説明

電力変換システム及び変換方法

【課題】DCバスの直流電力を、交流電力に変換する。
【解決手段】電力システム10は、DC電力14を受けるDCバス16と、DC電力を調整された電圧出力を有するAC電力20に変換し、電気系統22に供給するラインサイドコンバータ34と、ラインサイドコンバータを制御するラインサイドコントローラ36を備える電力変換制御システム24とを備える。ラインサイドコンバータ34は、調整された電圧出力を表す電圧振幅信号を受信し、DCバス16のDC電圧フィードバック信号とDC電圧コマンド信号とを使用してDC電圧差分信号を取得し、電力コマンド信号を取得し、電力フィードバック信号を取得する。ラインサイドコントローラ36は、DC電圧差分信号と、電力コマンド信号と、電力フィードバック信号とを使用して位相角制御信号を生成し、電圧振幅信号と位相角制御信号とを使用してラインサイドコンバータ34の制御信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、電力変換システムに関し、特にDCバスの直流電力を、電気系統に供給される交流電力に変換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光電力は、近年大きな関心を呼んでいる重要な再生可能エネルギ源である。しかし、太陽光電力は、別の電力源と比較すると依然としてコストが高い。従って、太陽光発電システムから最大量の電力を引き出すために、最大電力点追従(MPPT)回路などのデバイスが使用される。
【0003】
典型的な太陽光発電システムは、太陽光電力源と、太陽光電力源から直流電力を受けるDCバスと、DCバスの直流電力を電力会社又は送電網に供給される交流電力に変換するラインサイドコンバータとを含む。太陽光発電システムは更に、電力変換動作を制御する電力変換制御システムを含む。電力変換制御システムの最も重要な制御目的の1つは、DCバスのDC電圧(Vdc)をある一定レベルに保つことである。DC電圧を制御する変換制御方式の1つは、測定されたDC電圧フィードバック信号(Vdc#feedback)に応じてMPPT回路を制御することである。DC電圧フィードバック信号が高すぎる場合は、より少ない電力を出力するように太陽光電力源を調整できる。しかし、DC電圧フィードバック信号が低すぎる場合は、太陽光電力源がほぼ最大の電力出力で動作しているとすれば、DC電圧を高めるためにより多くの電力を引き出すことは困難である。従って、多くの太陽光発電システムは、最大電力出力よりも僅かに低い出力で動作するか(その結果、発電の費用効果が低減する)、又はDC電圧を維持するために追加の貯蔵エネルギを使用する(その結果、装置のコストが高くなる)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当技術分野では、従来の方法又はシステムとは異なり、上記の問題点の1つ以上に対処する、DC電圧を維持するための改良された方法及びシステムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載の一実施形態によれば、電力システムは、電力源と、電力源からDC電力を受けるDCバスと、DCバスに電気的に結合され、DCバスからのDC電力を電気系統に供給される、電圧出力が調整されたAC電力に変換するラインサイドコンバータと、ラインサイドコンバータの動作を制御するラインサイドコントローラを備える電力変換制御システムとを含む。ラインサイドコンバータは、調整された電圧出力を表す電圧振幅信号を受信し、DCバスのDC電圧フィードバック信号とDC電圧コマンド信号とを使用してDC電圧差分信号を取得し、電力コマンド信号を取得し、電力フィードバック信号を取得する。ラインサイドコントローラは、DC電圧差分信号と、電力コマンド信号と、電力フィードバック信号とを使用して、位相角制御信号を生成し、更に、電圧振幅信号と位相角制御信号とを使用してラインサイドコンバータの制御信号を生成する。
【0006】
本明細書に開示する別の実施形態によれば、太陽光電力システムは、DC電力を生成する太陽光電力源と、DC電力を受けるDCバスと、DCバスのDC電力をAC電力に変換するDC−AC電力コンバータと、DC−AC電力コンバータの制御信号を生成するラインサイドコントローラとを備える。ラインサイドコントローラは、電力フィードバック信号と電力コマンド信号とを使用して電力不均衡信号を取得し、電力不均衡信号を使用して内部周波数信号を生成する電力調整器を備える。積分器は、内部周波数信号を積分することによって位相角信号を生成する。DC電圧調整器は、DCバスのDC電圧フィードバック信号とDC電圧コマンド信号とを使用して、DC電圧差分信号を取得する。ラインサイドコントローラは、DC電圧差分信号を使用して位相角信号を直接、又は間接的に調整するように構成される。ラインサイドコンバータは更に、少なくとも部分的に位相角信号に基づいてラインサイドコンバータの制御信号を生成する変調器を備える。
