように蓄電装置40の動作を制限する場合には、図11のように、売電による収益の少ない時間について選択的に蓄電装置40の動作を停止させることができる。
【0080】
しかも、パワーコンディショナ32での電力変換に伴って損失が生じるから、売電する電力と買電する電力との単価の差額が小さい場合には、蓄電装置40を動作させると、収益がさらに圧縮されか、場合によって損失が生じる可能性がある。したがって、収益が得られる可能性の低いこのような時間帯には、蓄電装置40の動作を停止させておくことが望ましい。その意味でも、電力の単価に応じて蓄電装置40の動作を停止させるか否かを決定することには効果があると言える。
【0081】
本実施形態では、蓄電池41の充放電による寿命を考慮し、売電による収益の増加が見込める場合にのみ蓄電装置40を動作させるので、収益を確保することができる上に、蓄電池41の寿命を長くして、費用対効果を高めることができる。しかも、売電による収益の増加が見込めない場合には、蓄電装置40の動作を停止させるので、収益にほとんど影響を与えることなく蓄電池41の劣化を抑制することができる。その結果、太陽光発電装置30および蓄電装置40を備えた設備の導入に伴う投資を比較的短い期間で回収することが可能になる。
【0082】
上述の動作例では、1日における時間帯別の購入電力の単価が3段階に設定されている場合を例示したが、さらに多段階に単価が設定されている場合でも本実施形態の技術思想は適用可能である。この場合、蓄電装置40の動作を停止させる時間帯を、購入電力の単価が高い時間帯から順に選択してもよい。また、売電による電力の単価が一定である場合を想定して説明したので、実質的には、売電による電力の単価が高い場合に上述の動作を行うことになる。ただし、売電による電力の単価が変動する場合であっても、単価の差額に応じて同様の制御を行えばよい。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0083】
(実施形態3)
実施形態1は、原則として、発電余剰電力が生じている場合に蓄電装置40の蓄電電力を電気負荷24の需用電力に充当させ、発電余剰電力が生じていない場合には太陽光発電装置30の発電電力を蓄電装置40に蓄電している。すなわち、蓄電装置40が蓄電と放電とのどちらの動作を行うかは、発電余剰電力のみによって決定されている。
【0084】
本実施形態では、電力余剰判断部103における蓄電装置40の蓄電と放電との動作を選択する条件として、発電余剰電力と判断閾値との大小関係を用い、蓄電池41の残容量に応じてこの判断閾値を調整する構成を採用している。
【0085】
実施形態1の動作では、判断閾値を0に設定したことに相当する。したがって、実施形態1では、蓄電池41が満充電(残容量が上限値以上)であっても、発電余剰電力が生じていない(発電余剰電力が負)場合には、蓄電装置40の蓄電電力は需用電力に充当していない。逆に、蓄電池41の残容量が下限値以下であっても、発電余剰電力が生じている(発電余剰電力が正)場合には、太陽光発電装置30の発電電力を蓄電装置40に蓄電していない。すなわち、蓄電池41の蓄電電力に余裕があっても発電余剰電力が生じていなければ蓄電装置40の蓄電電力が利用されず、蓄電池41の蓄電電力が不足していても発電余剰電力が生じていると蓄電装置40への蓄電が行われていない。
【0086】
蓄電値41の残容量が上限値に達するのは、発電余剰電力が生じない状態が長期間に亘って継続した場合などであり、蓄電池41の残容量が下限値に達するのは、発電余剰電力が生じる状態が長期間に亘って継続した場合などである。蓄電池41の残容量が上限値以上である場合には蓄電装置40への蓄電を停止させ、蓄電池41の残容量が下限値以下である場合には蓄電装置40からの放電を低解被させる必要がある。その結果、蓄電池41の残容量によっては買電と売電とによる収支の改善効果が望めなくなる。
【0087】
本実施形態では、電力余剰判断部103の条件判断において、発電余剰電力が判断閾値以下と判断された場合に蓄電装置40に発電電力を蓄電し、発電余剰電力が判断閾値を超えると判断された場合に蓄電装置40の蓄電電力を需用電力に充当する。条件判断に用いる発電余剰電力は、発電電力から需用電力を減算した差を意味する。判断閾値は、蓄電池41の残容量が上限値以上の場合には引き下げ(負の値とし)、蓄電池41の残容量が下限値以下の場合には引き上げる(正の値とする)。また、蓄電池41の残容量が下限値と上限値との間であれば0にする。判断閾値を0にした場合の動作は実施形態1と同様である。
【0088】
