説明

電子カメラ

【構成】撮像装置18は、撮像面で捉えられたシーンを表す生画像データを繰り返し出力する。CPU40は、撮像装置18から出力される生画像データの品質を定義するパラメータ(解像度,フレームレート)の値を複数の値のいずれか1つに設定する。ズームボタン42zが操作されると、CPU40は、ズームレンズ12を光軸方向に移動させ、撮像装置18から出力される生画像データの品質がズームレンズ12の移動速度の増大に伴って劣化するように解像度および/またはフレームレートを変更する。
【効果】画質劣化の印象を抑えつつ消費電力を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特にズームレンズを通してシーンを捉える、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、被写体像を拡大するための変倍動作が行われると、表示中の被写体像が固定され、かつ拡大される。したがって、拡大変倍中、拡大表示される被写体像がボケることはなく、実際に被写体像を拡大表示する必要もない。これによって、簡素な構成かつ簡素な処理により消費電力を抑えたズームシステムを実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−248032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、表示中の被写体像が固定されるため、画質が劣化した印象を撮影者に与えるという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、画質劣化の印象を抑えつつ消費電力を低減することができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する撮像手段(18)、撮像手段から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する設定手段(S23, S27, S29, S35, S39)、ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する変更手段(S37, S41~S43)、および撮像手段から出力される画像の品質がズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように設定手段の処理を制御する制御手段(S21, S33)を備える。
【0007】
好ましくは、パラメータは撮像手段から出力される画像の周期および/または解像度を含む。
【0008】
さらに好ましくは、制御手段は、周期および解像度のいずれか一方を第1変動速度に対応して変更する第1変更手段(S21)、および周期および解像度の両方を第1変動速度よりも速い第2変動速度に対応して変更する第2変更手段(S33)を含む。
【0009】
好ましくは、撮像面の前方に設けられたズームレンズ(12)がさらに備えられ、変更手段はズームレンズを光軸方向に移動させる。
【0010】
好ましくは、撮像手段から出力された画像のサイズを既定サイズに調整する調整手段(S25, S31)がさらに備えられる。
【0011】
この発明に従う撮像制御プログラムは、撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する撮像手段(18)を備える電子カメラ(10)のプロセッサ(40)に、撮像手段から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する設定ステップ(S23, S27, S29, S35, S39)、ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する変更ステップ(S37, S41~S43)、および撮像手段から出力される画像の品質がズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように設定ステップの処理を制御する制御ステップ(S21, S33)を実行させるための、撮像制御プログラムである。
【0012】
この発明に従う撮像制御方法は、撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する撮像手段(18)を備える電子カメラ(10)によって実行される撮像制御方法であって、撮像手段から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する設定ステップ(S23, S27, S29, S35, S39)、ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する変更ステップ(S37, S41~S43)、および撮像手段から出力される画像の品質がズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように設定ステップの処理を制御する制御ステップ(S21, S33)を備える。
【0013】
この発明に従う外部制御プログラムは、撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する撮像手段(18)、およびメモリ(44)に保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサ(40)を備える電子カメラ(10)に供給される外部制御プログラムであって、撮像手段から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する設定ステップ(S23, S27, S29, S35, S39)、ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する変更ステップ(S37, S41~S43)、および撮像手段から出力される画像の品質がズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように設定ステップの処理を制御する制御ステップ(S21, S33)を内部制御プログラムと協働してプロセッサに実行させるための、外部制御プログラムである。
