説明

電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真装置用プロセスカートリッジ

【課題】高耐久性を有し、かつ画像濃度低下、あるいは画像ボケの発生による画像劣化を抑制し、高画質画像が安定に得られ、また、両極性帯電に対応できうる感光体を提供する。
【解決手段】導電性支持体上に、少なくとも感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層は、電荷輸送性材料として、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド成分、ナフタレンカルボン酸モノイミド成分又はジフェニルアミノベンズヒドラゾン成分にイソインドール成分をそれぞれ結合させた化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するものであることを特徴とする電子写真感光体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高画質画像が安定に得られる電子写真感光体、また、その電子写真感光体を使用した電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展には目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うレーザープリンターやデジタル複写機は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。さらに、それらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンターあるいはデジタル複写機へと応用されてきている。そのような背景から、要求される感光体の機能としては、高画質化と高耐久化を両立させることが特に重要な課題となっている。
【0003】
これらの電子写真方式のレーザープリンターやデジタル複写機等に使用される感光体としては、有機系の感光材料(OPC)を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く応用されている。OPC感光体の層構成は単層型と機能分離型積層構造に大別される。最初の実用化OPCであるPVK−TNF電荷移動錯体型感光体は前者の単層型であった。
【0004】
一方、1968年、林とRegensburgerにより各々独立してPVK/a−Se積層感光体が発明され、後には1977年Melzらにより、また1978年Schlosserにより有機顔料分散層と有機低分子分散ポリマー層という感光層全てが有機材料からなる積層感光体が発表された。これらは光を吸収して電荷を発生する電荷発生層(CGL)と、CGLで生成した電荷を注入、輸送し、表面電荷を中和する電荷輸送層(CTL)からなるという概念から、機能分離型積層感光体とも呼ばれる。
【0005】
しかしながら有機系の感光体は無機系に比べ、繰り返し使用によって膜削れが大きく、感光層の膜削れが進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、感光体表面のキズなどによる地汚れ、画像濃度低下あるいは画質劣化が促進される傾向が強くなる。したがって、従来から有機感光体の耐摩耗性が大きな課題として挙げられていた。さらに、近年では電子写真装置の高速化あるいは装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高耐久化がより一層重要な課題となっている。
【0006】
感光体の耐摩耗性向上を実現する方法としては、感光層に潤滑性を付与したり、硬化させたり、フィラーを含有させる方法、もしくは低分子電荷輸送物質(CTM)分子分散ポリマー層のかわりに高分子電荷輸送物質を用いる方法が広く知られている。しかしながらこれらの方法により感光層の削れを抑えると、新たな問題がおこる。すなわち、感光層表面に繰り返し使用、周辺環境により生じるオゾンやNOx、その他の酸化性物質が吸着し、繰り返し使用や使用環境によっては、最表面の低抵抗化を招き、画像流れ(画像ボケ)等の問題を引き起こすことが知られている。従来はこのボケ発生物質が感光層と共に少しずつ削りとられることにより、問題はある程度回避されてきた。
【0007】
しかしながら上述の通り、最近の更なる高解像、高耐久化要求に応えるには、新たな手法を付与しなければならなくなってきている。それらの影響を軽減させる1つの方法として感光体にヒーターを搭載する方法があるが、装置の小型化や消費電力の低減に対して大きな障害となっている。また、酸化防止剤等の添加剤も有効な手段ではあるが、単なる添加剤は光導電性を有しないものであるから、感光層への多量添加は、低感度化、残留電位上昇等の電子写真特性の問題をまねいてしまう。
【0008】
以上のように、高耐摩耗性を付与、もしくは感光体周りのプロセス設計によって削れ量が少なくなった電子写真感光体は、副作用として画像ボケの発生、解像度の低下等、画質への影響が避けられず、高耐久化と高画質化を両立させることは困難とされてきた。これは、画像ボケの発生を抑制するには抵抗が高い方が、残留電位上昇を抑制するには抵抗が低い方が適していることから、双方でトレードオフの関係になっていることが問題の解決を困難にしている。
【0009】
実用化された電子写真感光体のほとんどは導電性基体上に電荷発生層と電荷輸送層とを積層した機能分離型の電子写真感光体であり、電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質としては正孔輸送材料が用いられる。これらはもっぱら負帯電の電子写真プロセスに用いられている。
【0010】
また電子写真プロセスにおける信頼性の高い帯電方式はコロナ放電によるものであり、ほとんどの複写機、プリンターはこの方式が採用されている。しかしながら周知の如く、正極性と比べて負極性のコロナ放電は不安定であり、このためスコロトロンによる帯電方式が採用され、コストアップの一要因となっている。負極性のコロナ放電は化学的損傷を引き起こす物質であるオゾンの発生量をより多く伴うため、長時間使用することで帯電時に発生するオゾンによるバインダー樹脂及び電荷移動材料の酸化劣化や、帯電時に生成するイオン性化合物、例えば窒素酸化物イオン、硫黄酸化物イオン、アンモニウムイオン等が感光体表面に蓄積することによる、画質低下が発生し問題となる。このため、オゾンの外部排出を防ぐべく、負帯電方式の複写機、プリンターにはオゾンフィルターが用いられている場合が多く、これも装置のコストアップの要因となっている。また、多量に発生するオゾンは環境汚染の問題ともなる。
【0011】
これらを解消するために、正帯電型の電子写真感光体の開発が進められている。正帯電方式であれば、オゾンや窒素酸化物イオンなどの発生量が少なく押さえられ、さらに現状では広く用いられている二成分系現像剤の使用では、電子写真感光体が正帯電の方が、環境変動が少なく安定な画像が得られ、この面からも正帯電型の電子写真感光体が望ましい。
【0012】
しかしながら、正帯電型の単層型や逆層感光体は、オゾンや窒素酸化物イオンなどの酸化性物質に対して非常に影響を受けやすい電荷発生材料が、表面近傍にあるため周りの環境ガス、例えばブルーヒーターや車からの排気ガスによる特性変動が大きいという欠点を有している。
【0013】
一方、高速複写プロセスの場合は前述のように正帯電型よりもむしろ負帯電型が用いることが好ましい。その理由は高速複写プロセスなどにおいても支障の無い程度の高い電荷移動度を示す有機材料としては、現在のところほとんどが正孔移動の性質のみを有する正孔輸送材料に限られており、そのため正孔輸送材料を用いて形成される電荷輸送層を表面側に配置した順層積層型電子写真感光体においては動作原理上、その帯電性は負帯電にかぎられるからである。
【0014】
以上のように、帯電極性についていえば、電子写真感光体を正帯電及び負帯電の両方の極性で用いることができれば、感光体の応用範囲を更に広げることができ、感光体品種削減によるコスト低減、高速化対応などにおいて有利なものとなる。
【0015】
このような状況から両極性帯電可能な電子写真感光体が特許第2732697号公報(特許文献1)に開示されているが、ここに用いられている電子輸送材料のジフェノキノン誘導体は電荷移動度がやや低いため複写機、プリンターの高速化、小型化を考えた場合、感光体感度特性は充分ではなく、更に繰り返し使用により画像ボケをひきおこすという欠点を有している。
【0016】
また、特開2000−231204号公報(特許文献2)には感光体へ酸掃去剤としてジアルキルアミノ基を有する芳香族系化合物が開示されている。この化合物は繰り返し使用後の画像品質に対して有効なものであるが、電荷輸送能が低いため高感度、高速化要求には対応が難しく、したがって、添加量においても限界がある。
【0017】
更に、特開昭60−196768号公報(特許文献3)、特許第2884353号公報(特許文献4)等に開示されているジアルキルアミノ基を有するスチルベン化合物も耐酸化性ガスによる画像ボケに対して効果があることが[伊丹ら、コニカテクニカルレポート、13巻、37頁、2000年](非特許文献1)に記載されている。
【0018】
しかしながら、これは電荷輸送サイトであるトリアリールアミン構造の共鳴部位に強いメゾメリー効果(+M効果)の置換基であるジアルキルアミノ基を有しているため、全体のイオン化ポテンシャル値は異常に小さくなる。それ故、正孔輸送物質として単独使用した感光層の帯電保持能は、初期から、もしくは繰り返し使用により著しく悪くなるため、実用化は非常に難しいという致命的な欠点を有し、他の電荷輸送物質と混合併用しても、上記スチルベン化合物のイオン化ポテンシャル値はそれらよりもかなり小さいため、スチルベン化合物が移動電荷のホールトラップサイトとなり、感度が著しく低く、かつ残留電位が大きな電子写真感光体となってしまう。
【0019】
また、特開2004−258253号公報(特許文献5)には、スチルベン化合物と特定のジアミン化合物とを含み感度低下を招くことなく繰り返し使用及び酸性ガスなどに対する環境耐性を向上させた感光体が提案されている。
しかし、高速印刷あるいは感光体の小径化に伴う装置の小型化を実現するには未だ充分ではない。
【0020】
一方、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体では1,3−ジフェニル−2−フタルイミドイソインドールの合成方法が非特許文献2に開示されているが、電子写真感光体に用いることが示唆されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の目的は、長期間の繰り返し使用に対しても高耐久性を有し、かつ画像濃度低下、あるいは画像ボケの発生による画像劣化を抑制し、高画質画像が安定に得られる電子写真感光体を提供することにある。また、正負のいずれの極性にも帯電可能な感光体を得、その感光体を用いることにより、感光体の交換が不要で、かつ高速印刷あるいは感光体の小径化に伴う装置の小型化を実現し、さらに繰り返し使用においても高画質画像が安定に得られる電子写真方法、電子写真装置、ならびに電子写真用プロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題は本発明における
(1)「導電性支持体上に、少なくとも感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層は、下記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、下記一般式(2)で表されるナフタルイミド−イソインドール誘導体、下記一般式(3)で表されるトリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するものであることを特徴とする電子写真感光体。
【化1】

[式(1)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、kは1〜4の整数を、lは1〜5の整数を表す。R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。]
【化2】

[式(2)中、R1、R2、R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、kは1〜4の整数を、lは1〜5の整数を、mは1〜6の整数を表す]
【化3】

[式(3)中、R1、R2、R5及びR6は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、kは1〜4の整数を、l、n及びpは1〜5の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]」
(2)「正および負のいずれの極性にも帯電することを特徴とする前記(1)記載の電子写真感光体。」
(3)「前記感光層は、電荷輸送物質をさらに含むものであることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の電子写真感光体。」
(4)「前記電荷輸送物質が下記一般式(4)で表される誘導体であることを特徴とする前記(3)記載の電子写真感光体。
【化4】