本実施形態は、蓄電装置40の蓄電と放電との頻度を高めて売電に伴う収支を改善するために、以下に説明するように判断閾値を変化させる技術を採用している。すなわち、蓄電池41の残容量が上限値以上になると、蓄電装置40からの放電の頻度が高くなるように判断閾値を高く設定し、蓄電池41の残容量が下限値以下になると、蓄電装置40への蓄電の頻度が高くなるように判断閾値を低く設定する。
【0089】
本実施形態では、買電単価が複数段階に設定されている場合を例として判断閾値を可変に設定する動作を説明する。買電単価(つまり、電気料金の単価)は、1日の時間帯別で3段階に設定されているものとする。ここでは、「夜間」(23:00〜翌7:00)、「昼間」(10:00〜17:00)、「その他」(7:00〜10:00、17:00〜23:00)の3種類の時間帯に電気料金の単価が設定されている料金体系を想定する。また、電気料金の単価を、「夜間」は10円/kWh、「昼間」は30円/kWh、「その他」は20円/kWhとする。一方、売電による電力の単価は、現状では電気料金の単価よりも高く設定されているから、実施形態1で説明した例と同様に、48円/kWhとする。
【0090】
すなわち、上述したように買電単価が「昼間」と「その他」では、「昼間」のほうが高い場合、通常の動作では収支を高めるために、「その他」の時間帯で蓄電を行い、「昼間」の時間帯で放電を行うことが好ましい。しかしながら、蓄電池41の残容量が上限値に達している場合には、買電単価にかかわりなく放電を行い、蓄電池41の残容量が下限値に達しているときには、買電単価にかかわりなく蓄電を行うことが好ましい。この動作を可能にするために、判断閾値を変更するのである。
【0091】
発電装置が太陽光発電装置30(図2参照)である場合、「夜間」には実質的に発電電力が得られないとみなせるから、「昼間」と「その他」とを考慮すればよい。ここにおいて、「昼間」と「その他」とでは、「その他」のほうが売電による電力の単価との差額が大きくなる。たとえば、上述の例では、「昼間」の差額は18円/kWhであるのに対して、「その他」の差額は28円/kWhになっている。
【0092】
ところで、上述したように、蓄電装置40を設けた構成では、太陽光発電装置30が発電した発電電力を蓄電装置40に一旦蓄電することにより、発電電力が生じた時間帯に対して電力系統21への逆潮流を行う時間帯のタイムシフトが可能になる。ただし、逆潮流が可能な時間帯は、発電余剰電力が生じている時間帯に限られており、「夜間」には逆潮流を行うことができない。
【0093】
上述した料金体系では、電力系統21からの買電単価がより低い「その他」の時間帯の発電電力を「昼間」の時間帯に逆潮流させるように、時間帯のタイムシフトを行うことができれば、需要家にとっては大きい収益が得られることになる。要するに、「昼間」と「その他」とで売電を行う電力量の合計が同じであるとすると、「昼間」に売電を行う電力量の割合を増やしたほうが、「その他」に売電を行う電力量の割合を増やす場合よりも需要家の収益が大きくなる。そのため、「その他」に比べて「昼間」に売電を行う比率を高めるように蓄電装置40の蓄電と放電とを制御することが需要家にとって好ましいと言える。
【0094】
しかしながら、上述したように、蓄電池41の残容量が上限値以上の場合は放電の頻度を高めなければならず、蓄電池41の残容量が下限値以下の場合は蓄電の頻度を高めなければならない。発電余剰電力が生じているときに蓄電装置40への蓄電を行って蓄電池41の残容量を低減させると買電電力が増加する場合があり、需要家にとっては電気料金の増加につながる。また、発電余剰電力が生じていないときに蓄電装置40からの放電を行って蓄電池41の残容量を増加させると逆潮流させる電力を増加させる場合があり、需要家にとっては売電による利益の増加につながる。
【0095】
以下では、蓄電装置40への蓄電量を増加させることによる電気料金の増加と、蓄電装置40からの放電量を増加させることによる売電利益の増加とについて考察する。
【0096】
いま、図12に示すように、発電電力PVが需要電力DEMよりも大きく、発電電力PVと需要電力DEMとの差である発電余剰電力Cpが正であると仮定する。また、発電電力PVのうち蓄電装置40に蓄電可能な電力をCとし、蓄電可能な電力Cのうち発電余剰電力Cpを差し引いた電力をCdとする。すなわち、電力Cdは発電電力PVのうち需要電力DEMに充当せずに、蓄電装置40に蓄電される電力であって、需要電力DEMに充当するために電力系統21からの購入電力に相当する。したがって、発電電力PVのうち需要電力DEMに充当される電力は、PV−C=PV−(Cp+Cd)になる。さらに、以下では、発電余剰電力Cpの売電による単価をSとし、発電余剰電力を蓄電装置40に蓄電している時間帯において電力系統21からの買電単価をBとする。
