説明

電子ビーム検出器および電子ビーム電流計測方法

【課題】電子ビーム描画装置において、微弱なビーム電流を高精度に計測する際、長い伝送経路に重畳するノイズの影響を低減し、また、マルチビーム描画装置において、微弱なビーム電流を高精度に効率よく計測する技術を提供する。
【解決手段】電子ビーム検出素子109と検出信号用伝送経路124を遮断・接続するスイッチ110を用いて、ビーム電流計測の間、電子ビーム検出素子109を検出信号用伝送経路124から遮断し、電子ビーム検出素子109内に検出信号を蓄積し、計測終了と同時に電子ビーム検出素子109と検出信号用伝送経路124を接続し、蓄積信号を計測する。また、同様な計測方法を複数同時に行うため、電子ビーム検出素子と複数のスイッチとを用いて、複数本の電子ビームを同時に高精度に計測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム電流計測方法、電子ビーム描画装置および電子ビーム検出器に関し、特に電子ビーム乃至パルスビームの平均電流量を求める方法および手段、複数本の電子ビーム乃至パルスビームを使用して描画を行う電子ビーム描画装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者が検討した技術として、例えば、半導体集積回路装置(LSI)の製造に用いられる電子ビーム描画装置においては、LSIの微細化、複雑化、パターンデータの大容量化が進み、描画精度の向上と共に、描画スループットの向上が要求されている。このため、可変成形ビーム方式の電子ビーム描画装置に加え、マスク上の部分パターンを縮小投影する一括露光方式電子ビーム描画装置が開発されている。
【0003】
また、次世代のリソグラフィ装置として、EPL(Electron Projection Lithography)に代表される電子ビーム投影リソグラフィや、複数本の電子ビームを一斉に偏向し、半導体ウェハの露光/非露光部にて電子ビームをオン/オフして描画するマルチビーム方式の電子ビーム描画装置の開発が進められている。
【0004】
いずれの電子ビーム描画装置でも、電子ビームの電流値を計測し、描画時の電子ビーム照射量を校正することが必要である。電子ビーム照射量の高精度な制御は、パターン寸法精度の向上に結びつく。このため、照射量決定の基準となる電子ビームのビーム電流を高精度に計測することは、高精度な描画を行うのに不可欠である。
【0005】
例えば、電子ビーム描画装置として、電子ビームをパルス化し、ビームオン時間のパルス幅を制御して描画パターンを形成するものがある。この電子ビーム描画装置の電子光学系は、内部を真空排気した真空カラム、電子ビームを発生する電子銃、電子ビームを収束するためのレンズ、電子ビームをオン/オフするためのブランキング電極とブランキングアパーチャ、電子ビームのビーム電流を計測するための電子ビーム検出素子、描画パターンを形成するための試料を搭載する可動ステージ、ステージ上での電子ビームの位置を決める偏向器、配線系統を大気中に導くための真空電流導入端子などで構成されている。
【0006】
この電子ビーム描画装置において、電子銃から発生した電子ビームは、レンズや偏向器により収束および偏向され、可動ステージ上の電子ビーム検出素子および試料に到達する。ビームオフ時には、電子ビームはブランキング電極で偏向され、ブランキングアパーチャに照射され、通過する電子ビームを遮断させる。ブランキング電極にパルス電圧を印加することで、電子ビームをオン/オフさせ、パルスビームを生成する。
【0007】
この電子ビーム描画装置の制御系は、生成された電子ビーム乃至パルスビームを電子ビーム検出素子に照射する。電子ビーム検出素子により検出した信号を、検出信号用伝送経路を介して計測回路に転送する。この計測結果に基づき、電子ビームの電流量を算出する。算出したビーム電流量の計測データを元に、描画時のビームオン時間を補正する。これにより、所望の照射量による描画を行う。なお、可変成形ビーム方式の電子ビーム描画装置においては、ビーム電流の計測結果から、電子ビームの面積を補正し、照射量を制御する。
【0008】
従来のビーム電流計測では、例えば、特許文献1に記載されているように、電子ビーム検出素子としてファラデーカップ、計測回路として電流計を用いて、電流値あるいは電流密度を求めている。
【0009】
また、電子ビームの照射量を補正する方法として、特許文献2および特許文献3に記載されている技術がある。
【特許文献1】特許第3082662号公報
【特許文献2】特開平5−299328号公報
【特許文献3】特開2003−51437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記のような電子ビーム描画装置の技術について、本発明者が検討した結果、以下のようなことが明らかとなった。
【0011】
例えば、電子ビーム描画装置は、微細なパターンを形成するために、ビーム電流計測を高精度に行い、計測結果に基づいて電子ビーム照射量を決定して制御する。微細なパターンの描画では、ビーム電流も微弱になり、従来のファラデーカップ方式のビーム電流計測では高精度な電流の計測が困難である。特にマルチビーム描画装置では、1本の電子ビームは微弱かつ高速なパルスビームとなる。このような微弱かつ高速なビーム電流を通常のファラデーカップおよび電流計で精度良く計測することは、信号/雑音比の観点から困難である。
