電力融通方法及び電力融通装置
【課題】電力の融通に蓄電池を用いる考え方は上記公知例に示されているように定置を前提にしている。このため融通をすべき電力が蓄電池の最大容量を超過した場合への対応が電池の新規設置のために直ちに対応することは困難である。また、他の方法による電力融通(たとえば自励式BackToBack)で補うにしても、一か所あたり100MW以下の変換能力なので、設備コストと設置期間を考えると、さらにコストがかからない利便性のある方式が望まれている。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明では、他の電力供給地域から、融通希望量を受信する受信し、その融通希望量に対応する蓄電池を特定する特定し、特定された蓄電池を他の電力供給地域に輸送することで電力の融通を実行する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明では、他の電力供給地域から、融通希望量を受信する受信し、その融通希望量に対応する蓄電池を特定する特定し、特定された蓄電池を他の電力供給地域に輸送することで電力の融通を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を用いて電力を融通する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2006-288162号公報(特許文献1)がある。需要家を複数設け、需要家間で電力量融通制御装置を介して電力量の融通制御を行う。また、電力量融通制御装置は、蓄電部に充電された電力貯蔵残量に応じて需要家内の負荷への電力供給、及び電力供給停止の制御を実行すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-288162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力の融通に蓄電池を用いる考え方は上記公知例に示されているように定置を前提にしている。このため融通をすべき電力が蓄電池の最大容量を超過した場合には電池の新規設置により対応する必要がある。しかし新規に設置する場合所定の時間がかかるため、直ちに対応することは困難である。また、他の方法による電力融通(たとえば自励式BackToBack)で補うにしても、一か所あたり100MW以下の変換能力なので、設備コストと設置期間を考えると、さらにコストがかからない利便性のある方式が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、「複数の電力供給地域間の電力の融通を蓄電池の輸送と充放電により行う方式で、各電力供給地域には少なくとも充放電指令装置とそれに付随する入力データデータベース、充放電指令装置からの出力データを蓄積する出力データベースと電池管理センタから構成される電力融通システムを有し、各地域の電力融通システム間で電力の融通を蓄電池の輸送で行うこと」を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第一の実施例は地域ごとに設置された充放電指令装置を介して、各地域の電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、各地域間でグリーン電力指標をはじめとした目的関数が最大となるように蓄電池を選択し、選択した蓄電池を輸送して電力融通を行うため、地域間で環境負荷を最小とするとともに、電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。更には、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】電力融通方式の第一の実施例である。
【図2】充放電指令機能の第一の実施例である。
【図3】第一の実施例における電池選択機能の実施例である。
【図4(A)】電池選択機能への入力データ(電池データベース)の一実施例である。
【図4(B)】電池選択機能への入力データ(充放電モード)の一実施例である。
【図4(C)】電池選択機能への入力データ(制約条件)の一実施例である。
【図5】蓄電池配置機能の実施例である。
【図6(A)】グリーン電力算出方式の原理図である。
【図6(B)】グリーン電力算出方式の数式(1)の例である。
【図6(C)】グリーン電力算出方式の数式(2)の例である。
【図7】グリーン電力算出方式のフローチャートの一実施例である。
【図8(A)】グリーン電力算出方式に必要となるデータフォーマットの一実施例である。
【図8(B)】グリーン電力算出方式に必要となるデータフォーマットの一実施例である。
【図8(C)】グリーン電力算出方式に必要となるデータフォーマットの一実施例である。
【図8(D)】グリーン電力算出方式に必要となるデータフォーマットの一実施例である。
【図9】最適化計算フローチャートの一実施例である。
【図10】電力融通方式の第二の実施例である。
【図11】充放電指令機能の第二の実施例である。
【図12】需給決定機能の一実施例である。
【図13(A)】需給決定機能に必要となるデータの一実施例である。
【図13(B)】需給決定機能に必要となるデータの一実施例である。
【図14】需給決定機能に必要となるデータの一実施例である。
【図15(A)】電力需要量予測機能の一実施例である。
【図15(B)】電力供給量予測機能の一実施例である。
【図16】電力不足量算出装置の一実施例である。
【図17】電池管理センタの一実施例である。
【図18】電池管理センタの一実施例である。
【図19】充放電指令機能の第三の実施例である。
【図20】電池選択装置の第三の実施例である。
【図21】契約照合装置に必要となるデータフォーマットの一実施例である。
【図22(A)】インセンティブ指標の一例である。
【図22(B)】インセンティブ指標の一例である。
【図23】電池選択装置の一実施例を示すフローチャートである。
【図24】インセンティブを与えるためのサンプルデータの一例である。
【図25】電池選択装置の第四の実施例である。
【図26】電池選択装置の第五の実施例である。
【図27】状態推定モデルの一例である。
【図28】盗電量推定装置の一例である。
【図29】盗電量推定装置実現のための処理フローチャートである。
【図30】電池選択装置の第六の実施例である。
【図31】電力不足量を計算するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0010】
図1は本発明の電力融通方式を実現するための第一の構成である。第一の実施例では各地域にあるすでに充電された蓄電池、あるいは充電が必要となる蓄電池を、輸送することにより電力を融通する場合を示している。図中の11、12、13はそれぞれ電力供給の単位となる地域の電力を管理するシステム(地域供給系統)を示している。
【0011】
この地域はたとえばCEMS(Community Energy Management System)と呼ばれている狭い地域の電力供給単位と考えてもよい。また、11,12,13は市町村単位程度の面積を持つ地域と考えてもよい。それぞれの地域供給系統の中には少なくとも充放電指令装置101、入力データベース102、出力データベース103、電池管理センタ104が存在し、充放電指令装置には図中に示していない複数の蓄電池が接続されている。それぞれ地域に存在する充放電指令装置101は互いに通信線で接続されていて、それぞれの充放電指令装置で各充放電指令装置の状態を通信線により情報を取得することが可能となっている。また、充放電指令装置と電池管理センタは通信線で接続され、逐次必要となる情報を取り込むことが可能となっている。
【0012】
図2に、第一の実施例における充放電指令装置の構成を示す。充放電指令装置101は各機能を接続する通信バス123、各地域内で蓄電池の充放電が必要か否かを判定する充放電要求機能115、充放電の要求が来ている他の地域で充放電が必要となる場合に、地域内のどの蓄電池を移動させるべきかを判定する電池選択機能116、充放電の要求が来ている他の地域で充放電が必要となる場合に、他の地域のどこの場所に行って充放電を行うかを決定する行き先決定機能117、地域内の電池を移動する具体的な指示を蓄電池の管理者に伝える指示機能118、入力データベース111、出力データベース112、プログラムが格納されている蓄積エリア113、さらに計算を実施するためのメモリ121、CPU122からなる。
【0013】
図3は電池選択機能116の入出力データの関係を示している。電池選択機能はフローチャートの説明中で後述するグリーン電力算出処理328、電池配置計算機能329から構成され、グリーン電力算出処理328は該地域電池データベース131、該地域制約条件132、他の地域から取得した充放電モード、該地域データベース136を最低限の入力データとする。また、電池配置計算機能329では他地域系統データベース134、他地域充電ステーション位置データベース135、他地域制約条件131、充放電要求機能115から取得した他地域からの充放電モード、並びに充放電要求量133と、グリーン電力算出装置328からの出力データを入力データとする。
なお、充放電要求機能は該地域内の蓄電池を除く需給状態をセンサ等で計測し、その結果をもとに、地域内における電力の過不足分を算出し、該地域内で電力を賄うことができない場合に、通信線で接続されている隣接の他地域に対して電力が不足する場合には電力供給の要求、電力が余剰になる場合は電力販売の要求を行う機能である。
次に本実施例の特徴的な機能である電池選択機能116の動作について説明する。電池選択機能116は該地域内に存在する蓄電池の中から他の地域に輸送する蓄電池を選択する。
【0014】
該地域電池データベース131の一例を図4(A)に示す。電池データベース131の構成例としては、141に示すように充電開始時刻、充電終了時刻、充電開始時のSOC、充電終了時のSOC、SOHと呼ばれる電池の劣化度、累積の充放電電力の履歴が蓄電池ごとに記録されている。このほかにも拡張する項目があれば適宜追加することも可能である。充放電モード133の一例を図4(B)に示す。充放電モードは時刻と需給過不足量からなる時系列のデータである。このほかにも必要に応じてデータ項目を追加することが可能である。該地域制約条件132、他地域制約条件137のデータの一例を図4(C)に示す。制約条件の項目としては、蓄電池を運搬する輸送車が一度に運搬することができる蓄電池の数、電池を運搬するためのコスト、現在の蓄電池の位置から、送付先の蓄電池の位置までの距離、充放電の方向、最低確保SOC等、電池ステー ションにて接続可能な蓄電池容量の最大値を加えることも可能である。
【0015】
たとえば図4(C)における制約条件の一例として、蓄電池を運搬する輸送車が一度に運搬することができる蓄電池の数であるならば、上限値はn(個)、下限値は0、基準値は空欄となる。また、電池を運搬するためのコストであるならば、上限は損益分岐点となるコストであり、下限は利益n%となるコストであり、基準値は利益m%(m<n)となるコストである。現在の蓄電池の位置から、送付先の蓄電池の位置までの距離であるならば、明細書には記載していない燃費の履歴データベースをもとにして、上限は前記データベースをもとに算出される最も燃費が良い場合の距離であり、下限は同様にして最も燃費が悪い場合の距離であり、基準値は平均的な燃費から算出した距離となる。
【0016】
該地域データベース131、他地域系統データベース134の具体的内容を図8(A)、図8(B)に示す。詳細については後述するグリーン電力算出機能の説明の中で示す。他地域充電ステーション位置データベース135は図8(D)に示すように設備名とステーションの有無からなるデータである。各ステーションにおける蓄電池の接続上限値は制約条件132、137に含まれるものとする。
【0017】
次に図5に蓄電池選択機能を実現するためのフローチャートについて説明する。処理321にて充放電をするための蓄電池の融通を申し出てきた地域の充放電指令装置からの各時点の充放電要求量を読み込む。
【0018】
次に処理352にて各地地域の需給予測データを読み込む。その後処理323にて該地域の制約条件データを読み込んで、処理324にて該地域内の蓄電池の電力残容量の総和と需給予測データを比較する。その結果、処理325にて該地域にて蓄電池供給の不足が発生する場合には処理326にて該地域における制約条件の緩和が可能か判定する。ここでの制約条件の緩和とは、たとえば143に示した、各蓄電池の最低保障SOCを調整することである。この処理が対象となる地域における各蓄電池で可能となる場合は処理327にて該地域における制約条件を緩和する。処理326にて該地域の制約条件が緩和できない場合には、該地域にて他地域の電力融通に貢献することができないことになるため、その旨のメッセージを出力して処理を終了する。処理325にて不足が発生しない場合には、処理328にて、各電池のグリーン電力指標を算出する。