【0007】
本明細書に開示する別の実施形態によれば、DCバスのDC電力をAC電力に変換する方法は、電力コマンド信号と電力フィードバック信号とに基づいて電力不均衡信号を取得し、電力不均衡信号を使用して内部周波数信号を生成し、内部周波数信号を積分して位相角信号を生成し、DC電圧コマンド信号とDC電圧フィードバック信号とに基づいてDC電圧差分信号を取得し、DC電圧差分信号を使用して位相角信号を直接、又は間接的に調整するステップを含む。
【0008】
本発明の上記及びその他の特徴、態様、及び利点は、全図面を通して同様の符号が同様の部品を表す添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことによって、より明解に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による電力システムのブロック図である。
【図2】太陽光電力源の電圧−電流曲線のグラフである。
【図3】太陽光電力源の電圧−電力曲線のグラフである。
【図4】一実施形態による、図1の電力システムの電力変換制御システムの制御ブロック図である。
【図5】一実施形態による内部周波数信号を生成する電力調整器の制御ブロック図である。
【図6】一実施形態によるDC電圧誤差信号を生成する検知器の制御ブロック図である。
【図7】別の実施形態による電力変換制御システムの制御ブロック図である。
【図8】更に別の実施形態による電力変換制御システムの制御ブロック図である。
【図9】更に別の実施形態による電力変換制御システムの制御ブロック図である。
【図10】更に別の実施形態による電力変換制御システムの制御ブロック図である。
【図11】本発明の二段実施形態による電力システムを示す図である。
【図12】一実施形態による、図11の電力システムの幾つかの制御システムのブロック図である。
【図13】別の実施形態による、図11の電力システムの幾つかの制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、DCバスの直流(「DC」)電力を調整された電圧出力を有する交流(「AC」)電力に変換し、AC電力を、例えば電力会社又は送電網を含む電気系統に供給する電力システムに関するものである。電力変換制御システムは、電力変換を制御し、DCバス電圧(「DC電圧」)をある一定のレベルに保つために使用される。
【0011】
図1を参照すると、例示的な電力システム10は、DC電力14をDCバス16に給電する電力源12と、DC電力14を調整された電圧出力を有するAC電力20に変換し、調整された電圧出力を電気系統22に供給する電力変換モジュール18と、電力変換モジュール18の動作を制御し、DCバス16のDC電圧(Vdc)をある一定の値、又はある一定範囲の値に保つ電力変換制御システム24(「制御システム24」)とを含む。図示の実施形態では、電力システム10は、三相AC電力20を生成する三相電力システムから構成される。
【0012】
一実施形態では、電力源12は、DC電力14をDCバス16に直接、又は間接的に供給するようにDC電力を給電する、太陽電池(PV)パネルなどの太陽光電力源、又は燃料電池などのバッテリモジュールである。別の実施形態では、電力源12は、AC電力を生成する風力タービン、海洋流体力学エネルギタービン、ガスタービン、又は蒸気タービン、及びAC電力をDC電力14に変換する(図11のソースサイドコンバータ72に代表されるような)AC−DCコンバータなどの別のタイプの発電機から構成される。
【0013】
図1に示す実施形態では、電力源12は、PVパネル又は一連のPVパネルを備える太陽光電力源である。電力モジュール12は実質的に、電力源12の電流値及び電圧値が最大電力出力を生ずる電力限度又は最大電力点(MPP)で稼働するように動作する。電力源12が燃料電池バッテリなどの別のタイプの電力源からなるような別の実施形態では、別の電力源も電力限度で稼働し得る。図2及び3を参照すると、図2の電流−電圧曲線(V−I曲線)28は、ある動作条件での電力源12の電圧―電流特性を示し、図3の電力−電圧曲線(P−V曲線)30は、同じ条件での電力源12の対応する電力特性を示している。V−I曲線での電圧は、PVパネルの出力端子が互いに短絡する短絡回路電流(Ishort)でほぼゼロである。出力電圧が上昇すると、V−I曲線28の電流値は、開路電圧出力(Vopen)で急激にゼロ電流まで降下するニーポイント(Im、Vm)に達するまで実質的に一定レベルに留まる。
