説明

電子の同時検出

【課題】 本発明は、サンプルの中を通り抜けた電子を検出する複数の検出器を提供する。
【解決手段】 検出器は、望ましくは、電子のエネルギーに従って電子を分離するプリズムの中をそれらの電子が通り抜けた後に、それらを検出する。異なるエネルギー範囲における電子は、次に、異なる検出器によって検出され、望ましくは、それらの検出器の少なくとも1つは、電子がサンプルの中を通り抜けるときにそれらによって失われるエネルギーを測定する。本発明の一実施形態は、コア・ロス電子においてEELSを提供する一方、ロー・ロス電子からの明視野STEM信号を同時に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム系に対する検出器に関し、詳しくは、異なる検出器を使用して異なるエネルギー範囲における電子を同時に検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走査透過型電子顕微鏡(STEM)において、高エネルギー電子が集められたビームは、薄いサンプルの全域を走査する。そのビームにおける電子は、それらがサンプルを通り抜けてその下に集められる時に、そのサンプルと相互作用する。いくつかの電子は、比較的妨げられずにそのサンプルを通り抜ける;他は屈折し、吸収されるか、又はエネルギーを失う。異なる結像及び解析技術は、透過電子の異なる特徴を使用して画像を形成するか、又はそのサンプルの特性を決定する。「STEM結像」という用語は、焦点が合わせられた電子ビームがそのサンプル面に沿って走査される時に、検出器に衝突する電子の数からそのサンプルに関する情報を取得することに言及する。STEM結像に使用される「STEM検出器」は、ET検出器(Everhart-Thornley detector)として知られるシンチレータ光電子増倍管検出器、PIN固体検出器、又は他の如何なる適切な検出器であってもよい。STEM検出器は、通常、主要電子ビームがサンプル面の一領域を走査する時に、データ収集を可能にするのに十分に速い。典型的な走査は、例えば、1行に1000走査点で1000行をビームでラスター走査(rastering)することである。それは約1秒かかり、100万ピクセル以上の情報を生成することから、その検出器は、少なくとも毎秒100万読み出しの速度で読み出しを供給することができるのが望ましい。通常、精度の高いSTEM結像回路は、数マイクロ秒、望ましくは100マイクロ秒未満、50マイクロ秒未満、さらに望ましくは10マイクロ秒未満で読み出しを取得することが出来る。
【0003】
方向を大きく変えずにそのサンプルを通過する電子は、「明視野STEM結像」と呼ばれるプロセスにおいてビーム軸に沿って検出される。サンプルによって、より大きい角度で屈折させられる電子は、「暗視野STEM結像」と呼ばれるプロセスにおいて光軸から離れて収集される。明視野及び暗視野STEM結像における電子は、衝突電子の数に比例した信号を生成する検出器によって検出され得る。明視野結像に対するSTEM検出器は、通常、円形であり、そのシステム光軸に中心が置かれている。暗視野結像に使用されるSTEM検出器は、通常、環状であり、軸と同心である。主要電子ビームの走査において各箇所で収集される明視野結像又は暗視野結像からの情報は、別々に使用されるか、あるいは、一緒に使用され、そのサンプルを撮像するか、又はそのサンプルの特徴をマッピングする。
【0004】
結像のもう1つのモード、いわゆるTEM結像では、そのサンプルは、平行な電子のビームで照射される。この場合もまた、それらの電子の一部分は、比較的妨げられずにそのサンプルを通り抜ける;他の電子は屈折させられるか、吸収されるか、あるいはエネルギーを失う。そのサンプルの画像は検出器で形成され、その検出器は、例えば、蛍光スクリーン、CMOSカメラ、CCDカメラ、又は他の任意の適切な検出器の形にある。
【0005】
多くの装置がTEM画像及びSTEM画像を形成することが可能であることが知られている。
【0006】
サンプルに関する追加の情報は、電子がそのサンプルを通り抜けるときに吸収されるエネルギーを測定することによって提供される。この技術は、「電子エネルギー損失分光法」又はEELSと呼ばれる。EELSの概説は、非特許文献1において与えられている。そのサンプルにおける異なる物質は、電子が通り抜けるときに、それらが異なる量のエネルギーを失う原因となる。それらの電子は、それらの既存のエネルギーを元の電子ビームにおける電子エネルギーから差し引くことによってエネルギー損失(ロス)を決定するために、分光器を通過する。EELSは、どの要素が存在しているかだけでなく、それらの化学的状態も判定することができる。
【0007】
EELS分光器は、通常、電子を、その電子エネルギーに依存する量でそれらを屈折させることによって、エネルギー分散面においてそれらのエネルギーによって電子を分離する1つ又はそれ以上のプリズムを含む。エネルギー分散面は、異なるエネルギーを有する電子が、そのビームが向かう方向に垂直な方向において分散させられる平面である。本文献で使用される「プリズム」という用語は、電子ビームを、そのビームにおける電子のエネルギーによって分散させる如何なる装置も意味する。プリズムは、例えば、そのビームに垂直な磁場又は電界を供給することができる。例えば、球状キャパシタ、磁気偏向器又はウィーナーフィルタの一部分は、プリズムとして使用できる。それらの電子の角分散は、そのプリズムにおける磁場又は電界の強度及び電子のエネルギーに依存する。プリズムは、複数の素子を含んでもよい。プリズムに加えて、EELS分光器は、また、画像を記録する検出器において電子画像を形成するために、通常エネルギー分散面に又はその近辺に配置された調整可能なエネルギー選択ユニット、及び、プリズム系及び/又はレンズ系及び/又は多極系又はそれらの組み合わせを含んでもよい結像光学系も含んでもよい。その検出器は、例えば、電荷結合素子又はアクティブ・ピクセル・センサーであってもよく、1行の又は2次元のピクセル配列を含んでもよい。そのサンプルの後及び分光器の前に配置される投影光学系は、電子を分光器の入口開口の中へ投影する。
