説明

電力貯蔵・給電装置と方法

【課題】電気料金を削減可能な電力貯蔵・給電装置と方法を提供する。
【解決手段】負荷を、定常的に動作する第1の負荷61と、オンデマンドに動作する第2の負荷63に分類する。負荷制御装置80は、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)を算出する。残存蓄電容量Q(n)が十分な場合は第1の負荷61と第2の負荷63に蓄電池10から給電させ、残存蓄電容量Q(n)が十分でない場合は、第1の負荷61にのみ給電させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源から負荷に給電可能であるとともに、蓄電池(バッテリ)に充電された電力を負荷に給電可能な電力貯蔵・給電装置とその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商用電源が停電した時の緊急電源として、蓄電池(バッテリ)を設けることが以前から実施されている。
【0003】
そのような蓄電池の有効利用を図るため、電力料金が割安な夜間に蓄電池に蓄電しておき、電力料金が高い昼間に蓄電池に蓄電した電力を負荷に供給する電力貯蔵・給電方法が望まれている。
そのような要望は、これまでのように大規模な電力設備に限らず、電力消費が比較的小規模な一般家庭においても発生している。たとえば、家庭などの小規模の設備においても、電力料金が割安な夜間に蓄電池に蓄電しておき、電力料金が高い昼間に蓄電池に蓄電した電力を負荷に供給する電力貯蔵・給電方法が望まれている。
そのような電力貯蔵・給電装置において、効率の向上対策が講じられている。
【0004】
特許文献1(特開平2001−8385号公報)は、夜間電力を無駄なく利用するため、複数の負荷パターンを選択する技術を開示している。
【0005】
特許文献2(特開平2001−103678号公報)は、インバータの稼働率の向上を目的に、負荷ごとに電流センサを設けて演算ユニットで負荷の電力消費を算出し、さらに演算ユニットで消費電力の合計値を算出し、さらに負荷ごとに負荷を切り換える切換装置を設け、演算ユニットによって算出した消費電力の合計値に基づいて負荷を切り換える技術を開示している。
【0006】
特許文献3(特許第03621853号)は、クッキングヒータ、ルームエアコン(空調機)などを蓄電装置に接続し、消費電力が最大となる負荷に優先的に給電することにより、ピークカットを目的とした技術を開示している。
【0007】
【特許文献1】特開平2001−8385号公報
【特許文献2】特開平2001−103678号公報
【特許文献3】特許第03621853号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された技術は、給電の対象となる、たとえば、家庭の負荷パターンが千差万別であるため、たとえば、家庭用の電力貯蔵・給電装置などについては、負荷パターンに対応できず、蓄電池の蓄電電力を有効に活用できないという不具合がある。
【0009】
特許文献2に開示された技術は、負荷ごとに電流センサと切換装置とを設けるので、蓄電システムの構成が複雑になり、設備価格が高くなるという不具合がある。設備価格が高騰することは、家庭などの比較的小規模の負荷を有する設備については好ましくない。
さらに、負荷を頻繁に切り換えるので、切換時に瞬間的に負荷に電力が供給されない場合が発生する可能性がある。特に、負荷にコンピュータなどの電子機器などが内蔵されている場合は電源が瞬間的に断となることは好ましくない。
【0010】
また、特許文献2に記載の技術について、負荷が頻繁に切り換えると、負荷の接続状態の把握が難しく、メンテナンス上、好ましくない。
さらに、特許文献2に開示された技術では、インバータの容量だけを考慮し、蓄電池の容量を監視していないため、蓄電容量を有効に利用できない。
【0011】
特許文献3に開示された技術は、インバータなどの電源設備が大型化し、さらに、負荷ごとに切換装置が必要なため設備が複雑になる。その結果、設備の価格が高くなるという不具合がある。
【0012】
このように、従来の技術は、設備の構成の複雑さ、設備の価格の高額さ、蓄電池に蓄電した電力の有効利用などの観点において改善すべき課題が多々存在する。
以上、主として家庭用の電力貯蔵・給電装置について述べたが、家庭用電力貯蔵・給電装置に限らず、さらに大きな施設などにおいても、改善すべき種々の課題に遭遇している。
【0013】
本発明は、設備の大型化、価格の高騰がなく、複雑な構成をとらず、電気料金が割安な夜間電力を蓄電池に蓄電し、蓄電した電力を有効に利用し、電気料金を削減可能な電力貯蔵・給電装置と方法を提供することを目的とする。
また本発明は、消費電力のうち、待機電力を蓄電した電力で賄い電気料金を削減することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
図1は、旧通産省、工業技術院機械研究所、ニュース1999、第12号に記載された、家庭の待機電力に関する調査結果を示す。この調査結果によれば、家庭ごとに、冷蔵庫のようにほぼ常時電力を消費する負荷への給電量と、日々のうち所定時間帯に必要となる待機電力と、その他の電力とに大別されることが判る。
もちろん、この電力分布は家庭ごと異なる他、各家庭でも季節によって分布が異なる。たとえば、夏はルームエアコン(空調機)を使用する場合が多くなるので電力分布は変化する。
【0015】
さらに同じ時期(季節)でも時間帯によって電力消費が異なることが知られている。
