説明

電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

【課題】ブレードメクレの発生が抑制され、かつ、電子写真特性が良好な電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】電子写真感光体の表面層に、フルオロアルキル基及びフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有するアクリレートモノマ、メタクリレートモノマー他からなる特定の繰り返し構造単位を有する重合体を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機光導電性物質を用いた電子写真感光体(有機電子写真感光体)の研究開発が盛んに行われている。
電子写真感光体は、基本的には、支持体および該支持体上に設けられた感光層から構成されている。有機電子写真感光体の場合、感光層は、光導電性物質としての電荷発生物質および電荷輸送物質、ならびに、これらを結着する樹脂(結着樹脂)が使用される。
感光層の層構成としては、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とをそれぞれ電荷発生層と電荷輸送層とに分離(機能分離)した積層型と、単一層に電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを併せ持たせた単層型とがある。
電子写真感光体の大半は積層型の感光層が採用される。この場合、電荷輸送層が電子写真感光体の表面層となることが多い。
【0003】
電子写真装置における画像形成は、通常、以下のようにして行われる。
まず、電子写真感光体を帯電し、帯電された電子写真感光体に露光光を照射することにより、電子写真感光体に静電潜像を形成する。次いで、トナーを含む現像剤により静電潜像を現像し、形成したトナー像を電子写真感光体から転写材(紙など)に転写する。トナー像が転写された転写材は、像定着工程に供された後、装置外部に排出される。一方、転写工程後の電子写真感光体は、クリーニング工程により転写残トナーが除去され、さらに必要に応じて除電が行われた後、次の画像形成サイクルに供される。
【0004】
また、電子写真装置には、近年の高画質化のニーズを反映して、懸濁重合法や乳化重合法により製造される球形状のトナーが使用される場合が増加している。この球形状のトナーの表面の平滑性に起因し、たとえば、転写残トナーを電子写真感光体に当接させたクリーニング部材(クリーニングブレードなど)により清掃する際に、クリーニング部材をすり抜けることがある。
【0005】
このようなトナーのすり抜けを改善するために、電子写真装置の仕様に応じてクリーニング部材を最適化するため、クリーニング部材の電子写真感光体への当接圧や、取り付け角度や形状への設計の自由度を高める必要がある。
【0006】
電子写真装置の稼動中に、電子写真感光体でのクリーニングブレードの滑り性異常によりブレードがメクれる、いわゆる“ブレードメクレ”が発生する場合がある。
このブレードメクレは、クリーニングブレードと電子写真感光体の接触界面に転写残トナー(クリーニングブレードと電子写真感光体の間で滑り性を付与する粉末として機能する)が蓄積される前の、電子写真装置を設置した後の初期に発生しやすい。クリーニングブレードの材質がゴムの弾性体である場合は、高温高湿の環境が発生を増加させる傾向がある。
【0007】
そのため、ブレードメクレ防止の目的で電子写真感光体の表面層に添加剤を含有させると、ブレードの設計の自由度のアップに大幅に寄与できる。たとえば、特開昭62−014657号公報に開示された化合物を添加する方法がある。
しかし、添加剤の機能は、クリーニングブレードの滑り性を向上させてメクレを防止することであるため、電子写真特性に対して不活性である特性(感光層中で電荷移動の妨げとならない)もさらに求められる状況にある。
【0008】
なお、特開昭58−164656号公報には、フルオロアルキル基が直鎖構造であるフッ素系グラフトポリマーが開示されている。
【0009】
なお、特開2003−012588号公報には、トリフルオロメチル基を側鎖に有し、かつ、エーテル構造を有する含フッ素ポリマーが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ブレードメクレの発生が抑制され、かつ、電子写真特性が良好な電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、検討の結果、以下の知見を得た。
すなわち、ブレードメクレ対策のための添加剤の中でも、特開昭58−164656号公報に記載されているフッ素系グラフトポリマーの化合物を電子写真感光体の表面層に含有させることで、良好なブレードメクレ抑制効果が得られる。
【0012】
さらに、特開昭58−164656号公報に記載されているフッ素系グラフトポリマーを改良することで、具体的には、この化合物のフルオロアルキル基の部位の直鎖構造を特定の構造にすることにより、ブレードメクレ抑制効果に加え、電子写真特性の向上をも達成することができた。
【0013】
すなわち、本発明は、支持体および該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体の表面層が下記式(1):
【化1】

(上記式(1)中、Rは水素またはメチル基を示す。Rは単結合または2価の基を示す。Rfはフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有する1価の基を示す。)
で示される繰り返し構造単位を有する重合体を含有し、
該重合体が有する上記式(1)で示される繰り返し構造単位のうちの70〜100個数%が下記式(1−1)〜(1−6):
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

(上記式(1−1)〜(1−6)中、Rは水素またはメチル基を示す。R20は単結合またはアルキレン基を示す。R21は炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基を示す。R22は−R21−基または−O−R21−基を示す。R23は−Ar−基、−O−Ar−基または−O−Ar−R−基(Arはアリーレン基を示し、Rはアルキレン基を示す。)を示す。Rf10は少なくともフルオロアルキル基を有する1価の基を示す。Rf11は炭素−炭素結合による分岐構造を有するフルオロアルキル基を示す。Rf12は酸素で中断されたフルオロアルキル基を示す。Rf13は炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
のいずれかで示される繰り返し構造単位であることを特徴とする電子写真感光体である。
【0014】
また、本発明は、上記電子写真感光体を製造する方法であって、上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体を含有する表面層用塗布液を用いて該電子写真感光体の表面層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法である。
【0015】
また、本発明は、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0016】
また、本発明は、電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置である。
【0017】
本発明によれば、ブレードメクレの発生が抑制され、かつ、電子写真特性が良好な電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、初期のブレードメクレの発生を抑制し、かつ、電子写真特性を良好に維持することが可能な構成である。ここでいう初期とは、クリーニングブレードと電子写真感光体の接触界面に転写残トナー(クリーニングブレードと電子写真感光体の間で滑り性を付与する粉末として機能する)が十分に蓄積される前のことである。本発明では、電子写真感光体の表面層に、上記特定の繰り返し構造単位を有する重合体を含有させることで、上記目的を達成することができている。
【0019】
上記特定の繰り返し構造単位を有する重合体は、下記式(1):
【化8】

(上記式(1)中、Rは水素またはメチル基を示す。Rは単結合、または2価の基を示す。Rfはフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有する1価の基を示す。)
で示される繰り返し構造単位を有する重合体であり、該重合体が有する上記式(1)で示される繰り返し構造単位のうちの70〜100個数%が下記式(1−1)〜(1−6):
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

(上記式(1−1)〜(1−6)中、Rは水素またはメチル基を示す。R20は単結合またはアルキレン基を示す。R21は炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基を示す。R22は−R21−基または−O−R21−基を示す。R23は−Ar−基、−O−Ar−基または−O−Ar−R−基(Arはアリーレン基を示し、Rはアルキレン基を示す。)を示す。Rf10は少なくともフルオロアルキル基を有する1価の基を示す。Rf11は炭素−炭素結合による分岐構造を有するフルオロアルキル基を示す。Rf12は酸素で中断されたフルオロアルキル基を示す。Rf13は炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
のいずれかで示される繰り返し構造単位である。
【0020】
式(1)について
上記式(1)中のRは、水素またはメチル基を示す。
上記式(1)中のRは、単結合または2価の基を示す。2価の基としては、2価の基の構造中に少なくともアルキレン基またはアリーレン基を有しているものが好ましい。アルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基や、イソプロピレン基、イソブチレン基などの分岐アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。アリーレン基としては、たとえば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。これらの中でも、フェニレン基が好ましい。
【0021】
上記式(1)中のRfは、フルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有する1価の基を示す。フルオロアルキル基としては、たとえば、
【化15】

【化16】

【化17】

が挙げられる。また、フルオロアルキレン基としては、たとえば、
【化18】

【化19】

が挙げられる。
【0022】
式(1−1)について
上記式(1−1)中のRは、水素またはメチル基を示す。
上記式(1−1)中のR20は、単結合またはアルキレン基を示す。アルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
【0023】
上記式(1−1)中のRf11は、炭素−炭素結合による分岐構造を有するフルオロアルキル基を示す。ここで、炭素−炭素結合による分岐構造とは、最も長い結合鎖とその側鎖とが炭素−炭素結合によって結合されている構造を示している。また、最も長い結合鎖および/またはその側鎖の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。
【0024】
上記式(1−1)中のRf11の具体例を示す。
【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

これらの中でも、上記式(Rf11−1)、(Rf11−7)、(Rf11−17)、(Rf11−18)で示されるフルオロアルキル基が好ましい。
【0025】
上記式(1−1)で示される繰り返し構造単位の具体例を示す。
【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

これら中でも、上記式(1−1−3)、(1−1−4)、(1−1−6)、(1−1−7)、(1−1−10)、(1−1−11)、(1−1−13)、(1−1−14)で示される繰り返し構造単位が好ましい。
【0026】
ブレードメクレ抑制効果を得るためには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、その繰り返し構造単位中にフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有している重合体であることが重要である。さらに、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−1)〜(1−6)のいずれかで示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれる。
【0027】
上記式(1−1)で示される繰り返し構造単位の場合、本発明の効果は、上記式(1−1)で示される繰り返し構造単位に含有される炭素−炭素結合による分岐構造を有するフルオロアルキル基によって電子写真感光体の表面が低エネルギーになることによると本発明者らは考えている。
【0028】
さらには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−1)で示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれることが好ましく、90〜100個数%含まれることがより好ましい。
【0029】
式(1−2)について
上記式(1−2)中のRは、水素またはメチル基を示す。
上記式(1−2)中のR21は、炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基を示す。炭素−炭素結合による分岐構造とは、最も長い結合鎖とその側鎖とが炭素−炭素結合によって結合されている構造を示している。最も長い結合鎖は、炭素数2〜6で構成されることが好ましい。また、該側としては、たとえば、アルキル基、フルオロアルキル基などが挙げられる。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。フルオロアルキル基としては、たとえば、上記式(CF−1)〜(CF−3)で示される基が挙げられる。これらの中でも、上記式(CF−1)で示される基が好ましい。
【0030】
上記式(1−2)中のRf10は、少なくともフルオロアルキル基を有する1価の基を示す。フルオロアルキル基としては、たとえば、上記式(CF−1)〜(CF−3)で示される基が挙げられる。また、Rf10は、直鎖構造に限定されるものではなく、分枝構造であってもよい。また、Rf10は、酸素原子によって中断されたフルオロアルキル基であってもよい。
【0031】
上記式(1−2)中のRf10の具体例を示す。
【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

【化69】

【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

【化80】

【化81】

【化82】

【化83】

【化84】

【化85】

【化86】

【化87】

これらの中でも、上記式(Rf10−19)、(Rf10−24)で示されるフルオロアルキル基を有する1価の基が好ましい。
【0032】
上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位の具体例を示す。
【化88】

【化89】

【化90】

【化91】

【化92】

【化93】

【化94】

これらの中でも、上記式(1−2−1)または(1−2−2)で示される繰り返し構造単位が好ましい。
【0033】
上述のとおり、ブレードメクレ抑制効果を得るためには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、その繰り返し構造単位中にフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有している重合体であることが重要である。さらに、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−1)〜(1−6)のいずれかで示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれる。
【0034】
上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位の場合、本発明の効果は、上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位に含有されるフルオロアルキル基あるいはフルオロアルキレン基によって電子写真感光体の表面が低エネルギーになることによると本発明者らは考えている。また、炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基により、結着樹脂と本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体との相溶性が高められることによる電子写真感光体の表面の低エネルギー化もあると考えている。
【0035】
さらには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれることが好ましく、90〜100個数%含まれることがより好ましい。
【0036】
式(1−3)について
上記式(1−3)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0037】
上記式(1−3)中のR22は、−R21−基または−O−R21−基を示す。詳しくは、−R21−基は、炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基を示す。炭素−炭素結合による分岐構造とは、最も長い結合鎖とその側鎖とが炭素−炭素結合によって結合されている構造を示している。最も長い結合鎖は、炭素数2〜6で構成されることが好ましい。また、該側鎖としては、たとえば、アルキル基、フルオロアルキル基などが挙げられる。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。フルオロアルキル基としては、たとえば、上記式(CF−1)〜(CF−3)で示される基が挙げられる。これらの中でも、上記式(CF−1)で示される基が好ましい。また、−O−R21−基は、前記炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基が酸素原子を介して、Rf10と結合する構造であることを示す。
【0038】
上記式(1−3)中のRf10は、少なくともフルオロアルキル基を有する1価の基を示す。フルオロアルキル基としては、たとえば、上記式(CF−1)〜(CF−3)で示される基が挙げられる。また、Rf10は、直鎖構造に限定されるものではなく、分枝構造であってもよい。また、Rf10は、酸素原子によって中断されたフルオロアルキル基であってもよい。
【0039】
上記式(1−3)中のRf10の具体例としては、たとえば、上記式(Rf10−1)〜(Rf10−36)などが挙げられる。これらの中でも、上記式(Rf10−10)、(Rf10−19)で示されるフルオロアルキル基を有する1価の基が好ましい。
【0040】
上記式(1−3)で示される繰り返し構造単位の具体例を示す。
【化95】

【化96】

【化97】

【化98】

【化99】

【化100】

【化101】

【化102】

【化103】

【化104】

【化105】

【化106】

【化107】

【化108】

【化109】

【化110】

これらの中でも、上記式(1−3−1)、(1−3−2)、(1−3−3)、(1−3−4)、(1−3−6)、(1−3−9)、(1−3−10)、(1−3−11)、(1−3−12)、(1−3−14)で示される繰り返し構造単位が好ましい。
【0041】
上述のとおり、ブレードメクレ抑制効果を得るためには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、その繰り返し構造単位中にフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有している重合体であることが重要である。さらに、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−1)〜(1−6)のいずれかで示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれる。
【0042】
上記式(1−3)で示される繰り返し構造単位の場合、本発明の効果は、上記式(1−3)で示される繰り返し構造単位に含有されるフルオロアルキル基によって電子写真感光体の表面が低エネルギーになることによると本発明者らは考えている。また、炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基により、結着樹脂と本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体との相溶性が高められることによる電子写真感光体の表面の低エネルギー化もあると考えている。
【0043】
さらには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−3)で示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれることが好ましく、90〜100個数%含まれることがより好ましい。
【0044】
式(1−4)について
上記式(1−4)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0045】
上記式(1−4)中のR23は−Ar−基、−O−Ar−基または−O−Ar−R−基(Arはアリーレン基を示し、Rはアルキレン基を示す。)を示す。Arのアリーレン基としては、たとえば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。これらの中でも、フェニレン基が好ましい。Rのアルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基や、イソプロピレン基、イソブチレン基などの分岐アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。−O−Ar−基または−O−Ar−R−基は、酸素原子を介して、Rf10と結合する構造であることを示す。
【0046】
上記式(1−4)中のRf10は、少なくともフルオロアルキル基を有する1価の基を示す。フルオロアルキル基としては、たとえば、上記式(CF−1)〜(CF−3)で示される基が挙げられる。また、Rf10は、直鎖構造に限定されるものではなく、分枝構造であってもよい。また、Rf10は、酸素原子によって中断されたフルオロアルキル基であってもよい。
【0047】
上記式(1−4)中のRf10の具体例としては、たとえば、上記式(Rf10−1)〜(Rf10−36)などが挙げられる。これらの中でも、上記式(Rf10−21)、(Rf10−36)で示されるフルオロアルキル基を有する1価の基が好ましい。
【0048】
上記式(1−4)で示される繰り返し構造単位の具体例を示す。
【化111】

