説明

電子レンジ加熱用液状物含有食品

【課題】従来の消泡剤組成物を使用せずとも、電子レンジ加熱による噴きこぼれが抑制又は防止された電子レンジ加熱用液状物含有食品を提供する。
【解決手段】食用油脂が親油性乳化剤と親水性乳化剤とで乳化されてなる消泡剤乳化組成物を含有する電子レンジ加熱用液状物含有食品において、消泡剤乳化組成物の乳化粒子の平均粒子径を0.1〜0.5μmとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ加熱(マイクロ波加熱)の際に、噴きこぼれの発生が防止ないしは抑制された電子レンジ加熱用液状物含有食品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジ加熱による加温や解凍を想定した液状物含有食品が広く市販されている。例えば、予め加熱調理したカレー、スープ等の料理等をパウチ内に密封してレトルト処理したレトルト食品や、上述した料理等をパウチ内に密封して冷凍処理した冷凍食品等が販売されている。また、最近では、電子レンジ加熱を単純な食品の加温や解凍だけに利用するのではなく、食品の加熱調理に積極的に利用することも行われるようになっている。
【0003】
ところで、電子レンジ加熱を液状物含有食品の加温やその冷凍物の解凍に利用する際、液状物を局部的に加熱してしまう場合がある。そのような場合、局部的に激しく沸騰して泡立ち、噴きこぼれが生じることがある。この問題は、電子レンジを加熱調理に利用する場合にも大きな問題となっている。即ち、液状物を含む食品を電子レンジで加熱調理した場合、鍋とガスコンロとを使用する加熱調理の場合と異なり、マイクロウェーブの木目細かい出力調整が困難であり、結果的に、食品を電子レンジ加熱調理する間、液状物が激しい沸騰状態となり、噴きこぼれがいっそう起こりやすい。
【0004】
このような噴きこぼれを防止するためには、通常、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が1〜3の消泡剤を配合することが試みられているが、そのような低いHLB値の消泡剤は油溶性であり、実質的に水には溶解しないため、それを食品にそのまま混合すると、製造ラインや製品容器に消泡剤が付着して消泡効果が低下したり、食品の外観、風味や食感に悪影響を及ぼしたり等の問題が生じる。また、このような消泡剤では、食品製造における撹拌工程等の機械的な作用により生じる泡の消泡は実現できるものの、電子レンジ加熱調理の際の液状物の激しい沸騰により生ずる泡の消泡については、十分とはいえない場合があった。
【0005】
そこで、電子レンジ加熱時の液状物含有食品の噴きこぼれを防止するため、電子レンジ加熱調理用食品に消泡性の調味料を添加することが提案されている。具体的には、プロピレングリコール脂肪酸エステルもしくはソルビタン脂肪酸エステル或いはショ糖脂肪酸エステルと、塩化ナトリウム又は塩化カリ或いはそれらの混合物とからなる消泡性組成物を、他の調味料成分に配合したもの(特許文献1)や、グリセリン脂肪酸エステル、レシチンあるいはエタノールなど消泡性物質に酵素やキレート剤などを配合した消泡性組成物(特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−101870号公報
【特許文献2】特開2001−086943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された調味料に配合される消泡剤組成物の場合、電子レンジ用に開発されたものではあるが、電子レンジ加熱による液状物含有食品、特に甚だしい噴きこぼれを生じさせる乳蛋白質や水溶性蛋白を含有する液状物含有食品に生じた泡の消泡については、十分とは言い難いという問題があった。このため、従来の消泡剤組成物よりも電子レンジ加熱に適した消泡剤組成物を配合した、電子レンジ加熱の際に噴きこぼれのない電子レンジ加熱用液状物含有食品が求められている。
【0008】
本発明の目的は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、従来の消泡剤組成物を使用しなくても、電子レンジ加熱による噴きこぼれが抑制又は防止された電子レンジ加熱用液状物含有食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、相対的に低いHLB値の親油性乳化剤と相対的に高いHLB値の親水性乳化剤とで食用油脂を乳化することにより得られる消泡剤乳化組成物を、電子レンジ用液状物含有食品に配合することにより、本発明の目的を達成できることを見出し、本願発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、食用油脂が親油性乳化剤と親水性乳化剤とで乳化されてなる消泡剤乳化組成物を含有する電子レンジ加熱用液状物含有食品であって、