【0097】
発電電力PVのうち、発電余剰電力Cpに加えて電力Cdを蓄電装置40に蓄電したとすると、電気料金の増加分Xは、X=(Cp×S+Cd×B)/Cで表すことができる。たとえば、C=1kWhとして、Cp=0.3kWh、Cd=0.7kWhとし、S=48円/kWh、B=20円/kWhとした場合、X=28.4円/kWhになる。
【0098】
ここで、同じ時間帯における発電電PVを需要電力DEMに充当することなく蓄電装置40に蓄電したと仮定する。この場合、PV−C=0、Cd=DEM、Cp=PV−DEMの関係が成立するから、電気料金の増加分Xは、X={(PV−DEM)×S+DEM×B)}/PV=S+(B−S)×(DEM/PV)になる。
【0099】
一方、図13に示すように、発電電力PVが需要電力DEMよりも小さく、発電電力PVと需要電力DEMとの差である発電余剰電力Cpが負である場合には、蓄電装置40の蓄電電力が電気負荷24の需要電力に充当される。ここに、蓄電装置40から放電可能な蓄電電力をDとし、需要電力DEMに対する発電電力PVの不足分の電力をDdで表し、蓄電電力Dのうち電力Ddを差し引いた残りの電力をDpで表す。すなわち、D=Dp+Ddである。
【0100】
この動作では、需要電力DEMに対する発電電力PVの不足分を電力系統21から充当するのではなく、蓄電電力Dのうちの電力Ddを充当している。その結果、需要家にとっては、電力系統21から電力Ddを充当する場合の料金分に相当する利益が得られたことになる。また、蓄電電力Dのうち電力Dpを需要電力DEMに割り当てているから、、需要電力DEMと蓄電電力Dとを合わせた実質的な需要電力はDEM−Dになり、発電電力PVに対してPV−Dpに相当する発電余剰電力が生じていることになる。つまり、需要家は、PV−Dpに相当する電力の逆潮流を行うことによって利益が得られることになる。
【0101】
以上のことから、蓄電装置40が発電電力PVの不足分である電力Ddに加えて、余剰の蓄電電力Dpも併せて需要電力DEMに充当したとすると、売電利益の増加分Yは、Y=(Dp×S+Dd×B)/Dで表すことができる。たとえば、D=1kWhとして、Dp=0.7kWh、Dd=0.3kWhとし、S=48円/kWh、B=30円/kWhとした場合、Y=42.6円/kWhになる。
【0102】
ここで、電力系統21から電力を充当することなく蓄電装置40の蓄電電力Dによって需要電力DEMを充足できると仮定する。この場合、DEM−D=0、Dp=PV、Dd=DEM−PVの関係が成立するから、売電利益の増加分Yは、Y={PV×S+(DEM−PV)×B)}/DEM=B+(S−B)×(PV/DEM)になる。
【0103】
以上説明したように、発電電力が需要電力よりも大きいときに発電余剰電力の逆潮流を行わずに蓄電した場合と逆潮流を行わない場合との収支は、1kWh当たりX円の損失になる。一方、発電電力が需要電力よりも小さいときに蓄電電力を用いて需要電力を充足させた場合と蓄電電力を用いない場合との収支は、1kWh当たりY円の利益になる。
【0104】
ところで、発電余剰電力が生じている状態で蓄電装置40に蓄電すると、上述したように、買電電力が増加するから電気料金が増加する。1kWh当たりの増加分Xは、上述のように、X=(Cp×S+Cd×B)/Cで表され、増加分の最大値は買電単価の上限値である30円/kWhになる。したがって、S=48円/kWh、B=20円/kWhとおき、説明を簡単にするために、蓄電装置40に蓄電可能な電力を1kWhで考えると、30≧Cp×48+Cd×20になる。Cp+Cd=1であり、Cp=PV−DEMであるから、PV≦(10+DEM×28)/28≒DEM+0.36が得られる。この関係から、需要電力DEMが1.3kWであれば、発電電力PVが1.66kWより小さければ、1kWh以上の電力を蓄電装置40に蓄電可能であることがわかる。すなわち、上述の条件であれば、判定閾値は0.36に設定することができる。
【0105】
ここで、蓄電池41としてLiイオン電池を用いる場合であれば、蓄電池41の残容量の下限値を30%に設定し、上限値を80%などに設定することが、電池寿命を延ばすために望ましい。したがって、蓄電池41の残容量が30%以下になると蓄電装置40への蓄電を優先的に行うように判断閾値を変更し、残容量が80%以上になると蓄電装置40からの放電を優先的に行うように判断閾値を変更すればよい。また、電力余剰判断部103は、判断閾値を変更したことによって、蓄電池41の残容量が上限値と下限値との間になれば、判断閾値を0に戻す。
