説明

電子回路、スレーブ基板

【課題】スレーブ基板に実装されたメモリへのプログラムの記録及びスレーブ基板の管理を容易にする。
【解決手段】USB端子が設けられたマスタ基板1と、マスタ基板1と通信線S(USBケーブル)を介して接続されたスレーブ基板2とから構成される。スレーブ基板2には、マスタ基板1からのシリアル信号をパラレル信号に変換して出力するUSBtoUART IC3が設けられる。USBtoUART IC3は、マスタ基板1からの信号に応じて、ROM内蔵CPU5の動作モードを書込みモードに変更するための書込み制御信号を出力端子GPIO1から出力し、WDT4を制御するWDTクリア信号をGPIO2から出力する。マスタ基板1は、スレーブ基板2に送信する信号によって、USBtoUART IC3を介して、ROM内蔵CPU5の内蔵ROM6に記憶されたプログラムの書き換えを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム装置などの各種装置に搭載されるウォッチドッグタイマ(WDT)が実装された電子回路、スレーブ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームセンターなどの遊技場に設置される業務用のゲーム装置には、動作や通信状態が正常であるかを自ら監視する制御ユニット(電子回路)が実装されている。このような動作の監視は、制御ユニット内のウォッチドッグタイマ(WDT)によって行われることが多い(例えば特許文献1参照)。
【0003】
WDTは、初期化指令(生存確認信号)を受信する度に初期化処理を行い、初期値のカウントダウンと初期化処理とを常に繰り返すと共に、0までカウントダウンした場合(初期値のカウントダウンまでに初期化指令を受信しなかった場合)に、リセット信号を出力して強制割込みやシステムリセットを行うことでCPUの正常動作を監視・維持する回路である。
【0004】
ところで、ゲーム装置には、装置を制御するプログラムが書き込まれるメモリ(フラッシュメモリ)が内蔵されたROM内蔵CPUが搭載されている。ROM内蔵CPUは、マスタ基板と接続されたスレーブ基板上に実装されている。
【0005】
従来、ROM内蔵CPUのメモリに記憶されるプログラムを更新する場合には、ジャンパやスイッチを人為的な操作により切り替えてCPUを書込み(BOOT)モードにしたり、プログラムを書き込む際にWDTによってリセットが掛からないように、WDTをハードウェア的に解除する作業が必要となっていた。
【特許文献1】特開2006−110150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来では、ROM内蔵CPUに記憶させるプログラムを更新する場合には、ジャンパやスイッチなどに対する人為的な切り替え操作や、WDTをハードウェア的に解除する作業が必要であり手間がかかっていた。
【0007】
また、ゲーム装置を生産する現場においては、出荷前に予めROM内蔵CPUにプログラムを記憶させておく必要があるため、プログラムについては出荷予定日より前に開発を完了しておかなければならなかった。また、プログラムの変更(バージョンアップなど)により、異なるプログラムがROM内蔵CPUに記憶されて出荷される場合には、ROM内蔵CPUが実装されたスレーブ基板がハードウェアとしては同一の構成であったとしても、プログラムの違いにより異なるスレーブ基板(ROM内蔵CPU)として個別に管理しなければならなかった。
【0008】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、マスター基板からスレーブ基板に実装されたメモリへの記録及びスレーブ基板の管理を容易にすることが可能な電子回路、スレーブ基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シリアル通信用端子が設けられたマスタ基板と、前記シリアル通信用端子と通信線を介して接続されたスレーブ基板とを含む電子回路であって、前記スレーブ基板は、書込み制御信号が受信されている場合にクリア信号を出力すると共に、受信される書き込み用のデータを内蔵されたメモリに記憶させるユニットと、クリア信号が一定時間内に入力されない場合にリセット信号を出力するウォッチドッグタイマと、前記通信線を介して入力されたシリアル信号をパラレル信号に変換して複数の出力端子から出力するもので、前記信号線を通じて入力されるシリアル信号に応じて、前記ユニットに書込み制御信号と書き込み用のデータを送信すると共にクリア信号を出力する変換回路と、前記変換回路あるいは前記ユニットからクリア信号が出力されている場合に、前記ウォッチドッグタイマにクリア信号を出力するOR回路とを具備したことを特徴とする。
