電力変換装置
【課題】放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール2と、半導体モジュール2を両面から冷却するための冷却部材4とを積層配置してなる電力変換装置。半導体モジュール2と冷却部材4との間には、熱伝導性を有するゲルグリース5が介在している。ゲルグリース5は、架橋度が16〜80%である。また、半導体モジュール2等へのゲルグリース5の塗布は、スクリーン印刷法によって行う。
【解決手段】電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール2と、半導体モジュール2を両面から冷却するための冷却部材4とを積層配置してなる電力変換装置。半導体モジュール2と冷却部材4との間には、熱伝導性を有するゲルグリース5が介在している。ゲルグリース5は、架橋度が16〜80%である。また、半導体モジュール2等へのゲルグリース5の塗布は、スクリーン印刷法によって行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却するための冷却部材とを積層してなる電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、DC−DCコンバータ回路やインバータ回路等の電力変換回路は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源である電気モータに通電する駆動電流を生成するのに用いられることがある。
一般に、電気自動車やハイブリッド自動車等では、電気モータから大きな駆動トルクを得る必要があるため、駆動電流として大電流が必要となる。
そしてそのため、その電気モータ向けの駆動電流を生成する上記電力変換回路においては、該電力変換回路を構成するIGBT等の電力用半導体素子を含む半導体モジュールからの発熱が大きくなる傾向にある。
【0003】
そこで、電力変換回路を構成する複数の半導体モジュールを均一性高く冷却できるように、冷却媒体(冷媒)の供給及び排出を担う一対のヘッダの間に多数の扁平冷却管を配置し、該扁平冷却管の間に半導体モジュールを挟持した冷却管並列型の電力変換装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、電子部品と該電子部品の熱を放熱する放熱板との間に、熱伝導性のグリースを介在させることにより、電子部品の放熱性能を向上させる構造が開示されている(特許文献2参照)。
そして、半導体モジュールと冷却管との間にグリースを介在させて、両者の間の空間をグリースによって埋めることにより、上述した電力変換装置における半導体モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、グリースは、その両側に配された半導体モジュール及び冷却管による受熱及び冷却に起因する熱ストレスを受ける。また、電力変換装置が自動車のエンジンルーム等に配置されたとき、その使用環境に起因する熱ストレスがグリースにかかることもある。
これにより、グリース中の油分が分離するブリード現象が起こり、グリース中にエアが混入してしまうおそれがある。その結果、グリースの熱伝導性が低下し、半導体モジュールの放熱が不充分となるおそれがある。
【0006】
かかる不具合を解消するために、グリースの油分を架橋させてゲル化することにより上記のブリード現象を抑制することが考えられる。ところが、ゲルは、粘度が高いため、半導体モジュールと冷却管との間に、薄く一様に配置することが困難となる。即ち、ゲルを半導体モジュールや冷却管の表面に塗布しようとすると、粘度が高いために、どうしてもかすれが生じてしまい、半導体モジュールと冷却管との間に、確実にゲルを薄く充填することは困難である。また、かすれのないようにゲルを半導体モジュールや冷却管の表面に塗布するためには、塗布速度を低くする必要があり、生産性が低下してしまうという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−26215号公報
【特許文献2】特開2005−5671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを積層配置してなる電力変換装置であって、
上記半導体モジュールと上記冷却部材との間には、熱伝導性を有するゲルグリースが介在しており、
該ゲルグリースは、架橋度が16〜80%であることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【0010】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記電力変換装置においては、上記半導体モジュールと上記冷却部材との間に、上記ゲルグリースが介在している。そのため、上記半導体モジュールと上記冷却部材とを、両者間に空隙を形成することなく、ゲルグリースを介して密着させることができる。それ故、半導体モジュールと冷却部材との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0011】
そして、上記ゲルグリースの架橋度は16〜80%であるため、充分な熱伝導性を確保することができると共に、半導体モジュールと冷却部材との間に容易にゲルグリースを形成することができる。即ち、上記架橋度を有することにより、ゲルグリースは、熱ストレスに起因するブリード現象を抑制することができる。その結果、ゲルグリースの熱伝導性の低下を抑制し、半導体モジュールの放熱効率を確保することができる。また、上記架橋度を有することにより、ゲルグリースは、粘度が高くなりすぎることもなく、半導体モジュールや冷却部材の主面に、かすれ等を生じることなく均一に容易に塗布することができる。これにより、半導体モジュールの冷却効率を確保することができると共に、電力変換装置の生産性を向上させることができる。
【0012】
以上のごとく、本発明によれば、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置を提供することができる。
【0013】
第2の発明は、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを積層配置してなる電力変換装置を製造する方法であって、
上記半導体モジュールと上記冷却部材との少なくとも一方の主面に、熱伝導性を有すると共に架橋度が16〜80%であるゲルグリースをスクリーン印刷法により塗布する塗布工程と、
上記半導体モジュールと上記冷却部材とを、上記ゲルグリースを介して積層する積層工程とを有することを特徴とする電力変換装置の製造方法にある(請求項4)。
【0014】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記電力変換装置の製造方法は、上記塗布工程と上記積層工程とを有する。これにより、上記半導体モジュールと上記冷却部材とを、両者間に空隙を形成することなく、ゲルグリースを介して密着させることができる。それ故、半導体モジュールと冷却部材との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0015】
そして、上記塗布工程において上記半導体モジュールと上記冷却部材との少なくとも一方の主面に塗布する上記ゲルグリースの架橋度は16〜80%であるため、充分な熱伝導性を確保することができると共に、半導体モジュールと冷却部材との間に容易にゲルグリースを形成することができる。即ち、上記架橋度を有することにより、ゲルグリースは、熱ストレスに起因するブリード現象を抑制することができる。その結果、ゲルグリースの熱伝導性の低下を抑制し、半導体モジュールの放熱効率を確保することができる。また、上記架橋度を有することにより、ゲルグリースは、粘度が高くなりすぎることもなく、半導体モジュールや冷却部材の主面に、かすれ等を生じることなく均一に容易に塗布することができる。
【0016】
また、上記塗布工程においては、上記ゲルグリースをスクリーン印刷法によって塗布するため、ゲルグリースを半導体モジュールの主面等に、薄く均一に形成することが可能となる。
これにより、半導体モジュールの冷却効率を確保することができると共に、電力変換装置の生産性を向上させることができる。
【0017】
以上のごとく、本発明によれば、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置の製造方法を提供することができる。
【0018】
第3の発明は、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを、両者の間に絶縁部材を介して積層配置してなる電力変換装置を製造する方法であって、
上記半導体モジュールと上記絶縁部材との少なくとも一方の主面、及び上記冷却部材と上記絶縁部材との少なくとも一方の主面に、熱伝導性を有すると共に架橋度が16〜80%であるゲルグリースをスクリーン印刷法により塗布する塗布工程と、
上記半導体モジュールと上記絶縁部材と上記冷却部材とを、上記ゲルグリースを介して積層する積層工程とを有することを特徴とする電力変換装置の製造方法にある(請求項6)。
【0019】
本発明の場合にも、上記第2の発明と同様の作用効果を得ることができる。即ち、半導体モジュールと冷却部材との間に絶縁部材を介在させる必要のある電力変換装置を製造するに当たっても、上記第2の発明と同様の作用効果を得ることができる。
従って、本発明によれば、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記第1〜第3の発明において、上記ゲルグリースとしては、例えば、熱伝導を促進する添加材が混入されたものを用いることができる。そして、該添加材としては、例えば、酸化亜鉛等の金属粉を用いることができる。
また、上記ゲルグリースの架橋度が16%未満の場合には、熱ストレスに起因するブリード現象を充分に抑制することが困難となる。その結果、ゲルグリースの熱伝導性の低下を招き、半導体モジュールの放熱効率を充分に確保することが困難となるおそれがある。一方、上記架橋度が80%を超える場合には、ゲルグリースの粘度が高くなりすぎて、半導体モジュールや冷却部材等の主面にゲルグリースを塗布する際に、かすれ等を生じるおそれがあり、均一に塗布することが困難となるおそれがある。
【0021】
上記電力変換装置としては、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源である電気モータに通電する駆動電流を生成するための、DC−DCコンバータやインバータ等がある。
また、上記半導体モジュールとしては、例えば、MOS型FET素子、IGBT素子、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、パワー集積回路等を内蔵したものがある。
【0022】
次に、上記第1の発明(請求項1)において、上記ゲルグリースは、上記半導体モジュールと上記冷却部材との双方に直接密着していることが好ましい(請求項2)。
この場合には、半導体モジュールと冷却部材との間に、上記ゲルグリースのみを介在させることとなる。それ故、熱抵抗の低減を図ることができる。
【0023】
また、上記半導体モジュールと上記冷却部材との間には、絶縁部材が介在しており、上記ゲルグリースは、上記絶縁部材と上記半導体モジュールとの間、及び上記絶縁部材と上記冷却部材との間の双方にそれぞれ介在していてもよい(請求項3)。
この場合には、上記半導体モジュールと上記冷却部材との間の電気的絶縁を確保することができる。例えば、半導体モジュールの主面に電極と電気的に接続された放熱板等が配置されている場合に、この放熱板と冷却部材との間の電気的絶縁を確保し、電力変換装置の正常な動作を確保する必要がある。かかる場合においても、本発明を適用して、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置を得ることができる。
【0024】
次に、上記第2の発明(請求項4)又は上記第3の発明(請求項6)において、上記積層工程の前における上記ゲルグリースの塗布厚みは20〜100μmであることが好ましい(請求項5、請求項7)。
この場合には、半導体モジュールと冷却部材との間、或いは、半導体モジュールと絶縁部材との間、及び絶縁部材と冷却部材との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0025】
即ち、上記塗布工程におけるゲルグリースの塗布厚みを20〜100μmとすることにより、上記積層工程において、半導体モジュールと冷却部材とを、或いは、半導体モジュールと絶縁部材とを、或いは、絶縁部材と冷却部材とを、互いに加圧してゲルグリースを押し潰すとき、ゲルグリースを薄く均一に延ばすことが容易となる。これにより、半導体モジュールと冷却部材との間、或いは、半導体モジュールと絶縁部材との間、及び絶縁部材と冷却部材との間のゲルグリースの厚みを充分に薄くすると共に、全体に充分に広げることができる。そのため、半導体モジュールと冷却部材との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0026】
上記ゲルグリースの塗布厚みが20μm未満の場合には、半導体モジュールと冷却部材との間等の接触面に、充分にゲルグリースを広げることが困難となるおそれがある。これにより、半導体モジュールと冷却部材との間等に、空気が介在してしまうおそれがある。一方、上記塗布厚みが100μmを超えると、上記積層工程において、上記ゲルグリースを充分に押し潰すことが困難となり、最終的なゲルグリースの厚みを小さくすることが困難となるおそれがある。これにより、半導体モジュールと冷却部材との間の熱抵抗が大きくなり、半導体モジュールの冷却効率を向上させることが困難となるおそれがある。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電力変換装置及びその製造方法につき、図1〜図7を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図1、図2に示すごとく、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール2と、該半導体モジュール2を両面から冷却するための冷却部材としての冷却管4とを積層配置してなる。
【0028】
図1に示すごとく、半導体モジュール2と冷却管4との間には、熱伝導性を有するゲルグリース5が介在している。本例においては、半導体モジュール2と冷却管4との間に絶縁部材3が介在しており、ゲルグリース5は、絶縁部材3と半導体モジュール2との間、及び絶縁部材3と冷却部材4との間の双方にそれぞれ介在している。そして、このゲルグリース5の架橋度は16〜80%である。
【0029】
上記ゲルグリース5としては、熱伝導を促進する添加材として酸化亜鉛等の金属粉を充填してなるシリコーンゲルグリースを用いることができる。即ち、上記金属粉を添加してなるシリコーングリスに架橋剤を添加等することによりゲル化して、上記ゲルグリース5を得る。
【0030】
上記電力変換装置1は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源である電気モータに通電する駆動電流を生成するための、DC−DCコンバータやインバータである。
また、上記半導体モジュール2としては、例えば、MOS型FET素子、IGBT素子、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ等の半導体素子を内蔵したものがある。
そして、半導体モジュール2は、半導体素子を内蔵するモジュール本体部20と、該モジュール本体部20から突出させた主電極端子221と信号端子222とを有する。また、モジュール本体部20の両主面には、上記主電極端子と電気的に接続された放熱板23が露出している。
この放熱板23と上記絶縁部材3とが対向配置され、両者の間にゲルグリース5が介在している。
【0031】
また、上記絶縁部材3はセラミック板からなり、冷却管4はアルミニウムからなる。
図1に示すごとく、冷却管4は、その内部に冷媒流路41を有しており、これに冷却媒体を流通させることができるよう構成してある。また、図2に示すごとく、複数の冷却管4の両端をそれぞれ連結するように連結パイプ401を配置し、2箇所のヘッダ部402を形成してある。また、該2箇所のヘッダ部401、402の一方の端部には、冷却管4に接続された冷媒導入口403と冷媒排出口404とがそれぞれ設けてある。このようにして、複数の冷却管4を並列配置してなる冷却器40が構成されている。
そして、隣り合う冷却管4の間に上述のごとく半導体モジュール2を挟持させ、冷却管4内に冷却媒体を流通させることにより、半導体モジュール2を両面から冷却することができる。
【0032】
上記電力変換装置1を製造するに当たっては、図3〜図7に示すごとく、以下の塗布工程と積層工程とを繰り返す。即ち、塗布工程においては、半導体モジュール2と絶縁部材3との少なくとも一方の主面、及び冷却管4と絶縁部材との少なくとも一方の主面に、ゲルグリース5をスクリーン印刷法により塗布する。また、積層工程においては、半導体モジュール2と絶縁部材3と冷却部材4とを、ゲルグリース5を介して積層する。
【0033】
以下に、図3〜図7を用いて具体的に説明する。
まず、図3に示すごとく、半導体モジュール2を、その一方の主面が上方を向く状態で、チャック治具61によって保持する。そして、上記半導体モジュール2の主面(放熱板23の表面)に、スクリーン印刷法によってゲルグリース5を印刷する。即ち、半導体モジュール2の主面に、印刷パターン621を有するスクリーンマスク62を覆い被せる。そして、該スクリーンマスク62の上面にゲルグリース5を載せると共に、ゲルグリース5を、スキージ63によってこすり付けるようにスクリーンマスク62の印刷パターン621からその下方の半導体モジュール2の主面に印刷する。
【0034】
これにより、図4に示すごとく、半導体モジュール2の所望の位置、範囲に、ゲルグリース5を塗布する。このときのゲルグリース5の塗布厚みは20〜100μmの間で、略均一である。
次いで、図5に示すごとく、ゲルグリース5を塗布した半導体モジュール2の主面に、ゲルグリース5を介して、絶縁部材3を積層する。このとき、所定の加圧力で半導体モジュール2の主面に絶縁部材3を押し付けることにより、ゲルグリース5を押し潰して、半導体モジュール2と絶縁部材3との間に、薄く均一に拡げる。このときのゲルグリース5の膜厚は10μm以下とする。
【0035】
次いで、半導体モジュール2の反対側の主面にも、同様に、ゲルグリース5を塗布すると共に絶縁部材3を積層する。
次いで、図6に示すごとく、半導体モジュール2に積層した絶縁部材3の主面に、ゲルグリース5をスクリーン印刷する。スクリーン印刷の方法は、半導体モジュール2の主面への印刷時(図3)と同様である。
これにより、図7に示すごとく、絶縁部材3の主面に、ゲルグリース5を略均一厚みに形成する。このゲルグリース5の塗布厚みは20〜100μmである。
【0036】
次いで、半導体モジュール2の反対側の主面に積層した絶縁部材3の主面にも、同様に、ゲルグリース5をスクリーン印刷する。
次いで、図1に示すごとく、半導体モジュール2を隣り合う冷却管4の間に配置すると共に、冷却管4によって、半導体モジュール2の両主面からゲルグリース5を介して挟み込む。このとき、ゲルグリース5を、膜厚が10μm以下となるように押し潰す。
そして、複数の半導体モジュール2について、同様の組付け方法によって、冷却管4と積層することにより、図2に示すような電力変換装置1を得る。
【0037】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記電力変換装置1においては、上記半導体モジュール2と上記冷却管4との間に、上記ゲルグリース5が介在している。そのため、半導体モジュール2と冷却管4とを、両者間に空隙を形成することなく、ゲルグリース5を介して密着させることができる。それ故、半導体モジュール2と冷却管4との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュール2の冷却効率を向上させることができる。
【0038】
本例においては特に、上述のごとく半導体モジュール2と冷却管4との間に絶縁部材3を介在させ、半導体モジュール2と絶縁部材3との間、及び絶縁部材3と冷却管4との間に、それぞれゲルグリース5が介在している。そのため、半導体モジュール2と絶縁部材3とを、両者間に空隙を形成することなく、ゲルグリース5を介して密着させることができると共に、絶縁部材3と冷却管4とを、両者間に空隙を形成することなく、ゲルグリース5を介して密着させることができる。それ故、半導体モジュール2と冷却管4との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュール2の冷却効率を向上させることができる。
【0039】
そして、上記ゲルグリース5の架橋度は16〜80%であるため、充分な熱伝導性を確保することができると共に、半導体モジュール2と絶縁部材3との間、及び絶縁部材3と冷却管4との間に容易にゲルグリース5を形成することができる。即ち、上記架橋度を有することにより、ゲルグリース5は、熱ストレスに起因するブリード現象を抑制することができる。その結果、ゲルグリース5の熱伝導性の低下を抑制し、半導体モジュール2の放熱効率を確保することができる。また、上記架橋度を有することにより、ゲルグリース5は、粘度が高くなりすぎることもなく、半導体モジュール2や冷却管4の主面に、かすれ等を生じることなく均一に容易に塗布することができる。これにより、半導体モジュール2の冷却効率を確保することができると共に、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。
【0040】
また、本例の電力変換装置を製造するに当たり、上記塗布工程において、ゲルグリース5をスクリーン印刷法によって塗布するため、ゲルグリース5を半導体モジュール2の主面等に、薄く均一に形成することが可能となる。これにより、半導体モジュール2の冷却効率を確保することができると共に、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。
【0041】
そして、上記積層工程の前におけるゲルグリース5の塗布厚みは20〜100μmである。これにより、半導体モジュール2と絶縁部材3との間、及び絶縁部材3と冷却部材4との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュール2の冷却効率を向上させることができる。
【0042】
以上のごとく、本例によれば、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置及びその製造方法を提供することができる。
【0043】
(実施例2)
本例は、図8に示すごとく、半導体モジュール2と冷却管4との間に、絶縁部材(図1の符号3参照)を介在させずに、ゲルグリース5のみを介在させた構成の電力変換装置1の例である。
ゲルグリース5は、半導体モジュール2と冷却管4との双方に直接密着している。
また、本例の半導体モジュール2は、主面に放熱板(図1の符号23参照)を露出させていない。そのため、半導体モジュール2と冷却管4との間に絶縁部材を介在させる必要がない。