【0106】
上述した判断閾値は、蓄電池41の残容量が下限値に達して蓄電装置40に蓄電する頻度を高める際の設定例を示したが、蓄電池41の残容量が上限値に達して蓄電装置40からの放電の頻度を高める場合は、以下のようにして判断閾値を設定すればよい。売電単価に変化がなく48円/kWhであると仮定すると、売電単価から10%程度を割り引いた売電単価(この場合、43.2円/kWh)を用いて判断閾値を決定することができる。すなわち、蓄電による1kWh当たりの売電利益の減少分は、Y=(Dp×S+Dd×B)/Dで表されるから、蓄電と同様の条件を用いると、18PV≧18DEM−4.8になる。この関係により、PV≧(18DEM−4.8)/18≒DEM−0.27が得られるから、上記条件であれば、判定閾値を−0.27に設定することができる。
【0107】
以上説明したように、発電余剰電力と比較する判断閾値を設定し、蓄電池41の残容量が上限値以上か下限値以下かに応じて判断閾値を調節する構成を採用することにより、以下の動作が可能になる。すなわち、蓄電池41の残容量が上限値以上であるときには、蓄電装置40を動作させるか否かの判断閾値が負に設定される。発電余剰電力が判断閾値以下になるまでは発電装置40は蓄電電力を需用電力に充当するから、発電余剰電力が生じていないにもかかわらず蓄電池41は放電して残容量が低下する。ここにおいて、蓄電池41の残容量に対して設定した停止閾値(上限値と下限値との間)まで残容量が低下した時点で蓄電装置40の放電を停止するのが望ましい。
【0108】
上述の動作において、発電余剰電力が0から判断閾値までの電力に充当される蓄電電力は、蓄電池41の残容量が下限値と上限値との間であるときに発電電力を蓄電することにより得られた電力である。すなわち、この蓄電電力は、蓄電装置41に蓄電した時間帯において蓄電電力に相当する購入電力を電源系統21から買電して得られている。したがって、電源系統21から購入電力の買電を行う代わりに、蓄電電力を需用電力に充当しても差し引きは0になり、収益も損失も発生しない。
【0109】
ただし、蓄電装置40では電力変換に伴う電力の損失や蓄電池41の自然放電による電力の損失などがあり、蓄電装置40の蓄電や放電を行うと、このような電力の損失に伴う収益の損失が発生する。そのため、判断閾値は、蓄電装置40で生じる電力の損失と、蓄電装置40の蓄電電力を需用電力に充当することにより得られる売電の収益とを考慮して設定する。
【0110】
蓄電池41の残容量が下限値以下であるときには、蓄電装置40を動作させるか否かの判断閾値が正に設定される。発電余剰電力が判断閾値を超えるまでは発電素子40に蓄電されるから、発電余剰電力が生じていても蓄電装置40に蓄電されることになる。この場合も、蓄電池41の残容量に対して設定した停止閾値(上述した停止閾値とは異なっていてもよい)まで残容量が増加した時点で蓄電装置40への蓄電を停止するのが望ましい。
【0111】
このように、蓄電池41の残容量に応じて発電余剰電力に対する判断閾値を変更するので、実施形態1の動作よりも蓄電装置40の蓄電と放電との頻度が高くなり、売電に伴う収支を短期間でより大きく改善することができる。また、蓄電池41の過充電あるいは過放電の可能性を抑制することになるので、過充電や過放電による蓄電池41の劣化を抑制することになる。
【0112】
本実施形態の動作を採用すると、図14に示すように、13時以降において蓄電池41の残容量が増加するのに伴って、蓄電装置40から放電して蓄電電力を需用電力に充当する頻度が高くなることがわかる。なお、図14の動作は図8に示した条件において本実施形態の動作を適用した場合を示している。
【0113】
なお、実施形態2において説明したように、買電と売電との少なくとも一方における電力の単価が時間帯や時期に応じて変動する場合には、判断閾値も時間帯や時期に応じて変化させるようにしてもよい。本実施形態の他の構成および動作は、上述した各実施形態と同様である。
【0114】
(実施形態4)
実施形態1において説明したように、発電電力を需用電力に充当していることを保証するには、図3に示す構成のパワーコンディショナ32を用いることが望ましいが、図4に示す構成のパワーコンディショナ32を用いることも可能である。すなわち、電源系統21から蓄電装置40に蓄電したとしても、その蓄電電力を逆潮流に用いなければ、電源系統21からの購入電力により蓄電装置40に蓄電した蓄電電力を需用電力に充当することは可能である。
【0115】
