説明

電圧低下検出器システムおよび方法

電圧低下状態を検出するための回路は、温度補償型電圧低下基準電圧と、電圧低下基準電圧と比較するための入力信号とを提供する温度補償回路を含んでもよい。加えて、検出回路は、入力信号が電圧低下基準電圧を超える場合、電圧低下インジケータを生成する比較器を含んでもよい。特定の実装では、温度補償回路は、並列接続された2つの分岐を有する。第1の分岐は、実質的に温度非依存性である基準電圧を提供し、第2の分岐は、供給電圧の指示である入力信号を提供する。第1の分岐は、比較器の第1の入力に結合され、第2の分岐は、比較器の第2の入力に結合される。加えて、温度補償回路は、基準電圧を調節するための構成要素を有する第3の分岐を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して電気回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧低下(brownout)検出器は、装置に供給された電力が所定の閾値レベルを下回る場合に検出するために、例えば、計算装置において使用可能な装置である。いくつかの従来の電圧低下検出器は、電源電圧をバンドギャップ回路によって提供されたバンドギャップ基準電圧と比較するために、比較器を使用する。分圧された電源電圧がバンドギャップ基準電圧を下回る場合、比較器出力信号を使用して、電圧低下を示すことが可能である。バンドギャップ回路は、バンドギャップ基準電圧と称される温度補償型電圧閾値を提供可能である。バンドギャップ回路は、温度変化に非依存性である電圧閾値を生成するために、ダイオードと、抵抗器と、増幅器とを含む、いくつかの構成要素を必要としてもよい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
電圧低下状態を検出するための回路は、温度補償型電圧低下基準電圧と、電圧低下基準電圧と比較するための入力信号とを提供する温度補償回路を含んでもよい。加えて、検出回路は、入力信号が電圧低下基準電圧を超える場合、電圧低下インジケータを生成する比較器を含んでもよい。特定の実装では、温度補償回路は、並列接続された2つの分岐を有する。第1の分岐は、実質的に温度非依存性である基準電圧を提供し、第2の分岐は、供給電圧の指示である入力信号を提供する。第1の分岐は、比較器の第1の入力に結合され、第2の分岐は、比較器の第2の入力に結合される。加えて、温度補償回路は、基準電圧を調節するための構成要素を有する第3の分岐を含んでもよい。
【0004】
他の実装では、電圧低下検出のための方法が記載される。本方法は、温度補償回路の第1の分岐を使用して、電圧低下閾値電圧を設定するステップを含む。電圧低下閾値電圧は、実質的に温度変化に非依存性である。本方法は、第1の分岐と並列の温度補償回路の第2の分岐を使用して、第2の電圧を提供するステップを含む。第2の電圧は、電源電圧を示す。また、本方法は、第2の電圧が電圧低下閾値電圧を超える場合、比較器から信号を生成するステップを含む。電圧低下閾値電圧は、比較器の第1の入力に結合され、第2の電圧は、比較器の第2の入力に結合される。
【0005】
さらに他の実装では、回路は、基準電圧の通過を入力電圧によって検出するための検出構成要素と、基準電圧を生成するための温度補償回路とを含むように記載される。温度補償回路は、並列に接続され、検出構成要素に別個に結合された2つの回路分岐(実質的に温度非依存性である基準電圧を生成するための第1の回路分岐と、入力電圧を生成するための第2の回路分岐)を含む。
【0006】