[式(4)中、Xは単結合もしくはビニレン基を表し、R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R5は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar1とR5は共同で環を形成しても良い。Aは一般式(5)、一般式(6)、9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表す。
【化5】

【化6】

(ここでR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または一般式(7)を表す。
【化7】

(ただし、R7およびR8は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を示し、R7およびR8は同じでも異なっていてもよく、環を形成しても良い。)
mは1〜3の整数を表し、2以上の時R6は同一でも異なっても良い。)]」
(5)「前記電荷輸送物質が下記一般式(8)で表される誘導体であることを特徴とする前記(3)記載の電子写真感光体。
【化8】

[式(8)中、R9、R11およびR12は水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を、R10は水素原子、アルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基またはハロゲン原子を表す。また、k,l,mおよびnは1、2、3または4の整数であり、それぞれが2、3または4の整数の時は、前記R9、R10、R11およびR12は同じでも異なっていても良い。]」
(6)「前記電荷輸送物質が下記一般式(9)で表される誘導体であることを特徴とする前記(3)記載の電子写真感光体。
【化9】

[式(9)中、Xは単結合もしくはビニレン基を表し、R13は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar3は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R14は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar3とR13は共同で環を形成しても良い。Ar2は下記一般式(10)または一般式(11)を表す。
【化10】

【化11】

ここでR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表し、mは1〜3の整数を表し、2以上の時R6は同一でも異なっても良い。またR12は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。]」
(7)「前記電荷輸送物質が下記一般式(12)で表される誘導体であることを特徴とする前記(3)記載の電子写真感光体。
【化12】

[式(12)中、Xは単結合もしくはビニレン基を表し、R15は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar4は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表し、R16は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Aは一般式(5)、一般式(6)、9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表す。
【化13】

【化14】

(ここでR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または一般式(7)を表す。
【化15】

(ただし、R7およびR8は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を示し、R7およびR8は同じでも異なっていてもよく、環を形成しても良い。)
mは1〜3の整数を表し、2以上の時R6は同一でも異なっても良い。]」
(8)「前記電荷輸送物質が下記一般式(13)で表される誘導体であることを特徴とする前記(3)記載の電子写真感光体。
【化16】

(式(13)中、R17、R18は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)」
(9)「前記電荷輸送物質が下記一般式(14)で表される誘導体であることを特徴とする前記(3)記載の電子写真感光体。
【化17】

〔式(14)中、R19は置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示し、R20は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、または下記式一般式(15)で表される基を示す。
【化18】

(式(15)中、R21は、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。)〕」
(10)「前記電荷輸送物質が下記一般式(16)で表される誘導体であることを特徴とする前記(3)記載の電子写真感光体。
【化19】

(式(16)中、R22、R23は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)」
(11)「前記電荷輸送物質が下記一般式(17)で表される誘導体であることを特徴とする前記(3)記載の電子写真感光体。
【化20】

(式(17)中、R24、R25は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)」
(12)「前記感光層は、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を順次積層したものであることを特徴とする前記(1)乃至(11)のいずれかに記載の電子写真感光体。」
(13)「前記感光層は、少なくとも電荷輸送層、電荷発生層を順次積層したものであることを特徴とする前記(1)乃至(11)のいずれかに記載の電子写真感光体。」
(14)「前記感光層は、単層型の感光層であることを特徴とする前記(1)乃至(11)のいずれかに記載の電子写真感光体。」
(15)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行われる電子写真方法であって、該電子写真感光体は前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。」
(16)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行い、かつ画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みが行われる、デジタル方式の電子写真方法であって、該電子写真感光体は前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。」
(17)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体は前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。」
(18)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなり、該画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みが行われる、デジタル方式の電子写真装置であって、該電子写真感光体は前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。」
(19)「少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体は前記(1)乃至(14)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。」
により解決される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、感光層が、一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、一般式(2)で表されるナフタルイミド−イソインドール誘導体、一般式(3)で表されるトリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することにより、感度低下を招くことなく、繰り返し使用、および酸化性ガスなどに対する環境耐性が大幅に向上するため、高耐久性を有し、長期にわたって高解像度の画質が得られる感光体を得ることが可能となった。本発明によって、電子写真感光体の高耐久化と高画質化の両立が実現され、高画質画像が長期に渡って安定に得られ、更には両極性帯電に対応可能な電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の電子写真感光体を表わす断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を表わす断面図である。
【図3】本発明の電子写真感光体を表わす断面図である。
【図4】本発明の電子写真感光体を表わす断面図である。
【図5】本発明の電子写真感光体を表わす断面図である。
【図6】本発明の電子写真感光体を表わす断面図である。
【図7】本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図である。
【図8】本発明による電子写真プロセスの別の例である。
【図9】本発明による電子写真プロセスカートリッジを説明するための概略図である。
【図10】オキソチタニウムフタロシアニンの粉末XDスペクトルを表す図である。
【図11】製造例1で作製したナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体(例示誘導体No.8)の赤外線吸収スペクトル図である。
【図12】製造例3で作製したトリフェニルアミン−イソインドール誘導体(例示誘導体No.8)の赤外線吸収スペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明者らは検討を進めた結果、感光層に下記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、一般式(2)で表されるナフタルイミド−イソインドール誘導体、一般式(3)で表されるトリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有させることで、前記、酸化性ガス等のボケ発生物質による画像ボケ(画像流れ)等の問題を解決でき、両極性帯電に対応できうる感光体が得られることを見いだした。
【0026】
【化21】

[式(1)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、kは1〜4の整数を、lは1〜5の整数を表す。R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。]
【0027】
【化22】

[式(2)中、R1、R2、R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、kは1〜4の整数を、lは1〜5の整数を、mは1〜6の整数を表す]
【0028】
【化23】

[式(3)中、R1、R2、R5及びR6は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、kは1〜4の整数を、l、n及びpは1〜5の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0029】
本発明における、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体が繰り返し使用による画像品質維持に有効である理由は、現時点では明らかになっていないが、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体については、化学構造内に含まれるアミノ基は塩基性の強い基であるので、画像ボケの原因物質と考えられている酸化性ガスに対しての電気的な中和効果が推測される。また、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体については、化学構造内に含まれるインドール基は塩基性の強い基であるので、画像ボケの原因物質と考えられている酸化性ガスに対しての電気的な中和効果が推測される。また、本発明におけるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体は、他の電荷輸送物質と併用することにより高感度、並びに繰り返し安定性等がさらに増すものである。
【0030】
また、本発明におけるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体は両極性輸送性物質のため、それを用いた感光体は層構成の種類および輸送物質の混合にかかわらず両極性帯電に対応可能な電子写真感光体を得ることもできる。
したがって、以下の構成要件を満足することにより、高耐久性と高画質化の両立を可能とし、繰り返し使用に対しても高画質画像を安定に得られる両極性帯電に対応可能な電子写真感光体を提供、また、繰り返し使用においても高画質画像を安定に得られる電子写真方法、電子写真装置、ならびに電子写真用プロセスカートリッジを提供するに至った。
【0031】
以下、本発明の電子写真感光体、及びそれを用いた電子写真方法、電子写真装置、ならびに電子写真用プロセスカートリッジの詳細を説明する。
まず、本発明にて感光層中に含有させる下記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体の詳細を説明する。
【0032】
【化24】

[式(1)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、kは1〜4の整数を、lは1〜5の整数を表す。R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。]
【0033】
前記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体の製造方法としては、(非特許文献2)に記載されている製造方法を応用して得られる。
具体的には、例えば以下のように、第一工程で;N−アミノ−4,5−ジメチル−2,7−ジフェニルイソインドール誘導体とナフタレンテトラカルボン酸モノイミド誘導体とを反応させることにより、一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体が製造できる。
【0034】
【化25】

【0035】
溶媒としては特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロナフタレン、酢酸、ピリジン、メチルピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、四塩化炭素等があげられる。
反応温度は100℃以上が好ましい。
【0036】
一般式(1)の説明にある、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、及びウンデカニル基などを挙げることができる。また、芳香族炭化水素基としてはベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン及びピレンなどの芳香族環の基、並びにピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなど芳香族複素環の基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、または上記のハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ニトロ基、前記芳香族炭化水素基、及びピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなどの複素環の基などが挙げられる。
【0037】
以下に一般式(1)の好ましい例を挙げる。但し、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
尚、表1におけるR2は一般式(1)における2つのR2がそれぞれ表1記載のものであり、一般式(1)において、2つのR2が同じように置換されていることを示す。
【化26】

【0038】
【表1】

【0039】
次に、本発明にて感光層中に含有させる下記一般式(2)で表されるナフタルイミド−イソインドール誘導体の詳細を説明する。
【0040】
【化27】

[式(2)中、R1、R2、R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、kは1〜4の整数を、lは1〜5の整数を、mは1〜6の整数を表す]
【0041】
前記一般式(2)で表されるナフタルイミド−イソインドール誘導体の製造方法としては、(非特許文献2)に記載されている製造方法を応用して得られる。
具体的には、例えば以下のように、第一工程で;N−アミノー4,5−ジメチル−2,7−ジフェニルイソインドール誘導体とナフタル酸無水物誘導体とを反応させることにより、一般式(2)で表されるナフタルイミド−イソインドール誘導体が製造できる。
【化28】

【0042】
溶媒としては特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロナフタレン、酢酸、ピリジン、メチルピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、四塩化炭素等があげられる。
反応温度は100℃以上が好ましい。
【0043】
一般式(2)の説明にある、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、及びウンデカニル基などを挙げることができる。また、芳香族炭化水素基としてはベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン及びピレンなどの芳香族環の基、並びにピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなど芳香族複素環の基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、または上記のハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ニトロ基、前記芳香族炭化水素基、及びピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなどの複素環の基などが挙げられる。
【0044】
以下に一般式(2)の好ましい例を挙げる。但し、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
尚、表2におけるR2は一般式(2)における2つのR2がそれぞれ表2記載のものであり、一般式(2)において、2つのR2が同じように置換されていることを示す。
【化29】

【表2】

【0045】
次に、本発明にて感光層中に含有させる下記一般式(3)で表されるトリフェニルアミン−イソインドール誘導体の詳細を説明する。
【化30】

[式(3)中、R1、R2、R5及びR6は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、kは1〜4の整数を、l、n及びpは1〜5の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【0046】
前記一般式(3)で表されるトリフェニルアミン−イソインドール誘導体の製造方法としては、以下に示す製造方法により得られる。
具体的には、例えば以下のように、N−アミノジフェニルイソインドールとトリフェニルアミンアルデヒド誘導体とを反応させることにより、一般式(3)で表されるトリフェニルアミン−イソインドール誘導体が製造できる。
【0047】
【化31】