その他は、実施例1と同様である。
【0044】
本例の場合には、半導体モジュール2と冷却管4との間に一層のゲルグリース5を介在させるのみの構成とすることができるため、半導体モジュール2と冷却管4との間の熱抵抗の低減を図ることができる。これにより、半導体モジュール2の冷却効率をより向上させることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0045】
(実施例3)
本例は、図9に示すごとく、架橋度の異なる複数のゲルグリースの熱抵抗が、冷熱試験によってどのように変化するかを調べた例である。
試験に当たっては、架橋度をそれぞれ0%、50%、60%、70%、80%、100%としたゲルグリースを用意した。そして、ゲルグリースの初期塗布厚を50μmとし、2つの部材で挟み込み、約5μmの膜厚となるように押し潰した。そして、そのゲルグリースの表裏の間の熱抵抗を測定した。なお、冷熱試験を行う最中にゲルグリースの膜厚は多少薄くなる。
【0046】
また、冷熱試験は、気相において、−30℃の状態を30分継続した後110℃の状態を30時間継続するという工程を1サイクルとし、これを3000サイクル繰り返すことにより行った。そして、冷熱試験の前の初期、冷熱試験の途中、そして3000サイクル後において、それぞれゲルグリースの熱抵抗を測定した。
その結果を図9に示す。
【0047】
同図において、冷熱サイクルの前(冷熱サイクル数0)の時点の熱抵抗がいずれも高いのは、初期状態においてはゲルグリースの膜厚が大きく、その後、冷熱サイクルを行う間に膜厚が小さくなり安定するためであると考えられる。それ故、ゲルグリースの膜厚が最初から安定していたとすれば、500サイクル以上のデータから類推すると、500サイクル目よりも熱抵抗が小さい値であると考えられる。
【0048】
そして、図9から分かるように、500サイクル目のデータ以降については、冷熱サイクルを行うにつれ、徐々に熱抵抗が大きくなっているが、架橋度が0%のサンプルについては、特に熱抵抗が高くなっている。これは、熱ストレスに起因するブリード現象が生じているためであると考えられる。逆に、架橋度が50%以上のサンプルについては、比較的熱抵抗を小さく抑えることができる。
この結果から、架橋度0、即ちゲル化していないグリースの場合には、熱ストレスに起因するブリード現象によって、ゲルグリースの熱伝導性の低下を招くおそれがあり、架橋させることにより、熱伝導性の低下を抑制することができることが分かる。
【0049】
(実施例4)
本例は、図10に示すごとく、ゲルグリースの架橋度と塗布状態との関係を調べた例である。
即ち、架橋度の異なる複数のゲルグリースを、種々の印刷速度(スキージの速度)にて、半導体モジュールの主面にスクリーン印刷し、その印刷状態を目視によって確認した。
観察結果を図10に示す。同図において、かすれのない良好なものを○、若干のかすれのあるものを△、かすれが多いものを×として表した。
【0050】
試験結果から、架橋度が低いほど、印刷速度を速くしても良好な印刷が可能となることが分かる。そして、架橋度が80%以下であれば、印刷速度を75mm/秒としても、かすれを生じることなく良好な印刷を行うことができることが分かる。従って、架橋度を80%以下とすることにより、スクリーン印刷を効率よく行うことができ、生産性を向上させることができることが分かる。
【0051】
(実施例5)
本例は、図11に示すごとく、耐久性及び粘度の観点から、ゲルグリースの粘度の適正範囲を考察した例である。
即ち、上記実施例3において示した冷熱試験前後の熱抵抗の変化率についての架橋度依存性を、実線L1にて表す。また、架橋度と粘度との関係を実線L2にて表す。なお、図11において、左側の縦軸に冷熱試験前後の熱抵抗の変化率のスケールを示し、右側の縦軸に粘度のスケールを示す。また、粘度については、マルコム粘度計を用いて測定した。
【0052】
図11の実線L1から分かるように、架橋度を16%以上とすることにより、冷熱試験前後の熱抵抗変化率を100%以下とすることができる。これは、架橋度を16%以上とすれば、冷熱試験によって初期状態よりも熱抵抗が大きくなることを防ぐことができることを示し、耐久性を確保することができることを示す。
【0053】
また、図11の実線L2から分かるように、架橋度を約70%以上に大きくしていくと、粘度が徐々に高くなる。そして、ゲルグリースの製造バラツキを考慮すると、印刷作業性の観点から架橋度を80%以下とすることが望ましいことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1における、電力変換装置の一部を示す断面説明図。
【図2】実施例1における、電力変換装置の斜視説明図。
【図3】実施例1における、半導体モジュールへのゲルグリースのスクリーン印刷方法の説明図。
【図4】実施例1における、半導体モジュールにゲルグリースを塗布した状態を示す説明図。
【図5】実施例1における、半導体モジュールにゲルグリースを介して絶縁部材を積層した状態を示す説明図。
【図6】実施例1における、絶縁部材へのゲルグリースのスクリーン印刷方法の説明図。
【図7】実施例1における、絶縁部材にゲルグリースを介して絶縁部材を積層した状態を示す説明図。
【図8】実施例2における、電力変換装置の一部を示す断面説明図。
【図9】実施例3における、冷熱試験による熱抵抗の変化を示す線図。
【図10】実施例4における、ゲルグリースの架橋度と塗布状態との関係を示す線図。
【図11】実施例5における、ゲルグリースの架橋度の適正範囲を示す線図。
【符号の説明】
【0055】
1 電力変換装置
2 半導体モジュール
3 絶縁部材
4 冷却管
5 ゲルグリース
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールと該半導体モジュールを冷却するための冷却部材とを積層してなる電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、DC−DCコンバータ回路やインバータ回路等の電力変換回路は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源である電気モータに通電する駆動電流を生成するのに用いられることがある。
一般に、電気自動車やハイブリッド自動車等では、電気モータから大きな駆動トルクを得る必要があるため、駆動電流として大電流が必要となる。
そしてそのため、その電気モータ向けの駆動電流を生成する上記電力変換回路においては、該電力変換回路を構成するIGBT等の電力用半導体素子を含む半導体モジュールからの発熱が大きくなる傾向にある。
【0003】
そこで、電力変換回路を構成する複数の半導体モジュールを均一性高く冷却できるように、冷却媒体(冷媒)の供給及び排出を担う一対のヘッダの間に多数の扁平冷却管を配置し、該扁平冷却管の間に半導体モジュールを挟持した冷却管並列型の電力変換装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、電子部品と該電子部品の熱を放熱する放熱板との間に、熱伝導性のグリースを介在させることにより、電子部品の放熱性能を向上させる構造が開示されている(特許文献2参照)。
そして、半導体モジュールと冷却管との間にグリースを介在させて、両者の間の空間をグリースによって埋めることにより、上述した電力変換装置における半導体モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、グリースは、その両側に配された半導体モジュール及び冷却管による受熱及び冷却に起因する熱ストレスを受ける。また、電力変換装置が自動車のエンジンルーム等に配置されたとき、その使用環境に起因する熱ストレスがグリースにかかることもある。
これにより、グリース中の油分が分離するブリード現象が起こり、グリース中にエアが混入してしまうおそれがある。その結果、グリースの熱伝導性が低下し、半導体モジュールの放熱が不充分となるおそれがある。
【0006】
かかる不具合を解消するために、グリースの油分を架橋させてゲル化することにより上記のブリード現象を抑制することが考えられる。ところが、ゲルは、粘度が高いため、半導体モジュールと冷却管との間に、薄く一様に配置することが困難となる。即ち、ゲルを半導体モジュールや冷却管の表面に塗布しようとすると、粘度が高いために、どうしてもかすれが生じてしまい、半導体モジュールと冷却管との間に、確実にゲルを薄く充填することは困難である。また、かすれのないようにゲルを半導体モジュールや冷却管の表面に塗布するためには、塗布速度を低くする必要があり、生産性が低下してしまうという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−26215号公報
【特許文献2】特開2005−5671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを積層配置してなる電力変換装置であって、
上記半導体モジュールと上記冷却部材との間には、熱伝導性を有するゲルグリースが介在しており、
該ゲルグリースは、架橋度が16〜80%であることを特徴とする電力変換装置にある(請求項1)。
【0010】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記電力変換装置においては、上記半導体モジュールと上記冷却部材との間に、上記ゲルグリースが介在している。そのため、上記半導体モジュールと上記冷却部材とを、両者間に空隙を形成することなく、ゲルグリースを介して密着させることができる。それ故、半導体モジュールと冷却部材との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0011】
そして、上記ゲルグリースの架橋度は16〜80%であるため、充分な熱伝導性を確保することができると共に、半導体モジュールと冷却部材との間に容易にゲルグリースを形成することができる。即ち、上記架橋度を有することにより、ゲルグリースは、熱ストレスに起因するブリード現象を抑制することができる。その結果、ゲルグリースの熱伝導性の低下を抑制し、半導体モジュールの放熱効率を確保することができる。また、上記架橋度を有することにより、ゲルグリースは、粘度が高くなりすぎることもなく、半導体モジュールや冷却部材の主面に、かすれ等を生じることなく均一に容易に塗布することができる。これにより、半導体モジュールの冷却効率を確保することができると共に、電力変換装置の生産性を向上させることができる。
【0012】
以上のごとく、本発明によれば、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置を提供することができる。
【0013】
第2の発明は、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを積層配置してなる電力変換装置を製造する方法であって、
上記半導体モジュールと上記冷却部材との少なくとも一方の主面に、熱伝導性を有すると共に架橋度が16〜80%であるゲルグリースをスクリーン印刷法により塗布する塗布工程と、
上記半導体モジュールと上記冷却部材とを、上記ゲルグリースを介して積層する積層工程とを有することを特徴とする電力変換装置の製造方法にある(請求項4)。
【0014】
次に、本発明の作用効果につき説明する。
上記電力変換装置の製造方法は、上記塗布工程と上記積層工程とを有する。これにより、上記半導体モジュールと上記冷却部材とを、両者間に空隙を形成することなく、ゲルグリースを介して密着させることができる。それ故、半導体モジュールと冷却部材との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0015】
そして、上記塗布工程において上記半導体モジュールと上記冷却部材との少なくとも一方の主面に塗布する上記ゲルグリースの架橋度は16〜80%であるため、充分な熱伝導性を確保することができると共に、半導体モジュールと冷却部材との間に容易にゲルグリースを形成することができる。即ち、上記架橋度を有することにより、ゲルグリースは、熱ストレスに起因するブリード現象を抑制することができる。その結果、ゲルグリースの熱伝導性の低下を抑制し、半導体モジュールの放熱効率を確保することができる。また、上記架橋度を有することにより、ゲルグリースは、粘度が高くなりすぎることもなく、半導体モジュールや冷却部材の主面に、かすれ等を生じることなく均一に容易に塗布することができる。
【0016】
また、上記塗布工程においては、上記ゲルグリースをスクリーン印刷法によって塗布するため、ゲルグリースを半導体モジュールの主面等に、薄く均一に形成することが可能となる。
これにより、半導体モジュールの冷却効率を確保することができると共に、電力変換装置の生産性を向上させることができる。
【0017】
以上のごとく、本発明によれば、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置の製造方法を提供することができる。
【0018】
第3の発明は、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを、両者の間に絶縁部材を介して積層配置してなる電力変換装置を製造する方法であって、
上記半導体モジュールと上記絶縁部材との少なくとも一方の主面、及び上記冷却部材と上記絶縁部材との少なくとも一方の主面に、熱伝導性を有すると共に架橋度が16〜80%であるゲルグリースをスクリーン印刷法により塗布する塗布工程と、
上記半導体モジュールと上記絶縁部材と上記冷却部材とを、上記ゲルグリースを介して積層する積層工程とを有することを特徴とする電力変換装置の製造方法にある(請求項6)。
【0019】
本発明の場合にも、上記第2の発明と同様の作用効果を得ることができる。即ち、半導体モジュールと冷却部材との間に絶縁部材を介在させる必要のある電力変換装置を製造するに当たっても、上記第2の発明と同様の作用効果を得ることができる。
従って、本発明によれば、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
上記第1〜第3の発明において、上記ゲルグリースとしては、例えば、熱伝導を促進する添加材が混入されたものを用いることができる。そして、該添加材としては、例えば、酸化亜鉛等の金属粉を用いることができる。
また、上記ゲルグリースの架橋度が16%未満の場合には、熱ストレスに起因するブリード現象を充分に抑制することが困難となる。その結果、ゲルグリースの熱伝導性の低下を招き、半導体モジュールの放熱効率を充分に確保することが困難となるおそれがある。一方、上記架橋度が80%を超える場合には、ゲルグリースの粘度が高くなりすぎて、半導体モジュールや冷却部材等の主面にゲルグリースを塗布する際に、かすれ等を生じるおそれがあり、均一に塗布することが困難となるおそれがある。
【0021】
上記電力変換装置としては、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源である電気モータに通電する駆動電流を生成するための、DC−DCコンバータやインバータ等がある。
また、上記半導体モジュールとしては、例えば、MOS型FET素子、IGBT素子、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、パワー集積回路等を内蔵したものがある。
【0022】
