説明

電動塵芥収集車

【課題】電動塵芥収集車において、蓄電装置、電動機及び油圧ポンプを省スペースに設置すると共に、油圧配管を容易にする。
【解決手段】運転台と塵芥収容箱との間に電装品収容箱30を設け、この電装品収容箱30に電気二重層キャパシタ44(蓄電装置)と電動モータ46(電動機)とを収容する。そして、この電動モータ46の真下に、電動モータ46に駆動される油圧ポンプ47を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥積込装置を電力で駆動させる電動塵芥収集車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、騒音や排気ガスの発生を防ぐために、蓄電池から供給される電力で塵芥積込装置を駆動する電動塵芥収集車は知られている(例えば、特許文献1参照)。この電動塵芥収集車では、収容箱に蓄電池を上下に重ねて収納している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−170580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電動塵芥収集車では、塵芥積込装置を駆動させる動力を発生させる油圧ポンプと、この油圧ポンプを駆動する電動機とを配置する場所が問題となる。
【0005】
一般的に電動機と油圧ポンプとは同軸上に直結される。蓄電池(蓄電装置)の収容箱に電動機と油圧ポンプとを配置しようとすれば、蓄電装置の収容スペースが減ってしまう。しかも、油圧ポンプと、塵芥収集車の車体下方に配置される作動油タンク又は車体後方の塵芥積込装置の油圧機器とを接続する油圧ホースの取り回しが複雑になるという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、蓄電装置、電動機及び油圧ポンプを省スペースに設置すると共に、油圧ポンプの油圧配管を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、蓄電装置と共に電装品収容箱内に収容される電動機の真下に油圧ポンプを配置した。
【0008】
具体的には、第1の発明では、
運転台の後方の塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方の塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に配置された塵芥積込装置と、該塵芥積込装置を駆動する動力を供給する電動機と、該電動機に電力を供給する蓄電装置とを備えた電動塵芥収集車を前提とする。
【0009】
そして、上記電気塵芥収集車では、
上記運転台と上記塵芥収容箱との間には、上記蓄電装置と上記電動機とを収容する電装品収容箱が設けられ、
上記電動機の真下には、該電動機に駆動される油圧ポンプが配置されている。
【0010】
上記の構成によると、電装品収容箱に蓄電装置と電動機とを収容することで、電動機と蓄電装置との間の電線は、電装品収容箱内で接続され、省スペース化及びメンテナンス性の向上が図られる。しかも、電動機の下方に油圧ポンプが配置されているので、油圧ポンプと作動油タンク及び塵芥積込装置の駆動部との間の配管は、油圧ポンプから後方に延ばせばよいので、配管が容易でメンテナンス性がさらに向上する。さらに、油圧ポンプが電装品収容箱の下方にあるので、電装品収容箱内に蓄電装置を増やすためのスペースが増える。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
上記油圧ポンプの少なくとも下部は上記電装品収容箱から突出し、該下部には吐出口及び吸込口が設けられ、
上記電装品収容箱の下方且つ後方には、上記油圧ポンプに流通する作動油が貯留される作動油タンクが設けられている。
【0012】
上記の構成によると、吐出口及び吸込口が設けられた油圧ポンプの下部が、電装品収容箱の下方から突出しているので、油圧ポンプの下方且つ後方に配置された作動油タンクとの間の油圧配管が極めて容易となる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、運転台と塵芥収容箱との間の電装品収容箱内に蓄電装置と共に電動機を収容し、この電動機の真下に油圧ポンプを設けたことにより、蓄電装置、電動機及び油圧ポンプを省スペースに設置すると共に、油圧配管を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態にかかる電動塵芥収集車の電装品収容箱及びその周辺を示す側面図である。
【図2】電動塵芥収集車の正面図である。
【図3】塵芥収集車の後部を破断して示す拡大正面図である。
【図4】塵芥収集車の駆動系統を示すブロック図である。
【図5】塵芥収集車の油圧回路図である。
【図6】油圧ポンプ及び作動油タンクを示す側面図である。
【図7】実施形態の変形例にかかる圧縮式塵芥積込装置を備えた塵芥収集車の後部を破断して示す拡大正面図である。
【図8】従来例の電動塵芥収集車にかかる図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