【0010】
特に、前記マスタ基板に設けられたシリアル通信用端子はUSB(Universal Serial Bus)規格に従うもので、前記変換回路は、USB規格に従う信号を変換するUARTとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、マスタ基板のシリアル通信用端子と通信線を介して接続されたスレーブ基板において、通信線を介して入力されたシリアル信号をパラレル信号に変換して複数の出力端子から出力するもので、信号線を通じて入力されるシリアル信号に応じて、書込み制御信号と書き込み用のデータを送信すると共にクリア信号を出力する変換回路を設けることにより、マスタ基板から通信線により送信されるデータ(プログラム)を書込み制御信号により制御してストローブ基板に記憶させることができるので、スレーブ基板に実装されたメモリへのプログラムの記録を人為的な切り替え操作や作業をすることなく容易に実行することができる。また、スレーブ基板に記憶されたプログラムをマスタ基板により更新することができるので、スレーブ基板に記憶されたプログラムのバージョンの違いなどを管理する必要もなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態における電子回路の構成を示すブロック図である。図1に示す電子回路は、例えばゲーム装置に実装されるもので、マスタ基板1とスレーブ基板2とが通信線Sを介して接続されている。マスタ基板1とスレーブ基板2とを接続する通信線Sは、USB(Universal Serial Bus)規格に従うUSBケーブルが使用されるものとする。通信線Sは、マスタ基板1に設けられたシリアル通信用端子であるUSB端子(UAB_A)とスレーブ基板2に実装されたUSB規格に対応するUSBtoUART IC3(USB(Universal Serial Bus)、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)に設けられたUSB端子(USB_B)と接続されている。
【0013】
マスタ基板1には、マスタROM1aが設けられており、スレーブ基板2に書き込むプログラムが記憶される。マスタ基板1は、データ更新プログラムを実行することにより、マスタROM1aに記憶されたプログラムをスレーブ基板2(ROM内蔵CPU5)に書き込む処理を実行する。図1には、1つのUSB端子(USB_A)のみを示しているが、複数のUSB端子が設けられており、複数の通信線S(USBケーブル)を介して複数のスレーブ基板2を接続することができるものとする(図4参照)。
【0014】
本実施形態の電子回路では、マスタ基板1は、スレーブ基板2にデータ(プログラム)を書き込む場合、スレーブ基板2に実装されたROM内蔵CPU5を書込みモードにするための書込み制御信号、及びROM内蔵CPU5がデータ書込み中にリセットされないようにするためのWDTクリア信号を、通信線Sを通じてスレーブ基板2に送信する。
【0015】
スレーブ基板2には、USBtoUART IC3、ウォッチドッグタイマ(WDT)4、ROM内蔵CPU5(内蔵ROM6)、OR回路7が実装されている。
【0016】
USBtoUART IC3は、通信線S(USBケーブル)を介して入力されたシリアル信号をパラレル信号に変換して出力端子から出力し、また入力された信号をシリアル信号に変換してUSB端子(USB_B)から通信線Sを介してマスタ基板1に出力する。USBtoUART IC3には、例えばデータ用出力端子TXD、データ用入力端子RXD、複数の汎用出力端子GPIO(General Purpose Input/Output)1,2が設けられている。本実施形態の電子回路では、USBtoUART IC3の出力端子TXDから書込み用データをROM内蔵CPU5に送信し、出力端子GPIO1から書込み制御信号、出力端子GPIO2からWDTクリア信号をそれぞれ出力するものとする。
