電力情報管理システム
【課題】
電力供給の制限・遮断が望ましくない需要家への電力供給を担保し、かつ、広域の地域に対する電力遮断操作による需要応答を、迅速かつ効率的に行うことを課題とする。
【解決手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、電力供給の遮断が望ましくない需要家の配電系統上における位置を、配電系統上における計量器や区間開閉器などの配電設備の相互接続関係情報に基づいて算出し、さらに配電系統上に存在する配電用変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器などの配電設備についてそれぞれの電力供給遮断可否を判定し、前記判定情報に基づき電力供給の遮断制御を実行することで、迅速かつ効率的な需要応答を実現する。
電力供給の制限・遮断が望ましくない需要家への電力供給を担保し、かつ、広域の地域に対する電力遮断操作による需要応答を、迅速かつ効率的に行うことを課題とする。
【解決手段】
上記の課題を解決するために、本発明では、電力供給の遮断が望ましくない需要家の配電系統上における位置を、配電系統上における計量器や区間開閉器などの配電設備の相互接続関係情報に基づいて算出し、さらに配電系統上に存在する配電用変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器などの配電設備についてそれぞれの電力供給遮断可否を判定し、前記判定情報に基づき電力供給の遮断制御を実行することで、迅速かつ効率的な需要応答を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家の契約情報や配電系統情報などの電力流通に関する情報を管理・提供し、電力供給ひっ迫時の需要応答を行う技術、例えば、電力情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力の需給において、需要電力量(以下、需要量)と供給電力量(以下、供給量)が一致していることが必要である。従って需要量が増加した場合、これに伴い電力量を増加させる。しかし、需要量が最大供給量に漸近する、もしくは最大供給量を超過することが予想される場合、需要家に対して電力使用の抑制を依頼する、もしくは電力の使用量を制限するといった需要応答の実施が重要となる。このような需要応答を実現するデマンドコントロールシステムとしては、特許文献1の方法がある。特許文献1では、特定地域内の需要家に対して、節電依頼通知を一斉同報することにより、需要応答を実現している。より詳細には、電力事業者が管理する特定の地域の需要電力量が所定の閾値を超えた場合、通信回線を介して電力事業者から需要家に対して一斉同報で節電要請を発信し、当該地域の需要電力量が閾値以下に低下した場合一斉同報で節電解除を発信することにより需要応答を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-345177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術によれば、電力供給ひっ迫時の需給応答を達成するために、特定地域のすべての需要家に対して、一斉同報により節電要請を行っている。ここで、節電要請を行ったにもかかわらず期待される電力需要抑制効果が得られない場合、緊急的措置として、強制力の高い電力需要の制限、もしくは停止操作が実施される。しかし、需要家の中には、電力供給の停止が望ましくない需要家が存在する。例えば、病院や、家庭内で常時通電が必要な医療機器(例えば生命維持装置)を利用している需要家などは、電力供給の停止により生命に関わる事態招く虞がある。このような需要家に対しては、電力供給の停止は望ましくない。
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、一斉に電力需要の制限、解除を行なうため、個別の需要家毎の制御は考慮されていない。そのため、特許文献1の技術では、このような電力供給の停止が望ましくない需要家が配電系統上のどこに属しているかがわからない。そのため、適切な電力供給の制限・停止操作が困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡易な装置により電力供給の制限が望ましくない需要家への電力供給を担保し、緊急時の電力供給の制限・停止操作を適切、かつ効率的に可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、電力供給ひっ迫時における需給応答、特に緊急時における電力供給の制限・停止操作を行う場合に、需要家の配電系統網上における位置関係を管理し、また予め取得した需要家毎の電力供給遮断の可否情報を対応付けることにより、電力供給の制限が望ましくない需要家への電力供給を担保しつつ、かつ配電系統網上の各種設備に存在するフィーダや区間開閉器などのスイッチを適切に操作することにより、緊急時の電力供給の制限・停止操作を効率的に行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力供給の制限・遮断が望ましくない需要家に対する電力供給を担保しつつ、緊急時における広範囲の地域に対する電力供給の制限・遮断操作を、行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に関する電力情報管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に関する電力情報管理システムの適用する場面を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に関する電力情報管理システムの全体処理フローの一例である。
【図4】本発明の一実施形態に関する電力情報管理システムを適用した場合の効果の一例である。
【図5】本発明の一実施形態に関する電力情報管理システムを適用した場合の効果の一例である。
【図6】本発明の一実施形態に関する需要家情報記録手段が保持する需要家情報テーブルの一例である。
【図7】本発明の一実施形態に関する設備情報記録手段が保持する計量器情報テーブルの一例である。
【図8】本発明の一実施形態に関する設備情報記録手段が保持する変圧器情報テーブルの一例である。
【図9】本発明の一実施形態に関する設備情報記録手段が保持する区間開閉器情報テーブルの一例である。
【図10】本発明の一実施形態に関する設備情報記録手段が保持するフィーダ情報テーブルの一例である。
【図11】本発明の一実施形態に関する設備情報記録手段が保持する配電用変電所情報テーブルの一例である。
【図12】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図13】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図14】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図15】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図16】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図17】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図18】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報記録手段が保持する計量器遮断禁止情報テーブルの一例である。
【図19】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報記録手段が保持する柱上変圧器遮断禁止情報テーブルの一例である。
【図20】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報記録手段が保持する区間開閉器遮断禁止情報テーブルの一例である。
【図21】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報記録手段が保持するフィーダ遮断禁止情報テーブルの一例である。
【図22】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報記録手段が保持する配電用変電所遮断禁止情報テーブルの一例である。
【図23】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図24】本発明の一実施形態に関する設備制御プログラムの処理フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
<実施形態の構成例>
先ずは、本実施形態の構成例と、本構成例における各要素の説明をする。
【0012】
図1は、本実施形態に関わる電力情報管理システムのブロック図である。電力情報管理システムは、需要家からの申請に基づき作成される需要家の所在地、もしくは契約場所や、電力供給の遮断可否情報などの需要家情報を蓄積し提供する、需要家情報管理装置1001と、配電系統上における変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器などの相互接続関係、および計量器の設置場所などの設備情報を蓄積・提供し、加えて配電系統上の区間開閉器などの各設備に対して、電力供給の遮断命令を発行する配電管理装置1101と、前記需要家情報管理装置1001と配電管理装置1101が管理する情報に基づき、配電系統網上における各需要家の位置関係を割り出し、かつ需要家情報管理装置が持つ各需要家の電力供給可否情報を参照することで、配電系統上のフィーダや区間開閉器などの各設備の緊急時における遮断可否を判定し、また判定結果を遮断禁止情報として蓄積し提供する電力情報管理装置1301と、電力供給ひっ迫による緊急的措置である広域需要家の電力需要の制限・遮断操作を行う際に、前記電力情報管理装置1301が作成した遮断禁止情報に基づき、配電管理装置1101が発行した制御命令を受信し、配電系統上の区間開閉器などの各設備に対する遮断および遮断解除操作を実行する、制御装置1401から構成される。
【0013】
需要家情報管理装置1001は、需要家の契約に関する情報を管理することを主たる目的とした装置であり、最小構成の例であれば、CPU(中央演算処理装置)1005、キーボードやマウス等の入力装置1006、ディスプレイやプリンタ等の出力装置1007、無線LANや有線LANなどの通信装置1008、およびメモリやハードディスクドライブなどの記憶装置1002から構成されるパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータなどのコンピュータ機器である。
【0014】
記憶装置1002は、需要家からの申請に基づき作成される需要家の所在地、もしくは契約場所や、電力供給の遮断可否情報などの需要家情報を記録する需要家情報記録手段1003と、前記需要家情報記録手段に対し、需要家情報の登録・削除・更新処理を行う需要家情報管理プログラム1004を具備する。
【0015】
配電管理装置1101は、配電系統上の設備情報の管理、および前記設備に対する遮断・通電といった制御命令の発行を主たる目的とした装置であり、最小構成の例であれば、CPU(中央演算処理装置)1106、キーボードやマウス等の入力装置1107、ディスプレイやプリンタ等の出力装置1108、無線LANや有線LANなどの通信装置1109、およびメモリやハードディスクドライブなどの記憶装置1102から構成されるパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータなどのコンピュータ機器である。
【0016】
記憶装置1102は、電力事業者の作業員により予め作成された、配電系統上における変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器、および計量器の設置場所といった配電設備の位置関係を、各設備の相互接続関係として記録する設備情報記録手段1103と、前記設備情報記録手段に対し、前記設備情報の登録・削除・更新処理を行う設備情報管理プログラム1104と、後述する電力情報管理装置1301が作成した、配電系統上における各設備の電力供給遮断可否情報に基づき、各設備に対して電力供給の遮断命令発行し制御命令として制御装置1401に送信する設備制御プログラム1105を具備する。
【0017】
電力情報管理装置1301は、配電系統上のフィーダや区間開閉器といった各設備に対して電力供給の遮断可否を判定し、また判定結果情報を蓄積し提供することを主たる目的とした装置であり、最小構成の例であれば、CPU(中央演算処理装置)1306、キーボードやマウス等の入力装置1307、ディスプレイやプリンタ等の出力装置1308、無線LANや有線LANなどの通信装置1309、およびメモリやハードディスクドライブなどの記憶装置1302から構成されるパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータなどのコンピュータ機器である。
【0018】
記憶装置1302は、需要家情報管理装置1101が管理している需要家情報である、各需要家の所在地や遮断可否情報と、配電管理装置1101が管理している区間開閉器や計量器、および計量器の設置場所といった配電系統上の各設備の相互接続関係情報とを突き合わせることで、電力供給がひっ迫した際の緊急的処置である広範囲の需要家に対する電力需要の制限・遮断操作時おいて、前記各設備のどこが遮断可能でどこが遮断不可能かを判定し、さらに遮断禁止情報として出力する、遮断禁止情報作成プログラム1304と、前記遮断禁止情報を記録する遮断禁止情報記録手段1303と、前記遮断禁止情報記録手段に対する遮断禁止情報の登録・削除・更新を行う、遮断禁止情報管理プログラムを具備する。
【0019】
本実施例において、前記需要家情報管理装置1001、配電管理装置1101、および電力情報管理装置1301はそれぞれ異なる装置であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記3つの装置の内の2つ、もしくは3つすべてが同一装置であっても構わない。
制御装置1401は、前記配電管理装置1101が発行・送信した制御命令に基づき、実際に各設備の制御を実行することを主たる目的とした装置であり、CPU(中央演算処理装置)1406、キーボードやマウス、ボタン等の入力装置1407、ディスプレイやプリンタ等の出力装置1408、無線LANや有線LANなどの通信装置1409、およびメモリやハードディスクドライブなどの記憶装置1402から構成されるパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、もしくはマイクロコントローラなどのコンピュータ機器である。
【0020】
記憶装置1402は、前記配電管理装置から受信した制御命令に基づき、制御対象設備の電力供給の遮断・通電操作を行う制御実行プログラム1410と、制御対象設備に接続されている別の設備の遮断禁止情報に基づき、自身の遮断可否を判定し、さらに遮断禁止情報として出力する遮断禁止情報作成プログラム1405と、前記遮断禁止情報を記録する遮断禁止情報記録手段1403と、前記遮断禁止情報記録手段1403に対する遮断禁止情報の登録・削除・更新を行う遮断禁止情報管理プログラム1405を具備する。
【0021】
制御実行プログラム1410は、配電管理装置1101から受信した制御命令に基づき自動的に制御を実行しても構わないが、制御命令を受信した旨の通知を出力装置1408に出力した後に処理を待機し、その後入力装置1407を介して、人手により最終的な制御操作を実行しても構わない。
【0022】
また、前記需要家情報管理装置1001、配電管理装置1101、および電力情報管理装置1301は、必ずしもすべて同一の事業者により運用管理する必要はない。例えば、需要家情報管理装置1001、配電管理装置1101は電力事業者が運用し、電力情報管理装置1301は第三者事業者が運用管理しても構わない。この場合、電力事業者が運用する需要家情報管理装置1001から、第三者事業者が運用管理する電力情報管理装置1301に対して需要家情報を転送する際には、需要家の同意の下、適切な暗号化処理を行い転送する。また、制御装置1401に対して制御命令を送信する際は、先ず、フィーダや区間開閉器などの配電設備毎の電力供給遮断可否情報である制御情報を、第三者事業者が運用管理する電力情報管理装置1301から電力事業者が運用管理する配電管理装置1101に対して送信し、その後、電力事業者が運用管理する配電管理装置1101が各配電設備の制御装置1401に対して制御命令を送信してもよいし、あるいは、第三者事業者が運用管理する電力情報管理装置1301が、当該事業者が運用管理する制御装置1401に対して、直接制御命令を送信してもよい。
【0023】
<本実施例の全体概要>
次に、本実施例による効果を得るための処理の全体概要を、図2、図3、図4、図5を用いて説明する。
【0024】
図2を用いて、本実施例を実際に適用した場合の一例を説明する。
【0025】
この例では、前記需要家管理装置1001、配電管理装置1101、および電力情報管理装置1301は、それぞれ異なる装置として適用しており、各装置間の通信は、ネットワーク1901を介して行う。前記ネットワーク1901は、主としてデータの送受信を目的としたものであり、通信事業者が管理する一般通信網でも構わないし、電力事業者が独自に管理する専用通信網でも構わない。また、電子的な情報交換のみならず、USBメモリやCD−ROM等を利用した物理的な情報交換であってもよい。また前記3つの装置の内2つ、もしくは3つすべてが同一装置として適用される場合、ネットワーク1901は、装置内のバスを介した通信でもよい。一方、配電系統上の設備の直接制御を実行する制御装置は、配電用変電所2001、フィーダ2002、区間開閉器2003、柱上変圧器2004、計量器2005などの配電設備にそれぞれ一台ずつ設置し、ネットワーク1902を介して、配電管理装置1101からの制御命令を受信する。ネットワーク1902は、主として設備の制御を行うためのものであり、電気事業者により管理される専用回線網であることが多いが、通信事業者の管理する一般回線網であっても構わず、通信手段も有線方式・無線方式は問わない。また、予め通信機能と電力供給遮断制御機能を持つ配電設備であれば制御装置1401は必ずしも必要なく、前記配電設備の機能を利用してもよい。