【0019】
図6(A)から図6(C)を用いて、グリーン電力指標の求め方を説明する。グリーン電力指標を求める原理は図6(A)に示すように対象とする電力系統の発電機、負荷を電流で表現した際に、図6(B)に示す電力方程式を用いて、電流源として表現した発電機の任意の一台を微小変化させた際に、負荷がどの程度変動するかの感度係数を用いて求める。具体的な計算方法を図7を用いて説明する。グリーン電力指標は図中より省いてある系統構成生成装置にて作成した対象とする電力系統データを処理651にて読み込む。
【0020】
このデータをもとに処理652にてアドミタンス行列を作成し、処理653にて図6(B)の式(1)に示した行列式を作成する。その後、処理654にて各発電機ノードの中から電流源を一つだけ設置した際の各母線電圧を計算し、処理655にて前記母線電圧と前記アドミタンス行列を用いてそれぞれの電源によって発生する電流の潮流状態を算出する。最後に656にて前記電流と、母線電圧からk番目の発電機から母線iへの負荷への配分を図6(C)に示した式(2)を用いて計算する。ここで求められた発電機の電力由来に対し、発電種類ごとに定義されているCO2排出係数を乗ずることにより、各負荷におけるCO2由来量を求める。
【0021】
図8(A)から図8(D)に、グリーン電力指標を求めるために必要な入力データの一例を示す。701はグリーン電力指標を求める対象である電力系統のブランチと呼ばれる送電線、配電線、変圧器の接続の終点、始点、並びにそれらのパラメータを示していて、ブランチの抵抗分、誘導分、容量分、ブランチがタップである場合のタップ比からなる例を示している。
【0022】
また、入力データのもう一つの例として、ノードと呼ばれる発電機の出力、負荷の電力消費量を示したデータ例を702に示す。702はノードの設備名称、発電機ノードであるか否かのフラグ、電圧の指定値、グリーン電力指標計算は一般的なNewton法を用いた潮流計算法を用いることから繰り返し計算を用いるため、電圧の初期値が必要となり、さらに各ノードに対する有効電力の発電指定量(PG)、無効電力の発電指定量(QG)、有効電力の負荷指定量(PL)、無効電力の負荷指定量(QL)、調相機器(スタティックコンデンサ、シャントリアクトル)の投入量からなるデータの例である。このような入力データを用いることにより、グリーン電力指標算出処理では703の例に示すように、各発電機ごとのグリーン電力指標に変換することにより、火力発電、原子力発電、再生エネルギー発電由来という形に分類することにより、グリーン電力指標を求めることが可能となる。このように各蓄電池のグリーン電力指標を求めたのちに処理329(蓄電池配置計算機能)にて蓄電池の組合せを決定する。
【0023】
図9を用いて蓄電池の組合せを決定する方法を説明する。処理はまず処理901にて前記した充放電要求装置115から取得した充放電モード、ならびに充放電要求量を読み込む。次に処理902にて前述した132、137に示した該地域、他地域制約条件を読み込む。ここでの制約条件には電池スタンドにおける蓄電池の接続上限値についても対象となる。次に処理903にて目的関数を設定する。ここでの目的関数は前述した計算で求めたグリーン電力度、あるいは蓄電池を輸送する先の蓄電池接続後の電圧安定度指標、送電ロス、基準電圧からの偏差値の総和、蓄電池を融通するための輸送距離に代表される値を用いる。ここで設定する目的関数は充放電の要求が来た地域ごとに変えることでもよいし、時間ごとに変えることでもよいし、あらかじめ固定であってもよい。処理904ではここまでに設定した制約条件、目的関数をもとに、電池配置計算を行う。ここで用いる計算手法としては、最適化手法として一般的に用いられている線形計画法、二次計画法、タブーサーチ等に代表される数値計算手法を用いることが可能である。処理905で、処理904にて求まった解よりもさらに目的関数が向上する解があるかどうかを判定する。処理905にてこれ以上目的関数値が向上しないのであれば、ここで計算を終了する。目的関数値が向上するようであれば処理904に戻り電池配置計算を継続する。ここでの結果で他地域に輸送する蓄電池とその輸送場所が決定する。目的関数の中に蓄電池の輸送距離を最小にする項目を入れてあるので、近接の地域への電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減されることとなる。
【0024】
電池選択機能で選択した蓄電池を実際に他地域における当該場所に輸送するための指示を指示機能118にて行う。これは蓄電池が保管されている当該地域の電池ステーションに指示が出され、充放電要求機能から受信した時間内に当該蓄電池を輸送するよう指示を出す。電池ステーションの構成については図17の説明にて後述する。
【0025】
本発明の第一の実施例は地域ごとに設置された充放電指令装置を介して、各地域の電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、各地域間でグリーン電力指標をはじめとした目的関数が最大となるように蓄電池を選択し、選択した蓄電池を輸送して電力融通を行うため、地域間で環境負荷を最小とするとともに、電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。
【実施例2】
【0026】
本実施例では、実施例1が各地域における充放電指令装置が互いに通信回線を用いて互いに電力の融通を蓄電池の輸送を行うという分散型の構成であったのと比較して、地域の集合体の中で1か所だけ存在する充放電指令装置にて、地域全体の蓄電池輸送に対する指示を各電池管理センタに、いわば集中制御的に行う充放電指令装置とそれを用いた電力融通方法の例について説明する。なお、既に説明した図に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0027】
図10中の11、12、13は第一の実施例と同じくそれぞれ電力供給の単位となる地域を示している。 第一の実施例と異なる点は地域11には充放電指令装置101が存在するものの、図10の例において他の地域に関しては電池管理センタ104が存在する点である。
第二の実施例での充放電指令装置は図11に示すように、図2で示した充放電指令装置と比較して需給決定機能114が充放電要求装置115の代わりとなっている点である。そのほかの構成については第一の実施例と同様である
第二の実施例で特徴的な機能である需給決定機能114について図12を用いて説明する。図12の例では需要決定機能114は電力需要予測部201、電力供給予測部202、電力不足量算出部203からなり、それらの計算部への入力には再生可能エネルギー発電量長期変動履歴データ211、再生可能エネルギー発電量短期反動履歴データ212、定置型蓄電池利用履歴データ213、電力需要履歴データ214、フィーダ電力履歴データ215、EV(電気自動車)搭載電池利用履歴データ216がある。これらのデータの中で再生エネルギー長期変動履歴データ211、再生エネルギー短期変動履歴データ212は図13中の221に例示するテーブルにて再生エネルギー発電機ごとに収集されている。また、電力需要履歴データ214、フィーダ電力履歴データ215は図13中の221に例示する形態で地域ごとに格納されている。また、定置型蓄電池利用履歴データ213、EV搭載電池利用履歴データ216は図14中の223に例示する形態で格納されている。
次に各計算処理部の内容について図15、図16を用いて説明する。電力需要予測部201は処理241にて需要予測するための学習データとして、電力需要履歴データ214の必要とする期間のデータを読み込む。ここでの必要とする期間の目安はたとえば1年程度あればよい。処理242にて処理241で取得したデータを種別で分類する。この処理はたとえば電力需要は曜日ごとに傾向が大きく違うことがよく知られているため、予測精度を向上させるための前処理である。データによってはこのような処理を省くことも可能である。次に処理243にて該期間の履歴データを学習する。ここでの学習とは履歴データより、電力需要量と外性要因(たとえば気温、湿度、天気)との関数関係を回帰分析、ニューラルネット、統計手法に代表される予測手法を用いて学習する。処理244で、学習したデータの中に存在することが考えられる異常データを除去する。以上データの除去は243にて算出した平均的な関数関係と比較して、大きく外れている値、たとえば標準偏差をσとした際に3σ以上の誤差があるデータを異常データとして除去する。以上データの除去が終了した後に、処理245にて再学習を行い、より平均的な電力需要と外性要因との傾向を求める。その後、処理246にて予測当日の外性要因を入力することにより処理247にて電力需要の予測結果を出力する。
次に電力供給量予測処理202の内容について説明する。電力供給量予測装置はまず処理251にて外性要因を入力する。その後処理252にてフィーダ電力予測量を入力する。ここでのフィーダ電力予測は201に示した電力需要量予測処理に入力した学習データをフィーダデータにすることで同様に行うことが可能である。次に処理253にて各当該地域内に接続されている分散電源、たとえば太陽光発電、風力発電に代表される不安定な電源の発電量の予測を行う。処理253での分散電源長周期分予測に関しては電力需要量予測装置201の場合と学習させるデータを変更すればよい。このように求めた分散電源の予測結果とフィーダ電力予測量を処理255にて統合する。このようにして各地域内での需給バランスの予測状態を求めてその結果を処理256にて出力する。
【0028】
次に電力不足量算出装置203の処理内容について図16を用いて説明する。まず処理261にて定置型電池の履歴データを取得する。ここでの履歴データとは充放電指令装置が管轄する地域中にある蓄電池のSOC値、電池容量をはじめとするパラメータである。次に202にて算出した電力供給量予測値(需給バランス)を読み込む。処理263にてその両者を比較して、供給不足があるか否かを判定する。供給不足がある場合には前記した蓄電池の情報を265にて読み込み、処理267にて蓄電池のデータを用いて供給量を補正する。その供給量の総和を算出して供給不足があるかどうかを判定する。さらに処理268にて供給不足がなければ本処理を終了して、輸送する蓄電池を選択する第一の実施例に記述した電池選択装置116への処理に移動する。供給不足がさらに発生する際には、エラーメッセージを処理269にて出力して処理を終了する。このような処理を行った後に、前述した図5に示した処理を行うことで、輸送する蓄電池の決定と、該蓄電池の輸送場所を決定する。この際、電池選択装置116の計算中、処理329において目的関数に対象系統のロス最小化、あるいは電圧安定度指標の最大化を設定すると、最適化計算として蓄電池を各地域間の電圧偏差が少なくなる方向に蓄電池を配置するため、対象系統で安定的な系統運用が可能となる。
【0029】
図17は電池管理センタ104の一例である。電池管理センタ104は蓄電池381、コントローラ382、コンバータ384、昇圧トランス385、開閉器386,387、制御装置388から構成される制御装置には図に示していない通信モジュールが搭載され、外部機器との通信を行うことが可能である。制御機器388とコントローラ382、開閉器386,387、昇圧トランス385、コンバータ384は通信線391〜395を介して接続されている。また、389は電力ネットワークを示している。地域内に設置されている蓄電池381は電池ステーション中にて制御装置388からの指令によりコントローラ381を介して充電モード、放電モードを切り替えることが可能である。充電が必要な場合は系統からの電力を制御装置が開閉器386,387を制御することにより系統からの電力受電を行い、コンバータ384を介して蓄電池に充電を行う。この際、制御装置からコントローラに指令を出すことにより、接続されている蓄電池でも充放電の対象にしないようにすることが可能である。指示機能118からの指示を制御装置が受信した際には、該蓄電池が接続されているコントローラに指示を出し、充放電を行っていない状態に変更して、輸送が可能な状態に備える。
【0030】
図18は図17に示した実施例と比較して、蓄電池の代わりに電気自動車380が接続された形態である。電気自動車は充電コネクタの一部を放電コネクタとして利用することも可能であるし、新たな放電専用のコネクタを車側に備える形でもよい。また、通信線391はPLCを用いることも可能であるし、無線技術により直接電気自動車と接続することも可能である。
本発明の第二の実施例は一か所に設置された充放電指令装置を介して、地域全体の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域全体でグリーン電力指標をはじめとした目的関数が最大となるように蓄電池を選択し、選択した蓄電池を該当する地域に輸送して電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、対象地域全体で蓄電池を融通するために対象系統全体で電力の安定供給が可能となる。
【0031】
<実施例2のまとめ>
本発明の第二の実施例は一か所に設置された充放電指令装置を介して、地域全体の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域全体でグリーン電力指標をはじめとした目的関数が最大となるように蓄電池を選択し、選択した蓄電池を該当する地域に輸送して電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、対象地域全体で蓄電池を融通するために対象系統全体で電力の安定供給が可能となる。
【実施例3】
【0032】
本実施例では、第一の実施例に対して、対象となる蓄電池として、それだけで移動可能な電気自動車の蓄電池を対象にして、電気自動車搭載の蓄電池を地域をまたいで移動してもらうため電気自動車運転者へのインセンティブを与える装置の構成例について説明する。なお、既に説明した図に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0033】
図19は前記の目的を実現する充放電指令装置の構成を示した例である。第一の実施例と異なる点は、第一の実施例と比較して契約照合装置120が追加された点と、後述するように電池選択機能の処理にインセンティブ算出処理が追加となる点である。この構成を図20に示す。図20は図3にインセンティブ算出装置351が追加され、インセンティブ算出装置の入力データとしてのEVユーザ利用履歴データ361、インセンティブデータベース362が追加される。EVユーザ利用履歴データ361は前述した図4中の141に例示したデータを各EVに格納してある。また、インセンティブデータベースの内容例は図21中の362で、CO2排出レベル、EV搭載車両のSOCレベル、EVが過去に電力融通のために移動した際の近接度、EVが過去に電力融通のために協力した頻度を示す協力頻度、EVユーザが電力融通に協力した際のインセンティブ価格とその際のEVユーザの満足度の関係を示す価格適合性を例示している。
【0034】
契約照合装置は図21中の363に例示するように、ユーザごとに契約形態、たとえば協力するたびに定額インセンティブを獲得することができる、あるいは協力する時点でインセンティブが変わる、をはじめとした契約形態である。さらに例ではオプションとして充電、放電が可能な車両であるかどうか、あるいは両方可能であるかどうか、あるいは充放電を打ち切る最大、最小のSOCはいくらかになるかという充放電レベル、ユーザの希望で充放電を禁止したい時間帯、等が挙げられる。他の地域の充放電指令装置からの充放電要請が該地域の充放電指令装置に届いた場合は、まず契約照合装置120で対象外となるEVを除外して、電力融通の貢献が可能であるEVだけに絞ることが可能となる。
次に図20に示した電池選択処理の具体的な処理を図22を用いて説明する。処理751にて充放電要求装置化要求があった他地域に関する各時刻の充放電要求量を読み込む。その後、処理752にて該地域における需給予測データを読み込む。その後、該地域における制約条件データを処理753にて取得し、該地域内の電池残容量と各時刻の需給データを754にて比較する。処理755でのチェックの結果、該地域内で電力の不足が発生しない場合には他地域へのEVの移動による電力融通が可能であることになるため、処理328にて各EV蓄電池のグリーン電力指標算出を行う。この処理は前述した蓄電池の場合と同様の処理を行い、初期状態から充電された電力のグリーン度を累積して更新しておく。その後、各EV蓄電池の利用可否を処理759にて調査する。この調査のためのデータは前述した契約照合装置120にて取得したデータを用いる。その後処理760にて地域間の電力融通に必要な電力価格を算出する。次に処理351で電力価格の算出を行う。ここでの電力価格は、該地域において受電している系統電力の価格に加えて、該地域内に存在している分散型電源からの電力の価格をたとえば比例配分により決定する。その後、他地域からの充放電指令装置から提示してきた電力価格と比較して利益が出る分のマージンを乗せた価格を決定する。ここでのマージン料金はあらかじめ各充放電指令装置を有する地域と決定しておく。次に各EV蓄電池のインセンティブ指標を351にて算出する。図22中の385に示すようにEVユーザが電池を融通するために走行する距離あるいは到達時間と、電力価格(インセンティブ料金)のユーザ側の希望価格を表すインセンティブカーブ376と充放電管理指令装置側の希望価格を表すインセンティブカーブ377を照合させ、378に示すようにその交差点を走行距離に見合うインセンティブ料金として決定する。電力をEVを用いて他地域へ融通する場合のパターンとして大きな影響を及ぼす要素はEVユーザが協力してくれるかどうかであり、また、そのためには電力融通に協力をお願いするタイミングが重要となる。図23はインセンティブ指標算出のためのユーザの行動とその場合のメリットをまとめた例である。このような例をもとに、図22に示したEVユーザ側のインセンティブカーブを変更する。たとえば、図23の表において、電力放電(=融通に協力する)EVユーザはユーザから見たメリットが大きいと考えた場合には、高く買い取ってくれるに違いない、との考えからインセンティブを高く与えないと融通に協力してくれない可能性がある一方で、たとえば確たる目的地がないEVユーザに対しては低めのインセンティブでも電力融通に協力してもらえる可能性がある。このようなEVユーザの行動パターンをインセンティブカーブに反映することで処理329の目的関数に反映させる。処理329は第一の実施例にて例示したように最適化計算を用いて移動するEVを選択する。本実施例では目的関数にインセンティブ指標を入れ、融通に協力してくれるEVユーザのできるだけ多くがメリットを享受できるように、多くのEVユーザにとってインセンティブ指標が最大になるように最適化計算を行う。
【0035】
本発明の第三の実施例は地域ごとに設置された充放電指令装置を介して、各地域中にあるEVに搭載されている電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標と、EVユーザのインセンティブ指標をもとに、各地域間でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように移動するEVを選択し、選択したEVを電池ステーションに接続して電力融通を行うため、地域間で環境負荷を最小とするとともに、EVユーザの電力融通に協力したメリットが生じ、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、各EVの走行距離が低減される効果がある。また、本実施例は各地域の周波数が異なる系統であっても有効な効果を示すため、異周波数電力系統間の電力融通において建設に時間とコストがかかる周波数変換所を設置することなく電力の融通を異周波数系統間で行うことが可能となる。
【0036】
<実施例3のまとめ>
本発明の第三の実施例は地域ごとに設置された充放電指令装置を介して、各地域中にあるEVに搭載されている電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標と、EVユーザのインセンティブ指標をもとに、各地域間でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように移動するEVを選択し、選択したEVを電池ステーションに接続して電力融通を行うため、地域間で環境負荷を最小とするとともに、EVユーザの電力融通に協力したメリットが生じ、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、各EVの走行距離が低減される効果がある。また、本実施例は各地域の周波数が異なる系統であっても有効な効果を示すため、異周波数電力系統間の電力融通において建設に時間とコストがかかる周波数変換所を設置することなく電力の融通を異周波数系統間で行うことが可能となる。
【実施例4】
【0037】
本実施例では、第二の実施例に対して、蓄電池の代わりにEV搭載の蓄電池を用いて、EV搭載の各蓄電池を地域間で融通する実施例である。なお、既に説明した図に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。この実施例(図23)では第二の実施例に契約照合機能120が追加され、電池選択機能116が第三の実施例で用いた構成の機能となる。
本発明の第四の実施例は一か所に設置された充放電指令装置を介して、地域全体の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標と、EVユーザのインセンティブ指標をもとに、地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように移動するEVを選択し電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、EVユーザの電力融通に協力したメリットが生じ、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、対象地域全体で蓄電池を融通するために対象系統全体で電力の安定供給が可能となる。また、本実施例は各地域の周波数が異なる系統であっても有効な効果を示すため、異周波数電力系統間の電力融通において建設に時間とコストがかかる周波数変換所を設置することなく電力の融通を異周波数系統間で行うことが可能となる。
【0038】
<実施例4のまとめ>
本発明の第四の実施例は一か所に設置された充放電指令装置を介して、地域全体の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標と、EVユーザのインセンティブ指標をもとに、地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように移動するEVを選択し電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、EVユーザの電力融通に協力したメリットが生じ、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、対象地域全体で蓄電池を融通するために対象系統全体で電力の安定供給が可能となる。また、本実施例は各地域の周波数が異なる系統であっても有効な効果を示すため、異周波数電力系統間の電力融通において建設に時間とコストがかかる周波数変換所を設置することなく電力の融通を異周波数系統間で行うことが可能となる。
【実施例5】
【0039】
本実施例では、第一から第四の実施例では地域における電力系統が健全に運用されていることが前提であったものの、実際の電力系統では途中で電力が予想外の大きさで盗電される場合もある。このような予想外の盗電が発生した場合には蓄電池で電力融通を行っても効果が低下する可能性があるので、本実施例では盗電量推定装置を設けることにより盗電が発生しても蓄電池を輸送することで電力融通の効果を出すための実施例である。 なお、既に説明した図に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
図24は、実施例1の充放電指令装置101に対して本実施例で特徴的な機能である盗電量推定機能1001が追加された例である。盗電量推定機能の原理を図25を用いて説明する。盗電量推定装置は、発電機、負荷からなるノードと呼ばれる物理モデルと送電線、配電線、変圧器からなるブランチと呼ばれる物理モデルを対象として、ノード、ブランチに接続されているセンサからの情報をもとに、最小二乗法を用いた状態推定法(Power System State Estimation)を利用する。本状態推定法に関しては
Holten, L.; Gjelsvik, A.; Aam, S.; Wu, F.F.; Liu, W.-H.E.; Comparison of different methods for state estimation. IEEE Transactions on Power Systems, Vol.3(1988), 1798-1806.