消泡剤乳化組成物の乳化粒子が0.1〜0.5μmの平均粒子径を有することを特徴とする電子レンジ加熱用液状物含有食品を提供する。
【0011】
また、本発明は、上述の電子レンジ加熱用液状物含有食品が、電子レンジ加熱用容器に充填されていることを特徴とする電子レンジ加熱用容器詰め食品を提供する。電子レンジ加熱用容器は、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間の説明表示を備えていることが好ましい。
【0012】
更に、本発明は、上述の電子レンジ加熱用液状物含有食品を、電子レンジで加熱することを特徴とする加熱食品の製造方法を提供する。この製造方法においては、電子レンジ加熱用容器詰め食品の容器内に具材を投入し、電子レンジで加熱することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の電子レンジ加熱用液状物食品は、食用油脂を親油性乳化剤と親水性乳化剤とで、所定の大きさの乳化粒子が形成されるように乳化させたものである。このため、電子レンジ加熱用液状物食品を電子レンジ加熱した場合、噴きこぼれを大きく抑制又は防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の電子レンジ加熱用容器詰め食品の一態様である電子レンジ調理用パウチ詰め食品の正面図である。
【図2】具材を投入するためにジッパー部を開口した電子レンジ調理用パウチ詰め食品の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の電子レンジ加熱用液状物含有食品は、液状物を含有する食品に消泡剤乳化組成物を含有させたものである。ここで、“液状物”とは、沸騰により水蒸気の気泡が生じるものであり、その形態としては、低〜高粘性の液体に限られず、ペーストのように微細な食用固形分が混入して全体が液状となっているものでもよい。液状物含有食品の具体例としては、各種ソース、たれ等の調味液、お粥、リゾット等の米飯加工品、スープ、シチュー、味噌汁等のスープ類、ココア、紅茶等の飲料、流動食等の液状栄養食品、カスタードクリーム等が挙げられる。
【0016】
本発明において使用する消泡剤乳化組成物は、食用油脂が水中で親油性乳化剤と親水性乳化剤とにより乳化粒子として安定的に分散してなるものであり、乳化粒子の平均粒子径が0.1〜0.5μmであることを特徴としている。乳化粒子の平均粒子径が0.1μm未満、あるいは、0.5μmを超えると消泡効果が不十分となる。なお、前記平均粒子径(メジアン径)は、レーザー回折式粒度分布測定装置にて体積換算で得た粒度分布から求めた値である。
【0017】
消泡剤乳化組成物を構成する食用油脂とは、消泡剤組成物に消泡性を付与するためのものであり、具体的には、トリアシルグリセロール又はジアシルグリセロールを主成分とする脂質のことであり、公知の食用の食用油脂、例えば、魚油、卵黄油等の液状動物油、あるいは、菜種油、コーン油、大豆油、これらを精製したサラダ油等の液状植物油等を好ましく使用することができる。
【0018】
また、消泡剤乳化組成物中の食用油脂の配合量は、好ましくは2〜30質量%、より好ましくは2〜20質量%である。配合量がこの範囲より少ないと噴きこぼれを抑制又は防止する効果が充分に得られず、多くなると調整後の食品において油分量の多さが目立ち、油浮きが生じたりする場合がある。
【0019】
消泡剤乳化組成物を構成する親油性乳化剤とは、消泡剤組成物に消泡性を付与するためのものであり、HLB値で表現するならば、HLB値が2〜8、好ましくはHLB値3〜8、より好ましくは5〜7の乳化剤である。このような親油性乳化剤の具体例としては、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等を例示することができる。脂肪酸の種類としては特に制限されるものではないが、炭素数が12〜22の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられる。中でも、ベヘニン酸、オレイン酸、エルカ酸を好ましく挙げられる。具体的な例としてはポリグリセリンエルカ酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステルが好ましく挙げられる。なお、本発明においては、親油性乳化剤の2種以上を併用することができる。
【0020】
消泡剤乳化組成物における親油性乳化剤の配合量は、少なすぎると噴きこぼれを抑制又は防止する効果が充分に得られず、多すぎると乳化組成物における乳化安定性が悪くなる傾向があるので、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。また、食用油脂との関係でいえば、親油性乳化剤が食用油脂より少なすぎたり多すぎたりすると噴きこぼれを抑制又は防止することが不十分となるので、親油性乳化剤1質量部に対して食用油脂を好ましくは0.1〜2質量部、より好ましくは0.1〜1質量部の割合である。
