説明

電子ユニットを有するカードを製造する方法

【課題】カード内の残留気泡を減らすカードの製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明のカード製造方法は、レジンの少なくとも一部を、前記複数の電子ユニットの上に配置するステップを有する。前記ステップは、レジン供給装置の複数のノズルにより行われる。前記レジン供給装置は、前記複数のノズルと前記複数の電子ユニットとの間の相対移動が、水平方向(X)に沿って行われるよう、配置される。前記ステップの間、複数のノズルは、複数の電子ユニットに対し、前記方向に沿った相対的な移動を行い、前記複数の電子ユニット上にレジン・ストリングを堆積する。前記レジン・ストリングは、前記方向に向いており、最初は、前記レジン・ストリングの間に溝を有する。前記堆積したレジン・ストリングを、前記方向(X)に沿って、前記レジン拡散手段で拡散する。前記複数の電子ユニットと前記拡散手段との間で、前記方向に沿った相対的移動が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ユニット、特に電子ディスプレを有する電子ユニットを含むカードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の方法により製造されたカードは、例えば、銀行用のカード、特にISO標準に適合したカードである。しかし本発明は、様々な形状の電子カード、特に巡回用の電子カードに適応可能である。
【0003】
特に、本発明のカードの製造方法は、プレートの形態の複数のカード又はカード本体を製造する方法である。このプレートから各カード又はカード本体が切り出される。プレートは、複数の電子ユニットとこの電子ユニットを少なくとも部分的にコーティングするレジンから形成される。本発明の方法は、液状のレジンを複数の電子ユニットの上あるいは下に配置するステップを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第0570784号明細書
【0005】
特許文献1は、電子組立体、特にトランスポンダを位置決めフレーム内の主開口に配置したカードの製造方法を開示する。トランスポンダと位置決めフレームが、粘性流体の形態で付加されるバインダ(レジン)内に埋設される。特許文献1の位置決めフレームは、集積回路とコイルから形成されるトランスポンダ用の内部領域を、カード内に規定するために用いられる。かくして、圧力が、様々な構成要素とバインダに加わり、カードが形成されると、トランスポンダは、各カードの内側領域内に保持され、一方、バインダは、カードに全体に伸びるレイヤ(層)を形成する。特許文献1は、トランスポンダと様々な形状更には複雑な形状を有する他の電子ユニットを、カード内に一体化するカード製造方法を開示する。しかし、レジンを電子ユニットと位置決めフレームの上あるいは下に配置することは、困難な製造ステップである。特に、電子ユニットが様々な厚さの複雑な形状を有する場合にはそうである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、粘性流体のレジンを提供することにより、カード内の残留気泡を減らすカードの製造方法を提供することである。更に本発明の他の目的は、最終製品であるカードの平坦さを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1実施例によれば、本発明のカード製造方法は、レジンの少なくとも一部を、前記複数の電子ユニットの上に配置するステップを有する。
(A) 前記ステップは、レジン供給装置の複数のノズルにより行われ、
前記レジン供給装置は、前記複数のノズルと前記複数の電子ユニットとの間の相対移動が、水平方向(X)に沿って、行われるよう、配置される。
(B) 前記ステップの間、前記複数のノズルは、前記複数の電子ユニットに対し、前記方向に沿った相対的な移動を行い、前記複数の電子ユニット上にレジン・ストリングを堆積し、前記レジン・ストリングは、前記水平方向(X)に向いており、最初は、前記レジン・ストリングの間に、溝(28)を有する。
(C) 前記堆積したレジン・ストリングを、前記水平方向(X)に沿って、前記レジン拡散手段で、拡散し、前記複数の電子ユニットと前記拡散手段との間で、前記方向に沿った相対的移動が行われる。
