説明

電動機の冷却装置

【課題】液状媒体による電動機の冷却性能を向上することができる電動機の冷却装置を提供する。
【解決手段】複数のティース部136(A1)を有する鉄心と、複数のティース部136(A1)の周囲に巻回されるコイル138(A1)と、ティース部136(A1)と絶縁ボビン137と、を有する。そして、絶縁ボビン137は、放射方向の内周側に、放射方向と交差する方向に延びる内周側鍔部140を有し、ケースは、電動機の回転軸線の外側の側面と対向する内壁148から延出する延出部149と、電動機に向けて指向され、電動機の冷却に供するオイルを吐出する吐出口112Aと、を有する。さらに、電動機がケースに収容された収容状態において、吐出口112Aよりも鉛直方向下方で、絶縁ボビン137の内周側鍔部140とケースの延出部149とは、放射方向から見て互いに重なり合っていて、互いに当接して配置又は近接して対向配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の冷却装置に関し、より詳細には、車両用駆動装置等に用いられる電動機の冷却を行う電動機の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用駆動装置として、特許文献1では、図17に示すように、左右に一対の電動機201(図17は、一方のみ図示)が設けられるとともに、各電動機201のステータコイル202の側方に位置するケース203に供給孔204が設けられ、この供給孔204からオイルを吐出することで、ステータコイル202とコアブロック205とを冷却することが記載されている。
【0003】
また、図17では、インシュレータ206の下端部フランジ207から分岐して下方に略L字状に屈曲した屈曲片208に中性点バスリング209を保持する円筒壁210が形成され、この円筒壁210が、ケース203に突設された環状突起211に密接するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−201216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の車両用駆動装置では、供給孔204からステータコイル202に向けて吐出されたオイルが鉛直方向下方に流下し易く、吐出オイルがコイル側まで到達しない虞や、コイル側に到達してもすぐに流下してしまう虞があり、さらなる冷却性能の向上が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、液状媒体による電動機の冷却性能を向上することができる電動機の冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
ステータ(例えば、後述の実施形態の14A、14B)と、該ステータの内周側に回転可能に設けられるロータ(例えば、後述の実施形態の15A、15B)と、を備える電動機(例えば、後述の実施形態の電動機2A、2B)と、該電動機を収容するケース(例えば、後述の実施形態のケース11)と、を有する電動機の冷却装置であって、
前記ステータは、前記電動機の回転軸線(例えば、後述の実施形態の回転軸線X)を中心とする放射方向に沿ってそれぞれ延び、円周方向に所定の間隔で配置される複数のティース部(例えば、後述の実施形態のティース部136a)を有する鉄心(例えば、後述の実施形態の鉄心147)と、前記複数のティース部の周囲に巻回される巻線(例えば、後述の実施形態のコイル138)と、前記ティース部と巻線との間に介在し、前記巻線の巻回領域を区画する巻枠(例えば、後述の実施形態の絶縁ボビン137)と、を有し、
前記巻枠は、前記放射方向の内周側に、前記放射方向と交差する方向に延びる内周側鍔部(例えば、後述の実施形態の内周側鍔部140)を有し、
前記ケースは、前記電動機の前記回転軸線の一方側の側面と対向する内壁(例えば、後述の実施形態の内壁148)から延出する延出部(例えば、後述の実施形態の延出部149)と、該延出部よりも鉛直方向上方に配置され、前記電動機の冷却に供する液状媒体を吐出する吐出部(例えば、後述の実施形態の吐出口112A、112B)と、を有し、
前記電動機が前記ケースに収容された収容状態において、前記吐出部よりも鉛直方向下方で、前記巻枠の内周側鍔部と前記ケースの延出部とは、前記放射方向から見て互いに重なり合っていて、互いに当接して配置又は近接して対向配置されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加えて、
前記延出部は、前記内周側鍔部よりも放射方向外側に位置することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、
前記収容状態において、前記延出部と前記内周側鍔部とが当接していることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、
前記収容状態において、前記延出部と前記内周側鍔部とが所定の隙間を介して対向配置していることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記ステータの鉄心は、前記ティース部をそれぞれ有する複数の分割鉄心片(例えば、後述の実施形態の分割鉄心片136)を備え、前記複数の分割鉄心片を円周方向に連結して配置することで構成され、
前記巻枠は、前記複数の分割鉄心片の各ティース部にそれぞれ装着された複数の巻枠を備え、
前記延出部は、隣接する前記分割鉄心片の各ティース部に装着された前記各巻枠の2つの内周側鍔部に亘って円周方向に延在することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成に加えて、
前記吐出部は、前記ケースの内壁において、前記巻線と対向する位置に配置されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構成に加えて、
前記吐出部は、前記ケースの内壁において、前記巻線と対向する位置で、且つ、前記回転軸線より鉛直方向上方に配置された複数の吐出部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、巻線の巻回領域を区画する巻枠の鍔部と、ケースの延出部とが、互いに重なり合い、且つ、互いに当接して配置又は近接して対向配置されるので、吐出部から吐出した液状媒体が巻線に近い位置で鉛直方向直下に流下することを抑制し、吐出した液状媒体を電動機側に確実に到達させることができ、また、到達した液状媒体と巻線との接触時間も増加させることができるので、電動機の冷却性能を向上させることができる。また、鉛直方向直下に流下しなかった液状媒体は、円周方向へと広がりながら下方へと流下するので、隣接する巻線に向けて液状媒体を偏向することができ、電動機の冷却性能をより向上できる。
【0015】
請求項2の発明によれば、ケースの内壁を伝う液状媒体を延出部側から内周側鍔部側へ逆段差なく供給することができ、電動機の冷却性能をさらに向上することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、液状媒体の鉛直方向直下への流下をより抑制することができる。また、ケースに対してステータを確実に位置決めすることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、ケースと電動機との間で振動の伝達を抑制することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、液状媒体を隣接する内周側鍔部間から鉛直方向直下に流下するのを低減することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、巻線への液状媒体の供給量が増加し、冷却性能を向上することができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、複数の吐出部が配置されることで、巻線への液状媒体の供給量がさらに増加すると共に、液状媒体を巻線へ効率的に分配して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る車両用駆動装置を搭載可能な車両の一実施形態であるハイブリッド車両の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図11に示すII−II線に沿った、一実施形態の後輪駆動装置の縦断面図である。
【図3】図2に示す後輪駆動装置の上部部分拡大断面図である。
【図4】図1の車両用駆動装置がフレームに搭載された状態を示す斜視図である。
【図5】集配電部材が取り外された電動機のステータを示す斜視図である。
【図6】電動機のステータ及びロータを部分的に示す断面図である。
【図7】電動オイルポンプが取り外された後輪駆動装置の外観斜視図である。
【図8】電動オイルポンプが取り付けられた蓋部材を内側から見た斜視図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿った電動オイルポンプの断面図である。
【図10】オイルの流れを模式的に示す後輪駆動装置の正面図である。
【図11】オイルの流れを模式的に示す後輪駆動装置の側面図である。
【図12】オイルの流れを模式的に示す後輪駆動装置の要部拡大断面図である。
【図13】巻枠の内周側鍔部とケースの延出部との重なり合い構造を示す、図2のXIII部拡大図である。
【図14】電動機が取り外された左側方ケースの内側を示す斜視図である。
【図15】後輪駆動装置の電動機の冷却及び/または潤滑と、変速機の潤滑とを行うための油圧回路図である。
【図16】(a)は、巻枠の内周側鍔部とケースの延出部との重なり合い構造の変形例を示す部分断面図であり、(b)は、ケースに設けられた吐出口の変形例を示す部分断面図である。
【図17】従来の電動機の冷却構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の電動機の冷却装置が適用される車両用駆動装置は、電動機を車輪駆動用の駆動源とするものであり、例えば、図1に示すような駆動システムの車両に用いられる。以下の説明では車両用駆動装置を後輪駆動用として用いる場合を例に説明するが、前輪駆動用に用いてもよい。
図1に示す車両3は、内燃機関4と電動機5が直列に接続された駆動装置6(以下、前輪駆動装置と呼ぶ。)を車両前部に有するハイブリッド車両であり、この前輪駆動装置6の動力がトランスミッション7を介して前輪Wfに伝達される一方で、この前輪駆動装置6と別に車両後部に設けられた駆動装置1(以下、後輪駆動装置と呼ぶ。)の動力が後輪Wr(RWr、LWr)に伝達されるようになっている。前輪駆動装置6の電動機5と後輪Wr側の後輪駆動装置1の第1及び第2電動機2A、2Bは、バッテリ9に接続され、バッテリ9からの電力供給と、バッテリ9へのエネルギー回生が可能となっている。図1中、符号8は車両全体を制御するための制御装置である。
【0023】
先ず、本発明の電動機の冷却装置が適用される一実施形態の車両用駆動装置について、図2〜図10に基づいて説明する。
図2は、後輪駆動装置1の全体の縦断面図を示すものであり、図3は、図2の上部部分拡大断面図である。同図において、符号11は、後輪駆動装置1のケースであり、ケース11は、車幅方向略中央部に配置される中央ケース11Mと、中央ケース11Mを挟むように中央ケース11Mの左右に配置される側方ケース11A、11Bと、から構成され、全体が略円筒状に形成される。ケース11の内部には、後輪Wr用の車軸10A、10Bと、車軸駆動用の第1及び第2電動機2A、2Bと、この電動機2A、2Bの駆動回転を減速する第1及び第2変速機としての第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bとが、同一軸線上にそれぞれ並んで配置されている。この車軸10A、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aは左後輪LWrを駆動制御し、車軸10B、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは右後輪RWrを駆動制御する。車軸10A、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aと、車軸10B、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bは、ケース11内で車幅方向に左右対称に配置されている。左後輪LWrは、第1電動機2Aに対して第1遊星歯車式減速機12Aと反対側に位置し、右後輪RWrも、第2電動機2Bに対して第2遊星歯車式減速機12Bと反対側に位置する。
【0024】
側方ケース11A、11Bの中央ケース11M側には、それぞれ径方向内側に延びる隔壁18A、18Bが設けられ、側方ケース11A、11Bと隔壁18A、18Bとの間には、それぞれ第1及び第2電動機2A、2Bが配置される。また、中央ケース11Mと隔壁18A、18Bとに囲まれた空間には、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bが配置されている。なお、図2に示すように、本実施形態では、左側方ケース11Aと中央ケース11Mは、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aを収容する第1ケース11Lを構成し、また、右側方ケース11Bと中央ケース11Mは、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bを収容する第2ケース11Rを構成している。そして、第1ケース11Lは、第1電動機2Aと動力伝達経路の少なくとも一方の潤滑及び/又は冷却に供される液状媒体としてのオイルを貯留する左貯留部RLを有し、第2ケース11Rは、第2電動機2Bと動力伝達経路の少なくとも一方の潤滑及び/又は冷却に供されるオイルを貯留する右貯留部RRを有する。そして、ケース11は、図4に示すように、車両3の骨格となるフレームの一部であるフレーム部材13の支持部13a、13bと、不図示の駆動装置1のフレームで支持されている。支持部13a、13bは、車幅方向でフレーム部材13の中心に対し左右に設けられている。また、図2〜10中の矢印は、後輪駆動装置1が車両に搭載された状態における位置関係を示している。
【0025】
後輪駆動装置1には、ケース11の内部と外部を連通するブリーザ装置40が設けられ、内部の空気が過度に高温・高圧とならないように内部の空気をブリーザ室41を介して外部に逃がすように構成される。ブリーザ室41は、ケース11の鉛直方向上部に配置され、中央ケース11Mの外壁と、中央ケース11M内に左側方ケース11A側に略水平に延設された第1円筒壁43と、右側方ケース11B側に略水平に延設された第2円筒壁44と、第1及び第2円筒壁43、44の内側端部同士をつなぐ左右分割壁45と、第1円筒壁43の左側方ケース11A側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Aと、第2円筒壁44の右側方ケース11B側先端部に当接するように取り付けられたバッフルプレート47Bと、により形成された空間により構成される。