【0017】
WDT4は、一定時間内にWDTクリア信号が入力されない場合に、ROM内蔵CPU5に対してリセット信号を出力する。
【0018】
ROM内蔵CPU5は、スレーブ基板2を制御するもので、内蔵ROM6が実装されている。内蔵ROM6は、例えばフラッシュメモリ(フラッシュROM)であり、マスタ基板1によりプログラムが書き込まれる。ROM内蔵CPU5は、WDT4から入力されるリセット信号に応じてハードウェアリセットを実行する。また、ROM内蔵CPU5は、USBtoUART IC3を介してマスタ基板1と接続されており、書込み制御信号を受信した場合に、書込み用受信データ入力端子を介して入力されるデータ(プログラム)を内蔵ROM6に書込むことができるCPU書込みモードに移行する。
【0019】
OR回路7は、USBtoUART IC3の出力端子GPIO2またはROM内蔵CPU5のCPUポートから信号(WDTクリア信号)が入力された場合、WDT4に対してクリア信号を出力する。
【0020】
次に、本実施形態の電子回路におけるプログラムの書き込み動作について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
図2(a)は、マスタ基板1におけるデータ更新処理を説明するためのフローチャート、図2(b)は、スレーブ基板2のWDT4の動作を説明するためのフローチャート、図2(c)は、スレーブ基板2のROM内蔵CPU5におけるデータ更新処理を説明するためのフローチャートである。
【0021】
マスタ基板1のマスタROM1aには、スレーブ基板2(内蔵ROM6)に書き込むデータ(プログラム)が予め記憶されているものとする。マスタ基板1は、スレーブ基板2へプログラムを書き込むための処理を実行するプログラムを起動する。
【0022】
まず、マスタ基板1は、書込みデータ(プログラム)の送信に先立ち、スレーブ基板2のROM内蔵CPU5をCPU書込みモードに移行させるために、通信線Sを介して書込み制御信号を送信する(ステップA1)。
【0023】
スレーブ基板2のUSBtoUART IC3は、通信線Sを介してUSB_B端子から入力された信号に応じて、出力端子GPIO1からROM内蔵CPU5に対して書込み制御信号を送信する。
【0024】
ROM内蔵CPU5は、書込み制御信号を入力すると(ステップC1、Yes)、CPUポートからのWDTクリア信号の出力を停止させる(ステップC2)。
【0025】
一方、マスタ基板1は、書込み制御信号を送信してから直ぐに書込みデータの送信を開始しないで一定時間待ち状態となる(ステップA2)。このため、USBtoUART IC3は、ROM内蔵CPU5に書込み制御信号を出力した後、一定時間、通信線Sからの入力がない状態となる。従って、USBtoUART IC3からは、一定時間、WDTクリア信号が出力されない。
【0026】
ここでは、OR回路7にはUSBtoUART IC3とROM内蔵CPU5の何れからもWDTクリア信号が入力されないので、WDT4に対してWDTクリア信号を出力しない。
【0027】
WDT4は、一定時間内にクリア信号が入力されないことにより(ステップB1、No)、ROM内蔵CPU5に対してリセット信号を出力する(ステップB2)。
【0028】
ROM内蔵CPU5は、WDT4からリセット信号が入力されると(ステップC3、Yes)、動作モードをCPU書込みモードに切り替える(ステップC4)。
【0029】
マスタ基板1は、一定時間待った後、マスタROM1aに記憶された書込みデータ(プログラム)の送信を開始する(ステップA3)。USBtoUART IC3は、通信線Sを介してデータの送信が開始されることにより、出力端子TXDから書込み用データをROM内蔵CPU5に出力する。また、マスタ基板1は、書込みデータの送信中において、スレーブ基板2に対して通信線Sを介してWDTクリア信号を出力する(ステップA4)。USBtoUART IC3は、マスタ基板1からの信号に応じて、出力端子GPIO2からWDTクリア信号をOR回路7に対して出力する。
【0030】
従って、OR回路7は、WDT4に対してクリア信号を出力して(ステップB4)、WDT4からROM内蔵CPU5にリセット信号が出力されないようにする。すなわち、USBtoUART IC3の出力端子TXDから書込みデータが出力されている間は、ROM内蔵CPU5にリセットが掛からないようにしてデータ書込みを継続させる。
