説明

電動モータ

【課題】効果的に小型化することができる電動モータを提供する。
【解決手段】ヨーク5と、ヨーク5に設けられた滑り軸受18に、一端が回転自在に支持される回転軸3と、回転軸3に取り付けられ、径方向に向かって放射状に延びる複数のティース12を有するアーマチュアコア8とを備え、各ティース12に、それぞれ集中巻方式にてアーマチュアコイル9を巻回し、アーマチュアコア8の軸方向端面側に存在する各アーマチュアコイル9のコイルエンド9aよりも径方向内側に臨まされるように、滑り軸受18を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両の搭載される電動モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、この種の電動モータの中には、自動車用のワイパーモータがある。ワイパーモータは、モータ部と減速部とが一体に組みつけられたものである。モータ部は、内周面に複数の磁極を備えた有底筒状のヨーク(ヨークハウジング)の内側に、コイルが巻装されたアーマチュア(電気子)が回転自在に配置されている。
【0003】
アーマチュアは、回転軸と、回転軸に外嵌固定されているアーマチュアコア(電気子コア)、及びコンミテータ(整流子)とを有している。アーマチュアを回転自在に支持するヨークの底部には、回転軸を回転自在に支持するための軸受が設けられている。
アーマチュアコアは、放射状に配置された複数のティースを有しており、これらティースにコイルが、例えば分布巻方式にて巻装されている。また、コンミテータは、周方向に複数のセグメントが配置されており、これらセグメントに、それぞれコイルの端末部が接続されている。
【0004】
また、セグメントには、例えばバッテリ等の外部電源と電気的に接続されたブラシが摺接されており、これらブラシ、及びセグメントを介してコイルに電流が供給される。そして、コイルに電流が供給されると、コイルが巻装されているティースに磁界が生じる。この磁界とヨークの磁極との間に磁気的な反発力や吸引力が生じることによって、アーマチュアが回転する。アーマチュアが回転することによってブラシが摺接するセグメントが順次変更されコイルに流れる電流の向きが切替えられる、所謂整流が行われ、アーマチュアが継続的に回転する。
ここで、ヨークの底部に設けられている軸受は、アーマチュアコアの軸方向端面側に存在する各コイルのコイルエンドとの干渉を回避するように、軸方向外側に向かって突設されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−226847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ワイパーモータ等の車両に搭載されるモータは、車両搭載性の向上等の要求から常に小型化が求められている。しかしながら、上述の従来技術にあっては、ヨークの底部に設けられている軸受が、軸方向外側に向かって突設されているので、この分、モータを小型化しにくいという課題がある。
【0007】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、効果的に小型化することができる電動モータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、モータケースと、前記モータケースに設けられた軸受に、両端を回転自在に支持される回転軸と、前記回転軸に取り付けられ、径方向に向かって放射状に延びる複数のティースを有するアーマチュアコアとを備え、各ティースに、それぞれ集中巻方式にてコイルを巻回し、前記アーマチュアコアの軸方向端面側に存在する各コイルのコイルエンドよりも径方向内側に臨まされるように、前記軸受の少なくとも1つを配置したことを特徴とする。
【0009】
このように、各ティースに集中巻方式にてコイルを巻回することにより、各ティース間に跨るコイルの渡り線を無くすことができる。また、コイルの占積率を向上させることができるので、この分、ティースの径方向の長さを短く設定することができる。このため、アーマチュアコアの直径を従来と同一とすれば、ティースの径方向の長さを短く設定できる分、アーマチュアコアにおけるティースの径方向内側のスペースを大きく確保することが可能になる。このスペースに軸受を配置することにより、電動モータの軸短化を図ることができ、電動モータを効果的に小型化できる。
【0010】
請求項2に記載した発明は、前記回転軸の両端に配置された前記軸受の少なくとも1つは、転がり軸受であることを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、アーマチュアを効率よく回転させることができる。効率よく回転させることができる分、アーマチュア自体の性能を低減させることが可能になり、この結果、アーマチュアを小型化できる。よって、電動モータを小型化できる。
【0012】