次に、上記第1の発明(請求項1)において、上記ゲルグリースは、上記半導体モジュールと上記冷却部材との双方に直接密着していることが好ましい(請求項2)。
この場合には、半導体モジュールと冷却部材との間に、上記ゲルグリースのみを介在させることとなる。それ故、熱抵抗の低減を図ることができる。
【0023】
また、上記半導体モジュールと上記冷却部材との間には、絶縁部材が介在しており、上記ゲルグリースは、上記絶縁部材と上記半導体モジュールとの間、及び上記絶縁部材と上記冷却部材との間の双方にそれぞれ介在していてもよい(請求項3)。
この場合には、上記半導体モジュールと上記冷却部材との間の電気的絶縁を確保することができる。例えば、半導体モジュールの主面に電極と電気的に接続された放熱板等が配置されている場合に、この放熱板と冷却部材との間の電気的絶縁を確保し、電力変換装置の正常な動作を確保する必要がある。かかる場合においても、本発明を適用して、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置を得ることができる。
【0024】
次に、上記第2の発明(請求項4)又は上記第3の発明(請求項6)において、上記積層工程の前における上記ゲルグリースの塗布厚みは20〜100μmであることが好ましい(請求項5、請求項7)。
この場合には、半導体モジュールと冷却部材との間、或いは、半導体モジュールと絶縁部材との間、及び絶縁部材と冷却部材との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0025】
即ち、上記塗布工程におけるゲルグリースの塗布厚みを20〜100μmとすることにより、上記積層工程において、半導体モジュールと冷却部材とを、或いは、半導体モジュールと絶縁部材とを、或いは、絶縁部材と冷却部材とを、互いに加圧してゲルグリースを押し潰すとき、ゲルグリースを薄く均一に延ばすことが容易となる。これにより、半導体モジュールと冷却部材との間、或いは、半導体モジュールと絶縁部材との間、及び絶縁部材と冷却部材との間のゲルグリースの厚みを充分に薄くすると共に、全体に充分に広げることができる。そのため、半導体モジュールと冷却部材との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0026】
上記ゲルグリースの塗布厚みが20μm未満の場合には、半導体モジュールと冷却部材との間等の接触面に、充分にゲルグリースを広げることが困難となるおそれがある。これにより、半導体モジュールと冷却部材との間等に、空気が介在してしまうおそれがある。一方、上記塗布厚みが100μmを超えると、上記積層工程において、上記ゲルグリースを充分に押し潰すことが困難となり、最終的なゲルグリースの厚みを小さくすることが困難となるおそれがある。これにより、半導体モジュールと冷却部材との間の熱抵抗が大きくなり、半導体モジュールの冷却効率を向上させることが困難となるおそれがある。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電力変換装置及びその製造方法につき、図1〜図7を用いて説明する。
本例の電力変換装置1は、図1、図2に示すごとく、電力変換回路の一部を構成する半導体モジュール2と、該半導体モジュール2を両面から冷却するための冷却部材としての冷却管4とを積層配置してなる。
【0028】
図1に示すごとく、半導体モジュール2と冷却管4との間には、熱伝導性を有するゲルグリース5が介在している。本例においては、半導体モジュール2と冷却管4との間に絶縁部材3が介在しており、ゲルグリース5は、絶縁部材3と半導体モジュール2との間、及び絶縁部材3と冷却部材4との間の双方にそれぞれ介在している。そして、このゲルグリース5の架橋度は16〜80%である。
【0029】
上記ゲルグリース5としては、熱伝導を促進する添加材として酸化亜鉛等の金属粉を充填してなるシリコーンゲルグリースを用いることができる。即ち、上記金属粉を添加してなるシリコーングリスに架橋剤を添加等することによりゲル化して、上記ゲルグリース5を得る。
【0030】
上記電力変換装置1は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の動力源である電気モータに通電する駆動電流を生成するための、DC−DCコンバータやインバータである。
また、上記半導体モジュール2としては、例えば、MOS型FET素子、IGBT素子、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ等の半導体素子を内蔵したものがある。
そして、半導体モジュール2は、半導体素子を内蔵するモジュール本体部20と、該モジュール本体部20から突出させた主電極端子221と信号端子222とを有する。また、モジュール本体部20の両主面には、上記主電極端子と電気的に接続された放熱板23が露出している。
この放熱板23と上記絶縁部材3とが対向配置され、両者の間にゲルグリース5が介在している。
【0031】
また、上記絶縁部材3はセラミック板からなり、冷却管4はアルミニウムからなる。
図1に示すごとく、冷却管4は、その内部に冷媒流路41を有しており、これに冷却媒体を流通させることができるよう構成してある。また、図2に示すごとく、複数の冷却管4の両端をそれぞれ連結するように連結パイプ401を配置し、2箇所のヘッダ部402を形成してある。また、該2箇所のヘッダ部401、402の一方の端部には、冷却管4に接続された冷媒導入口403と冷媒排出口404とがそれぞれ設けてある。このようにして、複数の冷却管4を並列配置してなる冷却器40が構成されている。
そして、隣り合う冷却管4の間に上述のごとく半導体モジュール2を挟持させ、冷却管4内に冷却媒体を流通させることにより、半導体モジュール2を両面から冷却することができる。
【0032】
上記電力変換装置1を製造するに当たっては、図3〜図7に示すごとく、以下の塗布工程と積層工程とを繰り返す。即ち、塗布工程においては、半導体モジュール2と絶縁部材3との少なくとも一方の主面、及び冷却管4と絶縁部材との少なくとも一方の主面に、ゲルグリース5をスクリーン印刷法により塗布する。また、積層工程においては、半導体モジュール2と絶縁部材3と冷却部材4とを、ゲルグリース5を介して積層する。
【0033】
以下に、図3〜図7を用いて具体的に説明する。
まず、図3に示すごとく、半導体モジュール2を、その一方の主面が上方を向く状態で、チャック治具61によって保持する。そして、上記半導体モジュール2の主面(放熱板23の表面)に、スクリーン印刷法によってゲルグリース5を印刷する。即ち、半導体モジュール2の主面に、印刷パターン621を有するスクリーンマスク62を覆い被せる。そして、該スクリーンマスク62の上面にゲルグリース5を載せると共に、ゲルグリース5を、スキージ63によってこすり付けるようにスクリーンマスク62の印刷パターン621からその下方の半導体モジュール2の主面に印刷する。
【0034】
これにより、図4に示すごとく、半導体モジュール2の所望の位置、範囲に、ゲルグリース5を塗布する。このときのゲルグリース5の塗布厚みは20〜100μmの間で、略均一である。
次いで、図5に示すごとく、ゲルグリース5を塗布した半導体モジュール2の主面に、ゲルグリース5を介して、絶縁部材3を積層する。このとき、所定の加圧力で半導体モジュール2の主面に絶縁部材3を押し付けることにより、ゲルグリース5を押し潰して、半導体モジュール2と絶縁部材3との間に、薄く均一に拡げる。このときのゲルグリース5の膜厚は10μm以下とする。
【0035】
次いで、半導体モジュール2の反対側の主面にも、同様に、ゲルグリース5を塗布すると共に絶縁部材3を積層する。
次いで、図6に示すごとく、半導体モジュール2に積層した絶縁部材3の主面に、ゲルグリース5をスクリーン印刷する。スクリーン印刷の方法は、半導体モジュール2の主面への印刷時(図3)と同様である。