【0008】
通常、EELS分光器は、2つのモードにおいて操作することができる。「分光モード」と呼ばれる第1モードにおいて、その結像光学系は、検出器においてエネルギー分散面の画像を形成する。この方法では、その検出器における画像は、標本において失われたエネルギーのスペクトルを構成する。エネルギー分散面と検出器との間におけるプリズム系及び/又はレンズ系及び/又は多極系は、検出器においてエネルギー分散面の拡大を変化させるために使用され得る。低倍率は、そのスペクトルの概要を結像するために使用することができ、高倍率は、そのスペクトルにおける詳細を結像するために使用することができる。このモードにおいて、そのエネルギーを選択するスリットは、通常必要ではなく、その影が検出器において写らないように十分に幅広く設定される。
【0009】
「エネルギー選択された」又は「エネルギーがフィルタリングされた」結像モードと呼ばれるEELS分光器の操作の第2モードにおいて、その結像光学系は、検出器において分光器の入口面の画像を形成する。そのサンプルと分光器との間の投影光学系は、その分光器の入口面がサンプルのTEM画像を含み、その結果、検出器平面が再びサンプルのTEM画像を含むように設定することができる。その代わりに、投影光学系は、分光器の入口面がそのサンプルの後の第1レンズの後焦点面の画像を含むように設定することができ、その画像は、通常、サンプルの回折パターンとして言及される。そのエネルギー選択スリットは、検出器において、サンプルを通り抜けるエネルギーの特定の量を失っている電子によってのみ形成される、TEM画像又は回折パターンを形成するために使用することができる。
【0010】
いくつかのEELS分光器は、第2モードにおいて(例えば、検出器が2次元画像を記録することが可能でないことから、又はレンズ系又は多極系が入口面の画像を形成するのに十分に柔軟でないことから)作動することができない。従って、これらのEELS分光器は、エネルギー選択スリットを必要としない。
【0011】
電子がサンプルを通り抜けるときにエネルギーを失ういくつかの機構が存在する。異なる機構は、異なる量のエネルギーを電子が失うようにし、典型的なエネルギー損失のグラフ又はスペクトルの形状の主な原因となる。図1A及び1Bは、様々なエネルギー損失の値で検出された電子の数を任意の単位で示すスペクトルである。そのエネルギー損失スペクトルは、そのサンプルにおいて存在する物質とともに変化することから、そのサンプルに関する情報がスペクトルから示唆される。
【0012】
図1Aは、エネルギー損失スペクトルの、いわゆる「低損失(ロー・ロス)」領域100を示し、それは、100eV未満の領域として若干任意に定義される。そのロー・ロス領域における電子損失は、主に、フォノン相互作用、プラズモン相互作用、外殻電子との衝突、内殻電子との非電離相互作用、および放射ロスなどの非弾性相互作用から生じる。図1Bは、そのスペクトルの典型的な「コア・ロス」領域108を示す。そのコア・ロス領域における電子損失は、内殻又は「コア」電子の電離から起こり、損失は、通常100eVよりも大きい。図1A及び図1Bのスペクトルは、同じ寸法では描かれいない;図1Bの垂直の寸法は、図1Aに比べてはるかに拡大されている。
【0013】
図1Aは、ゼロ・エネルギー損失に中心が置かれた「ゼロ・ロスピーク」と呼ばれる大きなピーク102を示す。それは、通常、約0.2eVから2eVの幅であり、元のビームにおいて広がったエネルギー及びビーム電子と原子核との間の圧倒的に弾性の衝突において起こる小さいエネルギー損失を主に表す。幅広いプラズモン・ピーク104は、ビーム電子の価電子との共振によって生じる。図1Bは、図1Aにおいて示されているよりもはるかに大きいエネルギー損失を有するピーク110、112及び114を示す。各ピークは、特定の内殻電子の除去に関連し、そのピークは、特定のサンプル物質の特徴である。コア・ロススペクトルは、そのサンプルに関する情報が、エネルギー損失スペクトルのロー・ロス領域からも入手可能であるが、そのサンプルにおいて存在する物質を容易に識別する情報を提供する。
【0014】
図2Aは、暗視野電子202を同時に検出し、明視野電子204においてEELSを実施することができる走査透過型電子顕微鏡200を示す。顕微鏡200は、電子源210及び電子源210からの電子を小さいスポットに集中させ、そのスポットを薄いサンプル214の全域で走査する、集束コラム212を含む。そのビームは、高エネルギー電子で構成され、電子は、約50keVと1,000keVとの間の通常のエネルギーを有する。サンプル214を通り抜ける電子は、投影光学系216へ入る。投影光学系216は、分光器217の入口面においてサンプル214の拡大された画像を形成するように、あるいはその分光器217の入口面において回折パターンを形成するように設定することができる。STEM応用において、投影光学系216は、通常、サンプルを最小の屈折で通り抜ける明視野電子204が入口開口215を通り抜け、分光器217に入り、一方で、そのサンプルによってより強く屈折した暗視野電子202は、環状暗視野STEM検出器218によって検出されるように、その分光器の入口面において回折パターンを形成するように調整される。環状STEM検出器218からの信号は、増幅器220によって増幅される。その環状STEM検出器218は、通常シンチレータ光電子増倍管又は固体PIN検出器である。明視野電子204は、環状STEM検出器218の中心穴を通り抜け、それらの電子を、それらのエネルギーに従って異なる軌道224a、224b...224eなどへ分散させるプリズム222を含む分光器217の中へと通り抜ける。