【0014】
この発明に従う電子カメラ(10)は、撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する撮像手段(18)、外部制御プログラムを取り込む取り込み手段(46)、および取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリ(44)に保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサ(40)を備える電子カメラであって、外部制御プログラムは、撮像手段から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する設定ステップ(S23, S27, S29, S35, S39)、ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する変更ステップ(S37, S41~S43)、および撮像手段から出力される画像の品質がズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように設定ステップの処理を制御する制御ステップ(S21, S33)を内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、撮像手段から繰り返し出力される画像の品質を劣化させることで、消費電力を低減することができる。また、画像の品質の劣化をズーム倍率の変更速度の増大に関連付けることで、画質劣化の印象を抑えることができる。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】撮像面に割り当てられた評価エリアの配置の一例を示す図解図である。
【図4】ズームボタンの状態遷移の一例を示す図解図である。
【図5】ズームボタンが状態ST0にあるときの動作の一例を示すタイミング図である。
【図6】ズームボタンが状態ST1にあるときの動作の一例を示すタイミング図である。
【図7】ズームボタンが状態ST2にあるときの動作の一例を示すタイミング図である。
【図8】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図9】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図10】この発明の他の実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0019】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。撮像手段1は、撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する。設定手段2は、撮像手段1から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する。変更手段3は、ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する。制御手段4は、撮像手段1から出力される画像の品質がズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように設定手段2の処理を制御する。
【0020】
撮像手段1から繰り返し出力される画像の品質を劣化させることで、消費電力を低減することができる。また、画像の品質の劣化をズーム倍率の変更速度の増大に関連付けることで、画質劣化の印象を抑えることができる。
[実施例]
【0021】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、ドライバ20a,20bおよび20cによってそれぞれ駆動されるズームレンズ12,フォーカスレンズ14および絞り機構16を含む。これらの部材を経た光学像は、撮像装置18の撮像面に照射され、光電変換を施される。これによって、シーンを表す電荷が生成される。
【0022】
電源が投入されると、CPU40は、撮像タスクの下で動画取り込み処理を実行するべく、ドライバ20dに露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しを命令する。ドライバ20dは、SG(Signal Generator)34から周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、撮像面を露光し、撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。撮像装置18からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0023】
カメラ処理回路22は、撮像装置18から出力された生画像データに色分離,白バランス調整,YUV変換,電子ズームなどの処理を施し、これによって生成されたYUV形式の画像データをメモリ制御回路24を通してSDRAM26のYUV画像エリア26aに書き込む。LCDドライバ28は、YUV画像エリア26aに格納された画像データをメモリ制御回路24を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ30を駆動する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0024】
図3を参照して、撮像面の中央には評価エリアEVAが割り当てられる。評価エリアEVAは、水平方向および垂直方向の各々において16分割され、合計256個の分割エリアが評価エリアEVAを構成する。
【0025】
