説明

電子マニュアル表示装置および電子マニュアル表示プログラム

【課題】ユーザの知識レベルに応じて、表示される電子マニュアルの内容を変更することが可能な電子マニュアル表示装置および電子マニュアル表示プログラムを提供する。
【解決手段】装置の機能や操作方法に関するマニュアルの見出しである表示項目が選択され(S6:YES)、それがユーザの装置に関する知識レベルの判定のベースとなる表示項目であれば(S7:YES)、これまでの閲覧時に判定されたレベルと、今回選択された表示項目に基づいて、更新後のレベルが判定される(S13〜S14)。判定されたレベルに応じたマニュアルが表示され(S15)、閲覧が終了すると(S17:YES)、ユーザレベルデータベースに記憶されたユーザの知識レベルに関する情報が更新される(S18)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子マニュアル表示装置および電子マニュアル表示プログラムに関し、より具体的には、ユーザの知識レベルに応じて、表示される電子マニュアルの内容を変更することが可能な電子マニュアル表示装置および電子マニュアル表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電子機器の取扱い説明書を電子化した電子マニュアルが普及しており、ユーザは、所望の項目を選択することにより、電子マニュアル中の必要な項目の内容を閲覧することができる。しかし、最近の電子機器は、例えば、複写機、FAX、およびスキャナといった複数の機能を備えたものが増加しており、それに伴って、電子マニュアルに含まれる情報量も肥大化している。その結果、ユーザが、自己が必要とする内容を探し出すこと自体が困難な場合があった。
【0003】
そこで、電子マニュアルからユーザの知識レベルに適合した内容のみをユーザの利用する端末に提供するコンテンツ提供装置が提案されている(例えば、特許文献1)。このコンテンツ提供装置は、まず、ユーザの利用する端末に対して対象の電子機器に関する経験年数の質問を送信する。そして、端末を利用するユーザからの回答に応じてユーザの知識レベルを設定し、そのレベルに適合する内容のみを端末に提供する。
【特許文献1】国際公開第01/46859号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のコンテンツ提供装置および端末では、端末を利用するユーザには、電子マニュアルを閲覧する都度、自己の知識レベルを回答しなければならないという煩わしさがある。また、ユーザの回答は、単なる経験年数であって、必ずしも対象の電子機器の取扱いに対するユーザの熟練度を示すものではないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ユーザの知識レベルに応じて、適切な内容のマニュアルを表示することが可能な電子マニュアル表示装置および電子マニュアル表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の電子マニュアル表示装置は、装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに関する説明を表示する電子マニュアル表示装置であって、複数の項目毎に、複数の異なる知識レベルの各々と関連づけて説明を記憶する説明記憶手段と、前記装置に関するユーザの知識レベルであるユーザレベルを記憶するユーザレベル記憶手段と、前記複数の項目のうち一つを、対応する前記説明を表示する項目として特定する指示を受け付ける指示受付手段と、前記複数の項目の各々と、前記複数の項目の各々に対応する知識レベルである対応レベルとを関連づけて記憶する対応レベル記憶手段と、前記ユーザレベル記憶手段に記憶された前記ユーザレベルおよび前記指示によって特定された前記項目に関連づけられた前記対応レベルに基づいて、更新されたユーザレベルである更新レベルを決定する更新レベル決定手段と、前記指示によって特定された前記項目および前記更新レベルに対応する前記対応レベルに関連づけられた前記説明を、前記説明記憶手段から読み出して表示する表示制御手段と、前記更新レベル決定手段によって決定された前記更新レベルによって、前記ユーザレベル記憶手段に記憶された前記ユーザレベルを更新するレベル更新手段を備えている。
【0007】
請求項2に係る発明の電子マニュアル表示装置は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記複数の項目は、前記装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに関する複数の用語、または前記装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに応じて分類された複数のセクションであり、前記更新レベル決定手段は、前記ユーザレベル記憶手段に記憶された前記ユーザレベル、および、前記指示によって特定された前記用語または前記セクションに対応する前記対応レベルに基づいて、前記更新レベルを決定することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明の電子マニュアル表示装置は、請求項1または2に記載の発明の構成に加えて、前記複数の項目のいずれかが前記指示によって特定された回数をカウントするカウント手段をさらに備え、前記ユーザレベル決定手段は、前記ユーザレベル記憶手段に記憶された前記ユーザレベル、前記指示によって特定された前記項目に関連づけられた前記対応レベル、および前記カウント手段によってカウントされた前記回数に基づいて、前記更新レベルを決定することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明の電子マニュアル表示装置は、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記カウント手段によってカウントされた前記回数の累計を記憶する回数記憶手段をさらに備え、前記更新レベル決定手段は、前記ユーザレベル記憶手段に記憶された前記ユーザレベル、前記指示によって特定された前記項目に関連づけられた前記対応レベル、および前記回数記憶手段に記憶された前記累計に基づいて、前記更新レベルを決定することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明の電子マニュアル表示装置は、請求項3または4に記載の発明の構成に加えて、前記指示によって特定された前記項目に対応する前記説明の表示時間を計測する時間計測手段と、前記時間計測手段によって計測された前記表示時間が所定時間に満たない場合には、前記表示時間が所定時間に満たない項目である表示不足項目について、前記カウント手段によってカウントされた回数である表示不足回数をキャンセルする回数キャンセル手段をさらに備え、前記ユーザレベル決定手段は、前記ユーザレベル、前記指示によって特定された前記項目に関連づけられた前記対応レベル、および前記回数キャンセル手段によって前記表示不足回数がキャンセルされた後の前記回数に基づいて、前記更新レベルを決定することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る電子マニュアル表示プログラムは、請求項1〜5のいずれかに記載の電子マニュアル表示装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の電子マニュアル表示装置では、対応する説明を表示する項目として特定された項目に基づいて、ユーザレベルが更新される。そして、項目に対応する説明が表示される場合は、複数の異なる知識レベル毎に記憶されている説明のうち、更新されたユーザレベルである更新レベルに応じた説明が表示される。したがって、ユーザは、例えば、自己の知識レベルに関する質問に回答する等の特別な手順を経なくても、自己の知識レベルに適合した説明を閲覧することができる。