にその手法について詳細がある。
盗電量推定手法は図25の例では901〜910まで観測値の中でノードに関する観測値901〜903、908〜910の観測値に関する重み係数をブランチの観測値に904〜907に対してN倍に設定する。盗電は一般的に送電線、配電線から分岐を作って電力を横流しすることから、この状態で状態推定を実施すると、盗電が発生している場合には状態推定計算を行った結果、ノードの観測値には推定残差(=観測値―推定値)が少なく、ブランチの観測値に大きな観測誤差が算出されることとなる。そのため、ブランチの観測値に大きな食い違い、すなわち推定残差が大きいとバッドデータとして異常検出され、バッドデータが発生したブランチにおいて盗電が発生していることが推定でき、そのバッドデータを除去し、ノードとブランチの観測値に対する重み係数を同一にして状態推定を行った「正しい状態」の推定結果と前記した「正しくない状態」でのバッドデータが検出されたブランチの推定結果の差分が盗電量として計算されることとなる。この盗電量を見込んだ値を他の地域における充放電指令装置からの要求量に織り込むことにより、電力融通中に盗電が発生してもあらかじめ盗電量を見込んで蓄電池の輸送による融通を行うため該地域では電量融通により安定な電力の確保が可能となる。
盗電量推定装置の構成を図26に示す。盗電量推定装置1001は立木系統データベース1021、他地域関装置データベース1022を入力データとし、重み係数設定機能1023、状態推定機能1024、盗電量算出機能1025、重み係数傾斜有推定結果1026、重み係数傾斜なし推定結果1027から構成される。これらの動作を再度図27のフローチャートにて説明する。処理1101にて他系統の観測値データ、系統データを読み込む。処理1102にて処理1101にて読み込んだ観測値データの中で、ノードの観測値とブランチの観測値を分離し、ノードの観測値の重みをブランチ観測値のN倍に設定する。Nのおおよその目安は10〜100程度が望ましい。その後、重み係数を変更した観測値データで状態推定計算をしょり1103にて行い、その結果を処理1104にて記録する。この推定結果で、バッドデータが検出されたかどうかを処理1105にてチェックし、バッドデータが検出されなければ、盗電がないものとして処理を終了する。処理1105にてバッドデータが検出された場合は、処理1106にてノードの観測値とブランチの観測値の重み係数を同じ値に設定する。そのデータをもとに処理1107にて状態推定計算を実施し、その結果を処理1108にてデータを記録する。処理1109で処理1104で記録したデータと処理1109で記録したデータの中で、バッドデータとして検出された観測値に関して、重み係数を変更する前後の推定値の差分を盗電推定量と設定する。
盗電推定量を求めたのちは、第一の実施例における図9中の処理901の値に、盗電推定量を反映させて実施例1と同様の計算を行えばよい。
本発明の第五の実施例は第一の実施例の構成に、盗電量推定機能を設けたため、充放電指令装置を介して、各地域の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域内での盗電量が大きくなっても地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように地域間を輸送する蓄電池を用いて電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。また、第二〜第四の実施例の構成に本盗電量推定機能を設けることにより、各地域において盗電量が大きくなっても電力融通による地域系統の安定化を図ることが可能となる。
【0040】
<実施例5のまとめ>
本発明の第五の実施例は第一の実施例の構成に、盗電量推定機能を設けたため、充放電指令装置を介して、各地域の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域内での盗電量が大きくなっても地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように地域間を輸送する蓄電池を用いて電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。また、第二〜第四の実施例の構成に本盗電量推定機能を設けることにより、各地域において盗電量が大きくなっても電力融通による地域系統の安定化を図ることが可能となる。
【実施例6】
【0041】
本実施例では、第一から第四の実施例では地域における電力系統が健全に運用されていることが前提であったものの、発電設備が十分な量を備えていない地域系統では突発的な停電が発生する場合がある。このような予想外の停電をあらかじめ防止するように、本実施例では停電推定機能を設けることにより盗電が発生しても蓄電池を輸送することで電力融通の効果を出す実施例である。なお、既に説明した図に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0042】
図28は第一の実施例における充放電指令装置に停電推定機能1002が追加された構成である。停電推定機能は外部から周波数の変動データを通信により取得し、その動向を常時監視している。停電推定機能の動作を図28を用いて説明する。処理1151にて需給予測を行う。この需給予測は図15に示した電力需要量予測機能201、電力供給機能202と同様である。その後、これらのデータをもとに、他系統の周波数計算を実施する。次に処理1153にて周波数の変動を平均化するために、過去の時点からの周波数移動平均値を算出する。処理1154にてあらかじめ設定したεよりも周波数の変化が大きくなる時間が一定時間継続した場合には、系統容量と周波数からさらなる電力不足量を推定し、その量を第一の実施例における図9中の処理901の値に反映させて実施例1と同様の計算を行えばよい。
本発明の第六の実施例は第一の実施例の構成に、停電推定機能を設けたため、充放電指令装置を介して、各地域の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域内での停電可能性が大きくなっても地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように地域間を輸送する蓄電池を用いて電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。また、第二〜第四の実施例の構成に本停電推定機能を設けることにより、各地域において停電の可能性が大きくなっても電力融通による地域系統の安定化を図ることが可能となる。
【0043】
<実施例6のまとめ>
本発明の第六の実施例は第一の実施例の構成に、停電推定機能を設けたため、充放電指令装置を介して、各地域の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域内での停電可能性が大きくなっても地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように地域間を輸送する蓄電池を用いて電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。また、第二〜第四の実施例の構成に本停電推定機能を設けることにより、各地域において停電の可能性が大きくなっても電力融通による地域系統の安定化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
101:充放電指令装置、102:入力データベース、103:出力データベース、104:電池管理センタ104、123:通信バス、114:需給決定機能、115:充放電要求機能、116:電池選択機能116、117:行き先決定機能、118:指示装置、111:入力データベース、112:出力データベース、113:蓄積エリア、121:、メモリ121、122:CPU、328:グリーン電力算出装置、329:蓄電池配置計算機能、1001:盗電量推定機能、1002:停電推定機能
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を用いて電力を融通する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2006-288162号公報(特許文献1)がある。需要家を複数設け、需要家間で電力量融通制御装置を介して電力量の融通制御を行う。また、電力量融通制御装置は、蓄電部に充電された電力貯蔵残量に応じて需要家内の負荷への電力供給、及び電力供給停止の制御を実行すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-288162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力の融通に蓄電池を用いる考え方は上記公知例に示されているように定置を前提にしている。このため融通をすべき電力が蓄電池の最大容量を超過した場合には電池の新規設置により対応する必要がある。しかし新規に設置する場合所定の時間がかかるため、直ちに対応することは困難である。また、他の方法による電力融通(たとえば自励式BackToBack)で補うにしても、一か所あたり100MW以下の変換能力なので、設備コストと設置期間を考えると、さらにコストがかからない利便性のある方式が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、「複数の電力供給地域間の電力の融通を蓄電池の輸送と充放電により行う方式で、各電力供給地域には少なくとも充放電指令装置とそれに付随する入力データデータベース、充放電指令装置からの出力データを蓄積する出力データベースと電池管理センタから構成される電力融通システムを有し、各地域の電力融通システム間で電力の融通を蓄電池の輸送で行うこと」を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第一の実施例は地域ごとに設置された充放電指令装置を介して、各地域の電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、各地域間でグリーン電力指標をはじめとした目的関数が最大となるように蓄電池を選択し、選択した蓄電池を輸送して電力融通を行うため、地域間で環境負荷を最小とするとともに、電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。更には、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】電力融通方式の第一の実施例である。
【図2】充放電指令機能の第一の実施例である。
【図3】第一の実施例における電池選択機能の実施例である。
【図4(A)】電池選択機能への入力データ(電池データベース)の一実施例である。
【図4(B)】電池選択機能への入力データ(充放電モード)の一実施例である。
【図4(C)】電池選択機能への入力データ(制約条件)の一実施例である。
【図5】蓄電池配置機能の実施例である。
【図6(A)】グリーン電力算出方式の原理図である。
【図6(B)】グリーン電力算出方式の数式(1)の例である。
【図6(C)】グリーン電力算出方式の数式(2)の例である。
【図7】グリーン電力算出方式のフローチャートの一実施例である。
【図8(A)】グリーン電力算出方式に必要となるデータフォーマットの一実施例である。
【図8(B)】グリーン電力算出方式に必要となるデータフォーマットの一実施例である。
【図8(C)】グリーン電力算出方式に必要となるデータフォーマットの一実施例である。
【図8(D)】グリーン電力算出方式に必要となるデータフォーマットの一実施例である。
【図9】最適化計算フローチャートの一実施例である。
【図10】電力融通方式の第二の実施例である。
【図11】充放電指令機能の第二の実施例である。
【図12】需給決定機能の一実施例である。
【図13(A)】需給決定機能に必要となるデータの一実施例である。
【図13(B)】需給決定機能に必要となるデータの一実施例である。
【図14】需給決定機能に必要となるデータの一実施例である。
【図15(A)】電力需要量予測機能の一実施例である。
【図15(B)】電力供給量予測機能の一実施例である。
【図16】電力不足量算出装置の一実施例である。
【図17】電池管理センタの一実施例である。
【図18】電池管理センタの一実施例である。
【図19】充放電指令機能の第三の実施例である。
【図20】電池選択装置の第三の実施例である。
【図21】契約照合装置に必要となるデータフォーマットの一実施例である。
【図22(A)】インセンティブ指標の一例である。
【図22(B)】インセンティブ指標の一例である。
【図23】電池選択装置の一実施例を示すフローチャートである。
【図24】インセンティブを与えるためのサンプルデータの一例である。
【図25】電池選択装置の第四の実施例である。
【図26】電池選択装置の第五の実施例である。
【図27】状態推定モデルの一例である。
【図28】盗電量推定装置の一例である。
【図29】盗電量推定装置実現のための処理フローチャートである。
【図30】電池選択装置の第六の実施例である。
【図31】電力不足量を計算するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0010】
図1は本発明の電力融通方式を実現するための第一の構成である。第一の実施例では各地域にあるすでに充電された蓄電池、あるいは充電が必要となる蓄電池を、輸送することにより電力を融通する場合を示している。図中の11、12、13はそれぞれ電力供給の単位となる地域の電力を管理するシステム(地域供給系統)を示している。
【0011】
この地域はたとえばCEMS(Community Energy Management System)と呼ばれている狭い地域の電力供給単位と考えてもよい。また、11,12,13は市町村単位程度の面積を持つ地域と考えてもよい。それぞれの地域供給系統の中には少なくとも充放電指令装置101、入力データベース102、出力データベース103、電池管理センタ104が存在し、充放電指令装置には図中に示していない複数の蓄電池が接続されている。それぞれ地域に存在する充放電指令装置101は互いに通信線で接続されていて、それぞれの充放電指令装置で各充放電指令装置の状態を通信線により情報を取得することが可能となっている。また、充放電指令装置と電池管理センタは通信線で接続され、逐次必要となる情報を取り込むことが可能となっている。
【0012】
図2に、第一の実施例における充放電指令装置の構成を示す。充放電指令装置101は各機能を接続する通信バス123、各地域内で蓄電池の充放電が必要か否かを判定する充放電要求機能115、充放電の要求が来ている他の地域で充放電が必要となる場合に、地域内のどの蓄電池を移動させるべきかを判定する電池選択機能116、充放電の要求が来ている他の地域で充放電が必要となる場合に、他の地域のどこの場所に行って充放電を行うかを決定する行き先決定機能117、地域内の電池を移動する具体的な指示を蓄電池の管理者に伝える指示機能118、入力データベース111、出力データベース112、プログラムが格納されている蓄積エリア113、さらに計算を実施するためのメモリ121、CPU122からなる。