このことから、電源系統21からの購入電力を用いて蓄電装置40に蓄電しておき、太陽光発電装置30の発電電力が需用電力を上回っている時間帯において、蓄電電力を需用電力に充当すれば、売電による収益の増加が見込まれる。この動作によって売電による収益を増大させるには、買電する電力がもっとも低額である時間帯において蓄電装置40に蓄電することが望ましい。
【0116】
このような動作としては、買電する電力がもっとも低額である時間帯(一般に、深夜)において蓄電装置40に蓄電し、蓄電池41を上限値以上に充電しておき、発電電力が生じる(適宜の閾値以上になる)まで蓄電装置40から放電しない動作を採用することができる。発電電力が生じた後の動作は上述した各実施形態と同様に、発電余剰電力に基づいて、蓄電装置40の蓄電と充電とを選択すればよい。
【0117】
また、発電電力が生じた後に、ただちに発電余剰電力に基づいて蓄電装置40の蓄電と充電とを選択するのではなく、発電電力が生じた後に需用電力が生じたときには、できるだけ蓄電装置40から蓄電電力を需用電力に充当する動作を採用してもよい。この場合、蓄電池41の残容量があらかじめ設定した所定値まで低下した後に、上述した各実施形態と同様に、発電余剰電力に基づいて蓄電装置40の蓄電と放電とを選択すればよい。
【0118】
本実施形態の動作を採用すると、日中に比較して単価の低い電力を購入して需用電力に充当することになるので、結果的に、売電と買電との電力に対する差額が大きくなり、売電による収益のより一層の増加が見込めることになる。他の構成および動作は上述した各実施形態と同様である。
【0119】
ところで、本実施形態は、電源系統21から買電した電力を蓄電装置40に蓄電するから、買電の単価がもっとも低い時間帯に蓄電装置40に蓄電すると、買電の単価が高い他の時間帯に蓄電装置40に蓄電するよりも売電の収益を高めることができる。そこで、買電による電力の単価が最低になる時間帯が開始されるまでに、蓄電装置40の蓄電電力を使い切って蓄電池41の残容量を下限値以下にしておけば、蓄電電力を単価がもっとも低い時間帯のみの電力にすることになる。すなわち、売電と買電との電力に対する差額を大きくして、売電による収益の増加が見込める。太陽光発電装置30の発電が停止した状態では、蓄電装置40から放電しないから、太陽光発電装置30の発電が終了するまでに、蓄電池41の残容量を下限値にしておく必要がある。
【0120】
この動作を可能にするために、全体動作制御部106において、需用電力の予測を行うとともに、発電電力の予測を行い、さらに、太陽光発電装置30の発電終了の時刻を予測する。これらの予測を用いて、上述した各実施形態のいずれかの動作を行った場合について、太陽光発電装置30の発電終了時刻までの蓄電池41の残容量を予測する。ここで、蓄電池41の残容量が下限値に達しない場合は、下限値との差分に相当する発電電力(パワーコンディショナ32での損失分を考慮する)については、蓄電池41の充電に用いずに、発電電力を需用電力に充当する。このような動作により、太陽光発電装置30の発電終了時刻までに蓄電池41の残容量を下限値にすることが可能になる。
【0121】
なお、蓄電池41の残容量を発電終了時刻までに下限値に到達させるには、蓄電装置40からの放電の時間を延長するように、実施形態3のように蓄電と放電とのタイミングを切り替える閾値を設定してもよい。他の構成および動作は上述した各実施形態と同様である。
【0122】
(実施形態5)
上述した各実施形態では、需要家20ごとの単独の動作を説明したが、本実施形態は、複数の需要家20における動作を連動させることによって、電源系統21の配電網から見た負荷変動を低減する技術を提供する。
【0123】
実施形態3で説明した技術のように、発電余剰電力に対する閾値を調節し、蓄電装置40の蓄電と放電との動作のタイミングを調節する技術を用いると、各需要家20の売電と買電とのタイミングをある程度調整することができる。したがって、配電網を共通にする複数の需要家20における電力制御装置10を連動させることによって、これらの需要家20の間で相互に電力の需給を行うことが可能である。すなわち、電力系統21に逆潮流を行う電力の変動が抑制される。もちろん、各需要家20での電力の需要と供給とが平衡するわけではないが、需要家20の全体では電源系統21に対する負荷の変動が抑制されることになる。
【0124】