【0026】
図3を用いて、前記適用構成例における本実施例の処理動作の全体概要を説明する。
【0027】
先ず、ステップS301で、需要家情報記録手段1003に対し需要家情報の 登録を行う。この登録処理は、需要家情報管理プログラム1004が行う。また前記需要家情報の基となる情報は、需要家自身から申請された契約申請情報である。また、前記登録処理は、需要家からの申請を受け付けた後、無条件に開始してもよいが、例えば、何らかの審査を経て、また前記審査の結果に対する需要家の受諾を受けたのち、開始してもよい。前記審査には、例えば、電力供給の遮断を「可」もしくは「不可」とした場合、電力供給がひっ迫した緊急時やそうでない通常時の電力使用料金を、電力単価表に従って算出し、前記算出結果を需要家に提示するといった方法でもよい。次に、ステップS302で、配電系統上の各設備の遮断禁止情報の作成・登録を行う。前記作成処理は遮断禁止情報作成プログラム1304が、また登録処理は、遮断禁止情報管理プログラムが行う。そしてステップS304において、電力供給ひっ迫による緊急的措置である広域需要家の電力需要の制限・遮断操作を行うか否かの判定を行う。この判定は、機械的・自動的に行ってもよいし、人手による判定でもよい。そして、電力需要の制限・遮断操作を行うと判断された場合、ステップS304において、配電管理装置1101が制御命令を発行し、また前記制御命令を受信した各配電設備の制御装置1401が、実際に電力供給の遮断を実行する。
【0028】
次に、前記図3に示した本発明の処理動作により得られる効果のイメージを、図4、図5を用いて説明する。
【0029】
図4は、ある特定地域における配電系統を示したイメージ図である。当地域の配電系統に接続している需要家の内、例えば、鉄道事業者4001や、データセンタ事業者4002などは、電力供給が遮断された場合の人的・経済的被害がきわめて大きいと考えられるため、電力供給がひっ迫した緊急時においても、供給を遮断することは望ましくない。また前述した大口需要家以外にも、例えば比較的小規模な病院4003や、生命維持装置を運用している一般需要家4004や4005などの需要家も、緊急時とはいえ電力の供給を遮断してしまった場合、きわめて甚大な人的被害が発生する可能性があるため、これら需要家に対する供給遮断措置も望ましくない。この問題を解決する手段の一つとして、例えば、すべての需要家世帯に対し通信機能および電力遮断機能を備えた計量器、もしくは制御装置を設置し、当該装置を介して一世帯ずつ供給遮断制御を行うことも考え得るが、この制御操作を数十万から数百万世帯に対して一斉に行おうとした場合、輻輳等の発生により、所望の時刻までに期待する電力需要抑制効果を得ることが出来ない恐れがある。
【0030】
そこで本発明では、緊急時の電力供給の制限・遮断操作を行う場合、前述した電力供給遮断措置が望ましくない需要家への電力供給は担保しつつ、その上で可能な限り配電系統の上位設備に対して遮断操作を行うことにより、短期間のうちに効率的に期待する電力需要効果を得ることを目的としている。
【0031】
例えば、配電用変電所4101には二つのフィーダ4201と4202が存在している。この時フィーダ4101の下位に接続している需要家の中に、遮断不可という申請をしている需要家が存在しないため、緊急時にはフィーダ4201を遮断することにより、その下位の需要家一世帯ずつ遮断操作を行う必要なく、目的を達成することが出来る。一方、フィーダ4202に接続している需要家4003は予め遮断不可という申請を行っているため、フィーダ4202での遮断は出来ない。この場合、当該需要家4003への電力供給を担保するために、緊急時の遮断措置としては、需要家4006の計量器に対し直接遮断操作を行う。また、フィーダ4203の下位に接続している需要家にも供給遮断が望ましくない需要家4004が存在する為、フィーダ4203での遮断は出来ない。しかし一方、フィーダ4203の直下に接続している区間開閉器4301を見ると、当該区間開閉器の下位に接続している需要家には遮断不可の申請をしている需要家は存在しない。従って、緊急時の遮断措置としては、区間開閉器4301での遮断が可能である。
【0032】
図5は、図4で説明した本発明の適用イメージについて、配電設備の相互接続関係のみを論理的に示した図である。図5において、ボックスは配電設備一つ一つを示し、またボックス内に表示されているマルおよびバツは前述した遮断禁止情報であり、マルは緊急時における供給遮断措置が禁止されている配電設備を示し、バツは供給遮断措置が許可されている配電設備を示している。例えば図5において、配電系統上で最下層に位置する計量器の遮断禁止情報を見た場合、供給遮断が禁止されている計量器は5001、5002、5003の3つであり、これはすなわち、前記3つの計量器が設置された場所を管理する、もしくは居住する需要家から予め遮断不可申請を受けていることを意味している。従って前述のように、計量器5001の上位接続設備である柱上変圧器5101についても、供給遮断が禁止される。同様に、柱上変圧器5101の上位接続設備である区間開閉器5201、区間開閉器5201の上位接続設備であるフィーダ5301、フィーダ5401の上位接続設備である配電用変電所5401についても、供給遮断が禁止される。一方、計量器5002に相当する需要家は高圧需要家であるためフィーダから直接電力供給を受けているが、計量器5002の上位接続設備がフィーダ5302であるため、当該フィーダも同様に供給遮断が禁止される。この様に、各配電設備に対して緊急時における供給遮断の可否を示したものが遮断禁止情報であり、これは遮断禁止情報作成プログラム1304により作成され、遮断禁止情報管理プログラム1305を通じて、遮断禁止情報記録手段1303に記録される。また前記遮断禁止情報を作成するために必要な情報が、需要家情報記録手段1003に記録されている需要家情報である、需要家の所在地、および遮断可否情報と、設備情報記録手段1103に記録されている設備情報である、フィーダや区間開閉器などの配電設備の相互接続情報と、最下位設備である計量器の設置場所である。さらに作成された遮断禁止情報に基づいて電力情報管理装置1101が制御命令を発行し、当該制御命令を受信した制御装置1401が実際の設備制御を行うことで、緊急時の需要応答を達成する。
【0033】
以降では、ステップS302に相当する遮断禁止情報の作成方法と、ステップS304に相当する制御命令発行および制御実行方法について、それぞれ図を用いて説明する。
【0034】
<遮断禁止情報の作成のために必要な情報>
ここでは、各配電設備の遮断禁止情報の作成方法を、図6から図23を用いて説明する。また図6から図11、および図18から図22のテーブル例を示した図は、前記図5の配電系統の論理概念図に相当している。
【0035】
図6を用いて、需要家情報記録手段1003に記録されている需要家情報について、その一例を説明する。
【0036】
図6は、需要家情報記録手段1003に記録されている需要家情報テーブルの一例である。例えば、行6001に記載されているID「C00001」を割り振られた需要家は、所在地に相当する契約場所のIDが「P00001」であり、かつ申請時に遮断可否情報として遮断不可と申請していたため、遮断禁止フラグが「True」として記録されている。同様に、申請時に遮断不可と申請した需要家は、行6002に記載の需要家IDが「C00012」である需要家と、行6003に記載の需要家IDが「C00018」である需要家の、計三名である。他の需要家情報についても同様に、需要家からの申請に基づき、需要家情報管理プログラム1004を通じて作成され、需要家情報記録手段1003に登録される。
【0037】
次に、設備情報記録手段1103に記録されている設備情報について、図7から図11を用いて説明する。
【0038】
図7は、各需要家世帯に設置された計量器とその設置場所の関係を記録した、計量器情報テーブルの一例である。例えば、行7001は、ID「M00001」の計量器は、ID「P00001」の場所に設置されていることを示している。また、工場や二世帯住宅など、同一の場所に二つ以上の異なる計量器が設置される場合があるが、このような場合、例えば行7002、7003のように、ID「M00002」と「M00003」の計量器はどちらも、同一ID「P00002」の場所に紐づけて記録される。
【0039】
図8は、柱上変圧器と前記変圧器からの電力引込場所との接続関係を記録した、柱上変圧器情報テーブルの一例である。例えば、行8001は、ID「T00001」の柱上変圧器はID「P00001」の場所に対して引込線を引いていることを示している。また、図5のフィーダ5302のように、ある場所に対して柱上変圧器を介すことなく、フィーダから直接電力を引き込む場合がある。このような場合でも、フィーダ5302を仮想的な柱上変圧器とみなし、当該場所に直接紐づけて柱上変圧器情報テーブルに記録する。例えば、行8001に示すID「F00003」とは図5でのフィーダ5302に相当しているが、このID「F00003」のフィーダはID「P00011」の場所に直接紐づけて、当該テーブルに記録される。
【0040】
図10は、フィーダと区間開閉器との接続関係を記録した、フィーダ情報テーブルの一例である。当該テーブルにおいても前記計量器情報テーブルや柱上変圧器情報テーブルと同様に、原則として、フィーダと区間開閉器との接続関係を記録したテーブルであるが、前述の通り、ID「P00011」の場所に対して、ID「F00003」のフィーダから直接電力線が引き込まれている。従って、当該フィーダ情報テーブルにおいても同様に、行10001に示すように、ID「F00003」のフィーダは、ID「P00011」の場所を仮想的な区間開閉器と見做し、紐づけて記録される。
【0041】
図9は、区間開閉器と柱上変圧器との接続関係を記録する区間開閉器情報テーブルの一例である。
【0042】
図11は、配電用変電所とフィーダとの接続関係を記録する変電所情報テーブルの一例である。図9と図11の両テーブルとも、前記計量器情報テーブル、柱上変圧器情報テーブル、フィーダ情報テーブルと同様に、原則として、例えば区間開閉器情報テーブルは区間開閉器と柱上変圧器との接続関係を記録し、また変電所情報テーブルは配電用変電所とフィーダとの接続関係を記録するが、例えば、区間開閉器から直接ある場所に対して電力線が引き込まれている場合、前述と同様に、当該場所を仮想的な柱上変圧器と見做して区間開閉器と紐付け、区間開閉器情報テーブルに記録する。
【0043】
本実施例では、配電設備毎にテーブルを分離しているが、本テーブルに記録すべき情報は、各配電設備が電力線で接続されることにより発生する親子関係であり、この親子関係が記録可能であるならばどの様な構成で情報を管理してもよく、例えば、前記図7から図11の各テーブルを一つのテーブルとしても構わない。
【0044】
また、前記柱上変圧器情報テーブルに関して、本実施例では、柱上変圧器に対して電力線の引き込み場所を接続先と見做し対応付けたが、配電設備の観点では、本来柱上変圧器は計量器と接続するため、柱上変圧器に対し計量器を接続関係として記録してもよい。しかし前記のような柱上変圧器テーブルとした場合、実運用において計量器は比較的高頻度に交換されることを鑑みると、計量器が交換されるたびに、計量器情報テーブル、および前記柱上変圧器テーブルの二つのテーブルを更新しなければならない。一方、柱上変圧器と引き込み先場所とを紐づけて記録している柱上変圧器テーブルであるならば、計量器を交換した場合でも場所に変化があるわけではないため、計量器交換時の情報更新は計量器情報テーブルのみでよく、すなわち本実施例における柱上変圧器情報の記録方法は、情報管 理の容易化、および処理の高速化に寄与するものである。
【0045】
<遮断禁止情報の一例>
次に、配電設備毎の遮断禁止情報の作成方法、および作成結果の情報例を、図12から図23を用いて説明する。
【0046】
先ずは、処理の結果として作成される遮断禁止情報について、図18から図22を用いてその一例を説明する。なお、図18から図22は、前記図5で示した配電系統の論理概念図に相当しており、適宜図5も用いて説明する。
【0047】
本実施例で言及する遮断禁止情報とは、フィーダや区間開閉器などの配電設備を一意に識別する設備IDと、遮断禁止可否を「True」「False」のブール値で表現した遮断禁止フラグの2種の情報の対で表現したものを例として想定する。なお、遮断禁止フラグが「True」とは、緊急時の供給遮断が禁止されていることを意味し、また「False」とは、緊急時の供給遮断が許可されていることを意味する。
【0048】
図18は、各計量器の遮断禁止情報を示した計量器遮断禁止フラグテーブルの例であり、行18001において、ID「M00001」の計量器の遮断禁止フラグは「True」であり、すなわち、緊急時においても電力供給の遮断が禁止されていることを意味している。一方、行18002において、ID「M00002」の計量器の遮断禁止フラグは「False」であり、すなわち、緊急時において電力供給の遮断が許可されていることを意味している。これら計量器の遮断禁止フラグの状態は、配電系統の上位設備に影響を与える。例えば、遮断禁止フラグが「True」であるID「M00001」の計量器について、その設置場所は、図7の行7001より、ID「P00001」の場所であることがわかり、また図8の行8002より、ID「P00001」の場所に引込線を渡している柱上変圧器は、ID「T00001」の変圧器であることがわかる。従って、前記ID「T00001」の柱上変圧器の遮断禁止フラグも「True」になり、これは図19において一例として示される柱上変圧器遮断禁止フラグテーブルの行19001に記録されている。同様にID「T00001」の上位に位置する配電設備は、図9の行9001よりID「S00001」の区間開閉器であることがわかるため、当該区間開閉器の遮断禁止フラグも「True」となる。これは、図19における行20001に記録されている。さらにID「S00001」の区間開閉器の上位に位置する配電設備は、図10の行10002よりID「F00001」のフィーダであることがわかるため、前記と同様に当該フィーダの遮断禁止フラグも「True」となり、これは図21の行21001に記録されている。さらに、ID「F00001」の上位に位置する配電設備は、図11の行11001よりID「DSS00001」の配電用変電所であることがわかるため、これも同様に、当該変電所の遮断禁止フラグを「True」とし、これは図22の行22001に記録されている。
【0049】
一方、ID「M00002」の計量器の遮断禁止フラグは「False」であるが、このフラグ値も前記と同様に、上位の配電設備に影響を与える。例えば、前述と同様に、ID「M00002」の上位に位置する配電設備は、図8から図11を参照することにより、下位から順番に、ID「T00002」の柱上変圧器、ID「S00001」の区間開閉器、ID「F00001」のフィーダ、および、ID「DSS00001」の配電用変電所であることがわかる。前述と同様に処理するならば、これら4つの配電設備の遮断禁止フラグはすべて「False」となるが、本発明は、遮断禁止フラグが「True」の設備に対して電力供給を担保することを原則としており、言い換えると、各配電設備に接続している設備に、それぞれ「True」の遮断禁止フラグを持つ設備が一つでも存在している場合、当該設備の遮断禁止フラグは「True」とする。例えば、図9の行9001、および行9002より、ID「S00001」の区間開閉器に接続する下位設備は、ID「T00001」と「T00002」の柱上変圧器であることがわかる。しかし、図19の行19001で説明したとおり、ID「T00001」の柱上変圧器の遮断禁止フラグは、すでに「True」になっている。従って、本発明の原則に従い、ID「S00001」の遮断禁止フラグは「True」とする。ただし、遮断禁止フラグの値は不変ではなく、例えば、ID「C00001」の需要家が、契約場所を変えることなく遮断可否を「可」として再申請した場合、ID「M00001」の遮断禁止フラグも「True」から「False」に変更され、これに伴い、ID「T00001」の柱上変圧器の遮断禁止フラグも「False」に変更される。この時、ID「T00002」の遮断禁止フラグも「False」であるならば、さらに上位のID「S00001」の遮断禁止フラグも「True」から「False」に変更される。
【0050】
本実施例において、遮断禁止情報は、配電設備毎に独立して記録しているが、遮断禁止情報の本質は、緊急時において遮断が禁止されている、もしくは許可されている設備を簡易な方法で識別するための情報であるため、例えば、一つのテーブルにすべての遮断禁止情報を記録してもよいし、あるいは、遮断禁止テーブルと遮断許可テーブルの二つを用意し、それぞれに設備のIDのみを記録する方法でもよい。
【0051】
<遮断禁止情報の作成手順>
次に、前記遮断禁止情報に含まれる遮断禁止フラグの作成方法について、図12から図17、および図23を用いて具体的に説明する。なお、遮断禁止フラグの作成には、以下の4つの実施形態がある。
【0052】
第一の実施形態は、各配電設備の遮断禁止フラグを作成する際、本実施例において配電系統における最下位設備である計量器の遮断禁止フラグから、最上位設備である配電用変電所フラグまで一度に同期的に作成し、かつ、前記作成処理をメインフレーム等の一組の計算機内部で処理する形態である。本実施形態における処理フローについて、図12から図17を用いてその一例を説明する