【0031】
ROM内蔵CPU5は、CPU書込みモードに移行した後、USBtoUART IC3を介して受信される書込みデータ(プログラム)を内蔵ROM6に書き込んでいく(ステップC5,C6)。
【0032】
マスタ基板1は、書込みデータ送信が完了すると(ステップA5、Yes)、スレーブ基板2のCPU書込みモードを解除するために書込み制御信号の出力を停止する(ステップA6)。USBtoUART IC3は、マスタ基板1からの信号に応じて、出力端子GPIO1からの書込み制御信号の出力を停止する。
【0033】
また、マスタ基板1は、スレーブ基板2に対するWDTクリア信号の出力を停止する(ステップA7)。USBtoUART IC3は、マスタ基板1からの信号に応じて、出力端子GPIO2からのWDTクリア信号の出力を停止する。このため、WDT4は、OR回路7から一定時間内にクリア信号が入力されないため(ステップB3、Yes)、ROM内蔵CPU5に対してリセット信号を出力する(ステップB4)。
【0034】
ROM内蔵CPU5は、リセット信号を入力すると(ステップC8、Yes)、CPU書込みモードから通常モードに切り替えて、動作を開始する(ステップC9)。ROM内蔵CPU5は、マスタ基板1によって内蔵ROM6に書き込まれたプログラムに従う動作が実行可能となる。
【0035】
このようにして、本実施形態における電子回路では、マスタ基板1に設けられたUSB端子を利用して、マスタ基板1とスレーブ基板2とを通信線S(USBケーブル)のみで接続すれば良く、他の制御用信号線などを接続する必要が無いので構成を簡単にすることができる。そして、マスタ基板1から通信線Sを利用して、スレーブ基板2のROM内蔵CPU5に対してプログラムを書き込むことができる。従って、マスタ基板1とスレーブ基板2が実装された例えばゲーム装置が出荷された後であっても、スレーブ基板2に記憶されるプログラムの更新を容易に実行することができる。また、ゲーム装置を出荷する前にプログラムの開発を完了しなくても良いため、プログラム開発の負担を軽減することができる。
【0036】
スレーブ基板2(ROM内蔵CPU5)に記憶されるプログラムをマスタ基板1側で保管、更新することができるので、スレーブ基板2で使用されるプログラム(バージョンの違いなど)を別途管理しておく必要がなく負担を軽減できる。
【0037】
本実施形態における電子回路では、マスタ基板1からの信号によってUSBtoUART IC3から出力される書込み制御信号とWDTクリア信号によってWDT4を制御し、ROM内蔵CPU5のハードウェアリセットを実行させることができる。従って、スレーブ基板2にモード切り替え用のジャンパやスイッチ、あるいはWDT4をハードウェア的に解除するための構成が不要となる。このため、量産時のスレーブ基板だけでなく、開発中のスレーブ基板についてもスイッチやジャンパが設けられていない同一構成のスレーブ基板2とすることができる。また、USBtoUART IC3に設けられた出力端子GPIOを書込み制御用に利用することで、マスタ基板1に組み込まれるドライバが変更される場合であっても、スレーブ基板2側での動作確認を不要とすることができる。
【0038】
なお、図1に示す電子回路(マスタ基板1、スレーブ基板2)の構成では、USBtoUART IC3のGPIO1を書込み制御信号の出力端子として使用し、GPIO2の端子をWDTクリア信号の出力端子として使用しているが、図3に示すように、USBtoUART IC3に設けられた他の出力端子を使用することもできる。
【0039】
図3は、本実施形態における電子回路の他の実現例を示すブロック図である。
図3に示す電子回路では、スレーブ基板2に実装されたUSBtoUART IC3の出力端子RTSを書込み制御信号用として使用し、出力端子DSRをWDTクリア信号用として使用している。
【0040】
その他の構成及び動作については、図1及び図2を用いた説明と同様であるものとして説明を省略する。
【0041】
このように、USBtoUART IC3に設けられた出力端子GPIO以外の出力端子を利用することで、ROM内蔵CPU5に対する書込み制御や、WDT4の動作を制御することが可能となる。
【0042】
次に、1つのマスタ基板に対して、複数のスレーブ基板が接続される構成の電子回路例について図4を参照しながら説明する。