【0048】
溶媒としては特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロナフタレン、酢酸、ピリジン、メチルピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン等があげられる。
反応温度は室温から100℃が好ましい。
【0049】
一般式(3)の説明にある、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、及びウンデカニル基などを挙げることができる。また、芳香族炭化水素基としてはベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、アントラセン、フルオレン及びピレンなどの芳香族環の基、並びにピリジン、キノリン、チオフェン、フラン、オキサゾール、オキサジアゾール、カルバゾールなど芳香族複素環の基が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子があげられる。
また、これらの置換基としては、上記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、または上記のハロゲン原子、ジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ニトロ基、前記芳香族炭化水素基、及びピロリジン、ピペリジン、ピペラジンなどの複素環の基などが挙げられる。
【0050】
以下に一般式(3)の好ましい例を挙げる。但し、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【表3−1】

【0051】
【表3−2】

【0052】
【表3−3】

【0053】
【表3−4】

【0054】
【表3−5】

【0055】
【表3−6】

【0056】
【表3−7】

【0057】
【表3−8】

【0058】
次に、電子写真感光体の層構成に関して説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層33が設けられている。この場合、感光層33に上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が含有される。
図2は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが、積層された構成をとっている。この場合、電荷輸送層37に上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が含有されることが好ましい。
図3は、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層33が設けられ、更に感光層表面に保護層39が設けられてなる。この場合、感光層33に上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が含有されるが、保護層39に上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が含有されても構わない。
【0059】
図4は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層された構成をとっており、更に電荷輸送層上に保護層39が設けられてなる。この場合、電荷輸送層37に上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が含有されることが好ましく、更に保護層39に上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が含有されても構わない。
図5は、導電性支持体31上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35とが積層された構成をとっている。この場合、電荷輸送層37に上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が含有されることが好ましい。
また、図6は、導電性支持体31上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35とが積層された構成をとっており更に電荷発生層上に保護層39が設けられてなる。この場合、電荷輸送層37に上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が含有されることが好ましく、更に保護層39に上記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が含有されても構わない。
【0060】
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0061】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0062】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0063】
次に感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層35と電荷輸送層37で構成される場合から述べる。
【0064】
電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層35には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、シーアイピグメントブルー25(カラーインデックスCI 21180)、シーアイピグメントレッド41(CI 21200)、シーアイアシッドレッド52(CI 45100)、シーアイベーシックレッド3(CI 45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)、ベンズアントロン骨格を有するアゾ顔料などのアゾ顔料。例えば、シーアイピグメントブルー16(CI 74100)、Y型オキソチタニウムフタロシアニン(特開昭64−17066号公報)、A(β)型オキソチタニウムフタロシアニン、B(α)型オキソチタニウムフタロシアニン、I型オキソチタニウムフタロシアニン(特開平11−21466号公報に記載)、II型クロロガリウムフタロシアニン(飯島他,日本化学会第67春季年会,1B4,04(1994))、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(大門他,日本化学会第67春季年会,1B4,05(1994))、X型無金属フタロシアニン(米国特許第3,816,118号)などのフタロシアニン系顔料、シーアイバットブラウン5(CI 73410)、シーアイバットダイ(CI 73030)などのインジコ系顔料、アルゴスカーレットB(バイエル社製)、インタンスレンスカーレットR(バイエル社製)などのペリレン顔料などが挙げられる。なお、これらの材料は単独あるいは2種類以上が併用されても良い。
【0065】
電荷発生層35は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0066】
必要に応じて電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
【0067】
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0068】
電荷発生層35は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
【0069】
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0070】
電荷輸送層37は、電荷輸送物質を主成分とする層である。電荷輸送物質は、正孔輸送物質と電子輸送物質、及び高分子電荷輸送物質に分け、以下に説明する。
【0071】
正孔輸送物質としては、例えば、ポリ−N−カルバゾール及びその誘導体、ポリ-γ-カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、及び以下の一般式(4)、(8)、(9)、(12)、(18)〜(23)、(26)〜(34)、(36)で示される化合物があり、一般式(4)、(8)、(9)、(12)で示される化合物を好ましく用いることができる。
【0072】
【化32】

[式(4)中、Xは単結合もしくはビニレン基を表し、R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R5は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar1とR5は共同で環を形成しても良い。Aは一般式(5)、一般式(6)、9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表す。
【0073】
【化33】

【化34】

(ここでR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または一般式(7)を表す。
【化35】

(ただし、R7およびR8は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を示し、R7およびR8は同じでも異なっていてもよく、環を形成しても良い。)
mは1〜3の整数を表し、2以上の時R6は同一でも異なっても良い。)]
一般式(4)で表される化合物には、例えば、4‘−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4‘−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フェニルスチルベンなどがある。
【0074】
【化36】

[式(8)中、R9、R11およびR12は水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を、R10は水素原子、アルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基またはハロゲン原子を表す。また、k,l,mおよびnは1、2、3または4の整数であり、それぞれが2、3または4の整数の時は、前記R9、R10、R11およびR12は同じでも異なっていても良い。]
一般式(8)で表されるビフェニルアミン化合物には、例えば、4’−メトキシ−N,N−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メチル−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メトキシ−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−[1,1‘−ビフェニル]−4−アミンなどがある。
【0075】
【化37】

[式(9)中、Xは単結合もしくはビニレン基を表し、R13は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar3は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R14は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar3とR13は共同で環を形成しても良い。Ar2は下記一般式(10)または一般式(11)を表す。
【化38】

【化39】

ここでR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表し、mは1〜3の整数を表し、2以上の時R6は同一でも異なっても良い。またR12は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。]
【0076】
一般式(9)で表される化合物には、例えば、下記式で表される化合物などがある。
【化40】

【0077】
【化41】

[式(12)中、Xは単結合もしくはビニレン基を表し、R15は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar4は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表し、R16は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Aは一般式(5)、一般式(6)、9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表す。
【0078】
【化42】

【化43】

(ここでR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または一般式(7)を表す。
【化44】

(ただし、R7およびR8は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を示し、R7およびR8は同じでも異なっていてもよく、環を形成しても良い。)
mは1〜3の整数を表し、2以上の時R6は同一でも異なっても良い。]
【0079】
一般式(12)で表される化合物には、例えば下記式で表される化合物などがある。
【化45】

【0080】
【化46】

(式(18)中、R26はメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基または2−クロルエチル基を表し、R29はメチル基、エチル基、ベンジル基またはフェニル基を表し、R28は水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基またはニトロ基を表す。)
一般式(18)で表される化合物には、例えば、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド 1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド 1,1−ジフェニルヒドラゾンなどがある
【0081】
【化47】

(式(19)中、Ar5はナフタレン環、アントラセン環、ピレン環及びそれらの置換体あるいはピリジン環、フラン環、チオフェン環を表し、R30はアルキル基、フェニル基またはベンジル基を表す。)
一般式(19)で表される化合物には、例えば、4−ジエチルアミノスチリル−β−カルボアルデヒド 1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフタレン−1−カルボアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾンなどがある。
【0082】
【化48】

(式(20)中、R31はアルキル基、ベンジル基、フェニル基またはナフチル基を表し、R32は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を表し、nは1〜4の整数を表し、nが2以上のときはR32は同じでも異なっていても良い。R33は水素原子またはメトキシ基を表す。)
一般式(20)で表される化合物には、例えば、4−メトキシベンズアルデヒド 1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド 1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド 1−(4−メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド 1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド 1,1−ジフェニルヒドラゾンなどがある。
【0083】
【化49】

(式(21)中、R34は炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基または複素環基を表し、R35、R36はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、クロルアルキル基または置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、また、R35とR36は互いに結合し窒素を含む複素環を形成していても良い。R37は同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。)
一般式(21)で表される化合物には、例えば、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−トリフェニルメタンなどがある。
【0084】
【化50】

(式(22)中、R38は水素原子またはハロゲン原子を表し、Ar6は置換もしくは無置換のフェニル基、ナフチル基、アントリル基またはカルバゾリル基を表す。)
一般式(22)で表される化合物には、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、9−ブロム−10−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどがある。
【0085】
【化51】

(式(23)中、R39は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Ar7は下記一般式(24)、一般式(25)を表す。
【0086】
【化52】

40は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
【0087】
【化53】

41は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはジアルキルアミノ基を表し、nは1または2であって、nが2のとき、R41は同一でも異なっていてもよく、R42、R43は水素原子、炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表す。)
一般式(23)で表される化合物には、例えば、9−(4−ジメチルアミノベンジリデン)フルオレン、3−(9−フルオレニリデン)−9−エチルカルバゾールなどがある。
【0088】
【化54】

(式(26)中、R44はカルバゾリル基、ピリジル基、チエニル基、インドリル基、フリル基あるいはそれぞれ置換もしくは非置換のフェニル基、スチリル基、ナフチル基、またはアントリル基であって、これらの置換基がジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基またはそのエステル、ハロゲン原子、シアノ基、アラルキルアミノ基、N−アルキル−N−アラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基及びアセチルアミノ基からなる群から選ばれた基を表す。)
一般式(26)で表される化合物には、例えば、1,2−ビス(4−ジエチルアミノスチリル)ベンゼン、1,2−ビス(2,4−ジメトキシスチリル)ベンゼンなどがある。
【0089】
【化55】

(式(27)中、R45は低級アルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、またはベンジル基を表し、R46、R47は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基あるいは低級アルキル基またはベンジル基で置換されたアミノ基を表し、nは1または2の整数を表す。)
一般式(27)で表される化合物には、例えば、3−スチリル−9−エチルカルバゾール、3−(4−メトキシスチリル)−9−エチルカルバゾールなどがある。
【0090】
【化56】

(式(28)中、R48は水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、R49およびR50は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R51は水素原子、低級アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基を表し、また、Ar8は置換もしくは無置換のフェニル基またはナフチル基を表す。)
一般式(28)で表される化合物には、例えば、4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジベンジルアミノスチルベン、4−ジトリルアミノスチルベン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレンなどがある。
【0091】
【化57】

(式(29)中、R52、R53およびR54は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子またはジアルキルアミノ基を表し、nは0または1を表す。)
一般式(29)で表される化合物には、例えば、1−フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリンなどがある。
【0092】
【化58】