【化112】

【化113】

【化114】

【化115】

【化116】

【化117】

【化118】

【化119】

【化120】

【化121】

【化122】

【化123】

【化124】

【化125】

【化126】

【化127】

【化128】

これらの中でも、上記式(1−4−1)、(1−4−6)、(1−4−7)、(1−4−8)、(1−4−10)、(1−4−15)、(1−4−16)、(1−4−17)で示される繰り返し構造単位が好ましい。
【0049】
上述のとおり、ブレードメクレ抑制効果を得るためには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、その繰り返し構造単位中にフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有している重合体であることが重要である。さらに、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−1)〜(1−6)のいずれかで示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれる。
【0050】
上記式(1−4)で示される繰り返し構造単位の場合、本発明の効果は、上記式(1−4)で示される繰り返し構造単位に含有されるフルオロアルキル基によって電子写真感光体の表面が低エネルギーになることによると本発明者らは考えている。また、アリーレン基により、結着樹脂と本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体との相溶性が高められることによる電子写真感光体の表面の低エネルギー化もあると考えている。
【0051】
さらには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−4)で示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれることが好ましく、90〜100個数%含まれることがより好ましい。
【0052】
式(1−5)について
上記式(1−5)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0053】
上記式(1−5)中のR20は、単結合またはアルキレン基を示す。アルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
【0054】
上記式(1−5)中のRf12は、酸素で中断されたフルオロアルキル基を示す。酸素で中断されたフルオロアルキル基とは、最も長い結合鎖中に酸素原子を少なくとも1つ含有していることを示す。該酸素原子の両側または片側にフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基が存在してもよい。
【0055】
上記式(1−5)中のRf12の具体例を示す。
【化129】

【化130】

【化131】

【化132】

【化133】

【化134】

【化135】

【化136】

【化137】

【化138】

【化139】

【化140】

【化141】

【化142】

【化143】

【化144】

【化145】

これらの中でも、上記式(Rf12−13)、(Rf12−14)、(Rf12−16)、(Rf12−17)で示される基が好ましい。
【0056】
上記式(1−5)で示される繰り返し構造単位の具体例を示す。
【化146】

【化147】

【化148】

【化149】

【化150】

【化151】

【化152】

【化153】

【化154】

【化155】

【化156】

【化157】

【化158】

【化159】

これらの中でも、中でも上記式(1−5−2)、(1−5−4)、(1−5−5)、(1−5−6)、(1−5−8)、(1−5−11)、(1−5−12)、(1−5−13)で示される繰り返し構造単位が好ましい。
【0057】
上述のとおり、ブレードメクレ抑制効果を得るためには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、その繰り返し構造単位中にフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有している重合体であることが重要である。さらに、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−1)〜(1−6)のいずれかで示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれる。
【0058】
上記式(1−5)で示される繰り返し構造単位の場合、本発明の効果は、上記式(1−5)で示される繰り返し構造単位に含有されるフルオロアルキル基によって電子写真感光体の表面が低エネルギーになることによると本発明者らは考えている。また、フルオロアルキル基が酸素で中断されていることにより、結着樹脂と本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体との相溶性が高められることによる電子写真感光体の表面の低エネルギー化もあると考えている。
【0059】
さらには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−1)で示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれることが好ましく、90〜100個数%含まれることがより好ましい。
【0060】
式(1−6)について
上記式(1−6)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0061】
上記式(1−6)中のR20は、単結合またはアルキレン基を示す。アルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
【0062】
上記式(1−6)中のRf13は、炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基を示す。
【0063】
上記式(1−6)中のRf13の具体例を示す。
【化160】

【化161】

【化162】

これらの中でも、上記式(Rf13−1)、(Rf13−3)が好ましい。
【0064】
上記式(1−6)で示される繰り返し構造単位の具体例を示す。
【化163】

【化164】

【化165】

【化166】

【化167】

【化168】

【化169】

【化170】

【化171】

【化172】

【化173】

【化174】

【化175】

【化176】

【化177】

【化178】

これらの中でも、上記式(1−6−1)、(1−6−2)、(1−6−6)、(1−6−7)、(1−6−10)、(1−6−11)、(1−6−14)、(1−6−15)で示される繰り返し構造単位が好ましい。
【0065】
上述のとおり、ブレードメクレ抑制効果を得るためには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、その繰り返し構造単位中にフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有している重合体であることが重要である。さらに、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体には、上記式(1−1)〜(1−6)のいずれかで示される繰り返し構造単位が70〜100個数%含まれる。
【0066】
上記式(1−6)で示される繰り返し構造単位の場合、本発明の効果は、上記式(1−6)で示される繰り返し構造単位に含有されるフルオロアルキル基によって電子写真感光体の表面が低エネルギーになることによると本発明者らは考えている。また、フルオロアルキル基が炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基であることにより、結着樹脂と本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体との相溶性が高められることによる電子写真感光体の表面の低エネルギー化もあると考えている。
【0067】
さらには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、上記式(1−6)で示される繰り返し構造単位のみからなることが好ましい。
【0068】
さらに、ブレードメクレをより効果的に抑制するためには、上記式(1)で示される繰り返し構造単位に加えて、表面層の結着樹脂と親和性のある構造も本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体の構造中に持たせてもよい。
【0069】
表面層の結着樹脂と相溶性のある構造としては、たとえば、アルキルアクリレート構造、アルキルメタクリレート構造、スチレン構造の繰り返し構造単位からなる重合体ユニットなどが挙げられる。さらに、本発明の効果をより高めるためには、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、上記式(1)で示される繰り返し構造単位と、下記式(a):
【化179】

で示される繰り返し構造単位とを有している重合体であることが好ましい。
【0070】
上記式(a)中のR101は、水素またはメチル基を示す。
【0071】
上記式(a)中のYは、2価の有機基であり、2価の有機基であれば任意であるが、下記式(c):
【化180】

で示される基が好ましい。
【0072】
上記式(c)中のYおよびYはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。アルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。これらのアルキレン基が有する置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、アリール基などが挙げられる。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。アルコキシル基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシル基などが挙げられる。これらの中でも、メトキシ基が好ましい。アリール基としては、たとえば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。また、これらの中でも、メチル基、水酸基がより好ましい。
【0073】
上記式(a)中のZは、重合体ユニットであり、重合体ユニットであれば構造は任意であるが、下記式(b−1)または下記式(b−2):
【化181】

【化182】

で示される繰り返し構造単位を有する重合体ユニットが好ましい。
【0074】
上記式(b−1)中のR201は、アルキル基を示す。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましい。
【0075】
上記式(b−2)中のR202は、アルキル基を示す。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましい。
【0076】
上記式(a)中のZで示される重合体ユニットの末端は、末端停止剤を使用してもよいし、水素原子を有していてもよい。
【0077】
本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、フルオロアルキル基あるいはフルオロアルキレン基に由来する滑り性を付与する部位と、表面層の結着樹脂と親和性のある部位との両方を化合物中に備える構造が好ましい。
【0078】
上記式(1)で示される繰り返し構造単位と上記式(a)で示される繰り返し構造単位との共重合の形態は任意である。ただし、滑り性を付与するフルオロアルキル部位あるいはフルオロアルキレン部位がより効果的に機能を発現するために、上記式(a)で示される繰り返し構造単位を側鎖に有する櫛型グラフト構造がより好ましい。
【0079】
また、上記式(1)で示される繰り返し構造単位と上記式(a)で示される繰り返し構造単位との共重合比は、本発明の効果を得るためには、上記式(1)で示される繰り返し構造単位と上記式(a)で示される繰り返し構造単位のモル比が、99:1〜20:80であることが好ましい。さらには、モル比が、95:5〜30:70であることが好ましい。共重合比は、上記式(1)で示される繰り返し構造単位に対応する上記式(3)で示される化合物と、上記式(a)で示される繰り返し構造単位に対応する上記式(d)で示される化合物との重合時におけるモル比で制御することができる。
【0080】
本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体の分子量は、重量平均分子量において、1,000〜100,000であることが好ましく、さらには、5,000〜50,000であることが好ましい。
【0081】
本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、下記式(3):
【化183】

(上記式(3)中、Rは水素またはメチル基を示す。Rは単結合、または2価の基を示す。Rfはフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有する1価の基を示す。)
で示される化合物の重合によって合成することができる。ただし、上記式(3)で示される化合物のうちの70〜100個数%は、下記式(3−1)〜(3−6):
【化184】

【化185】

【化186】

【化187】

【化188】

【化189】

(上記式(3−1)〜(3−6)中、Rは水素またはメチル基を示す。R20は単結合またはアルキレン基を示す。R21は炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基を示す。R22は−R21−基または−O−R21−基を示す。R23は−Ar−基、−O−Ar−基または−O−Ar−R−基(Arはアリーレン基を示し、Rはアルキレン基を示す。)を示す。Rf10は少なくともフルオロアルキル基を有する1価の基を示す。Rf11は炭素−炭素結合による分岐構造を有するフルオロアルキル基を示す。Rf12は酸素で中断されたフルオロアルキル基を示す。Rf13は炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基を示す。)
で示される化合物である必要がある。
【0082】
式(3)について
上記式(3)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0083】
上記式(3)中のRは、単結合または2価の基を示す。2価の基としては、2価の基の構造中に少なくともアルキレン基またはアリーレン基を有していることが好ましい。アルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基や、イソプロピレン基、イソブチレン基などの分岐アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。アリーレン基としては、たとえば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基などが挙げられる。これらの中でも、フェニレン基が好ましい。
【0084】
上記式(3)中のRfは、フルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有する1価の基を示す。フルオロアルキル基としては、たとえば、
【化190】

【化191】

【化192】

が挙げられる。また、フルオロアルキレン基としては、たとえば、
【化193】

【化194】

が挙げられる。
【0085】
式(3−1)について
上記式(3−1)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0086】
上記式(3−1)中のR20は、単結合またはアルキレン基を示す。アルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
【0087】
上記式(3−1)中のRf11は炭素−炭素結合による分岐構造を有するフルオロアルキル基を示す。炭素−炭素結合による分岐構造とは、最も長い結合鎖とその側鎖とが炭素−炭素結合によって結合されている構造を示している。また、最も長い結合鎖および/またはその側鎖の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。
【0088】
上記式(3−1)中のRf11の具体例としては、たとえば、上記式(Rf11−1)〜(Rf11−18)が挙げられる。
【0089】
上記式(3−1)で示される化合物の具体例を挙げる。
【化195】

【化196】

【化197】

【化198】

【化199】

【化200】

【化201】

【化202】

【化203】

【化204】

【化205】

【化206】

【化207】

【化208】

これらの中でも、上記式(3−1−3)、(3−1−4)、(3−1−6)、(3−1−7)、(3−1−10)、(3−1−11)、(3−1−13)、(3−1−14)で示される化合物が好ましい。
【0090】
式(3−2)について
上記式(3−2)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0091】
上記式(3−2)中のR21は、炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基を示す。炭素−炭素結合による分岐構造とは、最も長い結合鎖とその側鎖とが炭素−炭素結合によって結合されている構造を示している。最も長い結合鎖は、炭素数2〜6で構成されることが好ましい。また、該側鎖としては、アルキル基またはフルオロアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。フルオロアルキル基としては、たとえば、上記式(CF−1)〜(CF−3)で示される基が挙げられる。これらの中でも、上記式(CF−1)で示される基が好ましい。
【0092】
上記式(3−2)中のRf10は、少なくともフルオロアルキル基を有する1価の基を示す。フルオロアルキル基としては、たとえば、上記式(CF−1)〜(CF−3)で示される基が挙げられる。また、Rf10は、直鎖構造に限定されるものではなく、分枝構造であってもよい。また、Rf10は、酸素原子によって中断されたフルオロアルキル基であってもよい。
【0093】
上記式(3−2)中のRf10の具体例としては、たとえば、上記式(Rf10−1)〜(Rf10−36)が挙げられる。
【0094】
上記式(3−2)で示される化合物の具体例を挙げる。
【化209】

【化210】

【化211】

【化212】

【化213】

【化214】

【化215】

これらの中でも、上記式(3−2−1)、(3−2−2)で示される化合物が好ましい。
【0095】
式(3−3)について
上記式(3−3)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0096】
上記式(3−3)中のR22は、−R21−基または−O−R21−基を示す。詳しくは、−R21−基は、炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基を示す。炭素−炭素結合による分岐構造とは、最も長い結合鎖とその側鎖とが炭素−炭素結合によって結合されている構造を示している。最も長い結合鎖は、炭素数2〜6で構成されることが好ましい。また、該側鎖としては、アルキル基またはフルオロアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。フルオロアルキル基としては、たとえば、上記式(CF−1)〜(CF−3)で示される基が挙げられる。これらの中でも、上記式(CF−1)で示される基が好ましい。また、−O−R21−基は、前記炭素−炭素結合による分岐構造を有するアルキレン基が酸素原子を介して、Rf10と結合する構造であることを示す。
【0097】
上記式(3−3)中のRf10は、少なくともフルオロアルキル基を有する1価の基を示す。フルオロアルキル基としては、たとえば、上記式(CF−1)〜(CF−3)で示される基が挙げられる。また、Rf10は、直鎖構造に限定されるものではなく、分枝構造であってもよい。また、Rf10は、酸素原子によって中断されたフルオロアルキル基であってもよい。
【0098】
上記式(3−3)中のRf10の具体例としては、たとえば、上記式(Rf10−1)〜(Rf10−36)が挙げられる。
上記式(3−3)で示される繰り返し構造単位の具体例を示す。
【化216】