たとえば、一般家庭では、図2に例示したように、通常、起床とともに電力消費が増加し、出勤・通学するまで電力消費がピーク状態が継続する。その後、昼間、電力消費は低下するが、帰宅時間から就寝時間まで再び電力消費がピークとなる。さらに夜間は電力消費は低下する。このようなサイクルが日々連続する。
【0016】
図1、図2に例示したデータから推察できることは、(1)たとえば、冷蔵庫のように、電力消費は大きくはないが、ほぼ常時、電力を消費する定常的な負荷と、(2)たとえば、照明器具、TV受像機、電子レンジ、クッキングヒータ、などの使用時間帯または使用状況に応じて変化するオンデマンド負荷と、(3)たとえば、冷暖房用空調機のように、冬と夏のように季節に応じて、かつ、時間帯に応じて使用するなどの負荷とに大別されることが判る。
【0017】
このような負荷の電力消費について、まず、電力料金の面で考察する。
定常的な負荷のうち、蓄電池の蓄電容量で賄える程度の比較的な電力消費の少ない負荷について、夜間電力を蓄電池に蓄電した電力を利用すれば、電気料金は安くなる。もちろん、蓄電池が大型になり初期コストが嵩むことは回避したいので、蓄電池の許容蓄電量の範囲でのことである。
オンデマンド負荷については、そのような蓄電池に余剰電力があるときはその余剰電力を給電すれば、電気料金は安くなる。蓄電池に余剰電力がない場合は、商用電源による給電も止むを得ない。
他方、空調機などのように電流容量かつ消費電力が大きな負荷についてまで、蓄電池から給電を行うことは事実上、困難であるから、商用電源を使用する。
【0018】
次いで、設備の面から考察する。
1日の最大電力消費(ピーク電力消費)を想定して、設備、たとえば、蓄電池、蓄電池に充電するためのインバータ(電力変換器)と蓄電池の蓄電を商用周波数の交流に変換するコンバータ(電力逆変換器)、給電系統、たとえば、給電線の太さ、切換スイッチの遮断容量などを設計すると、これらの装置規模が大きくなり、装置の価格が高騰する。また、1日のうち、電力がピークとなる時価帯は限られており、利用する能力が限られているから、利用効率が低い。たとえば、ピーク電力に合わせて蓄電池を準備すると仮定したら、非常に大きな蓄電池が必要となり、現実的ではない。
他方、少なくとも、たとえば、冷蔵庫などの定常的ではあるが比較的電力消費が少ない負荷についてのみ、あるいは、可能ならば上述したオンデマンド負荷の全部または一部に、給電可能な蓄電池、インバータ/コンバータなどを考慮すると、これらの設備は小規模ですむ。
【0019】
以上を総合すると、負荷を、好ましくは、たとえば、図3に図解したように、(1)たとえば、冷蔵庫のような定常的な負荷で蓄電池の蓄電容量を賄える程度の負荷(これを本発明において第1の負荷と呼ぶ)と、(2)オンデマンド負荷のうち蓄電池の余剰電力で賄える可能性が高い負荷(これを本発明において第2の負荷と呼ぶ)と、(3)蓄電池の蓄電電力を用いることは困難または現実的ではない、上記以外の一般的な負荷(これを本発明において一般負荷と呼ぶ)に分類して、これらの給電系統を分離する。
第2の負荷については、上述したように、蓄電池の余剰電力で給電可能なときは蓄電池から給電を行い、蓄電池からの給電が困難な場合は商用電源から給電を行う。
一般負荷については、商用電源からのみ給電を行う。
【0020】
本発明は上述した技術思想に基づき、第1の負荷と第2の負荷に下記のごとく給電を行うことを特徴とする。
本発明の電力貯蔵・給電装置は、
蓄電池と、商用電源を前記蓄電池に充電可能な直流電力に変換し、また、前記蓄電池に充電された電力を商用電源と実質的に同じ交流電力に逆変換可能な双方向電力変換ユニットと、前記蓄電池への充電電流および放電電流を検出する電流センサと、前記双方向電力変換ユニットの出力電力を前記第1の負荷に導く第1負荷給電線と、前記第2の負荷に接続された第2負荷給電線と、第1入力端子が前記商用電源に接続され、第2入力端子が前記第1負荷給電線に接続され、出力端子が前記第2負荷給電線に接続された、給電系統切換スイッチと、負荷制御装置とを有し、
前記負荷制御装置は、
前記第1の負荷の予測電力量および電力余裕分を記憶しており、
前記電流センサで検出した充電電流および放電電流に基づいて、前記蓄電池への充電電力量および放電電力量を算出し、前記蓄電電力量から前記放電電力量を減じて前記蓄電池の残存蓄電容量を算出し、
前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記電力余裕分との和以上のとき前記第1の負荷および前記第2の負荷に前記蓄電池から給電されるように、前記給電系統切換スイッチを駆動し、前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記電力余裕分との和以下のとき前記第1の負荷のみに前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動し、
前記第2の負荷の電力量の積算値を算出し、
前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記第2の負荷の電力量の積算値との和以上のとき前記第1の負荷と前記第2の負荷に前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動し、前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記第2の負荷の電力量の積算値との和以下のとき前記第1の負荷のみに前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動する。