【0012】
これに対して、一般的に積分回路によりビーム電流iをパルス数Nだけ積分する方法が知られている。これは、検出素子により検出された信号を後段積分回路に転送し、積分回路にて積分した信号を計測するものである。
【0013】
しかし、電子ビーム描画装置では、一般的に描画すべき試料の大きさが径φ200〜φ300mmと大きく、これに伴ってステージの可動範囲も大きくなる。このため、電子ビーム検出素子から後段計測回路までの検出信号用伝送経路が長くなる。例えば、最小でも数十cm、ステージが大きい場合には数mの検出信号用伝送経路で微弱な信号を伝送する必要がある。マルチビーム描画装置のように微弱かつ高速な信号を検出する場合、従来のファラデーカップ方式および後段積分回路で積分する方式では、電子ビーム検出素子から後段計測回路(積分回路もしくは増幅回路)までの長い伝送経路上に重畳するノイズのために、電流の計測に誤差が生じてしまい、計測精度の向上を妨げている。
【0014】
また、n本の電子ビームを露光/非露光部にて高速かつ個別にオン/オフさせて、描画を行うマルチビーム描画装置では、計測時間が1本ビームのn倍以上となり、計測時間の短縮が必要である。なお、nは自然数である。
【0015】
そこで、本発明の目的は、寸法精度の高いパターンを試料上に形成するために必要な電子ビーム電流計測方法、電子ビーム描画装置および電子ビーム検出器を提供することにある。
【0016】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0018】
すなわち、本発明による電子ビーム描画装置乃至電子ビーム検出器は、電子ビーム検出素子で検出した電流を電荷として蓄積する蓄積部と、その蓄積部と計測回路との間を電気的に遮断および接続するスイッチとを設けたものである。この蓄積部とスイッチは、描画装置内の電子ビーム検出素子が設置されているステージ上にあることにする。理想的には、この蓄積部とスイッチを電子ビーム検出素子内に作りこむ構成が望ましい。例えば、このような電子ビーム検出素子は、半導体ダイオードである。
【0019】
また、本発明による電子ビーム電流計測方法は、スイッチにより蓄積部と計測回路との間を電気的に遮断すると同時に、または遮断した後に、電子ビームを電子ビーム検出素子に照射し、蓄積部にて電荷を蓄積し、特定のビーム照射時間経過後、スイッチにより蓄積部と計測回路とを接続し、蓄積した電荷量から電子ビーム電流量を算出するものである。
【0020】
さらに、複数本の電子ビームを同時に計測するため、電子ビーム検出器において、複数の電子ビーム検出素子を2次元状に配列し、散乱電子の影響を受けないように、その一方向の素子ピッチを、電子ビームの飛程の2倍以上で、かつ、複数本の電子ビームのビームピッチの整数倍とする。さらに、この電子ビーム検出素子で検出した電流を電荷として蓄積する複数の蓄積部と、複数の蓄積部と複数の計測回路との間を電気的に遮断および接続する複数のスイッチとを設ける。この複数の蓄積部およびスイッチは、電子ビーム描画装置内の電子ビーム検出素子が設置されているステージ上にあることにする。理想的には、この複数の蓄積部およびスイッチを電子ビーム検出素子内に作りこむ構成が望ましい。例えば、このような複数の電子ビーム検出素子は、半導体ダイオードアレイである。
【0021】
そして、複数のスイッチにより、蓄積部と計測回路との間を電気的に遮断すると同時に、または遮断した後に、複数本の電子ビームを同時に照射し、複数の蓄積部のそれぞれに電荷を蓄積し、特定のビーム照射時間経過後、複数のスイッチにより複数の蓄積部と複数の計測回路とを接続し、蓄積した電荷量から電子ビーム電流量をそれぞれのビームについて算出する。
【0022】
これらにより、長い検出信号用伝送経路中に重畳する電子ビーム描画装置特有のノイズの影響を出来る限り低減した高精度な計測が可能となる。また、複数本の電子ビームを高精度に同時計測することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0024】
検出信号用伝送経路に重畳するノイズを出来る限り低減した高精度な電子ビーム電流計測が可能となり、電子ビーム描画装置の高精度な照射量制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による電子ビーム描画装置の要部を示す構成図、図2は本実施の形態1による電子ビーム描画装置において、計測回路に積分器を用いて、電子ビーム検出素子に半導体ダイオードを用いた場合の一例を示す構成図、図3はビーム電流計測におけるタイミングを示す図、図4は電子ビーム検出素子と蓄積部とスイッチとを内部に組み込んだ電子ビーム検出器を示す構成図、図5は真空電流導入端子(ハーメコネクタ)の配置を示す図である。
【0027】
まず、図1により、本実施の形態1による電子ビーム描画装置の構成の一例を説明する。本実施の形態1の電子ビーム描画装置は、例えば、ポイントビームを用いた描画装置とされ、電子光学系100と制御系112などから構成されている。
【0028】
