電子カメラ
【構成】撮像装置16は撮像面で捉えられた光学像に対応する生画像データを出力し、信号処理回路20は出力された生画像データをYUV形式の画像データに変換する。CPU34は、信号処理回路20から出力された画像データをシャッタボタン36shの操作に応答して取得する。ただし、この取得処理の許可/制限は、シャッタボタン36shの操作を受け付けた時点で撮像面が捉える主要被写体と基準姿勢で撮像面が捉える主要被写体との共通性を判別して制御される。取得処理が許可されたとき、CPU34は、シャッタボタン36shの操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する。取得された画像データは、こうして作成された姿勢情報を参照して再生される。
【効果】画像データの記録再生性能が向上する。
【効果】画像データの記録再生性能が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特に、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像をユーザ操作に応答して取得し、ユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、パノラマモードの下で撮像面の向きを変えながら複数の画像を撮影すると、方位センサによって検出された方位情報が撮影された複数の画像の各々に付加される。再生時には、撮像面の向きに相当する方位情報が付加された画像が撮影された複数の画像の中から検出され、検出された画像が表示部に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−26859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術は共通の物体を複数の視点で撮影することを想定しておらず、共通の物体を表す画像の記録再生性能に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、共通の物体を表す画像の記録再生性能を高めることができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(16)、撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得手段(S3, S9, S17)、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得手段の処理の許可/制限を制御する制御手段(S41, S49~S57, S15)、取得手段の処理が制御手段によって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成手段(S63)、および取得手段によって取得された電子画像を作成手段によって作成された姿勢情報を参照して再生する再生手段(S89~S105)を備える。
【0007】
好ましくは、制御手段は、注目する2つの物体が共通するとき取得手段の処理を許可する許可手段(S57)、および注目する2つの物体が相違するとき取得手段の処理を制限する制限手段(S55)を含む。
【0008】
好ましくは、撮像面の前方に配置されるフォーカスレンズ(12)がさらに備えられ、取得手段はユーザ操作に応答してフォーカスレンズから撮像面までの距離を調整する調整手段(S7)を含み、制御手段は撮像面の姿勢と調整手段によって調整された距離とを参照して共通性を判別する判別手段(S53)を含む。
【0009】
好ましくは、再生手段は、特定物体の姿勢を検出する検出手段(S97)、検出手段によって検出された姿勢を作成手段によって作成された姿勢情報と照合する照合手段(S99~S101)、および照合手段の照合結果に応じて異なる電子画像を再生する画像再生手段(S105)を含む。
【0010】
或る局面では、特定物体はカメラ筐体に相当する。他の局面では、再生手段によって再生された電子画像をモニタ画面に表示する表示手段(26, 28)がさらに備えられ、特定物体はモニタ画面の前方に存在する人物の顔に相当する。
【0011】
この発明に従うカメラ制御プログラムは、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)のプロセッサ(34)に、撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ(S3, S9, S17)、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ(S41, S49~S57, S15)、取得ステップの処理が制御ステップによって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ(S63)、および取得ステップによって取得された電子画像を作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップ(S89~S105)を実行させるための、カメラ制御プログラムである。
【0012】
この発明に従うカメラ制御方法は、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)によって実行されるカメラ制御方法であって、撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ(S3, S9, S17)、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ(S41, S49~S57, S15)、取得ステップの処理が制御ステップによって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ(S63)、および取得ステップによって取得された電子画像を作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップ(S89~S105)を備える。
【0013】
この発明に従う外部制御プログラムは、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(16)、およびメモリ(48)に保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサ(34)を備える電子カメラ(10)に供給される外部制御プログラムであって、撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ(S3, S9, S17)、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ(S41, S49~S57, S15)、取得ステップの処理が制御ステップによって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ(S63)、および取得ステップによって取得された電子画像を作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップ(S89~S105)を内部制御プログラムと協働してプロセッサに実行させるための、外部制御プログラムである。
【0014】
この発明に従う電子カメラ(10)は、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(16)、外部制御プログラムを取り込む取り込み手段(50)、および取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリ(48)に保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサ(34)を備える電子カメラであって、外部制御プログラムは、撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ(S3, S9, S17)、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ(S41, S49~S57, S15)、取得ステップの処理が制御ステップによって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ(S63)、および取得ステップによって取得された電子画像を作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップ(S89~S105)を内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、ユーザ操作に応答して電子画像を取得する処理は、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して許可/制限される。これによって、共通の物体が現れた電子画像を限定的に取得することができ、記録性能の向上が図られる。また、ユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報が電子画像の取得に関連して作成され、取得された電子画像は作成された姿勢情報を参照して再生される。これによって、再生性能の向上が図られる。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】撮像面における評価エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【図4】図2実施例に適用されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図5】図2実施例に適用される他のレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図6】疑似3Dモードにおいてカメラ筐体が取る姿勢の一例を示す図解図である。
【図7】(A)は疑似3Dモードで撮影された物体像の一例を示す図解図であり、(B)は疑似3Dモードで撮影された物体像の他の一例を示す図解図であり、(C)は疑似3Dモードで撮影された物体像のその他の一例を示す図解図であり、(D)は疑似3Dモードで撮影された物体像のさらにその他の一例を示す図解図である。
【図8】図2実施例に適用されるその他のレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図9】図2実施例に適用されるさらにその他のレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図10】再生モードにおいてカメラ筐体が取る姿勢の一例を示す図解図である。
【図11】(A)は再生画像の一例を示す図解図であり、(B)は再生画像の他の一例を示す図解図であり、(C)は再生画像のその他の一例を示す図解図であり、(D)は再生画像のさらにその他の一例を示す図解図である。
【図12】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図13】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図14】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図15】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図16】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図17】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図18】他の実施例の外観を上方から眺めた状態の一例を示す図解図である。
【図19】他の実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図20】この発明の他の実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0019】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。撮像手段1は、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する。取得手段2は、撮像手段1から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する。制御手段3は、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得手段2の処理の許可/制限を制御する。作成手段4は、取得手段2の処理が制御手段3によって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する。再生手段5は、取得手段2によって取得された電子画像を作成手段4によって作成された姿勢情報を参照して再生する。