先ず、図12から図14は、本実施形態において、遮断禁止フラグ「True」を作成する場合の処理フローである。この処理は、図1における遮断禁止情報作成プログラム1304において実行される。以降の説明では、仮にID「C00029」の需要家が、遮断可否を「不可」として再申請した場合を例として、具体的に説明してゆく。
【0053】
先ず、ステップS1201において、遮断禁止フラグ作成対象となる需要家のIDを変数「C」にセットし、ステップS1202において需要家ID「C」を検索キーとして需要家情報テーブルから当該需要家の契約場所IDを取得し、変数「P」としてメモリに記憶する。例えばここでは、遮断可否に「不可」として再申請しているID「C00029」の需要家を例とし、「C」にID「C00029」を記憶すると、需要家情報テーブルである図6の行6004より、場所ID「P00029」を取得できるため、当該IDを「P」としてメモリに記憶する。この時、契約場所IDが取得できない場合は、新規契約であるため、新たに契約場所IDを発行し、同様に変数「P」としてメモリに記憶する。次に、ステップS1203において、前記「P」を検索キーとして計量器情報テーブルから当該場所に紐づけられている計量器IDを取得し、変数「M」としてメモリに記憶し、さらに、「M」を検索キーとして、計量器遮断禁止フラグテーブルから当該計量器のフラグ値を取得し、当該フラグ値を「True」に書き換える。例えば、場所ID「P00029」を検索キーとして計量器情報テーブルである図7を検索すると、行7004より、計量器IDとして「M00030」を取得できるため、当該IDを変数「M」としてメモリに記憶する。ついで、計量器遮断禁止テーブルである図18に対し、計量器ID「M00030」を検索キーとして検索すると、フラグ値として「False」が取得されるため、これを「True」に書き換える。以降の処理は、上位の配電設備の遮断禁止フラグを順に書き換える処理に入る。例えば、ステップS1205において、場所ID「P00029」を検索キーとして、柱上変圧器情報テーブルである図8の行8003より、柱上変圧器ID「T00018」を取得。ついでステップS1206において、柱上変圧器ID「T00018」を検索キーとして、変圧器遮断禁止フラグテーブルである図19の行19002より、フラグ値「False」を取得する。ここで、次のステップS1207において、フラグ値が「True」か否かの判定を行う。これは、仮に取得したフラグ値が「True」であった場合、本実施形態での処理においては、当該変圧器より上位の配電設備の遮断禁止フラグも同様に「True」となっているため、以降のフラグ書き換え処理を行う必要がなく、従って処理の高速化が期待できるためである。すなわち、仮に前記取得した柱上変圧器の遮断禁止フラグが「True」であった場合、ここで「True」フラグの作成処理は終了するが、本例では取得したフラグ値は「False」であるため、次のステップS1208において、変圧器遮断禁止フラグテーブルである図19の行19002のフラグ値を「True」に書き換えて、次のステップに進む。以降、同様に、上位設備の遮断禁止フラグの値を、順に「True」に書き換えてゆく。例えば、図13において、ステップS1301からステップS1304までは区間開閉器の遮断禁止フラグ値の書き換え処理であり、またステップS1305からステップS1308までは、フィーダの遮断禁止フラグの書き換え処理である。また、図14において、ステップS1401からS1404は、配電用変電所の遮断禁止フラグの書き換え処理である。また、ステップS1303、S1307、およびS1403において、各配電設備の遮断禁止フラグテーブルから取得した直後のフラグ値を判定し、「True」であればその時点で処理を終了し、「False」であれば「True」に書き換えたのち、さらに上位の配電設備の遮断禁止フラグの書き換え処理に移行する。
【0054】
以上が、第一の実施形態における、遮断禁止フラグ「False」を「True」に書き換える方法の一例である。次に、遮断禁止フラグ「True」を「False」に書き換える方法の一例を、図15から図17を用いて説明する。以降の説明では、仮にID「C00018」の需要家が、遮断可否を「可」として再申請した場合を例として、具体的に説明してゆく。
【0055】
先ず、ステップS1501において、遮断禁止フラグ作成対象となる需要家のIDを変数「C」にセットし、ステップS1502において需要家ID「C」を検索キーとして需要家情報テーブルから当該需要家の契約場所IDを取得し、変数「P」としてメモリに記憶する。例えばここでは、遮断可否に「可」として再申請しているID「C00018」の需要家を例とし、「C」にID「C00018」を記憶すると、需要家情報テーブルである図6の行6003より、場所ID「P00018」を取得できるため、当該IDを「P」としてメモリに記憶する。この時、契約場所IDが取得できない場合は、新規契約であるため、新たに契約場所IDを発行し、同様に変数「P」としてメモリに記憶する。次に、ステップS1503において、前記「P」を検索キーとして計量器情報テーブルから当該場所に紐づけられている計量器IDを取得し、変数「M」としてメモリに記憶し、さらに、「M」を検索キーとして、計量器遮断禁止フラグテーブルから当該計量器のフラグ値を取得し、当該フラグ値を「False」に書き換える。例えば、場所ID「P00018」を検索キーとして計量器情報テーブルである図7を検索すると、行7005より、計量器IDとして「M00019」を取得できるため、当該IDを変数「M」としてメモリに記憶する。ついで、計量器遮断禁止テーブルである図18に対し、計量器ID「M00019」を検索キーとして検索すると、フラグ値として「True」が取得されるため、これを「False」に書き換える。以降の処理は、上位の配電設備の遮断禁止フラグを順に書き換える処理に入る。例えば、ステップS1505において、場所ID「P00018」を検索キーとして、柱上変圧器情報テーブルである図8の行8004より、柱上変圧器ID「T00011」を取得。ついでステップS1506において、柱上変圧器ID「T00011」を検索キーとして、変圧器遮断禁止フラグテーブルである図19の行19003より、フラグ値「True」を取得する。ここで、次のステップS1507において、フラグ値が「False」か否かの判定を行う。これは、仮に取得したフラグ値が「True」であった場合、本実施形態での処理においては、当該変圧器の下位に接続するいずれかの配電設備の遮断禁止フラグが同様に「True」となっている可能性があり、その場合、当該変圧器の遮断禁止フラグを「False」に書き換えることが出来ないためである。本例では取得したフラグ値は「True」であるため、次のステップである図16におけるS1601において、当該変圧器のID「T」を検索キーとして変圧器情報テーブルを検索し、当該変圧器の下位に接続するすべての計量器IDを取得し、リスト「MList」としてメモリに記憶した後、ステップS1602、およびステップS1603において、前記「MList」をキーとして、計量器遮断禁止フラグテーブルから、下位に接続するすべての配電設備の遮断禁止フラグに「True」が存在するか否かを判定する。例えば、前記変圧器ID「T00011」を検索キーとして変圧器情報テーブルである図8を検索し、行8004および8005より、下位設備のIDとして「P00017」「P00018」である場所のIDを取得する。その後、前記場所ID「P00017」「P00018」を検索キーとして需要家情報テーブルである図6を検索する。本例における図6では、場所ID「P00018」の遮断禁止フラグは「True」と表記されているが、前記ステップS1501を開始する前の段階である、需要家からの遮断可否の再申請時において、当該行の遮断禁止フラグは「False」に書き換えられている。従って、本実施例では、場所ID「P00017」および「P00018」の遮断禁止フラグは、すべて「False」として取得する。すなわち、前記変圧器「T00011」に接続する下位の設備の遮断禁止フラグはすべて「False」であることが確認できたため、ステップS1604において、当該変圧器の遮断禁止フラグを「False」に書き換える。以降、同様に、上位設備の遮断禁止フラグの値を、順に「False」に書き換えてゆく。例えば、図16において、ステップS1605からステップS1611までは区間開閉器の遮断禁止フラグ値の書き換え処理であり、また図17において、ステップS1701からステップS1707までは、フィーダの遮断禁止フラグの書き換え処理であり、また、ステップS1708からS1714は、配電用変電所の遮断禁止フラグの書き換え処理である。また、ステップS1607、S1703、およびS1710において、各配電設備の遮断禁止フラグテーブルから取得した直後のフラグ値を判定し、「False」であればそのまま上位設備の遮断禁止フラグの作成、更新処理に進み、「True」であれば、当該配電設備の下位に接続するすべての設備の遮断禁止フラグを取得し、前記遮断禁止フラグの中に一つでも「True」が存在したならば、当該配電設備の遮断禁止フラグも「True」のまま変更せず、一方、取得した下位設備の遮断禁止フラグがすべて「False」であれば、当該配電設備の遮断禁止フラグも「False」に書き換えた後、さらに上位の配電設備の遮断禁止フラグの書き換え処理に移行する。
以上が、第一の実施形態における、遮断禁止フラグの作成方法であるが、本処理を開始するタイミングは、例えば、需要家からの遮断可否申請を受け付けた時点でも構わないし、あるいは、一定時間間隔、もしくは任意のタイミングで行ってもよい。ただし、一定時間間隔、もしくは任意のタイミングで行う場合は、図6に示す需要家情報テーブルにおける遮断禁止フラグを事前に最新の値に更新し、また、ステップS1201で対象とする需要家は、前回の遮断禁止フラグ作成処理を行った時点以降に申請の事実がある需要家のみを対象とすることが望ましい。
【0056】
遮断禁止フラグを作成する第二の実施形態は、各配電設備が自らの遮断フラグを自律的に、かつ他の設備のフラグ作成処理とは非同期に実行し、かつ、前記作成処理をメインフレーム等の一組の計算機内部で処理する形態である。本実施形態における処理フローについて、図23を用いてその一例を説明する。
【0057】
先ず、ステップS2301において、遮断禁止フラグの作成対象である設備のIDを変数「Pa」としてメモリに記憶する。なお、以降、この遮断禁止フラグの作成対象設備を「親設備」と呼称する。例えば、ここでは、親設備としてID「M00002」を持つ計量器を選択し、「Pa」に当該IDを記憶する。次に、ステップS2303において、「Pa」をキーとして親設備の設備情報テーブルを検索し、親設備に接続するすべての子設備IDを取得する。例えば、図7に示す計量器情報テーブルに対して「M00002」をキーとして検索すると、子設備のIDとして「P00002」の場所IDを取得する。次に、ステップS2306にて、子設備のIDが場所のIDか否かを判定する。これは、場所に紐づく遮断禁止フラグは、設備毎の遮断禁止フラグテーブルではなく、需要家情報テーブルに記録されていることから、場所の遮断禁止フラグを取得するためには、需要家情報テーブルにアクセスする必要があるためである。本例では、取得した子設備のIDは場所のIDであるため、ステップS2307において、ID「P00002」をキーとして、図6の需要家情報テーブルに対して検索を行い、遮断禁止フラグを取得する。検索結果としては、図6の行6001より、遮断禁止フラグ値として「True」を取得する。最後に、ステップS2309において、子設備の遮断禁止フラグが「True」であるか否かを判定し、「True」であった場合は、ステップS2310において、親設備の遮断禁止フラグを「True」に書き換えて終了する。これは、本発明の原則である、配電系統上における下位設備の中に、一つでも遮断禁止フラグが「True」である設備があるならば、その上位設備の遮断禁止フラグもすべて「True」とするという原則に従うためである。
【0058】
以上が、遮断禁止フラグの作成方法における第二の実施形態の説明である。本実施形態では、遮断禁止フラグの作成を配電設備毎に独立かつ非同期に実行するため、例えば、処理を高速化するために、プログラムプロセスを複数生成し同時に実行してもよい。また、第一の実施形態、および第二の実施形態では、一組の計算機ですべての処理を行う形態であるため、各ステップ間でのデータのやり取りは、例えば、メモリ間通信などにより実施される。
【0059】
遮断禁止フラグを作成する第三の実施形態は、配電系統における最下位設備である計量器の遮断禁止フラグから、最上位設備である配電用変電所フラグまで一度に同期的に作成し、かつ、前記フラグ作成処理を、配電設備毎に設置した制御装置を用いて実行する形態である。
【0060】
本実施例においては、例えば、各配電設備に設置された制御装置1401に具備されている遮断禁止情報作成プログラム1404は、主として3つの処理動作を行う。一つ目の処理動作は、下位設備からの遮断禁止フラグの受信である。二つ目の処理は、自設備の遮断禁止フラグの更新である。仮に、下位配電設備から受信した遮断禁止フラグが「True」であった場合、自身の遮断禁止フラグ値を「True」とし、遮断禁止情報管理プログラム1405を介して、遮断禁止情報記録手段1403に自身の遮断禁止フラグの値を記録する。一方、下位配電設備から受信した遮断禁止フラグが「False」であった場合、自設備に接続されているすべての下位配電設備に対して、各設備の遮断禁止フラグ値を問合せ、収集する。そして前記収集した遮断禁止フラグの中に、一つでも「True」が含まれていた場合は、自身の遮断禁止フラグ値も「True」に、収取した遮断禁止フラグがすべて「False」であった場合は、自身の遮断禁止フラグ値も「False」とし、遮断禁止情報管理プログラム1405を介して、遮断禁止情報記録手段1403に自身の遮断禁止フラグの値を記録する。そして三つ目の処理は、自設備の上位に接続している配電設備の制御装置1401に対して、自設備の遮断禁止フラグ値の送信である。本実施形態において、前記一つ目の処理の開始条件は、自設備に接続する下位設備のいずれかより、遮断禁止フラグ値を受信した場合である。ただし、本実施例において、計量器の下位設備は存在しないため、計量器に対する前記一つ目の処理の開始条件は、例えば、電力情報管理装置1301、もしくは需要家管理装置1001から送信される、設置場所の遮断禁止フラグ値を受信したときである。以上、一つ目から三つ目までの処理動作を、各配電設備に設置された制御装置1401が行うことで、配電系統における最下位設備である計量器の遮断禁止フラグから、最上位設備である配電用変電所フラグまで一度に同期的に作成、更新することが可能である。
【0061】
遮断禁止フラグを作成する第四の実施形態は、各配電設備が自らの遮断フラグを自律的に、かつ他の設備のフラグ作成処理とは非同期に実行し、加えて、前記フラグ作成処理を、配電設備毎に設置した制御装置を用いて実行する形態である。
【0062】
本実施例においては、例えば、配電設備に設置された制御装置1401に具備されている遮断禁止情報作成プログラム1404が行う処理は、主として一つののみであり、自設備に接続されている下位設備の遮断禁止フラグを監視することにより、自設備の遮断禁止フラグ値の更新のみを行う。すなわち、各配電設備の制御装置1401は、自設備に接続している下位設備の遮断禁止フラグをすべて取得し、取得した遮断禁止フラグの中に一つ手でも「True」が存在すれば、自設備の遮断禁止フラグも「True」に、取得した遮断禁止フラグのすべてが「False」であれば、自設備の遮断禁止フラグも「False」とし、遮断禁止情報管理プログラム1405を介して、遮断禁止情報記録手段1403に自身の遮断禁止フラグの値を記録する。本実施形態において、前記一つ目の処理の開始条件は、任意のタイミング、もしくは定期的でもよい。前記処理を、各配電設備の制御装置1401が、それぞれ非同期、自律的に行うことで、各配電設備の遮断禁止フラグの作成、更新が可能である。
【0063】
以上が、遮断禁止フラグの作成方法に関する、四つの実施形態の説明である。ここで、第三の実施形態における二つ目と三つ目の処理において必要な情報である、自設備の下位、および上位の設備情報、および、第四の実施形態における処理において必要な情報である、自設備の下位の設備情報は、例えば、システム上において各設備を一意に識別するための設備IDと、通信ネットワーク上において各設備を一意に識別するためのアドレスの対情報として、各制御装置1301に具備されている設備情報記録手段1411に記録されており、これを持って、各配電設備の制御装置1401は、自設備の下位および上位設備の識別を可能にしている。ただし、各配電設備の制御装置1401が、自設備の下位および上位設備を識別するための手段は、前記方法に限定されるものではなく、例えば、必要に応じて、各制御装置1401が配電管理装置1101に対して問い合わせることにより取得するといった方法でも構わない。
【0064】
また、第三および第四の実施形態における遮断禁止フラグの記録場所は、本例では、各制御装置1401に具備されている遮断禁止情報記録手段1403としたが、遮断禁止フラグの記録場所は本例に限定されるものではなく、例えば、電力情報管理装置1301に具備されている遮断禁止情報記録手段1303に記録しても構わない。また、前記遮断禁止情報記録手段1303に遮断禁止フラグを送信するタイミングは、各制御装置1401が自設備の遮断禁止フラグを決定したタイミングでも構わないし、任意のタイミング、もしくは定期的でも構わない。
【0065】