請求項3に記載した発明は、前記モータケースは、複数の磁極を有する有底筒状のヨークを有し、このヨークの底部に、内側に向かって突出する軸受ハウジングを形成し、この軸受ハウジングに前記軸受の1つが支持されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成することで、簡素な構造で電動モータの軸短化を図ることができる。
【0014】
請求項4に記載した発明は、前記アーマチュアコアの前記ティースよりも径方向内側に、軸方向に貫通する空孔を形成したことを特徴とする。
【0015】
このように、アーマチュアコアのティースよりも径方向内側に空孔を形成した場合であっても、ティースにコイルが集中巻方式にて巻回されているので、アーマチュアコアのティースよりも内側にコイルの渡り線が配索されることがない。このため、確実にアーマチュアコアの空孔が露出するので、この空孔を介して電動モータ内の空気が効果的に対流する。これにより、電動モータの冷却が促進され、モータ効率が向上する。よって、モータ効率が向上する分、従来と同等のモータ効率とするならば、電動モータの小型化を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各ティースに集中巻方式にてコイルを巻回することにより、各ティース間に跨るコイルの渡り線を無くすことができる。また、コイルの占積率を向上させることができるので、この分、ティースの径方向の長さを短く設定することができる。このため、アーマチュアコアの直径を従来と同一とすれば、ティースの径方向の長さを短く設定できる分、アーマチュアコアにおけるティースの径方向内側のスペースを大きく確保することが可能になる。このスペースに軸受を配置することにより、電動モータの軸短化を図ることができ、電動モータを効果的に小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態における減速機付モータの縦断面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】本発明の第1実施形態における電動モータの平面図である。
【図4】本発明の題1実施形態におけるブラシ収納部の平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態における電動モータの縦断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態における電動モータの縦断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態における電動モータの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
(減速機付モータ)
次に、この発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動モータ2が適用された減速機付モータ1の縦断面図、図2は、図1のA部拡大図、図3は、電動モータ2を軸方向からみた平面図である。
図1〜図3に示すように、減速機付モータ1は、例えば、自動車のワイパ駆動用に用いるものであって、電動モータ2と、電動モータ2の回転軸3に連結された減速機構4とを備えている。電動モータ2は、有底筒状のヨーク5と、ヨーク5内に回転自在に設けられたアーマチュア6とを有している。
【0019】
ヨーク5の筒部53は略円筒状に形成されており、この筒部53の内周面には、4つのセグメント型の永久磁石7が配設されている。
ヨーク5の底壁(エンド部)51には、径方向中央に軸方向内側に向かって突出する軸受ハウジング19が形成されている。より詳しくは、ヨーク5の底壁51にプレス加工等を施すことにより、底壁51から軸方向内側に向かって立ち上がる略リング状の壁を形成し、この壁を軸受ハウジング19としている。
軸受ハウジング19には、回転軸3の一端を回転自在に軸支するための滑り軸受18が圧入固定されている。この滑り軸受18は、回転軸3の調心機能を有している。
【0020】
筒部53の開口部53aには、外フランジ部52が設けられている。外フランジ部52には、ボルト孔(不図示)が形成されている。このボルト孔に不図示のボルトが挿通され、減速機構4の後述するギヤハウジング23に形成された不図示のボルト孔に螺入されることによって、ヨーク5が減速機構4に締結固定される。
【0021】
アーマチュア6は、回転軸3に外嵌固定されたアーマチュアコア8と、アーマチュアコア8に巻装されたアーマチュアコイル9と、回転軸3の他端側(図3における左側)に配置されたコンミテータ10とを備えている。アーマチュアコア8は、この回転軸3の一端側(図3における右側)の端面がヨーク5の底壁51に形成されている軸受ハウジング19に近接するように配置されている。アーマチュアコア8は、プレス加工等によって打ち抜かれた磁性材料の板材を軸方向に積層したり(積層コア)、軟磁性粉を加圧成形したり(圧粉コア)して形成されたものであって、略円柱状のコア本体11を有している。
【0022】