【0026】
ブリーザ室41の下面を形成する第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45は、第1円筒壁43が第2円筒壁44より径方向内側に位置し、左右分割壁45が、第2円筒壁44の内側端部から縮径しつつ屈曲しながら第1円筒壁43の内側端部まで延設され、さらに径方向内側に延設されて略水平に延設された第3円筒壁46に達する。第3円筒壁46は、第1円筒壁43と第2円筒壁44の両外側端部より内側に且つその略中央に位置している。
【0027】
中央ケース11Mには、バッフルプレート47A、47Bが、第1円筒壁43と中央ケース11Mの外壁との間の空間又は第2円筒壁44と中央ケース11Mの外壁との間の空間を遊星歯車式減速機12A又は遊星歯車式減速機12Bからそれぞれ区画するように固定されている。
【0028】
また、中央ケース11Mには、ブリーザ室41と外部とを連通する外部連通路49がブリーザ室41の鉛直方向上面に接続される。外部連通路49のブリーザ室側端部49aは、鉛直方向下方を指向して配置されている。従って、オイルが外部連通路49を通って外部に排出されるのが抑制される。
【0029】
第1及び第2電動機2A、2Bは、ステータ14A、14Bがそれぞれ側方ケース11A、11Bに固定され、このステータ14A、14Bの内周側に環状のロータ15A、15Bが回転可能に配置されている。ロータ15A、15Bの内周部には車軸10A、10Bの外周を囲繞する円筒軸16A、16Bが結合され、この円筒軸16A、16Bが車軸10A、10Bと同軸上に相対回転可能となるように側方ケース11A、11Bの端部壁17A、17Bと隔壁18A、18Bに軸受19A、19Bを介して支持されている。また、円筒軸16A、16Bの一端側の外周であって端部壁17A、17Bには、ロータ15A、15Bの回転位置情報を電動機2A、2Bの制御コントローラ(図示せず)にフィードバックするためのレゾルバ20A、20Bが設けられている。ステータ14A、14B、及びロータ15A、15Bを含む第1及び第2電動機2A、2Bは、同一半径を有し、第1及び第2電動機2A、2Bは互いに鏡面対称に配置される。また、車軸10A及び円筒軸16Aは、第1電動機2A内を貫通して、第1電動機2Aの両端部から延出しており、車軸10B及び円筒軸16Bも、第2電動機2B内を貫通して、第2電動機2Bの両端部から延出している。
【0030】
また、第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bは、サンギヤ21A、21Bと、このサンギヤ21に噛合される複数のプラネタリギヤ22A、22Bと、これらのプラネタリギヤ22A、22Bを支持するプラネタリキャリア23A、23Bと、プラネタリギヤ22A、22Bの外周側に噛合されるリングギヤ24A、24Bと、を備え、サンギヤ21A、21Bから電動機2A、2Bの駆動力が入力され、減速された駆動力がプラネタリキャリア23A、23Bを通して車軸10A、10Bに出力されるようになっている。
【0031】
サンギヤ21A、21Bは円筒軸16A、16Bに一体に形成されている。また、プラネタリギヤ22A、22Bは、サンギヤ21A、21Bに直接噛合される大径の第1ピニオン26A、26Bと、この第1ピニオン26A、26Bよりも小径の第2ピニオン27A、27Bを有する2連ピニオンであり、これらの第1ピニオン26A、26Bと第2ピニオン27A、27Bが同軸にかつ軸方向にオフセットした状態で一体に形成されている。このプラネタリギヤ22A、22Bはニードルベアリング31A、31Bを介してプラネタリキャリア23A、23Bのピニオンシャフト32A、32Bに支持され、プラネタリキャリア23A、23Bは、軸方向内側端部が径方向内側に伸びて車軸10A、10Bにスプライン嵌合され一体回転可能に支持されるとともに、軸受33A、33Bを介して隔壁18A、18Bに支持されている。
【0032】
リングギヤ24A、24Bは、その内周面が小径の第2ピニオン27A、27Bに噛合されるギヤ部28A、28Bと、ギヤ部28A、28Bより小径でケース11の中間位置で互いに対向配置される小径部29A、29Bと、ギヤ部28A、28Bの軸方向内側端部と小径部29A、29Bの軸方向外側端部を径方向に連結する連結部30A、30Bとを備えて構成されている。
【0033】
ギヤ部28A、28Bは、中央ケース11Mの左右分割壁45の内径側端部に形成された第3円筒壁46を挟んで軸方向に対向している。小径部29A、29Bは、その外周面がそれぞれ後述する一方向クラッチ50のインナーレース51とスプライン嵌合し、リングギヤ24A、24Bは一方向クラッチ50のインナーレース51と一体回転するように互いに連結されて構成されている。
【0034】
遊星歯車式減速機12B側であって、ケース11を構成する中央ケース11Mの第2円筒壁44とリングギヤ24Bのギヤ部28Bとの間には、リングギヤ24Bに対する制動手段を構成する油圧ブレーキ60が第1ピニオン26Bと径方向でオーバーラップし、第2ピニオン27Bと軸方向でオーバーラップするように配置されている。油圧ブレーキ60は、第2円筒壁44の内周面にスプライン嵌合された複数の固定プレート35と、リングギヤ24Bのギヤ部28Bの外周面にスプライン嵌合された複数の回転プレート36が軸方向に交互に配置され、これらのプレート35,36が環状のピストン37によって締結及び解放操作されるようになっている。ピストン37は、中央ケース11Mの左右分割壁45と第3円筒壁46間に形成された環状のシリンダ室に進退自在に収容されており、さらに第3円筒壁46の外周面に設けられた受け座38に支持される弾性部材39によって、常時、固定プレート35と回転プレート36とを解放する方向に付勢される。
【0035】
また、さらに詳細には、左右分割壁45とピストン37の間はオイルが直接導入される作動室Sとされ、作動室Sに導入されるオイルの圧力が弾性部材39の付勢力に勝ると、ピストン37が前進(右動)し、固定プレート35と回転プレート36とが相互に押し付けられて締結することとなる。また、弾性部材39の付勢力が作動室Sに導入されるオイルの圧力に勝ると、ピストン37が後進(左動)し、固定プレート35と回転プレート36とが離間して解放することとなる。なお、油圧ブレーキ60は液状媒体供給装置としての電動オイルポンプ70(図4参照)に接続されている。
【0036】
この油圧ブレーキ60の場合、固定プレート35がケース11を構成する中央ケース11Mの左右分割壁45から伸びる第2円筒壁44に支持される一方で、回転プレート36がリングギヤ24Bのギヤ部28Bに支持されているため、両プレート35、36がピストン37によって押し付けられると、両プレート35、36間の摩擦締結によってリングギヤ24Bに制動力が作用し固定される。その状態からピストン37による締結が解放されると、リングギヤ24Bの自由な回転が許容される。なお、上述したように、リングギヤ24A、24Bは互いに連結されているため、油圧ブレーキ60が締結することによりリングギヤ24Aにも制動力が作用し固定され、油圧ブレーキ60が解放することによりリングギヤ24Aも自由な回転が許容される。
【0037】