また、第一および第三の実施形態で説明した、接続関係のあるすべての配電設備の遮断禁止フラグを、一度にかつ同期的に作成する方法は、各配電設備間での遮断禁止フラグの整合性を保証できるというメリットがあるが、対象となる配電設備が大量に存在する場合は、遮断禁止フラグの作成処理単位当たりに要する時間が大きいというデメリットがある。一方、第二および第四の実施形態で説明した、各配電設備は自設備の遮断禁止フラグのみを、自律的かつ非同期に作成する方法は、例えば、ある配電設備「A」の遮断禁止フラグを「False」とした直後に、当該配電設備「A」の下位設備「B」が遮断禁止フラグを「True」に書き換えた場合、次に配電設備「A」が遮断禁止フラグ作成処理を行うまで、本来設備「A」の遮断禁止フラグは「True」であるところを「False」として運用してしまうといった、各配電設備間での遮断禁止フラグの整合性を保証できないといったデメリットがあるが、対象となる配電設備が大量に存在する場合でも、遮断禁止フラグの作成処理単位当たりに要する時間は小さいというメリットがある。
【0066】
また、前記実施形態では、電力供給の遮断可否申請を需要家単位として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の需要家が属する地域単位での遮断可否申請の場合にも適用可能である。例えば、ある公共施設の周辺地域「COM00002」については、電力供給の遮断を「不可」としたい場合、需要家情報テーブルである図6における、行6006、6007、6008、6002、6009、6010、6005、および6003の需要家の遮断禁止フラグを「True」として更新した後、前記第一から第四の実施形態として説明した遮断禁止フラグの作成方法により、地域「COM00002」に対して接続関係にあるすべての配電設備の遮断禁止フラグを作成、更新してもよい。
【0067】
また、前記、第一から第四の実施形態は、それぞれ独立した実施形態として限定されるものではなく、例えば、設備数が比較的多いと考えられる計量器や柱上変圧器などの遮断禁止フラグは第四の実施形態により作成し、設備数が比較的少ないと考えられる配電用変電所やフィーダなどの遮断禁止フラグは、第一の実施形態により作成しても構わない。
【0068】
<遮断禁止情報に基づく制御方法>
次に、前記四つの実施形態により説明した遮断禁止フラグ作成方法により作成された遮断禁止フラグに基づき、フィーダや区間開閉器などの配電設備を制御する方法について説明する。なお、遮断禁止フラグに基づく配電設備の制御方法は、以下の2つの実施形態がある。
【0069】
第一の実施形態は、遮断禁止フラグが「True」になっている配電設備の内、各配電系統の最上位にある配電設備に対して直接制御命令を送信し、制御する方法である。本方法は、主として、2つの処理動作を行う。一つ目の処理動作は、遮断対象設備の決定であり、配電管理装置1101に具備されている設備制御プログラム1105において実行される。この処理フローについて、図24を用いてその一例を説明する。
【0070】
先ず、ステップS2401において、配電系統上の最上にあたる配電設備のIDをすべて、リスト「IDList」としてメモリに記録する。例えば、本実施例における最上位の配電設備は配電用変電所であるため、図10より、ID「DSS00001」「DSS00002」「DSS00003」を、「IDList」としてメモリに記憶する。次にステップS2402において、「IDList」からIDを一つ選択し、さらにステップS2403において当該IDの種別を判定後、ステップS2404において、当該IDの配電設備に対応する遮断禁止フラグテーブルから、当該配電設備の遮断禁止フラグを取得し、変数「F」としてメモリに記憶する。例えば、ID「DSS00001」を選択した場合、当該IDは配電用変電所のIDであるため、配電用変電所の遮断禁止フラグテーブルである図22の行22001より、遮断禁止フラグ値として「True」を取得するため、変数「F」として「True」を記憶する。次に、ステップS2405において、取得した遮断禁止フラグの値が「True」か否かを判定し、「True」である場合、ステップS2406において、遮断制御対象の設備IDとして、メモリ上のリスト「ShutDownList」に記憶する。例えば、前記取得したID「DSS00001」の配電用変電所の遮断禁止フラグは「True」であるため、リスト「ShutDownList」にID「DSS00001」を記憶する。一方、ステップS2404において取得した遮断禁止フラグが「False」であった場合、ステップS2407において、当該設備に接続する下位設備のIDをすべて取得し、リスト「IDList2」としてメモリに記憶する。例えば、ステップS2402においてID「DSS00003」を選択した場合は、ステップS2404において、図22の行22002より、遮断フラグ値として「False」を取得する。従って、ID「DSS00003」に接続しているすべての下位設備として、配電用変電所情報テーブルである図11の行11002、11003から、「F00005」「F00006」を取得し、メモリ上のリスト「IDList2」に記憶する。前記、ステップS2402からS2408までの処理を、ステップS2401で入力した設備数の分だけ繰り返したのち、ステップS2410において、「IDList」を「IDList2」で上書き更新し、再度、ステップS2402から処理を実行していく。最終的に、ステップS2408において、リスト「IDList2」に記憶する設備IDがなくなった場合、ステップS2410において、遮断制御対象設備のリストである「ShutDownList」を、制御情報として出力する。以上、遮断禁止フラグを判定し、「True」ならば、当該配電設備のIDを抽出し、一方「False」であれば、当該設備の下位設備について同様に遮断禁止フラグの判定を繰り返すという処理を、配電系統の最上位のから順に実行してゆくことにより、遮断禁止フラグが「True」になっている配電設備の内、各配電系統の最上位にある配電設備のみを抽出することが可能である。
【0071】
以上が、第一の実施形態における一つ目の処理であり、二つ目の処理として、前記作成した制御情報に記載されている配電設備の制御装置1401に対して、直接制御命令を送信することにより、本実施形態での制御を実施する。なお、本方法は、可能な限り上位の配電設備を遮断することにより、当該設備に接続する全需要家への遮断操作を実現している為、例えば、同様の効果を得るために、各計量器に対して制御命令を送信する方法と比較し、送信する制御命令のデータ量、および制御操作の操作数を削減することが可能である。
【0072】
遮断禁止フラグに基づく配電設備の制御方法の第二の実施形態は、配電管理装置1101は制御対象設備を特定することなく制御命令を送信し、制御命令を受信した各配電設備の制御装置1401が自律的に判断する方法である。例えば、配電管理装置1101は、制御命令として、遮断操作の実行という信号のみを、全配電設備、もしくは特定系統の設備を対象に、一斉同報する。次に、当該制御命令を受信した各配電設備の制御装置1401は、遮断禁止情報記録手段1403から自身の遮断禁止フラグ値を参照し、「True」であれば遮断操作を実行し、「False」であれば実行しないという判断を、自律的に行う。なお当該処理は、各制御装置1401に具備されている制御実行プログラム1410において実行する。
【0073】
以上が、遮断禁止フラグに基づく配電設備の制御方法における、二つの実施形態に関する説明であるが、前記第一、および第二の実施形態は、それぞれ独立した実施形態として限定されるものではなく、例えば、設備数が比較的多いと考えられる計量器や柱上変圧器に対しては、第二の実施形態により制御を実行し、一方、設備数が比較的少ないと考えられる配電用変電所やフィーダなどに対しては、第一の実施形態により制御を実行しても構わない。
【0074】
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば上記実施形態では、配電系統の構造として完全な木構造を想定したが、配電系統の一部が環状構造になっている場合にも適用可能である。この場合、例えば、遮断禁止フラグが「True」である配電設備の上位に二つの配電設備が接続される場合がある。この時、前記上位の二つの配電設備の両方共を遮断禁止フラグ「True」としても構わないが、例えば、前記上位の二つの設備にそれぞれ接続しているすべての下位設備の数を、配電管理装置の設備情報記録手段より算定し、接続している下位設備の数がより少ないほうの遮断禁止フラグを「False」としてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、制御装置に制御命令を送信するネットワークは、制御用ネットワークを利用するとして説明したが、制御装置の種別によっては、一般的な情報通信用ネットワークを利用しても構わない。
【0076】
また、上記実施形態では、需要家情報管理装置、配電管理装置、および電力情報管理装置はそれぞれ異なる装置として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記3つの装置の内の2つ、もしくは3つすべてが同一装置であっても構わない。
【0077】
また、上記実施形態では、各配電設備に設置された制御装置は、配電管理装置から受信した制御命令に基づき自動的に制御を実行するとして説明したが、制御命令を受信した旨の通知を出力装置に出力した後に処理を待機し、その後入力装置を介して、人手により最終的な制御操作を実行しても構わない。また、設備自体に、上記実施形態において説明した制御装置と同等の機能が備わっているならば、当該機能を利用しても構わない。
【0078】
また、上記実施形態では、遮断禁止フラグが「True」となっている配電設備の電力供給は遮断してはいけないと説明したが、本発明の意義は、電力供給を遮断してはいけない需要家に対し電力供給を担保することであり、本意義を逸脱しない限り、遮断禁止フラグが「True」であっても、電力供給を遮断してもよい。例えば、遮断禁止フラグが「True」である配電設備「A」について、当該設備の下位に接続している設備の中に、太陽光発電機、ディーゼル発電機、もしくは蓄電池等の電力供給能力を持つ設備が接続されており、かつ、前記電力供給能力を持つ設備は、配電設備「A」に接続している供給遮断不可である需要家の需要を満たす為に十分な供給能力を持ち、また前記需要家に対して電力供給が可能であるならば、前記配電設備「A」への電力供給を遮断してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、遮断禁止フラグは「True」「False」の2値として説明したが、必ずしも2値でなくてもよい。例えば、遮断禁止フラグが「True」である需要家の中にも、遮断停止時間が短時間で済む状況など、緊急度合いが比較的低い場合は、遮断しても構わない需要家が存在する場合がある。前述の場合、需給ひっ迫の緊急度合いに従い、例えば緊急度合いが比較的低い場合でも遮断してもよいレベル1から、中程度の緊急度合であれば遮断してもよいレベル2、緊急度合いが非常に高い場合のみ遮断してもよいレベル3などといった連続値で、遮断禁止フラグを作成し管理してもよい。この時、上位配電設備の遮断禁止フラグの作成方法としては、例えば、下位設備にレベル「1」と「2」の遮断禁止フラグを持つ設備の場合、前記レベル値の中で最も高い値である「2」を、自身の遮断禁止フラグとしてもよい。また、配電管理装置は、制御命令として前記1から3のいずれかのレベル値を発行することにより、当該レベル以下の遮断禁止フラグを持つ設備のみ遮断することが出来る。
【0080】
また、上記実施形態では、遮断禁止フラグが「False」となっている配電設備の電力供給は遮断してもよいと説明したが、必ずしもすべての配電設備の電力供給線を遮断しなくてもよい。例えば、柱上変圧器「T001」の下位に、計量器「M001」と計量器「M002」が接続されている場合、仮に計量器「M001」および「M002」の遮断禁止フラグが双方とも「False」であれば、両計量器とも遮断をしても構わない。しかし、仮に計量器「M001」に紐づく需要家「C001」が、蓄電池や太陽光発電機などの電力供給能力を有する設備を保有していた場合、緊急時においては、例えば計量器「M002」に紐づく需要家「C002」への電力供給のために、計量器「M001」および「M002」の電力供給線の遮断は望ましくない。この場合例えば、需要家からの申請に基づき、需要家「C001」および「C002」の遮断禁止フラグ値を、各々「False」から「ExceptionTrue」に変更し、再度各設備の遮断禁止フラグを再生成する。ここでこの例でのフラグ値「ExceptionTrue」とは、当該設備の遮断は禁止するが、上位設備の遮断までは禁止しないという意味である。従って前記例の場合、柱上変圧器「T001」の下位設備の遮断禁止フラグはいずれも「ExceptionTrue」であるため、柱上変圧器「T001」の遮断禁止フラグは「False」のままである。遮断禁止フラグの再生成後に再度制御命令を発行すると、柱上変圧器「T001」は遮断されるが、計量器「M001」および「M002」は遮断されず、従って、需要家「C001」「C002」の間での電力融通が可能である。
【0081】
また実運用においては、例えばビル内のテナントといった需要家など、電力会社の管理が及ばず、ゆえに電力会社の配電管理装置からこれら個々の需要家の配電設備に対して直接的な制御命令の発行が困難な場合があるが、前記場合においても、本発明は有効である。遮断禁止フラグの作成方法としては、例えば、先ずビル所有者が管理する需要家情報管理装置に対して、ビル内の各テナント需要家の遮断可否申請に基づく遮断禁止フラグを登録する。この時、契約場所IDとしては、例えばビルの名称や識別子「PB001」でもよい。次に、電力事業者が管理する需要家情報管理装置から、前記ビル所有者が管理する需要家管理装置に対して、契約場所ID「PB001」をキーとして当該場所の各需要家の遮断禁止フラグを取得し、一つでも「True」が存在すれば、電力事業者が管理する当該需要家の遮断禁止フラグも「True」とする。その後、ビル管理者および電力事業者のそれぞれが管理する配電設備の遮断禁止フラグを各々作成する。この時電力事業者が管理する配電設備とは、上記実施例での説明と同様に、例えば配電用変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器であり、またビル管理者が管理する配電設備とは、例えば各テナント需要家に対して設置された、分電制御盤などの制御装置である。またビル内における制御命令の発行方法は、例えば、前記各テナント需要家に設置された制御装置に直接制御命令を転送してもよいし、あるいは、ビル全体を統括管理する制御装置に対して制御命令を転送する方法でもよい。またこの例では、各テナント需要家の情報管理、ビル内設備の遮断禁止フラグ作成、および制御命令発行を、ビル管理者が行うとして説明したが、例えば第三者サービス事業者が行ってもよい。
【0082】
本実施の形態によれば、電力供給の制限・遮断が望ましくない需要家への電力供給を担保し、かつ、広域の地域に対する電力遮断操作による需要応答を、迅速かつ効率的に行うことが可能になる。例えば、その一例として、電力供給の遮断が望ましくない需要家の配電系統上における位置に基づき、配電系統上に存在する配電用変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器などの配電設備についてそれぞれの電力供給遮断可否を判定し、前記判定情報に基づき電力供給の遮断制御を実行することで、迅速かつ効率的な需要応答を実現することが出来る。
【符号の説明】
【0083】
1001:需要家情報管理装置、1002:記憶装置、1003:需要家情報記録手段、1004:需要家情報管理プログラム、1005:CPU(中央演算処理装置)、1006:入力装置、1007:出力装置、1008:通信装置、1101:配電管理装置、1102:記憶装置、1103:設備情報記録手段、1104:設備情報管理プログラム、1105:設備制御プログラム、1106:CPU(中央演算処理装置)、1107:入力装置、1108:出力装置、1109:通信装置、1301:電力情報管理装置、1302:記憶装置、1303:遮断禁止情報記録手段、1304:遮断禁止情報作成プログラム、1305:遮断禁止情報管理プログラム、1306:CPU(中央演算処理装置)、1307:入力装置、1308:出力装置、1309:通信装置、1401:制御装置、1402:記憶装置、1403:遮断禁止情報記録手段、1404:遮断禁止情報作成プログラム、1405:遮断禁止情報管理プログラム、1406:CPU(中央演算処理装置)、1407:入力装置、1408:出力装置、1409:通信装置、1410:制御実行プログラム、1411:設備情報記録手段、1412:設備情報管理プログラム、1901:情報通信用ネットワーク、1902:制御用ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、需要家の契約情報や配電系統情報などの電力流通に関する情報を管理・提供し、電力供給ひっ迫時の需要応答を行う技術、例えば、電力情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力の需給において、需要電力量(以下、需要量)と供給電力量(以下、供給量)が一致していることが必要である。従って需要量が増加した場合、これに伴い電力量を増加させる。しかし、需要量が最大供給量に漸近する、もしくは最大供給量を超過することが予想される場合、需要家に対して電力使用の抑制を依頼する、もしくは電力の使用量を制限するといった需要応答の実施が重要となる。このような需要応答を実現するデマンドコントロールシステムとしては、特許文献1の方法がある。特許文献1では、特定地域内の需要家に対して、節電依頼通知を一斉同報することにより、需要応答を実現している。より詳細には、電力事業者が管理する特定の地域の需要電力量が所定の閾値を超えた場合、通信回線を介して電力事業者から需要家に対して一斉同報で節電要請を発信し、当該地域の需要電力量が閾値以下に低下した場合一斉同報で節電解除を発信することにより需要応答を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-345177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術によれば、電力供給ひっ迫時の需給応答を達成するために、特定地域のすべての需要家に対して、一斉同報により節電要請を行っている。ここで、節電要請を行ったにもかかわらず期待される電力需要抑制効果が得られない場合、緊急的措置として、強制力の高い電力需要の制限、もしくは停止操作が実施される。しかし、需要家の中には、電力供給の停止が望ましくない需要家が存在する。例えば、病院や、家庭内で常時通電が必要な医療機器(例えば生命維持装置)を利用している需要家などは、電力供給の停止により生命に関わる事態招く虞がある。このような需要家に対しては、電力供給の停止は望ましくない。
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、一斉に電力需要の制限、解除を行なうため、個別の需要家毎の制御は考慮されていない。そのため、特許文献1の技術では、このような電力供給の停止が望ましくない需要家が配電系統上のどこに属しているかがわからない。そのため、適切な電力供給の制限・停止操作が困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡易な装置により電力供給の制限が望ましくない需要家への電力供給を担保し、緊急時の電力供給の制限・停止操作を適切、かつ効率的に可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、電力供給ひっ迫時における需給応答、特に緊急時における電力供給の制限・停止操作を行う場合に、需要家の配電系統網上における位置関係を管理し、また予め取得した需要家毎の電力供給遮断の可否情報を対応付けることにより、電力供給の制限が望ましくない需要家への電力供給を担保しつつ、かつ配電系統網上の各種設備に存在するフィーダや区間開閉器などのスイッチを適切に操作することにより、緊急時の電力供給の制限・停止操作を効率的に行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電力供給の制限・遮断が望ましくない需要家に対する電力供給を担保しつつ、緊急時における広範囲の地域に対する電力供給の制限・遮断操作を、行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に関する電力情報管理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に関する電力情報管理システムの適用する場面を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に関する電力情報管理システムの全体処理フローの一例である。
【図4】本発明の一実施形態に関する電力情報管理システムを適用した場合の効果の一例である。
【図5】本発明の一実施形態に関する電力情報管理システムを適用した場合の効果の一例である。
【図6】本発明の一実施形態に関する需要家情報記録手段が保持する需要家情報テーブルの一例である。
【図7】本発明の一実施形態に関する設備情報記録手段が保持する計量器情報テーブルの一例である。
【図8】本発明の一実施形態に関する設備情報記録手段が保持する変圧器情報テーブルの一例である。
【図9】本発明の一実施形態に関する設備情報記録手段が保持する区間開閉器情報テーブルの一例である。
【図10】本発明の一実施形態に関する設備情報記録手段が保持するフィーダ情報テーブルの一例である。
【図11】本発明の一実施形態に関する設備情報記録手段が保持する配電用変電所情報テーブルの一例である。
【図12】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図13】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図14】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図15】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図16】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図17】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図18】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報記録手段が保持する計量器遮断禁止情報テーブルの一例である。
【図19】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報記録手段が保持する柱上変圧器遮断禁止情報テーブルの一例である。
【図20】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報記録手段が保持する区間開閉器遮断禁止情報テーブルの一例である。
【図21】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報記録手段が保持するフィーダ遮断禁止情報テーブルの一例である。
【図22】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報記録手段が保持する配電用変電所遮断禁止情報テーブルの一例である。
【図23】本発明の一実施形態に関する遮断禁止情報作成プログラムの処理フローの一例である。
【図24】本発明の一実施形態に関する設備制御プログラムの処理フローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
<実施形態の構成例>
先ずは、本実施形態の構成例と、本構成例における各要素の説明をする。
【0012】
図1は、本実施形態に関わる電力情報管理システムのブロック図である。電力情報管理システムは、需要家からの申請に基づき作成される需要家の所在地、もしくは契約場所や、電力供給の遮断可否情報などの需要家情報を蓄積し提供する、需要家情報管理装置1001と、配電系統上における変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器などの相互接続関係、および計量器の設置場所などの設備情報を蓄積・提供し、加えて配電系統上の区間開閉器などの各設備に対して、電力供給の遮断命令を発行する配電管理装置1101と、前記需要家情報管理装置1001と配電管理装置1101が管理する情報に基づき、配電系統網上における各需要家の位置関係を割り出し、かつ需要家情報管理装置が持つ各需要家の電力供給可否情報を参照することで、配電系統上のフィーダや区間開閉器などの各設備の緊急時における遮断可否を判定し、また判定結果を遮断禁止情報として蓄積し提供する電力情報管理装置1301と、電力供給ひっ迫による緊急的措置である広域需要家の電力需要の制限・遮断操作を行う際に、前記電力情報管理装置1301が作成した遮断禁止情報に基づき、配電管理装置1101が発行した制御命令を受信し、配電系統上の区間開閉器などの各設備に対する遮断および遮断解除操作を実行する、制御装置1401から構成される。
【0013】
需要家情報管理装置1001は、需要家の契約に関する情報を管理することを主たる目的とした装置であり、最小構成の例であれば、CPU(中央演算処理装置)1005、キーボードやマウス等の入力装置1006、ディスプレイやプリンタ等の出力装置1007、無線LANや有線LANなどの通信装置1008、およびメモリやハードディスクドライブなどの記憶装置1002から構成されるパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータなどのコンピュータ機器である。
【0014】
記憶装置1002は、需要家からの申請に基づき作成される需要家の所在地、もしくは契約場所や、電力供給の遮断可否情報などの需要家情報を記録する需要家情報記録手段1003と、前記需要家情報記録手段に対し、需要家情報の登録・削除・更新処理を行う需要家情報管理プログラム1004を具備する。
【0015】
配電管理装置1101は、配電系統上の設備情報の管理、および前記設備に対する遮断・通電といった制御命令の発行を主たる目的とした装置であり、最小構成の例であれば、CPU(中央演算処理装置)1106、キーボードやマウス等の入力装置1107、ディスプレイやプリンタ等の出力装置1108、無線LANや有線LANなどの通信装置1109、およびメモリやハードディスクドライブなどの記憶装置1102から構成されるパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータなどのコンピュータ機器である。
【0016】
記憶装置1102は、電力事業者の作業員により予め作成された、配電系統上における変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器、および計量器の設置場所といった配電設備の位置関係を、各設備の相互接続関係として記録する設備情報記録手段1103と、前記設備情報記録手段に対し、前記設備情報の登録・削除・更新処理を行う設備情報管理プログラム1104と、後述する電力情報管理装置1301が作成した、配電系統上における各設備の電力供給遮断可否情報に基づき、各設備に対して電力供給の遮断命令発行し制御命令として制御装置1401に送信する設備制御プログラム1105を具備する。
【0017】
電力情報管理装置1301は、配電系統上のフィーダや区間開閉器といった各設備に対して電力供給の遮断可否を判定し、また判定結果情報を蓄積し提供することを主たる目的とした装置であり、最小構成の例であれば、CPU(中央演算処理装置)1306、キーボードやマウス等の入力装置1307、ディスプレイやプリンタ等の出力装置1308、無線LANや有線LANなどの通信装置1309、およびメモリやハードディスクドライブなどの記憶装置1302から構成されるパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータなどのコンピュータ機器である。
【0018】
記憶装置1302は、需要家情報管理装置1101が管理している需要家情報である、各需要家の所在地や遮断可否情報と、配電管理装置1101が管理している区間開閉器や計量器、および計量器の設置場所といった配電系統上の各設備の相互接続関係情報とを突き合わせることで、電力供給がひっ迫した際の緊急的処置である広範囲の需要家に対する電力需要の制限・遮断操作時おいて、前記各設備のどこが遮断可能でどこが遮断不可能かを判定し、さらに遮断禁止情報として出力する、遮断禁止情報作成プログラム1304と、前記遮断禁止情報を記録する遮断禁止情報記録手段1303と、前記遮断禁止情報記録手段に対する遮断禁止情報の登録・削除・更新を行う、遮断禁止情報管理プログラムを具備する。
【0019】
本実施例において、前記需要家情報管理装置1001、配電管理装置1101、および電力情報管理装置1301はそれぞれ異なる装置であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記3つの装置の内の2つ、もしくは3つすべてが同一装置であっても構わない。
制御装置1401は、前記配電管理装置1101が発行・送信した制御命令に基づき、実際に各設備の制御を実行することを主たる目的とした装置であり、CPU(中央演算処理装置)1406、キーボードやマウス、ボタン等の入力装置1407、ディスプレイやプリンタ等の出力装置1408、無線LANや有線LANなどの通信装置1409、およびメモリやハードディスクドライブなどの記憶装置1402から構成されるパーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、もしくはマイクロコントローラなどのコンピュータ機器である。
【0020】
記憶装置1402は、前記配電管理装置から受信した制御命令に基づき、制御対象設備の電力供給の遮断・通電操作を行う制御実行プログラム1410と、制御対象設備に接続されている別の設備の遮断禁止情報に基づき、自身の遮断可否を判定し、さらに遮断禁止情報として出力する遮断禁止情報作成プログラム1405と、前記遮断禁止情報を記録する遮断禁止情報記録手段1403と、前記遮断禁止情報記録手段1403に対する遮断禁止情報の登録・削除・更新を行う遮断禁止情報管理プログラム1405を具備する。
【0021】
制御実行プログラム1410は、配電管理装置1101から受信した制御命令に基づき自動的に制御を実行しても構わないが、制御命令を受信した旨の通知を出力装置1408に出力した後に処理を待機し、その後入力装置1407を介して、人手により最終的な制御操作を実行しても構わない。
【0022】
また、前記需要家情報管理装置1001、配電管理装置1101、および電力情報管理装置1301は、必ずしもすべて同一の事業者により運用管理する必要はない。例えば、需要家情報管理装置1001、配電管理装置1101は電力事業者が運用し、電力情報管理装置1301は第三者事業者が運用管理しても構わない。この場合、電力事業者が運用する需要家情報管理装置1001から、第三者事業者が運用管理する電力情報管理装置1301に対して需要家情報を転送する際には、需要家の同意の下、適切な暗号化処理を行い転送する。また、制御装置1401に対して制御命令を送信する際は、先ず、フィーダや区間開閉器などの配電設備毎の電力供給遮断可否情報である制御情報を、第三者事業者が運用管理する電力情報管理装置1301から電力事業者が運用管理する配電管理装置1101に対して送信し、その後、電力事業者が運用管理する配電管理装置1101が各配電設備の制御装置1401に対して制御命令を送信してもよいし、あるいは、第三者事業者が運用管理する電力情報管理装置1301が、当該事業者が運用管理する制御装置1401に対して、直接制御命令を送信してもよい。
【0023】
<本実施例の全体概要>
次に、本実施例による効果を得るための処理の全体概要を、図2、図3、図4、図5を用いて説明する。
【0024】
図2を用いて、本実施例を実際に適用した場合の一例を説明する。
【0025】
この例では、前記需要家管理装置1001、配電管理装置1101、および電力情報管理装置1301は、それぞれ異なる装置として適用しており、各装置間の通信は、ネットワーク1901を介して行う。前記ネットワーク1901は、主としてデータの送受信を目的としたものであり、通信事業者が管理する一般通信網でも構わないし、電力事業者が独自に管理する専用通信網でも構わない。また、電子的な情報交換のみならず、USBメモリやCD−ROM等を利用した物理的な情報交換であってもよい。また前記3つの装置の内2つ、もしくは3つすべてが同一装置として適用される場合、ネットワーク1901は、装置内のバスを介した通信でもよい。一方、配電系統上の設備の直接制御を実行する制御装置は、配電用変電所2001、フィーダ2002、区間開閉器2003、柱上変圧器2004、計量器2005などの配電設備にそれぞれ一台ずつ設置し、ネットワーク1902を介して、配電管理装置1101からの制御命令を受信する。ネットワーク1902は、主として設備の制御を行うためのものであり、電気事業者により管理される専用回線網であることが多いが、通信事業者の管理する一般回線網であっても構わず、通信手段も有線方式・無線方式は問わない。また、予め通信機能と電力供給遮断制御機能を持つ配電設備であれば制御装置1401は必ずしも必要なく、前記配電設備の機能を利用してもよい。
【0026】
図3を用いて、前記適用構成例における本実施例の処理動作の全体概要を説明する。
【0027】
先ず、ステップS301で、需要家情報記録手段1003に対し需要家情報の 登録を行う。この登録処理は、需要家情報管理プログラム1004が行う。また前記需要家情報の基となる情報は、需要家自身から申請された契約申請情報である。また、前記登録処理は、需要家からの申請を受け付けた後、無条件に開始してもよいが、例えば、何らかの審査を経て、また前記審査の結果に対する需要家の受諾を受けたのち、開始してもよい。前記審査には、例えば、電力供給の遮断を「可」もしくは「不可」とした場合、電力供給がひっ迫した緊急時やそうでない通常時の電力使用料金を、電力単価表に従って算出し、前記算出結果を需要家に提示するといった方法でもよい。次に、ステップS302で、配電系統上の各設備の遮断禁止情報の作成・登録を行う。前記作成処理は遮断禁止情報作成プログラム1304が、また登録処理は、遮断禁止情報管理プログラムが行う。そしてステップS304において、電力供給ひっ迫による緊急的措置である広域需要家の電力需要の制限・遮断操作を行うか否かの判定を行う。この判定は、機械的・自動的に行ってもよいし、人手による判定でもよい。そして、電力需要の制限・遮断操作を行うと判断された場合、ステップS304において、配電管理装置1101が制御命令を発行し、また前記制御命令を受信した各配電設備の制御装置1401が、実際に電力供給の遮断を実行する。
【0028】
次に、前記図3に示した本発明の処理動作により得られる効果のイメージを、図4、図5を用いて説明する。
【0029】
図4は、ある特定地域における配電系統を示したイメージ図である。当地域の配電系統に接続している需要家の内、例えば、鉄道事業者4001や、データセンタ事業者4002などは、電力供給が遮断された場合の人的・経済的被害がきわめて大きいと考えられるため、電力供給がひっ迫した緊急時においても、供給を遮断することは望ましくない。また前述した大口需要家以外にも、例えば比較的小規模な病院4003や、生命維持装置を運用している一般需要家4004や4005などの需要家も、緊急時とはいえ電力の供給を遮断してしまった場合、きわめて甚大な人的被害が発生する可能性があるため、これら需要家に対する供給遮断措置も望ましくない。この問題を解決する手段の一つとして、例えば、すべての需要家世帯に対し通信機能および電力遮断機能を備えた計量器、もしくは制御装置を設置し、当該装置を介して一世帯ずつ供給遮断制御を行うことも考え得るが、この制御操作を数十万から数百万世帯に対して一斉に行おうとした場合、輻輳等の発生により、所望の時刻までに期待する電力需要抑制効果を得ることが出来ない恐れがある。
