説明

電動パワーステアリング装置

【課題】電動モータを駆動制御する制御回路に対し、電動モータおよび回転位置センサをそれぞれ容易に接続することができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】モータハウジング31の軸方向一端にECUハウジング45を組み付けることにより、両者31,45の間に制御回路収容部48を形成するとともに、その制御回路収容部48内に、モータ回転子33の回転方向の位置を検出する回転位置センサであるレゾルバ73と、そのレゾルバ73の出力信号に基づいて電動モータMへ電力を供給する制御回路49とをそれぞれ設け、レゾルバ73および電動モータMを制御回路収容部48内で制御回路49に電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動モータを動力源とした電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動パワーステアリング装置に関する技術として、例えば特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1に記載の技術では、車両のハンドルに対してアシストトルクを出力する電動モータのモータハウジングに、当該モータハウジングの径方向一方側に向けて突出する台座部が形成され、そのモータハウジングの台座部に、電動モータを駆動制御する駆動制御装置が固定されている。また、上記モータハウジングの台座部には、電機子巻線に電気的に接続された各相のターミナルが付設されており、それらの各ターミナルに、上記駆動制御装置側の電源供給用バスバーがそれぞれ接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−132174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術における駆動制御装置は、モータ回転子の回転位置を検出する回転位置センサに電気的に接続され、その回転位置センサの出力信号に基づいて生成した電力を上記電源供給用バスバーから電動モータへ供給することになるが、特許文献1に記載の技術では上記回転位置センサと上記駆動制御装置との電気的な接続について全く考慮されておらず、上記回転位置センサと上記駆動制御装置とを電気的に接続するための作業が煩雑となる虞があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、電動モータを駆動制御する制御回路に対し、電動モータおよび回転位置センサをそれぞれ容易に接続することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特に、モータハウジングとの間に制御回路収容部を形成する制御回路ハウジングが電動モータの軸方向一方側に設けられているとともに、モータ回転子の回転方向の位置を検出する回転位置センサと、その回転位置センサの出力信号に基づいて電動モータへ電力を供給する制御回路とが上記制御回路収容部内にそれぞれ設けられていて、上記回転位置センサ側の信号出力端子と上記制御回路側の信号入力端子との電気的な接続と、上記電動モータ側の電流入力端子と上記制御回路側の電流出力端子との電気的な接続とがそれぞれ上記制御回路収容部内でなされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電動モータを駆動制御する制御回路に対し、電動モータおよび回転位置センサをそれぞれ容易に接続することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態として電動パワーステアリング装置を示す概略図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】図3のモータ制御装置を示す拡大断面図。
【図5】図4に示すモータ制御装置の分解斜視図。
【図6】図4に示す制御回路を組み付けた状態のECUハウジングをモータハウジング側から見た図。
【図7】図4に示すECUハウジングを取り外した状態のモータ制御装置をECUハウジング側から見た図。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す図であって、ECUハウジングを取り外した状態のモータ制御装置をECUハウジング側から見た図。
【図9】図8に示すモータ制御装置の軸方向に沿った断面図。
【図10】本発明の第3の実施の形態を示す図であって、ECUハウジングを取り外した状態のモータ制御装置をECUハウジング側から見た図。
【図11】図10に示すモータ制御装置の軸方向に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜7は本発明の好適な第1の実施の形態を示す図であって、そのうち図1は電動パワーステアリング装置の全体構成を示す概略図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図である。なお、図3では、後述するウォームホイール22の図示を便宜上省略している。