(式(30)中、R55およびR56は置換アルキル基を含むアルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基を表し、Aは置換アミノ基、置換もしくは未置換のアリール基またはアリル基を表す。)
一般式(30)で表される化合物には、例えば、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどがある。
【0093】
【化59】

(式(31)中、Xは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子を表し、R57は置換アルキル基を含むアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表し、Aは置換アミノ基または置換もしくは無置換のアリール基を表す。)
一般式(31)で表される化合物には、例えば、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾールなどがある。
【0094】
【化60】

(式(32)中、R58は低級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、R59、R60は同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、l、m、nは0〜4の整数を表す。)
一般式(32)で表されるベンジジン化合物には、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどがある。
【0095】
【化61】

(式(33)中、Ar9は置換基を有してもよい炭素数18個以下の縮合多環式炭化水素基を表し、また、R63およびR64は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。nは1もしくは2の整数を表す。)
一般式(33)で表されるトリアリールアミン化合物には、例えば、N,N−ジフェニル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−1−ナフチルアミン、N,N−ジ(p−トリル)−1−フェナントリルアミン、9,9−ジメチル−2−(ジ−p−トリルアミノ)フルオレン、N,N,N‘,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メチルフェニル)−m−フェニレンジアミンなどがある。
【0096】
【化62】

(式(34)中、Ar10は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Aは一般式(35)を表す。
【0097】
【化63】

(ただし、Ar11は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R65およびR66は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である。)
を表す。)
一般式(34)で表されるジオレフィン芳香族化合物には、例えば、1,4−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ベンゼン、1,4−ビス[4−ジ(p−トリル)アミノスチリル]ベンゼンなどがある。
【0098】
【化64】

(式(36)中、Ar12は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を、R67は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。nは0または1、mは1または2であって、n=0、m=1の場合、Ar12とR67は共同で環を形成しても良い。)
一般式(36)で表されるスチリルピレン化合物には、例えば、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ピレン、1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノスチリル)ピレンなどがある。
【0099】
なお、電子輸送材料としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−インデノ4H−インデノ[1、2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどを挙げることができ、さらに下記一般式(13)、(14)、(16)、(17)、(37)及び(38)に挙げる電子輸送物質を好適に使用することができる。
これらの電荷輸送物質は単独または2種類以上混合して用いられる。
【0100】
【化65】

(式(13)中R17、R18は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
【0101】
【化66】

〔式(14)中、R19は置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示し、R20は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、または下記式一般式(15)で表される基を示す。
【化67】

〔R21は、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。〕)
【0102】
【化68】

(式(16)中、R22、R23は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
【0103】
【化69】

(式(17)中、R24、R25は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
【0104】
一般式(13)、(14)、(16)、(17)で表される化合物としては下記式で表される化合物などがある。
【化70】

【0105】
【化71】

(式(37)中、R68、R69およびR70は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
【0106】
【化72】

(式(38)中、R73、R74およびR75は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
【0107】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0108】
電荷輸送物質と、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物は電荷輸送層内に混合含有される場合、この合計量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度・応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)に異なるが、5μm以上が好ましい。
【0109】
また、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる化合物の合計量は、電荷輸送物質に対して0.01wt%〜150wt%が好ましい。少ないと酸化性ガスに対する耐性が不足し、多すぎると、繰り返し使用による残留電位の上昇が大きくなる。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。電荷輸送物質は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0110】
本発明に使用できる酸化防止剤としては、後述される一般の酸化防止剤が使用できるが、(c)ハイドロキノン系、及び(f)ヒンダードアミン系の化合物が特に効果的である。但し、ここで用いられる酸化防止剤は、後述の目的と異なり、あくまでも本発明に用いられるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体の変質保護のために利用される。
このため、これらの酸化防止剤は、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる化合物を含有させる前の工程で塗工液に含有させておくことが好ましく、添加量としては、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる化合物の合計に対して0.1〜200wt%で十分な効果を発揮できる。
【0111】
電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、構造式(I)〜(XIII)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。これらを以下に例示し、具体例を示す。
【0112】
【化73】

式中、R79,R80,R81はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R78は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R82,R83は置換もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k,jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記構造式(II)で表される2価基を表す。
【0113】
【化74】

式中、R84,R85は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、下記構造式(III)を表す。
【0114】
【化75】

(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R86、R87は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。)を表す。ここで、R84とR85,R86とR87は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0115】
【化76】

式中、R88,R89は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
【0116】
【化77】

式中、R90,R91は置換もしくは無置換のアリール基、Ar16,Ar17,Ar18は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
【0117】
【化78】

式中、R92,R93は置換もしくは無置換のアリール基、Ar19,Ar20,Ar21は同一あるいは異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
【0118】
【化79】

式中、R94,R95は置換もしくは無置換のアリール基、Ar22,Ar23,Ar24は同一あるいは異なるアリレン基、X1,X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
【0119】
【化80】

式中、R96,R97,R98,R99は置換もしくは無置換のアリール基、Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一あるいは異なるアリレン基、Y1,Y2,Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
【0120】
【化81】

式中、R100,R101は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し,R100とR101は環を形成していてもよい。Ar29,Ar30,Ar31は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
【0121】
【化82】

式中、R102は置換もしくは無置換のアリール基、Ar32,Ar33,Ar34,Ar35は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
【0122】
【化83】

式中、R103,R104,R105,R106は置換もしくは無置換のアリール基、Ar36,Ar37,Ar38,Ar39,Ar40は同一あるいは又は異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
【0123】
【化84】

式中、R107,R108は置換もしくは無置換のアリール基、Ar41,Ar42,Ar43は同一あるいは異なるアリレン基を表す。X,k,jおよびnは、上記構造式(I)式の場合と同じである。
【0124】
【化85】

式中、Ar44、Ar45、Ar46、Ar47およびAr48は置換もしくは無置換の芳香環基、Zは芳香環基または―Ar49―Za―Ar49―を表し、Ar49は置換もしくは無置換の芳香環基、ZaはO、Sまたはアルキレン基、R109およびR110は直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。mは0または1を表す。k、j、n及びXは前式と同じである。
【0125】
電荷輸送層37は、前記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物と電荷輸送物質もしくは結着樹脂と適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
以上のようにして得られた塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができる。
【0126】
次に感光層が単層構成33の場合について述べる。上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。感光層は、前記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物と電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。
また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0127】
結着樹脂としては、先に電荷輸送層37で挙げた結着樹脂のほかに、電荷発生層35で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する前記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる化合物の合計量は、20〜300重量部が好ましく、40〜150重量部がより好ましい。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、前記ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。感光層の膜厚は、5〜25μm程度が適当である。
【0128】
本発明の感光体においては、導電性支持体31と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0129】
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0130】
本発明の感光体においては、感光層保護の目的で、保護層39が感光層の上に設けられることがある。保護層39に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。フィラーの分散性、残留電位、塗膜欠陥の点から、特にポリカーボネートあるいはポリアリレートが有効かつ有用である。
【0131】
また、感光体の保護層には、耐摩耗性を向上する目的でフィラー材料を添加される。用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなど、電荷輸送層37で使用されるすべての溶剤を使用することができる。但し、分散時には粘度が高い溶剤が好ましいが、塗工時には揮発性が高い溶剤が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フィラーの分散性や残留電位に対して大きな効果を有する場合がある。
【0132】
また、保護層に本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、ナフタルイミド−イソインドール誘導体、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる化合物が含まれていてもよい。さらに電荷輸送層37で挙げた低分子電荷輸送物質あるいは高分子電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。
【0133】
保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができるが、特に塗膜の均一性の面からスプレーコートがより好ましい。
【0134】
本発明の感光体においては、感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0135】
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤およびレベリング剤を添加することが出来る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0136】
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノ−ル系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル、ブチル化ヒドロキシアニソ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノ−ル、n-オクタデシル-3-(4'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2'−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、ビス[3,3'−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエステル、トコフェロ−ル類など。
【0137】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0138】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネ−ト、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネ−ト、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネ−トなど。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
(f)ヒンダードアミン類(HALS)
【0139】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
【0140】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
【0141】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
【0142】
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
【0143】
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
【0144】
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0145】
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
【0146】
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
【0147】
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
【0148】
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0149】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなど。
【0150】
(c)ベンゾトリアゾール系
(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ3'−ターシャリブチル5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシ)アクリレートなど。
【0151】
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2'チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0152】
次に図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
図7は、本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
図7において、感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャ3、転写前チャージャ7、転写チャージャ10、分離チャージャ11、クリーニング前チャージャ13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラ等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャと分離チャージャを併用したものが効果的である。
また、画像露光部5、除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図7に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
さて、現像ユニット6により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ14およびブレード15により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0153】
図8には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。感光体21は少なくとも感光層を有し、駆動ローラ22a,22bにより駆動され、帯電器23による帯電、光源24による像露光、現像(図示せず)、帯電器25を用いる転写、光源26によるクリーニング前露光、ブラシ27によるクリーニング、光源28による除電が繰返し行なわれる。図8においては、感光体21(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0154】
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図8において支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。
【0155】
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
【0156】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図9に示すものが挙げられる。感光体16は、導電性支持体上に、少なくとも感光層を有してなる。
【0157】
[製造例1]
(ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体(表1のNo.8の化合物)の製造)
【化86】

N−アミノ−1,3−ジフェニル−5,6−ジアミノイソインドールを0.937g(3mmol)、ナフタレンテトラカルボン酸イミド誘導体を1.096g(3mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)50ml、および酢酸1mlをフラスコに加え、2時間加熱還流した。ここで酢酸1mlを追加し、さらに2時間加熱還流した。冷却後、溶媒を減圧留去した。残渣をトルエンに溶解させ、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。さらにエタノール/トルエン混合溶媒で再結晶し、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体1.02g(収率51.5%)を得た。融点は194.5−196.0℃であった。赤外線吸収スペクトル図を図11に示す。
【0158】
[製造例2]
(ナフタルイミド−イソインドール誘導体(表2のNo.8の化合物)の製造)
【化87】

2−アミノ−1,3−ジフェニル−5,6−ジアミノイソインドールを3.12g(10mmol)、1,8−ナフタル酸無水物を4.36g(22mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)100ml、およびリン酸4mlをフラスコに加え、6時間加熱還流した。冷却後、溶媒を減圧留去した。残渣をエタノール/ジクロロメタン/N,N−ジメチルホルムアミド混合溶媒で再結晶し、赤色プリズム結晶としてナフタル酸イミド−イソインドール誘導体1.90g(収率38.5%)を得た。
【0159】
[製造例3]
(トリフェニルアミン−イソインドール誘導体の製造(表3のNo.8の化合物)の製造)
【化88】

