説明

電子スチルカメラ

【課題】複数の笑顔の被写体画像データ中、評価が高い画像を容易に把握すること。
【解決手段】被写体画像データに、顔表情レベル評価部25によって評価された被写体人物の笑顔レベルと、識別データ入力部35によって入力した被写体人物の名前とを含む属性データを関連付けてメモリ16aに記録する。ランキング決定部28は、メモリ16aから読み出された複数の被写体画像データについて、笑顔レベルに基づいてランキングを決定する。これらの複数の被写体画像データのサムネイル画像は、各々にランキングと名前が付記されてディスプレイ42に一覧表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体画像中の人物の顔表情レベルを評価する機能を有する電子スチルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影された画像中の人物の顔表情を評価し、その評価に基づいて複数の撮影画像を顔表情の良い順に並べて表示する機能を有する画像評価装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−46591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1の装置においては、撮影画像毎に顔表情の評価値が与えられ、これらの撮影画像が顔表情の良い順に並べて表示されるが、複数の画像を2次元的に配列する通常の表示の場合、画像同士を比べていずれの画像が評価値が高いのかが分かり難いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)請求項1の発明による電子スチルカメラは、被写体画像データを出力する撮像手段と、被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情であることを検出する顔表情検出手段と、被写体人物の顔表情レベルを評価するレベル評価手段と、被写体人物を表す個人識別情報を入力する入力手段と、被写体画像データを個人識別情報と顔表情レベルとに関連付けて記憶する記憶手段と、記憶手段から複数の被写体画像データを読み出す読出し手段と、読み出し手段によって読み出された被写体画像データに関連付けられた顔表情レベルに基づき、読み出された複数の被写体画像データのランキングを決定するランキング決定手段と、読み出された複数の被写体画像データのサムネイル画像を一覧表示する表示手段と、を備え、表示手段は、一覧表示したサムネイル画像の各々に、ランキングと個人識別情報とを付記表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電子スチルカメラによれば、被写体画像データの顔表情レベルに基づいて複数の被写体画像データのランキングを決定し、これらの被写体画像データのサムネイル画像とともにランキングも表示するので、表示画面を一見しただけで、いずれの画像が評価レベルが高いのかを容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子スチルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る電子スチルカメラのサムネイル一覧表示されたディスプレイ画面を模式的に示す図である。
【図3】本実施の形態に係る電子スチルカメラの第1の変形例であり、サムネイル一覧表示されたディスプレイ画面を模式的に示す図である。
【図4】本実施の形態に係る電子スチルカメラの第2の変形例であり、サムネイル一覧表示されたディスプレイ画面を模式的に示す図である。
【図5】本実施の形態に係る電子スチルカメラの第3の変形例であり、サムネイル一覧表示されたディスプレイ画面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態による電子スチルカメラについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態による電子スチルカメラの構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、電子スチルカメラは、撮影レンズ11、絞り12、撮像素子13、バッファメモリ14および画像処理部15を備える。また、デジタルカメラは、画像記録部16、CPU(Central Processing Unit)17、ROM(Read Only Memory)18、バス19、画像読出し部20、識別データ入力部35、顔表情設定部36、優先者選定部37、表示制御部41、ディスプレイ42および画像選択部43を備える。