【0010】
図1,2に示すように、ステアリングホイールSWと一体に回転するステアリングシャフト1は、ユニバーサルジョイント2a,2bおよび中間シャフト3を介してピニオンシャフト4に連結されている。ピニオンシャフト4は、周知のように、ステアリングホイールSW側の入力軸5と、その入力軸5の下端に図示外のトーションバーをもって同軸連結され、外周面にピニオンギヤ6aが形成された出力軸6と、を備えていて、出力軸6は、図示外の車体に支持固定されたステアリングギヤハウジング7のうち上下方向に延びる略円筒状のピニオン収容部7aを挿通しつつ、ステアリングギヤハウジング7のうち車体左右方向に延びる略円筒状のラック収容部7bに収容されたラック軸8と噛合している。つまり、ピニオンシャフト4とラック軸8とによっていわゆるラックピニオン式のステアリングギヤ9を操舵機構として構成している。なお、図2の符号10は、ピニオンシャフト4との噛み合いを強める方向にラック軸8を付勢するラックリテーナーを示している。
【0011】
そして、運転者がステアリングホイールSWを回転操作すると、そのステアリングホイールSWに同期して入力軸5が回転することで上記トーションバーが捩られ、そのトーションバーの弾性力により出力軸6が入力軸5に追従して回転する。その上で、出力軸6の回転運動がラックピニオン機構によってラック軸8の直線運動に変換され、当該ラック軸8の両端にタイロッド11およびナックルアーム12を介してそれぞれ接続された転舵輪13が転舵されることになる。
【0012】
また、ステアリングギヤハウジング7のピニオン収容部7aのうち上方側の開口端には略円筒状のセンサハウジング14がセンサハウジング固定ボルト15によって固定されていて、そのセンサハウジング14内には、上記トーションバーの捩れ変形に基づく入力軸5と出力軸6との相対回転によって操舵トルクを検出するトルクセンサTSが収容されている。
【0013】
トルクセンサTSは、出力軸6の上端にかしめ固定された外筒16と、その外筒16の内周側となる位置で入力軸14に固定された内筒17と、外筒16の外周側に設けられたコイルユニット18と、を備えていて、上記トーションバーが捩られると、外筒16と内筒17にそれぞれ形成されたスリットの重合面積が変化して磁束が増減するようになっている。そして、このような磁束の増減は、インピーダンス検出回路19によってコイルユニット18のインピーダンスの差として検出され、その情報が後述する電子コントロールユニット21に出力されることになる。
【0014】
他方、図1,2のほか図3に示すように、出力軸6の下端部には、減速機構であるウォームギヤ機構20を介して操舵アシスト用の電動モータMの回転駆動力が伝達されるようになっている。電動モータMは、当該電動モータMを挟んでウォームギヤ機構20とは反対側の位置に設けられた電子コントロールユニット21(以下、ECUと略称する。)により、トルクセンサTSの出力信号のほか、後述するレゾルバ73の出力信号や例えば車速等の車両の運転状態を示す信号に基づいて駆動制御される。このように電動モータMが駆動制御されることにより、運転者の操舵トルクに応じた操舵アシスト力が出力軸6に付与され、運転者による操舵が補助されることになる。なお、詳しくは後述するが、電動モータMとECU21は、それらの筐体の一部を共有することでモータ制御装置MCとして一体的に構成されている。
【0015】
ウォームギヤ機構20は、出力軸6の下端部に一体的に固定され、外周に歯部22aを有するウォームホイール22と、そのウォームホイール22の歯部22aと噛合する歯部23aが軸方向の所定範囲に形成されたウォームシャフト23とをウォームギヤハウジング26に収容することで構成されている。なお、ウォームギヤハウジング26は、ピニオン収容部5aのうち下方側の開口端にウォームギヤハウジング固定ボルト25をもって固定されている。
【0016】
ウォームギヤハウジング26は、ウォームホイール22を収容する略偏平円筒状のウォームホイール収容部26aと、そのウォームホイール収容部26aに軸方向の所定の範囲が臨むように形成され、ウォームシャフト23を車体左右方向に沿った姿勢で収容する略有底円筒状のウォームシャフト収容部26bと、を備えている。そして、ウォームシャフト23の軸方向両端部が一対のボールベアリング27,28を介してウォームギヤハウジング26のウォームシャフト収容部26bに軸支されているとともに、そのウォームシャフト23の軸方向一端は、電動モータMのモータ回転軸24に軸継手としてのオルダム継手29を介して同軸連結されている。なお、図2の符号26cは、ウォームホイール収容部26aのうちステアリングギヤハウジング7とは反対側の開口を閉蓋するエンドカバーである。