【0015】
電子は、それらのエネルギーに従って、エネルギー分散面225に垂直に広がる。上記のエネルギー選択がされた結像モードにおいて作動が可能な顕微鏡は、上方ナイフエッジ(knife edge)226U及び下方ナイフエッジ226Lを有し、エネルギー分散面225において、又はその近くに配置されたエネルギー選択スリット226を含む。そのナイフエッジの間の間隔は、異なる範囲内のエネルギーを有する電子を通すように調整可能である。エネルギー選択スリット236を通り抜ける電子230は、フィルム、蛍光スクリーン、CCD検出器、又はアクティブ・ピクセル・センサーなどの検出器234において結合光学系232によって集中められる。その特定の範囲の外のエネルギーを有する電子236は、エネルギー選択スリット226によってブロックされる。
【0016】
環状検出器218は、STEM検出器218の環状形状が、ビーム軸から離れる電子だけをブロックすることから、プリズム222に入る明視野電子204と相互作用しない。そのような系は、明視野検出器及びそのサポートが、電子ビームがプリズムに入ることを防ぐことから、EELSを同時に実施する間に、明視野電子をSTEM検出することに関して適切であるとは見なされなかった。
【0017】
図2Bは、暗視野電子202を検出し、明視野電子204にEELSを実施することが同時にできるもう1つの走査透過型電子顕微鏡248を示す。顕微鏡248は、「ポスト・カラム(post column)」分光器として構成された図2Aの分光器217とは対照的に「イン・カラム(in column)」分光器として構成された分光器250を含む。「イン・カラム」分光器において、電子は、それらが分光器に入る方向と平行にその分光器を出る。分光器250は、プリズムに対して、少なくとも2つの素子252A、252B、252C、及び252Dを通常含む「オメガフィルター」を含む。素子252A及び252Bは、電子経路をオフセットし、その電子ビームを分散させる。素子252C及び252Dは、その電子ビームをさらに分散させ、そのビームを元の光軸へとずらす。素子252A及び252Bで構成されるオメガフィルターの第1の半分と素子252C及び252Dで構成されるオメガフィルターの第2の半分との間の対称性は、プリズムのいくつかの収差を相殺するように構成される。オメガフィルターのこれらの2つの半分の分散作用は、相殺せず、素子252Dの後にエネルギー分散面254を生成する。この平面において、エネルギー選択スリット256L及び256Rが、配置される。素子252Dを出る電子260は、結像光学系232によって検出器234に集められる。
【0018】
「ロー・ロス領域」及び「コア・ロス領域」の両方が、明視野電子及び暗視野電子の両方を含むことが知られており、それによって、サンプルを出る電子は、4つのカテゴリに分けることができる:明視野ロー・ロス電子、暗視野ロー・ロス電子、明視野コア・ロス電子、及び暗視野コア・ロス電子である。「ゼロ・ロスピーク」は、エネルギー損失に言及し、屈折角には言及しないことから、「ゼロ・ロス電子」は、「明視野」電子と同じではない。例えば、原子核によって弾性的に散乱する電子は、ほぼ全くエネルギーを失わないが、非常に大きい角度で散乱してもよい。4つの全てのカテゴリからの電子は、サンプルに関する情報を提供するために使用されてもよい。上記のカテゴリにおける電子の典型的な割合は、それぞれ、~95%、~5%、~1%、及び~0.05%である。従って、典型的な顕微鏡走査において、明視野ロー・ロス電子は、既存のビームの最大の割合であり、暗視野コア・ロス電子は、既存のビームの最小の割合である。暗視野EELS信号は、通常、明視野EELS信号よりも10から100倍小さいことから、その暗視野のEELS信号に対する貢献は、通常無視される。典型的な顕微鏡走査において、サンプルと環状STEM検出器との間の投影系は、暗視野電子が環状STEM検出器に衝突するように設定され、明視野コア・ロス電子は、分光器によって記録される。また、その分光器の入口開口は、平常は、明視野電子を通すだけであることから、その分光器は、明視野EELS信号を記録する。本文献で使用される「EELS」という用語は、通常の意味において、明視野EELSに主に言及する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】“Electron energy-loss spectroscopy in TEM”,R.F. Egerton,Reports on Progress in Physics 72(2008年12月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、走査透過型電子顕微鏡において複数の同時解析を提供することであり、その複数の解析は、エネルギー損失分光法及びSTEM結像を含む。