【0030】
そこで本発明では、緊急時の電力供給の制限・遮断操作を行う場合、前述した電力供給遮断措置が望ましくない需要家への電力供給は担保しつつ、その上で可能な限り配電系統の上位設備に対して遮断操作を行うことにより、短期間のうちに効率的に期待する電力需要効果を得ることを目的としている。
【0031】
例えば、配電用変電所4101には二つのフィーダ4201と4202が存在している。この時フィーダ4101の下位に接続している需要家の中に、遮断不可という申請をしている需要家が存在しないため、緊急時にはフィーダ4201を遮断することにより、その下位の需要家一世帯ずつ遮断操作を行う必要なく、目的を達成することが出来る。一方、フィーダ4202に接続している需要家4003は予め遮断不可という申請を行っているため、フィーダ4202での遮断は出来ない。この場合、当該需要家4003への電力供給を担保するために、緊急時の遮断措置としては、需要家4006の計量器に対し直接遮断操作を行う。また、フィーダ4203の下位に接続している需要家にも供給遮断が望ましくない需要家4004が存在する為、フィーダ4203での遮断は出来ない。しかし一方、フィーダ4203の直下に接続している区間開閉器4301を見ると、当該区間開閉器の下位に接続している需要家には遮断不可の申請をしている需要家は存在しない。従って、緊急時の遮断措置としては、区間開閉器4301での遮断が可能である。
【0032】
図5は、図4で説明した本発明の適用イメージについて、配電設備の相互接続関係のみを論理的に示した図である。図5において、ボックスは配電設備一つ一つを示し、またボックス内に表示されているマルおよびバツは前述した遮断禁止情報であり、マルは緊急時における供給遮断措置が禁止されている配電設備を示し、バツは供給遮断措置が許可されている配電設備を示している。例えば図5において、配電系統上で最下層に位置する計量器の遮断禁止情報を見た場合、供給遮断が禁止されている計量器は5001、5002、5003の3つであり、これはすなわち、前記3つの計量器が設置された場所を管理する、もしくは居住する需要家から予め遮断不可申請を受けていることを意味している。従って前述のように、計量器5001の上位接続設備である柱上変圧器5101についても、供給遮断が禁止される。同様に、柱上変圧器5101の上位接続設備である区間開閉器5201、区間開閉器5201の上位接続設備であるフィーダ5301、フィーダ5401の上位接続設備である配電用変電所5401についても、供給遮断が禁止される。一方、計量器5002に相当する需要家は高圧需要家であるためフィーダから直接電力供給を受けているが、計量器5002の上位接続設備がフィーダ5302であるため、当該フィーダも同様に供給遮断が禁止される。この様に、各配電設備に対して緊急時における供給遮断の可否を示したものが遮断禁止情報であり、これは遮断禁止情報作成プログラム1304により作成され、遮断禁止情報管理プログラム1305を通じて、遮断禁止情報記録手段1303に記録される。また前記遮断禁止情報を作成するために必要な情報が、需要家情報記録手段1003に記録されている需要家情報である、需要家の所在地、および遮断可否情報と、設備情報記録手段1103に記録されている設備情報である、フィーダや区間開閉器などの配電設備の相互接続情報と、最下位設備である計量器の設置場所である。さらに作成された遮断禁止情報に基づいて電力情報管理装置1101が制御命令を発行し、当該制御命令を受信した制御装置1401が実際の設備制御を行うことで、緊急時の需要応答を達成する。
【0033】
以降では、ステップS302に相当する遮断禁止情報の作成方法と、ステップS304に相当する制御命令発行および制御実行方法について、それぞれ図を用いて説明する。
【0034】
<遮断禁止情報の作成のために必要な情報>
ここでは、各配電設備の遮断禁止情報の作成方法を、図6から図23を用いて説明する。また図6から図11、および図18から図22のテーブル例を示した図は、前記図5の配電系統の論理概念図に相当している。
【0035】
図6を用いて、需要家情報記録手段1003に記録されている需要家情報について、その一例を説明する。
【0036】
図6は、需要家情報記録手段1003に記録されている需要家情報テーブルの一例である。例えば、行6001に記載されているID「C00001」を割り振られた需要家は、所在地に相当する契約場所のIDが「P00001」であり、かつ申請時に遮断可否情報として遮断不可と申請していたため、遮断禁止フラグが「True」として記録されている。同様に、申請時に遮断不可と申請した需要家は、行6002に記載の需要家IDが「C00012」である需要家と、行6003に記載の需要家IDが「C00018」である需要家の、計三名である。他の需要家情報についても同様に、需要家からの申請に基づき、需要家情報管理プログラム1004を通じて作成され、需要家情報記録手段1003に登録される。
【0037】
次に、設備情報記録手段1103に記録されている設備情報について、図7から図11を用いて説明する。
【0038】
図7は、各需要家世帯に設置された計量器とその設置場所の関係を記録した、計量器情報テーブルの一例である。例えば、行7001は、ID「M00001」の計量器は、ID「P00001」の場所に設置されていることを示している。また、工場や二世帯住宅など、同一の場所に二つ以上の異なる計量器が設置される場合があるが、このような場合、例えば行7002、7003のように、ID「M00002」と「M00003」の計量器はどちらも、同一ID「P00002」の場所に紐づけて記録される。
【0039】
図8は、柱上変圧器と前記変圧器からの電力引込場所との接続関係を記録した、柱上変圧器情報テーブルの一例である。例えば、行8001は、ID「T00001」の柱上変圧器はID「P00001」の場所に対して引込線を引いていることを示している。また、図5のフィーダ5302のように、ある場所に対して柱上変圧器を介すことなく、フィーダから直接電力を引き込む場合がある。このような場合でも、フィーダ5302を仮想的な柱上変圧器とみなし、当該場所に直接紐づけて柱上変圧器情報テーブルに記録する。例えば、行8001に示すID「F00003」とは図5でのフィーダ5302に相当しているが、このID「F00003」のフィーダはID「P00011」の場所に直接紐づけて、当該テーブルに記録される。
【0040】
図10は、フィーダと区間開閉器との接続関係を記録した、フィーダ情報テーブルの一例である。当該テーブルにおいても前記計量器情報テーブルや柱上変圧器情報テーブルと同様に、原則として、フィーダと区間開閉器との接続関係を記録したテーブルであるが、前述の通り、ID「P00011」の場所に対して、ID「F00003」のフィーダから直接電力線が引き込まれている。従って、当該フィーダ情報テーブルにおいても同様に、行10001に示すように、ID「F00003」のフィーダは、ID「P00011」の場所を仮想的な区間開閉器と見做し、紐づけて記録される。
【0041】
図9は、区間開閉器と柱上変圧器との接続関係を記録する区間開閉器情報テーブルの一例である。
【0042】
図11は、配電用変電所とフィーダとの接続関係を記録する変電所情報テーブルの一例である。図9と図11の両テーブルとも、前記計量器情報テーブル、柱上変圧器情報テーブル、フィーダ情報テーブルと同様に、原則として、例えば区間開閉器情報テーブルは区間開閉器と柱上変圧器との接続関係を記録し、また変電所情報テーブルは配電用変電所とフィーダとの接続関係を記録するが、例えば、区間開閉器から直接ある場所に対して電力線が引き込まれている場合、前述と同様に、当該場所を仮想的な柱上変圧器と見做して区間開閉器と紐付け、区間開閉器情報テーブルに記録する。
【0043】
本実施例では、配電設備毎にテーブルを分離しているが、本テーブルに記録すべき情報は、各配電設備が電力線で接続されることにより発生する親子関係であり、この親子関係が記録可能であるならばどの様な構成で情報を管理してもよく、例えば、前記図7から図11の各テーブルを一つのテーブルとしても構わない。
【0044】
また、前記柱上変圧器情報テーブルに関して、本実施例では、柱上変圧器に対して電力線の引き込み場所を接続先と見做し対応付けたが、配電設備の観点では、本来柱上変圧器は計量器と接続するため、柱上変圧器に対し計量器を接続関係として記録してもよい。しかし前記のような柱上変圧器テーブルとした場合、実運用において計量器は比較的高頻度に交換されることを鑑みると、計量器が交換されるたびに、計量器情報テーブル、および前記柱上変圧器テーブルの二つのテーブルを更新しなければならない。一方、柱上変圧器と引き込み先場所とを紐づけて記録している柱上変圧器テーブルであるならば、計量器を交換した場合でも場所に変化があるわけではないため、計量器交換時の情報更新は計量器情報テーブルのみでよく、すなわち本実施例における柱上変圧器情報の記録方法は、情報管 理の容易化、および処理の高速化に寄与するものである。
【0045】
<遮断禁止情報の一例>
次に、配電設備毎の遮断禁止情報の作成方法、および作成結果の情報例を、図12から図23を用いて説明する。
【0046】
先ずは、処理の結果として作成される遮断禁止情報について、図18から図22を用いてその一例を説明する。なお、図18から図22は、前記図5で示した配電系統の論理概念図に相当しており、適宜図5も用いて説明する。
【0047】
本実施例で言及する遮断禁止情報とは、フィーダや区間開閉器などの配電設備を一意に識別する設備IDと、遮断禁止可否を「True」「False」のブール値で表現した遮断禁止フラグの2種の情報の対で表現したものを例として想定する。なお、遮断禁止フラグが「True」とは、緊急時の供給遮断が禁止されていることを意味し、また「False」とは、緊急時の供給遮断が許可されていることを意味する。
【0048】
図18は、各計量器の遮断禁止情報を示した計量器遮断禁止フラグテーブルの例であり、行18001において、ID「M00001」の計量器の遮断禁止フラグは「True」であり、すなわち、緊急時においても電力供給の遮断が禁止されていることを意味している。一方、行18002において、ID「M00002」の計量器の遮断禁止フラグは「False」であり、すなわち、緊急時において電力供給の遮断が許可されていることを意味している。これら計量器の遮断禁止フラグの状態は、配電系統の上位設備に影響を与える。例えば、遮断禁止フラグが「True」であるID「M00001」の計量器について、その設置場所は、図7の行7001より、ID「P00001」の場所であることがわかり、また図8の行8002より、ID「P00001」の場所に引込線を渡している柱上変圧器は、ID「T00001」の変圧器であることがわかる。従って、前記ID「T00001」の柱上変圧器の遮断禁止フラグも「True」になり、これは図19において一例として示される柱上変圧器遮断禁止フラグテーブルの行19001に記録されている。同様にID「T00001」の上位に位置する配電設備は、図9の行9001よりID「S00001」の区間開閉器であることがわかるため、当該区間開閉器の遮断禁止フラグも「True」となる。これは、図19における行20001に記録されている。さらにID「S00001」の区間開閉器の上位に位置する配電設備は、図10の行10002よりID「F00001」のフィーダであることがわかるため、前記と同様に当該フィーダの遮断禁止フラグも「True」となり、これは図21の行21001に記録されている。さらに、ID「F00001」の上位に位置する配電設備は、図11の行11001よりID「DSS00001」の配電用変電所であることがわかるため、これも同様に、当該変電所の遮断禁止フラグを「True」とし、これは図22の行22001に記録されている。
【0049】
一方、ID「M00002」の計量器の遮断禁止フラグは「False」であるが、このフラグ値も前記と同様に、上位の配電設備に影響を与える。例えば、前述と同様に、ID「M00002」の上位に位置する配電設備は、図8から図11を参照することにより、下位から順番に、ID「T00002」の柱上変圧器、ID「S00001」の区間開閉器、ID「F00001」のフィーダ、および、ID「DSS00001」の配電用変電所であることがわかる。前述と同様に処理するならば、これら4つの配電設備の遮断禁止フラグはすべて「False」となるが、本発明は、遮断禁止フラグが「True」の設備に対して電力供給を担保することを原則としており、言い換えると、各配電設備に接続している設備に、それぞれ「True」の遮断禁止フラグを持つ設備が一つでも存在している場合、当該設備の遮断禁止フラグは「True」とする。例えば、図9の行9001、および行9002より、ID「S00001」の区間開閉器に接続する下位設備は、ID「T00001」と「T00002」の柱上変圧器であることがわかる。しかし、図19の行19001で説明したとおり、ID「T00001」の柱上変圧器の遮断禁止フラグは、すでに「True」になっている。従って、本発明の原則に従い、ID「S00001」の遮断禁止フラグは「True」とする。ただし、遮断禁止フラグの値は不変ではなく、例えば、ID「C00001」の需要家が、契約場所を変えることなく遮断可否を「可」として再申請した場合、ID「M00001」の遮断禁止フラグも「True」から「False」に変更され、これに伴い、ID「T00001」の柱上変圧器の遮断禁止フラグも「False」に変更される。この時、ID「T00002」の遮断禁止フラグも「False」であるならば、さらに上位のID「S00001」の遮断禁止フラグも「True」から「False」に変更される。
【0050】
本実施例において、遮断禁止情報は、配電設備毎に独立して記録しているが、遮断禁止情報の本質は、緊急時において遮断が禁止されている、もしくは許可されている設備を簡易な方法で識別するための情報であるため、例えば、一つのテーブルにすべての遮断禁止情報を記録してもよいし、あるいは、遮断禁止テーブルと遮断許可テーブルの二つを用意し、それぞれに設備のIDのみを記録する方法でもよい。
【0051】
<遮断禁止情報の作成手順>
次に、前記遮断禁止情報に含まれる遮断禁止フラグの作成方法について、図12から図17、および図23を用いて具体的に説明する。なお、遮断禁止フラグの作成には、以下の4つの実施形態がある。
【0052】
第一の実施形態は、各配電設備の遮断禁止フラグを作成する際、本実施例において配電系統における最下位設備である計量器の遮断禁止フラグから、最上位設備である配電用変電所フラグまで一度に同期的に作成し、かつ、前記作成処理をメインフレーム等の一組の計算機内部で処理する形態である。本実施形態における処理フローについて、図12から図17を用いてその一例を説明する
先ず、図12から図14は、本実施形態において、遮断禁止フラグ「True」を作成する場合の処理フローである。この処理は、図1における遮断禁止情報作成プログラム1304において実行される。以降の説明では、仮にID「C00029」の需要家が、遮断可否を「不可」として再申請した場合を例として、具体的に説明してゆく。
【0053】
先ず、ステップS1201において、遮断禁止フラグ作成対象となる需要家のIDを変数「C」にセットし、ステップS1202において需要家ID「C」を検索キーとして需要家情報テーブルから当該需要家の契約場所IDを取得し、変数「P」としてメモリに記憶する。例えばここでは、遮断可否に「不可」として再申請しているID「C00029」の需要家を例とし、「C」にID「C00029」を記憶すると、需要家情報テーブルである図6の行6004より、場所ID「P00029」を取得できるため、当該IDを「P」としてメモリに記憶する。この時、契約場所IDが取得できない場合は、新規契約であるため、新たに契約場所IDを発行し、同様に変数「P」としてメモリに記憶する。次に、ステップS1203において、前記「P」を検索キーとして計量器情報テーブルから当該場所に紐づけられている計量器IDを取得し、変数「M」としてメモリに記憶し、さらに、「M」を検索キーとして、計量器遮断禁止フラグテーブルから当該計量器のフラグ値を取得し、当該フラグ値を「True」に書き換える。例えば、場所ID「P00029」を検索キーとして計量器情報テーブルである図7を検索すると、行7004より、計量器IDとして「M00030」を取得できるため、当該IDを変数「M」としてメモリに記憶する。ついで、計量器遮断禁止テーブルである図18に対し、計量器ID「M00030」を検索キーとして検索すると、フラグ値として「False」が取得されるため、これを「True」に書き換える。以降の処理は、上位の配電設備の遮断禁止フラグを順に書き換える処理に入る。例えば、ステップS1205において、場所ID「P00029」を検索キーとして、柱上変圧器情報テーブルである図8の行8003より、柱上変圧器ID「T00018」を取得。ついでステップS1206において、柱上変圧器ID「T00018」を検索キーとして、変圧器遮断禁止フラグテーブルである図19の行19002より、フラグ値「False」を取得する。ここで、次のステップS1207において、フラグ値が「True」か否かの判定を行う。これは、仮に取得したフラグ値が「True」であった場合、本実施形態での処理においては、当該変圧器より上位の配電設備の遮断禁止フラグも同様に「True」となっているため、以降のフラグ書き換え処理を行う必要がなく、従って処理の高速化が期待できるためである。すなわち、仮に前記取得した柱上変圧器の遮断禁止フラグが「True」であった場合、ここで「True」フラグの作成処理は終了するが、本例では取得したフラグ値は「False」であるため、次のステップS1208において、変圧器遮断禁止フラグテーブルである図19の行19002のフラグ値を「True」に書き換えて、次のステップに進む。以降、同様に、上位設備の遮断禁止フラグの値を、順に「True」に書き換えてゆく。例えば、図13において、ステップS1301からステップS1304までは区間開閉器の遮断禁止フラグ値の書き換え処理であり、またステップS1305からステップS1308までは、フィーダの遮断禁止フラグの書き換え処理である。また、図14において、ステップS1401からS1404は、配電用変電所の遮断禁止フラグの書き換え処理である。また、ステップS1303、S1307、およびS1403において、各配電設備の遮断禁止フラグテーブルから取得した直後のフラグ値を判定し、「True」であればその時点で処理を終了し、「False」であれば「True」に書き換えたのち、さらに上位の配電設備の遮断禁止フラグの書き換え処理に移行する。