電子光学系100は、内部を真空排気した真空カラム101、電子ビーム102を発生する電子銃103、電子ビーム102を収束するためのレンズ126、電子ビーム102をオン/オフするためのブランキング電極105とブランキングアパーチャ106、電子ビームのビーム電流を計測するための電子ビーム検出素子109と電子ビーム検出素子109をオン/オフするスイッチ110などからなる電子ビーム検出器400、描画パターンを形成するためのシリコンウェハなどの試料104と電子ビーム検出器400(電子ビーム検出素子109とスイッチ110)とを搭載する可動ステージ108、可動ステージ108上での電子ビームの位置を決める偏向器127、配線系統を大気中に導くための真空電流導入端子(ハーメコネクタ)111などから構成されている。
【0029】
電子ビーム検出器400において、電子ビーム検出素子109は、検出信号の電荷を蓄積する蓄積部を内部に備えている。このような電子ビーム検出素子としては、フォトダイオード、アバランシェダイオードなどの半導体ダイオードや、MCP(マイクロチャンネルプレート)や電子増倍管など、電子ビームに対して増倍作用のある検出素子であることが望ましい。また、スイッチ110はリーク電流の少ないものを用い、ステージ108上の電子ビーム検出素子109に出来る限り近いところに設置する。これにより、検出信号用伝送経路124を介して、電子ビーム検出素子109に蓄積した信号を転送することが可能となる。
【0030】
制御系112は、制御系112全体を統括する制御用計算機113、種々のデータ処理を行うデータ制御系114、ブランキング制御部115、信号処理部116などから構成されている。データ制御系114は、データ制御部117、電流量の計測結果から露光量を補正するための補正演算部118などから構成されている。補正演算部118には、補正データ用メモリ119が含まれている。信号処理部116は、タイミング制御部120、計測回路121、計測回路121の出力電圧をサンプリングするサンプル/ホールド回路(S/H)122、サンプリングされたアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器(ADC:Analog to Digital Convertor)123などから成る。
【0031】
制御用計算機113はデータ制御系114と接続され、データ制御系114はブランキング制御部115および信号処理部116と接続され、ブランキング制御部115は信号処理部116と接続されている。また、ブランキング制御部115は真空電流導入端子111cを介してブランキング電極105と接続され、信号処理部116内のタイミング制御部120は制御信号用伝送経路125および真空電流導入端子111aを介して電子ビーム検出器400内のスイッチ110の制御端子に接続され、計測回路121は検出信号用伝送経路124および真空電流導入端子111bを介してスイッチ110に接続されている。
【0032】
この電子ビーム描画装置は、電子ビーム102をパルス化し、ビームオン時間のパルス幅を制御して描画パターンを形成するものである。
【0033】
電子光学系100において、電子銃103から発生した電子ビーム102は、レンズ126や偏向器127により収束および偏向され、可動ステージ108上の電子ビーム検出素子109および試料104に到達する。ビームオフ時には、電子ビーム102はブランキング電極105で偏向され、ブランキングアパーチャ106に照射され、通過する電子ビームを遮断させる。ブランキング電極105にパルス電圧を印加することで、電子ビーム102をオン/オフさせて、パルスビーム107を生成する。
【0034】
また、制御系112において、信号処理部116内のタイミング制御部120は、ブランキング制御部115、信号処理部116内のA/D変換器123、サンプル/ホールド回路122および計測回路121、並びにデータ制御部117のタイミング制御を行う。
【0035】
生成された電子ビーム102もしくはパルスビーム107を電子ビーム検出素子109に照射する。電子ビーム検出素子109により検出した信号を、検出信号用伝送経路124を介して計測回路121に転送して計測を行う。この計測結果に基づき、電子ビームの電流量を算出する。
【0036】
データ制御系114内の補正演算部118は、信号処理部116から送られるビーム電流量の計測データを元に、補正データを作成する機能を持ち、さらにメモリ119内の各アドレスにその補正データを記憶している。描画時は描画パターンデータに対し、予め作成した補正データをメモリ119から読み出し、ビームオン時間を補正する。これにより、所望の照射量による描画を行う。なお、可変成形ビーム方式の電子ビーム描画装置においては、ビーム電流の計測結果から、電子ビームの面積を補正し、照射量を制御する。
【0037】
次に、本実施の形態1による電子ビーム描画装置における電子ビーム電流量の計測の手順について説明する。ビーム電流計測時には、まず、制御用計算機113から計測開始の起動信号がかかり、ビーム照射量計測用の描画パターンデータをデータ制御系114に転送する。同時に、可動ステージ108を移動させ、電子ビーム検出素子109をビーム照射位置まで移動させる。
【0038】
データ制御系114で前記ビーム照射量計測用の描画パターンデータをビームオン時間とパルス数に変換し、変換されたデータをブランキング制御部115に転送する。このビームオン時間の設定値は、過去の計測結果に基づき、電子ビーム102のパルス化される前のビーム電流量と、ブランキングの応答遅れなどを考慮して算出される。ここでは、その算出方法の詳しい説明は省略する。このとき、同時に信号処理部116内のタイミング制御部120にビーム照射量計測の起動信号を送る。
【0039】
ブランキング制御部115は、転送されたデータに対応したパルス電圧をブランキング電極105に印加し、パルスビーム107を生成する。本実施の形態1の計測方法における計測対象はパルス化された電子ビームに限らないが、ここでは特にパルスビームの計測方法について述べる。
【0040】
信号処理部116内のタイミング制御部120は、パルスビーム107の照射と同時か、それ以前に、制御信号用伝送経路125を介した制御信号によってスイッチ110をオフにして、電子ビーム検出素子109と後段計測回路121との間を電気的に遮断する。ブランキング制御部115が一定数のパルスだけパルス電圧を出力し、パルスビーム107を電子ビーム検出素子109に照射して、電子ビーム検出素子109内に検出信号を電荷として蓄積させる。前記ビーム照射量計測用の描画パターンデータによるパルス数だけパルスビームを照射した後、タイミング制御部120から制御信号用伝送経路125を介して伝送された制御信号に従い、スイッチ110をオンにして、電子ビーム検出素子109内に蓄積された電荷を計測回路121に送り、計測回路121でその電荷量を電圧として計測し、後段のサンプル/ホールド回路122が出力電圧をサンプリングしてA/D変換器123によりアナログ信号をデジタルデータに変換し、補正演算部118内のメモリ119に記憶させる。この記憶されたデータに基づいて、補正演算部118は計測値の設定値からのずれが許容量以内であるか否かを判定する。この許容量は、ビーム描画寸法精度から決まる照射量の設定精度で決まる。設定値と計測値のずれが許容値を超えた場合、ビーム照射量の補正演算を行い、補正したビームオン時間をブランキング制御部115に転送する。このとき、同時に信号処理部116にも起動信号を与え、再び上記計測動作を繰り返す。
【0041】
このようにして、電子ビーム検出素子109内に蓄積された電荷量から、照射されたビーム電流を算出し、ビームオン時間を補正することで、描画時のビーム照射量を決定する。この方式では、蓄積した信号が検出信号用伝送経路124にて伝送されるため、検出信号用伝送経路124に重畳するノイズの影響を受けにくく、高精度なビーム電流の計測が可能となる。
【0042】
次に図2により、計測回路121として積分器200を用いて、電子ビーム検出素子109として半導体ダイオード206を用いた場合の電子ビーム描画装置の構成例を説明する。図2において、真空カラム101内の他の部分は、図1の構成と同じであるので省略している。
【0043】
積分器200は、オペアンプ202を用いて、帰還容量としてコンデンサ203を接続したもので、コンデンサ203の積分信号をリセットするためのリセットスイッチ201をオペアンプ202の入力と出力の間に備えている。また、バイアス電源204の正極が半導体ダイオード206のカソード側に接続され、バイアス電源204の負極が積分器200のアース205とオペアンプ202の入力につながっている。半導体ダイオード206のアノード側はスイッチ110に接続されている。この半導体ダイオード206の飽和値については、後で詳しく述べる。積分器200のリセットスイッチ201はタイミング制御部120と接続され、動作時はタイミング制御部120から制御信号を受け取り、リセットスイッチ201によりコンデンサ203をリセットしてから積分器200で積分を開始する。
【0044】
この電子ビーム描画装置におけるビーム照射量の計測方法は、スイッチ110と、制御信号用伝送経路125を介して接続されるタイミング制御部120とを用いて、パルスビームもしくは電子ビームが照射されると同時かそれ以前にスイッチ110をオフすることで、半導体ダイオード206を検出信号用伝送経路124から電気的に遮断し、半導体ダイオード206内に検出信号を蓄積させて、パルスビームもしくは電子ビームの照射終了後、スイッチ110をオンすることで、蓄積した信号を後段の信号処理部116により計測する。
【0045】
次に図3により、これらの計測方法におけるタイミング制御の一例を説明する。
【0046】
図3において、ビーム信号は、半導体ダイオード206で検出されるビーム電流強度を表す。
【0047】
検出器スイッチは、スイッチ110を制御する制御信号を表し、信号がハイ(High)でスイッチ110がオフとなり、半導体ダイオード206を後段検出信号用伝送経路124から電気的に遮断する。また、検出器スイッチの信号がロウ(Low)でスイッチ110がオンとなり、半導体ダイオード206を後段検出信号用伝送経路124に接続する。
【0048】
積分器リセットスイッチは、リセットスイッチ201を制御する制御信号を表し、信号がハイでリセットスイッチ201がオフとなり、積分器200のコンデンサ203に検出器内に蓄積された電荷を積分する。また、積分器リセットスイッチの信号がロウでリセットスイッチ201がオフとなり、コンデンサ203の電荷をリセットする。
【0049】
検出器内電荷量は、半導体ダイオード206の電子ビーム検出素子内部に蓄積される電荷量である。積分器出力電圧は、積分器200の出力電圧である。
【0050】