【0020】
ユーザ操作に応答して電子画像を取得する処理は、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して許可/制限される。これによって、共通の物体が現れた電子画像を限定的に取得することができ、記録性能の向上が図られる。また、ユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報が電子画像の取得に関連して作成され、取得された電子画像は作成された姿勢情報を参照して再生される。これによって、再生性能の向上が図られる。
[実施例]
【0021】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、ドライバ18aおよび18bによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ12および絞り機構14を含む。フォーカスレンズ12および絞り機構14を経た光学像は、撮像装置16の撮像面に照射され、光電変換を施される。これによって、撮像面で捉えられたシーンを表す電荷が生成される。
【0022】
キー入力装置36に設けられたモード切り換えスイッチ36mdによってカメラモードが選択されると、CPU34は、撮像タスクの下で動画取り込み処理を実行するべく、ドライバ18cに露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しを命令する。
【0023】
ドライバ18cは、図示しないSG(Signal Generator)から出力された垂直同期信号Vsyncに応答して、撮像面を露光し、かつ撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。撮像装置16からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0024】
信号処理回路20は、撮像装置16から出力された生画像データに白バランス調整,色分離,YUV変換などの処理を施し、これによって作成されたYUV形式の画像データをメモリ制御回路22を通してSDRAM24の動画像エリア24aに書き込む。
【0025】
LCDドライバ26は、動画像エリア24aに格納された画像データをメモリ制御回路22を通して読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0026】
図3を参照して、撮像面の中央には評価エリアEVAが割り当てられる。評価エリアEVAは垂直方向および水平方向の各々において16分割され、合計256個の分割エリアによって評価エリアEVAが形成される。
【0027】
輝度評価回路30は、信号処理回路20から出力されたYデータのうち評価エリアEVAに属するYデータを分割エリア毎に積分し、256個の積分値つまり256個の輝度評価値を出力する。積分処理は垂直同期信号Vsyncが発生する毎に実行され、256個の輝度評価値は垂直同期信号Vsyncに同期して輝度評価回路30から出力される。
【0028】
また、AF評価回路32は、信号処理回路20から出力されたYデータのうち評価エリアEVAに属するYデータの高域周波数成分を分割エリア毎に積分し、256個の積分値つまり256個のAF評価値を出力する。この積分処理も垂直同期信号Vsyncが発生する毎に実行され、256個のAF評価値は垂直同期信号Vsyncに同期してAF評価回路32から出力される。
【0029】
キー入力装置36に設けられたシャッタボタン36shが非操作状態のとき、CPU34は、輝度評価回路30から出力された輝度評価値に基づいて適正EV値を算出するべく、簡易AE処理を繰り返し実行する。算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間は、ドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定される。この結果、LCDモニタ28に表示されるスルー画像の明るさが適度に調整される。
【0030】
シャッタボタン36shが半押しされると、CPU34は、輝度評価回路30から出力された輝度評価値に基づいて最適EV値を算出するべく、厳格AE処理を実行する。算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間は、上述と同様、ドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定される。これによって、LCDモニタ28に表示されるスルー画像の明るさが厳格に調整される。
【0031】
CPU34は続いて、AF処理を実行する。フォーカスレンズ12は光軸方向に移動され、AF評価回路32から出力されたAF評価値はフォーカスレンズ12の移動処理と並列して繰り返し取り込まれる。合焦点は取り込まれたAF評価値に基づいて探索され、フォーカスレンズ12は発見された合焦点に配置される。これによって、LCDモニタ28に表示されるスルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0032】
カメラモードの下には、通常モードおよび疑似3Dモードが取り込みモードとして準備される。取り込みモードもまた、モード切り換えスイッチ36mdの操作によって択一的に切り換えられる。
【0033】
通常モードが選択された状態でシャッタボタン36shが全押しされると、CPU34は、無条件で静止画取り込み処理を実行する。これに対して、疑似3Dモードが選択された状態でシャッタボタン36shが全押しされると、CPU34は、後述するフラグFLGerrorが“0”を示すことを条件として静止画取り込み処理を実行する。静止画取り込み処理の結果、AF処理が完了した時点のシーンを表す画像データが、動画像エリア24aから静止画像エリア24bに退避される。
【0034】
CPU34はまた、撮像タスクと並列する記録制御タスクの下で、以下の処理を実行する。シャッタボタン36shが操作された時点の取り込みモードが通常モードであれば、CPU36は、ファイルヘッダと記録画像エリア24bに確保された画像データとを収めた画像ファイルを作成し、作成された画像ファイルをメモリI/F38を通して記録媒体40に保存する。記録媒体40には通常モード用の既定フォルダが事前に設けられており、通常モードの下で作成された画像ファイルは既定フォルダに収められる。
【0035】
シャッタボタン36shが操作された時点の取り込みモードが疑似3Dモードであれば、CPU34は、疑似3Dフォルダを記録媒体40に新規に作成し、作成された疑似3Dフォルダをオープンし、そして疑似3Dフォルダに収められた画像ファイルの数を示す変数Kを“0”に設定する。
【0036】
変数Kが“0”を示す状態でシャッタボタン36shが半押しされれば、CPU34は、カメラ筐体の現在の向きを定義する水平角(=方位角)および垂直角(=仰角)を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力に基づいて検出し、検出された水平角および垂直角を基準姿勢として図4に示すレジスタRGST_R1に登録する。CPU34はさらに、AF処理が完了した時点のフォーカスレンズ12の配置に基づいて主要被写体(=フォーカスされた被写体)までの距離を算出し、算出された距離を被写体距離としてレジスタRGST_R1に登録する。
【0037】
その後にシャッタボタン36shが全押しされれば、CPU34は、ファイルヘッダと記録画像エリア24bに確保された画像データとを収めた画像ファイルを作成し、作成された画像ファイルをメモリI/F38を通して記録媒体40に保存する。画像ファイルは新規に作成された疑似3Dフォルダに収められ、変数Kは保存処理が完了した後にインクリメントされる。
【0038】
変数Kが“1”以上の値を示す状態でシャッタボタン36shが半押しされれば、CPU34は、カメラ筐体の姿勢を定義する水平角および垂直角の変化量を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力とレジスタRGST_R1の記述とに基づいて検出し、カメラ筐体の位置の変化量を加速度センサ46の出力に基づいて検出し、そして検出されたこれらの変化量を相対姿勢として図5に示すレジスタRGST_R2に登録する。相対姿勢は、K番目のカラムに記述される。
【0039】
CPU34はまた、AF処理が完了した時点のフォーカスレンズ12の配置に基づいて主要被写体までの距離を算出し、算出された距離を被写体距離としてレジスタRGST_R2に登録する。被写体距離もまた、K番目のカラムに記述される。
【0040】
CPU34はその後、基準姿勢で捉えられた主要被写体と同じ被写体が今回のシャッタボタン36shの操作時の主要被写体として捉えられているか否かを、レジスタRGST_R1に登録された基準姿勢および被写体距離とレジスタRGST_R2のK番目のカラムに記述された相対姿勢および被写体距離とに基づいて判別する。
【0041】
具体的には、この判別処理は、基準姿勢において主要被写体および撮像面を結ぶ直線がK番目の相対姿勢において主要被写体および撮像面を結ぶ直線と交差ないし立体交差し、かつ基準姿勢における被写体距離とK番目の相対姿勢における被写体距離との相違が基準を下回るという論理積条件が満足されるか否かを判別する処理に相当する。
【0042】
フラグFLGerrorは、この判別処理の結果に応じて“1”および“0”のいずれか一方に設定される。つまり、今回のシャッタボタンの操作時に捉えられた主要被写体が基準姿勢で捉えられた主要被写体と相違すれば、フラグFLGerrorは“1”に設定される。これに対して、今回のシャッタボタンの操作時に捉えられた主要被写体が基準姿勢で捉えられた主要被写体と共通すれば、フラグFLGerrorは“0”に設定される。
【0043】
フラグFLGerrorが“0”を示す状態(=主要被写体の共通性が確保された状態)でシャッタボタン36shが全押しされれば、CPU34は、レジスタRGST_R2のK+1番目のカラムに登録された相対姿勢を姿勢情報としてファイルヘッダに追記する。CPU34はさらに、こうして作成されたファイルヘッダとシャッタボタン36shの全押しに応答して記録画像エリア24bに確保された画像データとを収めた画像ファイルをメモリI/F38を通して記録媒体40に保存する。画像ファイルは新規に作成された疑似3Dフォルダに保存され、変数Kは保存処理の後にインクリメントされる。
【0044】
したがって、カメラ筐体CB1を図6に示す姿勢PS1〜PS4に順に配置してシャッタボタン36shを操作すると、ダイスDC1が互いに異なる4つの視点で撮影される。ダイスDC1は、姿勢PS1に対応して図7(A)に示すように撮影され、姿勢PS2に対応して図7(B)に示すように撮影され、姿勢PS3に対応して図7(C)に示すように撮影され、そして姿勢PS4に対応して図7(D)に示すように撮影される。
【0045】
ここで、姿勢PS1は基準姿勢として検出され、姿勢PS2〜PS4の各々は相対姿勢として検出される。したがって、図7(B)に示す画像データを収めた画像ファイルのヘッダには姿勢PS2を表す相対姿勢が記述され、図7(C)に示す画像データを収めた画像ファイルのヘッダには姿勢PS3を表す相対姿勢が記述され、そして図7(D)に示す画像データを収めた画像ファイルのヘッダには姿勢PS4を表す相対姿勢が記述される。
【0046】
オープン状態の疑似3Dフォルダは、モード切り換えスイッチ36mdによって通常モードが選択されたときにクローズまたは削除される。つまり、疑似3Dフォルダは、少なくとも1つの画像ファイルが疑似3Dフォルダに収められた状態で通常モードが選択されたときにクローズされ、疑似3Dフォルダに画像ファイルが存在しない状態で通常モードが選択されたときに削除される。
【0047】
モード切り換えスイッチ40mdによって再生モードが選択されると、CPU34は、再生タスクの下で以下の処理を実行する。
【0048】
CPU34はまず、記録媒体44に記録された複数のフォルダのいずれか1つを選択する処理を実行する。選択されたフォルダが通常モード用の既定フォルダであれば、CPU34は、既定フォルダに収められた最新の画像ファイルを指定し、指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。
【0049】
メモリI/F38は、指定された画像ファイルに収められた画像データを記録媒体40から読み出し、読み出された画像データをメモリ制御回路22を通してSDRAM24の静止画像エリア24bに書き込む。LCDドライバ26は、こうして静止画像エリア24bに転送された画像データをメモリ制御回路22を通して読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、再生画像がモニタ画面に表示される。
【0050】