コア本体11の直径は、ヨーク5の底壁51に形成されている軸受ハウジング19の直径よりもやや大きくなる程度に設定されている。コア本体11の径方向略中央には、回転軸3を圧入するための貫通孔11aが形成されている。また、コア本体11の外周部には、軸方向平面視略T字型のティース12が放射状に6つ設けられている。コア本体11の外周部に、ティース12を放射状に設けることによって、隣接するティース12間には、蟻溝状のスロット13が6つ形成されている。これらスロット13内にアーマチュアコイル9挿通し、各ティース12にアーマチュアコイル9が集中巻方式にて巻装されている。
【0023】
ここで、コア本体11には、ティース12の根元に対応する位置に、それぞれ軸方向に貫通する断面円形状の空孔11bが周方向に沿って6つ形成されている。より具体的には、コア本体11の貫通孔11aとティース12との間には、これら貫通孔11aとティース12の根元との間の径方向略中央よりもやや貫通孔11a寄りに、空孔11bが形成されている。この空孔11bは、電動モータ2の内部での空気の対流を促進し、電動モータ2の温度上昇を抑えるためのものである。
【0024】
ここで、図3に詳示するように、各ティース12にはアーマチュアコイル9が集中巻方式により巻回されているので、隣接するティース12間に跨るアーマチュアコイル9の渡り線が無くなる。すなわち、アーマチュアコア8の軸方向端部に存在するアーマチュアコイル9のコイルエンド9aの重なりが、分布巻方式にてアーマチュアコイル9を巻回する場合と比較して減少される。このため、アーマチュアコア8のコア本体11の軸方向端部がアーマチュアコイル9で覆われることなく、コア本体11に形成されている空孔11bが露出する。
【0025】
また、アーマチュアコア8のコア本体11の直径が、ヨーク5の底壁51に形成されている軸受ハウジング19の直径よりもやや大きくなる程度に設定されていることから、軸受ハウジング19の周囲にアーマチュアコイル9のコイルエンド9aが存在していることになる。しかも、ヨーク5の底壁51に形成されている軸受ハウジング19に近接するように、アーマチュアコア8が配置されている。このため、軸受ハウジング19、及び滑り軸受18は、コイルエンド9aの径方向内側に臨まされるように配置された状態になる。
【0026】
図1、図2に示すように、回転軸3のアーマチュアコア8よりも他端側には、コンミテータ10が外嵌固定されている。このコンミテータ10の外周面には、導電材で形成されたセグメント15が18枚取り付けられている。セグメント15は軸方向に長い板状の金属片からなり、互いに絶縁された状態で周方向に沿って等間隔に並列に固定されている。
【0027】
また、各セグメント15のアーマチュアコア8側の端部には、外径側に折り返す形で折り曲げられたライザ16が一体成形されている。ライザ16には、アーマチュアコイル9の端末部が掛け回わされ、ヒュージングなどにより固定されている。これにより、セグメント15と、これに対応するアーマチュアコイル9とが導通される。
尚、同電位となるセグメント15にそれぞれ対応するライザ16には、不図示の接続線が掛け回され、この不図示の接続線がヒュージングによりライザ16に固定されている。これにより、同電位となるセグメント15同士が短絡される。
【0028】
このように構成されたコンミテータ10は、減速機構4のギヤハウジング23に臨まされた状態になっている。ギヤハウジング23は、一面に開口部42aを有する略箱状に形成され減速機構4の歯車群41を収納するアルミダイキャスト製のハウジング本体42と、ハウジング本体42の開口部42aを閉塞する樹脂製のボトムプレート43とで構成されている。ハウジング本体42の電動モータ2側には、ブラシ収納部22が一体成形され、ここに電動モータ2のコンミテータ10が臨まされている。
【0029】
(ブラシ収納部)
図4は、ブラシ収納部22の平面図である。
同図に示すように、ブラシ収納部22は、ギヤハウジング23の電動モータ2側に凹状に形成されたものである。ブラシ収納部22の周壁30は、断面略長円形に形成されており、平面壁30aと円弧壁30bとで構成されている。
【0030】
ブラシ収納部22の内側には、これに対応するように断面略長円形の筒状に形成されたカバー33が設けられている。このカバー33も平面壁33aと円弧壁33bとを有している。さらに、カバー33の内側には、このカバー33に対応するように形成されたホルダステー34が設けられている。ホルダステー34は、ボルト35によってハウジング本体42の側壁42bに締結固定されている。
【0031】
ホルダステー34には、周方向3箇所にブラシホルダ36が設けられている。ブラシホルダ36には、それぞれブラシ21が各々スプリングSを介して付勢された状態で出没自在に内装されている。これらブラシ21の先端部はスプリングSによって付勢されているためコンミテータ10のセグメント15に摺接している。また、ブラシ21は、不図示の外部電源、例えば、自動車に搭載されているバッテリに電気的に接続されている。そして、コンミテータ10に、不図示の外部電源からの電力を給電することができるようになっている。
【0032】
ブラシ21は、陽極側に接続されている低速用ブラシ21a、および高速用ブラシ21bと、これら低速用ブラシ21aと高速用ブラシ21bとに共通使用され陰極側に接続されている共通ブラシ21cとで構成されている。低速用ブラシ21aと共通ブラシ21cは、互いに電気角で180°、つまり、機械角で周方向に90°間隔をあけて配設されている。一方、高速用ブラシ21bは、低速用ブラシ21aから周方向に角度αだけ離間して配置されている。尚、本実施形態では、共通ブラシ21cを陰極側とし、低速用ブラシ21a、および高速用ブラシ21bを陽極側として説明するが、陽極側と陰極側を反対にしてもよい。
【0033】
ここで、コンミテータ10の同電位となるセグメント15、すなわち、回転軸3を中心にして互いに対向するセグメント15同士は接続線17によって短絡されているため、ブラシ21が摺接していないセグメントにも給電することが可能になる。したがって、高速用ブラシ21bは低速用ブラシ21aよりも角度θだけ進角した位置に存在していることになる。
【0034】
(減速機構)
図1に示すように、このような電動モータ2が取付けられているギヤハウジング23には、ハウジング本体42に歯車群41が収納されている。歯車群41は、電動モータ2の回転軸3に連結されたウォーム軸25と、ウォーム軸25に噛合う1対の段付歯車26,26と、段付歯車26に噛合うスパーギヤ27とで構成されている。
【0035】
ウォーム軸25は、一端が回転軸3に連結されると共に、他端がハウジング本体42に回転自在に軸支されている。ウォーム軸25と回転軸3との連結部24、つまり、回転軸3の他端は、転がり軸受32に回転自在に支持されている。この転がり軸受32は、ハウジング本体42に形成されたブラシ収納部22の底壁31に設けられている。
また、ウォーム軸25は、互いに逆ネジの第1ネジ部25a、及び第2ネジ部25bを有している。これら第1ネジ部25a、及び第2ネジ部25bは、1条又は2条に形成されている。しかしながら、第1ネジ部25a、及び第2ネジ部25bを、3条以上に形成してもよい。
【0036】
ウォーム軸25を挟んで両側には、1対の段付歯車26,26が配置され、第1ネジ部25a、及び第2ネジ部25bに、それぞれ1対の段付歯車26,26が噛合されている。
1対の段付歯車26は、ウォーム軸25に噛合うウォームホイール28と、ウォームホイール28よりも小径に形成された小径歯車29とが一体成形されたものである。段付歯車26の径方向中央には、アイドラー軸61が圧入されている。アイドラー軸61は、小径歯車29とは反対側に突出しており、この突出した端部61aがハウジング本体42に回転自在に軸支されている。一方、アイドラー軸61の端部61aとは反対側端に存在する小径歯車29の先端は、ボトムプレート43に回転自在に軸支されている。
【0037】
このように、1対の段付歯車26は、ハウジング本体42とボトムプレート43とで両端が軸支されている。そして、1対の段付歯車26,26は、それぞれ同方向に回転し、スパーギヤ27にウォーム軸25の回転を伝達する。すなわち、ウォーム軸25と、1対の段付歯車26,26とにより所謂マーシャル機構を構成しており、1対の段付歯車26,26によりウォーム軸25にかかるスラスト力が相殺されるようになっている。
【0038】
スパーギヤ27は、段付歯車26の小径歯車29に噛合っている。スパーギヤ27の径方向中央には、ボス部65がボトムプレート43側に向かって突出形成されている。このボス部65は、ボトムプレート43に回転自在に支持されている。また、ボス部65には、出力軸62が圧入されている。出力軸62は、ハウジング本体42の底壁(エンド部)42cから突出している。ハウジング本体42の底壁42cには、出力軸62に対応する部位に、ボス部63が外方に向かって突出形成されている。このボス部63には、出力軸62を回転自在に軸支するためのすべり軸受64が設けられている。
【0039】
出力軸62のハウジング本体42から突出した部分には、先端に向かうに従って徐々に先細りとなる先細り部66が形成されている。この先細り部66には、セレーション67が形成されている。これによって、例えば、ワイパなどを駆動するための外部機構と出力軸62とを連結することができるようになっている。
また、ハウジング本体42の側壁42bには、コネクタ68が回転軸3の軸方向に沿って突設されている。コネクタ68は、不図示の制御機器に接続され、不図示の外部電源の電力を電動モータ2に供給する。
【0040】
ハウジング本体42の開口部42aを閉塞するボトムプレート43には、内面43aに基板71が配置されている。この基板71には、コネクタ68と電動モータ2とを電気的に接続するためのターミナル72が設けられている。また、基板71には、コンタクタ73a,73bが設けられている。コンタクタ73a,73bは、スパーギヤ27の回転位置を検出するための摺動接点である。スパーギヤ27のコンタクタ73a,73bが摺接する部位には、不図示のコンタクトプレートが設けられている。
【0041】
そして、スパーギヤ27、つまり、出力軸62の回転に伴って、コンタクタ73a,73bとコンタクトプレート(不図示)との接触位置が変化したり、接触/非接触したりすることによって出力軸62の回転位置が検出できるようになっている。コンタクタ73a,73bによって検出された信号は、ターミナル72を介して不図示の制御機器に出力され、電動モータ2の回転制御が行われる。
【0042】
(効果)
したがって、上述の第1実施形態によれば、アーマチュアコア8の各ティース12に、集中巻方式にてアーマチュアコイル9を巻回することにより、各ティース12間に跨るアーマチュアコイル9の渡り線を無くすことができる。また、アーマチュアコイル9の占積率を向上させることができるので、この分、ティース12の径方向の長さを短く設定することができる。このため、アーマチュアコア8の直径を従来と同一とすれば、ティース12の径方向の長さを短く設定できる分、アーマチュアコア8におけるティース12の径方向内側のスペース、つまり、コア本体11の直径を大きく設定することができる。そして、アーマチュアコイル9のコイルエンド9aの径方向内側に臨まされるように、軸受ハウジング19(滑り軸受18)を配置することにより、容易に電動モータ2の軸短化を図ることができ、電動モータ2を効果的に小型化できる。
【0043】
さらに、アーマチュアコイル9の渡り線を無くすことにより、アーマチュアコア8のコア本体11の軸方向端部がアーマチュアコイル9で覆われることなく、コア本体11に形成されている空孔11bが露出する。このため、電動モータ2の内部での空気の対流を促進することができる。このため、電動モータ2の温度上昇を抑制でき、モータ効率を向上させることが可能になる。モータ効率を向上させることにより、従来と同等のモータ効率とするならば、アーマチュア6自体の性能を低減させることが可能になる。この結果、アーマチュア6を小型化でき、電動モータ2を小型化できる。
【0044】
そして、ウォーム軸25と回転軸3との連結部24、つまり、回転軸3の他端が、ハウジング本体42に設けられている転がり軸受32に回転自在に支持されている。このため、滑り軸受と比較して摺動抵抗を減少させることができ、回転軸3を効率よく回転させることが可能になる。このため、さらに高効率な電動モータ2を提供できる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を図5に基づいて説明する。尚、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する(以下の実施形態についても同様)。
図5は、第2実施形態における電動モータ202の縦断面図であって、図2に対応している。
この第2実施形態において、電動モータ202は、永久磁石7を4つ有する有底筒状のヨーク5と、ヨーク5内に回転自在に設けられたアーマチュア6とを有している点、ヨーク5の底壁51には、径方向中央に軸方向内側に向かって突出する軸受ハウジング19が形成されている点、ブラシ21は、陽極側に接続されている低速用ブラシ21a、および高速用ブラシ21bと、これら低速用ブラシ21aと高速用ブラシ21bとに共通使用され陰極側に接続されている共通ブラシ21cとで構成されている点等の基本的構成は、前述した第1実施形態と同様である(以下の実施形態についても同様)。
【0046】
ここで、この第2実施形態と、前述の第1実施形態との相違点は、第1実施形態の軸受ハウジング19には、アーマチュア6の回転軸3の一端を回転自在に支持するために滑り軸受18が圧入固定されているのに対し、第2実施形態の軸受ハウジング19には、転がり軸受218が圧入固定されている点にある。
このように構成することで、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、第1実施形態の滑り軸受18に代えて転がり軸受218を設ける分、回転軸3への摺動抵抗をさらに減少させることができる。このため、さらに回転軸3を効率よく回転させることが可能になり、より高効率な電動モータ202を提供できる。
【0047】
(第3実施形態)
次に、この発明の第3実施形態を図6に基づいて説明する。
図6は、第3実施形態における電動モータ302の縦断面図であって、図2に対応している。
この第3実施形態と、前述の第1実施形態との相違点は、第1実施形態の軸受ハウジング19には、調心機能を有する滑り軸受18が圧入固定されているのに対し、第3実施形態の軸受ハウジング319には、調心機能の無い滑り軸受318が圧入固定されている点にある。このため、第3実施形態の滑り軸受318の外径は、第1実施形態の滑り軸受18の外径よりも小さくなる。
【0048】
また、軸受ハウジング319の外径も滑り軸受318の外径に対応するように、前述の第1実施形態と比較して小さくなる。このため、軸受ハウジング319を形成するためにヨーク305底壁351から軸方向内側に向かって立ち上げた略リング状の壁の壁厚を厚くすることができる。この結果、底壁51には、軸受ハウジング319に対応する位置に、軸方向平面視円環状の凹部319aを形成することができる。
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。これに加え、凹部319aを形成することにより、例えば、ヨーク5の表面に塗料を塗る際、ヨーク5の表面全体の脱脂加工を容易、且つ確実に行うことができ、塗料の付着性を高めることができる。
