説明

電子写真用トナー

【課題】帯電速度、帯電性の湿度依存性に優れ、しかも色相、彩度に優れた電子写真用トナーを提供すること。
【解決手段】ウレア変性ポリエステルを含有するトナーにおいて、色素が下記一般式で表される金属とキレート及び下記一般式で表される金属イオン含有化合物を含有。


M(X1)(X2)・W1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用トナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法や静電記録法を利用した画像形成装置を用いることにより、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。例えば、電子写真法においては、画像情報は、帯電工程に続く露光工程により感光体上に静電潜像とされた後、現像剤で顕像化され、次いで転写工程及び定着工程を経て画像情報が再生される。この場合、現像剤としては、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤とがある。
【0003】
このような現像剤に用いられる電子写真用トナーは、通常、結着樹脂を、顔料、必要に応じてワックス等の離型剤や帯電制御剤と共に溶融混練した後、微粉砕し、更に分級する混練粉砕法により製造されている。
【0004】
通常の混練粉砕法により得られるトナーは、一般的には、不定形で、その粒径分布はブロードで、流動性が低く、転写性が低く、定着エネルギーが高く、トナー粒子間で帯電量が不均一で、帯電安定性が低いと言う問題点があった。さらに、このようなトナーから得られる画像は、その画質が未だ不満足のものであった。
【0005】
一方、混練粉砕法による前記トナーの問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が提案されている。この方法は、粉砕工程が含まれていないため、そのトナーの製造には練り工程及び粉砕工程が必要でなく、エネルギーの節約、生産時間の短縮、製品収率の向上等のコスト削減の寄与が大きい。また、このような重合法により得られる重合トナー粒子における粒度分布も、粉砕法によるトナーの粒度分布に比べてシャープな分布の形成が容易である上、ワックスの内包化も容易で、トナーの流動性を大きく向上させることもできる。また、球形トナーを得ることも容易である。
【0006】
しかし、重合法によるトナーには未だ解消されていない課題も多い。重合法で得られるトナーは、重合過程において表面張力が作用するため、混練粉砕法に比較すると、粒子の真球度が高いものではあるが、そのトナー物性は未だ十分ではない。また、この方法ではトナーの形状をコントロール(異型化)することは容易でない。しかし、この方法は、帯電安定性、転写性については有利である。
【0007】
トナーの製造法として溶解懸濁法が知られている。この方法の場合、低温定着が可能なポリエステル樹脂を使用できるメリットはあるが、この方法の場合、低温定着性樹脂や着色剤を溶剤に溶解又は分散する工程において高分子量成分を加えるため、液粘度が上がり生産性上の問題が発生するようになる。さらに、この溶解懸濁法においては、トナーの表面形状に関し、球形で且つ表面を凹凸形状にすることによりトナーのクリーニングの改善を図っている(特許文献1)が、このようなトナーは規則性のない不定形トナーであるため、帯電安定性にかけ、さらに耐久性や離型性にも問題があり、満足すべきトナー品質は得られていない。
【0008】
一方イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを水系媒体中でアミンと重付加反応させる高分子量化工程を含むことで、乳化粒子のCasson降伏値及び粘度を大きくして、非ニュートン流動になりやすくすることができ、トナーとなるトナー母体粒子の粒径制御、異型化の制御を行う方法が知られている(特許文献2,3,4)。この方法を用いると耐熱保存性、低温定着性、耐オフセット性に優れたトナーを製造することが可能である。また特許文献5には、帯電性付与のために液中で添加された表面処理剤が、トナー表面に浸透せず、表面に均一に付着し、表面からの脱離を抑制することで帯電性に優れたトナーが得られると記載されている。これらの方法を用いることでトナー形状の制御、耐オフセット性及び帯電性の改良をすることが可能である。しかし特許文献5に記載の方法で用いている帯電制御剤はアゾ系の金属錯体であるため一般的に着色している。したがってトナー画像の色相、彩度という点では問題がある。また上記のような水系媒体中で反応を行うと当然ながら含水率の高いトナーとなるため、帯電性という面ではいまだ不十分である。また含水率のばらつきによるロット毎の帯電性のばらつきが大きいという問題も十分に解決することが出来ていない。そしてポリエステル樹脂の不純物による黄色い着色が色相と彩度に影響するという問題もこれらの方法では解決することが出来ていない。そのためこれらの諸問題を解決したトナーの開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−15903号公報
【特許文献2】特開2003−84495号公報
【特許文献3】特開2006−208946号公報
【特許文献4】特開2007−133267号公報
【特許文献5】特開2004−271685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、トナーの帯電速度が速く、帯電性の湿度依存性が低減された、しかも着色剤の偏在が発生せず色相、彩度に優れたトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち本発明によればトナーの帯電速度、帯電性の湿度依存性に優れ、しかも着色剤の偏在が発生せず色相、彩度に優れたトナーを提供することができる。
【0012】
本発明は、以下の手段によって達成される。
【0013】
1.ウレア変性ポリエステルを含有する結着樹脂中に色素を分散して成る電子写真用トナーにおいて、該色素が下記一般式(1)で表される金属とキレート可能な色素であること及び下記一般式(2)で表される金属イオン含有化合物を含有することを特徴とする電子写真用トナー。
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、R11はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R12は−NR1415又は−OR16を表し、R13は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基又はアリールスルホニルアミノ基を表し、A11〜A13はそれぞれ独立に−CR17=又は−N=を表し、X11は5又は6員の芳香族環又は複素環を形成するために必要な原子団を表し、Z1は窒素原子を少なくとも1つ含む5又は6員の複素環を形成するために必要な原子団を表し、置換基を有していてもよく、該置換基により縮環を形成してもよく、R14〜R17はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、L11は炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部を表し、R13と結合して5又は6員環構造を形成してもよく、pは0〜3の整数を表す。)
一般式(2)
M(X1)(X2)・W1
(式中、Mは2価の金属イオンを表し、X1及びX2はそれぞれ独立に1座又は2座配位子を表し、同一であっても異なっていても良く、X1とX2は連結していてもよい。m、n及びsは0〜2の整数を表す。W1は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。)
2.前記一般式(1)において、Z1で表される複素環が下記一般式(3)又は(4)で表されることを特徴とする前記1に記載の電子写真用トナー。
【0016】
【化2】

