説明

電子カルテシステム、診察情報取得装置、および電子カルテ処理方法

【課題】従来の電子カルテシステムにおいては、医師と患者との会話等を効率良く取得できないという課題があった。
【解決手段】電子カルテを蓄積する電子カルテシステムであって、医師用マイクロフォン101及び患者用マイクロフォン102が変換した音声信号を用い、同期した医師音声情報及び患者音声情報を構成する音声処理部103と、医師音声情報および患者音声情報を出力する出力部104とを具備する診察情報取得装置100と、医師音声情報および患者音声情報を電子カルテに蓄積する蓄積部203を具備する電子カルテ装置200とを備え、診察情報取得装置100は、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102を医師に装着する装着機構を備え、装着機構が医師に装着された状態で、医師用マイクロフォン101が医師に、患者用マイクロフォン102が患者にそれぞれ対向するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子カルテを利用する電子カルテシステム等に関し、特に、音声を入力とする電子カルテシステム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子カルテシステムにおいて、医師と患者の音声情報を取り込み、蓄積するものが知られていた。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−215797号公報(第1頁、第1図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来のシステムにおいては、患者および医師の音声を取得するために用いられる複数の音声ピックアップを、診察室内に配置したり、患者用のピックアップを患者に、また医師用のピックアップを医師に取り付けたりしていた。
【0004】
しかしながら、診察室内に音声ピックアップを配置する場合、診察室内で医師と患者が移動した場合、例えば、椅子からベッドに患者が移動した場合、固定した音声ピックアップが医師や患者に対して適切な位置に配置されなくなって、音声を良好に取得できないという課題があった。
【0005】
また、患者に音声ピックアップを取り付けるようにすると、患者に、音声を録音している、というストレスを与えてしまい、患者を拘束することとなり、診察に支障をきたす恐れがあった。また、患者が服を脱いだりする場合等には、マイクを付け替えたりしなければならず、手間がかかるという課題があった。
【0006】
さらに、入院病棟等に、医師が往診する際に、上記のような従来のシステムを用いた場合、各病室の患者に対して、診察の都度、音声ピックアップを取り付けたとすると、音声ピックアップの取り付けにかかる時間が、全体で無視できない程度の長さとなり、往診時間が大幅に長くなってしまったりして、迅速な医療行為が行えなくなってしまうという課題があった。また、各病室に音声ピックアップを設置すると、コストが高くなる、という課題があった。
【0007】
一方、上記のように医師と患者の会話を音声情報として取得することは、医師の指示や、患者の訴え等の診察内容を、後日、正確に再現したり、証明したりするうえでは、好ましい。
【0008】
しかしながら、このような音声情報は、テキスト情報等とは異なり、時間軸に沿って再生しなければ、内容の把握ができないものであることから、瞬時に情報の内容を把握したりすることが困難であった。このため、医師の診察時の所見が、電子カルテに音声情報で蓄積されている場合、情報の利便性が悪いという課題があった。特に、医師の所見が音声情報で蓄積されている場合、診察時の所見に応じてどのような処置をすればよいか否かといったことや、前回の診察時の所見がどのような内容であるかといったことを、瞬時に把握できず、医療行為に遅延等の支障をきたす等の恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子カルテシステムは、患者についての診察に関する情報である電子カルテを蓄積する電子カルテシステムであって、前記電子カルテシステムは、診察情報取得装置と、電子カルテ装置とを具備し、前記診察情報取得装置は、医師の発する音声を音声信号に変換する医師用マイクロフォンと、診察の対象である患者の発する音声を音声信号に変換する患者用マイクロフォンと、医師用マイクロフォンが変換した音声信号と、患者用マイクロフォンが変換した音声信号とを用いて、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する音声処理部と、前記音声処理部の構成した医師音声情報と、患者音声情報とを出力する出力部とを具備し、前記電子カルテ装置は、前記医師音声情報と、患者音声情報とを受け付ける受付部と、電子カルテが格納され得る電子カルテ格納部と、前記受付部が受け付けた医師音声情報と、患者音声情報とを、診察の対象である患者についての前記電子カルテに蓄積する蓄積部とを具備し、前記診察情報取得装置は、前記患者用マイクロフォンおよび前記医師用マイクロフォンを、医師に装着する装着機構をさらに備え、前記医師用マイクロフォンは、前記装着機構が医師に装着された状態で、医師に対向するよう配置され、前記患者用マイクロフォンは、前記装着機構が医師に装着された状態で、患者に対向するよう配置される電子カルテシステムである。
【0010】
かかる構成により、診察時における医師と患者との会話等を電子カルテに蓄積することができるとともに、医師や患者の動きに追従して、効率良く医師と患者の音声を取得することができる。また、患者に患者用のマイクロフォンを取り付ける手間をなくしたり、患者を患者用のマイクロフォンにより拘束しないようにすることができる。さらに、医師の診察の障害とならないようにすることができる。
【0011】
また、本発明の電子カルテシステムは、患者についての診察に関する情報である電子カルテを蓄積する電子カルテシステムであって、前記電子カルテシステムは、診察情報取得装置と、電子カルテ装置とを具備し、前記診察情報取得装置は、医師の発する音声を音声信号に変換する医師用マイクロフォンと、診察の対象である患者の発する音声を音声信号に変換する患者用マイクロフォンと、医師用マイクロフォンが変換した音声信号と、患者用マイクロフォンが変換した音声信号とを用いて、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する音声処理部と、前記音声処理部の構成した医師音声情報と、患者音声情報とを出力する出力部とを具備し、前記電子カルテ装置は、前記医師音声情報と、前記患者音声情報とを受け付ける受付部と、前記医師音声情報を用いて、電子カルテに蓄積されるテキスト情報を構成するテキスト情報構成部と、電子カルテが格納され得る電子カルテ格納部と、前記受付部が受け付けた医師音声情報および患者音声情報と、前記テキスト情報構成部が構成したテキスト情報とを、診察の対象である患者についての前記電子カルテに蓄積する蓄積部とを具備する電子カルテシステムである。
【0012】
かかる構成により、診察時における医師と患者との会話等を電子カルテに蓄積することができるとともに、医師の指示内容や話す内容等をテキスト化して適宜電子カルテに加えることにより、視覚的に瞬時に医師の話した内容を把握することが可能となり、診察時に得られた情報の利便性を向上させることができる。また、医師の音声情報だけを用いてテキスト化するため、患者の話す内容等が、誤ってテキスト化されて電子カルテに格納されることを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の電子カルテシステムは、前記電子カルテシステムにおいて、前記電子カルテ装置は、前記電子カルテ格納部に格納されている電子カルテを出力する電子カルテ出力部をさらに具備する電子カルテシステムである。
【0014】
かかる構成により、診察時における医師と患者との会話等を蓄積した電子カルテを出力することができる。
【0015】
また、本発明の電子カルテシステムは、前記電子カルテシステムにおいて、前記電子カルテ装置は、前記電子カルテ格納部に格納されている電子カルテを表示するための情報である電子カルテ表示情報を構成する電子カルテ表示情報構成部をさらに具備し、前記電子カルテ出力部は、前記電子カルテ表示情報を出力する電子カルテシステムである。
【0016】
かかる構成により、診察時における医師と患者との会話等を蓄積した電子カルテを適切に表示することができる。
【0017】
また、本発明の電子カルテシステムは、前記電子カルテシステムにおいて、前記診察情報取得装置は、略中央に覗き孔を有する枠体と、前記枠体の一方の面の前記覗き孔の周りに設けられており、光を発する1以上の発光部と、前記枠体の一方の面であって、前記発光部と同一の面に設けられ、前記覗き孔から見た位置を撮影するカメラ部と、前記カメラ部で撮影した画像データを出力する画像出力部と、をさらに具備し、前記枠体は、前記診察情報取得装置の装着機構により、医師の頭部に装着され、前記電子カルテ装置の受付部は、前記画像データを受け付け、前記蓄積部は、当該画像データを、診察の対象である患者についての前記電子カルテに蓄積する電子カルテシステムである。