時刻tにおいて、制御用計算機113からの起動信号により、データ制御系114でビーム照射量計測用の描画パターンデータをビームオン時間とパルス数に変換し、変換されたデータをブランキング制御部115に転送する。ここで、ビーム照射時間とは、前記ビーム照射量計測用の描画パターンデータに基づいて変換されたパルス数だけ電子ビームを照射する時間であり、ここでは、時刻tから時刻tの間である。パルス数は任意であり、パルス数が1の場合、すなわち連続照射も含まれる。
【0051】
時刻tにおいて、ブランキング制御部115はパルスビームを発生する。同時に、ブランキング制御部115からの起動信号によりタイミング制御部120は制御信号用伝送経路125を介してスイッチ110をオフさせる。このスイッチ110をオフさせる時刻は、パルスビームの照射開始と同時である必要はないが、少なくとも時刻tから時刻tの間である。パルスビーム107が半導体ダイオード206に照射され、半導体ダイオード206内の電荷量が増加していく。
【0052】
時刻tにおいて、計測用のパルスビーム107が終了すると同時に、ブランキング制御部115からの終了信号がタイミング制御部120に転送され、リセットスイッチ201をオフし、積分器200をオンさせる。このとき、オペアンプ202のオフセット電流のために積分器出力電圧がわずかに増加する。
【0053】
時刻tにおいて、積分器200のオフセット出力が安定するタイミングで、サンプル/ホールド回路122が出力電圧をサンプリングしてA/D変換器123によりデジタルデータに変換し、データ制御系114内のメモリ119にオフセット電圧として記憶される。
【0054】
時刻tにおいて、オフセット電圧のサンプリングが終了するタイミングでスイッチ110をオンさせて、半導体ダイオード206内に蓄積した電荷を積分器200に転送する。
【0055】
時刻tにおいて、半導体ダイオード206内の電荷量がすべて積分器200に転送され、積分器200の出力電圧が安定するタイミングで再びサンプル/ホールド回路122でサンプリングし、A/D変換器123によりデジタルデータに変換し、メモリ119に記憶させる。計測された照射量は、先ほどのオフセット電荷量を差し引いたものとなる。
【0056】
このように、半導体ダイオード206内に電荷を蓄積させてから信号を取り出すことで、検出信号用伝送経路124に重畳する電磁ノイズの影響を出来る限り低減した精度の高い電流計測が可能となる。
【0057】
次に図4(a)、(b)により、電子ビーム検出器400の構成例を説明する。
【0058】
図4(a)の電子ビーム検出器400は、検出素子401と蓄積部402とスイッチ403とを内部に作りこんだことに特徴がある。検出素子401は、ファラデーカップ、電子ビームに増倍作用のある半導体ダイオード(フォトダイオードもしくはアバランシェフォトダイオード)、MCP、電子増倍管などである。増幅作用のある素子を用いる場合、ファラデーカップなどの検出方式と出力電流を比較し、絶対校正を行い、正確な増倍率を計測している。なお、検出素子401と蓄積部402は、図1の電子ビーム検出素子109に対応し、スイッチ403はスイッチ110に対応する。
【0059】
図4(b)の電子ビーム検出器400は、検出素子と蓄積部とスイッチとを同一半導体基板内に作りこんだものである。検出素子および蓄積部として半導体ダイオード404を用いて、蓄積部には半導体ダイオード404の接合容量を利用した。スイッチとして電界効果型のトランジスタ405を用いた。そして、半導体ダイオード404とトランジスタ405を半導体406内に作りこんだものである。なお、半導体ダイオード404は、図2の半導体ダイオード206に対応し、トランジスタ405はスイッチ110に対応する。
【0060】
次に図5(a)、(b)により、ビーム電流計測に用いる配線を真空内外に導くための真空電流導入端子(ハーメコネクタ)の配置例を説明する。図5(a)、(b)は、図1および図2の真空カラム101の外壁に現れた真空電流導入端子板の部分を表している。また、図5(a)は図1に対応し、図5(b)は図2に対応している。
【0061】
図5(a)において、真空電流導入端子板600には、従来の検出信号用真空電流導入端子111bに加えて、電子ビーム検出器400内のスイッチ110のオン/オフを制御する配線を導くための制御信号用真空電流導入端子111aを新たに設置した。
【0062】
図5(b)は、電子ビームに増倍作用のある半導体ダイオード206を検出素子として用いた場合の構成である。半導体ダイオード206のように増幅作用のある素子を用いる場合、ファラデーカップなどの検出方式と出力電流を比較し、絶対校正を行う。よって、真空電流導入端子板603には、半導体ダイオード206のアノード用真空電流導入端子111dとカソード用真空電流導入端子111eに加えて、校正用のファラデーカップの信号線を導くための校正信号用真空電流導入端子111fと、電子ビーム検出器400内のスイッチ110のオン/オフを制御する配線を導くための制御信号用真空電流導入端子111aを新たに設置した。
【0063】
後述する本発明の実施の形態2による検出素子が複数個並んだ電子ビーム検出器を用いる場合、半導体ダイオードのアノード用真空電流導入端子111dとカソード用真空電流導入端子111eは検出素子数に応じて増加する。ただし、その場合でも校正信号用真空電流導入端子111fと制御信号用真空電流導入端子111aは、それぞれ1個ずつである。
【0064】