【0021】
また、第1の負荷と第2の負荷とに給電する本発明の電力貯蔵・給電方法は、
蓄電池への蓄電電力量を算出し、かつ、前記蓄電池からの放電電力量を算出し、前記蓄電電力量から前記放電電力量を減じて前記蓄電池の残存蓄電容量を算出し、
前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と予め設定した電力余裕分との和以上のとき前記第1の負荷および前記第2の負荷に前記蓄電池から給電されるように、給電系統切換スイッチを駆動し、前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記電力余裕分との和以下のとき前記第1の負荷のみに前記蓄電池から給電されるように、前記給電系統切換スイッチを駆動し、
前記第2負荷の電力量の積算値を算出し、
前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記第2負荷の電力量の積算値との和以上のとき前記第1の負荷と前記第2の負荷に前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動し、前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記第2負荷の電力量の積算値との和以下のとき前記第1の負荷のみに前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、設備の大型化かつ価格の高騰がなく、複雑な構成をとらず、電気料金が割安な夜間電力を蓄電池に蓄電し、蓄電した電力を有効に利用し、電気料金を削減可能となる。
また本発明によれば、消費電力のうち、少なく待機電力を蓄電した電力で賄い電気料金を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
第1実施の形態
本発明の電力貯蔵・給電装置の好適な第1実施の形態を図4を参照して述べる。
電力貯蔵・給電装置1は、蓄電池10と、双方向電力変換ユニット20と、充電/非充電・切換スイッチ41と、給電系統切換スイッチ43と、充電用タイマ50と、第1電流センサ71と、第2電流センサ73と、負荷制御装置80とを有する。
【0024】
負荷の分類
電力貯蔵・給電装置1によって、給電される負荷部60は、第1の負荷61と、第2の負荷63と、一般負荷65に分類されている。
第1の負荷61は、たとえば、家庭において冷蔵庫のように、ほぼ常時運転しており、常時給電が必要であるが、その電力消費は比較的少なく、大型の蓄電池10でなくても十分給電可能な程度の負荷が該当する。第1の負荷61としては、冷蔵庫の他、複数の負荷を含めることができる。
第2の負荷63は、常時動作はしないが、日々、所定の時間帯に動作する負荷(オンデマンド負荷)のうち、蓄電池10の余剰電力で動作可能な電力容量の1または複数の負荷である。蓄電池10の余剰電力とは第1の負荷61に供給した後の余剰電力をいう。
一般負荷65は、たとえば、空調機のように、季節に応じて使用し、使用したときは比較的長時間運転し、かつ、使用電力量が大きく、電力蓄電池10に蓄電した電力では、所望の時間、継続して給電できないような電力消費の大きな負荷をいう。そのような一般負荷65としては、空調機の他、たとえば、日々用いる可能性のあるクッキングヒータのようなヒータを用いた機器、電子レンジなどが該当する。
【0025】
以上述べたように、本発明の電力貯蔵・給電装置の実施に際しては、事前に、たとえば、各家庭ごとに、季節毎に、そして、日々の各種負荷の電力消費状況を測定し、あるいは、予測し、蓄電池10の容量に合わせて、第1の負荷61と第2の負荷63と一般負荷65の分類を行う。
換言すれば、蓄電池10はまず、第1の負荷61に給電可能な電力容量を持つ仕様のものを選択する。好ましくは、蓄電池10の容量は、第1の負荷61に給電する電力容量の他に、第2の負荷63にも給電可能な電力容量を持つ仕様のものを選択する。
【0026】
給電(配電)系統
このような負荷の分類に伴い、電力貯蔵・給電装置1は給電系統を下記のごとく設計している。
電力貯蔵・給電装置1は、商用電力源30から主給電線91を経由して供給される商用電力を分岐する配電ユニット(分電盤)90を有し、この配電ユニット90において給電系統を下記のごとく分離する。
一般負荷65には配電ユニット90から一般負荷給電線93を介して直接、商用電力が供給される。なお、一般負荷65は、商用電力源30から主給電線91、一般負荷給電線93を介して常時、商用電源が供給されるので、下記に述べる負荷制御装置80の制御の対象外である。
第1の負荷61には、双方向電力変換ユニット20において蓄電池10の直流電圧を変換した商用電力が、蓄電池貯蔵電力給電線97を介して供給される。
第2の負荷63には、第1給電系統切換スイッチ43の選択スイッチが接点Aに選択されたときは第2負荷・第1給電線94aおよび第2負荷・第2給電線94bを経由して商用電力源30からの商用電力が供給され、選択スイッチが接点Bに選択されたときは第1の負荷61と同様に、双方向電力変換ユニット20において蓄電池10の直流電圧を変換した商用電力が第2負荷・第2給電線94bを介して供給される。
【0027】
負荷制御装置80は、演算手段81と、記憶手段83と、制御手段85とを有する。
負荷制御装置80は、好ましくは、コンピュータで構成される。
【0028】