【0009】
画像処理部15、画像記録部16、CPU17、ROM18、画像読出し部20、識別データ入力部35、顔表情設定部36、優先者選定部37、表示制御部41および画像選択部43は、バス19を介して互いに接続されている。
【0010】
CPU17は、顔検出部21、顔表情検出部23、顔表情レベル評価部25、自動撮影部27およびランキング決定部28として機能する。
ROM18は、顔データ記憶部22、顔表情データ記憶部24、顔表情レベルデータ記憶部26および顔登録データ記憶部29として機能する。
【0011】
撮影レンズ11は、ズームレンズやフォーカスレンズを含む複数のレンズで構成され、被写体像を撮像素子13上に結像する。図1では簡単のため、撮影レンズ11は1枚のレンズで示されている。撮像素子13は、撮影レンズ11からの被写体光L1を光電変換することにより画像信号を生成する。
【0012】
撮像素子13から出力される画像信号は、バッファメモリ14を介して画像処理部15に送られ、ここで所定の種々の画像処理が施される。撮影開始前の段階では、撮像素子13からの画像信号は、バッファメモリ14、画像処理部15を経てバス19を介してディスプレイ42に送られ、スルー画像として表示される。撮影段階では、撮像素子13からの画像信号は、バッファメモリ14、画像処理部15を経てバス19を介して画像記録部16にて記録される。
【0013】
画像記録部16は、画像データとその画像データに関する属性データ(タグ情報)とを関連付けて不揮発性のメモリ(記憶媒体)16aに記録する。画像データには、被写体を撮影レンズ11、絞り12、撮像素子13によって撮影した被写体画像や、外部機器から画像記録部16に入力された被写体画像が含まれる。
【0014】
画像読出し部20は、画像記録部16のメモリ16aに記録されている画像データの検索や属性データに基づいて画像の再生を行う操作部である。
【0015】
顔検出部21は、被写体画像データを入力し、これを顔データ記憶部22に予め記憶されている顔データと比較することにより、画像中の被写体人物の顔を検出する。被写体人物が複数人の場合は各人の顔を検出する。顔データ記憶部22は、例えば、眉、眼、鼻、唇の形状に関する特徴点のデータを記憶している。
【0016】
顔検出には、例えば、特開2001−16573号公報に開示されている検出手法を用いることができる。この検出手法は、入力画像中から特徴点を抽出して被写体の顔領域、顔の大きさ等を検出するものである。特徴点としては、眉、眼、鼻、唇の各端点、および顔の輪郭点、例えば頭頂点や顎の下端点が挙げられる。
【0017】
他の顔検出としては、例えば、特開2005−157679号公報に開示されている検出手法を用いることができる。この検出手法は、先ず、入力画像中の2画素間の輝度差を特徴量として学習しておき、その特徴量に基づいて入力画像中の所定領域に顔が存在するか否かを示す推定値を算出し、推定値が1以上のときにその所定領域に顔が存在すると判別するものである。
【0018】
顔表情検出部23は、顔検出部21により検出された顔領域の画像の顔表情を顔表情データ記憶部24に予め記憶されている所定の顔表情データと比較することにより、被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情に対応することを検出する。また、顔表情検出部23は、被写体人物が複数人の場合は所定の人物の顔について顔表情を検出する。
顔表情には、笑顔、泣き顔、怒り顔、驚き顔、寝顔などの様々な種類があり、顔表情データ記憶部24は、これらの複数の顔表情データを記憶している。顔表情検出部23は、例えば、被写体画像中の被写体人物の顔表情が笑顔であることを検出すると、その旨の検出信号を出力する。
【0019】
顔表情検出部23が顔領域の画像の顔表情を検出する場合には、特開2008−42319号公報に開示されている検出手法を用いることができる。この検出手法は、例えば笑顔であることを検出するには、検出された画像の顔が笑顔と通常時の顔という2つの顔表情のいずれに近いかに基づいて表情の種類を判断するものである。
【0020】
顔表情レベル評価部25は、顔検出部21により検出された顔領域の画像の顔表情を顔表情レベルデータ記憶部26に予め記憶されている複数の顔表情レベルデータと比較することにより、顔領域の画像中の被写体人物の顔表情がいずれの顔表情レベルに対応するかを評価する。顔表情レベル評価部25は、被写体人物の顔表情レベルに対応する評価信号を出力する。画像記録部16は、被写体画像データと、評価信号に基づく属性データ(顔表情の種類とその顔表情レベル)とを関連付けて1つの画像ファイルとしてメモリ16aに記録する。
【0021】
顔表情レベルデータ記憶部26は、顔表情の度合い(顔表情レベル)、例えば、笑顔の度合い(笑顔レベル)が10%、20%、30%、・・・、100%であるときの各笑顔の特徴を表す笑顔レベルデータ(例えば、特徴点同士の間隔)を笑顔レベル毎に記憶している。笑顔レベルの数値が高まるにつれて、笑顔表情は微笑程度から大笑いへとその笑顔の度合いが大きくなってゆく。同様に、顔表情レベルデータ記憶部26は、泣き顔、怒り顔などについてもレベルデータを記憶している。
【0022】
笑顔の度合いを判定する手法には、例えば、特開2004−46591号公報に開示されている手法を用いることができる。この判定手法は、入力された部分画像の笑顔について笑顔の度合いの評価を行い、笑顔評価値を算出する。笑顔評価の際は、予め記憶されている笑顔データを参照して眉、瞳孔、唇の各要素の形状の評価ポイントを算出し、各評価ポイントを係数により重み付けした上で合算した値を笑顔評価値としている。
【0023】
自動撮影部27は、顔表情検出部23からの検出信号に応じて撮影レンズ11、絞り12および撮像素子13に動作信号を出力して被写体の自動撮影を行う。この自動撮影は、顔表情検出部23が所定の顔表情、例えば笑顔を検出する毎に1枚の画像を撮像する。
【0024】
ランキング決定部28は、画像読出し部20によってメモリ16aから読み出された被写体画像データについてランク付けを行う。すなわち、ランキング決定部28は、被写体画像データ毎に付加されている属性データ、例えば、笑顔レベル80%、60%というレベル値に基づいて複数の被写体画像データについて順位を付ける。そして、ランキング結果を表す信号を出力する。
【0025】
顔登録データ記憶部29は、カメラに登録した登録人物の顔画像に基づいた特徴的な顔情報を登録データとして記憶する。なお、この特徴的な顔情報とは、例えば、眉、眼、鼻、唇などの特徴点が持つ特徴量のデータである。
【0026】
識別データ入力部35は、メモリ16aに記録されている画像ファイル中の属性データとして被写体人物を表す個人識別データ、例えば、その人物の名前やニックネームを入力する操作部である。個人識別データの入力により、属性データには、被写体人物の顔表情の種類とその顔表情レベル(例えば、笑顔レベル:80%)と個人名(例えば、Aさん)とが含まれる。そして、画像記録部16は、被写体画像データと、属性データとを関連付けてメモリ16aに記録する。
【0027】
顔表情設定部36は、被写体人物の顔表情の種類を外部から設定する操作部であり、笑顔を含む複数の顔表情の設定ができる。例えば、顔表情の設定が笑顔であれば、顔表情検出部23は笑顔を検出して検出信号を発生し、自動撮影が行われる。また、顔表情設定部36が笑顔を設定すれば、画像読出し部20は、メモリ16aに記録されている被写体画像データのうち笑顔の被写体画像データを読み出す。
【0028】
優先者選定部37は、ランキング決定部28によってランク付けが行われた複数の被写体画像データについて、最上位にランクされた被写体画像データの被写体人物を選定する第1の選定部および最下位にランクされた被写体画像データの被写体人物を選定する第2の選定部を有し、第1の選定部と第2の選定部との間で切換え可能に構成されている。
【0029】
これにより、被写体画像データ中に複数の被写体人物が存在し、複数の被写体人物中に第1の選定部によって選定された人物(ランク:最上位)が存在した場合、その人物を他の人物に優先して顔表情を検出して自動撮影を行うことができる。同様に、複数の被写体人物中に第2の選定部によって選定された人物(ランク:最下位)が存在した場合、その人物を他の人物に優先して顔表情を検出して自動撮影を行うことができる。
最上位および最下位にランクされた被写体画像データの被写体人物については、被写体画像データから顔の特徴を表す顔登録データが作成され、この顔登録データが顔登録データ記憶部29に記録される。
【0030】
表示制御部41は、ディスプレイ42による表示を制御する。すなわち、表示制御部41は、ディスプレイ42がスルー画像の表示、バッファメモリ14に一時的に記録されている被写体画像の表示、画像記録部16のメモリ16aに保存された被写体画像の再生表示を行なう時の表示態様を制御する。例えば、表示制御部41は、ディスプレイ42に被写体画像のみを表示させたり、属性情報を付加した被写体画像を表示させる。また、表示制御部41は、被写体画像データのサムネイル画像の一覧表示の態様、例えば、サムネイル画像の画面上での配置、ランキング決定部28からの信号に基づくランク表示を制御する。
【0031】
ディスプレイ42は、表示制御部41の指令により、スルー画像、バッファメモリ14に一時的に記録されている被写体画像、メモリ16aに保存された被写体画像の表示を行い、被写体画像に関連する属性情報の表示を行う。また、ディスプレイ42は、表示制御部41の指令により、サムネイル画像の一覧表示を行う。
【0032】
画像選択部43は、ディスプレイ42に一覧表示された複数のサムネイル画像の中から任意のサムネイル画像を選択する操作部であり、例えば圧力センサ付きの表示画面(タッチパネル)の場合は、任意のサムネイル画像にタッチすることにより選択操作が可能である。
【0033】
以上のように構成された電子スチルカメラは、次のように動作する。
先ず、顔表情設定部36によって所定の顔表情として「笑顔」を設定する。顔検出部21は、スルー画像を顔データ記憶部22の顔データと比較することにより、スルー画像中の被写体人物の顔を検出する。
【0034】
顔表情検出部23は、顔検出部21により検出された顔領域の画像の顔表情を顔表情データ記憶部24に予め記憶されている所定の顔表情データと比較することにより、スルー画像中の被写体人物の顔表情が笑顔であることを検出する。顔表情検出部23は、この笑顔検出により検出信号を出力し、自動撮影部34は、笑顔が検出された被写体の自動撮影を行う。自動撮影によって得られた被写体画像データは、笑顔検出された画像データであることを示す属性データとともにメモリ16aに記録される。
【0035】
顔表情レベル評価部25は、自動撮影によって得られた被写体画像データ中の被写体人物の笑顔について、顔表情レベルデータ記憶部26に記憶された笑顔レベルデータと比較して、この笑顔の度合い(笑顔レベル)を評価し、その評価した笑顔レベルを表す判定信号を出力する。
画像記録部16は、被写体画像データと、その画像データに関する属性データ(例えば、笑顔レベル90%)とを関連付けてメモリ16aに記録する。
【0036】
画像読出し部20は、メモリ16aから所定の被写体画像データを読み出す。顔表情設定部36によって所定の顔表情として「笑顔」を設定すると、画像読出し部20は、上記の属性データ(例えば、笑顔レベル90%)を利用して検索し、笑顔の被写体人物の被写体画像データを読み出す。
【0037】
読み出された被写体画像データに基づく再生画像をディスプレイ42に表示させ、識別データ入力部35によってその再生画像中の被写体人物を表す個人識別データ、例えば、その人物名「Aさん」を入力する。これにより、読み出された被写体画像データの属性データには、笑顔レベル90%のデータに加えて「Aさん」のデータが追記される。そして、画像記録部16は、被写体画像データと、笑顔レベルデータおよび人物名データが含まれる属性データとをメモリ16aに記録する。
【0038】
上述した動作を繰り返すことにより、複数の被写体画像データについて属性データが作成され、複数の被写体画像データと属性データとがメモリ16aに記録される。
続いて、これら複数の被写体画像データについて笑顔レベルに基づくランキングを決定する動作が行われる。画像読出し部20は、属性データを利用して「笑顔」を検索し、複数の被写体画像データをメモリ16aから読み出す。
【0039】
ランキング決定部28は、これらの読み出された被写体画像データについて、笑顔レベル90%、80%というレベル値に基づいて順位を付ける。例えば、笑顔レベル値が90%、80%、80%、70%、60%の属性データにそれぞれ関連する5つの被写体画像データがあった場合、ランキングは、順に第1位、第2位、第2位、第4位、第5位となる。
【0040】
このようにして、ランキングが決定された複数の被写体画像データのサムネイル画像は、ディスプレイ42に一覧表示される。
図2は、サムネイル一覧表示されたディスプレイ42の画面を模式的に示す図である。図2には、5つのサムネイル画像が属性データとともに示されており、左上段のサムネイル画像に注目すると、サムネイル画像101、ランキングである「第1位」111、人物名である「Aさん」121、笑顔レベルである「90%」131が表示されている。同様に、画面の中央上段のサムネイル画像では、サムネイル画像102、「第2位」112、「Bさん」122、「80%」132が表示されている。他の3つのサムネイル画像についても、符号は省略したが、同様である。
【0041】
なお、図2では、5つのサムネイル画像をランキングの順に配置して表示しているが、5つのサムネイル画像にはそれぞれ順位が付記されているので、必ずしもランキングの順に配置する必要はない。例えば、複数のサムネイル画像を撮影順に配置して表示してもよい。また、図2では、笑顔レベルを数値で表示しているが、グラフ化して、例えば棒グラフのバーの長さで表示してもよい。
【0042】
本実施の形態による電子スチルカメラは以下の作用効果を奏する。
(1)複数のサムネイル画像を被写体人物の笑顔のランキングを付けて一覧表示するので、画面を一見しただけで、笑顔評価の高い画像を認識できる。
(2)複数のサムネイル画像を被写体人物の笑顔のランキングと人物名とを付けて一覧表示するので、画面を一見しただけで、笑顔評価の高い被写体人物の画像を認識できる。
(3)複数のサムネイル画像を被写体人物の笑顔のランキングと人物名と笑顔レベルとを付けて一覧表示するので、画面を一見しただけで、笑顔評価の高い被写体人物の画像を認識でき、同時に笑顔レベルも知ることができる。
【0043】
本実施の形態による電子スチルカメラは、以下の動作を行うこともできる。
(1)画像の拡大表示
ディスプレイ42に一覧表示された複数のサムネイル画像のうち、画像選択部43によって任意のサムネイル画像を選択することにより、そのサムネイル画像について画像を画面全体に拡大表示することができる。このとき、拡大表示時間を笑顔レベルの高さに応じて変更し、笑顔レベルが高い程、拡大表示時間を長く設定してもよい。例えば、笑顔レベル80%の被写体画像であれば拡大表示時間を5秒間と長くし、笑顔レベル40%の被写体画像であれば拡大表示時間を2秒間と短くする。また、スライドショーの場合は、笑顔レベルが高い被写体画像は、表示再生時間を長く、且つ表示サイズを拡大し、笑顔レベルが低い被写体画像は、表示再生時間を短く、且つ表示サイズを縮小してもよい。
【0044】
(2)同一人物のサムネイル画像の一覧表示
ディスプレイ42に笑顔ランキングを付けて一覧表示された複数のサムネイル画像のうち、画像選択部43によって任意の人物名を選択することにより、その人物のサムネイル画像から成るサムネイル一覧表示に切り換えることができる。このとき、笑顔レベルに応じて各サムネイル画像の表示サイズを変更し、笑顔レベルが高い程、表示サイズを大きく設定してもよい。
【0045】
(3)同一レベルのサムネイル画像の一覧表示
ディスプレイ42に笑顔ランキングを付けて一覧表示された複数のサムネイル画像のうち、画像選択部43によって任意の笑顔レベルを選択することにより、その笑顔レベルに等しいレベルのサムネイル画像から成るサムネイル一覧表示に切り換えることができる。
【0046】
(4)笑顔ランキングに基づいて選定された人物の優先撮影
ランキング決定部28により、複数の被写体画像データについて笑顔レベルに基づいて順位付けが行われ、最上位と最下位とが決定されると、次の撮影に際して、最上位にランクされた被写体画像データの被写体人物、または最下位にランクされた被写体画像データの被写体人物を優先して笑顔を検出し自動撮影を行うことができる。
先ず、優先者選定部37が最上位にランクされた被写体画像データの被写体人物を優先者として選定する。撮影に際して、スルー画像中に複数の被写体人物がおり、その中に優先者が存在している場合、顔表情検出部23は、顔登録データ記憶部29に記録されている顔登録データにより優先者を認識し、笑顔検出動作を開始する。そして、顔表情検出部23が優先者の笑顔を検出すると、自動撮影部27により自動撮影が行われる。
【0047】
優先者に対しては、他の被写体人物に優先して笑顔検出と自動撮影が行われる。顔表情検出部23は、優先者の笑顔検出のみを行い、他の被写体人物の笑顔検出は行わず、優先者の笑顔が検出されれば撮影を行う場合と、顔表情検出部23は、スルー画像中の全員の笑顔検出を行うが、優先者は笑顔が1回検出されると撮影を行い、他の被写体人物は笑顔が3回検出されて初めて撮影を行うというように撮影する頻度を異ならせる場合がある。
【0048】
以上の説明は、最上位にランクされた被写体画像データの被写体人物を優先者と選定した場合であり、最下位にランクされた被写体画像データの被写体人物を優先者と選定した場合も全く同様である。なお、優先者選定部37により、最上位にランクされた被写体画像データの被写体人物の選定と最下位にランクされた被写体画像データの被写体人物の選定とは自由に切り換えることができる。
【0049】
以下、本実施の形態の電子スチルカメラの変形例について説明する。
上記の実施の形態では、ランキングが決定された複数の被写体画像データのサムネイル画像は、図2に示したように、「第1位」、「第2位」などの順位を付記してディスプレイ42に一覧表示される。図3〜5に示す以下の変形例は、順位を付記しないサムネイル一覧表示の表示態様に関するものであり、同一表示内容には同一符号を付している。
【0050】
図3は、サムネイル一覧表示の第1の変形例であり、図2に示したランキング表示の代わりに、笑顔レベルに応じてサムネイル画像の表示サイズを変更し、笑顔レベル「90%」131のサムネイル画像101aは最も大きいサイズで表示し、笑顔レベル「80%」132のサムネイル画像102aは次に大きいサイズとし、笑顔レベルが低くなるにつれてサイズを小さく表示する。このように表示すると、ランキングが高いサムネイル画像を直観的に識別できる。
【0051】
図4は、サムネイル一覧表示の第2の変形例であり、図2に示したランキング表示の代わりに、ランク順にサムネイル画像をスクロール表示するものである。各サムネイル画像は、図中の矢印で示されるように、次々に画面の下から上へ向かってスクロール表示される。
図5は、サムネイル一覧表示の第3の変形例であり、図2に示したランキング表示の代わりに、サムネイル画像の配置によってランキングも分かるようにしたものである。図5では、画面の左上段の位置を第1位とし、図中の矢印で示されるように、サムネイル画像がランク順に配置される。
【0052】
上記の実施の形態では、笑顔などの顔表情を検出すると自動的に撮影する電子スチルカメラについて説明したが、自動撮影部27を有さず、撮影者の意思で撮影を行う電子スチルカメラにも本発明は適用できる。このマニュアル撮影の場合でも、顔表情検出部23により笑顔を検出し、顔表情レベル評価部25により笑顔レベルは評価する。
上記の実施の形態では、電子スチルカメラについて説明したが、本発明は、アプリケーションソフトウエア(画像閲覧編集ソフト)にも適用可能である。
本発明は、その特徴を損なわない限り、以上説明した実施の形態に何ら限定されない。
【符号の説明】
【0053】
16:画像記録部 16a:メモリ
20:画像読出し部 23:顔表情検出部
24:顔表情データ記憶部 25:顔表情レベル評価部
26:顔表情レベルデータ記憶部 27:自動撮影部
28:ランキング決定部 35:識別データ入力部
37:優先者選定部 41:表示制御部
43:画像選択部 101,102:サムネイル画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体画像データを出力する撮像手段と、
前記被写体画像データ中の被写体人物の顔表情が所定の顔表情であることを検出する顔表情検出手段と、
前記被写体人物の顔表情レベルを評価するレベル評価手段と、
前記被写体人物を表す個人識別情報を入力する入力手段と、
前記被写体画像データを前記個人識別情報と顔表情レベルとに関連付けて記憶する記憶手段と、
前記記憶手段から複数の前記被写体画像データを読み出す読出し手段と、
前記読み出し手段によって読み出された前記被写体画像データに関連付けられた前記顔表情レベルに基づき、前記読み出された複数の被写体画像データのランキングを決定するランキング決定手段と、
前記読み出された複数の前記被写体画像データのサムネイル画像を一覧表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記一覧表示した前記サムネイル画像の各々に、前記ランキングと前記個人識別情報とを付記表示することを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載の電子スチルカメラにおいて、
前記顔表情検出手段の検出出力に応じて自動的に撮影する自動撮影手段を更に備えることを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項3】
請求項1に記載の電子スチルカメラにおいて、
前記個人識別情報は、前記被写体人物の名前とニックネームとの少なくとも一方である
ことを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項4】
請求項1に記載の電子スチルカメラにおいて、
前記表示手段は、前記一覧表示した前記サムネイル画像の各々に、前記顔表情レベルを数値化またはグラフ化して付記表示することを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項5】
請求項1に記載の電子スチルカメラにおいて、
前記一覧表示された複数のサムネイル画像から任意のサムネイル画像を選択する選択手段を更に備え、
前記表示手段は、前記選択手段によって選択された前記サムネイル画像を拡大表示すると共に前記笑顔レベルに応じて拡大表示時間を変更することを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項6】
請求項1に記載の電子スチルカメラにおいて、
前記選択手段により、前記一覧表示された複数の前記サムネイル画像に付記表示された前記個人識別情報から任意の個人識別情報が選択されると、
前記表示手段は、前記選択手段によって選択された前記個人識別情報を有する被写体画像データのサムネイル画像を一覧表示することを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項7】
請求項4に記載の電子スチルカメラにおいて、
前記選択手段により、前記一覧表示された複数の前記サムネイル画像に付記表示された前記顔表情レベルから任意の顔表情レベルが選択されると、
前記表示手段は、前記選択手段によって選択された前記顔表情レベルと等しい顔表情レベルを有する被写体画像データのサムネイル画像を一覧表示することを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項8】
請求項2に記載の電子スチルカメラにおいて、
前記ランキング決定手段によってランキング一位と決定された被写体画像データの被写体人物を優先者と選定する第1の優先者選定手段を更に備え、
前記顔表情検出手段は、前記被写体画像データ中に複数の被写体人物が存在しかつ前記第1の優先者選定手段によって選定された優先者が前記複数の被写体人物中に存在した場合に、その優先者の顔表情が所定の顔表情であることを前記被写体画像データ中の他の被写体人物に優先して検出し、
前記自動撮影手段は、前記顔表情検出手段の検出出力に応じて自動的に撮影することを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項9】
請求項2に記載の電子スチルカメラにおいて、
前記ランキング決定手段によってランキング最下位と決定された被写体画像データの被写体人物を優先者と選定する第2の優先者選定手段を更に備え、
前記顔表情検出手段は、前記被写体画像データ中に複数の被写体人物が存在しかつ前記第2の優先者選定手段によって選定された優先者が前記複数の被写体人物中に存在した場合に、その優先者の顔表情が所定の顔表情であることを前記被写体画像データ中の他の被写体人物に優先して検出し、
前記自動撮影手段は、前記顔表情検出手段の検出出力に応じて自動的に撮影することを特徴とする電子スチルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−187109(P2010−187109A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28775(P2009−28775)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】