説明

電子ペン・システム、端末装置及びそのプログラム

【課題】 複数の用紙に電子ペンで記入された記入内容について、任意の位置・大きさの範囲を指定して、表示手段に表示することができる電子ペン・システム、端末装置及びそのプログラムを提供する。
【解決手段】 電子ペン・システム10は、電子ペン1、解答用紙5、集約装置2等から構成される。各電子ペン1は固有のペンIDを有している。集約装置2は、電子ペン1から記入情報を受信すると、ペンIDごとに記入情報を記憶手段25に記憶する。そして、マウスで任意の位置・大きさの範囲を指定すると、集約処理手段24は、マウスにより指定された範囲に対応する各用紙における記入情報を記憶手段25から抽出して、各用紙における記入情報を筆跡として一覧表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン先部の用紙上の位置座標を演算する電子ペンを用いた電子ペン・システムであって、複数の用紙に記入された記入内容を端末装置に表示させる電子ペン・システム、端末装置およびそのプログラムに関する。
【0002】
従来、記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのアノト社が開発した「アノトペン」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙(以下、「専用ペーパー」とも呼ぶ。)とともに使用される。アノトペンは、ペン先部に、文字等を書くための通常のインクカートリッジに加えて、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。利用者が専用紙上にアノトペンで文字等を書いたり、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入したりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを撮像し、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、利用者が書き込んだ文字、画像などの記入情報が認識される。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置へ送信される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
本出願人は、このような電子ペンを用いて、模擬試験などの採点した結果を効率よく集計する学習採点システムなどを提案している(特許文献2)。また、複数の受講者に対して共有する学習データを記憶装置に記憶し、受講者の端末からのアクセスをカウントしつつ学習データを提供するシステムも提案されている(特許文献3)。また、受講者が電子ペンによって問題用紙に解答を記入し、各電子ペンで記入された記載内容を同一の問題用紙ごとにまとめてファイルを作成し、記憶するシステム等も提案されている(特許文献4)。また、採点システムにおいて、採点効率を上げるために、複数の記入者によって記入された各答案用紙の同じ解答欄を切り出して、表示画面に一覧表示するシステムも提案されている(特許文献5)。
【0004】
【特許文献1】特表2003−511761号公報
【特許文献2】特開2004−206295号公報
【特許文献3】特開2002−323847号公報
【特許文献4】特開2006−244055号公報
【特許文献5】特許第3579599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献5に示されるシステムは、答案用紙をイメージ・スキャナに読み込み、解答欄ごとに切り出して一定の順序で表示画面に出力するものであるが、イメージ・スキャナによって読み取られたイメージ・データから解答欄をどのように切り出すのか具体的に開示されておらず、また、解答欄は、答案用紙に予め印刷され固定化された範囲であり、このシステムでは、答案用紙のうち任意に位置や大きさを変えて切り出すことはできない。
【0006】
そこで、本発明は、電子ペンを利用したシステムにおいて、複数の用紙に電子ペンで記入された記入内容について、任意の位置・大きさの範囲を指定して、表示手段に逐次更新して表示することができる電子ペン・システム、端末装置及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電子ペン・システムは、位置によってユニークなコード化パターンが印刷された複数の用紙と、前記用紙に印刷されたコード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標と固有のペンIDとを含む記入情報を送信する複数の電子ペンと、前記電子ペンによって送信される記入情報を受信して、記入情報を処理する端末装置とを備える電子ペン・システムであって、前記端末装置は、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を記憶する記憶手段と、表示手段の表示画面において、任意の位置・大きさの範囲を指定する範囲指定手段と、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を筆跡として再現して表示手段に表示させる処理手段とを有し、前記処理手段は、前記範囲指定手段により指定された範囲に対応する各用紙における記入情報を前記記憶手段から抽出して、各用紙における前記記入情報を筆跡として前記表示手段に一覧表示させることを特徴とする。
【0008】
用紙によって異なる電子ペンを用いて記入すると、それぞれの電子ペンは、用紙に印刷されたコード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標と固有のペンIDとを含む記入情報を端末装置へ送信する。端末装置は、記入情報を受信すると、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を記憶手段に記憶し、処理手段によって、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を筆跡として再現して表示手段に表示させる。ここで、範囲指定手段によって、表示手段の表示画面において、任意の位置・大きさの範囲を指定すると、処理手段は、範囲指定手段により指定された範囲に対応する各用紙における記入情報を記憶手段から抽出して、各用紙における記入情報を筆跡として表示手段に一覧表示させる。したがって、操作者は、範囲指定手段によって、表示手段の表示画面において、任意の位置・大きさの範囲を指定することにより、指定された範囲に対応する各用紙における記入内容を表示手段で確認することができる。
【0009】
上記電子ペン・システムにおいて、前記処理手段は、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、前記範囲指定手段により指定された範囲に記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させるよう構成するとよい。この構成により、指定された範囲にストローク情報が存在しないものは表示されず、指定された範囲にストローク情報が存在するペンID又はユーザIDの記入情報について筆跡として表示手段に一覧表示されるため、見やすい。
【0010】
さらに、上記電子ペン・システムにおいて、前記範囲指定手段は、一旦指定した範囲を調整することができ、前記処理手段は、前記範囲指定手段によって指定範囲が調整されたとき、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、調整後の指定範囲に、記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させるよう構成させると好ましい。この構成により、必要に応じて範囲指定手段によって一旦指定した範囲を調整することができ、また、処理手段は、調整後の指定範囲につき、記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、表示手段に一覧表示させるため、一覧表示させたい指定範囲を任意に調整して、調整後におけるストローク情報の存在が反映された一覧表示をさせることができる。
【0011】
また、上記電子ペン・システムにおいて、前記処理手段は、プロジェクタへの表示信号の出力中又は所定時以降に、電子ペンから受信した記入情報を、線種を変更して筆跡として前記表示手段に表示させるとよい。この構成により、プロジェクタへの表示信号の出力中に、電子ペンから受信した記入情報は、電子ペンの利用者がプロジェクタにより投影表示される映像を見て、記入された情報である可能性があるが、記入情報の筆跡の線種が変更されることにより、プロジェクタへの表示信号の出力中に受信された記入情報の筆跡を他の筆跡と区別して認識することができる。また、所定時以降に、電子ペンから受信した記入情報を、線種を変更して筆跡として表示手段に表示させる場合にも、同様に、他の筆跡と区別して認識することができる。
【0012】