【0021】
消泡剤乳化組成物を構成する親水性乳化剤は、HLB値が10以上、好ましくは10〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステル、あるいは、レシチン等が挙げられる。
【0022】
親水性乳化剤のうち、ポリグリセン脂肪酸エステルとしては、食品製造に一般的に利用できるものを使用することができ、具体的には、HLB値が10以上であり、且つ炭素数が6〜22の飽和又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするポリグリセリン脂肪酸エステル等を挙げることができる。
【0023】
親水性乳化剤のうち、ショ糖脂肪酸エステルとしては、食品製造に一般的に利用できるものを使用することができ、具体的には、HLB値が10以上であり、且つ炭素数が6〜22の飽和又は不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。
【0024】
親水性乳化剤のうち、レシチンとしては、大豆レシチン、卵黄レシチンの様な天然由来の他、合成レシチンでもよく、これらを2種以上併用することもできる。中でも、酵素分解レシチン等の親水性の高いリゾレシチンを好ましく使用することができる。
【0025】
消泡剤乳化組成物における親水性乳化剤の配合量は、少な過ぎても多過ぎても噴きこぼれを抑制又は防止する効果が充分に得られない傾向があるので、好ましくは0.4〜10質量%、より好ましくは0.4〜4質量%である。また、親水性乳化剤と親油性乳化剤との関係でいえば、親油性乳化剤1質量部に対し、好ましくは親水性乳化剤0.02〜0.5質量部、より好ましくは0.02〜0.2質量部となる割合である。配合割合がこの範囲にあれば、消泡効果と乳化効果とが良好となる。
【0026】
消泡剤乳化組成物の分散媒として使用する水としては、飲料用の水を使用でき、特にイオン交換水を好ましく使用することができる。消泡剤乳化組成物における水の配合割合は、少なすぎると乳化物とし難く、多すぎると消泡剤組成物として有効成分の濃度が下がるので、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%である。
【0027】
本発明で使用する消泡剤乳化組成物は、公知の方法により調製することができる。例えば、まず、親油性乳化剤を食用油脂に加熱溶解させて油性乳化剤溶液を調製し、それとは別に親水性乳化剤を清水に投入して必要により加熱して溶解させて水性乳化剤溶液を調製し、次に、油性乳化剤溶液と水性乳化剤溶液とを混合し、必要に応じて清水を加え、高圧乳化装置により所定の乳化粒子径となるように乳化処理することにより調製することができる。
【0028】
本発明の電子レンジ用液状物含有食品は、液状物含有食品に前述した消泡剤乳化組成物を、液状物含有食品100質量部に対し好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部の割合で配合し、常法により混合することにより調製することができる。
【0029】
以上説明した本発明の電子レンジ用液状物含有食品は、電子レンジ加熱用容器に充填することにより電子レンジ加熱用容器詰め食品とすることができる。この電子レンジ加熱用容器詰め食品も本発明の一部である。また、電子レンジ加熱用容器詰め食品には、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間の説明表示を設けることが好ましい。
【0030】
また、本発明の電子レンジ加熱用液状物含有食品を耐熱容器に移し替え、あるいは電子レンジ加熱用容器詰め食品形態のまま、電子レンジで加熱することにより、加熱食品を製造することができる。この製造方法も本発明の一部である。後者の場合、電子レンジ加熱用液状物含有食品が充填された電子レンジ加熱用容器詰め食品の容器内に更に具材を投入し、電子レンジで加熱することができる。具材としては、例えば、キャベツ、ホウレン草、小松菜、ナス、インゲン、ブロッコリー、ダイコン、ニンジン、カブ、カボチャ、ジャガイモなどの野菜類、まいたけ、しめじなどのきのこ類、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉などの獣肉類、スズキ、タラ、たこ、いか、エビ、ムール貝、ホタテなどの魚介類などを挙げることができる。これらの具材は、容器に投入する前に予め、下茹で、油通し、あく抜きなどの下処理をしておくことができる。
【0031】
また、電子レンジ加熱は、例えば、加えた具材の好ましいテクスチャーや旨みを加熱により引き出し、また、電子レンジ加熱用液状物含有食品である調味液(好ましくはレトルト調味液)で具材を調味する点から少なくとも調味液が沸騰する加熱条件、具体的には、調味液と加えた具材の合計300gあたり、好ましくは出力600W×3分相当以上の加熱をすることが好ましい。ここで600W×3分相当とは、出力300Wであれば6分、出力400Wであれば、4.5分、出力800Wであれば2.25分というように、出力ワット数と時間との積の値が同じになるように換算して計算した条件以上の電子レンジ加熱を行うことである。また、レトルト調味液と具材の合計が例えば600gであれば、出力ワット数と時間との積の値が300gの場合の2倍となるように電子レンジ加熱を行う。前記加熱条件の上限としては、沸騰状態を持続して投入した具材が適度に加熱調理される条件とすればよく、具体的には、投入した具材の種類にもよるが、レトルト調味液と加えた具材の合計300gあたり、好ましくは出力600W×20分相当以下の加熱条件とすればよい。
【0032】
次に、本発明の電子レンジ加熱用容器詰め食品に関し、容器内に具材を投入し、電子レンジで加熱調理することにより調味液煮を得られるようにする電子レンジ調理用容器詰め食品について説明する。
【0033】
この電子レンジ加熱用容器詰め食品に使用する電子レンジ加熱用容器としては、レトルト処理及びレンジ調理が可能な種々の容器を用いることができる。このような容器としては、例えば、耐熱性樹脂性の成形容器の他、底面にマチをもたせたスタンディングパウチ、底面及び側面にマチをもたせたガゼット袋、四方シール袋などが挙げられる。また、これら容器としては、容器を開封して具材を投入した後電子レンジ調理する前に当該容器を再封するための再封機能や、電子レンジ加熱調理時に蒸気を容器外に排出する蒸気抜き機構を備えていることが好ましい。
【0034】
以下、電子レンジ加熱用容器詰め食品の一態様を、図面を参照しつつ詳細に説明する。各図中、同一符号は同一又は同等の要素を表す。
【0035】
図1は、本発明の電子レンジ加熱用容器詰め食品の一実施態様の電子レンジ調理用パウチ詰食品1の正面図である。
【0036】
この電子レンジ調理用パウチ詰め食品1は、電子レンジ対応のフィルム材料からなる袋状のパウチ10に、予め下調理した調味液30を充填密封し、レトルト処理したものであって、これを食するときに、所定の具材をパウチ10内に投入し、電子レンジで加熱調理するようにしたものである。ここで、レトルト処理としては、レトルト調味液30の中心部の品温を120℃で4分間相当加熱する処理又はこれと同等以上の加熱調理レベルを有する処理を挙げることができる。
【0037】
図1に示す様に、パウチ10は、底面にマチができるようにプラスチックフィルムを折り曲げて重ね合わせ、両側縁部及び上縁部をヒートシールして側縁シール部11及び上縁シール部12を形成したスタンディングパウチからなる平袋状のレトルトパウチであり、パウチ10の片面の上縁シール部12の近傍には、ジッパー部13が設けられている。
【0038】
ジッパー部13の外方もヒートシールされてジッパーシール部14が形成されており、このジッパーシール部14近傍の側縁シール部11において、ジッパー部13より上の部分に、引き裂きによりジッパーシール部14を切除し、ジッパー部13を開口可能とするためのノッチ15が形成されている。このようにジッパーシール部14をジッパー部13の外方に設けることにより、レトルト処理の間にジッパー部13が開口することなく、密封状態を維持することが可能となる。
【0039】
また、側縁シール部11において、ジッパー部13と上縁シール部12との間には、料理の取出用開口部を引き裂きにより形成するためのノッチ16が形成されている。後述するように、このノッチ16から、電子レンジ加熱調理後のパウチ10を開封し、内容物を一気に皿に移すことにより内容物が撹拌されるので、料理の加熱ムラを容易に解消することが可能となる。
【0040】
また、パウチ10の表面には、電子レンジ加熱調理時にパウチ10が過度に膨張して破裂することを防止する蒸気抜き機構17が設けられている。蒸気抜き機構17としては、従来より電子レンジ対応包装袋で使用されているものを設けることができ、例えば、側縁シール部11の近傍に、弱化シール部18を設け、その弱化シール部18内に切欠19を形成したものとする。また、パウチ10の蒸気抜き機構17としては、密封されていたジッパー部13が電子レンジ加熱時にパウチ10が膨張する際の圧力で部分的に開口するようにジッパー部の嵌合を調整してもよい。
【0041】
また、本発明の電子レンジ調理用パウチ詰め食品1には、電子レンジ加熱調理で最終的に得ようとする料理の種類、電子レンジ加熱の際にパウチ内に投入することが予定されている具材の種類、その具材の好ましい切り方、大きさ、投入量、パウチへの投入方法、電子レンジ加熱する際のパウチの姿勢、電子レンジ加熱に必要なワット数と時間、電子レンジ加熱後のパウチの開封方法などの説明表示40を備えることが好ましい。特に、説明表示40の具体的な内容として、具材の投入量、大きさ、電子レンジ加熱のワット数と時間については、これらが電子レンジ加熱後の調理の出来の善し悪しに大きく影響するため、できるだけ表示することが望まれる。
【0042】