【0013】
図3は電池選択機能116の入出力データの関係を示している。電池選択機能はフローチャートの説明中で後述するグリーン電力算出処理328、電池配置計算機能329から構成され、グリーン電力算出処理328は該地域電池データベース131、該地域制約条件132、他の地域から取得した充放電モード、該地域データベース136を最低限の入力データとする。また、電池配置計算機能329では他地域系統データベース134、他地域充電ステーション位置データベース135、他地域制約条件131、充放電要求機能115から取得した他地域からの充放電モード、並びに充放電要求量133と、グリーン電力算出装置328からの出力データを入力データとする。
なお、充放電要求機能は該地域内の蓄電池を除く需給状態をセンサ等で計測し、その結果をもとに、地域内における電力の過不足分を算出し、該地域内で電力を賄うことができない場合に、通信線で接続されている隣接の他地域に対して電力が不足する場合には電力供給の要求、電力が余剰になる場合は電力販売の要求を行う機能である。
次に本実施例の特徴的な機能である電池選択機能116の動作について説明する。電池選択機能116は該地域内に存在する蓄電池の中から他の地域に輸送する蓄電池を選択する。
【0014】
該地域電池データベース131の一例を図4(A)に示す。電池データベース131の構成例としては、141に示すように充電開始時刻、充電終了時刻、充電開始時のSOC、充電終了時のSOC、SOHと呼ばれる電池の劣化度、累積の充放電電力の履歴が蓄電池ごとに記録されている。このほかにも拡張する項目があれば適宜追加することも可能である。充放電モード133の一例を図4(B)に示す。充放電モードは時刻と需給過不足量からなる時系列のデータである。このほかにも必要に応じてデータ項目を追加することが可能である。該地域制約条件132、他地域制約条件137のデータの一例を図4(C)に示す。制約条件の項目としては、蓄電池を運搬する輸送車が一度に運搬することができる蓄電池の数、電池を運搬するためのコスト、現在の蓄電池の位置から、送付先の蓄電池の位置までの距離、充放電の方向、最低確保SOC等、電池ステー ションにて接続可能な蓄電池容量の最大値を加えることも可能である。
【0015】
たとえば図4(C)における制約条件の一例として、蓄電池を運搬する輸送車が一度に運搬することができる蓄電池の数であるならば、上限値はn(個)、下限値は0、基準値は空欄となる。また、電池を運搬するためのコストであるならば、上限は損益分岐点となるコストであり、下限は利益n%となるコストであり、基準値は利益m%(m<n)となるコストである。現在の蓄電池の位置から、送付先の蓄電池の位置までの距離であるならば、明細書には記載していない燃費の履歴データベースをもとにして、上限は前記データベースをもとに算出される最も燃費が良い場合の距離であり、下限は同様にして最も燃費が悪い場合の距離であり、基準値は平均的な燃費から算出した距離となる。
【0016】
該地域データベース131、他地域系統データベース134の具体的内容を図8(A)、図8(B)に示す。詳細については後述するグリーン電力算出機能の説明の中で示す。他地域充電ステーション位置データベース135は図8(D)に示すように設備名とステーションの有無からなるデータである。各ステーションにおける蓄電池の接続上限値は制約条件132、137に含まれるものとする。
【0017】
次に図5に蓄電池選択機能を実現するためのフローチャートについて説明する。処理321にて充放電をするための蓄電池の融通を申し出てきた地域の充放電指令装置からの各時点の充放電要求量を読み込む。
【0018】
次に処理352にて各地地域の需給予測データを読み込む。その後処理323にて該地域の制約条件データを読み込んで、処理324にて該地域内の蓄電池の電力残容量の総和と需給予測データを比較する。その結果、処理325にて該地域にて蓄電池供給の不足が発生する場合には処理326にて該地域における制約条件の緩和が可能か判定する。ここでの制約条件の緩和とは、たとえば143に示した、各蓄電池の最低保障SOCを調整することである。この処理が対象となる地域における各蓄電池で可能となる場合は処理327にて該地域における制約条件を緩和する。処理326にて該地域の制約条件が緩和できない場合には、該地域にて他地域の電力融通に貢献することができないことになるため、その旨のメッセージを出力して処理を終了する。処理325にて不足が発生しない場合には、処理328にて、各電池のグリーン電力指標を算出する。
【0019】
図6(A)から図6(C)を用いて、グリーン電力指標の求め方を説明する。グリーン電力指標を求める原理は図6(A)に示すように対象とする電力系統の発電機、負荷を電流で表現した際に、図6(B)に示す電力方程式を用いて、電流源として表現した発電機の任意の一台を微小変化させた際に、負荷がどの程度変動するかの感度係数を用いて求める。具体的な計算方法を図7を用いて説明する。グリーン電力指標は図中より省いてある系統構成生成装置にて作成した対象とする電力系統データを処理651にて読み込む。
【0020】
このデータをもとに処理652にてアドミタンス行列を作成し、処理653にて図6(B)の式(1)に示した行列式を作成する。その後、処理654にて各発電機ノードの中から電流源を一つだけ設置した際の各母線電圧を計算し、処理655にて前記母線電圧と前記アドミタンス行列を用いてそれぞれの電源によって発生する電流の潮流状態を算出する。最後に656にて前記電流と、母線電圧からk番目の発電機から母線iへの負荷への配分を図6(C)に示した式(2)を用いて計算する。ここで求められた発電機の電力由来に対し、発電種類ごとに定義されているCO2排出係数を乗ずることにより、各負荷におけるCO2由来量を求める。
【0021】
図8(A)から図8(D)に、グリーン電力指標を求めるために必要な入力データの一例を示す。701はグリーン電力指標を求める対象である電力系統のブランチと呼ばれる送電線、配電線、変圧器の接続の終点、始点、並びにそれらのパラメータを示していて、ブランチの抵抗分、誘導分、容量分、ブランチがタップである場合のタップ比からなる例を示している。
【0022】
また、入力データのもう一つの例として、ノードと呼ばれる発電機の出力、負荷の電力消費量を示したデータ例を702に示す。702はノードの設備名称、発電機ノードであるか否かのフラグ、電圧の指定値、グリーン電力指標計算は一般的なNewton法を用いた潮流計算法を用いることから繰り返し計算を用いるため、電圧の初期値が必要となり、さらに各ノードに対する有効電力の発電指定量(PG)、無効電力の発電指定量(QG)、有効電力の負荷指定量(PL)、無効電力の負荷指定量(QL)、調相機器(スタティックコンデンサ、シャントリアクトル)の投入量からなるデータの例である。このような入力データを用いることにより、グリーン電力指標算出処理では703の例に示すように、各発電機ごとのグリーン電力指標に変換することにより、火力発電、原子力発電、再生エネルギー発電由来という形に分類することにより、グリーン電力指標を求めることが可能となる。このように各蓄電池のグリーン電力指標を求めたのちに処理329(蓄電池配置計算機能)にて蓄電池の組合せを決定する。
【0023】
図9を用いて蓄電池の組合せを決定する方法を説明する。処理はまず処理901にて前記した充放電要求装置115から取得した充放電モード、ならびに充放電要求量を読み込む。次に処理902にて前述した132、137に示した該地域、他地域制約条件を読み込む。ここでの制約条件には電池スタンドにおける蓄電池の接続上限値についても対象となる。次に処理903にて目的関数を設定する。ここでの目的関数は前述した計算で求めたグリーン電力度、あるいは蓄電池を輸送する先の蓄電池接続後の電圧安定度指標、送電ロス、基準電圧からの偏差値の総和、蓄電池を融通するための輸送距離に代表される値を用いる。ここで設定する目的関数は充放電の要求が来た地域ごとに変えることでもよいし、時間ごとに変えることでもよいし、あらかじめ固定であってもよい。処理904ではここまでに設定した制約条件、目的関数をもとに、電池配置計算を行う。ここで用いる計算手法としては、最適化手法として一般的に用いられている線形計画法、二次計画法、タブーサーチ等に代表される数値計算手法を用いることが可能である。処理905で、処理904にて求まった解よりもさらに目的関数が向上する解があるかどうかを判定する。処理905にてこれ以上目的関数値が向上しないのであれば、ここで計算を終了する。目的関数値が向上するようであれば処理904に戻り電池配置計算を継続する。ここでの結果で他地域に輸送する蓄電池とその輸送場所が決定する。目的関数の中に蓄電池の輸送距離を最小にする項目を入れてあるので、近接の地域への電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減されることとなる。
【0024】
電池選択機能で選択した蓄電池を実際に他地域における当該場所に輸送するための指示を指示機能118にて行う。これは蓄電池が保管されている当該地域の電池ステーションに指示が出され、充放電要求機能から受信した時間内に当該蓄電池を輸送するよう指示を出す。電池ステーションの構成については図17の説明にて後述する。
【0025】
本発明の第一の実施例は地域ごとに設置された充放電指令装置を介して、各地域の電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、各地域間でグリーン電力指標をはじめとした目的関数が最大となるように蓄電池を選択し、選択した蓄電池を輸送して電力融通を行うため、地域間で環境負荷を最小とするとともに、電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。
【実施例2】
【0026】
本実施例では、実施例1が各地域における充放電指令装置が互いに通信回線を用いて互いに電力の融通を蓄電池の輸送を行うという分散型の構成であったのと比較して、地域の集合体の中で1か所だけ存在する充放電指令装置にて、地域全体の蓄電池輸送に対する指示を各電池管理センタに、いわば集中制御的に行う充放電指令装置とそれを用いた電力融通方法の例について説明する。なお、既に説明した図に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0027】
図10中の11、12、13は第一の実施例と同じくそれぞれ電力供給の単位となる地域を示している。 第一の実施例と異なる点は地域11には充放電指令装置101が存在するものの、図10の例において他の地域に関しては電池管理センタ104が存在する点である。
第二の実施例での充放電指令装置は図11に示すように、図2で示した充放電指令装置と比較して需給決定機能114が充放電要求装置115の代わりとなっている点である。そのほかの構成については第一の実施例と同様である
第二の実施例で特徴的な機能である需給決定機能114について図12を用いて説明する。図12の例では需要決定機能114は電力需要予測部201、電力供給予測部202、電力不足量算出部203からなり、それらの計算部への入力には再生可能エネルギー発電量長期変動履歴データ211、再生可能エネルギー発電量短期反動履歴データ212、定置型蓄電池利用履歴データ213、電力需要履歴データ214、フィーダ電力履歴データ215、EV(電気自動車)搭載電池利用履歴データ216がある。これらのデータの中で再生エネルギー長期変動履歴データ211、再生エネルギー短期変動履歴データ212は図13中の221に例示するテーブルにて再生エネルギー発電機ごとに収集されている。また、電力需要履歴データ214、フィーダ電力履歴データ215は図13中の221に例示する形態で地域ごとに格納されている。また、定置型蓄電池利用履歴データ213、EV搭載電池利用履歴データ216は図14中の223に例示する形態で格納されている。
次に各計算処理部の内容について図15、図16を用いて説明する。電力需要予測部201は処理241にて需要予測するための学習データとして、電力需要履歴データ214の必要とする期間のデータを読み込む。ここでの必要とする期間の目安はたとえば1年程度あればよい。処理242にて処理241で取得したデータを種別で分類する。この処理はたとえば電力需要は曜日ごとに傾向が大きく違うことがよく知られているため、予測精度を向上させるための前処理である。データによってはこのような処理を省くことも可能である。次に処理243にて該期間の履歴データを学習する。ここでの学習とは履歴データより、電力需要量と外性要因(たとえば気温、湿度、天気)との関数関係を回帰分析、ニューラルネット、統計手法に代表される予測手法を用いて学習する。処理244で、学習したデータの中に存在することが考えられる異常データを除去する。以上データの除去は243にて算出した平均的な関数関係と比較して、大きく外れている値、たとえば標準偏差をσとした際に3σ以上の誤差があるデータを異常データとして除去する。以上データの除去が終了した後に、処理245にて再学習を行い、より平均的な電力需要と外性要因との傾向を求める。その後、処理246にて予測当日の外性要因を入力することにより処理247にて電力需要の予測結果を出力する。
次に電力供給量予測処理202の内容について説明する。電力供給量予測装置はまず処理251にて外性要因を入力する。その後処理252にてフィーダ電力予測量を入力する。ここでのフィーダ電力予測は201に示した電力需要量予測処理に入力した学習データをフィーダデータにすることで同様に行うことが可能である。次に処理253にて各当該地域内に接続されている分散電源、たとえば太陽光発電、風力発電に代表される不安定な電源の発電量の予測を行う。処理253での分散電源長周期分予測に関しては電力需要量予測装置201の場合と学習させるデータを変更すればよい。このように求めた分散電源の予測結果とフィーダ電力予測量を処理255にて統合する。このようにして各地域内での需給バランスの予測状態を求めてその結果を処理256にて出力する。
【0028】