【0013】
請求項2に係る発明の電子マニュアル表示装置では、装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに関する用語または装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに基づいて分類されたセクション毎に、説明が記憶されている。また、これらの用語またはセクションに対応する知識レベルが記憶されている。したがって、請求項1に記載の発明の効果に加え、対応する説明を表示する項目として特定された用語またはセクションに基づいて、更新レベルを簡便に決定することができる。
【0014】
請求項3に係る発明の電子マニュアル表示装置では、複数の項目のいずれかが特定された回数を考慮して更新レベルが決定される。したがって、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、より信頼性の高い更新レベルに基づき、ユーザの知識レベルに適合した説明を表示することができる。
【0015】
請求項4に係る発明の電子マニュアル表示装置では、複数の項目のいずれかが特定された回数の累計、すなわち、ある程度の期間にわたるユーザの動向を考慮して更新レベルが決定される。したがって、請求項3に記載の発明の効果に加え、さらに信頼性の高い更新レベルに基づき、ユーザの知識レベルに適合した説明を表示することができる。
【0016】
請求項5に係る発明の電子マニュアル表示装置では、表示時間が所定時間に満たない場合は、その項目についてカウントされた回数がキャンセルされる。したがって、請求項3または4に記載の発明の効果に加え、誤ってユーザの意図と異なる項目が特定され、表示された場合に、更新レベルの決定に影響を与える虞がない。
【0017】
請求項6に係る発明の電子マニュアル表示プログラムは、請求項1〜5のいずれかに記載の電子マニュアル表示装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることができる。したがって、請求項1〜5のいずれかに記載の発明の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
<第1の実施形態>
【0019】
以下に、図1〜図10を参照して、第1の実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る端末装置10における電子マニュアルの利用形態について説明する。図1は、電子マニュアルの利用形態の概略を示す構成図である。図1に示す端末装置10は、所謂パーソナルコンピュータであり、汎用型の装置である。端末装置10は、例えば、LANケーブルを介して、複合機20に接続されている。複合機20は、印刷装置、通信装置、電話機、ファクシミリ、スキャナおよびコピー機としての機能を有する装置である。複合機20は、例えば、インターネット1等のネットワークを介して、他の外部機器とも接続することができる。端末装置10は、複合機20の有する各種機能および操作方法に関するマニュアルをマニュアルデータベース1510(図3参照)に記憶しており、ユーザは、端末装置10において、このマニュアルを閲覧することができる。
【0020】
次に、図2〜図6を参照して、端末装置10の構成について説明する。図2は、端末装置10の電気的構成を示すブロック図である。図3は、マニュアルデータベース1510の説明図である。図4は、レベル判定データベース1520の説明図である。図5は、判定テーブル1530の説明図である。図6は、ユーザレベルデータベース1540の説明図である。
【0021】
図2に示すように、端末装置10は、CPU11と、CPU11に各々接続されたROM12およびRAM13を備えている。CPU11には、その他、入出力(I/O)インタフェイス14が接続されている。I/Oインタフェイス14には、ハードディスク装置(HDD)15、マウスコントローラ16、キーコントローラ17、ビデオコントローラ18、および通信用I/F19が接続されている。
【0022】
CPU11は、端末装置10の全体の制御を司る。ROM12は、BIOSを含む、端末装置10を動作させるための各種のプログラムを記憶している。CPU11は、ROM12やHDD15に記憶されたプログラムに従って、端末装置10の動作を制御する。RAM13は、各種データを一時的に記憶するための記憶素子である。記憶装置であるHDD15については後述する。マウスコントローラ16、キーコントローラ17、およびビデオコントローラ18には、それぞれマウス161、キーボード171およびディスプレイ181が接続されている。通信用I/F19は、例えば、LANを介して複合機20およびその他の外部機器との間でデータの送受信を行うためのものである。
【0023】
HDD15の詳細について、以下に説明する。図2に示すように、HDD15は、電子マニュアル記憶エリア151、レベル判定データベース(DB)記憶エリア152、判定テーブル記憶エリア153、およびユーザレベルデータベース(DB)記憶エリア154を含む複数の記憶エリアを備えている。
【0024】
電子マニュアル記憶エリア151には、マニュアルデータベース(DB)1510(図3参照)およびマニュアル表示プログラムが記憶されている。マニュアルDB1510は、端末装置10に接続された複合機20の各種機能や操作方法に関するマニュアルを体系的に格納している。マニュアル表示プログラムは、後述するマニュアル表示処理(図10参照)によって、マニュアルDB1510に記憶されたマニュアルをディスプレイ181に表示させるプログラムである。
【0025】