【0017】
電動モータMは、上述したようにECU21と筐体の一部を共有することでそのECU21と一体的に構成され、この一体構成してなるモータ制御装置MCが、ウォームギヤハウジング26のうちウォームシャフト収容部26bの開口端にモータ制御装置固定ボルト30によって取付固定されている。このモータ制御装置MCの軸方向に沿った断面を図4に、モータ制御装置MCの分解斜視図を図5にそれぞれ示す。
【0018】
図3〜5に示すように、電動モータMは、三相交流電力によって駆動されるいわゆる三相インダクションモータであって、モータハウジング31と、そのモータハウジング31内の後述するモータ要素収容部32を挿通するモータ回転軸24と、通電によりモータ回転軸24を回転駆動するモータ要素MBと、を備えていて、モータ回転軸24の一端が後述する制御回路収容部48内で回転位置センサとしてのレゾルバ73に接続されている一方、モータ回転軸24の他端はウォームギヤハウジング26側のウォームシャフト収容部26b内でオルダム継手29を介してウォームシャフト23に接続されている。
【0019】
モータ要素MBは、モータ回転軸24の外周に圧入され、かつ、図示外のキー等によって回り止めが施された略円筒状のモータ回転子33と、そのモータ回転子33の外周側に所定の径方向隙間を介して非接触状態に配置された略円筒状のモータ固定子34と、から構成され、ECU21からモータ固定子34へ供給される三相交流電力により、モータ回転子33がモータ回転軸24とともに回転するようになっている。
【0020】
モータハウジング31は、第1ハウジング部材35と第2ハウジング部材36とに軸方向で二分されている。第1ハウジング部材35は、ウォームギヤハウジング26のうちウォームシャフト収容部26bの開口端にモータ制御装置固定ボルト30をもって固定され、ウォームギヤハウジング26とは反対側に向けて開口する略有底円筒状を呈している。一方、第2ハウジング部材36は略筒状を呈する周壁の軸方向中間部に隔壁37を形成してなり、当該第2ハウジング部材36の周壁のうち隔壁37を挟んで第1ハウジング部材35側の部分は略円筒状の円筒部38として形成されているとともに、第2ハウジング部材36の周壁のうち隔壁37を挟んで第1ハウジング部材35とは反対側の部分は断面略矩形状の角筒部39として形成されている。
【0021】
そして、第1ハウジング部材35側の周壁35bの先端部に形成されたフランジ部35cに第2ハウジング部材36側の円筒部38の先端面が着座した状態で、第2ハウジング部材固定ボルト40によって円筒部38の先端とフランジ部35cとが相互に固定されている。これにより、第1ハウジング部材35の底壁35aと第2ハウジング部材36の隔壁37との間にモータ要素MBを収容するモータ要素収容部32が形成されている。つまり、第2ハウジング部材35の円筒部38は、第1ハウジング部材35の周壁35bとともにモータ要素収容部32の周壁として機能するようになっている。
【0022】
また、第2ハウジング部材36のうち隔壁37の中央部には、略円筒状の第1軸受収容部41がモータ要素収容部32側に向けて突出形成され、その第1軸受収容部41に収容された第1ボールベアリング42により、モータ回転軸24のうちECU21側の端部が回転自在に軸受支持されている。一方、第1ハウジング部材35のうち底壁35aの中央部には、略円筒状の第2軸受収容部43がモータ要素収容部32側に向けて突出形成され、その第2軸受収容部43に収容された第2ボールベアリング44により、モータ回転軸24のうちウォームシャフト23側の端部が回転自在に支持されている。
【0023】
さらに、第2ハウジング部材36のうち角筒部39の開口は、制御回路ハウジングとしてのECUハウジング45によって閉蓋されている。ECUハウジング45には、電動モータMに供給する三相交流電力を生成するパワーモジュール46と、そのパワーモジュール46のうちMOS−FETに代表されるような図示外のスイッチング素子を駆動制御する制御モジュール47とが、電動モータM側から、制御モジュール47、パワーモジュール46の順で重合した状態で取り付けられている。すなわち、第2ハウジング部材36の隔壁37と制御回路ハウジング45との間に形成された制御回路収容部48に制御モジュール47とパワーモジュール46とからなる制御回路49を収容することにより、ECU21が構成されている。なお、図3〜5の符号50は、トルクセンサTSおよび図示外のバッテリを制御回路49に接続するための外部接続コネクタであり、図5の符号83は、第2ハウジング部材36とECUハウジング45とを相互に締結固定するECUハウジング取付ねじである。
【0024】
図6は制御回路49を組み付けた状態のECUハウジング45をモータハウジング31側から見た図であって、図7はECUハウジング45を取り外した状態のモータ制御装置MCをECUハウジング45側から見た図である。
【0025】