次に電力不足量算出装置203の処理内容について図16を用いて説明する。まず処理261にて定置型電池の履歴データを取得する。ここでの履歴データとは充放電指令装置が管轄する地域中にある蓄電池のSOC値、電池容量をはじめとするパラメータである。次に202にて算出した電力供給量予測値(需給バランス)を読み込む。処理263にてその両者を比較して、供給不足があるか否かを判定する。供給不足がある場合には前記した蓄電池の情報を265にて読み込み、処理267にて蓄電池のデータを用いて供給量を補正する。その供給量の総和を算出して供給不足があるかどうかを判定する。さらに処理268にて供給不足がなければ本処理を終了して、輸送する蓄電池を選択する第一の実施例に記述した電池選択装置116への処理に移動する。供給不足がさらに発生する際には、エラーメッセージを処理269にて出力して処理を終了する。このような処理を行った後に、前述した図5に示した処理を行うことで、輸送する蓄電池の決定と、該蓄電池の輸送場所を決定する。この際、電池選択装置116の計算中、処理329において目的関数に対象系統のロス最小化、あるいは電圧安定度指標の最大化を設定すると、最適化計算として蓄電池を各地域間の電圧偏差が少なくなる方向に蓄電池を配置するため、対象系統で安定的な系統運用が可能となる。
【0029】
図17は電池管理センタ104の一例である。電池管理センタ104は蓄電池381、コントローラ382、コンバータ384、昇圧トランス385、開閉器386,387、制御装置388から構成される制御装置には図に示していない通信モジュールが搭載され、外部機器との通信を行うことが可能である。制御機器388とコントローラ382、開閉器386,387、昇圧トランス385、コンバータ384は通信線391〜395を介して接続されている。また、389は電力ネットワークを示している。地域内に設置されている蓄電池381は電池ステーション中にて制御装置388からの指令によりコントローラ381を介して充電モード、放電モードを切り替えることが可能である。充電が必要な場合は系統からの電力を制御装置が開閉器386,387を制御することにより系統からの電力受電を行い、コンバータ384を介して蓄電池に充電を行う。この際、制御装置からコントローラに指令を出すことにより、接続されている蓄電池でも充放電の対象にしないようにすることが可能である。指示機能118からの指示を制御装置が受信した際には、該蓄電池が接続されているコントローラに指示を出し、充放電を行っていない状態に変更して、輸送が可能な状態に備える。
【0030】
図18は図17に示した実施例と比較して、蓄電池の代わりに電気自動車380が接続された形態である。電気自動車は充電コネクタの一部を放電コネクタとして利用することも可能であるし、新たな放電専用のコネクタを車側に備える形でもよい。また、通信線391はPLCを用いることも可能であるし、無線技術により直接電気自動車と接続することも可能である。
本発明の第二の実施例は一か所に設置された充放電指令装置を介して、地域全体の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域全体でグリーン電力指標をはじめとした目的関数が最大となるように蓄電池を選択し、選択した蓄電池を該当する地域に輸送して電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、対象地域全体で蓄電池を融通するために対象系統全体で電力の安定供給が可能となる。
【0031】
<実施例2のまとめ>
本発明の第二の実施例は一か所に設置された充放電指令装置を介して、地域全体の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域全体でグリーン電力指標をはじめとした目的関数が最大となるように蓄電池を選択し、選択した蓄電池を該当する地域に輸送して電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、対象地域全体で蓄電池を融通するために対象系統全体で電力の安定供給が可能となる。
【実施例3】
【0032】
本実施例では、第一の実施例に対して、対象となる蓄電池として、それだけで移動可能な電気自動車の蓄電池を対象にして、電気自動車搭載の蓄電池を地域をまたいで移動してもらうため電気自動車運転者へのインセンティブを与える装置の構成例について説明する。なお、既に説明した図に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0033】
図19は前記の目的を実現する充放電指令装置の構成を示した例である。第一の実施例と異なる点は、第一の実施例と比較して契約照合装置120が追加された点と、後述するように電池選択機能の処理にインセンティブ算出処理が追加となる点である。この構成を図20に示す。図20は図3にインセンティブ算出装置351が追加され、インセンティブ算出装置の入力データとしてのEVユーザ利用履歴データ361、インセンティブデータベース362が追加される。EVユーザ利用履歴データ361は前述した図4中の141に例示したデータを各EVに格納してある。また、インセンティブデータベースの内容例は図21中の362で、CO2排出レベル、EV搭載車両のSOCレベル、EVが過去に電力融通のために移動した際の近接度、EVが過去に電力融通のために協力した頻度を示す協力頻度、EVユーザが電力融通に協力した際のインセンティブ価格とその際のEVユーザの満足度の関係を示す価格適合性を例示している。
【0034】
契約照合装置は図21中の363に例示するように、ユーザごとに契約形態、たとえば協力するたびに定額インセンティブを獲得することができる、あるいは協力する時点でインセンティブが変わる、をはじめとした契約形態である。さらに例ではオプションとして充電、放電が可能な車両であるかどうか、あるいは両方可能であるかどうか、あるいは充放電を打ち切る最大、最小のSOCはいくらかになるかという充放電レベル、ユーザの希望で充放電を禁止したい時間帯、等が挙げられる。他の地域の充放電指令装置からの充放電要請が該地域の充放電指令装置に届いた場合は、まず契約照合装置120で対象外となるEVを除外して、電力融通の貢献が可能であるEVだけに絞ることが可能となる。
次に図20に示した電池選択処理の具体的な処理を図22を用いて説明する。処理751にて充放電要求装置化要求があった他地域に関する各時刻の充放電要求量を読み込む。その後、処理752にて該地域における需給予測データを読み込む。その後、該地域における制約条件データを処理753にて取得し、該地域内の電池残容量と各時刻の需給データを754にて比較する。処理755でのチェックの結果、該地域内で電力の不足が発生しない場合には他地域へのEVの移動による電力融通が可能であることになるため、処理328にて各EV蓄電池のグリーン電力指標算出を行う。この処理は前述した蓄電池の場合と同様の処理を行い、初期状態から充電された電力のグリーン度を累積して更新しておく。その後、各EV蓄電池の利用可否を処理759にて調査する。この調査のためのデータは前述した契約照合装置120にて取得したデータを用いる。その後処理760にて地域間の電力融通に必要な電力価格を算出する。次に処理351で電力価格の算出を行う。ここでの電力価格は、該地域において受電している系統電力の価格に加えて、該地域内に存在している分散型電源からの電力の価格をたとえば比例配分により決定する。その後、他地域からの充放電指令装置から提示してきた電力価格と比較して利益が出る分のマージンを乗せた価格を決定する。ここでのマージン料金はあらかじめ各充放電指令装置を有する地域と決定しておく。次に各EV蓄電池のインセンティブ指標を351にて算出する。図22中の385に示すようにEVユーザが電池を融通するために走行する距離あるいは到達時間と、電力価格(インセンティブ料金)のユーザ側の希望価格を表すインセンティブカーブ376と充放電管理指令装置側の希望価格を表すインセンティブカーブ377を照合させ、378に示すようにその交差点を走行距離に見合うインセンティブ料金として決定する。電力をEVを用いて他地域へ融通する場合のパターンとして大きな影響を及ぼす要素はEVユーザが協力してくれるかどうかであり、また、そのためには電力融通に協力をお願いするタイミングが重要となる。図23はインセンティブ指標算出のためのユーザの行動とその場合のメリットをまとめた例である。このような例をもとに、図22に示したEVユーザ側のインセンティブカーブを変更する。たとえば、図23の表において、電力放電(=融通に協力する)EVユーザはユーザから見たメリットが大きいと考えた場合には、高く買い取ってくれるに違いない、との考えからインセンティブを高く与えないと融通に協力してくれない可能性がある一方で、たとえば確たる目的地がないEVユーザに対しては低めのインセンティブでも電力融通に協力してもらえる可能性がある。このようなEVユーザの行動パターンをインセンティブカーブに反映することで処理329の目的関数に反映させる。処理329は第一の実施例にて例示したように最適化計算を用いて移動するEVを選択する。本実施例では目的関数にインセンティブ指標を入れ、融通に協力してくれるEVユーザのできるだけ多くがメリットを享受できるように、多くのEVユーザにとってインセンティブ指標が最大になるように最適化計算を行う。
【0035】
本発明の第三の実施例は地域ごとに設置された充放電指令装置を介して、各地域中にあるEVに搭載されている電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標と、EVユーザのインセンティブ指標をもとに、各地域間でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように移動するEVを選択し、選択したEVを電池ステーションに接続して電力融通を行うため、地域間で環境負荷を最小とするとともに、EVユーザの電力融通に協力したメリットが生じ、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、各EVの走行距離が低減される効果がある。また、本実施例は各地域の周波数が異なる系統であっても有効な効果を示すため、異周波数電力系統間の電力融通において建設に時間とコストがかかる周波数変換所を設置することなく電力の融通を異周波数系統間で行うことが可能となる。
【0036】
<実施例3のまとめ>
本発明の第三の実施例は地域ごとに設置された充放電指令装置を介して、各地域中にあるEVに搭載されている電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標と、EVユーザのインセンティブ指標をもとに、各地域間でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように移動するEVを選択し、選択したEVを電池ステーションに接続して電力融通を行うため、地域間で環境負荷を最小とするとともに、EVユーザの電力融通に協力したメリットが生じ、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、各EVの走行距離が低減される効果がある。また、本実施例は各地域の周波数が異なる系統であっても有効な効果を示すため、異周波数電力系統間の電力融通において建設に時間とコストがかかる周波数変換所を設置することなく電力の融通を異周波数系統間で行うことが可能となる。
【実施例4】
【0037】
本実施例では、第二の実施例に対して、蓄電池の代わりにEV搭載の蓄電池を用いて、EV搭載の各蓄電池を地域間で融通する実施例である。なお、既に説明した図に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。この実施例(図23)では第二の実施例に契約照合機能120が追加され、電池選択機能116が第三の実施例で用いた構成の機能となる。
本発明の第四の実施例は一か所に設置された充放電指令装置を介して、地域全体の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標と、EVユーザのインセンティブ指標をもとに、地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように移動するEVを選択し電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、EVユーザの電力融通に協力したメリットが生じ、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、対象地域全体で蓄電池を融通するために対象系統全体で電力の安定供給が可能となる。また、本実施例は各地域の周波数が異なる系統であっても有効な効果を示すため、異周波数電力系統間の電力融通において建設に時間とコストがかかる周波数変換所を設置することなく電力の融通を異周波数系統間で行うことが可能となる。
【0038】
<実施例4のまとめ>
本発明の第四の実施例は一か所に設置された充放電指令装置を介して、地域全体の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標と、EVユーザのインセンティブ指標をもとに、地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように移動するEVを選択し電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、EVユーザの電力融通に協力したメリットが生じ、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、対象地域全体で蓄電池を融通するために対象系統全体で電力の安定供給が可能となる。また、本実施例は各地域の周波数が異なる系統であっても有効な効果を示すため、異周波数電力系統間の電力融通において建設に時間とコストがかかる周波数変換所を設置することなく電力の融通を異周波数系統間で行うことが可能となる。
【実施例5】
【0039】
本実施例では、第一から第四の実施例では地域における電力系統が健全に運用されていることが前提であったものの、実際の電力系統では途中で電力が予想外の大きさで盗電される場合もある。このような予想外の盗電が発生した場合には蓄電池で電力融通を行っても効果が低下する可能性があるので、本実施例では盗電量推定装置を設けることにより盗電が発生しても蓄電池を輸送することで電力融通の効果を出すための実施例である。 なお、既に説明した図に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
図24は、実施例1の充放電指令装置101に対して本実施例で特徴的な機能である盗電量推定機能1001が追加された例である。盗電量推定機能の原理を図25を用いて説明する。盗電量推定装置は、発電機、負荷からなるノードと呼ばれる物理モデルと送電線、配電線、変圧器からなるブランチと呼ばれる物理モデルを対象として、ノード、ブランチに接続されているセンサからの情報をもとに、最小二乗法を用いた状態推定法(Power System State Estimation)を利用する。本状態推定法に関しては
Holten, L.; Gjelsvik, A.; Aam, S.; Wu, F.F.; Liu, W.-H.E.; Comparison of different methods for state estimation. IEEE Transactions on Power Systems, Vol.3(1988), 1798-1806.