複数の需要家20における電力制御装置10を連動させるには、電力制御装置10が取得している発電電力、需用電力、蓄電池41の残容量などの電力に関する情報を通信により管理装置に集約する構成を採用することができる。あるいは、各需要家20の電力制御装置10が分散処理を行って相互に調整する構成を採用してもよい。通信には、インターネット網のような広域通信網を用いればよい。この動作を可能にするために、電力制御装置10には図示しない通信機能を付加する必要がある。他の構成および動作は上述した各実施形態と同様である。
【0125】
なお、上述した各実施形態において、蓄電装置40を用いることにより電力変換に伴う電力損失が生じ、蓄電装置40を用いない場合に比較すると、この電力損失による電力消費量の増加が生じる可能性がある。しかしながら、売電による収益の増加が見込まれることから、太陽光発電装置30のような再生可能エネルギー(クリーンエネルギーないしグリーンエネルギー)である発電装置の普及が加速されると考えられる。その結果、電力供給事業者における化石燃料の使用量が低減されるとともに、送電に伴うエネルギーの損失も低減され、社会全体としては、省エネルギーになることが期待できる。
【0126】
さらに、将来において、売電による電力の単価が引き下げられるか、売電の買取制度が廃止されたとしても、太陽光発電装置30と蓄電装置40との連携動作によって、需要家20での需用電力に対応することが可能である。すなわち、蓄電装置40が需要家20にあらかじめ導入されているから、需要家20では制度の変更にも利益を極端に損なうことなく対応することができる。また、このような場合に備えて、電力制御装置10は動作の変更を比較的容易に行えるようにしておくことが望ましい。基本的には、電力制御装置10を動作させるプログラムを変更すればよい。
【0127】
上述した各実施形態において、蓄電装置40の蓄電と放電とを選択する条件が短時間で変動する可能性があるが、上述した動作例のように1時間程度の比較的長い時間を単位として、条件を判定することにより動作が不安定になることを防止できる。また、比較的短い時間で蓄電と放電とを選択する場合には、一方の選択後に所定の時間が経過するまでは他方の選択を禁止してもよい。
【0128】
また、蓄電装置40の蓄電と放電との選択は、発電余剰電力の条件(有無や判断閾値との大小関係)が、次の選択までは変化しないことを期待して行っている。発電余剰電力は発電電力と需用電力とにより決定されるから、蓄電装置40の蓄電と放電とを選択する時点で、発電電力と需用電力とが予測できれば、蓄電と放電との選択をより適切に行うことが可能になる。
【0129】
太陽光発電装置30では、発電電力は日照の影響を大きく受けるから、天気予報のような日照に関連した情報を入手することにより、発電電力の時間変化をある程度予測することが可能である。また、需用電力については、日時に応じた過去の実績に基づいて推定すればよい。あるいはまた、過去の直前における発電余剰電力の条件が、蓄電装置40の蓄電と放電とを選択した後にも継続するという推定を行ってもよい。
【0130】
ただし、所定の時間間隔で発電余剰電力の条件を判断する場合であって、直前の条件が継続すると推定する場合において、需用電力が周期的に変動する電気負荷24が存在していると、判断の周期と需用電力の変動周期とが一致することが考えられる。この場合、誤った推定に基づく制御を継続する可能性がある。このような問題の発生を回避するには、発電余剰電力の条件を判断する時点において、判断周期よりも十分に長い時間における需用電力の周期性の有無を判定し、需用電力の変動周期と一致しないように、判断周期を変更すればよい。
【符号の説明】
【0131】
10 電力制御装置
20 需要家
21 電源系統
24 電気負荷
30 太陽光発電装置(発電装置)
40 蓄電装置
41 蓄電池
101 第1電力取得部
102 第2電力取得部
103 電力余剰判断部
106 全体動作制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを用いて発電する発電装置と蓄電池の充放電を行う蓄電装置とを備える需要家において、電源系統と前記発電装置と前記蓄電装置とを選択して電気負荷に電力を供給し、前記発電装置から前記電源系統への逆潮流を行うシステムに用いられ、需要家で利用される前記電気負荷での需用電力を取得する第1電力取得部と、前記発電装置について測定された発電電力を取得する第2電力取得部と、前記第1電力取得部が取得した需用電力と前記第2電力取得部が取得した発電電力との差である発電余剰電力について所定時間ごとに条件判断を行う電力余剰判断部と、前記電力余剰判断部での条件判断の結果に応じて前記蓄電装置の蓄電と放電とを選択する全体動作制御部とを備え、前記全体動作制御部は、発電電力が需用電力に所定の判断閾値を加えた値以下である場合