説明

電子レンジ加熱用包装袋

【課題】板状の固形物食品を収納した包装袋を、電子レンジで加熱が可能で、クリスピー感や風味を向上させることができる電子レンジ加熱用包装袋を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の板状の固形食品と、該固形食品を加熱するサセプタ―台紙とが収納された電子レンジ加熱用包装袋において、
該サセプタ―台紙は、紙からなる台紙の両面にサセプタ―が挿設されており、
該サセプタ―のそれぞれの表面が前記固形食品と接するように、
前記サセプター台紙が、前記固形食品に挟まれて配置されていることを特徴とする電子レンジ加熱用包装袋である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジで加熱して賞味する板状の固形食品を収納する包装袋に関する。特にクリスピー感や風味を向上させるサセプタ―台紙が収納された電子レンジ加熱用包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、電子レンジ加熱用食品容器としては、冷凍食品を収容した紙製のトレ―容器が多く使用されている。紙製トレ―容器は、必要に応じてフィルムなどをラミネートすることにより耐水性、耐油性を持たせることにより各種食品を収納するのに適しており、とりわけ固形食品を収納したまま電子レンジで加熱できる電子レンジ加熱用紙容器として好適に使用されている。
【0003】
また、店頭または家庭に持ち帰って電子レンジで加熱して賞味する、例えば、冷凍ピザ、冷凍タコ焼き、冷凍お好み焼き、冷凍餃子、冷凍シュウマイなどの固形食品を収納する電子レンジ加熱用紙製器は、電子レンジ加熱調理中に食品から発生する水蒸気を効果的に放出できないといった問題があり、加熱調理した冷凍ピザ、冷凍タコ焼きなどがべたついて著しく食感や風味を損なうことがあった。
【0004】
この問題を改善するために、電子レンジで加熱中のマイクロ波を吸収し発熱するサセプターを固形食品の下面に挿設し、サセプターの発熱によりクリスピー感や風味を向上させた電子レンジ加熱用紙容器がある。
【0005】
例えば、マイクロ波発熱層とフィルム基材層とからなるサセプターをトレー容器にしたり、箱体にしたり、紙の箱体の内面底部に貼着して、ピザなどの調理品をサセプター上に載置して加熱して焦げ目を付ける提案がある(特許文献1、実公平5−47642)。
【0006】
サセプターは、発熱するために、サセプターを紙などの基材に挿設して、紙の断熱効果を利用する場合が多い。よって紙容器に挿設して使用される場合が多い。これらの容器は、剛性を有する板紙や段ボールを用いた紙容器が用いられている。しかし、紙容器は嵩張ることから、取り扱い性、携帯して持ち運びなど便利性に欠ける面がある。
【0007】
最近、包装袋に収納され手軽に持ち運び、食することができる栄養食品がある。例えば、板状のクッキー、ビスケット、パンケーキなどの固形食品などが販売されている。しかしこれらの固形食品を、包装袋に収納された状態(一部開封)で、電子レンジで加熱して食しようとすると、固形食品から発生する水蒸気で該固形食品がべたついて、著しく食感や風味を損なう問題がある。
【0008】
また包装袋を用い固形食品を加熱する別な提案がある。サセプターからなる袋にスリットを設けて、固形食品の外面に貼着して、外面に焦げ目を付け、同時に固形食品からの水蒸気を袋外に逃がす提案がある(特許文献2、実公平4−42117)。
【0009】
しかしこの提案は、固形食品を加熱するときに使用する袋であって、該固形食品を収納したまま流通、店頭販売などはできない。
【0010】
またサセプターを包装袋に収納して使用する場合、サセプターの発熱で包装袋の内面を傷つけたり、融かしてしまう問題がある。
【0011】
よって板状の固形食品を収納した包装袋を、電子レンジで加熱し、該固形食品のクリスピー感、風味を向上させることができ、かつ包装袋を傷つけない電子レンジ加熱用包装袋が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実公平5−47642号公報
【特許文献2】実公平4−42117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、背景技術の問題に鑑みて、板状の固形物食品を収納した包装袋を、電子レンジで加熱が可能で、クリスピー感や風味を向上させることができる電子レンジ加熱用包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0015】
本発明の請求項1に係る発明は、複数の板状の固形食品と、該固形食品を加熱するサセプタ―台紙とが収納された電子レンジ加熱用包装袋において、
該サセプタ―台紙は、紙からなる台紙の両面にサセプタ―が挿設されており、
該サセプタ―のそれぞれの表面が前記固形食品と接するように、