このような説明表示40は、図1に示したように、パウチ10の表面に印刷することにより形成してもよく、電子レンジ調理用パウチ詰め食品1の梱包箱等の外装材に印刷することにより形成してもよく、パウチ10とは別個の紙片に印刷し、その紙片を電子レンジ調理用パウチ詰食品1に添付するようにしてもよい。
【0043】
本発明の電子レンジ調理用パウチ詰め食品1の製造方法としては、例えば、上縁シール部12が未シール状態のパウチ10を用意し、それに調味液30を充填して、上縁シール部12をヒートシールし、レトルト処理を施すことが挙げられる。
【0044】
次に、本発明の電子レンジ調理用パウチ詰め食品を使用して調味液煮料理を調理又は製造する方法を説明する。この方法は、電子レンジ調理用容器詰め食品のジッパー部を開封し、そこから具材をパウチ内に投入し、ジッパー部を閉じ、電子レンジで加熱調理することを特徴とする。また、この調理又は製造方法は、観点を変えれば電子レンジ調理用パウチ詰め食品の使用方法という意義を有する。
【0045】
まず、パウチ内に投入する具材を電子レンジ調理用パウチ詰め食品1に付された説明表示40を参照して選択し、説明表示40の内容に沿って必要に応じてパウチ10への投入サイズにカットする。
【0046】
次に、図2に示すように、電子レンジ調理用パウチ詰め食品1のジッパー部13外方のノッチ15からパウチ10を引き裂いてジッパーシール部14を切除した後、ジッパー部13を開封し、そこから具材20を矢印のようにパウチ10内に投入する。この場合、具材20の洗浄水などが具材20に付着してパウチ10内に入るのは別として、具材20とは別に、味の調整などの目的でパウチ10内に水を加えてもよいが、原則として避けた方が無難である。水を加えると、ほとんどの場合、合パウチ10内で具材20が接するレトルト調味液30の濃度にバラツキが生じ、電子レンジ加熱調理後の具材20の味付けにもバラツキが生じるからである。なお、具材20の投入時に、必要に応じてパウチ10内にあく取りシートを投入してもよい。
【0047】
次に、ジッパー部13を閉じた後、蒸気抜き機構17から内容物がこぼれ難いように蒸気抜き機構17が上部にくるようにパウチ10を電子レンジ内に寝かせ、あるいは立て、その状態で所定のワット数と時間で電子レンジ加熱調理を行う。加熱調理の具体的条件としては、パウチ10に充填されているレトルト調味液30及び投入した具材20の合計100gあたり、好ましくは600W×3分相当以上の電子レンジ加熱条件が挙げられる。
【0048】
電子レンジ加熱調理により直接的にレトルト調味液30と具材20が加熱されるのに加え、ジッパー部が閉じられていることから、発生した蒸気によってもレトルト調味液30と具材20とがいわゆる蒸らし効果により加熱される。発生した蒸気は、蒸気抜き機構17から排出されるため、パウチ10は膨張しても、その破裂は防止される。これにより、パウチ10内に充填されていたレトルト調味液30と、それに浸漬していた及び浸漬していない具材20とがそれぞれ適度に加熱調理され、見た目も味も美味しい料理を作ることができる。そして、加熱調理後は、直ちに上縁シール部12近傍のノッチ16からパウチ10の上端部を引き裂いて開口し、パウチ10の料理を一気に大皿にあけて、レトルト調味液30に、それに浸漬していない具材20を絡め混合すればよい。また、パウチ10内では料理に加熱ムラがあっても、パウチ10内の料理を大皿にあけることにより、料理が撹拌され、温度の均一化が図られる。また、加熱調理後のパウチ10は大変熱くなっていて、ジッパー部13を手で開封する作業を行うことが困難であるが、このようにノッチ16からパウチ10の上端部を引き裂いて料理を取り出すと開封作業を安全に行うことができる。
【実施例】
【0049】
以下に、本発明を実施例にて説明する。実施例において、「%」及び「部」は、特に言及しない限り、それぞれ「質量%」及び「質量部」を意味する。
【0050】
参考例1(消泡剤組成物の調製と評価)
<乳化物の調製>
以下に説明する各試験において、所定の成分A(乳化剤)、B(乳化剤)及びC(食用油脂)を用い、消泡剤乳化組成物を調製した。得られた消泡剤乳化組成物を用いて試験1〜4を行い、消泡効果の確認と調製後の試験溶液の状態を目視観察した。
【0051】
<消泡剤乳化組成物の調製>
所定量の乳化剤(成分B)を60質量部のイオン交換水に添加し、加熱溶解して水性乳化剤溶液を得た。それとは別に、所定量の乳化剤(成分A)と食用油脂(成分C)とを混合し、加熱溶解して油性乳化剤溶液を得た。得られた水性乳化剤溶液と油性乳化剤溶液とを混合し、混合物の全量が100質量部となるように、イオン交換水を添加した。得られた混合物を高圧乳化装置により、所定の乳化粒子の平均粒子径が得られる条件にて乳化処理し、消泡剤乳化組成物を調製した。
【0052】
得られた乳化組成物の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計SALD−1100((株)島津製作所製)にて体積換算で得られた粒度分布よりメジアン径を求めた。
【0053】
<消泡効果の確認方法>
100mlメスフラスコに4%脱脂粉乳水溶液69.93質量部に、上記調製方法にて得られた消泡剤乳化組成物0.07質量部を添加し、全体を70質量部とした。この混合物を縦型振とう機にて振とうし、泡立ち量と消泡時間とを測定し、以下の消泡効果基準に従って消泡効果を評価した。また、振とう後の溶液の状態について、目視観察し、以下の溶液評価基準に従って評価した。
【0054】
<消泡効果評価基準>
◎ ・・・ 消泡効果高い
○ ・・・ 消泡効果あり
△ ・・・ 消泡効果低い
× ・・・ 消泡効果殆どなし
【0055】
<溶液の状態評価基準>
◎ ・・・ 状態良好(析出物なし)
○ ・・・ 状態やや良好(少し析出物あり)
△ ・・・ 析出物あり
× ・・・ 析出物多く、油浮きあり
【0056】
試験1
下記の成分A〜Cを用いて所定の平均粒子径を有する消泡剤乳化組成物を調製し、消泡効果と溶液の状態を評価した。得られた結果を表1に示す。
成分A : ポリグリセリンエルカ酸エステル(HLB 5.0) 20部
成分B : ショ糖ステアリン酸エステル(HLB 16) 2部、酵素分解レシチン0.5部
成分C : 食用油脂(サラダ油) 10部
【0057】
【表1】

【0058】
表1からわかるように、平均粒子径を0.05μmとなるように調製した消泡剤乳化組成物では、消泡効果が不十分であった。また、平均粒子径を0.7μm、1.0μmとした消泡剤乳化組成物では、消泡効果は得られたものの溶液に析出や油浮きが生じ、好ましくない状態となっていた。
【0059】
一方、平均粒子径を0.1〜0.5μmとして調製した消泡剤乳化組成物では、消泡効果、溶液の状態ともに良好な結果が得られ、特に、高い消泡効果が得られた。
【0060】
試験2
表2に記載の成分A〜Cの所定量を組み合わせて消泡剤乳化組成物(乳化粒子の平均粒子径0.1μm)を調製し、消泡効果と溶液の状態を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
表1において使用した乳化剤
<成分A>
*1: モノグリセリンステアリン酸エステル
*2: ショ糖脂肪酸ベヘニン酸エステル
*3: ポリグリセリンエルカ酸エステル
*4: ポリグリセリンオレイン酸エステル
*5: ショ糖脂肪酸ステアリン酸エステル
*6: ショ糖脂肪酸ステアリン酸エステル
<成分B>
*7: ポリグリセリンオレイン酸エステル(HLB16)
*8: 酵素分解レシチン
*9: ショ糖ステアリン酸エステル(HLB16)
【0063】
表2の結果からわかるように、テスト区1〜6においては、HLBが2〜8の親油性乳化剤を使用していないテスト区5及び6で、充分な消泡効果が得られなかった。この結果より、HLBが2〜8の親油性乳化剤を利用することにより、消泡効果と良好な状態の溶液を得られることが明らかとなった。
【0064】
また、親油性乳化剤のみのテスト区7、親水性乳化剤のみのテスト区8及び食用油脂のみのテスト区9では、いずれも消泡効果、溶液状態の何れかが満足できる結果ではなかった。次いで親水性乳化剤と食用油脂を併用したテスト区10、親油性乳化剤と食用油脂を併用したテスト区11でも充分な効果は得られなかった。
【0065】
テスト区7〜11の結果より、親油性乳化剤、親水性乳化剤及び食用油脂のいずれかを単独で使用しただけでは充分な消泡効果、良好な溶液状態を得ることができず、親油性乳化剤または親水性乳化剤のいずれかと食用油脂の組み合わせでも良好な結果は得られなかった。
【0066】
また、親油性乳化剤、親水性乳化剤、食用油脂を併用したテスト区13では、充分な効果が得られることが確認できた。
【0067】
さらにテスト区14〜17では、親水性乳化剤がレシチン、ショ糖脂肪酸エステルそれぞれ単独で使用した場合の効果と、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む併用の場合でも、充分な効果が得られることが明らかとなった。
【0068】
試験3
表3に記載の成分A〜Cの所定量を組み合わせて消泡剤乳化組成物(乳化粒子の平均粒子径0.1μm)を調製し、本試験では乳化剤Bの添加量を変化させた場合の消泡効果と溶液の状態を評価した。なお、成分A〜Cは、試験例2テスト区16と同じものを使用した。得られた結果を表3に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
本試験により、親油性乳化剤の添加量1部に対し、親水性乳化剤の添加量を0.02〜0.5部とすることで、消泡効果が充分に発揮され、溶液の状態も良好となることが判明した。
【0071】
試験4
試験3と同様に、表4に記載の成分A〜Cの所定量を組み合わせて消泡剤乳化組成物(乳化粒子の平均粒子径0.1μm)を調製し、本試験では食用油脂Cの添加量を変化させた場合の消泡効果と溶液の状態を評価した。なお、成分A〜Cは、試験例2テスト区16と同じものを使用した。得られた結果を表4に示す。
【0072】
【表4】

【0073】
本試験の結果、親油性乳化剤の添加量1部に対し、食用油脂の添加量を0.1〜2部とすることで、消泡効果が充分に発揮されることが判明した。
【0074】
参考例2
以下の実施例及び比較例において使用する表5の配合の消泡剤乳化組成物X、Y及びZを、参考例1と同様に調製した。
【0075】
【表5】

【0076】
実施例1
<アサリのボンゴレソース煮(蒸し)>
(1)投入する具材
パウチ内に後に加える具材をアサリ150gとした。
【0077】
(2)レトルトボンゴレソース、電子レンジ調理用容器詰め液状食品の調製
下記表6に示す配合原料を用意した。次に、二重釜に、大豆油、ニンニクペースト、ニンニクエキス粉末、砂糖、食塩、加工澱粉及び清水を投入し撹拌混合しながら品温90℃になるまで加熱することによりボンゴレソースを調製した。
【0078】
続いて、得られたボンゴレソース150gを弱化シール部と切欠とからなる蒸気抜き機構を有する図1のジッパー付きスタンドパウチ(パウチサイズ:縦220mm×横140mm×折込(マチ)40mm、材質:(パウチ)ポリエステル/ポリアミド/無延伸ポリプロピレン、(ジッパー部)ポリプロピレン、最大密封充填可能容量:820mL)に充填密封後、レトルト処理(115℃、20分間)し、パウチ内にレトルトボンゴレソース(200mL)が充填されている電子レンジ調理用容器詰め液状食品を得た。レトルトボンゴレソースの粘度は1Pa・sであった。
【0079】
【表6】

【0080】
(3)電子レンジによる加熱調理
前述の(2)の電子レンジ調理用容器詰め液状食品のジッパーを開封し、(1)のアサリ150gを入れ、再度ジッパーを閉じた。次に、電子レンジ内にアサリ投入後の電子レンジ調理用容器詰め液状食品を蒸気抜き機構が上面になるように平置きした。これを電子レンジで加熱調理(600W×6分間)をし、料理の取出用のノッチから開封してこれを大皿にあけた。電子レンジ加熱中の液状食品は、沸騰しても容器からふきこぼれが発生しなかった。
【0081】
なお、消泡剤乳化組成物を配合していない対照品についても同様に電子レンジで加熱調理したところ容器からふきこぼれが発生した。
【0082】
実施例2
<ブロッコリーのクリーム煮>
(1)加える具材
パウチ内に後に加える具材を一口大(約3cm角)にカットしたブロッコリー約100gとした。
【0083】
(2)クリームソース
表7に示す配合原料を用意した。まず、カゼインナトリウム、卵黄リゾレシチン、キサンタンガム、脱脂粉乳、加工澱粉、食塩及び香辛料を粉体混合した。次に、ミキサーにこの粉体混合物及び清水を投入して撹拌混合した後、菜種油を徐々に加えながら更に撹拌混合した。続いて、加熱した二重釜に、得られた混合液を加えて撹拌しながら品温90℃になるまで加熱することによりクリームソースを得た。
【0084】
(3)電子レンジ調理用容器詰め食品(レトルトクリームソース入り)
次に、得られたクリームソース200gを弱化シール部と切欠とからなる蒸気抜き機構を有するジッパー付きスタンドパウチ(実施例1と同じ)に充填密封後、レトルト処理(115℃、15分間)し、パウチ内にレトルトクリームソース(200mL)が充填されている電子レンジ調理用容器詰め食品を得た。また、レトルトクリームソースの粘度は2Pa・sであった。
【0085】
【表7】

【0086】
(4)電子レンジによる加熱調理
(3)の電子レンジ調理用容器詰め食品のジッパーを開封し、(1)のブロッコリー100gを入れ、再度ジッパーを閉じた。次に、電子レンジ内にブロッコリー投入後の電子レンジ調理用容器詰め液状食品を蒸気抜き機構が上面になるように平置きした。これを電子レンジで加熱調理(600W×4分間)をし、料理の取出用のノッチから開封してこれを大皿にあけた。電子レンジ加熱中の液状食品は、沸騰しても容器からふきこぼれが発生しなかった。
【0087】
なお、消泡剤を配合していない対照品についても同様に電子レンジで加熱調理したところ容器からふきこぼれが発生した。
【0088】
実施例3
<タラのみぞれ煮>
(1)投入する具材
パウチ内に後に加える具材をタラ(厚みが2cmの切り身2切れ)200gとした。
【0089】
(2)みぞれ煮調味液、電子レンジ調理用容器詰め液状食品
【0090】
表8に示す配合原料を用意した。ここで、大根おろしは大根を5mm目のチョッパーで粉砕処理することにより調製した。次に、二重釜に、大根おろし、醤油、かつおだし、食塩、加工澱粉及び清水を投入し撹拌混合しながら品温90℃になるまで加熱することによりみぞれ煮調味液を調製した。
【0091】
続いて、得られたみぞれ煮調味液200gを弱化シール部と切欠とからなる蒸気抜き機構を有するジッパー付きスタンドパウチ(実施例1と同じ)に充填密封後、レトルト処理(115℃、20分間)し、パウチ内にレトルトみぞれ煮調味液(200mL)が充填されている電子レンジ調理用容器詰め液状食品を得た。レトルトみぞれ煮調味液の粘度(品温60℃)は0.3Pa・sであった。
【0092】
【表8】

【0093】
(3)電子レンジによる加熱調理
【0094】
(2)の電子レンジ調理用容器詰め液状食品のジッパーを開封し、(1)のタラ200gを入れ、再度ジッパーを閉じた。次に、電子レンジ内にタラ投入後の電子レンジ調理用容器詰め液状食品を蒸気抜き機構が上面になるように平置きした。これを電子レンジで加熱調理(600W×6分間)をし、料理の取出用のノッチから開封してこれを大皿にあけた。電子レンジ加熱中の液状食品は、沸騰しても容器からふきこぼれが発生しなかった。
【0095】
なお、消泡剤乳化組成物を配合していない対照品についても同様に電子レンジで加熱調理したところ容器からふきこぼれが発生した。
【0096】
<泡立ちとふきこぼれの試験評価>
消泡剤乳化組成物の組成の、クリーム煮における泡立ちとふきこぼれに与える影響を調べるために以下の試験を行った。即ち、実施例2において、消泡剤乳化組成物Xに代えて消泡剤乳化組成物Y、Z、シリコーン又は消泡剤乳化組成物Xに代えて清水を使用すること以外は、実施例2と同様に電子レンジ調理用容器詰め液状食品を調製し、同様にブロッコリーのクリーム煮を電子レンジ加熱により調理し、泡立ちとふきこぼれの有無を以下の基準に従って評価した。得られた結果を表9に示す。
【0097】
<泡立ち>
◎: 沸騰しているが、液面上に泡が沸き上がっていない。
○: 沸騰して液面上に泡が沸きあがっており、泡が沸きあがっている高さは、液面から20mm以下である。
△: 沸騰して液面上に泡が沸きあがっており、泡が沸きあがっている高さは、液面から20mmを超える高さである。
【0098】
<ふきこぼれ>
有: 容器から泡がふきあがり、蒸気口から下にソースがこぼれる状態
無: 容器の蒸気口から下にソースがこぼれていない状態
【0099】
【表9】

【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の電子レンジ用液状物含有食品は、油性乳化剤溶液が水性乳化剤溶液中で乳化粒子として分散してなる消泡剤乳化組成物を含有しているので、従来の消泡剤組成物を使用せずとも、電子レンジ加熱による噴きこぼれが抑制又は防止されたものとなっている。従って、電子レンジ調理に非常に有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 電子レンジ調理用パウチ詰め食品
10 パウチ
11 側縁シール部
12 上縁シール部
13 ジッパー部
14 ジッパーシール部
15 ノッチ
16 ノッチ
17 蒸気抜き機構
18 弱化シール部
19 切欠
20 具材
30 (レトルト)調味液
40 説明表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂が親油性乳化剤と親水性乳化剤とで乳化されてなる消泡剤乳化組成物を含有する電子レンジ加熱用液状物含有食品であって、
消泡剤乳化組成物の乳化粒子が0.1〜0.5μmの平均粒子径を有することを特徴とする電子レンジ加熱用液状物含有食品。
【請求項2】
消泡剤乳化組成物が、親油性乳化剤1質量部に対し、親水性乳化剤を0.02〜0.5質量部、食用油脂を0.1〜2質量部の割合で含有する請求項1記載の電子レンジ加熱用液状物含有食品。
【請求項3】
親油性乳化剤が、HLB2〜8の乳化剤であり、親水性乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル及びレシチンから選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2記載の電子レンジ加熱用液状物含有食品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ加熱用液状物含有食品が、電子レンジ加熱用容器に充填されていることを特徴とする電子レンジ加熱用容器詰め食品。
【請求項5】
電子レンジ加熱に必要なワット数と時間の説明表示を備えている請求項4記載の電子レンジ加熱用容器詰め食品。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ加熱用液状物含有食品を、電子レンジで加熱することを特徴とする加熱食品の製造方法。
【請求項7】
請求項4又は5記載の電子レンジ加熱用容器詰め食品の容器内に具材を投入し、電子レンジで加熱することを特徴とする加熱食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−103856(P2011−103856A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265462(P2009−265462)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】