キー入力装置36に設けられた送り/戻しボタン36frによって送り操作が行われると、CPU34は、既定フォルダに収められた次の画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。これに対して、送り/戻しボタン36frによって戻し操作が行われると、CPU34は、既定フォルダに収められた前の画像ファイルをメモリI/F38に命令する。この結果、LCDモニタ28に表示された画像が別の画像に更新される。
【0051】
選択されたフォルダが疑似3Dフォルダであれば、CPU34は、カメラ筐体CB1の現在の向きを定義する水平角および垂直角を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力に基づいて検出し、検出された水平角および垂直角を基準姿勢として図8に示すレジスタRGST_P1に登録する。CPU34はさらに、疑似3Dフォルダに収められた2番目以降の画像ファイルから姿勢情報(=相対姿勢)を読み出し、読み出された姿勢情報を図9に示すレジスタRGST_P2に登録する。
【0052】
CPU34は続いて、疑似3Dフォルダに収められた先頭の画像ファイルを指定し、指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。この結果、先頭の画像ファイルに収められた画像データに基づく再生画像がLCDモニタ28に表示される。
【0053】
CPU34はその後、カメラ筐体CB1の姿勢を定義する水平角および垂直角の変化量を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力とレジスタRGST_P1の記述とに基づいて検出し、カメラ筐体CB1の位置の変化量を加速度センサ46の出力に基づいて検出し、そして検出されたこれらの変化量を現時点の相対姿勢として定義する。
【0054】
定義された現時点の相対姿勢に符合する相対姿勢は、レジスタRGST_P2に登録された1または2以上の相対姿勢の中から探索される。符合する相対姿勢が発見されると、CPU34は、発見された相対姿勢の記述元の画像ファイルを指定し、指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。この結果、LCDモニタ28に表示された画像が別の画像に更新される。
【0055】
したがって、カメラ筐体CB1を図10に示す姿勢PS11に配置した状態で疑似3Dフォルダを選択し、カメラ筐体CB1の姿勢を“PS11”〜“PS14”の間で遷移させると、図11(A)に示す画像が姿勢P11に対応して再生され、図11(B)に示す画像が姿勢PS12に対応して再生され、図11(C)に示す画像が姿勢PS13に対応して再生され、そして図11(D)に示す画像が姿勢PS14に対応して再生される。
【0056】
CPU36は、カメラモードが選択されたとき図12に示す撮像タスクおよび図13〜図15に示す記録制御タスクを並列定期に実行し、再生モードが選択されたとき図16〜図17に示す再生タスクを実行する。なお、CPU34は、μITRONのようなマルチタスクOSの上で複数のタスクを並列的に実行するCPUである。また、CPU34によって実行されるタスクに相当する制御プログラムはフラッシュメモリ48に記憶される。
【0057】
図12を参照して、ステップS1では動画取り込み処理を開始する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すスルー画像がLCDモニタ28に表示される。ステップS3ではシャッタボタン36shが半押しされたか否かを判別し、判別結果がNOである限りステップS5の簡易AE処理を繰り返し実行する。この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。
【0058】
ステップS3の判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS7で厳格AE処理およびAF処理を実行する。この結果、スルー画像の明るさが厳格に調整され、スルー画像の鮮鋭度が向上する。ステップS9ではシャッタボタン36shが全押しされたか否かを判別し、ステップS11ではシャッタボタン36shの操作が解除されたか否かを判別する。ステップS11の判別結果がYESであればステップS3に戻り、ステップS9の判別結果がYESであればステップS13に進む。
【0059】
ステップS13では現時点の取り込みモードを判別し、ステップS15ではフラグFLGerrorの状態を判別する。現時点の取り込みモードが疑似3DモードでかつフラグFLGerrorが“1”であれば、ステップS9に戻る。現時点の取り込みモードが疑似3DモードでかつフラグFLGerrorが“0”であるか、或いは現時点の取り込みモードが通常モードであれば、ステップS17で静止画取り込み処理を実行する。
【0060】
シャッタボタン36shが全押しされた時点のシーンを表す画像データは、静止画取り込み処理によって表示画像エリア24aから記録画像エリア24bに退避される。静止画取り込み処理が完了すると、ステップS3に戻る。
【0061】
図13を参照して、ステップS21では疑似3Dモードを選択する操作がモード切り換えスイッチ36mdによって行われたか否かを判別する。判別結果がNOであれば、現時点の取り込みモードは通常モードであるとみなし、シャッタボタン36shが全押しされたか否かをステップS23で判別する。
【0062】
ステップS23の判別結果がNOであればそのままステップS21に戻り、ステップS23の判別結果がYESであればステップS25〜S27の処理を経てステップS21に戻る。ステップS25では、ファイルヘッダを作成する。ステップS27では、ステップS25で作成されたファイルヘッダと図12に示すステップS17の処理によって記録画像エリア24bに確保された画像データとを収めた画像ファイルを作成し、作成された画像ファイルを記録媒体40に設けられた通常モード用の既定フォルダに保存する。
【0063】
ステップS21の判別結果がYESであれば、ステップS29に進む。ステップS29では、疑似3Dフォルダを記録媒体40に新規に作成し、作成された疑似3Dフォルダをオープンする。ステップS31では、疑似3Dフォルダに収められた画像ファイルの数を示す変数Kを“0”に設定する。ステップS33では通常モードを選択する操作がモード切り換えスイッチ36mdによって行われたか否かを判別し、判別結果がYESであれば、ステップS35で変数Kの値を判別する。
【0064】
変数Kの値が“0”であれば、新規に作成された疑似3Dフォルダには画像ファイルが存在しないとみなし、記録媒体40に新規に作成された疑似3DフォルダをステップS37で削除する。一方、変数Kの値が“1”以上であれば、少なくとも1つの画像ファイルが疑似3Dフォルダに存在するとみなし、記録媒体40に新規に作成された疑似3DフォルダをステップS39でクローズする。ステップS37またはS39の処理が完了すると、ステップS21に戻る。
【0065】
ステップS33の判別結果がNOであれば、シャッタボタン36shが半押しされたか否かをステップS41で判別する。判別結果がNOであればステップS33に戻り、判別結果がYESであればステップS43に進む。ステップS43では変数Kの値を判別し、K=0に対応してステップS45に進む一方、K≠0に対応してステップS49に進む。
【0066】
ステップS45では、カメラ筐体CB1の現在の向きを定義する水平角および垂直角を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力に基づいて検出し、検出された水平角および垂直角を基準姿勢としてレジスタRGST_R1に登録する。ステップS47では、ステップS7のAF処理が完了した時点のフォーカスレンズ12の配置に基づいて主要被写体までの距離を算出し、算出された距離を被写体距離としてレジスタRGST_R1に登録する。ステップS47の処理が完了すると、ステップS59に進む。
【0067】
ステップS49では、カメラ筐体CB1の姿勢を定義する水平角および垂直角の変化量を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力とレジスタRGST_R1の記述とに基づいて検出し、カメラ筐体CB1の位置の変化量を加速度センサ46の出力に基づいて検出し、そして検出されたこれらの変化量を相対姿勢としてレジスタRGST_R2に登録する。相対姿勢は、K番目のカラムに記述される。
【0068】
ステップS51では、ステップS7のAF処理が完了した時点のフォーカスレンズ12の配置に基づいて主要被写体までの距離を算出し、算出された距離を被写体距離としてレジスタRGST_R2に登録する。被写体距離もまた、K番目のカラムに記述される。
【0069】
ステップS53では、基準姿勢で捉えられた主要被写体と同じ被写体が今回のシャッタボタン36shの操作時の主要被写体として捉えられているか否かを、レジスタRGST_R1に登録された基準姿勢および被写体距離とレジスタRGST_R2のK番目のカラムに記述された相対姿勢および被写体距離とに基づいて判別する。
【0070】
判別結果がNOであれば、K番目の相対姿勢で捉えられた主要被写体が基準姿勢で捉えられた主要被写体と相違していることを表明するべく、ステップS55でフラグFLGerrorを“1”に設定する。設定が完了すると、ステップS33に戻る。一方、ステップS53の判別結果がYESであれば、K番目の相対姿勢で捉えられた主要被写体が基準姿勢で捉えられた主要被写体と共通していることを表明するべく、ステップS57でフラグFLGerrorを“0”に設定する。設定が完了すると、ステップS59に進む。
【0071】
ステップS59ではシャッタボタン36shが全押しされたか否かを判別し、ステップS61ではシャッタボタン36shの操作が解除されたか否かを判別する。ステップS61の判別結果がYESであればそのままステップS33に戻り、ステップS59の判別結果がYESであればステップS63〜S67の処理を経てステップS33に戻る。
【0072】
ステップS63では、ファイルヘッダを作成する。現時点の変数Kの値が“1”以上であれば、レジスタRGST_R2のK+1番目のカラムに登録された相対姿勢が姿勢情報としてファイルヘッダに追記される。
【0073】
ステップS65では、ステップS63で作成されたファイルヘッダと図12に示すステップS17の処理によって記録画像エリア24bに確保された画像データとを収めた画像ファイルを作成し、作成された画像ファイルを新規に作成された疑似3Dフォルダに保存する。保存が完了すると、ステップS67で変数Kをインクリメントし、その後にステップS33に戻る。
【0074】
図16を参照して、ステップS71では記録媒体44に記録された複数のフォルダのいずれか1つを選択する処理を実行する。ステップS73では選択されたフォルダが通常モード用の既定フォルダおよび疑似3Dモードの下で作成された疑似3Dフォルダのいずれであるかを判別する。選択されたフォルダが既定フォルダであればステップS75に進み、選択されたフォルダが疑似3DフォルダであればステップS89に進む。
【0075】
ステップS75では既定フォルダに収められた最新の画像ファイルを指定し、ステップS77では指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。
【0076】
メモリI/F38は、指定された画像ファイルに収められた画像データを記録媒体40から読み出し、読み出された画像データをメモリ制御回路22を通してSDRAM24の静止画像エリア24bに書き込む。LCDドライバ26は、こうして静止画像エリア24bに転送された画像データをメモリ制御回路22を通して読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、再生画像がモニタ画面に表示される。
【0077】
ステップS79では送り/戻しボタン36frによって送り操作が行われか否かを判別し、ステップS81では送り/戻しボタン36frによって戻し操作が行われたか否かを判別する。ステップS79の判別結果がYESであれば、既定フォルダに収められた次の画像ファイルをステップS83で指定する。一方、ステップS81の判別結果がYESであれば、既定フォルダに収められた前の画像ファイルをステップS85で指定する。
【0078】
ステップS87では、こうして指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。この結果、LCDモニタ28に表示された画像が別の画像に更新される。ステップS87の処理が完了すると、ステップS79に戻る。
【0079】
ステップS89では、カメラ筐体CB1の現在の向きを定義する水平角および垂直角を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力に基づいて検出し、検出された水平角および垂直角を基準姿勢としてレジスタRGST_P1に登録する。ステップS91では、疑似3Dフォルダに収められた2番目以降の画像ファイルから姿勢情報(=相対姿勢)を読み出し、読み出された姿勢情報をレジスタRGST_P2に登録する。