【0054】
以上が、第一の実施形態における、遮断禁止フラグ「False」を「True」に書き換える方法の一例である。次に、遮断禁止フラグ「True」を「False」に書き換える方法の一例を、図15から図17を用いて説明する。以降の説明では、仮にID「C00018」の需要家が、遮断可否を「可」として再申請した場合を例として、具体的に説明してゆく。
【0055】
先ず、ステップS1501において、遮断禁止フラグ作成対象となる需要家のIDを変数「C」にセットし、ステップS1502において需要家ID「C」を検索キーとして需要家情報テーブルから当該需要家の契約場所IDを取得し、変数「P」としてメモリに記憶する。例えばここでは、遮断可否に「可」として再申請しているID「C00018」の需要家を例とし、「C」にID「C00018」を記憶すると、需要家情報テーブルである図6の行6003より、場所ID「P00018」を取得できるため、当該IDを「P」としてメモリに記憶する。この時、契約場所IDが取得できない場合は、新規契約であるため、新たに契約場所IDを発行し、同様に変数「P」としてメモリに記憶する。次に、ステップS1503において、前記「P」を検索キーとして計量器情報テーブルから当該場所に紐づけられている計量器IDを取得し、変数「M」としてメモリに記憶し、さらに、「M」を検索キーとして、計量器遮断禁止フラグテーブルから当該計量器のフラグ値を取得し、当該フラグ値を「False」に書き換える。例えば、場所ID「P00018」を検索キーとして計量器情報テーブルである図7を検索すると、行7005より、計量器IDとして「M00019」を取得できるため、当該IDを変数「M」としてメモリに記憶する。ついで、計量器遮断禁止テーブルである図18に対し、計量器ID「M00019」を検索キーとして検索すると、フラグ値として「True」が取得されるため、これを「False」に書き換える。以降の処理は、上位の配電設備の遮断禁止フラグを順に書き換える処理に入る。例えば、ステップS1505において、場所ID「P00018」を検索キーとして、柱上変圧器情報テーブルである図8の行8004より、柱上変圧器ID「T00011」を取得。ついでステップS1506において、柱上変圧器ID「T00011」を検索キーとして、変圧器遮断禁止フラグテーブルである図19の行19003より、フラグ値「True」を取得する。ここで、次のステップS1507において、フラグ値が「False」か否かの判定を行う。これは、仮に取得したフラグ値が「True」であった場合、本実施形態での処理においては、当該変圧器の下位に接続するいずれかの配電設備の遮断禁止フラグが同様に「True」となっている可能性があり、その場合、当該変圧器の遮断禁止フラグを「False」に書き換えることが出来ないためである。本例では取得したフラグ値は「True」であるため、次のステップである図16におけるS1601において、当該変圧器のID「T」を検索キーとして変圧器情報テーブルを検索し、当該変圧器の下位に接続するすべての計量器IDを取得し、リスト「MList」としてメモリに記憶した後、ステップS1602、およびステップS1603において、前記「MList」をキーとして、計量器遮断禁止フラグテーブルから、下位に接続するすべての配電設備の遮断禁止フラグに「True」が存在するか否かを判定する。例えば、前記変圧器ID「T00011」を検索キーとして変圧器情報テーブルである図8を検索し、行8004および8005より、下位設備のIDとして「P00017」「P00018」である場所のIDを取得する。その後、前記場所ID「P00017」「P00018」を検索キーとして需要家情報テーブルである図6を検索する。本例における図6では、場所ID「P00018」の遮断禁止フラグは「True」と表記されているが、前記ステップS1501を開始する前の段階である、需要家からの遮断可否の再申請時において、当該行の遮断禁止フラグは「False」に書き換えられている。従って、本実施例では、場所ID「P00017」および「P00018」の遮断禁止フラグは、すべて「False」として取得する。すなわち、前記変圧器「T00011」に接続する下位の設備の遮断禁止フラグはすべて「False」であることが確認できたため、ステップS1604において、当該変圧器の遮断禁止フラグを「False」に書き換える。以降、同様に、上位設備の遮断禁止フラグの値を、順に「False」に書き換えてゆく。例えば、図16において、ステップS1605からステップS1611までは区間開閉器の遮断禁止フラグ値の書き換え処理であり、また図17において、ステップS1701からステップS1707までは、フィーダの遮断禁止フラグの書き換え処理であり、また、ステップS1708からS1714は、配電用変電所の遮断禁止フラグの書き換え処理である。また、ステップS1607、S1703、およびS1710において、各配電設備の遮断禁止フラグテーブルから取得した直後のフラグ値を判定し、「False」であればそのまま上位設備の遮断禁止フラグの作成、更新処理に進み、「True」であれば、当該配電設備の下位に接続するすべての設備の遮断禁止フラグを取得し、前記遮断禁止フラグの中に一つでも「True」が存在したならば、当該配電設備の遮断禁止フラグも「True」のまま変更せず、一方、取得した下位設備の遮断禁止フラグがすべて「False」であれば、当該配電設備の遮断禁止フラグも「False」に書き換えた後、さらに上位の配電設備の遮断禁止フラグの書き換え処理に移行する。
以上が、第一の実施形態における、遮断禁止フラグの作成方法であるが、本処理を開始するタイミングは、例えば、需要家からの遮断可否申請を受け付けた時点でも構わないし、あるいは、一定時間間隔、もしくは任意のタイミングで行ってもよい。ただし、一定時間間隔、もしくは任意のタイミングで行う場合は、図6に示す需要家情報テーブルにおける遮断禁止フラグを事前に最新の値に更新し、また、ステップS1201で対象とする需要家は、前回の遮断禁止フラグ作成処理を行った時点以降に申請の事実がある需要家のみを対象とすることが望ましい。
【0056】
遮断禁止フラグを作成する第二の実施形態は、各配電設備が自らの遮断フラグを自律的に、かつ他の設備のフラグ作成処理とは非同期に実行し、かつ、前記作成処理をメインフレーム等の一組の計算機内部で処理する形態である。本実施形態における処理フローについて、図23を用いてその一例を説明する。
【0057】
先ず、ステップS2301において、遮断禁止フラグの作成対象である設備のIDを変数「Pa」としてメモリに記憶する。なお、以降、この遮断禁止フラグの作成対象設備を「親設備」と呼称する。例えば、ここでは、親設備としてID「M00002」を持つ計量器を選択し、「Pa」に当該IDを記憶する。次に、ステップS2303において、「Pa」をキーとして親設備の設備情報テーブルを検索し、親設備に接続するすべての子設備IDを取得する。例えば、図7に示す計量器情報テーブルに対して「M00002」をキーとして検索すると、子設備のIDとして「P00002」の場所IDを取得する。次に、ステップS2306にて、子設備のIDが場所のIDか否かを判定する。これは、場所に紐づく遮断禁止フラグは、設備毎の遮断禁止フラグテーブルではなく、需要家情報テーブルに記録されていることから、場所の遮断禁止フラグを取得するためには、需要家情報テーブルにアクセスする必要があるためである。本例では、取得した子設備のIDは場所のIDであるため、ステップS2307において、ID「P00002」をキーとして、図6の需要家情報テーブルに対して検索を行い、遮断禁止フラグを取得する。検索結果としては、図6の行6001より、遮断禁止フラグ値として「True」を取得する。最後に、ステップS2309において、子設備の遮断禁止フラグが「True」であるか否かを判定し、「True」であった場合は、ステップS2310において、親設備の遮断禁止フラグを「True」に書き換えて終了する。これは、本発明の原則である、配電系統上における下位設備の中に、一つでも遮断禁止フラグが「True」である設備があるならば、その上位設備の遮断禁止フラグもすべて「True」とするという原則に従うためである。
【0058】
以上が、遮断禁止フラグの作成方法における第二の実施形態の説明である。本実施形態では、遮断禁止フラグの作成を配電設備毎に独立かつ非同期に実行するため、例えば、処理を高速化するために、プログラムプロセスを複数生成し同時に実行してもよい。また、第一の実施形態、および第二の実施形態では、一組の計算機ですべての処理を行う形態であるため、各ステップ間でのデータのやり取りは、例えば、メモリ間通信などにより実施される。
【0059】
遮断禁止フラグを作成する第三の実施形態は、配電系統における最下位設備である計量器の遮断禁止フラグから、最上位設備である配電用変電所フラグまで一度に同期的に作成し、かつ、前記フラグ作成処理を、配電設備毎に設置した制御装置を用いて実行する形態である。
【0060】
本実施例においては、例えば、各配電設備に設置された制御装置1401に具備されている遮断禁止情報作成プログラム1404は、主として3つの処理動作を行う。一つ目の処理動作は、下位設備からの遮断禁止フラグの受信である。二つ目の処理は、自設備の遮断禁止フラグの更新である。仮に、下位配電設備から受信した遮断禁止フラグが「True」であった場合、自身の遮断禁止フラグ値を「True」とし、遮断禁止情報管理プログラム1405を介して、遮断禁止情報記録手段1403に自身の遮断禁止フラグの値を記録する。一方、下位配電設備から受信した遮断禁止フラグが「False」であった場合、自設備に接続されているすべての下位配電設備に対して、各設備の遮断禁止フラグ値を問合せ、収集する。そして前記収集した遮断禁止フラグの中に、一つでも「True」が含まれていた場合は、自身の遮断禁止フラグ値も「True」に、収取した遮断禁止フラグがすべて「False」であった場合は、自身の遮断禁止フラグ値も「False」とし、遮断禁止情報管理プログラム1405を介して、遮断禁止情報記録手段1403に自身の遮断禁止フラグの値を記録する。そして三つ目の処理は、自設備の上位に接続している配電設備の制御装置1401に対して、自設備の遮断禁止フラグ値の送信である。本実施形態において、前記一つ目の処理の開始条件は、自設備に接続する下位設備のいずれかより、遮断禁止フラグ値を受信した場合である。ただし、本実施例において、計量器の下位設備は存在しないため、計量器に対する前記一つ目の処理の開始条件は、例えば、電力情報管理装置1301、もしくは需要家管理装置1001から送信される、設置場所の遮断禁止フラグ値を受信したときである。以上、一つ目から三つ目までの処理動作を、各配電設備に設置された制御装置1401が行うことで、配電系統における最下位設備である計量器の遮断禁止フラグから、最上位設備である配電用変電所フラグまで一度に同期的に作成、更新することが可能である。
【0061】
遮断禁止フラグを作成する第四の実施形態は、各配電設備が自らの遮断フラグを自律的に、かつ他の設備のフラグ作成処理とは非同期に実行し、加えて、前記フラグ作成処理を、配電設備毎に設置した制御装置を用いて実行する形態である。
【0062】
本実施例においては、例えば、配電設備に設置された制御装置1401に具備されている遮断禁止情報作成プログラム1404が行う処理は、主として一つののみであり、自設備に接続されている下位設備の遮断禁止フラグを監視することにより、自設備の遮断禁止フラグ値の更新のみを行う。すなわち、各配電設備の制御装置1401は、自設備に接続している下位設備の遮断禁止フラグをすべて取得し、取得した遮断禁止フラグの中に一つ手でも「True」が存在すれば、自設備の遮断禁止フラグも「True」に、取得した遮断禁止フラグのすべてが「False」であれば、自設備の遮断禁止フラグも「False」とし、遮断禁止情報管理プログラム1405を介して、遮断禁止情報記録手段1403に自身の遮断禁止フラグの値を記録する。本実施形態において、前記一つ目の処理の開始条件は、任意のタイミング、もしくは定期的でもよい。前記処理を、各配電設備の制御装置1401が、それぞれ非同期、自律的に行うことで、各配電設備の遮断禁止フラグの作成、更新が可能である。
【0063】
以上が、遮断禁止フラグの作成方法に関する、四つの実施形態の説明である。ここで、第三の実施形態における二つ目と三つ目の処理において必要な情報である、自設備の下位、および上位の設備情報、および、第四の実施形態における処理において必要な情報である、自設備の下位の設備情報は、例えば、システム上において各設備を一意に識別するための設備IDと、通信ネットワーク上において各設備を一意に識別するためのアドレスの対情報として、各制御装置1301に具備されている設備情報記録手段1411に記録されており、これを持って、各配電設備の制御装置1401は、自設備の下位および上位設備の識別を可能にしている。ただし、各配電設備の制御装置1401が、自設備の下位および上位設備を識別するための手段は、前記方法に限定されるものではなく、例えば、必要に応じて、各制御装置1401が配電管理装置1101に対して問い合わせることにより取得するといった方法でも構わない。
【0064】
また、第三および第四の実施形態における遮断禁止フラグの記録場所は、本例では、各制御装置1401に具備されている遮断禁止情報記録手段1403としたが、遮断禁止フラグの記録場所は本例に限定されるものではなく、例えば、電力情報管理装置1301に具備されている遮断禁止情報記録手段1303に記録しても構わない。また、前記遮断禁止情報記録手段1303に遮断禁止フラグを送信するタイミングは、各制御装置1401が自設備の遮断禁止フラグを決定したタイミングでも構わないし、任意のタイミング、もしくは定期的でも構わない。
【0065】
また、第一および第三の実施形態で説明した、接続関係のあるすべての配電設備の遮断禁止フラグを、一度にかつ同期的に作成する方法は、各配電設備間での遮断禁止フラグの整合性を保証できるというメリットがあるが、対象となる配電設備が大量に存在する場合は、遮断禁止フラグの作成処理単位当たりに要する時間が大きいというデメリットがある。一方、第二および第四の実施形態で説明した、各配電設備は自設備の遮断禁止フラグのみを、自律的かつ非同期に作成する方法は、例えば、ある配電設備「A」の遮断禁止フラグを「False」とした直後に、当該配電設備「A」の下位設備「B」が遮断禁止フラグを「True」に書き換えた場合、次に配電設備「A」が遮断禁止フラグ作成処理を行うまで、本来設備「A」の遮断禁止フラグは「True」であるところを「False」として運用してしまうといった、各配電設備間での遮断禁止フラグの整合性を保証できないといったデメリットがあるが、対象となる配電設備が大量に存在する場合でも、遮断禁止フラグの作成処理単位当たりに要する時間は小さいというメリットがある。
【0066】
また、前記実施形態では、電力供給の遮断可否申請を需要家単位として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の需要家が属する地域単位での遮断可否申請の場合にも適用可能である。例えば、ある公共施設の周辺地域「COM00002」については、電力供給の遮断を「不可」としたい場合、需要家情報テーブルである図6における、行6006、6007、6008、6002、6009、6010、6005、および6003の需要家の遮断禁止フラグを「True」として更新した後、前記第一から第四の実施形態として説明した遮断禁止フラグの作成方法により、地域「COM00002」に対して接続関係にあるすべての配電設備の遮断禁止フラグを作成、更新してもよい。
【0067】
また、前記、第一から第四の実施形態は、それぞれ独立した実施形態として限定されるものではなく、例えば、設備数が比較的多いと考えられる計量器や柱上変圧器などの遮断禁止フラグは第四の実施形態により作成し、設備数が比較的少ないと考えられる配電用変電所やフィーダなどの遮断禁止フラグは、第一の実施形態により作成しても構わない。
【0068】
<遮断禁止情報に基づく制御方法>
次に、前記四つの実施形態により説明した遮断禁止フラグ作成方法により作成された遮断禁止フラグに基づき、フィーダや区間開閉器などの配電設備を制御する方法について説明する。なお、遮断禁止フラグに基づく配電設備の制御方法は、以下の2つの実施形態がある。
【0069】
第一の実施形態は、遮断禁止フラグが「True」になっている配電設備の内、各配電系統の最上位にある配電設備に対して直接制御命令を送信し、制御する方法である。本方法は、主として、2つの処理動作を行う。一つ目の処理動作は、遮断対象設備の決定であり、配電管理装置1101に具備されている設備制御プログラム1105において実行される。この処理フローについて、図24を用いてその一例を説明する。
【0070】