にその手法について詳細がある。
盗電量推定手法は図25の例では901〜910まで観測値の中でノードに関する観測値901〜903、908〜910の観測値に関する重み係数をブランチの観測値に904〜907に対してN倍に設定する。盗電は一般的に送電線、配電線から分岐を作って電力を横流しすることから、この状態で状態推定を実施すると、盗電が発生している場合には状態推定計算を行った結果、ノードの観測値には推定残差(=観測値―推定値)が少なく、ブランチの観測値に大きな観測誤差が算出されることとなる。そのため、ブランチの観測値に大きな食い違い、すなわち推定残差が大きいとバッドデータとして異常検出され、バッドデータが発生したブランチにおいて盗電が発生していることが推定でき、そのバッドデータを除去し、ノードとブランチの観測値に対する重み係数を同一にして状態推定を行った「正しい状態」の推定結果と前記した「正しくない状態」でのバッドデータが検出されたブランチの推定結果の差分が盗電量として計算されることとなる。この盗電量を見込んだ値を他の地域における充放電指令装置からの要求量に織り込むことにより、電力融通中に盗電が発生してもあらかじめ盗電量を見込んで蓄電池の輸送による融通を行うため該地域では電量融通により安定な電力の確保が可能となる。
盗電量推定装置の構成を図26に示す。盗電量推定装置1001は立木系統データベース1021、他地域関装置データベース1022を入力データとし、重み係数設定機能1023、状態推定機能1024、盗電量算出機能1025、重み係数傾斜有推定結果1026、重み係数傾斜なし推定結果1027から構成される。これらの動作を再度図27のフローチャートにて説明する。処理1101にて他系統の観測値データ、系統データを読み込む。処理1102にて処理1101にて読み込んだ観測値データの中で、ノードの観測値とブランチの観測値を分離し、ノードの観測値の重みをブランチ観測値のN倍に設定する。Nのおおよその目安は10〜100程度が望ましい。その後、重み係数を変更した観測値データで状態推定計算をしょり1103にて行い、その結果を処理1104にて記録する。この推定結果で、バッドデータが検出されたかどうかを処理1105にてチェックし、バッドデータが検出されなければ、盗電がないものとして処理を終了する。処理1105にてバッドデータが検出された場合は、処理1106にてノードの観測値とブランチの観測値の重み係数を同じ値に設定する。そのデータをもとに処理1107にて状態推定計算を実施し、その結果を処理1108にてデータを記録する。処理1109で処理1104で記録したデータと処理1109で記録したデータの中で、バッドデータとして検出された観測値に関して、重み係数を変更する前後の推定値の差分を盗電推定量と設定する。
盗電推定量を求めたのちは、第一の実施例における図9中の処理901の値に、盗電推定量を反映させて実施例1と同様の計算を行えばよい。
本発明の第五の実施例は第一の実施例の構成に、盗電量推定機能を設けたため、充放電指令装置を介して、各地域の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域内での盗電量が大きくなっても地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように地域間を輸送する蓄電池を用いて電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。また、第二〜第四の実施例の構成に本盗電量推定機能を設けることにより、各地域において盗電量が大きくなっても電力融通による地域系統の安定化を図ることが可能となる。
【0040】
<実施例5のまとめ>
本発明の第五の実施例は第一の実施例の構成に、盗電量推定機能を設けたため、充放電指令装置を介して、各地域の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域内での盗電量が大きくなっても地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように地域間を輸送する蓄電池を用いて電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。また、第二〜第四の実施例の構成に本盗電量推定機能を設けることにより、各地域において盗電量が大きくなっても電力融通による地域系統の安定化を図ることが可能となる。
【実施例6】
【0041】
本実施例では、第一から第四の実施例では地域における電力系統が健全に運用されていることが前提であったものの、発電設備が十分な量を備えていない地域系統では突発的な停電が発生する場合がある。このような予想外の停電をあらかじめ防止するように、本実施例では停電推定機能を設けることにより盗電が発生しても蓄電池を輸送することで電力融通の効果を出す実施例である。なお、既に説明した図に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0042】
図28は第一の実施例における充放電指令装置に停電推定機能1002が追加された構成である。停電推定機能は外部から周波数の変動データを通信により取得し、その動向を常時監視している。停電推定機能の動作を図28を用いて説明する。処理1151にて需給予測を行う。この需給予測は図15に示した電力需要量予測機能201、電力供給機能202と同様である。その後、これらのデータをもとに、他系統の周波数計算を実施する。次に処理1153にて周波数の変動を平均化するために、過去の時点からの周波数移動平均値を算出する。処理1154にてあらかじめ設定したεよりも周波数の変化が大きくなる時間が一定時間継続した場合には、系統容量と周波数からさらなる電力不足量を推定し、その量を第一の実施例における図9中の処理901の値に反映させて実施例1と同様の計算を行えばよい。
本発明の第六の実施例は第一の実施例の構成に、停電推定機能を設けたため、充放電指令装置を介して、各地域の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域内での停電可能性が大きくなっても地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように地域間を輸送する蓄電池を用いて電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。また、第二〜第四の実施例の構成に本停電推定機能を設けることにより、各地域において停電の可能性が大きくなっても電力融通による地域系統の安定化を図ることが可能となる。
【0043】
<実施例6のまとめ>
本発明の第六の実施例は第一の実施例の構成に、停電推定機能を設けたため、充放電指令装置を介して、各地域の蓄電池の残量と各蓄電池のグリーン電力指標をもとに、地域内での停電可能性が大きくなっても地域全体でグリーン電力指標、インセンティブをはじめとした目的関数が最大となるように地域間を輸送する蓄電池を用いて電力融通を行うため、対象地域で環境負荷を最小とするとともに、かつ電力融通を行った地域にて安定した電力を供給することが可能となる。また、各地域間で分散処理的に電力融通を行うため、近接の地域間での電力融通が優先され、蓄電池の輸送コストが低減される効果がある。また、第二〜第四の実施例の構成に本停電推定機能を設けることにより、各地域において停電の可能性が大きくなっても電力融通による地域系統の安定化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
101:充放電指令装置、102:入力データベース、103:出力データベース、104:電池管理センタ104、123:通信バス、114:需給決定機能、115:充放電要求機能、116:電池選択機能116、117:行き先決定機能、118:指示装置、111:入力データベース、112:出力データベース、113:蓄積エリア、121:、メモリ121、122:CPU、328:グリーン電力算出装置、329:蓄電池配置計算機能、1001:盗電量推定機能、1002:停電推定機能
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給地域間で電力を融通する電力融通方法であって、
他の電力供給地域から、融通希望量を受信する受信ステップと、
前記融通希望量に対応する蓄電池を特定する特定ステップと、
前記特定された蓄電池を前記他の電力供給地域に輸送することで電力の融通を実行する実行ステップと、
を備える電力融通方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電力融通方法において、
前記特定ステップは、前記電力供給地域に存在する複数の前記蓄電池のそれぞれについて、少なくとも電圧情報と、当該蓄電池への電力供給元を示す電力由来情報と、から当該電池のグリーン電力指標を算出し、当該グリーン電力指標に基いて、前記融通希望量に対応する蓄電池を特定する、
ことを特徴とする電力融通方法。
【請求項3】
請求項2に記載の電力融通方法において、
前記蓄電池は、電気自動車に搭載されている蓄電池である
ことを特徴とする電力融通方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電力融通方法において、
前記特定ステップは、更に、前記自動車が移動した際に前記他の電力供給地域への接近度情報に基づいて前記融通希望量に対応する蓄電池を特定する、
ことを特徴とする電力融通方法。
【請求項5】
他の電力融通装置との間で電力を融通する電力融通装置であって、
他の電力融通装置から、融通要求情報を受信するインタフェース部と、
前記融通要求情報に基づき、融通に用いる蓄電池を特定する蓄電池特定部と、
を備えることを特徴とする電力融通装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電力融通装置において、
前記蓄電池特定部は、前記電力供給地域に存在する複数の前記蓄電池のそれぞれについて、少なくとも電圧情報と、当該蓄電池への電力供給元を示す電力由来情報と、から当該電池のグリーン電力指標を算出し、当該グリーン電力指標に基いて、前記融通希望量に対応する蓄電池を特定することを特徴とする電力融通装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力融通装置において、
前記蓄電池は、電気自動車の蓄電池であって、
前記蓄電池特定部は、更に、前記自動車が移動した際に前記他の電力供給地域への接近度情報に基づいて前記融通希望量に対応する蓄電池を特定することを特徴とする電力融通装置。
【請求項8】
複数の電力供給地域間の電力の融通を蓄電池の輸送と充放電により行う電力融通方法であって、
前記各電力供給地域には少なくとも充放電指令装置とそれに付随する入力データデータベース、充放電指令装置からの出力データを蓄積する出力データベースと電池管理センタから構成される電力融通システムを有し、
前記各地域の電力融通システム間で電力の融通を蓄電池の輸送で行う
ことを特徴とした電力融通方法。
【請求項9】
請求項8に記載の電力融通方法において、
充放電指令装置は、少なくとも他の地域からの電力融通要求を取得する充放電要求機能と、自地域から他地域へ充電された蓄電池を輸送するために自地域に存在する蓄電池を選択する電池選択機能、前記電池選択機能からの算出結果を電池ステーションに伝達する指示機能を少なくとも含むことを特徴とする、充放電指令装置を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電力融通方法において、