図4に示す電子回路は、例えば遊技場に設置される業務用のゲーム装置に搭載される。このゲーム装置は、同時に複数のプレイヤがゲームをすることが可能な比較的大型のもので、各プレイヤがプレイする装置筐体別にスレーブ基板が実装され、この複数のスレーブ基板がマスタ基板によって制御される。
【0043】
図4に示す電子回路において、メイン部10には、マスタ基板20、複数のターミナル部12−1,12−2,…,12−n、ハブ24とが含まれる。
【0044】
マスタ基板20は、複数のUSB端子が設けられており、複数のスレーブ基板22−1,22−2,…,22−mと、それぞれに対応する通信線S(USBケーブル)により相互に接続されている。マスタ基板20は、図1を用いて説明したように、スレーブ基板22−1,22−2,…,22−mのそれぞれに対して、個別にプログラム(データ)の書込みを実行する。スレーブ基板22−1,22−2,…,22−mは、マスタ基板20から受信されるプログラムを、それぞれに実装された内蔵ROM22a−1,22a−2,…,22a−mに記憶させる。
【0045】
マスタ基板20は、ハブ24を介して、複数のターミナル部12−1,12−2,…,12−nが接続されている。図4に示すように、ターミナル部12−1には、マスタ基板30と複数のスレーブ基板32−1,…,32−kが設けられている。マスタ基板30は、ハブ24を介してメイン部10のマスタ基板20と接続される。
【0046】
ターミナル部12−1において、マスタ基板30は、複数のUSB端子が設けられており、複数のスレーブ基板32−1,…,32−kと、それぞれに対応する通信線S(USBケーブル)により相互に接続されている。マスタ基板30は、図1を用いて説明したように、スレーブ基板32−1,…,32−kのそれぞれに対して、個別にプログラム(データ)の書込みを実行する。スレーブ基板32−1,…,32−kは、マスタ基板30から受信されるプログラムを、それぞれに実装された内蔵ROM32a−1,…,32a−kに記憶させる。
【0047】
なお、ターミナル部12−2,…,12−nにおいても、ターミナル部12−1と同様にして、1枚のマスタ基板に、同基板に設けられたUSB端子に接続された通信線S(USBケーブル)を介して、複数のスレーブ基板が接続されて構成され、前述と同様にしてマスタ基板から複数のスレーブ基板のそれぞれに対してプログラムの書込みを実行するものとする。
【0048】
なお、前述したように、メイン部10、ターミナル部12−1,12−2,…,12−nのそれぞれにおいて、個別に複数のスレーブ基板についてプログラムの書込みを実行しても良いが、メイン部10のマスタ基板20から各ターミナル部12−1,12−2,…,12−nのマスタ基板30を制御して、メイン部10及びターミナル部12−1,12−2,…,12−nに実装される複数のスレーブ基板のプログラムの更新を実行するようにしても良い。
【0049】
このようにして、本実施形態における電子回路では、1枚のマスタ基板により複数のスレーブ基板のプログラムを更新することができる。マスタ基板は、各スレーブ基板に対して、個別にプログラムの更新が可能なので、スレーブ基板別に異なるプログラムにより更新することも可能となる。
【0050】
なお、前述した説明では、ゲーム装置に実装される電子回路(マスタ基板、スレーブ基板)を例にして説明しているが、その他の装置に実装される電子回路に適用することも勿論可能である。また、スレーブ基板2のROM内蔵CPU5に記憶されるプログラムを更新するだけでなく、各種のデータの書き換えを実行することも可能である。また、ROM内蔵CPU5に実装された内蔵ROM6に記録されるプログラムやデータを更新するだけでなく、スレーブ基板2に実装された他のメモリに記録されるプログラムやデータを更新する場合に適用可能である。
【0051】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態における電子回路の構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の電子回路におけるプログラムの書き込み動作について説明するためのフローチャート。
【図3】本実施形態における電子回路の他の実現例を示すブロック図。
【図4】1つのマスタ基板に対して、複数のスレーブ基板が接続される構成の電子回路例について示すブロック図。
