説明

電子デバイスの製造方法

【課題】実装時間の増大を抑制しつつ、フレキシブル配線基板に対する接合位置精度を向
上させる。
【解決手段】ボンディングステージ1を上昇させ、突出電極5をリード電極6に接触させ
、突出電極5とリード電極6とが接触した状態でリード電極6に接触するまでボンディン
グツール2を下降させることにより、突出電極5とリード電極6とを熱圧着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子デバイスの製造方法に関し、特に、TCP(テープ・キャリア・パッケー
ジの実装方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置では、TCPのインナーリードをICチップのバンプに接合させる場
合、ICチップのバンプをインナーリードに接近させ、ボンディングツールを下降させて
インナーリードをバンプに熱圧着することが行われている。
また、例えば、特許文献1には、フレキシブル配線基板に対するボンディング時の熱歪
みに基づく位置ズレを抑制するため、ボンディングツールにてフレキシブル配線基板を予
備加熱し、熱膨張に基づく熱歪みを解消させてから、フレキシブル配線基板と半導体チッ
プとの位置合わせを行う方法が開示されている。
【特許文献1】特開2004−39802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のインナーリードとバンプとの接合方法では、ボンディングツール
の熱輻射に起因してフィルム材が膨張し、TCPの寸法に狂いが生じることから、接合位
置精度の劣化を招くという問題があった。
また、例えば、特許文献1に開示された方法では、熱膨張に基づく熱歪みを解消させる
ため、ボンディングツールにてフレキシブル配線基板を予備加熱する必要があることから
、余計な時間がかかるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、実装時間の増大を抑制しつつ、フレキシブル配線基板に対す
る接合位置精度を向上させることが可能な電子デバイスの製造方法を提供することである

【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る電子デバイスの製造方法によれ
ば、電子デバイスに設けられた突出電極をフレキシブル配線基板の端子電極に接触させる
工程と、前記突出電極と端子電極とを接触させてから前記フレキシブル配線基板の端子電
極にボンディングツールを接触させることにより、前記突出電極と端子電極とを熱圧着す
る工程とを備えることを特徴とする。
【0006】
これにより、突出電極と端子電極との接合位置が固定された状態で、ボンディングツー
ルをフレキシブル配線基板に近づけることができる。このため、ボンディングツールの熱
輻射に起因してフィルム材が膨張した場合においても、接合時の位置ズレを防止すること
ができ、実装時間の増大を抑制しつつ、フレキシブル配線基板に対する接合位置精度を向
上させることが可能となる。
【0007】
また、本発明の一態様に係る電子デバイスの製造方法によれば、突出電極が形成された
電子デバイスをボンディングステージ上に保持する工程と、前記ボンディングステージを
上昇させることにより前記突出電極を前記端子電極に接触させる工程と、前記突出電極と
端子電極とが接触した状態で前記端子電極に接触するまでボンディングツールを下降させ
ることにより、前記突出電極と端子電極とを熱圧着する工程とを備えることを特徴とする

【0008】
これにより、突出電極と端子電極とを接触させてから、ボンディングツールをフレキシ
ブル配線基板に近づけることができ、ボンディングツールの熱輻射に起因してフィルム材
が膨張した場合においても、接合時に位置ズレを防止することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る電子デバイスの製造方法によれば、前記突出電極と端子電
極とを熱圧着させながら前記ボンディングツールおよび前記ボンディングステージを下降
させることにより、前記端子電極を前記電子デバイス側に折り曲げる工程とをさらに備え
ることを特徴とする。
【0009】
これにより、突出電極と端子電極とを接触させてから、端子電極のフォーミングを行う
ことができ、接合時の位置ズレを防止しつつ、電子デバイスの端部と端子電極とのショー
ト不良を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明
する。
図1および図2は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図であ
る。
図1(a)において、半導体チップ4には突出電極5が設けられている。また、テープ
基板7にはリード電極6が形成されて、COFを構成することができる。なお、突出電極
5としては、例えば、Auバンプ、Au/Niバンプ、半田材などで被覆されたCuバン
プやNiバンプ、あるいは半田ボールなどを用いることができる。また、リード電極6と
しては、例えば、銅Cu、鉄Fe、金Au、銀Ag、半田材で被覆された銅Cu、金Au
で被覆された銅Cuなどを用いることができる。また、テープ基板7としては、ポリイミ
ド樹脂やアミドイミド樹脂、エステルイミド樹脂、エーテルイミド樹脂、シリコーン樹脂
、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂あるいはこれらの変性樹脂などの
フィルム材を用いることができる。
【0011】
一方、ボンディング装置には、突出電極5を上方にして半導体チップ4を吸着保持する
ボンディングステージ1、テープ基板7を上下から挟み込むことにより半導体チップ4上
でテープ基板7を保持するクランパ3a、3b、リード電極6を上方から加熱および加圧
するボンディングステージ1が設けられている。
そして、テープ基板7のリード電極6に半導体チップ4の突出電極5を接合させる場合
、突出電極5とリード電極6との位置合わせを行った後、図1(b)に示すように、ボン
ディングステージ1を上昇させ、突出電極5をリード電極6に接触させる。
【0012】
次に、図1(c)に示すように、突出電極5とリード電極6とが接触した状態でリード
電極6に接触するまでボンディングツール2を下降させることにより、突出電極5とリー
ド電極6とを熱圧着する。
これにより、突出電極5とリード電極6との接合位置が固定された状態で、ボンディン
グツール2をテープ基板7に近づけることができる。このため、ボンディングツール2の
熱輻射に起因してテープ基板7が膨張した場合においても、接合時の位置ズレを防止する
ことができ、実装時間の増大を抑制しつつ、テープ基板に対する接合位置精度を向上させ
ることが可能となる。
【0013】
次に、図2(a)に示すように、突出電極5とリード電極6とを熱圧着させながらボン
ディングツール2およびボンディングステージ1を下降させることにより、リード電極6
を半導体チップ4側に折り曲げる。
これにより、突出電極5とリード電極6とを接触させてから、リード電極6のフォーミ
ングを行うことができ、接合時の位置ズレを防止しつつ、半導体チップ4の端部とリード
電極6とのショート不良を低減することができる。
【0014】
次に、図2(b)に示すように、突出電極5とリード電極6とが接合されると、ボンデ
ィングツール2を上昇させ、ボンディングツール2とリード電極6とを離間させるととも
に、ボンディングステージ1を下降させ、ボンディングステージ1と突出電極5とを離間
させる。
【0015】
なお、突出電極5とリード電極6とを接合する場合、例えば、半田接合や合金接合など
の金属接合を用いるようにしてもよく、ACF(Anisotropic Conduc
tive Film)接合、NCF(Nonconductive Film)接合、A
CP(Anisotropic Conductive Paste)接合、NCP(N
onconductive Paste)接合などの圧接接合を用いるようにしてもよい
。また、上述した実施形態では、COF(チップ・オン・フィルム)を例にとって説明し
たが、TCP(テープ・キャリア、パッケージ)、COG(チップ・オン・グラス)、T
CM(テープキャリアモジュール)などに適用するようにしてもよい。
【0016】
また、半導体チップ4が実装されたテープ基板7は、例えば、液晶表示装置、携帯電話
、携帯情報端末、ビデオカメラ、デジタルカメラ、MD(Mini Disc)プレーヤ
、ICカード、ICタグなどの電子機器に適用することができ、電子機器の小型・軽量化
を可能としつつ、電子機器の信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、上述した実施形態では、半導体チップの実装方法を例にとって説明したが、本発
明は、必ずしも半導体チップの実装方法に限定されることなく、例えば、抵抗やコンデン
サやコネクタなどの実装方法の他、弾性表面波(SAW)素子などのセラミック素子、光
変調器や光スイッチなどの光学素子、磁気センサやバイオセンサなどの各種センサ類など
の実装方法に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【符号の説明】
【0019】
1 ボンディングステージ、2 ボンディングヘッド、3a、3b クランパ、4 半
導体チップ、5 突出電極、6 リード電極、7 テープ基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスに設けられた突出電極をフレキシブル配線基板の端子電極に接触させる工
程と、
前記突出電極と端子電極とを接触させてから前記フレキシブル配線基板の端子電極にボ
ンディングツールを接触させることにより、前記突出電極と端子電極とを熱圧着する工程
とを備えることを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
突出電極が形成された電子デバイスをボンディングステージ上に保持する工程と、
前記ボンディングステージを上昇させることにより前記突出電極を前記端子電極に接触
させる工程と、
前記突出電極と端子電極とが接触した状態で前記端子電極に接触するまでボンディング
ツールを下降させることにより、前記突出電極と端子電極とを熱圧着する工程とを備える
ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記突出電極と端子電極とを熱圧着させながら前記ボンディングツールおよび前記ボン
ディングステージを下降させることにより、前記端子電極を前記電子デバイス側に折り曲
げる工程とをさらに備えることを特徴とする請求項2記載の電子デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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