説明

電動機運転装置およびその運転方法

【課題】 電動機運転装置によって複数の電動機を順次起動し、安定的に定格運転する。
【解決手段】 電動機運転装置1は、所内母線10の所内電力31を起動電力に変換し、
この起動電力を複数の電動機11に順次供給し定格運転まで加速する起動電力供給装置2
と、所所内電力31を定格電力に変換し、複数の電動機11のうち定格運転まで加速され
たものに対して、起動電力供給装置2から切替えて定格電力を供給する定格電力供給装置
3とを備え、起動電力供給装置2は、定格電力供給装置3の異常時において、定格電力を
定格電力供給装置2から切替えて複数の電動機11のうち定格運転中のものに供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電動機を起動させ定格運転する電動機運転装置およびその運転方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電動機を揃速で定格運転する場合、従来は、複数の電動機への電力供給装置とし
て1台のインバータを設け、このインバータによって複数の電動機全台に対して漸次周波
数および電圧が増加する起動電力を供給して定格運転まで加速した後、定格電力を供給し
て定格運転を行っていた。
【0003】
しかし、電動機の起動には定格運転時の定格電流より大きい起動電流が必要であり、複
数の電動機を同時に起動するためにはインバータの容量を大きくする必要があった。さら
に長時間にわたって定格運転を行う場合、周波数を可変に供給可能なインバータを電力供
給装置として用いることは信頼性が低下するおそれがあった。
【0004】
そこで、電力供給装置を起動電力供給装置と定格電力供給装置とに分けて設け、起動電
力供給装置によって漸次周波数および電圧が増加する起動電力を複数の電動機に順次供給
し定格運転まで加速し、定格電力供給装置によって複数の電動機のうち定格運転まで加速
されたものに対して、起動電力供給装置から切替えて定格電力を供給する技術が開発され
ている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−166641号公報
【特許文献2】特公平3−41031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1および特許文献2に記載の技術は、定格電力供給装
置の異常時において電動機に定格電力を供給するバックアップが設けられていないため、
特に長時間にわたって安定的に定格運転を行う必要がある電動機においては信頼性が低下
するおそれがあった。
【0007】
そこで本発明は、複数の電動機を順次起動し、安定的に定格運転することができる電動
機運転装置およびその運転方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電動機運転装置は、所内母線の所内電力を漸次周
波数および電圧が増加する起動電力に変換し、この起動電力を複数の電動機に順次供給し
定格運転まで加速する起動電力供給装置と、所内電力を定格電力に変換し、複数の電動機
のうち定格運転まで加速されたものに対して、起動電力供給装置から切替えて定格電力を
並列に供給する定格電力供給装置とを備え、起動電力供給装置は、定格電力供給装置の異
常時において、定格電力を定格電力供給装置から切替えて複数の電動機のうち定格運転中
のものに対し並列に供給することを特徴とする。
【0009】
さらに上記目的を達成するために、本発明の電動機の運転方法は、所内母線の所内電力
を漸次周波数および電圧が増加する起動電力に変換し、この起動電力を複数の電動機に順
次供給し定格運転まで加速する電動機起動運転工程と、所内電力を定格電力に変換し、複
数の電動機のうち定格運転まで加速されたものに定格電力を供給する電動機定格運転工程
と、電動機定格運転工程における定格電力の供給の異常時において、定格電力を電動機起
動運転工程における起動電力供給手段を用いて電動機に供給する工程とを備えることを特
徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電動機運転装置によって複数の電動機を順次起動し、安定的に定格運
