説明

電子カメラ、画像処理装置、及び電子カメラシステム

【課題】撮影処理後に、その撮影処理において異なる画像処理パラメータが設定されて画像処理が行われた場合の画像を得る。
【解決手段】RAWモードが設定されて撮影処理が行われたときには、画像処理前の画像データ(RAWデータ)に付帯情報が付された画像ファイルが記録される。但し、この付帯情報には、1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数の画像処理パラメータからなるパラメータ群が前記画像処理項目毎に4組含まれる。これにより、プリンタ装置等が、この画像ファイルに基づいて画像処理を行う際には、付帯情報に含まれている画像処理パラメータに基づいて、電子カメラで行われる画像処理と同様の画像処理を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撮影により得られた画像データと付帯情報を1つの画像ファイルとして記録する電子カメラと、この画像ファイルに基づいて画像処理を行う画像処理装置と、それらを含む電子カメラシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に電子カメラの撮影処理では、より良好な画像(撮影画像)が得られるように、撮像された画像がA/D変換された後に、ホワイトバランス処理や色変換(彩度)処理等の各種の画像処理が行われる。
【0003】例えば、ホワイトバランス処理では、太陽光・蛍光灯・電球等の光源毎に最適化されている画像処理パラメータの中から、撮像された被写界の光源(照明光)に基づいて所定の画像処理パラメータが選択・設定され、その画像処理パラメータを使用して処理が行われる。又は、撮影時にユーザの好みにより、上記画像処理パラメータの中から所定の画像処理パラメータが指定(指示)された場合には、その指定された画像処理パラメータを使用して処理が行われる。
【0004】その他の画像処理についても同様に、複数の画像処理パラメータの中から、撮像された被写界に応じて選択・設定された画像処理パラメータや、撮影時のユーザの指示に応じて設定された画像処理パラメータを使用して処理が行われ、最終的に記録媒体に記録される画像が作成される。
【0005】実際には、この画像に圧縮処理が施され、付帯情報(撮影日付、撮影条件等の情報)と共に1つの画像ファイルとして記録媒体(メモリカード等)に記録され、撮影処理が終了する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来では、撮影処理が終了した後に、その撮影処理において異なる画像処理パラメータが設定されて撮影処理が行われた場合の画像を得る手段はなかった。従って、例えば、ホワイトバランス処理で蛍光灯の画像処理パラメータが設定されて撮影処理が行われた後に、ユーザが、その撮影処理において、電球の画像処理パラメータが設定されてホワイトバランス処理が行われた場合にはどのような画像が得られたであろうかと要望した場合には、その要望に答えることが出来なかった。
【0007】一方で、特開平11−282446号公報には、撮影された画像から、想定される出力特性(モニターやプリンタ等の出力特性)に応じて階調処理・圧縮処理等の画像処理手法が異なった、複数枚の画像を作成し、記録することを特徴とした画像処理方法が提案されている。この提案によれば、撮影後に、画像処理手法が異なる複数枚の画像を得ることが可能になるが、その為には複数枚の画像を記録しなければならず、処理時間の長時間化や、その記録に必要な記録容量が膨大になるという欠点があった。そのため、とても電子カメラに適用できる提案ではなく、依然として上述のユーザの要望に答えることが出来ないままであった。
【0008】本発明の課題は、上記実情に鑑み、撮影処理後に、その撮影処理において異なる画像処理パラメータが設定されて画像処理が行われた場合の画像を得ることができる電子カメラ、画像処理装置、及び電子カメラシステムを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、被写界を撮影し得られた画像データに付帯情報を付けて1つの画像ファイルとして記録媒体に記録する電子カメラであって、前記付帯情報には少なくとも1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータからなるパラメータ群が前記画像処理項目毎に複数組含まれるように構成された電子カメラである。
【0010】上記の構成によれば、例えば画像ファイルに基づいて画像処理を行う画像処理装置等に、画像ファイルの付帯情報に含まれているパラメータ(画像処理パラメータ)に基づいて、撮影処理で行われる画像処理と同様の画像処理を実行させることができる。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、撮影された被写界に応じて、1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータの中から1つのパラメータを設定する第1の設定手段を更に備えた構成である。この構成によれば、撮影(撮像)された被写界に応じて、画像処理項目毎のパラメータを自動的に設定することができる。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記付帯情報には、前記第1の設定手段により設定されたパラメータが更に含まれる構成である。この構成によれば、付帯情報に、撮影された被写界に応じて設定されたパラメータ、すなわち撮影時に電子カメラが自動的に設定したパラメータを含ませることができる。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、ユーザからの指示に応じて、1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータの中から1つのパラメータを設定する第2の設定手段を更に備えた構成である。この構成によれば、ユーザが、画像処理項目毎のパラメータを設定することができる。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記付帯情報には、前記第2の設定手段により設定されたパラメータが更に含まれる構成である。この構成によれば、付帯情報に、ユーザからの指示に応じて設定されたパラメータ、すなわち撮影時にユーザが設定したパラメータを含ませることができる。
【0015】請求項6記載の発明は、請求項1、2、3、4、又は5記載の発明において、前記画像処理項目には、少なくとも階調、ホワイトバランス、シャープネス、彩度のうちの何れか1つが含まれる構成である。この構成によれば、画像処理項目には、例えば、階調、ホワイトバランス、シャープネス、彩度等が含まれる。
【0016】請求項7記載の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6記載の発明において、前記画像処理項目の画像処理を実行する画像処理手段と、前記画像処理手段による画像処理実行前の画像データを記録する第1の記録モード、又は前記画像処理手段による画像処理実行後の画像データを記録する第2の記録モードの何れかを設定する記録モード設定手段とを更に備え、前記記録モード設定手段により前記第1の記録モードが設定されたときには、前記付帯情報に、少なくとも1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータからなるパラメータ群が前記画像処理項目毎に複数組含まれる構成である。
