説明

電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法

【課題】電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法において、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷可能とすると共に装置の簡素化を可能とする。
【解決手段】OPC感光体21の表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置26によって帯電されたトナーが付着されてトナー画像を形成する感光体ユニット11と、OPC感光体21に形成されたトナー画像が転写ベルト33により転写されると共にこのトナー画像をガラス板Gに転写する中間転写体12と、OPC感光体21から転写ベルト33を介してガラス板Gに転写されるトナー画像に同期して移動自在であると共に非画線部に対応して粘着部が設けられるパタンドロール51を有するトナー除去ユニット15とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス、プリント基板、セラミック、厚紙、フィルムなどの任意の厚さを有する板状部材へ印刷を行う板状部材の印刷装置であって、特に、電子写真方式を利用する電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真印刷装置においては、一様に帯電された感光体にレーザやLED(Light Emitting Diode)等の光源から光を当て、光が当たる画線部を除電させて感光体に静電潜像を形成し、この画線部に感光体の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させて画像を形成している。
【0003】
トナーを感光体に付着させる方法として、下記特許文献1、2に開示されている2成分現像方式が知られている。この2成分現像方式は,多極磁石で構成される現像ロール上で磁力により磁性粒子であるキャリヤ(粒径40〜120μm)の磁気ブラシを形成し、このブラシで感光体表面を擦ることでキャリヤ表面に付着しているトナー(粒径6〜20μm)を感光体上に現像する方法である。これらは、キャリヤとトナーを一定の比率で混合した現像剤をマグネットローラ全面に付着させ、規制ブレードの隙間によって付着量を一定とし、感光体と現像ローラ間に形成された隙間に供給し感光体に擦りつける。
【0004】
このとき、感光体には、画像データに応じた静電潜像が形成されており、帯電されたトナーとの電位差により生じる静電気力を利用して、画線部ではキャリヤからトナーが引き剥がされ感光体側に付着させられ、非画線部では反発力で感光体にトナーが付着しないようにされる。このようにして、感光体上には静電潜像に応じたトナー像(画像)が形成される。
【0005】
また、下記特許文献3には、電子写真方式でトナー画像を形成する感光体と、この感光体上に形成されたトナー画像を1次転写して板状の被転写体へ2次転写する中間転写体と、この中間転写体上に1次転写したトナー画像が2次転写位置へ至るタイミングに合わせて被転写体を搬送する手段とを設けたものが開示されている。
【0006】
ところで、上述した従来の電子写真印刷装置にて、現像領域では、キャリヤが感光体にこすり付けられ、または、キャリヤ同士が擦れあうため、キャリヤ表面に静電気力で付着したトナーがこのキャリヤから脱落し、または、静電気力が十分でないトナーがキャリヤから脱落し、感光体の非画線部にもトナーが付着する、所謂、「地かぶり」が発生する。通常の印刷物の場合、この「地かぶり」があっても、視認されない程度であれば許容されるものの、工業製品で導電性のパターンなどを印刷する場合には、電気的なノイズや耐圧などの機能劣化の原因となる可能性が高いため、目に見えない場合でも地かぶりを無くす必要がある。
【0007】
上述した地かぶりの発生を防止する技術として、例えば、下記特許文献4、5に記載されたものがある。特許文献4に記載された電子写真印刷装置では、OPC感光体の非画線部に対応した静電潜像が形成される除去感光体を、OPC感光体の移動方向における現像装置よりも下流側位置に対向して所定間隔を空けて配置している。また、特許文献5に記載された電子写真印刷装置では、非画線部トナー除去装置として、磁力でキャリヤを吸着搬送する除去ローラを設け、静電潜像の非画線部から除去ローラへ向けた電界が形成されるように所定の電位が付与している。
【0008】
【特許文献1】特許第2517188号公報
【特許文献2】特公平03−030136号公報
【特許文献3】特開2006−091733号公報
【特許文献4】特開2007−219123号公報
【特許文献5】特開2007−219564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献4に記載された電子写真印刷装置にあっては、OPC感光体とは別に除去感光体が必要となり、装置が大型化してしまう。また、特許文献5に記載された電子写真印刷装置にあっては、非画線部トナー除去装置として、除去装置本体に加えてトナー分離装置が必要となり、また、キャリヤ捕集装置が必要となり、構造が複雑化してしまう。
【0010】
本発明は上述した課題を解決するものであり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷可能とすると共に装置の簡素化を可能とする電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため請求項1の発明の電子写真印刷装置は、移動自在であると共に表面に形成される静電潜像または磁気潜像の画線部に現像装置によって処理されたトナーが付着される担持体と、該担持体から被転写体に転写されるトナー画像に同期して移動自在であると共に非画線部に対応して粘着部が設けられるトナー除去体と、を備えることを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の発明の電子写真印刷装置では、前記担持体と前記被転写体との間に、前記担持体に形成されたトナー画像が転写されると共にこのトナー画像を被転写体に転写する中間転写体を設けることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー除去体は、前記担持体または前記中間転写体からトナー画像が転写されることで、非画線部に対応した粘着部が形成されることを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー除去体は、非粘着部を有し、該非粘着部は、画線部に相当する位置の粘着部にトナーが付着して構成されることを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー除去体は、非粘着部を有し、該非粘着部は、前記担持体または前記中間転写体からトナー画像が転写されることで形成されることを特徴としている。
【0016】
請求項6の発明の電子写真印刷装置では、前記担持体に形成されるトナー画像と同様のトナー画像が形成される第2担持体を設け、前記トナー除去体は、前記第2担持体からトナー画像が転写されることで、非画線部に対応した粘着部が形成されることを特徴としている。
【0017】
請求項7の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー除去体は、前記担持体または前記中間転写体または前記被転写体のトナーに接触して回転可能なトナー除去ロールであることを特徴としている。
【0018】
請求項8の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー除去体は、前記担持体または前記中間転写体または前記被転写体のトナーに接触して循環可能なトナー除去ベルトであることを特徴としている。
【0019】
請求項9の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー除去体は、表面に平滑な弾性層が設けられることを特徴としている。
【0020】
請求項10の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー除去体に付着したトナーを除去するトナー除去体洗浄装置が設けられることを特徴としている。
【0021】
また、請求項11の発明の電子写真印刷方法は、担持体が移動するときにその表面に静電潜像または磁気潜像を形成し、現像装置によってこの静電潜像または磁気潜像の画線部にあるトナーを付着してトナー画像を形成し、該担持体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する電子写真印刷方法において、前記担持体から前記被転写体に転写されるトナー画像に同期して移動しながら接触することで、非画線部に付着したトナーを粘着除去する、ことを特徴とするものである。
【0022】
請求項12の発明の電子写真印刷方法では、前記担持体から転写されるトナー画像を転写することで、非画線部に対応した粘着部を有するトナー除去体を形成し、該トナー除去体を前記担持体から前記被転写体に転写されるトナー画像に同期して移動しながら接触することで、非画線部に付着したトナーを粘着除去することを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明の電子写真印刷装置によれば、表面に形成される静電潜像または磁気潜像の画線部に現像装置によって処理されたトナーが付着される担持体と、担持体から被転写体に転写されるトナー画像に同期して移動自在であると共に非画線部に対応して粘着部が設けられるトナー除去体とを設けている。従って、担持体の表面には静電潜像または磁気潜像の画線部に対応して現像装置によって処理されたトナーが付着し、担持体に形成されたトナー画像が被転写体に転写されるとき、非画線部にあるトナーがトナー除去体の粘着部により粘着除去されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができると共に、簡単な構成で地かぶりを抑制することが可能となり、装置の簡素化を可能とすることができる。
