説明

電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体およびこれを使用した平版印刷用刷版

【課題】
印刷時において電子写真方式平版印刷版用刷版を印刷機の版胴に咬えた際に、咬え部分の折れ割れや切れが発生し難く、これらの部分からの湿し水の浸透による印伸びやシワの発生のすくない、耐刷性の優れた電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体およびこれを使用した平版印刷用刷版を提供する。
【解決手段】
電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体の温度30℃、湿度80%の条件下で24時間調湿後、同条件下で測定したJIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による縦方向の耐折回数が100回以上であり、30℃の水に1時間浸漬した後のJIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による縦方向の耐折回数が200回以上、更に好ましくは500回以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体およびこれを使用した平版印刷用刷版に関するものである。詳しくは、印刷時に印刷機の咬え部分において折れ割れが発生し難く、この折れ割れ部分から電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体に湿し水が浸透することが少なく、印刷機の咬え部分からの印刷版の伸び、折れ割れ、切れ、歪み、版胴からの脱落の発生が少ない、電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体およびこれを使用した平版印刷用刷版に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙を支持体とする電子写真方式平版印刷版用刷版においては、印刷耐久性、いわゆる耐刷性が問題となる。耐刷性を劣化させる主な原因としては、電子写真方式平版印刷版用刷版に使用されている支持体が紙を主体としていることによる。このため印刷時において、印刷版に供給される湿し水がこの支持体である紙層中に浸透し、これが原因して印刷版が伸びる現象、いわゆる印伸びが発生したり、ひどい場合には印刷版の咬え部分に折れ割れや切れが発生して印刷版が版胴から脱落したり、あるいは折れ割れが発生した部分から湿し水が浸透し、印刷版にシワを発生させるといった問題を有していた。これらの現象は印刷枚数が増えるに従って増大する傾向があり、結果として耐刷性が劣るといった問題になっていた。
【0003】
このような問題に対応するためにいくつかの提案がなされている。例えば、特許文献1においては、水浸漬時間が10分後の横方向のヤング率を150kN/m以上とすることで寸法安定性を一定範囲内に規定しているが、この方法では印刷版の咬え部分における折れ割れを防ぐ対策には至っていない。
【0004】
【特許文献1】特開平5−62039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記したような問題点を解決し、印刷時において電子写真方式平版印刷版用刷版を印刷機の版胴に咬えた際に、咬え部分の折れ割れや切れが発生し難く、これらの部分からの湿し水の浸透による印伸びやシワの発生のすくない、電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体およびこれを使用した平版印刷用刷版を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の請求項1に係る発明は、主として紙からなるシート状物の表裏両面に塗工層を有する電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体であって、これを温度30℃、湿度80%の条件下で24時間調湿した後、同環境条件下でJIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による縦方向の耐折回数を測定したとき、耐折回数が100回以上であり、かつこれを30℃の水に1時間浸漬した後、JIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による縦方向の耐折回数を測定したとき、耐折回数が200回以上であることを特徴とする電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体およびこれを使用した平版印刷用刷版である。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る発明は、主として紙からなるシート状物の表裏両面に塗工層を有する電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体であって、これを30℃の水に1時間浸漬した後、JIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による耐折回数を測定したとき、縦方向の耐折回数が500回以上であることを特徴とする電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体およびこれを使用した平版印刷用刷版である。
【0008】
紙を主体とする電子写真方式平版印刷版は、安価であることが市場で受け入れられている最も大きな要因であり、通常500枚から3000枚といった小部数の印刷で使用されることが多く、PS版のような金属プレートの版やプラスチックフィルムを主体とした版とは耐刷枚数が大きく異なる。従って、一枚の版を用いた印刷時間も1時間未満が殆どである。
【0009】
本発明者らは、印刷時における時間的経過を印刷初期と印刷中期から後期の2段階に分け、両段階において良好な対刷性を満たす必要があることを見出した。印刷初期とは、印刷の開始から100枚程度の印刷時期を示し、この段階は湿し水の印刷版への浸透が少なく、版自体の含有水分量が少ない状態である。この状態における耐刷性の評価として、印刷時における印刷版と版胴との咬え部分の折れ割れや切れのレベルを評価する。具体的には、電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体を温度30℃、湿度80%の条件下で24時間調湿した後、同環境条件下でJIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による縦方向の耐折回数を測定したとき、耐折回数が100回以上であると、印刷初期に印刷時の版胴との咬え部分の折れ割れや切れが発生しないことを見出した。ここで、温度30℃、湿度80%の条件下で24時間調湿した理由は、電子写真方式平版印刷版用刷版の保管環境として夏季の厳しい条件を設定したものである。印刷中期から後期とは、印刷枚数が100枚〜3000枚の印刷時期を示し、この時期になると電子写真方式平版印刷版用刷版への湿し水の浸透が始まり、電子写真方式平版印刷版用刷版の耐水強度が十分でない場合、印刷時に電子写真方式平版印刷版用刷版と版胴との咬え部分で折れ割れや切れが発生する危険がある。このような状態における耐刷性の評価として、印刷時における印刷版と版胴との咬え部分の折れ割れや切れのレベルを評価する。具体的には、電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体を30℃の水に1時間浸漬した後、JIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による耐折回数を測定したときの耐折回数と高い相関があることを見出し、上記したJIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による縦方向の耐折回数が200回以上、更に好ましくは500回以上とした。上記耐折回数が200回以上の場合、1000枚の印刷に十分に耐えうる能力を有しており、500回以上の場合、3000枚の印刷に耐えうることを見出した。このような方法を採ることによって、印刷部数の多少による適切な耐刷レベルを事前に評価することが可能となった。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷時において電子写真方式平版印刷版用刷版を印刷機の版胴に咬えた際に、咬え部分の折れ割れや切れが発生し難く、これらの部分からの湿し水の浸透による印伸びやシワの発生のすくない、耐刷性の優れた電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体およびこれを使用した平版印刷用刷版を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を詳細に説明する。本発明における電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体を構成するシート状物としては、主としてパルプからなる製紙用繊維を使用することが好ましい。ここで使用されるパルプとしては、従来から一般的に製紙用原料として使用されているパルプを適宜使用することができ、特に限定されるものではない。例えば針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の木材パルプの単独若しくは混合物を主体とし、必要に応じて非木材パルプ、変性パルプ、合成繊維、半合成繊維、無機繊維等を混合してもよい。印刷初期を想定した耐折強度を向上させる手段としては、上記木材パルプを使用する場合、針葉樹パルプを多く用いる事が定法として考えられるが、あまりにも針葉樹パルプの比率が高くなると地合が悪くなり、結果として印刷画像性に影響を与えるため、広葉樹パルプとの併用が好ましい。本発明における針葉樹パルプと広葉樹パルプの配合比は30/70〜80/20が好ましい。また、このようなパルプ配合とすることで印刷初期の耐折強度の発現のみではなく、印刷中期以降の湿し水が浸透した状態での耐折強度の向上にも効果があるので好ましい。
【0012】
上記したような製紙用繊維を300〜500ml C.S.F.に叩解し、これに従来から製紙用として一般的に使用される各種の填料や製紙用薬品例えば各種クレー、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、歩留まり向上剤、スライムコントロール剤、着色剤、定着剤等を必要に応じて適宜添加してスラリーを得、公知、既存の長網抄紙機、短網抄紙機、円網抄紙機、あるいはこれらのコンビネーション抄紙機等で抄造して電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体のシート状物を得る。
【0013】
次に、ここで得られた電子写真方式平版印刷版用刷版支持体のシート状物の表裏に填料とバインダーを主体とした塗料を塗工する。填料としては、従来から製紙用として一般的に使用されている填料、例えばカオリン、タルク、焼成クレー等の珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン等が使用できる。また、バインダーとしてはSBRラテックスやNBR等の共重合ラテックス、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体、PVA、変性PVA、カゼイン、アクリル酸アンモニウムのような水溶性樹脂、澱粉、澱粉誘導体等を単独で、若しくは1種類以上を適宜組み合わせて使用する。
【0014】
上記したような填料とバインダーを主体として分散し、これに必要に応じて従来から製紙用塗料の副資材として用いられている保水剤、耐水化剤、導電剤、流動性改良材、防腐剤、防黴剤、着色料等を混合することもできる。
本発明における塗料処方は表裏同じ処方でもかまわないが、用いるバインダーにおいては、耐水性、および屈曲性に耐えうる柔軟性が重要であり、SBRラテックスまたはアクリル樹脂ラテックスを使用することが好ましい。また、耐水性や柔軟性を満たすために、填料に対するバインダーの配合比率は15〜40質量%が好ましく、更に好ましくは22〜35質量%である。
【0015】
この様にして処方した塗料を、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ワイヤーバーコーター等の一般的に製紙用として使用されている塗工機を使用して、電子写真方式平版印刷版用刷版支持体のシート状物の表裏に塗工する。
【0016】
塗工量は耐水性と関係の深いコッブ吸水度と相関があるので、アンダー層では5〜30g/m、好ましくは10〜20g/m、バック層(感光剤塗工面の裏面側)では5〜30g/m、好ましくは7〜18g/mである。塗工量が5g/m以下になるとコッブの吸水度が著しく増加して電子写真方式平版印刷版用刷版支持体の原紙の内部に湿し水が浸透しやすくなり、印刷時に印伸びやシワ発生の原因となる。また30g/m以上になるとコッブ吸水度に変化が無くなり、耐水性が頭打ちになってこれ以上の効果が期待できなくなる。さらには塗工層が必要以上に厚くなることで塗工層自体の柔軟性が失われ、折れ割れが発生しやすくなるので好ましくない。
【0017】
塗料を塗工後に、必要に応じてスーパーカレンダー、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、熱カレンダー処理等の平滑化装置を使用することで電子写真方式平版印刷版用刷版支持体表面の平滑性を高めることができ、印刷適性を向上させるので好ましい。
【0018】
かくして得られた本発明の電子写真方式平版印刷版用刷版支持体のアンダー層上に、感光剤をワイヤーバーコーター等を使用して塗工し、電子写真方式平版印刷版用刷版を製造する。感光剤用の塗料は、電子写真用酸化亜鉛を主体とし、これにアクリル樹脂を主体とするバインダー、1〜数種類の増感剤として使用する染料を添加して分散させてものを使用する。感光剤の塗工量は固形分換算で一般的には20〜30g/mである。
【実施例】
【0019】
以下に実施例と比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部および%は、それぞれ質量部、質量%を示す。
【0020】
[実施例1]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70質量部と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)30質量部を480ml C.S.F.に叩解してパルプスラリーを得、これに湿潤紙力増強剤(商品名「スミレーズレジン650」、住友化学工業(株)製造)1質量部、内添サイズ剤(商品名「ペローザーE−3600」、近代科学工業(株)製造)3質量部、定着剤として硫酸アルミニウムを2質量部添加して紙料を調製し、長網抄紙機を使用して定法にて坪量が105g/mの電子写真方式平版印刷版用刷版支持体の原紙を抄紙した。
【0021】
この原紙の表裏面に、下記の処方の塗料を塗工した。カオリンクレー(商品名「UW−90」、エンゲルハード(株)製造)100質量部を分散し、これに酸化デンプン(商品名「王子エース」、王子コーンスターチ(株)製造)7質量部を添加し、さらにSBRラテックス(商品名「L−4900」、旭化成(株)製造)50質量部を添加して配合した。
【0022】
上記処方の塗料を、エアナイフコーターを使用して電子写真方式平版印刷版用刷版支持体の原紙に、乾燥質量換算でアンダー層では25g/m、バック層では15g/m塗工し、塗工後の含有水分を7.2質量%となるように乾燥させた。これをスーパーカレンダーで平滑化処理して電子写真方式平版印刷版用刷版支持体を得た。
【0023】
得られた電子写真方式平版印刷版用刷版支持体のアンダー層に感光剤を固形分換算で30g/m塗工し、電子写真方式平版印刷版用刷版を得た。感光剤の処方は、電子写真用亜酸化亜鉛(商品名「サゼックス2000」、堺化学(株)製造)100質量部、バインダーとしてアクリルバインダー(商品名「LR−188」、三菱レーヨン(株)製造)15質量部、トルエンを100質量部混合して分散させ、これに増感剤としてローズベンガル0.5質量部を混合した。感光剤の塗工にはワイヤーバーコーターを使用した。
【0024】
[実施例2]
使用するパルプの配合比率を針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)30質量部と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70質量部とした以外は、実施例1と同様にして電子写真方式平版印刷版用刷版を得た。
【0025】
[比較例1]
使用するパルプの配合比率を針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)10質量部と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)90質量部とした以外は、実施例1と同様にして電子写真方式平版印刷版用刷版を得た。
【0026】
[比較例2]
パルプスラリーの叩解度を250ml C.S.F.とした以外は、実施例1と同様にして電子写真方式平版印刷版用刷版を得た。
【0027】
[比較例3]
原紙の表裏面に塗工する塗料の処方において、SBRラテックスの配合比率を20質量部とした以外は、実施例1と同様にして電子写真方式平版印刷版用刷版を得た。
【0028】
実施例1および比較例1〜3について、コッブ吸水度、耐折回数、印刷時の折れ割れ発生の有無を評価し、その結果を表1に示した。
【0029】
(耐折回数1):
実施例1および比較例1〜3にて得られた電子写真方式平版印刷版用刷版支持体をサンプルとし、30℃80%の条件で24時間調湿した後、同条件下でJIS P−8115(2001)に準じて縦方向の耐折回数を測定した。100回以上を合格とした。
【0030】
(耐折回数2):
実施例1および比較例1〜3にて得られた電子写真方式平版印刷版用刷版支持体をサンプルとし、30℃の水に1時間浸漬した後取り出し、表面の付着水を拭い去った後、JIS P−8115(2001)に準じて縦方向の耐折回数を測定した。200回以上を合格とした。
【0031】
(コッブ吸水度):
実施例1および比較例1〜3にて得られた電子写真方式平版印刷版用刷版支持体をサンプルとし、温度30℃、湿度80%の条件下で24時間調湿し、同条件下でJIS P−8140(1998)に規定される方法でコッブの吸水度を測定した。測定時間は1時間とした。評価は以下の4段階評価とし、○以上を合格とした。
◎:コッブの吸水度が10g/m未満
○:コッブの吸水度が10g/m以上、15g/m未満
△:コッブの吸水度が15g/m以上、20g/m未満
×:コッブの吸水度が20g/m以上
【0032】
(印刷時の折れ割れ発生):
実施例1および比較例1〜3にて得られた電子写真方式平版印刷版用刷版をサンプルとし、テストパターンを製版後、30℃、80%RHの暗所条件下で24時間調湿した後、自動印刷機(商品名「RYOBI 3200PCX」、リョービ(株)製造)にセットし、坪量92g/mの上質紙3000枚の印刷を行った後に刷版を目視観察し、版胴への咬え部分における折れ割れの有無、ひび割れの発生を確認した。評価は以下の4段階とし、○以上を合格とした。
◎:3000枚印刷時に折れ割れやひび割れが全く発生していない。
○:1000枚印刷時に折れ割れやひび割れが全く発生していない。
3000枚印刷時に折れ割れは発生せず、版胴との咬え部分に若干のひび割れが確認されるが、刷版への湿し水の浸透による印伸びやシワは発生していない。
△:1000枚印刷時に若干の折れ割れ、版胴との咬え部分のひび割れが明確に確認され、刷版への湿し水の浸透による印伸びやシワが確認される。
×:100枚印刷時に折れ割れがひどくなり、一部に切れや大きなシワが確認される。
【0033】
表1

【0034】
表1に示すように、実施例1で示した本発明による電子写真方式平版印刷版においては、乾燥時、湿潤時両方の耐折回数が十分であることとコッブ吸水度が低いことから、3000枚印刷時においても折れ割れが発生しなかった。
【0035】
実施例2で示した電子写真方式平版印刷版においては、湿順時の縦方向の耐折回数が350回であり、そのため、1000枚までの印刷に問題は全く無かった。
【0036】
これに対し、比較例1、2では印刷初期を想定した時の縦方向の耐折強度が低いため、印刷初期で折れ割れが発生し、印刷できなかった。
【0037】
また、比較例3においては印刷初期を想定した時の縦方向の耐折強度が高いため、印刷初期の耐刷性は良いが、コッブ吸水度が高いため、印刷版への水の浸透が早く、そのため湿潤時の耐折強度が低い結果となった。そのため、1000枚の印刷時に、折れ割れ、シワ等が発生する結果となった。
【0038】
以上のように、本発明において、電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体は温度30℃、湿度80%の条件下で24時間調湿後、同条件下で測定したJIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による縦方向の耐折回数が100回以上であり、30℃の水に1時間浸漬した後のJIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による縦方向の耐折回数が200回以上、更に好ましくは500回以上である支持体が印刷時の折れ割れ等のトラブルを防ぐことを発明した。
【産業上の利用可能性】
【0039】
紙を主体とした電子写真方式平版印刷版を用いた軽印刷の分野において、優れた耐刷性を有する印刷版として提供することができる。









【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として紙からなるシート状物の表裏両面に塗工層を有する電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体であって、これを温度30℃、湿度80%の条件下で24時間調湿した後、同環境条件下でJIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による縦方向の耐折回数を測定したとき、耐折回数が100回以上であり、かつこれを30℃の水に1時間浸漬した後、JIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による縦方向の耐折回数を測定したとき、耐折回数が200回以上であることを特徴とする電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体およびこれを使用した平版印刷用刷版。
【請求項2】
主として紙からなるシート状物の表裏両面に塗工層を有する電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体であって、これを30℃の水に1時間浸漬した後、JIS P8115(2001)に記載のMIT試験機法による耐折回数を測定したとき、縦方向の耐折回数が500回以上であることを特徴とする電子写真方式平版印刷版用刷版の支持体およびこれを使用した平版印刷用刷版。

































【公開番号】特開2006−53226(P2006−53226A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233291(P2004−233291)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000225049)特種製紙株式会社 (45)
【Fターム(参考)】