を第1条件として第1条件の成立時に前記発電装置の発電電力を需用電力に充当することなく前記蓄電装置に蓄電させ、発電電力が需用電力に前記判断閾値を加えた値を超える場合を第2条件として第2条件の成立時に前記蓄電装置の蓄電電力を前記電気負荷での需用電力に充当させることを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記判断閾値は0であることを特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記全体動作制御部は、前記蓄電池の残容量が規定の上限値であるときには、前記電力余剰判断部において前記第1条件が成立しても蓄電を行わずに、発電電力を需用電力に充当することを特徴とする請求項1又は2記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記全体動作制御部は、所定期間において前記蓄電装置の蓄電および放電の回数が規定値を超えると、前記電源系統から購入する電力の単価が所定値以上である期間には、前記電力余剰判断部において前記第1条件が成立しても蓄電を行わないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記全体動作制御部は、前記電源系統に逆潮流を行う電力の単価が所定値以上である期間には、前記電力余剰判断部において前記第2条件が成立しても前記蓄電装置からの放電を行わないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記全体動作制御部は、前記電源系統から購入する電力の単価が規定値以下である時間帯において、前記第1条件の成立時に前記電源系統から前記蓄電装置への蓄電を許容することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記電力余剰判断部は、前記判断閾値を可変に設定することを特徴とする請求項6記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記電力余剰判断部は、前記蓄電池の残容量が規定の下限値以下である期間には前記判断閾値を相対的に大きく設定し、前記蓄電池の残容量が規定の上限値以上である期間には前記判断閾値を相対的に小さく設定することを特徴とする請求項7記載の電力制御装置。
【請求項9】
前記電力余剰判断部は、前記蓄電池の残容量が規定の下限値以下であって発電電力が需要電力よりも大きい期間に前記判断閾値を正値に設定し、前記蓄電池の残容量が前記下限値を超えていると前記判断閾値を0に設定することを特徴とする請求項7記載の電力制御装置。
【請求項10】
前記電力余剰判断部は、前記蓄電池の残容量が規定の上限値以上であって需要電力が発電電力よりも大きい期間に前記判断閾値を負値に設定し、前記蓄電池の残容量が前記上限値未満であると前記判断閾値を0に設定することを特徴とする請求項7記載の電力制御装置。
【請求項11】
前記全体動作制御部は、前記電源系統から購入する電力の単価が規定値以下である時間帯の開始までに前記蓄電池の残容量を下限値以下にすることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項12】
前記電力余剰判断部において前記第2条件が成立している期間に電気負荷の利用を抑制するように助言の通知を与える通知手段を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項13】
前記電気負荷が制御信号を受けて消費電力を制御する制御部を備えている場合に、前記電力余剰判断部において前記第2条件が成立している期間に、前記全体動作制御部から前記電気負荷の制御部に対して消費電力を抑制する制御信号を与えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項1】
自然エネルギーを用いて発電する発電装置と蓄電池の充放電を行う蓄電装置とを備える需要家において、電源系統と前記発電装置と前記蓄電装置とを選択して電気負荷に電力を供給し、前記発電装置から前記電源系統への逆潮流を行うシステムに用いられ、需要家で利用される前記電気負荷での需用電力を取得する第1電力取得部と、前記発電装置について測定された発電電力を取得する第2電力取得部と、前記第1電力取得部が取得した需用電力と前記第2電力取得部が取得した発電電力との差である発電余剰電力について所定時間ごとに条件判断を行う電力余剰判断部と、前記電力余剰判断部での条件判断の結果に応じて前記蓄電装置の蓄電と放電とを選択する全体動作制御部とを