−塵芥収集車の概略構造−
図2は本発明の実施形態にかかる電動塵芥収集車1を示し、この電動塵芥収集車1の車体2上に塵芥収容箱3が搭載されている。車体2の前方には、運転台2aが設けられている。塵芥収容箱3の後方開口部4には、その上方で投入箱支持ピン5により軸支された塵芥投入箱6が設けられている。この塵芥投入箱6は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱6との間に設けられた回動シリンダ9(図5に示す)により、投入箱支持ピン5を中心に回動自在に構成されている。
【0017】
図3に示すように、塵芥投入箱6の後部には投入口7が開口され、その内部には塵芥積込装置20が装備されている。塵芥積込装置20は、塵芥投入箱6内に投入口7を通じて投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3内に積込むためのものである。塵芥積込装置20は、塵芥投入箱6の底部に設けた油圧モータ14を備え、この油圧モータ14の回転軸には、回転板15が、その基端を中心として回転自在に設けられている。回転板15の上部には、揺動シリンダ13によって前後に揺動自在な押込板10が設けられている。このように構成した回転板15の回転動作と押込板10の揺動動作との協動によって塵芥投入箱6に投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3に積込むようになっている。
【0018】
図3に示すように、塵芥収容箱3には、塵芥収容箱3内の塵芥を排出する排出装置18を備えていてもよい。具体的には、塵芥収容箱3内には排出板17が前後方向に摺動自在に配設されている。排出板17は、塵芥収容箱3の横幅及び上下高さと略同じ大きさに形成された板状体であり、排出シリンダ16の伸縮動作により塵芥収容箱3内を前後に摺動するようになされている。
【0019】
図1及び図2に示すように、運転台2aと塵芥収容箱3との間の車体フレーム2b上には、直方体状の電装品収容箱30が設けられている。この電装品収容箱30には、蓄電装置としての電気二重層キャパシタ44、インバータ45、電動機としての電動モータ46等が収容されている。具体的には、図1に示すように、直方体状の電装品収容箱30の下段左右一方側に電動モータ46が配置されている。その車幅方向側方に例えば4つの電気二重層キャパシタ44が並んで配置されている。電動モータ46の車幅方向左右反対側にインバータ45が配置され、これら電動モータ46及びインバータ45が互いに電気的に接続されている。電動モータ46の上方且つ左右中央側には、後述する発電機42の電圧を調整する自動電圧調整器43と、インバータ45の電源入/切用のコンタクタボックス49とが設けられている。電動モータ46の真上には、各種操作のためのタッチパネル50が設けられている。なお、各電気機器間を接続する電線は、簡易化のために省略している。
【0020】
図4に示すように、電動塵芥収集車1は、車両エンジン40に駆動されるトランスミッション41を備えている。さらに電動塵芥収集車1は、車両エンジン40に駆動される発電機42を備えている。この発電機42で得られた電力は、上記電装品収容箱30に収容した自動電圧調整器43を経て電気二重層キャパシタ44又はインバータ45に電力を供給可能に構成されている。詳しくは説明しないが、この電動塵芥収集車1は、制動時等の動力で発電機42を駆動して電気二重層キャパシタ44に蓄電する、いわゆる制動回生を行えるようになっている。そして、発電機42又は電気二重層キャパシタ44からの電力がインバータ45で調整され、電動モータ46に供給されるように構成されている。このように、電動モータ46、インバータ45、自動電圧調整器43との電気配線が電装品収容箱30に収容されているので、見映えがよく、メンテナンス性も優れている。
【0021】
図5に本実施形態にかかる塵芥収集車の油圧機器60の油圧回路61を示す。油圧機器60は、電動モータ46に駆動される油圧ポンプ47を備えている。油圧ポンプ47は、例えば、可変容量型ピストンポンプよりなり、図1及び図6に示すように、電動モータ46の真下に延びる出力軸46aに直結されている。油圧ポンプ47の下部には、作動油の吸込口47a及び吐出口47bが設けられている。そして、電装品収容箱30の下方且つ後方には、油圧ポンプ47に流通する作動油が貯留される作動油タンク62が設けられている。作動油タンク62の前面に設けた作動油出口62aと油圧ポンプ47の吸込口47aとは、油圧配管64で接続されている。
【0022】
そして、作動油タンク62内の作動油は、油圧配管64を通して油圧ポンプ47で吸い上げられて供給側の油圧配管61aに流通されてコントロールバルブ63に供給されるように構成されている。各シリンダ9,13,16及び油圧モータ14は、油圧配管61cを介してコントロールバルブ63に接続されている。コントロールバルブ63は、図示しない複数の電磁弁を備え、電磁弁の開閉ポートを切り替えることにより、電動モータ46を駆動して回転させた油圧ポンプ47から吐出された作動油を所望のシリンダ9,13,16又は油圧モータ14に対して供給するように構成されている。このことで、制御装置48から送られてきた信号により、コントロールバルブ63を介してシリンダ9,13,16の伸縮動作の切換及び油圧モータ14の回転が制御され、又は運転が停止されるようになっている。なお、図5に仮想線で示すように、塵芥収容箱3は、水平に排出可能な排出装置18に換えて車体2に設けた傾動装置としての傾動シリンダ22を伸縮させることにより、車体2後方の傾動軸を中心に傾動可能(ダンプ可能)に構成してもよい。