他の実装では、電圧低下検出のための方法が記載される。本方法は、電圧低下閾値電圧を設定するステップと、実質的に一定のレベルに電圧低下閾値電圧を実質的に維持するための並列回路要素の温度変化を補償するステップを含む、実質的に温度変化に非依存性である電圧低下閾値電圧を維持するステップと、電源電圧を示す第2の電圧を評価するステップと、第2の電圧が電圧低下閾値電圧を超える場合、信号を生成するステップとを含む。
【0007】
本明細書に記載されるシステムおよび技術は、以下の利点のうちの1つ以上を提供してもよい。第1に、温度補償型基準電圧は、バンドギャップ回路を使用せずに提供されてもよく、それによってシステム内の構成要素数が減少され得る。第2に、電圧低下検出器の正確性は、安価かつより単純な構成要素によって維持されてもよい。第3に、システムは、温度補償型基準信号を提供し、低消費電力を必要としてもよい。第4に、システムは、調節可能電圧低下閾値を促進する構成要素を含んでもよい。
【0008】
1つ以上の実施形態の詳細は、付随の図面および後述の説明に記載される。実施形態の他の特性、側面、および利点は、説明および図面、ならびに請求項から明白となるであろう。
【0009】
種々の図面における同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
電圧低下検出器は、計算装置内の電源電圧を監視するために使用可能である。電圧低下検出器は、電源電圧が所定の電圧閾値を下回る場合、電圧レベルの形式で信号を提供可能である。いくつかの実装では、専ら抵抗器とダイオードとを含む回路は、温度補償電圧閾値を生成可能である。比較器は、電圧閾値を電源電圧と、または電源電圧から派生した電圧と比較するために使用可能である。電源電圧が電圧閾値を下回る場合、比較器は、出力信号を生成し、電圧低下を示すことが可能である。いくつかの実施形態では、計算装置は、電圧低下インジケータを使用し、装置の所定のシャットダウンを実行する、または動作電力を節約するために不必要な構成要素の電源を切る等、一連の省電力ルーチンを起動する。
【0011】
図1は、電圧低下を検出するための例示的システム100のブロック図である。システム100は、電源102と、装置とを含む。示される実施例では、装置は、計算装置104であるが、他の装置も可能である。一例として、計算装置内に含まれる実装が参照される。当業者は、開示される回路および方法が、他の装置と併用可能であることを理解されるであろう。
【0012】
電源102は、その動作のために、計算装置に電力を供給するために使用可能である。電源102は、電圧レベルUを有する信号を供給可能である。計算装置104は、電圧低下検出器106と、処理装置108とを含むことが可能である。計算装置104は、処理装置108を利用して、動作の制御、監視、および実行が可能である。電圧低下検出器106は、温度補償回路110と、比較器112とを含むことが可能である。温度補償回路110および処理装置108は、電圧レベルUを有する入力信号として、電源102の出力信号を受信可能である。
【0013】
温度補償回路110は、比較器112の入力114に温度補償型電圧基準を提供可能である。いくつかの実装では、温度補償は、上昇電圧レベルと下降電圧レベルとの総和による温度上昇に伴って、回路内で達成可能である。温度に比例した電圧の純変動は、実質的に0となり得る。
【0014】
例えば、回路内に含まれるダイオード間の電圧は、温度上昇に伴って、実質的に2mV/K(プロセス依存性)の割合で減少してもよい。
【0015】
【数6】