【課題を解決するための手段】
【0021】
望ましい実施形態は、プリズムの後に配置された少なくとも2つの検出器を含み、一方の検出器は、第1エネルギー範囲内のエネルギーを有する電子を検出し、他方の検出器は、第2エネルギー範囲内のエネルギーを有する電子を検出する。その2つの検出器のうち1つは、望ましくは、検出された電子のエネルギー損失を決定する。例えば、望ましい実施形態は、コア・ロス電子に対するエネルギー損失スペクトルを決定する一方で、ロー・ロス電子からサンプルに関する追加の情報を同時に提供することが可能である。
【0022】
上記は、以下に続く本発明の詳細な記載がよりよく理解されるように、本発明の特徴及び技術的利点をむしろ幅広く概説している。本発明のさらなる特徴及び利点は、以下に記載される。開示される概念及び特定の実施形態は、改良及び本発明の同じ目的を実施するための他の構造を設計するための基盤として容易に使用されてもよいことは、当業者に理解されるべきである。また、そのような均等な構造物は、添付の請求項において説明されるように、本発明の要旨及び範囲から離れないことも、当業者は実感するべきである。
【0023】
本発明及びその利点のより深い理解のために、付属の図と共に取り入れられる以下の記載に関してここで述べる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】エネルギー・スペクトルのロー・ロス領域における任意の電子エネルギー損失スペクトルを示す図である。
【図1B】エネルギー・スペクトルのコア・ロス領域における任意の電子エネルギー損失スペクトルを示す図である。
【図2A】暗視野STEM検出及びEELSを実施することができる走査透過型電子顕微鏡を示す図である。
【図2B】暗視野STEM検出及びEELSを実施することができる、もう1つの従来技術の検出器を示す図である。
【図3】明視野STEM検出及びEELSを実施することができる、本発明の第1実施形態を示す概略図である。
【図4】明視野STEM検出及びEELSを実施することができる、本発明の第2実施形態を示す概略図である。
【図5】検出器がエネルギー選択スリットの片側に付着した、本発明の実施形態を示す図である。
【図6】エネルギー選択スリットの片側が検出器として使用される、本発明の実施形態を示す図である。
【図7】暗視野STEM検出、及びコア・ロス電子において明視野STEM検出、及びEELSを実施することが出来る実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態は、サンプルの中を通り抜けた電子を検出する複数の検出器を提供する。それらの検出器は、電子がプリズム又は多数のプリズムを通り抜けた後に、それらの電子を検出するのが望ましく、そのプリズム又は多数のプリズムは、電子のエネルギーに従ってそれらを分離する。異なるエネルギー範囲における電子は、次に、異なる検出器によって検出され、それらの検出器のうち少なくとも1つは、それらの電子がサンプルを通り抜けるときにそれらによって失われるエネルギーを測定するのが望ましい。
【0026】
いくつかの実施形態は、明視野電子に関して、明視野低エネルギー・ロス電子をサロゲート(surrogate)として検出することから、明視野STEM情報がEELSと同時に提供されることを可能にする。そのような実施形態は、サンプルに関する情報を収集するのに必要な時間を低減し、線量、つまり、そのサンプルに衝突し、場合によってはそのサンプルに損傷を与える電子の合計数を低減する。例えば、ユーザーは、明視野STEMモードを使用して標本を素早く走査し、暗視野STEMでは通常、何かの原子要素の存在を確認するためにEELSスペクトルを同時に観測する間にアクセス可能ではない歪みに関する情報、より一般的には、結晶の情報を得ることができる。
【0027】
STEM検出器は、エネルギー分散面において又はその近くに配置されるのが望ましい。顕微鏡がエネルギー選択スリットを含む場合、そのエネルギー選択スリットもまた、通常は、そのエネルギー分散面に又はその近くに配置され、STEM検出器は、そのエネルギー選択スリットの前に配置されるのが望ましい。そのスリット自体は、いくつかの実施形態において検出器として使用されてもよい。プリズムは、スペクトルのどの部分が結像光学系に入るか及びスペクトルのどの部分が結像光学系の前のSTEM検出器に衝突するかを決定するように調整される。例えば、そのプリズムは、ロー・ロス領域における電子が、コア・ロス領域における電子がSTEM検出器に衝突する間に、光軸からずれて結像光学系の前に配置されたSTEM検出器に衝突するように、調整されてもよい。この実施形態において、STEM検出器は、結像光学系の前に配置され、そのスペクトルのロー・ロス領域における電子を検出するのに使用されるSTEM検出器よりも、光軸の反対側にオフセットされる。この調整は、コア・ロス明視野STEMデータ及びロー・ロスEELSデータを同時に提供することができる。
【0028】
プリズムをその軸に沿って出る電子のエネルギーは、例えば、磁気プリズムにおける電流又は静電気プリズムにおける電圧を変えることによって、そのプリズムの励起を変えることによって容易に調整可能である。STEM検出器は、望まれるエネルギー範囲を検出するためにそのエネルギー分散の方向において十分に長く作成することができ、望まれるエネルギーの値を検出するように配置することができる。
【実施例】
【0029】
図3は、望ましい透過型電子顕微鏡300が、電子源302及びその電子源302からの電子を小さいスポットに集める集束カラム304を含み、薄いサンプル306の全域でそのスポットを走査することを示す。それらの電子は、通常、50keVと1,000keVとの間のエネルギーに加速される。サンプル306を通り抜けるほとんどの電子は、投影電子光学系308へと入る。投影電子光学系308は、そのサンプルの電子画像を拡大する。本発明の望ましい実施形態において、投影電子光学系308は、暗視野電子312が、任意的な暗視野検出器318に方向付けられ、明視野電子310が分散電子光学系、すなわちプリズム322へと入るように、調整される。このプリズムは、明視野電子を、検出器334によって記録されるコア・ロス明視野電子350及び検出器340によって記録されるロー・ロス明視野電子352へと分離する。従来技術において、サンプル306に存在する信号の主な割合を構成するロー・ロス明視野電子352は、EELSの間に検出されなかった。
【0030】
当該システムの集束角、つまりサンプルによって散乱した電子がいまだに検出される最大の角度は、プリズム322の入口開口のサイズ及び位置によって決定され、投影光学系308のレンズの設定によって決定される。
【0031】
任意的なエネルギー選択スリット328は、エネルギー分散面329において配置された上方ナイフエッジ328U及び下方ナイフエッジ328Lを含む。そのナイフエッジの間の間隙は、異なった範囲の電子エネルギーを通すように調整可能である。それらのナイフエッジは、また、ビームを全くブロックしないように、引っ込めることも出来る。エネルギー選択ユニット328を通り抜ける電子330は、電子光学系332を、フィルム、蛍光スクリーン、CCD検出器、又はスペクトルを記録するアクティブ・ピクセル・センサーなどの検出器334において結像することによって、投影される。STEM検出器340は、エネルギー選択スリット328の前に配置され、増幅器342に接続される。
【0032】
検出器340の上方端部は、完全に開いた位置にある下方ナイフエッジ328Lの上部のすぐ下で配置される。その下方ナイフエッジ328Lの上部の下の正確な距離は、重大ではなく、実際の製造の考慮において決定される。例えば、約0.4mm下に配置された検出器を有するシステムは、かなりの努力をすることなく確実に製造されることができる。検出器340は、望ましくは、5mmと10mmとの間の垂直距離を有する。いくつかの実施形態において、検出器340の位置は調整可能であり、つまり、異なるエネルギーの電子によって衝突されるように、上下に動かすことができる。それは、例えば、下方ナイフエッジ328Lの位置が調整されると、動かしてよい。検出器340が配置されているその下方ナイフエッジの下の距離及び検出器340の長さは、検出器340が収集できる電子のエネルギーを決定する。その寸法は、検出器がプリズムによって屈折させられる電子を収集するように配置されている限り重大ではなく、その検出器は、望まれるエネルギー範囲内のエネルギーを有する電子を収集するように十分に長い。
【0033】
1つの望ましい実施形態において、プリズム322は、300keVに対するエネルギー分散面329において約4μm/eVの分散を起こすように調整され、約550eVのエネルギー損失を有する電子340が、そのプリズムをその軸に沿って出るようにする。ゼロ・ロス及びロー・ロス電子352は、次に、分光器の軸の下、約2.2mmと1.8mmの間に配置され、そのスリット開口の全体の幅が2.8mmである場合、下方ナイフエッジ328Lの下、約0.4mmと0.8mmの間に配置され、検出器340によって収集される。グラフ354は、プリズム322の出口で異なる垂直位置でプリズム322を出る電子のエネルギー損失を示す。破線は、それらの電子軌道をグラフ354につなげている。寸法は、本文献において例を提供するように記載されており、本発明を限定するようには記載されない;異なる実装は、異なる寸法を使用するであろう。
【0034】
上記に記載されたように、分光器は、2つのモードにおいて使用することができる。分光モードでは、比較的幅広いエネルギー範囲に及ぶ電子は、スリット328の中を通ることが許可され、結像電子光学系322は、検出器334の平面でスリットの平面の画像を形成し、スペクトルを生成する。エネルギーがフィルタリングされた結像モードでは、そのエネルギー選択スリットは、10eV又は20eVの幅の小さい範囲の電子エネルギーを選択し、結像電子光学系332は、その狭いエネルギー範囲内の電子を使用して、検出器平面において、プリズムの入口平面の画像を形成する。その分光器の入口平面における画像、及び、従って検出器における画像は、投影光学系308の設定によっては、サンプルの画像又は回折パターンであり得る。1つの分光モード実施形態において、エネルギー選択スリット328は、約100eVと約1000eVの間のエネルギー損失を有する電子を通す幅に調整される。それらの電子は、結像電子光学系332によって検出器334に投影される。約1000eVよりも大きいエネルギー損失を有する電子356は、上方ナイフエッジ328Uに衝突し、検出されない。従って、検出器334は、約100eVと1000eVの間のエネルギー損失を有する「コア・ロス」電子のエネルギー損失を測定し、一方、検出器340は、ゼロ・ロスにおける電子の数及び他のロー・ロス電子の数を検出する。
【0035】
観測されるスペクトルの部分によっては、そのプリズムは、通常、対象のエネルギー領域の中心がそのプリズムをプリズム軸に沿って出るようにするように調整される。結像電子光学系332の倍率は、検出器334における限られたエネルギー範囲の高解像度の画像を供給するように、又はより幅広いエネルギー範囲にわたる低解像度を供給するように調整することができる。例えば、そのプリズムは、500eVのエネルギー損失を有する電子がその軸に沿って出るように調節されてもよく、そのエネルギー選択スリットは、495eVと505eVの間のエネルギーを有する電子を通してもよい。その画像は、次に、その限られた範囲内の高分解能のスペクトルを供給するように光学系332によって拡大される。代替として、そのエネルギー選択スリットは、100eVと1000eVの間のエネルギー損失を有する電子を通すように開かれてもよく、その画像は、次に、光学系332によって拡大され、その幅広い範囲内における低分解能のスペクトルを供給する。
【0036】
そのプリズムが調整されると、そのゼロ・ロスピークの位置が変化する。検出器340は、望ましくは、そのゼロ・ロスピークを、プリズム調整の幅広い範囲、つまり、その出口でプリズム軸に沿って整列したエネルギーの幅広い範囲及び幅広い分散の全域にわたって検出するように十分に長い。例えば、そのプリズムが、エネルギー選択スリット328の平面において4μm/eVの分散を与えるように調整されるとき、10mmの長さを有する検出器340は、2,500eVのエネルギー範囲内において電子を検出することができ、そのプリズム軸におけるビーム・エネルギーが大きい範囲にわたって調整されることを可能にし、一方で、検出器340におけるゼロ・ロスピークをまだ検出する。その検出器の位置もまた、望まれるエネルギー範囲内の電子を妨害するように調整されてもよい。
【0037】
従って、透過型電子顕微鏡300は、任意の検出器318からの暗視野STEM情報、検出器340からの明視野STEM情報、及び検出器334からのEELS情報を同時に収集することができる。検出器349からのロー・ロス領域における電子からのデータは、明視野STEMから入手可能なデータに似ており、似た方法で解釈することができる。例えば、そのロー・ロスピーク信号は、歪み情報などの結晶の情報を得るために標本を素早く走査するために使用することもできる一方、特定の要素の存在を決定するために、コア・ロス電子のEELSスペクトルを同時に観測する。
【0038】
図4は、イン・カラム分光器を使用する走査透過型顕微鏡400の代替の実施形態を示す。走査透過型顕微鏡400は、電子源302及びその電子源302によって供給された電子をサンプル306に集め走査する集束カラム304を含む。投影電子光学系308は、望ましくは、サンプル306から暗視野電子312を任意の暗視野検出器318に方向付け、明視野電子310を、断片412A、412B、412C、及び412Dを含むオメガフィルターを有するプリズム412の中へ方向付ける。プリズム412は、サンプル306からの電子を、断片412Dと結像光学系424との間に配置されたエネルギー分散面414において分散させる。プリズム412は、ロー・ロス電子が、プリズム断片412Dを軸から出て、そのエネルギー分散面414に又はその近くに配置されている明視野STEM検出器420によって検出できるように調整される。コア・ロス電子は、任意のエネルギー選択スリット418を通り抜け、検出器426において、エネルギー分散面414の画像又はプリズム入口面の画像のいずれか一方の画像を形成する結像光学系424へ入る。プリズム412の調整は、図3におけるポスト・カラム・フィルターに関して上記に記載された調整に似ている。プリズム412の、その軸上に存在する電子のエネルギー及びその電子の分散を制御する励起は、明視野STEM検出器420に衝突する電子のエネルギー範囲及び結像光学系424の中を通って続く電子エネルギーの範囲を決定するように調整することができ、EELSに対して使用することができる。
【0039】
図5は、検出器502がエネルギー選択スリット528の下方ナイフエッジ528Lに付着されている走査透過型電子顕微鏡500の代替の実施形態を示す。他の観点において、走査透過型電子顕微鏡500は、図3の走査透過型電子顕微鏡に似ている。図6は、エネルギー選択スリット628の下方ナイフエッジ628Lが第2検出器として使用され、増幅器に接続されている走査透過型電子顕微鏡600の代替の実施形態を示す。そのナイフエッジを検出のための金属電極として使用することは、多くの応用に対して十分に速くデータを提供しないかもしれない。
【0040】
図7は、検出器702がエネルギー選択スリット728の上方ナイフエッジ728Uに付着している走査透過型電子顕微鏡700の代替の実施形態を示す。プリズム322は、ゼロ・ロスピークにおける電子710が、下方ナイフエッジ728Lのすぐ上を通過し、結像光学系332へ入るように、調整される。ロー・ロス領域の中心の近くのエネルギーを有する電子712は、プリズム332の軸に沿って出る。従って、ゼロ・ロス及びロー・ロス電子は、結像電子光学系332によって検出器334に投影される。より高いエネルギー損失を有する電子は、スリット開口の上で検出器702に衝突し、ゼロ・ロス又はロー・ロスSTEM信号に似たコア・ロス電子STEM信号を供給する。例えば、100eV未満のエネルギー損失を有する電子は、エネルギー選択スリット728を撮り抜けてもよく、一方で、100eVよりも大きいエネルギー損失を有する電子は、そのスリットの上を通過し、検出器702によって検出される。検出器702もまた、図3において示される検出器340のように、ナイフエッジの前に配置されてもよい。検出器702もまた、除去することができる;そのナイフエッジ728Uは、検出器として使用することができ、増幅器220に接続される。任意の検出器402は、図4に関して上記に記載されたようにプリズム322がコア・ロス電子においてEELSを実施するように及びロー・ロス電子に対してSTEM検出を実施するために調整することができるように、下方ナイフエッジ728Lに付着させることができる。