これにより、図7に示すごとく、絶縁部材3の主面に、ゲルグリース5を略均一厚みに形成する。このゲルグリース5の塗布厚みは20〜100μmである。
【0036】
次いで、半導体モジュール2の反対側の主面に積層した絶縁部材3の主面にも、同様に、ゲルグリース5をスクリーン印刷する。
次いで、図1に示すごとく、半導体モジュール2を隣り合う冷却管4の間に配置すると共に、冷却管4によって、半導体モジュール2の両主面からゲルグリース5を介して挟み込む。このとき、ゲルグリース5を、膜厚が10μm以下となるように押し潰す。
そして、複数の半導体モジュール2について、同様の組付け方法によって、冷却管4と積層することにより、図2に示すような電力変換装置1を得る。
【0037】
次に、本例の作用効果につき説明する。
上記電力変換装置1においては、上記半導体モジュール2と上記冷却管4との間に、上記ゲルグリース5が介在している。そのため、半導体モジュール2と冷却管4とを、両者間に空隙を形成することなく、ゲルグリース5を介して密着させることができる。それ故、半導体モジュール2と冷却管4との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュール2の冷却効率を向上させることができる。
【0038】
本例においては特に、上述のごとく半導体モジュール2と冷却管4との間に絶縁部材3を介在させ、半導体モジュール2と絶縁部材3との間、及び絶縁部材3と冷却管4との間に、それぞれゲルグリース5が介在している。そのため、半導体モジュール2と絶縁部材3とを、両者間に空隙を形成することなく、ゲルグリース5を介して密着させることができると共に、絶縁部材3と冷却管4とを、両者間に空隙を形成することなく、ゲルグリース5を介して密着させることができる。それ故、半導体モジュール2と冷却管4との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュール2の冷却効率を向上させることができる。
【0039】
そして、上記ゲルグリース5の架橋度は16〜80%であるため、充分な熱伝導性を確保することができると共に、半導体モジュール2と絶縁部材3との間、及び絶縁部材3と冷却管4との間に容易にゲルグリース5を形成することができる。即ち、上記架橋度を有することにより、ゲルグリース5は、熱ストレスに起因するブリード現象を抑制することができる。その結果、ゲルグリース5の熱伝導性の低下を抑制し、半導体モジュール2の放熱効率を確保することができる。また、上記架橋度を有することにより、ゲルグリース5は、粘度が高くなりすぎることもなく、半導体モジュール2や冷却管4の主面に、かすれ等を生じることなく均一に容易に塗布することができる。これにより、半導体モジュール2の冷却効率を確保することができると共に、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。
【0040】
また、本例の電力変換装置を製造するに当たり、上記塗布工程において、ゲルグリース5をスクリーン印刷法によって塗布するため、ゲルグリース5を半導体モジュール2の主面等に、薄く均一に形成することが可能となる。これにより、半導体モジュール2の冷却効率を確保することができると共に、電力変換装置1の生産性を向上させることができる。
【0041】
そして、上記積層工程の前におけるゲルグリース5の塗布厚みは20〜100μmである。これにより、半導体モジュール2と絶縁部材3との間、及び絶縁部材3と冷却部材4との間の熱抵抗を低減して、半導体モジュール2の冷却効率を向上させることができる。
【0042】
以上のごとく、本例によれば、放熱効率に優れ、生産性に優れた電力変換装置及びその製造方法を提供することができる。
【0043】
(実施例2)
本例は、図8に示すごとく、半導体モジュール2と冷却管4との間に、絶縁部材(図1の符号3参照)を介在させずに、ゲルグリース5のみを介在させた構成の電力変換装置1の例である。
ゲルグリース5は、半導体モジュール2と冷却管4との双方に直接密着している。
また、本例の半導体モジュール2は、主面に放熱板(図1の符号23参照)を露出させていない。そのため、半導体モジュール2と冷却管4との間に絶縁部材を介在させる必要がない。
その他は、実施例1と同様である。
【0044】
本例の場合には、半導体モジュール2と冷却管4との間に一層のゲルグリース5を介在させるのみの構成とすることができるため、半導体モジュール2と冷却管4との間の熱抵抗の低減を図ることができる。これにより、半導体モジュール2の冷却効率をより向上させることができる。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0045】
(実施例3)
本例は、図9に示すごとく、架橋度の異なる複数のゲルグリースの熱抵抗が、冷熱試験によってどのように変化するかを調べた例である。
試験に当たっては、架橋度をそれぞれ0%、50%、60%、70%、80%、100%としたゲルグリースを用意した。そして、ゲルグリースの初期塗布厚を50μmとし、2つの部材で挟み込み、約5μmの膜厚となるように押し潰した。そして、そのゲルグリースの表裏の間の熱抵抗を測定した。なお、冷熱試験を行う最中にゲルグリースの膜厚は多少薄くなる。
【0046】
また、冷熱試験は、気相において、−30℃の状態を30分継続した後110℃の状態を30時間継続するという工程を1サイクルとし、これを3000サイクル繰り返すことにより行った。そして、冷熱試験の前の初期、冷熱試験の途中、そして3000サイクル後において、それぞれゲルグリースの熱抵抗を測定した。
その結果を図9に示す。
【0047】
同図において、冷熱サイクルの前(冷熱サイクル数0)の時点の熱抵抗がいずれも高いのは、初期状態においてはゲルグリースの膜厚が大きく、その後、冷熱サイクルを行う間に膜厚が小さくなり安定するためであると考えられる。それ故、ゲルグリースの膜厚が最初から安定していたとすれば、500サイクル以上のデータから類推すると、500サイクル目よりも熱抵抗が小さい値であると考えられる。
【0048】
そして、図9から分かるように、500サイクル目のデータ以降については、冷熱サイクルを行うにつれ、徐々に熱抵抗が大きくなっているが、架橋度が0%のサンプルについては、特に熱抵抗が高くなっている。これは、熱ストレスに起因するブリード現象が生じているためであると考えられる。逆に、架橋度が50%以上のサンプルについては、比較的熱抵抗を小さく抑えることができる。
この結果から、架橋度0、即ちゲル化していないグリースの場合には、熱ストレスに起因するブリード現象によって、ゲルグリースの熱伝導性の低下を招くおそれがあり、架橋させることにより、熱伝導性の低下を抑制することができることが分かる。
【0049】
(実施例4)
本例は、図10に示すごとく、ゲルグリースの架橋度と塗布状態との関係を調べた例である。
即ち、架橋度の異なる複数のゲルグリースを、種々の印刷速度(スキージの速度)にて、半導体モジュールの主面にスクリーン印刷し、その印刷状態を目視によって確認した。
観察結果を図10に示す。同図において、かすれのない良好なものを○、若干のかすれのあるものを△、かすれが多いものを×として表した。
【0050】
試験結果から、架橋度が低いほど、印刷速度を速くしても良好な印刷が可能となることが分かる。そして、架橋度が80%以下であれば、印刷速度を75mm/秒としても、かすれを生じることなく良好な印刷を行うことができることが分かる。従って、架橋度を80%以下とすることにより、スクリーン印刷を効率よく行うことができ、生産性を向上させることができることが分かる。
【0051】
(実施例5)
本例は、図11に示すごとく、耐久性及び粘度の観点から、ゲルグリースの粘度の適正範囲を考察した例である。