先ず、ステップS2401において、配電系統上の最上にあたる配電設備のIDをすべて、リスト「IDList」としてメモリに記録する。例えば、本実施例における最上位の配電設備は配電用変電所であるため、図10より、ID「DSS00001」「DSS00002」「DSS00003」を、「IDList」としてメモリに記憶する。次にステップS2402において、「IDList」からIDを一つ選択し、さらにステップS2403において当該IDの種別を判定後、ステップS2404において、当該IDの配電設備に対応する遮断禁止フラグテーブルから、当該配電設備の遮断禁止フラグを取得し、変数「F」としてメモリに記憶する。例えば、ID「DSS00001」を選択した場合、当該IDは配電用変電所のIDであるため、配電用変電所の遮断禁止フラグテーブルである図22の行22001より、遮断禁止フラグ値として「True」を取得するため、変数「F」として「True」を記憶する。次に、ステップS2405において、取得した遮断禁止フラグの値が「True」か否かを判定し、「True」である場合、ステップS2406において、遮断制御対象の設備IDとして、メモリ上のリスト「ShutDownList」に記憶する。例えば、前記取得したID「DSS00001」の配電用変電所の遮断禁止フラグは「True」であるため、リスト「ShutDownList」にID「DSS00001」を記憶する。一方、ステップS2404において取得した遮断禁止フラグが「False」であった場合、ステップS2407において、当該設備に接続する下位設備のIDをすべて取得し、リスト「IDList2」としてメモリに記憶する。例えば、ステップS2402においてID「DSS00003」を選択した場合は、ステップS2404において、図22の行22002より、遮断フラグ値として「False」を取得する。従って、ID「DSS00003」に接続しているすべての下位設備として、配電用変電所情報テーブルである図11の行11002、11003から、「F00005」「F00006」を取得し、メモリ上のリスト「IDList2」に記憶する。前記、ステップS2402からS2408までの処理を、ステップS2401で入力した設備数の分だけ繰り返したのち、ステップS2410において、「IDList」を「IDList2」で上書き更新し、再度、ステップS2402から処理を実行していく。最終的に、ステップS2408において、リスト「IDList2」に記憶する設備IDがなくなった場合、ステップS2410において、遮断制御対象設備のリストである「ShutDownList」を、制御情報として出力する。以上、遮断禁止フラグを判定し、「True」ならば、当該配電設備のIDを抽出し、一方「False」であれば、当該設備の下位設備について同様に遮断禁止フラグの判定を繰り返すという処理を、配電系統の最上位のから順に実行してゆくことにより、遮断禁止フラグが「True」になっている配電設備の内、各配電系統の最上位にある配電設備のみを抽出することが可能である。
【0071】
以上が、第一の実施形態における一つ目の処理であり、二つ目の処理として、前記作成した制御情報に記載されている配電設備の制御装置1401に対して、直接制御命令を送信することにより、本実施形態での制御を実施する。なお、本方法は、可能な限り上位の配電設備を遮断することにより、当該設備に接続する全需要家への遮断操作を実現している為、例えば、同様の効果を得るために、各計量器に対して制御命令を送信する方法と比較し、送信する制御命令のデータ量、および制御操作の操作数を削減することが可能である。
【0072】
遮断禁止フラグに基づく配電設備の制御方法の第二の実施形態は、配電管理装置1101は制御対象設備を特定することなく制御命令を送信し、制御命令を受信した各配電設備の制御装置1401が自律的に判断する方法である。例えば、配電管理装置1101は、制御命令として、遮断操作の実行という信号のみを、全配電設備、もしくは特定系統の設備を対象に、一斉同報する。次に、当該制御命令を受信した各配電設備の制御装置1401は、遮断禁止情報記録手段1403から自身の遮断禁止フラグ値を参照し、「True」であれば遮断操作を実行し、「False」であれば実行しないという判断を、自律的に行う。なお当該処理は、各制御装置1401に具備されている制御実行プログラム1410において実行する。
【0073】
以上が、遮断禁止フラグに基づく配電設備の制御方法における、二つの実施形態に関する説明であるが、前記第一、および第二の実施形態は、それぞれ独立した実施形態として限定されるものではなく、例えば、設備数が比較的多いと考えられる計量器や柱上変圧器に対しては、第二の実施形態により制御を実行し、一方、設備数が比較的少ないと考えられる配電用変電所やフィーダなどに対しては、第一の実施形態により制御を実行しても構わない。
【0074】
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば上記実施形態では、配電系統の構造として完全な木構造を想定したが、配電系統の一部が環状構造になっている場合にも適用可能である。この場合、例えば、遮断禁止フラグが「True」である配電設備の上位に二つの配電設備が接続される場合がある。この時、前記上位の二つの配電設備の両方共を遮断禁止フラグ「True」としても構わないが、例えば、前記上位の二つの設備にそれぞれ接続しているすべての下位設備の数を、配電管理装置の設備情報記録手段より算定し、接続している下位設備の数がより少ないほうの遮断禁止フラグを「False」としてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、制御装置に制御命令を送信するネットワークは、制御用ネットワークを利用するとして説明したが、制御装置の種別によっては、一般的な情報通信用ネットワークを利用しても構わない。
【0076】
また、上記実施形態では、需要家情報管理装置、配電管理装置、および電力情報管理装置はそれぞれ異なる装置として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前記3つの装置の内の2つ、もしくは3つすべてが同一装置であっても構わない。
【0077】
また、上記実施形態では、各配電設備に設置された制御装置は、配電管理装置から受信した制御命令に基づき自動的に制御を実行するとして説明したが、制御命令を受信した旨の通知を出力装置に出力した後に処理を待機し、その後入力装置を介して、人手により最終的な制御操作を実行しても構わない。また、設備自体に、上記実施形態において説明した制御装置と同等の機能が備わっているならば、当該機能を利用しても構わない。
【0078】
また、上記実施形態では、遮断禁止フラグが「True」となっている配電設備の電力供給は遮断してはいけないと説明したが、本発明の意義は、電力供給を遮断してはいけない需要家に対し電力供給を担保することであり、本意義を逸脱しない限り、遮断禁止フラグが「True」であっても、電力供給を遮断してもよい。例えば、遮断禁止フラグが「True」である配電設備「A」について、当該設備の下位に接続している設備の中に、太陽光発電機、ディーゼル発電機、もしくは蓄電池等の電力供給能力を持つ設備が接続されており、かつ、前記電力供給能力を持つ設備は、配電設備「A」に接続している供給遮断不可である需要家の需要を満たす為に十分な供給能力を持ち、また前記需要家に対して電力供給が可能であるならば、前記配電設備「A」への電力供給を遮断してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、遮断禁止フラグは「True」「False」の2値として説明したが、必ずしも2値でなくてもよい。例えば、遮断禁止フラグが「True」である需要家の中にも、遮断停止時間が短時間で済む状況など、緊急度合いが比較的低い場合は、遮断しても構わない需要家が存在する場合がある。前述の場合、需給ひっ迫の緊急度合いに従い、例えば緊急度合いが比較的低い場合でも遮断してもよいレベル1から、中程度の緊急度合であれば遮断してもよいレベル2、緊急度合いが非常に高い場合のみ遮断してもよいレベル3などといった連続値で、遮断禁止フラグを作成し管理してもよい。この時、上位配電設備の遮断禁止フラグの作成方法としては、例えば、下位設備にレベル「1」と「2」の遮断禁止フラグを持つ設備の場合、前記レベル値の中で最も高い値である「2」を、自身の遮断禁止フラグとしてもよい。また、配電管理装置は、制御命令として前記1から3のいずれかのレベル値を発行することにより、当該レベル以下の遮断禁止フラグを持つ設備のみ遮断することが出来る。
【0080】
また、上記実施形態では、遮断禁止フラグが「False」となっている配電設備の電力供給は遮断してもよいと説明したが、必ずしもすべての配電設備の電力供給線を遮断しなくてもよい。例えば、柱上変圧器「T001」の下位に、計量器「M001」と計量器「M002」が接続されている場合、仮に計量器「M001」および「M002」の遮断禁止フラグが双方とも「False」であれば、両計量器とも遮断をしても構わない。しかし、仮に計量器「M001」に紐づく需要家「C001」が、蓄電池や太陽光発電機などの電力供給能力を有する設備を保有していた場合、緊急時においては、例えば計量器「M002」に紐づく需要家「C002」への電力供給のために、計量器「M001」および「M002」の電力供給線の遮断は望ましくない。この場合例えば、需要家からの申請に基づき、需要家「C001」および「C002」の遮断禁止フラグ値を、各々「False」から「ExceptionTrue」に変更し、再度各設備の遮断禁止フラグを再生成する。ここでこの例でのフラグ値「ExceptionTrue」とは、当該設備の遮断は禁止するが、上位設備の遮断までは禁止しないという意味である。従って前記例の場合、柱上変圧器「T001」の下位設備の遮断禁止フラグはいずれも「ExceptionTrue」であるため、柱上変圧器「T001」の遮断禁止フラグは「False」のままである。遮断禁止フラグの再生成後に再度制御命令を発行すると、柱上変圧器「T001」は遮断されるが、計量器「M001」および「M002」は遮断されず、従って、需要家「C001」「C002」の間での電力融通が可能である。
【0081】
また実運用においては、例えばビル内のテナントといった需要家など、電力会社の管理が及ばず、ゆえに電力会社の配電管理装置からこれら個々の需要家の配電設備に対して直接的な制御命令の発行が困難な場合があるが、前記場合においても、本発明は有効である。遮断禁止フラグの作成方法としては、例えば、先ずビル所有者が管理する需要家情報管理装置に対して、ビル内の各テナント需要家の遮断可否申請に基づく遮断禁止フラグを登録する。この時、契約場所IDとしては、例えばビルの名称や識別子「PB001」でもよい。次に、電力事業者が管理する需要家情報管理装置から、前記ビル所有者が管理する需要家管理装置に対して、契約場所ID「PB001」をキーとして当該場所の各需要家の遮断禁止フラグを取得し、一つでも「True」が存在すれば、電力事業者が管理する当該需要家の遮断禁止フラグも「True」とする。その後、ビル管理者および電力事業者のそれぞれが管理する配電設備の遮断禁止フラグを各々作成する。この時電力事業者が管理する配電設備とは、上記実施例での説明と同様に、例えば配電用変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器であり、またビル管理者が管理する配電設備とは、例えば各テナント需要家に対して設置された、分電制御盤などの制御装置である。またビル内における制御命令の発行方法は、例えば、前記各テナント需要家に設置された制御装置に直接制御命令を転送してもよいし、あるいは、ビル全体を統括管理する制御装置に対して制御命令を転送する方法でもよい。またこの例では、各テナント需要家の情報管理、ビル内設備の遮断禁止フラグ作成、および制御命令発行を、ビル管理者が行うとして説明したが、例えば第三者サービス事業者が行ってもよい。
【0082】
本実施の形態によれば、電力供給の制限・遮断が望ましくない需要家への電力供給を担保し、かつ、広域の地域に対する電力遮断操作による需要応答を、迅速かつ効率的に行うことが可能になる。例えば、その一例として、電力供給の遮断が望ましくない需要家の配電系統上における位置に基づき、配電系統上に存在する配電用変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器などの配電設備についてそれぞれの電力供給遮断可否を判定し、前記判定情報に基づき電力供給の遮断制御を実行することで、迅速かつ効率的な需要応答を実現することが出来る。
【符号の説明】
【0083】
1001:需要家情報管理装置、1002:記憶装置、1003:需要家情報記録手段、1004:需要家情報管理プログラム、1005:CPU(中央演算処理装置)、1006:入力装置、1007:出力装置、1008:通信装置、1101:配電管理装置、1102:記憶装置、1103:設備情報記録手段、1104:設備情報管理プログラム、1105:設備制御プログラム、1106:CPU(中央演算処理装置)、1107:入力装置、1108:出力装置、1109:通信装置、1301:電力情報管理装置、1302:記憶装置、1303:遮断禁止情報記録手段、1304:遮断禁止情報作成プログラム、1305:遮断禁止情報管理プログラム、1306:CPU(中央演算処理装置)、1307:入力装置、1308:出力装置、1309:通信装置、1401:制御装置、1402:記憶装置、1403:遮断禁止情報記録手段、1404:遮断禁止情報作成プログラム、1405:遮断禁止情報管理プログラム、1406:CPU(中央演算処理装置)、1407:入力装置、1408:出力装置、1409:通信装置、1410:制御実行プログラム、1411:設備情報記録手段、1412:設備情報管理プログラム、1901:情報通信用ネットワーク、1902:制御用ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力需要家の電力供給に対する遮断可否情報に基づき、複数の電力設備の電力供給遮断操作をする電力情報管理システムであって、
電力系統上の電力設備の相互の接続関係を、記憶する設備情報記憶部と、
前記電力需要家の電力供給に対する遮断可否情報、および当該需要家の所在場所を対応付けて格納する需要家情報記憶部と、
前記需要家情報記憶部と、設備情報記記憶部とを参照し、前記電力系統上に存在する各電力設備の遮断可否情報を判定する遮断設備判定部と、
前記電力設備の遮断可否判定情報に基づき、電力系統上の電力設備の遮断操作を行うための制御信号を送信する制御情報送信部と、
前記制御情報に従い、電力設備の遮断操作を実行する、遮断操作実行部と、
を備えることを特徴とする電力情報管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力情報管理システムにおいて、
前記設備情報記憶部は、前記設備情報を電圧階級に従い記憶し、
前記遮断設備判定部は、電力系統上における電圧階級に従い遮断可否情報を判定することを特徴とする電力情報管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電力情報管理システムにおいて、
前記供給遮断可否情報は、電力供給のひっ迫度合いを複数の水準に分類されていることを特徴とする電力情報管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の電力情報管理システムにおいて、
需要家の所在場所、供給遮断可否情報を含む需要家情報と、配電系統網における変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器、および計量器の設置場所の接続関係情報とを更に備え、
前記需要家情報と前記接続関係情報とを対応付けることにより、各需要家の配電系統網上における位置関係を把握することを特徴とする電力情報管理システム。
【請求項1】
電力需要家の電力供給に対する遮断可否情報に基づき、複数の電力設備の電力供給遮断操作をする電力情報管理システムであって、
電力系統上の電力設備の相互の接続関係を、記憶する設備情報記憶部と、
前記電力需要家の電力供給に対する遮断可否情報、および当該需要家の所在場所を対応付けて格納する需要家情報記憶部と、
前記需要家情報記憶部と、設備情報記記憶部とを参照し、前記電力系統上に存在する各電力設備の遮断可否情報を判定する遮断設備判定部と、
前記電力設備の遮断可否判定情報に基づき、電力系統上の電力設備の遮断操作を行うための制御信号を送信する制御情報送信部と、
前記制御情報に従い、電力設備の遮断操作を実行する、遮断操作実行部と、
を備えることを特徴とする電力情報管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電力情報管理システムにおいて、
前記設備情報記憶部は、前記設備情報を電圧階級に従い記憶し、
前記遮断設備判定部は、電力系統上における電圧階級に従い遮断可否情報を判定することを特徴とする電力情報管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電力情報管理システムにおいて、
前記供給遮断可否情報は、電力供給のひっ迫度合いを複数の水準に分類されていることを特徴とする電力情報管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の電力情報管理システムにおいて、
需要家の所在場所、供給遮断可否情報を含む需要家情報と、配電系統網における変電所、フィーダ、区間開閉器、柱上変圧器、計量器、および計量器の設置場所の接続関係情報とを更に備え、
前記需要家情報と前記接続関係情報とを対応付けることにより、各需要家の配電系統網上における位置関係を把握することを特徴とする電力情報管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−70497(P2013−70497A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206723(P2011−206723)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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