電子ビーム検出器の蓄積部は大きいほうがよいが、図4(b)のように蓄積部に半導体ダイオードの接合容量を用いる場合、現実的には飽和電荷量が存在し、飽和電荷量以上の測定は不可能である。そこで、蓄積部に半導体ダイオードの接合容量を用いる場合において、計測可能なビーム電流量とビーム照射時間の上限を決定するための算出方法について述べる。
【0065】
例えば、半導体ダイオードの素子容量が50(pF)で、順方向電圧が0.5Vまで印加可能な素子を用いた場合についての計算方法を述べる。素子内に蓄積できる電荷量Qmaxは、
max=50(pF)×0.5(V)=25(pC)
である。
【0066】
半導体ダイオードは電子ビームに対して増倍作用がある。このため、電子ビームにより蓄積される電荷量Qは、
電荷量Q=ビーム電流量i×検出素子増倍率G×Σビームオン時間TON
である。
【0067】
この検出素子増幅率Gは入射電子がPN接合による空乏層内でエネルギー損失することにより発生する電子−正孔対の数を基本としている。このため、電子ビームの入射エネルギーEi(eV)、シリコン(Si)において1個の電子−正孔対を発生させるのに必要なエネルギーを3.6eVとすると、増倍率は、
G=α・Ei/3.6
で表される。αはエネルギー伝達係数であり、素子の反射係数や表面から空乏層までの深さ、電子の侵入深さによる。電子の入射エネルギーが50keVで、空乏層までの深さが約0.25μmだとすると、半導体ダイオードの増倍率は約12000倍程度となる。描画装置では、このような増幅作用のある素子を用いる場合、ファラデーカップなどの検出方式と出力電流を比較し、絶対校正を行い、正確な増倍率を計測している。
【0068】
よって、電子の加速電圧が50keVの場合の計測可能なビーム電流量iとビーム照射時間中の総ビームオン時間ΣTONは、
25(pC)≧i×12000×ΣTON
の条件を満たすものである。例えば、ビーム電流が1nA程度である場合、ビーム照射時間ΣTONは、2μs程度となる。
【0069】
このような方法によりビーム電流量、およびビーム照射時間の上限を定めることで、電子ビーム描画装置の長い信号用伝送経路において出来る限り大きい信号を伝送させ、重畳するノイズの影響を低減し、ビーム電流量を高精度に算出することが可能となる。
【0070】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2によるマルチ電子ビーム描画装置の要部を示す構成図、図7は本実施の形態2によるマルチ電子ビーム描画装置において、電子ビーム検出器の構成を示す図である。
【0071】
まず、図6により、本実施の形態2によるマルチ電子ビーム描画装置の構成の一例を説明する。本実施の形態2のマルチ電子ビーム描画装置は、例えば、複数本の電子ビームを用いた描画装置とされ、内部を真空排気した真空カラム500、電子ビーム502を発生する電子銃501、コンデンサーレンズ503、アパーチャアレイ504、レンズアレイ505、複数の電子ビーム506をオン/オフするためのブランキング電極アレイ507とブランキング絞り508、第1投影レンズ509、主偏向器510、第2投影レンズ511、副偏向器512、複数本の電子ビームのビーム電流を計測するための電子ビーム検出素子アレイ514と電子ビーム検出素子アレイ514をオン/オフするスイッチ527からなる電子ビーム検出器、描画パターンを形成するためのシリコンウェハなどの試料513と電子ビーム検出素子アレイ514とスイッチ527とを搭載する試料ステージ515、フォーカス制御回路520、照射量制御回路521、レンズ制御回路522、偏向制御回路523、信号処理回路524、ステージ制御回路525、CPU526、検出信号用伝送経路528、制御信号用伝送経路529などから構成されている。
【0072】
真空カラム500内において、電子銃501から発した電子ビーム502は、コンデンサーレンズ503、アパーチャアレイ504、レンズアレイ505により複数の電子ビーム506が形成される。この複数の電子ビーム506は、ブランキング電極アレイ507、ブランキング絞り508によりそれぞれが独立にオン/オフされ、第1投影レンズ509および第2投影レンズ511により、試料513上に投影される。このとき、複数の電子ビーム506の試料513上での位置は、主偏向器510、副偏向器512を用いて一斉に走査される。走査と複数の電子ビーム506のオン/オフを同期させ、かつ、ステージ515により試料513を移動させることで試料全面を描画する。
【0073】
フォーカス制御回路520はレンズアレイ505を、照射量制御回路521はブランキング電極アレイ507を、レンズ制御回路522は第1投影レンズ509と第2投影レンズ511を、偏向制御回路523は主偏向器510と副偏向器512を、ステージ制御回路525はステージ515をそれぞれ制御している。信号処理回路524は電子ビーム検出素子アレイ514からの信号を検出し、信号処理を行っている。この電子ビーム検出素子アレイ514は、半導体ダイオードなどの検出素子が複数個並んだ検出素子アレイであり、同時に複数本のビームを計測することが可能である。また、電子ビーム検出素子アレイ514内に蓄積部を有している。これら、すべてのユニットを統括しているのがCPU526である。
【0074】