【0008】
本発明の第1実施例によれば、本発明のカード製造方法は、前記レジンの少なくとも第1部分を、前記複数の電子ユニットの下に配置するステップを有する。
(A) 前記レジンの第1部分は、シートの上に、レジン供給装置の複数のノズルにより、堆積され、前記シートの上方に、前記複数の電子ユニットが、その後、配置され、前記レジン供給装置は、前記複数のノズルと前記複数の電子ユニットとの間の相対移動が、第1方向に沿って、行われるよう、配置される。前記第1方向は、前記レジン堆積領域の前記シートに平行である。
(B) 前記ステップの間、前記複数のノズルは、前記シートに対し、前記第1方向に沿った相対的な移動を行い、前記レジン・ストリングの第1列を形成する。前記レジン・ストリングは、前記第1方向に向いており、最初は、前記レジン・ストリングの間に、溝を有する。
(C) 前記複数の電子ユニットを、前記レジン・ストリングの第1列上に配置する。
【0009】
上記したシートあるいは層は、製造されたカードの層あるいは作業シートでもよい。この作業シートは、カードの製造中或いはカードが使用される前に、取り除かれる。
【0010】
本発明の第2実施例の好ましい変形例は、液状レジンの第2部分を複数の電子ユニットの上に配置するステップを含む。このステップは、本発明の第1実施例と同様に行われる。特に前記シートの上に最初に配置されるレジン部分の粘度と複数の電子ユニットを付加することは、請求項5に記載したように行われる。即ち、レジンの第2部分を拡散する手段は、シート上に堆積した前記レジンの第1部分を拡散する手段として、少なくとも前記レジンの第1部分を拡散する最終段階において、用いられる、この場合、シートあるいは層上に最初に堆積される第1レジン・ストリングの方向は、複数の電子ユニット上にその後に堆積される第2レジン・ストリングの方向と同一であるのが好ましい。
【0011】
本発明によるカード製造方法の特徴により、堆積されたレジン・ストリングの間に最初に存在する溝により、空気は容易に逃げることができる。これは、特に拡散手段に付属する圧力装置を駆動し、徐々に圧力を、レジンに、堆積されたレジン・ストリングにより規定された方向に沿ってかける時に、顕著である。かくしてレジンは、徐々にレジン・ストリングの方向に沿って拡散される。かくして、レジンに一時的に閉じ込められた空気は、拡散手段により前方に押しやられ、空気は、その通り道を、拡散手段の上流側に依然として存在する溝の方向に、作る。これらの溝は、レジン・ストリングの間に配置され、残留空気の抜ける通路を規定し、残留気泡が、レジン内に閉じ込められるのを阻止し、最終的にレジンにより形成されるカード本体内に閉じ込められるのを阻止する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による電子カードに組み込まれた電子ユニットを表す図。
【図2】本発明の方法により複数の電子ユニットの上に堆積されたレジンを表す部分上面図。
【図3】図2のラインIII‐IIIに沿った断面図。
【図4】本発明により、堆積したレジン・ストリングを伸ばすプレス・ローラを表す上面図。
【図5】図4のラインV‐Vに沿った断面図。
【図6】本発明の方法により得られた複数のカードを形成するプレートの部分断面図。
【図7】本発明の第2の方法を示す部分上面図。
【図8】図7のラインVIII‐VIIIに沿った部分断面図で、図7に対し更なる製造ステップを実行した後を示し、本発明の第2の方法を表す図。
【図9】図8に示した全ての要素の上のレジン・ストリングをプレス・ローラを用いて拡散するステップを表す断面図。
【図10】図8、9に示した方法により得られたプレートの断面図。
【図11】本発明によりレジンストリングを堆積する第1変形例を表す図。
【図12】本発明によりレジンストリングを堆積する第2変形例を表す図。
【図13】本発明によりレジンストリングを堆積する第3変形例を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、電子ユニット2は、集積回路4と、電子ディスプレイ6と、バッテリ8と、スイッチ10を有する。電子ユニット2は、支持層12の上に配置される。この電子ユニット2は、様々な厚さの複雑な形状をし、様々な要素の間にスロットあるいは空間が存在する。