【0041】
明視野STEM及びEELSの同時使用は、より短い時間において、ユーザーにサンプル解析結果を提供する。解析を組み合わせることによって、同じ情報が、そのサンプルの高エネルギー電子ビームへのより少ない露出で得ることができる。
【0042】
上記の実施形態において記載された様々な検出器によって検出される電子エネルギーの範囲は模範的であり、その応用及び収集されるべき情報によって変化し得る。
【0043】
上記の実施形態において使用されたSTEM検出器も、また、位置感度検出器であり得る。そのプリズムの後の電子の位置が、それらの電子のエネルギーに依存することから、例えば、複数の断片、ストライプ、又はピクセルに分割されることによって、位置の情報を提供する検出器は、結像光学系332の後に配置された検出器から供給される分光情報以外に、分光情報を供給することができる。いくつかの実施形態において、そのSTEM検出器の位置は、調整可能であり、スペクトルの如何なる部分も検出するように、如何なる望ましい位置にも動かすことができる。
【0044】
1つの望ましい実施形態は、高エネルギー電子の源;その高エネルギー電子源からの電子をビームに集中させ、サンプルの全域で走査するための電子集束カラム;そのサンプルを通り抜けた異なるエネルギーの電子を分散させるための分散素子;第1電子検出器;その第1検出器にスリットを通り抜けた電子を投影するための電子光学系;電子を検出するための第2検出器を含み、第1電子検出器は、複数の箇所において電子強度を記録することによって画像又はスペクトルを記録し;第2検出器は、その電子集束カラムがサンプルの全域を高エネルギー電子のビームで走査すると、ある領域における電子強度変化を素早く記録し;その第2検出器は、エネルギー分散面において配置され;且つ、その第2検出器は、第1検出器へ入る電子を妨害しない。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態に従って、第1検出器は、CCDカメラ又はアクティブ・ピクセル・センサー・カメラなどのカメラであり;第2検出器は、STEM検出器である。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態に従って、分散素子は、そのビームを第1エネルギー範囲及び第2エネルギー範囲へと分離し;第1検出器は、その第1エネルギー範囲における電子を検出し、第2検出器は、その第2エネルギー範囲における電子を検出する。
【0047】
本発明及びその利点が、詳しく記載されてきたが、当然のことながら、本文献で記載された実施形態に対して、様々な変更、代替及び修正を、添付の請求項によって定義される本発明の要旨及び範囲から離れずに作成することができる。さらに、本出願の範囲は、明細書において記載されたプロセス、機械、製造、事項の複合、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定することを目的としていない。当業者が、本発明の開示から容易に理解するように、既存の又は後に開発される、実質的に同じ機能を実施するか、あるいはここで記載された対応する実施形態と実質的に同じ結果を達成するプロセス、機械、製造、事項の複合、手段、方法、又はステップは、本発明に従って使用されてもよい。それに応じて、添付の請求項は、それらの範囲内において、そのようなプロセス、機械、製造、事項の複合、手段、方法、又はステップを含むことを目的とする。
【符号の説明】
【0048】
100…エネルギー損失スペクトルの「ロー・ロス」領域
102…ゼロ・ロスピーク
104…プラズモン・ピーク
108…コア・ロス領域
110…ピーク
112…ピーク
114…ピーク
200…走査透過型電子顕微鏡
202…暗視野電子
204…明視野電子
210…電子源
212…集束カラム
214…薄いサンプル
215…入口開口
216…投影光学系
217…分光器
218…環状暗視野STEM検出器
220…増幅器
222…プリズム
224a…軌道
224b…軌道
224c…軌道
224d…軌道
224e…軌道
225…エネルギー分散面
226…エネルギー選択スリット
226U…上方ナイフエッジ
226L…下方ナイフエッジ
230…電子
232結像光学系
234…検出器
236…電子
248…顕微鏡
250…分光器
252A…素子
252B…素子
252C…素子
252D…素子
254…エネルギー分散面
256U…エネルギー選択スリット
256L…エネルギー選択スリット
260…電子
300…透過型電子顕微鏡
302…電子源
304…集束カラム
306…サンプル
308…投影電子光学系
310…明視野電子
312…暗視野電子
318…任意の暗視野検出器
322…プリズム
324…入口開口
328U…上方ナイフエッジ
328L…下方ナイフエッジ
329…エネルギー分散面
330…電子
332…結像電子光学系
334…検出器
340…STEM検出器
342…増幅器
350…電子
352…ゼロ・ロス及びロー・ロス電子