【化217】

【化218】

【化219】

【化220】

【化221】

【化222】

【化223】

【化224】

【化225】

【化226】

【化227】

【化228】

【化229】

【化230】

【化231】

これらの中でも、上記式(3−3−1)、(3−3−2)、(3−3−3)、(3−3−4)、(3−3−6)、(3−3−9)、(3−3−10)、(3−3−11)、(3−3−12)、(3−3−14)で示される化合物が好ましい。
【0099】
式(3−4)について
上記式(3−4)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0100】
上記式(3−4)中のR23は、−Ar−基、−O−Ar−基または−O−Ar−R−基(Arはアリーレン基を示し、Rはアルキレン基を示す。)を示す。Arのアリーレン基としては、たとえば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基が挙げられる。これらの中でも、フェニレン基が好ましい。Rのアルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基や、イソプロピレン基、イソブチレン基などの分岐アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。−O−Ar−基または−O−Ar−R−基は、酸素原子を介して、Rf10と結合する構造であることを示す。
【0101】
上記式(3−4)中のRf10は、少なくともフルオロアルキル基を有する1価の基を示す。フルオロアルキル基としては、たとえば、上記式(CF−1)〜(CF−3)で示される基が挙げられる。また、Rf10は、直鎖構造に限定されるものではなく、分枝構造であってもよい。また、Rf10は、酸素原子によって中断されたフルオロアルキル基であってもよい。
【0102】
上記式(3−4)中のRf10の具体例としては、たとえば、上記式(Rf10−1)〜(Rf10−36)が挙げられる。
【0103】
上記式(3−4)で示される化合物の具体例を示す。
【化232】

【化233】

【化234】

【化235】

【化236】

【化237】

【化238】

【化239】

【化240】

【化241】

【化242】

【化243】

【化244】

【化245】

【化246】

【化247】

【化248】

【化249】

これらの中でも、上記式(3−4−1)、(3−4−6)、(3−4−7)、(3−4−8)、(3−4−10)、(3−4−15)、(3−4−16)、(3−4−17)で示される化合物が好ましい。
【0104】
式(3−5)について
上記式(3−5)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0105】
上記式(3−5)中のR20は、単結合またはアルキレン基を示す。アルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
【0106】
上記式(3−5)中のRf12は、酸素で中断されたフルオロアルキル基を示す。酸素で中断されたフルオロアルキル基とは、最も長い結合鎖中に酸素原子を少なくとも1つ含有していることを示す。該酸素原子の両側または片側にフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基が存在してもよい。
【0107】
上記式(3−5)中のRf12の具体例としては、たとえば、上記式(Rf12−1)〜(Rf12−17)が挙げられる。
【0108】
上記式(3−5)で示される化合物の具体例を示す。
【化250】

【化251】

【化252】

【化253】

【化254】

【化255】

【化256】

【化257】

【化258】

【化259】

【化260】

【化261】

【化262】

【化263】

これらの中でも、上記式(3−5−2)、(3−5−4)、(3−5−5)、(3−5−6)、(3−5−8)、(3−5−11)、(3−5−12)、(3−5−13)で示された化合物が好ましい。
【0109】
式(3−6)について
上記式(3−6)中のRは、水素またはメチル基を示す。
【0110】
上記式(3−6)中のR20は、単結合またはアルキレン基を示す。アルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などの直鎖アルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が好ましい。
【0111】
上記式(3−6)中のRf13は炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基を示す。
【0112】
上記式(3−6)中のRf13の具体例としては、たとえば、上記式(Rf13−1)〜(Rf13−3)が挙げられる。
【0113】
上記式(3−6)で示される化合物の具体例を示す。
【化264】

【化265】

【化266】

【化267】

【化268】

【化269】

【化270】

【化271】

【化272】

【化273】

【化274】

【化275】

【化276】

【化277】

【化278】

【化279】

これらの中でも、上記式(3−6−1)、(3−6−2)、(3−6−6)、(3−6−7)、(3−6−10)、(3−6−11)、(3−6−14)、(3−6−15)で示される化合物が好ましい。
【0114】
上記式(3)で示される化合物は、周知の製造方法を組み合わせることにより、製造することが可能である。
【0115】
上記式(3)で示される化合物の製造方法を例示する。
特開2005−054020号公報に開示されている方法に従い、フルオロアルキル基(Rf基)のヨウ素化物を出発原料としてRがHであり、RがCH−CHである上記式(3)で示される化合物が得られる。
その他の製造方法として、たとえば、特開2001−302571号公報や特開2001−199953号公報を参照することにより、上記式(3)で示される化合物を得ることができる。
【化280】

(上記式中のRは上記式(3)中のRを示し、Rfは、上記式(3)中のRfを示す。)
【0116】
なお、上記式(3−2)で示される化合物は、複数のエステル構造を有している。このため、上記式(3−2)で示される化合物を重合させた後に残余する副生成物や残留化合物は、得られた重合物を水やアルコールで洗浄することによって除去されやすい。この結果、上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位を有する化合物は、高純度で得ることが可能である。この高純度で得られることも、電子写真特性を良好に維持することに寄与していると思われる。
【0117】
上記式(a)で示される繰り返し構造単位を有する化合物は、下記式(d):
【化281】

(R101は、水素またはメチル基を示す。Yは、2価の有機基を示す。Zは、重合体ユニットを示す。)
で示される化合物の重合により合成される化合物である。
【0118】
上記式(d)中のR101は、水素またはメチル基である。
【0119】
上記式(d)中のYは、2価の有機基であり、2価の有機基であれば任意であるが、下記式(c):
【化282】

で示される基が好ましい。
【0120】
上記式(c)中のYおよびYは、それぞれ独立に、アルキレン基である。アルキレン基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などが挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。これらのアルキレン基が有する置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、アリール基などが挙げられる。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。アルコキシル基としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシル基などが挙げられる。これらの中でも、メトキシ基が好ましい。アリール基としては、たとえば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。これらの中でも、メチル基、水酸基がより好ましい。
【0121】
上記式(d)中のZは、重合体ユニットであり、重合体ユニットであれば構造は任意であるが、下記式(b−1)または下記式(b−2):
【化283】

【化284】

で示される繰り返し構造単位を有する重合体ユニットが好ましい。
【0122】
上記式(b−1)中のR201は、アルキル基を示す。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましい。
【0123】
上記式(b−2)中のR202は、アルキル基を示す。アルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好ましい。
【0124】
上記式(d)中のZで示される重合体ユニットの末端は、末端停止剤を使用してもよいし、水素原子を有してもよい。
【0125】
本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、上記式(3)で示される化合物を重合させて製造することができる。さらに、上記式(1)で示される繰り返し構造単位と上記式(a)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、たとえば、特開昭58−164656号公報に開示された手順に従い、上記式(3)で示される化合物と上記式(d)で示される化合物とを共重合させて製造することができる。
【0126】
以下に、上記式(d)で示される化合物の製造方法の例を示す。下記式中には、上記式(d)中の、R101がメチル基であり、Yが上記式(c)で示される構造を有する2価の有機基であり、Zが上記式(b−2)で示される重合体ユニットである化合物の例を示している。また、上記式(c)中のYがメチレン基であり、Yが水酸基を有するプロピレン基である。
【0127】
(工程1)
上記式(b−1)、または上記式(b−2)で示される繰り返し構造単位を有する重合体の原料となるアルキルアクリレートモノマー、または、アルキルメタクリレートモノマーに対し、モノマー比で数質量%の連鎖移動剤を加えて重合させる。これによって、末端に連鎖移動剤が結合したアルキルアクリレート重合体、またはアルキルメタクリレート重合体を得る。連鎖移動剤としては、たとえば、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸や4−メルカプト−n−ブタン酸などのメルカプト基を有するカルボン酸が挙げられる。
【0128】
(工程2)
アルキルアクリレート重合体、またはアルキルメタクリレート重合体と結合するための官能基を付与し、後の反応により主鎖を形成するモノマー(下記式中ではグリシジルメタクリレート)と官能基同士を反応させる。これによって、上記式(d)で示される化合物を得る。上記のグリシジルメタクリレートは重合性官能基を有し、かつ、連鎖移動剤のカルボキシル基と結合可能な官能基(エポキシ部位)を有している。同様の官能基構成のモノマーであれば、グリシジルメタクリレートに限られるものではない。
【化285】

【化286】

(式中のR202は、アルキル基を表す。)
上記式(1)で示される繰り返し構造単位と、上記式(a)で示される繰り返し構造単位との共重合は、上記式(3)で示される化合物と上記式(d)で示される化合物を用いて、特開昭58−164656号公報に開示された手順に従い製造することが可能である。このようにして、電子写真感光体の表面とクリーニングブレードとの滑り性向上に寄与するフルオロアルキル基またはフルオロアルキレン基を有する部位と、表面層の結着樹脂と親和性のある部位を有する化合物を得ることができる。
【0129】
本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、光導電性物質および表面層の結着樹脂としての機能は小さいため、表面層の構成成分としてはできるだけ少量であることが好ましい。また、ブレードメクレの発生頻度が高いのは、電子写真装置の設置直後の初期、すなわち、クリーニングブレードと電子写真感光体の接触界面に転写残トナーが蓄積される前である。また、クリーニングブレードの材質がゴムの弾性体である場合は、高温高湿の環境でさらに発生頻度を増加させる傾向がある。よって、電子写真感光体の表面層の表面近傍に十分に、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し単位を有する化合物を存在させることが好ましい。このような観点からも、電子写真感光体の表面層の表面に移行可能であると思われる、フルオロアルキル基あるいはフルオロアルキレン基を有する部位を有する本発明用の上記式(1)で示される繰り返し単位を有する重合体を表面層に含有させることは好ましい。
【0130】
上記式(1−1)で示される繰り返し構造単位のフルオロアルキル基は、直鎖ではなく、分岐構造を有する。このため、上記式(1−1)で示される繰り返し構造単位を含む本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は、溶液もしくは分散液において、本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体のミセルを形成しにくくなっている。このため、溶液もしくは分散液における液組成が一様化され、かつイオン性不純物の微量の混入が起こりにくくなることが、特性向上に寄与し、電子写真特性を良好に維持できるものと推測している。
【0131】
上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位は、分岐構造を有する。このため、上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位を含む本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は溶液もしくは分散液において、上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する化合物のミセルを形成しにくくなっている。このため、溶液もしくは分散液における液組成が一様化され、かつイオン性不純物の微量の混入が起こりにくくなることが、特性向上に寄与し、電子写真特性を良好に維持できるものと推測している。
【0132】
上記式(1−3)で示される繰り返し構造単位は、分岐構造を有する。このため、上記式(1−3)で示される繰り返し構造単位を含む本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は溶液もしくは分散液において、上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する化合物のミセルを形成しにくくなっている。このため、溶液もしくは分散液における液組成が一様化され、かつイオン性不純物の微量の混入が起こりにくくなることが、特性向上に寄与し、電子写真特性を良好に維持できるものと推測している。
【0133】
上記式(1−4)で示される繰り返し構造単位は、アリーレン基を含む構造を有する。このため、上記式(1−4)で示される繰り返し構造単位を含む本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は溶液もしくは分散液において、上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する化合物のミセルを形成しにくくなっている。このため、溶液もしくは分散液における液組成が一様化され、かつイオン性不純物の微量の混入が起こりにくくなることが、特性向上に寄与し、電子写真特性を良好に維持できるものと推測している。
【0134】
上記式(1−5)で示される繰り返し構造単位は、酸素で中断されたフルオロアルキル基を含む構造を有する。このため、上記式(1−5)で示される繰り返し構造単位を含む本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は溶液もしくは分散液において、上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する化合物のミセルを形成しにくくなっている。このため、溶液もしくは分散液における液組成が一様化され、かつイオン性不純物の微量の混入が起こりにくくなることが、特性向上に寄与し、電子写真特性を良好に維持できるものと推測している。
【0135】
上記式(1−6)で示される繰り返し構造単位は、炭素数が4〜6であるパーフルオロアルキル基を含む構造を有する。このため、上記式(1−6)で示される繰り返し構造単位を含む本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体は溶液もしくは分散液において、上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する化合物のミセルを形成しにくくなっている。このため、溶液もしくは分散液における液組成が一様化され、かつイオン性不純物の微量の混入が起こりにくくなることが、特性向上に寄与し、電子写真特性を良好に維持できるものと推測している。
【0136】
次に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
本発明の電子写真感光体の一例として、図1A及至図1Eに示すように、支持体101上に中間層103、感光層104をこの順に有する電子写真感光体が例示できる。(図1A参照)
【0137】
また、たとえば、必要に応じて、支持体101と中間層103の間に導電性粒子を樹脂中に分散して体積抵抗を小さくした導電層102を設け、導電層102の膜厚を厚くする。これによって、導電性の支持体101や非導電性の支持体101(たとえば、樹脂性の支持体)の表面の欠陥を被覆する層とすることも可能である。(図1B参照)
【0138】
感光層104は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型の感光層104であってもよい(図1A参照)。また、電荷発生物質を含有する電荷発生層1041と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層1042とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真特性の観点からは積層型の感光層が好ましい。単層型の感光層の場合は、本発明の表面層は感光層104である。また、積層型の感光層には、支持体101側から電荷発生層1041、電荷輸送層1042の順に積層した順層型の感光層(図1C参照)と、支持体101側から電荷輸送層1042、電荷発生層1041の順に積層した逆層型の感光層(図1D参照)がある。電子写真特性の観点からは順層型の感光層が好ましい。積層型の感光層の中でも順層型の感光層の場合には、電子写真感光体の表面層は電荷輸送層であり、逆層型の感光層の場合には、表面層は電荷発生層である(ただし、保護層を設けない場合)。
【0139】
また、感光層104(電荷発生層1041、電荷輸送層1042)上に、保護層105を設けてもよい(図1E参照)。保護層105を有する場合には、電子写真感光体の表面層は、保護層105である。
【0140】
支持体101としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属製の支持体を用いることができる。アルミニウム、アルミニウム合金の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨(電解作用を有する電極と電解質溶液による電解および研磨作用を有する砥石による研磨)、湿式または乾式ホーニング処理したものも用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体を用いることもできる。また、同様に真空蒸着によって被膜形成された層を有する樹脂製支持体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、フェノール樹脂、ポリプロピレンまたはポリスチレン樹脂)を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を樹脂や紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
【0141】
支持体の体積抵抗率は、支持体の表面が導電性を付与するために設けられた層である場合、その層の体積抵抗率は、1×1010Ω・cm以下であることが好ましく、1×10Ω・cm以下であることがより好ましい。
【0142】
支持体の上には、支持体の表面の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これは導電性粉体を適当な結着樹脂に分散させた塗布液を塗工することにより形成される層である。
【0143】
このような導電性粉体としては、たとえば、以下のものが挙げられる。
カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀の金属粉;導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体。
【0144】
また、同時に用いられる結着樹脂としては、たとえば、以下の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。
ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン。ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂。エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂。
【0145】
導電層は、上記導電性粉体と結着樹脂を、有機溶剤に分散させ、または溶解させ、これを塗布することにより形成することができる。有機溶剤としては、たとえば、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル系溶剤や、メタノールなどのアルコール系溶剤や、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤や、トルエンなどの芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
導電層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
【0146】
支持体または導電層の上にはバリア機能を有する中間層を設けてもよい。
【0147】
中間層は、硬化性樹脂を塗布後硬化させて樹脂層を形成する、または、結着樹脂を含有する中間層用塗布液を導電層上に塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。
中間層の結着樹脂としては、たとえば、以下のものが挙げられる。
ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼインなどの水溶性樹脂。ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリグルタミン酸エステル樹脂。
【0148】
中間層の電気的バリア性を効果的に発現させるためには、また、塗工性、密着性、耐溶剤性および抵抗の観点から、中間層の結着樹脂は熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、熱可塑性ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂としては、溶液状態で塗布できるような低結晶性または非結晶性の共重合ナイロンが好ましい。
【0149】
中間層の膜厚は0.1〜2.0μmであることが好ましい。
【0150】
また、中間層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、中間層中に、半導電性粒子を分散させる、または、電子輸送物質(アクセプターなどの電子受容性物質)を含有させてもよい。
【0151】
支持体、導電層または中間層の上には感光層が設けられる。
【0152】
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、たとえば、以下のものが挙げられる。
モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料;金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料;インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料;ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料。アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料;スクワリリウム色素、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩、トリフェニルメタン色素;セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質。キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素。
【0153】
これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどの金属フタロシアニンは、高感度であるため好ましい。
【0154】
感光層が積層型の感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、たとえば、以下のものが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂。ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂。
【0155】
これらの中でも、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
【0156】
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂とともに溶剤に分散させて得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。分散方法としては、たとえば、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミルを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、10:1〜1:10(質量比)の範囲が好ましく、特には3:1〜1:1(質量比)の範囲がより好ましい。
【0157】
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
【0158】
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、0.1〜2μmであることがより好ましい。
【0159】
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷(キャリア)の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質(アクセプターなどの電子受容性物質)を含有させてもよい。
【0160】
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、たとえば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリルメタン化合物などが挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0161】
感光層が積層型の感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、たとえば、以下のものが挙げられる。アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和樹脂。
【0162】
これらの中でも、特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはジアリルフタレート樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
【0163】
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
【0164】
電荷輸送層が表面層である場合、電荷輸送層用塗布液(表面層用塗布液)に本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体を含有させる。その含有量は、電荷輸送物質と結着樹脂の合計量に対して0.01〜20.0質量%であることが好ましく、0.1〜5.0質量%であることがより好ましい。
【0165】
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、たとえば、以下のものが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメトキシメタン、ジメトキシエタンなどのエーテル系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤。
【0166】
これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤や芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂溶解性などの観点から好ましい。
【0167】
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
【0168】
また、電荷輸送層には、たとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
【0169】
感光層が単層型の感光層で、かつ電子写真感光体の表面層である場合、単層型の感光層は上記電荷発生物質、上記電荷輸送物質、上記結着樹脂および上記溶剤に本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体を加える。こうして得られた単層型の感光層用の塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって本発明の電子写真感光体の感光層(単層型の感光層)を形成することができる。
【0170】
また、感光層上には、該感光層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は、上述した各種結着樹脂を溶剤に溶解して得られる保護層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
【0171】
電子写真感光体の表面層が保護層である場合、上記電荷輸送層が表面層である場合にならい、保護層中に本発明用の上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体を含有させる。これにより、本発明の電子写真感光体の表面層を形成することができる。
【0172】
保護層の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることが好ましい。
【0173】
以上の各層の塗布液を塗布する際には、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法やリングコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
【0174】
図2に、本発明のプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図2において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0175】
回転駆動される電子写真感光体1の表面は、帯電手段(一次帯電手段:たとえば帯電ローラー)3により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(図示せず)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0176】
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(たとえば転写ローラー)6からの転写バイアスによって、転写材(たとえば紙)Pに順次転写されていく。転写材Pは転写材供給手段(図示せず)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して給送されたものである。
【0177】
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0178】
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(たとえばクリーニングブレード)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。さらに、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(図示せず)からの前露光光(図示せず)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図2に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0179】
上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7の構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成してもよい。また、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図2では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
【0180】
(実施例)
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の部は質量部を、%は質量%を意味する。
【0181】
(合成例(A−1):上記式(3−1−3)で示される化合物の合成)
脱気したオートクレーブに、下記式(A−e−1):
【化287】

で示されるヨウ素化物(0.5部)およびイオン交換水(20部)を仕込んだ後、300℃に昇温させ、ゲージ圧力9.2MPaで4時間かけてヨウ素のヒドロキシル基への転化反応を行った。反応終了後、反応混合物に、ジエチルエーテル(20部)を入れた。2相に分離後、エーテル相に硫酸マグネシウム(0.2部)を入れ、つぎに硫酸マグネシウムをろ過により除去しヒドロキシル化合物を得た。このヒドロキシル化合物をカラムクロマトグラフィーにより主成分以外を分離し、除去した。次に、撹拌装置、コンデンサ−および温度計を備えたガラスフラスコに先に得られたヒドロキシル化合物の100部、アクリル酸の50部、ハイドロキノンの5部、p−トルエンスルホン酸の5部、トルエンの200部を仕込んだ。次いで110℃に昇温させ、原料のヒドロキシル化合物が無くなるまで反応を継続した。反応終了後、トルエンの200部で希釈後、水酸化ナトリウム水溶液にて2回水洗を行った後、さらに、イオン交換水により水洗を3回繰り返した。その後、減圧下にトルエンを留去することにより、生成物を得た。得られた生成物の同定をH−NMRおよび19F−NMRにより行い、ガスクロマトグラフィにより生成物の定量行った結果、上記式(3−1−3)で示される化合物が主成分であった。
【0182】
(合成例(A−2):上記式(3−1−4)で示される化合物の合成)
合成例(A−1)に記載の上記式(A−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(A−e−2):
【化288】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(A−1)と同様に反応させ、上記式(3−1−4)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0183】
(合成例(A−3):上記式(3−1−6)で示される化合物の合成)
合成例(A−1)に記載の上記式(A−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(A−e−3):
【化289】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(A−1)と同様に反応させ、上記式(3−1−6)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0184】
(合成例(A−4):上記式(3−1−7)で示される化合物の合成)
合成例(A−1)に記載の上記式(A−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(A−e−4):
【化290】

【0185】
(合成例(A−5):上記式(3−2−2)で示される化合物の合成)
撹拌装置、コンデンサ−、温度計を備えたガラスフラスコに下記式(A−e−5):
【化291】

で示されるヒドロキシル化合物を100部、アクリル酸を50部、ハイドロキノンを5部、p−トルエンスルホン酸を5部およびトルエンを200部入れた。次いで110℃に昇温させ、原料のヒドロキシル化合物が無くなるまで反応を継続した。反応終了後、トルエン200部で希釈後、水酸化ナトリウム水溶液にて2回水洗を行った後、さらに、イオン交換水により水洗を3回繰り返した。その後、減圧下にトルエンを留去することにより、生成物を得た。得られた生成物の同定をH−NMRおよび19F−NMRで行った。また、生成物の定量をガスクロマトグラフィで行った。結果、上記式(3−2−2)で示される化合物が主成分であることが分った。
【0186】
(合成例(A−6):上記式(3−2−1)で示される化合物の合成)
合成例(A−5)に記載の上記式(A−e−5)で示されるヒドロキシル化合物に変えて、下記式(A−e−6):
【化292】

で示されるヒドロキシル化合物を用いた以外は合成例(A−5)と同様に反応させ、上記式(3−2−1)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0187】
(合成例(A−7))
合成例(A−1)に記載の上記式(A−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(A−f−1):
【化293】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(A−1)と同様に反応させた。これによって、下記式(A−f):
【化294】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0188】
(製造例(A−1):重合体(A−A)の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに、メチルメタクリレート(以下MMAと略記する)10部と、アセトン(17.5%)−トルエン混合溶媒0.3部を仕込んだ。次いで窒素ガス導入後、還流下に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略記する)0.5部と連鎖移動剤としてチオグリコール酸0.32部を加えて重合を開始させた。その後4.5時間の間に、MMA90部を連続的に滴下し、またチオグリコール酸2.08部をトルエン7部に溶解して、30分毎、9回に分けて追加、同様にAIBN(1.5部)を1.5時間毎、3回に分けて追加し、重合を行なった。さらにその後2時間還流して重合を終了し、下記式(g):
【化295】

(上記式中の80は繰り返し単位の繰り返し回数の平均値を示す。)
のポリマー溶液を得た。反応温度は77〜87℃であつた。反応液の一部をn−ヘキサンにて再沈澱、乾燥して酸価を測定したところ、0.34mg当量/gであった。繰り返し単位の平均繰り返し回数は、およそ80であった。
【0189】
次に、上記反応液からアセトンの一部を留去した後、触媒としてトリエチルアミン0.5%および重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル200ppmを添加し、ポリマーの酸価に対して1.2倍モルのグリシジルメタクリレートを加えた。次いで還流下(約110℃)にて11時間反応させた。反応液を10倍量のn−ヘキサン中に投入、沈澱させた後、80℃で減圧乾燥して、下記式(d−1):
【化296】

(上記式中の80は繰り返し単位の繰り返し回数の平均値を示す。)
で示される化合物90部を得た。
【0190】
次に、撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに以下の材料を仕込み、窒素ガス導入、還流下(約100℃に加熱)に、5時間反応させた。上記式(d−1)で示される化合物70部。合成例(A−1)で得られた上記式(3−1−3)で示される化合物が主成分である生成物を30部。トリフルオロトルエン270部。AIBN(0.35部)。この反応液を10倍量のメタノール中に投入、沈澱させ、80℃で減圧乾燥して、上記式(1−1−3)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(A−A:重量平均分子量(Mw):22,000)を得た。
【0191】
本発明において、重合体および樹脂の重量平均分子量は、常法に従い、以下のようにして測定されたものである。
すなわち、測定対象の重合体あるいは樹脂をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象樹脂とテトラヒドロフランとよく混合し(測定対象の重合体あるいは樹脂の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置した。
【0192】
その後、東ソー(株)製のサンプル処理フィルターマイショリディスクH−25−5を通過させたものをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とした。
【0193】
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、GPC用試料を10μl注入して、測定対象の重合体あるいは樹脂の重量平均分子量を測定した。カラムには、東ソー(株)製のカラムTSKgel SuperHM−Mを用いた。
【0194】
測定対象の重合体あるいは樹脂の重量平均分子量の測定にあたっては、測定対象の重合体あるいは樹脂が有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が以下の10点のものを用いた。3,500、12,000、40,000、75,000、98,000、120,000、240,000、500,000、800,000、1,800,000。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
【0195】
(製造例(A−2):重合体(A−B)の製造)
上記式(3−1−3)で示される化合物を、合成例(A−2)で得られた上記式(3−1−4)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(A−1)と同じ手順で反応、処理した。これによって、上記式(1−1−4)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(A−B:重量平均分子量(Mw):21,000)を得た。
【0196】
(製造例(A−3):重合体(A−C)の製造)
上記式(3−1−3)で示される化合物を、合成例(A−3)で得られた上記式(3−1−6)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(A−1)と同じ手順で反応、処理した。これによって、上記式(1−1−6)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(A−C:重量平均分子量(Mw):19,500)を得た。
【0197】
(製造例(A−4):重合体(A−D)の製造)
上記式(3−1−3)で示される化合物を、合成例(A−4)で得られた上記式(3−1−7)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(A−1)と同じ手順で反応、処理した。これによって、上記式(1−1−7)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(A−D:重量平均分子量(Mw):23,400)を得た。
【0198】
(製造例(A−5):重合体(A−E)の製造)
上記式(3−1−3)で示される化合物を、合成例(A−5)で得られた上記式(3−2−2)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(A−1)と同じ手順で反応、処理した。これによって、上記式(1−2−2)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(A−E:重量平均分子量(Mw):22,100)を得た。
【0199】
(製造例(A−6):重合体(A−F)の製造)
上記式(3−1−3)で示される化合物を、合成例(A−6)で得られた上記式(3−2−1)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(A−1)と同じ手順で反応、処理した。これによって、上記式(1−2−1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(A−F:重量平均分子量(Mw):22,500)を得た。
【0200】
(製造例(A−7):重合体(A−G)の製造)(比較例)
上記式(3−1−3)で示される化合物を、合成例(A−7)で得られた上記式(A−f)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(A−1)と同じ手順で反応、処理した。これによって、下記式(A−f−2):
【化297】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される繰り返し構造単位を有する重合体(A−G:重量平均分子量(Mw):21,000)を得た。
【0201】
(実施例(A−1))
温度23℃、湿度60%RHの環境下で熱間押し出しすることにより得られた、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金のED管、昭和アルミニウム(株)製)を導電性支持体とした。
【0202】
以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率80Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)6.6部。結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)5.5部。溶剤としてのメトキシプロパノール5.9部。
【0203】
この分散液に、以下の材料を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)0.5部。レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.001部。
【0204】
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬コーティングし、温度140℃で30分間乾燥、熱硬化して、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0205】
さらに、導電層上に、以下の中間層用塗布液を浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.5μmの中間層を形成した。N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)2部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られた中間層用塗布液。
【0206】
次に、以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部。ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部。シクロヘキサノン250部。
【0207】
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
【0208】
次に、以下の材料をジメトキシメタン30部/クロロベンゼン70部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送物質を含有する塗布液を調製した。下記式(CTM−1):
【化298】