【符号の説明】
【0053】
1…マスタ基板、1a…マスタROM、2…スレーブ基板、3…USBtoUART IC、4…WDT、5…ROM内蔵CPU、6…内蔵ROM、10…メイン部、12−1,12−2,…,12−n…ターミナル部、20…マスタ基板、22−1,22−2,…,22−m…スレーブ基板、22a−1,22a−2,…,22a−m…内蔵ROM、30…マスタ基板、32−1,…,32−k…スレーブ基板、32a−1,…,32a−k…内蔵ROM、S…信号線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリアル通信用端子が設けられたマスタ基板と、
前記シリアル通信用端子と通信線を介して接続されたスレーブ基板とを含む電子回路であって、
前記スレーブ基板は、
書込み制御信号が受信されている場合にクリア信号を出力すると共に、受信される書き込み用のデータを内蔵されたメモリに記憶させるユニットと、
クリア信号が一定時間内に入力されない場合にリセット信号を出力するウォッチドッグタイマと、
前記通信線を介して入力されたシリアル信号をパラレル信号に変換して複数の出力端子から出力するもので、前記信号線を通じて入力されるシリアル信号に応じて、前記ユニットに書込み制御信号と書き込み用のデータを送信すると共にクリア信号を出力する変換回路と、
前記変換回路あるいは前記ユニットからクリア信号が出力されている場合に、前記ウォッチドッグタイマにクリア信号を出力するOR回路とを具備したことを特徴とする電子回路。
【請求項2】
前記マスタ基板に設けられたシリアル通信用端子はUSB(Universal Serial Bus)規格に従うもので、
前記変換回路は、USB規格に従う信号を変換するUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)とすることを特徴とする請求項1記載の電子回路。
【請求項3】
前記UARTに設けられたGPIO(General Purpose Input/Output)端子を用いて前記書込み制御信号を出力させることを特徴とする請求項2記載の電子回路。
【請求項4】
シリアル通信用端子が設けられたマスタ基板と通信線を介して接続されたスレーブ基板であって、
書込み制御信号が受信されている場合にクリア信号を出力すると共に、受信される書き込み用のデータを内蔵されたメモリに記憶させるユニットと、
クリア信号が一定時間内に入力されない場合にリセット信号を出力するウォッチドッグタイマと、
前記通信線を介して入力されたシリアル信号をパラレル信号に変換して複数の出力端子から出力するもので、前記信号線を通じて入力されるシリアル信号に応じて、前記ユニットに書込み制御信号と書き込み用のデータを送信すると共にクリア信号を出力する変換回路と、
前記変換回路あるいは前記ユニットからクリア信号が出力されている場合に、前記ウォッチドッグタイマにクリア信号を出力するOR回路とを具備したことを特徴とするスレーブ基板。
【請求項5】
複数のシリアル通信用端子が設けられたマスタ基板と、
前記複数のシリアル通信用端子のそれぞれと通信線を介して接続された複数のスレーブ基板とを含む電子回路であって、
前記複数のスレーブ基板のそれぞれには、
書込み制御信号が受信されている場合にクリア信号を出力すると共に、受信される書き込み用のデータを内蔵されたメモリに記憶させるユニットと、
クリア信号が一定時間内に入力されない場合にリセット信号を出力するウォッチドッグタイマと、
前記通信線を介して入力されたシリアル信号をパラレル信号に変換して複数の出力端子から出力するもので、前記信号線を通じて入力されるシリアル信号に応じて、前記ユニットに書込み制御信号と書き込み用のデータを送信すると共にクリア信号を出力する変換回路と、
前記変換回路あるいは前記ユニットからクリア信号が出力されている場合に、前記ウォッチドッグタイマにクリア信号を出力するOR回路とを具備し、
前記マスタ基板は、前記複数のスレーブ基板に対して、前記メモリに記憶されるデータを書き換えるための制御を個別に行うことを特徴とする電子回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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