ここで、照射量制御回路521には、ブランキング制御手段とビームオン時間の補正データ作成および補正演算を行う補正演算部が含まれ、これは図1のブランキング制御部115と補正演算部118と同一の構成である。また、信号処理回路524には、タイミング制御部、計測回路、サンプル/ホールド回路、A/D変換器、が含まれ、これは図1のタイミング制御部120、計測回路121、サンプル/ホールド回路122、A/D変換器123と同一の構成である。ただし、タイミング制御部を除く計測回路、サンプル/ホールド回路、A/D変換器については、同時計測を可能にするため、同様のものが複数個並んだ構成となっている。
【0075】
また、スイッチ527は前記複数の検出素子のそれぞれの出力部を電気的に遮断する手段であり、図1のスイッチ110と同じ構成のものが複数個並んだものである。検出信号用伝送経路528においても、検出信号用伝送経路124と同一の構成のものが複数本並んでおり、制御信号用伝送経路529においては制御信号用伝送経路125と同じ構成である。
【0076】
このマルチ電子ビーム描画装置では、電子銃501からの放射電流密度分布、電子光学系を構成する要素の機械的な誤差などで、各電子ビームの特性が異なることがある。そのため、同一のビームオン時間を設定しても、それぞれの電子ビームでビーム照射量が異なるため、描画パターンの寸法が均一にならない。このため、ビームごとに電流量を計測し、それぞれの照射量特性データを作り、ビームオン時間を校正する。
【0077】
しかし、ビームの本数が増えると、その分だけ電流計測に時間がかかり、計測時間の短縮が必要である。また、検出信号用伝送経路528は数十cm〜数mとなり、さらに複数本のケーブルが並列に配置されている。このような長い伝送経路は、周囲の電磁ノイズを多く受け、微弱な検出信号を転送することは非常に困難である。よって、前記実施の形態1で説明した検出素子内に電荷を蓄積し、蓄積した信号を計測する方法を、複数本のビームに対して同時に行うことが、長い検出信号用伝送経路528に重畳する電磁ノイズによる影響を低減する。
【0078】
次に図7により、電子ビーム検出素子アレイ514とスイッチ527などからなる電子ビーム検出器の構成について詳しく述べる。複数本の電子ビーム700を検出するために、複数の検出素子である(2×n)個の半導体ダイオードアレイ701が、その一方向の素子ピッチΔp、素子数n、長さLをもつ構造となっている。また、検出素子のそれぞれの信号を取り出す信号線は、スイッチ527につながり、前記実施の形態1と同様に電子ビームの発生・終了に同期して、信号処理回路524内のタイミング制御部からの信号を制御信号用伝送経路529によりスイッチ527に転送し、検出素子の出力を開閉する。これにより、蓄積した信号を検出信号用伝送経路528にて転送し、後段の信号処理回路524内の計測回路で計測を行う。
【0079】
素子ピッチΔpは、電子ビームの飛程の2倍以上でかつ前記複数の電子ビーム700のビームピッチの整数倍である。素子数nは、ビームの一列分の本数を前記素子ピッチΔpで割った値以上である。
【0080】
例えば、素子ピッチΔpは、電子の入射エネルギーが50keVである場合のシリコン内の飛程が20μmであるため、ビームピッチを2μmとすると、40μmピッチとなる。前記実施の形態1で述べたように、加速電圧は50kV、ビーム電流量は約1nA、ビームオン時間の合計が10μs以下の場合だと検出素子の各々の素子容量は、24pF以上が必要となる。
【0081】
半導体ダイオードの素子容量Cは、パッケージ容量と半導体ダイオードの接合容量C の和である。最もノイズの影響を少なくするために蓄積する信号は素子の接合容量内にできる限り蓄積させることにする。半導体ダイオードの接合容量は、半導体ダイオードの素子面積Aと空乏層厚さTに依存し、
【0082】
【数1】

【0083】
の関係がある。接合容量Cを大きくするためには、空乏層厚さTを薄くするか、素子面積Aを大きくするかである。50keVの電子ビームの場合、シリコン内の飛程は20μmであり、これ以上空乏層厚さTを薄くすると、検出効率を下げてしまうため、素子面積Aを大きくする。ただし、素子ピッチΔpは、40μmであるため、素子容量を24pF以上とするためには、長さLで調整することが最も簡単な方法である。素子ピッチΔpが、40μmである場合、素子容量を24pF以上にするためには、長さLは約7.5mm以上が必要である。
【0084】
マルチビーム描画装置では、ビームの領域は100μm角程度であるため、出来る限り多くのビームを同時に計測しようとすると、図7に示すように、(2×n)個の検出素子アレイの構造となる。
【0085】
また、図7のように非常に細長い検出素子の端の一部だけを使って、ビームを検出することになり、照射されない領域が広く、この非照射部に入射する電磁波がノイズ源となり、測定の誤差の原因となってしまう。そこで、ビームが照射される以外の検出素子表面に入ってくる電磁波を防ぐ必要がある。このため、遮蔽板702を素子上面に設置する。この遮蔽板702は照射される各電子ビーム径以上の開口部を持つ。この開口部は、図7では、一つであるが、それぞれの検出素子ごとに複数の孔を開けてもよい。遮蔽板702の材質は電磁波や電子ビームができる限り透過しないように、タンタルより原子番号の大きな重金属製とする。これらの重金属では加速電圧50kVの電子ビームにおいては、その飛程は約2μmである。その他、高エネルギーの電磁波もできる限り遮蔽するために、遮蔽板702の厚さは0.5mm程度にする。
【0086】