バンドギャップ基準回路は、絶対温度(PTAT)に比例する電流を生成することによって、これを利用する。
【0016】
【数7】

この電流が直列の抵抗器とダイオードとを流れる時、以下の式が求められる。
【0017】
【数8】

ここで、初項は、温度上昇に伴って減少するが、第2項は、温度に伴って増加する。これらの電圧は、相殺され、以下の式を有する一定電圧を提供するように設計されてもよい。
【0018】
【数9】

温度補償型電圧基準は、本明細書において電圧低下基準レベルUBORと称される。電圧低下基準レベルは、供給された電力の低下または喪失を検出するために使用可能である。この検出は、供給された電力(例えば、電源102から)が電圧低下閾値レベルを超える場合に生じ得る。また、温度補償回路110は、電源102の電流レベルを示す信号(UP’)を提供可能である。いくつかの実装では、信号(UP’)は、温度補償回路110内の分圧器によって生成される分圧された電源電圧であって、比較器112の入力116に提供される。比較器112は、電源信号Up’(例えば、分圧された電源電圧レベル)が温度補償型電圧低下基準UBORを下回る、または上回る場合に判断可能である。これが生じた場合、比較器112は、比較器出力118を第1の電圧レベルから第2の電圧レベルに移行させることが可能である。例えば、第1の電圧レベルは、実質的に2.5ボルトであってもよく、第2の電圧レベルは、実質的に0ボルトであってもよい。比較器112の信号出力118は、本明細書では電圧低下インジケータ信号UBOと称される。
【0019】
いくつかの実装では、計算装置104は、電圧低下インジケータ信号を使用し、省電源状態下、その動作を制御する。他の実装では、計算装置104は、電圧低下インジケータ信号を使用し、計算装置の電源が入れられる場合に判断を行う。この場合、出力118は、実質的に0〜実質的に2.5ボルトに移行してもよい。コンピュータ装置104は、この出力信号UBOを使用して、処理装置108をデフォルト状態に再設定する等、電源オンイベントを起動可能である。
【0020】
図2は、図1のシステムを使用して、電圧低下を検出するための例示的方法200の工程図である。方法200は、図1を参照して記載したように、計算装置104が、例えば、電源102から電源信号を受信すると、ステップ202から開始する。温度補償回路110は、入力として、電源信号を受信する。
【0021】
任意ステップ204に示されるように、いくつかの条件下、システム温度変化が検出されてもよい。システム温度変化が存在する場合、ステップ206では、温度補償回路が温度補償を実行する。例えば、回路は、その機能に伴って温度を上昇し得る。回路の構成要素間を流れる電流は、抵抗を経験し得、それは、熱を生成することになる。温度補償回路110の構成要素のいくつかが熱くなるにつれ、これらの構成要素は、回路の出力電圧の増加に寄与し得る。同時に、温度補償回路110の他の構成要素が熱くなるにつれ、温度補償回路110の出力電圧の低下に寄与し得る。対照的、つまり電圧変化を補償するステップのため、純出力電圧は、回路内の温度変化にかかわらず、一定のままとなり得る。この補償の詳細は、図3に関連づけて記載される。
【0022】
ステップ206後、またはシステム温度変化がステップ204で検出されない場合、方法200は、ステップ208に進む。ステップ208では、電源電圧(例えば、分圧された電源電圧、比較器112の入力116)が、電圧低下基準電圧(比較器112の入力114)を超えるかどうか判断される。これが生じる場合、ステップ210では、電圧低下インジケータ信号が生成される。例えば、電圧低下インジケータ信号は、比較器112の信号出力118であることが可能である。処理装置108は、比較器112の信号出力118から電圧低下信号インジケータを受信可能である。
【0023】
任意に、ステップ212では、計算装置104は、電圧低下インジケータ信号に基づいて作動してもよい。例えば、処理装置108によって、省電源電圧レベルで機能性が維持されるように、計算装置は、不必要な構成要素の電源を切ってもよい。次いで、方法200は終了する。
【0024】
ステップ208において、電源電圧が電圧低下基準電圧を超えていないと判断される場合、方法200は、ステップ202へ進み、電源から電源信号の受信を継続する。
【0025】
図3は、例示的温度補償電圧低下回路300の概略図である。電圧低下回路300の温度補償回路110は、抵抗器R302、R304、R306と、ダイオードD308、D310とを含む。温度補償回路110の出力は、比較器312の入力に結合される。
【0026】
温度補償回路110の第1の分岐では、抵抗器R302の端子314は、電源電圧VCC316に結合される。抵抗器R302の端子318は、ノード322で抵抗器R304の端子320に結合される。抵抗器R304の端子324は、ダイオードD308のノード326に結合される。ダイオードD308のカソード328は、電源接地330に接続される。
【0027】
温度補償回路110の第2の分岐では、抵抗器R306の端子332もまた、電源電圧VCC316に結合される。抵抗器R306の端子334は、ノード338でダイオードD310のノード336に結合される。ダイオードD310のカソード340は、電源接地330に結合される。このように、温度補償型回路の第1および第2の分岐は、一端で電源電圧VCC316と、他端で接地点330との接続を共有するため、並列に接続される。
ノード322は、比較器312の負の入力、つまり反転入力342に結合される。比較器312の負の入力342は、図1を参照して記載されたように、Up’と称される。負の入力342は、電流電源電圧の指示である。ノード338は、比較器312の正の入力、つまり非反転入力344に結合される。
【0028】
比較器312の正の入力344は、図1を参照して記載されたように、電圧低下基準レベルUBORと称される。電圧低下基準レベルは、閾値を設定し、それを超える場合、電圧低下状態を示す。比較器312の出力350は、図1を参照して記載されたように、電圧低下インジケータ信号UBOである。比較器312は、端子346で電源電圧Vcc316によって励起され、端子348で電源接地330によって接地される。
【0029】
温度およびダイオード電圧の関数としてのダイオードを流れる電流は、以下の式によって特徴づけることが可能である。
【0030】
【数10】

ここで、
Boltzmann定数は、kB=1.38−10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
温度は、T
ダイオード電圧は、V
飽和電流(プロセス依存性)は、I
ダイオード間の電圧は、そこを流れる電流の関数として有意に変化し得ない。したがって、ダイオード間の電圧は、以下の式によって概算可能である。
【0031】
【数11】