で示される構造を有する電荷輸送物質10部。結着樹脂として下記式(P−1):
【化299】

で示される繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)[粘度平均分子量(Mv)39,000]10部。製造例(A−1)で製造した重合体(A−A)0.2部。
【0209】
以上のように調製した電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、温度120℃で30分乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が17μmの電荷輸送層を形成した。
【0210】
なお、粘度平均分子量(Mv)の測定方法は以下のとおりである。
まず、試料0.5gをメチレンクロライド100mlに溶解し、改良Ubbelohde型粘度計を用いて、温度25℃における比粘度を測定した。次に、この比粘度から極限粘度を求め、Mark−Houwinkの粘度式により、粘度平均分子量(Mv)を算出した。粘度平均分子量(Mv)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定されるポリスチレン換算値とした。
【0211】
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
【0212】
作製した電子写真感光体について、初期ブレードメクレ*1の評価、および電子写真特性*2の評価を行った。結果を表1に示す。
【0213】
*1:初期ブレードメクレの評価方法
作成した電子写真感光体、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510の本体、および、該本体のプロセスカートリッジを温度35℃、湿度80%RHに設定された環境下に15時間曝した。その後、該環境下にて、作成した電子写真感光体をプロセスカートリッジに装着し、べた白画像を連続して20枚連続して出力し、この間、クリーニングブレードがめくれる不具合が生じないか確認した。(この評価を4ステーションで行い(電子写真感光体、プロセスカートリッジを各色用に新品で4個用意)、1回でもめくれる不具合が発生した場合は、表1に“F”、一度も発生しなかった場合は“A”と表記)
【0214】
*2:電子写真特性の評価方法
作製した電子写真感光体、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510の本体、および、表面電位を測定するための工具を温度25℃、湿度50%RH(常温、常湿)に設定された環境下に15時間曝した。なお、表面電位を測定するための工具は、LBP−2510のプロセスカートリッジの現像ローラー位置に電子写真感光体の表面電位測定用のプローブを設置した工具(トナー、現像ローラー類、クリーニングブレードは外した)である。その後、同環境下にて電子写真感光体の表面電位を測定するための工具に電子写真感光体を装着し、静電転写ベルトユニットを外した状態で通紙せずに電子写真感光体の表面電位を測定した。なお、表面電位を測定するための工具は、本体のシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、測定した。
【0215】
電位の測定方法は、まず、露光部電位(Vl:帯電後に全面露光有りで電子写真感光体の露光後一周目の電位)を測定し、次に、前露光後電位(Vr:電子写真感光体一周のみ帯電有り、像露光無し、で前露光後一周目(帯電後二周目)の電位)を測定した。引き続き、1000回の帯電/全面像露光/前露光を繰り返した(1Kサイクル)後、再度、前露光後電位を測定(表中、Vr(1K)で示す)した。
【0216】
以上、これらの結果を表1に示す。
【0217】
(実施例(A−2)〜(A−6))
実施例(A−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(A−A)を、表1に示す重合体に変えた点を変更した以外は、実施例(A−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0218】
(実施例(A−7))
実施例(A−2)において、以下の点を変更した以外は、実施例(A−2)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0219】
電荷輸送層の結着樹脂である上記式(P−1)で示される繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂を、下記式(P−2):
【化300】

で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):120,000)に変更した。
なお、上記ポリアリレート樹脂中のテレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)は50:50である。
【0220】
(実施例(A−8))
実施例(A−7)において、電荷発生層の電荷発生物質であるヒドロキシガリウムフタロシアニンを、以下のオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)に変更した以外は、実施例(A−8)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。CuKα特性X線回折のブラッグ角2θ±0.2°が9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有するTiOPc。
【0221】
(実施例(A−9)および実施例(A−10))
実施例(A−7)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(A−B)を表1に示す重合体に変更した以外は、実施例(A−7)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0222】
(実施例(A−11))
実施例(A−9)において、電荷輸送層塗布液に用いた上記式(CTM−1)で示される電荷輸送物質に変えて、下記式(CTM−2):
【化301】

で示される電荷輸送物質と、下記式(CTM−3):
【化302】

で示される電荷輸送物質を各5部ずつ用いた。これ以外は、実施例(A−10)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0223】
(比較例(A−1))
実施例(A−2)において、電荷輸送層塗布液に重合体(A−B)を含有しない点を変更した以外は、実施例(A−2)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0224】
(比較例(A−2))
実施例(A−2)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(A−B)を2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)に変えた以外は、実施例(A−2)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0225】
(比較例(A−3))
実施例(A−2)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(A−B)を、製造例(A−7)で製造した重合体(A−G)に変えた以外は、実施例(A−2)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0226】
(比較例(A−4))
実施例(A−2)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(A−B)を、化合物(商品名:アロンGF300、東亜合成化学工業製)に変えた以外は、実施例(A−2)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0227】
【表1】

【0228】
以上の結果より、本発明の実施例A−1〜A−11と、比較例A−1および比較例A−2を比較することにより、次のことが分かる。本発明の繰り返し単位を有する化合物を表面層形成用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、初期のブレードメクレを抑制することができる。その結果、弊害を抑制した電子写真感光体を提供することができる。
【0229】
また、本発明の実施例A−1〜A−11と、比較例A−3を比較することにより、本発明の繰り返し単位を有する化合物中の分岐構造が、電子写真特性の中でも繰り返し特性に優れていることが示されている。
【0230】
また、本発明の実施例A−1〜A−11と、比較例A−4を比較することにより、次のことが示されている。本発明の繰り返し単位を有する化合物を表面層形成用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、比較例4の化合物を使用するよりも電子写真特性の中でも繰り返し特性に優れている。
(合成例(B−1):上記式(3−3−2)で示される化合物の合成)
脱気したオートクレーブに、下記式(B−e−1):
【化303】

で示されるヨウ素化物(0.5部)およびイオン交換水(20部)を仕込んだ後、300℃に昇温させ、ゲージ圧力9.2MPaで4時間かけてヨウ素のヒドロキシル基への転化反応を行った。反応終了後、反応混合物に、ジエチルエーテル(20部)を入れた。2層分離後、エーテル層に硫酸マグネシウム(0.2部)を入れ、つぎに硫酸マグネシウムをろ過により除去しヒドロキシル化合物を得た。このヒドロキシル化合物をカラムクロマトグラフィーにより主成分以外を分離し、除去した。次に、撹拌装置、コンデンサ−および温度計を備えたガラスフラスコに先に得られたヒドロキシル化合物の100部、アクリル酸の50部、ハイドロキノンの5部、p−トルエンスルホン酸の5部、トルエンの200部を仕込んだ。次いで110℃に昇温させ、原料のヒドロキシル化合物が無くなるまで反応を継続した。反応終了後、トルエンの200部で希釈後、水酸化ナトリウム水溶液にて2回水洗を行った後、さらに、イオン交換水により水洗を3回繰り返した。その後、減圧下にトルエンを留去することにより、生成物を得た。得られた生成物の同定をH−NMRおよび19F−NMRにより行い、ガスクロマトグラフィにより生成物の定量行った結果、上記式(3−3−2)で示される化合物が主成分であった。
【0231】
(合成例(B−2):上記式(3−3−6)で示される化合物の合成)
合成例(B−1)に記載の上記式(B−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(B−e−2):
【化304】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(B−1)と同様に反応させ、上記式(3−3−6)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0232】
(合成例(B−3))
合成例(B−1)に記載の上記式(B−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(B−f−1):
【化305】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(B−1)と同様に反応させ、下記式(B−f):
【化306】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0233】
(製造例(B−1):重合体(B−A)の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに、メチルメタクリレート(以下MMAと略記する)10部と、アセトン(17.5%)−トルエン混合溶媒0.3部を仕込んだ。次いで窒素ガス導入後、還流下に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略記する)0.5部と連鎖移動剤としてチオグリコール酸0.32部を加えて重合を開始させた。その後4.5時間の間に、MMA90部を連続的に滴下し、またチオグリコール酸2.08部をトルエン7部に溶解して、30分毎、9回に分けて追加、同様にAIBN(1.5部)を1.5時間毎、3回に分けて追加し、重合を行なった。さらにその後2時間還流して重合を終了し、上記式(g)のポリマー溶液を得た。反応温度は77〜87℃であつた。反応液の一部をn−ヘキサンにて再沈澱、乾燥して酸価を測定したところ、0.34mg当量/gであった。繰り返し単位の平均繰り返し回数は、およそ80であった。
【0234】
次に、上記反応液からアセトンの一部を留去した後、触媒としてトリエチルアミン0.5%および重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル200ppmを添加し、ポリマーの酸価に対して1.2倍モルのグリシジルメタクリレートを加えた。次いで還流下(約110℃)にて11時間反応させた。反応液を10倍量のn−ヘキサン中に投入、沈澱させた後、80℃で減圧乾燥して、上記式(d−1)で示される化合物90部を得た。
【0235】
次に、撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに以下の材料を仕込み、窒素ガス導入、還流下(約100℃に加熱)に、5時間反応させた。上記式(d−1)で示される化合物70部。合成例(B−1)で得られた上記式(3−3−2)で示される化合物が主成分である生成物を30部。トリフルオロトルエン270部。AIBN(0.35部)。この反応液を10倍量のメタノール中に投入、沈澱させ、80℃で減圧乾燥して、上記式(1−3−2)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(B−A:重量平均分子量(Mw):24,000)を得た。
重合体の重量平均分子量は、上記測定方法と同様の方法により測定した。
【0236】
(製造例(B−2):重合体(B−B)の製造)
上記式(3−3−2)で示される化合物を、合成例(B−2)で得られた上記式(3−3−6)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(B−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−3−6)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(B−B:重量平均分子量23,000)を得た。
【0237】
(製造例(B−3):重合体(B−C)の製造)(比較例)
上記式(3−3−2)で示される化合物を、合成例(B−3)で得られた上記式(B−f)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(B−1)と同じ手順で反応、処理し、下記式(B−f−2):
【化307】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される繰り返し構造単位を有する重合体(B−C:重量平均分子量21,000)を得た。
【0238】
(実施例(B−1))
温度23℃、湿度60%RHの環境下で熱間押し出しすることにより得られた、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金のED管、昭和アルミニウム(株)製)を導電性支持体とした。
【0239】
以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率80Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)6.6部。結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)5.5部。溶剤としてのメトキシプロパノール5.9部。
【0240】
この分散液に、以下の材料を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)0.5部。レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.001部。
【0241】
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬コーティングし、温度140℃で30分間乾燥、熱硬化して、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0242】
さらに、導電層上に、以下の中間層用塗布液を浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.5μmの中間層を形成した。N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)2部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られた中間層用塗布液。
【0243】
次に、以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部。ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部。シクロヘキサノン250部。
【0244】
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
【0245】
次に、以下の材料をジメトキシメタン30部/クロロベンゼン70部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送物質を含有する塗布液を調製した。上記式(CTM−1)で示される構造を有する電荷輸送物質10部。結着樹脂として上記式(P−1)で示される繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)[粘度平均分子量(Mv)39,000]10部。製造例(B−1)で製造した重合体(B−A:0.2部)
以上のように調製した電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、温度120℃で30分乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が17μmの電荷輸送層を形成した。
【0246】
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
【0247】
作製した電子写真感光体について、初期ブレードメクレ*1の評価、および電子写真特性*2の評価を行った。結果を表1に示す。
【0248】
*1:初期ブレードメクレの評価方法
作成した電子写真感光体、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510の本体、および、該本体のプロセスカートリッジを温度35℃、湿度80%RHに設定された環境下に15時間曝した。その後、該環境下にて、作成した電子写真感光体をプロセスカートリッジに装着し、べた白画像を連続して20枚連続して出力し、この間、クリーニングブレードがめくれる不具合が生じないか確認した。(この評価を4ステーションで行い(電子写真感光体、プロセスカートリッジを各色用に新品で4個用意)、1回でもめくれる不具合が発生した場合は、表1に“F”、一度も発生しなかった場合は“A”と表記)
【0249】
*2:電子写真特性の評価方法
作製した電子写真感光体、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510の本体、および、表面電位を測定するための工具を温度25℃、湿度50%RH(常温、常湿)に設定された環境下に15時間曝した。なお、表面電位を測定するための工具は、LBP−2510のプロセスカートリッジの現像ローラー位置に電子写真感光体の表面電位測定用のプローブを設置した工具(トナー、現像ローラー類、クリーニングブレードは外した)である。その後、同環境下にて電子写真感光体の表面電位を測定するための工具に電子写真感光体を装着し、静電転写ベルトユニットを外した状態で通紙せずに電子写真感光体の表面電位を測定した。なお、表面電位を測定するための工具は、本体のシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、測定した。
【0250】
電位の測定方法は、まず、露光部電位(Vl:帯電後に全面露光有りで電子写真感光体の露光後一周目の電位)を測定し、次に、前露光後電位(Vr:電子写真感光体一周のみ帯電有り、像露光無し、で前露光後一周目(帯電後二周目)の電位)を測定した。引き続き、1000回の帯電/全面像露光/前露光を繰り返した(1Kサイクル)後、再度、前露光後電位を測定(表中、Vr(1K)で示す)した。
【0251】
以上、これらの結果を表2に示す。
【0252】
(実施例(B−2))
実施例(B−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(B−A)を、製造例(B−2)で製造した重合体(B−B)に変えた以外は、実施例(B−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0253】
(実施例(B−3))
実施例(B−1)において、以下の点を変更した以外は、実施例(B−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0254】
電荷輸送層の結着樹脂である上記式(P−1)で示される繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂を、上記式(P−2)で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):120,000)に変更した。
なお、上記ポリアリレート樹脂中のテレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)は50:50である。
【0255】
(実施例(B−4))
実施例(B−3)において、電荷発生層の電荷発生物質であるヒドロキシガリウムフタロシアニンを、以下のオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)に変更した以外は、実施例(B−4)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。CuKα特性X線回折のブラッグ角2θ±0.2°が9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有するTiOPc。
【0256】
(実施例(B−5))
実施例(B−4)において、電荷輸送層塗布液に用いた上記式(CTM−1)で示される電荷輸送物質に変えて、上記式(CTM−2)で示される電荷輸送物質と、上記式(CTM−3)で示される電荷輸送物質を各5部ずつ用いた。これ以外は、実施例(B−4)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0257】
(比較例(B−1))
実施例(B−1)おいて、電荷輸送層塗布液に重合体(B−A)を含有しない点を変更した以外は、実施例(B−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0258】
(比較例(B−2))
実施例(B−1)おいて、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(B−A)を2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)に変えた以外は、実施例(B−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0259】
(比較例(B−3))
実施例(B−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(B−A)を、製造例(B−3)で製造した重合体(B−C)に変えた以外は、実施例(B−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0260】
(比較例(B−4))
実施例(B−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(B−A)を、化合物(商品名:アロンGF300、東亞合成株式会社製)に変えた以外は、実施例(B−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表2に示す。
【0261】
【表2】

【0262】
以上の結果より、本発明の実施例(B−1)〜(B−5)と、比較例(B−1)および(B−2)を比較することにより、本発明の繰り返し単位を有する化合物を表面層形成用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、初期のブレードメクレを抑制することができる。その結果、弊害を抑制した電子写真感光体を提供することができることが分かる。
【0263】
また、本発明の実施例(B−1)〜(B−5)と、比較例(B−3)を比較することにより、本発明の繰り返し単位を有する化合物が、電子写真特性の中でも繰り返し特性に優れていることが示されている。
【0264】
また、本発明の実施例(B−1)〜(B−5)と、比較例(B−4)を比較することにより、本発明の繰り返し単位を有する化合物を表面層形成用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、比較例4の化合物を使用するよりも電子写真特性の中でも繰り返し特性に優れていることが示されている。
【0265】
(合成例(C−1):上記式(3−4−1)で示される化合物の合成)
脱気したオートクレーブに、下記式(C−e−1):
【化308】