【0014】
図3を参照すると、ある実施形態では、P−V曲線30は、V−I曲線28に沿った各ポイントでの電流と電圧との積である。P−V曲線30は、MPPとして知られる図2のV−I曲線のニーポイントに対応する最大電力(Pmpp)を有している。MPPは、照明レベル、温度、PVパネルの経年などの動作条件の変化に基づいて変化する傾向がある。図1に示す実施形態では、電力システム10は、MPPを追跡し、電力源12が実質的にMPPで動作することを確実にする最大電力点追従(MPPT)回路32を含む。
【0015】
図1に示す実施形態では、電力変換モジュール18は、ラインサイドコンバータ、すなわち、電力源12からDC電力14を受け、DC電力14をAC電力20に変換するDC−AC電力コンバータ34を備える。図示の実施形態では、ラインサイドコンバータ34は、電気系統22の電圧源として機能する。つまり、ラインサイドコントローラ36が、ラインサイドコンバータ34の出力電圧の位相及び振幅を制御する。ある実施形態では、ラインサイドコンバータ34は、集積ゲート整流サイリスタ(IGCT)及び/又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの複数の半導体スイッチ(図示せず)を備える。制御システム24は、半導体スイッチのオンオフ動作を制御して調整された電圧出力を生成するために、制御信号38を送信するラインサイドコントローラ36を備える。
【0016】
図1を引き続き参照すると、ラインサイドコントローラ36は、DCバス16で測定されたDC電圧であるDC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)、DC電圧コマンド信号(Vdc_cmd)、電力コマンド信号(Pcmd)、電力フィードバック信号(Pfeedback)、最大電力信号(Pmpp)及び電圧振幅信号(Vamp)を受信して、ラインサイドコンバータ34の制御信号38を生成する。一実施形態では、ラインサイドコントローラ36は、調整された電圧出力の測定された三相電圧信号(Va、Vb、Vc)を受信して電圧振幅信号を算出する。
【0017】
図4を参照すると、一実施形態によるラインサイドコントローラ36は、ラインサイドコンバータ34のPWM制御信号38を生成するために一括して使用される電力調整器42と、積分器44と、検知器46と、電圧調整器48と、積分器50と、変調器39と、2つの加算素子43及び45とを備える。
【0018】
図4に示す実施形態では、ラインサイドコントローラ36は、電力コマンド信号(Pcmd)と電力フィードバック信号(Pfeedback)とを受信し、電力不均衡(又は差分)信号40を生成する。図示の実施形態では、電力コマンド信号は、MPPT回路32によって生成される最大電力信号(Pmpp)である。別の実施形態では、電力コマンド信号は、監視コントローラからの予定電力コマンド、例えば配電システムオペレータ(DSO)又は送電システムオペレータ(TSO)からのコマンド信号である。一実施形態では、ラインサイドコントローラ36は閉ループ電力制御機能を有し、AC電力20からの測定された電力信号を電力フィードバック信号(Pfeedback)として使用する。別の実施形態では、点線で示すように、ラインサイドコントローラ36は、電力フィードバック信号(Pfeedback)として開ループ電力制御方式を使用し、且つDC電力14からの測定された電力信号を使用する。別の実施形態では、電力フィードバック信号(Pfeedback)は、DC電力14からの測定された電力信号とAC電力20からの測定された電力信号の両方を含む混合信号である。一実施形態では、混合信号はDC電力14及びAC電力20からの測定された電力信号の平均値の信号である。一実施形態では、電力不均衡信号40は、加算素子43によって取得された電力コマンド信号と電力フィードバック信号(Pcmd、Pfeedback)との差分信号である。電力調整器42は、電力不均衡信号40を使用して内部周波数信号(ω)を生成する。ある実施形態では、内部周波数信号(ω)は電気系統22の周波数とは異なる。位相角信号(θ)は、積分器44を使用して内部周波数信号(ω)を積分することによって生成される。
【0019】