ここで、
温度は、T
室温は、T=300K
ダイオード電圧は、V
室温でのダイオード電圧(プロセス依存性)は、VD0=0.65V
したがって、上記式は、ダイオードD308のノード326での電圧と、ダイオードD310のノード336での電圧とを特徴づけるために使用されてもよい。いくつかの実装では、抵抗器R302および抵抗器R306の値は、互いに等しくなるように、温度補償電圧低下回路300内で選択可能である。温度補償電圧低下回路300に対する電圧低下基準レベルUBORは、以下のように計算可能である。
【0032】
【数12】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
温度は、T
室温は、T=300K
室温でのダイオード電圧(プロセス依存性)は、VD0=0.65V
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
ダイオード間の面積比(設計者により選択される)は、A=10
Aの選択は、いくつかの要因に基づいてもよい。例えば、Aが小さ過ぎる場合、比R3/R2は大きくなり、それによって回路は、高消費電力および低正確性となり得る。しかしながら、Aが大き過ぎる場合、シリコン領域の問題と、並列に接続されたダイオードを流れる電流漏洩とが存在し得る。いくつかの実施形態では、Aに対し実質的に10の比の選択によって、大き過ぎるまたは小さ過ぎる値との間に均衡がもたらされる。
【0033】
電圧低下基準レベルUBORが温度Tに非依存性であるためには、抵抗器R306および抵抗器R304の値は、以下のように選択可能である。
【0034】
【数13】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
ダイオード間の比(設計者により選択される)は、A=10
したがって、電圧低下基準レベルUBORは、
【0035】
【数14】

ここで、
室温は、T=300K
室温でのダイオード電圧(プロセス依存性)は、VD0=0.65V
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
電源電圧Vcc316が電圧低下基準レベルUBORよりも低く強制される場合、ノード322での電圧レベルは、ノード338での電圧レベルよりも低くなるであろう。したがって、比較器312の負の入力342は、比較器312の正の入力344よりも低く強制され、比較器312の出力350に電圧低下状態を示すように移行させる。本実施例では、電源電圧Vcc316が1.25ボルトを下回る場合、電圧低下指示が生じる。
【0036】
図4は、可変電圧低下電圧基準を有する、例示的温度補償電圧低下回路400の概略図である。図3の回路では、電圧低下電圧は、実質的に1.25ボルトに固定される。温度補償電圧低下回路400は、電圧低下電圧基準レベルの変更を促進する、温度補償回路110に結合された分圧器402を含む。分圧器402の抵抗器の値の変動によって、温度補償回路110に電圧低下基準レベルを特定させる。
【0037】
本実施例では、温度補償回路110は、分圧器402、抵抗器R404、R406、R408と、ダイオードD410、D412を含む。温度補償電圧低下回路400の出力は、比較器414の入力に結合される。
【0038】
分圧器402は、抵抗器R416と抵抗器R418とを含む。抵抗器R416の端子420は、電源電圧VCC422に結合される。抵抗器R416の端子424は、ノード428で抵抗器R418の端子426に結合される。抵抗器R430の端子430は、電源接地432に結合される。
【0039】
温度補償回路110の第1の分岐では、抵抗器R404の端子434は、分圧器402のノード428に結合される。抵抗器R404の端子436は、ノード440で抵抗器R406の端子438に結合される。抵抗器R406の端子442は、ダイオードD410のアノード444に結合される。ダイオードD410のカソード446は、電源接地432に接続される。
【0040】
温度補償電圧低下回路400の第2の分岐では、抵抗器R408の端子448もまた、ノード428に結合される。抵抗器R408の端子450は、ノード454でダイオードD412のノード452に結合される。ダイオードD412のカソード456は、電源接地432に接続される。
【0041】
分圧器402は、ノード428で第1および第2の分岐に結合される、温度補償回路110の第3の分岐とみなされてもよい。
【0042】
ノード440は、比較器414の負の入力、つまり反転入力458に結合される。比較器414の負の入力458は、同様に、図1を参照して記載されたように、UP’と称される。ノード454は、比較器414の正の入力、つまり非反転入力460に結合される。比較器414の正の入力460は、同様に、図1を参照して記載されたように、電圧低下基準レベルUBORと称される。また、比較器414の出力462は、同様に、図1を参照して記載されたように、電圧低下インジケータ信号UBOである。比較器414は、端子464で電源電圧Vcc422によって励起され、端子466で電源接地432によって接地される。
【0043】
ダイオードを流れる電流I(V,T)と、ダイオード間の電圧V(T)の式は、温度補償電圧低下回路400に適用可能である。抵抗器R404および抵抗器R408を流れる電流は、温度依存性であることが可能である。抵抗器R404および抵抗器R408の値を互いに等しく選択することによって、電圧低下基準レベルは、以下のように求められる。
【0044】
【数15】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
温度は、T
室温は、T=300K
室温でのダイオード電圧(プロセス依存性)は、VD0=0.65V
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
ダイオード間の比(設計者によって選択されてもよい)は、A=10
結果として得られた電圧低下基準レベルUBORは、温度非依存性である。したがって,
【0045】
【数16】