図4,5のほか図6に示すように、ECUハウジング45は、モータハウジング31側に向かって略矩形状に開口するパワーモジュール収容凹部51を有していて、そのパワーモジュール収容凹部51にパワーモジュール46を収容しているとともに、パワーモジュール収容凹部51の底面から突出する略円柱状のボス部52を複数有している。各ボス部52は、パワーモジュール収容凹部51の開口端よりもモータハウジング31側の位置にまで延びていて、制御モジュール47は、各ボス部52の先端面に載置された状態で、各ボス部52にそれぞれ螺合する複数の制御モジュール取付ねじ53によって固定されている。その結果、モータハウジング31側の角筒部39の内周側に制御モジュール47が収容されている。
【0026】
制御モジュール47は、ガラスエポキシ樹脂に代表されるような非導電性樹脂材料からなる基板54の表裏両面にそれぞれ導体パターン(図示せず)を形成し、その上に所定の演算を行うマイクロコンピュータを含む多数の電子部品(図示せず)を実装することで構成されたものであって、当該制御モジュール47の基板54は、パワーモジュール収容凹部51の開口端よりも一回り小さい略矩形状を呈している。
【0027】
また、制御モジュール47の基板54には、当該基板54の一端縁に信号入力端子として設けられ、後述するレゾルバ73からの信号を入力する雌型のセンサ接続コネクタ56と、制御モジュール47とパワーモジュール46とを電気的に接続すべく貫通形成された複数のスルーホール55とがそれぞれ設けられている。
【0028】
他方、パワーモジュール46は、当該パワーモジュール46によって生成された3相交流電力を電動モータMのモータ固定子34に供給するための3つの電流出力端子57u,57v,57wを有している。各電流出力端子57u,57v,57wは、制御モジュール47側の基板54のうちセンサ接続コネクタ56が設けられた一端縁に沿って並設され、各電流出力端子57u,57v,57wの並設方向において、制御モジュール47側のセンサ接続コネクタ56を挟んで一方側(図6の右側)となる位置に二つの電流出力端子57u,57vが、他方側(図6の左側)となる位置に一つの電流出力端子57wがそれぞれ設けられている。つまり、電流出力端子57u,57vと電流出力端子57wとの間には、センサ接続コネクタ56の幅寸法よりも大きい間隙が設けられている。また、各電流出力端子57u,57v,57wとセンサ接続コネクタ56とを電動モータMの軸直角方向に並べて配置することにより、電動モータMの軸方向における制御回路収容部48の小型化を図っている。
【0029】
そして、各電流出力端子57u,57v,57wは、角筒部39と制御モジュール47の一端縁との間の間隙をそれぞれ挿通し、制御モジュール47と隔壁37との間の空間に臨んでおり、それらの各電流出力端子57u,57v,57wの先端部が、モータハウジング31に対するECUハウジング45の組付方向でセンサ接続コネクタ56とオーバーラップする位置に設けられた導体モジュール58を介して電動モータM側のモータ固定子34に電気的に接続されている。ここで、モータハウジング31に対するECUハウジング45の組付方向とは、モータハウジング31とECUハウジング45との接近離間方向を意味している。
【0030】
図4,5,7に示すように、導体モジュール58は、導電性の金属材料からなり、一端が各電流出力端子57u,57v,57wにそれぞれ接続された中継端子としての3つのバスバ59u,59v,59wと、絶縁性の樹脂材料からなり、各バスバ59u,59v,59wを保持する端子台60と、を備えている。
【0031】
端子台60は、各電流出力端子57u,57v,57wの整列方向を長手方向として延び、各バスバ59u,59v,59wをそれぞれ保持する端子台本体61と、その端子台本体61の長手方向両端部にそれぞれ形成され、導体モジュール取付ねじ63をもって第2ハウジング部材36の隔壁37に固定された一対の取付基部62とから構成され、角筒部39の内周面のうち上述した電流出力端子57u,57vと電流出力端子57wとの間の間隙に相当する位置に突出形成された突出部39aと端子台本体61との当接により、角筒部39の内周面との間に所定の間隙を形成している。
【0032】
一方、各バスバ59u,59v,59wは、端子台本体61の長手方向に沿って並んでいて、端子台本体61のうち突出部39aを挟んで一方側(図7の左側)となる位置に二つのバスバ59u,59vが、他方側(図7の右側)となる位置に一つのバスバ59wがそれぞれ設けられている。
【0033】
また、各バスバ59u,59v,59wは、導電性の金属板を略L字状に曲折形成してなるものであって、端子台本体61のうち角筒部39の内周面と近接対峙する端子取付面61bに重合したパワーモジュール側接続部64と、そのパワーモジュール側接続部64の一端から略直角に曲折し、後述するレゾルバ73側に向かって延びるモータ側接続部65と、を備えている。
【0034】
そして、第2ハウジング部材36の隔壁37のうち各バスバ59u,59v,59wのモータ側接続部65に相当する位置には端子挿通穴37aが形成され、モータ固定子34から端子挿通穴37aを挿通して制御回路収容部48内に延びる複数の電流入力端子66u,66v,66wが、各バスバ59u,59v,59wのモータ側接続部65に例えば溶接によってそれぞれ電気的に接続されている。
【0035】
また、各バスバ59u,59v,59wのパワーモジュール側接続部64には、パワーモジュール46側の各電流出力端子57u,57v,57wがそれぞれ重合しつつ、端子固定ねじ67によってそれぞれ締結固定されている。これにより、パワーモジュール46とモータ固定子34とが電気的に接続されている。
【0036】
さらに、角筒部39のうち各端子固定ねじ67が臨む位置には、モータハウジング31とECUハウジング45とを組み合わせた状態で各端子固定ねじ67を回転操作可能とすべく、略円形状の作業穴68がそれぞれ貫通形成されているとともに、それらの各作業穴68はOリング69付きのプラグ70をもってそれぞれ封止され、さらに、各プラグ70を覆うカバープレート71が角筒部39の外周面にプレート取付ねじ72をもって取り付けられている。
【0037】
他方、モータ回転軸24のうちECU21側の端部は、制御回路収容部48内に設けられた回転位置センサとしてのレゾルバ73に接続されている。つまり、レゾルバ73は、モータ要素MBと制御回路49との間の位置に設けられている。
【0038】
レゾルバ73は、モータ回転軸24のうちECU21側の端部に一体的に固定されたセンサ回転子としてのレゾルバロータ74と、そのレゾルバロータ74の外周側となる位置で第2ハウジング部材36の隔壁37にセンサ固定子として固定された環状のレゾルバステータ75と、そのレゾルバステータ75に一端側が電気的に接続された複数の信号出力端子76と、を備えていて、レゾルバロータ74と一体に回転するモータ固定子34の回転位置に応じた検出信号を各信号出力端子76から制御モジュール47へ出力するようになっている。なお、図7の符号77は、レゾルバステータ75を隔壁37に固定するレゾルバ取付ねじを示している。
【0039】
レゾルバステータ75は、レゾルバロータ74の外周側を囲繞する略円環状に形成され、径方向内側に向けて突出する複数の歯部79にそれぞれステータコイル80を巻回してなる固定子本体としてのステータ本体78と、ステータ本体77から導体モジュール58側に向けて径方向外側に延出し、各信号出力端子76の一端部が埋設された樹脂製の端子保持部81と、を備えている。
【0040】
各信号出力端子76は、導電性の金属材料からなる線状部材を略クランク状に曲折してなるものであって、電動モータMの軸方向で端子保持部81を挿通するストレート形状のセンサ側接続部76aと、そのセンサ側接続部76aのうち制御回路49側の端部から略直角に屈曲し、導体モジュール58側に向けて延びるストレート形状の中間連結部76bと、その中間連結部76bのうち導体モジュール58側の端部から略直角に屈曲し、センサ接続コネクタ56側に向けて延びるストレート形状の制御回路側接続部76cと、を備えている。
【0041】
そして、各信号出力端子76のうちセンサ側接続部76aの先端に、一端がステータコイル80と電気的に接続された導電性のワイヤ82の他端がそれぞれ巻回されているとともに、各信号出力端子76のうち制御回路側接続部76cの先端が、制御モジュール47側のセンサ接続コネクタ56にそれぞれ挿入されている。これにより、レゾルバ73と制御モジュール47とが電気的に接続され、レゾルバ73の出力信号が制御モジュール47に入力されることになる。なお、図4の符号76dは、各信号出力端子76のうちセンサ側接続部76aの先端にワイヤ82の他端を巻回してなるからげ部を示している。
【0042】
また、各信号出力端子76の中間連結部76bのうち制御回路側接続部76c側の端部は、端子台本体61の上面のうちモータハウジング31に対するECUハウジング45の組付方向で制御モジュール47側のセンサ接続コネクタ56とオーバーラップする位置に形成された複数の溝部61aにそれぞれ嵌合し、上記組付方向で端子台本体61によってバックアップされている。
【0043】
すなわち、以上のように構成したモータ制御装置MCを組み立てるには、モータ要素MB,モータ回転軸24,レゾルバ73,導体モジュール58をモータハウジング31に、パワーモジュール46および制御モジュール47をECUハウジング45にそれぞれ組み付けた上で、両者31,45を相対位置決めしつつ、モータハウジング31側の角筒部39の開口端とECUハウジング45側の開口端を突き合わせる。これにより、角筒部39の内周面と各バスバ59u,59v,59wのパワーモジュール側接続部64との間の間隙にパワーモジュール46側の各電流出力端子57u,57v,57wがそれぞれ挿入されるとともに、各信号出力端子76の制御回路側接続部76cが制御モジュール47側のセンサ接続コネクタ56にそれぞれ挿入される。このとき、各信号出力端子76の中間連結部76bが端子台60によってそれぞれバックアップされているため、センサ接続コネクタ56からの押圧力による中間連結部76bの撓み変形が抑制され、制御回路側接続部76cが位置ずれすることなくセンサ接続コネクタ56に円滑に挿入されることになる。