354…グラフ
356…電子
400…顕微鏡
412…プリズム
412A…断片
412B…断片
412C…断片
412D…断片
414…エネルギー分散面
418…任意のエネルギー選択スリット
420…明視野STEM検出器
424…結像光学系
426…検出器
500…走査透過型電子顕微鏡
502…検出器
528…エネルギー選択スリット
528L下方ナイフエッジ
600…走査透過型電子顕微鏡
628…エネルギー選択スリット
628L…下方ナイフエッジ
700…走査透過型電子顕微鏡
702…検出器
710…電子
712…電子
728…エネルギー選択スリット
728U…上方エネルギー・スリット
728L…下方ナイフエッジ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギー電子源;
該高エネルギー電子源からの電子をビームに集中させ、サンプルの全域を走査するための電子集束カラム;
該サンプルを通り抜けた異なるエネルギーの電子を分散させるための分散素子;
第1電子検出器;
該第1電子検出器に電子を投影するための電子光学系;及び
電子を検出するための第2検出器;
を含み:
前記第1電子検出器は、複数の箇所で電子強度を記録することによって画像又はスペクトルを記録し;
前記第2検出器は、前記電子集束カラムが前記サンプルの全域を高エネルギー電子のビームで走査するとき、一領域にわたって電子強度変化を素早く記録し;
該第2検出器は、エネルギー分散面において又は該エネルギー分散面の実質的に近くに配置され;且つ
該第2検出器は、電子が前記第1検出器へ入ることを妨げない;
ことを特徴とする、透過型電子顕微鏡。
【請求項2】
前記第1検出器はカメラであり;且つ
前記第2検出器はSTEM検出器である、
請求項1に記載の透過型電子顕微鏡。
【請求項3】
前記分散素子は、前記ビームを第1エネルギー範囲及び第2エネルギー範囲に分離し;
前記第1検出器は、該第1エネルギー範囲内の電子を検出し;且つ
前記第2検出器は、該第2エネルギー範囲内の電子を検出する;
請求項1に記載の透過型電子顕微鏡。
【請求項4】
前記プリズムは、前記第1検出器がコア・ロス電子を検出し、前記第2検出器がゼロ・ロスピークにおける電子を検出するように調整される、請求項1に記載の透過型電子顕微鏡。
【請求項5】
前記第2検出器は、電子を前記第1検出器の中へ投影するための前記分散素子と前記電子光学系との間に配置される、請求項1に記載の透過型電子顕微鏡。
【請求項6】
前記第1検出器が、100eVよりも大きいエネルギー損失を有する電子を検出し、前記第2検出器は、100eV未満のエネルギー損失を有する電子を検出する、請求項1に記載の透過型電子顕微鏡。
【請求項7】
エネルギー分散面において又は該エネルギー分散面の近くにエネルギー選択スリットをさらに含み、前記第2検出器が、該エネルギー選択スリットの前に配置される、又は該検出器が、該エネルギー選択スリットの一部分を含む、請求項1に記載の透過型電子顕微鏡。
【請求項8】
第3電子検出器をさらに含み、前記第2検出器及び該第3検出器のうち一方が、前記スリットの一方の側を通過する電子を検出し、該第2検出器及び第3検出器のうちの他方は、該スリットの他方の側を通過する電子を検出する、請求項1に記載の透過型電子顕微鏡。
【請求項9】
サンプルを解析する方法であり:
該サンプルへ向けて電子ビームを方向付けるステップ;
分散素子を使用し、電子が該サンプルを通り抜けた後に、該電子を第1エネルギー範囲及び第2エネルギー範囲へと分離するステップ;
電子のエネルギーを決定する第1検出器において第1エネルギー範囲にある電子を検出するステップ;
を含み、前記分散素子の後に配置され、第2エネルギー範囲にある電子の数に比例した信号を生成する第2検出器において該第2エネルギー範囲にある電子を検出することを特徴とする、方法。
【請求項10】
第1エネルギー範囲における電子を検出するステップが、コア・ロス電子を検出するステップを含み、第2エネルギー範囲における電子を検出するステップは、ゼロ・ロス電子を検出するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電子を第1エネルギー範囲及び第2エネルギー範囲へと分離するステップは、該電子をプリズムの中へ通すステップを含み;
第1エネルギー範囲における電子を検出するステップは、該第1エネルギー範囲における電子をエネルギー選択スリットの中へ通すステップを含み;且つ
前記第2検出器は、該エネルギー選択スリットの中を通り抜けない電子の少なくともいくつかを検出するように該スリットの一部分において又は該スリットの一部分の前に配置される、請求項9に記載の方法。


【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−238615(P2011−238615A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105205(P2011−105205)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(501233536)エフ イー アイ カンパニ (87)
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
【住所又は居所原語表記】7451 NW Evergreen Parkway, Hillsboro, OR 97124−5830 USA
【Fターム(参考)】