【0017】この構成によれば、第1の記録モード(例えばRAWモード)が設定されたときには、画像処理実行前の画像データ(例えばRAWデータ)が付帯情報と共に1つの画像ファイルとして記録媒体に記録され、例えば画像ファイルに基づいて画像処理を行う画像処理装置等に、付帯情報に含まれているパラメータに基づいて、撮影処理で行われる画像処理と同様の画像処理を実行させることができる。従って、撮影処理後に、その撮影処理において異なるパラメータが設定されて画像処理が行われた場合の画像を得ることができる。
【0018】請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記画像処理手段は、前記記録モード設定手段により前記第2の記録モードが設定されたときは、前記第1の設定手段又は前記第2の設定手段により設定されたパラメータを使用して画像処理を実行する構成である。
【0019】この構成によれば、電子カメラは、第2の記録モードが設定されたときには、撮影された被写界に応じて設定されたパラメータや、ユーザからの指示に応じて設定されたパラメータを使用して画像処理を行うことができる。請求項9記載の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、又は8記載の発明において、前記付帯情報には、プリントのための画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータが更に含まれる構成である。
【0020】この構成によれば、例えば、画像ファイルに基づいて印刷処理を行うプリンタ装置等に、画像ファイルの付帯情報に含まれている、プリントのための画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータに基づいて印刷処理を実行させることができる。
【0021】請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明において、前記プリントのための画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータには、設定された撮影モード及び撮影条件に基づいて得られた1つ又は複数のプリント補正情報、標準のプリント補正情報、及び補正無しのプリント補正情報が含まれる構成である。
【0022】この構成によれば、例えば、画像ファイルに基づいて印刷処理を行うプリンタ装置等に、画像ファイルの付帯情報に含まれているプリント補正情報に基づいて印刷処理を実行させることができる。請求項11記載の発明は、撮影により得られた画像データと付帯情報を含む画像ファイルに基づいて画像処理を行う画像処理装置であって、前記付帯情報に、少なくとも1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータからなるパラメータ群が前記画像処理項目毎に複数組含まれていたときに、前記複数組のパラメータ群に基づいて、前記画像データから複数の縮小処理画像を生成する処理画像生成手段と、該処理画像生成手段により生成された前記複数の縮小処理画像を一括表示する縮小画像表示手段と、ユーザからの指示に応じて、前記縮小画像表示手段により一括表示された前記複数の縮小処理画像の中から1つの縮小処理画像を選択する画像選択手段とを備えた画像処理装置である。
【0023】上記の構成によれば、付帯情報に含まれている複数組のパラメータ群に基づいて、画像処理項目毎の複数パラメータに対応する複数の縮小処理画像の作成、及び一括表示が可能になり、その中から好みの縮小処理画像をユーザに選択させることができる。これにより、縮小処理画像に対応するパラメータが選択されることになる。尚、付帯情報に含まれている複数組のパラメータ群は、電子カメラの撮影処理で行われる画像処理で使用されるパラメータである。
【0024】請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明において、前記処理画像生成手段による前記複数の縮小処理画像を生成する処理、前記縮小画像表示手段による前記複数の縮小処理画像を一括表示する処理、及び前記画像選択手段による1つの縮小処理画像を選択する処理は、前記画像処理項目毎に行われる構成である。
【0025】この構成によれば、画像処理項目毎に好みの縮小処理画像をユーザに選択させることができる。これにより、画像処理項目毎に選択された縮小処理画像に対応するパラメータが選択されることになる。請求項13記載の発明は、請求項11記載の発明において、前記画像データに、前記画像選択手段により選択された縮小処理画像に対応するパラメータを使用して画像処理を実行し、該実行結果に基づく画像を表示する構成である。
【0026】この構成によれば、ユーザにより選択された縮小処理画像に対応するパラメータを使用して画像処理が行われた画像が表示される。従って、撮影処理後に、その撮影処理において異なるパラメータが設定されて画像処理が行われた場合の画像を表示させることができる。
【0027】請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明において、前記実行結果に基づく画像を印刷する印刷手段を更に備えた構成である。この構成によれば、撮影処理後に、その撮影処理において異なるパラメータが設定されて画像処理が行われた場合の画像を印刷させることができる。
【0028】請求項15記載の発明は、被写界を撮影し得られた画像データに付帯情報を付けて1つの画像ファイルとして記録媒体に記録する電子カメラと、前記記録媒体に記録された前記画像ファイルに基づいて画像処理を行う画像処理装置を含む電子カメラシステムであって、前記付帯情報には少なくとも前記画像処理装置に1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータからなるパラメータ群が前記画像処理項目毎に複数組含まれ、前記画像処理装置は、前記付帯情報に少なくとも前記複数組のパラメータ群が含まれていたときに、前記画像データから複数の縮小処理画像を生成する処理画像生成手段と、該処理画像生成手段により生成された前記複数の縮小処理画像を一括表示する縮小画像表示手段と、ユーザからの指示に応じて、前記縮小画像表示手段により一括表示された前記複数の縮小処理画像の中から1つの縮小処理画像を選択する画像選択手段とを備え、前記画像選択手段により選択された縮小処理画像に対応するパラメータを使用して前記画像データに画像処理を実行する電子カメラシステムである。
【0029】上記の構成によれば、画像処理装置は、電子カメラによる撮影により記録された画像ファイルに基づいて、画像処理項目毎の複数パラメータに対応する複数の縮小処理画像の作成、及び一括表示が可能になり、その中からユーザにより選択された縮小処理画像に対応するパラメータを使用して、撮影処理で行われる画像処理と同様の画像処理を行うことができる。従って、撮影処理後に、その撮影処理において異なるパラメータが設定されて画像処理が行われた場合の画像を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る電子カメラシステムに含まれる電子カメラのブロック図である。
【0031】同図において、ズームレンズ系1、撮像素子2、撮像回路3、及びA/D(アナログ/デジタル)変換回路4で撮像部が構成されている。撮像部では、ズームレンズ系1によって結像された被写体像(被写界)が撮像素子2によって光電変換され(撮像され)、その変換出力である画像信号が撮像回路3を介してA/D(アナログ−デジタル)変換回路4に入力されるとそこでA/D変換されてデジタルデータである画像データが得られる。ここで、ズームレンズ系1に備えられているレンズは、レンズ駆動制御回路5により制御されているレンズ駆動部6により駆動され、被写体像のフォーカスの調整が行われる。
【0032】シスコン(システムコントローラ)7は、CPU(中央演算処理装置)を備えて構成され、電子カメラを構成する各部を制御すると共に、前述のA/D変換された画像データにホワイトバランス処理や色変換処理等の各種の画像処理を行う。また、撮影モード及び撮影条件に基づいてプリント補正情報を判断する処理等も行う。尚、このプリント補正情報は、プリントのための画像処理を実行させるのに必要なパラメータである。
【0033】ASIC(Application Specific Integrated Circuit )部8は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式による画像データの圧縮・伸張処理や、画像データのリサイズ処理等を行う。ROM9は、電子カメラを構成する各部の制御をシスコン7に備えられているCPUに行わせるための制御プログラムや、電子カメラが行う画像処理項目毎の画像処理パラメータ(図2で後述)や、プリント補正情報判断テーブル(図3で後述)や、その他各種の処理のために必要な演算データ等が格納されているリード・オンリ・メモリである。
【0034】RAM10は、画像データを一時的に蓄えるバッファメモリとして使用される他、シスコン7による各種処理のための作業用の記憶領域としても使用されるランダム・アクセス・メモリである。メモリI/F(インターフェース)11は、カードスロット12に挿入されたメモリカード13との間でデータの授受を行うためのインターフェース機能を提供するものであり、データの読み書きの可能な半導体メモリを備えて構成されるメモリカード13への画像ファイル(画像データ、付帯情報を含む)の書き込み、或いはメモリカード13からの画像ファイルの読み出しの処理が行われる。
【0035】外部I/F(インターフェース)14は、外部入出力端子15に接続された外部装置、例えばパーソナルコンピュータ、画像処理装置、又はプリンタ装置等との間でデータの授受を行うためのインターフェース機能を提供するものであり、外部装置への画像ファイル等の出力、或いは外部装置からの画像ファイル等の入力処理が行われる。
【0036】ビデオメモリ16はシスコン7での画像処理によって得られた表示用の画像データを一時的に保持しておくためのメモリであり、この画像データはその後ビデオメモリ16から読み出されてビデオ出力回路17に入力されてビデオ信号である画像信号に変換される。この画像信号が画像表示LCD18に入力されると画像が表示される。また、この画像信号はビデオアウト端子19を介して他の装置へ送出することも可能である。
【0037】ストロボ発光部20は、ストロボを使用する撮影の際にストロボを発光させるためのものである。操作部21は、ユーザから受け付けた各種指示をシスコン7へ伝えるための各種キーやボタンやスイッチ等であり、例えば、ユーザから、撮影モード指示、撮影条件指示、RAWモード指示、撮影開始指示(レリーズボタンによる)等を受け付ける。尚、RAWモードとは、撮影処理において各種の画像処理を行わずに画像データを記録するモードである。
【0038】電源部22は、カメラ電池23の電圧、若しくは外部電源端子24に入力された電力の電圧を制御してこの電子カメラの各部に電力を供給する。尚、上述した構成の電子カメラにおいて、通信回線と接続可能に構成し、この通信回線を介して画像ファイル等の授受を行うようにしても良い。
【0039】次に、前述のROM9に格納されている、画像処理項目毎の画像処理パラメータ及びプリント補正情報判断テーブルについて説明する。図2は、ROM9に格納されている画像処理項目毎の画像処理パラメータを示した表である。尚、これらの画像処理項目は、撮影モードでもある。
【0040】同図に示したように、各画像処理項目は複数の設定を備え、設定毎に対応するデータ長とデータ数で構成された画像処理パラメータを備えている。例えば、画像処理項目/コントラストは低・標準・高の3つの設定を備えており、撮影処理で標準が設定されたときには、その標準に対応する画像処理パラメータとして、データ長8bitで、そのデータ数が1024個で構成される階調テーブル2が選択され、この階調テーブル2が使用されてコントラスト(階調変換)処理が行われる。
【0041】図3(a),(b) は、ROM9に格納されているプリント補正情報判断テーブルを示した図である。同図(a) は、補正モード選択テーブルを示し、同図(b) は、補正条件変更テーブルを示している。同図(a) に示す補正モード選択テーブルは、設定された撮影モード及び撮影条件に基づいて補正モード(プリント補正情報)を指定するためのテーブルである。同図(a) の○印に示されるように、各撮影モード(動画モード、シーンモード、フィルター、ストロボモード)及び各撮影条件(シーン輝度、被写体距離、シャッタースピード、絞り、ストロボ、画角)では、その設定毎に1つの補正モード(標準、人物、風景、スポーツ、夕景、夜景、逆光、マクロ、セピア、モノクロ、補正無しの何れか1つ)が指示されている。また、各撮影モード及び各撮影条件には優先順位が付されている。
【0042】本実施形態では、この補正モード選択テーブルから、設定された撮影モード及び撮影条件の優先順位に基づいて、その優先順位の最上位に基づく1つの補正モードか、若しくはその優先順位の上位2つに基づく2つの補正モードが指定される。例えば、撮影処理において、シーンモード/スポーツ(優先順位:1)、フィルター/肌色(優先順位:2)、シャッタースピード/高速(優先順位:5)が設定されたときには、優先順位が最も高いシーンモード/スポーツに基づいて指示された補正モード/スポーツの1つの補正モードか、若しくはその補正モード/スポーツと、その次に優先順位が高いフィルター/肌色に基づいて指示された補正モード/人物の2つの補正モードが指定されることになる。
【0043】また、同図(b) に示す補正条件変更テーブルは、設定された撮影モードに基づいて補正を行わない項目(補正条件変更、プリント補正情報)を指定するためのテーブルである。同図(b) の×印に示されるように、各撮影モード(露出モード、測光モード、露出補正、コントラスト、彩度、ホワイトバランス、シャープネス、ISO感度)では、その設定毎に1つの補正を行わない項目(明るさ、コントラスト、ホワイトバランス、彩度、シャープネスの何れか1つ)が指示されている。但し、×印が付されていないものについては、何れの項目も指示されないことになる。
【0044】本実施形態では、この補正条件変更テーブルから、設定された撮影モードに基づいて、補正を行わない項目が指定される。例えば、撮影処理において、露出補正/+1段、コントラスト/高、ホワイトバランス/太陽光が設定されたときには、それらに基づいて指示された、明るさ、コントラスト、ホワイトバランスが補正を行わない項目(補正条件変更)として指定されることになる。
【0045】次に、本電子カメラシステムに含まれる印刷(プリント)機能付き画像処理装置(以下、単にプリンタ装置と言う)の構成について説明する。図4は、このプリンタ装置のブロック図である。尚、同図に示すプリンタ装置は、例えばY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)からなるインクリボンを使用し、面順次方式により用紙に印刷を行う昇華型熱転写方式のプリンタ装置である。
【0046】同図おいて、シスコン(システムコントローラ)31は、CPU(中央演算処理装置)を備えて構成され、プリンタ装置を構成する各部を制御すると共に、画像データにホワイトバランス処理や色変換処理等の各種の画像処理を行う。尚、この画像処理は、電子カメラの撮影処理で行われる画像処理と同様である。また、印刷時に画像データに基づく画像の明暗・彩度・色合い等を補正する各種の画質補正処理を行う(自動画質補正処理)。
【0047】ASIC(Application Specific Integrated Circuit )部32は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式による画像データの圧縮・伸張処理や、画像データのリサイズ処理等を行う。メモリI/F(インターフェース)33は、カードスロット34に挿入されたメモリカード35との間でデータの授受を行うためのインターフェース機能を提供するものであり、データの読み書きの可能な半導体メモリを備えて構成されるメモリカード35への画像ファイルの書き込み、或いはメモリカード35からの画像ファイルの読み出しの処理が行われる。
【0048】RAM36は、画像データを一時的に蓄えるバッファメモリとして使用される他、シスコン31による各種処理のための作業用の記憶領域としても使用されるランダム・アクセス・メモリである。ROM37は、プリンタ装置を構成する各部の制御をシスコン31に備えられているCPUに行わせるための制御プログラムや、各種の処理のために必要な演算データ等が格納されているリード・オンリ・メモリである。
【0049】外部I/F(インターフェース)38は、PC接続端子39に接続されたパーソナルコンピュータとの間でデータの授受を行うためのインターフェース機能を提供するものであり、パーソナルコンピュータへの画像ファイル等の出力、或いはパーソナルコンピュータからの画像ファイル等の入力処理が行われる。
【0050】ビデオメモリ50はシスコン31での画像処理によって得られた表示用の画像データを一時的に保持しておくためのメモリであり、この画像データはその後ビデオメモリ50から読み出されてビデオ出力回路51に入力されてビデオ信号である画像信号に変換される。この画像信号が画像表示LCD52に入力されると画像が表示される。また、この画像信号はビデオアウト端子53を介して他の装置へ送出することも可能である。
【0051】サーマルヘッド制御部40は、シスコン31での自動画質補正処理等の各種画像処理によって得られたプリント用の画像データを1ラインデータ毎に読み出し、これに基づいてサーマルヘッド41を駆動(加熱)させることにより、ペーパー42にインクリボン43の染料を昇華、吸収させて印刷を行う。
【0052】ペーパー搬送制御回路44は、ペーパー搬送部45を制御して、Y、M、Cのインクリボン43による重ね合わせ印刷が行われるように各インクが順次適用されるのに対応して、ペーパーカートリッジ46からペーパー42を搬送する。操作部47は、ユーザから受け付けた各種指示をシスコン31へ伝えるための各種キーやボタンやスイッチ等であり、例えば、ユーザから画像選択指示(十字キー等による)、画像処理指示、プリント指示(プリントボタンによる)等を受け付ける。
【0053】電源部48は、外部電源端子49に入力された電力の電圧を制御してこのプリンタ装置を構成する各部に電力を供給する。尚、上述した構成のプリンタ装置において、電子カメラ等の外部装置とケーブル等を介して直接画像ファイル等の授受を行うように構成しても良い。また、通信回線と接続可能に構成し、この通信回線を介して画像ファイル等の授受を行うようにしても良い。
【0054】次に、本電子カメラシステムに含まれる、上述した構成の電子カメラとプリンタ装置の動作処理について説明する。ここでは、特に、撮影処理後に、その撮影処理において異なる画像処理パラメータが設定されて画像処理が行われた場合の画像を得るために行われる処理を中心に説明する。
【0055】図5は、電子カメラが行う撮影処理の一例を示すフローチャートである。尚、同図に示した処理は、シスコン7がROM9に格納されている制御プログラムを実行することにより行われる処理である。同図に示したように、まず操作部21を介して、ユーザからの撮影指示(レリーズボタンオン)を受け付けるまで(ステップ(以下単にSと言う)507がN)、ユーザからの撮影モード指示(S501)、撮影条件指示(S503)、RAWモード指示(S505)を受け付ける。ユーザからの撮影モード指示(S501がY)、撮影条件指示(S503がY)、RAWモード指示(S505がY)を受け付けたときは、その指示通りの撮影モード(S502)、撮影条件(S504)、RAWモード(S506)を設定する。
【0056】そして、ユーザからの撮影指示(レリーズボタンオン)を受け付けたときは(S507がY)、前述のユーザからの指示や撮像しようとする被写界に応じて設定された撮影モード及び撮影条件に基づいて撮像処理を行う(S508)。この撮像処理では、ズームレンズ系1により結像された被写体像(被写界)が撮像素子2により光電変換され(撮像され)、その変換出力である画像信号が撮像回路3を介してA/D変換回路4に入力され、そのA/D変換により得られたデジタルデータの画像データ(RAWデータ)がRAM10に格納される等の処理が行われる。
【0057】続いて、設定された撮影モード及び撮影条件に基づいてプリント補正情報の作成処理を行う(S509)。この処理は、前述の補正モード選択テーブル(図3(a) 参照)及び補正条件変更テーブル(図3(b) 参照)から、設定された撮影モード及び撮影条件に基づいてプリント補正情報を判断・作成する処理である。但し、RAWモードが設定されていたときには第1候補(モード1)と第2候補(モード2)の2つのプリント補正情報を作成し、RAWモードが設定されていなかったときには第1候補(モード1)のみのプリント補正情報を作成する。このプリント補正情報については、図6(a),(b) を用いて後述する。
【0058】続いて、RAM10に格納された画像データ(RAWデータ)に基づく画像(撮影された被写界画像)を解析し、該解析結果に基づき、撮影時の画像処理項目毎の画像処理パラメータを設定する(S510)。但し、前述のユーザからの撮影モード指示により、既に所定の設定が行われていたときには、その設定に対応する画像処理パラメータが設定される。例えば、ユーザにより撮影モードの1つである彩度が標準に設定されていたときには、その標準に対応する色変換マトリックス2が彩度の画像処理パラメータとして設定される。このように、撮影時の画像処理項目毎の画像処理パラメータは、撮影された被写界やユーザからの指示に応じて設定される。
【0059】続いて、RAWモードが設定されているか否かを判断し(S511)、RAWモードが設定されていたときには(S511がY)、S513〜S516の画像処理及びS517の圧縮処理は行わずに、画像データ(RAWデータ)に付帯情報を付して1つの画像ファイルとしてメモリカードに記録する(S512)。但し、このときの付帯情報には、1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータからなるパラメータ群が画像処理項目毎に複数組含まれると共に、4つのプリント補正情報等が含まれる。尚、このとき記録される画像ファイルのファイル構造については図7(a) を用いて後述する。
【0060】一方、RAWモードが設定されていなかったときは(S511がN)、前述のS510の処理で設定された撮影時の画像処理項目毎の画像処理パラメータを使用してS513〜S516の画像処理を行う。すなわち、画像データ(RAWデータ)に、設定されたゲインを使用してAWB(オートホワイトバランス)処理を行い(S513)、次に設定された色変換マトリックスを使用して色変換(彩度)処理を行い(S514)、次に設定された階調テーブルを使用して階調変換(コントラスト)処理を行い(S515)、次に設定された強度を使用してエッジ強調(シャープネス)処理を行う(S516)。
【0061】続いて、これらの画像処理が行われた画像データにASIC部8によるJPEG圧縮処理を行い(S517)、この圧縮された画像データに付帯情報を付して1つの画像ファイルとしてメモリカードに記録する(S512)。尚、このとき記録される画像ファイルのファイル構造については図7(b) を用いて後述する。
【0062】このような撮影処理により、RAWモードが設定されて撮影されたときには、画像処理が行われる前の画像データ(RAWデータ)に、少なくとも1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータからなるパラメータ群が画像処理項目毎に複数組含まれた付帯情報が付されて、1つの画像ファイルとしてメモリカードに記録される。
【0063】次に、前述のS507の処理で作成されるプリント補正情報について説明する。図6(a) は、各補正モード及び各補正を行わない項目(補正条件変更)に対応するデータ(プリント補正情報)を示した表であり、同図(b) は、作成されたプリント補正情報の一例である。
【0064】プリント補正情報は、設定された撮影モード及び撮影条件に基づいて指定された補正モード(図3(a) の補正モード選択テーブル参照)を示す上位4bitのデータと、設定された撮影モードに基づいて指定された補正を行わない項目(図3(b) の補正条件変更テーブル参照)を示す下位5bitのデータから構成される。
【0065】すなわち、プリント補正情報の上位4bitは、指定された補正モードに対応する図6(a) に示したデータにより構成され、その下位5bitは、指定された補正を行わない項目に対応する同図(a) に示したデータの論理和により構成される。
【0066】例えば、補正モードとして風景が指定され、補正を行わない項目として明るさとホワイトバランスが指定されたときに作成されるプリント補正情報は、同図(a) に示した表より、指定された補正モードが風景であることに対応して上位4bitが0010で構成され、指定された補正を行わない項目が明るさとホワイトバランスであることに対応して下位5bitが10000(明るさ)と00100(ホワイトバランス)の論理和である10100で構成され、同図(b) に示した001010100の9bitのプリント補正情報が作成されることになる。
【0067】但し、図5のS507の処理で説明した第1候補のプリント補正情報(モード1)は、その上位4bitに示される補正モードが、設定された撮影モード及び撮影条件の中で最上位の優先順位のものに基づいて指定された補正モードであるときのプリント補正情報である。また、第2候補のプリント補正情報(モード2)は、設定された撮影モード及び撮影条件の中で2番目の優先順位のものに基づいて指定された補正モードであるときのプリント補正情報である。
【0068】次に、図5のS512の処理でメモリカードに記録された画像ファイルのファイル構造について説明する。図7(a) は、RAWモードが設定されていたときに記録された画像ファイルのファイル構造(RAWファイル形式)の一例であり、同図(b) は、RAWモードが設定されていなかったときに記録された画像ファイルのファイル構造(RAWファイル形式以外)の一例である。
【0069】同図(a) に示したように、RAWモードが設定されていたときに記録された画像ファイルのファイル構造は、ファイル識別子、画像サイズ、13種類の画像処理パラメータ、撮影時設定の画像処理パラメータ、プリント補正識別子、及び4種類のプリント補正情報を含む付帯情報と、画像データから構成される。
【0070】ファイル識別子は、当該画像ファイルが、RAWモードが設定されていたときに記録された画像ファイルである(RAWファイル形式である)ことを示すものであり、2byteの固定値により表される。画像サイズは、画像の幅、高さを示すものであり、それぞれ2byteで表される。
【0071】13種類の画像処理パラメータは、撮影処理で行われる画像処理項目毎の画像処理パラメータを全て示すものであり、1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数の画像処理パラメータからなるパラメータ群が画像処理項目毎に4組含まれたものである。また、各画像処理パラメータは、階調テーブル1、2、3がそれぞれ1024byte、色変換マトリックス1、2、3がそれぞれ18byte、ゲイン1、2、3、4がそれぞれ4byte、強度1、2、3がそれぞれ2byteで表される。
【0072】撮影時設定の画像処理パラメータは、図5のS510の処理で設定された画像処理項目毎の画像処理パラメータのデータ名を示すものであり、1byteで表される。実際には、その1byte(8bit)の上位から2bit毎に、各画像処理項目の画像処理パラメータのデータ名が示される。例えば、最上位から2bitのデータがコントラストの画像処理パラメータのデータ名、次の2bitのデータが彩度の画像処理パラメータのデータ名、次の2bitのデータがホワイトバランスの画像処理パラメータのデータ名、最後の2bitのデータがシャープネスの画像処理パラメータのデータ名が示される。
【0073】プリント補正識別子は、当該画像ファイルがプリント補正情報を4つ含む画像ファイルであることを示すものであり、2byteの固定値で表される。4種類のプリント補正情報は、第1候補のプリント補正情報(モード1)、第2候補のプリント補正情報(モード2)、補正モードが標準のプリント補正情報(標準:0)、及び補正モードが補正無しのプリント補正情報(補正無し:320)を示すものであり、それぞれ2byteで表される。尚、これらのプリント補正情報は、プリントのための画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータである。
【0074】画像データは、RAWデータ(RGB RAWデータ)を示すものであり、幅×高さ×3byteで表される。尚、付帯情報にはその他、撮影時に設定された撮影条件や撮影日付等が含まれるようにしても良い。
【0075】また、図7(b) に示したように、RAWモード設定されていなかったときに記録された画像ファイルのファイル構造は、ファイル識別子、画像サイズ、4種類の画像処理パラメータ、プリント補正識別子、及びプリント補正情報を含む付帯情報と、画像データから構成される。
【0076】ファイル識別子は、当該画像ファイルが、RAWモードが設定されていなかったときに記録された画像ファイルである(RAWファイル形式以外である)ことを示すものであり、2byteの固定値により表される。画像サイズは、画像の幅、高さを示すものであり、それぞれ2byteで表される。
【0077】4種類の画像処理パラメータは、図5のS510の処理で設定された撮影時設定の画像処理パラメータを示したものであり、図7(b) では、撮影時設定の画像処理パラメータとして、階調テーブル2、色変換マトリックス1、ゲイン1、強度3が設定されたときの例を示している。
【0078】プリント補正識別子は、当該画像ファイルがプリント補正情報を1つ含む画像ファイルであることを示すものであり、2byteの固定値で表される。プリント補正情報は、第1候補のプリント補正情報(モード1)を示すものであり、2byteで表される。
【0079】画像データは、図5のS517でJPEG圧縮処理が施された画像データを示すものであり、画像データに依存したデータサイズで表される。尚、付帯情報にはその他、設定された撮影条件や撮影日付等が含まれるようにしても良い。
【0080】次に、プリンタ装置が行う画像ファイルに基づく画像処理及び印刷処理について説明する。尚、これらの処理は、シスコン31がROM37に格納されている制御プログラムを実行することにより行われる処理である。図8は、プリンタ装置が行う画像処理の一例を示すフローチャートである。但し、同図に示したフローは、RAWファイル形式の画像ファイルが記録されたメモリカードがカードスロット34に装着された状態で、ユーザからの指示により、このRAWファイル形式の画像ファイルに基づく画像への画像処理指示が行われたときに実行される処理である。従って、RAWファイル形式以外の画像ファイルに基づく画像への画像処理指示が行われたときには、本フローは実行されない。尚、この画像処理指示は、例えば、電子カメラによる撮影処理後に、その撮影処理において異なる画像処理パラメータが設定されて画像処理が行われたときにはどのような画像が得られたであろうかとユーザが要望したとき等に行われるものである。
【0081】同図に示したように、まず、ユーザから画像処理指示が行われたRAWファイル形式の画像ファイルをメモリカードから読み出し、ファイルオープンする(S801)。続いて、その画像ファイルから付帯情報(ヘッダー情報)と画像データ(RAWデータ)を読み出し、この画像データをリサイズ処理し、160×120画素の縮小画像を作成する(S802、S803)。
【0082】続いて、S814〜S817の画像処理で使用する画像処理パラメータ(画像処理項目毎の画像処理パラメータ)を、好みに応じてユーザに選択させる処理を行う(S804〜811)。尚、S814〜S817の画像処理は、撮影処理で行われる画像処理(図5のS513〜S516)と同様の処理であるので、S814〜S817の各画像処理で使用する画像処理パラメータを好みに応じてユーザに選択させることにより、前述のユーザの要望に答えることができるようになる。
【0083】具体的には、まず、ホワイトバランス(WB)処理の画像処理パラメータをユーザに選択させるために、前述の縮小画像に、付帯情報に含まれているホワイトバランス処理の4つの画像処理パラメータ(ゲイン1、2、3、4)のそれぞれを使用してホワイトバランス処理を行った4つの縮小処理画像を作成する(S804)。
【0084】続いて、この4つの縮小処理画像のそれぞれに、付帯情報に含まれている撮影時設定の画像処理パラメータに基づいて、色変換(彩度)処理(S806)、階調変換(コントラスト)処理(S807)、エッジ強調(シャープネス)処理(S808)を行い、これらの処理が行われた4つの縮小処理画像を画像表示LCD52に一括表示する(S808)。
【0085】続いて、操作部47を介して、ユーザからの画像選択指示を受け付け(S809)、一括表示された4つの縮小処理画像の中から所定の縮小処理画像が選択されると(S809がY)、その選択された縮小処理画像に対応するホワイトバランス処理の画像処理パラメータを、S814のホワイトバランス処理で使用する画像処理パラメータとして選択(設定)する。
【0086】すなわち、一括表示された4つの縮小処理画像は、ホワイトバランス処理の画像処理パラメータが異なるだけで、その他の色変換処理、階調処理、エッジ強調処理の画像処理パラメータは同一の画像処理パラメータ(撮影時設定の画像処理パラメータ)が使用されて画像処理が行われたものである。従って、この4つの縮小処理画像の中から、ユーザが好みの縮小処理画像を選択することにより、その選択した縮小処理画像に対応するホワイトバランス処理の画像処理パラメータが選択されることになる。
【0087】この時点では、画像処理パラメータの選択されていない画像処理項目(彩度、コントラスト、シャープネス)がまだ残っているので(S810がN)、次に、ユーザに選択させる画像処理パラメータの画像処理項目を彩度に変更し(S811)、S804の処理に戻る。
【0088】但し、このときホワイトバランス処理の画像処理パラメータは既に選択済みなので、S804の処理では、S803の処理で得られた縮小画像に、この選択済みの画像処理パラメータを使用してホワイトバランス処理を行い、1つの縮小処理画像を作成する。
【0089】続いて、この縮小処理画像に、付帯情報に含まれている色変換(彩度)処理の3つの画像処理パラメータ(色変換マトリックス1、2、3)のそれぞれを使用して色変換処理を行った3つの縮小処理画像を作成する(S805)。続いて、この3つの縮小処理画像のそれぞれに、付帯情報に含まれている撮影時設定の画像処理パラメータに基づいて、階調変換処理(S806)、エッジ強調処理(S807)を行い、これらの処理が行われた3つの縮小処理画像を画像表示LCD52に一括表示する(S808)。
【0090】続いて、操作部47を介して、ユーザからの画像選択指示を受け付け(S809)、一括表示された3つの縮小処理画像の中から所定の縮小処理画像が選択されると(S809がY)、その選択された縮小処理画像に対応する色変換処理の画像処理パラメータを、S815の色変換処理で使用する画像処理パラメータとして選択(設定)する。
【0091】この時点でも、画像処理パラメータの選択されていない画像処理項目(コントラスト、シャープネス)がまだ残っているので(S810がN)、次に、ユーザに選択させる画像処理パラメータの画像処理項目をコントラストに変更し(S811)、再びS804の処理に戻る。
【0092】但し、このときホワイトバランス処理と色変換処理の各画像処理パラメータは既に選択済みなので、S804及びS805の処理では、S803の処理で得られた縮小画像に、この選択済みの画像処理パラメータを使用してホワイトバランス処理及び色変換処理を行い、1つの縮小処理画像を作成する。
【0093】続いて、この縮小処理画像に、付帯情報に含まれている階調変換(コントラスト)処理の3つの画像処理パラメータ(階調テーブル1、2、3)のそれぞれを使用して階調変換処理を行った3つの縮小処理画像を作成する(S806)。続いて、この3つの縮小処理画像のそれぞれに、付帯情報に含まれている撮影時設定の画像処理パラメータに基づいて、エッジ強調処理(S807)を行い、この処理が行われた3つの縮小処理画像を画像表示LCD52に一括表示する(S808)。
【0094】続いて、操作部47を介して、ユーザからの画像選択指示を受け付け(S809)、一括表示された3つの縮小処理画像の中から所定の縮小処理画像が選択されると(S809がY)、その選択された縮小処理画像に対応する階調変換処理の画像処理パラメータを、S816の階調変換処理で使用する画像処理パラメータとして選択(設定)する。
【0095】この時点でも、画像処理パラメータの選択されていない画像処理項目(シャープネス)がまだ残っているので(S810がN)、次に、ユーザに選択させる画像処理パラメータの画像処理項目をシャープネスに変更し(S811)、再びS804の処理に戻る。
【0096】但し、このときホワイトバランス処理、色変換処理、階調変換処理の各画像処理パラメータは既に選択済みなので、S804〜S806の処理では、S803の処理で得られた縮小画像に、この選択済みの画像処理パラメータを使用してホワイトバランス処理、色変換処理、階調変換処理を行い、1つの縮小処理画像を作成する。
【0097】続いて、この縮小処理画像に、付帯情報に含まれているエッジ強調(シャープネス)処理の3つの画像処理パラメータ(強度1、2、3)のそれぞれを使用してエッジ強調処理を行った3つの縮小処理画像を作成し(S807)、これらを画像表示LCD52に一括表示する(S808)。
【0098】続いて、操作部47を介して、ユーザからの画像選択指示を受け付け(S809)、一括表示された3つの縮小処理画像の中から所定の縮小処理画像が選択されると(S809がY)、その選択された縮小処理画像に対応するエッジ強調処理の画像処理パラメータを、S817のエッジ強調処理で使用する画像処理パラメータとして選択(設定)する。
【0099】このようにして、画像処理項目毎の画像処理パラメータが全て選択されると(S810がY)、次に、画像ファイルの画像データ(RAWデータ)を再び読み出し(S812)、ファイルクローズする(S813)。続いて、読み出した画像データ(フルサイズ)に、ユーザにより選択された画像処理項目毎の画像処理パラメータを使用して、ホワイトバランス(AW)処理(S814)、色変換(彩度)処理(S815)、階調変換(コントラスト)処理(S816)、エッジ強調(シャープネス)処理(S817)を行い、これらの処理が行われた画像データに基づく画像を画像表示LCD52に表示する(S818)。尚、ユーザからの指示に応じて、このときの画像データをメモリカードに記録するようにしても良い。
【0100】このような処理により、撮影処理後に、その撮影処理において異なる画像処理パラメータが設定されて画像処理が行われた場合の画像を得ることができる。従って、前述のユーザの要望に答えることができる。続いて、操作部47を介して、ユーザからのプリント指示を受け付け(S819)、プリント指示があったときには(S819がY)、図10で後述するプリント処理へ移行する。
【0101】尚、本フローにおいて、縮小処理画像の表示(S808)及び画像の表示(S818)は、PC接続端子39を介してPCのディスプレイ等に表示させるようにしても良く、また、ビデオアウト端子53を介して他の他の表示装置に表示させるようにしても良い。また、ユーザに選択させる画像処理パラメータの順番も、ホワイトバランス、彩度、コントラスト、シャープネスの順番に限られるものではない。
【0102】図9は、S808の処理で画像表示LCD52に一括表示される縮小処理画像の表示例を示した図である。尚、同図は、一例として、コントラスト(階調変換処理)の画像処理パラメータをユーザに選択させるときに表示される表示画面を示している。
【0103】同図に示すように、左上が階調テーブル1に基づく縮小処理画像、右上が階調テーブル2に基づく縮小処理画像、左下が階調テーブル3に基づく縮小処理画像である。このように、一括表示される縮小処理画像は、画像処理パラメータの違いによる差異をユーザに確認しやすくするため、規則的に順番に配置される。
【0104】また、ユーザが画像選択する際の参考として、撮影時設定の画像処理パラメータと同一の画像処理パラメータに基づく縮小処理画像には、その下部に星印が表示される。同図では、左下の画像がそうである。すなわち、撮影時には、コントラストの画像処理パラメータとして階調テーブル3が設定されていたことがわかる。また、同図中の選択枠は、ユーザが画像選択する際にその選択対象を指示するものであり、十字キーにより移動されるものである。
【0105】尚、その他の画像処理項目についての表示例は不図示であるが、上述の表示例と同様に、一括表示される縮小処理画像は規則的に順番に配置され、また、撮影時設定の画像処理パラメータと同一の画像処理パラメータに基づく縮小処理画像には、その下部に星印が表示される。
【0106】次に、プリンタ装置が行うプリント処理について説明する。尚、このプリント処理では、プリント対象となる画像ファイルの付帯情報に複数のプリント補正情報が含まれていたときには、各プリント補正情報に基づいて処理された複数の画像の中から好みの画像がユーザに選択され、その選択画像が印刷される。
【0107】図10は、このプリント処理の一例を示すフローチャートである。同図に示したように、所定の画像ファイルの画像にプリント指示があったときは、その画像ファイルの付帯情報からプリント補正識別子を読み出し、プリント補正情報がいくつ含まれているかを判断すると共に、そのプリント補正情報を読み出す(S1001)。但し、ここでは、印刷対象となる画像ファイルの画像を図8のS818の処理で表示された画像として説明する。従って、S1001の処理では、プリント補正情報の数が4つと判断され、その4つのプリント補正情報である、第1候補のプリント補正情報(モード1)、第2候補のプリント補正情報(モード2)、標準のプリント補正情報(:0)、及び補正無しのプリント補正情報(:320)が読み出される。
【0108】続いて、図8のS818の処理で表示された画像(画像データ)の画像解析を行い(S1002)、この解析結果と読み出した4つのプリント補正情報に基づいて、各プリント補正情報に基づいて処理された4つの画像の中から好みの画像をユーザに選択させる処理を行う(S1003〜SS1012)。
【0109】具体的には、まず、第1候補のプリント補正情報と前述の画像解析結果に基づいて、画質補正量を算出する(S1003)。詳しくは、第1候補のプリント補正情報に示される補正モードと画像解析結果に基づいて、後続のコントラスト補正処理での画質補正量、明るさ補正処理での画質補正量、ホワイトバランス補正処理での画質補正量、彩度補正処理での画質補正量、シャープネス補正処理での画質補正量を算出する。
【0110】続いて、算出した各画質補正量に基づいて、コントラスト補正処理(S1004)、明るさ補正処理(S1005)、ホワイトバランス補正処理(S1006)、彩度補正処理(S1007)、シャープネス補正処理(S1008)を行う。但し、第1候補のプリント補正情報に補正を行わない項目(補正変更条件)が示されていたときには、その項目の補正処理をスキップする。
【0111】このようにして、第1候補のプリント補正情報に基づいて処理された画像が作成されると、これを画像表示LCD52に表示する(S1009)。そして、このような処理を、第2候補のプリント補正情報(モード2)、標準のプリント補正情報、補正無しのプリント補正情報についても同様にして行い、各プリント補正情報に基づいて処理された4つの画像を画像表示LCD52に表示すると(S1010がY)、次に、操作部47を介して、ユーザからの画像選択指示を受け付け(S1012)、画像表示LCD52に表示された4つの画像の中から所定の画像が選択されると(S1012がY)、その選択された画像を実際に用紙へ印刷する処理を行い(S1013)、当該フローを終了する。
【0112】このような処理により、よりユーザの好みに応じた画像の印刷が可能になる。尚、本実施形態において、図8に示した画像処理のS818までの処理を電子カメラが行うようにしても良い。
【0113】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、撮影処理後に、その撮影処理において異なる画像処理パラメータが設定されて画像処理が行われた場合の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子カメラシステムに含まれる電子カメラのブロック図である。
【図2】ROMに格納されている画像処理項目毎の画像処理パラメータを示した表である。
【図3】(a) は補正モード選択テーブル、(b) は補正条件変更テーブルである。
【図4】本発明の一実施の形態に係る電子カメラシステムに含まれる印刷(プリント)機能付き画像処理装置(プリンタ装置)のブロック図である。
【図5】電子カメラが行う撮影処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】(a) は各補正モード及び各補正を行わない項目(補正条件変更)に対応するデータ(プリント補正情報)を示した表、(b) は作成されたプリント補正情報の一例である。
【図7】(a) はRAWモードが設定されていたときに記録された画像ファイルのファイル構造(RAWファイル形式)の一例、(b) はRAWモードが設定されていなかったときに記録された画像ファイルのファイル構造(RAWファイル形式以外)の一例である。
【図8】プリンタ装置が行う画像処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】画像表示LCD52に一括表示される縮小処理画像の表示例である。
【図10】プリンタ装置が行うプリント処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ズームレンズ系
2 撮像素子
3 撮像回路
4 A/D
5 レンズ駆動制御回路
6 レンズ駆動部
7 シスコン
8 ASIC
9 ROM
10 RAM
11 メモリI/F
12 カードスロット
13 メモリカード
14 外部I/F
15 外部入出力端子
16 ビデオメモリ
17 ビデオ出力回路
18 画像表示LCD
19 ビデオアウト端子
20 ストロボ発光部
21 操作部
22 電源部
23 カメラ電池
24 外部電源入力端子
31 シスコン
32 ASIC
33 メモリI/F
34 カードスロット
35 メモリカード
36 RAM
37 ROM
38 外部I/F
39 PC接続端子
40 サーマルヘッド制御部
41 サーマルヘッド
42 ペーパー
43 インクリボン
44 ペーパー搬送制御部
45 ペーパー搬送部
46 ペーパーカートリッジ
47 操作部
48 電源部
49 外部電源入力端子
50 ビデオメモリ
51 ビデオ出力回路
52 画像表示LCD
53 ビデオアウト端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写界を撮影し得られた画像データに付帯情報を付けて1つの画像ファイルとして記録媒体に記録する電子カメラであって、前記付帯情報には少なくとも1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータからなるパラメータ群が前記画像処理項目毎に複数組含まれる、ことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】 撮影された被写界に応じて、1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータの中から1つのパラメータを設定する第1の設定手段、を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】 前記付帯情報には、前記第1の設定手段により設定されたパラメータが更に含まれる、ことを特徴とする請求項2記載の電子カメラ。
【請求項4】 ユーザからの指示に応じて、1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータの中から1つのパラメータを設定する第2の設定手段、を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の電子カメラ。
【請求項5】 前記付帯情報には、前記第2の設定手段により設定されたパラメータが更に含まれる、ことを特徴とする請求項4記載の電子カメラ。
【請求項6】 前記画像処理項目には、少なくとも階調、ホワイトバランス、シャープネス、彩度のうちの何れか1つが含まれる、ことを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5記載の電子カメラ。
【請求項7】 前記画像処理項目の画像処理を実行する画像処理手段と、前記画像処理手段による画像処理実行前の画像データを記録する第1の記録モード、又は前記画像処理手段による画像処理実行後の画像データを記録する第2の記録モードの何れかを設定する記録モード設定手段と、を更に備え、前記記録モード設定手段により前記第1の記録モードが設定されたときには、前記付帯情報に、少なくとも1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータからなるパラメータ群が前記画像処理項目毎に複数組含まれる、ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の電子カメラ。
【請求項8】 前記画像処理手段は、前記記録モード設定手段により前記第2の記録モードが設定されたときは、前記第1の設定手段又は前記第2の設定手段により設定されたパラメータを使用して画像処理を実行する、ことを特徴とする請求項7記載の電子カメラ。
【請求項9】 前記付帯情報には、プリントのための画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータが更に含まれる、ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、又は8記載の電子カメラ。
【請求項10】 前記プリントのための画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータには、設定された撮影モード及び撮影条件に基づいて得られた1つ又は複数のプリント補正情報、標準のプリント補正情報、及び補正無しのプリント補正情報が含まれる、ことを特徴とする請求項9記載の電子カメラ。
【請求項11】 撮影により得られた画像データと付帯情報を含む画像ファイルに基づいて画像処理を行う画像処理装置であって、前記付帯情報に、少なくとも1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータからなるパラメータ群が前記画像処理項目毎に複数組含まれていたときに、前記複数組のパラメータ群に基づいて、前記画像データから複数の縮小処理画像を生成する処理画像生成手段と、該処理画像生成手段により生成された前記複数の縮小処理画像を一括表示する縮小画像表示手段と、ユーザからの指示に応じて、前記縮小画像表示手段により一括表示された前記複数の縮小処理画像の中から1つの縮小処理画像を選択する画像選択手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】 前記処理画像生成手段による前記複数の縮小処理画像を生成する処理、前記縮小画像表示手段による前記複数の縮小処理画像を一括表示する処理、及び前記画像選択手段による1つの縮小処理画像を選択する処理は、前記画像処理項目毎に行われる、ことを特徴とする請求項11記載の画像処理装置。
【請求項13】 前記画像データに、前記画像選択手段により選択された縮小処理画像に対応するパラメータを使用して画像処理を実行し、該実行結果に基づく画像を表示する、ことを特徴とする請求項11記載の画像処理装置。
【請求項14】 前記実行結果に基づく画像を印刷する印刷手段、を更に備えたことを特徴とする請求項13記載の画像処理装置。
【請求項15】 被写界を撮影し得られた画像データに付帯情報を付けて1つの画像ファイルとして記録媒体に記録する電子カメラと、前記記録媒体に記録された前記画像ファイルに基づいて画像処理を行う画像処理装置を含む電子カメラシステムであって、前記付帯情報には少なくとも前記画像処理装置に1つの画像処理項目の画像処理を実行させるのに必要な複数のパラメータからなるパラメータ群が前記画像処理項目毎に複数組含まれ、前記画像処理装置は、前記付帯情報に少なくとも前記複数組のパラメータ群が含まれていたときに、前記画像データから複数の縮小処理画像を生成する処理画像生成手段と、該処理画像生成手段により生成された前記複数の縮小処理画像を一括表示する縮小画像表示手段と、ユーザからの指示に応じて、前記縮小画像表示手段により一括表示された前記複数の縮小処理画像の中から1つの縮小処理画像を選択する画像選択手段と、を備え、前記画像選択手段により選択された縮小処理画像に対応するパラメータを使用して前記画像データに画像処理を実行する、ことを特徴とする電子カメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2002−330388(P2002−330388A)
【公開日】平成14年11月15日(2002.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−131248(P2001−131248)
【出願日】平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】