【0044】
このようにしてモータハウジング31とECUハウジング45とを組み合わせたならば、両者31,45をECUハウジング取付ねじ83によって相互に締結固定した上で、各作業穴68を通じて制御回路収容部48内にそれぞれ挿入した各端子固定ねじ67により、各バスバ59u,59v,59wと各電流出力端子57u,57v,57wとを共締め固定し、各プラグ70およびカバープレート71をもって各作業穴68をそれぞれ封止する。これにより、電動モータM側の各電流入力端子66u,66v,66wと制御回路49側の各電流出力端子57u,57v,57wとの電気的な接続に加え、制御回路49側のセンサ接続コネクタ56とレゾルバ73側の各信号出力端子76との電気的な接続が制御回路収容部48内でなされ、モータ制御装置MCが完成することになる。
【0045】
すなわち、本実施の形態によれば、電動モータM側の各電流入力端子66u,66v,66wと制御回路49側の各電流出力端子57u,57v,57wとの電気的な接続に加え、制御回路49側のセンサ接続コネクタ56とレゾルバ73側の各信号出力端子76との電気的な接続が制御回路収容部48内でなされているため、電動モータMおよびレゾルバ73を制御回路49に対してそれぞれ容易に接続することができるようになる。
【0046】
また、モータハウジング31とECUハウジング45とを組み合わせるだけで制御回路49とレゾルバ73とが電気的に接続されることになるから、モータ制御装置MCの組み立て作業がより容易になる。
【0047】
さらに、各バスバ59u,59v,59wのパワーモジュール側接続部64を角筒部39の内周面に近接配置するとともに、角筒部39のうち各バスバ59u,59v,59wのパワーモジュール側接続部64が臨む位置に作業穴68をそれぞれ貫通形成することにより、それらの各作業穴68を通じて各バスバ59u,59v,59wと各電流出力端子57u,57v,57wとの接続作業を行えるようになっているため、モータ制御装置MCの組立作業がさらに容易になる。
【0048】
図8,9は本発明の第2の実施の形態を示す図であって、そのうち図8はECUハウジング45を取り外した状態のモータ制御装置MCをECUハウジング45側から見た図、図9は図8に示すモータ制御装置MCの軸方向に沿った断面図である。なお、図8,9において上述した第1の実施の形態と同様または相当する部分には、その第1の実施の形態と同様の符号を付してある。
【0049】
図8,9に示す第2の実施の形態は、レゾルバ73の端子保持部84を、モータハウジング31に対するECUハウジング45の組付方向でセンサ接続コネクタ56とオーバーラップする位置にまで延長形成し、各信号出力端子76の中間連結部76bをその端子保持部84に埋設したものである。つまり、各信号出力端子76のうち屈曲部を有さないストレート形状の制御回路側接続部76cが、端子保持部84の先端部からセンサ接続コネクタ56側に向けて延びている。
【0050】
また、端子保持部84はレゾルバ73の径方向における端子挿通穴37aの両端縁間に掛け渡されていて、当該端子保持部84の先端が第2ハウジング部材36のうち隔壁37の外周縁部に着座している。なお、この第2の実施の形態では、上述したように延長形成した端子保持部84との干渉をさけるべく、導体モジュール58側の端子台60のうち端子台本体61の一部を切り欠いている。他の部分は上述した第1の実施の形態と同様である。
【0051】
したがって、この第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と略同様の効果が得られるのに加え、各信号出力端子76のうち端子保持部84からセンサ接続コネクタ56側に向けて突出する制御回路側接続部76cが屈曲部を有しておらず、屈曲部形成時の誤差による部品精度の低下を抑制することができるから、制御回路側接続部76cと相手側となるセンサ接続コネクタ56との相対位置精度が向上し、モータ制御装置MCの組立作業がより一層容易となるメリットがある。
【0052】
また、端子保持部84の先端が第2ハウジング部材36の隔壁37に着座することでバックアップされていることから、センサ接続コネクタ56からの押圧力による端子保持部84の撓み変形が抑制され、各信号出力端子76をセンサ接続コネクタ56に対してより円滑に挿入できるようになる。
【0053】