【0014】
図2‐6を参照して、本発明のカード製造方法の第1実施例を示す。複数個の電子ユニット2が、穴あき構造体14の複数個の開口16内にそれぞれ配置される。穴あき構造体14と電子ユニット2は、シート18に結合される。このシート18は、その表面に接着性フィルム24を有する。これら様々な要素が、組立体20を構成する。この組立体20は、液体レジン22を堆積する装置に移送される。液体レジン22は、開口16内の残ったスペースを充填し、穴あき構造体14と電子ユニット2を覆う。以下この穴あき構造体14は、単に「プレート」とも称する。
【0015】
本発明によれば、レジン22は、組立体20の上に複数のノズル(図示せず)で堆積される。これらのノズルは、適宜の支持部材の上に並んで配置される。レジンは、個別に各ノズル内に供給されるか、あるいは複数のノズルが共通のレジン供給源を有し、ノズルが搭載されるパイプを用いて、供給される。当業者は、このようなレジン堆積装置の他の構成例を容易に想到できる。レジン堆積装置は、この装置内に入る複数のノズルと複数の電子ユニットが、それらの間で組立体20の面内の方向Xに沿って相対的な動きを有するように配置される。この組立体20の面は、図2の面に相当する。かくしてレジン22が、組立体20上に堆積されると、複数のノズルは、この組立体20に対し相対的に動く。その結果、レジンがレジン・ストリング26の形態で堆積される。このレジン・ストリング26の間に、最初は溝28を有する。この溝28が、プレート14の開口16内に残ったスペース内に、空気除去(排気)チャネルを規定する。
【0016】
レジンの堆積操作が開始するプレート14の端部において、ノズルを短期的に定位置に留まるか、レジン・ストリング26を形成する相対的な移動方向に対しノズルを横方向に移動させることも可能である。かくして、レジンの連続領域(溝28の存在しない領域)30が、組立体20の端部で得られる。これにより、レジンの小さな貯蔵庫が得られ、開口16の極初期の列から、レジンの充填を適正に行うことができる。プレート14の端部に開口32が存在する。この開口32は、レジンを拡散手段により拡散するステップの間、レジンを回収する小タンクを構成する。この後者のステップは、図4、5を参照して説明する。
【0017】
図5において、トップシート34が、組立体20とレジン22上に配置される。トップシート34は、図4においては、組立体20を示すために透明にしている(描いていない)。図4を見易くするために、組立体20の外側ラインのみを示す。組立体20と、レジン22と、トップシート34が、平坦な支持層36の上に配置される。特に、作業テーブル、あるいは固体を形成するためにレジンを拡散する装置上に配置された平坦な表面、あるいは適宜の平坦なプレート上に、配置される。プレス・ローラ38と支持層36が、レジン拡散手段を構成する。このレジン堆積装置は、複数の電子ユニットを有する組立体20とプレス・ローラ38が、それらの間に、レジン・ストリング26により規定される方向Xに沿った相対的な動きができるよう、配置される。プレス・ローラ38は、好ましくは、組立体20の端部に、特にレジン22の連続領域30の後に配置される。次にローラがトップシート34を介してレジン22を押し付けながら前方に進み、開口16内の残ったスペースを充填し、電子ユニット2を覆う。図4は、静止型のプレス・ローラを示し、組立体20とレジン22が、X方向で後ろ向きの動きをする。その結果、プレス・ローラ38は、組立体20に対し、前方へ移動することになる。これは、実質的に図5と等価である。図5においては、組立体20は静止しており、プレス・ローラ38が、支持層36から一定の距離を維持しながら、X方向に沿って動いている。
【0018】
他のプレス装置を用いることもできる。特に、一対のプレス・ローラを具備する効率的な装置を使用することもできる。この場合、一対のプレス・ローラの間に、カード又はカード本体を形成する電子部品とレジンが導入される。これらの電子部品とレジンは、ローラの間を引き抜かれる。これらのローラは、それぞれの回転軸上に回転可能に搭載される。こうするために、組立体20又はシート18/トップシート34は、把持手段により把持される。各ボトム・ローラが作業面に配置される。その表面で少なくともローラに近い部分が、ローラの円筒表面の上部ライン上に配置される。