で示されるヨウ素化物(0.5部)およびイオン交換水(20部)を仕込んだ後、300℃に昇温させ、ゲージ圧力9.2MPaで4時間かけてヨウ素のヒドロキシル基への転化反応を行った。反応終了後、反応混合物に、ジエチルエーテル(20部)を入れた。2層分離後、エーテル層に硫酸マグネシウム(0.2部)を入れ、つぎに硫酸マグネシウムをろ過により除去しヒドロキシル化合物を得た。このヒドロキシル化合物をカラムクロマトグラフィーにより主成分以外を分離し、除去した。次に、撹拌装置、コンデンサ−および温度計を備えたガラスフラスコに先に得られたヒドロキシル化合物の100部、アクリル酸の50部、ハイドロキノンの5部、p−トルエンスルホン酸の5部、トルエンの200部を仕込んだ。次いで110℃に昇温させ、原料のヒドロキシル化合物が無くなるまで反応を継続した。反応終了後、トルエンの200部で希釈後、水酸化ナトリウム水溶液にて2回水洗を行った後、さらに、イオン交換水により水洗を3回繰り返した。その後、減圧下にトルエンを留去することにより、生成物を得た。得られた生成物の同定をH−NMRおよび19F−NMRにより行い、ガスクロマトグラフィにより生成物の定量行った結果、上記式(3−4−1)で示される化合物が主成分であった。
【0266】
(合成例(C−2):上記式(3−4−3)で示される化合物の合成)
合成例(C−1)に記載の上記式(C−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(C−e−2):
【化309】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(C−1)と同様に反応させ、上記式(3−4−3)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0267】
(合成例(C−3):上記式(3−4−6)で示される化合物の合成)
合成例(C−1)に記載の上記式(C−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(C−e−3):
【化310】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(C−1)と同様に反応させ、上記式(3−4−6)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0268】
(合成例(C−4))
合成例(C−1)に記載の上記式(C−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(C−f−1):
【化311】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(C−1)と同様に反応させ、下記式(C−f):
【化312】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0269】
(製造例(C−1):重合体(C−A)の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに、メチルメタクリレート(以下MMAと略記する)10部と、アセトン(17.5%)−トルエン混合溶媒0.3部を仕込んだ。次いで窒素ガス導入後、還流下に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略記する)0.5部と連鎖移動剤としてチオグリコール酸0.32部を加えて重合を開始させた。その後4.5時間の間に、MMA90部を連続的に滴下し、またチオグリコール酸2.08部をトルエン7部に溶解して、30分毎、9回に分けて追加、同様にAIBN(1.5部)を1.5時間毎、3回に分けて追加し、重合を行なった。さらにその後2時間還流して重合を終了し、上記式(g)のポリマー溶液を得た。反応温度は77〜87℃であつた。反応液の一部をn−ヘキサンにて再沈澱、乾燥して酸価を測定したところ、0.34mg当量/gであった。繰り返し単位の平均繰り返し回数は、およそ80であった。
【0270】
次に、上記反応液からアセトンの一部を留去した後、触媒としてトリエチルアミン0.5%および重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル200ppmを添加し、ポリマーの酸価に対して1.2倍モルのグリシジルメタクリレートを加えた。次いで還流下(約110℃)にて11時間反応させた。反応液を10倍量のn−ヘキサン中に投入、沈澱させた後、80℃で減圧乾燥して、上記式(d−1)で示される化合物90部を得た。
【0271】
次に、撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに以下の材料を仕込み、窒素ガス導入、還流下(約100℃に加熱)に、5時間反応させた。上記式(d−1)で示される化合物70部。合成例(C−1)で得られた上記式(3−4−1)で示される化合物が主成分である生成物を30部。トリフルオロトルエン270部。AIBN(0.35部)。この反応液を10倍量のメタノール中に投入、沈澱させ、80℃で減圧乾燥して、上記式(1−4−1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(C−A:重量平均分子量(Mw):21,000)を得た。
【0272】
重合体の重量平均分子量は、上記測定方法と同様の方法により測定した。
【0273】
(製造例(C−2):重合体(C−B)の製造)
上記式(3−4−1)で示される化合物を、合成例(C−2)で得られた上記式(3−4−3)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(C−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−4−3)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(C−B:重量平均分子量20,000)を得た。
【0274】
(製造例(C−3):重合体(C−C)の製造)
上記式(3−4−1)で示される化合物を、合成例(C−3)で得られた上記式(3−4−6)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(C−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−4−6)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(C−C:重量平均分子量23,000)を得た。
【0275】
(製造例(C−4):重合体(C−D)の製造)(比較例)
上記式(3−4−1)で示される化合物を、合成例(C−4)で得られた上記式(C−f)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(C−1)と同じ手順で反応、処理し、下記式(C−f−2):
【化313】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される繰り返し構造単位を有する重合体(C−D:重量平均分子量21,000)を得た。
【0276】
(実施例(C−1))
温度23℃、湿度60%RHの環境下で熱間押し出しすることにより得られた、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金のED管、昭和アルミニウム(株)製)を導電性支持体とした。
【0277】
以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率80Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)6.6部。結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)5.5部。溶剤としてのメトキシプロパノール5.9部。
【0278】
この分散液に、以下の材料を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)0.5部。レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.001部。
【0279】
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬コーティングし、温度140℃で30分間乾燥、熱硬化して、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0280】
さらに、導電層上に、以下の中間層用塗布液を浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.5μmの中間層を形成した。N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)2部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られた中間層用塗布液。
【0281】
次に、以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部。ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部。シクロヘキサノン250部。
【0282】
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
【0283】
次に、以下の材料をジメトキシメタン30部/クロロベンゼン70部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送物質を含有する塗布液を調製した。上記式(CTM−1)で示される構造を有する電荷輸送物質10部。結着樹脂として上記式(P−1)で示される繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)[粘度平均分子量(Mv)39,000]10部。製造例(C−1)で製造した重合体(C−A:0.2部)。
【0284】
以上のように調製した電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、温度120℃で30分乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が17μmの電荷輸送層を形成した。
【0285】
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
【0286】
作製した電子写真感光体について、初期ブレードメクレ*1の評価、および電子写真特性*2の評価を行った。結果を表3に示す。
【0287】
*1:初期ブレードメクレの評価方法
作成した電子写真感光体、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510の本体、および、該本体のプロセスカートリッジを温度35℃、湿度80%RHに設定された環境下に15時間曝した。その後、該環境下にて、作成した電子写真感光体をプロセスカートリッジに装着し、べた白画像を連続して20枚連続して出力し、この間、クリーニングブレードがめくれる不具合が生じないか確認した。(この評価を4ステーションで行い(電子写真感光体、プロセスカートリッジを各色用に新品で4個用意)、1回でもめくれる不具合が発生した場合は、表1に“F”、一度も発生しなかった場合は“A”と表記)
【0288】
*2:電子写真特性の評価方法
作製した電子写真感光体、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510の本体、および、表面電位を測定するための工具を温度25℃、湿度50%RH(常温、常湿)に設定された環境下に15時間曝した。なお、表面電位を測定するための工具は、LBP−2510のプロセスカートリッジの現像ローラー位置に電子写真感光体の表面電位測定用のプローブを設置した工具(トナー、現像ローラー類、クリーニングブレードは外した)である。その後、同環境下にて電子写真感光体の表面電位を測定するための工具に電子写真感光体を装着し、静電転写ベルトユニットを外した状態で通紙せずに電子写真感光体の表面電位を測定した。なお、表面電位を測定するための工具は、本体のシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、測定した。
【0289】
電位の測定方法は、まず、露光部電位(Vl:帯電後に全面露光有りで電子写真感光体の露光後一周目の電位)を測定し、次に、前露光後電位(Vr:電子写真感光体一周のみ帯電有り、像露光無し、で前露光後一周目(帯電後二周目)の電位)を測定した。引き続き、1000回の帯電/全面像露光/前露光を繰り返した(1Kサイクル)後、再度、前露光後電位を測定(表中、Vr(1K)で示す)した。
【0290】
以上、これらの結果を表3に示す。
【0291】
(実施例(C−2))
実施例(C−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(C−A)を、製造例(C−2)で製造した重合体(C−B)に変えた以外は、実施例(C−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0292】
(実施例(C−3))
実施例(C−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(C−A)を、製造例(C−3)で製造した重合体(C−C)に変えた以外は、実施例(C−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0293】
(実施例(C−4))
実施例(C−1)において、以下の点を変更した以外は、実施例(C−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0294】
電荷輸送層の結着樹脂である上記式(P−1)で示される繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂を、上記式(P−2)で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):120,000)に変更した。
【0295】
なお、上記ポリアリレート樹脂中のテレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)は50:50である。
【0296】
(実施例(C−5))
実施例(C−4)において、電荷発生層の電荷発生物質であるヒドロキシガリウムフタロシアニンを、以下のオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)に変更した以外は、実施例(C−4)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。CuKα特性X線回折のブラッグ角2θ±0.2°が9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有するTiOPc。
【0297】
(実施例(C−6)
実施例(C−5)において、電荷輸送層塗布液に用いた上記式(CTM−1)で示される電荷輸送物質に変えて、上記式(CTM−2)で示される電荷輸送物質と、上記式(CTM−3)で示される電荷輸送物質を各5部ずつ用いた。これ以外は、実施例(C−5)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0298】
(比較例(C−1))
実施例(C−1)おいて、電荷輸送層塗布液に重合体(C−A)を含有しない点を変更した以外は、実施例(C−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0299】
(比較例(C−2))
実施例(C−1)おいて、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(C−A)を2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)に変えた以外は、実施例(C−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0300】
(比較例(C−3))
実施例(C−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(C−A)を、製造例(C−4)で製造した重合体(C−D)に変えた以外は、実施例(C−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0301】
(比較例(C−4))
実施例(C−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(C−A)を、化合物(商品名:アロンGF300、東亞合成株式会社製)に変えた以外は、実施例(C−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表3に示す。
【0302】
【表3】

【0303】
以上の結果より、本発明の実施例(C−1)〜(C−6)と、比較例(C−1)および(C−2)を比較することにより、本発明の繰り返し単位を有する化合物を表面層形成用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、初期のブレードメクレを抑制することができる。その結果、弊害を抑制した電子写真感光体を提供することができることが分かる。
【0304】
また、本発明の実施例(C−1)〜(C−6)と、比較例(C−3)を比較することにより、本発明の繰り返し単位を有する化合物が、電子写真特性の中でも繰り返し特性に優れていることが示されている。
【0305】
また、本発明の実施例(C−1)〜(C−6)と、比較例(C−4)を比較することにより、本発明の繰り返し単位を有する化合物を表面層形成用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、比較例4の化合物を使用するよりも電子写真特性の中でも繰り返し特性に優れていることが示されている。
(合成例(D−1):上記式(3−5−2)で示される化合物の合成)
脱気したオートクレーブに、下記式(D−e−1):
【化314】

で示されるヨウ素化物(0.5部)およびイオン交換水(20部)を仕込んだ後、300℃に昇温させ、ゲージ圧力9.2MPaで4時間かけてヨウ素のヒドロキシル基への転化反応を行った。反応終了後、反応混合物に、ジエチルエーテル(20部)を入れた。2層分離後、エーテル層に硫酸マグネシウム(0.2部)を入れ、つぎに硫酸マグネシウムをろ過により除去しヒドロキシル化合物を得た。このヒドロキシル化合物をカラムクロマトグラフィーにより主成分以外を分離し、除去した。次に、撹拌装置、コンデンサ−および温度計を備えたガラスフラスコに先に得られたヒドロキシル化合物の100部、アクリル酸の50部、ハイドロキノンの5部、p−トルエンスルホン酸の5部、トルエンの200部を仕込んだ。次いで110℃に昇温させ、原料のヒドロキシル化合物が無くなるまで反応を継続した。反応終了後、トルエンの200部で希釈後、水酸化ナトリウム水溶液にて2回水洗を行った後、さらに、イオン交換水により水洗を3回繰り返した。その後、減圧下にトルエンを留去することにより、生成物を得た。得られた生成物の同定をH−NMRおよび19F−NMRにより行い、ガスクロマトグラフィにより生成物の定量行った結果、上記式(3−5−2)で示される化合物が主成分であった。
【0306】
(合成例(D−2):上記式(3−5−4)で示される化合物の合成)
合成例(D−1)に記載の上記式(D−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(D−e−2):
【化315】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(D−1)と同様に反応させ、上記式(3−5−4)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0307】
(合成例(D−3):上記式(3−5−5)で示される化合物の合成)
合成例(D−1)に記載の上記式(D−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(D−e−3):
【化316】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(D−1)と同様に反応させ、上記式(3−5−5)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0308】
(合成例(D−4):上記式(3−5−6)で示される化合物の合成)
合成例(D−1)に記載の上記式(D−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(D−e−4):
【化317】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(D−1)と同様に反応させ、上記式(3−5−6)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0309】
(合成例(D−5))
合成例(D−1)に記載の上記式(D−e−1)で示されるヨウ素化物に変えて、下記式(D−f−1):
【化318】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(D−1)と同様に反応させ、下記式(D−f):
【化319】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0310】
(製造例(D−1):重合体(D−A)の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに、メチルメタクリレート(以下MMAと略記する)10部と、アセトン(17.5%)−トルエン混合溶媒0.3部を仕込んだ。次いで窒素ガス導入後、還流下に重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略記する)0.5部と連鎖移動剤としてチオグリコール酸0.32部を加えて重合を開始させた。その後4.5時間の間に、MMA90部を連続的に滴下し、またチオグリコール酸2.08部をトルエン7部に溶解して、30分毎、9回に分けて追加、同様にAIBN(1.5部)を1.5時間毎、3回に分けて追加し、重合を行なった。さらにその後2時間還流して重合を終了し、上記式(g)のポリマー溶液を得た。反応温度は77〜87℃であつた。反応液の一部をn−ヘキサンにて再沈澱、乾燥して酸価を測定したところ、0.34mg当量/gであった。繰り返し単位の平均繰り返し回数は、およそ80であった。
【0311】
次に、上記反応液からアセトンの一部を留去した後、触媒としてトリエチルアミン0.5%および重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル200ppmを添加し、ポリマーの酸価に対して1.2倍モルのグリシジルメタクリレートを加えた。次いで還流下(約110℃)にて11時間反応させた。反応液を10倍量のn−ヘキサン中に投入、沈澱させた後、80℃で減圧乾燥して、上記式(d−1)で示される化合物90部を得た。
【0312】
次に、撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに以下の材料を仕込み、窒素ガス導入、還流下(約100℃に加熱)に、5時間反応させた。上記式(d−1)で示される化合物70部。合成例(D−1)で得られた上記式(3−5−2)で示される化合物が主成分である生成物を30部。トリフルオロトルエン270部。AIBN(0.35部)。この反応液を10倍量のメタノール中に投入、沈澱させ、80℃で減圧乾燥して、上記式(1−5−3)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(D−A:重量平均分子量(Mw):22,000)を得た。
【0313】
重合体の重量平均分子量は、上記測定方法と同様の方法により測定した。
【0314】
(製造例(D−2):重合体(D−B)の製造)
上記式(3−5−2)で示される化合物を、合成例(D−2)で得られた上記式(3−5−4)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(D−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−5−4)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(D−B:重量平均分子量23,000)を得た。
【0315】
(製造例(D−3):重合体(D−C)の製造)
上記式(3−5−2)で示される化合物を、合成例(D−3)で得られた上記式(3−5−5)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(D−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−5−5)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(D−C:重量平均分子量20,000)を得た。
【0316】
(製造例(D−4):重合体(D−D)の製造)
上記式(3−5−2)で示される化合物を、合成例(D−4)で得られた上記式(3−5−6)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(D−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−5−6)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(D−D:重量平均分子量24,500)を得た。
【0317】
(製造例(D−5):重合体(D−E)の製造)(比較例)
上記式(3−3−2)で示される化合物を、合成例(D−5)で得られた上記式(D−f)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(D−1)と同じ手順で反応、処理し、下記式(D−f−2):
【化320】