図3に示すように、マニュアルDB1510には、表示項目と、各表示項目に対応するマニュアルが格納されている。なお、ここでいうマニュアルとは、HTML形式のドキュメント等の電子データである。各表示項目に対応するマニュアルは、基本的には、初級、中級、および上級の各知識レベルに対応する3種類が用意されている。本実施形態では、表示項目として、複合機20の機能や操作に対応して分類された、章、節、項等のセクションの番号とタイトルとを結合した見出しが使用されている。例えば、最初の表示項目は、第1章の見出しにあたる「1.初期設定」であり、次の表示項目は第1章第1節の見出しにあたる「1.1はじめに」である。初級、中級、および上級のマニュアルは、それぞれ、複合機20に関する知識が少ないユーザのレベル、ある程度複合機20に関する知識や操作経験があるユーザのレベル、複合機20について熟練度の高いユーザのレベルに対応する内容を含む。すなわち、各レベルのマニュアルには内容やその分量に相違がある場合がある。例えば、同一の機能に関するマニュアルであっても、初級用マニュアルは初歩的な内容のみから構成され、高度な知識を要する詳細説明までは網羅しないが、上級用マニュアルは初歩的な内容を省略し、詳細説明のみを含む場合がある。一方、例えば、「1.1はじめに」といった概要紹介のように、知識レベルに関係なく、同一内容を提示するのが適切な表示項目については、初級、中級、および上級のすべてに共通のマニュアルが記憶されている。また、例えば「1.初期設定」のように、章、節、項等の番号とタイトルのみを表示する表示項目については、マニュアルDB1510には表示項目のみが記憶され、対応するマニュアルは記憶されていない。なお、マニュアルDB1510に記憶された表示項目が、本発明の「項目」に相当し、マニュアルが、「説明」に相当する。
【0026】
レベル判定DB記憶エリア152には、複合機20に対する端末装置10のユーザの知識レベルを判定する際に用いられるレベル判定DB1520(図4参照)が記憶されている。図4に示すように、レベル判定DB1520には、カウント対象と、対応する点数が格納されている。カウント対象は、複合機20に対するユーザの知識レベルを判定するために、対応するマニュアルの表示が指示される毎に、その回数がカウントされる表示項目である。点数は、ユーザの知識レベルを決定するレベル判定値を算出するために、カウント対象に対応するマニュアルの表示が指示される毎に、加算される点数である。例えば、図4に示すように、カウント対象である「6.用語集」の「6.1電話」に分類された用語「親機」が選択された場合には、回数が1回加算され、点数が1点加算されることになる。本実施形態では、用語の他、ある表示項目に対応するマニュアル内に設定された他の表示項目へのリンクがカウント対象とされている。例えば、ある表示項目のマニュアル中の「*詳しくはXXXXを参照してください」の「XXXX」部分に設定されたリンクが選択されると、回数が1回加算され、点数が1点加算されることになる。「XXXX」部分は、リンク先として設定された他の表示項目である。なお、レベル判定DB1520に記憶されたカウント対象が、本発明の「項目」に相当し、点数が、「対応レベル」に相当する。
【0027】
判定テーブル記憶エリア153には、複合機20に関する端末装置10のユーザの知識レベルを判定する際に用いられる判定テーブル1530(図5参照)が記憶されている。図5に示すように、判定テーブル1530は、レベル判定値と、レベルとの対応関係を定めたテーブルである。レベル判定値とは、前述のカウント対象の閲覧回数(表示回数)および合計点数に基づいて算出される値であり、具体的には、レベル判定値=(合計点数)/(カウント対象の閲覧回数)によって算出される。図5に示すように、本実施形態では、算出されたレベル判定値が0以上1.5未満の場合には、ユーザの知識レベルは「初級」に相当し、1.5以上2.5未満の場合には「中級」に相当し、2.5以上3以下の場合には「上級」に相当すると定められている。
【0028】
ユーザレベルDB記憶エリア154には、レベル判定DB1520および判定テーブル1530を用いて算出された、複合機20に対するユーザの知識レベルに関する情報を格納するユーザレベルデータベース(DB)1540が記憶されている。図6に示すように、ユーザレベルDB1540には、最新閲覧日、レベル判定値、レベル、および閲覧回数が記憶されている。最新閲覧日は、後述するマニュアル表示処理において、マニュアルDB1510がアクセスされた直近の日付である。レベル判定値は、前述したように、現在までのカウント対象の閲覧回数(表示回数)および合計点数に基づいて算出される、ユーザの知識レベルを表す値である。レベルは、レベル判定値に対応して定められたユーザの知識レベルである。閲覧回数は、現在までに、端末装置10においてカウント対象が表示された回数の累積値である。
【0029】
HDD15に設けられた他の記憶エリアには、各種処理を端末装置10に実行させるための各種プログラムと、各種処理に必要な設定情報等が記憶されている。
【0030】
以下に、図7〜図9を参照して、後述するマニュアル表示処理において、端末装置10のディスプレイ181に表示される各種画面について説明する。図7は、メニュー画面30の説明図である。図8は、マニュアル表示画面40の説明図である。図9は、図8とは別の形態のマニュアル表示画面50の説明図である。
【0031】
まず、図7を参照して、メニュー画面30について説明する。メニュー画面30は、後述するマニュアル表示処理(図10参照)が開始された直後にディスプレイ181に表示される画面である。図7に示すように、メニュー画面30は、メニュー領域31と、必要に応じて表示されるスクロールバー32とから構成されている。メニュー領域31には、メニュー(目次)として、マニュアルDB1510(図3参照)に記憶されているすべての表示項目(見出し)が順に一覧表示される。また、スクロールバー32は、すべての表示項目がメニュー領域31内に収まらない場合に、メニュー領域31内の表示を上下にスクロールするために表示される。
【0032】
次に、図8を参照して、マニュアル表示画面40について説明する。マニュアル表示画面40は、対応するマニュアルがマニュアルDB1510に記憶されていない表示項目が選択された場合に、ディスプレイ181に表示される画面である。例えば、メニュー画面30において、表示項目である「6.用語集」(図7では図示外)が選択された場合、マニュアルDB1510には、これに対応するマニュアルは記憶されていない。したがって、この場合には、図8に示すマニュアル表示画面40が表示される。
【0033】