即ち、上記実施例3において示した冷熱試験前後の熱抵抗の変化率についての架橋度依存性を、実線L1にて表す。また、架橋度と粘度との関係を実線L2にて表す。なお、図11において、左側の縦軸に冷熱試験前後の熱抵抗の変化率のスケールを示し、右側の縦軸に粘度のスケールを示す。また、粘度については、マルコム粘度計を用いて測定した。
【0052】
図11の実線L1から分かるように、架橋度を16%以上とすることにより、冷熱試験前後の熱抵抗変化率を100%以下とすることができる。これは、架橋度を16%以上とすれば、冷熱試験によって初期状態よりも熱抵抗が大きくなることを防ぐことができることを示し、耐久性を確保することができることを示す。
【0053】
また、図11の実線L2から分かるように、架橋度を約70%以上に大きくしていくと、粘度が徐々に高くなる。そして、ゲルグリースの製造バラツキを考慮すると、印刷作業性の観点から架橋度を80%以下とすることが望ましいことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1における、電力変換装置の一部を示す断面説明図。
【図2】実施例1における、電力変換装置の斜視説明図。
【図3】実施例1における、半導体モジュールへのゲルグリースのスクリーン印刷方法の説明図。
【図4】実施例1における、半導体モジュールにゲルグリースを塗布した状態を示す説明図。
【図5】実施例1における、半導体モジュールにゲルグリースを介して絶縁部材を積層した状態を示す説明図。
【図6】実施例1における、絶縁部材へのゲルグリースのスクリーン印刷方法の説明図。
【図7】実施例1における、絶縁部材にゲルグリースを介して絶縁部材を積層した状態を示す説明図。
【図8】実施例2における、電力変換装置の一部を示す断面説明図。
【図9】実施例3における、冷熱試験による熱抵抗の変化を示す線図。
【図10】実施例4における、ゲルグリースの架橋度と塗布状態との関係を示す線図。
【図11】実施例5における、ゲルグリースの架橋度の適正範囲を示す線図。
【符号の説明】
【0055】
1 電力変換装置
2 半導体モジュール
3 絶縁部材
4 冷却管
5 ゲルグリース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを積層配置してなる電力変換装置であって、
上記半導体モジュールと上記冷却部材との間には、熱伝導性を有するゲルグリースが介在しており、
該ゲルグリースは、架橋度が16〜80%であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1において、上記ゲルグリースは、上記半導体モジュールと上記冷却部材との双方に直接密着していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1において、上記半導体モジュールと上記冷却部材との間には、絶縁部材が介在しており、上記ゲルグリースは、上記絶縁部材と上記半導体モジュールとの間、及び上記絶縁部材と上記冷却部材との間の双方にそれぞれ介在していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを積層配置してなる電力変換装置を製造する方法であって、
上記半導体モジュールと上記冷却部材との少なくとも一方の主面に、熱伝導性を有すると共に架橋度が16〜80%であるゲルグリースをスクリーン印刷法により塗布する塗布工程と、
上記半導体モジュールと上記冷却部材とを、上記ゲルグリースを介して積層する積層工程とを有することを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、上記積層工程の前における上記ゲルグリースの塗布厚みは20〜100μmであることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを、両者の間に絶縁部材を介して積層配置してなる電力変換装置を製造する方法であって、
上記半導体モジュールと上記絶縁部材との少なくとも一方の主面、及び上記冷却部材と上記絶縁部材との少なくとも一方の主面に、熱伝導性を有すると共に架橋度が16〜80%であるゲルグリースをスクリーン印刷法により塗布する塗布工程と、
上記半導体モジュールと上記絶縁部材と上記冷却部材とを、上記ゲルグリースを介して積層する積層工程とを有することを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、上記積層工程の前における上記ゲルグリースの塗布厚みは20〜100μmであることを特徴とする電力変換装置。
【請求項1】
電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを積層配置してなる電力変換装置であって、
上記半導体モジュールと上記冷却部材との間には、熱伝導性を有するゲルグリースが介在しており、
該ゲルグリースは、架橋度が16〜80%であることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1において、上記ゲルグリースは、上記半導体モジュールと上記冷却部材との双方に直接密着していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項1において、上記半導体モジュールと上記冷却部材との間には、絶縁部材が介在しており、上記ゲルグリースは、上記絶縁部材と上記半導体モジュールとの間、及び上記絶縁部材と上記冷却部材との間の双方にそれぞれ介在していることを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを積層配置してなる電力変換装置を製造する方法であって、
上記半導体モジュールと上記冷却部材との少なくとも一方の主面に、熱伝導性を有すると共に架橋度が16〜80%であるゲルグリースをスクリーン印刷法により塗布する塗布工程と、
上記半導体モジュールと上記冷却部材とを、上記ゲルグリースを介して積層する積層工程とを有することを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、上記積層工程の前における上記ゲルグリースの塗布厚みは20〜100μmであることを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
電力変換回路の一部を構成する半導体モジュールと、該半導体モジュールを両面から冷却するための冷却部材とを、両者の間に絶縁部材を介して積層配置してなる電力変換装置を製造する方法であって、
上記半導体モジュールと上記絶縁部材との少なくとも一方の主面、及び上記冷却部材と上記絶縁部材との少なくとも一方の主面に、熱伝導性を有すると共に架橋度が16〜80%であるゲルグリースをスクリーン印刷法により塗布する塗布工程と、
上記半導体モジュールと上記絶縁部材と上記冷却部材とを、上記ゲルグリースを介して積層する積層工程とを有することを特徴とする電力変換装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6において、上記積層工程の前における上記ゲルグリースの塗布厚みは20〜100μmであることを特徴とする電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−236120(P2007−236120A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55161(P2006−55161)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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