【0024】
請求項2の発明の電子写真印刷装置によれば、担持体と被転写体との間に、担持体に形成されたトナー画像が転写されると共にこのトナー画像を被転写体に転写する中間転写体を設けるので、担持体のトナー画像が中間転写体を介して被転写体に転写されることとなり、トナー除去体を効率良く配置することができる。
【0025】
請求項3の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー除去体に、担持体または中間転写体からトナー画像を転写することで非画線部に対応した粘着部を形成するので、非画線部に対応した粘着部を高精度に形成することができ、非画線部に付着したトナーのみを高精度に除去することができると共に、別途、装置を設けることなく、既存の装置でトナー除去体に粘着部を形成することができ、装置の大型化や高コスト化を抑制することができる。
【0026】
請求項4の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー除去体に非粘着部を設け、非粘着部を、画線部に相当する位置の粘着部にトナーが付着して構成するので、画線部に対応した非粘着部を高精度に形成することができ、画線部に付着したトナーに適正に維持することができる。
【0027】
請求項5の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー除去体に非粘着部を設け、非粘着部を、担持体または中間転写体からトナー画像を転写して形成するので、画線部に対応した非粘着部を高精度に形成することができ、画線部に付着したトナーに適正に維持することができる。
【0028】
請求項6の発明の電子写真印刷装置によれば、担持体に形成されるトナー画像と同様のトナー画像が形成される第2担持体を設け、トナー除去体に第2担持体からトナー画像を転写することで非画線部に対応した粘着部を形成するので、トナー除去体に粘着部を形成するための専用の第2担持体を設けることで、準備期間を短縮できるため、生産効率を向上することができる。
【0029】
請求項7の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー除去体を担持体または中間転写体または被転写体のトナーに接触して回転可能なトナー除去ロールとするので、適正箇所に容易に配置することができ、装置の小型化に寄与することができる。
【0030】
請求項8の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー除去体を担持体または中間転写体または被転写体のトナーに接触して循環可能なトナー除去ベルトとするので、トナー画像が搬送方向に沿って長いものであっても、トナー除去ベルトを用いることで適正に地かぶりを抑制することができる。
【0031】
請求項9の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー除去体の表面に平滑な弾性層を設けるので、平滑な弾性層により非画線部にある不要なトナーを確実に除去することができる。
【0032】
請求項10の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー除去体に付着したトナーを除去するトナー除去体洗浄装置を設けるので、トナー除去体洗浄装置により定期的にトナー除去体に付着したトナーを除去することができ、長期間にわたって地かぶりを防止することができる。
【0033】
また、請求項11の発明の電子写真印刷方法によれば、担持体が移動するときにその表面に静電潜像または磁気潜像を形成し、現像装置によってこの静電潜像または磁気潜像の画線部にあるトナーを付着してトナー画像を形成し、担持体に形成されたトナー画像を被転写体に転写するとき、担持体から被転写体に転写されるトナー画像に同期して移動しながら接触することで、非画線部に付着したトナーを粘着除去している。従って、非画線部にあるトナーが適性に除去されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができると共に、簡単な構成で地かぶりを抑制することが可能となり、装置の簡素化を可能とすることができる。
【0034】
請求項12の発明の電子写真印刷方法では、担持体から転写されるトナー画像を転写することで、非画線部に対応した粘着部を有するトナー除去体を形成し、トナー除去体を担持体から被転写体に転写されるトナー画像に同期して移動しながら接触することで、非画線部に付着したトナーを粘着除去するので、別途、装置を設けることなく、既存の装置でトナー除去体に粘着部を形成することができ、装置の大型化や高コスト化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明の実施例1に係る電子写真印刷装置の概略構成図、図2は、実施例1の電子写真印刷装置による印刷処理を表すフローチャートである。
【0037】
実施例1では、電子写真印刷装置により被転写体としてのガラス板上に所定形状の金属配線を形成するものに適用して説明する。この実施例で用いられるトナーは、銀の粉とガラスの粉を樹脂に練り込み、細かく粉砕し、赤外線吸収材を混ぜたものである。樹脂としては、スチレンやスチレンアクリルなどを例示でき、粉砕後の大きさとしては直径が10μmから20μm程度のものを例示できる。また、トナーには静電付与剤が混ぜられていることが望ましい。ガラスの粉は、トナーをガラス板に固定する接着剤の働きを示すものである。キャリヤは、フェライトや鉄などの強磁性体をコア材とし、表面を樹脂でコーティングした磁性材料を用いる。コーティング剤としては、例えば、アクリル系コーティング剤が用いられる。本実施形態で用いる2成分現像剤にはトナーがキャリヤに対して約6wt%混合され、トナーとキャリヤとは静電気力により結合している。なお、電子写真印刷装置では、上述したトナーに限定されるものではない。
【0038】
実施例1の電子写真印刷装置は、図1に示すように、感光体ユニット(担持体ユニット)11と、中間転写体12と、ガラス搬送装置13、定着装置14と、トナー除去ユニット15とから構成されている。そして、感光体ユニット11は、トナーを選択的に吸着して像を形成するOPC(Organic Photoconductor)感光体(担持体)21を有している。このOPC感光体21は、略円柱状をなすドラム型に形成され、図示しない駆動装置により、その中心軸線回りに回転駆動されるように配置されている。そして、OPC感光体21の周囲には、中間転写体12に対する対向領域から回転方向に向かって、クリーニング装置22と、除電装置23と、帯電装置24と、露光装置25と、現像装置26とが配置されている。
【0039】
帯電装置24は、スコロトロン(scorotron)などのコロナ放電器から構成されており、この帯電装置24は、OPC感光体21における円周面の全面に負の静電気を帯電させ、OPC感光体21が所定の負の電位、例えば、約−800Vを帯びるように構成されている。
【0040】
露光装置25は、OPC感光体21の中心軸線方向に配列されたLED(Light Emitting Diode)から構成され、このLEDから出射された光がOPC感光体21の円周面に照射されるように配置されている。LEDは、画像信号に基づいて光の出射が制御され、所定の像を描くように構成されており、OPC感光体21における光が照射された領域では、負の帯電が抜けることで、電位の違いによる像が形成される。
【0041】
現像装置26は、筐体内に、多極磁石で構成される現像ローラ(マグネットローラ)と、スクリュー羽根等を有した撹拌・搬送ローラが収用されて構成され、トナーとキャリヤを一定比率で混合した現像剤を内包している。従って、トナーは、現像剤の撹拌搬送によりキャリヤとの摩擦帯電で負極性に帯電しキャリヤ表面に静電気力で付着し、現像ローラは、トナーが付着したキャリヤを磁力で付着保持し、その回転によってOPC感光体21の円周面と対向した現像領域にトナーを搬送供給する。
【0042】
クリーニング装置22は、OPC感光体21の円周面上に付着した転写残りトナーを除去するものであり、ファーブラシと掻き取りブレードとから構成されている。ファーブラシは、毛ブラシであり、毛により転写残りトナーを掻き落とすように構成されている。ブレードは、板状に形成されたゴムなどの弾性体からなり、転写残りトナーを擦り落とすように配置されている。
【0043】
除電装置23は、OPC感光体21の中心軸線方向に配列されたLEDから構成され、LEDから出射された光がOPC感光体21における円周面の全面に照射されるように配置されている。この円周面の全面に光が照射されることにより、トナーの転写後もOPC感光体21に残る電位の違いによる像を消去することができる。
【0044】
中間転写体12は、感光体ユニット11の下方に水平をなして配置され、OPC感光体21に接近するように設けられている。この中間転写体12は、前後一対の駆動ロール31,32と、この駆動ロール31,32に掛け回される無端の転写ベルト33と、OPC感光体21に対向して設けられた静電転写ロール34とから構成されている。この場合、転写ベルト33は、OPC感光体21の円周面上に形成されたトナー画像を後述するガラス板Gに転写できる長さを有するように設定され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21と同期して移動されるように配置されている。この静電転写ロール34は、転写ベルト33に負の静電気を帯電させ、OPC感光体21のトナー画像を転写ベルト33に転写させる。なお、転写ベルト33の表面には、剥離性の高いコーティング材(例えば、シリコンなど)がコーティングされている。
【0045】
ガラス搬送装置13は、前後一対の搬送ロール41,42と、この搬送ロール41,42に掛け回される無端の搬送ベルト43とから構成されている。そして、この搬送ベルト43上に、ガラス板(非転写体)Gを搭載するガラス定盤44を支持した状態で、水平方向に沿って搬送する。この場合、ガラス板Gは、印刷を行う表面が中間転写体12の転写ベルト33(駆動ロール31)に接近するように搬送される。
【0046】
定着装置14は、中間転写体12とガラス板Gとの間にあるトナー画像に対して、熱エネルギを付与することで、このトナー画像をガラス板Gの表面(図1にて、上面)に定着させるものである。この定着装置14は、中間転写体12に駆動ロール31として設けられた熱転写ロールを有している。この熱転写ロール(駆動ロール)31は、加熱媒体を内蔵しており、中間転写体12の転写ベルト33を通して熱エネルギを付与する。この場合、ガラス板G上のトナーの温度が上昇することから、このトナーが溶融し、溶融したトナー、つまり、転写ベルト33上のトナー画像がガラス板Gの表面に転写されて定着する。なお、定着装置14は、中間転写体12に駆動ロール32として設けられた冷却ロールを有している。この冷却ロール(駆動ロール)32は、熱転写ロール31により加熱された転写ベルト33を冷却するものである。
【0047】
トナー除去ユニット15は、トナーを選択的に粘着することで、非画線部に対応した粘着部を形成するトナー除去体としてのパタンドロール(トナー除去ロール)51を有している。このパタンドロール51は、略円柱状をなすドラム型に形成され、上述したOPC感光体21と同様な外径、周長に設定され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21と同期してその中心軸線回りに回転駆動されるように配置されている。また、パタンドロール51は、中間転写体12の転写ベルト33に接近してトナー接触するように設けられている。
【0048】
このパタンドロール51は、表面に平滑な弾性層が設けられるように、ゴムローラにより構成されている。本実施例では、例えば、シリコン、ウレタン、ブチルなどを材料として型抜きにより製造することで、外周面を平滑に形成し、粘着性が確保されている。この場合、パタンドロール51は、ゴム硬度が25〜35であることが望ましい。
【0049】
また、パタンドロール51は、外周面に中間転写体12の転写ベルト33からトナー画像が転写されることで、非画線部に対応した粘着部が形成される。この場合、パタンドロール51は、当初、外周面全体が粘着部であり、この粘着部にトナー画像が粘着することで、この部分が非粘着部となり、残った部分が粘着部となる。即ち、印刷開始前に、感光体ユニット11のOPC感光体21に形成された画線部に対応したトナー画像が中間転写体12の転写ベルト33に転写され、この転写ベルト33に転写されたトナー画像がトナー除去ユニット15のパタンドロール51に転写される。このとき、パタンドロール51は、外周面の全面が粘着部であるが、転写ベルト33から画線部に対応したトナー画像が転写されることから、非画線部に対応した部分のみが粘着部となる。
【0050】
パタンドロール51の周囲に隣接して、パタンドロール51に付着したトナーを除去するトナー洗浄装置(トナー除去体洗浄装置)61が設けられている。このトナー洗浄装置61は、洗浄液(エタノール等)を貯留する貯留部62と、この貯留部62に浸漬して表面が布製である洗浄ロール63と、リンク64によりパタンドロール51と洗浄ロール63との間で往復胴自在な粘着ロール65とから構成されている。この場合、粘着ロール65は、パタンドロール51より高い粘着性を有している。
【0051】
ここで、上述のように構成された実施例1の電子写真印刷装置における電子写真印刷方法について、図1及び図2を用いて詳細に説明する。なお、図1にて、OPC感光体21と転写ベルト33の各表面に四角状に記載されたものが画線部に対応して形成されたトナー画像であり、点状に記載されたものが非画線部に付着したトナーである。また、パタンドロール51の表面に四角状に形成されたものが画線部に対応して形成された非粘着部であり、この四角状に形成されたもののない領域が非画線部に対応して形成された粘着部である。
【0052】
実施例1の電子写真印刷装置において、図1及び図2に示すように、感光体ユニット11のOPC感光体21の外周面は、帯電装置24により約−1000Vの電位が印加される。その後、約−1000Vとされたこの外周面に対して、露光装置25から出射された光が照射される。光が照射された外周面の領域においては、電位の一部が抜けてこの領域の電位が約−150Vに低下する。露光装置25は、図示しない制御装置から送られる画像信号に基づいて光の出射が制御され、所定の像をOPC感光体21上に描いている。そのため、OPC感光体21の外周面に電位差による静電潜像が形成される。
【0053】
この静電潜像には、電位差により現像装置26の現像ローラからトナーが付着する。つまり、OPC感光体21の外周面における電位は約−1000Vであり、静電潜像における電位は約−150Vであり、現像ローラの電位は約−800Vであるため、負に帯電したトナーは、静電潜像の上にのみ付着する。しかしながら、特に、帯電が弱いトナーがOPC感光体21の画線部から離れ、非画線部に対して僅かながら付着する。本実施形態においては、この非画線部のトナーをトナー除去ユニット15のパタンドロール51により除去する。
【0054】
まず、ステップS11にて、トナー除去ユニット15のパタンドロール51に非画線部に応じた粘着部を形成する。即ち、上述したように、OPC感光体21の潜像上に付着したトナーは、中間転写体12の転写ベルト33と対向する領域にて、OPC感光体21の回転により搬送される。この領域において、帯電装置24によりOPC感光体21に形成された負に帯電したトナー画像が転写ベルト33の上に転写される。このとき、トナーが転写された後のOPC感光体21では、クリーニング装置22により転写せずに残ったトナーが除去される。その後、除電装置23によりOPC感光体21上に残る潜像が消される。
【0055】
一方、中間転写体12の転写ベルト33に転写されたトナー画像は、トナー除去ユニット15のパタンドロール51と対向する領域にて、転写ベルト33の移動により搬送される。この領域において、転写ベルト33に形成されたトナー画像がパタンドロール51の粘着力により外周面に転写される。ここで、パタンドロール51は、外周面にて、画線部に対応した部分にトナーが付着することから、トナーが付着していない部分のみが粘着部となり、このパタンドロール51の外周面に非画線部に応じた粘着部が形成される。
【0056】
ステップS12では、パタンドロール51によるトナー除去回数カウンタをクリア(K=0)とする。そして、ステップS13にて、電子印刷を開始する。即ち、前述と同様に、感光体ユニット11のOPC感光体21の外周面に画線部に応じたトナー画像を形成し、このOPC感光体21の外周面に形成したトナー画像を中間転写体12の転写ベルト33に転写する。そして、この転写ベルト33に転写されたトナー画像が、トナー除去ユニット15のパタンドロール51と対向する領域に到達したとき、転写ベルト33の非画線部に対応した領域に僅かながら付着しているトナーがパタンドロール51の粘着部により除去される。
【0057】
即ち、パタンドロール51は、OPC感光体21と周長が同じで整数倍の周長に設定されており、パタンドロール51に形成された粘着部は、OPC感光体21で形成された画線部に対応したトナー画像に基づいて形成されている。そのため、OPC感光体21の外周面に形成されたトナー画像が、転写ベルト33に転写されてパタンドロール51に到達したとき、パタンドロール51に付着したトナーと転写ベルト33に転写されたトナー画像が一致する。すると、パタンドロール51の粘着部と転写ベルト33の非画線部とが一致し、転写ベルト33の非画線部に僅かながら付着しているトナーをパタンドロール51の粘着部により除去することができる。
【0058】
そして、パタンドロール51の粘着部により非画線部のトナーが除去された転写ベルト33上のトナー画像は、転写ベルト33が定着装置14の熱転写ロール(駆動ロール)31に巻き付けられるときに加熱される。一方、定着装置14に対して、ガラス搬送装置13によりガラス定盤44上に搭載されたガラス板Gが搬送され、温度が上昇して溶融した転写ベルト33上のトナー画像が、このガラス板Gの表面に密着するとき、溶融したトナー画像がガラス板Gに転写されて定着させる。
【0059】
ステップS14では、1回の印刷ごとにトナー除去回数カウンタをカウントアップ(+1)している。そして、ステップS15にて、トナー除去回数カウンタのカウントKが予め設定された除去限界回数Ksを超えたかどうかを判定している。ここで、トナー除去回数カウンタのカウントKが除去限界回数Ksを超えていないと判定されたら、ステップS16にて、印刷する画像を変更するかどうかを判定する。ここで、印刷する画像を変更しないと判定されたら、ステップS13に戻って印刷作業を継続する。
【0060】
一方、ステップS15にて、トナー除去回数カウンタのカウントKが除去限界回数Ksを超えたと判定されたり、ステップS16にて、印刷する画像を変更すると判定されたら、ステップS17にて、トナー洗浄装置61により印刷を中断してパタンドロール51を洗浄する。即ち、粘着ロール65をパタンドロール51に対接する位置に移動し、連れ回りさせることで、パタンドロール51の外周面に付着しているトナーを粘着ロール65により粘着除去する。粘着ロール65がパタンドロール51の外周面に付着しているトナーを全て除去すると、粘着ロール65を洗浄ロール63に対接する位置に移動し、この洗浄ロール63により粘着ロール65に付着しているトナーを洗い流す。
【0061】
一方、トナー洗浄装置61によりパタンドロール51のトナーが全て除去されると、前述と同様に、ステップS11からの処理を再び実行する。
【0062】
実施例1では、非画線部に対応する粘着部を有するパタンドロール51により転写ベルト33上の非画線部のトナーを除去することで、90%以上の地かぶりが防止される。ウレタンゴムでは、地かぶりの除去率が90.3%であり、シリコンゴムでは、地かぶりの除去率が93.6%である。また、シリコンゴムでは、画線部に対応するトナー画像におけるトナーの除去率が0.17%であり、トナー画像の膜厚をほぼ均一に維持できる。
【0063】
このように実施例1の電子写真印刷装置にあっては、OPC感光体21の表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置26によって帯電されたトナーが付着されてトナー画像を形成する感光体ユニット11と、OPC感光体21に形成されたトナー画像が転写ベルト33により転写されると共にこのトナー画像をガラス板Gに転写する中間転写体12と、転写ベルト33に転写されるトナー画像に同期して移動自在であると共に非画線部に対応して粘着部が設けられるパタンドロール51を有するトナー除去ユニット15とを設けている。
【0064】
従って、OPC感光体21の表面には静電潜像の画線部に対応して現像装置26によって帯電されたトナーが付着し、OPC感光体21に形成されたトナー画像が転写ベルト33を介してガラス板Gに転写されるとき、非画線部にあるトナーがパタンドロール51の粘着部により粘着除去されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができると共に、簡単な構成で地かぶりを抑制することが可能となり、装置の簡素化を可能とすることができる。
【0065】
この場合、パタンドロール51は、転写ベルト33における非画線部に対してのみ粘着力が作用することから、画線部にあるトナーを除去することはなく、トナー画像の膜厚を均一に維持し、印刷品質を向上することができる。
【0066】
また、実施例1の電子写真印刷装置では、パタンドロール51に、OPC感光体21からトナー画像を転写することで、非画線部に対応した粘着部を形成している。従って、パタンドロール51に非画線部に対応した粘着部を高精度に形成することができ、転写ベルト33の非画線部に付着したトナーのみを高精度に除去することができると共に、別途、装置を設けることなく、既存の装置でトナー除去体に粘着部を形成することができ、装置の大型化や高コスト化を抑制することができる。
【0067】
また、実施例1の電子写真印刷装置では、トナー除去体を中間転写体12の転写ベルト33に接近して回転可能なパタンドロール51としている。従って、適正箇所に容易に配置することができ、装置の小型化に寄与することができる。
【0068】
また、実施例1の電子写真印刷装置では、トナー除去体の表面に平滑な弾性層を設けており、平滑な弾性層により非画線部にある不要なトナーを確実に除去することができる。
【0069】
また、実施例1の電子写真印刷装置では、パタンドロール51に付着したトナーを除去するトナー洗浄装置61を設けている。従って、トナー洗浄装置61により定期的にパタンドロール51に付着したトナーを除去することができ、長期間にわたって地かぶりを防止することができる。
【実施例2】
【0070】
図3は、本発明の実施例2に係る電子写真印刷装置の概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0071】
実施例2の電子写真印刷装置は、図3に示すように、感光体ユニット11と、中間転写体71と、ガラス搬送装置13、定着装置73と、トナー除去ユニット15とから構成されている。感光体ユニット11は、トナーを選択的に吸着して像を形成するOPC感光体21を有し、その周囲に、クリーニング装置22と、除電装置23と、帯電装置24と、露光装置25と、現像装置26とが配置されている。
【0072】
中間転写体71は、感光体ユニット11の下方に配置され、OPC感光体21に接近するように設けられている。この中間転写体71は、OPC感光体21からトナー画像が転写される転写ロール72を有している。この転写ロール72は、略円柱状をなすドラム型に形成され、上述したOPC感光体21と同様な外径、周長に設定され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21と同期してその中心軸線回りに回転駆動されるように配置されている。なお、転写ロール72の表面には、剥離性の高いコーティング材がコーティングされている。
【0073】
ガラス搬送装置13は、搬送ロール(図示略)と、無端の搬送ベルト43とから構成され、この搬送ベルト43によりガラス板Gを搭載するガラス定盤44を水平方向に沿って搬送することができる。この場合、ガラス板Gは、印刷を行う表面が中間転写体71の転写ロール72に接近するように搬送される。
【0074】
定着装置73は、ガラス板Gに転写されたトナー画像に対して、熱エネルギを付与することで、このトナー画像をガラス板Gの表面に定着させるものである。この定着装置73は、熱転写ロール74を有しており、この熱転写ロール74は、加熱媒体を内蔵しており、ガラス板Gの表面のトナーに接触して転動することで、トナー画像に熱エネルギを付与する。すると、ガラス板G上のトナーの温度が上昇することから、このトナーが溶融し、溶融したトナー、つまり、ガラス板G上のトナー画像がこのガラス板Gの表面に転写されて定着する。
【0075】
トナー除去ユニット15は、トナーを選択的に粘着して非画線部に対応した粘着部を形成するトナー除去体としてのパタンドロール51を有している。このパタンドロール51は、OPC感光体21と同様な外径、周長に設定され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21及び転写ロール72と同期してその中心軸線回りに回転駆動されるように配置されている。また、パタンドロール51は、中間転写体71の転写ロール72に接近するように設けられている。
【0076】
このパタンドロール51は、表面に平滑な弾性層が設けられるように、ゴムローラにより構成されている。そして、パタンドロール51は、外周面に中間転写体71の転写ロール72からトナー画像が転写されることで、非画線部に対応した粘着部が形成される。即ち、印刷開始前に、感光体ユニット11のOPC感光体21に形成された画線部に対応したトナー画像が中間転写体71の転写ロール72に転写され、この転写ロール72に転写されたトナー画像がトナー除去ユニット15のパタンドロール51に転写される。このとき、パタンドロール51は、外周面の全面が粘着部であるが、転写ロール72から画線部に対応したトナー画像が転写されることから、非画線部に対応した部分のみが粘着部となる。
【0077】
パタンドロール51の周囲に隣接して、パタンドロール51に付着したトナーを除去するトナー洗浄装置61が設けられている。
【0078】
ここで、上述のように構成された実施例2の電子写真印刷装置における電子写真印刷方法について詳細に説明する。
【0079】
実施例2の電子写真印刷装置において、感光体ユニット11のOPC感光体21の外周面に対して、帯電装置24により電位が印加され、露光装置25からの光が照射されることで、この光の出射を制御して所定の像、つまり、静電潜像がOPC感光体21上に形成される。そして、現像装置26によりこの静電潜像に対して負に帯電したトナーが付着し、OPC感光体21の外周面にトナー画像が形成される。
【0080】
OPC感光体21が回転することで、外周面に形成されたトナー画像は、中間転写体71の転写ロール72と対向する領域にて、この転写ロール72の上に転写される。中間転写体71の転写ロール72に転写されたトナー画像は、トナー除去ユニット15のパタンドロール51と対向する領域にて、パタンドロール51の粘着力により外周面に転写される。ここで、パタンドロール51は、外周面にて、画線部に対応した部分にトナーが付着することから、トナーが付着していない部分のみが粘着部となり、このパタンドロール51の外周面に非画線部に応じた粘着部が形成される。
【0081】
トナー除去ユニット15にて、パタンドロール51の外周面に非画線部に応じた粘着部が形成されると、ここから実際の電子印刷作業が開始される。即ち、前述と同様に、感光体ユニット11のOPC感光体21の外周面に画線部に応じたトナー画像を形成し、このOPC感光体21の外周面に形成したトナー画像を中間転写体71の転写ロール72に転写する。そして、この転写ロール72に転写されたトナー画像が、トナー除去ユニット15のパタンドロール51と対向する領域に到達したとき、転写ロール72の非画線部に対応した領域に僅かながら付着しているトナーがパタンドロール51の粘着部により除去される。
【0082】
即ち、パタンドロール51は、OPC感光体21及び転写ロール72と周長が同じであり、パタンドロール51に形成された粘着部は、OPC感光体21で形成された画線部に対応したトナー画像に基づいて形成されている。そのため、OPC感光体21の外周面に形成されたトナー画像が、転写ロール72に転写されてパタンドロール51に到達したとき、パタンドロール51に付着したトナーと転写ロール72に転写されたトナー画像が一致する。すると、パタンドロール51の粘着部と転写ロール72の非画線部とが一致し、転写ロール72の非画線部に僅かながら付着しているトナーをパタンドロール51の粘着部により除去することができる。
【0083】
そして、パタンドロール51の粘着部により非画線部のトナーが除去された転写ロール72上のトナー画像は、転写ロール72がガラス搬送装置13によりガラス定盤44上に搭載されたガラス板Gに接近するときに転写される。そして、定着装置73にて、回転する熱転写ロール74がガラス板G上を転動することで、ガラス板Gtが加熱されてトナーが溶融し、この溶融したトナー画像がガラス板Gに定着される。
【0084】
なお、パタンドロール51の粘着部に多量のトナーが付着したり、印刷画像を変更するときには、印刷を中断し、トナー洗浄装置61によりパタンドロール51を洗浄する。
【0085】
このように実施例2の電子写真印刷装置にあっては、OPC感光体21の表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置26によって帯電されたトナーが付着されてトナー画像を形成する感光体ユニット11と、OPC感光体21に形成されたトナー画像が転写ロール72により転写されると共にこのトナー画像をガラス板Gに転写する中間転写体71と、転写ロール72に転写されるトナー画像に同期して移動自在であると共に非画線部に対応して粘着部が設けられるパタンドロール51を有するトナー除去ユニット15とを設けている。
【0086】
従って、OPC感光体21の表面には静電潜像の画線部に対応して現像装置26によって帯電されたトナーが付着し、OPC感光体21に形成されたトナー画像が転写ロール72を介してガラス板Gに転写されるとき、非画線部にあるトナーがパタンドロール51の粘着部により粘着除去されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができると共に、簡単な構成で地かぶりを抑制することが可能となり、装置の簡素化を可能とすることができる。
【0087】
また、実施例2の電子写真印刷装置では、中間転写体71をOPC感光体21に接近して配置される転写ロール72としており、装置をコンパクトに配置することができ、装置の小型化に寄与することができる。
【実施例3】
【0088】
図4は、本発明の実施例3に係る電子写真印刷装置の概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0089】
実施例3の電子写真印刷装置は、図4に示すように、感光体ユニット11と、中間転写体12と、ガラス搬送装置13、定着装置14と、トナー除去ユニット81とから構成されている。感光体ユニット11は、トナーを選択的に吸着して像を形成するOPC感光体21を有し、その周囲に、クリーニング装置22と、除電装置23と、帯電装置24と、露光装置25と、現像装置26とが配置されている。
【0090】
中間転写体12は、感光体ユニット11の下方に水平をなして配置され、OPC感光体21に接近するように設けられている。この中間転写体12は、駆動ロール31,32と、無端の転写ベルト33と、静電転写ロール34とから構成されている。この場合、転写ベルト33は、所定の長さに設定され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21と同期して移動されるように配置されている。
【0091】
ガラス搬送装置13は、搬送ロール(図示略)と、無端の搬送ベルト43とから構成され、この搬送ベルト43によりガラス板Gを搭載するガラス定盤44を水平方向に沿って搬送することができる。この場合、ガラス板Gは、印刷を行う表面が中間転写体12の転写ベルト33に接近するように搬送される。
【0092】
定着装置14は、中間転写体12とガラス板Gとの間にあるトナー画像に対して、熱エネルギを付与することで、このトナー画像をガラス板Gの表面に定着させるものである。この定着装置14は、中間転写体12に駆動ロール31として設けられた熱転写ロールを有しており、加熱媒体を内蔵して中間転写体12の転写ベルト33を通して熱エネルギを付与する。定着装置14は、中間転写体12に駆動ロール32として設けられた冷却ロールを有し、熱転写ロール31により加熱された転写ベルト33を冷却する。
【0093】
トナー除去ユニット81は、トナーを選択的に粘着して非画線部に対応した粘着部を形成するトナー除去体として機能するものであり、感光体ユニット11の側方で、中間転写体12の上方に水平をなして配置され、OPC感光体21に接近するように設けられている。このトナー除去ユニット81は、前後一対の駆動ロール82,83と、この駆動ロール82,83に掛け回される無端のパタンドベルト84とから構成されている。このパタンドベルト84は、トナー画像の長さと同じ周長に設定され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21及び中間転写体12と同期して駆動されるように配置されている。
【0094】
このパタンドベルト84は、表面に平滑な弾性層が設けられるように、ゴムベルトにより構成されている。そして、パタンドベルト84は、外周面に感光体ユニット11のOPC感光体21からトナー画像が転写されることで、非画線部に対応した粘着部が形成される。即ち、印刷開始前に、感光体ユニット11のOPC感光体21に形成された画線部に対応したトナー画像がトナー除去ユニット81のパタンドベルト84に転写される。このとき、パタンドベルト84は、外周面の全面が粘着部であるが、OPC感光体21から画線部に対応したトナー画像が転写されることから、非画線部に対応した部分のみが粘着部となる。
【0095】
なお、図示しないが、パタンドベルト84の周囲に外周面に付着したトナーを除去するトナー洗浄装置を設けられている。
【0096】
ここで、上述のように構成された実施例3の電子写真印刷装置における電子写真印刷方法について詳細に説明する。
【0097】
実施例3の電子写真印刷装置において、感光体ユニット11のOPC感光体21の外周面に対して、帯電装置24により電位が印加され、露光装置25からの光が照射されることで、この光の出射を制御して所定の像、つまり、静電潜像がOPC感光体21上に形成される。そして、現像装置26によりこの静電潜像に対して負に帯電したトナーが付着し、OPC感光体21の外周面にトナー画像が形成される。
【0098】
OPC感光体21が回転することで、外周面に形成されたトナー画像は、トナー除去ユニット81のパタンドベルト84と対向する領域にて、パタンドベルト84の粘着力により外周面に転写される。ここで、パタンドベルト84は、外周面にて、画線部に対応した部分にトナーが付着することから、トナーが付着していない部分のみが粘着部となり、このパタンドベルト84の外周面に非画線部に応じた粘着部が形成される。
【0099】
トナー除去ユニット81にて、パタンドベルト84の外周面に非画線部に応じた粘着部が形成されると、ここから実際の電子印刷作業が開始される。即ち、前述と同様に、感光体ユニット11のOPC感光体21の外周面に画線部に応じたトナー画像を形成し、このOPC感光体21の外周面に形成したトナー画像が、トナー除去ユニット81のパタンドベルト84と対向する領域に到達したとき、OPC感光体21の非画線部に対応した領域に僅かながら付着しているトナーがパタンドベルト84の粘着部により除去される。
【0100】
即ち、パタンドベルト84は、トナー画像の長さと同じ周長に設定され、パタンドベルト84に形成された粘着部は、OPC感光体21で形成された画線部に対応したトナー画像に基づいて形成されている。そのため、OPC感光体21の外周面に形成されたトナー画像がパタンドベルト84に到達したとき、パタンドベルト84に付着したトナーとOPC感光体21のトナー画像が一致する。すると、パタンドベルト84の粘着部とOPC感光体21の非画線部とが一致し、OPC感光体21の非画線部に僅かながら付着しているトナーをパタンドベルト84の粘着部により除去することができる。
【0101】
そして、パタンドベルト84の粘着部により非画線部のトナーが除去されたOPC感光体21のトナー画像は、このOPC感光体21が回転することで、中間転写体12の転写ベルト33と対向する領域にて、この転写ベルト33の上に転写される。そして、この転写ベルト33上のトナー画像は、転写ベルト33が定着装置14の熱転写ロール(駆動ロール)31に巻き付けられるときに加熱される。一方、定着装置14に対して、ガラス搬送装置13によりガラス定盤44上に搭載されたガラス板Gが搬送され、温度が上昇して溶融した転写ベルト33上のトナー画像が、このガラス板Gの表面に密着するとき、溶融したトナー画像がガラス板Gに転写されて定着させる。
【0102】
このように実施例3の電子写真印刷装置にあっては、OPC感光体21の表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置26によって帯電されたトナーが付着されてトナー画像を形成する感光体ユニット11と、OPC感光体21に形成されたトナー画像が転写ベルト33により転写されると共にこのトナー画像をガラス板Gに転写する中間転写体12と、OPC感光体21に形成されるトナー画像に同期して移動自在であると共に非画線部に対応して粘着部が設けられるパタンドベルト84を有するトナー除去ユニット81とを設けている。
【0103】
従って、OPC感光体21の表面には静電潜像の画線部に対応して現像装置26によって帯電されたトナーが付着し、このOPC感光体21が回転するとき、非画線部にあるトナーがパタンドベルト84の粘着部により粘着除去されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができると共に、簡単な構成で地かぶりを抑制することが可能となり、装置の簡素化を可能とすることができる。
【0104】
また、実施例3の電子写真印刷装置では、トナー除去ユニット81をOPC感光体21に接近して配置されるパタンドベルト84としており、狭い場所であっても装置を効率的に配置することができ、装置の小型化に寄与することができる。
【実施例4】
【0105】
図5は、本発明の実施例4に係る電子写真印刷装置の概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0106】
実施例4の電子写真印刷装置は、図5に示すように、感光体ユニット11と、中間転写体12と、ガラス搬送装置13、定着装置14と、トナー除去ユニット91とから構成されている。感光体ユニット11は、トナーを選択的に吸着して像を形成するOPC感光体21を有し、その周囲に、クリーニング装置22と、除電装置23と、帯電装置24と、露光装置25と、現像装置26とが配置されている。
【0107】
中間転写体12は、感光体ユニット11の下方に水平をなして配置され、OPC感光体21に接近するように設けられている。この中間転写体12は、駆動ロール31,32と、無端の転写ベルト33と、静電転写ロール34とから構成されている。この場合、転写ベルト33は、所定の長さに設定され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21と同期して移動されるように配置されている。
【0108】
ガラス搬送装置13は、搬送ロール(図示略)と、無端の搬送ベルト43とから構成され、この搬送ベルト43によりガラス板Gを搭載するガラス定盤44を水平方向に沿って搬送することができる。この場合、ガラス板Gは、印刷を行う表面が中間転写体12の転写ベルト33に接近するように搬送される。
【0109】
定着装置14は、中間転写体12とガラス板Gとの間にあるトナー画像に対して、熱エネルギを付与することで、このトナー画像をガラス板Gの表面に定着させるものである。この定着装置14は、中間転写体12に駆動ロール31として設けられた熱転写ロールを有しており、加熱媒体を内蔵して中間転写体12の転写ベルト33を通して熱エネルギを付与する。定着装置14は、中間転写体12に駆動ロール32として設けられた冷却ロールを有し、熱転写ロール31により加熱された転写ベルト33を冷却する。
【0110】
トナー除去ユニット91は、トナーを選択的に粘着して非画線部に対応した粘着部を形成するトナー除去体としてのパタンドロール92を有している。このパタンドロール92は、ガラス搬送装置13におけるガラスGの搬送方向の下流側で、且つ、中間転写体12の前方に配置されている。パタンドロール92は、トナー画像の長さと同じ周長に設定され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21及び転写ベルト33と同期してその中心軸線回りに回転駆動されるように配置されている。また、パタンドロール92は、ガラス搬送装置13で搬送されるガラス定盤44上のガラス板Gに接近するように設けられている。
【0111】
このパタンドロール92は、表面に平滑な弾性層が設けられるように、ゴムローラにより構成されている。そして、パタンドロール92は、外周面にガラス板Gの表面からトナー画像が転写されることで、非画線部に対応した粘着部が形成される。即ち、印刷開始前に、感光体ユニット11のOPC感光体21に形成された画線部に対応したトナー画像が中間転写体12の転写ベルト33に転写され、この転写ベルト33に転写されたトナー画像がガラス板Gに転写され、このガラス板Gに転写されたトナー画像がトナー除去ユニット91のパタンドロール92に転写される。このとき、パタンドロール92は、外周面の全面が粘着部であるが、ガラス板Gから画線部に対応したトナー画像が転写されることから、非画線部に対応した部分のみが粘着部となる。
【0112】
ここで、上述のように構成された実施例4の電子写真印刷装置における電子写真印刷方法について詳細に説明する。
【0113】
実施例4の電子写真印刷装置において、感光体ユニット11のOPC感光体21の外周面に対して、帯電装置24により電位が印加され、露光装置25からの光が照射されることで、この光の出射を制御して所定の像、つまり、静電潜像がOPC感光体21上に形成される。そして、現像装置26によりこの静電潜像に対して負に帯電したトナーが付着し、OPC感光体21の外周面にトナー画像が形成される。
【0114】
OPC感光体21が回転することで、外周面に形成されたトナー画像は、中間転写体12の転写ベルト33と対向する領域にて、この転写ベルト33の上に転写される。この転写ベルト33上のトナー画像は、転写ベルト33がガラス搬送装置13により搬送されるガラス定盤44上のガラス板Gに接近するときに、転写ベルト33上のトナー画像がガラス板Gに転写される。そして、ガラス板Gの表面に転写されたトナー画像が、トナー除去ユニット91のパタンドロール92と対向する領域にて、パタンドロール92の粘着力により外周面に転写される。ここで、パタンドロール92は、外周面にて、画線部に対応した部分にトナーが付着することから、トナーが付着していない部分のみが粘着部となり、このパタンドロール92の外周面に非画線部に応じた粘着部が形成される。
【0115】
トナー除去ユニット91にて、パタンドロール92の外周面に非画線部に応じた粘着部が形成されると、ここから実際の電子印刷作業が開始される。即ち、前述と同様に、感光体ユニット11のOPC感光体21の外周面に画線部に応じたトナー画像を形成し、このOPC感光体21の外周面に形成したトナー画像が、中間転写体12の転写ベルト33と対向する領域にて、この転写ベルト33の上に転写される。この転写ベルト33上のトナー画像は、転写ベルト33が定着装置14の熱転写ロール(駆動ロール)31に巻き付けられるときに加熱される。一方、定着装置14に対して、ガラス搬送装置13によりガラス定盤44上に搭載されたガラス板Gが搬送され、温度が上昇して溶融した転写ベルト33上のトナー画像が、このガラス板Gの表面に密着するとき、溶融したトナー画像がガラス板Gに転写されて定着させる。
【0116】
ガラス板Gの表面に転写されたトナー画像が、トナー除去ユニット91のパタンドロール92と対向する領域に到達したとき、ガラス板Gの非画線部に対応した領域に僅かながら付着しているトナーがパタンドロール92の粘着部により除去される。即ち、パタンドロール92の粘着部とガラス板Gの非画線部とが一致し、ガラス板Gの非画線部に僅かながら付着しているトナーをパタンドロール92の粘着部により除去することができる。
【0117】
なお、本実施例では、ガラス板Gの表面に定着された後に、このガラス板Gの非画線部にあるトナーをパタンドロール92により粘着除去する。この場合、トナーをガラス板Gの表面に定着した直後であれば、トナーがガラス板Gの表面に完全に定着しておらず、溶融状態にあることから、パタンドロール92に大きな粘着力を確保することで、ガラス板Gの非画線部にあるトナーを粘着除去することができる。
【0118】
このように実施例4の電子写真印刷装置にあっては、OPC感光体21の表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置26によって帯電されたトナーが付着されてトナー画像を形成する感光体ユニット11と、OPC感光体21に形成されたトナー画像が転写ベルト33により転写されると共にこのトナー画像をガラス板Gに転写する中間転写体12と、ガラス板Gに転写されるトナー画像に同期して移動自在であると共に非画線部に対応して粘着部が設けられるパタンドロール92を有するトナー除去ユニット91とを設けている。
【0119】
従って、OPC感光体21の表面には静電潜像の画線部に対応して現像装置26によって帯電されたトナーが付着し、OPC感光体21に形成されたトナー画像が転写ベルト33を介してガラス板Gに転写されるとき、ガラス板Gの非画線部にあるトナーがパタンドロール92の粘着部により粘着除去されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができると共に、簡単な構成で地かぶりを抑制することが可能となり、装置の簡素化を可能とすることができる。
【0120】
また、実施例4の電子写真印刷装置では、ガラス板Gの表面に定着された後に、このガラス板Gの非画線部にあるトナーをパタンドロール92により粘着除去している。電子写真印刷装置では、トナーが小粒径となる粉体であることから、周囲に浮遊している。そのため、ガラス板Gの表面に定着された後、つまり、製品となる直前に不要なトナーを除去することで、製品の品質を向上することができる。
【実施例5】
【0121】
図6は、本発明の実施例5に係る電子写真印刷装置の概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0122】
実施例5の電子写真印刷装置は、図6に示すように、感光体ユニット11と、中間転写体12と、ガラス搬送装置13、定着装置14と、トナー除去ユニット15、第2感光体ユニット101とから構成されている。感光体ユニット11は、トナーを選択的に吸着して像を形成するOPC感光体21を有し、その周囲に、クリーニング装置22と、除電装置23と、帯電装置24と、露光装置25と、現像装置26とが配置されている。
【0123】
中間転写体12は、感光体ユニット11の下方に水平をなして配置され、OPC感光体21に接近するように設けられている。この中間転写体12は、駆動ロール31,32と、無端の転写ベルト33と、静電転写ロール34とから構成されている。この場合、転写ベルト33は、トナー画像の長さと同じ周長に設定され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21と同期して移動されるように配置されている。
【0124】
ガラス搬送装置13は、搬送ロール(図示略)と、無端の搬送ベルト43とから構成され、この搬送ベルト43によりガラス板Gを搭載するガラス定盤44を水平方向に沿って搬送することができる。この場合、ガラス板Gは、印刷を行う表面が中間転写体12の転写ベルト33に接近するように搬送される。
【0125】
定着装置14は、中間転写体12とガラス板Gとの間にあるトナー画像に対して、熱エネルギを付与することで、このトナー画像をガラス板Gの表面に定着させるものである。この定着装置14は、中間転写体12に駆動ロール31として設けられた熱転写ロールを有しており、加熱媒体を内蔵して中間転写体12の転写ベルト33を通して熱エネルギを付与する。定着装置14は、中間転写体12に駆動ロール32として設けられた冷却ロールを有し、熱転写ロール31により加熱された転写ベルト33を冷却する。
【0126】
トナー除去ユニット15は、トナーを選択的に粘着して非画線部に対応した粘着部を形成するトナー除去体としてのパタンドロール51を有している。このパタンドロール51は、トナー画像の長さと同じ周長に設定され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21と同期してその中心軸線回りに回転駆動されるように配置されている。また、パタンドロール51は、中間転写体12の転写ベルト33に接近するように設けられている。
【0127】
第2感光体ユニット101は、トナーを選択的に吸着して像を形成する第2OPC感光体102を有している。この第2OPC感光体102は、略円柱状をなすドラム型に形成され、図示しない駆動装置により、OPC感光体21、転写ベルト33、パタンドロール51と同期し、その中心軸線回りに回転駆動されるように配置されている。そして、第2OPC感光体102の周囲には、パタンドロール51に対する対向領域から回転方向に向かって、クリーニング装置103と、除電装置104と、帯電装置105と、露光装置106と、現像装置107とが配置されている。なお、このクリーニング装置103、除電装置104、帯電装置105、露光装置106、現像装置107は、感光体ユニット11におけるクリーニング装置22、除電装置23、帯電装置24、露光装置25、現像装置26と同様の構成であることから、説明は省略する。
【0128】
トナー除去ユニット15のパタンドロール51は、表面に平滑な弾性層が設けられるように、ゴムローラにより構成されている。そして、パタンドロール51は、外周面に第2感光体ユニット101の第2OPC感光体102からトナー画像が転写されることで、非画線部に対応した粘着部が形成される。即ち、印刷開始前に、第2感光体ユニット101の第2OPC感光体102に形成された画線部にトナー画像が形成され、このトナー画像がトナー除去ユニット15のパタンドロール51に転写される。このとき、パタンドロール51は、外周面の全面が粘着部であるが、第2OPC感光体102から画線部に対応したトナー画像が転写されることから、非画線部に対応した部分のみが粘着部となる。
【0129】
ここで、上述のように構成された実施例5の電子写真印刷装置における電子写真印刷方法について詳細に説明する。
【0130】
実施例5の電子写真印刷装置において、第2感光体ユニット101の第2OPC感光体102の外周面に対して、帯電装置105により電位が印加され、露光装置106からの光が照射されることで、この光の出射を制御して所定の像、つまり、静電潜像が第2OPC感光体102上に形成される。そして、現像装置107によりこの静電潜像に対して負に帯電したトナーが付着し、第2OPC感光体102の外周面にトナー画像が形成される。
【0131】
そして、この第2OPC感光体102が回転することで、外周面に形成されたトナー画像は、トナー除去ユニット15のパタンドロール51と対向する領域にて、パタンドロール51の粘着力により外周面に転写される。ここで、パタンドロール51は、外周面にて、画線部に対応した部分にトナーが付着することから、トナーが付着していない部分のみが粘着部となり、このパタンドロール51の外周面に非画線部に応じた粘着部が形成される。
【0132】
トナー除去ユニット15にて、パタンドロール51の外周面に非画線部に応じた粘着部が形成されると、ここから実際の電子印刷作業が開始される。即ち、感光体ユニット11のOPC感光体21の外周面に対して、帯電装置24により電位が印加され、露光装置25からの光が照射されることで、この光の出射を制御して所定の像、つまり、静電潜像がOPC感光体21上に形成される。そして、現像装置26によりこの静電潜像に対して負に帯電したトナーが付着し、OPC感光体21の外周面にトナー画像が形成される。ここで、OPC感光体21の外周面に形成されたトナー画像と、第2OPC感光体102の外周面に形成されたトナー画像とは同一のものである。
【0133】
そして、このOPC感光体21が回転することで、外周面に形成されたトナー画像は、中間転写体12の転写ベルト33と対向する領域にて、この転写ベルト33の上に転写する。この転写ベルト33に転写されたトナー画像は、トナー除去ユニット15のパタンドロール51と対向する領域に到達したとき、転写ベルト33の非画線部に対応した領域に僅かながら付着しているトナーがパタンドロール51の粘着部により除去される。
【0134】
即ち、パタンドロール51は、OPC感光体21及び第2OPC感光体102と周長が同じであり、また、OPC感光体21のトナー画像と第2OPC感光体102のトナー画像とが同一のものであり、パタンドロール51に形成された粘着部は、第2OPC感光体102で形成された画線部に対応したトナー画像に基づいて形成されている。この場合、OPC感光体21と第2OPC感光体102との周長が同じである必要はなく、トナー画像の長さが同じであればよい。そのため、OPC感光体21の外周面に形成されたトナー画像が、転写ベルト33に転写されてパタンドロール51に到達したとき、パタンドロール51に付着したトナーと転写ベルト33に転写されたトナー画像が一致する。すると、パタンドロール51の粘着部と転写ベルト33の非画線部とが一致し、転写ベルト33の非画線部に僅かながら付着しているトナーをパタンドロール51の粘着部により除去することができる。
【0135】
そして、パタンドロール51の粘着部により非画線部のトナーが除去された転写ベルト33上のトナー画像は、転写ベルト33が定着装置14の熱転写ロール(駆動ロール)31に巻き付けられるときに加熱される。一方、定着装置14に対して、ガラス搬送装置13によりガラス定盤44上に搭載されたガラス板Gが搬送され、温度が上昇して溶融した転写ベルト33上のトナー画像が、このガラス板Gの表面に密着するとき、溶融したトナー画像がガラス板Gに転写されて定着させる。
【0136】
このように実施例5の電子写真印刷装置にあっては、OPC感光体21の表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置26によって帯電されたトナーが付着されてトナー画像を形成する感光体ユニット11と、OPC感光体21に形成されたトナー画像が転写ベルト33により転写されると共にこのトナー画像をガラス板Gに転写する中間転写体12と、転写ベルト33に転写されるトナー画像に同期して移動自在であると共に非画線部に対応して粘着部が設けられるパタンドロール51を有するトナー除去ユニット15と、OPC感光体21に形成されるトナー画像と同様のトナー画像が形成される第2OPC感光体102を有する第2感光体ユニット101を設けている。
【0137】
従って、第2OPC感光体102の表面に静電潜像の画線部に対応して現像装置107により帯電されたトナーを付着し、第2OPC感光体102に形成されたトナー画像をパタンドロール51に転写して非画線部に対応した粘着部を事前に形成し、この状態で、OPC感光体21の表面に同様のトナー画像を形成し、OPC感光体21に形成されたトナー画像を転写ベルト33を介してガラス板Gに転写するとき、非画線部にあるトナーがパタンドロール51の粘着部により粘着除去されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができると共に、簡単な構成で地かぶりを抑制することが可能となり、装置の簡素化を可能とすることができる。
【0138】
この場合、パタンドロール51に非画線部に対応する粘着部を形成するための専用の第2OPC感光体102を設けることで、印刷準備にOPC感光体21を使用する必要がなく、印刷準備期間を短縮することで、生産効率を向上することができる。
【実施例6】
【0139】
図7は、本発明の実施例6に係る電子写真印刷装置におけるトナー洗浄装置を表す概略構成図、図8及び図9は、実施例6のトナー洗浄装置の変形例を表す概略構成図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0140】
実施例6の電子写真印刷装置において、図7に示すように、パタンドロール51の周囲に隣接して、パタンドロール51に付着したトナーを除去するトナー洗浄装置(トナー除去体洗浄装置)111が設けられている。このトナー洗浄装置111は、図示しないリンクによりパタンドロール51に対接する位置と離間する位置とに移動可能な粘着ロール112と、第1巻取ロール113と、第2巻取ロール114と、この巻取ロール113,114に巻かれる粘着テープ115とから構成されている。
【0141】
この場合、粘着テープ115は、第1巻取ロール113に巻き取られており、端部が第2巻取ロール114に巻き取られる。また、粘着ロール112は、パタンドロール51より高い粘着性を有し、粘着テープ115は、粘着ロール112より高い粘着性を有している。
【0142】
従って、粘着ロール112がパタンドロール51に対接する位置に移動すると、粘着ロール112がパタンドロール51に連れ回りすることで、パタンドロール51の外周面に付着しているトナーを粘着ロール112により粘着除去することができる。そして、粘着ロール112が多量のトナーを除去して粘着力が低下すると、この粘着ロール112をパタンドロール51から離間して粘着テープ115に接触する位置に移動し、第1巻取ロール113と第2巻取ロール114との間で、粘着テープ115を走行させることで、粘着ロール112に付着しているトナーを除去することができる。
【0143】
また、実施例6の変形例において、図8に示すように、パタンドロール51の周囲に隣接して、パタンドロール51に付着したトナーを除去するトナー洗浄装置(トナー除去体洗浄装置)121が設けられている。このトナー洗浄装置121は、洗浄液(エタノール等)を貯留する貯留部122と、図示しないリンクによりパタンドロール51に対接する位置とこの貯留部122に浸漬する位置に移動可能な粘着ロール123と、貯留部122に浸漬する粘着ロール123の表面をかき取るスクレーパ124とから構成されている。
【0144】
従って、粘着ロール123がパタンドロール51に対接する位置に移動すると、粘着ロール123がパタンドロール51に連れ回りすることで、パタンドロール51の外周面に付着しているトナーを粘着ロール123により粘着除去することができる。そして、粘着ロール123が多量のトナーを除去して粘着力が低下すると、この粘着ロール123をパタンドロール51から離間して貯留部122に浸漬する位置に移動し、粘着ロール123を回転しながらスクレーパ124を接触することで、粘着ロール123に付着しているトナーを除去することができる。
【0145】
更に、実施例6の変形例において、図9に示すように、パタンドロール51の周囲に隣接して、パタンドロール51に付着したトナーを除去するトナー洗浄装置(トナー除去体洗浄装置)131が設けられている。このトナー洗浄装置131は、洗浄液(エタノール等)を貯留する貯留部132と、図示しないリンクによりパタンドロール51に対接する位置とこの貯留部132に浸漬する位置に移動可能な粘着ロール133と、貯留部132内に設けられた超音波発信器134とから構成されている。
【0146】
従って、粘着ロール133がパタンドロール51に対接する位置に移動すると、粘着ロール133がパタンドロール51に連れ回りすることで、パタンドロール51の外周面に付着しているトナーを粘着ロール133により粘着除去することができる。そして、粘着ロール133が多量のトナーを除去して粘着力が低下すると、この粘着ロール133をパタンドロール51から離間して貯留部132に浸漬する位置に移動し、粘着ロール133を回転しながら超音波発信器134から超音波を発進することで、粘着ロール133に付着しているトナーを除去することができる。
【0147】
このように実施例6の電子写真印刷装置にあっては、パタンドロール51に付着したトナーを除去するトナー洗浄装置111,121,131を設けている。従って、トナー洗浄装置111,121,131により定期的にパタンドロール51に付着したトナーを除去することができ、長期間にわたって地かぶりを防止することができる。
【0148】
なお、上述した各実施例では、トナー除去ユニット(パタンドロール、パタンドベルト)に対して、OPC感光体に形成したトナー画像を転写して非画線部に対応した粘着部を設けたが、この方法に限定されるものではない。例えば、ロールやベルトの表面に対して画線部に対応する領域をマスキングした状態で粘着材をスプレーし、このマスキングを取外すことで、非画線部に対応した粘着部を設けてもよい。即ち、事前にローラやベルトの表面に非画線部に対応した領域だけ粘着材を塗布しておけばよい。
【0149】
また、上述した各実施例では、トナー除去ユニット(パタンドロール)を一つ設けたが、複数設けるとよい。具体的には、OPC感光体に対して第1トナー除去ユニットを設け、転写ベルトや転写ロールに対して第2トナー除去ユニットを設ける。従って、非画線部にあるトナーを効率良く除去することができる。この場合、転写ベルトや転写ロールに対して設ける第2トナー除去ユニットは、トナー画像の搬送方向における最下流側に設けることで、ガラス板に定着される直前に不要なトナーを除去し、製品品質を向上することができる。なお、トナー除去ユニットを複数設けるとき、一つはパタンドロールとして、もう一つはパタンドベルトとしてもよい。また、感光体ユニットと中間転写体を一つ設けたが、複数設けてもよい。
【0150】
また、上述の各実施例では、トナーを、銀の粉とガラスの粉を樹脂に練り込み、細かく粉砕し、赤外線吸収材を混ぜたものとしたが、これに限らず、例えば、黒トナーなどであってもよく、このように、もともと赤外線吸収バンドを有するトナーを使用する場合は、赤外線吸収剤を加えなくても本発明の電子写真印刷装置に適用することができる。また、本実施例では、被転写体をガラス板として説明したが、これに限らず、赤外線を透過するものであれば、ガラス板以外のものでも適用することができる。
【0151】
また、上述の各実施例では、感光体に付着したトナー画像を中間転写体を介して被転写体に転写するように構成したが、感光体に付着したトナー画像を直接被転写体に転写するように構成してもよい。また、感光体、中間転写体、トナー除去体をロールやベルトにより構成したが、これらに限定されるものではなく、回転などによりトナーやトナー画像等を移動することができればよいものである。例えば、感光体として現像シリンダや記録ドラム、露光装置として磁気ヘッドなどとしてもよい。また、ガラス搬送装置13を、搬送ロール41,42と搬送ベルト43により構成したが、この構成に限定されるものではなく、ガラス定盤44をホールネジやリニアガイドなどにより移動可能に支持してもよく、この場合、ガラス板Gの搬送精度を向上することができる。
【0152】
更に、上述の各実施例では、本発明の電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法を、感光体が移動するときにその表面に静電潜像を形成し、現像装置によってこの静電潜像の画線部に帯電したトナーを付着してトナー画像を形成し、感光体に形成されたトナー画像を被転写体に転写するものとして構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、担持体としての磁気ドラムが移動するときにその表面に書き込み磁気ヘッドにより磁気潜像を形成し、現像装置によってこの磁気潜像の画線部にあるトナーを付着してトナー画像を形成し、磁気ドラムに形成されたトナー画像を被転写体に転写するマグネトグラフィ方式としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明に係る電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法は、感光体から被転写体に転写されるトナー画像に同期してトナー除去体を移動して非画線部に対応した粘着部によりトナーを除去することで、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷可能とすると共に装置の簡素化を可能とするものであり、いずれの種類の電子写真印刷にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の実施例1に係る電子写真印刷装置の概略構成図である。
【図2】実施例1の電子写真印刷装置による印刷処理を表すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例2に係る電子写真印刷装置の概略構成図である。
【図4】本発明の実施例3に係る電子写真印刷装置の概略構成図である。
【図5】本発明の実施例4に係る電子写真印刷装置の概略構成図である。
【図6】本発明の実施例5に係る電子写真印刷装置の概略構成図である。
【図7】本発明の実施例6に係る電子写真印刷装置におけるトナー洗浄装置を表す概略構成図である。
【図8】実施例6のトナー洗浄装置の変形例を表す概略構成図である。
【図9】実施例6のトナー洗浄装置の変形例を表す概略構成図である。
【符号の説明】
【0155】
11 感光体ユニット(担持体ユニット)
12 中間転写体
13 ガラス搬送装置
14 定着装置
15 トナー除去ユニット
21 OPC感光体(担持体)
26 現像装置
33 転写ベルト
51 パタンドロール(トナー除去体)
61,111,121,131 トナー洗浄装置(トナー除去体洗浄装置)
71 中間転写体
72 転写ロール
81 トナー除去ユニット
84 パタンドベルト(トナー除去体)
91 トナー除去ユニット
92 パタンドロール(トナー除去体)
101 第2感光体ユニット
102 第2OPC感光体
G ガラス板(被転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動自在であると共に表面に形成される静電潜像または磁気潜像の画線部に現像装置によって処理されたトナーが付着される担持体と、
該担持体から被転写体に転写されるトナー画像に同期して移動自在であると共に非画線部に対応して粘着部が設けられるトナー除去体と、
を備えることを特徴とする電子写真印刷装置。
【請求項2】
前記担持体と前記被転写体との間に、前記担持体に形成されたトナー画像が転写されると共にこのトナー画像を被転写体に転写する中間転写体を設けることを特徴とする請求項1に記載の電子写真印刷装置。
【請求項3】
前記トナー除去体は、前記担持体または前記中間転写体からトナー画像が転写されることで、非画線部に対応した粘着部が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真印刷装置。
【請求項4】
前記トナー除去体は、非粘着部を有し、該非粘着部は、画線部に相当する位置の粘着部にトナーが付着して構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の電子写真印刷装置。
【請求項5】
前記トナー除去体は、非粘着部を有し、該非粘着部は、前記担持体または前記中間転写体からトナー画像が転写されることで形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の電子写真印刷装置。
【請求項6】
前記担持体に形成されるトナー画像と同様のトナー画像が形成される第2担持体を設け、前記トナー除去体は、前記第2担持体からトナー画像が転写されることで、非画線部に対応した粘着部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真印刷装置。
【請求項7】
前記トナー除去体は、前記担持体または前記中間転写体または前記被転写体のトナーに接触して回転可能なトナー除去ロールであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の電子写真印刷装置。
【請求項8】
前記トナー除去体は、前記担持体または前記中間転写体または前記被転写体のトナーに接触して循環可能なトナー除去ベルトであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の電子写真印刷装置。
【請求項9】
前記トナー除去体は、表面に平滑な弾性層が設けられることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の電子写真印刷装置。
【請求項10】
前記トナー除去体に付着したトナーを除去するトナー除去体洗浄装置が設けられることを特徴とする請求項1から9のいずれか一つに記載の電子写真印刷装置。
【請求項11】
担持体が移動するときにその表面に静電潜像または磁気潜像を形成し、現像装置によってこの静電潜像または磁気潜像の画線部にあるトナーを付着してトナー画像を形成し、該担持体に形成されたトナー画像を被転写体に転写する電子写真印刷方法において、
前記担持体から前記被転写体に転写されるトナー画像に同期して移動しながら接触することで、非画線部に付着したトナーを粘着除去する、
ことを特徴とする電子写真印刷方法。
【請求項12】
前記担持体から転写されるトナー画像を転写することで、非画線部に対応した粘着部を有するトナー除去体を形成し、該トナー除去体を前記担持体から前記被転写体に転写されるトナー画像に同期して移動しながら接触することで、非画線部に付着したトナーを粘着除去することを特徴とする請求項11に記載の電子写真印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−113036(P2010−113036A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283721(P2008−283721)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】