マニュアル表示画面40は、簡易メニュー領域41、サブメニュー領域43、マニュアル領域44、レベルタブ45、および必要に応じて表示されるスクロールバー48から構成されている。簡易メニュー領域41には、例えば、「1.初期設定」のように、マニュアルDB1510に記憶された表示項目のうち、章にあたる大項目のみが表示される。サブメニュー領域43には、対応するマニュアルがマニュアルDB1510に記憶されていない表示項目が選択された場合に、この表示項目の下位に属するすべての表示項目が表示される。例えば、図8の例では、「6.用語集」の下位にある「6.1電話」に関する用語のすべてと、他の機能に関する用語のすべて(図示外)が、サブメニュー領域43に表示される。スクロールバー48は、図8のように、すべての表示項目がサブメニュー領域43内に収まらない場合に、サブメニュー領域43内の表示を上下にスクロールするために表示される。マニュアル領域44には、選択された表示項目に対応するマニュアルが表示される。図8は、サブメニュー領域43に表示された表示項目のうち「ネーム・ディスプレイ」が選択された場合の表示例である。表示されるマニュアルが、マニュアル領域44に収まらない場合には、スクロールバーが表示される。なお、前述したように、各表示項目に対応するマニュアルは、内容および分量が適宜異なる、初級、中級、および上級用の3種類のレベルのものが用意されている。後述するマニュアル表示処理により、マニュアル領域44には、ユーザの知識レベルに適合するレベルのマニュアルが表示される。レベルタブ45は、初級、中級、および上級の3つのタブからなり、現在マニュアル領域44に表示されているマニュアルに対応するレベルのタブが反転表示される。すなわち、図8の例は、現在、中級用のマニュアルが表示されていることを示している。ユーザは、レベルタブ45のうち、所望のレベルを選択することにより、自動的に選択されたのとは異なるレベルのマニュアルを閲覧することも可能である。
【0034】
次に、図9を参照して、図8とは別の形態のマニュアル表示画面50について説明する。マニュアル表示画面50は、対応するマニュアルがマニュアルDB1510に記憶されている表示項目がメニュー画面30(図7参照)で選択された場合に、ディスプレイ181に表示される画面である。例えば、メニュー画面30において、表示項目である「3.2FAXの送受信」が選択されたとする。マニュアルDB1510には、これに対応するマニュアルが記憶されている。したがって、この場合には、ユーザにさらに下位の表示項目を選択させるためにサブメニューを表示する必要はない。したがって、図9に示すように、サブメニュー領域43(図8参照)のないマニュアル表示画面50が表示される。マニュアル表示画面50は、簡易メニュー領域51、マニュアル領域54、レベルタブ55、および必要に応じて表示されるスクロールバー58から構成されている。これらの構成および機能は、マニュアル表示画面40と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0035】
以下に、図10を参照して、端末装置10で行われるマニュアル表示処理について説明する。図10は、マニュアル表示処理のフローチャートである。マニュアル表示処理は、HDD15の電子マニュアル記憶エリア151に記憶されたマニュアル表示プログラムに従って、CPU11が実行する。
【0036】
HDD15に記憶されたマニュアル表示プログラムが起動され、処理が開始されると、CPU11はまず、マニュアルDB1510に記憶されているすべての表示項目を読み出して、複合機20のマニュアルのメニュー画面30(図7参照)をディスプレイ181に表示させる(S1)。メニュー画面30を表示させた後、CPU11は、端末装置10のユーザが、過去に複合機20のマニュアルを閲覧したことがあるか否かを判断する(S2)。ユーザレベルDB記憶エリア154のユーザレベルDB1540には、端末装置10のユーザが過去にマニュアルを閲覧したことがあれば、その閲覧日時が記憶されている。したがって、ユーザレベルDB1540が参照され、そこに閲覧日時が記憶されている場合には、ユーザが過去にマニュアルを閲覧したことがあると判断される(S2:YES)。この場合、CPU11は、ユーザレベルDB1540に記憶されたレベル判定値および閲覧回数を読み出し、RAM13の所定の記憶エリアに記憶させる(S3)。例えば、ユーザレベルDB1540に、図6に示す情報が記憶されていた場合には、レベル判定値=2.3と、閲覧回数=5が取得される。一方、ユーザレベル1540に閲覧日時が記憶されておらず、ユーザが過去にマニュアルを閲覧したことがないと判断された場合には(S2:NO)、レベル判定値および閲覧回数がそれぞれ0としてRAM13の所定の記憶エリアに記憶される(S4)。
【0037】
S3またはS4でレベル判定値および閲覧回数がRAM13に記憶された後、S6では、端末装置10のユーザによるマウス161やキーボード171の操作によって、メニュー画面30(図7参照)、マニュアル表示画面40、またはマニュアル表示画面50において、いずれかの表示項目が選択されたか否かが判断される(S6)。いずれの表示項目も選択されていなければ(S6:NO)、マニュアル表示プログラムの終了が指示されたか否かが判断される(S12)。終了が指示された場合には(S17:YES)、ユーザレベルDB記憶エリア154に記憶されたユーザレベルDB1540(図6参照)の情報が更新され(S18)、図10に示すマニュアル表示処理は終了する。S18では、具体的には、ユーザレベルDB1540の最新閲覧日のみが現在の日付で上書きされ、レベル判定値、レベル、および閲覧回数はそのままとされる。一方、終了指示がされずに(S17:NO)、いずれかの表示項目が選択された場合には(S6:YES)、選択された表示項目に応じて以下の処理が行われる。
【0038】
まず、選択された表示項目が、レベル判定DB1520(図4参照)に記憶されているカウント対象に該当するか否かが判断される(S7)。具体的には、選択された表示項目が用語である場合と、その他の表示項目に対応するマニュアル内に設定された特定のリンクを介して選択された場合に、カウント対象に該当すると判断される(S7:YES)。ここで、表示項目が用語である場合について、具体的に説明する。図3に示すように、マニュアルDB1510には、「6.用語集」の下位に属する表示項目として、複合機20の機能や操作に関する各種の用語が記憶されている。例えば、「6.用語集」の下位にある「6.1電話」のさらに下位に属する用語として、「親機」、「子機」、「電話回線」等がある。図4に示すように、これらの用語は、カウント対象としてレベル判定DB1520に記憶されている。例えば、メニュー画面30(図7参照)に一覧表示された表示項目や、マニュアル表示画面40(図8参照)のサブメニュー領域43に表示された「6.用語集」に属する表示項目の中から、これらの用語のいずれかが選択された場合には、選択された表示項目はカウント対象であると判断される(S7:YES)。
【0039】
また、表示項目がマニュアル内に設定された特定のリンクを介して選択された場合について、具体的に説明する。例えば、図9に示すマニュアル表示画面50のマニュアル領域54には、表示項目「3.2FAXの送受信」に対応するマニュアルが表示されている。マニュアル領域54の下部に表示された「*詳しくは 1.2設定する を参照してください」という記載のうち、下線が付された「1.2設定する」には、リンクが設定されている。したがって、この部分が選択され、リンクが参照されると、マニュアル領域54に表示されるマニュアルが、「3.2FAXの送受信」のマニュアルから「1.2設定する」のマニュアルに変更される。本実施形態では、レベル判定DB1520に記憶されている、リンクを対象としたカウント対象である「*詳しくはXXXXを参照してください」および「*さらに設定を変更される場合は、XXXXをご覧ください」という記載中の表示項目「XXXX」のリンクが参照された場合に、選択された表示項目はカウント対象であると判断される(S7:YES)。なお、マニュアル領域54内に表示されるマニュアルでは、「XXXX」部分には、実際には、適宜リンク先として設定された表示項目が表示される。