(上記式中の7は繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される繰り返し構造単位を有する重合体(D−E:重量平均分子量21,000)を得た。
【0318】
(実施例(D−1))
温度23℃、湿度60%RHの環境下で熱間押し出しすることにより得られた、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金のED管、昭和アルミニウム(株)製)を導電性支持体とした。
【0319】
以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率80Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)6.6部。結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)5.5部。溶剤としてのメトキシプロパノール5.9部。
【0320】
この分散液に、以下の材料を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)0.5部。レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.001部。
【0321】
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬コーティングし、温度140℃で30分間乾燥、熱硬化して、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0322】
さらに、導電層上に、以下の中間層用塗布液を浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.5μmの中間層を形成した。N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)2部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られた中間層用塗布液。
【0323】
次に、以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部。ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部。シクロヘキサノン250部。
【0324】
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
【0325】
次に、以下の材料をジメトキシメタン30部/クロロベンゼン70部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送物質を含有する塗布液を調製した。上記式(CTM−1)で示される構造を有する電荷輸送物質10部。結着樹脂として上記式(P−1)で示される繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)[粘度平均分子量(Mv)39,000]10部。製造例(D−1)で製造した重合体(D−A:0.2部)。
【0326】
以上のように調製した電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、温度120℃で30分乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が17μmの電荷輸送層を形成した。
【0327】
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
【0328】
作製した電子写真感光体について、初期ブレードメクレ*1の評価、および電子写真特性*2の評価を行った。結果を表1に示す。
【0329】
*1:初期ブレードメクレの評価方法
作成した電子写真感光体、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510の本体、および、該本体のプロセスカートリッジを温度35℃、湿度80%RHに設定された環境下に15時間曝した。その後、該環境下にて、作成した電子写真感光体をプロセスカートリッジに装着し、べた白画像を連続して20枚連続して出力し、この間、クリーニングブレードがめくれる不具合が生じないか確認した。(この評価を4ステーションで行い(電子写真感光体、プロセスカートリッジを各色用に新品で4個用意)、1回でもめくれる不具合が発生した場合は、表1に“F”、一度も発生しなかった場合は“A”と表記)
【0330】
*2:電子写真特性の評価方法
作製した電子写真感光体、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510の本体、および、表面電位を測定するための工具を温度25℃、湿度50%RH(常温、常湿)に設定された環境下に15時間曝した。なお、表面電位を測定するための工具は、LBP−2510のプロセスカートリッジの現像ローラー位置に電子写真感光体の表面電位測定用のプローブを設置した工具(トナー、現像ローラー類、クリーニングブレードは外した)である。その後、同環境下にて電子写真感光体の表面電位を測定するための工具に電子写真感光体を装着し、静電転写ベルトユニットを外した状態で通紙せずに電子写真感光体の表面電位を測定した。なお、表面電位を測定するための工具は、本体のシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、測定した。
【0331】
電位の測定方法は、まず、露光部電位(Vl:帯電後に全面露光有りで電子写真感光体の露光後一周目の電位)を測定し、次に、前露光後電位(Vr:電子写真感光体一周のみ帯電有り、像露光無し、で前露光後一周目(帯電後二周目)の電位)を測定した。引き続き、1000回の帯電/全面像露光/前露光を繰り返した(1Kサイクル)後、再度、前露光後電位を測定(表中、Vr(1K)で示す)した。
【0332】
以上、これらの結果を表4に示す。
【0333】
(実施例(D−2))
実施例(D−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(D−A)を、製造例(D−2)で製造した重合体(D−B)に変えた以外は、実施例(D−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0334】
(実施例(D−3))
実施例(D−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(D−A)を、製造例(D−3)で製造した重合体(D−C)に変えた以外は、実施例(D−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0335】
(実施例(D−4))
実施例(D−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(D−A)を、製造例(D−4)で製造した重合体(D−D)に変えた以外は、実施例(D−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0336】
(実施例(D−5))
実施例(D−1)において、以下の点を変更した以外は、実施例(D−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0337】
電荷輸送層の結着樹脂である上記式(P−1)で示される繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂を、上記式(P−2)で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):120,000)に変更した。
なお、上記ポリアリレート樹脂中のテレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)は50:50である。
【0338】
(実施例(D−6))
実施例(D−5)において、電荷発生層の電荷発生物質であるヒドロキシガリウムフタロシアニンを、以下のオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)に変更した以外は、実施例D−6と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。CuKα特性X線回折のブラッグ角2θ±0.2°が9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有するTiOPc。
【0339】
(実施例(D−7))
実施例(D−6)において、電荷輸送層塗布液に用いた上記式(CTM−1)で示される電荷輸送物質に変えて、上記式(CTM−2)で示される電荷輸送物質と、下記式(CTM−3)で示される電荷輸送物質を各5部ずつ用いた。これ以外は、実施例(D−7)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0340】
(比較例(D−1))
実施例(D−1)おいて、電荷輸送層塗布液に重合体(D−A)を含有しない点を変更した以外は、実施例(D−1)同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0341】
(比較例(D−2))
実施例(D−1)おいて、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(D−A)を2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)に変えた以外は、実施例(D−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0342】
(比較例(D−3))
実施例(D−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(D−A)を、製造例(D−5)で製造した重合体(D−E)に変えた以外は、実施例(D−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0343】
(比較例(D−4))
実施例(D−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(D−A)を、化合物(商品名:アロンGF300、東亞合成株式会社製)に変えた以外は、実施例(D−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表4に示す。
【0344】
【表4】

【0345】
以上の結果より、本発明の実施例(D−1)〜(D−7)と、比較例(D−1)および(D−2)を比較することにより、本発明にかかる繰り返し単位を有する化合物を表面層形成用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、初期のブレードメクレを抑制することができる。その結果、弊害を抑制した電子写真感光体を提供することができることが分かる。
【0346】
また、本発明の実施例(D−1)〜(D−7)と、比較例(D−3)を比較することにより、本発明にかかる繰り返し単位を有する化合物中のフッ素原子を有するアルキル基とフッ素原子を有するアルキレン基が酸素により結合した構造またはフッ素原子を有するアルキレン基とフッ素原子を有するアルキレン基が酸素により結合した構造が、電子写真特性の中でも繰り返し特性に優れていることが示されている。
【0347】
また、本発明の実施例(D−1)〜(D−7)と、比較例(D−4)を比較することにより、本発明にかかる繰り返し単位を有する化合物を表面層形成用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、比較例4の化合物を使用するよりも電子写真特性の中でも繰り返し特性に優れていることが示されている。
【0348】
(合成例(E−1):上記式(3−6−2)で示される化合物の合成)
脱気したオートクレーブに、下記式(E−e−1):
【化321】

で示されるヨウ素化物0.5部と、イオン交換水20部とを導入した。その後、オートクレーブ内を300℃に昇温させ、ゲージ圧力9.2MPaで4時間かけてヨウ素のヒドロキシル基への転化反応を行った。
【0349】
反応終了後、この反応混合物にジエチルエーテル20部を添加した。2層分離後、エーテル層に硫酸マグネシウム0.2部を加え、つぎに硫酸マグネシウムをろ過により除去し上記式(E−e−1)のヒドロキシル化合物を得た。これを、カラムクロマトグラフィーにかけ、主成分以外の成分を分離、除去して、このヒドロキシル化合物を得た。次に、撹拌装置、コンデンサ−および温度計を備えたガラスフラスコに、このヒドロキシル化合物100部、アクリル酸50部、ハイドロキノン5部、p−トルエンスルホン酸5部およびトルエン200部を導入した。その後、ガラスフラスコを110℃に昇温させ、原料のヒドロキシル化合物が無くなるまで反応を継続した。反応終了後、トルエン200部で希釈後、水酸化ナトリウム水溶液にて2回水洗を行った後、さらに、イオン交換水により水洗を3回繰り返した。その後、減圧下にトルエンを留去することにより、生成物を得た。得られた生成物の同定をH−NMR、19F−NMRにより行い、ガスクロマトグラフィにより生成物の定量を行った結果、この生成物の主成分は、上記式(3−6−2)で示される化合物であった。
【0350】
(合成例(E−2):上記式(3−6−3)で示される化合物の合成)
合成例(E−1)に記載の上記式(E−e−1)で示されるヨウ素化物に代えて、下記式(E−e−2):
【化322】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(E−1)と同様に反応させ、上記式(3−6−3)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0351】
(合成例(E−3):上記式(3−6−10)で示される化合物の合成)
合成例(E−1)に記載の上記式(E−e−1)で示されるヨウ素化物に代えて、下記式(E−e−3):
【化323】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(E−1)と同様に反応させ、上記式(3−6−10)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0352】
(合成例(E−4):上記式(3−6−11)で示される化合物の合成)
合成例(E−1)に記載の上記式(E−e−1)で示されるヨウ素化物に代えて、下記式(E−e−4):
【化324】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(E−1)と同様に反応させ、上記式(3−6−11)で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0353】
(合成例(E−5))
合成例(E−1)に記載の上記式(E−e−1)で示されるヨウ素化物に代えて、下記式(E−f−1−a):
【化325】

(上記式中の7は、置換基−CF−の繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(E−1)と同様に反応させ、下記式(E−f−1):
【化326】

(上記式中の7は、置換基−CF−の繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0354】
(合成例(E−6))
合成例(E−1)に記載の上記式(E−e−1)で示されるヨウ素化物に代えて、下記式(E−f−2−a):
【化327】

(式中の9は、置換基−CF−の繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(E−1)と同様に反応させ、下記式(E−f−2):
【化328】

(式中の9は、置換基−CF−の繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0355】
(合成例(E−7))
合成例(E−1)に記載の上記式(E−e−1)で示されるヨウ素化物に代えて、下記式(E−f−3−a):
【化329】

で示されるヨウ素化物を用いた以外は合成例(E−1)と同様に反応させ、下記式(E−f−3):
【化330】

で示される化合物が主成分である生成物を得た。
【0356】
(製造例(E−1):重合体(E−A)の製造)
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに、メチルメタクリレート(以下MMAと略記する)10部と、アセトン(17.5%)−トルエン混合溶媒0.3部を導入し、窒素ガスを導入した。その後、還流下に重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略記する)0.5部と連鎖移動剤としてチオグリコール酸0.32部とを加えて重合を開始させた。その後、4.5時間の間に、MMA90部を連続的に滴下し、またトルエン7部にチオグリコール酸2.08部を溶解したものを、30分毎、9回に分けて追加し、同様にAIBN1.5部を1.5時間毎、3回に分けて追加し、重合を行った。さらにその後2時間還流して重合を終了し、上記式(g)のポリマー溶液を得た。反応温度は77〜87℃であった。
【0357】
反応液の一部をn−ヘキサンにて再沈澱、乾燥して酸価を測定したところ、0.34mg当量/gであった。繰り返し単位の平均繰り返し回数は、およそ80であった。
【0358】
次に、上記反応液からアセトンの一部を留去した後、触媒としてトリエチルアミン0.5%と、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル200ppmとを添加し、ポリマーの酸価に対して1.2倍モルのグリシジルメタクリレートを加えた。これを還流下(約110℃)にて11時間反応させた。反応液を10倍量のn−ヘキサン中に投入、沈澱させた後、80℃で減圧乾燥して、上記式(d−1)で示される化合物90部を得た。
【0359】
次に、撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計およびガス吹込口を取り付けたガラスフラスコに、以下の各成分を導入した。
上記式(d−1)で示される化合物 70部
合成例(E−1)で得られた上記式(3−6−2)
で示される化合物が主成分である生成物 30部
トリフルオロトルエン 270部
AIBN 0.35部
このフラスコに窒素ガスを導入し、還流下(約100℃に加熱)に、5時間反応させた。この反応液を10倍量のメタノール中に投入、沈澱させ、80℃減圧乾燥して、上記式(1−6−2)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(E−A)を得た。なお、この重合体(E−A)の重量平均分子量は、22,000であった。
【0360】
重合体の重量平均分子量は、上記測定方法と同様の方法により測定した。
【0361】
(製造例(E−2):重合体(E−B)の製造)
上記式(3−6−2)で示される化合物を、合成例(E−2)で得られた上記式(3−6−3)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−6−3)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(E−B)を得た。なお、この重合体(E−B)の重量平均分子量は、20,000であった。
【0362】
(製造例(E−3):重合体(E−C)の製造)
上記式(3−6−2)で示される化合物を、合成例(E−3)で得られた上記式(3−6−10)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−6−10)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(E−C)を得た。なお、この重合体(E−C)の重量平均分子量は、23,000であった。
【0363】
(製造例(E−4):重合体(E−D)の製造)
上記式(3−6−2)で示される化合物を、合成例(E−4)で得られた上記式(3−6−11)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−6−11)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(E−D)を得た。なお、この重合体(E−D)の重量平均分子量は、22,600であった。
【0364】
(製造例(E−5):重合体(E−E)の製造)
上記式(3−6−2)で示される化合物30部に代えて、以下の各成分を用いた以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−6−2)で示される繰り返し構造単位と上記式(1−6−10)で示される繰り返し構造単位とのモル比で70:30である重合体(E−E)を得た。なお、この重合体(E−E)の重量平均分子量は、22,900であった。
合成例(E−1)で得られた上記式(3−6−2)で示される
化合物が主成分である生成物 21部
合成例(E−3)で得られた上記式(3−6−10)で示される
化合物が主成分である生成物 9部
【0365】
(製造例(E−6):重合体(E−F)の製造)
上記式(3−6−2)で示される化合物30部に代えて、以下の各成分を用いた以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−6−2)で示される繰り返し構造単位と上記式(1−6−10)で示される繰り返し構造単位とのモル比で50:50である重合体(E−F)を得た。なお、この重合体(E−F)の重量平均分子量は、24,000であった。
合成例(E−1)で得られた上記式(3−6−2)で示される
化合物が主成分である生成物 15部
合成例(E−3)で得られた上記式(3−6−10)で示される
化合物が主成分である生成物 15部
【0366】
(製造例(E−7):重合体(E−G)の製造)
上記式(3−6−2)で示される化合物30部に代えて、以下の各成分を用いた以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(1−6−2)で示される繰り返し構造単位と上記式(1−6−10)で示される繰り返し構造単位とのモル比で30:70である重合体(E−G)を得た。なお、この重合体(E−G)の重量平均分子量は、25,000であった。
合成例(E−1)で得られた上記式(3−6−2)で示される
化合物が主成分である生成物 9部
合成例(E−3)で得られた上記式(3−6−10)で示される
化合物が主成分である生成物 21部
【0367】
(製造例(E−8):重合体(E−H)の製造)
上記式(3−6−2)で示される化合物30部に代えて、以下の各成分を用いた以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理した。その結果、下記式(E−f−3−b):
【化331】