したがって、本実施の形態2によれば、マルチビーム描画装置において、伝送経路のノイズの影響を低減し、かつ効率よく電流計測を行うことが可能となり、精度の高い照射量計測が実現する。
【0087】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0088】
例えば、前記実施の形態においては、電子ビームについて説明したが、これに限定されるものではなく、他の荷電粒子ビームについても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本願において開示される発明は、半導体装置の製造に用いられる電子ビーム描画装置などについて適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1による電子ビーム描画装置の要部を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1において、計測回路として積分器を用いて、電子ビーム検出素子として半導体ダイオードを用いた場合の電位ビーム描画装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1において、計測におけるタイミングを示す図である。
【図4】(a)、(b)は、本発明の実施の形態1において、内部に検出素子と蓄積部とスイッチを組み込んだ電子ビーム検出器の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1において、真空電流導入端子の配置を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2によるマルチ電子ビーム描画装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2において、電子ビーム検出器の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
100 電子光学系
101,500 真空カラム
102,502,700 電子ビーム
103,501 電子銃
104,513 試料
105 ブランキング電極
106 ブランキングアパーチャ
107 パルスビーム
108,515 ステージ
109 電子ビーム検出素子
110,403,527 スイッチ
111a〜111f 真空電流導入端子
112 制御系
113 制御用計算機
114 データ制御系、
115 ブランキング制御部
116 信号処理部
117 データ制御部
118 補正演算部
119 メモリ
120 タイミング制御部
121 計測回路
122 サンプル/ホールド回路(S/H)
123 A/D変換器(ADC)
124,528 検出信号用伝送経路
125,529 制御信号用伝送経路
126 レンズ
127 偏向器
200 積分器
201 リセットスイッチ
202 オペアンプ
203 コンデンサ
204 バイアス電源
205 アース
206,404 半導体ダイオード
400 電子ビーム検出器
401 検出素子
402 蓄積部
405 トランジスタ
406 半導体
600,603 真空電流導入端子板
503 コンデンサーレンズ
504 アパーチャアレイ
505 レンズアレイ
506 複数の電子ビーム
507 ブランキング電極アレイ
508 ブランキング絞り
509 第1投影レンズ
510 主偏向器
511 第2投影レンズ
512 副偏向器
514 電子ビーム検出素子アレイ
520 フォーカス制御回路
521 照射量制御回路
522 レンズ制御回路
523 偏向制御回路
524 信号処理回路
525 ステージ制御回路
526 CPU
701 半導体ダイオードアレイ
702 遮蔽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームを発生する電子ビーム発生手段と、前記電子ビームをオン/オフするブランキング手段と、前記電子ビームのビーム電流を検出する電子ビーム検出素子と、前記電子ビーム検出素子の検出信号を計測する計測回路とを用いて、前記電子ビームを前記電子ビーム検出素子に照射して電子ビーム電流の計測を行う電子ビーム電流計測方法であって、
前記電子ビーム検出素子で検出した電流を電荷として蓄積する蓄積部と前記計測回路との間に設けられたスイッチにより、前記蓄積部と前記計測回路との間を電気的に遮断すると同時に、または遮断した後に、前記電子ビームを前記電子ビーム検出素子に照射し、
前記電子ビーム検出素子で検出した電流を電荷として前記蓄積部に蓄積し、
特定のビーム照射時間が経過した後、前記スイッチにより前記蓄積部と前記計測回路とを接続し、
前記蓄積部に蓄積された電荷量から電子ビーム電流量を算出することを特徴とする電子ビーム電流計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−128914(P2007−128914A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29174(P2007−29174)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【分割の表示】特願2004−261776(P2004−261776)の分割
【原出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】