2−アミノ−1,3−ジフェニル−5,6−ジメチルイソインドールを3.12g(10mmol)、ジメチルトリフェニルアミンアルデヒドを3.16g(10.5mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(脱水)100ml、および酢酸3mlをフラスコに加え、1時間加熱還流した。その後5時間の間に酢酸10mLを5回に分けて加えた。冷却後、溶媒を減圧留去した。残渣をトルエンに溶解させ、アルミナカラムクロマトグラフィーにより粗精製を行ない、さらに、体積比1/1のトルエン/シクロヘキサン混合溶媒でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行ない精製した。最後に、トルエン/メタノール混合溶媒で再結晶し、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体0.37g(収率6.2%)を橙色針状晶として得た。赤外線吸収スペクトル図を図12に示す。
【実施例】
【0160】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
【0161】
(実施例1)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成した(感光体No.1)。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末(石原産業製、タイベークCR−EL): 400部
メラミン樹脂(大日本インキ製、スーパーベッカミンG821-60): 65部
アルキッド樹脂(大日本インキ製、ベッコライトM6401-50): 120部
2−ブタノン: 400部
【0162】
◎電荷発生層塗工液
下記構造のフルオレノン系ビスアゾ顔料: 12部
【化89】

ポリビニルブチラール(ユニオンカーバイド製、XYHL): 5部
2−ブタノン: 200部
シクロヘキサノン: 400部
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製): 10部
例示誘導体No.8のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体
10部
テトラヒドロフラン: 100部
【0163】
以上のように作製した電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジに装着し、帯電方式を正帯電コロナ帯電方式、画像露光光源を655nmの半導体レーザー(LD)に改造したリコー製imagio MF2200改造機にて暗部電位800(V)に設定した後、連続してトータル10万枚印刷相当の繰り返し試験をおこなった。その際、初期及び繰り返し試験後の明部電位(V)と画像について評価を行った。また、画像ボケ(ドット解像度)について、600dpi×600dpiの画素密度で画像濃度が5%のドット画像を連続10枚プリントアウトし、そのドット形状を実体顕微鏡で観察して、輪郭のシャープネスを以下の基準で5段階(5が優れ1が劣る)に分けて評価した。
【0164】
(ドット画像評価基準)
5:輪郭が明瞭で、良好。
4:輪郭のぼやけが極めてごく僅かに観察されるが、良好。
3:輪郭のぼやけがごく僅かに観察されるが実質的に良好。
2:輪郭のぼやけが観察され、画像の種類によっては問題となる。
1:ドット画像の判別できない。
結果を表4に示す。
【0165】
(実施例2〜15)
実施例1において、例示誘導体No.8のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体を表4に示した例示誘導体No.のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体No.2〜15を作製し、評価した。結果を同様に表4に示す。
【0166】
【表4】

【0167】
(実施例16)
実施例1における電荷輸送層塗工液を、下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体No.16を作製した。
また評価は実施例1において帯電方式を負帯電型コロナ放電(スコロトロン方式)に代え暗部電位を−800(V)に設定した以外は同様に操作しておこなった。結果を表5に示す。
【0168】
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製): 10部
・例示誘導体No.8のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体:
1部
・下記構造式の電荷輸送物質No.1: 9部
【化90】

・テトラヒドロフラン: 100部
【0169】
(実施例17〜30)
実施例16において、例示誘導体No.8のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体の代わりに表5に示した例示誘導体No.のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体を用いた以外は、すべて実施例16と同様にして、電子写真感光体No.17〜30を作製し、評価した。
結果を同様に表5に示す。
【0170】
【表5】

【0171】
(実施例31〜34)
含有されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体と電荷輸送物質No.1の量を下記の量に変更した以外は、実施例16と同様にして、電子写真感光体31〜34を作製し、評価した。結果を同様に表6に示す。
・ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体: 1部
・電荷輸送物質No.1: 7部
【0172】
【表6】

【0173】
(実施例35〜38)
実施例31〜34において、電荷輸送物質No.1を下記電荷輸送物質No.2に変更した以外は、実施例31〜34と同様にして、電子写真感光体No.35〜38を作製し、評価した。結果を同様に表7に示す。
電荷輸送物質No.2
【化91】

【0174】
【表7】

【0175】
(実施例39〜42)
実施例31〜34において、電荷輸送物質No.1を以下の電荷輸送物質No.3に変更した以外は、すべて実施例31〜34と同様にして、電子写真感光体No.39〜42を作製し、評価した。結果を同様に表8に示す。
電荷輸送物質No.3
【化92】

【0176】
【表8】

【0177】
(実施例43〜46)
実施例31〜34において、電荷輸送物質No.1を以下の電荷輸送物質No.4に変更した以外は、すべて実施例31〜34と同様にして、電子写真感光体43〜46を作製し、評価した。結果を同様に表9に示す。
電荷輸送物質No.4
【化93】

【0178】
【表9】

【0179】
(実施例47,48)
実施例16における電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を下記のものに変更した以外は、同様に操作して、電子写真感光体47、48を作製し、評価した。結果を同様に表10に示す。
【0180】
<オキソチタニウムフタロシアニンの製造>
特開2001−019871号公報記載の合成例4と同様に、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温して、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応をおこなった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。このケーキの乾燥品のX線回析スペクトルは図10に示される。得られたウェットケーキ2gを二硫化炭素20gに投入し、4時間撹拌をおこなった。これにメタノール100gを追加して、1時間撹拌をおこなった後、濾過をおこない、乾燥して、オキソチタニウムフタロシアニン結晶粉末を得た。
【0181】
◎電荷発生層塗工液
図10に示す粉末XDスペクトルを有するオキソチタニウムフタロシアニン:8部
ポリビニルブチラール(BX−1): 5部
2−ブタノン: 400部
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート樹脂(Zポリカ): 10部
・ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体: 1部
・下記構造式の電荷輸送物質No.1: 7部
【化94】

・トルエン: 70部
【0182】
【表10】

【0183】
(実施例49)
直径100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の感光層用塗工液を塗布、乾燥することにより、30μmの単層感光層を形成し電子写真感光体を得た。(感光体No.49)
[感光層用塗工液]
X型無金属フタロシアニン
(FastogenBlue8120B:大日本インキ化学工業製): 2部
下記構造式で表わされる電荷輸送物質No.2: 30部
【化95】

ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体No.1: 20部
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):
50部
テトラヒドロフラン: 500部
【0184】
作製した電子写真感光体を、帯電方式をコロナ帯電方式(スコロトロン型)、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(LD)を用いたリコー製imagio Neo 752改造機にてプラス帯電をおこない暗部表面電位+700(V)に設定した後、連続してトータル10万枚印刷相当の繰り返し試験をおこなった。その際、初期及び繰り返し試験後の明部電位(V)画像について評価を行った。また、繰り返し試験後の明部電位も測定した。また、画像ボケ(ドット解像度)について実施例5と同様に評価した。
その評価結果を表11に示す。
【0185】
(実施例50〜52)
実施例49のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体No.1を表11に示す例示誘導体No.のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0186】
【表11】

【0187】
(実施例53)
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、実施例49と同様の感光層用塗工液を塗布、乾燥することにより、30μmの単層感光層を形成し電子写真感光体を得た(感光体No.53)。
また、実施例16と同様にして感光体の評価をした。結果を表12に示す。
【0188】
(実施例54〜56)
実施例53のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体No.1を表12に示す例示誘導体No.のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0189】
【表12】

【0190】
(実施例57)
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の電荷輸送層用塗工液、電荷発生層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより20μmの電荷輸送層、0.1μmの電荷発生層を形成し、電子写真感光体を作製し(感光体No.57)、実施例53と同様に評価した。評価結果を表13に示す。
【0191】
〔電荷輸送層用塗工液の組成〕
・ビスフェノールAポリカーボネート(パンライトC−1400、帝人化成製)
・・・10部
・トルエン ・・・100部
・ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体No.1 ・・・10部
〔電荷発生層用塗工液の組成〕
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) ・・・0.5部
・シクロヘキサノン ・・・200部
・メチルエチルケトン ・・・80部
・X型無金属フタロシアニン
(FastogenBlue8120B:大日本インキ化学工業製) ・・・2部
【0192】
(実施例58〜60)
実施例57のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体No.1を表13に示す例示誘導体No.のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0193】
【表13】

【0194】
(実施例61)
実施例1で作製した電子写真感光体を用い、評価を実施例1における帯電方式を負帯電型コロナ放電(スコロトロン方式)に代え、暗部電位を−800(V)に設定した以外は同様に操作しておこなった。結果を表14に示す。
(実施例62〜75)
実施例61において、例示誘導体No.8のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体を表14に示した例示誘導体No.のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体を用いた以外は、すべて実施例61と同様にして評価した。結果を同様に表14に示す。
【0195】
【表14】

【0196】
(実施例76)
実施例16における電荷輸送層塗工液を、下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例16と同様にして、電子写真感光体No.61を作製した。また、評価は実施例16における帯電方式を正帯電型コロナ放電(スコロトロン方式)に代え、暗部電位を800(V)に設定した以外は同様に操作しておこなった。結果を同様に表15に示す。
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製): 10部
・例示誘導体No.8のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体:
1部
・下記構造式の電荷輸送物質: 9部
【化96】

・テトラヒドロフラン: 100部
【0197】
(実施例77)
実施例76における電荷輸送物質を、下記構造式のものに変更した以外は、すべて実施例76と同様にして、電子写真感光体No.62を作製した。
また、すべて実施例76と同様にして評価した。結果を同様に表15に示す。
【化97】

【0198】
(実施例78)
実施例76における電荷輸送物質を、下記構造式のものに変更した以外は、すべて実施例76と同様にして、電子写真感光体No.63を作製した。
また、すべて実施例76と同様にして評価した。結果を同様に表15に示す。
【化98】

【0199】
(実施例79)
実施例76における電荷輸送物質を、下記構造式のものに変更した以外は、すべて実施例76と同様にして、電子写真感光体No.64を作製した。
また、すべて実施例76と同様にして評価した。結果を同様に表15に示す。
【化99】

【0200】
【表15】

【0201】
(比較例1)
実施例1において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体No.8を下記のベンゾキノン誘導体に変えた以外は、すべて実施例1と同様にして、比較電子写真感光体No.1を作製し、評価した。結果を表16に示す。
【化100】

【0202】
(比較例2)
実施例16において、電荷輸送層形成用塗工液にナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体を加えず、電荷輸送物質の重量を10部とした以外は、すべて実施例16と同様にして、比較電子写真感光体No.2を作製し、評価した。結果を表16に示す。
【0203】
(比較例3)
実施例35において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体を下記のテトラフェニルメタン化合物(特開2000−231204号公報記載)にした以外は、すべて実施例35と同様にして、比較電子写真感光体No.3を作製し、評価した。結果を表16に示す。
【化101】

【0204】
(比較例4)
実施例47において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体を下記のヒンダードアミン系酸化防止剤にした以外は、すべて実施例47と同様にして、比較電子写真感光体No.4を作製し、評価した。結果を表16に示す。
【化102】

【0205】
(比較例5)
実施例49において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体No.1、20部を下記電子輸送物質にした以外は、すべて実施例49と同様にして、比較電子写真感光体No.5を作製し、同様に評価した。結果を表16に示す。
下記構造式で表わされる電荷輸送物質 18部
【化103】

下記構造式で表わされる電荷輸送物質 2部
【化104】

【0206】
(比較例6)
実施例49において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体No.1、20部を下記電子輸送物質にした以外は、すべて実施例49と同様にして、比較電子写真感光体No.6を作製し、同様に評価した。結果を表16に示す。
下記構造式で表わされる電荷輸送物質 20部
【化105】

【0207】
(比較例7)
実施例57において、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体No.1、10部を下記電子輸送物質にした以外は、すべて実施例57と同様にして、比較電子写真感光体No.7を作製し、同様に評価した。結果を表16に示す。
下記構造式で表わされる電荷輸送物質 9部
【化106】

下記構造式で表わされる電荷輸送物質 1部
【化107】

【0208】
【表16】

【0209】
以上の評価結果から、本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体を含有した感光体では10万枚印刷後においても明部電位上昇は少なく、高画質画像が安定に得られることが確認された。一方、比較感光体1、3、4は、明部電位が初期から非常に高く、画像濃度の低下や解像度の低下を引き起こしており、10万枚印刷後では階調性が著しく低下したことによって画像の判別が不可能であった。さらには、表4,11の評価結果から、本発明の感光体は正帯電方式においても良好な画像が得られ、10万枚印刷後においても画像品質は良好で画像ボケ(ドット解像度)評価結果も良好であった。また、比較感光体2、5、6、7は明部電位の上昇は比較的小さいものの、本発明の感光体と比べ、繰り返し使用による解像度低下が大きい。
【0210】
(実施例80〜86、比較例8)
また、表17に示す本発明の電子写真感光体,及び比較感光体2について50ppmの窒素酸化物(NOx)ガス濃度に調整されたデシケータ中に4日間放置し、前後におけるドット画像評価を行った。
【0211】
【表17】

【0212】
表17の評価結果より、感光体に本発明のナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体を含有させることによって、酸化性ガスに対する耐性、すなわち解像度低下抑止が大幅に向上することがわかる。一方、比較感光体2は、初期画像品質は良好であるが、酸化性ガスにより著しい解像度の低下がおこることがわかる。
【0213】
(実施例87)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成した(感光体No.65)。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末(石原産業製、タイベークCR−EL): 400部
メラミン樹脂(大日本インキ製、スーパーベッカミンG821-60): 65部
アルキッド樹脂(大日本インキ製、ベッコライトM6401-50): 120部
2−ブタノン: 400部
【0214】
◎電荷発生層塗工液
下記構造のフルオレノン系ビスアゾ顔料: 12部
【化108】

ポリビニルブチラール(ユニオンカーバイド製、XYHL): 5部
2−ブタノン: 200部
シクロヘキサノン: 400部
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製): 10部
例示誘導体No.8のナフタルイミド−イソインドール誘導体: 10部
テトラヒドロフラン: 100部
【0215】
以上のように作製した電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジに装着し、帯電方式を正帯電コロナ帯電方式、画像露光光源を655nmの半導体レーザー(LD)に改造したリコー製imagio MF2200改造機にて暗部電位800(V)に設定した後、連続してトータル10万枚印刷相当の繰り返し試験をおこなった。その際、初期及び繰り返し試験後の明部電位(V)と画像について評価を行った。また、画像ボケ(ドット解像度)について、600dpi×600dpiの画素密度で画像濃度が5%のドット画像を連続10枚プリントアウトし、そのドット形状を実体顕微鏡で観察して、輪郭のシャープネスを以下の基準で5段階(5が優れ1が劣る)に分けて評価した。
【0216】
(ドット画像評価基準)
5:輪郭が明瞭で、良好。
4:輪郭のぼやけが極めてごく僅かに観察されるが、良好。
3:輪郭のぼやけがごく僅かに観察されるが実質的に良好。
2:輪郭のぼやけが観察され、画像の種類によっては問題となる。
1:ドット画像の判別できない。
結果を表18に示す。
【0217】
実施例88〜101
実施例87において、例示誘導体No.8のナフタルイミド−イソインドール誘導体を表18に示した例示誘導体No.のナフタルイミド−イソインドール誘導体を用いた以外は、すべて実施例87と同様にして、電子写真感光体No.66〜79を作製し、評価した。結果を同様に表18に示す。
【0218】
【表18】

【0219】
実施例102
実施例87における電荷輸送層塗工液を、下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例87と同様にして、電子写真感光体No.80を作製した。
また評価は実施例87において帯電方式を負帯電型コロナ放電(スコロトロン方式)に代え暗部電位を−800(V)に設定した以外は同様に操作しておこなった。結果を表19に示す。
【0220】
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製): 10部
・例示誘導体No.8のナフタルイミド−イソインドール誘導体: 1部
・下記構造式の電荷輸送物質No.1: 9部
【化109】

・テトラヒドロフラン: 100部
【0221】
実施例103〜116
実施例102において、例示誘導体No.8のナフタルイミド−イソインドール誘導体の代わりに表19に示した例示誘導体No.のナフタルイミド−イソインドール誘導体を用いた以外は、すべて実施例102と同様にして、電子写真感光体No.81〜94を作製し、評価した。
結果を同様に表19に示す。
【0222】
【表19】

【0223】
実施例117〜120
含有されるナフタルイミド−イソインドール誘導体と電荷輸送物質No.1の量を下記の量に変更した以外は、実施例102と同様にして、電子写真感光体95〜98を作製し、評価した。結果を同様に表20に示す。
・ナフタルイミド−イソインドール誘導体: 1部
・電荷輸送物質No.1: 7部
【0224】
【表20】

【0225】
実施例121〜124
実施例117において、ナフタルイミド−イソインドール誘導体を表21に示す例示誘導体No.のナフタルイミド−イソインドール誘導体とし、電荷輸送物質No.1を下記電荷輸送物質No.2に変更した以外は、実施例117と同様にして、電子写真感光体No.99〜102を作製し、評価した。結果を同様に表21に示す。
電荷輸送物質No.2
【化110】

【0226】
【表21】

【0227】
実施例125〜128
実施例117において、ナフタルイミド−イソインドール誘導体を表22に示す例示誘導体No.のナフタルイミド−イソインドール誘導体とし、電荷輸送物質No.1を以下の電荷輸送物質No.3に変更した以外は、すべて実施例117と同様にして、電子写真感光体No.103〜106を作製し、評価した。結果を同様に表22に示す。
電荷輸送物質No.3
【化111】

【0228】
【表22】

【0229】
実施例129〜132
実施例117において、ナフタルイミド−イソインドール誘導体を表23に示す例示誘導体No.のナフタルイミド−イソインドール誘導体とし、電荷輸送物質No.1を以下の電荷輸送物質No.4に変更した以外は、すべて実施例117と同様にして、電子写真感光体107〜110を作製し、評価した。結果を同様に表23に示す。
電荷輸送物質No.4
【化112】

【0230】
【表23】

【0231】
実施例133,134
実施例102における電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を下記のものに変更した以外は、同様に操作して、電子写真感光体111,112を作製し、評価した。結果を同様に表24に示す。
【0232】
<オキソチタニウムフタロシアニンの製造>
特開2001−019871号公報記載の合成例4と同様に、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温して、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応をおこなった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。このケーキの乾燥品のX線回析スペクトルは図10に示される。得られたウェットケーキ2gを二硫化炭素20gに投入し、4時間撹拌をおこなった。これにメタノール100gを追加して、1時間撹拌をおこなった後、濾過をおこない、乾燥して、オキソチタニウムフタロシアニン結晶粉末を得た。
【0233】
◎電荷発生層塗工液
図10に示す粉末XDスペクトルを有するオキソチタニウムフタロシアニン:8部
ポリビニルブチラール(BX−1): 5部
2−ブタノン: 400部
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート樹脂(Zポリカ): 10部
・ナフタルイミド−イソインドール誘導体: 1部
・下記構造式の電荷輸送物質No.1: 7部
【化113】

・トルエン: 70部
【0234】
【表24】

【0235】
(実施例135)
直径100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の感光層用塗工液を塗布、乾燥することにより、30μmの単層感光層を形成し電子写真感光体を得た。(感光体No.113)
[感光層用塗工液]
X型無金属フタロシアニン
(FastogenBlue8120B:大日本インキ化学工業製) 2部
下記構造式で表わされる電荷輸送物質No.2: 30部
【化114】

ナフタルイミド−イソインドール誘導体No.1: 20部
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):
50部
テトラヒドロフラン: 500部
【0236】
作製した電子写真感光体を、帯電方式をコロナ帯電方式(スコロトロン型)、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(LD)を用いたリコー製imagio Neo 752改造機にてプラス帯電をおこない暗部表面電位+700(V)に設定した後、連続してトータル10万枚印刷相当の繰り返し試験をおこなった。その際、初期及び繰り返し試験後の明部電位(V)画像について評価を行った。また、繰り返し試験後の明部電位も測定した。また、画像ボケ(ドット解像度)について実施例91と同様に評価した。
その評価結果を表25に示す。
【0237】
(実施例136〜138)
実施例135のナフタルイミド−イソインドール誘導体No.1を表25に示す例示誘導体No.のナフタルイミド−イソインドール誘導体に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0238】
【表25】

【0239】
(実施例139)
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、実施例135と同様の感光層用塗工液を塗布、乾燥することにより、30μmの単層感光層を形成し電子写真感光体を得た(感光体No.117)。
また、実施例102と同様にして感光体の評価をした。結果を表26に示す。
【0240】
(実施例140〜142)
実施例139のナフタルイミド−イソインドール誘導体No.1を表26に示す例示誘導体No.のナフタルイミド−イソインドール誘導体に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0241】
【表26】

【0242】
(実施例143)
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の電荷輸送層用塗工液、電荷発生層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより20μmの電荷輸送層、0.1μmの電荷発生層を形成し、電子写真感光体を作製し(感光体No.121)、実施例139と同様に評価した。評価結果を表27に示す。
【0243】
〔電荷輸送層用塗工液の組成〕
・ビスフェノールAポリカーボネート(パンライトC−1400、帝人化成製)
・・・10部
・トルエン ・・・100部
・ナフタルイミド−イソインドール誘導体No.1 ・・・10部
〔電荷発生層用塗工液の組成〕
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) ・・・0.5部
・シクロヘキサノン ・・・200部
・メチルエチルケトン ・・・80部
・X型無金属フタロシアニン
(FastogenBlue8120B:大日本インキ化学工業製) ・・・2部
【0244】
(実施例144〜146)
実施例143のナフタルイミド−イソインドール誘導体No.1を表27に示す例示誘導体No.のナフタルイミド−イソインドール誘導体に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0245】
【表27】

【0246】
(実施例147)
実施例87で作製した電子写真感光体を用い、評価を実施例87における帯電方式を負帯電型コロナ放電(スコロトロン方式)に代え、暗部電位を−800(V)に設定した以外は同様に操作しておこなった。結果を表28に示す。
(実施例148〜161)
実施例147において、例示誘導体No.8のナフタルイミド−イソインドール誘導体を表28に示した例示誘導体No.のナフタルイミド−イソインドール誘導体を用いた以外は、すべて実施例147と同様にして評価した。結果を同様に表28に示す。
【0247】
【表28】

【0248】
(実施例162)
実施例102における電荷輸送層塗工液を、下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例102と同様にして、電子写真感光体No.125を作製した。また、評価は実施例102における帯電方式を正帯電型コロナ放電(スコロトロン方式)に代え、暗部電位を800(V)に設定した以外は同様に操作しておこなった。結果を同様に表29に示す。
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製): 10部
・例示誘導体No.8のナフタルイミド−イソインドール誘導体: 1部
・下記構造式の電荷輸送物質: 9部
【化115】

・テトラヒドロフラン: 100部
【0249】
(実施例163)
実施例162における電荷輸送物質を、下記構造式のものに変更した以外は、すべて実施例162と同様にして、電子写真感光体No.126を作製した。
また、すべて実施例162と同様にして評価した。結果を同様に表29に示す。
【化116】

【0250】
(実施例164)
実施例162における電荷輸送物質を、下記構造式のものに変更した以外は、すべて実施例162と同様にして、電子写真感光体No.127を作製した。
また、すべて実施例162と同様にして評価した。結果を同様に表29に示す。
【化117】

【0251】
(実施例165)
実施例162における電荷輸送物質を、下記構造式のものに変更した以外は、すべて実施例162と同様にして、電子写真感光体No.128を作製した。
また、すべて実施例162と同様にして評価した。結果を同様に表29に示す。
【化118】

【0252】
【表29】

【0253】
以上の評価結果から、本発明のナフタルイミド−イソインドール誘導体を含有した感光体では10万枚印刷後においても明部電位上昇は少なく、高画質画像が安定に得られることが確認された。さらには、表18,25の評価結果から、本発明の感光体は正帯電方式においても良好な画像が得られ、10万枚印刷後においても画像品質は良好で画像ボケ(ドット解像度)評価結果も良好であった。
【0254】
実施例166〜172
また、表31に示す本発明の電子写真感光体について50ppmの窒素酸化物(NOx)ガス濃度に調整されたデシケータ中に4日間放置し、前後におけるドット画像評価を行った。
【0255】
【表30】

【0256】
表30の評価結果より、感光体に本発明のナフタルイミド−イソインドール誘導体を含有させることによって、酸化性ガスに対する耐性、すなわち解像度低下抑止が大幅に向上することがわかる。
【0257】
(実施例173)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成した(感光体No.129)。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末(石原産業製、タイベークCR−EL): 400部
メラミン樹脂(大日本インキ製、スーパーベッカミンG821-60): 65部
アルキッド樹脂(大日本インキ製、ベッコライトM6401-50): 120部
2−ブタノン: 400部
【0258】
◎電荷発生層塗工液
下記構造のフルオレノン系ビスアゾ顔料: 12部
【化119】

ポリビニルブチラール(ユニオンカーバイド製、XYHL): 5部
2−ブタノン: 200部
シクロヘキサノン: 400部
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製): 10部
例示誘導体No.8のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体: 10部
テトラヒドロフラン: 100部
【0259】
以上のように作製した電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジに装着し、帯電方式を負帯電コロナ帯電方式、画像露光光源を655nmの半導体レーザー(LD)に改造したリコー製imagio MF2200改造機にて暗部電位−800(V)に設定した後、連続してトータル10万枚印刷相当の繰り返し試験をおこなった。その際、初期及び繰り返し試験後の明部電位(V)と画像について評価を行った。また、画像ボケ(ドット解像度)について、600dpi×600dpiの画素密度で画像濃度が5%のドット画像を連続10枚プリントアウトし、そのドット形状を実体顕微鏡で観察して、輪郭のシャープネスを以下の基準で5段階(5が優れ1が劣る)に分けて評価した。
【0260】
(ドット画像評価基準)
5:輪郭が明瞭で、良好。
4:輪郭のぼやけが極めてごく僅かに観察されるが、良好。
3:輪郭のぼやけがごく僅かに観察されるが実質的に良好。
2:輪郭のぼやけが観察され、画像の種類によっては問題となる。
1:ドット画像の判別できない。
結果を表31に示す。
【0261】
実施例174〜187
実施例173において、例示誘導体No.8のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体を表31に示した例示誘導体No.のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体を用いた以外は、すべて実施例173と同様にして、電子写真感光体No.130〜143を作製し、評価した。結果を同様に表31に示す。
【0262】
【表31】

【0263】
実施例188
実施例173における電荷輸送層塗工液を、下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例173と同様にして、電子写真感光体No.144を作製した。
また評価は実施例173と同様に操作しておこなった。結果を表32に示す。
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製): 10部
・例示誘導体No.8のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体: 1部
・下記構造式の電荷輸送物質No.1: 9部
【化120】

・テトラヒドロフラン: 100部
【0264】
実施例189〜202
実施例188において、例示誘導体No.8のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体の代わりに表32に示した例示誘導体No.のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体を用いた以外は、すべて実施例188と同様にして、電子写真感光体No.145〜158を作製し、評価した。
結果を同様に表32に示す。
【0265】
【表32】

【0266】
実施例203〜206
含有されるトリフェニルアミン−イソインドール誘導体と電荷輸送物質No.1の量を下記の量に変更した以外は、実施例188と同様にして、電子写真感光体159〜162を作製し、評価した。結果を同様に表33に示す。
・トリフェニルアミン−イソインドール誘導体: 1部
・電荷輸送物質No.1: 7部
【0267】
【表33】

【0268】
実施例207〜210
実施例203〜206において、電荷輸送物質No.1を下記電荷輸送物質No.2に変更した以外は、実施例203〜206と同様にして、電子写真感光体No.163〜166を作製し、評価した。結果を同様に表34に示す。
電荷輸送物質No.2
【化121】

【0269】
【表34】

【0270】
実施例211〜214
実施例203〜206において、電荷輸送物質No.1を以下の電荷輸送物質No.3に変更した以外は、すべて実施例203〜206と同様にして、電子写真感光体No.167〜170を作製し、評価した。結果を同様に表35に示す。
電荷輸送物質No.3
【化122】

【0271】
【表35】

【0272】
実施例215〜218
実施例203〜206において、電荷輸送物質No.1を以下の電荷輸送物質No.4に変更した以外は、すべて実施例203〜206と同様にして、電子写真感光体171〜174を作製し、評価した。結果を同様に表36に示す。
電荷輸送物質No.4
【化123】

【0273】
【表36】

【0274】
実施例219,220
実施例188における電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を下記のものに変更した以外は、同様に操作して、電子写真感光体175、176を作製し、評価した。結果を同様に表37に示す。
【0275】
<オキソチタニウムフタロシアニンの製造>
特開2001−019871号公報記載の合成例4と同様に、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温して、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応をおこなった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。このケーキの乾燥品のX線回析スペクトルは図10に示される。得られたウェットケーキ2gを二硫化炭素20gに投入し、4時間撹拌をおこなった。これにメタノール100gを追加して、1時間撹拌をおこなった後、濾過をおこない、乾燥して、オキソチタニウムフタロシアニン結晶粉末を得た。
【0276】
◎電荷発生層塗工液
図10に示す粉末XDスペクトルを有するオキソチタニウムフタロシアニン:8部
ポリビニルブチラール(BX−1): 5部
2−ブタノン: 400部
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート樹脂(Zポリカ): 10部
・トリフェニルアミン−イソインドール誘導体: 1部
・下記構造式の電荷輸送物質No.1: 7部
【化124】

・トルエン: 70部
【0277】
【表37】

【0278】
(実施例221)
直径100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の感光層用塗工液を塗布、乾燥することにより、30μmの単層感光層を形成し電子写真感光体を得た。(感光体No.177)
[感光層用塗工液]
X型無金属フタロシアニン
(FastogenBlue8120B:大日本インキ化学工業製) 2部
下記構造式で表わされる電荷輸送物質: 20部
【化125】

トリフェニルアミン−イソインドール誘導体No.1: 30部
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):
50部
テトラヒドロフラン: 500部
【0279】
作製した電子写真感光体を、帯電方式をコロナ帯電方式(スコロトロン型)、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(LD)を用いたリコー製imagio Neo 752改造機にてプラス帯電をおこない暗部表面電位+700(V)に設定した後、連続してトータル10万枚印刷相当の繰り返し試験をおこなった。その際、初期及び繰り返し試験後の明部電位、および画像について評価を行った。また、繰り返し試験後の暗部電位も測定した。また、画像ボケ(ドット解像度)について実施例177と同様に評価した。
その評価結果を表38に示す。
【0280】
(実施例222〜224)
実施例221のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体No.1を表38に示す例示誘導体No.のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0281】
【表38】