【0017】
【化3】

【0018】
(式中、R31及びR41は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R32及びR42は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はアリールスルホニルアミノ基を表し、L31及びL41は炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部を表し、前記一般式(1)のA11と*の部位で結合する。)
3.前記一般式(1)において、Z1で表される複素環が下記一般式(5)又は(6)で表されることを特徴とする前記1に記載の電子写真用トナー。
【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
(式中、R51、R52及びR61は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R53及びR62は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はアリールスルホニルアミノ基を表し、L51及びL61は炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部を表し、前記一般式(1)のA11と*の部位で結合する。)
4.前記一般式(1)において、Z1で表される複素環が下記一般式(7)又は(8)で表されることを特徴とする前記1に記載の電子写真用トナー。
【0022】
【化6】

【0023】
【化7】

【0024】
(式中、R71、R72、R81及びR82は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R73及びR83は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はアリールスルホニルアミノ基を表し、L71及びL81は炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部を表し一般式(1)のA11と*の部位で結合する。)
5.前記一般式(1)において、A11が−CR17=(式中、R17は水素原子又は置換基を表す。)であることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の電子写真用トナー。
【0025】
6.前記一般式(2)で表される化合物の配位子(X1又はX2)の少なくとも1つが、下記一般式(9)であることを特徴とする前記1〜5の何れか1項に記載の電子写真用トナー。
【0026】
【化8】

【0027】
(式中、E及びEはハメット置換基定数(σp)が0.1以上0.9以下の電子吸引性基を表し、Rはアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基を表し、置換基を有していてもよい。)
7.前記一般式(2)において、2価の金属イオンMがCuであることを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の電子写真用トナー。
【発明の効果】
【0028】
本発明の電子写真用トナーは製造方法によらずトナーの帯電速度、帯電性に優れたトナーを製造することを可能とし、しかも着色剤の偏在が発生しないため色相、彩度に優れたトナーを提供することができる。また色相、彩度に優れているためトナー消費量も低減することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の電子写真用トナーはウレア変性ポリエステルを含有する結着樹脂中に色素を分散して成る電子写真用トナーにおいて、該色素が一般式(1)で表される金属とキレート可能な色素であり、一般式(2)で表される金属イオン含有化合物を含有することを特徴としており、結着樹脂中にウレア変性ポリエステルと特定構造の色素を含有することを特徴としている。
【0030】
以下に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0031】
本発明に用いられる特定構造の色素について説明する。まず前記一般式(1)〜(9)で各々表される化合物について説明する。
【0032】
《一般式(1)で表される化合物》
前記一般式(1)において、R11はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R12は−NR1415又は−OR16を表し、R13は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基又はアリールスルホニルアミノ基を表し、A11〜A13はそれぞれ独立に−CR17=又は−N=を表し、X11は5又は6員の芳香族環又は複素環を形成するために必要な原子団を表し、Z1は窒素原子を少なくとも1つ含む5又は6員の複素環を形成するために必要な原子団を表し、置換基を有していてもよく、該置換基により縮環を形成してもよく、R14〜R17はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、L11は炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部を表し、R13と結合して5又は6員環構造を形成してもよく、pは0〜3の整数を表す。
【0033】
11で表される置換基としては、置換可能なものであれば特に限定はないが、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、トリフルオロメチルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)などが挙げられる。
【0034】
11はさらに同様の置換基によって置換されていても良い。
【0035】
12で表される−NR1415又は−OR16において、好ましくはε(モル吸光係数)の観点から−NR14又はR15であるが波長調整の観点からは−OR16も好ましい。R14〜R16は水素原子又は置換基を表し、置換基としてはR11と同様のものが挙げられるが、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基が挙げられ、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基が挙げられる。
【0036】
13は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基又はアリールスルホニルアミノ基を表し、上記の様な例が挙げられるが好ましくは水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基が挙げられる。
【0037】
11〜A13はそれぞれ独立に−CR17=又は−N=を表すが、A11及びA12は好ましくは−CR17=である。また、R17は水素原子又は置換基であり、置換基としてはR11と同じであるが、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基などが挙げられるがより好ましくは水素原子である。
【0038】
X11で表される5又は6員の芳香族環又は複素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピラジン環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、チアゾール環、等が挙げられるが、好ましくはベンゼン環、ピリジン環、チオフェン環が挙げられる。
【0039】
Z1で表される窒素原子を少なくとも1つ含む5又は6員の複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピロール環、ピラゾリジン環(例えばピラゾリジン−3,5−ジオン)、等から導かれる環が挙げられ、更に置換基を有していてもよく、該置換基により縮環を形成してもよく、好ましくは一般式(3)〜(8)で表される構造が挙げられる。
【0040】
11で表される炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部としては、例えば置換又は無置換のメチレン基、エチレン基、エチン基又は下記一般式(10)で表される。
【0041】
【化9】