また、軸方向で対向するリングギヤ24A、24Bの連結部30A、30B間にも空間部が確保され、その空間部内に、リングギヤ24A、24Bに対し一方向の動力のみを伝達し他方向の動力を遮断する一方向クラッチ50が配置されている。一方向クラッチ50は、インナーレース51とアウターレース52との間に多数のスプラグ53を介在させたものであって、そのインナーレース51がスプライン嵌合によりリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29Bと一体回転するように構成されている。またアウターレース52は、第3円筒壁46により位置決めされるとともに、回り止めされている。
【0038】
一方向クラッチ50は、車両3が電動機2A、2Bの動力で前進する際に係合してリングギヤ24A、24Bの回転をロックするように構成されている。より具体的に説明すると、一方向クラッチ50は、電動機2A、2B側の順方向(車両3を前進させる際の回転方向)の回転動力が車輪Wr側に入力されるときに係合状態となるとともに電動機2A、2B側の逆方向の回転動力が車輪Wr側に入力されるときに非係合状態となり、車輪Wr側の順方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力されるときに非係合状態となるとともに車輪Wr側の逆方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力されるときに係合状態となる。
【0039】
このように本実施形態の後輪駆動装置1では、電動機2A、2Bと車輪Wrとの動力伝達経路上に一方向クラッチ50と油圧ブレーキ60とが並列に設けられている。なお、油圧ブレーキ60は、車両の走行状態や一方向クラッチ50の係合・非係合状態に応じて、オイルポンプ70から供給されるオイルの圧力により、解放状態、弱締結状態、締結状態に制御される。例えば、車両3が電動機2A、2Bの力行駆動により前進する時(低車速時、中車速時)は、一方向クラッチ50が締結するため動力伝達可能な状態となるが油圧ブレーキ60が弱締結状態に制御されることで、電動機2A、2B側からの順方向の回転動力の入力が一時的に低下して一方向クラッチ50が非係合状態となった場合にも、電動機2A、2B側と車輪Wr側とで動力伝達不能になることが抑制される。また、車両3が内燃機関4及び/又は電動機5の力行駆動により前進する時(高車速時)は、一方向クラ
ッチ50が非係合となりさらに油圧ブレーキが解放状態に制御されることで、電動機2A、2Bの過回転が防止される。一方、車両3の後進時や回生時には、一方向クラッチ50が非係合となるため油圧ブレーキ60が締結状態に制御されることで、電動機2A、2B側からの逆方向の回転動力が車輪Wr側に出力され、又は車輪Wr側の順方向の回転動力が電動機2A、2B側に入力される。
【0040】
図5及び図6に示すように、各電動機2A,2Bのステータ14A、14Bは、ステータホルダ131と、複数の分割ステータ片132,…,132を円周方向に連結配置することで構成される環状ステータ群133と、環状の集配電部材134(図3参照)と、を備えている。
【0041】
ステータホルダ131は、筒状部131aと、この筒状部131aの軸方向一端部において径方向外方に張り出すように設けられたフランジ部131bとを備え、筒状部131a内には、円周方向に連結配置された複数の分割ステータ片132,…,132(即ち、環状ステータ群133)が圧入等によって収容されている。
【0042】
各分割ステータ片132は、例えば略T字型の複数の珪素鋼板が積層されて構成された分割鉄心片136と、各分割鉄心片136に装着される絶縁性樹脂材からなる巻枠としての絶縁ボビン137と、絶縁ボビン137に巻回されてなるコイル138と、を備えている。
【0043】
分割鉄心片136は、互いの軸方向厚さが同等とされたティース部136aおよびヨーク部136bを備え、コイル138はティース部136aの周囲に絶縁ボビン137を介して巻回されている。ティース部136aの径方向基端部に一体に設けられたヨーク部136bの周方向幅は、ティース部136aの周方向幅よりも大きくなるようにして形成されている。そして、複数の分割ステータ片132,…,132が円環状に配列された状態で、周方向で隣り合うヨーク同士が面接触して、円環状の環状ステータ群133が形成される。このように環状ステータ群133が形成されることで、円周方向に連結配置された複数の分割鉄心片136が鉄心147を構成する。また、各分割鉄心片136の各ティース部136aは、電動機2A、2Bの回転軸線Xを中心とする放射方向(径方向)に沿ってそれぞれ延び、円周方向に所定の間隔で配置されることになる。
【0044】
絶縁ボビン137は、例えば、軸方向に分割可能とされて2分割された絶縁ボビン部材によって分割鉄心136を軸方向の両側から挟み込むようにして、分割鉄心136に装着される。
【0045】
図5及び図6に示すように、絶縁ボビン137は、分割鉄心片136のティース部136aに外嵌するボビン部139と、ボビン部139の放射方向の内周側で、放射方向と交差する方向に延びる内周側鍔部140と、ボビン部139の放射方向外周側で、放射方向と交差する方向に延びる外周側鍔部141と、を有し、放射方向において巻線の巻回領域を区画する。また、絶縁ボビン137は、外周側鍔部141から放射方向外方に延出してヨーク部136bの軸方向他端面を覆う集配電部材収容部142を備えている。従って、絶縁ボビン137のボビン部139には、集中巻きにて巻回されてなるコイル138が収容され、集配電部材収容部142には集配電部材134が収容される。
【0046】
また、図7及び図10に示すように、中央ケース11Mの第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45の外周面は、ブリーザ室41を形成する以外の部分において外部に露出しており、第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45の外周面には、その軸方向両端部から半径方向に張り出した一対の張り出し部101,102が形成されている。
【0047】
そして、第1及び第2円筒壁43、44と左右分割壁45の周囲で、斜め前方且つ下方には、一対の張り出し部101,102と、底壁103と、上壁104とによって略四角筒状に画成され、後述のストレーナ71を収容するストレーナ収容室105が形成されている。このストレーナ収容室105の前方開口部105aは、電動オイルポンプ70が取り付けられる蓋部材72によって塞がれており、電動オイルポンプ70にはストレーナ71の排出口71aが接続されている。図7及び図8に示すように、電動オイルポンプ70は、蓋部材72に形成されたケース固定部72aと、ストレーナ収容室105の前方開口部105aに形成された蓋部材固定部105bとを複数のボルト106により締結固定することで、ストレーナ収容室105の前方開口部105aに取り付けられる。
【0048】
従って、ケース11に取り付けられた電動オイルポンプ70は、図7に示すように、第1及び第2電動機2A、2Bの回転軸線X方向と直交し、第1及び第2電動機2A、2Bから等距離に位置する仮想平面Pと交差する位置に配置される。また、電動オイルポンプ70は、第1及び第2電動機2A、2Bの回転軸線X方向において、第1及び第2電動機2A、2Bに対して第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bと同じ中央側(一方側)に配置される。さらに、電動オイルポンプ70は、第1及び第2電動機2A、2Bの回転軸線X方向において第1及び第2円筒壁43、44とオーバーラップしており、従って、電動オイルポンプ70と第1及び第2遊星歯車式減速機12A、12Bの少なくとも一部(本実施形態では、リングギヤ24A、24B及び第2ピニオン27A、27B)が第1及び第2電動機2A、2Bの回転軸線X方向においてオーバーラップする。