【0282】
(実施例225)
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、実施例221と同様の感光層用塗工液を塗布、乾燥することにより、30μmの単層感光層を形成し電子写真感光体を得た(感光体No.181)。
また、実施例188と同様にして感光体の評価をした。結果を表39に示す。
(実施例226〜228)
実施例225のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体No.1を表39に示す例示誘導体No.のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0283】
【表39】

【0284】
(実施例229)
直径100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の電荷輸送層用塗工液、電荷発生層用塗工液を順次、塗布、乾燥することにより20μmの電荷輸送層、0.1μmの電荷発生層を形成し、電子写真感光体を作製し(感光体No.185)、実施例221と同様に評価した。評価結果を表40に示す。
〔電荷輸送層用塗工液の組成〕
・ビスフェノールAポリカーボネート(パンライトC−1400、帝人化成製)
・・・10部
・トルエン ・・・100部
・トリフェニルアミン−イソインドール誘導体No.1 ・・・10部
〔電荷発生層用塗工液の組成〕
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) ・・・0.5部
・シクロヘキサノン ・・・200部
・メチルエチルケトン ・・・80部
・X型無金属フタロシアニン
(FastogenBlue8120B:大日本インキ化学工業製) ・・・2部
【0285】
(実施例230〜232)
実施例229のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体No.1を表40に示す例示誘導体No.のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体に代えた他は同様にして、本発明の電子写真感光体を作製し、評価した。
【0286】
【表40】

【0287】
(実施例233)
実施例188における電荷輸送層塗工液を、下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例188と同様にして、電子写真感光体No.189を作製した。また、評価は実施例188における帯電方式を正帯電型コロナ放電(スコロトロン方式)に代え、明部電位を800(V)に設定した以外は同様に操作しておこなった。結果を同様に表41に示す。
◎電荷輸送層塗工液
・ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製): 10部
・例示誘導体No.8のフタルイミドイソインドール誘導体: 1部
・下記構造式の電荷輸送物質: 9部
【化126】

・テトラヒドロフラン: 100部
【0288】
(実施例234)
実施例233における電荷輸送物質を、下記構造式のものに変更した以外は、すべて実施例233と同様にして、電子写真感光体No.190を作製した。
また、すべて実施例233と同様にして評価した。結果を同様に表41に示す。
【化127】

【0289】
(実施例235)
実施例233における電荷輸送物質を、下記構造式のものに変更した以外は、すべて実施例233と同様にして、電子写真感光体No.191を作製した。
また、すべて実施例233と同様にして評価した。結果を同様に表41に示す。
【化128】

【0290】
(実施例236)
実施例233における電荷輸送物質を、下記構造式のものに変更した以外は、すべて実施例233と同様にして、電子写真感光体No.192を作製した。
また、すべて実施例233と同様にして評価した。結果を同様に表41に示す。
【化129】

【0291】
【表41】

【0292】
比較例9
実施例173において、トリフェニルアミン−イソインドール導体No.8を下記のベンゾキノン誘導体に変えた以外は、すべて実施例173と同様にして、比較電子写真感光体No.8を作製し、評価した。結果を表42に示す。
【化130】

【0293】
比較例10
実施例221において、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体No.1、30部を下記電子輸送物質にした以外は、すべて実施例221と同様にして、比較電子写真感光体No.9を作製し、同様に評価した。結果を表42に示す。
下記構造式で表わされる電荷輸送物質 18部
【化131】

下記構造式で表わされる電荷輸送物質 2部
【化132】

【0294】
比較例11
実施例221において、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体No.1、30部を下記電子輸送物質にした以外は、すべて実施例221と同様にして、比較電子写真感光体No.10を作製し、同様に評価した。結果を表42に示す。
下記構造式で表わされる電荷輸送物質 20部
【化133】

【0295】
比較例12
実施例229において、トリフェニルアミン−イソインドール誘導体No.1、10部を下記電子輸送物質にした以外は、すべて実施例229と同様にして、比較電子写真感光体No.11を作製し、同様に評価した。結果を表42に示す。
下記構造式で表わされる電荷輸送物質 9部
【化134】

下記構造式で表わされる電荷輸送物質 1部
【化135】

【0296】
【表42】

【0297】
以上の評価結果から、本発明のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体を含有した感光体では10万枚印刷後においても明部電位上昇は少なく、高画質画像が安定に得られることが確認された。一方、比較感光体8は、明部電位が初期から非常に高く、画像濃度の低下や解像度の低下を引き起こしており、10万枚印刷後では階調性が著しく低下したことによって画像の判別が不可能であった。さらには、表38,40、41の評価結果から、本発明の感光体は正帯電方式においても良好な画像が得られ、10万枚印刷後においても画像品質は良好で画像ボケ(ドット解像度)評価結果も良好であった。また、比較感光体9、10、11は明部電位の上昇は比較的小さいものの、本発明の感光体と比べ、繰り返し使用による解像度低下が大きい。
【0298】
実施例237〜243
また、本発明の電子写真感光体について50ppmの窒素酸化物(NOx)ガス濃度に調整されたデシケータ中に4日間放置し、前後におけるドット画像評価を行った。
【0299】
【表43】

【0300】
表43の評価結果より、感光体に本発明のトリフェニルアミン−イソインドール誘導体を含有させることによって、酸化性ガスに対する耐性、すなわち解像度低下抑止が大幅に向上することがわかる。
【符号の説明】
【0301】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
16 感光体
17 帯電チャージャ
18 クリーニングブラシ
19 画像露光部
20 現像ローラ
21 感光体
22a 駆動ローラ
22b 駆動ローラ
23 帯電チャージャ
24 像露光源
25 転写チャージャ
26 クリーニング前露光
27 クリーニングブラシ
28 除電光源
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0302】
【特許文献1】特許第2732697号公報
【特許文献2】特開2000−231204号公報
【特許文献3】特開昭60−196768号公報
【特許文献4】特許第2884353号公報
【特許文献5】特開2004−258253号公報
【非特許文献】
【0303】
【非特許文献1】伊丹ら、コニカテクニカルレポート、13巻、37頁、2000年
【非特許文献2】D. W. Jones, Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1 : Organic and Bio-Organic Chemistry, 21, 2728(1972).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体上に、少なくとも感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層は、下記一般式(1)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド−イソインドール誘導体、下記一般式(2)で表されるナフタルイミド−イソインドール誘導体、下記一般式(3)で表されるトリフェニルアミン−イソインドール誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するものであることを特徴とする電子写真感光体。
【化1】

[式(1)中、R1、R2は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、kは1〜4の整数を、lは1〜5の整数を表す。R3は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。]
【化2】

[式(2)中、R1、R2、R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、kは1〜4の整数を、lは1〜5の整数を、mは1〜6の整数を表す]
【化3】

[式(3)中、R1、R2、R5及びR6は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基を表し、kは1〜4の整数を、l、n及びpは1〜5の整数を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【請求項2】
正および負のいずれの極性にも帯電することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
【請求項3】
前記感光層は、電荷輸送物質をさらに含むものであることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体。
【請求項4】
前記電荷輸送物質が下記一般式(4)で表される誘導体であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
【化4】

[式(4)中、Xは単結合もしくはビニレン基を表し、R4は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar1は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R5は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar1とR5は共同で環を形成しても良い。Aは一般式(5)、一般式(6)、9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表す。
【化5】

【化6】

(ここでR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または一般式(7)を表す。
【化7】

(ただし、R7およびR8は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を示し、R7およびR8は同じでも異なっていてもよく、環を形成しても良い。)
mは1〜3の整数を表し、2以上の時R6は同一でも異なっても良い。)]
【請求項5】
前記電荷輸送物質が下記一般式(8)で表される誘導体であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
【化8】

[式(8)中、R9、R11およびR12は水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を、R10は水素原子、アルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基またはハロゲン原子を表す。また、k,l,mおよびnは1、2、3または4の整数であり、それぞれが2、3または4の整数の時は、前記R9、R10、R11およびR12は同じでも異なっていても良い。]
【請求項6】
前記電荷輸送物質が下記一般式(9)で表される誘導体であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
【化9】

[式(9)中、Xは単結合もしくはビニレン基を表し、R13は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar3は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R14は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar3とR13は共同で環を形成しても良い。Ar2は下記一般式(10)または一般式(11)を表す。
【化10】

【化11】

ここでR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表し、mは1〜3の整数を表し、2以上の時R6は同一でも異なっても良い。またR12は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。]
【請求項7】
前記電荷輸送物質が下記一般式(12)で表される誘導体であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
【化12】

[式(12)中、Xは単結合もしくはビニレン基を表し、R15は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Ar4は置換もしくは無置換の2価の芳香族炭化水素基を表し、R16は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、あるいは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、Aは一般式(5)、一般式(6)、9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表す。
【化13】

【化14】

(ここでR6は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または一般式(7)を表す。
【化15】

(ただし、R7およびR8は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を示し、R7およびR8は同じでも異なっていてもよく、環を形成しても良い。)
mは1〜3の整数を表し、2以上の時R6は同一でも異なっても良い。]
【請求項8】
前記電荷輸送物質が下記一般式(13)で表される誘導体であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
【化16】

(式(13)中、R17、R18は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
【請求項9】
前記電荷輸送物質が下記一般式(14)で表される誘導体であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
【化17】

〔式(14)中、R19は置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示し、R20は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基、または下記式一般式(15)で表される基を示す。
【化18】

(式(15)中、R21は、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基を示す。)〕
【請求項10】
前記電荷輸送物質が下記一般式(16)で表される誘導体であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
【化19】

(式(16)中、R22、R23は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
【請求項11】
前記電荷輸送物質が下記一般式(17)で表される誘導体であることを特徴とする請求項3記載の電子写真感光体。
【化20】

(式(17)中、R24、R25は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、それぞれ同じでも異なっていても良い。)
【請求項12】
前記感光層は、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を順次積層したものであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項13】
前記感光層は、少なくとも電荷輸送層、電荷発生層を順次積層したものであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項14】
前記感光層は、単層型の感光層であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電子写真感光体。
【請求項15】
電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行われる電子写真方法であって、該電子写真感光体は請求項1乃至14のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。
【請求項16】
電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行い、かつ画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みが行われる、デジタル方式の電子写真方法であって、該電子写真感光体は請求項1乃至14のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。
【請求項17】
少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体は請求項1乃至14のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
【請求項18】
少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなり、該画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みが行われる、デジタル方式の電子写真装置であって、該電子写真感光体は請求項1乃至14のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
【請求項19】
少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体は請求項1乃至14のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−186421(P2011−186421A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164952(P2010−164952)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】