【0040】
前述のように、用語が選択され、または特定のリンクが参照された結果、選択された表示項目はカウント対象に該当すると判断された場合には(S7:YES)、ユーザの知識レベルを判定し、適切なマニュアルを表示する処理が行われる。具体的には、まず、S3またはS4でRAM13に記憶されたカウント対象の閲覧回数に1が加算された値が、更新後の閲覧回数としてRAM13に記憶される(S11)。例えば、S3において、レベル判定値=2.3と、閲覧回数=5とが取得され、RAM13に記憶されている場合、閲覧回数=5に1が加算され、更新後の閲覧回数=6となる。そして、レベル判定DB1520(図4参照)から、カウント対象であると判断された表示項目の点数が取得され、RAM13に記憶される(S12)。例えば、用語「ネーム・ディスプレイ」が選択された場合、点数として3が取得される。
【0041】
続いて、レベル判定値および閲覧回数に基づいて、更新されたレベル判定値が算出され、RAM13の所定の記憶エリアに記憶される(S13)。具体的には、カウント対象の更新後の合計点数を、更新後の閲覧回数で除することにより、更新されたレベル判定値が算出される。カウント対象の更新後の合計点数は、S3またはS4でRAM13記憶された現在のレベル判定値に現在までの閲覧回数を乗じた値に、S12で新たに取得された点数を加算することにより算出することができる。例えば、RAM13に、レベル判定値=2.3、閲覧回数=5、および点数=3が記憶されている場合、カウント対象の更新後の合計点数=(2.3×5)+3=14.5が得られる。S11において、更新後の閲覧回数=6としてRAM13に記憶されているので、更新されたレベル判定値=14.5/6≒2.4が得られる。
【0042】
CPU11は、更新されたレベル判定値を算出した後、HDD15の判定テーブル記憶エリア153に記憶された判定テーブル1530(図5参照)に基づいてユーザの知識レベルを判定し、更新されたレベルとして、RAM13の所定の記憶エリアに記憶させる(S14)。例えば、前述のように、更新されたレベル判定値が2.4であれば、1.5以上2.5未満であるから、ユーザの知識レベルは中級と判定される。また、例えば、過去にマニュアルを閲覧したことがなく(S2:NO)、S4において、RAM13にレベル判定値=0、閲覧回数=0が記憶された場合には、カウント対象の更新後の合計点数=S12で取得された点数=3、更新後の閲覧回数=1である。したがって、更新されたレベル判定値=3/1=3となり、ユーザの知識レベルは上級と判定される。
【0043】
S14においてユーザの知識レベルが判定されると、判定結果に応じて、選択された表示項目に対応するマニュアルがディスプレイ181に表示される(S15)。すなわち、前述したように、表示項目に対応してマニュアルDB1510に記憶されている初級、中級、および上級用のマニュアルのうち、S13で判定された知識レベルに対応するマニュアルが読み出され、表示される。例えば、前述のように、ユーザの知識レベルが中級と判定された場合、選択された用語「ネーム・ディスプレイ」に対して、図8に示すように、マニュアル領域44に中級用のマニュアルが表示され、3つのレベルタブ45のうち、中級のタブが反転表示される。もう一つの前述の例のように、上級と判定された場合には、上級用のマニュアルが表示される。
【0044】
ここまで、選択された表示項目はカウント対象に該当すると判断された場合(S7:YES)のマニュアルの表示処理について説明したが、選択された表示項目がカウント対象ではないと判断された場合(S7:NO)について説明する。この場合、CPU11は、更新後のレベル判定値を算出することなく、S3またはS4でRAM13に記憶されたレベル判定値に基づいて、ユーザの知識レベルを判定する(S14)。例えば、S4でRAM13にレベル判定値=0が記憶された場合には、0以上1.5未満であるから、ユーザの知識レベルは初級と判定される。そして、選択された表示項目がカウント対象である場合と同様に、判定された知識レベルに応じたマニュアルが表示される(S15)。
【0045】
マニュアル表示後に終了指示がなされず、別の表示項目が選択された場合(S15:NO→S6:YES)、前述したようにS6〜S15の処理が行われる。このようにして、終了指示がなされるまで、処理が繰り返される。例えば、前述のように、最初の処理開始時に、レベル判定値=2.3および閲覧回数=5がユーザレベルDB1540に記憶されていたユーザが、「ネーム・ディスプレイ」の中級用マニュアルを閲覧した後、さらに表示項目「PCファクス受信」を選択したとする。「PCファクス受信」はレベル判定DB1520にカウント対象として記憶されており、点数は3である。したがって、「ネーム・ディスプレイ」のマニュアル閲覧時に算出されたレベル判定値2.4(中級)は、2.5に更新される(S13)。その結果、ユーザの知識レベルは、上級と判定され(S14)、「PCファクス受信」に対応する上級用のマニュアルが表示される(S15)。
【0046】
また、例えば、前述のように、過去にマニュアルを閲覧したことがなく(S2:NO)、S4において、RAM13にレベル判定値=0、閲覧回数=0が記憶されたユーザが、「ネーム・ディスプレイ」の上級用マニュアルを閲覧した後、さらに表示項目「ナンバーディスプレイ」を選択したとする。「ナンバーディスプレイ」はレベル判定DB1520にカウント対象として記憶されており、点数は2である。したがって、「ネーム・ディスプレイ」のマニュアル閲覧時に算出されたレベル判定値3(上級)は、2.5に更新される(S13)。その結果、ユーザの知識レベルは、再び上級と判定され(S14)、「ナンバーディスプレイ」に対応する上級用のマニュアルが表示される(S15)。その後、例えば、「ナンバーディスプレイ」のマニュアル中の「*詳しくは 1.2設定する を参照してください」の記載のうち、リンクが設定されている「1.2設定する」部分が選択され、リンクが参照されたとする。このリンクは、レベル判定DB1520にカウント対象として記憶されており、点数は1である。したがって、「ナンバーディスプレイ」のマニュアル閲覧時に算出されたレベル判定値2.5(上級)は、2に更新される(S13)。その結果、ユーザの知識レベルは、中級と判定され(S14)、「1.2設定する」に対応する中級用のマニュアルが表示される(S15)。
【0047】
