説明

電動車両用バッテリのコネクタ構造

【課題】バッテリを上昇させつつ車体フロアの下側に取り付ける時に用いるコネクタ構造が、コネクタ部材間の芯ずれにより横負荷を受けることのないようにする。
【解決手段】バッテリ2は、左右ガイド手段21による上下方向案内下に上昇させた後、ねじ式ロック機構22により車体フロア5の下方に取り付ける。バッテリ2と車体側電装系とを接続するコネクタユニット23は、バッテリ2の上昇中にバッテリ側コネクタ部材が車体側コネクタ部材に嵌合する。バッテリ側コネクタ部材は、バッテリ2の前端面に、車幅方向中程へ配して取り付け、車体側コネクタ部材を、バッテリ2の上昇ストローク中、バッテリ側コネクタ部材が嵌合し得るようトンネル部6内に配置して車体に取り付ける。よってコネクタユニット23は、両ガイド手段21の双方に近い位置に存在し、両コネクタ部材の芯ずれを回避し得て、コネクタユニット23が横負荷を受けることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド車両のように電動モータを搭載した電動車両において、
電動モータ用のバッテリと、車体側電装系との間の電気接続を司るコネクタ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車両のような電動車両にあっては、電動モータ用に大容量で大型のバッテリ(多数のバッテリを相互に接続してユニット化したもの)が必要である。
【0003】
かかるバッテリは大型であるだけでなく、重く(例えば、電気自動車の場合400kg程度)、車体に着脱自在または永続的に取り付けるとき、車体の重心が高くなって不安定になるのを回避する工夫、および車幅方向の車両重量バランスをとる工夫が必要である。
そのため、大型で重いバッテリを車体に取り付けるに当たっては、このバッテリを車体フロアの下方に配して、またバッテリの車幅方向中央がほぼ車体の車幅方向中程に位置するよう配して取り付けるのが一般的である。
【0004】
そして、この取り付けに際しバッテリを、車両上下方向案内下に上昇させて車体フロアの下方に取り付ける場合、
車体側のコネクタ部材およびバッテリ側のコネクタ部材より成るコネクタユニットは、バッテリの上昇ストローク中にバッテリ側のコネクタ部材が車体側のコネクタ部材に電気接続状態に嵌合されるよう構成、配置するのが、バッテリの取り付けを自動化するのに有利である。
【0005】
電動車両用バッテリのコネクタ構造としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが提案されている。
この提案技術は、バッテリを上記のごとく上昇させて車体フロアの下方に取り付けるものでなく、バッテリを車体フロアの下方レベルで車幅方向に挿入することにより車体フロアの下方に取り付けるものを前提とするが、
バッテリの挿入方向後端面(車幅方向における一側面)にバッテリ側コネクタ部材を設け、バッテリの上記挿入による車体フロア下方への取り付け後に、車体側コネクタ部材をバッテリ側コネクタ部材に対し電気接続状態に嵌合するよう構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−362261号公報(図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記のごとくバッテリを上昇させて車体フロアの下方に取り付ける型式の電動車両に上記従来の提案技術を適用し、バッテリの車幅方向一側面にバッテリ側のコネクタ部材を設けた場合、以下のような問題を生ずる。
【0008】
ここで、バッテリを取り付ける車体の組み立てについて論ずるに、車体の組み立ては、以下のごとくにこれを行う。
先ず、車体組み立て治具により車体骨格部材間の相互位置決めを行うが、その際、これら車体骨格部材に設けた基準位置としてのロケートホールに車体組み立て治具の位置決めピンを挿入して車体骨格部材の相互位置決めを行う。
次に、この相互位置決め状態を保って車体骨格部材間を溶接などにより相互に結合することで、車体を高精度に組み立てる。
【0009】
一方、各車体骨格部材の基準位置となるロケートホールは2個一組とし、車幅方向両側に離間させて配置しなければ、上記した本来の高精度な車体骨格部材間相互位置決め機能を果たし得ない。
そして、これら2個一組のロケートホールは、車体前部を乗員保護などのため車体後部よりも高強度に構成することから、車両の前側におけるロケートホールの方が、車両の後側におけるロケートホールよりも位置精度に優れているのが普通である。
【0010】
次に、バッテリを上昇させつつ車体フロアの下方に取り付ける際、当該バッテリを車両上下方向に案内するガイド手段について論ずる。
このガイド手段は、上昇中のバッテリを、車体フロアの下面における下向きバッテリ収納空所に対し整列した車両前後方向位置および車幅方向位置に位置決めしておくもので、ロケートピンなどにより構成する。
【0011】
かかるロケートピンなどで構成されるガイド手段も、その設置目的に照らして、上記のロケートホールと同様に2個一組として設ける必要がある。
そして当該ガイド手段は、バッテリを車体フロア下面の下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させるものであるを要し、さもなくばバッテリが上昇ストローク中にバッテリ収納空所の開口縁と干渉し、最悪の場合バッテリの取り付け不能を惹起する。
【0012】
バッテリを車体フロア下面の下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させるためには、その用をなすべく設ける2個一組のバッテリガイド手段を、車体組み立て時の高精度基準位置であった比較的車両前側で、且つ車幅方向両側における2個一組の車体ロケートホールに近接して配置するのが良い。
【0013】
その理由は、以下のためである。
バッテリのガイド手段と車体ロケートホールとの距離が遠いほど、バッテリガイド手段の設置箇所における車体組み立て誤差の累積値が大きくなって、バッテリガイド手段が車体に対し大きな相対位置ずれを持つようになり、その分だけバッテリ収納空所に対するバッテリの整列精度が低下する。
しかし、バッテリガイド手段を車体ロケートホールの近くに配置すれば、上記車体組み立て誤差の累積値が小さく、車体に対するバッテリガイド手段の相対位置ずれも小さくて、バッテリ収納空所に対するバッテリの整列精度が高くなる。
【0014】
かかる理由から、2個一組のバッテリガイド手段を、前記の通り車体組み立て時の高精度基準位置であった比較的車両前側で、且つ車幅方向両側における2個一組の車体ロケートホールに近接して配置すれば、
2個一組のバッテリガイド手段がバッテリを車体フロア下面の下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させ得て、
バッテリが上昇ストローク中にバッテリ収納空所の開口縁と干渉する不都合を回避することができる。
【0015】
そして、かように2個一組のバッテリガイド手段を、同じく2個一組の車体のロケートホールの近くに配置するに当たっては、
これらロケートホールが前記した通り車体の比較的前側で、且つ車幅方向両側に位置することから、バッテリガイド手段をバッテリの車両前後方向前端寄りにおける車幅方向両側に設けることとなる。
【0016】
ところで、バッテリを上昇させて車体フロアの下方に取り付ける電動車両に前記従来の提案になるコネクタ構造の考え方を適用し、バッテリの車幅方向一側面にバッテリ側のコネクタ部材を設けた場合、
当該バッテリ側のコネクタ部材と、車体側のコネクタ部材とで構成されるコネクタユニットが、一方のバッテリガイド手段に対しては近いものの、他方のバッテリガイド手段からは遠く離れていることになる。
【0017】
コネクタユニットが、2個一組のバッテリガイド手段の双方から遠く離れているときは勿論のこと、上記のごとくこれらバッテリガイド手段のうちの一方のみから遠く離れているときも、