前記サセプター台紙が、前記固形食品に挟まれて配置されていることを特徴とする電子レンジ加熱用包装袋である。
【0016】
本発明の請求項2に係る発明は、前記サセプタ―台紙が、前記固形食品が該サセプター台紙と接する内面より一回り小さいことを特徴とする請求項1記載の電子レンジ加熱用包装袋である。
【0017】
本発明の請求項3に係る発明は、前記サセプタ―台紙が、凹凸状であることを特徴とする請求項1または2記載の電子レンジ加熱用包装袋である。
【0018】
本発明の請求項4に係る発明は、前記サセプタ―が、フィルム基材層の片面に、マイクロ波発熱層を設け、該マイクロ波発熱層上に薄紙層を積層した構成からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用包装袋である。
【0019】
本発明の請求項5に係る発明は、前記マイクロ波発熱層が、金属蒸着層であることを特徴とする請求項4に記載の電子レンジ加熱用包装袋である。
【0020】
本発明の請求項6に係る発明は、前記包装袋が、水蒸気抜き口が備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用包装袋である。
【0021】
本発明の請求項7に係る発明は、前記包装袋が、少なくとも、ガスバリア性を有する基材層とシーラント層からなる積層体からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用包装袋である。
【0022】
本発明の請求項8に係る発明は、前記基材層が、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項7記載の電子レンジ加熱用包装袋である。
【0023】
本発明の請求項9に係る発明は、前記包装袋が、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋のいずれかであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用包装袋である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の包装袋は、該包装袋に板状の固形食品を収納した状態で、電子レンジで加熱し、該固形食品のクリスピー感、風味を向上させることを可能にしたものである。紙からなる台紙の両面にサセプターを挿設したサセプター台紙を、固形食品で挟んだ状態で配置し、複数の固形食品のクリスピー感、風味を向上させることができるものである。またサセプター台紙を、固形食品が該サセプター台紙と接する内面より一回り小さくすることにより、サセプター台紙が直接包装袋と接触することがなく、サセプターの発熱で傷つけたり、融かしてしまうこともない。取り扱い性、携帯して持ち運びができる板状の固形食品を収納した電子レンジ加熱用包装袋である。
【0025】
本発明の請求項1によれば、複数の板状の固形食品と、該固形食品を加熱するサセプタ―台紙とが収納された電子レンジ加熱用包装袋において、
該サセプタ―台紙は、紙からなる台紙の両面にサセプタ―が挿設されており、
該サセプタ―のそれぞれの表面が前記固形食品と接するように、
前記サセプター台紙が、前記固形食品に挟まれて配置されていることを特徴とする。台紙の両面にサセプターを挿設したサセプター台紙を、固形食品で挟んだ状態で包装袋に収納する。該包装袋を電子レンジでマイクロ波照射するとサセプターが発熱し、固形食品のクリスピー感や風味を向上させることができる。固形食品とサセプターが接する面は、こんがり焼けて、クリスピー感や風味が向上する。また複数のサセプター台紙を用い、複数の固形食品を加熱することも可能である。即ちサセプター台紙を交互に固形食品の間に挟み、電子レンジにて加熱することで可能である。
【0026】
本発明の請求項2によれば、前記サセプタ―台紙が、前記固形食品が該サセプター台紙と接する内面より一回り小さいことを特徴とする。サセプター台紙が包装袋の内面と接触することがなく、サセプターの発熱で傷つけたり、融かしてしまうことはない。
【0027】
本発明の請求項3によれば、前記サセプタ―台紙が、凹凸状であることを特徴とする。サセプター台紙を凹凸状にすることで、固形食品から発生する水蒸気を効率よく逃がすことができ、クリスピー感や風味を一層向上させることができる。
【0028】
本発明の請求項4によれば、前記サセプタ―が、フィルム基材層の片面に、マイクロ波発熱層を設け、該マイクロ波発熱層上に薄紙層を積層した構成からなることを特徴とする。
サセプターのフィルム基材層の表面(マイクロ波発熱層とは反対の面)に、固形食品と載置する。マイクロ波発熱層としては、金属蒸着層が最適である。電子レンジのマイクロ波を吸収して発熱して、固形食品を加熱することができる。フィルム基材層としては金属蒸着を行う加工適正を有するものが使用できる。また薄紙層は、金属蒸着層の酸化防止や発熱時での火傷防止などの役目を有している。
【0029】
本発明の請求項5によれば、前記マイクロ波発熱層が、金属蒸着層であることを特徴とする。金属箔に比べて薄膜である蒸着膜で可能である。特にアルミニウムなどの金属蒸着膜でよい。
【0030】
本発明の請求項6によれば、前記包装袋が、水蒸気抜き口が設けていることを特徴とする。固形食品から発生した水蒸気は、包装袋内に溜まり、包装袋を内圧を高くし、破裂を起こす心配がある。そこで袋に水蒸気抜き口を設けることで、内圧が上がると蒸気抜き口
から水蒸気を排出することができ、包装袋の内圧の上昇を防ぐことができる。
【0031】
本発明の請求項7によれば、前記包装袋が、少なくとも、ガスバリア性を有する基材層とシーラント層からなる積層体からなることを特徴とする。固形食品の酸化を防ぐために、包装袋のガスバリア性を向上させる場合がある。無機酸化物を蒸着したフィルムを基材層として使用することにより、ガスバリア性を向上させることができる。また積層体の強度を向上させるためには、基材層とシーラント層の間に中間層を積層してもよい。
【0032】
本発明の請求項8によれば、前記基材層が、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする。無機酸化物を蒸着したフィルムとして、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することができる。
【0033】
本発明の請求項9によれば、前記包装袋が、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋のいずれかであることを特徴とする。板状の固形食品を収納できる包装袋であれば形状にこだわらない。電子レンジで加熱するときに該固形食品が安定して加熱できる包装袋が好ましい。また包装袋のシール部に水蒸気抜き口を設ける必要がある。該固形食品から発生する水蒸気を外方へ安定して逃がすためである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】固形食品でサセプター台紙を挟んだ状態の一例を示す説明図である。
【図2】図1の固形食品を包装袋に収納した状態の一例を示す説明図である。
【図3】サセプター台紙の一例を示す断面図である。
【図4】包装袋の構成の一例を示す断面図である。
【図5】包装袋のシール部に形成する水蒸気抜き口の一例を示す説明図である。
【図6】図2の包装袋を電子レンジで加熱している状態の一例を示す説明図である。
【図7】図2の包装袋を電子レンジ加熱後の固形食品の状態の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0036】
図1は、固形食品でサセプター台紙を挟んだ状態の一例を示す説明図である。本発明は、サセプター台紙1を固形食品21で挟んだ状態にする。サセプター台紙1の表裏にはサセプターが挿設されている。二個の固形食品21を同時に加熱することができる。またサセプター台紙1は凹凸状8に形成されている。凹凸状8にすることで固形食品1から発生する水蒸気、ドリップを滞留させず効率よく逃がすことができる。またサセプター台紙1は、固形食品がサセプター台紙と接する内面より一回り小さくして配置される。
【0037】
図2は、図1の固形食品を包装袋に収納した状態の一例を示す説明図である。サセプー台紙1が配置された固形食品21が収納された包装袋40を示している。この包装袋40には、包装袋を形成するシール部14の所定の部位に水蒸気抜き口16が形成されている。水蒸気抜き口16は、電子レンジ加熱時に固形食品から発生する水蒸気を外方に逃がすためのものである。包装袋40は、サセプター台紙が挿設された板状の固形食品を収納できるものであればよく、三方袋、四方袋、ガゼット袋が好ましい。
【0038】
図3は、サセプター台紙の一例を示す断面図である。サセプター台紙1は、台紙2の両面にサセプター3が挿設されている。サセプター3は、フィルム基材層4の裏面にマイクロ波発熱層5を形成し、該マイクロ波発熱層5上に、接着層6を介して薄紙層7を積層した構成からなっている。台紙2と薄紙層7を、接着剤6を介して積層し、サセプター台紙1が形成される。固形食品は、サセプターのフィルム基材層4の表面に載置され電子レン
ジで加熱される。
【0039】
図4は、包装袋の構成の一例を示す断面図である。包装袋40は、(図4−1)は、ガスバリア性を有する基材層11とシーラント層13が接着層6を介して積層されている。(図4−2)は、包装袋の強度を向上させるために、基材層11とシーラント層13の間に接着層6を介して中間層12が積層されている。
【0040】
図5は、包装袋のシール部に形成する水蒸気抜き口の一例を示す説明図である。固形食品から発生する水蒸気で包装袋40の内圧が上昇すると、シール強度を弱くした部位から水蒸気抜きをする水蒸気抜き口16の一例を示している。図5−1は、シール部14にシール狭幅部15を形成しシール強度を低くしたものである。シールバーの形状で工夫できる。図5−2は、シール部14の一部にスリット17を設けてシール強度を低くしたものである。スリット工程を入れることで可能である。図5−3は、包装袋を形成する表裏フィルムの間にイージーピールテープ18を挟んでシール部14を設ける。イージーピールテープ18によりシール強度を低くしたものである。
【0041】
図6は、図2の包装袋を電子レンジで加熱している状態の一例を示す説明図である。
電子レンジで加熱時、固形食品21から水蒸気20が発生し、包装袋40の内圧が上昇するとシール部の水蒸気抜き口16が開封されて、水蒸気20は外方へ逃げ内圧が低下する。包装袋40の破裂の心配がない。
【0042】
図7は、図2の包装袋を電子レンジ加熱後の固形食品の状態の一例を示す説明図である。
加熱された固形食品21の状態を示している。サセプターと接する面22は、適度にこんがり焼け、香ばしい風味を出すことができる。
【0043】
更に詳しく実施するための形態を説明する。
【0044】
サセプター台紙の台紙2としては、特に限定されず、公知の板紙を使用することができる。例えば、坪量50〜500g/mのバージン紙、カード紙などの板紙が使用できる。また耐油剤を紙層に添加したタイプの耐油紙が使用できる。
【0045】
台紙2とサセプターの薄紙層7との接着層6には、熱融着できる熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、メチルペンテンコポリマー、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
【0046】
ロール状の台紙2に、これらの熱可塑性樹脂を用いて、公知の方法である押出し機により接着層6を連続して形成し、サセプターの薄紙層7とサンドポリ加工して積層することができる。接着層6の厚みは、10〜50μmの範囲が好ましい。
【0047】
また接着剤を介して積層することもできる。例えば二液反応型のポリウレタン樹脂系接着剤を使用してドライラミネート法などの公知のラミネート方法を用いて積層することができる。
【0048】
サセプターについて詳しく説明する。
【0049】
フィルム基材層4としては、金属蒸着加工適正と電子レンジでの耐熱性を有していれば、特に種類を限定する必要はなく、発熱させようとする熱量に応じて選択すればよい。例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレン2・6ナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。またフィルム中には、各種添加剤、例えば帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤などが添加されていても構わない。フィルムの厚みは特に限定されないが、金属蒸着加工などの機械加工適正を考慮した場合、6〜100μmが望ましい。
【0050】
マイクロ波発熱層5には、金属蒸着層を用いることができる。アルミニウム、スズ、亜鉛、鉄、銅などの蒸着薄膜およびアルミニウムと酸化アルミニウム混合層が考えられるが、発熱量および加熱時のスパークの問題からアルミニウムが好ましい。また価格性および生産性からアルミニウムが好ましい。アルミニウム蒸着の厚みとしては、4〜50nmであれば効率よく発熱する。
【0051】
薄紙層7としては、坪量20〜400g/m程度の紙が使用できる。バージン紙、カード紙などが使用できる。また比較的に耐熱性を有する、例えば未晒し中性紙も使用できる。
【0052】
薄紙層7とマイクロ波発熱層5との貼り合わせは、接着層6として接着剤を用いる。接着剤としては、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂などの食品用途として、一般的に使用されるものであれば、特に制限はないが、耐熱性からウレタン樹脂またはポリエステル・ポリウレタン樹脂の混合樹脂の使用が好ましい。貼り合わせ方法としては、一般的に使用されるドライラミネート法を用いて貼り合わせることができる。
【0053】
サセプター台紙を凹凸状に形成する。別に発生する水蒸気を効率よく逃がすことができれば形状にこだわらない。例えば波形状などが好ましい。公知のエンボス機で形成できる。
またサセプターを凹凸状に形成してもよい。その凹凸状のサセプターを台紙に貼り合わせてもよい。
【0054】
包装袋40は、基材層11とシーラント層13を積層した積層フィルムから構成される。基材層11は、フィルム状のものであって、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルムなど通常包装材料として用いられる耐熱性プラスチックフィルムが使用できる。
【0055】
また基材層11に、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤を加えることができる。必要に応じて適宜添加される。さらに基材の表面をコロナ放電処理、アンカーコート処理などの表面処理を行い、上記シーラント層との接着性を向上させることもできる。
【0056】
また包装袋40のガスバリア性を向上させるために、基材層11に酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウムなどの無機酸化物を20〜100nm程度の厚さに蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることができる。この蒸着フィルムに用いる基材は、延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムが使用される。
【0057】
シーラント層13としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニルなどのフィルムが使用できる。これらフィルムは、押出し機により直接基材層に押出し接着剤を介して積層することができる。また予め押出し機により作成されたフィルムを、接着剤を介してドライラミネートし、積層することもができる。通常1
5〜100μm位、好ましくは15μmから60μmから選択して使用することができる。
【0058】
また固形食品の種類により、落下強度、突き刺し強度を向上させる必要がある場合は、基材層11とシーラント層13との間に中間層12を介在させることができる。中間層として、例えばポリアミドフィルムが好ましい。
【0059】
基材層11とシーラント層13、または基材層11と中間層12、中間層12とシーラント層13との貼り合わせは、例えば二液反応型のポリウレタン樹脂系接着剤を使用してドライラミネート法などの公知のラミネート方法を用いて貼りあわせることができる。
【0060】
積層フィルムの構成として、例えば、無機酸化物蒸着ポリエチレテレフタレートフィルム/ポリエチレンフィルム、無機酸化物蒸着ポリエチレテレフタレートフィルム/ポリアミドフィルム/ポリエチレンフィルム、ポリエチレテレフタレートフィルム/ポリ塩化ビニリデンフィルム/ポリエチレンフィルムなどが挙げられる。包装袋への要求品質から基材層、中間層およびシーラント層の材質選定、厚みの設定など適宜決めればよい。
【0061】
また必要に応じて、基材層11の表面または裏面に印刷を行い、絵柄、文字表現を行うことができる。印刷する方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、インクジェット印刷など、通常使用される公知の印刷方式で可能である。また基材層と印刷層の密着性を向上させるために、基材層11の印刷面をコロナ放電処理して密着性を向上させることができる。
【0062】
本発明の製造プロセスの一例について説明する。
【0063】
サセプターを作成するために、ロール状のポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、連続式真空蒸着機を用いて、金属蒸着層として、アルミニウム蒸着膜厚12nm、光線透過率50%の条件で蒸着し、金属蒸着層を形成する。
【0064】
次にポリエチレンテレフタレートフィルムの金属蒸着層面に二液反応型のウレタン接着剤を介して、薄紙層として坪量30g/mの未晒し中性紙をドライラミネート法にて貼り合せ、ロール状のサセプターを形成する。
【0065】
次にロール状サセプターを波形状に凹凸加工した。
【0066】
このエンボス加工したロール状サセプターの薄紙層と、坪量300g/mのバージン紙からなる台紙を貼り合わせるために、該台紙の片面に低密度ポリエチレン樹脂を用い押出し機にて押出し、サンドポリ加工して貼り合わせた。次に台紙の他方の面にも同様にサセプターを貼り合わせサセプター台紙を作成した。接着層である樹脂層の厚みは、30〜80μmの範囲が好ましい。
【0067】
次に包装袋を形成する積層フィルムを作成する。基材層として酸化アルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム12μmとシーラント層のポリエチレンフィルム20μを二液反応型のウレタン系接着剤を介してドライラミネートして積層フィルムを作成する。この場合、酸化アルミニウム蒸着層面が接着面となる。
【0068】
また積層フィルムの強度を向上させるために、中間層にポリアミドフィルムを積層することもできる。
【0069】
次に積層フィルムを製袋機に所定のサイズに製袋する。この時に製袋機のライン上でシ
ール部に水蒸気抜き口を形成することができる。シール幅を狭くする方法では、所定の部位を狭くするようにシールバーを形成する。またシール部の所定の部位にスリットを形成する方法では、シール後に所定の部位にスリット刃により形成する。またイージーピールテープを使用する方法では、表裏フィルムの間にイージーピールテープを挟みシールする。イージーピールテープは芯材の片面または両面にイージーピール可能な樹脂層が積層されており、イージーピール樹脂層間で凝集破壊、またはイージーピール樹脂層とシーラント層間で剥離するものがあり、どちらでも使用できる。
【0070】
製袋された包装袋に、板状の固物食品でサセプター台紙を挟んで収納し、開口部をシールして密封する。
【0071】
固形食品は、包装袋に収納された状態で、電子レンジで加熱される。サセプターのマイクロ波発熱層が発熱し、サセプターと接する固形食品の面が加熱され、クリスピー感、風味を向上させることができる。
【0072】
また固形食品から発生する水蒸気は、包装袋の内圧を上昇させる。しかし内圧が上昇すると水蒸気抜き口から水蒸気が外方へ排出され、内圧の上昇を抑えることができる。
【0073】
加熱した固形食品からサセプター台紙を取り出すことにより、製造直後のようなクリスピー感、風味を味あうことができる。
【0074】
サセプター台紙を使用して、複数の固形食品のクリスピー感や風味を向上させることで、商品の選択肢が増やすことができる。
【0075】
板状の固形食品としては、クッキー、ビスケットなどの菓子類、煎餅、お餅などの菓子類、カステラ、ホットケーキなどのケーキ類など、サセプター台紙を利用できる固形食品であれば利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
包装袋がフィルム包装であるために、物流コストの低減、取り扱い性、携帯性を高めることができる。また店頭販売では、包装袋のシール部に孔を開けて吊るして販売できるために場所を節約できる。また店頭での販売時に電子レンジで調理して食するホット商品への利用ができる。
【符号の説明】
【0077】
1 サセプター台紙
2 台紙
3 サセプター
4 フィルム基材層
5 マイクロ波発熱層(金属蒸着層)
6 接着層
7 薄紙層
8 凹凸状
11 基材層
12 中間層
13 シーラント層
14 シール部
15 シール狭幅部
16 水蒸気抜き口
17 スリット
18 イージーピールテープ
20 水蒸気
21 固形食品
22 サセプターとの接する面(加熱面)
30 電子レンジ内ターンテーブル
40 包装袋(電子レンジ加熱用包装袋)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板状の固形食品と、該固形食品を加熱するサセプタ―台紙とが収納された電子レンジ加熱用包装袋において、
該サセプタ―台紙は、紙からなる台紙の両面にサセプタ―が挿設されており、
該サセプタ―のそれぞれの表面が前記固形食品と接するように、
前記サセプター台紙が、前記固形食品に挟まれて配置されていることを特徴とする電子レンジ加熱用包装袋。
【請求項2】
前記サセプタ―台紙が、前記固形食品が該サセプター台紙と接する内面より一回り小さいことを特徴とする請求項1記載の電子レンジ加熱用包装袋。
【請求項3】
前記サセプタ―台紙が、凹凸状であることを特徴とする請求項1または2記載の電子レンジ加熱用包装袋。
【請求項4】
前記サセプタ―が、フィルム基材層の片面に、マイクロ波発熱層を設け、該マイクロ波発熱層上に薄紙層を積層した構成からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用包装袋。
【請求項5】
前記マイクロ波発熱層が、金属蒸着層であることを特徴とする請求項4に記載の電子レンジ加熱用包装袋。
【請求項6】
前記包装袋が、水蒸気抜き口が備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用包装袋。
【請求項7】
前記包装袋が、少なくとも、ガスバリア性を有する基材層とシーラント層からなる積層体からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用包装袋。
【請求項8】
前記基材層が、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項7記載の電子レンジ加熱用包装袋。
【請求項9】
前記包装袋が、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋のいずれかであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子レンジ加熱用包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−71780(P2013−71780A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214576(P2011−214576)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】