充放電指令装置に含まれる電池選択装置は、自地域に存在する蓄電池に蓄積されている電力の由来を仮想的に算出すグリーン電力算出処理機能を有することを特徴とする充放電指令装置を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項11】
請求項10に記載の電力融通方法において、
充放電指令装置は、少なくとも各地域の電力融通要求を管理し、需給の過不足を検出する取得する需給決定機能と、自地域から他地域へ充電された蓄電池を輸送するために自地域に存在する蓄電池を選択する電池選択機能、前記電池選択機能からの算出結果を電池ステーションに伝達する指示機能を少なくとも含むことを特徴とする、充放電指令機能を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電力融通方法において、
前記充放電指令装置は、少なくとも他の地域からの電力融通要求を取得する充放電要求機能と、自地域から他地域へ充電された蓄電池を輸送するために自地域に存在する蓄電池を選択する電池選択機能、前記電池選択機能からの算出結果を電池ステーションに伝達する指示機能、電気自動車の充放電を実施するための情報を照会する契約照合機能を少なくとも含むことを特徴とする充放電指令装置を有する、各地域の電力融通システム間で電力の融通を電気自動車の移動とそれに搭載されている蓄電池の充放電で行うことを特徴とした電力融通方法。
【請求項13】
請求項12に記載の電力融通方法において、
前記充放電指令装置に含まれる電池選択装置は、自地域に存在する蓄電池に蓄積されている電力の由来を仮想的に算出すグリーン電力算出処理機能と電気自動車ユーザに電力融通に協力してもらうためのインセンティブ算出処理を有することを特徴とする、各地域の電力融通システム間で電力の融通を電気自動車の移動とそれに搭載されている蓄電池の充放電で行うことを特徴とした電力融通方法。
【請求項14】
請求項8に記載の電力融通方法において、
前記充放電指令装置は、少なくとも他の地域からの電力融通要求を取得する充放電要求機能と、自地域から他地域へ充電された蓄電池を輸送するために自地域に存在する蓄電池を選択する電池選択機能、前記電池選択機能からの算出結果を電池ステーションに伝達する指示機能と、地域電力系統内での盗電量を推定する機能を少なくとも含むことを特徴とする、充放電指令装置を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項15】
請求項14に記載の電力融通方法において、
前記充放電指令装置は、該盗電量を推定する機能は、状態推定機能と重み係数設定機能と盗電量算出装置を少なくとも含むことを特徴とする、充放電指令装置を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項16】
請求項15に記載の電力融通方法において、
前記充放電指令装置は、少なくとも他の地域からの電力融通要求を取得する充放電要求機能と、自地域から他地域へ充電された蓄電池を輸送するために自地域に存在する蓄電池を選択する電池選択機能、前記電池選択機能からの算出結果を電池ステーションに伝達する指示機能と、地域電力系統内での停電を推定する機能を少なくとも含むことを特徴とする、充放電指令装置を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項1】
電力供給地域間で電力を融通する電力融通方法であって、
他の電力供給地域から、融通希望量を受信する受信ステップと、
前記融通希望量に対応する蓄電池を特定する特定ステップと、
前記特定された蓄電池を前記他の電力供給地域に輸送することで電力の融通を実行する実行ステップと、
を備える電力融通方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電力融通方法において、
前記特定ステップは、前記電力供給地域に存在する複数の前記蓄電池のそれぞれについて、少なくとも電圧情報と、当該蓄電池への電力供給元を示す電力由来情報と、から当該電池のグリーン電力指標を算出し、当該グリーン電力指標に基いて、前記融通希望量に対応する蓄電池を特定する、
ことを特徴とする電力融通方法。
【請求項3】
請求項2に記載の電力融通方法において、
前記蓄電池は、電気自動車に搭載されている蓄電池である
ことを特徴とする電力融通方法。
【請求項4】
請求項3に記載の電力融通方法において、
前記特定ステップは、更に、前記自動車が移動した際に前記他の電力供給地域への接近度情報に基づいて前記融通希望量に対応する蓄電池を特定する、
ことを特徴とする電力融通方法。
【請求項5】
他の電力融通装置との間で電力を融通する電力融通装置であって、
他の電力融通装置から、融通要求情報を受信するインタフェース部と、
前記融通要求情報に基づき、融通に用いる蓄電池を特定する蓄電池特定部と、
を備えることを特徴とする電力融通装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電力融通装置において、
前記蓄電池特定部は、前記電力供給地域に存在する複数の前記蓄電池のそれぞれについて、少なくとも電圧情報と、当該蓄電池への電力供給元を示す電力由来情報と、から当該電池のグリーン電力指標を算出し、当該グリーン電力指標に基いて、前記融通希望量に対応する蓄電池を特定することを特徴とする電力融通装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電力融通装置において、
前記蓄電池は、電気自動車の蓄電池であって、
前記蓄電池特定部は、更に、前記自動車が移動した際に前記他の電力供給地域への接近度情報に基づいて前記融通希望量に対応する蓄電池を特定することを特徴とする電力融通装置。
【請求項8】
複数の電力供給地域間の電力の融通を蓄電池の輸送と充放電により行う電力融通方法であって、
前記各電力供給地域には少なくとも充放電指令装置とそれに付随する入力データデータベース、充放電指令装置からの出力データを蓄積する出力データベースと電池管理センタから構成される電力融通システムを有し、
前記各地域の電力融通システム間で電力の融通を蓄電池の輸送で行う
ことを特徴とした電力融通方法。
【請求項9】
請求項8に記載の電力融通方法において、
充放電指令装置は、少なくとも他の地域からの電力融通要求を取得する充放電要求機能と、自地域から他地域へ充電された蓄電池を輸送するために自地域に存在する蓄電池を選択する電池選択機能、前記電池選択機能からの算出結果を電池ステーションに伝達する指示機能を少なくとも含むことを特徴とする、充放電指令装置を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電力融通方法において、
充放電指令装置に含まれる電池選択装置は、自地域に存在する蓄電池に蓄積されている電力の由来を仮想的に算出すグリーン電力算出処理機能を有することを特徴とする充放電指令装置を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項11】
請求項10に記載の電力融通方法において、
充放電指令装置は、少なくとも各地域の電力融通要求を管理し、需給の過不足を検出する取得する需給決定機能と、自地域から他地域へ充電された蓄電池を輸送するために自地域に存在する蓄電池を選択する電池選択機能、前記電池選択機能からの算出結果を電池ステーションに伝達する指示機能を少なくとも含むことを特徴とする、充放電指令機能を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電力融通方法において、
前記充放電指令装置は、少なくとも他の地域からの電力融通要求を取得する充放電要求機能と、自地域から他地域へ充電された蓄電池を輸送するために自地域に存在する蓄電池を選択する電池選択機能、前記電池選択機能からの算出結果を電池ステーションに伝達する指示機能、電気自動車の充放電を実施するための情報を照会する契約照合機能を少なくとも含むことを特徴とする充放電指令装置を有する、各地域の電力融通システム間で電力の融通を電気自動車の移動とそれに搭載されている蓄電池の充放電で行うことを特徴とした電力融通方法。
【請求項13】
請求項12に記載の電力融通方法において、
前記充放電指令装置に含まれる電池選択装置は、自地域に存在する蓄電池に蓄積されている電力の由来を仮想的に算出すグリーン電力算出処理機能と電気自動車ユーザに電力融通に協力してもらうためのインセンティブ算出処理を有することを特徴とする、各地域の電力融通システム間で電力の融通を電気自動車の移動とそれに搭載されている蓄電池の充放電で行うことを特徴とした電力融通方法。
【請求項14】
請求項8に記載の電力融通方法において、
前記充放電指令装置は、少なくとも他の地域からの電力融通要求を取得する充放電要求機能と、自地域から他地域へ充電された蓄電池を輸送するために自地域に存在する蓄電池を選択する電池選択機能、前記電池選択機能からの算出結果を電池ステーションに伝達する指示機能と、地域電力系統内での盗電量を推定する機能を少なくとも含むことを特徴とする、充放電指令装置を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項15】
請求項14に記載の電力融通方法において、
前記充放電指令装置は、該盗電量を推定する機能は、状態推定機能と重み係数設定機能と盗電量算出装置を少なくとも含むことを特徴とする、充放電指令装置を有する蓄電池による電力融通方法。
【請求項16】
請求項15に記載の電力融通方法において、
前記充放電指令装置は、少なくとも他の地域からの電力融通要求を取得する充放電要求機能と、自地域から他地域へ充電された蓄電池を輸送するために自地域に存在する蓄電池を選択する電池選択機能、前記電池選択機能からの算出結果を電池ステーションに伝達する指示機能と、地域電力系統内での停電を推定する機能を少なくとも含むことを特徴とする、充放電指令装置を有する蓄電池による電力融通方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4(A)】
【図4(B)】
【図4(C)】
【図5】
【図6(A)】
【図6(B)】
【図6(C)】
【図7】
【図8(A)】
【図8(B)】
【図8(C)】
【図8(D)】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13(A)】
【図13(B)】
【図14】
【図15(A)】
【図15(B)】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22(A)】
【図22(B)】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4(A)】
【図4(B)】
【図4(C)】
【図5】
【図6(A)】
【図6(B)】
【図6(C)】
【図7】
【図8(A)】
【図8(B)】
【図8(C)】
【図8(D)】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13(A)】
【図13(B)】
【図14】
【図15(A)】
【図15(B)】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22(A)】
【図22(B)】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2013−90344(P2013−90344A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225455(P2011−225455)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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