で示される繰り返し構造単位と、上記式(1−6−2)で示される繰り返し構造単位と、上記式(1−6−10)で示される繰り返し構造単位とのモル比が3:67:30である重合体(E−H)を得た。なお、この重合体(E−H)の重量平均分子量は、22,000であった。
合成例(E−7)で得られた上記式(E−f−3)で示される
化合物が主成分である生成物 1部
合成例(E−1)で得られた上記式(3−6−2)で示される
化合物が主成分である生成物 20部
合成例(E−3)で得られた上記式(3−6−10)で示される
化合物が主成分である生成物 9部
【0368】
(製造例(E−9):重合体(E−I)の製造)
上記式(3−6−2)で示される化合物30部に代えて、以下の各成分を用いた以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理した。その結果、上記式(1−6−2)で示される繰り返し構造単位と、上記式(1−6−10)で示される繰り返し構造単位と、下記式(E−f−1−b):
【化332】

(式中の7は、置換基−CF−の繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される繰り返し構造単位とのモル比が30:67:3である重合体(E−I)を得た。なお、この重合体(E−I)の重量平均分子量は、18,600であった。
合成例(E−1)で得られた上記式(3−6−2)で示される
化合物が主成分である生成物 9部
合成例(E−3)で得られた上記式(3−6−10)で示される
化合物が主成分である生成物 20部
合成例(E−5)で得られた上記式(E−f−1)で示される
化合物が主成分である生成物 1部
【0369】
(製造例(E−10):重合体(E−J)の製造)(比較例)
上記式(3−6−2)で示される化合物を、合成例(E−5)で得られた上記式(E−f−1)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(E−f−1−b)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(E−J)を得た。なお、この重合体(E−J)の重量平均分子量は、24,000であった。
【0370】
(製造例(E−11):重合体(E−K)の製造)(比較例)
上記式(3−6−2)で示される化合物を、合成例(E−6)で得られた上記式(E−f−2)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理し、下記式(E−f−2−b):
【化333】

(式中の9は、置換基−CF−の繰り返し単位の繰り返し回数を示す。)
で示される繰り返し構造単位を有する化合物である重合体(E−K)を得た。なお、この重合体(E−K)の重量平均分子量は、25,000であった。
【0371】
(製造例(E−12):重合体(E−L)の製造)(比較例)
上記式(3−6−2)で示される化合物を、合成例(E−7)で得られた上記式(E−f−3)で示される化合物が主成分である生成物に変更した以外は、製造例(E−1)と同じ手順で反応、処理し、上記式(E−f−3−b)で示される繰り返し構造単位を有する重合体(E−L)を得た。なお、この重合体(E−L)の重量平均分子量は、21,700であった。
【0372】
(実施例(E−1))
温度23℃、湿度60%RHの環境下で熱間押し出しすることにより得られた、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金のED管、昭和アルミニウム(株)製)を導電性支持体とした。
【0373】
以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率80Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は50%)6.6部。結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)5.5部。溶剤としてのメトキシプロパノール5.9部。
【0374】
この分散液に、以下の材料を添加して攪拌し、導電層用塗布液を調製した。表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2μm)0.5部。レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)0.001部。
【0375】
この導電層用塗布液を、支持体上に浸漬コーティングし、温度140℃で30分間乾燥、熱硬化して、支持体上端から130mmの位置の平均膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0376】
さらに、導電層上に、以下の中間層用塗布液を浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.5μmの中間層を形成した。N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)2部を、メタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶媒に溶解して得られた中間層用塗布液。
【0377】
次に、以下の材料を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散し、次に、酢酸エチル250部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部。ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部。シクロヘキサノン250部。
【0378】
この電荷発生層用塗布液を、中間層上に浸漬コーティングし、温度100℃で10分間乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
次に、以下の材料をジメトキシメタン30部/クロロベンゼン70部の混合溶媒に溶解し、電荷輸送物質を含有する塗布液を調製した。上記式(CTM−1)で示される構造を有する電荷輸送物質10部。結着樹脂として上記式(P−1)で示される繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)[粘度平均分子量(Mv)39,000]10部。製造例(E−1)で製造した重合体(E−A)0.2部。
【0379】
以上のように調製した電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬コーティングし、温度120℃で30分乾燥して、支持体上端から130mm位置の平均膜厚が17μmの電荷輸送層を形成した。
【0380】
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
【0381】
作製した電子写真感光体について、初期ブレードメクレ*1の評価、および電子写真特性*2の評価を行った。結果を表1に示す。
【0382】
*1:初期ブレードメクレの評価方法
作成した電子写真感光体、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510の本体、および、該本体のプロセスカートリッジを温度35℃、湿度80%RHに設定された環境下に15時間曝した。その後、該環境下にて、作成した電子写真感光体をプロセスカートリッジに装着し、べた白画像を連続して20枚連続して出力し、この間、クリーニングブレードがめくれる不具合が生じないか確認した。(この評価を4ステーションで行い(電子写真感光体、プロセスカートリッジを各色用に新品で4個用意)、1回でもめくれる不具合が発生した場合は、表1に“F”、一度も発生しなかった場合は“A”と表記)
【0383】
*2:電子写真特性の評価方法
作製した電子写真感光体、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510の本体、および、表面電位を測定するための工具を温度25℃、湿度50%RH(常温、常湿)に設定された環境下に15時間曝した。なお、表面電位を測定するための工具は、LBP−2510のプロセスカートリッジの現像ローラー位置に電子写真感光体の表面電位測定用のプローブを設置した工具(トナー、現像ローラー類、クリーニングブレードは外した)である。その後、同環境下にて電子写真感光体の表面電位を測定するための工具に電子写真感光体を装着し、静電転写ベルトユニットを外した状態で通紙せずに電子写真感光体の表面電位を測定した。なお、表面電位を測定するための工具は、本体のシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、測定した。
【0384】
電位の測定方法は、まず、露光部電位(Vl:帯電後に全面露光有りで電子写真感光体の露光後一周目の電位)を測定し、次に、前露光後電位(Vr:電子写真感光体一周のみ帯電有り、像露光無し、で前露光後一周目(帯電後二周目)の電位)を測定した。引き続き、1000回の帯電/全面像露光/前露光を繰り返した(1Kサイクル)後、再度、前露光後電位を測定(表中、Vr(1K)で示す)した。
【0385】
以上、これらの結果を表5に示す。
【0386】
(実施例(E−2)〜(E−9))
実施例(E−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(E−A)を、表5に示す重合体に変えた点を変更した以外は、実施例(E−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0387】
(実施例(E−10))
実施例(E−1)において、以下の点を変更した以外は、実施例(E−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0388】
電荷輸送層の結着樹脂である上記式(P−1)で示される繰り返し構造単位から構成されるポリカーボネート樹脂を、上記式(P−2)で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):120,000)に変更した。
【0389】
なお、上記ポリアリレート樹脂中のテレフタル酸構造とイソフタル酸構造とのモル比(テレフタル酸構造:イソフタル酸構造)は50:50である。
【0390】
(実施例(E−11))
実施例(E−10)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(E−A)を、重合体(E−B)に変えた点を変更した以外は、実施例(E−10)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0391】
(実施例(E−12))
実施例(E−10)において、電荷輸送層塗布液に用いた上記式(CTM−1)で示される電荷輸送物質に変えて、上記式(CTM−2)で示される電荷輸送物質と、上記式(CTM−3)で示される電荷輸送物質を各5部ずつ用いた。これ以外は、実施例(E−10)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0392】
(実施例(E−13))
実施例(E−12)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(E−A)を、重合体(E−B)に変えた点を変更した以外は、実施例(E−12)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0393】
(比較例(E−1))
実施例(E−1)おいて、電荷輸送層塗布液に重合体(E−A)を含有しない点を変更した以外は、実施例(E−1)同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0394】
(比較例(E−2))
実施例(E−1)おいて、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(E−A)を2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)に変えた以外は、実施例(E−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0395】
(比較例(E−3)〜(E−5))
実施例(E−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(E−A)を、表5に示す重合体に変えた点を変更した以外は、実施例(E−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0396】
(比較例(E−6))
実施例(E−1)において、電荷輸送層塗布液に用いた重合体(E−A)を、化合物(商品名:アロンGF300、東亞合成株式会社製)に変えた以外は、実施例(E−1)と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。結果を表5に示す。
【0397】
【表5】

【0398】
以上の結果より、本発明の実施例(E−1)〜(E−13)と、比較例(E−1)および比較例(E−2)とを比較ことにより、本発明の繰り返し単位を有する化合物を表面層形成用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、初期のブレードメクレを抑制することができる。その結果、弊害を抑制した電子写真感光体を提供することができることが分かる。
【0399】
また、本発明の実施例(E−1)〜(E−13)と、比較例(E−3)〜(E−5)とを比較することにより、本発明の繰り返し単位を有する化合物中の構造を、本発明における範囲で含有する化合物を使用することにより、電子写真特性の中でも繰り返し特性に優れていることが示されている。
【0400】
また、本発明の実施例(E−1)〜(E−13)と、比較例(E−6)とを比較することにより、本発明の繰り返し単位を有する化合物を表面層形成用塗布液の構成成分として用いて電子写真感光体を製造することにより、比較例(E−6)の化合物を使用するよりも電子写真特性の中でも繰り返し特性に優れていることが示されている。
【0401】
この出願は2006年10月31日に出願された日本国特許出願番号第2006−295889、2006年10月31日に出願された日本国特許出願番号第2006−295885、2006年10月31日に出願された日本国特許出願番号第2006−295890、2006年10月31日に出願された日本国特許出願番号第2006−295882、2006年10月31日に出願された日本国特許出願番号第2006−295886および2007年10月1日に出願された日本国特許出願番号第2007−257077からの優先権を主張するものであり、その内容を引用してこの出願の一部とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0402】
【図1】図1A、1B、図1C、図1D及び図1Eは、本発明の電子写真感光体の層構成の例を示す。
【図2】本発明のプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
【符号の説明】
【0403】
101 支持体
102 導電層
103 中間層
104 感光層
1041 電荷発生層
1042 電荷輸送層
105 保護層
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体および該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体であって、該電子写真感光体の表面層が
繰り返し構造単位としては下記式(1)で示される繰り返し構造単位および下記式(a)で示される繰り返し構造単位のみを有する重合体
【化1】

(上記式(1)中、Rは水素またはメチル基を示す。Rは単結合または2価の基を示す。Rfはフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有する1価の基を示す。)
【化2】

(上記式(a)中、R101は水素またはメチル基を示す。Yは2価の有機基を示す。Zは重合体ユニットを示す。)
を含有する電子写真感光体において
該重合体が有する上記式(1)で示される繰り返し構造単位のうちの70〜100個数%が下記式(1−6)で示される繰り返し構造単位
【化3】

(上記式(1−6)中、Rは水素またはメチル基を示す。R20はアルキレン基を示す。R13は炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基を示す。
あることを特徴とする電子写真感光体。
【請求項2】
前記式(a)中のZが、下記式(b−1)または(b−2):
【化4】

(上記式(b−1)中、R201はアルキル基を示す。)
【化5】

(上記式(b−2)中、R202はアルキル基を示す。)
で示される繰り返し構造単位を有する重合体ユニットである請求項に記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記式(a)中のYが、少なくとも下記式(c):
【化6】

(上記式(c)中、YおよびYはそれぞれ独立にアルキレン基を示す。)
で示される構造を有する2価の有機基である請求項またはに記載の電子写真感光体。
【請求項4】
前記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する重合体が、下記式(3)で示される化合物および下記式(d)で示される化合物
【化7】

(上記式(3)中、Rは水素またはメチル基を示す。Rは単結合、または2価の基を示す。Rfはフルオロアルキル基およびフルオロアルキレン基の少なくとも一方を有する1価の基を示す。)
【化8】

(上記式(d)中、R101は水素またはメチル基を示す。Yは2価の有機基を示す。Zは重合体ユニットを示す。)
の重合によって合成されたものであり、上記式(3)で示される化合物のうちの70〜100個数%が下記式(3−6)で示される化合物
【化9】

(上記式(3−6)中、Rは水素またはメチル基を示す。R20はアルキレン基を示す。R13は炭素数4〜6のパーフルオロアルキル基を示す。
あることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項5】
請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体を製造する方法であって、繰り返し構造単位としては前記式(1)で示される繰り返し構造単位ならびに前記式(a)で示される繰り返し構造単位のみを有する重合体を含有する表面層用塗布液を用いて該電子写真感光体の表面層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項7】
前記クリーニング手段がクリーニングブレードを有する請求項に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段を有することを特徴とする電子写真装置。
【請求項9】
前記クリーニング手段がクリーニングブレードを有する請求項に記載の電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−104146(P2009−104146A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303739(P2008−303739)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【分割の表示】特願2008−535425(P2008−535425)の分割
【原出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】