温度依存項を書き換えおよび修正すると、以下のようになる。
【0046】
【数17】

温度非感度レベルを導出してもよい。
【0047】
【数18】

温度依存項が0に設定されるため、電圧低下基準レベルUBORは、以下のようになり得る。
【0048】
【数19】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
室温は、T=300K
室温でのダイオード電圧(プロセス依存性)は、VD0=0.65V
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
ダイオード間の比(設計者により選択される)は、A=10
ダイオードD410およびD412を流れる電流は、設計パラメータとして温度補償電圧低下回路400内で選択可能である。したがって、抵抗器R406は、以下の式によって求めることが可能である。
【0049】
【数20】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
室温は、T=300K
電源電圧Vcc422が電圧低下基準レベルUBORの場合の抵抗器R406およびダイオードD410、D412を流れる電流は、I
ダイオード間の比(設計者により選択される)は、A=10
抵抗器R406の値が求められた後、抵抗器R408、R416、R430間の関係は、電圧低下基準レベルUBORに対し上述された式を使用して求めることが可能である。
【0050】
最小値抵抗器R416は、0を有することが可能である。つまり、抵抗器R408の最大値は、以下の式で示されるような結果となる。
【0051】
【数21】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
ダイオード間の比(設計者により選択される)は、A=10
いくつかの実施形態では、抵抗器R408は、大きな値を有するように選択される。
しかしながら、抵抗器R408の値が大き過ぎるように選択される場合、抵抗器R416の値は、小さくなり過ぎる可能性がある。これによって、温度補償電圧低下回路400の消費電力量が大きくなる結果となり得る。温度補償電圧低下回路400は、ノード440での電源電圧VCC422の変化に対し有利に働く感度を有するように設計可能である。一実装では、これは、抵抗器R408に対し大きな値を選択することによって達成される。以下の式は、この感度を特徴づけることが可能である。
【0052】
【数22】

ここで、
は、ノード440での電圧レベルである。
これは、以下を含意する。
【0053】
【数23】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
室温は、T=300K
室温でのダイオード電圧(プロセス依存性)は、VD0=0.65V
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
ダイオード間の比(設計者により選択される)は、A=10
抵抗器R406およびR408の値が求められると、抵抗器R416およびR430の値は、以下の式に示されるように求めることが可能である。
【0054】
【数24】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
室温は、T=300K
室温でのダイオード電圧(プロセス依存性)は、VD0=0.65V
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
ダイオード間の比(設計者により選択される)は、A=10
電圧低下基準レベルは、UBOR
例えば、温度補償電圧低下回路400は、実質的に3.5ボルトの電圧低下基準レベルUBORとなるように設計可能である。温度補償電圧低下回路400は、ダイオードD410、D412および抵抗器R406を流れる電流IがluAmpに等しくなるように設計可能である。抵抗器R406の値は、以下のように計算可能である。
【0055】
【数25】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
室温は、T=300K
ダイオード間の比(設計者により選択される)は、A=10
=luAmp=1x10−6
抵抗器R408の最大値は、以下のように計算可能である。
【0056】
【数26】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
ダイオード間の比(設計者により選択される)は、A=10
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
上記で求められるように、R=60kOhm
上述のように、抵抗器R408の値は、大きくなるように選択可能である。抵抗器R416の値が小さくなり過ぎる結果となる可能性があり、それによって回路に大量の電力を消費させてしまう場合がある。したがって、抵抗器R408の値は、その最大計算値600kOhmよりも小さくなるように選択されてもよい。一実施例では、R408は、500kOhmとなるように選択される。抵抗器R416およびR430の値は、以下の式を使用して計算可能である。
【0057】
【数27】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
ダイオード間の比(設計者により選択される)は、A=10
室温は、T=300K
室温でのダイオード電圧(プロセス依存性)は、VD0=0.65V
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
上記で求められるように、R=60kOhm
上記で選択されるように、R=500kOhm
電力低下基準レベルは、UBOR=3.5ボルト
次いで、感度は、以下の式を使用して計算可能である。
【0058】
【数28】

ここで、
Boltzmann定数は、k=1.38×10−23
電子電圧は、q=1.6×10−19
ダイオード間の比(設計者により選択される)は、A=10
室温は、T=300K
室温でのダイオード電圧(プロセス依存性)は、VD0=0.65K
ダイオード電圧温度勾配(プロセス依存性)は、k=−2mV/K
上記で求められるように、R=60kOhm
上記で選択されるように、R=500kOhm
電力低下基準レベルは、UBOR=3.5ボルト
したがって、電源電圧VCC422が1ボルト変化する場合、比較器414の負の入力458に結合される、ノード440での電圧レベルは、32mV変化するであろう。感度は、比較器414の設計制約を選択するために使用可能である。
【0059】
電圧低下装置は、図5に示されるシステム500等のシステム内に含めてもよい。システム500は、プロセッサ510と、メモリ520と、記憶装置530と、1つ以上の入/出力装置540とを含む。構成要素510、520、530、540のそれぞれは、システムバス550を使用して相互接続可能である。いくつかの実装では、プロセッサ510は、システム500内で実行するための命令を処理可能である。例えば、プロセッサ510は、方法200の任意ステップ212を行う命令を実行する、処理装置108であることが可能である。電圧低下検出器106は、プロセッサ510、メモリ520、記憶装置530、または入/出力装置540に提供される電源電圧を監視するように、システム500内に統合されてもよい。
【0060】
いくつかの実装では、プロセッサ510は、単一スレッド型プロセッサである。他の実装では、プロセッサ510は、マルチスレッド型プロセッサである。プロセッサ510は、メモリ520内、または記憶装置530上に格納された命令を処理可能である。いくつかの実装では、処理された命令は、入/出力装置540の1つ上でユーザインターフェースのためのグラフィカル情報を生成してもよい。
【0061】
メモリ520は、システム500内に情報を格納する。いくつかの実装では、メモリ520は、コンピュータ可読媒体である。いくつかの実装では、メモリ520は、揮発性メモリ装置である。他の実装では、メモリ520は、不揮発性メモリ装置である。
【0062】
メモリ106等の記憶装置530は、システム100のための大容量記憶を提供可能である。いくつかの実装では、記憶装置530は、コンピュータ可読媒体である。種々の異なる実装では、記憶装置530は、フロッピー(登録商標)ディスク装置、ハードティスク装置、光ディスク装置、またはテープ装置であってもよい。
【0063】
入/出力装置540は、システム500のための入/出力動作を提供する。いくつかの実装では、入/出力装置540は、キーボードおよび/または位置決め装置を含む。他の実装では、入/出力装置540は、グラフィカルユーザーインターフェースを表示するための表示装置を含む。
【0064】
記載される特性は、デジタル電子回路、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせ内に実装可能である。該装置は、プログラム可能プロセッサによって実行するための、例えば、機械可読記憶装置または伝搬信号等の情報担体において有形に具現化されるコンピュータプログラム製品内に実装可能であり、方法ステップは、入力データに作用し、出力を生成することによって、記載された実装の機能を行う命令プログラムを実行する、プログラム可能プロセッサによって行うことが可能である。記載された特性は、データ記憶システムと、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とからデータおよび命令を受信し、そこへデータおよび命令を送信するように結合された少なくとも1つのプログラム可能プロセッサを含む、プログラム可能システム上で実行可能な1つ以上のコンピュータプログラム内に有利に実装可能である。コンピュータプログラムは、特定の作用を実行または特定の結果をもたらすコンピュータ内で、直接または間接的に使用可能な一式の命令である。コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語を含む、任意の形式のプログラム言語で書き込むことが可能であり、独立型プログラムまたはモジュールを含む形態、構成要素、サブルーチン、あるいは計算環境での使用に好適な他の装置に展開可能である。
【0065】
命令プログラム実行のための好適なプロセッサは、一例として、汎用および特定目的のマイクロプロセッサ、単一プロセッサ、または任意の種類のコンピュータの複数プロセッサのうちの1つを含む。概して、プロセッサは、読込専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、または両方から命令およびデータを受信するであろう。コンピュータの不可欠要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つ以上のメモリである。概して、コンピュータはまた、データファイルを格納するための1つ以上の大量記憶装置を含む、またはそれらと通信するように動作可能に結合されるだろう。そのような装置は、内部ハードティスクおよびポータブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクを含む。コンピュータプログラム命令およびデータの有形具現化に好適な記憶装置は、一例として、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置等の半導体メモリ装置、内部ハードティスクおよびポータブルディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROMおよびDVD−ROMディスクを含む、任意の形式の不揮発性メモリである。プロセッサおよびメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)によって補完される、またはその中に組み込まれることが可能である。