【0042】
(式中、Z2は5又は6員の芳香族環又は複素環を表し、置換基を有していてもよく、*でZ1と結合し、**でR13と結合する。)
11として好ましくはメチレン基、前記一般式(10)においてZ2で表される環がベンゼン環、ピリジン環であることが好ましくL11上の置換基とR13とで環を形成し5〜6員の環(例えばフラン環)を形成することも好ましい。
【0043】
前記環構造は、置換基を有していてもよく、好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、ウレイド基等の各基が挙げられるが、更に好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。
【0044】
また、キレート可能な基を有していることも好ましく、キレート可能な基とは非共有電子対を有する原子を含有する置換基を表し、具体的には複素環基、ヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、複素環オキシ基、カルボニルオキシ基、ウレタン基、スルホニルオキシ基、アミノ基、イミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルホニル基、スルファモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及び複素環チオ基等が挙げられる。好ましい置換基としてはヒドロキシ基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、カルボニルオキシ基、ウレタン基、スルホニルオキシ基、アミノ基、イミノ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基アルキルチオ基、アリールチオ基が挙げられ。更に好ましい置換基としてはヒドロキシ基、カルボニル基、カルバモイル基、アルコキシ基、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基等が挙げられる。
【0045】
《一般式(2)で表される化合物》
前記一般式(2)において、Mは2価の金属を表し、X1及びX2はそれぞれ独立に1座又は2座配位子を表し、X1とX2は連結していてもよい。m、n及びsは0〜2の整数を表す。W1は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。
【0046】
X1及びX2としては、例えば特開2000−251957号、特開2000−311723号、特開2000−323191号、特開2001−6760号、特開2001−59062号、特開2001−60467号等に記載されているようなものが挙げられる。具体的にはハロゲンイオン、水酸イオン、アンモニア、ピリジン、アミン(例えばメチルアミン、ジエチルアミン、トリブチルアミン等)、シアン化物イオン、シアン酸イオン、チオラートイオン、チオシアン酸イオン、及びビピリジン類、アミノポリカルボン酸類、8−ヒドロキシキノリン等の各種のキレート配位子が挙げられ、キレート配位子については上野景平著「キレート化学」等に例示されている。
【0047】
1座配位子としてはアシル基、カルボニル基、チオシアネート基、イソシアネート基、シアネート基、イソシアネート基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基で配位する配位子、或いはジアルキルケトン又はカルボンアミドからなる配位子が好ましい。
【0048】
2座配位子としてはアシルオキシ基、オキザリレン基、アシルチオ基、チオアシルオキシ基、チオアシルチオ基、アシルアミノオキシ基、チオカルバメート基、ジチオカルバメート基、チオカルボネート基、ジチオカルボネート基、トリチオカルボネート基、アルキルチオ基又はアリールチオ基で配位する配位子、或いはジアルキルケトン又はカルボンアミドからなる配位子が好ましい。
【0049】
また、前記一般式(9)で表される化合物も配位子として好ましい。
【0050】
前記一般式(9)中、E及びEはハメット置換基定数(σp)が0.10以上0.90以下の電子吸引性基を表し、Rはアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基を表し、置換基を有していてもよい。
【0051】
及びEで表されるσp値が0.10以上0.90以下の置換基について説明する。
【0052】
ここでいうハメットの置換基定数σpの値としては、Hansch,C.Leoらの報告(例えば、J.Med.Chem.16、1207(1973);ibid.20、304(1977))に記載の値を用いるのが好ましい。
【0053】
σpの値が0.10以上の置換基又は原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン置換アルキル基(例えばトリクロロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチルチオメチル、トリフルオロメタンスルホニルメチル、パーフルオロブチル)、脂肪族・芳香族もしくは複素環アシル基(例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル)、脂肪族・芳香族もしくは複素環スルホニル基(例えばトリフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、カルバモイル基(例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、2−クロロ−フェニルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ジフェニルメチルカルボニル)、置換芳香族基(例えばペンタクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル)、複素環残基(例えば2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンズチアゾリル、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル、1−テトラゾリル)、アゾ基(例えばフェニルアゾ)、ジトリフルオロメチルアミノ基、トリフルオロメトキシ基、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アシロキシ基(例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えばジメトキシホスホニル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−(2−ドデシルオキシエチル)スルファモイル、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)などが挙げられる。
【0054】
また、σpの値が0.35以上の置換基としてはシアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、フッ素置換アルキル基(例えば、トリフルオロメチル、パーフルオロブチル)、脂肪族・芳香族もしくは複素環アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル)、脂肪族・芳香族もしくは複素環スルホニル基(例えば、トリフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル、2−クロロ−フェニルカルバモイル)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ジフェニルメチルカルボニル)、フッ素又はスルホニル基置換芳香族基(例えば、ペンタフルオロフェニル、2,4−ジメタンスルホニルフェニル)、複素環残基(例えば、1−テトラゾリル)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ)、ホスホリル基(例えば、ジメトキシホスホリル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基などが挙げられる。
【0055】
σpの値が0.60以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、脂肪族・芳香族もしくは複素環スルホニル基(例えば、トリフルオロメタンスルホニル、ジフルオロメタンスルホニル、メタンスルホニル、ベンゼンスルホニル)などが挙げられる。
【0056】
及びEとして好ましくはハロゲン化アルキル基(特にフッ素置換アルキル基)、カルボニル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0057】
Rの好ましい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基が挙げられ、更に好ましくはアルキル基又はアルコキシ基、アリールオキシ基、である。
【0058】
以下にX1、X2及び一般式(9)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されることはない。尚、ここに示す構造式は幾つも取り得る共鳴構造の中の1つの極限構造に過ぎず、共有結合(−で示す)と配位結合(…で示す)の区別も形式的なもので、絶対的な区別を表すものではない。
【0059】
【化10】

【0060】
【化11】

【0061】
【化12】

【0062】
【化13】

【0063】
【化14】

【0064】
【化15】

【0065】
【化16】

【0066】
【化17】

【0067】
【化18】

【0068】
【化19】

【0069】
【化20】

【0070】
W1は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表し、例えば、ある色素が陽イオン、陰イオンであるか、或いは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その金属、配位子、及び置換基に依存する。置換基が解離性基を有する場合、解離して負電荷を持っても良く、この場合にも分子全体の電荷はW1によって中和される。典型的な陽イオンは無機又は有機のアンモニウムイオン(例えばテトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン)、アルカリ金属イオン及びプロトンであり、一方、陰イオンは具体的に無機陰イオン或いは有機陰イオンの何れであってもよく、例えば、ハロゲン陰イオン、(例えば、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、p−トルエンスルホン酸イオン、p−クロロベンゼンスルホン酸イオン)、アリールジスルホン酸イオン(例えば、1,3−ベンゼンジスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0071】
前記一般式(2)で表される化合物の金属Mとしては2価の金属イオンであれば特に限定はされないが、好ましくはCu、Co、Ni、Zn等を挙げることができる。
【0072】
添加量は、色素に対して0.5〜3倍モルであることが好ましく、更に好ましくは0.5〜2倍モルであり、併用する色素にもよるが、0.5以上とすることにより、耐光性が著しく向上するとともに、3倍モル以下とすることにより分散安定性が向上する。
【0073】
この様な化合物としては例えば、酢酸銅、酢酸ニッケル、ステアリン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅、硫酸銅、塩化第2銅等を挙げることができる。
【0074】
《一般式(3)及び(4)で表される化合物》
31及びR41で表される置換基としては、上記一般式(1)においてR11で表される基と同義であるがR31及びR41は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基であることが好ましく、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシル基、カルバモイル基が挙げられるが、更に好ましくは、アルキル基(特にメチル基、tert−ブチル基、トリフルオロメチル基)、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
【0075】
32及びR42は、上記一般式(1)においてR13で表される基と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0076】
31及びL41で表される炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部は、上記一般式(1)においてL11で表される基と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0077】
《一般式(5)及び(6)で表される化合物》
51、R52、R53、R61及びR62で表される置換基としては、上記一般式(1)においてR11で表される基と同義であるがR51は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基又はアリールスルホニル基であることが好ましく、更に好ましくはアリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基である。
【0078】
52としては水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が好ましく、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシルアミノ基が挙げられる。
【0079】
61としては水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基等が好ましく、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルコキシ基が挙げられる。
【0080】
53及びR62は、上記一般式(1)においてR13で表される基と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0081】
51及びL61は炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部は、上記一般式(1)においてL11で表される基と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0082】
《一般式(7)及び(8)で表される化合物》
71、R72及びR81で表される置換基としては、上記一般式(1)においてR11で表される基と同義であるがR71及びR72は水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基又はニトロ基が好ましいが、更に好ましくはアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
【0083】
81は、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基が好ましく、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基が挙げられる。
【0084】
82は、上記一般式(3)においてR31で表される基と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0085】
73及びR83は、上記一般式(1)においてR13で表される基と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0086】
71及びL81は、炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部は上記一般式(1)においてL11で表される基と同義であり、好ましい基についても同義である。
【0087】
以下に、前記一般式(1)、(3)〜(8)で表される、本発明に係るキレート可能な色素及び一般式(2)で表される金属イオン含有化合物の代表的な具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0088】
【化21】

【0089】
【化22】

【0090】
【化23】

【0091】
【化24】

【0092】
【化25】

【0093】
【化26】

【0094】
【化27】

【0095】
【化28】

【0096】
【化29】

【0097】
【化30】

【0098】
【化31】

【0099】
【化32】

【0100】
【化33】

【0101】
【化34】

【0102】
【化35】

【0103】
【化36】

【0104】
【化37】

【0105】
【化38】

【0106】
【化39】

【0107】
【化40】

【0108】
【化41】

【0109】
【化42】

【0110】
【化43】

【0111】
【化44】

【0112】
【化45】

【0113】
【化46】

【0114】
【化47】

【0115】
【化48】

【0116】
【化49】

【0117】
【化50】

【0118】
【化51】

【0119】
【化52】

【0120】
【化53】

【0121】
【化54】

【0122】
【表1】

【0123】
本発明に係る前記一般式(1)、(3)〜(8)で表される色素配位子は、例えば、特開平10−193807号公報、特開平11−78258号公報等、特開平10−265690号公報、特開平6−250357号公報等、特開昭63−226653号公報、特開平2−155693号公報、特開平1−110565号、特開平2−668号、特開平2−28264号公報、特開平2−53865号公報、特開平2−53866号公報、欧州特許436,736号等、英国特許1,252,418号、特開昭64−63194号公報、特開平2−208094号公報、特開平3−205189号公報、特開平2−265791号公報、特開平2−310087号公報、特開平2−53866号公報等、特開平4−91987号公報等、特開昭63−205288号公報、特開平3−226750号公報、英国特許1,183,515号等、特開平4−190348号公報等、特開昭63−113077号公報、特開平3−275767号公報、特開平4−13774号公報、特開平4−89287号公報等に記載された従来公知の方法を参考にして合成することができる。
【0124】
一般式(9)で表される金属イオン含有化合物の配位子は特開2002−332259号公報、特開2003−237246号公報等を参考にして合成することができる。
【0125】
以下、具体的に一般式(1)、(3)〜(8)で表される化合物の合成法の一例を示すが、その他の化合物も同様にして合成することが可能であり、合成法としては、これらに限定されない。
【0126】
〔合成例1〕
《L−35の合成》
【0127】
【化55】

【0128】
中間体1:2.21g、中間体2:3.00gにトルエン:50mlとモルホリン:1.00gを撹拌しながら加え、加熱還流し、エステル管により脱水しながら4時間反応させる。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、メタノールから再結晶し、L−35:4.25gを得た。MASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定し、目的物であることを確認した。
【0129】
〔合成例2〕
《L−124の合成》
【0130】
【化56】