【0018】
かかる構成により、医師と患者の音声の情報に加えて、医師が観察した領域の画像を、カメラ部によって撮影して、最終的に電子カルテ装置200の電子カルテに蓄積することができる。これにより、診察等の医療に関する音声情報や、画像情報等のマルチメディアデータを電子カルテによって一元管理することが可能となる。これにより、電子カルテの利用価値を高めることが可能となる。
【0019】
また、本発明の診察情報取得装置は、医師の発する音声を音声信号に変換する医師用マイクロフォンと、診察の対象である患者の発する音声を音声信号に変換する患者用マイクロフォンと、前記患者用マイクロフォンおよび前記医師用マイクロフォンを、医師に装着する装着機構を備え、前記医師用マイクロフォンは、前記装着機構が医師に装着された状態で、医師に対向するよう配置され、前記患者用マイクロフォンは、前記装着機構が医師に装着された状態で、患者に対向するよう配置される診察情報取得装置である。
【0020】
かかる構成により、医師と患者との音声を分離してマイクロフォンで受けることができる。また、患者に患者用のマイクロフォンを取り付ける手間をなくしたり、患者を患者用のマイクロフォンにより拘束しないようにすることができる。また、医師や患者の診察時の動きに追従して、マイクロフォンの位置を移動させることができ、医師及び患者の発する音声を安定して受けることができる。
【0021】
また、本発明の診察情報取得装置は、前記診察情報取得装置において、前記医師用マイクロフォンが変換した音声信号と、前記患者用マイクロフォンが変換した音声信号とを用いて、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する音声処理部と、前記音声処理部の構成した医師音声情報と患者音声情報とを出力する出力部とをさらに具備する診察情報取得装置である。
【0022】
かかる構成により、医師と患者との音声を用いて医師音声情報と患者音声情報とを得ることができる。また、例えば、電子カルテ装置と離れた場所においても医師音声情報と患者音声情報とを構成し、構成した情報を電子カルテ装置に出力することができる。
【0023】
また、本発明の診察情報取得装置は、前記診察情報取得装置において、略中央に覗き孔を有する枠体と、前記枠体の一方の面の前記覗き孔の周りに設けられており、光を発する1以上の発光部と、前記枠体の一方の面であって、前記発光部と同一の面に設けられ、前記覗き孔から見た位置を撮影するカメラ部と、をさらに具備し、前記枠体は、前記装着機構により、医師の頭部に装着される診察情報取得装置である。
【0024】
かかる構成により、医師音声情報と患者音声情報とともに、診察時の患者等の画像を撮影することができる。また、医師が覗き孔から見ることができる領域とほぼ同じ領域を撮影した画像を得ることができる。
【0025】
また、本発明の診察情報取得装置は、前記診察情報取得装置において、前記カメラ部で撮影した画像データを出力する画像出力部をさらに具備する診察情報取得装置である。
【0026】
かかる構成により、医師音声情報と患者音声情報とともに、診察時の患者等の画像を撮影することができる。また、例えば、電子カルテ装置と離れた場所においても画像データを構成し、構成した情報を電子カルテ装置に出力することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明による電子カルテシステム等によれば、患者を拘束せずに、また、医師の動きや患者の動きに追従して、効率良く医師と患者の音声を取得することができる。
また、本発明による電子カルテシステム等によれば、診察時における医師の音声をテキストデータとして電子カルテに蓄積して、診察時に得られた情報の利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、電子カルテシステム等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における電子カルテシステムのブロック図である。
【0030】
本実施の形態における電子カルテシステムは、診察情報取得装置100と、電子カルテ装置200とを具備する。電子カルテシステムを構成する音声情報取得装置100と電子カルテ装置200とは、情報の送受信が可能となるよう、ネットワーク等で接続されている。接続に用いられるネットワークは、例えば、インターネットや、無線や有線のLANやWAN等である。また、ネットワークの代わりに、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信により接続されていてもよい。ただし、ここでは、診察情報取得装置100を所持した、あるいは装着した医師の動きを制限しないように、音声無線接続されることが好ましい。なお、ここでは説明を簡単にするために、診察情報取得装置100が、1つだけである場合について説明するが、本発明においては、診察情報取得装置100は、一以上であれば、いくつであってもよい。
【0031】
なお、電子カルテシステムとは、具体的には、電子カルテを蓄積する電子カルテシステムである。電子カルテとは、具体的には、患者についての診察に関する情報である。診察に関する情報とは、具体的には、医師が行った診察により得られた情報や、診察に用いられる情報等であり、例えば、患者についての、名前や、過去の病歴や、居住地や、年齢、性別、身長や体重等の診察に用いられる情報や、患者の訴える症状等の情報や、医師の所見や、処置の指示や、投薬の指示、診察の状況等を示す情報等である。電子カルテに蓄積される情報のデータ構造等は問わない。電子カルテに蓄積される情報は、テキスト情報、音声情報、静止画像情報、動画像情報等、どのような情報であっても良い。
【0032】
診察情報取得装置100は、医師用マイクロフォン101、患者用マイクロフォン102、音声処理部103、出力部104、および時計105を具備する。
【0033】
医師用マイクロフォン101は、医師の発する音声を、電気的な信号である音声信号に変換する。ここでは、変換した得られた音声信号を、音声処理部103に出力する。医師の発する音声とは、例えば、医師が、診察時に患者と会話するために発した音声や、電子カルテに記入すべき情報を述べるために発した音声等である。医師用マイクロフォン101は、ダイナミック型、エレクトレットコンデンサー型、コンデンサー型等、どのような構造のマイクロフォンであっても良い。また、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)として構成されたマイクロフォンであってもよい。また、医師用マイクロフォン101の出力する音声信号はアナログ音声信号であってもデジタル音声信号であっても良い。医師用マイクロフォン101は音声信号を、通常、連続的に出力するが、パケット等を用いて非連続的に出力してもよい。例えば、医師用マイクロフォン101内に、音声信号をデジタル化して出力する回路等を設けるようにしても良い。医師用マイクロフォン101は、音声信号を、有線や無線のネットワークを介して、音声処理部103に出力しても良いし、配線を介して音声処理部103に出力してもよい。ネットワークを介して音声信号を出力する場合、医師用マイクロフォン101は、無線や有線のネットワーク用の通信手段等を備えていても良い。医師用マイクロフォン101は、医師の声だけを受けられるように、指向性の高いものを用いることが好ましい。医師用マイクロフォン101の形状は問わない。
【0034】
患者用マイクロフォン102は、診察の対象である患者の発する音声を音声信号に変換する。ここでは、変換した得られた音声信号を、音声処理部103に出力する。患者の発する音声とは、例えば、診察時に医師と会話するために発した音声等である。患者用マイクロフォン102は、患者の声だけを受けられるように、指向性の高いものを用いることが好ましい。なお、患者用マイクロフォン102の他の構成については、医師用マイクロフォン101と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0035】