【0049】
ストレーナ収容室105を形成する一対の張り出し部101,102には、左貯留部RLとストレーナ収容室105とを連通する左中連通路としての貫通孔107a,107bと、右貯留部RRとストレーナ収容室105とを連通する右中連通路としての貫通孔(図示せず)とがそれぞれ形成されている。これにより、左貯留部RLと右貯留部RRは、ストレーナ収容室105を介して連通する。
【0050】
図8、図9及び図11に示すように、電動オイルポンプ70は、いわゆる、トロコイドポンプであり、位置センサレス・ブラシレス直流モータからなる他の電動機90によって駆動され、高圧モードと低圧モードの少なくとも2つのモードで運転可能となっており、PID制御で制御されている。そして、吸引部93に設けられた図示しないインナーロータまたはアウターロータを回転することで吐出量を調整しながら、ストレーナ71から電動オイルポンプ70内に設けられた流体吸入経路94に流入した流体を流体吐出経路95に吐出する。
【0051】
また、電動オイルポンプ70は、蓋部材72がケース11に固定されたとき、蓋部材72の前方に位置するように蓋部材72に取り付けられている。蓋部材72の内側には、蓋部材72とともに、後述する油圧回路99の油路の一部を画成する油路形成カバー96がボルト69によって固定されている。蓋部材72と油路形成カバー96との間には、下から順に、後述する低圧油路切替弁73、ブレーキ油路切替弁74、リリーフ弁84が配置されている。図11に示すように、蓋部材72の油路形成カバー96と反対側には、ソレノイド弁83が取り付けられており、通電によって、低圧油路切替弁73とブレーキ油路切替弁74との間に設けられた後述するパイロット油路81の連通・遮断を行う。
【0052】
また、ストレーナ71は、油路形成カバー96を蓋部材72にボルト締結するのと一緒に、蓋部材72に固定される。ストレーナ71は、その下面に設けられた吸入口(図示せず)から吸入されたオイルの異物を除去し、異物が除去されたオイルは、電動オイルポンプ70へと送られる。
【0053】
油路形成カバー96には、ストレーナ収容室105内で、中央ケース11Mの外周面に形成された、後述するブレーキ油路77の作動室用ポート108aと、後述する冷潤流路120A、121A、120B、121Bや潤滑流路122A、122Bの冷却/潤滑用ポート108bにそれぞれ接続される、2つの出口パイプ97a、97bが取り付けられている。
【0054】
これら出口パイプ97a、97bは、上述したように、電動オイルポンプ70が取り付けられた蓋部材72がストレーナ収容室105の前方開口部105aに取り付けられた状態において、作動室用ポート108aと、冷却/潤滑用ポート108bとにそれぞれ接続される。また、同時に、ストレーナ収容室105の前方開口部105aは蓋部材72によって閉塞され、蓋部材72の内壁面は、ストレーナ収容室105の壁面を構成する。
【0055】
また、ケース11には、作動室用ポート108aから作動室Sまで連通するブレーキ油路77(図15参照)が形成されるとともに、冷却/潤滑用ポート108bから中央ケース11Mの前部で鉛直方向に延びる前方鉛直油路109と、前方鉛直油路109から左右に分岐し、各ケース11A,11B,11Mの車両前方を向く外壁面11A1、11B1、11M1によって形成され、各ケース11A,11B,11Mの前方を水平方向にそれぞれ延びる前方水平油路110A、110Bと、各ケース11A,11Bの前方水平油路110A、110Bの外側端部から後方へ延出する前後方向水平油路111A、111Bが形成される。これら前後方向水平油路111A、111Bには、第1及び第2電動機2A、2Bの被冷却部A1、B1、即ち、ステータ14A、14Bのコイル138側面へオイルを供給する複数の吐出口112A、112Bが形成される(図2、12参照)とともに、下方に延びて車軸10A、10B内へ油を供給するように軸方向に向く潤滑用油路113A、113B(図2、12参照)が接続されている。
【0056】
図2及び図12に示すように、左方に延びる前方水平油路110Aと連通する、前後方向水平油路111A及び潤滑用油路113Aは、第1電動機2Aの第2電動機2Bと反対側の端部である一方端E1よりも軸方向外側に位置する。また、右方に延びる前方水平油路110Bと連通する、前後方向水平油路111B及び潤滑用油路113Bは、第2電動機2Bの第1電動機2Aと反対側の端部である他方端E2よりも軸方向外側に位置する。
【0057】
車軸10A,10Bには、第1及び第2電動機2A、2Bの軸方向に沿って延在する軸方向孔114A、114Bが形成されており、また、潤滑用油路113A、113Bと軸方向に重なる位置には、潤滑用油路113A、113Bと連通する第1径方向孔115A、115Bが、プラネタリキャリア23A,23Bと軸方向に重なる位置には、プラネタリキャリア23A,23Bに設けられた油路116と連通する第2径方向孔117A、117Bが形成されている。
【0058】
このため、電動オイルポンプ70は、第1電動機2Aに対して外側(第1遊星歯車式減速機12Aと反対の他方側)で軸方向孔114Aと連通して接続され、第1遊星歯車式減速機12Aの被潤滑部A3(例えば、ニードルベアリング31Aや各ギヤ21A、22A、23A、24Aの噛合部分)が第1電動機2Aに対して中央側で軸方向孔114Aと連通して接続される。また、電動オイルポンプ70は、第2電動機2Bに対して外側(第2遊星歯車式減速機12Bと反対の他方側)で軸方向孔114Bと連通して接続され、第2遊星歯車式減速機12Bの被潤滑部B3(例えば、ニードルベアリング31Bや各ギヤ21B、22B、23B、24Bの噛合部分)が第2電動機2Bに対して中央側で軸方向孔114Bと連通して接続される。
【0059】
従って、ケース11に設けられた前方鉛直油路109、左側前方水平油路110A、前後方向水平油路111A、及び吐出口112Aは、第1電動機2Aのステータ14Aのコイルを冷却する第1冷却流路120Aを構成する。また、ケース11に設けられた前方鉛直油路109、左側前方水平油路110A、前後方向水平油路111A、潤滑用油路113Aは、第1電動機2Aの被潤滑部A2(例えば、軸受19A)を潤滑する第1電動機用潤滑流路121Aを構成する。さらに、ケース11に設けられたケース内潤滑流路、即ち、前方鉛直油路109、左側前方水平油路110A、前後方向水平油路111A、潤滑用油路113A、及び車軸10Aに設けられた第1径方向孔115A、軸方向孔114A、第2径方向孔117Aは、第1遊星歯車式減速機12Aの被潤滑部A3を潤滑する第1遊星歯車式減速機用潤滑流路122Aを構成する。
【0060】
また、ケース11に設けられた前方鉛直油路109、右側前方水平油路110B、前後方向水平油路111B、及び吐出口112Bは、第2電動機2Bのステータ14Bのコイルを冷却する第2冷却流路120Bを構成する。また、ケース11に設けられた前方鉛直油路109、右側前方水平油路110B、前後方向水平油路111B、潤滑用油路113Bは、第1電動機2Aの被潤滑部B2(例えば、軸受19B)を潤滑する第2電動機用潤滑流路121Bを構成する。さらに、ケース11に設けられたケース内潤滑流路、即ち、前方鉛直油路109、右側前方水平油路110B、前後方向水平油路111B、潤滑用油路113B、及び車軸10Bに設けられた第1径方向孔115B、軸方向孔114B、第2径方向孔117Bは、第2遊星歯車式減速機12Bの被潤滑部B3を潤滑する第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122Bを構成する。
【0061】
従って、第1冷却流路120Aと第1電動機用潤滑流路121Aとは、電動オイルポンプ70から吐出されたオイルが、第1電動機2Aの一方端E1よりも外側を経由して、第1電動機2Aの被冷却部A1の冷却や被潤滑部A2の潤滑を行うように形成され、第2冷却流路120Bと第2電動機用潤滑流路121Bとは、電動オイルポンプ70から吐出されたオイルが、第2電動機2Bの他方端E2よりも外側を経由して、第2電動機2Bの被冷却部B1の冷却及び被潤滑部B2の潤滑を行うように形成される。なお、以下の説明では、第1電動機用冷却流路120A及び第1電動機用潤滑流路121Aを併せて「第1冷潤流路120A、121A」とも称し、第2電動機用冷却流路120B及び第2電動機用潤滑流路121Bを併せて「第2冷潤流路120B、121B」とも称す。
【0062】
また、第1遊星歯車式減速機用潤滑流路122Aは、電動オイルポンプ70から吐出されたオイルが、ケース11の略中央部からケース内潤滑流路を通過して、第1電動機2Aに対して第1遊星歯車式減速機12Aと反対の外側を経由して、該変速機12Aの被潤滑部A3を潤滑するように形成される。第2遊星歯車式減速機用潤滑流路122Bは、電動オイルポンプ70から吐出されたオイルが、ケース11の略中央部からケース内潤滑流路を通過して、第2電動機2Bに対して第2遊星歯車式減速機12Bと反対の外側を経由して、該変速機12Bの被潤滑部B3を潤滑するように形成される。
【0063】
さらに、軸方向孔114A、114Bの開口端118A、118Bから流出したオイルは、プラネタリキャリア23A、23Bに形成された貫通孔119A、119Bや、プラネタリキャリア23A、23B間及びリングギヤ24A、24Bの小径部29A、29B間に形成されたすき間gを介して一方向クラッチ50の各部を潤滑している。
【0064】
ここで、図13及び図14に示すように、左側方ケース11Aの端部壁17Aにおいて、電動機2Aの回転軸線X方向の外側の側面、具体的には、コイル138と対向する位置の内壁148には、回転軸線Xより鉛直方向上方に、吐出部としての複数の吐出口112Aが周方向に並んで形成されている。各吐出口112Aは、電動機2Aのコイル138に向けて指向され、電動機2Aの被冷却部A1、即ち、コイル138及び分割鉄心136の冷却に供するオイルを吐出する。なお、オイルが吐出する方向は、各吐出口112Aを形成する孔の向きによって決定される。
【0065】
また、左側方ケース11Aの端部壁17Aの内壁148には、吐出口112Aの鉛直方向下方において、回転軸線X方向の内側に向けて延出する延出部149が円弧状に形成されている。
【0066】
また、絶縁ボビン137の内周側鍔部140は、外周側鍔部141と比べて回転軸線X方向の外側に延出して形成される。そして、図13に示すように、電動機2Aがケース11に収容された収容状態において、吐出口112Aよりも鉛直方向下方で、この側方ケース11Aの延出部149と絶縁ボビン137の内周側鍔部140とは、放射方向から見て互いに重なり合っていて、互いに当接して配置されるオーバーラップ構造を有している。特に、この収容状態において、延出部149は、内周側鍔部140よりも放射方向外側で、回転軸線Xよりも高い位置では鉛直方向上方側に位置し、互いに当接している。
【0067】
また、延出部149は、円弧状に形成されているので、隣接する分割鉄心片136の各ティース部136aに装着された各絶縁ボビン137の2つの内周側鍔部140に亘って円周方向に延在する。
【0068】
なお、左側方ケース11Aの端部壁17Aの内壁148に形成された吐出口112A及び延出部149と、電動機2Aの絶縁ボビン137の内周側鍔部140の構造及びこれらの位置関係は、右側方ケース11Bの端部壁17Bの内壁148に形成された吐出口112B及び延出部149と、電動機2Bの絶縁ボビン137の内周側鍔部140のものと実質的に同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0069】
次に、図15を参照して、上述した電動機2A、2Bの冷却及び/または潤滑と、変速機12A、12Bの潤滑とを行う油圧回路99について説明する。
【0070】
油圧回路99は、ストレーナ収容室105に配設したストレーナ71から吸入され、電動オイルポンプ70から吐出されるオイルを低圧油路切替弁73とブレーキ油路切替弁74とを介して油圧ブレーキ60の作動室Sに給油可能に構成されるとともに、低圧油路切替弁73を介して電動機2A、2Bの被冷却部A1、B1、被潤滑部A2、B2、及び遊星歯車式減速機12A、12Bの被潤滑部A3、B3(以下、「被潤滑・冷却部A1〜B3」とも称す)に供給可能に構成される。なお、油圧回路99には、ブレーキ油路77の油圧及び温度等を検出するセンサ92(図7及び図8参照)が設けられている。
【0071】
低圧油路切替弁73は、ライン油路75を構成する電動オイルポンプ70側の第1ライン油路75aと、ライン油路75を構成するブレーキ油路切替弁74側の第2ライン油路75bと、被潤滑・冷却部A1〜B3に連通する第1低圧油路76aと、被潤滑・冷却部A1〜B3に連通する第2低圧油路76bと、に接続される。また、低圧油路切替弁73は、第1ライン油路75aと第2ライン油路75bとを常時連通させるとともにライン油路75を第1低圧油路76a又は第2低圧油路76bに選択的に連通させる弁体73aと、弁体73aをライン油路75と第1低圧油路76aとを連通する方向(図15において右方)へ付勢するスプリング73bと、弁体73aをライン油路75の油圧によってライン油路75と第2低圧油路76bとを連通する方向(図15において左方)へ押圧する油室73cと、を備える。従って、弁体73aは、スプリング73bによってライン油路75と第1低圧油路76aとを連通する方向(図15において右方)へ付勢されるとともに、図中右端の油室73cに入力されるライン油路75の油圧によってライン油路75と第2低圧油路76bとを連通する方向(図15において左方)へ押圧される。
【0072】
ここで、スプリング73bの付勢力は、電動オイルポンプ70が低圧モードで運転中に油室73cに入力されるライン油路75の油圧では、弁体73aが移動せずライン油路75を第2低圧油路76bから遮断し第1低圧油路76aに連通させるように設定され(以下、この弁体73aの位置を低圧側位置と呼ぶ。)、電動オイルポンプ70が高圧モードで運転中に油室73cに入力されるライン油路75の油圧では、弁体73aが移動してライン油路75を第1低圧油路76aから遮断し第2低圧油路76bに連通させるように設定されている(以下、この弁体73aの位置を高圧側位置と呼ぶ。)。
【0073】
ブレーキ油路切替弁74は、ライン油路75を構成する第2ライン油路75bと、油圧ブレーキ60に接続されるブレーキ油路77と、ハイポジションドレン78を介して貯留部79と、に接続される。また、ブレーキ油路切替弁74は、第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを連通・遮断させる弁体74aと、弁体74aを第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを遮断する方向(図15において右方)へ付勢するスプリング74bと、弁体74aをライン油路75の油圧によって第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを連通する方向(図15において左方)へ押圧する油室74cと、を備える。従って、弁体74aは、スプリング74bによって第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを遮断する方向(図15において右方)へ付勢されるとともに、油室74cに入力されるライン油路75の油圧によって第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを連通する方向(図15において左方)へ押圧可能にされる。
【0074】
スプリング74bの付勢力は、電動オイルポンプ70が低圧モード及び高圧モードで運転中に、油室74cに入力されるライン油路75の油圧で、弁体74aを閉弁位置から開弁位置に移動させて、ブレーキ油路77をハイポジションドレン78から遮断し第2ライン油路75bに連通させるように設定されている。即ち、電動オイルポンプ70が低圧モードで運転されても高圧モードで運転されても、油室74cに入力されるライン油路75の油圧がスプリング74bの付勢力を上回り、ブレーキ油路77をハイポジションドレン78から遮断し第2ライン油路75bに連通させる。
【0075】
第2ライン油路75bとブレーキ油路77とを遮断した状態においては、油圧ブレーキ60はブレーキ油路77とハイポジションドレン78を介して貯留部79に連通される。ここで、貯留部79は、ストレーナ収容室105よりも鉛直方向で高い位置、より好ましくは、貯留部79の鉛直方向最上部が、油圧ブレーキ60の作動室Sの鉛直方向最上部と鉛直方向最下部との中分点よりも鉛直方向で高い位置となるように配設される。従って、ブレーキ油路切替弁74が閉弁した状態においては、油圧ブレーキ60の作動室Sに貯留していたオイルが直接ストレーナ収容室105に排出されず、貯留部79に排出されて蓄えられるように構成される。なお、貯留部79から溢れたオイルは、ストレーナ収容室105に排出されるように構成される。また、ハイポジションドレン78の貯留部側端部78aは、貯留部79の底面に接続される。
【0076】
ブレーキ油路切替弁74の油室74cは、パイロット油路81とソレノイド弁83を介してライン油路75を構成する第2ライン油路75bに接続可能にされている。ソレノイド弁83は、ECU(図示せず)によって制御される電磁三方弁で構成されており、ECUによるソレノイド弁83の非通電時に第2ライン油路75bをパイロット油路81に接続し、油室74cにライン油路75の油圧を入力する。
【0077】
また、ソレノイド弁83は、通電状態において、油室74cに貯留していたオイルが、排出油路83aを介してストレーナ収容室105に排出され、第2ライン油路75bとパイロット油路81とが遮断される。
【0078】
また、油圧回路99では、第1低圧油路76aと第2低圧油路76bは下流側で合流して共通の低圧共通油路76cを構成しており、合流部には、低圧共通油路76cのライン圧が所定圧以上になった場合に低圧共通油路76c内のオイルをリリーフドレン86を介して貯留部79に排出させ、油圧を低下させるリリーフ弁84が接続されている。なお、リリーフドレン86の油貯留部側端部86aは貯留部79の鉛直方向最上部よりも高い位置に配置される。
【0079】
ここで、第1低圧油路76aと第2低圧油路76bには、それぞれ流路抵抗手段としてのオリフィス85a、85bが形成されており、第1低圧油路76aのオリフィス85aが第2低圧油路76bのオリフィス85bよりも大径となるように構成されている。従って、第2低圧油路76bの流路抵抗は第1低圧油路76aの流路抵抗よりも大きく、電動オイルポンプ70を高圧モードで運転中における第2低圧油路76bでの減圧量が、電動オイルポンプ70を低圧モードで運転中における第1低圧油路76aでの減圧量よりも大きくなって、高圧モード及び低圧モードにおける低圧共通油路76cの油圧は略等しくなっている。
【0080】
このように第1低圧油路76aと第2低圧油路76bとに接続された低圧油路切替弁73は、電動オイルポンプ70が低圧モードで運転中においては、油室73c内の油圧よりもスプリング73bの付勢力が勝りスプリング73bの付勢力により弁体73aが低圧側位置に位置して、ライン油路75を第2低圧油路76bから遮断し第1低圧油路76aに連通させる。第1低圧油路76aを流れるオイルは、オリフィス85aで流路抵抗を受けて減圧され、低圧共通油路76cを経由して被潤滑・冷却部A1〜B3に至る。一方、電動オイルポンプ70が高圧モードで運転中においては、スプリング73bの付勢力よりも油室73c内の油圧が勝りスプリング73bの付勢力に抗して弁体73aが高圧側位置に位置して、ライン油路75を第1低圧油路76aから遮断し第2低圧油路76bに連通させる。第2低圧油路76bを流れるオイルは、オリフィス85bでオリフィス85aよりも大きな流路抵抗を受けて減圧され、低圧共通油路76cを経由して被潤滑・冷却部A1〜B3に至る。
【0081】
従って、電動オイルポンプ70が低圧モードから高圧モードに切り替わると、ライン油路75の油圧の変化に応じて自動的に流路抵抗の小さい油路から流路抵抗の大きい油路に切り替わるので、高圧モードのときに被潤滑・冷却部A1〜B3に過度のオイルが供給されることが抑制される。
【0082】
また、低圧共通油路76cから被潤滑・冷却部A1〜B3に至る油路には、他の流路抵抗手段としての複数のオリフィス85cが設けられている。複数のオリフィス85cは、第1低圧油路76aのオリフィス85aの最小流路断面積の方が複数のオリフィス85cの最小流路断面積よりも小さくなるように設定されている。即ち、複数のオリフィス85cの流路抵抗よりも第1低圧油路76aのオリフィス85aの流路抵抗の方が大きく設定されている。このとき、複数のオリフィス85cの最小流路断面積は、各オリフィス85cの最小流路断面積の総和である。これにより、第1低圧油路76aのオリフィス85aと第2低圧油路76bのオリフィス85bで所望の流量を流すことが調整可能になっている。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の後輪駆動装置1によれば、ステータ14A、14Bは、電動機2A、2Bの回転軸線Xを中心とする放射方向に沿ってそれぞれ延び、円周方向に所定の間隔で配置される複数のティース部136aを有する鉄心147と、複数のティース部136aの周囲に巻回されるコイル138と、ティース部136aとコイル138との間に介在し、コイル138の巻回領域を区画する絶縁ボビン137と、を有する。そして、絶縁ボビン137は、放射方向の内周側に、放射方向と交差する方向に延びる内周側鍔部140を有し、ケース11は、電動機2A、2Bの回転軸線Xの外側の側面と対向する内壁148から延出する延出部149と、該延出部149よりも鉛直方向上方に配置され、電動機2A、2Bの冷却に供するオイルを吐出する吐出口112A、112Bと、を有する。さらに、電動機2A、2Bがケース11に収容された収容状態において、吐出口112A、112Bよりも鉛直方向下方で、絶縁ボビン137の内周側鍔部140とケース11の延出部149とは、放射方向から見て互いに重なり合っていて、互いに当接して配置される。これにより、吐出口112A、112Bから吐出したオイルがコイル138に近い位置で鉛直方向直下に流下することを抑制でき、オイルとコイル138との接触時間が増加し、電動機2A、2Bの冷却性能を向上することができる。また、吐出口112A、112Bから吐出したオイルは、円周方向へと広がりながら下方へと流下するので、隣接するコイル138に向けてオイルを偏向することができ、電動機2A、2Bの冷却性能をより向上できる。
【0084】