双方向電力変換ユニット20は、インバータ(電力変換器)とコンバータ(電力逆変換器)とを有している。充電期間、たとえば、夜11時から翌朝の午前7時までの電力料金が安い(深夜料金)の充電期間、充電用タイマ50によって充電/非充電・切換スイッチ41が閉成されて(オン状態で)蓄電池10に充電するときはインバータが商用電力源30からの商用周波数の交流電圧を直流電圧に変換する。他方、蓄電池10から、たとえば、第1の負荷61に給電するときは、コンバータが蓄電池10の直流電圧を商用周波数の交流電圧に変換する。
本実施の形態においては、インバータとコンバータとを一括して双方向電力変換ユニット20として例示したが、インバータとコンバータとは一体的になっていても、分離されていてもよい。
【0029】
電力貯蔵・給電装置の概略動作
1.充電
充電用タイマ50は、充電期間、たとえば、夜11時から翌朝の午前7時までの電力料金が安い(深夜料金)の充電期間、充電/非充電・切換スイッチ41を閉成する(オン状態にする)。これにより、商用電力源30、充電/非充電・切換スイッチ41、双方向電力変換ユニット20内のインバータ、電流センサ71、蓄電池10の経路が形成されて、インバータが商用電力源30からの商用周波数の交流電圧を直流電圧に変換することにより、蓄電池10に充電が行われる。
このとき、第1電流センサ71は充電電流を検出する。
負荷制御装置80の演算手段81は、第1電流センサ71で検出した充電電流Icから、たとえば、電流積算方法で、蓄電池10への充電電力Qcを演算し、記憶手段83に記憶する。
【0030】
なお、充電用タイマ50を削除し、負荷制御装置80内の、たとえば、演算手段81で充電時間を管理し、充電期間、たとえば、制御手段85が充電/非充電・切換スイッチ41を付勢(オン)または消勢(オフ)することにより、蓄電池10への充電を制御することもできる。
【0031】
2.放電
第1の負荷61への給電は、蓄電池10、第1電流センサ71、双方向電力変換ユニット20内のコンバータ、蓄電池貯蔵電力給電線97の経路によって行われる。
コンバータは蓄電池10の直流電圧を商用電力源30と同じ商用周波数の交流電圧に変換し、変換された商用周波数の交流電圧が主給電線91に印加される。
このとき、第1電流センサ71が蓄電池10から第1の負荷61に流れる放電電流Idを検出する。
負荷制御装置80の演算手段81が第1電流センサ71で検出した放電電流Idから、たとえば、電流積算方法で、蓄電池10からの放電電力Qdを演算して記憶手段83に記憶する。
なお、第1電流センサ71の検出電流値が、正のとき充電電流Icであり、負のとき放電電流Idを意味する。
【0032】
演算手段81は、記憶手段83に記憶された、蓄電池10への充電電力Qcから蓄電池10からの放電電力Qdを減じることにより、蓄電池10の現在の蓄電容量を求める。
【0033】
第1給電系統切換スイッチ43は、負荷制御装置80の制御手段852からの第1スイッチング信号SW1に応じて、接点Aまたは接点Bに選択される接点(コンタクト)を有している。第1給電系統切換スイッチ43が接点Aに選択された場合は、第2の負荷63には商用電力源30から給電が行われ、接点Bに選択された場合は蓄電池10、双方向電力変換ユニット20のコンバータの経路で給電される。
【0034】
負荷制御装置の動作
図5を参照して、負荷制御装置80の動作を述べる。
図5は負荷制御装置80の動作を示すフローチャートである。
【0035】
ステップ1、蓄電池10の現在の蓄電容量Q(n)の更新
演算手段81は、充電時間が終了した時の、蓄電池10の現在nの蓄電容量Q(n)を演算して、記憶手段83に記憶する。
演算手段81は、上述したように、電力貯蔵・給電装置が動作している間、充電期間の間、第1電流センサ71で検出した充電電流Icから算出した蓄電池10への充電電力Qcを積算していく。
演算手段81は、蓄電池10への充電電力Qcから、たとえば、前日の放電電力Qdを減じることにより、充電期間終了直後の、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)を算出して、記憶手段83に記憶する。もちろん蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)は蓄電池10の満充電容量以内である。
【0036】
ステップ2、第1負荷の電力量Q1の予測
演算手段81は、充電期間が終了した直後、本日の蓄電池10の放電期間内に、第1の負荷61で消費する電力量Q1を予測する。
演算手段81は、図6に例示したように、毎日の放電期間内の実際の第1の負荷の電力量Q1を測定して、記憶手段83に記憶しておく。演算手段81は、記憶手段83に記憶された複数の日々の放電期間内の実際の第1負荷の電力量Q1を平均して、本日の第1負荷の電力量Q1を予測することができる。あるいは、演算手段81は前日の放電期間内の実際の第1の負荷の電力量Q1を本日の第1の負荷の電力量Q1と予想することもできる。
または、事前に、季節ごとの第1の負荷の電力量Q1の概略値を記憶手段83に記憶させておくことにより、その第1負荷の電力量Q1を本日の予測第1の負荷の電力量Q1として用いることもできる。
【0037】
ステップ3:余剰電力の比較
演算手段81は、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が、第1の負荷の電力量Q1と電力余裕分Qαより大きいか否かをチェックする。
電力余裕分Qαとは、第2の負荷63の1日の合計電力量Q2よりは小さい電力で、蓄電池10から第1の負荷61の他、どれだけ、第2の負荷63に給電可能かを示す余裕(余剰)電力をいう。
電力余裕分Qαとしては、たとえば、第2の負荷の電力量Q2の20%以上で第2の負荷の電力量Q2までの値をいう。あるいは、電力余裕分Qαを第1の負荷の電力量Q1の、たとえば、20%とすることもできる。電力余裕分Qαを、たとえば、第2の負荷の電力量Q2の20%、または、第1の負荷の電力量Q1の20%としたのは、第2の負荷63に給電することにより、蓄電池10の蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が不足して、第1の負荷61自体に給電できなくなることを防止するための余裕値である。
換言すれば、蓄電池10から第2の負荷63に給電を行う場合、ある程度の蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)の余裕をとって行う。
【0038】
ステップ4:第1の負荷のみ給電
演算手段81が、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が、1日の予測第1の負荷の電力量Q1と電力余裕分Qαとの和の電力より少ないと判定したときは、制御手段85は、第1給電系統切換スイッチ43の接点(コンタクト)を接点Aに選択するように、第1スイッチング信号SW1を出力する。
これにより、蓄電池10からの給電は第1の負荷61にのみ行われ、第2の負荷63には商用電力源30から給電が行われる。
【0039】
ステップ5:第1の負荷および第2の負荷への給電
演算手段81が、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が、1日の予測第1の負荷の電力量Q1と電力余裕分Qαとの和の電力より多いと判定したときは、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が第1の負荷61に給電する他、第2の負荷63に給電する余裕(余剰)電力があるから、制御手段85は、第1給電系統切換スイッチ43を接点Bを選択するように第1スイッチング信号SW1を出力する。
これにより、蓄電池10からの給電は第1の負荷61と第2の負荷63に行われる。
【0040】
ステップ6:第2負荷の電力量Q2の測定
演算手段81は、第1電流センサ71で検出した放電電流Idを連続的に入力して、放電電流Idを積算して、第2の負荷の電力量Q2を算出する。
図1に図解した電力貯蔵・給電装置1においては、放電電流Idは、第1の負荷61および第2の負荷63における電力消費を示す蓄電池10からの放電電流であり、第2の負荷63のみの第2負荷の電力量Q2は直接求めることができない。
ただし、第1の負荷の電力量Q1は予測して判っているから、演算手段81が放電電流Idを積算して求めた蓄電池10の放電電力量から予測第1の負荷の電力量Q1を減じれば、第2の負荷の電力量Q2を推定できる。
そして、演算手段81は、上述のごとく求めた第2の負荷の電力量Q2を積算して記憶手段83に記憶する。
【0041】
ステップ7:蓄電池の残存蓄電容量Q(n)のチェック
演算手段81は、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が、第1の負荷の電力量Q1と積算した第2の負荷の電力量Q2との和より大きいか否かをチェックする。
蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が、第1の負荷の電力量Q1と、積算した第2の負荷の電力量Q2との和より大きいか否かをチェックする。
蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が、(第1の負荷の電力量Q1と積算した第2の負荷の電力量Q2との和)より大きい場合は、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が第2の負荷63に給電できる余裕があるから、制御手段85は第1給電系統切換スイッチ43のコンタクトが接点Bを選択している状態を継続する。
この期間、演算手段81によって、第2の負荷の電力量Q2の積算は継続して行われる。
【0042】
ステップ8:第1の負荷61のみ給電
演算手段81は、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が、(第1の負荷の電力量Q1と積算した第2の負荷の電力量Q2との和)より小さくなったときは、これ以上、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)は第2の負荷63に給電する余裕がないと判断する。そこで、制御手段85は、第1給電系統切換スイッチ43のコンタクトが接点Bを選択し、蓄電池10から第1の負荷61にのみ給電されるように、第1スイッチング信号SW1を出力する。
【0043】
ステップ9、10:放電終了チェック
演算手段81は、充電時間帯に到達したか否かをチェックする。
充電時間帯に到達したら、蓄電池10からの放電のみは終了する。
なお、万が一、放電終了以前に残存蓄電容量がゼロに近くなった場合には、演算手段81または制御手段85によって、強制的に充電/非充電・切替スイッチ41をONにして、充電を開始する。これにより、第1負荷61への給電が確実に行われる。
【0044】
ステップ11、蓄電池の残存蓄電容量Q(n)の更新
充電時間帯になると、充電用タイマ50によって、あるいは、演算手段81によって、充電/非充電・切換スイッチ41が閉成される。これにより、商用電力源30、充電/非充電・切換スイッチ41、インバータ、第1電流センサ71、蓄電池10の経路で、蓄電池10への充電が行われる。