転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電動機運転装置の概略構成図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電動機運転装置の電動機の起動運転から定格運転までの周波数の変化を示すグラフ。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電動機運転装置の定格電力供給装置の異常時の作用を示す概略構成図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る電動機運転装置の概略構成図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る電動機運転装置の定格電力供給装置の異常時の作用を示す概略構成図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電動機運転装置の1つの定格電力供給装置に対して複数の電動機を接続した例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第1の実施形態に係る電動機運転装置について図1乃至図3を参照して
説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動機運転装置の概略構成図である。
電動機運転装置1は、起動電力供給装置2と、定格電力供給装置3と、切替回路4と、フ
ィルタ回路5と、負荷投入回路6と、演算部7とから構成される。また、定格電力供給装
置3は内部に後述する異常判定機能を有する。電動機運転装置1には、後述する接続関係
で複数の電動機11が接続され、切替回路4と、フィルタ回路5と、負荷投入回路6は、
それぞれ複数の電動機11と同数設けられる。
【0014】
所内母線10は、外部電源から所内電力31を受電し、所内母線10に接続される機器
に所内電力31を供給する母線である。複数の電動機11は、起動電力供給装置2または
定格電力供給装置3から電力供給を受けて回転動作するモータである。また、フィルタ回
路5は、起動電力供給装置2および定格電力供給装置3から供給される交流電力の波形を
整形し、ノイズを除去することによって電動機11の力率改善に作用するものである。さ
らに負荷投入回路6は、閉鎖によって電動機11に電力を供給し、開放によって電動機1
1への電力供給を遮断することができる回路である。
【0015】
以下、電動機運転装置1および複数の電動機11ならびに所内母線10の接続関係につ
いて説明する。起動電力供給装置2および定格電力供給装置3は、各々所内母線10から
所内電力31を受電することができるように、起動電力供給装置2および定格電力供給装
置3と所内母線10とが接続される。
【0016】
複数の切替回路4の各々が起動電力供給装置2および定格電力供給装置3から切換可能
に受電できるように、複数の切換回路4に起動電力供給装置2および定格電力供給装置3
が接続される。さらに、複数の切換回路4にフィルタ回路5と、負荷投入回路6とが順に
直列に接続され、複数の負荷投入回路6の下流に電動機11が各々接続される。
【0017】
演算部7は、起動電力供給装置運転指令21を起動電力供給装置2に送信することがで
きるように、演算部7と起動電力供給装置2とが接続される。さらに演算部7は、定格電
力供給装置運転指令22を定格電力供給装置3に送信することができるように、演算部7
と定格電力供給装置3とが接続される。また演算部7は、定格電力供給装置異常信号25
を定格電力供給装置3から受信することができるように、演算部7と定格電力供給装置3
とが接続される。
【0018】
またさらに演算部7は、切換指令23を複数の切換回路4の各々に送信することができ
るように、演算部7と複数の切換回路4とが接続される。さらに演算部7は、開閉指令2
4を複数の負荷投入回路6の各々に送信することができるように、演算部7と複数の負荷
投入回路6とが接続される。
【0019】
(作用)
以下、本発明の第1の実施形態の作用について説明する。まず、定格電力供給装置3に
異常が発生しない通常運転時の作用について説明する。
【0020】
電動機運転装置1は、起動電力供給装置2によって起動電力32を複数の電動機11に
順次供給し定格運転まで加速し、定格電力供給装置3によって複数の電動機11のうち定
格運転まで加速されたものに対して、起動電力供給装置2から切替えて定格電力33を並
列に供給して定格運転を行う。ここで定格電力33とは、周波数および電圧が一定の定格
周波数および定格電圧からなる交流電力であり、電動機11は定格電力33を受電して定
格運転を行う。また起動電力32とは、周波数および電圧が起動周波数および起動電圧か
ら定格電力33の定格周波数および定格電圧まで漸次増加する交流電力であり、電動機1
1は起動電力32を受電して停止状態から定格運転の回転数まで加速する。
【0021】
以下、起動運転が終了し定格運転中の電動機11a、起動運転中の電動機11b、起動
前の電動機11cの作用について説明する。
【0022】
まず、電動機11aの作用について説明する。定格運転中の電動機11aは、起動運転を
終えて定格運転に移行している。このとき演算部7は、電動機11aに必要な定格電力3
3を供給させる定格電力供給装置運転指令22を定格電力供給装置3に送信する。定格電
力供給装置3は、定格電力供給装置運転指令22を受信し、所内母線10の所内電力31
を変換して電動機11aに必要な定格電力33を供給する。
【0023】
また演算部7は、定格電力供給装置3から受電させる切換指令23aを切換回路4aに送
信する。切換回路4aは、切換指令23aを受信して定格電力供給装置3から受電を行う切
り換えを行う。さらに演算部7は、負荷投入回路6aを閉鎖させる開閉指令24aを負荷投
入回路6aに送信し、負荷投入回路6aは閉鎖して定格電力33を電動機11aに供給する

【0024】
次に、電動機11bの作用について説明する。電動機11bは、起動電力32を受電し
て起動運転を行っている。このとき演算部7は、電動機11bに必要な起動電力32を供
給させる起動電力供給装置運転指令21を起動電力供給装置2に送信する。起動電力供給
装置2は、起動電力供給装置運転指令21を受信し、所内母線10の所内電力31を変換
して電動機11bに必要な起動電力32を供給する。
【0025】
さらに演算部7は、起動電力供給装置2から受電させる切換指令23bを切換回路4b
に送信する。切換回路4bは、切換指令23bを受信し、起動電力供給装置2から受電す
る切り換えを行う。さらに演算部7は、負荷投入回路6bを閉鎖させる開閉指令24bを
負荷投入回路6bに送信し、負荷投入回路6bは閉鎖して起動電力32を電動機11bに
供給する。
【0026】
電動機11bが定格運転まで加速されると、演算部7は、電動機11bへの起動電力3
2の供給を停止させる起動電力供給装置運転指令21を起動電力供給装置2に送信し、起
動電力供給装置2は電動機11bへの起動電力32の供給を停止する。
【0027】
また演算部7は、定格電力供給装置3に対して電動機11aに加えて電動機11bに必
要な定格電力33を供給させる定格電力供給装置運転指令22を送信し、定格電力供給装
置3は、所内母線10の所内電力31を変換して電動機11aおよび電動機11bに必要
な定格電力33を供給する。さらに演算部7は、定格電力供給装置3から受電させる切換
指令23bを切換回路4bに送信し、切換回路4bは、定格電力供給装置3から受電を行
う切り換えを行う。
【0028】
このとき、起動電力32から定格電力33の位相のずれが大きい場合は、演算部7は、
負荷投入回路6bを一旦開放動作させ、起動電力32から定格電力33の切換の後に、電
動機11の位相に定格電力33の位相を一致させるタイミングで閉鎖動作させる開閉指令
24bを負荷投入回路6bに送信してもよい。これにより起動電力32から定格電力33
への切換における電動機11の負荷を低減することができる。
【0029】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電動機運転装置の起動運転から定格運転までの
電動機の周波数の変化を示すグラフである。破線Aに示す電動機11bは、起動運転時に
おいて起動電力供給装置2からの破線Bに示す起動電力32の受電によって周波数を増加
させ加速する。電動機11bが定格周波数まで加速すると、演算部7からの起動電力供給
装置運転指令21によって、起動電力供給装置2は電動機11bへの起動電力32の供給
を停止する。
【0030】
さらに、演算部7からの定格電力供給装置運転指令22によって、定格電力供給装置3
は電動機11bへの定格電力33の供給を起動電力供給装置2から切り替えて行う。ここ
で、図2の実線Cに示すように定格電力供給装置3は、定格電力33の周波数まであらか
じめ加速し、定格電力33の供給のスタンバイしておくことが望ましい。電動機11bの
起動運転から定格運転への移行が終了すると、演算部7は、次の電動機11cについて起
動運転を行う。
【0031】
最後に、電動機11cの作用について説明する。電動機11cは起動前の停止状態であ
る。したがって、演算部7は、起動電力供給装置2および定格電力供給装置3のいずれも
から電力を受電させない切換指令23cを切換回路4cに送信し、切換回路4bは、起動
電力供給装置2および定格電力供給装置3のいずれもから電力を受電しない位置に切り替
えを行う。さらに演算部7は、負荷投入回路6cを開放させる開閉指令24cを負荷投入
回路6cに送信し、負荷投入回路6cは開放して電動機11bへの電力供給を遮断しても
よい。
【0032】
次に、定格電力供給装置3に異常が発生した時の作用について説明する。図3は、本発
明の第1の実施形態に係る電動機運転装置の定格電力供給装置の異常時の作用を示す概略
構成図である。定格電力供給装置3は、内部に異常判定機能を有する。異常判定機能とし
て、定格電力供給装置3の電圧または周波数の正常値との比較や平滑コンデンサの容量測
定による劣化判定等を診断機能として適用することができる。
【0033】
以下、定格電力供給装置3の異常発生前において電動機11a、11bは起動運転を終
えて定格電力に移行しており、電動機11cは起動前であるものとして説明する。
【0034】
まず、電動機11a、11bの作用について説明する。定格電力供給装置3に異常が発
生したとき、定格電力供給装置3は、定格電力供給装置異常信号25を演算部7に送信す
る。演算部7は、定格電力供給装置異常信号25を受信すると、複数の負荷投入回路6の
うち接続されている電動機11が定格運転を行っているもの、すなわち負荷投入回路6a
、6bに対して、開放を行う開閉指令24a、24bを各々送信する。負荷投入回路6a、
6bは、開閉指令24a、24bを受信して開放し、定格電力供給装置3の異常による過
剰な電力の供給や周波数または電圧の急変による電動機11への負荷が低減される。
【0035】
また演算部7は、起動電力供給装置2に対して、複数の電動機11のうち定格運転を行
っている電動機11a、11bに定格電力33を供給させる起動電力供給装置運転指令2
1を送信する。起動電力供給装置2は、起動電力供給装置運転指令21を受信して所内母
線10の所内電力31を用いて電動機11a、11bに必要な定格電力33を供給する。
ここで起動電力供給装置2は、常に定格電力33を供給することができるように定格周波
数まで加速してスタンバイしておくことが望ましい。
【0036】
さらに演算部7は、複数の切換回路4のうち接続されている電動機11が定格運転を行
っているもの、すなわち切換回路4a、4bに対して、起動電力供給装置2から受電する
ように切り換えを行う切換指令23a、23bを送信する。切換回路4a、4bは、切換指
令23を受信して起動電力供給装置2から受電する切り換えを行う。
【0037】
さらに演算部7は、負荷投入回路6a、6bに対して、閉鎖動作を行う開閉指令24a、
24bを各々送信する。負荷投入回路6a、6bは、開閉指令24a、24bを受信して閉
鎖し、起動電力供給装置2からの定格電力33を各々の電動機11a、11bに供給する

【0038】
次に、電動機11cの作用について説明する。電動機11cは起動前である。したがっ
て、演算部7は、起動電力供給装置2および定格電力供給装置3のいずれもから電力を受
電させない切換指令23bを切換回路4cに送信し、切換回路4cは、起動電力供給装置
2および定格電力供給装置3のいずれもから電力を受電しない位置に切り替えを行う。さ
らに演算部7は、負荷投入回路6cを開動作させる開閉指令24cを負荷投入回路6cに
送信し、負荷投入回路6cは開放して電動機11bへの電力供給を遮断してもよい。
【0039】
なお、電動機11cが起動運転中である場合も、定格運転まで加速されないうちに定格
電力33を供給すると、電動機11cへの負荷が生じる可能性があるため、上述した起動
前である場合と同様に、切換回路4bは、起動電力供給装置2および定格電力供給装置3
のいずれもから電力を受電しない位置に切り替えを行うものとする。
【0040】
(効果)
本発明の第1の実施形態によれば、起動電力供給装置2によって起動電力を複数の電動
機11に順次供給し定格運転まで加速し、定格電力供給装置3によって複数の電動機11
のうち定格運転まで加速されたものに対して、起動電力供給装置2から切替えて定格電力
を供給することによって、起動電力供給装置2の容量を削減することができ、さらに起動
電力供給装置2を運転させずに定格運転を行うことができる。
【0041】
さらに、定格電力供給装置3の異常発生時において、起動電力供給装置2によって定格
電力を定格電力供給装置3から切替えて複数の電動機11のうち定格運転中のものに対し
供給することによって、安定して複数の電動機11を定格運転することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
(構成)
以下、本発明の第2の実施形態に係る電動機運転装置について図4乃至図6を参照して
説明する。第1の実施形態に係る電動機運転装置の各部と同一部分には同一符号を付し、
同一の構成についての説明は省略する。
【0043】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る電動機運転装置の概略構成図である。第2の実
施形態が第1の実施形態と異なる点は、定格電力供給装置3を複数の電動機11と同数設
けた点である。複数の切換回路4に複数の定格電力供給装置3の各々から電力供給できる
ように、複数の切換回路4の各々に定格電力供給装置3とが接続される。
【0044】
複数の定格電力供給装置3は、それぞれ接続される電動機11が必要とする定格電力3
2を供給し、上述した第1の実施形態のように、定格運転している電動機11の数に応じ
て供給電力32の電力量を変化させないものとする。
【0045】
(作用)
以下、本発明の第2の実施形態の作用について説明する。まず、定格電力供給装置3に
異常が発生しない通常時の作用について説明する。以下、起動運転が終了し定格運転中の
電動機11a、起動運転中の電動機11b、起動前の電動機11cの作用について説明す
る。
【0046】
まず、電動機11aの作用について説明する。定格運転中の電動機11aは、後述する起
動運転を終えて定格運転に移行している。このとき演算部7は、電動機11に定格電力を
供給させる定格電力供給装置運転指令22を定格電力供給装置3aに送信し、定格電力供
給装置3は、所内母線10の所内電力31を変換して電動機11aに必要な定格電力を供
給する。
【0047】
また演算部7は、定格電力供給装置3aから受電させる切換指令23aを切換回路4aに
送信する。切換回路4aは、切換指令23aを受信し、定格電力供給装置3aから受電する
切り換えを行う。さらに演算部7は、負荷投入回路6aを閉鎖させる開閉指令24aを負荷
投入回路6aに送信し、負荷投入回路6aは閉鎖して定格電力33を電動機11aに供給す
る。
【0048】
次に、電動機11bの作用について説明する。電動機11bは、起動電力供給装置2か
ら起動電力32を受電して起動運転を行っている。このとき演算部7は、電動機11bに
起動電力32を供給させる起動電力供給装置運転指令21を起動電力供給装置2に送信し
、起動電力供給装置2は、所内母線10の所内電力31を変換して電動機11bに必要な
起動電力32を供給する。
【0049】
また演算部7は、起動電力供給装置2から受電させる切換指令23bを切換回路4bに
送信し、切換回路4bは、起動電力供給装置2から受電する切り換えを行う。さらに演算
部7は、負荷投入回路6bを閉鎖させる開閉指令24bを負荷投入回路6bに送信し、負
荷投入回路6bは閉鎖して起動電力32を電動機11bに供給する。
【0050】
電動機11bに起動電力32が供給され、定格運転まで加速されると、演算部7は、電
動機11bへの起動電力32の供給を停止させる起動電力供給装置運転指令21を起動電
力供給装置2に送信し、起動電力供給装置2は電動機11bへの起動電力32の供給を停
止する。また演算部7は、電動機11bに定格電力33を供給させる定格電力供給装置運
転指令22bを定格電力供給装置3bに送信し、定格電力供給装置3bは、所内母線10の
所内電力31を変換して電動機11bに必要な定格電力を供給する。
【0051】
また演算部7は、定格電力供給装置3bから受電させる切換指令23bを切換回路4b
に送信し、切換回路4bは、定格電力供給装置3bから受電する切り換えを行う。さらに
演算部7は、負荷投入回路6bを一旦開放動作させ、起動電力32から定格電力33の切
換の後に閉鎖させる開閉指令24bを負荷投入回路6bに送信してもよい。
【0052】
最後に、電動機11cの作用について説明する。電動機11cは起動前である。したが
って、演算部7は、起動電力供給装置2および定格電力供給装置3cのいずれもから電力
を受電させない切換指令23cを切換回路4cに送信し、切換回路4bは、起動電力供給
装置2および定格電力供給装置3cのいずれもから電力を受電しない位置に切り替えを行
う。
【0053】
次に、定格電力供給装置3a、3b、3cのうち定格電力供給装置3bに異常が発生し
た時の作用について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る電動機運転装置の
定格電力供給装置の異常時の作用を示す概略構成図である。定格電力供給装置3bは、異
常の発生を示す定格電力供給装置異常信号25bを演算部7に送信する。
【0054】
ここで、定格電力供給装置3の異常発生前において電動機11a、11bは起動運転を
終えて定格電力に移行しており、電動機11cは起動前であるものとする。
【0055】
まず、電動機11a、11bの作用について説明する。定格電力供給装置3bは、定格
電力供給装置3bに異常が発生したとき、定格電力供給装置異常信号25bを演算部7に
送信する。演算部7は、定格電力供給装置異常信号25bを受信すると、起動電力供給装
置2に対して、複数の電動機11のうち定格電力供給装置3に異常が発生しているもの、
すなわち電動機11bに定格電力33を供給させる起動電力供給装置運転指令21を送信
する。起動電力供給装置2は、起動電力供給装置運転指令21を受信して、所内母線10
の所内電力31を用いて電動機11bに必要な定格電力33を供給する。
【0056】
さらに演算部7は、複数の切換回路4のうち定格電力供給装置3に異常が発生している
もの、すなわち切換回路4bに対して、起動電力供給装置2から受電する切り換えを行う
切換指令23bを送信する。切換回路4bは、切換指令23を受信して起動電力供給装置
2から受電する切り換えを行う。
【0057】
次に、電動機11cの作用について説明する。電動機11cは起動前である。したがっ
て、演算部7は、起動電力供給装置2および定格電力供給装置3のいずれもから電力を受
電させない切換指令23bを切換回路4cに送信し、切換回路4cは、起動電力供給装置
2および定格電力供給装置3のいずれもから電力を受電しない位置に切り替えを行う。
【0058】
本実施形態は、以下の変形が可能である。図6は、本発明の第2の実施形態に係る電動
機運転装置の1つの定格電力供給装置に対して複数の電動機を接続した例を示す概略構成
図である。この場合、例えば2つ乃至3つの電動機11を1グループとして複数のグルー
プ化を行い、このグループ化した電動機11につき1つの定格電力供給装置3を接続する
構成とする。
【0059】
また、定格電力供給装置3は接続されたグループの電動機11を定格運転させるために
必要な定格電力33を供給するものとする。さらに、起動電力供給装置2は、各グループ
の電動機11を同時に起動運転するために必要な起動電力32を供給するものとする。こ
の構成においては、起動電力供給装置2は、起動電力32をグループ毎に順次供給し定格
運転まで加速し、定格電力供給装置3は、接続されているグループの電動機11が定格運
転まで加速されたとき、起動電力供給装置2から切替えてこのグループに定格電力33を
供給する。さらに定格電力供給装置3の異常時において、起動電力供給装置2は、複数の
グループのうち異常ある定格電力供給装置3が接続されているグループに定格電力33を
定格電力供給装置3から切替えて供給する。
【0060】
また上述した第1の実施形態においても、1つの切換回路4に対してグループ化した複
数の電動機11を接続する構成とすることができる。この構成においては、起動電力供給
装置2は起動電力32をグループ毎に順次供給し定格運転まで加速し、定格電力供給装置
3は、複数のグループのうち電動機11が定格運転まで加速されているグループに対して
、起動電力供給装置2から切替えて定格電力33を供給する。さらに定格電力供給装置3
の異常時において、起動電力供給装置2は、定格電力供給装置3から切替えてグループの
うち電動機11が定格運転中のグループに定格電力33を供給する。
【0061】
(効果)
本発明の第2の実施形態によれば、定格電力供給装置3を複数の電動機11の各々に設
けることによって、定格電力供給装置3の容量を削減することができる。さらに起動電力
供給装置2は、定格電力供給装置3の異常発生時に、異常ある定格電力供給装置3が供給
する分のみの定格電力を供給すればよいので、起動電力供給装置2の容量をさらに削減す
ることができる。
【0062】
なお、本発明の実施形態は上述した実施形態に限られないことは言うまでもない。例え
ば、電動機11の数や容量、所内電力31および起動電力32ならびに定格電力33の電
圧や周波数は、電動機11が用いられる装置の規模や性能要求によって適宜変更され得る
ものである。
【0063】
また、起動電力供給装置2および定格電力供給装置3は、共通した所内母線10の所内
電力31を変換するだけでなく、それぞれ独立した所内母線10の所内電力31を受電し
て変換する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1・・・電動機運転装置
2・・・起動電力供給装置
3・・・定格電力供給装置
4・・・切替回路
5・・・フィルタ回路
6・・・負荷投入回路
7・・・演算部
10・・・所内母線
11・・・電動機
21・・・起動電力供給装置運転指令
22・・・定格電力供給装置運転指令