【0131】
中間体4:5.36gにメタノール:120mlとトリエチルアミン:21.2mlを加え撹拌溶解させる。次に過硫酸アンモニウム:13.0gを水:20mlに溶解したものを加え、更に中間体3:3.74gを水:20ml、メタノール:20mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下する。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄する。濾液を濃縮後、酢酸エチル:200mlに溶解し1N塩酸を加えpH=1とし、分液した後、中和、水洗し濃縮する。濃縮物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、アセトニトリルから再結晶し、L−124:7.52gを得た。MASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定し、目的物であることを確認した。
【0132】
〔合成例3〕
《L−164の合成》
【0133】
【化57】

【0134】
中間体6:9.87gにメタノール:120mlとトリエチルアミン:21.2mlを加え撹拌溶解させる。次に過硫酸アンモニウム:13.0gを水:20mlに溶解したものを加え、更に中間体5:4.33gを水:20ml、メタノール:20mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下する。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄する。ろ液を濃縮後、酢酸エチル:200mlに溶解し1N塩酸を加えpH=1とし、分液した後、中和、水洗し濃縮する。濃縮物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、アセトニトリルから再結晶し、L−164:11.13gを得た。MASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定し、目的物であることを確認した。
【0135】
〔合成例4〕
《L−225の合成》
【0136】
【化58】

【0137】
中間体7:2.21g、中間体8:3.63gにトルエン:50mlとモルホリン:1.00gを撹拌しながら加え、加熱還流し、エステル管により脱水しながら4時間反応させる。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、メタノールから再結晶し、L−225:4.73gを得た。MASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定し、目的物であることを確認した。
【0138】
〔合成例5〕
《L−245の合成》
【0139】
【化59】

【0140】
中間体10:6.98gにメタノール:120mlとトリエチルアミン:21.2mlを加え撹拌溶解させる。次に過硫酸アンモニウム:13.0gを水:20mlに溶解したものを加え、更に中間体9:5.80gを水:20ml、メタノール:20mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下する。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄する。ろ液を濃縮後、酢酸エチル:200mlに溶解し1N塩酸を加えpH=1とし、分液した後、中和、水洗し濃縮する。濃縮物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、アセトニトリルから再結晶し、L−245:10.80gを得た。MASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定し、目的物であることを確認した。
【0141】
比較化合物A−1の合成
【0142】
【化60】

【0143】
中間体11:2.40g、中間体12:1.7gにトルエン:50mlとモルホリン:1.00gを撹拌しながら加え、加熱還流し、エステル管により脱水しながら4時間反応させる。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、メタノールから再結晶し、A−1:3.1gを得た。MASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定し、目的物であることを確認した。
【0144】
比較化合物A−2の合成
【0145】
【化61】

【0146】
中間体13:2.40g、中間体12:1.7gにトルエン:50mlとモルホリン:1.00gを撹拌しながら加え、加熱還流し、エステル管により脱水しながら4時間反応させる。反応終了後、反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、メタノールから再結晶し、A−2:2.9gを得た。MASS、H−NMR、IRスペクトルによって同定し、目的物であることを確認した。
【0147】
本発明の電子写真用トナーに用いられる着色剤は、本発明の色素と共に他の着色剤を併用することが可能であり、公知の染料及び顔料を使用することが出来る。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15質量%、好ましくは3〜12質量%である。
【0148】
本発明で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練される結着樹脂としては、本発明のウレア変性ポリエステル樹脂の他にポリエステルや、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0149】
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0150】
また、結着樹脂、着色剤とともにワックスを含有させることもできる。本発明に用いられるワックスとしては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。本発明のワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000mPa・sが好ましく、さらに好ましくは10〜100mPa・sである。1000mPa・sを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は通常0〜40質量%であり、好ましくは3〜30質量%である。
【0151】
本発明の電子写真用トナーは、好ましくは重合法によって製造される。
【0152】
従来、広く用いられてきたトナーの製造法は、所謂粉砕法であり、この方法は樹脂と着色剤、更には必要に応じて離型剤や荷電制御剤等を粉体混合し、次いで十分な熱を加えて樹脂を溶融すると共に剪断力を加えて樹脂中に添加剤を分散させ(溶融混練)、その後、この溶融混練物を冷却し、粉砕、分散することで目的とする粒径、粒度分布のトナーを得る。粉砕法で得られるトナーの形状は不定形となる。
【0153】
これに対して重合法とは、独立したポリマー粒子をモノマーから形成し、このポリマー粒子に着色剤等を内包または複合させ、トナー粒子とする方法であり、懸濁重合と乳化重合会合法が代表的である。
【0154】
本発明のトナーを得るための製造方法に関しては、所謂重合法で調製する方法が好ましく使用される。即ち、形状の安定化のためには、例えば、重合法で調製することである程度均一な形状を形成させ、更に乾燥時に流動状態で乾燥することによって、トナー粒子の形状を更に丸めにすることができる。
【0155】
重合法としては、樹脂を調製するための重合性単量体中に着色剤や離型剤などのトナー構成成分を分散し、次いで水中に懸濁した後にその懸濁粒子を重合させてトナーを得る懸濁重合法や、乳化重合で樹脂粒子を調製し、その樹脂粒子と着色剤などのトナー構成成分の分散液とを混合して粒子を合一させて調製する、所謂乳化会合型のいずれでもよい。
【0156】
次に、本発明で用いられる結着樹脂について説明する。
【0157】
本発明で使用することのできる結着樹脂はとしては、ウレア変性ポリエステル樹脂の他に、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0158】
本発明で使用することのできるポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって通常得られるものである。該アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0159】
以下、本発明に係るウレア変性ポリエステル樹脂について説明する。
【0160】
本発明に用いるトナー及びトナー母体粒子を製造する方法は、有機溶媒中に活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を含有し、水系媒体中で造粒する際に活性水素基を有する化合物と反応させる高分子量化工程を含むことが好ましい。活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体としては、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)が好ましく、活性水素基を有する化合物としてはアミン(B)が好ましい。
【0161】
イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマー(A)は、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(PIC)と反応させることによって得ることができる。この場合、ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0162】
前記ポリオール(PO)としては、ジオール(DIO)および3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、又は(DIO)と少量の(TO)の混合物が好ましい。ジオール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0163】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)および3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(PO)と反応させてもよい。
【0164】
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0165】
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0166】
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマーを得る場合、ポリイソシアネート(PIC)と活性水素を有するポリエステル系樹脂(PE)との比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。末端にイソシアネート基を有するプレポリマーA中のポリイソシアネート(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは2〜20質量%である。
【0167】
前記アミン(B)としては、ポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するアミン類が用いられる。この場合の活性水素含有基には、水酸基やメルカプト基が包含される。このようなアミンには、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4′−ジアミノ−3,3′ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン(B)のうち好ましいものは、(B1)および(B1)と少量の(B2)の混合物である。
【0168】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NH](xは1〜2の数を示す。)の当量比[NCO]/[NH]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NH]が2を超える場合や1/2未満の場合では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。本実施形態においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0169】
さらに、プレポリマー(A)とアミン(B)とを反応させる場合、必要により伸長停止剤を用いてポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、活性水素含有基を有しないモノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。その添加量は、生成するウレア変性ポリエステルに所望する分子量との関係で適宜選定される。
【0170】
また、本発明の有機溶媒組成物中の結着樹脂にはポリエステル樹脂が含まれることが好ましく、さらに、該有機溶媒組成物の酸価は2〜30KOHmg/gの範囲であることが好ましい。ポリエステル樹脂は、スチレンアクリル樹脂に比べて、低分子量化が容易であり、低温定着性に優れており、省エネルギー化に対して好ましい材料である。酸価付与については、トナーの紙への接着性向上のために有利であり、2KOHmg/g以上の酸価が必要である。しかしながら30KOHmg/gを超える酸価付与については乳化時の系内安定性が増してしまい、微粒子の合着が進まなくなるため、シャープな粒度分布のトナーが得難くなる。本発明の酸価の測定方法は、JISK0070に準拠した方法による。但しサンプルが溶解しない場合は、溶媒にジオキサン又はTHF等の溶媒を用いる。
【0171】
また、反応が完結した高分子成分の有機溶媒中への溶解、または分散は困難なことから、本発明においては、耐オフセット性を発現させるために必要な高分子成分を、粒子内に均一に導入するために、有機溶媒組成物は、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を含有し、上記有機溶媒組成物を水系媒体中で剪断力により分散させた後、又は分散させながら該活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体と活性水素基を有する化合物とを反応させる工程を有することが好ましい。
【0172】
本発明の製造方法によって得られる、トナー粒子(以下、トナー母体粒子を含む意味で用いる。)の体積平均粒径は3〜8μmであることが好ましく、また、その個数平均粒径との比(Dv/Dn)は1.20以下であることが好ましい。Dv/Dnをこのように規定することにより、高解像度、高画質のトナーを得ることが可能となる。また、より高品質の画像を得るには、トナーの体積平均粒径を3〜7μmにし、個数平均粒径との比(Dv/Dn)をDv/Dnを1.17以下にし、且つ4μm以下の粒子を個数%で1〜10個数%にするのがよく、より好ましくは、体積平均粒径を4〜7μmにし、Dv/Dnを1.15以下にするのがよい。このようなトナーは、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に、飛散やカブリがなく、長期的に現像性が良好で高画質な画像を形成することが可能である。
【0173】
本発明の乳化液中に存在するトナー粒子の平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II型を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)と、PC9801パーソナルコンピューター(NEC製)とを接続し測定した。
【0174】
本発明のトナー粒子は特定の形状と形状の分布を有すことが好ましく、平均円形度が0.92未満では、微粒子の合着が不十分なため、満足した転写性やチリのない高画質画像が得られ難い。なお形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.92〜1.00のトナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに好ましい。
【0175】
本発明に用いる帯電制御剤としては上記フッ素系化合物が好ましいが、公知の帯電制御剤を併用しても良い。このような帯電制御剤としては、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEGVP2036、コピーチャージNXVP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0176】
本発明において帯電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲がよい。10質量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0177】
本発明で得られたトナー母体粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、特に5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0質量%であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0178】
この他高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0179】
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0180】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
【0181】
以下に、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法を例示するが、勿論これらに限定されることはない。
【0182】
(ポリエステル樹脂の作製)
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を溜去して、ポリエステル樹脂を得る。
【0183】
(プレポリマー(A)の作製)
上記ポリエステル樹脂と同様の方法で得られた活性水酸基を有するポリエステルに、40〜140℃にて、多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。多価イソシアネート(PIC)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、イソシアネート化合物に対して不活性である、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などが挙げられる。
【0184】
(ウレア変性ポリエステル樹脂の作製)
ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応は、他のトナー構成材料と混合させて行わせるものであっても良いし、予め作製しておくものでもよい。予め作製する場合は、ポリエステルプレポリマー(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステル樹脂を得る。ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる場合にも、プレポリマー(A)の場合と同様に、必要に応じて溶剤を用いることができる。使用可能な溶剤は、先に挙げた通りである。