また、延出部149は、内周側鍔部140よりも放射方向外側で、回転軸線Xよりも高い位置では鉛直方向上方側に位置するので、ケース11の内壁148を伝うオイルを延出部149側から内周側鍔部140側へ逆段差なく供給することができ、電動機2A、2Bの冷却性能をさらに向上することができる。
【0085】
また、上記した収容状態において、延出部149と内周側鍔部140とが当接しているので、オイルの鉛直方向直下への流下をより抑制することができる。また、ケース11に対してステータ14A、14Bを確実に位置決めすることができる。
【0086】
また、ステータ14A、14Bの鉄心147は、ティース部136aをそれぞれ有する複数の分割鉄心片136を備え、複数の分割鉄心片136を円周方向に連結して配置することで構成され、複数の分割鉄心片136の各ティース部136aには、複数の絶縁ボビン137がそれぞれ装着される。そして、延出部149は、隣接する分割鉄心片136の各ティース部136aに装着された各絶縁ボビン137の2つの内周側鍔部140に亘って円周方向に延在する。これにより、オイルを隣接する内周側鍔部140間から鉛直方向直下に流下するのを低減することができる。
【0087】
また、吐出口112A、112Bは、ケース11の内壁148において、コイル138と対向する位置に配置されるので、コイル138へのオイルの供給量が増加し、冷却性能を向上することができる。
【0088】
また、ケース11の内壁148において、コイル138と対向する位置で、且つ、回転軸線Xより鉛直方向上方には、複数の吐出口112A、112Bが配置されるので、コイル138へのオイルの供給量がさらに増加すると共に、オイルをコイル138へ効率的に分配して供給することができる。
【0089】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
また、前輪駆動装置6を内燃機関4を用いずに電動機5を唯一の駆動源とするものでもよい。
【0090】
本実施形態では、左側方ケース11Aと中央ケース11Mとで第1ケース11Lを、また、右側方ケース11Bと中央ケース11Mとで第2ケース11Rをそれぞれ構成している。しかしながら、本発明の第1ケース11Lは、第1電動機2A及び第1遊星歯車式減速機12Aを収容し、左貯留部RLを有するものであれば、また、第2ケース11Rは、第2電動機2B及び第2遊星歯車式減速機12Bを収容し、右貯留部RRを有するものであれば、この構成に限定されるものでない。
【0091】
また、本発明は、冷却、潤滑に供される液状媒体としてオイルを用いたが、他の液体を用いてもよい。
また、上記実施形態では、延出部149は、内周側鍔部140よりも放射方向外側に位置するようにしたが、内周側鍔部140よりも放射方向内側に位置するようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、電動機2A、2Bがケース11に収容された収容状態において、延出部149と内周側鍔部140との重なり合い部分は互いに当接しているが、図16(a)に示すように、延出部149と内周側鍔部140とが所定の隙間g´を介して近接して対向配置されるラビリンス構造を有するようにしてもよい。これにより、延出部149と内周側鍔部140とを当接して配置したオーバーラップ構造に比べ、ケース11と電動機2A、2Bとの間で振動の伝達を抑制することができる。
また、吐出口112A、112Bの位置は、上記実施形態のような、ケース11の内壁148に形成されるものに限らず、例えば、図16(b)に示すように、内壁148よりも鉛直方向上方に前後方向水平油路111A、111Bを形成し、ケース11の放射方向外周側から内周側に向けて斜めに形成された吐出口112A、112Bからオイルを吐出するようにしてもよい。
さらに、本発明の電動機の冷却装置は、上記実施形態の車両用駆動装置に限定されるものでなく、電動機と、該電動機を収容するケースと備え、電動機の巻枠の内周側鍔部とケースの延出部とが本発明の位置関係を有するものであればよい。
【符号の説明】
【0093】
1 後輪駆動装置(車両用駆動装置)
2A 第1電動機
2B 第2電動機
11 ケース
14A、14B ステータ
15A、15B ロータ
112A、112B 吐出口(吐出部)
136 分割鉄心片
136a ティース部
137 絶縁ボビン(巻枠)
138 コイル(巻線)
140 内周側鍔部
147 鉄心
148 内壁
149 延出部
LWr 左後輪(左車輪)
RWr 右後輪(右車輪)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、該ステータの内周側に回転可能に設けられるロータと、を備える電動機と、該電動機を収容するケースと、を有する電動機の冷却装置であって、
前記ステータは、前記電動機の回転軸線を中心とする放射方向に沿ってそれぞれ延び、円周方向に所定の間隔で配置される複数のティース部を有する鉄心と、前記複数のティース部の周囲に巻回される巻線と、前記ティース部と巻線との間に介在し、前記巻線の巻回領域を区画する巻枠と、を有し、
前記巻枠は、前記放射方向の内周側に、前記放射方向と交差する方向に延びる内周側鍔部を有し、
前記ケースは、前記電動機の前記回転軸線の一方側の側面と対向する内壁から延出する延出部と、該延出部よりも鉛直方向上方に配置され、前記電動機の冷却に供する液状媒体を吐出する吐出部と、を有し、
前記電動機が前記ケースに収容された収容状態において、前記吐出部よりも鉛直方向下方で、前記巻枠の内周側鍔部と前記ケースの延出部とは、前記放射方向から見て互いに重なり合っていて、互いに当接して配置又は近接して対向配置されることを特徴とする電動機の冷却装置。
【請求項2】
前記延出部は、前記内周側鍔部よりも放射方向外側に位置することを特徴とする請求項1に記載の電動機の冷却装置。
【請求項3】
前記収容状態において、前記延出部と前記内周側鍔部とが当接していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動機の冷却装置。
【請求項4】
前記収容状態において、前記延出部と前記内周側鍔部とが所定の隙間を介して対向配置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動機の冷却装置。
【請求項5】
前記ステータの鉄心は、前記ティース部をそれぞれ有する複数の分割鉄心片を備え、前記複数の分割鉄心片を円周方向に連結して配置することで構成され、
前記巻枠は、前記複数の分割鉄心片の各ティース部にそれぞれ装着された複数の巻枠を備え、
前記延出部は、隣接する前記分割鉄心片の各ティース部に装着された前記各巻枠の2つの内周側鍔部に亘って円周方向に延在することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動機の冷却装置。
【請求項6】
前記吐出部は、前記ケースの内壁において、前記巻線と対向する位置に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動機の冷却装置。
【請求項7】
前記吐出部は、前記ケースの内壁において、前記巻線と対向する位置で、且つ、前記回転軸線より鉛直方向上方に配置された複数の吐出部を有することを特徴とする請求項6に記載の電動機の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−13194(P2013−13194A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143212(P2011−143212)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】