【0049】
(第4実施形態)
次に、この発明の第4実施形態を図7に基づいて説明する。
図7は、第4実施形態における電動モータ402の縦断面図であって、図2に対応している。
この第4実施形態と、前述の第1実施形態との相違点は、第1実施形態の軸受ハウジング19と第4実施形態の軸受ハウジング419との形状が異なる点にある。すなわち、第4実施形態におけるヨーク405の底壁451に形成されている軸受ハウジング419は、ここに固定されている滑り軸受18のアウターレース18aを兼ねている。
したがって、この第4実施形態によれば、前述の第1実施形態と同様の効果に加え、製造コストを低減でき、安価で小型な電動モータ402を提供することが可能になる。
【0050】
尚、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、電動モータ2,202,302,402は、永久磁石7を4つ有している場合について説明したが、これに限られるものではなく、永久磁石7を2つ以上有していればよい。
【0051】
また、上述の実施形態では、ブラシ21は、陽極側に接続されている低速用ブラシ21a、および高速用ブラシ21bと、これら低速用ブラシ21aと高速用ブラシ21bとに共通使用され陰極側に接続されている共通ブラシ21cとの3つのブラシで構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ブラシ21は、少なくとも2つのブラシで構成されていればよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、アーマチュアコア8のコア本体11には、ティース12の根元に対応する位置に、それぞれ軸方向に貫通する断面円形状の空孔11bが周方向に沿って6つ形成されている場合について説明した。しかしながら、空孔11bの形状は断面円形状に限られるものではなく、また、空孔11bの形成個数も6つに限るものではない。さらに、空孔11bの形成位置もコア本体11のティース12の根元に対応する位置に限られるものではなく、任意の箇所に空孔11bを形成することが可能である。
【0053】
さらに、上述の実施形態では、電動モータ2,202,302,402は、ヨーク5,305,405に、ブラシ21が摺接するコンミテータ10を有するアーマチュア6が回転自在に支持されているものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ブラシ21を有さない、所謂ブラシレスモータにも本発明の構造を採用することができる。すなわち、ステータに巻装されているコイルのコイルエンドの内側にロータの回転軸を回転自在に支持する軸受を配置するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 減速機付モータ
2,202,302,402 電動モータ
3 回転軸
5,305,405 ヨーク(モータケース)
8 アーマチュアコア
9 アーマチュアコイル(コイル)
11 コア本体
11a 空孔
12 ティース
18,318 滑り軸受(軸受)
19,319,419 軸受ハウジング
23 ギヤハウジング(モータケース)
32,218 転がり軸受(軸受)
51,351,451 底壁(底部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータケースと、
前記モータケースに設けられた軸受に、両端を回転自在に支持される回転軸と、
前記回転軸に取り付けられ、径方向に向かって放射状に延びる複数のティースを有するアーマチュアコアとを備え、
各ティースに、それぞれ集中巻方式にてコイルを巻回し、
前記アーマチュアコアの軸方向端面側に存在する各コイルのコイルエンドよりも径方向内側に臨まされるように、前記軸受の少なくとも1つを配置したことを特徴とする電動モータ。
【請求項2】
前記回転軸の両端に配置された前記軸受の少なくとも1つは、転がり軸受であることを特徴とする請求項1に記載の電動モータ。
【請求項3】
前記モータケースは、複数の磁極を有する有底筒状のヨークを有し、
このヨークの底部に、内側に向かって突出する軸受ハウジングを形成し、
この軸受ハウジングに前記軸受の1つが支持されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動モータ。
【請求項4】
前記アーマチュアコアの前記ティースよりも径方向内側に、軸方向に貫通する空孔を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の電動モータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−31261(P2013−31261A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164305(P2011−164305)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】