【0185】
(水系媒体中でのトナー製造法)
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を含有する分散体を、アミン類(B)と反応させて形成しても良いし、予め作製した変性ポリエステル樹脂を用いても良い。水系媒体中でポリエステル樹脂やポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にポリエステル樹脂やポリエステルプレポリマー(A)からなるトナー構成材料を加えて、機械的剪断力により分散させるが、他のトナー構成材料であるワックスなどは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、予めこれらトナー構成材料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、ワックスなどのトナー構成材料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。
【0186】
(固体微粒子分散剤)
また、水系媒体中に予め固体の微粒子分散剤を添加しておくことで、水相中での油滴の分散が均一化する。これは、分散時に油滴の表面に固体微粒子分散剤が配置するようになり、油滴の分散が均一化するものであり、それと共に油滴同士の合一が防止され、粒度分布のシャープなトナーが得られるようになる。固体微粒子分散剤は、水系媒体中で水に難溶の固体状で存在するものであり、前記有機微粒子を用いることが好ましいが、平均粒径が0.01〜1μmの無機微粒子を用いることもできる。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。更に好ましくはリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、コロイド状酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることが出来る。特に水中でリン酸ナトリウムと塩化カルシウムを塩基性条件下で反応させて合成したヒドロキシアパタイトが好ましい。
【0187】
トナー組成物が分散された油相を水系媒体中に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0188】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0189】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0190】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0191】
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0192】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物質を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩等を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩等を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0193】
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0194】
伸長および/または架橋反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0195】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどにより短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
【0196】
得られた乾燥後のトナーの粉体と流動化剤などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0197】
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合には、磁性粒子からなるキャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100質量部に対してトナー1〜10質量部が好ましく、更に3〜9質量部の範囲とするのが好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレン・アクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。また、本発明のトナーはキャリアを使用しない一成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【実施例】
【0198】
以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0199】
(水系媒体の作製)
調製例1
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業株式会社製)11質量部、スチレン80質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、チオグリコール酸ブチル12質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分にて15分間撹拌し、白色の乳濁液を得た。該乳濁液を加熱し系内温度を75℃まで昇温して5時間反応させた。次いで、該反応液に1質量%過硫酸アンモニウム水溶液を30質量部添加し、75℃にて5時間熟成してビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(以下「微粒子分散液1」と称する)を調製した。得られた「微粒子分散液1」は、レーザー回折式粒度分布測定器(「LA−920」;株式会社島津製作所製)で測定した体積平均粒径が120nmであった。また、得られた「微粒子分散液1」の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のガラス転移温度(Tg)は42℃であり、重量平均分子量(Mw)は30,000であった。その後、水990質量部、前記「微粒子分散液1」83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、乳白色の液体(以下「水相」と称する)を調製した。
【0200】
(ポリエステル(1)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下、230℃にて8時間反応させた。次いで、該反応液を1330〜2000Paの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸45質量部を添加し、常圧下、180℃にて2時間反応させて、ポリエステル(1)を合成した。得られたポリエステル(1)は、数平均分子量(Mn)が2,500、重量平均分子量(Mw)が6,500、ガラス転移温度(Tg)が43℃、酸価が25であった。
【0201】
(プレポリマー(1)の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、1330〜2000Paの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。
【0202】
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,500、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が51であった。そして、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記「中間体ポリエステル」1410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(1)を合成した。得られたプレポリマー(1)の遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
【0203】
(ケチミンの合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)を合成した。得られたケチミン化合物(前記活性水素基含有化合物)のアミン価は418であった。
【0204】
(乳化・分散)
タンク中に35%カルナバワックス酢酸エチル分散液170部、前記プレポリマー(1)267質量部、及び前記ケチミン化合物2.9質量部、色素としてL−40(表2に記載)を31質量部、金属イオン含有化合物としてM−1を31質量部、ポリエステル(1)546質量部、酢酸エチル1165部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)を用いて5,000rpmにて10分間混合した後、反応容器中に前記水相3350質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、回転数13,000rpmにて20分間混合してウレア化及び乳化・分散を行い、乳化スラリーを調製した。次いで、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に、前記乳化スラリーを仕込み、30℃にて8時間脱溶剤した。その後、該乳化スラリーを45℃にて4時間熟成した。得られた乳化スラリーは、マルチサイザーII(コールターカウンター製)で測定した体積平均粒径が5.7μmであり、個数平均粒径が5.4μmであった。
【0205】
(洗浄・乾燥)
熟成後の前記乳化スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて30分間)した後、減圧濾過した。ここで得た濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて10分間)した後で濾過する操作を2回行い、「最終濾過ケーキ1」を得た。ここで得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機で45℃にて48時間乾燥し、目開きミキサーで解砕した後、目開き44μmメッシュで篩うと、トナー粒子(1)が得られた。
【0206】
次に、得られたトナー粒子(1)100部、帯電制御剤(オリエント化学社製ボントロンE−84)0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定して混合処理した。この場合、その混合操作は、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とした。
【0207】
さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、混合処理した。この場合、その混合操作は、周速を15m/secとして30秒混合1分間休止を5サイクル行った。
【0208】
以上のようにして、トナー1を得た。
【0209】
調製例2
(トナー2〜43の作製)
色素L−40及び金属イオン含有化合物M−1を表2に記載の組合せに変更した以外は調製例1と同様の方法でトナー2〜43を得た。
【0210】
調製例3
(トナー44の作製)
帯電制御剤の添加量をトナー粒子100質量部に対して0.20質量部に変更した以外は調製例1と同様の方法でトナー44を得た。
【0211】
調製例4
(トナー45の作製)
色素をL−40からA−1に変更した以外は調製例1と同様の方法で比較トナー45を得た。
【0212】
調製例5
(トナー46の作製)
色素をL−40からA−2に変更した以外は調製例1と同様の方法で比較トナー46を得た。
【0213】
調製例6
(トナー47の作製)
プレポリマー(1)の代わりにポリエステル(1)を結着樹脂として用い、ケチミン化合物を添加しないこと以外は調製例1と同様の方法で比較トナー47を得た。
【0214】
(色相・彩度の評価)
コピー用紙上の単色画像の色相・彩度について、10人のモニターによる目視評価により下記評価基準に従って評価した。なお、トナー付着量は0.7±0.05(mg/cm)の範囲で評価した。
【0215】
10点満点で評価を行い、10人の平均点が10〜9点を◎、10人の平均点が9〜8点を○、10人の平均点が8〜7点を△、7点未満を×とした。
【0216】
(帯電性の湿度依存性)
帯電性の湿度依存性については市販のデジタルカラー複写機(複合機)bizhub−c352(コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社製)のマゼンタ現像器を駆動する単体駆動機にマゼンタ現像器をセットし、上記トナーをキャリアと混合したトナー濃度6%となるように現像剤をセットした。
【0217】
72時間20℃50%RHに放置した現像器2台のうち、一方は、(a)33℃80%RH環境に2時間放置した。もう一方は、(b)10℃12%RHの環境に2時間放置した。(a)及び(b)の現像器を各々30秒、1200秒駆動し、それぞれ現像剤を5グラムサンプリングして、トナーの帯電量を公知のブローオフ法で測定した。
【0218】
優良:30秒値、1200秒値とも、(b)の環境の値と(a)の環境の値との差が3μC/g未満の場合を優良。
【0219】
良好:30秒値、1200秒値とも、(b)の環境の値と(a)の環境の値との差が3μC/g以上、5μC/g未満。
【0220】
不良:30秒値、1200秒値とも、(b)の環境の値と(a)の環境の値との差が7μC/g以上
として評価を行った。
【0221】
〈帯電速度〉
画素率75%とし、トナー消費量、補給量が著しく多いプリントモードで1000枚プリントを行い、機内のトナーこぼれとプリント画像の画像かすれを目視で評価した。
【0222】
評価基準
◎:帯電不良によるトナーこぼれ、画像のかすれ全くなし
○:帯電不良によるトナーこぼれはないが、プリントの後端に軽微なかすれ発生したが 実用上問題なし
×:帯電不良によるトナーこぼれ、画像のかすれ発生し実用上問題。
【0223】
〈トナー消費量の評価〉
トナー付着量0.7±0.05(mg/cm)のフルカラー写真画像をA4サイズの用紙にプリントした画像と、トナー付着量を0.5±0.05(mg/cm)としてプリントした画像の濃度を比較し、10人の被験者により10点満点で濃度の差を採点した。
【0224】
10人の平均点が10〜9点を◎、10人の平均点が9〜8点を○、10人の平均点が8〜7点を△、7点未満を×とした。その濃度差が小さいほどトナー消費量を少なく出来るものとして評価した。
【0225】
【表2】