演算手段81は、第1電流センサ71で検出した充電電流Icを連続的に入力して、充電電流Icを積算することにより、蓄電池10の蓄電容量を算出する。
【0045】
上述した動作を、図7および図8を参照して述べる。
図7は、第1の負荷61にほぼ一定の電力量が供給される状態を示している。他方、第2の負荷63には第1回のデマンド動作時には蓄電池10から給電され、第2回目のデマント動作のときには、途中まで蓄電池10から給電されたことを示す。これ以降は、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)が第2の負荷63にまで給電する余裕がないので、蓄電池10からの第2の負荷63への給電は停止され、商用電力源30から給電される。
【0046】
図8は、第1の負荷61と第2の負荷63との、蓄電池10の蓄電電力容量の消費状態を示す。第1の負荷の電力量Q1は時間の経過に応じてほぼ比例して増加していく。第2の負荷の電力量Q2は、蓄電池10から給電されたとき消費される。
第1の負荷の電力量Q1と積算された第2の負荷の電力量Q2の合計が、電力余裕分Qαを考慮した、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)を越えない範囲で蓄電池10から消費される。
【0047】
このように、充電時間帯(充電期間)に、蓄電池10に蓄電した電力を、第1の負荷61と、可能な限り第2の負荷63に供給する。
充電時間帯の電力料金は低額であるから、これら第1の負荷61、第2の負荷63で消費された電力の価格は低い。
【0048】
本発明の第1実施の形態の電力貯蔵・給電装置は、負荷部60を、第1の負荷61と、第2の負荷63と、一般負荷65に分類し、一般負荷給電線93、第2負荷給電線94(第2負荷・第1給電線94a、第2負荷・第2給電線94b)と、蓄電池貯蔵電力給電線97とで配電系統を準備し、負荷制御装置80を設けて上記の制御処理を行うことにより、負荷部60で消費する電力の料金を低額することができた。
電力貯蔵・給電装置1の構成としても、負荷制御装置80、第1電流センサ71、第2電流センサ73、第1給電系統切換スイッチ43を設けるだけなので、比較的低額である。
さらに、蓄電池10は、最低、第1の負荷61の給電能力があればよく、蓄電池10に余剰電力が存在するときのみ,第2の負荷63に給電するので、蓄電池10の設備を大きくする必要はない。よって、双方向電力変換ユニット20も大容量にする必要もない。もちろん、配電ユニット(分電盤)90からの上記配線の電流容量も大きくする必要はない。
【0049】
第1実施の形態の第1の変形態様
上述した実施の形態は、第1電流センサ71によって、蓄電池10から第1の負荷61と第2の負荷63へ給電される放電電流Idを測定した場合について述べた。この場合、たとえば、ステップ6における第2の負荷の電力量Q2は直接検出できなかった。
これを改善して、正確な第2の負荷の電力量Q2を算出するためには、図9に図解したように、第1給電系統切換スイッチ43の接点Bと蓄電池貯蔵電力給電線97のノードN4との間に、第3電流センサ75を設け、蓄電池10から第2の負荷63に流れる放電電流を検出し、演算手段81においてその放電電流を積算して、蓄電池10から第2の負荷63に供給される第2負荷の電力量Q2を算出することもできる。
【0050】
第1実施の形態の第2の変形態様
もちろん、図10に図解したように、第2電流センサ73をノードN4と第1の負荷61との間に接続し、第3電流センサ75を第1給電系統切換スイッチ43の接点Aと粗63との間に接続して、演算手段81において、第2電流センサ73による電流を積算すれば、第1の負荷の電力量Q1を算出することができ、第3電流センサ75による電流を積算すれば、第2の負荷の電力量Q2を算出することができる。
電流センサを2個用いる場合、第1の負荷の電力量Q1と第2の負荷の電力量Q2とを分離して独立に正確に算出できるから、図10に図解した構成が望ましい。
【0051】
第2実施の形態
図11を参照して本発明の電力貯蔵・給電装置の第2実施の形態を述べる。
上述した第1およびド第2実施の形態においては、蓄電池10が第1の負荷61に十分給電可能な状態を想定した例を述べた。
しかしながら、電力貯蔵・給電装置1の初期状態においては、蓄電池10は十分な蓄電がなく、第1の負荷61への給電も出来ない。
このように初期状態において、第1の負荷61を動作させるには、図11に図解したように、図4に図解した電力貯蔵・給電装置1において、さらに第2給電系統切換スイッチ45を設けて、商用電力源30から直接、第1の負荷61に給電可能とする。
なお、第2給電系統切換スイッチ45を設けることにより、上述した初期状態の他に、蓄電池10の保守などのときも、第1の負荷61が動作可能となる。
なお、この場合、第2給電系統切換スイッチ45と連動するスイッチ46を設けることが望ましい。これにより、蓄電電力が系統へ逆流するのを防止できる。
さらにこれらのスイッチ45、46を、たとえば制御手段75によって、充電/非充電・切換スイッチ41と連動制御させ、充電時間帯に第2給電系統切換スイッチ45をオン、スイッチ46をオフすることで、コンバータやインバータを介さず効率良く電力供給が可能となる。
第2給電系統切換スイッチ45を付加する第3実施の形態は、図4に図解した電力貯蔵・給電装置1の他、図9、図10などに図解した電力貯蔵・給電装置1についても適用できる。
【0052】
第3実施の形態
蓄電池10への充電は、たとえば、夜間のみ、商用電力源30からの電力が行われるだけでなく、太陽光によって発電される太陽電池から充電される場合も可能である。
図12はこのような電力貯蔵・給電装置1Aを図解する。
電力貯蔵・給電装置1Aは、図4に図解した電力貯蔵・給電装置1に、太陽電池ユニット110と、DC・DCコンバータ120と、第3給電系統切換スイッチ130と、第4電流センサ140とが追加されている。
DC・DCコンバータ120は、太陽電池ユニット110で発電された直流電力を、蓄電池10の電圧レベルに変換する。第3給電系統切換スイッチ130はDC・DCコンバータ120の出力を蓄電池10に接続する。これにより、蓄電池10は太陽電池ユニット110で発電された電力によっても充電される。
第4電流センサ140はそのときの充電電流Ic2を計測する。
第3給電系統切換スイッチ130は必須ではないが、太陽電池ユニット110の電力を蓄電池10に充電するとき、オン状態になる。第3給電系統切換スイッチ130のオン・オフは、手動で行うこともできるし、制御手段85からオン・オフすることもできる。
【0053】
負荷制御装置80の演算手段81は、第4電流センサ140で検出した充電電流Ic2を積算することにより、太陽電池ユニット110からの充電量Q4(n)を算出する。演算手段81により、充電量Q4(n)の算出は連続的に行われる。
演算手段81は、上述した蓄電池10の現在の蓄電容量Q(n)(または、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n))に、充電量Q4(n)を加算する。これにより、蓄電池10の現在の残存蓄電容量Q(n)が更新される。
【0054】
第3実施の形態においては、蓄電池10は、たとえば、電気料金の安い夜間に商用電力源30からの電力が行われるだけでなく、昼間など、太陽光によって発電される太陽電池から充電されるから、第2の負荷63への給電の可能性が著しく高まる。
よって、第2の負荷63の選択の範囲が広がる、たとえば、クッキングヒータ、電子レンジなども蓄電池10による給電で使用可能となる可能性が高まる。
さらに、第1実施の形態として述べたように、充電期間、放電期間といった、期間の判断を行うことなく、第1の負荷61への給電を行い、さらに、蓄電池10の残存蓄電容量Q(n)がある限り、第2の負荷63に給電を行うことが可能となる。
【0055】
上記太陽電池ユニット110、DC・DCコンバータ120、第3給電系統切換スイッチ130および第3電流センサ140を追加した第3実施の形態は、図4に図解した電力貯蔵・給電装置1に限らず、図9、図10、図11に図解した電力貯蔵・給電装置にも適用できる。
【0056】
本発明の電力貯蔵・給電装置の実施に際しては、上述した実施の形態に限らず、種々の変形態様をとることができる。もちろん、上述した実施の形態を適宜,組み合わせることもできる。
なお、上述した実施の形態は例示として、家庭に適用する電力貯蔵・給電装置を述べたが、本発明の電力貯蔵・給電装置は家庭への適用に限定されない。本発明の電力貯蔵・給電装置が電気負荷を有する種々の設備に適用可能なことは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は家庭の待機電力に関する調査結果を示すグラフである。
【図2】図2は一日の電力消費の例示的な状況を示すグラフである。
【図3】図3は負荷の分類を図解したグラフである。
【図4】図4は本発明の電力貯蔵・給電装置の第1実施の形態の構成図である。
【図5】図5は図4における負荷制御装置の処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は図4に図解した負荷制御装置による第1負荷の予測電力量の求め方の1例を示すグラフである。
【図7】図7は図4に図解した電力貯蔵・給電装置による負荷への給電状態の例を示すグラフである。
【図8】図8は図4に図解した電力貯蔵・給電装置による負荷への給電による消費容量Q(n)状態の例を示すグラフである。
【図9】図9は本発明の電力貯蔵・給電装置の第1実施の形態の第1の変形態様を示す構成図である。
【図10】図10は本発明の電力貯蔵・給電装置の第1実施の形態の第2の変形態様を示す構成図である。
【図11】図11は本発明の電力貯蔵・給電装置の第2実施の形態を示す構成図である。
【図12】図12は本発明の電力貯蔵・給電装置の第3実施の形態を示す構成図である。
【符号の説明】
【0058】
1、1A…電力貯蔵・給電装置
10…蓄電池、20…双方向電力変換ユニット、30…商用電力源
41…充電/非充電・切換スイッチ、
43、45…給電系統切換スイッチ、
50…充電用タイマ、
60…負荷部、61…第1の負荷、63…第2の負荷
65…一般負荷
71、73、75〜…電流センサ
80…負荷制御装置
81…演算手段、83…記憶手段、85…制御手段
SW1…第1スイッチング信号
90…配電ユニット(分電盤)
91…主給電線、92…分電線、93…一般負荷給電線
94……第2負荷給電線、
94a…第2負荷・第1給電線
94b…第2負荷・第2給電線
95…充電用給電線
95a…充電用第1給電線
95b…充電用第2給電線
96…充放電用電線
97…蓄電池貯蔵電力給電線
110…太陽電池ユニット、120…DC・DCコンバータ
130…第3給電系統切換スイッチ、140…第4電流センサ
Q1…第1の負荷の電力量
Q2…第2の負荷の電力量
Q(n)…蓄電池の残存(現在の)蓄電容量
Qα…電力余裕分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の負荷と、第2の負荷とに給電する電力貯蔵・給電装置であって、
蓄電池と、
商用電源を前記蓄電池に充電可能な直流電力に変換し、また、前記蓄電池に充電された電力を商用電源と実質的に同じ交流電力に逆変換可能な双方向電力変換ユニットと、
前記蓄電池への充電電流を検出する電流センサと、
前記双方向電力変換ユニットの出力電力を前記第1の負荷に導く第1負荷給電線と、
前記第2の負荷に接続された第2負荷給電線と、
第1入力端子が前記商用電源に接続され、第2入力端子が前記第1負荷給電線に接続され、出力端子が前記第2負荷給電線に接続された、給電系統切換スイッチと、
負荷制御装置と
を有し、
前記負荷制御装置は、
前記第1の負荷の予測電力量および電力余裕分を記憶しており、
前記電流センサで検出した充電電流および放電電流に基づいて、前記蓄電池への充電電力量および放電電力量を算出し、前記充電電力量から前記放電電力量を減じて前記蓄電池の残存蓄電容量を算出し、
前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記電力余裕分との和以上のとき前記第1の負荷および前記第2の負荷に前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動し、前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記電力余裕分との和以下のとき、前記第1の負荷のみに前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動し、
前記第2の負荷の電力量の積算値を算出し、
前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記第2の負荷の電力量の積算値との和以上のとき前記第1の負荷と前記第2の負荷に前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動し、前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記第2の負荷の電力量の積算値との和以下のとき、前記第1の負荷のみに前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動する、
電力貯蔵・給電装置。
【請求項2】
前記負荷制御装置は、
前記電流センサで検出した放電電流に基づいて出した前記蓄電池からの放電電力量から、前記第1の負荷の予測電力量を減じて、前記第2の負荷の電力量の積算値を算出する、
請求項1に記載の電力貯蔵・給電装置。
【請求項3】
前記蓄電池貯蔵電力給電線と前記給電系統切換スイッチの前記第2入力端子との間に第2電流センサが設けられ、
前記負荷制御装置は、前記第2電流センサが検出した電流に基づいて、前記第2の負荷の電力量の積算値を算出する、
請求項1に記載の電力貯蔵・給電装置。
【請求項4】
前記商用電源と前記蓄電池との間に設けられ、前記蓄電池の充電期間、前記双方向電力変換ユニットに商用電源を接続する充電/非充電・切換スイッチを有する、
請求項1〜3のいずれかに記載の電力貯蔵・給電装置。
【請求項5】
太陽電池ユニットと、
前記太陽電池ユニットで発電された電力を前記蓄電池に充電可能な電力に変換するDC・DCコンバータと、
前記DC・DCコンバータから前記蓄電池への充電電流を検出する第3電流センサと
を更に有し、
前記負荷制御装置は、前記第3電流センサが検出した充電電流に基づいて前記太陽電池ユニットから前記蓄電池への充電電力を算出し、
前記蓄電池の残存蓄電容量に該算出した太陽電池ユニットからの充電電力を加算して前記蓄電池の新たな残存蓄電容量として更新する
請求項1〜4のいずれかに記載の電力貯蔵・給電装置。
【請求項6】
第1の負荷と第2の負荷とに給電する電力貯蔵・給電方法であって、
蓄電池への蓄電電力量を算出し、かつ、前記蓄電池からの放電電力量を算出し、前記蓄電電力量から前記放電電力量を減じて前記蓄電池の残存蓄電容量を算出し、
前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と予め設定した電力余裕分との和以上のとき前記第1の負荷および前記第2の負荷に前記蓄電池から給電されるように給電系統切換スイッチを駆動し、前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記電力余裕分との和以下のとき前記第1の負荷のみに前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動し、
前記第2の負荷の電力量の積算値を算出し、
前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記第2負荷の電力量の積算値との和以上のとき、前記第1の負荷と前記第2の負荷に前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動し、前記蓄電池の残存蓄電容量が前記第1の負荷の予測電力量と前記第2の負荷の電力量の積算値との和以下のとき前記第1の負荷のみに前記蓄電池から給電されるように前記給電系統切換スイッチを駆動する、
電力貯蔵・給電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−259598(P2007−259598A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−81461(P2006−81461)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】