23・・・切換指令
24・・・開閉指令
25・・・定格電力供給装置異常信号
31・・・所内電力
32・・・起動電力
33・・・定格電力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所内母線の所内電力を漸次周波数および電圧が増加する起動電力に変換し、この起動電
力を複数の電動機に順次供給し定格運転まで加速する起動電力供給装置と、
前記所内電力を定格電力に変換し、複数の前記電動機のうち前記定格運転まで加速された
ものに対して、前記起動電力供給装置から切替えて定格電力を供給する定格電力供給装置
とを備え、
前記起動電力供給装置は、前記定格電力供給装置の異常時において、前記定格電力を前記
定格電力供給装置から切替えて複数の前記電動機のうち定格運転中のものに供給すること
を特徴とする電動機運転装置。
【請求項2】
所内母線の所内電力を漸次周波数および電圧が増加する起動電力に変換し、この起動電
力を複数の電動機に順次供給し定格運転まで加速する起動電力供給装置と、
複数の前記電動機の各々に接続され、前記所内電力を定格電力に変換し、接続されている
前記電動機が前記定格運転まで加速されたとき、前記起動電力供給装置から切替えて定格
電力を供給する定格電力供給装置とを備え、
前記起動電力供給装置は、前記定格電力供給装置の異常時において、複数の前記電動機の
うち接続されている前記定格電力供給装置に異常あるものに対して、前記定格電力を前記
定格電力供給装置から切替えて供給することを特徴とする電動機運転装置。
【請求項3】
所内母線の所内電力を漸次周波数および電圧が増加する起動電力に変換し、この起動電
力をグループ化された複数の電動機にグループ毎に順次供給し定格運転まで加速する起動
電力供給装置と、
前記所内電力を定格電力に変換し、前記グループのうち前記電動機が前記定格運転まで加
速された前記グループに対して、前記起動電力供給装置から切替えて定格電力を供給する
定格電力供給装置とを備え、
前記起動電力供給装置は、前記定格電力供給装置の異常時において、前記定格電力を前記
定格電力供給装置から切替えて前記グループのうち前記電動機が定格運転中の前記グルー
プに供給することを特徴とする電動機運転装置。
【請求項4】
所内母線の所内電力を漸次周波数および電圧が増加する起動電力に変換し、この起動電
力をグループ化された複数の電動機にグループ毎に順次供給し定格運転まで加速する起動
電力供給装置と、
前記グループの各々に接続され、前記所内電力を定格電力に変換し、接続されている前記
グループの前記電動機が前記定格運転まで加速されたとき、前記起動電力供給装置から切
替えて定格電力を供給する定格電力供給装置とを備え、
前記起動電力供給装置は、前記定格電力供給装置の異常時において、前記グループのうち
異常ある前記定格電力供給装置が接続されている前記グループに前記定格電力を前記定格
電力供給装置から切替えて供給することを特徴とする電動機運転装置。
【請求項5】
複数の前記電動機の各々の上流において切換回路をさらに設け、
この切換回路によって前記起動電力供給装置および前記定格電力供給装置からの電力供給
の切り換えを行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の電動機運
転装置。
【請求項6】
前記切換回路の各々の下流において、前記起動電力供給装置および前記定格電力供給装
置からの電力を閉鎖によって供給し、開放によって遮断する負荷投入回路をさらに設けた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の電動機運転装置。
【請求項7】
複数の前記電動機の各々に直列に接続され、前記起動電力および前記定格電力を整流す
るフィルタ回路をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記
載の電動機運転装置。
【請求項8】
所内母線の所内電力を漸次周波数および電圧が増加する起動電力に変換し、この起動電
力を複数の電動機に順次供給し定格運転まで加速する電動機起動運転工程と、
前記所内電力を定格電力に変換し、複数の前記電動機のうち前記定格運転まで加速された
ものに定格電力を供給する電動機定格運転工程と、
前記電動機定格運転工程における定格電力の供給の異常時において、前記定格電力を前記
電動機起動運転工程における起動電力供給手段を用いて前記電動機に供給する工程とを備
えることを特徴とする電動機運転方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate