説明

電子タグラベル検査装置およびその電子タグラベル検査装置を用いた電子タグラベル貼着装置

【課題】電子タグラベル貼着装置における電子タグラベルの検査速度の高速化を図る。
【解決手段】電子タグラベル貼着装置1は台紙19に貼付された多数の電子タグラベル20を剥離位置Pbに搬送し、1枚ずつ剥離して各電子タグラベル20を順番に貼着位置Paまで搬送し、当該貼着位置Paで搬送される各ボトルBに貼着する。剥離位置Pbから貼着位置Paに搬送される各電子タグラベル20は第1電子タグラベル検査部15でデータの読み書き動作によって検査される。第1電子タグラベル検査部15はデータを三分割し、各分割データを3個のリーダ151A〜151Cでそれぞれ電子タグラベル20に書き込みと読み出しを行なう。電子タグラベル20書き込むべきデータを分割し、複数のリーダ151A〜151Cで電子タグラベル20に書き込むことにより読み書き時間を短くし、検査速度の高速化を図った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のPETボトル等の容器と多数の電子タグラベルとを順番にそれぞれ電子タグラベルの貼着位置に搬送し、各容器に電子タグラベルを貼着する電子タグラベル貼着装置とこの電子タグラベル貼着装置の電子タグラベルの搬送工程に用いられ、各電子タグラベルの検査を行なう電子タグラベル検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベアによって搬送される、薬品や飲料水などの液体商品をガラス瓶やPETボトル等の容器に収納した多数の製品(以下、「ボトル製品」という。)に、帯状の台紙に多数の粘着ラベルタイプの電子タグ(以下、「電子タグラベル」という。)を一列に貼り付けた電子タグロールを用いて各電子タグラベルをコンベアの所定の貼着位置に搬送し、各ボトル製品に貼着する電子タグラベル貼着装置が提案され(例えば、特許文献1〜3参照。)、商品化もなされている。
【0003】
電子タグは、通称トランスポンダ(transponder)と呼ばれるもので、非導電性の台紙(キャリアシート)の表面にリーダ(reader)との通信を行うトランスポンダのICチップ(チップ状のマイクロコンピュータ)とアンテナとが形成され、その上を絶縁層で保護した構成を有している。そして、電子タグラベルは、フレキシブルな絶縁シートからなるラベルをキャリアシートとしたもので、ラベルの機能とトランスポンダの機能を兼ね備えたものである。
【0004】
電子タグラベルの形状やICチップの通信方式及び周波数については様々のものが提案され、実用化されているが、(a)ラベル化や小型化が容易である、(b)アンテナの設計が容易である、(c)水や金属の影響を受け難い、などの理由により一般に電磁誘導方式により周波数13.56MHzで通信を行うタイプが物流システムや在庫管理などの電子タグラベルに利用されている。従って、上記のボトル製品にも電磁誘導方式により周波数13.56MHzで通信を行うタイプの電子タグラベルが適用される。
【0005】
電子タグラベル貼着装置は基本構成として、図22に示すように、電子タグロール(原反)から電子タグラベル201が所定の間隔で貼り付けられた台紙200を巻き取ることによって各電子タグラベル201を所定の剥離位置P1に供給する電子タグラベル供給部101と、剥離位置P1で台紙200から電子タグラベル201を剥離する電子タグラベル剥離部102と、剥離位置P1で剥離された電子タグラベル201を受け取り、ボトル搬送部104で搬送されるボトル製品Bの搬送経路上の所定の貼着位置P2に搬送して当該ボトル製品Bの表面(例えば、ボトル側面やボトル底面など)に貼着するラベル貼着部103と、を備えている。
【0006】
電子タグラベル201は柔軟で外部からの衝撃などに対して脆弱であるので、電子タグラベル貼着装置100には、例えば、電子タグラベル供給部101から電子タグラベル201をボトル搬送部103の貼着位置P2に搬送するまでの搬送経路上に電子タグラベル検査装置と電子タグラベル除去装置を設け、電子タグラベル検査装置によって各電子タグラベル201とデータの通信(読み書き動作)を行って電子タグラベル201の良否を判定し、正常にデータの読み書きができない不良の電子タグラベル201を電子タグラベル除去装置で排除する構成を設けることが好ましい。
【0007】
なお、電子タグラベル201の検査及び排除の工程を、ボトル製品Bを搬送するボトル搬送部104の電子タグラベル201の貼着位置P2よりも下流側に設け、ボトル製品Bに貼着された電子タグラベル201が不良である場合、そのボトル製品B(商品は良品でも電子タグラベル201が不良の製品)をボトル搬送部104から排除して後工程に搬送しないようにする構成としてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−204060号公報
【特許文献2】特開2005−259054号公報
【特許文献3】特開2005−335755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電子タグラベルの検査工程では、一般に、電子タグラベル検査装置のリーダ/ライタによって各電子タグラベルへのデータの書込み動作と読出し動作を行い、書き込んだデータと読み出したデータとをリーダ制御装置で照合して電子タグラベルの良否判定が行われる。この検査工程での処理時間には、リーダ/ライタのデータの読み書き処理の速度(特に書き込み速度)、データ量、リーダ/ライタと電子タグラベルとの距離及び電子タグラベルの搬送速度などが影響する。
【0010】
リーダ/ライタの読み書き処理の速度が速ければ検査処理が高速にでき、検査時間が短くなるのは明らかである。また、データ量が多いほどデータの読み書き処理や判定処理に時間がかかり検査時間が長くなるのは明らかである。
【0011】
リーダ/ライタと電子タグラベルとの距離による影響とは、電磁誘導方式の電子タグラベルはリーダ/ライタと電子タグラベルとを誘導電磁界を媒体として情報の通信を行う方式であるので、リーダ/ライタと電子タグラベルの距離が長いほど誘導電磁界の結合範囲が狭くなり、移動しながらの通信では通信できる時間が短くなるということである。また、電子タグラベルの搬送速度による影響とは、移動しながらの通信では電子タグラベルの搬送速度が速いほどリーダ/ライタの通信範囲を通過する時間が短くなり、リーダ/ライタと通信できる時間が短くなるということである。
【0012】
図23は、電子タグラベルに対するリーダ/ライタの通信範囲の一例を示す図である。リーダ/ライタ105の読取面Srに対して略半球状に通信範囲Cがあり、電子タグラベル201の表面(XY面)からの距離Dtが大きくなるほど移動方向(X方向)における通信範囲Xcが狭くなる。
【0013】
電子タグラベル201の検査工程では、電子タグラベル201の表面をリーダ/ライタ105の読取面Srと平行に相対移動させている期間にリーダ/ライタ105が電子タグラベル201に対してデータの読み書き処理を行うので、電子タグラベル201の移動速度が一定であれば、移動方向(X方向)における通信範囲Xcが狭いほどデータの読み書き処理の可能な時間が短くなり、通信範囲Xcが一定であれば、電子タグラベル201の移動速度が速いほどデータの読み書き処理の可能な時間が短くなる。従って、データの読み書き処理の可能な時間を可及的に長くするためには、電子タグラベル201の表面とリーダ/ライタ105との読取面Srの距離Dtを可及的に短くし、電子タグラベル201の搬送速度を所要範囲内で出来るだけ遅くする必要がある。
【0014】
ところで、物流分野や医療・薬品分野では個々の商品の生産から廃棄までの流れや使用状況や消費状況などを追跡し、商品のきめ細かい管理を行うシステムが構築されつつある。このため、物流システムや医療・薬品分野での薬品管理システムに適用される電子タグラベルに書き込まれるデータは増加する傾向にある。
【0015】
電子タグラベルに書き込まれるデータの量はボトル製品の種類によって異なるとともに、同じ種類のボトル製品であっても個々のボトル製品で異なり、さらには物流システムや商品システムにおけるサービスの充実化に応じてデータ量が増加する可能性がある。
【0016】
従って、このようなボトル製品に対する電子タグラベル貼着装置の電子タグラベルの検査工程では、電子タグラベルに書き込まれるデータ量の大小に応じてデータの読み書き及び良否判定の処理速度を変化させて柔軟に対応できることが強く要望される。
【0017】
また、ボトル製品のメーカでは、ボトル製品の需要増に応じて生産効率を上げるために、ボトル製品を搬送するコンベアの搬送速度を高速化する場合もあり、この場合には電子タグラベル貼着装置の電子タグラベルの搬送速度も高速化して対応する、すなわち、同じデータ量であっても相対的に検査工程における処理時間が短くなるのに応じてデータの読み書き及び良否判定の処理速度を柔軟に変化させて対応することが必要となる。
【0018】
上記のように、電子タグラベルの検査工程における処理速度は、リーダ/ライタのデータの読み書き及び良否判定の処理能力や電子タグラベルとリーダ/ライタとの距離や電子タグラベルの搬送速度の影響が大きいが、リーダ/ライタのデータの読み書き及び良否判定の処理能力は使用するリーダ/ライタの仕様によって決定され、電子タグラベルとリーダ/ライタとの距離や電子タグラベルの搬送速度は電子タグラベル貼着装置の仕様によって決定され、製品化された電子タグラベル貼着装置でこれらの要素を物理的に調整できる範囲は限られるので、データ量が増大した場合やコンベアの搬送速度が増加した場合に柔軟に対応することは困難である。
【0019】
上記の問題は、電子タグラベル貼着装置における電子タグラベルの検査工程だけでなく、コンベアの下流側に設けられたボトル製品に貼着済みの電子タグラベルに対する検査工程についても同様に言えることである。
【0020】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、電子タグラベルへの書き込みデータの増加や電子タグラベルが貼着されるボトル製品の搬送速度の高速化などによって電子タグラベルに対する検査時間が変動する場合にも電子タグラベルに対するデータの読み書き及び良否判定の処理速度を高速化して柔軟に対応することができる電子タグラベル検査装置及びその電子タグラベル検査装置を用いた電子タグラベル貼着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1に記載の発明は、搬送経路を順番に搬送される複数の電子タグラベルの各々に対して所定のデータの書き込みと読み出しとを行って各電子タグラベルの良否を検査する電子タグラベル検査装置であって、前記搬送経路に沿って順番に配置され、各配置位置を通過する前記電子タグラベルに対してデータの書き込み及び読み出しが可能な複数の電子タグラベル読書手段と、前記所定のデータを複数の分割データに分割し、前記複数の電子タグラベル読書手段の各々に各分割データの前記電子タグラベルへの書き込みと読み出しとを行わせるデータ読書制御手段と、分割データ毎に、前記電子タグラベルに書き込んだ書込データと読み出された読出データとを照合して前記電子タグラベルの良否を検査する電子タグラベル検査手段と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項2に記載の発明は、搬送経路を順番に搬送される複数の電子タグラベルの各々に対して所定のデータの書き込みと読み出しとを行って各電子タグラベルの良否を検査する電子タグラベル検査装置であって、前記搬送経路に沿って順番に配置され、各配置位置を通過する前記電子タグラベルに対してデータの書き込み又は読み出しが可能な複数の電子タグラベル読書手段と、前記所定のデータを複数の分割データに分割し、各分割データを前記複数の電子タグラベル読書手段の全て又は一部を用いて前記電子タグラベルに書き込ませた後、前記搬送経路の配置順が最後の電子タグラベル読書手段を用いて当該電子タグラベルから書き込まれた全ての分割データを読み出させるデータ読書制御手段と、前記電子タグラベルに分割して書き込んだ所定のデータと前記配列順が最後の電子タグラベル読書手段で読み出された全ての分割データを照合して前記電子タグラベルの良否を検査する電子タグラベル検査手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項2に記載の電子タグラベル検査装置において、前記複数の電子タグラベル読書手段のうち、前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段はデータの書き込みと読出しの両方が可能な電子タグラベル読書手段であり、他の電子タグラベル読書手段はデータの書き込みが可能な電子タグラベル読書手段であり、前記データ読書制御手段は、前記所定のデータを前記電子タグラベル読書手段の総数で分割し、各分割データを全ての電子タグラベル読書手段に割り当て、各電子タグラベル読書手段に各分割データの前記電子タグラベルへの書き込みを行わせた後、前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段に当該電子タグラベルから書き込まれた全ての分割データを読み出させるとよい(請求項3)。
【0024】
また、請求項2に記載の電子タグラベル検査装置において、前記複数の電子タグラベル読書手段のうち、前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段はデータの読出しが可能な電子タグラベル読書手段であり、他の電子タグラベル読書手段はデータの書き込みが可能でな電子タグラベル読書手段あり、前記データ読書制御手段は、前記所定のデータを前記電子タグラベル読書手段の総数よりも1つ少ない数で分割し、各分割データを前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段以外の電子タグラベル読書手段に割り当て、各電子タグラベル読書手段に各分割データの前記電子タグラベルへの書き込みを行わせた後、前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段に当該電子タグラベルから書き込まれた全ての分割データを読み出させるとよい(請求項4)。
【0025】
また、請求項2乃至4のいずれかに記載の電子タグラベル検査装置において、前記複数の電子タグラベルは商品を収容する容器に貼着されるラベルであり、前記搬送経路は、前記複数の電子タグラベルを前記容器への貼着位置に搬送するラベル搬送経路と前記貼着位置で前記電子タグラベルが貼着された前記容器を搬送する容器搬送経路とを含み、前記複数の電子タグラベル読書手段のうち、前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段は前記容器搬送経路に配置され、他の電子タグラベル読書手段は前記ラベル搬送経路に配置されているとよい(請求項5)。
【0026】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電子タグラベル検査装置において、前記所定のデータには前記電子タグラベルが貼着される商品に関する商品情報と前記電子タグラベルが貼着される商品を識別するための識別情報とが含まれ、前記データ読書制御手段は、前記識別情報が分割データとして割り当てられる電子タグラベル読書手段を制御する第1の制御手段と、前記商品情報が分割データとして割り当てられる電子タグラベル読書手段を制御する第2の制御手段とを含み、前記第1の制御手段はパーソナルコンピュータで構成され、前記第2の制御手段はプログラマブルロジックコントローラで構成されるとよい(請求項6)。
【0027】
請求項7に記載の発明は、一列に配列された多数の容器を各容器に粘着タイプの電子タグラベルを貼着するための所定の貼着位置に搬送する容器搬送手段と、多数の前記電子タグラベルが一列に貼り付けられた帯状の台紙を搬送することにより各電子タグラベルを所定の剥離位置に搬送する電子タグラベル搬送手段と、前記所定の剥離位置で前記台紙から各電子タグラベルを剥離する電子タグラベル剥離手段と、前記所定の剥離位置に対向配置され、前記電子タグラベル剥離手段で剥離された各電子タグラベルを受け取って前記貼着位置に搬送し、前記容器搬送手段で搬送された各容器に貼着する電子タグラベル貼着手段と、請求項1ないし4のいずれかに記載の電子タグラベル検査装置と、を備えた電子タグラベル貼着装置であって、前記電子タグラベル検査装置の複数の電子タグラベル読書手段は、前記電子タグラベル貼着手段が前記剥離位置で受け取った電子タグラベルを前記貼着位置まで搬送する搬送経路に沿って配置されていることを特徴とする。
【0028】
請求項7に記載の電子タグラベル貼着装置において、前記容器搬送手段と前記電子タグラベル検査装置との間に、前記電子タグラベル検査装置によって不良と判定された電子タグラベルを前記電子タグ貼着手段から除去する電子タグラベル除去手段が設けられているとよい(請求項8)。
【0029】
また、請求項7又は8に記載の電子タグラベル貼着装置において、前記電子タグ貼着手段は、前記電子タグラベルを吸着する吸着手段を備え、前記電子タグラベル剥離手段で剥離された前記電子タグラベルを前記吸着手段で吸着することによって受け取り、前記容器搬送手段で前記貼着位置に搬送された容器に前記吸着手段で吸着している当該電子タグラベルの粘着面を圧接させて当該容器に当該電子タグラベルを貼着させるものであり、前記吸着手段の前記電子タグラベルを吸着する部分は弾力性を有する弾性部材で構成されているとよい(請求項9)。
【0030】
また、請求項7乃至9のいずれかに記載の電子タグラベル貼着装置において、前記電子タグラベル貼着手段は、前記容器搬送手段で前記貼着位置に搬送された容器の底面に前記電子タグラベルを貼着するとよい(請求項10)。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、電子タグラベルが搬送される搬送経路に沿って複数の電子タグラベル読書手段を設ける一方、電子タグラベルに書き込むべきデータを複数の分割データに分割し、複数の電子タグラベル読書手段の各々で各分割データの電子タグラベルへの書き込みと読み出しとを行うので、各電子タグラベル読書手段の読み書き動作に要する時間を短くすることができ、電子タグラベルの検査速度の高速化が可能になる。
【0032】
特に、複数の電子タグラベル読書手段のうち、搬送経路の最後に配置される電子タグラベル読書手段以外の電子タグラベル読書手段をデータ書込専用とし、最後に配置される電子タグラベル読書手段をデータの読み書き両用若しくはデータの読出専用とすると、各電子タグラベルへのデータの書込み時間と読出し時間を効果的に短くすることができる。
【0033】
また、電子タグラベル読書手段のデータの読み書き速度の上限を予め高く設定しておくことにより、電子タグラベルに書き込むべきデータの量が増加したり、生産効率を上げるために電子タグラベルが貼着されるボトル製品の搬送速度が速く設定されたりすることで電子タグラベルに対する検査時間が短くなる場合にも確実に電子タグラベルの検査を行うことができる。
【0034】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る電子タグラベル貼着装置に含まれるボトル搬送部、電子タグラベル搬送部、電子タグラベル剥離部、電子タグラベル貼着部、電子タグラベル検査部及び電子タグラベル除去部の配置関係や各部の基本構成を示す図である。
【図2】電子タグラベルの原反の構成を示す斜視図である。
【図3】剥離プレートの一例を示す斜視図である。
【図4】小型長方形の電子タグラベルの一例を示す図である。
【図5】電子タグラベル貼着部の一例を示す図である。
【図6】電子タグラベル貼着部の電子タグラベルの吸着タイミングとその電子タグラベルのボトルへの貼着タイミングとの関係を説明するための図である。
【図7】電子タグラベルのメモリ構造の一例を示す図である。
【図8】リーダに対する電子タグラベルの相対的な位置と誘導電磁界の結合強度の関係を示す図である。
【図9】電子タグラベル検査部の複数台のリーダと複数台の制御装置の構成の変形例を示す図である。
【図10】第1電子タグラベル検査部の3台のリーダの配置関係を示す図である。
【図11】リーダ間に設定すべき間隔を説明するための図である。
【図12】第1電子タグラベル検査部の電器的構成を示すブロック図である。
【図13】電子タグラベル検査部の制御装置における第1の検査方法で電子タグラベルの検査を行なう場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】第1の検査方法で電子タグラベルの検査を行なう場合のリーダにおける分割データの電子タグラベルへの書き込み及び読み出しの処理手順を示すフローチャートである。
【図15】電子タグラベル貼着部の1個のアームが電子タグラベルを吸着し、貼着位置まで搬送してボトルに貼着するまでの期間におけるリーダの電子タグラベルへの分割データの読み書き処理を示すタイムチャートである。
【図16】電子タグラベル検査部の制御装置における第2の検査方法で電子タグラベルの検査を行なう場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】搬送経路の検査領域の構成とその検査領域に設けられる第2電子タグラベル検査部の3台のリーダの配置関係を示す図である。
【図18】電子タグラベルを検査する構成の変形例を示す図である。
【図19】ボトルを横向きにして搬送する場合の電子タグラベル貼着装置を上から見た基本構成を示す図である。
【図20】箱詰めのボトル商品を立てた状態で一括して各ボトル商品の電子タグラベルを検査する工程の構成を示す概略図である。
【図21】箱詰めのボトル商品を横向きにした状態で一括して各ボトル商品の電子タグラベルを検査する工程の構成を示す概略図である。
【図22】電子タグラベル貼着装置の基本的なブロック構成を示す図である。
【図23】電子タグラベルに対するリーダ/ライタの通信範囲の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0037】
本発明に係る電子タグラベル貼着装置は、
(1)帯状の台紙に多数の粘着ラベルタイプの電子タグ(以下、「電子タグラベル」という。)が所定の間隔で一列に貼り付けられた電子タグのロール部材(原反)から台紙を巻き取ることによって連続的に電子タグラベルを供給する部分(以下、「電子タグラベル供給部」という。)
(2)電子タグラベルが貼着される多数のボトルタイプの容器(以下、「ボトル」という。)を搬送する部分(以下、「ボトル搬送部」という。)
(3)原反から台紙を巻き取ることによって搬送される各電子タグラベルを所定の剥離位置で台紙から剥離する部分(以下、「電子タグラベル剥離部」という。)
(4)台紙から剥離された電子タグラベルをボトル搬送部の搬送経路上に設けられた電子タグラベルの貼着位置に搬送し、当該貼着位置に搬送されたボトルに貼着する部分(以下、「電子タグラベル貼着部」という。)
(5)電子タグラベル貼着部が電子タグラベルを剥離位置から貼着位置に搬送している間に当該電子タグラベルに書き込むべき所定のデータを書き込む動作と書き込んだデータを読み出す動作を行い、書き込んだデータ(以下、「書込データ」という。)と読み出したデータ(以下、「読出データ」という。)を照合することにより電子タグラベルの良否を検査する部分(以下、「電子タグラベル検査部」という。)
(6)電子タグラベル検査部によって不良と判定された電子タグラベルを電子タグラベル貼着部が貼着位置に搬送する前に除去する部分(以下、「電子タグラベル除去部」という。)
を有機的に結合し、多数のボトルを搬送しながら貼着位置で各ボトルに正常な電子タグラベルを貼着する装置である。
【0038】
図1は、本発明に係る電子タグラベル貼着装置に含まれるボトル搬送部、電子タグラベル供給部、電子タグラベル剥離部、電子タグラベル貼着部、電子タグラベル検査部及び電子タグラベル除去部の配置関係や各部の基本構成を示す図である。図1(a)は上から見た構成図、図(b)は横から見た要部の構成図である。
【0039】
ボトルの電子タグラベルの貼着部位にはボトル側面とボトル底面とがあるが、図1に示す電子タグラベル貼着装置1は、ボトル底面に電子タグラベルを貼着する装置である。
【0040】
また、ボトル底面に電子タグラベルを貼着する方法にはボトル底面を縦(垂直)にして電子タグラベルの粘着面を横方向からボトル底面に押し付けて貼着する方法とボトル底面を横(水平)にして電子タグラベルの粘着面を上下方向からボトル底面に押し付けて貼着する方法があるが、図1に示す電子タグラベル貼着装置1は、後者の方法でボトル底面に電子タグラベルを貼着する装置である。
【0041】
電子タグラベル貼着装置1は、図1(a)において、ボトルBを立てた状態で右側から左側に直線的に搬送するボトル搬送部11を有する。ボトル搬送部11の搬送経路111の途中にボトルBに電子タグラベル20を貼着するためのラベル貼着領域111Aが設けられ、そのラベル貼着領域111Aよりも下流側にボトルBに貼着された電子タグラベルの検査を行うラベル検査領域111Bが設けられている。ラベル貼着領域111Aの上流側と、ラベル貼着領域111Aとラベル検査領域111Bの間と、ラベル検査領域111Bの下流側にはそれぞれボトルBを搬送するベルトコンベアが設けられている。
【0042】
ラベル貼着領域111Aの略中央に電子タグラベルの貼着位置Paが設定されている。図1(b)に示すように、貼着位置Paの下部に電子タグラベル供給部12、電子タグラベル剥離部13、電子タグラベル貼着部14、第1電子タグラベル検査部15および電子タグラベル除去部16が配置されている。電子タグラベル貼着部14は貼着位置Paの真下に配置され、電子タグラベル貼着部14の左下側に電子タグラベル供給部12が配置されている。
【0043】
また、電子タグラベル貼着部14の下側乃至右下側に電子タグラベル貼着部14に沿って第1電子タグラベル検査部15が配置され、第1電子タグラベル検査部15の上側に電子タグラベル除去部16が配置されている。
【0044】
搬送経路111のラベル貼着領域111AではボトルBの底面に下側から電子タグラベル20が貼着されるので、ラベル貼着領域111Aの上流側及び下流側のベルトコンベアとは異なり、ボトルBの側面を挟んで下流側に搬送するボトル搬送装置112が設けられている。ボトル搬送装置112は、搬送経路111の両側に一対のローラ112a,112a’と一対のローラ112b,112b’をそれぞれ配置し、ローラ112aとローラ112a’の間とローラ112bとローラ112b’の間とにそれぞれ縦向きに2つの無端ベルト112c,112dを巻き付けた構成を有する。ローラ112a,ローラ112a’はラベル貼着領域111Aの両端にそれぞれ配置され、ローラ112b,ローラ112b’もラベル貼着領域111Aの両端にそれぞれ配置されている。
【0045】
ローラ112a,112a’は図略の駆動モータにより、図1(a)において時計回りに回転される。ローラ112b,112b’も図略の駆動モータにより、図1(a)において反時計回りに回転される。ローラ112a,112a’の駆動モータとローラ112a,112a’の駆動モータは無端ベルト112cと無端ベルト112dの回転速度が同一となるように駆動が制御される。
【0046】
2つの無端ベルト112c,112dの搬送経路111を臨む面は略平行になっており、この2つのベルト面でボトルBを挟み、図1(a)において、上側の無端ベルト112cが時計回りに回転し、下側の無端ベルト112dが反時計回りに回転することによってボトルBが右側から左側に搬送される。
【0047】
搬送経路111のラベル貼着領域111Aの入口には、搬送経路111上を連続して移動してくる多数のボトルBを1個ずつピックアップしてボトル搬送装置112に受け渡す円盤状の第1の受渡部材113が設けられている。また、搬送経路111のラベル貼着領域111Aの出口には、ラベル貼着領域111A上をボトル搬送装置112によって所定の間隔で搬送されるボトルBをそれぞれピックアップして搬送経路111に送り出す円盤状の第2の受渡部材114が設けられている。
【0048】
第1の受渡部材113の周縁には等間隔で4個の半円形の凹溝113aが形成されている。第2の受渡部材114の周縁にも同様の凹溝114aが形成されている。凹溝113a,114aの直径はボトルBの直径と略同じサイズである。第1の受渡部材113は、搬送経路111上を移動してくるボトルBを凹溝113aに嵌め込んで1本ずつ所定の間隔で搬送部材112に受け渡す。また、第2の受渡部材114はボトル搬送装置112で搬送されるボトルBを凹溝114aに嵌め込んでラベル貼着領域111Aの下流側の搬送経路上111に送り出す。
【0049】
なお、第1の受渡部材113の回転数をN1(回/分)とすると、1分間に第1の受渡部材113からラベル貼着領域111Aに供給されるボトル数は4×N1個であるから、ラベル貼着領域111Aに供給されるボトルBの時間間隔TBはTB=1/(4×N1)(分)となる。ボトル搬送装置112のボトル搬送速度をV1(m/分)とすると、ラベル貼着領域111Aにおけるボトル間隔LBは、LB=V1/(4×N1)(m)となる。
【0050】
貼着位置Paにおける1分間当たりのボトルBへの電子タグラベル20の貼着数をNaとすると、Na=V1/LB=4×N1(個)となる。従って、第1,第2の受渡部材113,114の回転数N1を大きくするほど、単位時間当たりの貼着数Naを大きくすることができる。但し、ボトルBの直径をRB(m)とすると、RB≦LB=V1/(4×N1)=V1/Naでなければならないから、RB×Na≦V1を満たす必要がある。
【0051】
電子タグラベル供給部12は、帯状の台紙19に多数の電子タグラベル20を所定の間隔で一列に貼付した電子タグラベルのロール材121(電子タグラベルの原反。以下、「原反121」という。図2参照)と、この原反121から台紙19を引き出して巻き取る巻取ローラ122と、原反121から巻取ローラ122までの間の台紙19の搬送経路を形成する図略のガイド部材とを含む。巻取ローラ122は図略の駆動モータによって回転駆動される。
【0052】
後述するように、電子タグラベル貼着部14は低背の円筒形状をなしており、電子タグラベル貼着部14の中心から貼着位置Paの方向に対して、図1(b)において左側に凡そ120°開いた方向の所定の位置に台紙19から電子タグラベル20を剥離する剥離位置Pbが設定されている。
【0053】
原反121から引き出された台紙19の搬送経路は剥離位置Pbを通って巻取ローラ122に到るように形成され、その剥離位置Pbに台紙19から電子タグラベル20を剥離する電子タグラベル剥離部13を構成する剥離プレート131が配置されている。剥離プレート131は、図3(a)に示すように、帯状の板部材からなり先端部の片面にテーパ131aが形成されている。テーパ131aの形成されていない面が台紙19のガイド面である。テーパ131aは、剥離プレート131の先端に台紙19の搬送方向を鋭角に急変させる部分にエッジを形成するものである。
【0054】
台紙19に貼付された各電子タグラベル20は、当該台紙19の搬送によって搬送されるが、図3(b)に示すように、台紙19の搬送方向は剥離プレート131の先端で鋭角に近い角度に急変され、各電子タグラベル20だけが直進する動作をするので、これにより各電子タグラベル20は台紙19から剥離される。すなわち、剥離プレート131の先端で台紙19を各電子タグラベル20に対して折り曲げるような動作をさせることによって各電子タグラベル20を台紙19から剥離する。なお、剥離プレート131の先端にローラを設けて台紙19のすべりを良好にし、台紙切れを防止するようにしてもよい。
【0055】
電子タグラベル20は、円形のボトル底面に貼着されるので、図4に示すように、表面に商品名やメーカやバーコードなどの情報を印字するためのラベル面20aが形成され、裏面にICチップとコイルとからなるトランスポンダ20bが埋設され、裏面の最上層に粘着層が形成された小型長方形のラベルである。電子タグラベル20は、例えば、20mm×30mmのサイズを有する。なお、電子タグラベル20の形状はこれに限定されるものではなく、円形ラベルを用いることもできる。
【0056】
トランスポンダ20bは、コイルを電磁誘導方式によりリーダ/ライタのコイルと電磁的に結合し、伝送すべきデータのデジタル信号で13.56MHzのキャリア信号を変調したデジタル変調信号(例えば、ASK(Amplitude shift keying)信号やFSK(Frequency shift keying)信号)をリーダ/ライタとの間で伝送するタイプである。ICチップには、例えば、112バイトのメモリ容量を有するEEPROMが内蔵されており、リーダ/ライタによって伝送されるデータはそのEEPROMに記憶される。
【0057】
図1に戻り、電子タグラベル貼着部14は、剥離位置Pbで電子タグラベル剥離部13により台紙19から剥離された電子タグラベル20を吸着し、貼着位置Paで当該電子タグラベル20をボトルBの底面に押し当てることによりボトル底面に貼着する。電子タグラベル貼着部14は、例えば、図5に示すように、低背の円筒状の本体141の側面に所定数(本実施形態では6個、図1(b)参照)のアーム142が放射状に突設された構造を有している。
【0058】
各アーム142の先端部にはゴムやウレタン、シリコンなどの樹脂からなる弾性部材142aが取り付けられている。各アーム142の先端部を弾性部材142aとしているのは、電子タグラベル20をボトルBの底面に押し当てたときのボトルBからの反力を吸収するためである。各アーム142の中心軸上に細管142bが形成され、この細管142bの基端側は本体141の内部に形成された空間(真空室)に連通し、先端側は樹脂部材142の先端面142cから外部に連通している。なお、アーム142の形状は円筒状に限定されるものではなく、角柱状であってもよい。
【0059】
なお、図1(b)には示していないが、貼着位置Paの上方には、電子タグラベル貼着部14により電子タグラベル20をボトルBに押し当てた際にボトルBが浮動しないように当該ボトルBの頭部に当接して上方移動を禁止する当接部材が設けられている。当接部材は、例えば、回転可能に支持されたローラで構成され、そのローラの周面がボトルBの頭部に当接するように配置される。図1(b)において、ボトルBが貼着位置Paを右側から左側に通過するときにローラの周面が当該ボトルBの頭部に当接するが、ボトルBの移動に応じてローラが時計回りに回転するので、当該ローラがボトルBの移動を阻害することはない。
【0060】
図5に戻り、本体141の一方面には吸引管144が回転可能に取り付けられ、この吸引管144は本体141の内部に形成された空洞(真空室)に連通している。吸引管144には図略の真空ポンプが接続され、その真空ポンプで吸引することにより電子タグラベル20が各アーム142の先端面142cに吸着される。従って、各アーム142の先端面142cは電子タグラベル20の吸着面として機能する。また、各アーム142の先端面142cは電子タグラベル20をボトルBに貼着するときには押当て面として機能する。
【0061】
本体141の他方面には回転軸143が設けられ、この回転軸143は図略の駆動モータのロータに連結されている。電子タグラベル貼着部14の回転速度は、ボトル搬送装置112によって搬送されるボトルBが貼着位置Paを通過するとき、電子タグラベル貼着部14の各アーム142の先端面142cが貼着位置Paを通過するように制御される。
【0062】
図6は、電子タグラベル貼着部14の電子タグラベル20の吸着タイミングとその電子タグラベル20のボトルBへの貼着タイミングとの関係を説明するための図である。
【0063】
同図は、電子タグラベル貼着部14の6個のアーム142を識別するために「A1」〜「A6」の符号を付し、アームA1が貼着位置Paでn番目のボトルBに電子タグラベル20を貼着したタイミングから、次のアームA2が貼着位置Paで(n+1)番目のボトルBに電子タグラベル20を貼着するタイミングまでのボトル搬送部11、電子タグラベル供給部12及び電子タグラベル貼着部14の各部の動作を模式的に示している。
【0064】
図6に示すように、本実施形態に係る電子タグラベル貼着装置1は、ボトル搬送装置112がボトル間隔LB=V1/(4×N1)(m)の多数のボトルBを速度V1(m/分)で順番に貼着位置Paに搬送する一方、電子タグラベル貼着部14は6個のアームA1〜A6によって多数の電子タグラベル20を順番に貼着位置Paに搬送し、ボトル搬送装置112によって搬送される各ボトルBと電子タグラベル貼着部14の各アームA1〜A6を同じタイミングで貼着位置Paを通過させることによって電子タグラベル貼着部14の各アームA1〜A6で搬送される電子タグラベル20をボトル搬送装置112によって搬送される各ボトルBに貼着する構成である。
【0065】
本体141の1分間当たりの回転数をM(回/分)、本体141に突設されたアーム142の数をkとすると、1分間に貼着位置Paを通過するアーム142の数はk×Mである。従って、アーム142が貼着位置Paを通過する間隔TAは1/(k×M)(分)となる。本体141の中心からアーム142の貼着面142cまでの距離をR1(m)とすると、間隔TAでアーム142が移動する距離LAは、LA=2πR1/k(m)となる。本実施形態では、k=6であるから、LA=πR1/3≒R1(m)となる。
【0066】
そして、距離LAはラベル貼着領域111Aにおけるボトル間隔LB=V1/Naと同一でなければならないから、R1=V1/Naより、V1=R1×Naとなる。例えば、R1=0.2(m)、Na=100(個/分)とすると、ボトル搬送装置112のボトル搬送速度V1は、V1=0.2×100=20(m/分)となる。また、第1の受渡部材113の回転数N1は、N1=Na/4=25(回/分)となる。
【0067】
また、図6(a)に示すように、剥離位置Pbは、アームA1が貼着位置Paに位置するとき、アームA4が対向する位置に設定されているので、アームA4が剥離位置Pbで電子タグラベル20を吸着するタイミングは、アームA1が貼着位置PaでボトルBに電子タグラベル20を貼着するタイミングと略同一となる。従って、任意のアーム142の電子タグラベル20の吸着動作とボトルBへの貼着動作に注目すれば、アーム142は剥離位置Pbで電子タグラベルク20を吸着したタイミングから4×TAだけ時間が経過したときに貼着位置Paに到達し、吸着した電子タグラベル20をボトルBに貼着する動作を繰り返す。
【0068】
ところで、電子タグラベル貼着部14が電子タグラベル20をボトルBに貼着する周期TAは1/(k×M)=1/(6×M)(分)である。図6の配置関係によれば、電子タグラベル貼着部14の各アーム142が剥離位置Pbを通過する周期Tb、すなわち、電子タグラベル20を吸着する周期Tbは貼着周期TAと同一である。台紙19における電子タグラベル20のラベル間隔をLd(m)とすると、台紙19により搬送される電子タグラベル20は、剥離周期Tb=1/(6×M)(分)の間にラベル間隔Ldだけ移動させる必要がある。従って、台紙19の巻取速度をVd(m/分)とすると、その巻取速度VdはVd=Ld/(1/(6×M))=6×M×Ld(m/分)に調整される。
【0069】
図1に戻り、第1電子タグラベル検査部15は、電子タグラベル20に書き込むべきデータ(当該電子タグラベル20が貼着されるボトルBの商品に関するデータ)を実際に電子タグラベル20に書き込んだ後、そのデータを読み出し、読み出しデータと書き込みデータが一致するか否かにより電子タグラベル20の良否を判定するものである。
【0070】
第1電子タグラベル検査部15は、電子タグラベル20にデータの書き込み及び読み出しを行う3台のリーダ/ライタ151A,151B,151C(以下、リーダ/ライタを「リーダ」と略称する。)とこれらの読み書き動作を制御する1台のリーダ制御装置152とによって構成されている。リーダ151A〜151Cは、ISO15693,14443規格に準拠した誘導電磁界方式により13,56MHzのキャリア周波数で電子タグラベル20にデータの書き込みや読み出しを行う専用の通信装置である。リーダ制御装置152はリーダ151A〜151Cの電子タグラベル20とのデータ通信を制御する装置である。
【0071】
リーダ制御装置152はプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller 以下、「PLC」という。)で構成されている。リーダ制御装置152にはリーダ151A〜リーダ151Cが接続され、リーダ制御装置152はこれら3台のリーダ151A〜151Cのデータの読み書き動作を制御する。
【0072】
なお、電子タグラベル20に書き込まれるデータには商品に関する情報(以下、「商品情報」という。)と各ボトルBを他のボトルBと識別するための情報(以下、「識別情報」という。)が含まれており、識別情報はデータベースによって管理すべきデータであるので、図9(a)に示すように、例えば、商品情報の読み書きを行うリーダ151A,151Bに対してはPLCを制御装置とし、識別情報の読み書きを行うリーダ151Cに対してはパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)を制御装置とするようにしても良い。もちろん、図9(b)に示すように、リーダ151A〜リーダ151Cのリーダ制御装置152を共通のPCで構成してもよく、図9(c)に示すように、リーダ151A〜リーダ151Cの各リーダ制御装置152A〜リーダ152Cを全て個別のPCで構成してもよく、書き込む情報の種類のよっては全て個別のPLCで構成しても良い。
【0073】
第1電子タグラベル検査部15を3台のリーダ151A,151B,151Cと1台のリーダ制御装置152とで構成しているのは、電子タグラベル20の検査処理の高速化を図るためである。13.56MHzのような短波帯(HF(High-Frequency)のキャリア信号を用いた電子タグラベル20のEEPROMは、図7に示すように、メモリ領域が1ブロック当たり4バイトのデータ容量で多数のブロックに分割されたメモリ構造を有している。一般に、識別情報は先頭のブロックから所定の範囲のブロックに記録され、商品情報はそれ以降の領域に記録される。図7の例では、ブロックNo.0〜No.6の範囲に識別情報が記録され、ブロックNo.7〜No.25の範囲に商品情報が記録される。
【0074】
図7の例では、電子タグラベル20のEEPROMのメモリ容量が112バイトであるが、そのメモリ容量をフルに活用して商品情報が記録される場合、第1電子タグラベル検査部15を1台のリーダ151Aだけで構成する場合は、電子タグラベル20がリーダ151Aの読取面(検査位置に相当)を通過している期間に112バイトのデータの書き込みと読み出しを行う必要がある。
【0075】
図8は、リーダ151Aに対する電子タグラベル20の相対的な位置と誘導電磁界の結合強度の関係を示す図である。同図(a)は、リーダ151Aのコイル151(アンテナ)の中心Oと電子タグラベル20のコイル201(アンテナ)の中心O’とが軸方向に距離Dtを離して同軸上にある場合を示し、同図(b)は、両コイル151,201の一部が重複する範囲内でコイル201の中心O’がコイル151の中心Oに対して右方向に距離Ltだけずれた場合を示し、同図(c)は、両コイル151,201が重複しない距離までコイル201の中心O’がコイル151の中心Oに対して右方向に距離Ltだけずれた場合を示している。なお、図8では、説明の便宜上、リーダ151Aのコイル151と電子タグラベル20のコイル201を同一径の円形コイルとしている。
【0076】
図8に示すコイル151とコイル201を鎖交する誘導電磁界Hの密度から明らかなように、コイル151の中心Oに対するコイル201の中心O’の横方向の距離Ltが長い程、誘導電磁界Hの結合が弱くなる。従って、距離Ltが長くなると、コイル151とコイル201との結合が不十分になり、データ伝送ができなくなるから、距離Ltには通信可能な範囲が存在する。
【0077】
一方、コイル151の中心Oに対するコイル201の中心O’の横方向の距離Ltが同一であっても距離Dt(以下、この距離を「リード間隔」という。)が大きくなる程、誘導電磁界Hの結合が弱くなる。そして、誘導電磁界Hの結合が強い程通信可能な距離Ltの範囲が広くなる。従って、リード間隔Dtにも通信可能な距離Ltの範囲を可及的に広くすることができる範囲が存在する。
【0078】
ところで、ボトル搬送装置112によりボトル搬送速度V1=20(m/分)でボトルBを貼着位置Paに搬送して毎分100本の電子タグラベル20を貼着する場合、ボトルBの貼着位置Paへの搬送周期TBはTB=1/(4×N1)(分)であり、4×N1=100である。一方、電子タグラベル貼着部14により電子タグラベル20の貼着位置Paへの搬送周期TAはTA=1/(6×M)(分)である。TA=TBであるから、4×N1=6×Mとなり、電子タグラベル貼着部4の回転数MはM=100/6≒16.7(回/分)となる。
【0079】
電子タグラベル貼着部14の本体141の中心から各アーム142の貼着面142cまでの距離がR1(m)の場合、電子タグラベル貼着部14の各アーム142の貼着面142cの周速度(電子タグラベル20を搬送する速度)V2は、V2=2πR1×M=2πR1×100/6≒104.7×R1(m/分)となる。従って、電子タグラベル貼着部14を可及的に小型化を図ってR1=10cmで設計したとすると、V2≒10.5(m/分)となる。
【0080】
一方、出願人が市販されているリーダとメモリ容量112バイトの電子タグラベルを用いて64バイトのデータが書き込み可能な電子タグラベルの搬送速度の最大速度を確認したところ、およそ8.5m/分であり、例えば、R1=10cmで設計した場合の搬送速度V2=10.5(m/分)で搬送すると、1台のリーダ151Aだけでは電子タグラベルの搬送速度が速すぎて64バイトのデータの読み書きを行うことができないことが分かった。
【0081】
例えば、電子タグラベル貼着部14の距離R1を10cmよりも小さくしたり、電子タグラベル貼着部14のアーム142の本数kを6個よりも多くしたりすると、電子タグラベル20の搬送速度V2を低下させることができるので、1台のリーダ151Aでも64バイトのデータの読み書きは可能になるが、生産能力を上げるためにボトルBへの電子タグラベル20の貼着速度を100(本/分)よりも多くする必要が生じた場合は、電子タグラベル貼着部14の距離R1やアーム142の本数kは容易に変更できないので、柔軟に対応することができない。
【0082】
また、ボトルBの生産能力は同一であっても112バイトよりも大容量のEEPROMを有する電子タグラベル20が使用され、112バイトよりも大きいデータを書き込む必要が生じた場合にも1台のリーダ151Aではデータの読み書きはできず、柔軟に対応することができない。
【0083】
このため、本実施形態に係る電子タグラベル貼着装置1では、第1電子タグラベル検査部15を3台のリーダ151A,151B,151Cによって構成し、電子タグラベル20に書き込むべきデータを3分割して3台のリーダ151A,151B,151Cで各分割データをそれぞれ電子タグラベル20に読み書きすることによってリーダ1台当たりの検査時間を短くし、電子タグラベル20に書き込むべきデータの増加やボトル製品の生産能力の増加によって電子タグラベル検査部15の処理時間が短くなる場合にも柔軟に対応できるようにしている。
【0084】
具体的には、本実施形態では電子タグラベル20に書き込むべきデータのデータ容量を104バイトとすると、そのデータ容量を3つ(例えば、識別情報28バイト、第1の商品情報38バイト、第2の商品情報38バイト)に分割し、各分割データを3つのリーダ151A,151B,151Cでそれぞれ読み書きするようにしている。
【0085】
図10は、3個のリーダ151A,151B,151Cの位置関係を示す図である。3個のリーダ151A,151B,151Cは、電子タグラベル貼着部14の各アーム142によって搬送される電子タグラベル20の搬送経路Kに沿って所定の間隔Ldで配設されている。また、3個のリーダ151A,151B,151Cは、各読取面151a,151b,151cが搬送経路Kに対してリード間隔Dt(本実施形態では5mm)だけ離れた経路K’に沿うように配設されている。
【0086】
リーダ151Aの読取面Sraにおける通信範囲Cは、図11(a)に示すように、読取面Sraよりも大きい円形となる。リーダ151B,151Cの読取面Srb,Srcにおける通信範囲Cについても同様である。従って、リーダ151A、リーダ151B及びリーダ151Cの配設間隔Ldが通信範囲Cよりも狭い場合は、同一の電子タグラベル20に対して2個のリーダが同時に通信可能となり、混信を生じることになるので、配設間隔Ldは通信範囲Cよりも広くする必要がある。すなわち、図11(b)に示すように、配設間隔Ldは少なくとも(リーダ151Aの読取面Sraの通信範囲CのX軸方向の距離Xc+電子タグラベル20のX軸方向のサイズXt)よりも大きくする必要がある。
【0087】
例えば、リーダ151A,151B,151Cの通信範囲CのX軸方向の距離Xcを6.5cmとすると、電子タグラベル20のX軸方向のサイズXtは3.0cm(図4(a)参照)であるから、配設間隔Ldは9.5cm以上に設定する必要がある。図10は配設間隔Ldを凡そ10cmとした場合の例であり、リーダ151Aは剥離位置Pbの方向を基準として時計周りに凡そ45°開いた方向に配設されている。リーダ151Bはリーダ151Aに対して経路K’上で約10cm離れた位置(時計周りに凡そ55°開いた方向の位置)に配設され、リーダ151Cはそのリーダ151Bに対して経路K’上で約10cm離れた位置(時計周りに凡そ55°開いた方向の位置)に配設されている。なお、3個のリーダ151A,151B,151Cの相互の間隔Ldは10cmよりも長くすることができる。
【0088】
図12は、第1電子タグラベル検査部15の電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、リーダ制御装置152は、その内部にCPU(Central Processing Unit)152a、ROM(Read Only Memory)152b、RAM(Random Access Memory)152c、I/F152d,152eなどを含み、I/F152dを介して外部にキーボードなどの入力装置152fが接続されている。また、I/F152eを介して3個のリーダ151A,151B,151Cが接続されている。入力装置152fからはユーザによって電子タグラベル20に書き込むべきデータやそのデータの分割数、各分割データの内容などの情報が入力される。
【0089】
ROM152bには、入力装置152dから入力された情報に基づき、データを3分割して各分割データをリーダ151A〜151Cに割り当て、各リーダ151A〜151Cによって分割データの電子タグラベル20への読み書きを行わせて当該電子タグラベル20の良否を判定するための制御プログラムが記憶されている。CPU152aはRAM152cを用いてROM152bに記憶されている制御プログラムを実行する。RAM152cは、CPU152aの処理のための作業領域を提供するが、電子タグラベル20に書き込むべきデータのデータベースとしても機能する。
【0090】
複数のリーダを用いて電子タグラベル20の検査を行なう場合、
(1)リーダ151A〜151Cでそれぞれ分割データの読み書きを行ない、分割データ毎にリーダ制御装置152でデータ照合を行ない、良否を判定する方法(第1の検査方法)
(2)リーダ151A,151Bを書込み専用のリーダとし、リーダ151Cをデータの書き込みと全データの読み出しを行う読み書き両用のリーダとし、リーダ151A〜151Cでそれぞれデータを分割して書き込み、最後のリーダ151Cで全データを読み出してリーダ制御装置152で電子タグラベル20の良否を判定する方法(第2の検査方法)
(3)リーダ151A,151Bを書込み専用のリーダとし、リーダ151Cを電子タグラベル20から全データを読み出す読出し専用のリーダとし、リーダ151A,151Bでそれぞれデータを分割して書き込み、最後のリーダ151Cで全データを読み出してリーダ制御装置152で電子タグラベル20の良否を判定する方法(第3の検査方法)
の3種類の検査方法がある。
【0091】
電子タグラベル20へのデータの読み書き処理ではデータの書込み処理の方が読出し処理やデータ照合による良否判定処理よりも時間を要するので、リーダによって書込み処理と読出し処理を分担する第2,第3の検査方法は有効である。
【0092】
図13は、第1の検査方法で電子タグラベルの検査を行なう場合の処理手順を示すフローチャートである。第1の検査方法では、リーダ151A〜151Cはデータの書き込みと読出しの両方が可能なリーダが使用される。
【0093】
CPU152aは、図13に示すフローチャートに従って電子タグラベルの検査処理を行う。なお、図13のフローチャートが実行される前には入力装置152fから電子タグラベル20に書き込むべきデータが入力され、RAM152cに格納されている。
【0094】
CPU152aは、電子タグラベル20の検査処理を開始すると、先ず、RAM152cのデータベースから電子タグラベル20に書き込むべきデータをRAM152cの作業領域にロードする(S1)。続いて、CPU152aは、そのデータを3個の分割データに分割し(S2)、第1の分割データ(例えば、識別情報)をリーダ151Aにセットし、第2の分割データ(例えば、商品情報の前半部分)をリーダ151Bにセットし、第3分割データ第3の分割データ(例えば、商品情報の後半部分)をリーダ151Cにセットする(S3)。
【0095】
リーダ151A〜151Cは制御装置15により第1〜第3の分割データがそれぞれセットされた後、電子タグラベル20が通信範囲Xcを通過している期間に当該電子タグラベル20への書込み動作を行なう。リーダ151A〜151Cは電子タグラベル20にそれぞれ第1〜第3の分割データを書き込むと、当該電子タグラベル20から書き込み完了の信号が返送されるので、その書き込み完了の信号を受けて電子タグラベル20から書き込んだ第1〜第3の分割データをそれぞれ読み出し、リーダ制御装置152に返送する。電子タグラベル20から書き込み完了の信号が返送されなければ、その時点で書き込みエラーが判別できるので、第1〜第3の分割データの読み出しを行うことなく、リーダ制御装置152に書込みエラーの信号を送信する。
【0096】
CPU152aは、リーダ151A〜151Cに第1〜第3の分割データをそれぞれセットした後、3個のリーダ151A〜リーダ151Cからデータ(電子タグラベル20から読み出される第1の分割データ〜第3の分割データ)もしくは書込みエラー信号が送信されるか否かを監視する(S4〜S9のループ処理)。
【0097】
リーダ151A〜151Cは、電子タグラベル貼着部14により電子タグラベル20が各自の通信範囲Xc内に搬送されなければ、当該電子タグラベル20への第1〜第3の分割データの書込み動作と当該電子タグラベル20からの第1〜第3の分割データの読出し動作とができないので、ステップS4〜S9のループ処理は、電子タグラベル貼着装置1がボトルBの生産を開始し、電子タグラベル貼着部14により多数の電子タグラベル20が順番に貼着位置Paに搬送されている状態で、リーダ151A〜151Cから読み出される読出データもしくは書込みエラー信号が返送されてくるか否かを監視する処理に相当する。
【0098】
CPU152aは、リーダ151A〜151Cから読出データがそれぞれ送信されると(S5,S7,S9でYES)、リーダ151Aから送信された読出データをリーダ151Aにセットした第1の分割データと照合して両者が一致するか否かを判定する(S10,S11)。同様に、CPU152aは、リーダ151Bから送信された読出データをリーダ151Bにセットした第2の分割データと照合して両者が一致するか否かを判定し、リーダ151Cから送信された読出データをリーダ151Cにセットした第3の分割データと照合して両者が一致するか否かを判定する(S10,S11)。
【0099】
CPU152aは、第1の分割データ〜第3の分割データのいずれかが読出データと不一致であると判定すると(S11:NO)、電子タグラベル20は不良品と判定し、不良品の判定信号を出力して(S12)、ステップS4に戻る。一方、CPU152aは、第1の分割データ〜第3の分割データのいずれも読出データと一致していると判定すると(S11:YES)、電子タグラベル20は良品と判定し、ステップS12の処理をすることなく、ステップS4に戻る。
【0100】
また、CPU152aは、リーダ151A〜151Cのいずれかから書込みエラー信号が送信されると(S4,S6,S8でYES)、電子タグラベル20は不良品と判定し、不良品の判定信号を出力して(S13)、ステップS4に戻る。
【0101】
なお、不良品の判定信号は電子タグラベル除去部15に入力され、リーダ151Cの下流側で当該電子タグラベル除去部15による電子タグラベル20の除去の制御に利用される。
【0102】
図14は、リーダ151A〜151Cが行う分割データの電子タグラベル20への読み書きの処理手順を示すフローチャートである。図14のフローチャートは、リーダ151A〜151Cに共通の処理手順であるので、以下の説明では、リーダ151Aの処理として説明する。
【0103】
リーダ151Aは、所定の周期で電子タグラベル20に対して通信要求を出力している。電子タグラベル20は、リーダ151Aの通信範囲内に入ると、リーダ151Aから出力される誘導電磁界によって活性化し、リーダ151Aからの通信要求を受信してその通信要求に対する応答を行う。従って、リーダ151Aは、電子タグラベル20から応答信号が受信できたか否かを監視している(S20)。
【0104】
リーダ151Aは、電子タグラベル20から応答信号を受信すると(S20:YES)、当該電子タグラベル20とのデータ通信を確立させる処理を行った後(S21)、第1の分割データと書込みコマンドを電子タグラベル20に送信する(S22)。電子タグラベル20は、その書込みコマンドに基づいて第1の分割データのEEPROMへの書込み処理を行い、正常に書込み処理が終了すると、書込終了信号をリーダ151Aに返送し、正常に書込み処理ができなかった場合は、書込みエラー信号をリーダ151Aに返送する。
【0105】
従って、リーダ151Aは、電子タグラベル20から第1の分割データの書き込みの終了信号を受信すると(S23:YES)。電子タグラベル20に書き込んだ第1の分割データを読み出して返信させる読出しコマンドを送信する(S24)。電子タグラベル20は、その読出しコマンドに基づいてEEPROMから先に書き込んだ第1の分割データの読出し処理を行い、読み出した第1の分割データをリーダ151Aに返送する。
【0106】
リーダ151Aは、電子タグラベル20からの読出データを受信すると(S25:YES)、その読出データをリーダ制御装置152に転送し(S26)、ステップS20に戻り、次の電子タグラベル20に対して同様の第1の分割データD1の読み書き処理を行う。
【0107】
一方、リーダ制御装置152は、電子タグラベル20から書込みエラー信号を受信すると(S27:YES)、その書込みエラー信号をリーダ151Aに転送した後(S28)、ステップS20に戻り、次の電子タグラベル20に対して同様の第1の分割データD1の読み書き処理を行う。
【0108】
図15は、1個のアーム142が剥離位置Pbで電子タグラベル20を吸着し、経路K’上を貼着位置Paまで搬送してボトルBに貼着するまでの期間におけるリーダ151A〜151Cの電子タグラベル20への分割データの読み書き処理のタイムチャートを示したものである。説明の便宜上、リーダ151A〜151Cから書込みエラー信号が出力される場合を省略している。同タイムチャートにおいて、読出データD1’〜D3’の監視と電子タグラベル20の良否判定は、図13のステップS5,S7,S9の1回分の処理に対応している。
【0109】
図15のタイムチャートによれば、1個のアーム142がt1のタイミングで剥離位置Pbに到達して電子タグラベル20を吸着し、その電子タグラベル20をリーダ151Aの通信範囲Xc内を搬送すると、リーダ151Aは電子タグラベル20が通信範囲Xc内を通過する期間(t2〜t3の期間)に第1の分割データD1の当該電子タグラベル20への書込み動作と当該電子タグラベル20からの読出し動作を行い、電子タグラベル20から読み出した読出データD1’をリーダ制御装置152に転送する。
【0110】
リーダ制御装置152は、読出データD1’と第1の分割データD1を照合し、不一致の場合に不良信号SNGを電子タグラベル除去部16に出力する。
【0111】
その後、電子タグラベル20がリーダ151Aの通信範囲Xcを通過してリーダ151Bの通信範囲Xc内に搬送されると、リーダ151Bは電子タグラベル20が通信範囲Xc内を通過する期間(t4〜t5の期間)に第2の分割データD2の当該電子タグラベル20への書込み動作と当該電子タグラベル20からの読出し動作を行い、電子タグラベル20から読み出したデータD2’をリーダ制御装置152に転送する。更に、電子タグラベル20がリーダ151Bの通信範囲Xcを通過してリーダ151Cの通信範囲Xc内に搬送されると、リーダ151Cは電子タグラベル20が通信範囲Xc内を通過する期間(t6〜t7の期間)に第3の分割データD3の当該電子タグラベル20への書込み動作と当該電子タグラベル20からの読出し動作を行い、電子タグラベル20から読み出したデータD3’をリーダ制御装置152に転送する。
【0112】
リーダ制御装置152は、リーダ151Bとリーダ151Cから読出データD2’と読出データD3’を受信する毎に、それぞれ第2の分割データD2と第3の分割データD3とを照合し、不一致の場合に不良信号SNGを電子タグラベル除去部16に出力する。そして、リーダ制御装置152から電子タグラベル除去部16に不良信号SNGカ゛出力サレテイルト、電子タグラベル除去部16は電子タグラベル20が後述する除去位置Pcを通過するt8のタイミングで当該電子タグラベル20を電子タグラベル貼着部14から除去する。
【0113】
次に、第2の検査方法について説明する。第2の検査方法は、そのハード構成は図11に示す構成と同一であり、電気的構成を示すブロックも図12に示す構成と同一であり、第1の検査方法に対して、リーダ151A〜リーダ151Cのデータの読み書きとリーダ制御装置152の良否判定の処理手順が異なるのみである。従って、以下では、リーダ制御装置152における第2の検査方法で電子タグラベルの検査を行なう場合の処理手順について説明する。なお、第2の検査方法では、リーダ151A〜リーダ151Cをデータの書き込みと読み出しの両方が可能なリーダで構成してもよいが、リーダ151A,151Bは書き込みだけが可能なリーダで構成し、リーダ151Cだけを書き込みと読み出しの両方が可能なリーダで構成してもよい。
【0114】
図16は、第2の検査方法で電子タグラベルの検査を行なう場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0115】
図16に示すフローチャートは、図13のフローチャートにおいてステップS5とステップS7を除去したものに相当する。これは、第2の検査方法では、リーダ151A,151Bがデータ書き込み専用のリーダとして機能し、電子タグラベル20に書き込んだ第1の分割データと第2の分割データをそれぞれ読み出す動作をしないので、CPU152aはリーダ151A,151Bから読出データを返送されることがないからである。
【0116】
従って、第2の検査方法では、CPU152aは、リーダ151A〜151Cに第1〜第3の分割データをそれぞれセットした後、リーダ151A,リーダ151Bについては書込みエラー信号が送信されるか否かを監視し(S4,S6)、リーダ151Cについては書込みエラー信号の送信と電子タグラベル20から読み出される全てのデータが送信されるか否かを監視する(S4,S6,S8,S9のループ処理)。
【0117】
そして、CPU152aは、リーダ151A〜151Cのいずれかから書込みエラー信号が送信されると(S4,S6,S8でYES)、電子タグラベル20は不良品と判定し、不良品の判定信号を出力して(S13)、ステップS4に戻り、リーダ151Cから電子タグラベル20に書き込まれた全てのデータ(第1の分割データ〜第3の分割データの全て)の読出データが送信されると(S9でYES)、リーダ151Cから送信された読出データをステップS1でロードしたデータと照合して両者が一致するか否かを判定する(S10,S11)。
【0118】
CPU152aは、読出データが電子タグラベル20に書き込んだデータと不一致であると判定すると(S11:NO)、電子タグラベル20は不良品と判定し、不良品の判定信号を出力して(S12)、ステップS4に戻り、一致していると判定すると(S11:YES)、電子タグラベル20は良品と判定し、ステップS12の処理をすることなく、ステップS4に戻る。
【0119】
なお、第2の検査方法におけるリーダ151A〜151Cが行う分割データの電子タグラベル20への読み書きの処理手順は、図14のフローチャートの一部を修正したものとなるので、以下にその修正内容の要点を説明する。
【0120】
第2の検査方法では、リーダ151A,151Bはデータ書込み専用で電子タグラベル20から書き込んだ分割データの読出し動作は行なわないので、リーダ151A,151Bが行う分割データの電子タグラベル20への書込みの処理手順は、図14のフローチャートにおいて、ステップS24,S25を除去し、ステップS26の処理内容を「書込終了信号をリーダ制御装置152に転送する」に修正したものとなる。
【0121】
従って、リーダ151A,151Bは、電子タグラベル20からそれぞれ第1の分割データ、第2の分割データの書込終了信号を受信すると(S23:YES)、その書込終了信号をリーダ制御装置152に転送した後、ステップS20に戻り、次の電子タグラベル20に対して同様の書込処理を行なう。電子タグラベル20から書込みエラー信号を受信すると(S23:NO)、その書込みエラー信号をリーダ制御装置152に転送した後、ステップS20に戻る処理を行う。
【0122】
一方、リーダ151Cは第3の分割データの書込みと電子タグラベル20に書き込まれた全てのデータの読出しを行うので、リーダ151Cが行う電子タグラベル20へのデータの読み書きの処理手順は、図14のフローチャートにおいて、ステップS24,S26における分割データを電子タグラベル20に書き込まれた全てのデータに修正したものとなる。
【0123】
従って、リーダ151Cは電子タグラベル20から第3の分割データの書き込みの終了信号を受信すると(S23:YES)。電子タグラベル20に書き込まれた全てのデータ(第1〜第3の分割データの全て)を読み出して返信させる読出しコマンドを送信する(S24)。電子タグラベル20は、その読出しコマンドに基づいてEEPROMから既に書き込まれた第1,第2の分割データとリーダ151Cが書き込んだ第3の分割データの読出し処理を行う。
【0124】
リーダ151Cは、電子タグラベル20からの読出データ(第1〜第3の分割データ)を受信すると(S25:YES)、その読出データをリーダ制御装置152に転送し(S26)、ステップS20に戻る処理を行う。
【0125】
また、第2の検査方法の図15のタイムチャートに相当するタイムチャートも、図15の一部を修正したものとなるので、以下にその修正内容の要点を説明する。
【0126】
第2の検査方法では、リーダ151A,151Bはそれぞれ第1の分割データと第2の分割データの書込み処理しかしないので、図15において、リーダ151Aはt2〜t3の期間に第1の分割データの書き込みだけを行い、リーダ151Bはt4〜t5の期間に第2の分割データの書き込みだけを行う。従って、t3のタイミングにおけるリーダ制御装置152の第1の分割データD1と読出データD1’の照合処理とt5のタイミングにおけるリーダ制御装置152の第2の分割データD2と読出データD2’の照合処理は行なわれず、不良信号SNGも電子タグラベル除去部15に出力されることはない。
【0127】
リーダ151Cは読出し処理で第1の分割データ〜第3の分割データの全てのデータを読み出すので、図15において、リーダ151Cはt6〜t7の期間に第3の分割データD3の書き込みをした後、第1の分割データD1〜第3の分割データD3の全てのデータを読み出し、リーダ制御装置152に転送する。そして、t7のタイミングにおけるリーダ制御装置152のデータ照合では全データ(D1+D2+D3)と読出データ(D1’+D2’+D3’)の照合が行なわれる。
【0128】
次に、第3の検査方法は、第2の検査方法に対してリーダ151Cがデータ読出し専用となる点が異なるだけである。第3の検査方法では、リーダ151A〜リーダ151Cをデータの書き込みと読み出しの両方が可能なリーダで構成してもよいが、リーダ151A,151Bは書き込みだけが可能なリーダで構成し、リーダ151Cは読み出しだけが可能なリーダで構成してもよい。
【0129】
第3の検査方法は、第2の検査方法に対して上記の点が異なるだけから、その処理内容は、電子タグラベル20に書き込むデータを二分割し、一方の分割データをリーダ151Aで電子タグラベル20に書き込ませ、他方の分割データをリーダ151Bで書き込ませ、リーダ151Cで電子タグラベル20に書き込まれた2つの分割データを全て読み出し、リーダ制御装置152でこれらの読出データを電子タグラベル20に書き込んだデータと照合して良否判定する点を除けば、上述した第2の検査方法の内容と同じであるから、ここでは詳細な説明を省略する。
【0130】
本実施形態によれば、例えば、100バイトのデータが書き込まれる電子タグラベル20を100本/分の速度でボトルBに貼着する工程において、100バイトのデータを電子タグラベル20に読み書きして良否判定する場合、1台のリーダ151Aだけでは電子タグラベル貼着部14の回転速度がリーダ151Aのデータの読み書き処理速度よりも速くなり過ぎ、電子タグラベル20の良否を検査することができないが、3個のリーダ151A,151B,151Cでデータを分割して電子タグラベル20への読み書き処理を行なうので、各リーダで確実に分割データの電子タグラベル20への読み書き処理をすることができ、確実に電子タグラベル20の検査をすることができる。
【0131】
図1に戻り、電子タグラベル除去部16は、第1電子タグラベル検査部15により不良と判定された電子タグラベル20を電子タグラベル貼着部14のアーム142から除去するものである。電子タグラベル除去部16は、図10に示すように、円筒体161aを枠体161bで回転自在に支持したローラ部材161とこのローラ部材161を駆動する駆動装置162とで構成されている。
【0132】
ローラ部材161は、円筒体161aを電子タグラベル20の搬送経路Kに対向させ、当該円筒体161aの周面が搬送経路Kに接する位置Pc(電子タグラベル20を除去する位置。以下、「除去位置」という。)とその除去位置Pcから円筒体161の周面を搬送経路Kから退避させる所定の位置(以下、「退避位置」という。)との間で移動可能に設けられている。ローラ部材161は通常は退避位置(図10に示す状態の位置)に配置され、第1電子タグラベル検査部15から不良信号SNGが駆動装置162に入力されると、当該駆動装置162により一時的に除去位置Pcに移動する。
【0133】
すなわち、図10において、各アーム142で電子タグラベル20が剥離位置Pbから搬送経路Kを通って貼着位置Paまで搬送される間に、当該電子タグラベル20が第1電子タグラベル検査部15の3番目のリーダ151Cの通信範囲を通過した時点で第1電子タグラベル検査部15から電子タグラベル除去部16の駆動装置162に不良信号SNGが入力されると、図15のタイムチャートに示すように、駆動装置162は、電子タグラベル20が除去位置Pcを通過する前後の一定の期間だけローラ部材161を除去位置Pcに移動させる。
【0134】
ローラ部材161が除去位置Pcに移動すると、搬送経路K上を移動する電子タグラベル20が円筒体161aに接触し、当該電子タグラベル20の移動とともに円筒体161aが回転して電子タグラベル20が円筒体161aに貼着され、アーム141から除去されることになる。従って、電子タグラベル20が除去されたアーム142に対応するボトルBには貼着位置Paで電子タグラベル20が貼着されることはない。
【0135】
図1に戻り、第2電子タグラベル検査部17は、ボトルBに貼着された電子タグラベル20が貼着位置Paで当該ボトルBに押し付けるようにして貼着される際に損傷する虞があることから、貼着後の電子タグラベル20を検査するために設けられているものである。
【0136】
本実施形態では、ボトルBを立てた状態で搬送し、ボトルBの底面に電子タグラベル20が貼着されるので、ボトルBに貼着された電子タグラベル20を検査するにはボトルBの搬送経路111の下側に第1電子タグラベル検査部15と同様の電子タグラベル検査部を配置する必要がある。
【0137】
また、ボトルBの搬送経路111の下側に電子タグラベル検査部を配置する場合、ベルトに載せてボトルBを搬送する構成ではベルトがボトルBに貼着された電子タグラベル20と電子タグラベル検査部のリーダとの間に介在し、通信の障害となるので、搬送経路111の電子タグラベル検査部が配置される部分は、ボトルBをベルトに載せない方法で搬送する構成にする方が好ましい。
【0138】
そこで、本実施形態では、図17に示すように、搬送経路111のラベル検査領域111Bにラベル貼着領域111Aのボトル搬送装置112と同様のボトル搬送装置116を設けている。ボトル搬送装置116の構成はボトル搬送装置112と同じであるから、ここではその説明は省略する。
【0139】
そして、ラベル検査領域111Bの下側に第1電子タグラベル検査部15と同様の構成の第2電子タグラベル検査部17が配置されている。すなわち、第2電子タグラベル検査部17に含まれる3台のリーダ171A,171B,171CがボトルBの底面の移動線Hよりも略5mm下側のラインH’に沿って互いに9.5cm以上の間隔Ltを設けて配置されている。3台のリーダ171A,171B,171CはPLC又はPCからなるリーダ制御装置172に接続され、それぞれリーダ制御装置172によって第1電子タグラベル検査部15のリーダ151A,151B,151Cと同様の分割データの読み書き動作によって電子タグラベル20の検査処理が行われる。
【0140】
なお、第2電子タグラベル検査部17においても上述した第1〜第3の検査方法のいずれかを採用することができる。
【0141】
ボトル除去部18は、搬送経路111の所定の排出位置Pdにおける一方の経路外側(図1(a)では上側)に配置されたボトル押出し部材181と、ボトル押出し部材181の駆動を制御する駆動制御装置182と、搬送経路111の他方の経路外側(図1(a)では下側)に配置された排出ボトルテーブル183とで構成されている。ボトル押出し部材181は、搬送経路111に対して直交する方向からロッドを当該搬送経路111上に押し出して搬送中のボトルBを排出ボトルテーブル183に排出するものである。駆動制御装置182は、第2電子タグラベル検出部17のリーダ制御装置172から不良信号SNGが出力されると、不良と判定されたボトルBが排出位置Pdに到達するタイミングでボトル押出し部材181からロッドを瞬時的に押し出して当該ボトルBを排出ボトルテーブル183に排出する。
【0142】
なお、上記実施形態では、電子タグラベル20に書き込んだデータを全て読み出し、その読み出したデータと書き込んだデータとを照合して良否を判定していたが、電子タグラベル20に書き込んだデータの一部を読み出し、第1電子タグラベル検査部15にて一度良否判定されているため、第2電子タグラベル検査部17ではその一部のデータについてだけ照合を行なって良否を判定するようにしてもよい。
【0143】
本実施形態に係る電子タグラベル貼着装置1によれば、ボトルBを立てた状態で搬送し、そのボトルBの底面に搬送経路111の下側から電子タグラベル20を貼着する構成であるので、ボトル搬送部11の下側の空間を利用して電子タグラベル20を貼着するための電子タグラベル供給部12、電子タグラベル剥離部13、電子タグラベル貼着部14、第1電子タグラベル検査部15および電子タグラベル除去部16の各部を配置することができ、電子タグラベル貼着位置1のコンパクト化を図ることができる。
【0144】
また、第1電子タグラベル検査部15を3個のリーダ151A,151B,151Cとこれらのデータの読み書きを制御するリーダ制御装置152で構成し、電子タグラベ20に書き込むべきデータを三分割もしくは二分割して各分割データをリーダ151A,151B,151C若しくはリーダ151A,151Bにそれぞれ書き込ませるようにしているので、第1電子タグラベル検査部15での電子タグラベル20の検査処理の高速化が可能になり、ボトルBの生産効率を向上させることができる。
【0145】
また、生産する商品のロットや種類の変化により電子タグラベ20に書き込むべきデータの量が変化した場合にも3個のリーダ151A,151B,151Cに対する分割データの内容を適宜調整することにより、第1電子タグラベル検査部15で確実に電子タグラベル20の検査をすることができ、データ量の変化に対して柔軟に対応することができる。
【0146】
なお、上記実施形態では、第1電子タグラベル検査部15のリーダの個数を3個としたが、2個でも良く、4個以上であってもよい。要は、電子タグラベル20に書き込むデータを複数のデータに分割し、複数のリーダで分割データの電子タグラベル20への書込み動作を行って検査する構成であれば良い。
【0147】
また、上記実施形態では、電子タグラベル20を貼着位置Paに搬送する経路に第1電子タグラベル検査部15を設けてボトルBに貼着前の電子タグラベル20の良否を検査するととともに、電子タグラベル20を貼着したボトルBの搬送経路111に第2電子タグラベル検査部17を設けてボトルBに貼着された電子タグラベル20の良否を検査する構成、すなわち、同一の電子タグラベル20に対して良否判定を2回行う構成であったが、図18に示すように、電子タグラベル除去部16と第2電子タグラベル検査部17を除去するとともに、第1電子タグラベル検査部15の3番目のリーダ151Cをラベル検査領域111Bに配置し、第3の検査方法によって電子タグラベル20の良否を検査する構成としても良い。
【0148】
この構成の電子タグラベル貼着装置1’では、電子タグラベル20の良否判定はボトルBに貼着した後で行われるので、不良の電子タグラベル20は当該電子タグラベル20が貼着されたボトルBとともにボトル除去部18によって排出ボトルテーブル183に排出される。
【0149】
図18の構成は、第1電子タグラベル検査部15の3個のリーダ151A,151B,151Cのうち、リーダ151A,リーダ151Bをデータの書き込み専用とし、リーダ151Cをデータの読み出し専用とし、データの書き込みは電子タグラベル20のボトルBへの貼着前にデータを分割して行い、データの読み込みと良否判定は電子タグラベル20のボトルBへの貼着後に行うという考え方に基づく構成である。従って、図1の構成では、電子タグラベル20の検査工程が2個設けられていたが、図18の構成では、3個のリーダ151A,151B,151Cが分散して配置されてはいるが、電子タグラベル20の検査工程は1個だけである。
【0150】
図18に示す電子タグラベル貼着装置1’によれば、電子タグラベル除去部16と第2電子タグラベル検査部17が不要となるので、その分電子タグラベル貼着装置1’の構成が簡単になる利点がある。また、ラベル検査領域111Bにはリーダを1個だけ配置すればよいので、ラベル検査領域111Bを短くすることができ、ラベル検査領域111Bにおけるボトル搬送装置116の構造も簡素化することが可能になる。
【0151】
また、上記実施形態では、ボトルBを立てた状態で搬送し、当該ボトルBの下側からボトル底面に電子タグラベル20を貼着する構成であったが、図19に示すように、ボトルBを横にした状態で搬送し、当該ボトルBの横側からボトル底面に電子タグラベル20を貼着する構成でもよい。
【0152】
なお、図19は、電子タグラベル貼着装置1”を上から見た基本構成を示す図である。同図において、図1のボトル搬送部11、電子タグラベル供給部12、電子タグラベル剥離部13、電子タグラベル貼着部14、第1電子タグラベル検査部15および電子タグラベル除去部16に対応する部分には同一の符号を付している。
【0153】
図19によれば、ボトルBはボトル搬送部11により横向きにして右側から左方向に搬送される。電子タグラベル貼着部14は、アーム142が水平面内で時計回りに回転しており、各アーム142が剥離位置Pbで電子タグラベル20を吸着し、貼着位置Paまで搬送して当該貼着位置Paに搬送されてきたボトルBの底面に横方向から押付けるようにして当該電子タグラベル20を貼着する。この電子タグラベル20の貼着シーケンスにおいて、第1電子タグラベル検査部15によって各電子タグラベル20の検査が行われ、不良の場合は貼着位置Paに搬送される前に電子タグラベル除去部16でアーム142から除去されるが、その検査内容や電子タグラベル20の除去動作は上述した実施形態と同一であるので、ここではその説明は省略する。
【0154】
なお、図19に示す電子タグラベル貼着装置1”においても、図18に示した電子タグラベルを検査する構成の変形例を適用することができることは言うまでもない。
【0155】
ところで、本実施形態に係る電子タグラベル貼着装置1によって電子タグラベル20が貼着されたボトル商品は、図略の後工程で所定の数(例えば、10本)ずつ箱詰めされて出荷されるが、その出荷前の工程でも箱詰めされたボトル商品の各電子タグラベル20の良否を一括して検査する工程が設けられている。
【0156】
図20は、箱詰めのボトル商品を立てた状態で一括して各ボトル商品の電子タグラベルを検査する工程の構成を示す概略図である。
【0157】
箱詰め商品の検査工程では、図20に示すように、ボトル商品が縦向きとなる方向でベルトコンベア30によって搬送される。検査領域では、ベルトコンベア30の下側に箱体40の底面の面積よりも広い読取面Srを有するリーダ50が設けられている。すなわち、リーダ50の通信範囲を箱体40が所定の速度で通過し、その通過中にリーダ50が箱体40の収納された複数のボトル商品の各電子タグラベル20とデータ通信をすることができる構成となっている。
【0158】
図20に示す箱詰め商品の検査工程では、リーダ50の読取面Srと箱体40に収納された複数のボトル商品の各電子タグラベル20との間に箱体40の底板とベルトコンベア30が介在することになる。箱体40はダンボール(非導電体)であるから、リーダ50と電子タグラベル20との通信の障害とはならないが、ベルトコンベア30が金属材質を含む場合は、ベルトコンベア30がリーダ50と電子タグラベル20との通信の障害となる。
【0159】
このため、図20に示す実施形態では、ベルトコンベア30を樹脂性のプレート(非導電性のプレート)によって構成している。また、リーダ50の通信範囲を通過する箱体40の両側には金属製の側壁などは設けず、設ける場合は樹脂性などの非導電性の側壁としてリーダ50の通信範囲に影響を与えないようにしている。
【0160】
図21は、箱詰めのボトル商品を横向きにした状態で一括して各ボトル商品の電子タグラベルを検査する工程の構成を示す概略図である。
【0161】
図20では、ボトル商品の電子タグラベルの通信方向が下向きになるので、ボトル商品を収納した箱体40を搬送するベルトコンベア30の下側にリーダ50が配置されているが、図21では、ボトル商品の電子タグラベルの通信方向が横向きになるので、ボトル商品を収納した箱体40を搬送するベルトコンベア30の当該箱体40の底面に対向する側の側壁に読取面Srを対向させるようにしてリーダ50が縦向きに配置されている。
【0162】
図21に示す実施形態でもベルトコンベア30やリーダ50をガイドするサイドガイド60を樹脂性のプレート(非導電性のプレート)によって構成し、リーダ50の通信範囲を影響を与えないようにしている。
【符号の説明】
【0163】
1,1’,1” 電子タグラベル貼着装置
11 ボトル搬送部(容器搬送手段)
111 搬送経路
111A ラベル貼着領域
111B ラベル検査領域
112 ボトル搬送装置
112a,112b 無端ベルト
113,114 受渡部材
12 電子タグラベル供給部(電子タグ搬送手段)
121 電子タグラベルのロール部材
122 巻取ローラ
13 電子タグラベル剥離部(電子タグ剥離手段)
131 剥離プレート
14 電子タグラベル貼着部(電子タグ貼着手段)
141 本体
142 アーム(吸着手段)
142a 弾性部材
142b 細管
142c 先端面(電子タグラベルの吸着面兼押当て面)
15 第1電子タグラベル検査部(電子タグラベル検査装置)
151A,151B,151C リーダ/ライタ(電子タグ読み書き手段)
152 リーダ制御装置(電子タグラベル検査制御手段)
152A,152B,152C PLC又はPC(検査制御手段)
16 電子タグラベル除去部(電子タグ除去手段)
17 第2電子タグラベル検査部
18 ボトル除去部
19 台紙
20 電子タグラベル
B ボトル
Pa 電子タグラベルの貼着位置
Pb 電子タグラベルの剥離位置
Pc 電子タグラベルの除去位置
Pd ボトルの排出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路を順番に搬送される複数の電子タグラベルの各々に対して所定のデータの書き込みと読み出しとを行って各電子タグラベルの良否を検査する電子タグラベル検査装置であって、
前記搬送経路に沿って順番に配置され、各配置位置を通過する前記電子タグラベルに対してデータの書き込み及び読み出しが可能な複数の電子タグラベル読書手段と、
前記所定のデータを複数の分割データに分割し、前記複数の電子タグラベル読書手段の各々に各分割データの前記電子タグラベルへの書き込みと読み出しとを行わせるデータ読書制御手段と、
分割データ毎に、前記電子タグラベルに書き込んだ書込データと読み出された読出データとを照合して前記電子タグラベルの良否を検査する電子タグラベル検査手段と、
を備えたことを特徴とする、電子タグラベル検査装置。
【請求項2】
搬送経路を順番に搬送される複数の電子タグラベルの各々に対して所定のデータの書き込みと読み出しとを行って各電子タグラベルの良否を検査する電子タグラベル検査装置であって、
前記搬送経路に沿って順番に配置され、各配置位置を通過する前記電子タグラベルに対してデータの書き込み又は読み出しが可能な複数の電子タグラベル読書手段と、
前記所定のデータを複数の分割データに分割し、各分割データを前記複数の電子タグラベル読書手段の全て又は一部を用いて前記電子タグラベルに書き込ませた後、前記搬送経路の配置順が最後の電子タグラベル読書手段を用いて当該電子タグラベルから書き込まれた全ての分割データを読み出させるデータ読書制御手段と、
前記電子タグラベルに分割して書き込んだ所定のデータと前記配列順が最後の電子タグラベル読書手段で読み出された全ての分割データを照合して前記電子タグラベルの良否を検査する電子タグラベル検査手段と、
を備えたことを特徴とする、電子タグラベル検査装置。
【請求項3】
前記複数の電子タグラベル読書手段のうち、前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段はデータの書き込みと読出しの両方が可能な電子タグラベル読書手段であり、他の電子タグラベル読書手段はデータの書き込みが可能な電子タグラベル読書手段であり、
前記データ読書制御手段は、前記所定のデータを前記電子タグラベル読書手段の総数で分割し、各分割データを全ての電子タグラベル読書手段に割り当て、各電子タグラベル読書手段に各分割データの前記電子タグラベルへの書き込みを行わせた後、前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段に当該電子タグラベルから書き込まれた全ての分割データを読み出させる、請求項2に記載の電子タグラベル検査装置。
【請求項4】
前記複数の電子タグラベル読書手段のうち、前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段はデータの読出しが可能な電子タグラベル読書手段であり、他の電子タグラベル読書手段はデータの書き込みが可能でな電子タグラベル読書手段あり、
前記データ読書制御手段は、前記所定のデータを前記電子タグラベル読書手段の総数よりも1つ少ない数で分割し、各分割データを前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段以外の電子タグラベル読書手段に割り当て、各電子タグラベル読書手段に各分割データの前記電子タグラベルへの書き込みを行わせた後、前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段に当該電子タグラベルから書き込まれた全ての分割データを読み出させる、請求項2に記載の電子タグラベル検査装置。
【請求項5】
前記複数の電子タグラベルは商品を収容する容器に貼着されるラベルであり、
前記搬送経路は、前記複数の電子タグラベルを前記容器への貼着位置に搬送するラベル搬送経路と前記貼着位置で前記電子タグラベルが貼着された前記容器を搬送する容器搬送経路とを含み、
前記複数の電子タグラベル読書手段のうち、前記配置順が最後の電子タグラベル読書手段は前記容器搬送経路に配置され、他の電子タグラベル読書手段は前記ラベル搬送経路に配置されている、請求項2乃至4のいずれかに記載の電子タグラベル検査装置。
【請求項6】
前記所定のデータには前記電子タグラベルが貼着される商品に関する商品情報と前記電子タグラベルが貼着される商品を識別するための識別情報とが含まれ、
前記データ読書制御手段は、前記識別情報が分割データとして割り当てられる電子タグラベル読書手段を制御する第1の制御手段と、前記商品情報が分割データとして割り当てられる電子タグラベル読書手段を制御する第2の制御手段とを含み、
前記第1の制御手段はパーソナルコンピュータで構成され、前記第2の制御手段はプログラマブルロジックコントローラで構成される、請求項1乃至5のいずれかに記載の電子タグラベル検査装置。
【請求項7】
一列に配列された多数の容器を各容器に粘着タイプの電子タグラベルを貼着するための所定の貼着位置に搬送する容器搬送手段と、
多数の前記電子タグラベルが一列に貼り付けられた帯状の台紙を搬送することにより各電子タグラベルを所定の剥離位置に搬送する電子タグラベル搬送手段と、
前記所定の剥離位置で前記台紙から各電子タグラベルを剥離する電子タグラベル剥離手段と、
前記所定の剥離位置に対向配置され、前記電子タグラベル剥離手段で剥離された各電子タグラベルを受け取って前記貼着位置に搬送し、前記容器搬送手段で搬送された各容器に貼着する電子タグラベル貼着手段と、
請求項1ないし4のいずれかに記載の電子タグラベル検査装置と、
を備えた電子タグラベル貼着装置であって、
前記電子タグラベル検査装置の複数の電子タグラベル読書手段は、前記電子タグラベル貼着手段が前記剥離位置で受け取った電子タグラベルを前記貼着位置まで搬送する搬送経路に沿って配置されていることを特徴とする、電子タグラベル貼着装置。
【請求項8】
前記容器搬送手段と前記電子タグラベル検査装置との間に、前記電子タグラベル検査装置によって不良と判定された電子タグラベルを前記電子タグ貼着手段から除去する電子タグラベル除去手段が設けられていることを特徴とする、請求項7に記載の電子タグラベル貼着装置。
【請求項9】
前記電子タグ貼着手段は、前記電子タグラベルを吸着する吸着手段を備え、前記電子タグラベル剥離手段で剥離された前記電子タグラベルを前記吸着手段で吸着することによって受け取り、前記容器搬送手段で前記貼着位置に搬送された容器に前記吸着手段で吸着している当該電子タグラベルの粘着面を圧接させて当該容器に当該電子タグラベルを貼着させるものであり、
前記吸着手段の前記電子タグラベルを吸着する部分は弾力性を有する弾性部材で構成されている、請求項7又は8に記載の電子タグラベル貼着装置。
【請求項10】
前記電子タグラベル貼着手段は、前記容器搬送手段で前記貼着位置に搬送された容器の底面に前記電子タグラベルを貼着する、請求項7乃至9のいずれかに記載の電子タグラベル貼着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−118503(P2011−118503A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273309(P2009−273309)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】