音声処理部103は、医師用マイクロフォン101が変換した音声信号と、患者用マイクロフォンが変換した音声信号とを用いて、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する。ここで述べる同期とは、医師用マイクロフォン101が変換した音声信号と、患者用マイクロフォン102が変換した音声信号との、同じタイミングで音声処理部103に入力された部分同士を、時間的に一致させる、もしくは一致させられるようにすること、あるいは、同時に入力されたものであることを示せる、保証できるようにすることである。このような同期を取ることで、最終的に医師音声情報と患者音声情報とに基づいて再現される医師と患者との会話において、医師の発言や、患者の発言等の時間関係を、実際に会話を収録した際の時間に対して、正確に再現することが可能となる。なお、医師用マイクロフォン101や患者用マイクロフォン102が、音声を受けて、音声信号に変換し、音声処理部103に出力するまでの時間は、非常に微小な時間であることから、医師音声情報および患者音声情報は、実質的には、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102が、音声を受けた時間を基準に同期されていると考えてもよい。音声処理部103が、どのように、互いに同期した、医師音声情報と患者音声情報とを構成するかは、問わない。例えば、音声処理部103は、連続的に入力される各音声信号に対し、受け付けた時刻を示す情報、例えば、いわゆるタイムコードのようなものを順次付加して医師音声情報と患者音声情報とを構成しても良い。このようにすることで、同じ時刻を示す情報が付加されている部分は、同じ時刻に入力された音声信号であることが分かる。あるいは、各音声信号の入力が開始された時刻や、入力が終了した時刻だけを付加するようにしても良い。なお、これらの場合の時刻を示す情報は、受け付けたタイミングを一義的に特定するための情報であるため、各国の標準時間等の絶対的な時刻であっても、例えば診察情報取得装置100内だけで基準として利用可能な、相対的な時刻であっても良い。また、時刻を示す情報の代わりに、受け付けた各音声信号に対し、定期的、あるいは不定期に、所定の同期信号や識別情報を付加するようにしても良い。ここでは、音声処理部103が、後述する時計105が出力する相対的な時刻を示す情報を、連続的に入力される各音声信号に対して、順次付加する場合を例として説明する。なお、音声処理部103は、医師用マイクロフォン101が変換した音声信号と、患者用マイクロフォン102が変換した音声信号とが、アナログ音声信号である場合、デジタル音声信号に変換して、医師音声情報および患者音声情報を構成してもよい。また、必要に応じて、医師音声情報および患者音声情報に対して圧縮等の処理を行うようにしても良い。音声処理部103は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。音声処理部103の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。また、音声処理部103は、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102との通信が、ネットワークを介して行われる場合、音声処理部103は、無線や有線のネットワーク用の通信手段等を備えていても良い。なお、ここでは、音声処理部103が、互いに同期した医師音声情報と患者音声情報とを構成するようにしたが、音声処理部103が、医師音声情報を構成する処理部と、患者音声情報を構成する処理部とにより構成されているようにし、各処理部が、例えば時計105の出力する時刻を、医師音声情報と患者音声情報とに付加することで、医師音声情報と患者音声情報とを同期させるようにしても良い。
【0036】
出力部104は、音声処理部103の構成した医師音声情報と、患者音声情報とを出力する。ここでの出力とは、外部の装置への送信や、フラッシュROM等の記録媒体への蓄積等を含む概念である。出力部104は、通信デバイスや、記録媒体への書き込み装置等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部104は、出力デバイスのドライバーソフト、または出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0037】
時計105は、時間を計測する。時計105は時間を計測した結果得られた時刻を示す情報を、音声処理部103に出力する。ここで述べる時刻を示す情報は、年月日等の情報を含んでいてもよい。時計105が計測する時間は、絶対時間であっても良く、相対時間であっても良い。
【0038】
電子カルテ装置は、受付部201、電子カルテ格納部202、蓄積部203、テキスト情報構成部204、電子カルテ表示情報構成部205、および電子カルテ出力部206を具備する。
【0039】
受付部201は、医師音声情報と、患者音声情報とを受け付ける。例えば、受付部201は、診察情報取得装置100の出力部104から送信される医師音声情報と、患者音声情報とを受信する。また、受付部201は、診察情報取得装置100の出力部104が記録媒体等に蓄積した医師音声情報と、患者音声情報とを、当該記録媒体の読み出し装置等のデバイスを利用して読み出す。また、受付部201は、医師音声情報や患者音声情報以外の、後述する電子カルテ格納部202に蓄積される電子カルテや、電子カルテを構成するための情報を受け付けても良い。また、受付部201は、医師音声情報と、患者音声情報とが蓄積される電子カルテを指定する指示や、後述する電子カルテ格納部202に格納されている電子カルテを出力する指示を受け付けても良い。ここで述べる受付とは、例えば、他の機器等から送信される入力信号の受信や、記録媒体等からの情報の読み出しや、入力手段からの受付等である。医師音声情報および患者音声情報の入力手段は、通信機器や、記録媒体の読み出し装置等、何でも良い。また、その他の電子カルテの情報についての入力手段は、通信機器や、記録媒体の読み出し装置、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等であってもよい。受付部201は、通信機器や、記録媒体の読み出し装置等の入力手段のデバイスドライバー、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現され得る。
【0040】
電子カルテ格納部202には、電子カルテが格納され得る。電子カルテが、どのように電子カルテ格納部202に蓄積されるかはここでは問わない。例えば、上述した受付部201が受け付けた電子カルテが、後述する蓄積部203により蓄積されてもよい。また、予め電子カルテが、電子カルテ格納部202に格納されていても良い。なお、電子カルテ格納部202は、物理的に1つの記録媒体等で構成されていても良いし、複数の記録媒体等で構成されていても良い。例えば、患者毎に電子カルテを管理できれば、一人の患者についての電子カルテを構成する複数の情報が、物理的に異なる複数の記録媒体に格納されていてもよい。電子カルテ格納部202は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。
【0041】
蓄積部203は、受付部201が受け付けた医師音声情報と、患者音声情報とを、電子カルテ格納部202に格納されている、診察の対象である患者についての電子カルテに蓄積する。また、蓄積部203は、後述するテキスト情報構成部204が構成したテキスト情報を、診察の対象である患者についての電子カルテに蓄積する。ここで述べる「診察の対象である患者」とは、具体的には、医師音声情報と患者音声情報とが構成された際に、診察の対象となっていた患者、あるいはテキスト情報を構成する際に利用した医師音声情報が構成された際に診察の対象となっていた患者等である。すなわち、診察の対象となっている患者と医師との診察時の会話から構成された医師音声情報および患者音声情報、もしくはその医師音声情報から構成されたテキスト情報が、その患者の電子カルテに蓄積されればよい。また、「電子カルテに蓄積」とは、医師音声情報や患者音声情報等の情報を、電子カルテに対応付けて蓄積すること、例えば、電子カルテと、これらの情報とをデータベース等の1つのレコードにより管理することも含む。蓄積部203は、医師音声情報と患者音声情報とをどのようなデータ形式で蓄積してもよい。例えば、医師音声情報および患者音声情報をRAW形式やMP3形式等に変換して蓄積してもよい。また、蓄積部203は、順次入力される医師音声情報および患者音声情報を、既に蓄積されている医師音声情報および患者音声情報に追加しながら蓄積してもよい。医師音声情報および患者音声情報を一つの音声ファイルとして格納してもよいし、複数の音声ファイルとして分割して格納してもよい。なお、診察の対象である患者についての電子カルテが、電子カルテ格納部202に格納されていない場合、患者についての電子カルテを新たに構成して、蓄積しても良い。また、蓄積部203は、受付部201が受け付けた電子カルテや、電子カルテを構成するための情報、例えば患者についての名前の情報等、を蓄積しても良い。蓄積部203は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。蓄積部203の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0042】
テキスト情報構成部204は、医師音声情報を用いて、電子カルテに蓄積されるテキスト情報を構成する。テキスト情報とは、文字列により構成される情報である。テキスト情報構成部204が利用する医師音声情報は、受付部201が受け付けた医師音声情報であっても良いし、電子カルテ格納部202に格納されている電子カルテに含まれる医師音声情報であってもよい。テキスト情報構成部204は、医師音声情報を、例えば、いわゆる音声認識の技術等を用いて、音声認識してテキスト情報に変換し、適宜テキスト情報から必要な部分だけを取り出して電子カルテに蓄積されるテキスト情報を構成する。あるいは、音声認識により、医師音声情報の必要な部分だけを取り出して、テキスト情報に変換してもよい。なお、音声情報をテキスト情報に変換する技術や、テキスト情報から電子カルテ等に必要なテキスト情報を取り出す技術等については、公知技術であるので、ここでは詳細な説明は省略する。テキスト情報構成部204は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。テキスト情報構成部204の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0043】
電子カルテ表示情報構成部205は、電子カルテ格納部202に格納されている電子カルテを表示するための情報である電子カルテ表示情報を構成する。例えば、電子カルテ内のテキスト情報を所定の表示用フォーマットにレイアウトした表示用の情報や、電子カルテ格納部202に格納されている医師音声情報や、患者音声情報の再生指示を受け付けるためのボタンやメニュー等の表示用の情報を構成する。電子カルテ表示情報構成部205は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。電子カルテ表示情報構成部205の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。なお、電子カルテを表示しない場合、この電子カルテ表示情報構成部205は省略しても良い。
【0044】
電子カルテ出力部206は、電子カルテ格納部202に格納されている電子カルテを出力する。また、電子カルテ出力部206は、電子カルテ表示情報構成部205が構成した電子カルテ表示情報を出力、この場合は表示する。ここでの出力とは、ディスプレイへの表示、プリンタによる紙等への印字、音出力、外部の装置への送信、メモリ等の記録媒体への蓄積等を含む概念である。電子カルテ出力部206は、ディスプレイやプリンタ、通信装置、データの記録装置等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。電子カルテ出力部206は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0045】
次に、診察情報取得装置100の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
(ステップS201)音声処理部103は、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102が出力する音声信号を、それぞれ受け付ける。ここでは、例として音声信号はアナログ信号であるとする。
【0047】
(ステップS202)音声処理部103は、ステップS201で受け付けた各音声信号を用いて、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する。具体例としては、音声処理部103は、各音声信号に対して、同期信号、ここでは特にそれぞれ時計105から得られる時間の情報を、順次付加して、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する。また、ここでは、音声処理部103は、各音声信号をアナログ信号からデジタル信号に変換する。音声処理部103は、医師音声情報と、患者音声情報とを並列処理により構成してもよいし、微小な時間だけずらして交互に医師音声情報と患者音声情報とを構成してもよい。
【0048】
(ステップS203)出力部104は、音声処理部103が構成した医師音声情報と、患者音声情報とを、それぞれ出力する。そして、ステップS201に戻る。このように処理をくりかえすことにより、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102が出力する音声信号から連続的に医師音声情報と、患者音声情報とを構成することが可能となる。
【0049】
なお、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0050】
次に、電子カルテ装置200の動作について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
(ステップS301)蓄積部203は、受付部201を介して診察中の患者についての電子カルテの指定を受け付ける。なお、受付部201が受け付ける医師音声情報を、蓄積部203等が音声認識するようにし、医師音声情報に診察中の患者を指定する情報が含まれる場合に、この患者についての電子カルテの指定を受け付けたこととしてもよい。
【0052】
(ステップS302)受付部201は、医師音声情報を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS303へ進み、受け付けていない場合、ステップS306へ進む。
【0053】
(ステップS303)テキスト情報構成部204は、ステップS302で受け付けた医師音声情報を音声認識して、電子カルテに格納するためのテキスト情報を構成する。例えば、全ての医師音声情報を、テキスト情報に変換して、電子カルテに蓄積しても良いし、医師音声情報を音声認識して、予めデータベース等に登録してある医薬品名や病名等の単語等の音声情報と、一致する音声情報が検出された場合に、この単語等を示すテキスト情報を取得しても良い。また、このような単語が出現した時点等をトリガーとして医師音声情報をテキスト情報に変換する処理を開始したり終了したりしても良い。
【0054】
(ステップS304)蓄積部203は、ステップS303で構成したテキスト情報を、ステップS301で指定された電子カルテに蓄積する。
【0055】
(ステップS305)蓄積部203は、ステップS302で受け付けた医師音声情報を、ステップS301で指定された電子カルテに蓄積する。そして、ステップS302に戻る。
【0056】
(ステップS306)受付部201は、患者音声情報を受け付けたか否かを判断する。
受け付けた場合、ステップS307に進み、受け付けていない場合、ステップS308に進む。
【0057】
(ステップS307)蓄積部203は、ステップS306で受け付けた患者音声情報を、ステップS301で指定された電子カルテに蓄積する。そしてステップS302に戻る。
【0058】
(ステップS308)電子カルテ出力部206は、電子カルテを出力するか否かを判断する。ここでは、出力が表示であるとする。電子カルテ出力部206が、どのようなトリガーやタイミングにより、電子カルテを出力するかは問わない。ここでは例として、受付部201が電子カルテを出力する指示を受け付けた場合に出力することを判断する。出力する場合、ステップS309に進み、出力しない場合、ステップS302に進む。
【0059】
(ステップS309)電子カルテ表示情報構成部205は、電子カルテ表示情報を構成する。ここでは、ステップS308により受け付けた電子カルテを出力する指示が、表示の対象となる電子カルテを指定する情報を含むものとし、電子カルテ表示情報構成部205は、この指定された電子カルテについての電子カルテ表示情報を構成するものとする。
【0060】
(ステップS310)電子カルテ出力部206は、電子カルテを出力する。ここでは、具体例として、電子カルテ表示情報構成部205が構成した電子カルテ表示情報を表示する。そして、ステップS302に戻る。
【0061】
なお、図3のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0062】
次に、診察情報取得装置100の主要部の具体的な構造の一例について図4を用いて説明する。
【0063】
診察情報取得装置100は、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102を医師50に装着する装着機構51を備えている。この装着機構51は、ここでは、医師50の頭部に装着できる額帯である場合について説明する。この額帯は、従来の額帯鏡等で用いられるものと同様のものであり、その詳細な説明を省略する。ただし、この装着機構は、どのようなものであっても良く、例えば、医師50の使用する眼鏡等であってもよいし、首等にぶら下げるものであっても良い。医師用マイクロフォン101は、図4に示すように、医師50の話す言葉だけを医師用マイクロフォン101が受けられるよう、装着機構51が医師50に装着された状態で、医師50に対向するよう配置されることが好ましい。特に、医師用マイクロフォン101は、医師50の口元の近くに配置されるようにすることが好ましい。また、患者用マイクロフォン102は、通常、医師50の対面に位置する患者の話す言葉だけを患者用マイクロフォン102が受けられるよう、図4に示すように、装着機構51が医師に装着された状態で、医師50の対面の患者に対向するよう配置されることが好ましい。また、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102は、それぞれ医師および患者の音声のみを受けられるように、指向性を有するものであることが好ましい。ここでは、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102は、それぞれアーム52、53を介して装着機構51に取り付けられている。アーム52、53の材質等は問わない。アーム52、53は、変形可能な材質であることが好ましい。ただし、医師用マイクロフォン101や患者用マイクロフォン102は、どのように配置されてもよい。例えば、ピン等を付加した医師用マイクロフォン101を医師50の胸元等に取り付けても良い。また、例えば、ピン等を付加した患者用マイクロフォン102を患者の胸元等に取り付けても良いし、聴診器の先端等に患者用マイクロフォン102を取り付けても良い。
【0064】
以下、本実施の形態における電子カルテシステムの具体的な動作について説明する。電子カルテシステムの概念図は図5である。
【0065】
図5において、診察情報取得装置100は、医師用マイクロフォン101と患者用マイクロフォン102と、情報処理ユニット100aとを備えている。情報処理ユニット100aには、ここでは例として、上述した音声処理部103、出力部104、時計105とが含まれている。情報処理ユニット100aは、例えば、電池や充電池等を電源としている。情報処理ユニット100aは、医師50の腰のベルトやポケット等に取り付け可能なものであるとする。ここでは、例として医師用マイクロフォン101、患者用マイクロフォン102、情報処理ユニット100aはそれぞれ小型の無線通信装置(図示せず)を備えており、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102が変換した音声信号は、無線により情報処理ユニット100aに送信されるものとする。ただし、これらの接続が有線接続であってもよい。これらの医師用マイクロフォン101、患者用マイクロフォン102を動作させる電源は、例として小型の電池等が用いられているものとする。また、電子カルテ装置200は、表示デバイスとしてディスプレイ201を、また音声出力デバイスとしてスピーカ202を備えているものとする。
【0066】
まず、診察開始時に、医師50がキーボード等を用いて、電子カルテ装置200に診察する患者名、例えば「日本太郎」、を入力すると、受付部201が、入力された患者名「日本太郎」を受け付け、蓄積部203は、この「日本太郎」の電子カルテに、入力される情報を蓄積する指定を受け付ける。
【0067】
つぎに、医師50が情報処理ユニット100aを操作して、音声の取得を開始する。なお、ここでは、情報処理ユニット100aに図示しないスイッチ等が設けられ、このスイッチの操作により音声の取得開始や終了等が操作可能であるとする。
【0068】
そして、医師50が、患者60との間で会話等を行ないながら診察を行なうと、その診察時に医師50の発する音声は、順次、医師用マイクロフォン101に受け付けられる。また、診察時に患者60の発する音声は、順次、患者用マイクロフォン102に受け付けられる。医師用マイクロフォン101に受け付けれられた音声および患者用マイクロフォン102に受け付けられた音声は、それぞれ、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102により、順次音声信号に変換され、無線により、情報処理ユニット100aに送信される。なお、変換される音声信号は、アナログ信号でもデジタル信号でもよい。
【0069】
医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102から送信された音声信号は、情報処理ユニット100aにより受信され、音声処理部103に入力される。音声処理部103は、医師用マイクロフォン101から送信された音声信号を受信しながら、順次、デジタル信号に変換し、さらに、デジタル信号に変換された各音声信号に時計105から出力される時間を示す情報である時間情報を付加していく。ここでは、1秒間隔で時間情報が付加されるものとする。これにより、医師音声情報を構成する。同様に、患者用マイクロフォン102から送信された音声信号を用いて患者音声情報を構成する。
【0070】
図6は、医師音声信号と患者音声信号とを示す模式図である。医師音声情報は、デジタル化された音声信号601と、当該音声信号に付加された時間情報602とを有している。また、患者音声情報は、デジタル化された音声信号611と、当該音声信号に付加された時間情報612とを有している。ここでは、時間情報602および時間情報612は、音声の取得開始からの経過時間を「分:秒」で表したものであるとする。なお、時間情報としては、絶対的な時刻、例えば日本の標準時刻等を用いてもよい。
【0071】
出力部104は、音声処理部103が構成した医師音声情報、および患者音声情報をそれぞれ電子カルテ装置200に送信、ここでは無線通信により送信する。
【0072】
電子カルテ装置200の受付部201は、出力部104から送信される医師音声情報および患者音声情報を受信する。そして、テキスト情報構成部204は、医師音声情報を音声認識処理等を用いてテキスト情報に構成する。例えば、予め薬の名称に対応した音声情報が格納されているデータベース等を用意しておき、医師音声情報を音声認識した際に、このデータベース内に格納されている薬の名称の音声情報と一致する音声情報が出てきた場合、この薬の名称についての音声を認識して、薬の名称を示すテキスト情報、すなわち文字列に変換する。そして、このテキスト情報を、蓄積部203が、診察中の患者である「日本太郎」の電子カルテの、薬の名称を蓄積すべき部分に蓄積する。
【0073】
次に、蓄積部203は、テキスト情報に変換前の医師音声情報を、「日本太郎」の電子カルテに蓄積する。また、蓄積部203は、患者音声情報も、「日本太郎」の電子カルテに蓄積する。
【0074】
図7は、電子カルテ格納部202に格納されている電子カルテを管理するための電子カルテ管理表の構成を示す図である。電子カルテ管理表は、「識別情報」、「患者名」、「年齢」、「症状」、「投薬1」、「医師音声情報」、「患者音声情報」等の属性を有している。「識別情報」は電子カルテを識別するための管理情報、「患者名」は、患者の名前、「症状」は、患者の症状についての情報、「投薬1」は、患者に対して投薬する薬の名称の一つである。また、「医師音声情報」および「患者音声情報」は、蓄積部203により蓄積された医師音声情報および患者音声情報である。ここでは、蓄積された医師音声情報および患者音声情報をそのまま管理表により管理しているが、医師音声情報および患者音声情報をそれぞれ音声情報のファイルとして電子カルテ格納部202等に蓄積し、この音声情報のファイル名と、ファイルの格納されている位置情報、例えばディレクトリ情報を電子カルテに蓄積して、医師音声情報および患者音声情報を管理してもよい。
【0075】
受付部201の受け付けた医師音声情報や患者音声情報が、図7に示した電子カルテの「日本太郎」のレコードに順次蓄積されて、電子カルテが更新される。また、テキスト情報構成部204が構成したテキスト情報が、図7に示した電子カルテの「日本太郎」のレコードに蓄積され、電子カルテが更新される。
【0076】
ここで、医師50がキーボード等を操作して、電子カルテ装置200に、「日本太郎」の電子カルテをディスプレイ201に表示させるための指示を与えると、電子カルテ表示情報構成部205は、図7に示した電子カルテから、「患者名」が「日本太郎」のレコードを検索し、当該レコードの情報を表示するための表示情報を構成する。具体的には、各属性値を、予め属性ごとに決められた位置に配置した表示情報を構成する。このとき、医師音声情報および患者音声情報は、音声情報であり表示できないことから、これらの音声情報を出力するためのコマンドを実行させるためのボタン等の画像情報等、あるいは、テキスト情報等を用意する。そして、電子カルテ出力部206は、構成した表示情報をディスプレイ201に表示する。
【0077】
図8は、電子カルテの表示例を示す図である。この表示された電子カルテにおいて、例えば、ボタン801を押すと、医師音声情報が、スピーカー202から出力される。また、ボタン802を押すと、患者音声情報が、スピーカー202から出力される。さらに、ボタン803を押すと、電子カルテ出力部206は、医師音声情報と、患者音声情報とを同期させて、具体的には、それぞれの時間情報を一致させて、スピーカー202から出力される。
【0078】
以上、本実施の形態によれば、診察時における医師と患者との会話等を電子カルテに蓄積することができる。この結果、例えば、医師の診察が適切であったか否かや、処置内容やそのリスク等について、事前に適切な説明があったか否か等を、調べたり、確認したりすることができる。
【0079】
また、医師の発する音声と、患者の発する音声とから、互いに同期が取られた医師音声情報と患者音声情報とを構成するようにしたので、医師が音声を発したタイミングと、患者が音声を発したタイミングとを、正確に合わせることができ、医師と患者との会話等を正確に再現できる。また、医師と患者との会話が同時に行われたものであることを証明したりすることができる。
【0080】
また、本実施の形態においては、医師の発する音声を、患者の発する音声とは別の音声信号に変換し、この音声信号から構成した医師音声情報の少なくとも一部をテキスト化して電子カルテに加えるようにしている。このため、医師の指示内容や話す内容等をテキスト化して電子カルテに加えることが可能となる。この結果、医師の指示内容や話す内容を、テキスト化して視覚的に表示することで、音声情報のように時間軸に沿って再生することなく、その内容を瞬時に把握することが可能となり、診察時に得られた情報の利便性を向上させることができる。また、医師用マイクロフォン101で得られた医師の音声情報のみをテキスト化することで、患者の話す内容等が、誤ってテキスト化されて電子カルテに格納されることを防ぐことができる。
【0081】
また、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102が、医師に装着されているため、診察時の医師50の動作に追従して、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102が、適切な位置に移動するため、適切に音声信号を取得することができる。また、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102等を、医師50や患者60が持ったり、患者60に取り付けたりする必要がないので、診察時の医師50の動作の妨げになったり、患者60を精神的や肉体的に拘束して不要なストレス等を与えることがなく、診察の障害とならないようにすることができる。特に、入院病棟等の往診時において、患者60に患者用マイクロフォン102を取り付けたりする手間を省きつつ、患者用マイクロフォン102を患者に対して適切な方向、具体的には患者に対向した方向、に向けることが可能となり、患者の音声情報を良好に取得でき、患者の音声情報を効率良く取得することができる。
【0082】
なお、本実施の形態においては、医師音声情報を音声認識して、当該音声認識した内容に応じて、電子カルテ装置200を制御できるようにしてもよい。例えば、医師音声情報に含まれたコマンドを電子カルテ装置200に音声認識させ、このコマンドを電子カルテ装置200に実行させて、電子カルテに対する処理、例えば、所定の患者の電子カルテを表示させる処理等を実行させるようにしてもよい。
【0083】
なお、本実施の形態においては、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102と音声処理部103との間の通信や、診察情報取得装置100と電子カルテ装置200との間の通信が、第三者に侵入される可能性のあるネットワーク等を介して出力される場合、患者の個人情報を保護するためにも、音声信号を暗号化したり、通信自体を暗号化する等の対策を講じることが好ましい。このようなセキュリティーを確保するための構成を、医師用マイクロフォン101や患者用マイクロフォン102内や、診察情報取得装置100の出力部104等に設けるようにしても良い。
【0084】
また、本実施の形態においては、医師音声情報と患者音声情報との同期は、医師音声情報と患者音声情報とが、同時に取得された音声信号に基づくものであることを確実に証明できるようにするために、改変されないようにすることが好ましい。例えば、医師音声情報や患者音声情報に付加された同期を取るための時間情報等は、変更したり削除したりできないようにすることが好ましい。
【0085】
また、本実施の形態においては、医師音声情報をテキスト化したテキスト情報を電子カルテに蓄積するようにしたが、医師音声情報の一部のみを切り出して、電子カルテに蓄積してもよい。また、医師音声情報の一部を参照先として指定するいわゆるリンク情報等の情報を、電子カルテに蓄積してもよい。例えば、医師音声情報の開始から50秒後の位置に、投薬についての情報が含まれていた場合、医師音声情報の開始から50秒後の位置を再生開始位置に設定する情報を、電子カルテの投薬についての情報を蓄積する部分に蓄積してもよい。
【0086】
(実施の形態2)
図9は、本実施の形態における電子カルテシステムのブロック図である。
【0087】
電子カルテシステムは、診察情報取得装置300と、電子カルテ装置200とを具備する。
【0088】
電子カルテ装置200は、受付部201が、診察情報取得装置300の画像出力部302が出力する画像情報を受け付け、蓄積部203が、受付部201が受け付けた画像情報を、診察の対象である患者についての電子カルテに蓄積する点を除けば、上記実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0089】
診察情報取得装置300は、医師用マイクロフォン101、患者用マイクロフォン102、音声処理部103、出力部104、時計105、カメラ部301、画像出力部302を具備する。医師用マイクロフォン101、患者用マイクロフォン102、音声処理部103、出力部104、および時計105の構成については、上記実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。
【0090】
カメラ部301は、被写体を撮影して、画像情報を取得する。カメラ部301による撮影は、動画であってもよく、あるいは、静止画であってもよい。カメラ部301は、イメージセンサ(例えば、CCDやCMOSなど)とレンズ等を有している。カメラ部301は、撮影した画像をJPEG等の形式に変換する画像エンジン等を有してもよく、あるいは、有さなくてもよい。カメラ部301によって撮影された画像情報は、デジタル情報であってもよく、あるいは、アナログ情報であってもよい。
【0091】
画像出力部302は、カメラ部301で撮影した画像情報を受け取り、その画像情報を出力する。画像出力部302は、カメラ部301からどのような経路で画像情報を受け取ってもよい。例えば画像情報を、有線や無線のネットワークを介して、受け取っても良いし、配線を介して受けとってもよい。ネットワークを介して画像情報を受け取る場合、カメラ部301や画像出力部302は、無線や有線のネットワーク用の通信手段等を備えていても良い。ここで述べる出力は、例えば、表示デバイス(例えば、CRTや液晶ディスプレイなど)への表示でもよく、所定の機器への有線または無線の通信回線を介した送信でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、出力端子を介して他の機器等に画像情報を伝えることでもよい。なお、画像出力部302は、出力を行うデバイスを含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、画像出力部302は、ハードウェア(例えば、表示デバイスや通信デバイス、出力端子等)によって実現されてもよく、あるいは、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。また、画像出力部302が出力する画像情報は、アナログ情報(例えば、コンポジットビデオデータや、コンポーネントビデオデータ等)であってもよく、デジタル情報(例えば、JPEG等のデータや、RGBデータ等)であってもよい。画像情報がアナログである場合、電子カルテ装置200において、画像情報をデジタル化することが好ましい。
【0092】
この診察情報取得装置300の動作については、上記実施の形態1の診察情報取得装置100の動作に、カメラ部301が画像情報を取得し、その画像情報を画像出力部302が送信するステップを適宜加えたものであり、ここでは、説明を省略する。なお、カメラ部301が撮影を行って画像情報を取得するタイミング等は問わない。例えば、定期的や不定期に撮影を行ってもよいし、医師の指示を、図示しない受付部等が受け付けた場合に撮影を行ってもよい。
【0093】
次に、診察情報取得装置300の主要部の具体的な構造の一例について図10を用いて説明する。
【0094】
診察情報取得装置300は、図4において説明した診察情報取得装置100の具体例と同様の構成を有しているとともに、さらに、図10に示すように、略中央に覗き孔312を有する枠体310と、枠体310の一方の面の覗き孔312の周りに設けられており、光を発する1以上の発光部311と、枠体310の一方の面であって、発光部311と同一の面に設けられ、覗き孔312から見た位置を撮影するようなカメラ部301とを備えている。そして、この枠体310が、上述したような装着機構51により、医師50の頭部に装着される。
【0095】
枠体310は、従来の額帯鏡における凹面鏡に対応するものであり、略中央に覗き孔312を有する。覗き孔312の直径は、10mm程度であってもよく、15mm程度であってもよく、枠体310の一方の側から他方の側を見ることができる大きさを有しているのであれば、その大きさを問わない。ただし、覗き孔312は、あまり大きくない方が好ましい。発光部311やカメラ部301がユーザの視点に近い位置に配設された方が好適だからである。覗き孔312は、単なる孔であってもよく、あるいは、その中にガラスやレンズ等が入れられていてもよい。枠体310の形状は問わない。例えば、図10で示すように、枠体310は、外側の輪郭が円形のドーナッツ形状となっていてもよい。この枠体310は、不要時には、額側に跳ね上げられるよう装着機構51に取り付けられることが好ましい。
【0096】
発光部311は、枠体310の一方の面の覗き孔312の周りに複数個、設けられており、光を発する。発光部311は、例えば、発光ダイオード(LED)や、小型白熱電球などによって実現することができる。発光部311の発する光は、ユーザ、ここでは医師が観察対象物を観察しやすいように、自然光に近い色であることが好ましい。この自然光に近い色は、各発光部311が自然光に近い色を発することによって実現されてもよく、カクテル光線のように、複数の発光部311からの光線が混ざることによって実現されてもよい。なお、ユーザが覗き孔312から対象物を観察する場合に、その対象物に発光部311の発する光が照射されるように、発光部311の光軸と、視軸とは一致することが好ましい。ここで、視軸とは、ユーザが覗き孔312を介して対象物を観察する場合における視軸である。
【0097】
カメラ部301は、枠体310の一方の面であって、発光部311が設けられている面と同一の面に設けられる。カメラ部301は、覗き孔312から見た位置を撮影する。すなわち、カメラ部301によって、覗き孔312を介してユーザが観察する観察対象物を撮影することができる。このようにするために、カメラ部301のカメラ軸と、視軸とは一致することが好ましい。
【0098】
以下、本実施の形態における電子カルテシステムの具体的な動作について説明する。電子カルテシステムの概念図は図11である。
【0099】
この電子カルテシステムにおいては、診察情報取得装置300は、図11に示すように、医師用マイクロフォン101と患者用マイクロフォン102と、カメラ部301と、情報処理ユニット100bとを備えている。情報処理ユニット100bには、上述した音声処理部103、出力部104、時計105、画像出力部302とが含まれているものとする。情報処理ユニット100bは、例えば、充電池等を電源として有しているものとする。情報処理ユニット100bは、医師50の腰のベルトやポケット等に取り付け可能なものであるとする。ここでは、例として医師用マイクロフォン101、患者用マイクロフォン102、カメラ部301、情報処理ユニット100bはそれぞれ小型の無線通信装置(図示せず)を備えており、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102が変換した音声信号が、無線により情報処理ユニット100bに送信されるものとする。また、カメラ部301が取得した画像情報が、有線通信により、情報処理ユニット100bに送信される。ただし、これらの接続は無線接続であっても有線接続であってもよい。これらの医師用マイクロフォン101、患者用マイクロフォン102、カメラ部301を動作させる電源は、例として小型の電池等が用いられているものとする。また、電子カルテ装置200は、表示デバイスとしてディスプレイ201を、また音声出力デバイスとしてスピーカ202を備えているものとする。
【0100】
まず、医師50が診察を行っている際の、医師50と患者60とがそれぞれ発する音声を用いて診察情報取得装置300で医師音声情報と患者音声情報を構成し、電子カルテ装置200に送信する。そして、電子カルテ装置200において、医師音声情報および患者音声情報等を電子カルテに蓄積する。これらの動作については、上記実施の形態1の具体例と同様であるので説明は省略する。
【0101】
さらに、ここでは、医師50が、図示しないコントローラ等を操作して、カメラ部301に静止画像を撮影する指示を与えると、カメラ部301は、医師が覗き孔312から覗いている領域を撮影して、静止画像を取得する。そして、その静止画像を、画像出力部302に送られる。例えば、医師50が患者60の咽頭部を覗き孔12から観察していた場合、咽頭部の静止画像が撮影され、画像出力部302に送られる。
【0102】
画像出力部302は、受け付けた静止画像の画像情報を、電子カルテ装置200に送信する。
【0103】
図12は、電子カルテ格納部202に格納されている電子カルテを管理するための電子カルテ管理表の構成を示す図である。この電子カルテ管理表においては、図7に示した電子カルテ管理表に対して、さらに、画像情報を管理する「画像」という属性を有している。ここでは、この「画像」属性の示す画像情報として、画像出力部302から出力された画像情報が蓄積されている。
【0104】
電子カルテ装置200の受付部201がこの静止画像の画像情報を受け付け、蓄積部203は、この静止画像の画像情報を、患者60の電子カルテに蓄積する。
【0105】
このようにして構成した電子カルテを、上記実施の形態1の具体例と同様に、電子カルテ出力部206から出力した結果を、図13に示す。図13に示すように、電子カルテ上に、カメラ部301により撮影した画像である静止画像1201が表示される。
【0106】
以上、本実施の形態によれば、診察時における医師と患者との会話等を電子カルテに蓄積することができる。
【0107】
また、本実施の形態によれば、医師が音声を発したタイミングと、患者が音声を発したタイミングとを、正確に合わせることができ、医師と患者との会話等を正確に再現できる。また、医師と患者との会話が同時に行われたものであることを証明したりすることができる。
【0108】
また、本実施の形態においては、医師の指示内容や話す内容等をテキスト化して電子カルテに加えることが可能となり、診察時に得られた情報の利便性を向上させることができる。また、患者の話す内容等が、誤ってテキスト化されて電子カルテに格納されることを防ぐことができる。
【0109】
また、本実施の形態においては、ユーザ、ここでは医師50が観察した領域と同じ領域の画像を、カメラ部301によって撮影して、最終的に電子カルテ装置200の電子カルテに蓄積することができる。これにより、診察等の医療に関する音声情報や、医師の目線で撮影した画像の画像情報等のマルチメディアデータを電子カルテによって一元管理することが可能となる。この結果、例えば、医療の現場において、診察や、診察の検証等を行う際にさまざまな形で、電子カルテを有効利用することが可能となり、電子カルテの利用価値を高めることができる。
【0110】
また、医師用マイクロフォン101および患者用マイクロフォン102に加えて、カメラ部301が、医師に装着されているため、診察時の医師50の目線で画像を撮影できるとともに、診察時の医師50や患者60の動作に追従して、医師用マイクロフォン101、患者用マイクロフォン102、およびカメラ部301が、適切な位置に移動するため、適切に音声信号や画像情報を取得することができる。また、医師用マイクロフォン101、患者用マイクロフォン102およびカメラ部301等を、医師50や患者60が持ったり、患者60に取り付けたりする必要がないので、診察時の医師50の動作の妨げになったり、患者60を拘束して患者60に不要なストレス等を与えることがなく、診察の障害とならないようにすることができる。
【0111】
また、本実施の形態においては、枠体310の覗き孔312から除いた位置をカメラ部301で撮影できるようになっている。通常、このような覗き孔がある場合、医師の視界が、覗き孔312で制限されるため、医師50の視界は、ほぼ、覗き孔の正面近傍に限られる。例えば、医師50が、眼球だけを動かして違う領域を見ることは困難である。この結果、カメラ部301で撮影する位置を覗き孔312から見た位置に設定しておくことで、常に医師50が見ている視界の画像を撮影することが可能となる。このため、例えば、カメラ部301が動画像を撮影する場合、撮影した動画像を見ることで、診察中、医師50が、どの部分を見て、どのようなことを話したか等を、確認することが可能となる。
【0112】
なお、本実施の形態における電子カルテシステムに、さらに、患者の状態に関連する情報、例えば、血圧や、気管支音、心音、超音波エコー信号等の情報を取得する装置を追加するようにしてもよい。例えば、血圧計や、心音計、超音波エコー装置等が、取得した情報を、これらの情報を受信するために診察情報取得装置100に設けられた受信部等、あるいは電子カルテ装置200に送信するようにし、これらの情報を蓄積部203等が電子カルテに蓄積するようにしてもよい。
【0113】
また、上記各実施の形態では、電子カルテ装置がスタンドアロンである場合について説明したが、電子カルテ装置は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。
【0114】
なお、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0115】
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
【0116】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0117】