【0066】
ユーザとの対話用に提供するため、特性は、ユーザに情報を表示するためのCRT(カソード線管)またはLCD(液晶表示装置)モニタ等の表示装置と、ユーザがコンピュータに入力可能なマウスまたはトラックボール等のキーボードまたは位置決め装置とを有するコンピュータ上に実装可能である。
【0067】
システムの構成要素は、通信ネットワーク等の任意の形式または媒体のデジタルデータによって接続可能である。通信ネットワークの実施例は、例えば、LAN、WAN、コンピュータ、インターネットを形成するネットワークを含む。
【0068】
いくつかの実施形態が記載された。それでもなお、種々の修正が、本主題の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることを理解されるであろう。例えば、本明細書で図1を参照して記載されたように、比較器112は、分圧された電源電圧レベルが温度補償型電圧基準を上回って上昇する場合に判断可能である。これが生じる場合、比較器112の出力116は、第1の電圧レベル、例えば0ボルトから、第2の電圧レベル、例えば2.5ボルトに移行し、計算装置104への電力印加を示すであろう。計算装置104は、このインジケータを使用して、その構成要素の電源を入れ、初期化可能である。さらに他の実装、電源電圧は、比較器に入力されるまで分圧されない。加えて、図3および4の接地330、432は、それぞれ電源接地の代わりに浮動接地であることが可能である。故に、他の実施形態も、以下の請求項の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、温度補償回路を含む、電圧低下を検出するための例示的システムのブロック図である。
【図2】図2は、図1のシステムを使用して、電圧低下を検出するための例示的方法の工程図である。
【図3】図3は、例示的温度補償電圧低下回路の概略図である。
【図4】図4は、可変電圧低下電圧基準を有する、例示的温度補償電圧低下回路の概略図である。
【図5】図5は、全体的コンピュータシステムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電圧によって指定される電圧低下閾値の交差を検出する比較器であって、該比較器は第1および第2の入力を有する、比較器と、
並列に接続された2つの分岐を有する温度補償回路であって、該2つの分岐は、実質的に温度に非依存性である該基準電圧を提供する第1の分岐と、供給電圧の指示を提供する第2の分岐であり、該第1の分岐は、該第1の入力に結合され、該第2の分岐は、該第2の入力に結合される、温度補償回路と
を備える、電圧低下検出回路。
【請求項2】
前記温度補償回路は、前記基準電圧を調節するための構成要素を有する第3の分岐をさらに備える、請求項2に記載の検出回路。
【請求項3】
前記構成要素は、直列の2つの抵抗器を含む、請求項2に記載の検出回路。
【請求項4】
前記第3の分岐は、前記抵抗器間のノードで前記第1および第2の分岐に結合される、請求項3に記載の検出回路。
【請求項5】
前記第1の分岐は、直列の第1の抵抗器と第2の抵抗器とを含む、請求項1に記載の検出回路。
【請求項6】
前記第1の分岐は、前記第1と第2の抵抗器との間の第1のノードで前記第1の入力に結合される、請求項5に記載の検出回路。
【請求項7】
前記第1の分岐は、前記第2の抵抗器に直列に結合され、接地されたそのカソードを有する第1のダイオードをさらに備える、請求項5に記載の検出回路。
【請求項8】
前記比較器の第1の入力は、負の入力、つまり反転入力である、請求項1に記載の検出回路。
【請求項9】
前記第2の分岐は、第3の抵抗器を備える、請求項1に記載の検出回路。
【請求項10】
前記第2の分岐は、前記第3の抵抗器に直列に結合され、接地されたそのカソードを有する第2のダイオードをさらに備える、請求項9に記載の検出回路。
【請求項11】
前記第2の分岐は、前記第3の抵抗器と前記第2のダイオードとの間の第2のノードで前記第2の入力に結合される、請求項10に記載の検出回路。
【請求項12】
前記比較器の第2の入力は、正の入力、つまり非反転入力である、請求項1に記載の検出回路。
【請求項13】
前記第1の分岐は、直列に結合された第1の抵抗器と第2の抵抗器と第1のダイオードとを備え、前記第2の分岐は、直列に結合された第3の抵抗器と第2のダイオードとを備えており、該第1および第2の分岐は、該第1の抵抗器と該第3の抵抗器との間のノードで結合される、請求項1に記載の検出回路。
【請求項14】
前記第1および第2の分岐に結合された第3の分岐をさらに備え、該第3の分岐は、第4の抵抗器と、第5の抵抗器と、前記第1の抵抗器と前記第3の抵抗器との間の前記ノードに結合される該第4と第5の抵抗器との間のノードとを有する、請求項13に記載の検出回路。
【請求項15】
前記抵抗器と前記ダイオードとの間の関係は、次式
【数1】