【0019】
圧力が、組立体20の一端から他端(第2端)に、レジン・ストリング26により規定される方向Xに沿って加えられる。かくして開口16が徐々に充填され、残留空気が残った溝28を介して、少なくともプレス・ローラ38に先だって、容易に逃げることができる。実際に、溝28が、既に部分的に閉鎖されている場合でも、残留気泡の除去効率は維持できる。この様な溝が部分的に閉鎖される現象は、レジン・ストリング26が横方向に拡散することにより、特にそのレジン・ストリング上に配置されたトップシート34の重さにより、起こる。
【0020】
本発明は、穴あき構造体(プレート)14が存在せず複数の電子ユニット2のみが存在する場合にも、同様に適用可能である。本発明の方法は、外部シート或いはトップシート34が存在しなく場合でも、適用可能である。簡単な変形例は、複数の電子ユニットのみが作業面上にあり、本発明の方法にり堆積されたレジンが存在する。すなわちレジンを、その間に最初は溝を有するストリングの形態で堆積したレジンが存在する。連続的なカード又はカード本体製造方法において、電子ユニットを、レジン堆積前にあるいはレジン堆積と同時に付加することもできる。この製造方法においては、電子カードを、連続堆積方法の移動方向に対し、レジン堆積領域の上流側に配置する。穴あきプレートは、穴あき片でもよい。これらは連続的に巻き戻されて、電子ユニットを具備する、あるいは個別に用意される。
【0021】
本発明の第1実施例においては、様々な要素が支持部材あるいは作業表面36の上に配置される。この支持部材は可動型あるいは固定型である。この支持部材は、軸Xに沿って動く上部ベルトを有する。本発明の他の変形例においては、要素の組立体は、この組立体を把持する手段により引き抜かれ、その後回転軸の周りを自由回転する2個のプレス・ローラの間を通過する。
【0022】
図6は、上記の方法により製造されたプレート40を示す。このプレート40は、複数のカード又はカード本体を規定する。このプレート40の中央領域に、レジン22により形成された層が存在する。この層は、穴あき構造体14と複数の電子ユニット2とを覆い側面から包囲する(全体を覆う)。シート18とトップシート34は、製造されたカードの2枚の層を規定するかあるいは作業シートを構成する。この作業シートは、レジンに軽く接着して製品に損傷を与えることなく後に取り除かれる。従来方法の第1変形例においては、印刷が、プレート40の両側に配置されるシート18とトップシート34あるいは他の透明なフィルム上に施される。第2変形例においては、シート18とトップシート34とがカード本体を規定する。シートを取り除いた後に得られた製品が、最終カード(その上にデザインが印刷される)を構成するか、あるいはカード本体すなわちコアを規定する中間生成物を構成する。他の層あるいはフィルムを、中間生成物の少なくとも一方の側に配置し、複数のカードを形成する。個々のカードを得るために、各カードは、製造されたプレートから切り離され、特に穴あき構造体14に形成された外形に沿って切り離される。かくして、カードの側面壁を少なくとも部分的に規定する。
【0023】
図7−10を参照して、本発明の第2実施例を説明する。この実施例においては、レジン22の少なくとも一部がシート44上に堆積される。次に、複数の電子ユニットがその上に配置される。ここに示した変形例において、電子ユニットは、穴あきプレート14と複数の電子ユニット2を含む組立体42の形態で提供される。複数の電子ユニット2は、穴あきプレート14に、穴あきプレート14の開口16の周囲に配置された突起部分を介して接続される。レジンの少なくとも一部が、複数の電子ユニットの下に、液状で提供される。本発明によれば、レジン22のこの第1部分が、レジン・ストリング46の第1列の形態で、シート44上に堆積される。複数のレジン・ストリング46が、それらの間に溝48を規定する。これは上記したものと同様の方法で行われる。次に、組立体42が、レジン・ストリング46のこの第1列の上に配置される。プレート14は、側面タンクである開口32を有する。開口32が、余ったレジンを入れ、レジン・ストリング46に直交する方向に沿って、レジンが流れるのを制限あるいは停止させる。第1実施例と同様に、レジンは、レジン・ストリング46を形成するために用いられる複数のノズルを有する装置で堆積される。そのため、この装置は、複数のノズルとシート44が、それらの間で、シートに対し方向Xに沿って移動できるよう、構成される。レジンがシート44上に堆積すると、複数のノズルは、シートに対し方向Xに沿って移動し、レジン・ストリング46を生成する。このレジン・ストリング46は、これらの間に最初は溝48を有し、残留空気除去用チャネルを規定する。
【0024】
図8−10は、本発明の第2実施例の変形例を示す。この変形例においては、レジンの第2部分が、組立体42即ち電子ユニットと穴あきプレート上に配置される。かくして第1実施例と同様な方法で、レジン・ストリング26の第2列が、レジン堆積装置の複数のノズルを用いて堆積される。レジンの第1列を堆積するのに用いられたものと同一の装置を用いることも、又類似の装置を用いることも可能である。特に、電子ユニットがレジン・ストリング26の第1列の上に、2個のレジン堆積装置間の中間ステーションで付加されるような製造ラインの場合には、第2の類似装置を用いることも可能である。最後に、トップシート34が、レジン・ストリング26の第2列の上に堆積される。図8に示す要素の組立体が、レジン22を拡散する手段を有する装置に搬送される。第1実施例で説明したように、拡散手段はプレス装置を有する。拡散手段を制御して、レジン・ストリング26により規定された方向に沿って、複数の電子ユニット2とプレス装置間で、相対的な移動を生成する。
【0025】
図9の装置が図5のものと異なる点は、2個のプレス・ローラ38、50を具備する点である。この変形例においては、トップシート34が、レジン・ストリング26の上に徐々に配置され、その直後にプレス・ローラ38、50の下を通過する。プレス・ローラ38は、支持層36からプレス・ローラ50よりも遠い位置にある。プレス・ローラ38はプレス・ローラ50より前にある。かくしてプレス・ローラ38を用いてレジン22を拡散し組立体42内の様々な残留スペースを充填する。プレス・ローラ50は、形成されたプレートの厚さを薄くして、レジンを均一に拡散し、複数の電子ユニットを含む領域でほぼ平坦に形成する。
【0026】
他のプレス装置を当業者は用いてもよい。特に要素が導入されるストリップ・プレスを用いることもできる。一例として、プレス・ローラ38、50間でのポリマー化による部分的な固化ステップを導入することもできる。最後に、プレス・ローラ50の通過後に得られたプレート52を、平坦な表面を有するプレスに、レジン22が完全に固化するまで、配置することもできる。このプレス行程は、加熱を用いないのが好ましい。
【0027】
図11−13を参照して、レジンをストリングの形態で堆積する3つの変形例を以下説明する。同図は、レジンを、1つの底部シートあるいは複数の電子ユニットの上に堆積することのみを示す。本発明の方法は、レジン層を、中間製品と作業シートの間、又は中間シートの上あるいは下に提供された外側層の間に、形成する際に、採用することもできる。
【0028】
図11−13に示す変形例は、レジンの無駄を最小にする共通の目的を有する。これは、圧力をレジン・ストリングにかける装置内のレジンの拡散を最適化することにより行われる。加圧の最終段階において、レジンは、直線状の先端を有する波を描かず、王冠状の先端を有する波を描く。即ち、レジンの量は、プレートの中央領域の方が、2つの側面端部よりも多くなる形状である。レジンが、全ての電子ユニットの先端で均一に拡散され、穴あきプレート内の開口を完全に充填すると、レジンの無駄が増える。かくして、プレートの2つの側面側上のレジンの無駄を最小にし、レジンの先端をプレス・ローラの移行の終了時において、出来るだけ直線状にすることが求められている。その目的は、カードの最後の列(図において、プレートの右側)が、残留空気を有さず、その厚さが、前列の他のカードと同一になるようにするためである。
【0029】
図11の変形例において、レジン・ストリング26,46は、可変のスペースEを有する。すなわち、この距離は、隣接するレジン・ストリングの少なくとも2つの対の間では同一ではない。レジン・ストリングの左端部(プレス・ローラがレジンの拡散を開始する端部)には、レジンの連続領域30が存在する。ストリング間の可変のスペースを確保するために、即ち可変の幅の溝を確保するためには、複数のノズルを、2つの隣接するノズルの間のスペース(これも可変である)にマッチするよう配置する。
図12の変形例において、レジン・ストリング26,46の間のスペースは、ほぼ一定であるが、ストリング26,46のそれぞれの幅は可変である。可変の幅を有するストリングを得るためには、可変の幅の開口を有するノズルを提供すること、又は複数のノズル内に可変のレジンの流れを提供することで行われる。このストリングの幅の分布は、単なる一実施例である。外側のストリングの幅は狭く、他のストリングの幅は広くすることもできる。ストリングの幅は、ストリングの列の中央領域で、ストリングの方向に減少するよう構成することもできる。
【0030】
図13において、レジン・ストリング26と46の間のスペースはほぼ一定であり、ストリングの幅もほぼ同一であるが、レジン・ストリングの長さが異なる。すなわち、各ストリングは、ある長さに渡って堆積されるが、この長さ、は一連の堆積したストリング内の関連するストリングの位置に依存する。かくして、この変形例においては、少なくとも2個のレジン・ストリングは異なる長さを有する。こうするためには、レジンを各ノズルに供給することを独立に制御するか、あるいは同一の長さのストリングを形成するために使用するノズル群により制御することが可能である。ノズル間で相対的な動きをするノズルを提供することも可能である。かくして、例えば、ノズルを堆積の開始点(図3の左側)で、一直線に沿って整合させ、その後、少なくとも一部のノズルを軸Xに沿って移動させて、堆積したストリングの端部56により規定される最終カーブに対応するカーブを規定する。あるラインが他のラインよりも少ないノズルを有するノズルのマトリックスを構成することも可能である。更に異なる周期のグループによるノズルのマトリックスを提供することも可能である。本発明によるカード製造方法を実行するレジン堆積装置の他の構成例は、当業者には明らかであろう。
【0031】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0032】
2 電子ユニット
4 集積回路
6 電子ディスプレイ
8 バッテリ
10 スイッチ
12 支持層
14 穴あき構造体
16 開口
18 シート
20 組立体
22 レジン
26 レジン・ストリング
28 溝
30 レジン
32 開口
34 トップシート
36 支持層
38 プレス・ローラ
40 プレート
42 組立体
44 シート
46 レジン・ストリング
48 溝
50 プレス・ローラ





【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード製造方法において、
複数のカード又はカード本体が、プレート(40、50)の形態で形成され、
前記プレート(40、50)は、複数の電子ユニット(2)と、前記電子ユニット(2)を少なくとも部分的にコーティングするレジン(22)とを有し、
前記カード又はカード本体は、前記プレートから最終的に切り出され、
前記方法は、前記レジンの少なくとも一部を、前記複数の電子ユニット(2)の上に配置するステップを有し、
(A) 前記ステップは、レジン供給装置の複数のノズルにより行われ、
前記レジン供給装置は、前記複数のノズルと前記複数の電子ユニットとの間の相対移動が、水平方向(X)に沿って、行われるよう、配置され、
(B) 前記ステップの間、前記複数のノズルは、前記複数の電子ユニットに対し、前記方向に沿った相対的な移動を行い、前記複数の電子ユニット(2)上にレジン・ストリング(26)を堆積し、前記レジン・ストリング(26)は、前記水平方向(X)に向いており、最初は、前記レジン・ストリング(26)の間に、溝(28)を有し、
(C) 前記堆積したレジン・ストリング(26)を、前記水平方向(X)に沿って、前記レジン拡散手段(34、38)で、拡散し、前記複数の電子ユニット(2)と前記拡散手段(34、38)との間で、前記方向に沿った相対的移動が行われる
ことを特徴とするカードを製造する方法。
【請求項2】
カード製造方法において、
複数のカード又はカード本体が、プレート(52)の形態で形成され、