【0226】
評価結果より本発明のトナー1〜44は優れた帯電性を示し、色相および彩度に優れた画像を形成することが出来る。また本発明のトナーは湿度による帯電性の差が小さく、湿度依存性が低減された優れたトナーであり、トナー消費量を少なくしてもその色濃度が極端に低下することがなく良好な画像を得ることが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレア変性ポリエステルを含有する結着樹脂中に色素を分散して成る電子写真用トナーにおいて、該色素が下記一般式(1)で表される金属とキレート可能な色素であること及び下記一般式(2)で表される金属イオン含有化合物を含有することを特徴とする電子写真用トナー。
【化1】

(式中、R11はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R12は−NR1415又は−OR16を表し、R13は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アミド基、アルキルスルホニルアミノ基又はアリールスルホニルアミノ基を表し、A11〜A13はそれぞれ独立に−CR17=又は−N=を表し、X11は5又は6員の芳香族環又は複素環を形成するために必要な原子団を表し、Z1は窒素原子を少なくとも1つ含む5又は6員の複素環を形成するために必要な原子団を表し、置換基を有していてもよく、該置換基により縮環を形成してもよく、R14〜R17はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、L11は炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部を表し、R13と結合して5又は6員環構造を形成してもよく、pは0〜3の整数を表す。)
一般式(2)
M(X1)(X2)・W1
(式中、Mは2価の金属イオンを表し、X1及びX2はそれぞれ独立に1座又は2座配位子を表し、同一であっても異なっていても良く、X1とX2は連結していてもよい。m、n及びsは0〜2の整数を表す。W1は電荷を中和させるのに対イオンが必要な場合の対イオンを表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)において、Z1で表される複素環が下記一般式(3)又は(4)で表されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
【化2】

【化3】

(式中、R31及びR41は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R32及びR42は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はアリールスルホニルアミノ基を表し、L31及びL41は炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部を表し、前記一般式(1)のA11と*の部位で結合する。)
【請求項3】
前記一般式(1)において、Z1で表される複素環が下記一般式(5)又は(6)で表されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
【化4】

【化5】

(式中、R51、R52及びR61は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R53及びR62は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はアリールスルホニルアミノ基を表し、L51及びL61は炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部を表し、前記一般式(1)のA11と*の部位で結合する。)
【請求項4】
前記一般式(1)において、Z1で表される複素環が下記一般式(7)又は(8)で表されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用トナー。
【化6】

【化7】

(式中、R71、R72、R81及びR82は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R73及びR83は水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基又はアリールスルホニルアミノ基を表し、L71及びL81は炭素数1又は2の連結基又は環構造の一部を表し一般式(1)のA11と*の部位で結合する。)
【請求項5】
前記一般式(1)において、A11が−CR17=(式中、R17は水素原子又は置換基を表す。)であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の電子写真用トナー。
【請求項6】
前記一般式(2)で表される化合物の配位子(X1又はX2)の少なくとも1つが、下記一般式(9)であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の電子写真用トナー。
【化8】

(式中、E及びEはハメット置換基定数(σp)が0.1以上0.9以下の電子吸引性基を表し、Rはアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基を表し、置換基を有していてもよい。)
【請求項7】
前記一般式(2)において、2価の金属イオンMがCuであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の電子写真用トナー。

【公開番号】特開2009−217254(P2009−217254A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23477(P2009−23477)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】