【0023】
ところで、図8に示す従来例のように、電動モータ146と油圧ポンプ147とを水平に直結して電装品収容箱130の下段に収容したときには、この油圧ポンプ147と作動油タンク162とを結ぶ油圧配管164は、大きく湾曲して接続が困難となる上、見映えが悪い。しかも、電動モータ146と油圧ポンプ147とが電装品収容箱130の下部の大部分を占めることになる。
【0024】
しかし、本実施形態では、図6に示すように、油圧ポンプ47の吸込口47aから延びる油圧配管64が下方に延びた後、後方に垂直方向に滑らかに折れ曲がって作動油タンク62の作動油出口62aに接続されるので、油圧配管64が短くなり、また接続が容易となっている。さらに、電装品収容箱30の下部のスペースが広く空いているので、多数の電気二重層キャパシタ44を配置可能となっている。
【0025】
したがって、本実施形態にかかる電動塵芥収集車1によると、電気二重層キャパシタ44、電動モータ46及び油圧ポンプ47を省スペースに設置すると共に、油圧配管を容易にすることができる。
【0026】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0027】
すなわち、上記実施形態では、電力を供給する手段を発電機42としたが、外部電力51(図4に示す)などの電源としてもよい。また、上記実施形態では、電動塵芥収集車1は、回生制動可能としているが、必ずしも回生制動は必要ではなく、その場合には、電気二重層キャパシタ44は、発電機42又は外部電力51により充電すればよい。
【0028】
上記実施形態では、塵芥積込装置20を回転式のものとしたが、図7に示すように、塵芥積込装置120として、摺動シリンダ(図示せず)及び揺動シリンダ114の伸縮動作により摺動板110と圧縮板115とが反転、下降、圧縮及び上昇を1サイクルとして作動することで、投入口7を通じて塵芥投入箱6に投入された塵芥55を塵芥収容箱3に積込むように構成してもよい。この場合にも油圧ポンプ47からの高圧の作動油により、各油圧駆動部を駆動するようにすればよい。
【0029】
上記実施形態では、油圧ポンプ47をピストンポンプとしているが、これに限定されず、歯車ポンプ等でもよく、要は、縦置き可能な油圧ポンプであればよい。
【0030】
上記実施形態では、油圧ポンプ47を縦置きにすることで空いた電装品収容箱30の下段に電気二重層キャパシタ44を並べたが、他の電気機器等を配置してもよい。さらに、電気二重層キャパシタ44は、電装品収容箱30における下段以外に設けたり、作動油タンク62の後方に並べたりしてもよい。
【0031】
上記実施形態では、蓄電装置を電気二重層キャパシタとしたが、これに限定されず、鉛蓄電池、リチウムイオン二次電池、ニッケル・水素蓄電池等でもよい。
【0032】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0033】
1 電動塵芥収集車
2a 運転台
3 塵芥収容箱
6 塵芥投入箱
20 塵芥積込装置
30 電装品収容箱
44 電気二重層キャパシタ(蓄電装置)
45 インバータ
46 電動モータ(電動機)
47 油圧ポンプ
47a 吸込口
47b 吐出口
64 油圧配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転台の後方の塵芥収容箱と、該塵芥収容箱の後方の塵芥投入箱と、該塵芥投入箱に配置された塵芥積込装置と、該塵芥積込装置を駆動する動力を供給する電動機と、該電動機に電力を供給する蓄電装置とを備えた電動塵芥収集車であって、
上記運転台と上記塵芥収容箱との間には、上記蓄電装置と上記電動機とを収容する電装品収容箱が設けられ、
上記電動機の真下には、該電動機に駆動される油圧ポンプが配置されている
ことを特徴とする電動塵芥収集車。
【請求項2】
請求項1に記載の電動塵芥収集車において、
上記油圧ポンプの少なくとも下部は上記電装品収容箱から突出し、該下部には吐出口及び吸込口が設けられ、
上記電装品収容箱の下方且つ後方には、上記油圧ポンプに流通する作動油が貯留される作動油タンクが設けられている
ことを特徴とする電動塵芥収集車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−201622(P2011−201622A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68629(P2010−68629)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】