図10,11は本発明の第3の実施の形態を示す図であって、そのうち図10はECUハウジング45を取り外した状態のモータ制御装置MCをECUハウジング45側から見た図、図11は図10に示すモータ制御装置MCの軸方向に沿った断面図である。なお、図10,11において上述した第2の実施の形態と同様または相当する部分には、その第2の実施の形態と同様の符号を付してある。
【0054】
図10,11に示す第3の実施の形態は、各信号出力端子85が屈曲部を有しないストレート形状にそれぞれ形成されているものであって、他の部分は上述した第2の実施の形態と同様である。換言すれば、各信号出力端子85のうち、端子保持部84からセンサ接続コネクタ56とは反対側に向けて突出するセンサ側接続部85aと、端子保持部84に埋設された中間連結部85bと、端子保持部84からセンサ接続コネクタ56側に向けて突出する制御回路側接続部85cとが一直線上に形成されている。なお、図11の符号85dは、各信号出力端子85のうちセンサ側接続部85aの先端にワイヤ82の他端を巻回してなるからげ部を示している。
【0055】
したがって、この第3の実施の形態によれば、上述した第2の実施の形態と略同様の効果が得られるのは勿論のこと、各信号出力端子85の全体が屈曲部を有しないストレート形状に形成されているため、各信号出力端子85の製造が容易となり、ひいてはコスト的に有利となるメリットがある。
【0056】
ここで、上述した実施の形態から把握される特許請求の範囲に記載した以外の技術的思想について、以下に説明する。
【0057】
(1)上記電動モータ側の電流入力端子と上記制御回路側の電流出力端子とが上記制御回路収容部内に設けられた導体モジュールを介して電気的に接続されているとともに、
上記導体モジュールは、上記電流入力端子と上記電流出力端子とを電気的に接続する中継端子と、その中継端子を保持する端子台と、を備えていて、
上記中継端子のうち上記電流出力端子側の端部が、当該中継端子のうち上記電流入力端子側の端部よりも上記制御回路収容部の周壁に近接する方向へオフセットしている一方、上記制御回路収容部の周壁には、上記中継端子と上記電流出力端子との接続作業を上記制御回路収容部の外から実施可能とする作業窓が貫通形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【0058】
(1)に記載の技術的思想によれば、上記中継端子と上記電流出力端子との接続作業を上記制御回路収容部の外から容易に実施することができるようになる。
【0059】
(2)上記制御回路側の信号入力端子は、上記制御回路ハウジングの上記モータハウジングに対する組付方向で上記端子台に対向する位置に設けられ、上記組付方向で上記回転位置センサ側の信号出力端子に嵌合するようになっている一方、
上記信号出力端子は、上記端子台によって上記組付方向でバックアップされていることを特徴とする(1)に記載の電動パワーステアリング装置。
【0060】
(2)に記載の技術的思想によれば、上記信号出力端子と上記信号入力端子との接続作業時に、上記信号出力端子のうち上記信号入力端子側の端部を軸方向に押し込む力が作用したとき、上記端子台によって上記信号出力端子の撓み変形が抑制され、上記信号出力端子と上記信号入力端子との接続作業がさらに容易となる。
【0061】
(3)上記センサ固定子は、上記センサ回転子の外周側を囲繞する環状の固定子本体と、その固定子本体から当該固定子本体の径方向で上記制御回路の信号入力端子側に向けて延出する樹脂製の端子保持部とを有していて、上記信号出力端子のうち長手方向の一部を上記端子保持部に埋設することで当該信号出力端子が上記端子保持部に保持されているとともに、
上記信号出力端子のうち上記制御回路側の端部が屈曲部を有しないストレート形状の制御回路側接続部として上記端子保持部から上記制御回路の信号入力端子側へ向けて突出し、その制御回路側接続部が上記信号入力端子に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【0062】
(3)に記載の技術的思想によれば、上記制御回路側接続部が屈曲部を有していないことから、屈曲部形成時の誤差による部品精度の低下を抑制することができ、上記制御回路側接続部と相手側となる信号入力端子との相対位置精度を向上させることができる。
【0063】
(4)上記信号出力端子の全体が屈曲部を有しないストレート形状を呈していて、
上記固定子本体から延出する導電性のワイヤを上記信号出力端子に巻回することにより、上記固定子本体と上記信号出力端子とが電気的に接続されていることを特徴とする(3)に記載の電動パワーステアリング装置。
【0064】
(4)に記載の技術的思想によれば、上記信号出力端子の全体が屈曲部を有しないストレート形状に形成されているため、上記信号出力端子の製造が容易となり、ひいてはコスト的に有利となる。
【0065】
(5)上記制御回路側の信号入力端子は、上記制御回路ハウジングの上記モータハウジングに対する組付方向で、上記回転位置センサ側の信号出力端子のうち上記制御回路側接続部に対向する位置に設けられ、その制御回路側接続部に対して上記組付方向で嵌合するようになっているとともに、