によって表される、請求項14に記載の検出回路であって、kは、Boltzmann定数、qは、電子電荷定数、Aは、該ダイオード間の比、kは、該ダイオードの電圧温度勾配である、検出回路。
【請求項16】
前記第2の抵抗器は、以下の抵抗値
【数2】

を有する、請求項15に記載の検出回路であって、Iは、該第2の抵抗器を流れる電流の値、Tは、前記温度補償回路を囲繞する環境の温度である、検出回路。
【請求項17】
前記第3の抵抗器は、以下の最大抵抗値
【数3】

を有する、請求項16に記載の検出回路。
【請求項18】
前記第4の抵抗器は、以下の抵抗値
【数4】

を有する、請求項17に記載の検出回路であって、VREFは、前記電圧基準、Tは、前記温度補償回路を囲繞する環境の温度、VDOは、該環境の温度における前記ダイオードの電圧である、検出回路。
【請求項19】
前記第5の抵抗器は、以下の抵抗値
【数5】

を有する、請求項17に記載の検出回路であって、VREFは、前記電圧基準、Tは、前記温度補償回路を囲繞する環境の温度、VDOは、該環境の温度における前記ダイオードの電圧である、検出回路。
【請求項20】
温度補償回路の第1の分岐を使用して電圧低下閾値電圧を設定することであって、該電圧低下閾値電圧は、実質的に温度変化に非依存性であることと、
該第1の分岐と並列の該温度補償回路の第2の分岐を使用して第2の電圧を提供することであって、該第2の電圧は電源電圧を示す、ことと、
該第2の電圧が該電圧低下閾値電圧を交差する場合、比較器から信号を生成することであって、該電圧低下閾値電圧は、該比較器の第1の入力に結合され、該第2の電圧は、該比較器の第2の入力に結合される、ことと
を含む、電圧低下検出のための方法。
【請求項21】
前記電圧低下閾値電圧を選択することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
入力電圧によって基準電圧の交差を検出するための検出構成要素と、
該基準電圧を生成するための温度補償回路であって、並列に接続され、該検出構成要素に別個に結合される2つの回路分岐を備える、温度補償回路と、
実質的に温度非依存性である該基準電圧を生成するための第1の回路分岐と、
該入力電圧を生成するための第2の回路分岐と
を備える、回路。
【請求項23】
電圧低下閾値電圧を設定することと、
実質的に一定のレベルにおいて該電圧低下閾値電圧を実質的に維持するために、並列回路要素の温度変化を補償することを含む、実質的に温度変化に非依存性である該電圧低下閾値電圧を維持することと、
電源電圧を示す第2の電圧を評価することと、
該第2の電圧が該電圧低下閾値電圧を交差する場合、信号を生成することと
を含む、電圧低下検出のための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−529680(P2009−529680A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558534(P2008−558534)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/063577
【国際公開番号】WO2007/106712
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(591225523)アトメル・コーポレイション (57)
【氏名又は名称原語表記】ATMEL CORPORATION
【Fターム(参考)】