前記した車体組み立て誤差の累積により、コネクタユニットを成すバッテリ側コネクタ部材と、車体側コネクタ部材との相対位置ずれが発生して、バッテリ側コネクタ部材と車体側コネクタ部材との相互嵌合部に芯ずれを生ずる。
【0018】
かかるバッテリ側コネクタ部材および車体側コネクタ部材間の芯ずれは、両コネクタ部材の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷を掛けてコネクタユニットの耐久性を低下させるだけでなく、コネクタ部材の相互嵌合部に部分的に隙間を生じさせてスパークの発生原因となる。
【0019】
本発明は、かかる問題の原因であるバッテリ側コネクタ部材および車体側コネクタ部材間の芯ずれを解消するには、これらコネクタ部材により構成されるコネクタユニットを、バッテリの車両前後方向前端寄りにおける車幅方向両側に設けたバッテリガイド手段の双方に対し近い位置、つまり、これらバッテリガイド手段間の中間位置に配置する必要があるとの事実認識に基づき、
この着想を具体化して上記の問題を解消した、電動車両用バッテリのコネクタ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このため、本発明による電動車両用バッテリのコネクタ構造は、以下のごとくにこれを構成する。
先ず、本発明の要旨構成の基礎前提となる電動車両は、
車体フロアの下方にバッテリを、該バッテリの車両前後方向前端寄りの車幅方向両側にそれぞれ設けたガイド手段による車両上下方向案内下に上昇させて取り付けたものである。
【0021】
また、かかる電動車両に用いる本発明のバッテリのコネクタ構造は、
上記バッテリの上昇ストローク中相互に電気接続される車体側コネクタ部材およびバッテリ側コネクタ部材より成るコネクタユニットを具えたものであることを前提とする。
【0022】
本発明は、かかる電動車両用バッテリのコネクタ構造において、
上記バッテリ側コネクタ部材を、上記バッテリの車両前後方向前端部で車幅方向中程に配置して取り付け、
上記車体側コネクタ部材を、上記バッテリの上昇ストローク中、上記バッテリ側コネクタ部材が電気接続状態に嵌合し得るよう配置して車体に取り付けた構成に特徴づけられる。
【発明の効果】
【0023】
かかる本発明の電動車両用バッテリのコネクタ構造にあっては、以下の作用効果が奏し得られる。
【0024】
つまり、バッテリ側コネクタ部材を、バッテリの車両前後方向前端部で車幅方向中程に配置して取り付け、車体側コネクタ部材を、バッテリの上昇ストローク中、バッテリ側コネクタ部材が電気接続状態に嵌合し得るよう配置して車体に取り付けたことから、
車体側コネクタ部材およびバッテリ側コネクタ部材よりなるコネクタユニットが、バッテリの車両前後方向前端寄りで車幅方向両側におけるバッテリガイド手段間の中間位置に存在することとなる。
【0025】
そのためコネクタユニットは、バッテリガイド手段の双方に対し近い位置にあって、コネクタユニットを構成する車体側コネクタ部材およびバッテリ側コネクタ部材は、前記した車体組み立て誤差の累積に起因した相対位置ずれを解消される。
【0026】
従って、バッテリの取り付け状態で、車体側コネクタ部材とバッテリ側コネクタ部材との相互嵌合部に芯ずれを生ずることがなく、
この芯ずれにより、コネクタユニットが耐久性を損なわれたり、コネクタ部材の相互嵌合部に部分的に隙間が生じてスパークが発生するという前記の問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のコネクタ構造を適用可能な電気自動車の車体に対するバッテリの配置例を示す、車両の左前方上方から見た斜視図である。
【図2】図1の電気自動車を車両上方から見て示すバッテリ配置例の平面図である。
【図3】図1の電気自動車を車両側方から見て示すバッテリ配置例の側面図である。
【図4】図1に示す電気自動車の車体フロア構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例になるコネクタ構造を具えた電気自動車を車両下方から見て示す底面図である。
【図6】図5に示す電気自動車におけるバッテリガイド手段を、車体フロアの下方から見て示す斜視図である。
【図7】図6のバッテリガイド手段を、同図のVII-VII線上で断面とし、矢の方向に見て示す断面図である。
【図8】図6,7に示すバッテリガイド手段の分解斜視図である。
【図9】図5に示した電気自動車におけるねじ式ロック機構をアンロック位置で示す、ロックナット側から見た全体斜視図である。
【図10】図5に示した電気自動車におけるねじ式ロック機構をロック位置で示す、ロックナット側から見た全体斜視図である。
【図11】図5に示した電気自動車におけるねじ式ロック機構のロックナット強制連れ回し部を分解して示す、ねじ式ロック機構の要部分解斜視図である。
【図12】図11におけるロックナット強制連れ回し部を拡大して示す拡大詳細分解斜視図である。
【図13】図9〜12におけるねじ式ロック機構のロック時におけるロックナット強制連れ回し動作を説明するための斜視図で、 (a)は、ねじ式ロック機構をロックナット強制連れ回し前のアンロック位置で示す斜視図、 (b)は、ねじ式ロック機構をロックナット強制連れ回し後のロック位置で示す斜視図である。
【図14】図9〜12におけるねじ式ロック機構のロックナット強制連れ回し動作を説明するための正面図で、 (a)は、ねじ式ロック機構を図13(b)と同じロックナット強制連れ回し後のロック位置で示す正面図、 (b)は、ねじ式ロック機構をロックナット強制連れ回し後、ロックナットがねじ込み方向にストロークされた状態で示す正面図である。
【図15】図9〜12におけるねじ式ロック機構が図14(a)の状態から同図(b)の状態へ移行する時において、ロックナット強制連れ回し部材がロックナット強制連れ回し力を解放する場合の動作を説明するための説明図で、 (a)は、ロックナット強制連れ回し部材がロックナット強制連れ回し力を解放する前の状態を示す動作説明図、 (b)は、ロックナット強制連れ回し部材がロックナット強制連れ回し力を解放した時の状態を示す動作説明図である。
【図16】図9〜12におけるねじ式ロック機構のロック解除動作を説明するための正面図で、 (a)は、ねじ式ロック機構をロック解除開始前の状態で示す正面図、 (b)は、ねじ式ロック機構をロック解除開始直後の状態で示す正面である。
【図17】図9〜12におけるねじ式ロック機構のロック解除時におけるロックナット強制連れ回し動作を説明するための斜視図で、 (a)は、ねじ式ロック機構をロックナット強制連れ回し前のロック位置で示す斜視図、 (b)は、ねじ式ロック機構をロックナット強制連れ回し後のアンロック位置で示す斜視図である。
【図18】図9〜12におけるねじ式ロック機構が図16(a)の状態から同図(b)の状態へ移行する時において、ロックナット強制連れ回し部材がロックナット強制連れ回し力を発生し得るようになる場合の動作を説明するための説明図で、 (a)は、ロックナット強制連れ回し部材がロックナット強制連れ回し力を発生し得るようになる前の状態を示す動作説明図、 (b)は、ロックナット強制連れ回し部材がロックナット強制連れ回し力を発生し得るようになった時の状態を示す動作説明図である。
【図19】図5に示した電気自動車におけるコネクタユニットを、車体フロアトンネル部と直交する面で断面として示す縦断正面図である。
【図20】図19に示したコネクタユニットを、同図のXX-XX線上で断面とし、矢の方向に見て示す斜視図である。
【図21】図5に示した電気自動車において、バッテリがバッテリ収納空所まで上昇した時におけるバッテリガイド手段、ねじ式ロック機構およびコネクタユニットの相対レベルを示す説明図で、 (a)は、バッテリガイド手段のレベルを示す説明図、 (b)は、ねじ式ロック機構のレベルを示す説明図、 (c)は、コネクタユニットのレベルを示す説明図である。