また、本発明に係る端末装置は、位置によってユニークなコード化パターンが印刷された複数の用紙と、前記用紙に印刷されたコード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標と固有のペンIDとを含む記入情報を送信する複数の電子ペンと、前記電子ペンによって送信される記入情報を受信して、記入情報を処理する端末装置とを備える電子ペン・システムにおいて利用される端末装置であって、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を記憶する記憶手段と、表示手段の表示画面において、任意の位置・大きさの範囲を指定する範囲指定手段と、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を筆跡として再現して表示手段に表示させる処理手段とを有し、前記処理手段は、前記範囲指定手段により指定された範囲に対応する各用紙における記入情報を前記記憶手段から抽出して、各用紙における前記記入情報を筆跡として前記表示手段に一覧表示させることを特徴とする。
【0013】
この端末装置により、本電子ペン・システムにおいてその機能を発揮することができ、操作者は、範囲指定手段によって、表示手段の表示画面において、任意の位置・大きさの範囲を指定することにより、指定された範囲に対応する各用紙における記入内容を表示手段で確認することができる。
【0014】
上記端末装置において、前記処理手段は、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、前記範囲指定手段により指定された範囲に記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させるよう構成するとよい。この構成により、指定された範囲にストローク情報が存在しないものは表示されず、指定された範囲にストローク情報が存在するペンID又はユーザIDの記入情報について筆跡として表示手段に一覧表示されるため、見やすい。
【0015】
さらに、上記端末装置において、前記範囲指定手段は、一旦指定した範囲を調整することができ、前記処理手段は、前記範囲指定手段によって指定範囲が調整されたとき、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、調整後の指定範囲に、記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させるよう構成させると好ましい。この構成により、必要に応じて範囲指定手段によって一旦指定した範囲を調整することができ、また、処理手段は、調整後の指定範囲につき、記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、表示手段に一覧表示させるため、一覧表示させたい指定範囲を任意に調整して、調整後におけるストローク情報の存在が反映された一覧表示をさせることができる。
【0016】
また、上記端末装置において、前記処理手段は、プロジェクタへの表示信号の出力中又は所定時以降に、電子ペンから受信した記入情報を、線種を変更して筆跡として前記表示手段に表示させるとよい。この構成により、プロジェクタへの表示信号の出力中に、電子ペンから受信した記入情報は、電子ペンの利用者がプロジェクタにより投影表示される映像を見て、記入された情報である可能性があるが、記入情報の筆跡の線種が変更されることにより、プロジェクタへの表示信号の出力中に受信された記入情報の筆跡を他の筆跡と区別して認識することができる。また、所定時以降に、電子ペンから受信した記入情報を、線種を変更して筆跡として表示手段に表示させる場合にも、同様に、他の筆跡と区別して認識することができる。
【0017】
また、本発明に係るプログラムは、位置によってユニークなコード化パターンが印刷された複数の用紙と、前記用紙に印刷されたコード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標と固有のペンIDとを含む記入情報を送信する複数の電子ペンと、前記電子ペンによって送信される記入情報を受信して、記入情報を処理する端末装置とを備える電子ペン・システムにおいて利用される端末装置によって実行されるプログラムであって、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を記憶する記憶手段、表示手段の表示画面において、任意の位置・大きさの範囲を指定する範囲指定手段、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を筆跡として再現して表示手段に表示させるものであり、前記範囲指定手段により指定された範囲に対応する各用紙における記入情報を前記記憶手段から抽出して、各用紙における前記記入情報を筆跡として前記表示手段に一覧表示させる処理手段として前記端末装置を機能させることを特徴とする。
【0018】
上記プログラムにおいて、前記処理手段は、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、前記範囲指定手段により指定された範囲に記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させるよう構成するとよい。
【0019】
さらに、上記プログラムにおいて、前記範囲指定手段は、一旦指定した範囲を調整することができ、前記処理手段は、前記範囲指定手段によって指定範囲が調整されたとき、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、調整後の指定範囲に、記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させるよう構成すると好ましい。
【0020】
また、上記プログラムにおいて、前記処理手段は、プロジェクタへの表示信号の出力中又は所定時以降に、電子ペンから受信した記入情報を、線種を変更して筆跡として前記表示手段に表示させるとよい。
【0021】
このプログラムを端末装置にインストールすることにより、本発明に係る端末装置を構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、複数の用紙に電子ペンで記入された記入内容について、任意の位置・大きさの範囲を指定して、表示手段に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電子ペン・システムの好適な実施形態について説明する。
【0024】
<第1実施形態>
〔電子ペン・システムのシステム構成〕
図1は、第1実施形態における電子ペン・システム10のシステム構成図である。図1に示すように、電子ペン・システム10は、各受講者(利用者)それぞれに配布される解答用紙(記入用紙)5A,5B,…(5)と、解答用紙5に解答(筆跡)を記入し、記入した情報を外部へ Bluetooth(登録商標)等の無線通信方式で送信するための電子ペン1A,1B,…(1)と、各電子ペン1から送信される記入情報を受信してディスプレイ(表示手段)に記入内容等を表示する集約装置(端末装置)2とを備える。
【0025】
なお、図1では、集約装置2は、電子ペン1A〜1Cから直接、記入情報を受信しているが、記入される解答用紙5が多いために記入情報を送信する電子ペン1の本数が多い場合や、受講者が解答する会場が離れている等により無線通信の範囲外となるような場合は、他の電子ペン1D、1E、…から送信される記入情報を中継して集約装置2へ転送するための転送装置3を設ける。このとき、転送装置3から集約装置2へのデータの送信は、例えばLAN経由でTCP/IPの通信方式で行うとよい。各電子ペン1には、アノトペンを利用することができ、集約装置2や転送装置3には、ラップトップパソコンなどを利用することができる。プロジェクタ4は、集約装置2から表示情報を受信して、集約装置2の画面をスクリーンへ投影表示する装置である。
【0026】
〔解答用紙〕
図2を参照して解答用紙(記入用紙)5について説明する。各解答用紙5には、その略全面に、それぞれ同じパターンのドットパターン(コード化パターン)が印刷され、その上に、ユーザエリア501が規定されている。さらに、各解答用紙5には、所属(クラス)や名前を記入する記入欄や問題、解答欄等が印刷されている。なお、問題数が多く解答用紙5のセットが複数枚に及ぶ場合は、二枚目、三枚目、…ごとに異なるドットパターンを印刷する。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷され、記入欄や問題内容等の線や文字は、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。
【0027】
〔解答用紙、電子ペンと受講者の対応等〕
解答用紙、電子ペンと受講者(記入者)の対応等については、本実施形態では、図3に示すように、受講者「太郎」が、電子ペン1Aを用いて解答用紙5Aに解答し、受講者「次郎」が、電子ペン1Bを用いて解答用紙5Bに解答し、受講者「三郎」が、電子ペン1Cを用いて解答用紙5Cに解答し、受講者「四郎」が、電子ペン1Dを用いて解答用紙5Dに解答し、受講者「五郎」が、電子ペン1Eを用いて解答用紙5Eに解答するものとする。また、講師(利用者)「花子」が、集約装置2を操作するものとする。
【0028】
次に、図4と図5を参照しながら、解答用紙5に印刷されたアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について説明する。図4は、用紙5に印刷されたドットパターンのドットと、そのドットが変換される値との関係を説明する図である。図4に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、用紙上の位置座標が決定されるように構成されている。
【0029】
図5は、あるドットパターンの配列を示している。図5(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、用紙上のどの部分から6×6ドットを取っても、ユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは、位置座標と、ドットパターンアドレス(コード化パターンアドレス)を保持している。図5(b)は、図5(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図4に示す規則性に基づいて、対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
【0030】
〔電子ペン〕
次に、図6を参照しながら、電子ペン1について説明する。図6に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、CPU等により構成されるプロセッサ108と、ROMやRAMなどのメモリ109と、アンテナや送信回路等により構成される通信ユニット111と、バッテリー112と、LED105と、CMOSカメラ106と、リアルタイムクロック110と、圧力センサ107と、インクカートリッジ104とを備えている。インクカートリッジ104の先端は、ペン先部103となっており、各受講者は、電子ペン1のペン先部103を、解答用紙5に当接させながら、所属(クラス)や氏名、設問に対する解答を記入することができる。
【0031】
バッテリー112は、電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものである。例えば、磁石入りのキャップの脱着を磁気センサにより検知して(図示せず)、電子ペン1自体の電源のオン/オフを行う。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、受講者が電子ペン1により解答用紙5上に文字などを書く際に、ペン先部103からインクカートリッジ104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ送る。
【0032】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105とCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切り替える。即ち、受講者が電子ペン1で解答用紙5上に文字などを筆記すると、そのとき、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、受講者が記入を開始したと判定して、LED105とCMOSカメラ106を作動させる。
【0033】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられている。筐体101におけるLED105とCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、解答用紙5上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照射する。その領域は、ペン先部103が解答用紙5に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。CMOSカメラ106による撮影領域は、図5に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲である。CMOSカメラ106の撮影は、毎秒50〜100回程度行われる。
【0034】
カーボンは赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。CMOSカメラ106の撮影結果を閾値で判別することによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を、赤外線の反射量の違いで区別することができる。解答用紙5の枠線や文字等を印刷したインキは赤外域に吸収性を持たないため、ドットパターンを容易に認識できる。
【0035】
プロセッサ108は、受講者が記入している間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、受講者が記入するストローク(筆跡)の用紙5上におけるXY座標(位置座標)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給されるドットパターンの画像データを図5(b)に示すようなデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値とY座標ビット値に変換したうえで、そのデータ配列から所定の演算方法によりXY座標データとドットパターンアドレスを演算する。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)と、筆圧データと、ドットパターンアドレスと、XY座標データと、ペンID(電子ペン識別情報)を関連付ける。なお、解答用紙5における6×6のドットパターンは、その用紙内で重複することはないため、受講者が電子ペン1で解答内容を記入すると、記入された位置が用紙のどの位置にあたるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
【0036】
メモリ109には、電子ペン1を識別するためのペンIDが記憶されている。電子ペン1A〜1Eには、それぞれのペンID「pen01 」〜「pen05 」が、それぞれのメモリ109に記憶されている(参照図1)。
【0037】
通信ユニット111は、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、ドットパターンアドレスと、XY座標データと、ペンIDとが関連付けられた記入情報を、集約装置2へ直接、又は転送装置3を経由して送信する。通信ユニット111による送信は、Bluetooth(登録商標)の無線送信方式によって、集約装置2へ即時的かつ逐次的に行われる。
【0038】
各電子ペン1は、受講者が解答用紙5に記入する都度、記入情報を生成して、集約装置2へ送信する。例えば、受講者が電子ペン1のペン先部103を解答用紙5に接触(ペン・ダウン)させて記入すると、電子ペン1は、圧力センサ107で所定値以上の筆圧が検出されたことにより、解答用紙5への接触を検出する。そして、LED105によって赤外線を照射しつつ、CMOSカメラ106によってペン先部103近傍のドットパターンを撮影する。撮影されたドットパターンの画像データから、解答用紙5への接触位置におけるXY座標データとドットパターンアドレスを、プロセッサ108によって演算する。プロセッサ108は、リアルタイムクロック110によって発信された現在時刻を示す時間情報と、ドットパターンアドレスと、XY座標データと、筆圧データと、ペンIDとを関連付けた記入情報を生成し、その記入情報を集約装置2へ送信させる。
【0039】
このように、電子ペン1は、受講者が解答用紙5に記入し続けている間、記入情報を生成し、集約装置2へ送信し続ける。そして、受講者が電子ペン1を解答用紙5から離す(ペン・アップ)と、電子ペン1は、圧力センサ107で所定値以上の筆圧が検出されなくなったことにより、受講者が記入を停止したと判定する。そして、LED105とCMOSカメラ106を停止して、集約装置2への記入情報の送信を中止する。
【0040】
〔転送装置〕
図7を参照して転送装置3について説明する。図7に、転送装置3の機能ブロック図と集約装置2の機能ブロック図とを含む電子ペン・システム10のシステム構成図を示す。
【0041】
図7に示すように、転送装置3は、転送受信手段31と転送送信手段32とを備える。転送受信手段31は、電子ペン1から Bluetooth(登録商標)の無線通信方式で送信される記入情報等のデータを受信する手段である。転送送信手段32は、転送受信手段31によって受信した記入情報等のデータを集約装置2に送信する手段である。転送送信手段32による集約装置2へのデータの送信は、例えばLAN経由でTCP/IPの通信方式により行うと良い。
【0042】
〔集約装置〕
続いて、集約装置2について説明する。図7に示すように、集約装置2は、範囲指定手段20、入力手段21、集約個別受信手段(受信手段)22、集約転送受信手段(受信手段)23、集約処理手段(処理手段)24、記憶手段25、表示手段26、及び送信手段27を備える。集約装置2は、ハードウェアとして、電子ペン1やプロジェクタ4とのデータ通信が可能な通信装置と、CPU等のプロセッサと、ROMやRAM、ハードディスクなどのメモリと、ディスプレイと、マウスやキーボード等で構成されているパーソナルコンピュータ等である。また、集約装置2は、集約処理手段24による描画アプリケーション(プログラム)の実行により、電子ペン1から受信した記入情報を処理して、表示手段26に記入内容を再現する。
【0043】
集約個別受信手段22は、電子ペン1から送信された記入情報等のデータを受信する手段である。集約転送受信手段23は、転送装置3から転送された記入情報等のデータを受信する手段である。集約個別受信手段22及び集約転送受信手段23は、アンテナや受信回路等により構成される。
【0044】
範囲指定手段20は、マウス等のポインティング・デバイスとその操作を検知する手段によって構成され、マウスによって、表示手段26の画面におけるボタンのクリック操作や任意の位置・大きさの長方形状の画面範囲を指定するドラッグ操作が可能である。入力手段21は、処理や表示の種別を含む処理態様を指示する手段であり、キーボードやマウスとその操作を検知する手段によって構成される。このように、マウスは、その操作によって範囲指定手段20と入力手段21とを兼ねる。送信手段27は、表示手段26に表示される内容と同じ内容をプロジェクタ4からスクリーンへ投影表示させるため、表示手段26への表示信号を同期してプロジェクタ4へ送信する手段である。
【0045】
記憶手段25は、ROMやRAM、ハードディスクなどのメモリによって構成され、解答用紙5における各ユーザエリアと位置座標とを関連付けて記憶する。また、図8に示すように、記憶手段25は、電子ペン1が保持する固有のペンIDに対して、ユーザIDとユーザ名とをユーザ定義情報として関連付けて記憶する。図8において、例えば、ペンID「pen01 」には、ユーザID「U01 」とユーザ名「太郎」とが予め関連付けられて記憶されている。さらに、記憶手段25は、各電子ペン1によって送信されてきた記入情報を、ペンIDごとに記憶する。
【0046】
記憶手段25には、記入情報およびユーザ定義情報に基づいて、集約処理手段24による描画アプリケーション(プログラム)の実行により、ファイル形式で学習データが保存される。図9は、データのファイル形式の概略的な構造を示している。図9に示すように、学習データは、ファイル属性情報と、ユーザID別の個人学習データとを有する。ファイル属性情報には、作成日時情報が含まれている。また、個人学習データには、ユーザIDと、電子ペン1から送信された記入情報の位置座標情報等を含むユーザストローク情報と、解答内容等に応じてカテゴライズのために操作者によって設定されるユーザ色(分類)情報やキーワード情報等が含まれている。ユーザIDは、集約処理手段24により、記入情報に含まれるペンIDに基づいて、記憶手段25に予め記憶されたユーザ定義情報を参照することで特定され、当該記入情報に基づくユーザストローク情報と対応付けられる。ユーザストローク情報は、電子ペン1が演算した位置座標(XY座標)情報、記入された時の時刻情報、及び筆圧情報が含まれる。ファイルデータを読み込む際には、操作者が、入力手段21によって、ユーザID、ユーザ色情報、キーワード情報などを所定の入力エリアに入力することで、集約処理手段24によって特定のデータを検索させ、ユーザストローク情報を表示手段26に再現させることができる。
【0047】
集約処理手段24は、電子ペン1からのデータを集約して処理する手段であり、アプリケーションプログラムの実行により機能を発揮するCPU等のプロセッサによって構成されている。この集約処理手段24は、電子ペン1から位置座標及びペンID等を含む記入情報を受信すると、ペンIDごとに記入情報を記憶手段25に記憶させる。また、集約処理手段24は、ペンIDごとに関連付けられた記入情報を筆跡として再現して表示手段26に表示させ、また、範囲指定手段20のマウス操作でドラッグにより指定された範囲に対応する各解答用紙5における記入情報を、記憶手段25から抽出して、各解答用紙5における記入情報を筆跡として表示手段26に一覧表示させる等、様々な処理を行う。
【0048】
また、集約処理手段24は、解答用紙5についての記入情報を含む学習データに基づいて、表示手段26に記入内容を表示させるとともに電子ペンIDに対応するユーザIDに対応するユーザ名を表示させる。表示手段26に電子ペン1による記入内容とユーザ名とが表示されるため、操作者である講師「花子」は、受講者(記入者)とその者による記入内容とを合わせて認識することができる。また、集約処理手段24は、表示手段26と同じ内容を同期させて、プロジェクタ4からスクリーンへ投影表示させるため、表示手段26に対する表示信号と同じ信号を送信手段27に対してプロジェクタ4へ向けて送信させる。すると、各受講者も、プロジェクタ4からスクリーンへ投影表示された記入内容とその記入者とを合わせて認識することができる。
【0049】
〔描画アプリケーションによる画面表示〕
次に、描画アプリケーションの実行による集約処理手段24の表示手段26への表示処理について図10を参照しつつ説明する。
【0050】
図10に示すように、電子ペン1で解答用紙5に記入された際に生成された記入情報に基づいて、集約装置2で記憶手段25に個別学習データとして記憶したユーザストローク情報は、集約処理手段24によって、表示手段26のユーザストローク情報表示領域50に描画される。描画するユーザストローク情報が、拡大表示などでユーザストローク情報表示領域50よりも大きい場合、集約処理手段24は、横スクロールバー51及び縦スクロールバー52を有効とし、利用者のマウス操作によってユーザストローク情報表示領域50をスクロールして、ユーザストローク情報全体を複数回に分けて表示できるようにする。
【0051】
また、集約処理手段24は、画面上部に、機能ボタンとして、選択ユーザ表示ボタン53、比較一覧表示ボタン54、再生表示ボタン56、選択画像出力ボタン57、表示サイズ変更リスト58、縮小表示ボタン59、拡大表示ボタン61、ページ送りボタン62,63、回転表示ボタン64,66、ユーザコントロール表示ボタン67などを表示し、マウスによる機能ボタンの選択により、それぞれの処理を実行する。
【0052】
選択ユーザ表示ボタン53は、後述するユーザ選択リスト69から選択した1つのユーザ名に対応するユーザストローク情報を表示するためのボタンである。比較一覧表示ボタン54は、複数のユーザ名に対応するユーザストローク情報を同時に並べて一覧表示するためのボタンである。再生表示ボタン56は、ユーザストローク情報を1ストロークずつ再生表示するためのボタンである。選択画像出力ボタン57は、任意選択範囲がある場合にその範囲内のユーザストローク情報を、画像データとして出力するためのボタンである。この機能を設けることで、各受講生の記入情報から、参考となる模範解答集などを容易に作成できるようになる。
【0053】
表示サイズ変更リスト58は、現在、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報の表示サイズを示すリストである。また、ユーザがマウスを用いてプルダウンメニューの中から表示サイズを任意に選択し、変更できる。縮小表示ボタン59は、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報の表示サイズを、現在設定されている表示サイズから所定の割合で縮小する機能である。拡大表示ボタン61は、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報の表示サイズを、現在設定されている表示サイズから所定の割合で拡大する機能である。ページ送りボタン62,63は、解答用紙5のセットが複数枚に及ぶ場合に、異なるページアドレス(用紙ドットパターン)の解答用紙5を表示するためのボタンである。回転表示ボタン64,66は、ユーザストローク情報表示領域50に描画するユーザストローク情報を90度ずつ回転させるためのボタンである。このような機能を設けることで、表示上の用紙向きを簡単に変更できる。ユーザコントロール表示ボタン67は、ユーザコントロールリスト68の表示・非表示を切り替える機能である。非表示にすることで、ユーザストローク情報表示領域50を拡大できる。
【0054】
図11に示すように、ユーザコントロールリスト68には、ユーザ選択リスト69、色分類ボタン71〜76、名簿順ソートボタン78、色順ソートボタン79、分類グラフ表示ボタン81、リロードボタン82などが表示される。
【0055】
ユーザ選択リスト69は、ユーザストローク情報表示領域50に表示するユーザストローク情報を、ユーザ名で選択するためのリストである。集約処理手段24は、電子ペン1から取得して個別学習データとして記憶手段25に記憶したユーザストローク情報ごとに関連付けられているユーザIDに対応するユーザ名や、色分類ボタン71〜76によって選択されたユーザ色(分類)情報、キーワード等の各ユーザの情報を、ユーザ選択リスト69に表示する。ユーザ選択リスト69のユーザ名の欄には、集約処理手段24により、記憶手段25に記憶した個別学習データのユーザIDに対応するユーザ名が表示される。
【0056】
そして、操作者がマウスによって、ユーザ選択リスト69から所望のユーザを選択したうえで選択ユーザ表示ボタン53をクリックすると、集約処理手段24は、選択されたユーザのストローク情報を解答用紙5の画像とともに、ユーザストローク情報表示領域50に表示させる。図10では、ユーザ選択リスト69のうちユーザ名「三郎」が選択され、ユーザストローク情報表示領域50には、受講者「三郎」によって電子ペン1Cを用いて記入された記入内容が、解答用紙5の画像とともに表示されている。また、ユーザ選択リスト69のキーワードの欄に、入力手段21のキーボードを用いて直接文字を入力することができ、集約処理手段24は、入力された文字を個人学習データファイルのキーワード情報として記憶手段25におけるユーザID別の格納領域に記憶させる(参照図9)。
【0057】
色分類ボタン71〜76は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザごとにユーザ色(分類)情報を設定するためのボタンである。ボタン71は赤色に、ボタン72は青色に、ボタン73は黄色に、ボタン74は緑色に、ボタン75は茶色に、ボタン76は白色に設定するためのボタンである。集約装置2の操作者は、マウスによって、ユーザ選択リスト69内の特定のユーザ名を選択し、色分類ボタン71〜76のうち所望のボタンを選択すると、集約処理手段24は、ユーザ選択リスト69内の選択されたユーザ名の色分類を表示する欄を指定された色で表示する。この機能により、操作者である講師が、ユーザストローク情報表示領域50に表示される受講者の解答内容を見て、その考え方などをカテゴリー分けして色をつけ、見易くすることができる。なお、ユーザ色(分類)情報は、未設定時は、白色に設定しておくとよい。
【0058】
名簿順ソートボタン78は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザ一覧を、名簿番号順に並べ替えるためのボタンである。本第1実施形態では、図8に示すユーザID順を名簿番号順としている。色順ソートボタン79は、ユーザ選択リスト69に表示されているユーザ一覧を、色分類ボタン71〜76の操作によって付された色情報が同じユーザ同士を連続して配列されるように、ユーザ色情報順に並べ替えるためのボタンである。分類グラフ表示ボタン81は、色分類ボタン71〜76の操作によって付されたユーザ色情報別のユーザ数を、ユーザストローク情報表示領域50に棒グラフ等で表示するためのボタンである。
【0059】
リロードボタン82は、ユーザ選択リスト69において選択されているユーザのユーザストローク情報を、学習データファイル保存時の状態まで戻すためのボタンである。この機能により、操作者である講師が、リロードボタン82をマウスで選択すると、集約処理手段24は、選択されているユーザに関連付けられているユーザIDに基づいて、前回のファイル保存以降に電子ペン1より受信して記憶手段25のユーザID別の格納領域に記憶したユーザストローク情報をクリアして、前回ファイル保存した時点までのユーザストローク情報を読み出し、ユーザストローク情報表示領域50に表示する。この機能により、個々のユーザが解答をやり直したい場合などに対応できる。
【0060】
また、図12に示すように、ファイルデータの保存やアプリケーションの設定などは、一般的なアプリケーションと同様に、機能メニューとして用意しておくと良い。図12(A)に示すように、ファイルメニュー84のプルダウンメニューとして、ファイルデータの読み込み・保存を実行するメニュー85,86、画像形式で保存するメニュー87,88、アプリケーションの終了を実行するメニュー89など、アプリケーションの全般的な管理に関する実行機能を一覧で用意しておくと便利である。
【0061】
また、ファイルデータの保存に関するファイル形式を、ユーザ別のユーザストローク情報と設定情報を関連付けた構造としているので、ファイルデータを読み込む際、ユーザID、ユーザ色情報、キーワード情報などから特定のデータを検索し、検索されたユーザストローク情報をユーザストローク情報表示領域50に表示することができる。ここで、図9のキーワード情報は、図11に示すユーザ選択リスト69のキーワードに対応している。
【0062】
図12(B)に示すように、表示メニュー91のプルダウンメニューとして、ウィンドウ枠を隠しアプリケーションの表示領域を最大限拡大する全画面表示メニュー92など、アプリケーションの表示に関する実行機能を一覧で用意しておくと便利である。また、図12(C)に示すように、ツールメニュー93のプルダウンメニューとして、電子ペン1の接続経由状況(例えば転送装置3のIPアドレスなど)を表示するペン管理メニュー94、ユーザストローク情報を表示する背景となる解答用紙5の画像を設定する用紙管理メニュー95、アプリケーションのバージョンやプロパティ情報などを表示するメニュー96など、アプリケーションの設定に関する実行機能を一覧で用意しておくと便利である。これらのボタンやメニューが選択されると、集約処理手段24により各機能が実行される。
【0063】
〔一覧表示機能〕
次に、図13〜図18を参照して比較一覧表示ボタン54の操作による一覧表示機能について説明する。
【0064】
図10に示す表示手段26における表示状態において、比較一覧表示ボタン54がクリックされる前に、集約処理手段24は、ユーザストローク情報表示領域50に表示されている解答用紙にマウスで表示範囲が指定されたか否か判定する(図13、ステップS101)。集約処理手段24は、表示範囲が指定されていないと判断している状態のときは(ステップS101:No)、表示範囲を解答用紙紙面の全体と規定する(ステップS107)。その後、集約処理手段24は、比較一覧表示ボタン54のクリックを検知する(ステップS103:Yes)と、解答用紙紙面の全体を表示範囲として、各電子ペン1のペンIDごとに、表示範囲にユーザストローク情報が存在するか否か判定する(ステップS104)。そして、集約処理手段24は、ユーザストローク情報が存在するペンIDのみ、その表示範囲のユーザストローク情報を記憶手段25から読み出し、ユーザストローク情報ごとに解答用紙の画像データを背景に筆跡として再現し、図14に示すように、ユーザストローク情報表示領域50に一覧表示させる(ステップS105)。
【0065】
なお、このとき、集約処理手段24は、各再現解答用紙の右上付近に、記憶手段25から、対応するユーザ名とユーザ色(分類)情報を読み出し表示させる。さらに、集約処理手段24は、一覧表示後も、電子ペン1から逐次送信される記入情報を受信すると、ペンIDごとに記入情報を記憶手段25に記憶させ、当該記入情報を含む学習データに基づいて、各電子ペン1のペンIDごとに、表示範囲にユーザストローク情報が存在するか否かを判定して(ステップS104)、ユーザストローク情報が存在するペンIDのみ、当該表示範囲のユーザストローク情報を記憶手段25から読み出し、筆跡を再現して、ユーザストローク情報表示領域50の表示内容を更新して一覧表示させる(ステップS105)。また、後述するように、マウスのドラッグ操作等によって表示範囲が調整された場合には(ステップS106:Yes)、再度ペンIDごとに、新しく調整された表示範囲にユーザストローク情報が存在するか否か判定し(ステップS104)、ユーザストローク情報が存在するペンIDのみ、その表示範囲のユーザストローク情報を記憶手段25から抽出し、ユーザストローク情報ごとに解答用紙の表示範囲に対応する画像データを背景に筆跡として再現し、ユーザストローク情報表示領域50の表示内容を更新して一覧表示させる(ステップS105)。
【0066】
その一方、図15に示すように、ユーザ選択リスト69でユーザ名「三郎」が選択されている、選択ユーザ表示状態のユーザストローク情報表示領域50において、操作者がマウスのドラッグ操作によりカーソル98を動かして範囲99を指定すると、集約処理手段24は、ドラッグ操作により表示範囲が指定されたことを検知し(ステップS101:Yes)、その指定範囲99を表示範囲として規定する(ステップS102)。続いて、集約処理手段24は、比較一覧表示ボタン54のクリックを検知すると(ステップS103:Yes)、解答用紙紙面のうち指定範囲99を表示範囲として、各電子ペン1のペンIDごとに、その同じ表示範囲にユーザストローク情報が存在するか否か判定する(ステップS104)。そして、ユーザストローク情報が存在するペンIDのみ、その表示範囲のユーザストローク情報を記憶手段25から抽出し、ユーザストローク情報ごとに解答用紙の表示範囲に対応する画像データを背景に筆跡として再現し、図16に示すように、ユーザストローク情報表示領域50に一覧表示させる(ステップS105)。このときも、集約処理手段24は、各再現解答用紙の右上付近に、記憶手段25から、対応するユーザ名とユーザ色(分類)情報を読み出し表示させる。
【0067】
また、集約処理手段24は、一覧表示後も逐次、電子ペン1から逐次送信される記入情報を受信すると、ペンIDごとに記入情報を記憶手段25に記憶させ、当該記入情報を含む学習データに基づいて、各電子ペン1のペンIDごとに、表示範囲にユーザストローク情報が存在するか否かを判定して(ステップS104)、ユーザストローク情報が存在するペンIDのみ、当該表示範囲のユーザストローク情報を記憶手段25から読み出し、筆跡を再現して、ユーザストローク情報表示領域50の表示内容を更新して一覧表示させる(ステップS105)。さらに、図17に示すように、操作者が、ユーザ名「三郎」のユーザストローク情報の描画領域で、マウスのドラッグ操作によりカーソル98を、左下方向981に動かして表示範囲を調整すると、集約処理手段24は、ドラッグ操作により表示範囲が調整されたことを検知して(ステップS106:Yes)、再度ペンIDごとに、新しく調整された表示範囲にユーザストローク情報が存在するか否か判定する(ステップS104)。そして、集約処理手段24は、ユーザストローク情報が存在するペンIDのみ、その表示範囲のユーザストローク情報を記憶手段25から抽出し、ユーザストローク情報ごとに解答用紙の表示範囲に対応する画像データを背景に筆跡として再現し、図18に示すように、ユーザストローク情報表示領域50の表示内容を更新して一覧表示させる(ステップS105)。
【0068】
このように、集約処理手段24は、ステップS102において指定された指定範囲99に対応する範囲にユーザストローク情報が存在しなかったペンIDの再現解答用紙については、表示する必要性がないため、ユーザストローク情報表示領域50に表示させない。そのため、集約処理手段24は、指定範囲99に対応する範囲にユーザストローク情報が存在する再現解答用紙を、ユーザストローク情報表示領域50を有効的に活用して、大きめに表示して見やすくすることができる。さらに、集約処理手段24は、一覧表示状態で、逐次、電子ペン1から記入情報を受信して、新たな記入情報に基づくユーザストローク情報が表示範囲に存在すると、そのペンIDの再現解答用紙も表示するように、ユーザストローク情報表示領域50の表示内容を更新して一覧表示させる。
【0069】
また、ステップS106において、マウスのドラッグ操作により、表示範囲が拡大された場合には、拡大前の表示範囲にユーザストローク情報が存在しないものであっても、拡大された領域に対応する領域に、ユーザストローク情報が存在するものについては、そのペンIDの再現解答用紙が、集約処理手段24によってユーザストローク情報表示領域50に表示されることとなる。逆に、ステップS106において、マウスのドラッグ操作により、表示範囲が縮小された場合には、縮小前の表示範囲にユーザストローク情報が存在したものであっても、縮小された領域に対応する領域に、ユーザストローク情報が存在しないものについては、そのペンIDの再現解答用紙は、表示される必要がないため、集約処理手段24によってユーザストローク情報表示領域50に表示されなくなる。このように、一覧表示させたい指定範囲を任意に調整して、調整後におけるストローク情報の存在が反映された一覧表示をさせることができる。
【0070】
なお、集約処理手段24は、範囲指定に用いられた解答用紙の再現画像の周囲に枠線を表示させ目立たせるが、その代わりに、ユーザ名の表示部分を反転させて表示させてもよい。また、比較一覧表示状態で、操作者がユーザ色(分類)情報やキーワード情報を設定するため、枠線表示されている解答用紙の再現画像のユーザとは別のユーザを、ユーザ選択リスト69から選択した場合に、集約処理手段24は、枠線を表示する再現画像を、その選択されたユーザの解答用紙の再現画像に変更させて表示させてもよい。
【0071】
このように、一覧表示機能によれば、操作者(講師)がマウスのドラッグ操作により任意の表示範囲を指定することで、再現される解答用紙紙面について、同じ範囲の部分を切り出して複数の受講生分の解答を一覧表示させることができる。さらに、一覧表示させた際に、表示範囲より外にはみ出して記入している再現解答用紙があって表示範囲を拡げたい場合や、より狭い表示範囲を詳細に比較したい場合があれば、ユーザ選択表示の画面に戻ることなく、比較一覧表示状態のまま、マウス操作により指定範囲を調整して、一覧表示を更新させることができる。そのため、講師が教室内移動しなくとも、各受講生の解答の進捗状況を一覧表示させて逐次確認することができ、各受講生の間違いやつまずきを早期に発見することができる。また、一覧表示している画面をプロジェクタ4でスクリーンに大きく表示させることで、各受講生は他の受講生の解き方、考え方を認識することができ、特に、適宜指定された表示範囲の解答内容に注意を向けて認識することができる。
【0072】
〔解答区別機能〕
次に、一覧表示画面をプロジェクタ4でスクリーンへ投影表示する場合の解答区別機能について、図19、図20を参照して説明する。
【0073】
表示手段における図17等に示す比較一覧状態において、図19に示すように、受講者が解答用紙5に電子ペン1で解答を記入する都度、電子ペン1は、解答用紙5についてのストローク情報と時刻情報とペンIDとを含む記入情報を生成して、集約装置2へ送信する(ステップS201)。集約装置2では、集約個別受信手段22によって電子ペン1からの記入情報を受信して、集約処理手段24が、その記入情報を記憶手段25に記憶させる(ステップS301)。そして、集約処理手段24は、新しく受信した記入情報に基づくユーザストローク情報が表示範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS302)。そして、表示範囲に含まれる場合には(ステップS302:Yes)、集約処理手段24は、さらに、送信手段27によってプロジェクタ4へ表示信号が出力されているか否か判定する(ステップS303)。そして、表示信号が出力されている場合には(ステップS303:Yes)、当該ユーザストローク情報を表示手段26に表示する際の線種情報を、デフォルトの線種とは別の色や太さに変更して、ユーザストローク情報表示領域50に、ペンIDごとの表示範囲に含まれるユーザストローク情報を更新して表示する(ステップS304)。具体的には、集約処理手段24は、図20に示すように、比較一覧表示の画面をプロジェクタ4からスクリーンへ投影表示した後に、受講者「次郎」が、スクリーンに表示された解答用紙紙面の表示範囲の領域97に対応する解答用紙5Bの領域に「270」と記入したストロークを赤い太字として、ユーザ名「次郎」の解答用紙紙面として再現して、ユーザストローク情報表示領域50に表示させる。
【0074】
送信手段27によるプロジェクタ4への表示信号の出力中に、電子ペン1から受信した記入情報は、電子ペン1を利用する受講者がプロジェクタ4によりスクリーンに投影表示される映像を見て、記入された情報である可能性がある。しかしこのように、解答区別機能によれば、他の受講生の解き方、考え方を、一覧表示機能による比較一覧画面をプロジェクタ4によってスクリーンへ投影表示するときに、各受講者へ公開する前の解答と公開後の解答を、表示するユーザストローク情報の線種を変更して異ならせることにより、利用者が視覚的に容易に区別可能とできる。
【0075】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について、図21及び図22を参照して説明する。本第2実施形態は、第1実施形態に対して一覧表示機能のアルゴリズムが異なるが、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0076】
図10に示す表示手段26における表示状態から、比較一覧表示ボタン54がクリックされる前に、集約処理手段24は、ユーザストローク情報表示領域50に表示されている解答用紙にマウスのドラッグ操作により表示範囲が指定されたか否か判定し(ステップS401)、表示範囲が指定されていないと判断している状態の間は(ステップS401:No)表示範囲を解答用紙紙面の全体と規定しておき(ステップS408)、その状態で、比較一覧表示ボタン54のクリックを検知した場合(ステップS409:Yes)、解答用紙紙面の全体を表示範囲として、各電子ペン1のペンIDごとに、表示範囲にユーザストローク情報が存在するか否か判定する(ステップS405)。そして、ユーザストローク情報が存在するペンIDのみ、その表示範囲のユーザストローク情報を記憶手段25から読み出し、ユーザストローク情報ごとに解答用紙の表示範囲の画像データを背景に筆跡として再現し、ユーザストローク情報表示領域50に一覧表示させる(ステップS406:参照図14)。
【0077】
また、集約処理手段24は、マウスのドラッグ操作等で表示範囲が調整された場合には(ステップS407:Yes)、再度ペンIDごとに、新しく調整された表示範囲にストローク情報が存在するか否か判定し(ステップS405)、ユーザストローク情報が存在するペンIDのみ、その表示範囲のユーザストローク情報を記憶手段25から抽出し、ユーザストローク情報ごとに解答用紙の表示範囲に対応する画像データを背景に筆跡として再現し、ユーザストローク情報表示領域50の表示内容を更新して一覧表示させる(ステップS406)。この流れは、第1実施形態と同様である。
【0078】
その一方、図22に示すように、選択ユーザ表示状態のユーザストローク情報表示領域50において、操作者がマウスのドラッグ操作によりカーソル98を動かして範囲99を指定すると、集約処理手段24は、ドラッグ操作により表示範囲が指定されたことを検知し(ステップS401:Yes)、その指定範囲99を表示範囲として規定する(ステップS402)。さらに、集約処理手段24は、ポップアップメニュー201をカーソル98の付近に表示させる(ステップS403)。ポップアップメニュー201には、機能ごとに、「指定範囲を一覧で比較する」メニュー202、「指定範囲を拡大表示する」メニュー203、「指定範囲を画像で保存する」メニュー204がある。この状態で、集約処理手段24は、メニュー202の選択か比較一覧表示ボタン54のクリックを検知すると(ステップS404:Yes)、解答用紙紙面のうち指定範囲99を表示範囲として、各電子ペン1のペンIDごとに、その同じ表示範囲にユーザストローク情報が存在するか否か判定する(ステップS405)。そして、ユーザストローク情報が存在するペンIDのみ、その表示範囲のユーザストローク情報を記憶手段25から抽出し、ユーザストローク情報ごとに解答用紙の表示範囲に対応する画像データを背景に筆跡として再現し、ユーザストローク情報表示領域50に一覧表示させる(ステップS406)。
【0079】
さらに、マウスのドラッグ操作等で表示範囲が調整された場合には(ステップS407:Yes)、再度ペンIDごとに、新しく調整された表示範囲にストローク情報が存在するか否か判定し(ステップS405)、ユーザストローク情報が存在するペンIDのみ、その表示範囲のユーザストローク情報を記憶手段25から抽出し、ユーザストローク情報ごとに解答用紙の表示範囲に対応する画像データを背景に筆跡として再現し、ユーザストローク情報表示領域50の表示内容を更新して一覧表示させる(ステップS406)。なお、本第2実施形態においても、集約処理手段24は、各再現解答用紙の右上付近に、記憶手段25から、対応するユーザ名とユーザ色(分類)情報を読み出し表示させる(参照図14、図16)。
【0080】
また、図22に示すように、ポップアップメニュー201が表示されている状態で、「指定範囲を拡大表示する」メニュー203が選択された場合には、集約処理手段24は、指定範囲99を、選択ユーザ表示状態のまま、ユーザストローク情報表示領域50に拡大表示する。また、「指定範囲を画像で保存する」メニュー204が選択された場合には、集約処理手段24は、指定範囲を画像データとして記憶手段25に記憶する。
【0081】
本第2実施形態における一覧表示機能によっても、第1実施形態と同様に、操作者がマウスのドラッグ操作により任意の表示範囲を指定することで、再現される解答用紙紙面について、対応する同じ範囲の部分を切り出して複数の受講生分の解答を一覧表示させることができる。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
【0083】
上記実施形態では、電子ペン1によって送信された記入情報は、集約装置2において、予め設定されたペンIDに直接関連付けて記憶手段25によって記憶されるものであった。このような記入情報の記憶に関して、図23に示すような、解答用紙5とは異なるドットパターンを印刷した名簿用紙6を用意し、各ユーザエリア601〜606にユーザIDを関連付けて集約装置2で記憶しておく。そして、解答用紙5への記入に際して、電子ペン1でユーザエリア601〜606のいずれかを予めタップすることにより、集約装置2側に、その電子ペン1のペンIDと、ユーザエリアに対応付けられたユーザIDとを関連付けて記憶し、その電子ペン1による以後の記入情報を、そのユーザIDに関連付けて記憶するようにしてもよい。この構成とすることにより、同じ電子ペン1を複数の受講者が用いる場合であっても、名簿用紙6にタップするユーザエリアを変えることで、その電子ペン1に関連付けるユーザIDを変更することができるため、受講者が変わる都度、使用する電子ペン1を対応するユーザエリアにタップするとよい。
【0084】
また、上記実施形態では、一覧表示機能において、操作者が、比較一覧表示状態で表示範囲を調整すると、集約装置2では集約処理手段24がそれを検知して(図13、ステップS106:Yes、または図21、ステップS407:Yes)、各ペンIDごとのユーザストローク情報が調整後の表示範囲に含まれるかを、再度、判定する(図13、ステップS104、または図21、ステップS405)こととしたが、表示範囲が単純に拡大した場合は、差分の表示領域のみについて、各ペンIDごとのユーザストローク情報が当該差分領域に含まれるかを判定し処理することとしても良い。
【0085】
また、上記実施形態では、解答区別機能において、集約処理手段24は、比較一覧表示状態で電子ペン1から新たな記入情報を受信すると、表示範囲に当該記入情報に基づくユーザストローク情報が含まれるか否かを判定して(図19、ステップS302)、含まれる場合(ステップS302:Yes)、さらに、プロジェクタ4へ表示信号が出力されているか否か判定して(ステップS303)、表示信号が出力されている場合には(ステップS303:Yes)、当該ユーザストローク情報の線種情報を変更してユーザストローク情報表示領域50に表示するものであった。このようなユーザストローク情報(解答)の区別に関して、操作者(講師)が任意の時刻情報を解答締切時刻として入力手段21によって入力して、集約処理手段24は、当該時刻以降に電子ペン1から受信した記入情報に基づくユーザストローク情報か否かを判断して、操作者により設定された時刻以降のユーザストローク情報のときは、線種情報を変更して表示することとしても良い。これを実施するには、入力手段21によって解答締切時刻を設定するためのテキストボックス、または押下した時刻情報を解答締切時刻として設定するためのボタン等をアプリケーション上に用意すると良い。さらに、集約処理手段24は、解答締切時刻以降のユーザストローク情報を異なる線種に変更して、ユーザストローク情報表示領域50に表示してプロジェクタ4へ表示信号を出力する代わりに、解答締切時刻以降のユーザストローク情報を表示領域50に表示しない、あるいはプロジェクタ4へ出力しないこととしても良い。
【0086】
また、上記実施形態において、指定された指定範囲99にユーザストローク情報が存在するペンIDの再現解答用紙のみ、表示領域50に表示したが、その機能であるステップS104(参照図13),ステップS405(参照図21)を省略して、集約処理手段24は、すべてのペンIDに関する再現解答用紙を表示領域50に表示するようにしてもよい。上記実施形態のように、一覧表示以降に初めて電子ペン1によって解答が記入されると、その再現解答用紙も表示するように表示領域50の表示内容を更新して一覧表示する構成では、表示する再現解答用紙の数が次々に増えると、再現解答用紙を表示する大きさを次々に変更して表示領域50の表示内容を更新するため、煩雑で見にくくなる場合などは、ステップS104,S405を省略して、始めから全てのペンIDに関する再現解答用紙を表示領域50に表示するようにすると良い。
【0087】
また、上記実施形態では、表示範囲の調整は、指定範囲99が設定された描画領域でマウスのドラッグ操作により行われるものとしたが(参照図17)、これに限らず、一覧表示されている他のペンIDに関する描画領域に対するドラッグ操作によって、集約処理手段24が、表示範囲の調整を処理するように構成させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、上記実施形態のごとく、協調学習システムとして利用できるほか、企業研修システム、会議システム、リサーチシステム、クイズ番組システム等の各記入者の記入内容を集約するシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】第1実施形態の電子ペン・システムのシステム構成図である。
【図2】第1実施形態のシステムで利用される解答用紙を示す図である。
【図3】解答用紙、電子ペンと受講者の対応を説明するための図である。
【図4】解答用紙に印刷されるドットパターンによる情報の表現方法の説明図である。
【図5】(a)はドットパターンを模式的に示し、(b)はそれに対応する情報の例を示す説明図である。
【図6】第1実施形態のシステムで利用される電子ペンの構成を示すブロック図である。
【図7】集約装置の機能ブロック図を含む本システムのシステム構成図である。
【図8】集約装置に記憶されたユーザIDとユーザ名とペンIDとの関係を示す図である。
【図9】集約装置に記憶させる学習データのファイルの構造図である。
【図10】集約装置における描画アプリケーションによる表示画面例である。
【図11】図10に示す表示画面例のユーザコントロールリストである。
【図12】集約装置における描画アプリケーションによる機能メニューの説明図であり、(A)はファイルメニューのプルダウンメニュー、(B)は表示メニューのプルダウンメニュー、(C)はツールメニューのプルダウンメニューを示す。
【図13】集約装置における描画アプリケーションによる一覧表示機能のフローチャートである。
【図14】解答用紙紙面の全体を表示範囲としたときの一覧表示機能による表示画面例である。
【図15】一覧表示の表示範囲を指定する様子を示す表示画面例である。
【図16】指定範囲を表示範囲としたときの一覧表示機能による表示画面例である。
【図17】一覧表示状態で表示範囲を調整する様子を示す表示画面例である。
【図18】一覧表示状態で表示範囲を調整した後の表示画面例である。
【図19】解答区別機能のフローチャートである。
【図20】他の受講生の解き方、考え方を各受講者へ公開後に追記されたときの解答区別機能による表示画面例である。
【図21】第2実施形態における一覧表示機能のフローチャートである。
【図22】第2実施形態において、一覧表示の表示範囲を指定しポップアップメニューが表示されている様子を示す表示画面例である。
【図23】ユーザIDを設定するための名簿用紙を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
1…電子ペン、2…集約装置(端末装置)、3…転送装置、4…プロジェクタ、5,5A〜5E…解答用紙(用紙)、6…名簿用紙、10…電子ペン・システム、20…範囲指定手段、21…入力手段、22…集約個別受信手段、23…集約転送受信手段、24…集約処理手段(処理手段)、25…記憶手段、26…表示手段、27…送信手段、50…ユーザストローク情報表示領域、54…比較一覧表示ボタン、103…ペン先部、108…プロセッサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置によってユニークなコード化パターンが印刷された複数の用紙と、
前記用紙に印刷されたコード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標と固有のペンIDとを含む記入情報を送信する複数の電子ペンと、
前記電子ペンによって送信される記入情報を受信して、記入情報を処理する端末装置とを備える電子ペン・システムであって、
前記端末装置は、
ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を記憶する記憶手段と、
表示手段の表示画面において、任意の位置・大きさの範囲を指定する範囲指定手段と、
ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を筆跡として再現して表示手段に表示させる処理手段とを有し、
前記処理手段は、前記範囲指定手段により指定された範囲に対応する各用紙における記入情報を前記記憶手段から抽出して、各用紙における前記記入情報を筆跡として前記表示手段に一覧表示させることを特徴とする電子ペン・システム。
【請求項2】
前記処理手段は、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、前記範囲指定手段により指定された範囲に記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させることを特徴とする請求項1に記載の電子ペン・システム。
【請求項3】
前記範囲指定手段は、一旦指定した範囲を調整することができ、
前記処理手段は、前記範囲指定手段によって指定範囲が調整されたとき、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、調整後の指定範囲に、記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させることを特徴とする請求項2に記載の電子ペン・システム。
【請求項4】
前記処理手段は、プロジェクタへの表示信号の出力中又は所定時以降に、電子ペンから受信した記入情報を、線種を変更して筆跡として前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の電子ペン・システム。
【請求項5】
位置によってユニークなコード化パターンが印刷された複数の用紙と、
前記用紙に印刷されたコード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標と固有のペンIDとを含む記入情報を送信する複数の電子ペンと、
前記電子ペンによって送信される記入情報を受信して、記入情報を処理する端末装置とを備える電子ペン・システムにおいて利用される端末装置であって、
ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を記憶する記憶手段と、
表示手段の表示画面において、任意の位置・大きさの範囲を指定する範囲指定手段と、
ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を筆跡として再現して表示手段に表示させる処理手段とを有し、
前記処理手段は、前記範囲指定手段により指定された範囲に対応する各用紙における記入情報を前記記憶手段から抽出して、各用紙における前記記入情報を筆跡として前記表示手段に一覧表示させることを特徴とする端末装置。
【請求項6】
前記処理手段は、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、前記範囲指定手段により指定された範囲に記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させることを特徴とする請求項5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記範囲指定手段は、一旦指定した範囲を調整することができ、
前記処理手段は、前記範囲指定手段によって指定範囲が調整されたとき、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、調整後の指定範囲に、記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させることを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記処理手段は、プロジェクタへの表示信号の出力中又は所定時以降に、電子ペンから受信した記入情報を、線種を変更して筆跡として前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項5〜7のうちいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項9】
位置によってユニークなコード化パターンが印刷された複数の用紙と、
前記用紙に印刷されたコード化パターンを読み取ってペン先部の位置座標を演算し、当該位置座標と固有のペンIDとを含む記入情報を送信する複数の電子ペンと、
前記電子ペンによって送信される記入情報を受信して、記入情報を処理する端末装置とを備える電子ペン・システムにおいて利用される端末装置によって実行されるプログラムであって、
ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を記憶する記憶手段、
表示手段の表示画面において、任意の位置・大きさの範囲を指定する範囲指定手段、
ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDごとに、記入情報を筆跡として再現して表示手段に表示させるものであり、前記範囲指定手段により指定された範囲に対応する各用紙における記入情報を前記記憶手段から抽出して、各用紙における前記記入情報を筆跡として前記表示手段に一覧表示させる処理手段
として前記端末装置を機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
前記処理手段は、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、前記範囲指定手段により指定された範囲に記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させることを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記範囲指定手段は、一旦指定した範囲を調整することができ、
前記処理手段は、前記範囲指定手段によって指定範囲が調整されたとき、ペンID又はペンIDに関連付けられたユーザIDのうち、調整後の指定範囲に、記入情報のストローク情報が存在するものを選択して、前記表示手段に一覧表示させることを特徴とする請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記処理手段は、プロジェクタへの表示信号の出力中又は所定時以降に、電子ペンから受信した記入情報を、線種を変更して筆跡として前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項9〜11のうちいずれか一項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−276479(P2009−276479A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126566(P2008−126566)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】