AE/AF評価回路32は、カメラ処理回路22から出力されたYデータのうち評価エリアEVAに属するYデータを分割エリア毎に積分する。積分処理は、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に実行される。この結果、256個の積分値つまり256個のAE評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAE/AF評価回路32から出力される。AE/AF評価回路32はまた、評価エリアEVAに属するYデータの高周波成分を分割エリア毎に積分する。この積分処理も、垂直同期信号Vsyncが発生する毎に実行される。この結果、256個の積分値つまり256個のAF評価値が、垂直同期信号Vsyncに応答してAE/AF評価回路32から出力される。
【0026】
CPU40は、AE/AF評価回路32から出力された256個のAE評価値に基づいて適正EV値を算出するべく、撮像タスクの下で簡易AE処理を実行する。算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間は、ドライバ20cおよび20dにそれぞれ設定される。この結果、LCDモニタ30から出力されるスルー画像の明るさが適度に調整される。
【0027】
キー入力装置42に設けられたズームボタン42zが操作されると、CPU40は、ズーム制御タスクの下でズーム処理を実行するべく、対応する命令をドライバ20aに与える。ズームレンズ12はドライバ20aによって光軸方向に移動され、これによってスルー画像の倍率が変化する。なお、ズーム制御タスクの下での動作については後段で詳述する。
【0028】
キー入力装置42に設けられたシャッタボタン42sが半押しされると、CPU40は、最適EV値を算出するべく、撮像タスクの下で厳格AE処理を実行する。この結果、AE/AF評価回路32から出力された256個のAE評価値に基づいて最適EV値が算出され、算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間がドライバ20cおよび20dにそれぞれ設定される。スルー画像の明るさは、最適値に調整される。
【0029】
CPU40は続いて、AF処理を実行する。AF処理では、フォーカスレンズ14がドライバ20bによって光軸方向に移動され、AE/AF評価回路32から出力された256個のAF評価値がこのレンズ移動処理と並列して繰り返し取り込まれる。CPU40は、取り込まれたAF評価値が最大となる位置を合焦点として検出し、検出された合焦点にフォーカスレンズ14を配置する。この結果、スルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0030】
シャッタボタン42sが全押しされると、静止画取り込み処理および記録処理が実行される。静止画取り込み処理の結果、シャッタボタン42sが全押しされた時点のシーンを表す1フレームの画像データがSDRAM26の静止画像エリア26bに退避される。また、記録処理の結果、記録命令がメモリI/F36に向けて発行される。メモリI/F36は、静止画像エリア26bに退避された1フレームの画像データをメモリ制御回路24を通して読み出し、読み出された画像データをファイル形式で記録媒体38に記録する。
【0031】
ズームボタン42zはカメラ筐体の上面に設けられ、図4に示す状態ST0,ST1およびST3の間で遷移する。状態ST0は非操作状態に相当し、状態ST1はズームボタン42zを時計回り方向に45°回転させた状態に相当し、そして状態ST2はズームボタン42zを時計回り方向に90°回転させた状態に相当する。ズーム制御タスクの下では、ズームボタン42zの状態に応じて異なる処理が以下の要領で実行される。
【0032】
ズームボタン40zが状態ST0にあるときは、生画像データの解像度が“1280×960”に設定され、電子ズーム倍率が“1倍”に設定され、そして垂直同期信号Vsyncの発生周期が“1/30秒”に設定される。解像度の設定処理はドライバ20dに対して実行され、電子ズーム倍率の設定処理はカメラ処理回路22に対して実行され、そして垂直同期信号Vsyncの発生周期の設定処理はSG34に対して実行される。
【0033】
この結果、図5に示すように、水平1280画素×垂直960画素の解像度を有する生画像データが30fpsのフレームレートで撮像装置18から出力され、水平1280画素×垂直960画素に相当するサイズを有するYUV形式の画像データが30fpsのフレームレートでカメラ処理回路22から出力される。
【0034】
ズームボタン40zが状態ST1にあるときは、生画像データの解像度が“640×480”に設定され、電子ズーム倍率が“4倍”に設定され、そして垂直同期信号Vsyncの発生周期が“1/30秒”に設定される。この結果、図6に示すように、水平640画素×垂直480画素の解像度を有する生画像データが30fpsのフレームレートで撮像装置18から出力され、水平1280画素×垂直960画素に相当するサイズを有するYUV形式の画像データが30fpsのフレームレートでカメラ処理回路22から出力される。
【0035】
ズームボタン40zが状態ST2にあるときは、生画像データの解像度が“640×480”に設定され、電子ズーム倍率が“4倍”に設定され、そして垂直同期信号Vsyncの発生周期が“1/15秒”に設定される。この結果、図7に示すように、水平640画素×垂直480画素の解像度を有する生画像データが15fpsのフレームレートで撮像装置18から出力され、水平1280画素×垂直960画素に相当するサイズを有するYUV形式の画像データが15fpsのフレームレートでカメラ処理回路22から出力される。
【0036】
また、ズームレンズ12の1回の移動量は、ズームボタン42zの操作状態が“ST1”のとき“W1”に設定され、ズームボタン42zの操作状態が“ST2”のとき“W2”に設定される。ここで、移動量W2は移動量W1よりも大きい。したがって、ズームレンズ12は、状態ST1に対応して低速で移動し、状態ST2に対応して高速で移動する。
【0037】
この結果、スルー画像の品質は、ズームレンズ12が停止しているときに最も高くなり、ズームレンズ12の移動速度が増大するほど低下する。ただし、スルー画像の画角の変動量はズームレンズ12の移動速度が増大するほど増大し、これによって画質劣化の印象が抑えられる。
【0038】
CPU40は、図8に示す撮像タスクおよび図9に示すズーム制御タスクをマルチタスクOSの下で並列的に実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ44に記憶される。
【0039】
図8を参照して、ステップS1では動画取込み処理を開始する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すスルー画像がLCDモニタ30に表示される。ステップS3ではシャッタボタン42sが半押しされたか否かを判別し、判別結果がNOである限りステップS5の簡易AE処理を繰り返し実行する。この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。
【0040】
ステップS3の判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS7で厳格AE処理を実行し、ステップS9でAF処理を実行する。厳格AE処理の結果、スルー画像の明るさが厳格に調整される。また、AF処理の結果、スルー画像の鮮鋭度が厳格に調整される。
【0041】
ステップS11ではシャッタボタン42sが半押しされたか否かを判別し、ステップS13ではシャッタボタン42sが全押しされたか否かを判別する。ステップS13の判別結果がYESであればそのままステップS3に戻り、ステップS11の判別結果がYESであればステップS15およびS17で静止画取り込み処理および記録処理を実行してからステップS3に戻る。
【0042】
静止画取り込み処理の結果、シャッタボタン42sが全押しされた時点のシーンを表す1フレームの画像データがYUV画像エリア26aから静止画像エリア26bに退避される。また、記録処理の結果、メモリI/F36が起動され、静止画像エリア26bに退避された画像データがファイル形式で記録媒体38に記録される。
【0043】
図9を参照して、ステップS21ではズームボタン42zの操作状態が“ST0”であるか否かを判別する。判別結果がNOであれば、ズームレンズ12は静止しているとみなし、ステップS23で生画像データの解像度を“1280×960”に設定し、ステップS25で電子ズーム倍率を“1倍”に設定し、ステップS27で垂直同期信号Vsyncの発生周期を“1/30秒”に設定する。
【0044】
この結果、水平1280画素×垂直960画素の解像度を有する生画像データが30fpsのフレームレートで撮像装置18から出力され、水平1280画素×垂直960画素に相当するサイズを有するYUV形式の画像データが30fpsのフレームレートでカメラ処理回路22から出力される。ステップS27の処理が完了すると、ステップS21に戻る。
【0045】
ステップS21の判別結果がNOであれば、ステップS29で生画像データの解像度を“640×480”に設定し、ステップS31で電子ズーム倍率を“4倍”に設定する。ステップS33ではズームボタン42zの操作状態が“ST1”および“ST2”のいずれであるかを判別し、状態ST1に対応してステップS35に進む一方、状態ST2に対応してステップS39に進む。
【0046】
ステップS35では垂直同期信号Vsyncの発生周期を“1/30秒”に設定し、続くステップS37ではズームレンズ12の1回の移動量を“W1”に設定する。一方、ステップS39では垂直同期信号Vsyncの発生周期を“1/15秒”に設定し、続くステップS41ではズームレンズ12の1回の移動量を“W2”に設定する。ここで、移動量W2は移動量W1よりも大きい。
【0047】
この結果、ズームボタン42zの操作状態が“ST1”であれば、水平640画素×垂直480画素の解像度を有する生画像データが30fpsのフレームレートで撮像装置18から出力され、水平1280画素×垂直960画素に相当するサイズを有するYUV形式の画像データが30fpsのフレームレートでカメラ処理回路22から出力される。
【0048】
これに対して、ズームボタン42zの操作状態が“ST2”であれば、水平640画素×垂直480画素の解像度を有する生画像データが15fpsのフレームレートで撮像装置18から出力され、水平1280画素×垂直960画素に相当するサイズを有するYUV形式の画像データが15fpsのフレームレートでカメラ処理回路22から出力される。
【0049】
ステップS37またはS41の処理が完了すると、ステップS43に進み、ズームレンズ12をステップS37またはS41で設定された量だけ光軸方向に移動させる。この結果、スルー画像の倍率が変化する。ステップS43の処理が完了すると、ステップS21に戻る。
【0050】
以上の説明から分かるように、撮像装置18は、撮像面で捉えられたシーンを表す生画像データを繰り返し出力する。CPU40は、撮像装置18から出力される生画像データの品質を定義するパラメータ(解像度,フレームレート)の値を複数の値のいずれか1つに設定する(S23, S27, S29, S35, S39)。ズームボタン42zが操作されると、CPU40は、ズームレンズ12を光軸方向に移動させ(S37, S41~S43)、撮像装置18から出力される生画像データの品質がズームレンズ12の移動速度の増大に伴って劣化するように解像度および/またはフレームレートを変更する(S21, S33)。
【0051】
撮像装置18から繰り返し出力される生画像データの品質を劣化させることで、消費電力を低減することができる。また、生画像データの品質の劣化をズーム倍率の変更速度の増大に関連付けることで、画質劣化の印象を抑えることができる。
【0052】
なお、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ44に予め記憶される。しかし、図10に示すように通信I/F46をディジタルカメラ10に設け、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ44に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0053】
また、この実施例では、CPU40によって実行される処理を上述の要領で複数のタスクに区分するようにしている。しかし、各々のタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を他のタスクに統合するようにしてもよい。また、各々のタスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 …ディジタルカメラ
12 …ズームレンズ
14 …フォーカスレンズ
18 …撮像装置
20 …カメラ処理回路
40 …CPU
42z …ズームボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する撮像手段、
前記撮像手段から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する設定手段、
ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する変更手段、および
前記撮像手段から出力される画像の品質が前記ズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように前記設定手段の処理を制御する制御手段を備える、電子カメラ。
【請求項2】
前記パラメータは前記撮像手段から出力される画像の周期および/または解像度を含む、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記制御手段は、前記周期および前記解像度のいずれか一方を第1変動速度に対応して変更する第1変更手段、および前記周期および前記解像度の両方を前記第1変動速度よりも速い第2変動速度に対応して変更する第2変更手段を含む、請求項2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記撮像面の前方に設けられたズームレンズをさらに備え、
前記変更手段は前記ズームレンズを光軸方向に移動させる、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記撮像手段から出力された画像のサイズを既定サイズに調整する調整手段をさらに備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項6】
撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する撮像手段を備える電子カメラのプロセッサに、
前記撮像手段から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する設定ステップ、
ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する変更ステップ、および
前記撮像手段から出力される画像の品質が前記ズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように前記設定ステップの処理を制御する制御ステップを実行させるための、撮像制御プログラム。
【請求項7】
撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する撮像手段を備える電子カメラによって実行される撮像制御方法であって、
前記撮像手段から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する設定ステップ、
ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する変更ステップ、および
前記撮像手段から出力される画像の品質が前記ズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように前記設定ステップの処理を制御する制御ステップを備える、撮像制御方法。
【請求項8】
撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する撮像手段、および
メモリに保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラに供給される外部制御プログラムであって、
前記撮像手段から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する設定ステップ、
ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する変更ステップ、および
前記撮像手段から出力される画像の品質が前記ズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように前記設定ステップの処理を制御する制御ステップを前記内部制御プログラムと協働して前記プロセッサに実行させるための、外部制御プログラム。
【請求項9】
撮像面で捉えられたシーンを表す画像を繰り返し出力する撮像手段、
外部制御プログラムを取り込む取り込み手段、および
前記取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリに保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラであって、
前記外部制御プログラムは、
前記撮像手段から出力される画像の品質を定義する1または2以上のパラメータの各々の値を複数の値のいずれか1つに設定する設定ステップ、
ズーム操作に応答してズーム倍率を変更する変更ステップ、および
前記撮像手段から出力される画像の品質が前記ズーム倍率の変更速度の増大に伴って劣化するように前記設定ステップの処理を制御する制御ステップを前記内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する、電子カメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−235432(P2012−235432A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104615(P2011−104615)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】