【図22】図5に示した電気自動車において、バッテリがバッテリガイド手段による案内下で図21よりも更に上昇し、ねじ式ロック機構によるバッテリの位置決め機能が開始された時におけるバッテリガイド手段、ねじ式ロック機構およびコネクタユニットの相対レベルを示す説明図で、 (a)は、バッテリガイド手段のレベルを示す説明図、 (b)は、ねじ式ロック機構のレベルを示す説明図、 (c)は、コネクタユニットのレベルを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す一実施例に基づき詳細に説明する。
<全体構成>
図1〜3は、本発明のコネクタ構造を適用可能な電気自動車の車体に対するバッテリの配置例を示し、
図1は、車両の左前方上方から見て示す斜視図、図2は、車両の上方から見て示す平面図、図3は、車両の左側方から見て示す側面図である。
これらの図において、1は、電動車両である電気自動車の車体、2は、電動モータ(図示せず)用のバッテリをそれぞれ示す。
【0029】
図示の電気自動車は、上記の電動モータ(図示せず)を動力源として車両前方のモータルーム内に搭載し、この電動モータにより左右前輪3L,3Rを駆動して走行可能なものとする。
なお図1〜3では、従動輪としての左右後輪をそれぞれ4L,4Rにより示した。
【0030】
電気自動車は、電動モータ用に大容量で大型のバッテリ2を必要とし、このバッテリ2は通常、多数のバッテリシェルを相互に接続して1ユニットに構成する。
従ってバッテリ2は、大型であるだけでなく、重く(例えば400kg程度)、車体1に対し着脱自在または永続的に取り付けるとき、車体の重心が高くなって走行不安定になるのを回避する工夫、および車幅方向の車両重量バランスをとる工夫が、安全上も肝要である。
【0031】
そのため、大型で重いバッテリ2を車体1に取り付けるに当たっては、このバッテリ2を図1〜3に示すごとく車体フロア5の下方に配して、またバッテリ2の車幅方向中央がほぼ車体の車幅方向中程に位置するよう配して取り付けるのが良い。
なお図1〜3における6は、車体フロア5の車幅方向中程で車両前後方向に延在する車体フロアトンネル部(トンネル部材)である。
【0032】
以下、車体フロア5を図4,5に基づき概略説明する。
図4は、車体フロア5を車両の左斜め上方から見て示す斜視図、図5は、車体フロア5を、その下側にバッテリ2が取り付けられた状態で、車両の下方から見て示す底面図である。
【0033】
車体フロア5は、図4に明示するごとく車幅方向中程で車両前後方向に延在する中高形状のトンネル部を提供するトンネル部材6と、
図4,5に明示するごとく車幅方向両側にあってトンネル部材6に対しほぼ平行となるよう車両前後方向に延在する左右フロントサイドメンバ7,8と、
同じく図4,5に明示する通り、これら左右フロントサイドメンバ7,8の車幅方向外側に沿うよう車両前後方向に延在する左右サイドシル9,10と、
図5に明示するごとく、左右フロントサイドメンバ7,8の車両前後方向後端にそれぞれサイドメンバ結合部7a,8aを介し結合されて、ここから車両前後方向後方へ延在する左右リヤサイドメンバ11,12とを、主たる車体骨格部材として具える。
【0034】
車体フロア5の組み立てに際しては、先ず車体組み立て治具(図示せず)により車体骨格部材6〜12間の相互位置決めを行うが、その際、これら車体骨格部材6〜12に設けた基準位置としてのロケートホール(図5に、左右フロントサイドメンバ7,8のロケートホール7b,8bで示す)に車体組み立て治具の対応する位置決めピンを挿入して車体骨格部材6〜12の相互位置決めを行う。
【0035】
次に、この相互位置決め状態を保って車体骨格部材6〜12間を溶接などにより相互に結合する。
そして、車体骨格部材6〜12間の隙間を塞ぐよう図4のごとく、フロントフロアパネル13およびリヤフロアパネル14を取り付けることにより、車体フロア5を高精度に組み立てる。
なお、かかる高精度な組み立てを実現するために、組み立て時の基準位置となるロケートホール(図5に、左右フロントサイドメンバ7,8のロケートホール7b,8bで示す)は、対を成すもの同士が車幅方向両側に位置するよう配置する。
【0036】
図1〜3につき前述したごとくバッテリ2を車体フロア5の下方に配して、またバッテリ2の車幅方向中央がほぼ車体の車幅方向中程に位置するよう配して取り付けるに際しては、
バッテリ2を車体フロア5に対し図5に示すごとき前後方向相対位置に位置させ、これによりバッテリ5の大部分を後で詳述するごとく、車体後側部分よりも強度的に優れており、且つバッテリ取り付け精度の維持に有利な、車体前側部分を構成するトンネル部材6および左右フロントサイドメンバ7,8によって支持し得るようになす。
【0037】
なおバッテリ2は図5に示すごとく、バッテリフレーム2a内に多数のバッテリシェル(図示せず)を収納し、これら多数のバッテリシェル相互に電気接続して1ユニットに構成し、電動モータ用として十分な大容量化を実現したものとする。
かかるバッテリ2を上記の通り車体フロア5の下方に配して取り付けに当たり、本実施例においては当該バッテリ2を、図5に示したガイド手段21による車両上下方向案内下に上昇させて、最終的に図1〜3および図5に示すごとき車体フロア5の下方における取り付け位置となし、この位置においてバッテリ2をねじ式ロック機構22により車体フロア5の下方にロックして取り付けるものとする。
【0038】
一方でバッテリ2は上記の車体取り付け時に、電動モータなど車体側電装系に対し電気接続する必要があり、この電気接続を司るコネクタ構造が不可欠である。
そこで本実施例においては図5に示すごとく、上記の車体側電装系に接続された車体側のコネクタ部材、およびバッテリ2に接続されたバッテリ側のコネクタ部材より成るコネクタユニット23を設ける。
【0039】
なお上記のようにバッテリ2を、ガイド手段21による車両上下方向案内下に上昇させた後、このバッテリ2をねじ式ロック機構22で車体フロア5の下方に取り付ける場合、
車体側のコネクタ部材およびバッテリ側のコネクタ部材より成るコネクタユニット23は、バッテリ2の上昇ストローク中にバッテリ側のコネクタ部材が車体側のコネクタ部材に電気接続状態に嵌合されるよう構成、配置するのが、バッテリ2の取り付けを自動化する上で大いに有利である。
【0040】
<ガイド手段>
バッテリ2を車体取り付けに際し上昇させる間、車両上下方向に案内するためのガイド手段21を詳述する。
このガイド手段21は、上昇中のバッテリ2を、車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し整列した車両前後方向位置および車幅方向位置に位置決めしておくもので、図6〜8につき後述するロケートピンなどにより構成する。
【0041】
かかるロケートピンなどで構成されるガイド手段21は、上記したその設置目的に照らして当然ながら、2個一組として設ける必要がある。
そしてガイド手段21は、バッテリ2を車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させるものでないと、バッテリ2が上昇ストローク中にバッテリ収納空所の開口縁と干渉し、最悪の場合バッテリ2が取り付け不能になる。
【0042】
バッテリ2を車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させるためには、その用をなすべく設ける2個一組のバッテリガイド手段21を、前記車体フロア組み立て時の高精度な基準位置であった車体前側部分の車幅方向両側における2個一組のロケートホール(例えば図5に示すフロントサイドメンバ7,8のロケートホールを7b,8b)の近くに配置する必要がある。
【0043】
その理由は、以下のためである。
バッテリガイド手段21と車体フロア5のロケートホール(例えば図5に示すフロントサイドメンバ7,8のロケートホールを7b,8b)との距離が遠いほど、バッテリガイド手段21の設置箇所における車体フロア組み立て誤差の累積値が大きくなって、バッテリガイド手段21が車体フロア5に対し大きな相対位置ずれを持つようになり、その分だけバッテリ収納空所に対するバッテリ2の整列精度が低下する。