上記端子保持部の先端部は、上記モータ要素収容部と上記制御回路収容部との間の隔壁に着座していることを特徴とする(3)または(4)に記載の電動パワーステアリング装置。
【0066】
(5)に記載の技術的思想によれば、上記信号出力端子と上記信号入力端子との接続作業時に、上記信号出力端子の制御回路側接続部を軸方向に押し込む力が作用したとき、上記隔壁によって上記端子保持部の撓み変形が抑制されることになるから、上記信号出力端子と上記信号入力端子との接続作業がさらに容易となる。
【0067】
(6)上記制御回路の電流出力端子と信号入力端子は、上記電動モータの軸直角方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーステアリング装置。
【0068】
(6)に記載の技術的思想によれば、上記制御回路の電流出力端子と信号入力端子とを上記電動モータの軸直角方向に並べて配置することにより、上記電動モータの軸方向で上記制御回路収容部を小型化することができる。
【符号の説明】
【0069】
SW…ステアリングホイール
M…電動モータ
9…ステアリングギヤ(操舵機構)
13…転舵輪
20…ウォームギヤ機構(減速機構)
24…モータ回転軸
31…モータハウジング
32…モータ要素収容部
33…モータ回転子
34…モータ固定子
45…ECUハウジング(制御回路ハウジング)
48…制御回路収容部
49…制御回路
56…センサ接続コネクタ(信号入力端子)
57u,57v,57w…電流出力端子
66u,66v,66w…電流入力端子
73…レゾルバ(回転位置センサ)
74…レゾルバロータ(センサ回転子)
75…レゾルバステータ(センサ固定子)
76…信号出力端子
78…ステータ本体(固定子本体)
81…端子保持部
82…ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの回転を転舵輪に伝達する操舵機構と、
電流入力端子を有するモータ固定子と、そのモータ固定子の内周側に設けられたモータ回転子とがそれぞれモータハウジングのモータ要素収容部内に収容されているとともに、上記モータ回転子とともに回転するモータ回転軸が上記モータ要素収容部を軸方向に挿通していて、上記モータ固定子の電流入力端子から供給される電力をもって上記モータ回転軸とともに上記モータ回転子が回転する電動モータと、
上記電動モータの軸方向一方側に設けられ、上記モータ回転軸の一端部が臨む制御回路収容部を上記モータハウジングとの間に形成する制御回路ハウジングと、
上記電動モータの軸方向他方側に設けられ、上記モータ回転軸の回転を上記操舵機構に伝達する減速機構と、
上記制御回路収容部内で上記モータ回転軸の一端部に固定されたセンサ回転子と、上記制御回路収容部内で上記センサ回転子の外周側に設けられたセンサ固定子と、そのセンサ固定子に一端が電気的に接続された信号出力端子と、を有し、上記モータ回転子の回転方向の位置を検出してその検出信号を上記信号出力端子から出力する回転位置センサと、
上記回転位置センサの検出信号を上記信号出力端子から受信する信号入力端子と、上記回転位置センサの検出信号に基づいて生成した電力を上記電流入力端子から上記モータ固定子に供給する電流出力端子とを有し、上記制御回路収容部内で上記制御回路ハウジングに固定された制御回路と、
を備えていて、
上記回転位置センサ側の信号出力端子と上記制御回路側の信号入力端子との電気的な接続と、上記電動モータ側の電流入力端子と上記制御回路側の電流出力端子との電気的な接続とがそれぞれ上記制御回路収容部内でなされていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
上記センサ固定子は、上記センサ回転子の外周側を囲繞する環状の固定子本体と、その固定子本体から当該固定子本体の径方向で上記制御回路の信号入力端子側に向けて延出する樹脂製の端子保持部とを有している一方、
上記信号出力端子は、屈曲部を有しないストレート形状に形成されているとともに、当該信号出力端子の長手方向の一部を上記端子保持部に埋設することでその端子保持部に保持されていて、
上記固定子本体から延出する導電性のワイヤを上記信号出力端子に巻回することにより、上記固定子本体と上記信号出力端子とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−218701(P2012−218701A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89844(P2011−89844)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(301041449)日立オートモティブシステムズステアリング株式会社 (44)
【Fターム(参考)】