備え、前記全体動作制御部は、発電電力が需用電力に所定の判断閾値を加えた値以下である場合を第1条件として第1条件の成立時に前記発電装置の発電電力を需用電力に充当することなく前記蓄電装置に蓄電させ、発電電力が需用電力に前記判断閾値を加えた値を超える場合を第2条件として第2条件の成立時に前記蓄電装置の蓄電電力を前記電気負荷での需用電力に充当させることを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記判断閾値は0であることを特徴とする請求項1記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記全体動作制御部は、前記蓄電池の残容量が規定の上限値であるときには、前記電力余剰判断部において前記第1条件が成立しても蓄電を行わずに、発電電力を需用電力に充当することを特徴とする請求項1又は2記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記全体動作制御部は、所定期間において前記蓄電装置の蓄電および放電の回数が規定値を超えると、前記電源系統から購入する電力の単価が所定値以上である期間には、前記電力余剰判断部において前記第1条件が成立しても蓄電を行わないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記全体動作制御部は、前記電源系統に逆潮流を行う電力の単価が所定値以上である期間には、前記電力余剰判断部において前記第2条件が成立しても前記蓄電装置からの放電を行わないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記全体動作制御部は、前記電源系統から購入する電力の単価が規定値以下である時間帯において、前記第1条件の成立時に前記電源系統から前記蓄電装置への蓄電を許容することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記電力余剰判断部は、前記判断閾値を可変に設定することを特徴とする請求項6記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記電力余剰判断部は、前記蓄電池の残容量が規定の下限値以下である期間には前記判断閾値を相対的に大きく設定し、前記蓄電池の残容量が規定の上限値以上である期間には前記判断閾値を相対的に小さく設定することを特徴とする請求項7記載の電力制御装置。
【請求項9】
前記電力余剰判断部は、前記蓄電池の残容量が規定の下限値以下であって発電電力が需要電力よりも大きい期間に前記判断閾値を正値に設定し、前記蓄電池の残容量が前記下限値を超えていると前記判断閾値を0に設定することを特徴とする請求項7記載の電力制御装置。
【請求項10】
前記電力余剰判断部は、前記蓄電池の残容量が規定の上限値以上であって需要電力が発電電力よりも大きい期間に前記判断閾値を負値に設定し、前記蓄電池の残容量が前記上限値未満であると前記判断閾値を0に設定することを特徴とする請求項7記載の電力制御装置。
【請求項11】
前記全体動作制御部は、前記電源系統から購入する電力の単価が規定値以下である時間帯の開始までに前記蓄電池の残容量を下限値以下にすることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項12】
前記電力余剰判断部において前記第2条件が成立している期間に電気負荷の利用を抑制するように助言の通知を与える通知手段を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【請求項13】
前記電気負荷が制御信号を受けて消費電力を制御する制御部を備えている場合に、前記電力余剰判断部において前記第2条件が成立している期間に、前記全体動作制御部から前記電気負荷の制御部に対して消費電力を抑制する制御信号を与えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の電力制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−152093(P2012−152093A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138519(P2011−138519)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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