前記プレート(52)は、複数の電子ユニット(2)と、前記電子ユニット(2)を少なくとも部分的にコーティングするレジン(22)とを有し、
前記カード又はカード本体は、前記プレートから最終的に切り出され、
前記方法は、前記レジンの少なくとも第1部分を、前記複数の電子ユニット(2)の下に配置するステップを有し、
(A) 前記レジンの第1部分は、シート(18)の上に、レジン供給装置の複数のノズルにより、堆積され、前記シート(18)の上方に、前記複数の電子ユニット(2)が、その後、配置され、前記レジン供給装置は、前記複数のノズルと前記複数の電子ユニットとの間の相対移動が、第1方向に沿って、行われるよう、配置され、
前記第1方向は、前記レジン堆積領域の前記シートに平行であり、
(B) 前記ステップの間、前記複数のノズルは、前記シートに対し、前記第1方向に沿った相対的な移動を行い、前記レジン・ストリング(46)の第1列を形成し、
前記レジン・ストリング(46)は、前記第1方向に向いており、最初は、前記レジン・ストリング(46)の間に、溝(48)を有し、
(C) 前記複数の電子ユニット(2)を、前記レジン・ストリング(46)の第1列上に配置する
ことを特徴とするカードを製造する方法。
【請求項3】
前記レジンの第2部分を、前記複数の電子ユニット(2)の上に、堆積するステップを有し、
(A) 前記ステップは、レジン供給装置の複数のノズルにより、堆積され、前記レジン供給装置は、前記複数のノズルと前記複数の電子ユニットとの間の相対移動が、第2方向に沿って、行われるよう、配置され、前記第2方向は、レジンの第2部分の堆積領域の前記シートの平行であり、
(B) 前記ステップの間、前記複数のノズルは、前記複数の電子ユニットに対し、前記第2方向に沿った相対的な移動を行い、前記複数の電子ユニット(2)の上に、前記レジン・ストリング(26)の第2列を形成し、前記レジン・ストリング(26)の第2列は、前記第2方向に向いており、最初は、前記レジン・ストリング(26)の第2列の間に、溝(28)を有し、
(C) 前記複数の電子ユニット(2)の上に堆積されたレジンの第2部分は、前記第2方向(X)に沿って、前記レジンの第2部分を拡散する手段(34,38)で拡散され、前記複数の電子ユニット(2)と前記拡散する手段との間で、前記第2方向に沿った相対移動が存在する
ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記第2方向は、前記第1方向と平行である
ことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記レジンの第2部分を拡散する手段は、前記シート上に堆積した前記レジンの第1部分を拡散する手段として、少なくとも前記レジンの第1部分を拡散する最終段階において、用いられる
ことを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記堆積したレジン・ストリングの間のスペースは、可変である
ことを特徴とする請求項1−5のいずれか記載の方法。
【請求項7】
前記堆積したレジン・ストリングの幅は、可変である
ことを特徴とする請求項1−6のいずれか記載の方法。
【請求項8】
前記レジン・ストリングは、ある長さに渡って堆積され、少なくとも2本のレジン・ストリングは、異なる長さを有する
ことを特徴とする請求項1−7のいずれか記載の方法。
【請求項9】
複数の開口を有する穴あき構造体(14)が用意され、
前記複数の電子ユニットは、前記複数の開口内に配置される
ことを特徴とする請求項1−8のいずれか記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−507721(P2011−507721A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513840(P2010−513840)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057320
【国際公開番号】WO2009/000653
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509352417)ナグライド エス.エー. (1)
【Fターム(参考)】