以上のように、本発明は、電子カルテを利用する電子カルテシステム等として適しており、特に、音声情報を利用する電子カルテシステム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】実施の形態1における電子カルテシステムのブロック図
【図2】同診察情報取得装置の動作について説明するフローチャート
【図3】同電子カルテ装置の動作について説明するフローチャート
【図4】同診察情報取得装置の主要部についての構造の一例を示す図
【図5】同概念図
【図6】同音声情報の模式図
【図7】同電子カルテ管理表を示す図
【図8】同表示例を示す図
【図9】実施の形態2における電子カルテシステムのブロック図
【図10】同診察情報取得装置の主要部についての構造の一例を示す図
【図11】同概念図
【図12】同電子カルテ管理表を示す図
【図13】同表示例を示す図
【符号の説明】
【0119】
51 装着機構
100 音声情報取得装置
100a、100b 情報処理ユニット
100、300 診察情報取得装置
101 医師用マイクロフォン
102 患者用マイクロフォン
103 音声処理部
104 出力部
105 時計
200 電子カルテ装置
201 受付部
202 電子カルテ格納部
203 蓄積部
204 テキスト情報構成部
205 電子カルテ表示情報構成部
206 電子カルテ出力部
301 カメラ部
302 画像出力部
310 枠体
311 発光部
312 覗き孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者についての診察に関する情報である電子カルテを蓄積する電子カルテシステムであって、
前記電子カルテシステムは、診察情報取得装置と、電子カルテ装置とを具備し、
前記診察情報取得装置は、
医師の発する音声を音声信号に変換する医師用マイクロフォンと、
診察の対象である患者の発する音声を音声信号に変換する患者用マイクロフォンと、
医師用マイクロフォンが変換した音声信号と、患者用マイクロフォンが変換した音声信号とを用いて、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する音声処理部と、
前記音声処理部の構成した医師音声情報と、患者音声情報とを出力する出力部とを具備し、
前記電子カルテ装置は、
前記医師音声情報と、前記患者音声情報とを受け付ける受付部と、
電子カルテが格納され得る電子カルテ格納部と、
前記受付部が受け付けた医師音声情報と、患者音声情報とを、診察の対象である患者についての前記電子カルテに蓄積する蓄積部とを具備し、
前記診察情報取得装置は、
前記患者用マイクロフォンおよび前記医師用マイクロフォンを、医師に装着する装着機構をさらに備え、
前記医師用マイクロフォンは、前記装着機構が医師に装着された状態で、医師に対向するよう配置され、
前記患者用マイクロフォンは、前記装着機構が医師に装着された状態で、患者に対向するよう配置される電子カルテシステム。
【請求項2】
患者についての診察に関する情報である電子カルテを蓄積する電子カルテシステムであって、
前記電子カルテシステムは、診察情報取得装置と、電子カルテ装置とを具備し、
前記診察情報取得装置は、
医師の発する音声を音声信号に変換する医師用マイクロフォンと、
診察の対象である患者の発する音声を音声信号に変換する患者用マイクロフォンと、
医師用マイクロフォンが変換した音声信号と、患者用マイクロフォンが変換した音声信号とを用いて、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する音声処理部と、
前記音声処理部の構成した医師音声情報と、患者音声情報とを出力する出力部とを具備し、
前記電子カルテ装置は、
前記医師音声情報と、前記患者音声情報とを受け付ける受付部と、
前記医師音声情報を用いて、電子カルテに蓄積されるテキスト情報を構成するテキスト情報構成部と、
電子カルテが格納され得る電子カルテ格納部と、
前記受付部が受け付けた医師音声情報および患者音声情報と、前記テキスト情報構成部が構成したテキスト情報とを、診察の対象である患者についての前記電子カルテに蓄積する蓄積部とを具備する電子カルテシステム。
【請求項3】
前記電子カルテ装置は、前記電子カルテ格納部に格納されている電子カルテを出力する電子カルテ出力部をさらに具備する請求項1または請求項2記載の電子カルテシステム。
【請求項4】
前記電子カルテ装置は、前記電子カルテ格納部に格納されている電子カルテを表示するための情報である電子カルテ表示情報を構成する電子カルテ表示情報構成部をさらに具備し、
前記電子カルテ出力部は、前記電子カルテ表示情報を出力する請求項3記載の電子カルテシステム。
【請求項5】
前記診察情報取得装置は、
略中央に覗き孔を有する枠体と、
前記枠体の一方の面の前記覗き孔の周りに設けられており、光を発する1以上の発光部と、
前記枠体の一方の面であって、前記発光部と同一の面に設けられ、前記覗き孔から見た位置を撮影するカメラ部と、
前記カメラ部で撮影した画像データを出力する画像出力部と、をさらに具備し、
前記枠体は、前記診察情報取得装置の装着機構により、医師の頭部に装着され、
前記電子カルテ装置の受付部は、前記画像データを受け付け、
前記蓄積部は、当該画像データを、診察の対象である患者についての前記電子カルテに蓄積する請求項1から請求項4いずれか記載の電子カルテシステム。
【請求項6】
医師の発する音声を音声信号に変換する医師用マイクロフォンと、
診察の対象である患者の発する音声を音声信号に変換する患者用マイクロフォンと、
前記患者用マイクロフォンおよび前記医師用マイクロフォンを、医師に装着する装着機構を備え、
前記医師用マイクロフォンは、前記装着機構が医師に装着された状態で、医師に対向するよう配置され、
前記患者用マイクロフォンは、前記装着機構が医師に装着された状態で、患者に対向するよう配置される診察情報取得装置。
【請求項7】
前記医師用マイクロフォンが変換した音声信号と、前記患者用マイクロフォンが変換した音声信号とを用いて、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する音声処理部と、
前記音声処理部の構成した医師音声情報と患者音声情報とを出力する出力部とをさらに具備する請求項6記載の診察情報取得装置。
【請求項8】
略中央に覗き孔を有する枠体と、
前記枠体の一方の面の前記覗き孔の周りに設けられており、光を発する1以上の発光部と、
前記枠体の一方の面であって、前記発光部と同一の面に設けられ、前記覗き孔から見た位置を撮影するカメラ部と、をさらに具備し、
前記枠体は、前記装着機構により、医師の頭部に装着される請求項6または請求項7記載の診察情報取得装置。
【請求項9】
前記カメラ部で撮影した画像データを出力する画像出力部をさらに具備する請求項8記載の診察情報取得装置。
【請求項10】
患者についての診察に関する情報である電子カルテを蓄積する電子カルテ処理方法であって、
装着機構を用いて医師に装着され、医師に対向するよう配置された医師用マイクロフォンを用いて、医師の発する音声を、音声信号に変換する第一変換ステップと、
前記装着機構を用いて医師に装着され、診察の対象である患者に対向するよう配置された患者用マイクロフォンを用いて、患者の発する音声を、音声信号に変換する第二変換ステップと、
第一変換ステップで変換した音声信号と、第二変換ステップで変換した音声信号とを用いて、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する音声処理ステップと、
前記音声処理ステップで構成した医師音声情報と、患者音声情報とを、診察の対象である患者についての電子カルテに蓄積する蓄積ステップとを具備する電子カルテ処理方法。
【請求項11】
患者についての診察に関する情報である電子カルテを蓄積する電子カルテ処理方法であって、
医師の発する音声を音声信号に変換する第一変換ステップと、
診察の対象である患者の発する音声を音声信号に変換する第二変換ステップと、
第一変換ステップで変換した音声信号と、第二変換ステップで変換した音声信号とを用いて、互いに同期した医師音声情報と、患者音声情報とを構成する音声処理ステップと、
前記医師音声情報を用いて、電子カルテに蓄積されるテキスト情報を構成するテキスト情報構成ステップと、
前記音声処理ステップで構成した医師音声情報および患者音声情報と、前記テキスト情報構成ステップで構成したテキスト情報とを、診察の対象である患者についての電子カルテに蓄積する蓄積ステップとを具備する電子カルテ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−40906(P2008−40906A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216158(P2006−216158)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年(平成18年)7月23日 「京都新聞」に発表
【出願人】(000113573)マイクロニクス株式会社 (13)
【出願人】(304020292)国立大学法人徳島大学 (307)
【Fターム(参考)】