しかし、バッテリガイド手段21を車体フロアロケートホールの近くに配置すれば、上記車体組み立て誤差の累積値が小さく、車体フロア5に対するバッテリガイド手段21の相対位置ずれも小さくて、バッテリ収納空所に対するバッテリの整列精度が高くなる。
【0044】
かかる理由から、2個一組のバッテリガイド手段21は、車体フロア組み立て時の高精度基準位置であった車体前側部分の車幅方向両側における2個一組の車体フロアロケートホール7b,8bの近くに配置すれば、
2個一組のバッテリガイド手段21がバッテリ2を車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させ得て、
バッテリ2が上昇ストローク中にバッテリ収納空所の開口縁と干渉する不都合を回避することができる。
【0045】
かように2個一組のバッテリガイド手段21を、同じく2個一組の車体フロア5のロケートホール7b,8bの近くに配置させるに際し本実施例においては、
これらロケートホール7b,8bが車体フロア5の前側部分において車幅方向両側に位置することから、バッテリガイド手段21を図5に示すごとく、バッテリ2の前端に近い箇所でその車幅方向両側に設置する。
【0046】
かように配置するバッテリガイド手段21はそれぞれ、図6〜8に明示する構成のロケートピンにより構成する。
つまり、バッテリ2のバッテリフレーム2aにブラケット24を介してロケートピン本体25を設け、このロケートピン本体25をブラケット24から上方へ突出させる。
バッテリ2の上昇中、ロケートピン本体25が貫入するロケートスリーブ26をフロントサイドメンバ7(8)に設ける。
【0047】
かかるバッテリガイド手段21によれば、バッテリ2の上昇中、これに設けたロケートピン本体25が図6,7に示すごとく、フロントサイドメンバ7(8)に設けたロケートスリーブ26内に貫入し、上昇中のバッテリ2を車両前後方向および車幅方向に拘束する。
よってガイド手段21は、バッテリ2を車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し高精度に整列させた状態で車両上下方向に案内し、バッテリ2が上昇ストローク中にバッテリ収納空所の開口縁と干渉する不都合を回避することができる。
【0048】
また本実施例においては、バッテリガイド手段21を図5に示すごとく、バッテリ2の前端に近い箇所でその車幅方向両側に設けることにより、車体フロア5の組み立て時高精度基準位置であった車体フロア前側部分のロケートホール7b,8bに近接配置したため、
バッテリ2を車体フロア5の下面における下向きバッテリ収納空所に対し一層高精度に整列させておくことができ、上記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
【0049】
<ねじ式ロック機構の構成>
上記したロケートピン式バッテリガイド手段21による案内下で図1〜3および図5に示すごとき車体フロア5の下方における取り付け位置まで上昇させたバッテリ2を車体フロア5の下方にロックして取り付けるためのねじ式ロック機構22を以下に詳述する。
【0050】
このねじ式ロック機構22を本実施例においては、図5に示すように左側フロントサイドメンバ7と左側リヤサイドメンバ11との左側サイドメンバ結合部7a、および右側フロントサイドメンバ8と右側リヤサイドメンバ12との右側サイドメンバ結合部8aよりも車両前後方向前方には6個、これら左右のサイドメンバ結合部7a,8aよりも車両前後方向後方には2個、それぞれ設ける。
【0051】
前側における6個のねじ式ロック機構22は、そのうちの4個を、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の前側における車幅方向両側にそれぞれ2個ずつ配置して、バッテリ2の前側における車幅方向両側をフロントサイドメンバ7,8に取り付けるようになし、
残りの2個を、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の車両前後方向前端に車幅方向へ相互離間させて配置し、バッテリ2の前端をフロントサイドメンバ7,8およびトンネル部材6間の橋絡部材15,16に取り付けるようになす。
後側における2個のねじ式ロック機構22は、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の車両前後方向後側における車幅方向両側にそれぞれ配置して、バッテリ2の後側における車幅方向両側をリヤサイドメンバ11,12に取り付けるようになす。
【0052】
ここで、ねじ式ロック機構22を左右の前後サイドメンバ結合部7a,8aより前方に多く(6個)配置し、左右の前後サイドメンバ結合部7a,8aより後方に少なく(2個)配置した理由を説明する。
車体フロア5のうち、前後サイドメンバ結合部7a,8aより前方の車体フロア部分を構成する骨格部材間の結合強度は、前後サイドメンバ結合部7a,8aより後方の車体フロア部分を構成する骨格部材間の結合強度よりも大きくて、車両上下方向における変形にも強く、平面度を確保し易い。
【0053】
そして、低強度な車体フロア5の後側部分は、高強度な車体フロア5の前側部分に対し、車両上下方向へ相対変位し易く、バッテリ2の支持強度を車体フロア5の後側部分に多く分担させたのでは、バッテリ2の支持強度が不足するだけでなく、バッテリ2の支持姿勢が不安定になる。
そこで本実施例においては、バッテリ2の支持強度を高強度な車体フロア5の前方部分に多く分担させるようにし、これにより、バッテリ2の支持強度不足を解消すると共に、バッテリ2の支持姿勢を安定させるべく、
ねじ式ロック機構22を図5につき上述した通り、左右の前後サイドメンバ結合部7a,8aより前方に多く(6個)配置し、左右の前後サイドメンバ結合部7a,8aより後方に少なく(2個)配置することとする。
【0054】
8個のねじ式ロック機構22は全て同様な構成とするため、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の前端部において車幅方向両側に配置したねじ式ロック機構22につき、その詳細構造を以下に説明する。
図9,10はそれぞれ、ねじ式ロック機構22の全体構造を示し、図9は、このねじ式ロック機構22をアンロック状態で、また図10は、このねじ式ロック機構22をロック状態でそれぞれ示す。
そして図11,12はそれぞれ、図9,10に示すねじ式ロック機構22の要部を分解して示す斜視図である。
【0055】
図9,10に全体を示すねじ式ロック機構22は、車体フロア5(フロントサイドメンバ7,8)に固着したロックプレート27との共働によりバッテリ2を車体フロア5の下面取り付け位置に着脱自在にロックするもので、
そのためロックプレート27には、矩形開口27aを穿設すると共に、その中央に配して円形開口27bを穿設する。
ロックプレート27を車体フロア5に固着するに際しては、ロックプレート27の四隅における隅角孔27cに挿通したボルトなどの緊締手段により、ロックプレート27を対応する側のフロントサイドメンバ7(8)に取着する。
【0056】
ねじ式ロック機構22は、バッテリ2(バッテリフレーム2a)に取着したロックベース31と、これに取り付けたボルト32と、これに螺合したロックナット33とを主たる構成要素とする。
ボルト32は、ロックベース31に回転自在に挿通すると共に、図9〜11におけるボルト32の下端に一体成形したボルトヘッド(図示せず)で、図9〜11の上方へ抜け止めする。
【0057】
上記のごとくロックベース31に抜け止めして回転自在に設けたボルト32は、上記抜け止め端部と反対側の端部にロックナット33を螺合して具える。
このロックナット33は、そのねじ込み方向に見て矩形など四角形断面のナットとし、その中央に、ボルト32へねじ込むための雌ねじを有する構成とする。
【0058】
そして図9〜11に示すように、ロックベース31の中心円形ボス部31aには、ロックナット33の回転を図9に示す弛緩方向制限位置であるアンロック位置、および、図10,11に示す緊締方向制限位置であるロック位置間に制限する2個のストッパ31b,31cを設ける。
【0059】