ユーザによって選択された表示項目に対応するマニュアルが表示された後マニュアル表示プログラムの終了が指示されると(S17:YES)、ユーザレベルDB1540(図6参照)が更新される(S18)。具体的には、ユーザレベルDB1540の最新閲覧日が現在の日付で上書きされ、レベル判定値、レベル、および閲覧回数が、RAM13に記憶されている更新されたレベル判定値、更新されたレベル、および更新後の閲覧回数に、それぞれ上書きされる。ユーザレベルDB1540が更新された後、図10に示すマニュアル表示処理は終了する。
【0048】
以上に説明したように、本実施形態の端末装置10では、マニュアルの見出しである表示項目の各々に対応して、3つの異なる知識レベルのマニュアルがマニュアルDB1510に記憶されている。また、表示項目のうち、端末装置10のユーザの知識レベルを判定するのに用いられる表示項目が、カウント対象としてレベル判定DB1520に記憶されている。さらに、端末装置10のユーザが過去にマニュアルを閲覧したことがある場合には、閲覧時に判定されたユーザの知識レベルがユーザレベルDB1540に記憶されている。そこで、ユーザが閲覧したいマニュアルに対応する表示項目を選択すると、選択された表示項目がカウント対象であれば、更新されたユーザの知識レベルが判定され、判定結果に応じたマニュアルが表示される。そして、ユーザレベルDB1540に記憶された情報が、判定結果に基づいて更新される。
【0049】
したがって、端末装置10のユーザは、自己の知識レベルに関する質問に回答する等という特別な手順を経なくても、自己の知識レベルに適した所望のマニュアルを閲覧することができる。また、カウント対象である表示項目は、複合機20の機能や操作に対応して分類された用語や、リンクが設定された章、節、項等のセクションであるため、ユーザの知識レベルを簡便に判定することができる。また、カウント対象である表示項目に対応するマニュアルの閲覧回数を考慮して、更新後のユーザの知識レベルが判定されるので、より信頼性の高い判定結果が得られる。
【0050】
本実施形態では、端末装置10が、本発明の「電子マニュアル表示装置」に相当する。HDD15のマニュアルDB1510が、「説明記憶手段」に相当し、ユーザレベルDB1540が、「ユーザレベル記憶手段」および「回数記憶手段」に相当し、レベル判定DB1520が、「対応レベル記憶手段」に相当する。また、図10のS6で表示項目の選択を受け付けるCPU11が、「指示受付手段」に相当し、S11で閲覧回数を更新するCPU11が、「カウント手段」に相当し、S13およびS14でユーザの知識レベルを判定するCPU11が、「更新レベル決定手段」に相当し、S15で対応するマニュアルを表示させるCPU11が、「表示制御手段」に相当し、S18でユーザレベルDB1540の情報を更新するCPU11が、「レベル更新手段」に相当する。
<第2の実施形態>
【0051】
次に、図11〜図13を参照して、第2の実施形態について説明する。まず、第2の実施形態に係る端末装置10の構成について説明する。第2の実施形態に係る端末装置10の物理的構成および電気的構成は、HDD15のレベル判定DB記憶エリア152およびユーザレベルDB記憶エリア154にそれぞれ記憶されるレベル判定DB1521およびユーザレベルDB1541以外、第1の実施形態の端末装置10と同一である。よって、ここでは同一の構成についての説明は省略し、レベル判定DB1521およびユーザレベルDB1541についてのみ説明する。図11は、第2の実施形態に係るレベル判定DB1521の説明図である。図12は、第2の実施形態に係るユーザレベルDB1541の説明図である。
【0052】
まず、図11を参照して、レベル判定DB1521について説明する。前述したように、第1の実施形態のレベル判定DB1520(図4参照)に記憶されたカウント対象は、用語や、他の表示項目に対応するマニュアルへのリンクである。すなわち、対応するマニュアルが記憶されている表示項目の一部のみが、カウント対象とされている。したがって、端末装置10のユーザがマニュアルを閲覧しても、ユーザの知識レベルの更新は行われない場合がある。一方、図11に示すように、本実施形態のレベル判定DB1521には、対応するマニュアルが記憶されている表示項目のすべてがカウント対象として記憶され、対応する点数が定められている。したがって、ユーザがどの表示項目に対応するマニュアルを閲覧しても、その都度、レベルが更新されることになる。
【0053】
次に、図12を参照して、ユーザレベルDB1541について説明する。前述したように、第1の実施形態のユーザレベルDB1540(図6参照)には、最新閲覧日、レベル判定値、レベル、および閲覧回数が1つのレコードとして記憶されている。したがって、カウント対象であれば、対応するマニュアルを表示させる表示項目としていずれの用語またはリンクが選択されても、区別なく、包括的なユーザの知識レベルが判定される。一方、図12に示すように、本実施形態のユーザレベルDB1541は、複合機20の有する機能毎に、最新閲覧日、レベル判定値、レベル、閲覧回数を含む1レコードが記憶されている。すなわち、機能の数だけレコードが存在する。したがって、本実施形態では、複合機20の有する機能毎に、ユーザの知識レベルを個別に判定することができる。なお、本実施形態では、複合機20の有する機能である、初期設定、電話、FAX、プリンタ、およびスキャナのそれぞれについて、最新閲覧日、レベル判定値、レベル、および閲覧回数が記憶されている。
【0054】
以下に、図13を参照して、本実施形態に係る端末装置10で実行されるマニュアル表示処理について説明する。図13は、第2の実施形態に係るマニュアル表示処理のフローチャートである。本実施形態のマニュアル表示処理では、カウント対象である表示項目が選択される毎に、該当する機能に関する更新されたユーザの知識レベルが判定され、判定結果に応じたマニュアルが表示される。なお、図13の処理は、HDD15の電子マニュアル記憶エリア151に記憶されたマニュアル表示プログラムに従って、CPU11が実行する。
【0055】
マニュアル表示プログラムが起動され、処理が開始された後に行われるS31〜S34の処理は、第1の実施形態と同様である。具体的には、CPU11はまず、マニュアルDB1510に記憶されているすべての表示項目を読み出して、メニュー画面30(図7参照)をディスプレイ181に表示させる(S31)。そして、ユーザが過去にマニュアルを閲覧したことがある場合には(S32:YES)、ユーザレベルDB1541(図12参照)から、レベル判定値および閲覧回数を読み出して、RAM13に記憶させる(S33)。なお、本実施形態では、このとき、初期設定、電話、FAX、プリンタ、およびスキャナのそれぞれに対応して記憶されているレベル判定値および閲覧回数がすべて取得される。一方、ユーザが過去にマニュアルを閲覧したことがない場合には(S32:NO)、すべての機能に対応するレベル判定値および閲覧回数がそれぞれ0としてRAM13に記憶される(S34)。
【0056】