【0080】
ステップS93では、疑似3Dフォルダに収められた先頭の画像ファイルを指定し、ステップS95では指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。この結果、先頭の画像ファイルに収められた画像データに基づく再生画像がLCDモニタ28に表示される。
【0081】
ステップS97では、カメラ筐体CB1の姿勢を定義する水平角および垂直角の変化量を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力とレジスタRGST_P1の記述とに基づいて検出し、カメラ筐体CB1の位置の変化量を加速度センサ46の出力に基づいて検出し、そして検出されたこれらの変化量を現時点の相対姿勢として定義する。
【0082】
ステップS99では、定義された現時点の相対姿勢に符合する相対姿勢をレジスタRGST_P2に登録された1または2以上の相対姿勢から探索する。ステップS101では符合する相対姿勢が発見されたか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS97に戻る一方、判別結果がYESであればステップS103〜S105の処理を経てステップS97に戻る。ステップS103では発見された相対姿勢の記述元の画像ファイルを指定し、ステップS105では指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。この結果、LCDモニタ28に表示された画像が別の画像に更新される。
【0083】
以上の説明から分かるように、撮像装置16は撮像面で捉えられた光学像に対応する生画像データを出力し、信号処理回路20は出力された生画像データをYUV形式の画像データに変換する。CPU34は、信号処理回路20から出力された画像データをシャッタボタン36shの操作(=ユーザ操作)に応答して取得する(S3, S9, S17)。ただし、この取得処理の許可/制限は、シャッタボタン36shの操作を受け付けた時点で撮像面が捉える主要被写体と基準姿勢で撮像面が捉える主要被写体との共通性を判別して制御される(S41, S49~S57, S15)。取得処理が許可されたとき、CPU34は、シャッタボタン36shの操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する(S63)。取得された画像データは、こうして作成された姿勢情報を参照して再生される(S89~S105)。
【0084】
シャッタボタン36shの操作に応答して画像データを取得する処理は、シャッタボタン36shの操作を受け付けた時点で撮像面が捉える主要被写体と基準姿勢で撮像面が捉える主要被写体との共通性を判別して許可/制限される。これによって、共通の被写体が現れた画像データを限定的に取得することができ、記録性能の向上が図られる。また、シャッタボタン36shの操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報が画像データの取得に関連して作成され、取得された画像データは作成された姿勢情報を参照して再生される。これによって、再生性能の向上が図られる。
【0085】
なお、この実施例では、再生モードにおいてカメラ筐体CB1の姿勢を検出し、検出された姿勢に応じて異なる画像ファイルを再生するようにしている(図17に示すステップS97〜S105参照)。しかし、カメラ筐体CB1の姿勢に代えてモニタ画面の前方に存在する人物の顔部の姿勢を検出し、検出された姿勢に応じて異なる画像ファイルを再生するようにしてもよい。
【0086】
この場合、好ましくは、図18に示す2つのカメラ筐体CB2およびCB3が準備される。図18によれば、フォーカスレンズ12はカメラ筐体CB2の前面に設けられ、LCDモニタ28はカメラ筐体CB3の背面に設けられ、そしてカメラ筐体CB2およびCB3はシャフトSH1によって結合される。これによって、フォーカスレンズ12の向きつまり撮像面の向きは、カメラ筐体CB3の前方および後方の間で切り換え可能となる。
【0087】
再生モードは撮像面がカメラ筐体CB3の後方に向けられた状態で起動され、CPU34は図17に示すステップS97に代えて図19に示すステップS111の処理を実行する。ステップS111では、LCDモニタ28の前方に存在する人物(=ユーザ)の顔の姿勢を撮像装置16の出力に基づいて検出する。検出された姿勢は、ステップS99の処理に反映される。
【0088】
また、再生すべき画像ファイルの指定を制御するにあたっては、カメラ筐体CB1の姿勢およびモニタ画面の前方に存在する人物の顔部の姿勢を並列的に検出し、いずれか一方の姿勢の変化に応答して画像ファイルの指定を更新するようにしてもよい。
【0089】
さらに、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ48に予め記憶される。しかし、図20に示すように通信I/F50をディジタルカメラ10に設け、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ48に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0090】
また、この実施例では、CPU34によって実行される処理を上述の要領で複数のタスクに区分するようにしている。しかし、各々のタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を他のタスクに統合するようにしてもよい。また、各々のタスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 …ディジタルカメラ
16 …撮像装置
28 …LCDモニタ
34 …CPU
40 …記録媒体
42 …地磁気センサ
44 …ジャイロセンサ
46 …加速度センサ
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子カメラに関し、特に、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像をユーザ操作に応答して取得し、ユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する、電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のカメラの一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、パノラマモードの下で撮像面の向きを変えながら複数の画像を撮影すると、方位センサによって検出された方位情報が撮影された複数の画像の各々に付加される。再生時には、撮像面の向きに相当する方位情報が付加された画像が撮影された複数の画像の中から検出され、検出された画像が表示部に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−26859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術は共通の物体を複数の視点で撮影することを想定しておらず、共通の物体を表す画像の記録再生性能に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、共通の物体を表す画像の記録再生性能を高めることができる、電子カメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従う電子カメラ(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(16)、撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得手段(S3, S9, S17)、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得手段の処理の許可/制限を制御する制御手段(S41, S49~S57, S15)、取得手段の処理が制御手段によって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成手段(S63)、および取得手段によって取得された電子画像を作成手段によって作成された姿勢情報を参照して再生する再生手段(S89~S105)を備える。
【0007】
好ましくは、制御手段は、注目する2つの物体が共通するとき取得手段の処理を許可する許可手段(S57)、および注目する2つの物体が相違するとき取得手段の処理を制限する制限手段(S55)を含む。
【0008】
好ましくは、撮像面の前方に配置されるフォーカスレンズ(12)がさらに備えられ、取得手段はユーザ操作に応答してフォーカスレンズから撮像面までの距離を調整する調整手段(S7)を含み、制御手段は撮像面の姿勢と調整手段によって調整された距離とを参照して共通性を判別する判別手段(S53)を含む。
【0009】
好ましくは、再生手段は、特定物体の姿勢を検出する検出手段(S97)、検出手段によって検出された姿勢を作成手段によって作成された姿勢情報と照合する照合手段(S99~S101)、および照合手段の照合結果に応じて異なる電子画像を再生する画像再生手段(S105)を含む。
【0010】
或る局面では、特定物体はカメラ筐体に相当する。他の局面では、再生手段によって再生された電子画像をモニタ画面に表示する表示手段(26, 28)がさらに備えられ、特定物体はモニタ画面の前方に存在する人物の顔に相当する。
【0011】
この発明に従うカメラ制御プログラムは、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)のプロセッサ(34)に、撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ(S3, S9, S17)、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ(S41, S49~S57, S15)、取得ステップの処理が制御ステップによって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ(S63)、および取得ステップによって取得された電子画像を作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップ(S89~S105)を実行させるための、カメラ制御プログラムである。
【0012】
この発明に従うカメラ制御方法は、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(16)を備える電子カメラ(10)によって実行されるカメラ制御方法であって、撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ(S3, S9, S17)、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ(S41, S49~S57, S15)、取得ステップの処理が制御ステップによって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ(S63)、および取得ステップによって取得された電子画像を作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップ(S89~S105)を備える。
【0013】
この発明に従う外部制御プログラムは、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(16)、およびメモリ(48)に保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサ(34)を備える電子カメラ(10)に供給される外部制御プログラムであって、撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ(S3, S9, S17)、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ(S41, S49~S57, S15)、取得ステップの処理が制御ステップによって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ(S63)、および取得ステップによって取得された電子画像を作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップ(S89~S105)を内部制御プログラムと協働してプロセッサに実行させるための、外部制御プログラムである。
【0014】
この発明に従う電子カメラ(10)は、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段(16)、外部制御プログラムを取り込む取り込み手段(50)、および取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリ(48)に保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサ(34)を備える電子カメラであって、外部制御プログラムは、撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ(S3, S9, S17)、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ(S41, S49~S57, S15)、取得ステップの処理が制御ステップによって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ(S63)、および取得ステップによって取得された電子画像を作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップ(S89~S105)を内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、ユーザ操作に応答して電子画像を取得する処理は、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して許可/制限される。これによって、共通の物体が現れた電子画像を限定的に取得することができ、記録性能の向上が図られる。また、ユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報が電子画像の取得に関連して作成され、取得された電子画像は作成された姿勢情報を参照して再生される。これによって、再生性能の向上が図られる。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】撮像面における評価エリアの割り当て状態の一例を示す図解図である。
【図4】図2実施例に適用されるレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図5】図2実施例に適用される他のレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図6】疑似3Dモードにおいてカメラ筐体が取る姿勢の一例を示す図解図である。
【図7】(A)は疑似3Dモードで撮影された物体像の一例を示す図解図であり、(B)は疑似3Dモードで撮影された物体像の他の一例を示す図解図であり、(C)は疑似3Dモードで撮影された物体像のその他の一例を示す図解図であり、(D)は疑似3Dモードで撮影された物体像のさらにその他の一例を示す図解図である。
【図8】図2実施例に適用されるその他のレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図9】図2実施例に適用されるさらにその他のレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図10】再生モードにおいてカメラ筐体が取る姿勢の一例を示す図解図である。
【図11】(A)は再生画像の一例を示す図解図であり、(B)は再生画像の他の一例を示す図解図であり、(C)は再生画像のその他の一例を示す図解図であり、(D)は再生画像のさらにその他の一例を示す図解図である。
【図12】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図13】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図14】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図15】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図16】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図17】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図18】他の実施例の外観を上方から眺めた状態の一例を示す図解図である。
【図19】他の実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図20】この発明の他の実施例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0019】
図1を参照して、この実施例の電子カメラは、基本的に次のように構成される。撮像手段1は、撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する。取得手段2は、撮像手段1から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する。制御手段3は、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して取得手段2の処理の許可/制限を制御する。作成手段4は、取得手段2の処理が制御手段3によって許可されたときユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する。再生手段5は、取得手段2によって取得された電子画像を作成手段4によって作成された姿勢情報を参照して再生する。
【0020】
ユーザ操作に応答して電子画像を取得する処理は、ユーザ操作を受け付けた時点で撮像面が捉える物体と基準姿勢で撮像面が捉える物体との共通性を判別して許可/制限される。これによって、共通の物体が現れた電子画像を限定的に取得することができ、記録性能の向上が図られる。また、ユーザ操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報が電子画像の取得に関連して作成され、取得された電子画像は作成された姿勢情報を参照して再生される。これによって、再生性能の向上が図られる。
[実施例]
【0021】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、ドライバ18aおよび18bによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ12および絞り機構14を含む。フォーカスレンズ12および絞り機構14を経た光学像は、撮像装置16の撮像面に照射され、光電変換を施される。これによって、撮像面で捉えられたシーンを表す電荷が生成される。
【0022】
キー入力装置36に設けられたモード切り換えスイッチ36mdによってカメラモードが選択されると、CPU34は、撮像タスクの下で動画取り込み処理を実行するべく、ドライバ18cに露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しを命令する。
【0023】
ドライバ18cは、図示しないSG(Signal Generator)から出力された垂直同期信号Vsyncに応答して、撮像面を露光し、かつ撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。撮像装置16からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0024】
信号処理回路20は、撮像装置16から出力された生画像データに白バランス調整,色分離,YUV変換などの処理を施し、これによって作成されたYUV形式の画像データをメモリ制御回路22を通してSDRAM24の動画像エリア24aに書き込む。
【0025】
LCDドライバ26は、動画像エリア24aに格納された画像データをメモリ制御回路22を通して読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0026】
図3を参照して、撮像面の中央には評価エリアEVAが割り当てられる。評価エリアEVAは垂直方向および水平方向の各々において16分割され、合計256個の分割エリアによって評価エリアEVAが形成される。
【0027】
輝度評価回路30は、信号処理回路20から出力されたYデータのうち評価エリアEVAに属するYデータを分割エリア毎に積分し、256個の積分値つまり256個の輝度評価値を出力する。積分処理は垂直同期信号Vsyncが発生する毎に実行され、256個の輝度評価値は垂直同期信号Vsyncに同期して輝度評価回路30から出力される。
【0028】
また、AF評価回路32は、信号処理回路20から出力されたYデータのうち評価エリアEVAに属するYデータの高域周波数成分を分割エリア毎に積分し、256個の積分値つまり256個のAF評価値を出力する。この積分処理も垂直同期信号Vsyncが発生する毎に実行され、256個のAF評価値は垂直同期信号Vsyncに同期してAF評価回路32から出力される。
【0029】
キー入力装置36に設けられたシャッタボタン36shが非操作状態のとき、CPU34は、輝度評価回路30から出力された輝度評価値に基づいて適正EV値を算出するべく、簡易AE処理を繰り返し実行する。算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間は、ドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定される。この結果、LCDモニタ28に表示されるスルー画像の明るさが適度に調整される。
【0030】
シャッタボタン36shが半押しされると、CPU34は、輝度評価回路30から出力された輝度評価値に基づいて最適EV値を算出するべく、厳格AE処理を実行する。算出された最適EV値を定義する絞り量および露光時間は、上述と同様、ドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定される。これによって、LCDモニタ28に表示されるスルー画像の明るさが厳格に調整される。
【0031】
CPU34は続いて、AF処理を実行する。フォーカスレンズ12は光軸方向に移動され、AF評価回路32から出力されたAF評価値はフォーカスレンズ12の移動処理と並列して繰り返し取り込まれる。合焦点は取り込まれたAF評価値に基づいて探索され、フォーカスレンズ12は発見された合焦点に配置される。これによって、LCDモニタ28に表示されるスルー画像の鮮鋭度が向上する。
【0032】
カメラモードの下には、通常モードおよび疑似3Dモードが取り込みモードとして準備される。取り込みモードもまた、モード切り換えスイッチ36mdの操作によって択一的に切り換えられる。
【0033】
通常モードが選択された状態でシャッタボタン36shが全押しされると、CPU34は、無条件で静止画取り込み処理を実行する。これに対して、疑似3Dモードが選択された状態でシャッタボタン36shが全押しされると、CPU34は、後述するフラグFLGerrorが“0”を示すことを条件として静止画取り込み処理を実行する。静止画取り込み処理の結果、AF処理が完了した時点のシーンを表す画像データが、動画像エリア24aから静止画像エリア24bに退避される。
【0034】
CPU34はまた、撮像タスクと並列する記録制御タスクの下で、以下の処理を実行する。シャッタボタン36shが操作された時点の取り込みモードが通常モードであれば、CPU36は、ファイルヘッダと記録画像エリア24bに確保された画像データとを収めた画像ファイルを作成し、作成された画像ファイルをメモリI/F38を通して記録媒体40に保存する。記録媒体40には通常モード用の既定フォルダが事前に設けられており、通常モードの下で作成された画像ファイルは既定フォルダに収められる。
【0035】
シャッタボタン36shが操作された時点の取り込みモードが疑似3Dモードであれば、CPU34は、疑似3Dフォルダを記録媒体40に新規に作成し、作成された疑似3Dフォルダをオープンし、そして疑似3Dフォルダに収められた画像ファイルの数を示す変数Kを“0”に設定する。
【0036】
変数Kが“0”を示す状態でシャッタボタン36shが半押しされれば、CPU34は、カメラ筐体の現在の向きを定義する水平角(=方位角)および垂直角(=仰角)を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力に基づいて検出し、検出された水平角および垂直角を基準姿勢として図4に示すレジスタRGST_R1に登録する。CPU34はさらに、AF処理が完了した時点のフォーカスレンズ12の配置に基づいて主要被写体(=フォーカスされた被写体)までの距離を算出し、算出された距離を被写体距離としてレジスタRGST_R1に登録する。
【0037】
その後にシャッタボタン36shが全押しされれば、CPU34は、ファイルヘッダと記録画像エリア24bに確保された画像データとを収めた画像ファイルを作成し、作成された画像ファイルをメモリI/F38を通して記録媒体40に保存する。画像ファイルは新規に作成された疑似3Dフォルダに収められ、変数Kは保存処理が完了した後にインクリメントされる。
【0038】
変数Kが“1”以上の値を示す状態でシャッタボタン36shが半押しされれば、CPU34は、カメラ筐体の姿勢を定義する水平角および垂直角の変化量を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力とレジスタRGST_R1の記述とに基づいて検出し、カメラ筐体の位置の変化量を加速度センサ46の出力に基づいて検出し、そして検出されたこれらの変化量を相対姿勢として図5に示すレジスタRGST_R2に登録する。相対姿勢は、K番目のカラムに記述される。
【0039】
CPU34はまた、AF処理が完了した時点のフォーカスレンズ12の配置に基づいて主要被写体までの距離を算出し、算出された距離を被写体距離としてレジスタRGST_R2に登録する。被写体距離もまた、K番目のカラムに記述される。
【0040】
CPU34はその後、基準姿勢で捉えられた主要被写体と同じ被写体が今回のシャッタボタン36shの操作時の主要被写体として捉えられているか否かを、レジスタRGST_R1に登録された基準姿勢および被写体距離とレジスタRGST_R2のK番目のカラムに記述された相対姿勢および被写体距離とに基づいて判別する。
【0041】
具体的には、この判別処理は、基準姿勢において主要被写体および撮像面を結ぶ直線がK番目の相対姿勢において主要被写体および撮像面を結ぶ直線と交差ないし立体交差し、かつ基準姿勢における被写体距離とK番目の相対姿勢における被写体距離との相違が基準を下回るという論理積条件が満足されるか否かを判別する処理に相当する。
【0042】
フラグFLGerrorは、この判別処理の結果に応じて“1”および“0”のいずれか一方に設定される。つまり、今回のシャッタボタンの操作時に捉えられた主要被写体が基準姿勢で捉えられた主要被写体と相違すれば、フラグFLGerrorは“1”に設定される。これに対して、今回のシャッタボタンの操作時に捉えられた主要被写体が基準姿勢で捉えられた主要被写体と共通すれば、フラグFLGerrorは“0”に設定される。
【0043】
フラグFLGerrorが“0”を示す状態(=主要被写体の共通性が確保された状態)でシャッタボタン36shが全押しされれば、CPU34は、レジスタRGST_R2のK+1番目のカラムに登録された相対姿勢を姿勢情報としてファイルヘッダに追記する。CPU34はさらに、こうして作成されたファイルヘッダとシャッタボタン36shの全押しに応答して記録画像エリア24bに確保された画像データとを収めた画像ファイルをメモリI/F38を通して記録媒体40に保存する。画像ファイルは新規に作成された疑似3Dフォルダに保存され、変数Kは保存処理の後にインクリメントされる。
【0044】
したがって、カメラ筐体CB1を図6に示す姿勢PS1〜PS4に順に配置してシャッタボタン36shを操作すると、ダイスDC1が互いに異なる4つの視点で撮影される。ダイスDC1は、姿勢PS1に対応して図7(A)に示すように撮影され、姿勢PS2に対応して図7(B)に示すように撮影され、姿勢PS3に対応して図7(C)に示すように撮影され、そして姿勢PS4に対応して図7(D)に示すように撮影される。
【0045】
ここで、姿勢PS1は基準姿勢として検出され、姿勢PS2〜PS4の各々は相対姿勢として検出される。したがって、図7(B)に示す画像データを収めた画像ファイルのヘッダには姿勢PS2を表す相対姿勢が記述され、図7(C)に示す画像データを収めた画像ファイルのヘッダには姿勢PS3を表す相対姿勢が記述され、そして図7(D)に示す画像データを収めた画像ファイルのヘッダには姿勢PS4を表す相対姿勢が記述される。
【0046】
オープン状態の疑似3Dフォルダは、モード切り換えスイッチ36mdによって通常モードが選択されたときにクローズまたは削除される。つまり、疑似3Dフォルダは、少なくとも1つの画像ファイルが疑似3Dフォルダに収められた状態で通常モードが選択されたときにクローズされ、疑似3Dフォルダに画像ファイルが存在しない状態で通常モードが選択されたときに削除される。
【0047】
モード切り換えスイッチ40mdによって再生モードが選択されると、CPU34は、再生タスクの下で以下の処理を実行する。
【0048】
CPU34はまず、記録媒体44に記録された複数のフォルダのいずれか1つを選択する処理を実行する。選択されたフォルダが通常モード用の既定フォルダであれば、CPU34は、既定フォルダに収められた最新の画像ファイルを指定し、指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。
【0049】
メモリI/F38は、指定された画像ファイルに収められた画像データを記録媒体40から読み出し、読み出された画像データをメモリ制御回路22を通してSDRAM24の静止画像エリア24bに書き込む。LCDドライバ26は、こうして静止画像エリア24bに転送された画像データをメモリ制御回路22を通して読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、再生画像がモニタ画面に表示される。
【0050】
キー入力装置36に設けられた送り/戻しボタン36frによって送り操作が行われると、CPU34は、既定フォルダに収められた次の画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。これに対して、送り/戻しボタン36frによって戻し操作が行われると、CPU34は、既定フォルダに収められた前の画像ファイルをメモリI/F38に命令する。この結果、LCDモニタ28に表示された画像が別の画像に更新される。
【0051】
選択されたフォルダが疑似3Dフォルダであれば、CPU34は、カメラ筐体CB1の現在の向きを定義する水平角および垂直角を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力に基づいて検出し、検出された水平角および垂直角を基準姿勢として図8に示すレジスタRGST_P1に登録する。CPU34はさらに、疑似3Dフォルダに収められた2番目以降の画像ファイルから姿勢情報(=相対姿勢)を読み出し、読み出された姿勢情報を図9に示すレジスタRGST_P2に登録する。
【0052】
CPU34は続いて、疑似3Dフォルダに収められた先頭の画像ファイルを指定し、指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。この結果、先頭の画像ファイルに収められた画像データに基づく再生画像がLCDモニタ28に表示される。
【0053】
CPU34はその後、カメラ筐体CB1の姿勢を定義する水平角および垂直角の変化量を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力とレジスタRGST_P1の記述とに基づいて検出し、カメラ筐体CB1の位置の変化量を加速度センサ46の出力に基づいて検出し、そして検出されたこれらの変化量を現時点の相対姿勢として定義する。
【0054】
定義された現時点の相対姿勢に符合する相対姿勢は、レジスタRGST_P2に登録された1または2以上の相対姿勢の中から探索される。符合する相対姿勢が発見されると、CPU34は、発見された相対姿勢の記述元の画像ファイルを指定し、指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。この結果、LCDモニタ28に表示された画像が別の画像に更新される。
【0055】
したがって、カメラ筐体CB1を図10に示す姿勢PS11に配置した状態で疑似3Dフォルダを選択し、カメラ筐体CB1の姿勢を“PS11”〜“PS14”の間で遷移させると、図11(A)に示す画像が姿勢P11に対応して再生され、図11(B)に示す画像が姿勢PS12に対応して再生され、図11(C)に示す画像が姿勢PS13に対応して再生され、そして図11(D)に示す画像が姿勢PS14に対応して再生される。
【0056】
CPU36は、カメラモードが選択されたとき図12に示す撮像タスクおよび図13〜図15に示す記録制御タスクを並列定期に実行し、再生モードが選択されたとき図16〜図17に示す再生タスクを実行する。なお、CPU34は、μITRONのようなマルチタスクOSの上で複数のタスクを並列的に実行するCPUである。また、CPU34によって実行されるタスクに相当する制御プログラムはフラッシュメモリ48に記憶される。
【0057】
図12を参照して、ステップS1では動画取り込み処理を開始する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すスルー画像がLCDモニタ28に表示される。ステップS3ではシャッタボタン36shが半押しされたか否かを判別し、判別結果がNOである限りステップS5の簡易AE処理を繰り返し実行する。この結果、スルー画像の明るさが適度に調整される。
【0058】
ステップS3の判別結果がNOからYESに更新されると、ステップS7で厳格AE処理およびAF処理を実行する。この結果、スルー画像の明るさが厳格に調整され、スルー画像の鮮鋭度が向上する。ステップS9ではシャッタボタン36shが全押しされたか否かを判別し、ステップS11ではシャッタボタン36shの操作が解除されたか否かを判別する。ステップS11の判別結果がYESであればステップS3に戻り、ステップS9の判別結果がYESであればステップS13に進む。
【0059】
ステップS13では現時点の取り込みモードを判別し、ステップS15ではフラグFLGerrorの状態を判別する。現時点の取り込みモードが疑似3DモードでかつフラグFLGerrorが“1”であれば、ステップS9に戻る。現時点の取り込みモードが疑似3DモードでかつフラグFLGerrorが“0”であるか、或いは現時点の取り込みモードが通常モードであれば、ステップS17で静止画取り込み処理を実行する。
【0060】
シャッタボタン36shが全押しされた時点のシーンを表す画像データは、静止画取り込み処理によって表示画像エリア24aから記録画像エリア24bに退避される。静止画取り込み処理が完了すると、ステップS3に戻る。
【0061】
図13を参照して、ステップS21では疑似3Dモードを選択する操作がモード切り換えスイッチ36mdによって行われたか否かを判別する。判別結果がNOであれば、現時点の取り込みモードは通常モードであるとみなし、シャッタボタン36shが全押しされたか否かをステップS23で判別する。
【0062】
ステップS23の判別結果がNOであればそのままステップS21に戻り、ステップS23の判別結果がYESであればステップS25〜S27の処理を経てステップS21に戻る。ステップS25では、ファイルヘッダを作成する。ステップS27では、ステップS25で作成されたファイルヘッダと図12に示すステップS17の処理によって記録画像エリア24bに確保された画像データとを収めた画像ファイルを作成し、作成された画像ファイルを記録媒体40に設けられた通常モード用の既定フォルダに保存する。
【0063】
ステップS21の判別結果がYESであれば、ステップS29に進む。ステップS29では、疑似3Dフォルダを記録媒体40に新規に作成し、作成された疑似3Dフォルダをオープンする。ステップS31では、疑似3Dフォルダに収められた画像ファイルの数を示す変数Kを“0”に設定する。ステップS33では通常モードを選択する操作がモード切り換えスイッチ36mdによって行われたか否かを判別し、判別結果がYESであれば、ステップS35で変数Kの値を判別する。
【0064】
変数Kの値が“0”であれば、新規に作成された疑似3Dフォルダには画像ファイルが存在しないとみなし、記録媒体40に新規に作成された疑似3DフォルダをステップS37で削除する。一方、変数Kの値が“1”以上であれば、少なくとも1つの画像ファイルが疑似3Dフォルダに存在するとみなし、記録媒体40に新規に作成された疑似3DフォルダをステップS39でクローズする。ステップS37またはS39の処理が完了すると、ステップS21に戻る。
【0065】
ステップS33の判別結果がNOであれば、シャッタボタン36shが半押しされたか否かをステップS41で判別する。判別結果がNOであればステップS33に戻り、判別結果がYESであればステップS43に進む。ステップS43では変数Kの値を判別し、K=0に対応してステップS45に進む一方、K≠0に対応してステップS49に進む。
【0066】
ステップS45では、カメラ筐体CB1の現在の向きを定義する水平角および垂直角を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力に基づいて検出し、検出された水平角および垂直角を基準姿勢としてレジスタRGST_R1に登録する。ステップS47では、ステップS7のAF処理が完了した時点のフォーカスレンズ12の配置に基づいて主要被写体までの距離を算出し、算出された距離を被写体距離としてレジスタRGST_R1に登録する。ステップS47の処理が完了すると、ステップS59に進む。
【0067】
ステップS49では、カメラ筐体CB1の姿勢を定義する水平角および垂直角の変化量を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力とレジスタRGST_R1の記述とに基づいて検出し、カメラ筐体CB1の位置の変化量を加速度センサ46の出力に基づいて検出し、そして検出されたこれらの変化量を相対姿勢としてレジスタRGST_R2に登録する。相対姿勢は、K番目のカラムに記述される。
【0068】
ステップS51では、ステップS7のAF処理が完了した時点のフォーカスレンズ12の配置に基づいて主要被写体までの距離を算出し、算出された距離を被写体距離としてレジスタRGST_R2に登録する。被写体距離もまた、K番目のカラムに記述される。
【0069】
ステップS53では、基準姿勢で捉えられた主要被写体と同じ被写体が今回のシャッタボタン36shの操作時の主要被写体として捉えられているか否かを、レジスタRGST_R1に登録された基準姿勢および被写体距離とレジスタRGST_R2のK番目のカラムに記述された相対姿勢および被写体距離とに基づいて判別する。
【0070】
判別結果がNOであれば、K番目の相対姿勢で捉えられた主要被写体が基準姿勢で捉えられた主要被写体と相違していることを表明するべく、ステップS55でフラグFLGerrorを“1”に設定する。設定が完了すると、ステップS33に戻る。一方、ステップS53の判別結果がYESであれば、K番目の相対姿勢で捉えられた主要被写体が基準姿勢で捉えられた主要被写体と共通していることを表明するべく、ステップS57でフラグFLGerrorを“0”に設定する。設定が完了すると、ステップS59に進む。
【0071】
ステップS59ではシャッタボタン36shが全押しされたか否かを判別し、ステップS61ではシャッタボタン36shの操作が解除されたか否かを判別する。ステップS61の判別結果がYESであればそのままステップS33に戻り、ステップS59の判別結果がYESであればステップS63〜S67の処理を経てステップS33に戻る。
【0072】
ステップS63では、ファイルヘッダを作成する。現時点の変数Kの値が“1”以上であれば、レジスタRGST_R2のK+1番目のカラムに登録された相対姿勢が姿勢情報としてファイルヘッダに追記される。
【0073】
ステップS65では、ステップS63で作成されたファイルヘッダと図12に示すステップS17の処理によって記録画像エリア24bに確保された画像データとを収めた画像ファイルを作成し、作成された画像ファイルを新規に作成された疑似3Dフォルダに保存する。保存が完了すると、ステップS67で変数Kをインクリメントし、その後にステップS33に戻る。
【0074】
図16を参照して、ステップS71では記録媒体44に記録された複数のフォルダのいずれか1つを選択する処理を実行する。ステップS73では選択されたフォルダが通常モード用の既定フォルダおよび疑似3Dモードの下で作成された疑似3Dフォルダのいずれであるかを判別する。選択されたフォルダが既定フォルダであればステップS75に進み、選択されたフォルダが疑似3DフォルダであればステップS89に進む。
【0075】
ステップS75では既定フォルダに収められた最新の画像ファイルを指定し、ステップS77では指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。
【0076】
メモリI/F38は、指定された画像ファイルに収められた画像データを記録媒体40から読み出し、読み出された画像データをメモリ制御回路22を通してSDRAM24の静止画像エリア24bに書き込む。LCDドライバ26は、こうして静止画像エリア24bに転送された画像データをメモリ制御回路22を通して読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、再生画像がモニタ画面に表示される。
【0077】
ステップS79では送り/戻しボタン36frによって送り操作が行われか否かを判別し、ステップS81では送り/戻しボタン36frによって戻し操作が行われたか否かを判別する。ステップS79の判別結果がYESであれば、既定フォルダに収められた次の画像ファイルをステップS83で指定する。一方、ステップS81の判別結果がYESであれば、既定フォルダに収められた前の画像ファイルをステップS85で指定する。
【0078】
ステップS87では、こうして指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。この結果、LCDモニタ28に表示された画像が別の画像に更新される。ステップS87の処理が完了すると、ステップS79に戻る。
【0079】
ステップS89では、カメラ筐体CB1の現在の向きを定義する水平角および垂直角を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力に基づいて検出し、検出された水平角および垂直角を基準姿勢としてレジスタRGST_P1に登録する。ステップS91では、疑似3Dフォルダに収められた2番目以降の画像ファイルから姿勢情報(=相対姿勢)を読み出し、読み出された姿勢情報をレジスタRGST_P2に登録する。
【0080】
ステップS93では、疑似3Dフォルダに収められた先頭の画像ファイルを指定し、ステップS95では指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。この結果、先頭の画像ファイルに収められた画像データに基づく再生画像がLCDモニタ28に表示される。
【0081】
ステップS97では、カメラ筐体CB1の姿勢を定義する水平角および垂直角の変化量を地磁気センサ42およびジャイロセンサ44の出力とレジスタRGST_P1の記述とに基づいて検出し、カメラ筐体CB1の位置の変化量を加速度センサ46の出力に基づいて検出し、そして検出されたこれらの変化量を現時点の相対姿勢として定義する。
【0082】
ステップS99では、定義された現時点の相対姿勢に符合する相対姿勢をレジスタRGST_P2に登録された1または2以上の相対姿勢から探索する。ステップS101では符合する相対姿勢が発見されたか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS97に戻る一方、判別結果がYESであればステップS103〜S105の処理を経てステップS97に戻る。ステップS103では発見された相対姿勢の記述元の画像ファイルを指定し、ステップS105では指定された画像ファイルの再生をメモリI/F38に命令する。この結果、LCDモニタ28に表示された画像が別の画像に更新される。
【0083】
以上の説明から分かるように、撮像装置16は撮像面で捉えられた光学像に対応する生画像データを出力し、信号処理回路20は出力された生画像データをYUV形式の画像データに変換する。CPU34は、信号処理回路20から出力された画像データをシャッタボタン36shの操作(=ユーザ操作)に応答して取得する(S3, S9, S17)。ただし、この取得処理の許可/制限は、シャッタボタン36shの操作を受け付けた時点で撮像面が捉える主要被写体と基準姿勢で撮像面が捉える主要被写体との共通性を判別して制御される(S41, S49~S57, S15)。取得処理が許可されたとき、CPU34は、シャッタボタン36shの操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する(S63)。取得された画像データは、こうして作成された姿勢情報を参照して再生される(S89~S105)。
【0084】
シャッタボタン36shの操作に応答して画像データを取得する処理は、シャッタボタン36shの操作を受け付けた時点で撮像面が捉える主要被写体と基準姿勢で撮像面が捉える主要被写体との共通性を判別して許可/制限される。これによって、共通の被写体が現れた画像データを限定的に取得することができ、記録性能の向上が図られる。また、シャッタボタン36shの操作を受け付けた時点の撮像面の姿勢を示す姿勢情報が画像データの取得に関連して作成され、取得された画像データは作成された姿勢情報を参照して再生される。これによって、再生性能の向上が図られる。
【0085】
なお、この実施例では、再生モードにおいてカメラ筐体CB1の姿勢を検出し、検出された姿勢に応じて異なる画像ファイルを再生するようにしている(図17に示すステップS97〜S105参照)。しかし、カメラ筐体CB1の姿勢に代えてモニタ画面の前方に存在する人物の顔部の姿勢を検出し、検出された姿勢に応じて異なる画像ファイルを再生するようにしてもよい。
【0086】
この場合、好ましくは、図18に示す2つのカメラ筐体CB2およびCB3が準備される。図18によれば、フォーカスレンズ12はカメラ筐体CB2の前面に設けられ、LCDモニタ28はカメラ筐体CB3の背面に設けられ、そしてカメラ筐体CB2およびCB3はシャフトSH1によって結合される。これによって、フォーカスレンズ12の向きつまり撮像面の向きは、カメラ筐体CB3の前方および後方の間で切り換え可能となる。
【0087】
再生モードは撮像面がカメラ筐体CB3の後方に向けられた状態で起動され、CPU34は図17に示すステップS97に代えて図19に示すステップS111の処理を実行する。ステップS111では、LCDモニタ28の前方に存在する人物(=ユーザ)の顔の姿勢を撮像装置16の出力に基づいて検出する。検出された姿勢は、ステップS99の処理に反映される。
【0088】
また、再生すべき画像ファイルの指定を制御するにあたっては、カメラ筐体CB1の姿勢およびモニタ画面の前方に存在する人物の顔部の姿勢を並列的に検出し、いずれか一方の姿勢の変化に応答して画像ファイルの指定を更新するようにしてもよい。
【0089】
さらに、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ48に予め記憶される。しかし、図20に示すように通信I/F50をディジタルカメラ10に設け、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ48に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0090】
また、この実施例では、CPU34によって実行される処理を上述の要領で複数のタスクに区分するようにしている。しかし、各々のタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を他のタスクに統合するようにしてもよい。また、各々のタスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 …ディジタルカメラ
16 …撮像装置
28 …LCDモニタ
34 …CPU
40 …記録媒体
42 …地磁気センサ
44 …ジャイロセンサ
46 …加速度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段、
前記撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得手段、
前記ユーザ操作を受け付けた時点で前記撮像面が捉える物体と基準姿勢で前記撮像面が捉える物体との共通性を判別して前記取得手段の処理の許可/制限を制御する制御手段、
前記取得手段の処理が前記制御手段によって許可されたとき前記ユーザ操作を受け付けた時点の前記撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成手段、および
前記取得手段によって取得された電子画像を前記作成手段によって作成された姿勢情報を参照して再生する再生手段を備える、電子カメラ。
【請求項2】
前記制御手段は、注目する2つの物体が共通するとき前記取得手段の処理を許可する許可手段、および前記注目する2つの物体が相違するとき前記取得手段の処理を制限する制限手段を含む、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記撮像面の前方に配置されるフォーカスレンズをさらに備え、
前記取得手段は前記ユーザ操作に応答して前記フォーカスレンズから前記撮像面までの距離を調整する調整手段を含み、
前記制御手段は前記撮像面の姿勢と前記調整手段によって調整された距離とを参照して前記共通性を判別する判別手段を含む、請求項1または2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記再生手段は、特定物体の姿勢を検出する検出手段、前記検出手段によって検出された姿勢を前記作成手段によって作成された姿勢情報と照合する照合手段、および前記照合手段の照合結果に応じて異なる電子画像を再生する画像再生手段を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記特定物体はカメラ筐体に相当する、請求項4記載の電子カメラ。
【請求項6】
前記再生手段によって再生された電子画像をモニタ画面に表示する表示手段をさらに備え、
前記特定物体は前記モニタ画面の前方に存在する人物の顔に相当する、請求項4記載の電子カメラ。
【請求項7】
撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段を備える電子カメラのプロセッサに、
前記撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ、
前記ユーザ操作を受け付けた時点で前記撮像面が捉える物体と基準姿勢で前記撮像面が捉える物体との共通性を判別して前記取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ、
前記取得ステップの処理が前記制御ステップによって許可されたとき前記ユーザ操作を受け付けた時点の前記撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ、および
前記取得ステップによって取得された電子画像を前記作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップを実行させるための、カメラ制御プログラム。
【請求項8】
撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段を備える電子カメラによって実行されるカメラ制御方法であって、
前記撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ、
前記ユーザ操作を受け付けた時点で前記撮像面が捉える物体と基準姿勢で前記撮像面が捉える物体との共通性を判別して前記取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ、
前記取得ステップの処理が前記制御ステップによって許可されたとき前記ユーザ操作を受け付けた時点の前記撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ、および
前記取得ステップによって取得された電子画像を前記作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップを備える、カメラ制御方法。
【請求項9】
撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段、および
メモリに保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラに供給される外部制御プログラムであって、
前記撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ、
前記ユーザ操作を受け付けた時点で前記撮像面が捉える物体と基準姿勢で前記撮像面が捉える物体との共通性を判別して前記取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ、
前記取得ステップの処理が前記制御ステップによって許可されたとき前記ユーザ操作を受け付けた時点の前記撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ、および
前記取得ステップによって取得された電子画像を前記作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップを前記内部制御プログラムと協働して前記プロセッサに実行させるための、外部制御プログラム。
【請求項10】
撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段、
外部制御プログラムを取り込む取り込み手段、および
前記取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリに保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラであって、
前記外部制御プログラムは、
前記撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ、
前記ユーザ操作を受け付けた時点で前記撮像面が捉える物体と基準姿勢で前記撮像面が捉える物体との共通性を判別して前記取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ、
前記取得ステップの処理が前記制御ステップによって許可されたとき前記ユーザ操作を受け付けた時点の前記撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ、および
前記取得ステップによって取得された電子画像を前記作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップを前記内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する、電子カメラ。
【請求項1】
撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段、
前記撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得手段、
前記ユーザ操作を受け付けた時点で前記撮像面が捉える物体と基準姿勢で前記撮像面が捉える物体との共通性を判別して前記取得手段の処理の許可/制限を制御する制御手段、
前記取得手段の処理が前記制御手段によって許可されたとき前記ユーザ操作を受け付けた時点の前記撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成手段、および
前記取得手段によって取得された電子画像を前記作成手段によって作成された姿勢情報を参照して再生する再生手段を備える、電子カメラ。
【請求項2】
前記制御手段は、注目する2つの物体が共通するとき前記取得手段の処理を許可する許可手段、および前記注目する2つの物体が相違するとき前記取得手段の処理を制限する制限手段を含む、請求項1記載の電子カメラ。
【請求項3】
前記撮像面の前方に配置されるフォーカスレンズをさらに備え、
前記取得手段は前記ユーザ操作に応答して前記フォーカスレンズから前記撮像面までの距離を調整する調整手段を含み、
前記制御手段は前記撮像面の姿勢と前記調整手段によって調整された距離とを参照して前記共通性を判別する判別手段を含む、請求項1または2記載の電子カメラ。
【請求項4】
前記再生手段は、特定物体の姿勢を検出する検出手段、前記検出手段によって検出された姿勢を前記作成手段によって作成された姿勢情報と照合する照合手段、および前記照合手段の照合結果に応じて異なる電子画像を再生する画像再生手段を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の電子カメラ。
【請求項5】
前記特定物体はカメラ筐体に相当する、請求項4記載の電子カメラ。
【請求項6】
前記再生手段によって再生された電子画像をモニタ画面に表示する表示手段をさらに備え、
前記特定物体は前記モニタ画面の前方に存在する人物の顔に相当する、請求項4記載の電子カメラ。
【請求項7】
撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段を備える電子カメラのプロセッサに、
前記撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ、
前記ユーザ操作を受け付けた時点で前記撮像面が捉える物体と基準姿勢で前記撮像面が捉える物体との共通性を判別して前記取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ、
前記取得ステップの処理が前記制御ステップによって許可されたとき前記ユーザ操作を受け付けた時点の前記撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ、および
前記取得ステップによって取得された電子画像を前記作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップを実行させるための、カメラ制御プログラム。
【請求項8】
撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段を備える電子カメラによって実行されるカメラ制御方法であって、
前記撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ、
前記ユーザ操作を受け付けた時点で前記撮像面が捉える物体と基準姿勢で前記撮像面が捉える物体との共通性を判別して前記取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ、
前記取得ステップの処理が前記制御ステップによって許可されたとき前記ユーザ操作を受け付けた時点の前記撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ、および
前記取得ステップによって取得された電子画像を前記作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップを備える、カメラ制御方法。
【請求項9】
撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段、および
メモリに保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラに供給される外部制御プログラムであって、
前記撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ、
前記ユーザ操作を受け付けた時点で前記撮像面が捉える物体と基準姿勢で前記撮像面が捉える物体との共通性を判別して前記取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ、
前記取得ステップの処理が前記制御ステップによって許可されたとき前記ユーザ操作を受け付けた時点の前記撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ、および
前記取得ステップによって取得された電子画像を前記作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップを前記内部制御プログラムと協働して前記プロセッサに実行させるための、外部制御プログラム。
【請求項10】
撮像面で捉えられた光学像に対応する電子画像を出力する撮像手段、
外部制御プログラムを取り込む取り込み手段、および
前記取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリに保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサを備える電子カメラであって、
前記外部制御プログラムは、
前記撮像手段から出力された電子画像をユーザ操作に応答して取得する取得ステップ、
前記ユーザ操作を受け付けた時点で前記撮像面が捉える物体と基準姿勢で前記撮像面が捉える物体との共通性を判別して前記取得ステップの処理の許可/制限を制御する制御ステップ、
前記取得ステップの処理が前記制御ステップによって許可されたとき前記ユーザ操作を受け付けた時点の前記撮像面の姿勢を示す姿勢情報を作成する作成ステップ、および
前記取得ステップによって取得された電子画像を前記作成ステップによって作成された姿勢情報を参照して再生する再生ステップを前記内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する、電子カメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
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【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−115444(P2013−115444A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256765(P2011−256765)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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