ロックプレート27に設けた矩形孔27aおよび円形孔27bのうち、前者の矩形孔27aは、図9に示すアンロック位置にあるロックナット33の通過を、その通過方向と直交する全方向に正確に位置決めした状態で許容するものとし、後者の円形孔27bは、ロックベース31に設けた中心円形ボス部31aの嵌合を許容するものとする。
ただし円形孔27bの直径は、図10,11に示すロック位置にあるロックナット33の通過を許容しない大きさとする。
【0060】
なおロックナット33には、その挿入通過方向先端の長辺側隅角をそれぞれ面取りしてテーパ面33aを、また短辺側隅角をそれぞれ面取りしてテーパ面33bを形成する。
これらテーパ面33a,33bはそれぞれ以下のように機能する。
【0061】
つまり、バッテリガイド手段21は前記したごとく、バッテリ2をその上昇ストローク中、横方向に位置決めして、バッテリ収納空所に対し整列させるが、この整列だけでは、コネクタユニット23を構成する車体側コネクタ部材およびバッテリ側コネクタ部材の嵌合部を相互に正しく芯だしすることができない。
かかる芯だし不良があると、両コネクタ部材の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷を掛けてコネクタユニット23の耐久性を低下させるだけでなく、コネクタ部材の相互嵌合部に部分的に隙間を生じさせてスパークが発生する原因となる。
【0062】
ところで本実施例においては、ロックナット33をロックプレート27の矩形孔27aに挿入方向へ通過させようとするとき、ロックナット33のテーパ面33a,33bが矩形孔27aの開口縁に衝接して当該矩形孔27aの開口縁との共働により、ロックナット33をロックプレート27の矩形孔27a内に導きつつこの矩形孔27a内に嵌合させる。
このとき、ロックナット33がロックプレート27の矩形孔27a内に隙間無く密に嵌合されることから、バッテリ2を、コネクタユニット23のバッテリ側コネクタ部材が車体側コネクタ部材に対し正確に芯だしされるよう位置決めすることができ、
両コネクタ部材の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷が作用することがなく、コネクタユニット23の耐久性が低下したり、コネクタ部材の相互嵌合部に部分的に隙間が生じてスパークが発生するという問題を回避することができる。
【0063】
次に図11,12をも参照しつつ、ボルト32の緊締方向(本実施例では右ねじとする)回転時および弛緩方向回転時に、ロックナット33を同方向へ強制的に連れ回して、図10,11に示す緊締方向制限位置(ロック位置)および図9に示す弛緩方向制限位置(アンロック位置)に回転させるためのロックナット連れ回し機構を詳述する。
【0064】
図11,12に明示するごとく、ロックナット33をねじ込むボルト32の先端部外周に複数個の軸線方向溝32aを円周方向等間隔に形成することにより、当該ボルト32の先端部を非円形断面形状となす。
かかるボルト32の先端部に図9,10のごとくに嵌着してロックナット強制連れ回し部材34を設ける。
【0065】
このロックナット強制連れ回し部材34は、板状部材34aと、これに一体成形した2個の脚部34bとで構成する。
板状部材34aの中心に、ボルト32の上記先端部非円形断面形状に対応する非円形孔34dを穿ち、この非円形孔34dをボルト32の先端部に摺動自在に嵌合することにより、ロックナット強制連れ回し部材34をボルト32の先端部に回転係合させて軸線方向スライド可能に設ける。
【0066】
ロックナット強制連れ回し部材34は、ボルト32の先端部に遊嵌したバネ35などの弾性手段でロックナット33に向け附勢し、このため、ロックナット強制連れ回し部材34から遠いバネ35の端部が着座するバネ座36をボルト32の先端部に係着して設ける。
バネ35などの弾性手段でロックナット33に向け附勢されるロックナット強制連れ回し部材34の脚部34bにそれぞれ、ロックナット33の前記した長辺側テーパ面33aとの共働により以下のカム作用を生起する平坦カム面34cを設定する。
【0067】
ロックナット強制連れ回し部材側平坦カム面34cは、ボルト32の回転時にこれと一体回転するロックナット強制連れ回し部材34が平坦カム面34cをバネ35の弾力でロックナット長辺側テーパ面33aに押圧されることにより、ロックナット33を連れ回し得るよう傾斜させるが、以下の作用も可能になるような傾斜角とする。
つまり、ロックナット33がストッパ31bまたは31cにより対応方向制限位置に抑止された後は、ロックナット強制連れ回し部材34が平坦カム面34cにおいてロックナット長辺側テーパ面33aを乗り越えつつ、また、この乗り越えに伴ってバネ35を圧縮しつつロックナット33から遠ざかる方向へストロークしながら、ロックナット33に対し相対回転してロックナット連れ回し力を解放し得るよう、ロックナット強制連れ回し部材側平坦カム面34cの傾斜角を決定する。
【0068】
バネ35などの弾性手段でロックナット33に向け附勢されるロックナット強制連れ回し部材34のストローク限界位置は、ボルト32の先端部外周に設けた軸線方向溝32aの長さにより規定する。
軸線方向溝32aの長さを決定するに際しては、ボルト32の緊締方向回転によりロックナット33が図10,11のロック位置にされて緊締方向ストロークを開始した後ただちに、ロックナット強制連れ回し部材34が上記のストローク限界位置となってここに止まり、ロックナット33が更に緊締方向ストロークを行うとき、ロックナット33がロックナット強制連れ回し部材34の脚部34bから離れるよう、軸線方向溝32aの長さを決定する。
【0069】
<ねじ式ロック機構の作用>
上記の構成になるねじ式ロック機構22は、ロックベース31を前記した通りバッテリ2(バッテリフレーム2a)に取着してバッテリ2の側に設け、ロックプレート27を車体フロア5に取着して車体側に設けることにより実用し、
バッテリ2を車体フロア5の下方における下向き開口付きバッテリ収納空所内に着脱自在に収納してロックするに際し、ねじ式ロック機構22はロックプレート27との共働により以下のように当該ロック機能を果たす。
【0070】
先ず、バッテリ取り付け時のロック作用を図13〜15に基づき説明する。
バッテリ2の取り付けに際しては、ボルト32の図13(a)に矢印で示す弛緩方向への回転によりロックナット33が、後で詳述するようにロックナット連れ回し部材34により連れ回されて、ストッパ31bにより図9および図13(a)に示す弛緩方向制限位置(アンロック位置)されている。
【0071】
ここでバッテリ2を車体フロア5の下面における下向き開口付きバッテリ収納空所内に上昇させると、ロックナット33がテーパ面33a,33bとロックプレート矩形孔27aとの前記した共働により、ロックプレート矩形孔27aに対し芯だしされつつ、図9および図13(a)に示すごとくロックプレート矩形孔27aに通過すると共に、ロックベース31の中心円形ボス部31aがロックプレート円形孔27bに陥入して、ロックナット33がバッテリ収納空所内に位置し、ロックベース31がロックプレート27の外部露出下面に着座する。
【0072】
この状態でボルト32をナットランナなどにより図13(b)に矢印で示す緊締方向に回転させると、ボルト32と共に回転するロックナット強制連れ回し部材34が平坦カム面34cおよびテーパ面33aを介してロックナット33を連れ回し、このロックナット33をストッパ31cとの衝接により、図10、図13(b)および図14(a)に示す緊締方向制限位置(ロック位置)となす。
しかし、ロックナット33はこの緊締方向制限位置(ロック位置)を越えてロックナット強制連れ回し部材34により連れ回されることがなく、図10、図13(b)および図14(a)に示すごとく当該回転位置に止まる。
【0073】
ところでロックナット強制連れ回し部材34は、図15(a)の状態から同図(b)に示すように、平坦カム面34cにおいてバネ35に抗しロックナット長辺側テーパ面33aを乗り越えつつ、また、この乗り越えに伴ってバネ35を圧縮しつつロックナット33から遠ざかる方向にストロークしながら、ロックナット33に対し相対回転し得てロックナット連れ回し力を解放することができる。
【0074】
このため、ロックナット強制連れ回し部材34の存在によってもボルト32は緊締方向への更なる回転を妨げられない。
ボルト32を更に緊締方向へ回転をさせると、ロックナット33は図14(b)に示すごとく、緊締方向制限位置(ロック位置)を保って同図の矢印方向へねじ込まれ、同図に示す下限位置のロックナット強制連れ回し部材34(脚部34b)から離れつつ、ロックベース31に接近する方向へストロークする。
これによりロックナット33およびロックベース31は、両者間にロックプレート27を挟圧し、バッテリ2をバッテリ収納空所内に収納した位置にロックして保持することができる。
【0075】
次に、バッテリ取り外し時のアンロック作用を図16〜18に基づき説明する。
バッテリ2をバッテリ収納空所から取り出すためロック解除するに際しては、上記したロック状態においてボルト32をナットランナなどで図16(a)に矢印で示す弛緩方向へ回転させる。
【0076】
当初はロックナット33が図16(a)に示すように、図14(b)と同じロック用ねじ込みストローク位置にあって、下限位置のロックナット強制連れ回し部材34(脚部34b)から離れているため、ボルト32と共に弛緩方向に回転されるロックナット強制連れ回し部材34は、ロックナット33に対し同方向へ相対回転可能であり、ボルト32の上記弛緩方向回転を何ら妨げない。
【0077】
かかるボルト32の弛緩方向回転は、ロックナット33をして図16(b) および図17(b)に矢印で示す緩み方向へストロークさせ、直ちに図18 (a)に示すごとく下限位置のロックナット強制連れ回し部材34(脚部34b)に接触させる。
しかし図18 (a)に示す接触状態では未だ、ロックナット強制連れ回し部材34(脚部34b)がロックナット33のねじ込み方向後端面上に乗っていて、ロックナット連れ回し力を発生し得ないため、ロックナット強制連れ回し部材34(脚部34b)はボルト32と共にロックナット33に対し弛緩方向へ相対回転する。
【0078】
かかる相対回転によりロックナット強制連れ回し部材34は図18(b)に示すごとく、脚部34bの平坦カム面34cがロックナット長辺側テーパ面33aと対向する回転位置となる。
この時バネ35がロックナット強制連れ回し部材34を図18(b)の矢印方向に附勢して、ロックナット強制連れ回し部材34を、その平坦カム面34cがロックナット長辺側テーパ面33aに対向したストローク位置となす。
以上により図16(b) および図17(a)に示すごとく、ロック時と同じ緊締方向制限位置のままのロックナット33と、ロックナット強制連れ回し部材34とは、テーパ面33aおよび平坦カム面34cの共働により回転係合された状態となる。
【0079】
この状態でボルト32を更に弛緩方向に回転させると、ボルト32と共に回転するロックナット強制連れ回し部材34が平坦カム面34cおよびテーパ面33aを介してロックナット33を連れ回し、このロックナット33を図17(b)に示すごとくストッパ31bと衝接する弛緩方向制限位置(アンロック位置)まで強制回転させる。
しかし、ロックナット33はこの弛緩方向制限位置(アンロック位置)を越えてロックナット強制連れ回し部材34により連れ回されることがなく、図17(b)に示すごとく当該回転位置に止まる。
【0080】
ところでロックナット強制連れ回し部材34は、図18(b)の状態から同図(a)に示すように、平坦カム面34cにおいてバネ35に抗しロックナット長辺側テーパ面33aを乗り越えつつ、また、この乗り越えに伴ってバネ35を圧縮しつつロックナット33から遠ざかる方向へストロークしながら、ロックナット33に対し相対回転し得てロックナット連れ回し力を解放することができる。
【0081】
このため、ロックナット強制連れ回し部材34の存在によってもボルト32は弛緩方向への更なる回転を妨げられない。
ボルト32を弛緩方向へ更に回転をさせると、ロックナット33は図17(b)の弛緩方向制限位置(アンロック位置)を保って同図の矢印方向へ緩みストロークを行い、バネ35を圧縮しつつロックナット強制連れ回し部材34(脚部34b)を同方向へ変位させながら、ロックベース31から遠ざかる方向へストロークする。
【0082】
これにより、ロックナット33およびロックベース31によるロックプレート27の挟圧力(ロック)が解除され、ロックナット33をロックプレート27の矩形孔27aに通過させつつ、またロックベース31の中心円形ボス部31aをロックプレート27の円形孔27bから抜きながら、バッテリ2をバッテリ収納空所内から取り外すことができる。
【0083】
<コネクタユニット>
なお、バッテリ2は車体側電装系との間の電気接続を司るコネクタ構造が不可欠であり、そのため本実施例においては図5につき前述したごとくコネクタユニット23を設ける。
このコネクタユニット23は、図19,20に示すように、車体側電装系に接続された車体側のコネクタ部材41と、バッテリ2に接続されたバッテリ側のコネクタ部材42とで構成する。
【0084】
ところで本実施例のように、バッテリ2を、前記したロケートピン式バッテリガイド手段21による案内下で図1〜3および図5に示すごとき車体フロア5の下方における取り付け位置まで上昇させ、この位置でバッテリ2を上記したねじ式ロック機構22により車体フロア5の下方におけるバッテリ収納空所内にロックして取り付ける場合、
車体側のコネクタ部材41およびバッテリ側のコネクタ部材42より成るコネクタユニット23は、バッテリ2の上昇ストローク中にバッテリ側コネクタ部材42が車体側コネクタ部材41に電気接続状態に嵌合されるよう構成、配置するのが、バッテリ2の取り付けを自動化する上で大いに有利であり、本実施例においてもコネクタユニット23を、図19,20につき後述するごとく、そのように構成する。
【0085】
しかして、コネクタユニット23が、2個一組のバッテリガイド手段21(図5参照)の双方から遠く離れているときは勿論のこと、これらバッテリガイド手段23のうちの一方のみから遠く離れているときも、
前記した車体組み立て誤差の累積により、コネクタユニット23を成すバッテリ側コネクタ部材42と、車体側コネクタ部材41との相対位置ずれが発生して、バッテリ側コネクタ部材42と車体側コネクタ部材41との相互嵌合部に芯ずれを生ずる。
【0086】
かかるバッテリ側コネクタ部材42および車体側コネクタ部材41間の芯ずれは、両コネクタ部材41,42の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷を掛けてコネクタユニット23の耐久性を低下させるだけでなく、コネクタ部材41,42の相互嵌合部に部分的に隙間を生じさせてスパークの発生原因となる。
【0087】
そこで本実施例においては、バッテリ側コネクタ部材42および車体側コネクタ部材41により構成されるコネクタユニット23を図5に示すように、バッテリ2の車幅方向両側に設けたバッテリガイド手段21の双方に対し近い位置、つまり、これらバッテリガイド手段21から等距離の中間位置に配置する。
【0088】
かかる配置のコネクタユニット23は、バッテリガイド手段21の双方に対し近く、車体側コネクタ部材41およびバッテリ側コネクタ部材42の位置が車体組み立て誤差の累積による影響を最小限にされて高精度である。
従ってこれらコネクタ部材41,42の相互嵌合部における芯ずれを殆どなくすことができ、両コネクタ部材41,42の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷が作用することが無く、コネクタユニット23の耐久性が低下したり、コネクタ部材41,42の相互嵌合部に部分的に隙間が生じてスパークが発生するという問題を解消することができる。
【0089】
なお上記の趣旨に照らせば、コネクタユニット23は車体フロア5の車幅方向中程に配置することになる。
ところで車体フロア5の車幅方向中程には、車体フロア5の強度確保と、車体側電装系のワイヤハーネス配索用などのため、トンネル部材6が設けられ、車両前後方向に延在する中高形状のトンネル部が設定されている。
そのため本実施例においてはコネクタユニット23を、図5,19,20に示すように車体フロア5の車幅方向中程で車両前後方向に延在する中高形状のトンネル部材6(トンネル部)内に配置する。
【0090】
この配置に当たっては、図5に明示するごとく車体フロア5のトンネル部材6(トンネル部)と、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の前端面とが交差する箇所のトンネル部材6(トンネル部)内にコネクタユニット23を配置するのが良い。
【0091】
そして図19,20に示すごとく、コネクタユニット23を構成する車体側コネクタ部材41およびバッテリ側コネクタ部材42のうち、車体側コネクタ部材41は上記の箇所において車体フロア5のトンネル部材6(トンネル部)内にブラケット43を介し取り付け、バッテリ側コネクタ部材42は上記の箇所においてバッテリ2(バッテリフレーム2a)の前端面にブラケット44を介し取り付ける。
【0092】
なお、車体側コネクタ部材41およびバッテリ側コネクタ部材42は、バッテリ2の上昇ストローク中に(好ましくは上昇ストローク端で)電気接続状態に相互嵌合されるような取り付け位置とするのは勿論であるが、
ねじ式ロック機構22によるバッテリ2の取り付け後、下側におけるバッテリ側コネクタ部材42がトンネル部材6(トンネル部)から下方へ張り出すことのないよう車体側コネクタ部材41およびバッテリ側コネクタ部材42の取り付けレベルを決定するのが良い。
【0093】
<ガイド手段、ロック機構およびコネクタユニットの相関関係>
バッテリ2を上昇させて車体フロア5の下方に取り付ける際、バッテリガイド手段21による前記バッテリ2の上下方向案内と、ねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33による前記バッテリ2の位置決めおよびロック機能と、コネクタユニット23(コネクタ部材41,42)の電気接続嵌合とは適切なタイミングで行われる必要がある。
【0094】
ちなみに、バッテリガイド手段21によるバッテリ2の上下方向案内が、ねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33によるバッテリ2の位置決めおよびロック機能の開始よりも遅れると、ロックナット33のテーパ面33a,33bを設けられている先端がロックプレート矩形孔27aと干渉する状態であるのに、ロックナット33がロックプレート矩形孔27aに侵入しようとし、上記の干渉によりねじ式ロック機構22がロック不能になり、バッテリ2を車体フロア5の下方におけるバッテリ収納空所にロックして取り付けることができない。
【0095】
また、ねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33によるバッテリ2の位置決めおよびロック機能よりも、コネクタユニット23(コネクタ部材41,42)の電気接続嵌合が早期に行われると、ロックプレート27およびロックナット33によるバッテリ2の位置決め(コネクタユニット23のコネクタ部材41,42間における芯だし)が行われる前にコネクタユニット23のコネクタ部材41,42が相互に電気接続嵌合されることとなる。
かかるコネクタ部材41,42間の芯ずれは、これらコネクタ部材41,42の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷を作用させてコネクタユニット23の耐久性を低下させるだけでなく、コネクタ部材41,42の相互嵌合部に部分的に隙間を生じさせてスパークを発生させる。
【0096】
そこで本実施例においては、バッテリガイド手段21によるバッテリ2の上下方向案内と、ねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33によるバッテリ2の位置決めおよびロック機能と、コネクタユニット23(コネクタ部材41,42)の電気接続嵌合とが、図21,22につき以下に説明するタイミングで行われるよう構成する。
【0097】
図21(a),(b),(c)はそれぞれ、バッテリ2が上昇によりバッテリ収納空所に到達した時におけるバッテリガイド手段21(ロケートピン25)のレベル、ねじ式ロック機構22のレベル、およびコネクタユニット23(バッテリ側コネクタ部材42)のレベルを示す。
この時、図21(a)に示すようにロケートピン25がロケートスリーブ26への侵入を開始し、バッテリガイド手段21によりバッテリ2が上下方向に案内され始める。
これにより、ロックナット33のテーパ面33a,33bを設けられている先端がロックプレート矩形孔27aと干渉することなく、ロックプレート矩形孔27aに侵入し得る状態でバッテリ2が上昇されることとなり、この干渉でねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33によるバッテリ2の位置決めおよびロック機能が不能になって、バッテリ2を車体フロア5の下方におけるバッテリ収納空所に取り付けることができなくなる事態を回避することができる。
【0098】
しかしこの時まだ、図21(b)に示すようにロックナット33がロックプレート27に達しておらず、ねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33によるバッテリ2の位置決めおよびロック機能は未だ開始されていない。
また、図21(c)に示すようにバッテリ側コネクタ部材42が車体側コネクタ部材41に達しておらず、コネクタユニット23(コネクタ部材41,42)の電気接続嵌合も未だ開始されていない。
【0099】
図22(a),(b),(c)はそれぞれ、バッテリ2がバッテリガイド手段21による案内下で更に上昇し、ねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33によるバッテリ2の位置決め機能が開始された時におけるバッテリガイド手段21(ロケートピン25)のレベル、ねじ式ロック機構22のレベル、およびコネクタユニット23(バッテリ側コネクタ部材42)のレベルを示す。
【0100】
ねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33によるバッテリ2の位置決め機能は、図22(c)に示すようにコネクタユニット23のバッテリ側コネクタ部材42を車体側コネクタ部材41に対し正確に芯だしさせる。
【0101】
ねじ式ロック機構22のロックプレート27およびロックナット33によるバッテリ2のロック用上昇ストロークでバッテリ側コネクタ部材42が図22(c)に示す位置から更に上昇するとき、バッテリ側コネクタ部材42は車体側コネクタ部材41と電気接続嵌合するが、
上記したバッテリ側コネクタ部材42および車体側コネクタ部材41間の正確な芯だしによれば、これらコネクタ部材41,42の相互嵌合部に、嵌合方向を横切る方向の横負荷が作用するのを確実に回避することができ、かかる横負荷でコネクタユニット23の耐久性が低下されたり、コネクタ部材41,42の相互嵌合部に部分的に隙間が生じてスパークを発生させるなどの問題を解消し得る。
【0102】
<実施例の効果>
上記した本実施例のコネクタ構造によれば、バッテリ2と車体側電装系とを接続するためのコネクタユニット23を図5につき前述した通りに配置したため、
つまり、該コネクタユニット23を成す車体側コネクタ部材41およびバッテリ側コネクタ部材42のうち、後者のバッテリ側コネクタ部材42を、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の前端面に、車幅方向中程へ配して取り付け、
前者の車体側コネクタ部材41を、バッテリ2の上昇ストローク中にバッテリ側コネクタ部材42が電気接続状態に嵌合し得るよう配置して車体フロア5に取り付けたため、以下の作用効果が奏し得られる。
【0103】
かかる車体側コネクタ部材41およびバッテリ側コネクタ部材42の配置によれば、これらコネクタ部材41,42で構成されるコネクタユニット23が、バッテリ2の取り付け状態で、図5につき前述したごとく、バッテリ2の車両前後方向前端寄りで車幅方向両側に設けたバッテリガイド手段21間の中間位置、つまり、これらバッテリガイド手段21から等距離の位置に存在することとなる。
【0104】
そのためコネクタユニット23は、バッテリガイド手段21の双方に対し近い位置にあって、コネクタユニット23を構成する車体側コネクタ部材41およびバッテリ側コネクタ部材42が、前記した車体組み立て誤差の累積に起因した相対位置ずれを生ずることがない。
【0105】
従って、バッテリ2の取り付け状態で、車体側コネクタ部材41とバッテリ側コネクタ部材42との相互嵌合部に芯ずれを生ずることがなく、
この芯ずれにより、コネクタユニット23が耐久性を損なわれたり、コネクタ部材41,42の相互嵌合部に部分的に隙間が生じてスパークが発生するという前記の問題を解消することができる。
【0106】
また、バッテリ側コネクタ部材42をバッテリ2(バッテリフレーム2a)の前端面に、車幅方向中程へ配して取り付けたため、
バッテリ側コネクタ部材42の取り付けレベル、従ってコネクタユニット23の取り付けレベルに関する設計の自由度が高くなって有利である。
【0107】
更に、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の前記した配置に起因して、バッテリ2の車幅方向中程位置と、トンネル部材6(車体フロアトンネル部)とが整列しているのを利用して、
バッテリ側コネクタ部材42を、トンネル部材6(車体フロアトンネル部)と交差する箇所においてバッテリ2の車両前後方向前端面に取り付け、
車体側コネクタ部材41を、バッテリ側コネクタ部材42がバッテリ2の上昇ストローク中、電気接続状態に嵌合し得るような位置に配して、トンネル部材6(車体フロアトンネル部)内に取り付けたため、
これらコネクタ部材41,42で構成されるコネクタユニット23が、バッテリ2の取り付け状態で、図21,22に示すごとくトンネル部材6(車体フロアトンネル部)内に位置することとなる。
【0108】
そのため、トンネル部材6(車体フロアトンネル部)内のスペースを有効利用したコネクタユニット23の設置が可能となり、コネクタユニット23が車室スペースを犠牲にしたり、バッテリ容量を犠牲にするのを防止することができる。
【0109】
また、トンネル部材6(車体フロアトンネル部)が前記したごとく強度確保のために設けることから、それ自身が高強度であり、
このトンネル部材6(車体フロアトンネル部)内にコネクタユニット23の車体側コネクタ部材41を取り付ける本実施例によれば、車体側コネクタ部材41の取り付け位置精度を高く保つことができ、
車体側コネクタ部材41とバッテリ側コネクタ部材42との相互嵌合部における芯ずれを一層確実に回避し得て上記の作用効果を更に確実なものにすることができる。
【0110】
更に、車体側電装系がトンネル部材6(車体フロアトンネル部)内に配索されることから、この車体側電装系に対するコネクタユニット23(車体側コネクタ部材42)の結線が、何らの付加的な接続線も要することなく簡単に行われ得て容易であり、コスト上および重量的に大いに有利である。
【0111】
<その他の実施例>
なお図示の実施例では、バッテリ側コネクタ部材42を、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の前端面に取り付けたが、
必ずしもバッテリ2(バッテリフレーム2a)の前端面である必要はなく、バッテリ2(バッテリフレーム2a)の前端部であれば、車幅方向中程に配したバッテリ側コネクタ部材42(コネクタユニット23)が、バッテリ2の車両前後方向前端寄りで車幅方向両側に設けたバッテリガイド手段21から等距離の中間位置に存在することとなり、上記した作用効果を達成することができる。
【0112】
また図示例ではバッテリ2が、多数のバッテリシェルを相互に接続して1ユニットに構成したものである場合に付き説明したが、
バッテリ2が、その他バッテリモジュールと称せられるようなものなど、如何なる型式のものである場合も、前記した本発明の着想を適用して同様な作用効果を奏し得るのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0113】
1 車体
2 バッテリ
2a バッテリフレーム
3L,3R 左右前輪(駆動輪)
4L,4R 左右後輪
5 車体フロア
6 トンネル部材(車体フロアトンネル部)
7,8 左右フロントサイドメンバ
7a,8a 左右の前後サイドメンバ結合部
7b,8b ロケートホール
9,10 左右サイドシル
11,12 左右リヤサイドメンバ
13 フロントフロアパネル
14 リヤフロアパネル
15,16 橋絡部材
21 バッテリガイド手段
22 ねじ式ロック機構
23 コネクタユニット
24 ブラケット
25 ロケートピン本体
26 ロケートスリーブ
27 ロックプレート
27a 矩形開口
27b 円形開口
31 ロックベース
31b,31c ストッパ
32 ボルト
33 ロックナット
33a ロックナット長辺側テーパ面
33b ロックナット短辺側テーパ面
34 ロックナット強制連れ回し部材
34a 板状部材
34b 脚部
34c 平坦カム面
35 バネ
36 バネ座
41 車体側コネクタ部材
42 バッテリ側コネクタ部材
43,44 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フロアの下方にバッテリを、該バッテリの車両前後方向前端寄りの車幅方向両側にそれぞれ設けたガイド手段による車両上下方向案内下に上昇させて取り付けた電動車両であって、
前記バッテリの上昇ストローク中相互に電気接続される車体側コネクタ部材およびバッテリ側コネクタ部材より成るコネクタユニットを具えた電動車両用バッテリのコネクタ構造において、
前記バッテリ側コネクタ部材を、前記バッテリの車両前後方向前端部で車幅方向中程に配置して取り付け、
前記車体側コネクタ部材を、前記バッテリの上昇ストローク中、前記バッテリ側コネクタ部材が電気接続状態に嵌合し得るよう配置して車体に取り付けたことを特徴とする電動車両用バッテリのコネクタ構造。
【請求項2】
請求項1に記載された電動車両用バッテリのコネクタ構造において、
前記バッテリ側コネクタ部材を、前記バッテリの車両前後方向前端部のうち、前記バッテリの車両前後方向前端寄りの車幅方向両側におけるガイド手段から等距離の箇所に取り付けたことを特徴とする電動車両用バッテリのコネクタ構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載された電動車両用バッテリのコネクタ構造において、
前記バッテリ側コネクタ部材を、前記バッテリの車両前後方向前端部のうち、該バッテリの車両前後方向前端面に取り付けたことを特徴とする電動車両用バッテリのコネクタ構造。
【請求項4】
前記車体フロアが、車幅方向中程で車両前後方向に延在する中高形状のトンネル部を有したものである、請求項3に記載された電動車両用バッテリのコネクタ構造において、
前記バッテリ側コネクタ部材を、前記車体フロアのトンネル部と交差する前記バッテリの車両前後方向前端面に取り付け、
前記車体側コネクタ部材を、前記バッテリの上昇ストローク中、前記バッテリ側コネクタ部材が電気接続状態に嵌合し得るよう前記トンネル部内に配置して車体に取り付けたことを特徴とする電動車両用バッテリのコネクタ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−126451(P2011−126451A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287748(P2009−287748)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】