続いて、CPU11は、カウント対象である表示項目、すなわち、対応するマニュアルが記憶されている表示項目が選択されたか否かを判断する(S36)。例えば、図7に示すメニュー画面30で、「1.初期設定」が選択された場合、この表示項目は、レベル判定DB1521(図11参照)に記憶されたカウント対象ではなく、マニュアルDB1510(図3参照)には対応するマニュアルが記憶されていない(S36:NO)。よって、この場合、CPU11は、マニュアル表示処理の終了が指示されたか否かを判断し(S47)、指示がされなければ(S47:NO)、再びカウント対象が選択されたか否かを判断する(S36)。メニュー画面30で「1.初期設定」が選択されると、マニュアル表示画面40(図8参照)が表示され、サブメニュー領域43に「1.初期設定」の下位に属する表示項目である「1.1はじめに」、「1.2設定する」、および「1.3接続する」が一覧表示される。そこで、例えば、「1.2設定する」が選択された場合、この表示項目は、レベル判定DB1521(図11参照)に記憶されたカウント対象であり、マニュアルDB1510(図3参照)に対応するマニュアルが記憶されている(S36:YES)。この場合、ユーザの知識レベルを判定し、適切なマニュアルを表示する処理が行われる。
【0057】
具体的には、まず、S33またはS34でRAM13に記憶された、初期設定、電話、FAX、プリンタ、およびスキャナのそれぞれに対応する閲覧回数のうち、選択された表示項目が分類されている機能の閲覧回数に1が加算された値が、更新後の閲覧回数としてRAM13に記憶される(S37)。例えば、前述のように、「1.初期設定」の下位に属する「1.2設定する」が選択された場合には、該当する機能は「初期設定」である。よって、RAM13に記憶されている「初期設定」の閲覧回数=10に1が加算され、更新後の閲覧回数=11となる。そして、レベル判定DB1521(図11参照)から、選択された表示項目の点数が取得され、RAM13に記憶される(S38)。例えば、「1.2設定する」が選択された場合、点数として1が取得される。
【0058】
続いて、該当機能のレベル判定値および閲覧回数に基づいて、該当機能の更新されたレベル判定値が算出され、RAM13の所定の記憶エリアに記憶される(S41)。具体的には、該当機能に分類されたカウント対象の更新後の合計点数を、更新後の閲覧回数で除することにより、該当機能の更新されたレベル判定値が算出される。該当機能に分類されたカウント対象の更新後の合計点数は、S33またはS34でRAM13に記憶されたレベル判定値のうち、該当機能のレベル判定値に閲覧回数を乗じた値に、S38で新たに取得された点数を加算することにより算出することができる。例えば、RAM13に、該当する機能(例えば、初期設定)について、レベル判定値=0.8、閲覧回数=10、および点数=1が記憶されている場合、カウント対象の更新後の合計点数=(0.8×10)+1=9が得られる。S37において、更新後の閲覧回数=11としてRAM13に記憶されているので、更新されたレベル判定値=9/11≒0.8が得られる。
【0059】
CPU11は、該当機能の更新されたレベル判定値を算出した後、HDD15の判定テーブル記憶エリア153に記憶された判定テーブル1530(図5参照)に基づいてユーザの知識レベルを判定し、該当機能の更新されたレベルとして、RAM13の所定の記憶エリアに記憶させる(S42)。例えば、前述のように、更新されたレベル判定値が0.8であれば、0以上1.5未満であるから、初期設定に関するユーザの知識レベルは初級と判定される。
【0060】
S42においてユーザの知識レベルが判定されると、判定結果に応じて、選択された表示項目に対応するマニュアルがディスプレイ181に表示される(S43)。例えば、前述のように、初期設定に関するユーザの知識レベルが初級と判定された場合、選択された「1.2設定する」に対して、例えば、マニュアル表示画面40のマニュアル領域44に初級用のマニュアルが表示され、3つのレベルタブ45のうち、初級のタブが反転表示される。マニュアル表示と同時に、時間のカウントが開始される(S44)。その後、CPU11は、S43で表示させたマニュアルが所定時間(例えば、10秒)表示されたか否かを判断する(S45)。表示時間が所定時間に達している場合には(S45:YES)、マニュアル表示処理の終了が指示されたか否かが判断される(S47)。一方、表示時間が所定時間よりも短い場合には(S45:NO)、マニュアルはほとんど閲覧されていない。したがって、このような場合には、S41およびS37で算出され、RAM13に記憶された更新後のレベル判定値および更新後の閲覧回数がクリアされる(S46)。これは、ユーザが表示項目を誤って選択した等の理由により、表示されたのが意図しないマニュアルだったためと推測できるため、このような場合には、閲覧したものとみなさないようにするものである。その後、マニュアル表示処理の終了が指示されたか否かが判断される(S47)。
【0061】
マニュアル表示後に終了指示がなされず(S47:NO)、別の表示項目が選択された場合(S36:YES)、前述したように、適宜S37〜S46の処理が行われる。このようにして、終了指示がなされるまで、同様にして処理が繰り返される。本実施形態では、例えば、前述のように、「1.2設定する」に対応するマニュアルが表示された後、初期設定以外の機能に属する他の表示項目が選択されると、今度はその機能に対応して、閲覧回数が更新され、更新されたレベルが判定されて、対応するレベルのマニュアルが表示される。
【0062】
その後、マニュアル表示プログラムの終了が指示されると(S47:YES)、ユーザレベルDB1541(図12参照)が更新される(S48)。具体的には、ユーザレベルDB1541の最新閲覧日が現在の日付で上書きされ、各機能に対応するレベル判定値、レベル、および閲覧回数が、RAM13に記憶されている更新されたレベル判定値、更新されたレベル、および更新後の閲覧回数に、適宜上書きされる。より具体的には、マニュアル表示処理で所定時間以上表示されたマニュアルに対応する機能の情報のみが、更新されることになる。ユーザレベルDB1541が更新された後、図13に示すマニュアル表示処理は終了する。
【0063】
以上に説明したように、本実施形態の端末装置10では、特定の用語やリンクだけでなく、対応するマニュアルが記憶されている表示項目のいずれが選択された場合も、ユーザの知識レベルが新たに判定され、判定結果に応じたマニュアルが表示される。また、ユーザの知識レベルは、複合機20の有する機能毎に判定される。したがって、各機能について、より適切な知識レベルを判定することができ、ユーザに適したレベルのマニュアルを提示することができる。さらに、マニュアルの表示時間が所定時間に満たない場合には、マニュアルが閲覧されなかったものとして、ユーザレベルDB1541に記憶された情報は更新されない。したがって、ユーザの意図と異なる表示項目が選択され、対応するマニュアルが表示された場合に、その後のユーザの知識レベルの判定に影響を与える虞がない。
【0064】
本実施形態では、端末装置10が、本発明の「電子マニュアル表示装置」に相当する。HDD15のマニュアルDB1510が、「説明記憶手段」に相当し、ユーザレベルDB1541が、「ユーザレベル記憶手段」および「回数記憶手段」に相当し、レベル判定DB1521が、「対応レベル記憶手段」に相当する。また、図13のS36でカウント対象の選択を受け付けるCPU11が、「指示受付手段」に相当し、S37で閲覧回数を更新するCPU11が、「カウント手段」に相当する。S41およびS42でユーザの知識レベルを判定するCPU11が、「更新レベル決定手段」に相当し、S43で対応するマニュアルを表示させるCPU11が、「表示制御手段」に相当し、S44およびS45で時間をカウントするCPU11が、「時間計測手段」に相当する。S48でユーザレベルDB1541の情報を更新するCPU11が、「レベル更新手段」に相当する。
【0065】
なお、前述の実施形態に示される端末装置10の構成は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、本実施形態では、端末装置10と複合機20が接続されている例について説明したが、マニュアルは、その他の装置のマニュアルであってもよい。また、マニュアルが対象とする装置は、端末装置10に接続されていなくてもよい。装置と端末装置10とが接続されている場合には、接続方法に特に限定はない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】電子マニュアルの利用形態の概略を示す構成図である。
【図2】端末装置10の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】マニュアルデータベース1510の説明図である。
【図4】レベル判定データベース1520の説明図である。
【図5】判定テーブル1530の説明図である。
【図6】ユーザレベルデータベース1540の説明図である。
【図7】メニュー画面30の説明図である。
【図8】マニュアル表示画面40の説明図である。
【図9】別の形態のマニュアル表示画面50の説明図である。
【図10】マニュアル表示処理のフローチャートである。
【図11】第2の実施形態に係るレベル判定DB1521の説明図である。
【図12】第2の実施形態に係るユーザレベルDB1541の説明図である。
【図13】第2の実施形態に係るマニュアル表示処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
10 端末装置
11 CPU
15 ハードディスク装置
1510 マニュアルデータベース
1520 レベル判定データベース
1530 判定テーブル
1540 ユーザレベルデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに関する説明を表示する電子マニュアル表示装置であって、
複数の項目毎に、複数の異なる知識レベルの各々と関連づけて説明を記憶する説明記憶手段と、
前記装置に関するユーザの知識レベルであるユーザレベルを記憶するユーザレベル記憶手段と、
前記複数の項目のうち一つを、対応する前記説明を表示する項目として特定する指示を受け付ける指示受付手段と、
前記複数の項目の各々と、前記複数の項目の各々に対応する知識レベルである対応レベルとを関連づけて記憶する対応レベル記憶手段と、
前記ユーザレベル記憶手段に記憶された前記ユーザレベルおよび前記指示によって特定された前記項目に関連づけられた前記対応レベルに基づいて、更新されたユーザレベルである更新レベルを決定する更新レベル決定手段と、
前記指示によって特定された前記項目および前記更新レベルに対応する前記対応レベルに関連づけられた前記説明を、前記説明記憶手段から読み出して表示する表示制御手段と、
前記更新レベル決定手段によって決定された前記更新レベルによって、前記ユーザレベル記憶手段に記憶された前記ユーザレベルを更新するレベル更新手段を備えたことを特徴とする電子マニュアル表示装置。
【請求項2】
前記複数の項目は、前記装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに関する複数の用語、または前記装置の機能および操作方法の少なくともいずれかに応じて分類された複数のセクションであり、
前記更新レベル決定手段は、前記ユーザレベル記憶手段に記憶された前記ユーザレベル、および、前記指示によって特定された前記用語または前記セクションに対応する前記対応レベルに基づいて、前記更新レベルを決定することを特徴とする請求項1に記載の電子マニュアル表示装置。
【請求項3】
前記複数の項目のいずれかが前記指示によって特定された回数をカウントするカウント手段をさらに備え、
前記ユーザレベル決定手段は、前記ユーザレベル記憶手段に記憶された前記ユーザレベル、前記指示によって特定された前記項目に関連づけられた前記対応レベル、および前記カウント手段によってカウントされた前記回数に基づいて、前記更新レベルを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の電子マニュアル表示装置。
【請求項4】
前記カウント手段によってカウントされた前記回数の累計を記憶する回数記憶手段をさらに備え、
前記更新レベル決定手段は、前記ユーザレベル記憶手段に記憶された前記ユーザレベル、前記指示によって特定された前記項目に関連づけられた前記対応レベル、および前記回数記憶手段に記憶された前記累計に基づいて、前記更新レベルを決定することを特徴とする請求項3に記載の電子マニュアル表示装置。
【請求項5】
前記指示によって特定された前記項目に対応する前記説明の表示時間を計測する時間計測手段と、
前記時間計測手段によって計測された前記表示時間が所定時間に満たない場合には、前記表示時間が所定時間に満たない項目である表示不足項目について、前記カウント手段によってカウントされた回数である表示不足回数をキャンセルする回数キャンセル手段をさらに備え、
前記ユーザレベル決定手段は、前記ユーザレベル、前記指示によって特定された前記項目に関連づけられた前記対応レベル、および前記回数キャンセル手段によって前記表示不足回数がキャンセルされた後の前記回数に基づいて、前記更新レベルを決定することを特徴とする請求項3または4に記載の電子マニュアル表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の電子マニュアル表示装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるための電子マニュアル表示プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2009−169714(P2009−169714A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7680(P2008−7680)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】