内部周波数信号(ω)を生成するための電力調整器42の一例示的実施形態を図5に示す。この実施形態では、電力調整器42は、PI調整器60とドループループ62とを備える。PI調整器60は、電力不均衡信号40を使用して内部周波数信号(ω)を生成する。ドループループ62は、内部周波数信号(ω)を周波数ベース信号(ωref)と比較し、その差を利用して電力不均衡信号40を制限する比較器64を備える。
【0020】
図4に戻ってこれを参照すると、ラインサイドコントローラ36は更に、DC電圧コマンド信号(Vdc_cmd)とDC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)とを受信してDC電圧差分信号37を生成する検知器46を備える。一実施形態では、DC電圧差分信号37は、DC電圧コマンドとフィードバック信号(Vdc_cmd、Vdc_feedback)との差分信号である。図示の実施形態では、電圧調整器48は、DC電圧誤差を反映するDC電圧差分信号37を使用して周波数補正信号(△ω)を生成する。一実施形態では、電圧調整器48は、例えばPI調整器である。積分器50は周波数補正信号(△ω)を積分して、位相角補正信号(△θ)を生成する。図示の実施形態では、位相角信号(θ)は、位相角制御信号(θc)を取得するため、加算素子45で位相角補正信号(△θ)によって調整される。
【0021】
ある実施形態では、変調器39は位相角制御信号と電圧振幅信号とを受信し、これらの信号を使用してPWM制御信号38を生成する。一例示的実施形態では、変調器39は電圧位相角及び振幅信号を使用して二相信号を生成し、次いでラインサイドコンバータ34によって使用されるように二相信号を三相電圧コマンド信号に変換する。
【0022】
動作時に、測定されたDC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)が高すぎる場合は、位相角補正信号(△θ)は正であり、位相角制御信号(θc)が上昇する。それに応じてラインサイドコンバータ34は、DC電圧を降下させるためにより多くの電力を電気系統22に出力するように調整される。測定されたDC電圧フィードバック信号が低すぎる場合は、位相角補正信号(△θ)は負であり、位相角制御信号(θc)が降下する。それに応じてラインサイドコンバータ34は、DC電圧を上昇させるためにより少ない電力を電気系統22に出力するように調整される。
【0023】
検知器46を介してDC電圧差分信号37を生成する別の実施形態が図6に示されている。この実施形態では、検知器46はリミタ52を備え、DC電圧コマンド信号(Vdc_cmd)がリミタ52のDC電圧の上限(Vlim-up)とDC電圧の下限(Vlim-dn)とを設定する。DC電圧の上限と下限(Vlim-up、Vlim-dn)がDC電圧の安全動作範囲を規定する。測定されたDC電圧フィードバック信号が安全動作範囲にある場合は、電圧差分信号37はゼロである。つまり、安全動作範囲内でDC電圧に僅かな増減があっても位相角制御信号は変更されない。測定されたDC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)がこの範囲を超えると、電圧差分信号37はゼロではなくなり、位相角制御信号を調整するために使用される。
【0024】
図6に示す実施形態では、DC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)が上限と下限との間にある場合は、リミタ52の出力54がDC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)である。DC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)が電圧の上限と下限(Vlim-up、Vlim-dn)を超えると、リミタ52の出力54は上限又は下限の一方(DC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)に近い方)である。リミタ52の出力54は、デダクタ55でDC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)から差し引かれる。図示の実施形態では、検知器46は更に、デダクタ55からの結果を受ける論理ユニット56を備える。DC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)が電圧の上限と下限との間にある場合は、デダクタ55からの結果はゼロであり、論理ユニット56は位相角制御信号(θc)を変更するDC電圧差分信号を送信しない。DC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)が上限と下限とを超える場合は、デダクタ55の結果は、DC電圧フィードバック信号と、DC電圧フィードバック信号(Vdc_feedback)により近い上限か下限の一方とのDC電圧差であり、論理ユニット56はこのDC電圧誤差信号をDC電圧差分信号37として送信して、位相角制御信号(θc)を調整する。
【0025】
図7、8及び9は、位相角信号(θ)を最初に計算する前にこれを間接的に変更するラインサイドコントローラ736、836、936の異なる実施形態を示している。図7の実施形態は、DC電圧調整器48によって生成された周波数補正信号(△ω)が別個の積分器に送信されず、内部周波数信号(ω)を調整して内部周波数制御信号(ωc)を取得するために使用されること以外は、図4に示す実施形態と同様である。積分器44は内部周波数制御信号(ωc)を使用して、変調器39に直接送信される位相制御信号を生成する。図8の実施形態では、検知器46によって生成された電圧差分信号37は、調整器66によって電力調整信号(Preg)を生成するために使用され、電力調整信号(Preg)は電力不均衡信号40を調整するために使用される。従って、電力調整器42からの周波数は、電力調整システムが必要とする何らかの調整を既に含む。一実施形態では、調整器66は、PI調整器を使用して電力調整信号を生成する。MPPTコントローラ32(図1)を必要としない図9の実施形態では、制御システム24は、DC電圧差分信号37を使用してDC電圧差をゼロに調整することによって電力コマンド信号(Pcmd)を生成する調整器68を備える。
【0026】
図10に示すような更に別の実施形態では、ラインサイドコントローラ136は更に、調整された電圧出力の三相電圧(Va、Vb、Vc)を検知し、ラインサイドコンバータ34の周波数基準信号(ωpll)と位相角基準信号(θpll)とを生成するPLL回路58を備える。制御システム24は、周波数及び位相角基準信号(ωpll、θpll)を使用して、内部周波数信号及び位相角信号(ω、θ)を制限する。図示の実施形態では、PI調整器60によって生成された内部周波数(ω)は、加算素子63で周波数基準信号(ωpll、θpll)から減算され、その周波数差(ωf)が積分器44に送られる。積分器44は差分の上限値と下限値とを有するリミタを備える。周波数差(ωf)が差分の上限値と下限値との間にある場合は、積分器44は周波数差(ωf)に応じて位相角信号(θ)を生成する。周波数差(ωf)が差分の上限値と下限値とを超える場合は、積分器44は、差分の上限値と下限値のうち周波数差に近い一方に応じて位相角信号(θ)を生成する。図示の実施形態では、位相角基準信号(θpll)が加算素子65で積分器44からの位相角信号に加算される。従って、PLL回路58からの周波数及び位相角基準信号(ωpll、θpll)は、通常動作のためではなく保護目的のために内部周波数及び位相角信号(ω、θ)の変化を制限するために使用される。
【0027】
図11を参照すると、別の実施形態による電力システム70は更に、電力源12からの電力をDC電力14に変換するソースサイドコンバータ72から構成される。一実施形態では、ソースサイドコンバータ72は、電力源12からのDC電力をDC電力14に変換するDC−DC電力コンバータから構成される。別の実施形態では、ソースサイドコンバータ72は、電力源12からのAC電力をDC電力14に変換するAC−DC電力コンバータを備える。ある実施形態では、ソースサイドコンバータ72は、集積ゲート整流サイリスタ(IGCT)及び/又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの複数の半導体スイッチ(図示せず)を備える。この実施形態では、電力変換制御システム74は、ソースサイドとラインサイドの両方のコントローラ76、36に電気的に結合される、ソースサイドコンバータ72の制御信号78を生成するソースサイドコントローラ76と、DC電圧コントローラ82とを備える。図示のDC電圧コントローラ82は、DC電圧コマンド及びフィードバック信号(Vdc_cmd、Vdc_feedback)との差を利用して、ソースサイドとラインサイドのコントローラ76、36のソースサイドとラインサイドのDC電圧調整信号84、86をそれぞれ生成する。
【0028】
図12を参照すると、図示の実施形態では、DC電圧コントローラ82は、加算素子95とリミタ97とを備える。加算素子95はDC電圧コマンド及びフィードバック信号(Vdc_cmd、Vdc_feedback)を受信し、DC電圧信号とコマンド信号との差であるDC電圧差分信号98を計算する。リミタ97は、DC電圧差分限度(Vdc#lim)を設け、DC電圧差分信号98を受信する。ある実施形態では、DC電圧差分限度は所定の電圧値又は所定の電圧範囲である。一実施形態では、電圧差分信号の絶対値がDC電圧差限度(Vdc#lim)未満であるか、限度範囲内にある場合は、リミタ97の出力はなし、すなわちゼロである。又、電圧差分信号98の絶対値がDC電圧差限度(Vdc#lim)以上、又は限度範囲を超える場合は、リミタ97の出力はゼロではなく、その絶対値に比例する。
【0029】
図示の実施形態では、ラインサイドコントローラ36(図11)は、ラインサイドDC電圧調整信号86としてリミタ97の出力を受信する。従って、ラインサイドコントローラ36は、電圧差分信号98がDC電圧差限度以上であるか、又は限度範囲を超える場合は、前述のように位相角制御信号(θc、図4及び7〜10)を直接、又は間接的に変更することによって、DC電圧を制御する。別の実施形態では、電圧差分信号98が負である場合は、リミタ97の出力はゼロであり、電圧差分信号98が正である場合はゼロではない。従って、DC電圧が降下すると、ラインサイドコントローラ36は位相角制御信号(θc)を直接、又は間接的に降下させてより少ない電力を出力するようにラインサイドコンバータ34を制御する。
【0030】
図12の実施形態では、ソースサイドコントローラ76は、ソースサイドDC電圧調整信号84としてDC電圧差分信号98を受信し、従って、DC電圧の差又は変化に応じてDC電圧制御を管理するためにソースサイドコントローラ76を使用する。図示の実施形態では、ソースサイドコントローラ76は、ソースサイド電流調整器88と、変調器90と、ソースサイドDC電圧調整器92とを備える。この実施形態では、電流調整器88は、電力源12の電力出力からフィードバック信号96と、DC電圧調整器92からのDC基準信号とを受信して、電流制御信号99を生成する。変調器90は電流制御信号99を使用して、所望の電流出力を生成するためにソースサイドコンバータ72を調整する。
【0031】
図13に示す実施形態では、ラインサイドコンバータ36は、ラインサイドDC電圧調整信号86としてDC電圧差分信号98を受信し、ラインサイドコントローラ36は、DC電圧の差又は変化に応じてDC電圧制御を管理している。この実施形態では、ソースコントローラ76は、ソースサイドDC電圧調整信号84としてリミタ97の出力を受信する。この実施形態では、電流調整器88は、電力源12の電力出力からフィードバック信号96と、MPPT回路32からのコマンド信号94と、DC電圧調整器92からのDC基準信号との差分信号とを受信して、電流制御信号99を生成する。従って、ソースサイドコントローラ76は、電圧差分信号98がDC電圧差限度以上であるか、又は限度範囲を超える場合にのみDC電圧を制御する。
【0032】
上記の全ての目的又は利点は、任意の特定の実施形態により達成し得るものと理解されたい。従って、例えば、本明細書に記載のシステム及び教示は、本明細書で教示又は示唆される別の目的又は利点を必ずしも達成しなくても、1つの利点又は一群の利点を達成し、又は最適化するように実施又は実行してもよいことが当業者には理解されよう。
【0033】
更に、当業者は異なる実施形態から様々な特徴の互換性を理解されよう。当業者は記載の様々な特徴、並びに各特徴のその他の公知の等価物を混合し、適合化して、本開示の原理による追加のシステム及び技術を構築することができる。
【0034】
本発明のある特定の特徴のみを本明細書に図示し、記載したが、当業者は多くの修正及び変更に想到するであろう。従って、添付の請求項は本発明の真の趣旨に含まれるこのような修正及び変更の全てを網羅することを意図するものである。
【符号の説明】
【0035】
10 電力システム
12 電力モジュール
14 DC電力
16 DCバス
18 電力変換モジュール
20 調整された電圧出力
22 電気系統
24 電力変換制御システム
26 DC電流
28 電圧−電流曲線
30 電力−電流曲線
32 MPPT回路
34 ラインサイドコンバータ又はDC−ACコンバータ
36 ラインサイドコントローラ
38 制御信号
39 変調器
40 電力不均衡信号
42 電力調整器
44 積分器
46 リミタ
48 電圧調整器
50 積分器
52 比較器
54 比較器52の出力
56 PLL回路
58 論理ユニット
60 PI調整器
62 ドループループ
64 比較器
66 調整器
68 調整器
70 電力システム
72 発電機側コンバータ
74 電力変換制御システム
76 発電機側コントローラ
78 発電機側コントローラの制御信号
80 調整信号
82 発電機側DC電圧調整器
84,86 DC調整信号
88 ソースサイド電流調整器
90 変調器
92 ソースサイドDC電圧調整器
94 ソースサイド電流調整器のコマンド信号
96 ソースサイド電流調整器のフィードバック信号
95 加算素子
97 リミタ
98 DC電圧差分信号
99 電流制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力システムであって、
電力源(12)と、
前記電力源からDC電力(14)を受けるDCバス(16)と、
前記DCバスに電気的に結合され、前記DCバスからのDC電力を調整された電圧出力を有するAC電力(20)に変換し、電気系統(22)に供給するラインサイドコンバータ(34)と、
前記ラインサイドコンバータの動作を制御するラインサイドコントローラ(36)を備え、
前記調整された電圧出力を表す電圧振幅信号を受信し、
前記DCバスのDC電圧フィードバック信号とDC電圧コマンド信号とを使用してDC電圧差分信号を取得し、
電力コマンド信号を取得し、
電力フィードバック信号を取得し、
前記DC電圧差分信号と、前記電力コマンド信号と、前記電力フィードバック信号とを使用して位相角制御信号を生成し、
前記電圧振幅信号と前記位相角制御信号とを使用して、前記ラインサイドコンバータの制御信号を生成するように構成された電力変換制御システム(24)と、を備える電力システム。
【請求項2】
前記電力源が電力限度を含む、請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記電力源が太陽光電力源を備え、前記電力システムが、前記電力源の最大電力を追跡する最大電力点追従回路を更に備える、請求項2に記載の電力システム。
【請求項4】
前記電力コマンド信号が、前記最大電力点追従回路からの前記最大電力を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ラインサイドコントローラが、前記DC電圧差分信号を受信して、前記電力コマンド信号を生成する調整器を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電力フィードバック信号が、前記ラインサイドコンバータからの前記AC電力を表す測定された電力信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記電力フィードバック信号が、DCバスのDC電力の測定された電力信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ラインサイドコントローラが、前記電力コマンド信号とフィードバック信号との差を表す電力不均衡信号を受信し、前記電力不均衡信号に応じて内部周波数信号を生成する電力調整器を備えると共に、前記ラインサイドコントローラが、前記内部周波数信号を積分することによって位相角信号を生成する積分器を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ラインサイドコントローラが、前記DC電圧差分信号に基づいて周波数補正信号を生成する電圧調整器を備えると共に、前記ラインサイドコントローラが、前記積分器によって前記内部周波数信号が積分される前に、前記周波数補正信号を使用して、前記内部周波数信号を調整するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ラインサイドコントローラが、前記DC電圧差分信号に基づいて周波数補正信号を生成する電圧調整器と、前記周波数補正信号を使用して位相角補正信号を生成する第2の積分器とを備えると共に、前記ラインサイドコントローラが、前記位相角補正信号を使用して前記位相角信号を調整するように構成される、請求項8に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−135194(P2012−135194A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−273958(P2011−273958)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】