説明

電子レンジ用調理器

【課題】 食材に対し電磁波の影響を直接与えることなくスチーム機能を発揮させることにより、電子レンジ使用のスチーム炊飯器やスチーム蒸し器を提供し、炊飯のみならず、温野菜,茶碗蒸し,蒸しパン,ふかし芋,ゆで卵,焼売,餃子など、その食材の特性を失うことなく確実に調理することを目的とする。
【解決手段】 周面部2とこれにつづく底段部3と底面部4と周縁部11左右側の突出板5,5とこれに枢着する留め子6,6から成る鍋器体1と、底面部7’に多数の通孔8・・を設けた炊飯器体7と、該炊飯器体の上面部に被套する蒸気抜き孔19を設けた内蓋体16と、該内蓋体の蒸気抜き孔に通ずる蒸気抜き孔27を設けた把手25付きの外蓋体22とから成る。また、前記炊飯器体内部に周面部及び底面部に多数の通孔13,14を設けるとともに指掛部15,15付きの蒸し器体12を収容する。また、前記鍋器体内部に指掛部付きの椀器体を収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジにおいて、炊飯,粥,赤飯,蒸し物などの諸調理を行うことができる調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子レンジの普及にともない各種の調理器が改良普及しているが、比較的少分量の米飯炊きや温野菜,ふかし,ゆで卵,餃子,焼売などの蒸し器が要求される中で、次に挙げる製品が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平4−23451号公報
【特許文献2】実公平7−19384号公報
【特許文献3】登録実用新案第3127985号公報
【0004】
しかしながら、これらの調理器にあっては、電子レンジによる電磁波の影響を受け、食材が含有する水分が加熱によって発散することから食材が乾燥硬化し、例えば、ふかし芋は時間の経過とともに硬化が進み食用には不適合となり、また焼売では冷却とともに縮小硬化するからこれも食用にならないなど、電子レンジを使用する調理器は、食材によっては不適当な実用性のない欠点のあるものとなっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明にあっては、食材に対し電磁波の影響を直接与えることなくスチーム機能を発揮させることにより、電子レンジ使用のスチーム炊飯器やスチーム蒸し器を提供し、これによって炊飯のみならず、温野菜,茶碗蒸し,蒸しパン,ふかし芋,ゆで卵,焼売,餃子などを、その食材の特性を失うことなく確実に調理することができるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、周面部とこれにつづく底段部と底面部と周縁部左右側の突出板とこれに枢着する留め子から成る鍋器体と、底面部に多数の通孔を設けた炊飯器体と、この炊飯器体の上面部に被套する蒸気抜き孔を設けた内蓋体と、この内蓋体の蒸気抜き孔に通ずる蒸気抜き孔を設けた把手付きの外蓋体とから成るものである。
【0007】
また、用途によっては、前記炊飯器体内部に周面部及び底面部に多数の通孔を設けるとともに指掛部付きの蒸し器体を収容して使用するものである。
【0008】
また、用途によっては、炊飯器体と蒸し器体とに代えて指掛部付きの椀器体を鍋器体内部に収容して使用するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の調理器は、洗浄米を収容した炊飯器体を鍋器体内に収容し、これに適量の水を鍋器体及び炊飯器体内に供給し、内蓋体及び外蓋体を被套した後、この全体を電子レンジ内に載置してスイッチを入れる。すると、電磁波は鍋器体及び炊飯器体内部に供給された水を加熱し、この炊飯器体内部の飯米への加熱は、鍋器体内部の水が加熱されることによって、加熱水が炊飯器体底面部の通孔から炊飯器体の内部に入り、飯米を収容した炊飯器体内で発生する蒸気を対流循環せしめることによって行うようになる。これにより炊飯器体内の飯米は電磁波の影響を直接受けることはないし、よく炊きこまれた美味な米飯を得ることができるようになる。
【0010】
このような効果は、外部は合成樹脂製の鍋器体と外蓋体を、内部はアルミニウム等の金属材製の炊飯器体と内蓋体をそれぞれ構成し、素材の異なる各部材を使用することによって達成することができるのであり、各部材のこのような組み合わせによる電子レンジ用の調理器を提供することを本発明は特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を構成する各部材の斜視図
【図2】各部材の全部を収容したときの全体の斜視図
【図3】炊飯器使用時の全体の一部切欠正面図
【図4】図3A−A線の縦断面図
【図5】蒸し器使用時の全体の一部切欠正面図
【図6】図5B−B線の縦断面図
【図7】椀器体及び計量カップの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1に、本器を炊飯器として使用するときは、図1において示した全部材の中から、鍋器体1,炊飯器体7及び内蓋体16付き外蓋体22の四部材を使用するが、まず鍋器体1内に炊飯器体7を収容する。この炊飯器体内には飯米を必要分量入れた後、適量の給水をする。この時、水量は鍋器体の底面部4及び周面部2と炊飯器体の底面部及び周面部間には、底面部の通孔8から米量の上面を超えた位置に水位が保たれる。
【0013】
このような状態にした炊飯器体の上面部に、内側に内蓋体16を連設した外蓋体22を載置した後、鍋器体1の左右の留め子6,6を外蓋体の左右の突板24,24に掛け留めて器全体を密着状態にする。このとき、内外両蓋体の蒸気抜き孔19,27は孔管20によって連通する。(図3参照)
【0014】
このような状態の本器体を電子レンジ内の支板上に載置し、スイッチを入れる。米量にもよるが、所定時間経過すると、鍋器体内の水は電磁波による加熱によって湯気を発生し、それが炊飯器体の内部では蒸気となって循環流を起し、この蒸気の循環流によって水分を飯米に十分吸収させることになり、米飯が炊き上がるようになる。
【0015】
電子レンジの電磁波は、アルミニウム等の金属製の炊飯器体7及び内蓋体16を、合成樹脂製の鍋器体1及び外蓋体22に密着状態にすることによって、前記炊飯器体内部への影響が遮断されるから、炊き上がり後の米飯は乾燥せず、固化もしない。
【0016】
第2に、本器を蒸し器として使用するときは、図1における全部材の中から、鍋器体1,炊飯器体7,蒸し器体12及び内蓋体16付き外蓋体22の五部材を使用する。
【0017】
このような状態に蒸し器体12の上面部に、内蓋体16を連設した外蓋体22を被套し、鍋器体1の留め子6,6を外蓋体の左右の突板24,24に掛け留めて器体全体を密着状態にする。(図5,図6参照)
【0018】
このような状態の鍋器体1内部の蒸し器体12内に任意の食材を収容した後、鍋器体を含む本器を電子レンジの支板上に載置し、スイッチを入れ、所定時間電磁波によって加熱する。このとき、所定の水は蒸し器体の底面部以下の水位にする。これによって、所定時間経過すると、水は電磁波による加熱によって鍋器体底部において湯気から蒸気を発生し、通孔8・・を通じて炊飯器体7の内部に循環流を起すから、蒸し器体の内部において食材を蒸し上げるようになる。
【0019】
第3に、お粥を作るときは、炊飯器体と蒸し器体とに代えて椀器体29を鍋器体1内部に収容し、計量カップによって適量の米と水を入れて行えばよい。
【実施例】
【0020】
1は合成樹脂製の鍋器体で、この鍋器体は周面部2とこの周面部につづく底段部3と底面部4とから形成する。
【0021】
5,5は前記鍋器体1の周面部2の上端左右両側面部に突設した突出板で、この突出板の外側部には両端部を突出板5,5に枢着6’,6’した留め子6,6を水平位及び上方位に回動し得るように設ける。
【0022】
7は底面部7’に多数の通孔8・・を設けたアルミニウム等金属材製の炊飯器体で、この炊飯器体の上周縁部9は段部10に成り、この段部の下端部は前記鍋器体1の内周縁部11に載置し得るようになる。
【0023】
この炊飯器体7においては、赤飯や茶碗蒸し,蒸しパン,ふかし芋,温野菜,ゆで卵,焼売,餃子などの調理を行う。
【0024】
12は前記炊飯器体7の内部に収容する合成樹脂製の蒸し器体で、この蒸し器体は周面部に多数の縦孔13・・を設け、底面部に多数の横孔14・・を設けている。
【0025】
12’は前記蒸し器体12の底面部裏側に設けた脚部で、蒸し器体を前記炊飯器体7の底面部7’に載置したとき、この脚部を介して空間部が形成されるようになる。
【0026】
15,15は前記蒸し器体12の左右両側部に設けた持ち上げ下げのための指掛孔である。
【0027】
16は前記炊飯器体7又は蒸し器体12の上面部に被套するアルミニウム等金属材製の内蓋体で、この内蓋体の周縁部17の曲折段部18は、前記炊飯器体7の周縁部の段部10上に載置するようになる。
【0028】
19は前記内蓋体16の適所に設けた蒸気抜き孔で、この蒸気抜き孔には後記外蓋体22の蒸気抜き孔27に連通する孔管20を設けている。
【0029】
22は前記内蓋体16の上方外部に被嵌する合成樹脂製の外蓋体で、この外蓋体の周囲部23の上端左右両側面部に突板24,24を設け、この突板には前記鍋器体1の突出板5,5に枢着した留め子6,6が上方回動時に掛け留まるようになる。
【0030】
25は前記外蓋体22上の中央部26の左右両側部に両端部を枢着して回動し得るように設けた把手で、前記外蓋体の適所には蒸気抜き孔27を設け、この蒸気抜き孔は前記内蓋体16の蒸気抜き孔19に連通するようになる。
【0031】
28は外蓋体の適所に設けた水抜き孔で、内蓋体と外蓋体との空間部に発生した水を抜くためのものである。
【0032】
29は前記炊飯器体7に代えて収容する合成樹脂製の椀器体で、この椀器体の開口両側部には把手30,30を設けている。この椀器体はお粥を作るために使用するもので、その米や水の量を測定するための計量カップ31を用意するとよい。
【符号の説明】
【0033】
1 鍋器体
2 周面部
3 底段部
4 底面部
5,5 突出板
6,6 留め子
7 炊飯器体
7’ 底面部
8・・ 通孔
9 上周縁部
10 段部
11 内周縁部
12 蒸し器体
12’ 脚部
13・・ 縦孔
14・・ 横孔
15,15 指掛孔
16 内蓋体
17 周縁部
18 曲折段部
19 蒸気抜き孔
20 孔管
22 外蓋体
23 周囲部
24,24 突板
25 把手
26 中央部
27 蒸気抜き孔
28 水抜き孔
29 椀器体
30,30 把手
31 計量カップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面部とこれにつづく底段部と底面部と周縁部左右両側の突出部とこれに枢着する留め子から成る鍋器体と、底面部に多数の通孔を設けた炊飯器体と、この炊飯器体の上面部に被套する蒸気抜き孔を設けた内蓋体と、この内蓋体の蒸気抜き孔に通ずる蒸気抜き孔を設けた把手付きの外蓋体とから成ることを特徴とする電子レンジ用調理器。
【請求項2】
炊飯器体内部に,周面部及び底面部に多数の通孔を設けるとともに適所に指掛部を設けた蒸し器体を収容できる請求項1に記載した電子レンジ用調理器。
【請求項3】
周面部とこれにつづく底段部と底面部と周縁部左右両側の突出部とこれに枢着する留め子から成る鍋器体と、適所に指掛部を設けた椀器体と、この椀器体の上面部に被套する蒸気抜き孔を設けた内蓋体と、この内蓋体の蒸気抜き孔に通ずる蒸気抜き孔を設けた把手付きの外蓋体とから成ることを特徴とする電子レンジ用調理器。
【請求項4】
鍋器体と外蓋体と蒸し器体と椀器体とは合成樹脂材により、炊飯器体と内蓋体とはアルミニウム材により構成する請求項1又は請求項2又は請求項3に記載した電子レンジ用調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate