説明

電子回路部品打ち抜き装置

【課題】位置決めピンのスプロケット孔への挿入精度を向上させる。
【解決手段】キャリアテープを走行経路に沿って送り出すテープ送部を備える。そして、キャリアテープの電子回路部を走行経路上で打ち抜いて、キャリアテープから電子回路部を分離する打抜部と、キャリアテープの電子回路部がすべて打ち抜かれると、キャリアテープのスプロケット孔を検出するスプロケット孔検出部とを備える。さらに、スプロケット孔検出部の検出に基づいて、キャリアテープのスプロケット孔に位置決めピンを挿入して、キャリアテープを把持するテープ把持部を備える。また、走行経路において、スプロケット孔検出部がスプロケット孔を検出する位置とテープ把持部がキャリアテープを把持する位置との間の距離は、スプロケット孔検出部がスプロケット孔を検出する位置と打抜部が電子回路部を打ち抜く位置との間の距離よりも短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープに一定のピッチ間隔で複数の電子回路部品が配置されたテープキャリアパッケージ(TCP)等から、電子回路部品を打ち抜いて分離する電子回路部品打ち抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FPD(Flat Panel Display) モジュール組み立て装置では、所定の配線パターン等を形成したフィルム基板にIC回路素子を実装した電子部品を表示基板に搭載している。この電子部品は、テープに、一定のピッチ間隔となるように電子回路部を形成したキャリアテープから電子回路部を打ち抜いて形成される。
【0003】
従来の電子回路部品打ち抜き装置は、通過するキャリアテープに形成された電子回路部品を検出する電子回路部品検出センサを備えており、この電子回路部品検出センサの検出結果に基づいてキャリアテープから電子回路部品を打ち抜いている。そして、この電子回路部品検出センサで電子回路部品が検出されなくなった時点において、キャリアテープの電子回路部品がすべて打ち抜かれたものとみなしている。このとき、使用済みキャリアテープと新たなキャリアテープとのつなぎ換えを行う前処理として、使用済みキャリアテープのスプロケット孔に位置決めピンを打ち込んでキャリアテープを固定していた(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−47553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された電子回路部品打ち抜き装置には、キャリアテープのスプロケット孔を検出する手段が設けられていない。そのため、位置決めピンをスプロケット孔に挿入する際にスプロケット孔以外の部分に位置決めピンを打ち込んでしまう恐れがあった。
【0006】
前述の電子回路部品検出センサを用いてスプロケット孔の検出を行うようにすることも考えられなくはないが、この電子回路部品検出センサは打ち抜き機構の近くに配置されており、位置決めピンから離れた位置に設けられている。そのため、キャリアテープのたるみ等により、位置決めピンを正確にスプロケット孔に挿入することができるタイミングを算出することは難しい。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、位置決めピンのスプロケット孔への挿入精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の電子回路部品打ち抜き装置は、長手方向に一定の周期チ間隔で形成された電子回路部を有するとともに、スプロケット孔が長手方向に所定間隔で設けられたキャリアテープを走行経路に沿って送り出すテープ送部を備える。そして、キャリアテープの電子回路部を走行経路上で打ち抜いて、キャリアテープから電子回路部を分離する打抜部と、キャリアテープの電子回路部がすべて打ち抜かれると、キャリアテープのスプロケット孔を検出するスプロケット孔検出部とを備える。さらに、スプロケット孔検出部の検出に基づいて、キャリアテープのスプロケット孔に位置決めピンを挿入して、キャリアテープを把持するテープ把持部を備える。また、走行経路において、スプロケット孔検出部がスプロケット孔を検出する位置とテープ把持部がキャリアテープを把持する位置との間の距離は、スプロケット孔検出部がスプロケット孔を検出する位置と打抜部が電子回路部を打ち抜く位置との間の距離よりも短い。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電子回路部品打ち抜き装置によれば、位置決めピンの近くに設けられたスプロケット孔検出部によりスプロケット孔の検出を行っている。これにより、スプロケット孔を傷つけることなく、位置決めピンをスプロケット孔に正確に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るキャリアテープを示す外観図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るキャリアテープを示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子回路部品打ち抜き装置を示す概略構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る経路切換部の構成を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【図10】本発明の変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置を構成する経路切換部の構成を示す説明図である。
【図11】本発明の変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【図12】本発明の変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【図13】本発明の変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【図14】本発明の変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【図15】本発明の変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【図16】本発明の変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理における動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の電子回路部品打ち抜き装置の実施形態例について、図1〜図9を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.一実施の形態例
1−1.キャリアテープの構成例
1−2.電子回路部品打ち抜き装置の構成例
1−3.電子回路部品打ち抜き装置の動作例
2.変形例
2−1.電子回路部品打ち抜き装置の構成例
2−2.電子回路部品打ち抜き装置の動作例
【0012】
<1.一実施の形態例>
図1〜図9を参照して、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」という。)の電子回路部品打ち抜き装置について説明する。
図1及び図2は本例の電子回路部品打ち抜き装置で打ち抜かれる電子回路部がつらなって形成されたキャリアテープの外観図及び斜視図、図3は本例の電子回路部品打ち抜き装置を示す概略構成図である。図4は本例の電子回路部品打ち抜き装置の経路切換部の構成を示す説明図、図5〜図9は電子回路部品打ち抜き装置のテープ連結処理に係る動作を示す説明図である。
【0013】
1−1.キャリアテープの構成例
まず、キャリアテープの構成について説明する。
キャリアテープ1は、電子回路部品キャリアテープ部1aと、リーダテープ部1b,1cとを備える(図2を参照)。電子回路部品キャリアテープ部1aには、その長手方向に等間隔で、電子回路部品に相当する電子回路部2が形成されている。電子回路部2は、IC等の電子部品2aをテープ表面に印刷等の手段で形成した配線パターン2bに接続するように実装したものである。この電子回路部品キャリアテープ部1aを、図1に破線で示した切断線に沿って打ち抜くことによって、電子回路部2がキャリアテープ1から分離される。
【0014】
リーダテープ部1b,1cは、電子回路部2が形成されていない部分であり、電子回路部品キャリアテープ部1aの長手方向の先頭側及び後尾側にそれぞれ連接されている。
【0015】
このようなキャリアテープ1は、供給リール3に巻回されており、この供給リール3から繰り出すようにする。キャリアテープ1を供給リール3に巻回するに当っては、電子部品2aを保護するために、セパレータテープ5を間に介在させて巻回させている(図3を参照)。
【0016】
また、キャリアテープ1は、長手方向の両側に一定のピッチ間隔でスプロケット孔4が設けられている。このスプロケット孔4にスプロケットの爪を挿入して、このスプロケットを回転駆動させることによって、キャリアテープ1をそのテープ走行経路に沿って連続的に走行させたり、またピッチ送りを行ったりすることができる。
【0017】
1−2.電子回路部品打ち抜き装置の構成例
次に、電子回路部品打ち抜き装置の構成について説明する。
図3に示すように、電子回路部品打ち抜き装置50は、テープ供給部11と、打ち抜き部12と、テープ回収部13とを備える。
【0018】
本例では、テープ供給部11には、2個の供給リール3A,3Bが装着されるようになっており、このためにリール支軸15が2箇所設けられている。供給リール3Aが使用中のものであり、供給リール3Bが待機状態のものである。供給リール3A,3Bには、キャリアテープ1がセパレータテープ5と重ね合わせるようにして巻回されている。また、テープ回収部13には、打ち抜き後のテープ及びセパレータテープ5をそれぞれ回収するためのテープ回収ボックス16,17が設置されている。
【0019】
このような状態で、使用中の供給リール3Aからキャリアテープ1Uが経路切換部20を通過して、打ち抜き部12に供給される。待機中の供給リール3Bのキャリアテープ1Lは、取り換え用のテープなので、作業者によって予め経路切換部20に設置される。なお、供給リール3Aが待機状態のものとなり、供給リール3Bが使用中の状態のものとなる場合もある。
【0020】
経路切換部20は、テープ供給部11から打ち抜き部12に至るテープ走行経路の途中であって、テープ供給部11に近接した位置に設けられている。そして、供給リール3Aのキャリアテープ1Uが使い切られたときに、待機中の供給リール3Bに巻回されたキャリアテープ1Lが打ち抜き部12に供給されるようにする。具体的には、キャリアテープ1Uの後尾側のリーダテープ部1c(図2参照)に、キャリアテープ1Lの先頭側のリーダテープ部1bを継ぎ合わせる。なお、キャリアテープ1Uのリーダテープ部1cは、前述の継ぎ合わせを行う部位より後方の位置で切断される。
【0021】
これにより、供給リール3の交換時間を短縮し、かつ作業者による供給リール3の交換作業を使用中の供給リール3が使い切る時点に拘束されないようにしている。ただし、キャリアテープ1が使い切られたときとは、キャリアテープ1において、電子回路部品キャリアテープ部1aに設けられた電子回路部2がすべて打ち抜かれた状態をいう。なお、経路切換部20の詳細な構成については図4にて後述する。
【0022】
上述したように、供給リール3Aから供給されるキャリアテープ1Uは、経路切換部20を通って打ち抜き部12に至るようにキャリアテープ1Uのテープ走行経路が設定されている。このテープ走行経路には、適宜の位置に配置されたガイドローラ21にガイドさせてキャリアテープ1Uを打ち抜き部12に導くようにしている。
【0023】
打ち抜き部12は、電子回路部品検出センサ30と、電子回路部品検出センサ30の後段に設けられたカッタユニット22とを備える。さらに、電子回路部品検出センサ30の前段及びカッタユニット22の後段にそれぞれ設けられたテープの送り駆動用のスプロケット23,24を有するテープ送部を備える。なお、カッタユニット22が打抜部に相当する。
【0024】
スプロケット23,24は、略円柱上に形成されており、その外周面にはキャリアテープ1Uに設けたスプロケット孔4に挿入する爪が設けられている。また、打ち抜き部12には、キャリアテープ1Uの浮き上がり等を防止するためのピンチローラ25,26がキャリアテープ1Uに当接するように設けられている。したがって、キャリアテープ1Uは、スプロケット23とスプロケット24との間において、実質的に水平状態に保たれ、かつ所定の張りを持たせることができるようになっている。そして、モータ等(不図示)が、スプロケット23,24を間欠的に所定角度ずつ回転駆動させて、キャリアテープ1Uを電子回路部品検出センサ30及びカッタユニット22へ所定の長さずつピッチ送りする。
【0025】
電子回路部品検出センサ30は、例えば光学センサ等を含み、通過したキャリアテープ1Uの電子回路部2を検出して電子回路部品検出信号を生成する。この電子回路部品検出信号はカッタユニット22に出力される。ただし、電子回路部品検出センサ30が電子回路部品検出信号を出力するタイミングは、検出した電子回路部2がカッタユニット22の打ち抜き位置に来た時であり、電子回路部品検出センサ30とカッタユニット22との間の距離に応じて予め設定されている。
【0026】
また、電子回路部品検出センサ30は、特許請求の範囲に記載された打抜完了検出部の一例を示すものであり、電子回路部2を一度検出してから所定時間以上、電子回路部2を検出しなかったときに、キャリアテープ1Uが使い切られたことを示す信号(以下、「使用完了信号」という)を生成する。この使用完了信号は、生成後すぐに経路切換部20に出力される。
【0027】
カッタユニット22は、下部側の固定刃27と上部側の可動刃28とから構成され、可動刃28はソレノイド等からなるカッタ駆動部29によって、上下動されるようになっている。このカッタユニット22は、電子回路部品検出センサ30からの電子回路部品検出信号の入力をトリガーに、可動刃28を下降する。これにより、キャリアテープ1Uの破線部分(図1を参照)が切断されて、電子回路部2がキャリアテープ1から打ち抜かれる。そして、電子回路部2が打ち抜かれたキャリアテープ1は、テープ回収ボックス16に回収される。なお、カッタユニット22は、上部側を固定刃27、下部側を可動刃28としてもよい。
【0028】
ところで、キャリアテープ1Uと共に供給リール3に巻回されているセパレータテープ5は、経路切換部20の位置より手前でキャリアテープ1Uから離れて、ガイド板31にガイドされて、テープ回収ボックス17に回収されるようになっている。なお、セパレータテープ5は、テープ回収ボックス17に回収させる代わりに、供給リール3とは異なるリールに巻回させるようにして回収してもよい。なお、この場合には、供給リール3のキャリアテープ1Uを使い切った後に、この供給リール3に巻き戻すようにすることもできる。
【0029】
前述した2個の供給リール3A,3Bの取付位置及びこれらの供給リール3A,3Bからのテープ走行経路は、図示したものに限定されず、様々なレイアウトが可能である。図示したものにあっては、2個の供給リール3A,3Bは上下に配置されているが、これを左右に配置することもできる。ただし、2個の供給リール3A,3Bからのテープ走行経路は、経路切換部20を設けた位置で合流しなければならない。また、打ち抜いた後のキャリアテープ1及びセパレータテープ5は同じテープ回収ボックスで回収してもよいし、あるいはリールに巻き取る等により回収するようにしてもよい。
【0030】
次に、経路切換部20について説明する。
図4に示すように、経路切換部20は、使用中のキャリアテープ1Uのテープ走行経路Rを中心として上部側の上部構造部40Uと、下部側の下部構造部40Lと、スプロケット孔検出センサ47とを有する。
【0031】
スプロケット孔検出センサ47は、例えば光学センサ等を含むものである。このスプロケット孔検出センサ47は、電子回路部品検出センサ30からの使用完了信号の入力をトリガーに、テープ走行経路R上にあるキャリアテープ1Uのスプロケット孔4の検出を行う。そして、スプロケット孔4を検出すると、スプロケット孔検出信号を生成し、上部構造部40U及び下部構造部40Lの動作を制御する制御部(不図示)に出力する。
【0032】
ここで、スプロケット孔検出センサ47がスプロケット孔検出信号を出力するタイミングは、検出したスプロケット孔4の後に続く所定のスプロケット孔4が、後述する位置決めピン44の所定の1本に重なる瞬間である。そのため、スプロケット孔検出センサ47と上部構造部40Uとの間の距離及びスプロケット孔検出センサ47と下部構造部40Lとの間の距離に応じて予め設定されている。
【0033】
このようなスプロケット孔検出センサ47は、後述の位置決めピン44の付近でスプロケット孔4を検出できるようにするため、テープ走行経路Rに対応する位置において、上部構造部40U及び下部構造部40Lの近くに配置される。例えば、上部構造部40U及び下部構造部40Lから50ミリメートル以内に設けられることが好ましい。そのため、走行経路Rにおいて、スプロケット孔検出センサ47がスプロケット孔4を検出する位置と上及び下部構造部40がキャリアテープ1を把持する位置との間の距離は、スプロケット孔検出センサ47がスプロケット孔4を検出する位置とカッタユニット22が電子回路部2を打ち抜く位置との間の距離よりも短くなっている。
【0034】
次に、上部構造部40U及び下部構造部40Lについて説明する。
上部構造部40U及び下部構造部40Lは、それぞれテープ保持部材41U,41Lとローラ42U,42Lとを含む。このテープ保持部材41Uとテープ保持部材41Lが特許請求の範囲に記載されたテープ把持部の一例を示すものである。
【0035】
テープ保持部材41U,41Lはテープ走行経路Rの方向に所定の長さを有する。テープ保持部材41Uの下面には、供給リール3Aから供給されるキャリアテープ1Uが吸着・保持される吸着孔43Uが少なくとも2箇所開口している。一方、テープ保持部材41Lの上面にも、供給リール3Bから供給されるキャリアテープ1Lが吸着・保持される吸着孔43Lが少なくとも2箇所開口している。
【0036】
テープ保持部材41U,41Lは、各領域F,Bにおいて、それぞれ左右に各一対、つまり各々4本の位置決めピン44が設けられている。位置決めピン44は、スプロケット孔4に挿入するものであり、先端が尖った呼び込み部を有している。これらの位置決めピン44の前後の間隔は、スプロケット孔4の間隔の整数倍に相当するものとなっている。しかも、上下のテープ保持部材41U,41Lに設けた位置決めピン44は相互にスプロケット孔4の1個または複数個の間隔分だけずれた位置に配置されている。
【0037】
テープ保持部材41Uには、領域Fと領域Bとの間の位置に、切断刃とその駆動手段とからなるカッタ45が設けられている。一方、テープ保持部材41Lには、カッタ45の切断刃が接離するカッタ受け45aが形成されている。このカッタ45とカッタ受け45aが特許請求の範囲に記載された切断部の一例を示すものである。
【0038】
テープ保持部材41Lには、領域F,Bにおいて、ステープラ機構46F,46Bが装着されている。これらステープラ機構46F,46Bは、キャリアテープ1Uの後尾部(図2のリーダテープ部1c)と、キャリアテープ1Lの先頭部(図2のリーダテープ部1b)とを連結するための針供給マガジン46aF,46aBと、作動部材46bF,46bBとからなる。
【0039】
このステープラ機構46F,46Bは、待機中のキャリアテープ1Lの先頭部を使用中のキャリアテープ1Uに連結する連結部を構成する。この連結部の構成としては、ステープラ機構による止着の他に粘着テープ、熱圧着テープ等各種の手段を用いることができ、また止着と他の固着手段とを複合的に使用することも可能である。
【0040】
ところで、テープ保持部材41U,41Lと、ローラ42U,42Lとは、テープ走行経路Rに臨む位置と、このテープ走行経路Rの上下で、キャリアテープ1Uとは干渉しない位置とに変位可能となっている。また、テープ保持部材41U,41Lはその長さ方向の概略半ピッチ分前後方向に移動可能となっている。ローラ42Uのみがテープ走行経路Rに臨んでいる状態のとき、供給リール3Aから供給されるキャリアテープ1Uが走行可能となり、ローラ42Lのみがテープ走行経路Rに臨んでいる状態のとき、供給リール3Bに巻回されたキャリアテープ1Lが走行可能となる。
【0041】
テープ保持部材41U,41Lが対面する位置で、テープ走行経路Rを挟むように接合されて、カッタ45が作動されると、走行中のキャリアテープ1Uが切断される。また、テープ保持部材41U,41Lの一方が相手方に対して半ピッチ分ずらせた状態で、相互に接合させ、ステープラ機構46Fまたは46Bを作動させると、使用中のキャリアテープ1Uと待機中のキャリアテープ1Lとが連結されることになる。
【0042】
以上の構成を有する経路切換部20を設けることによって、1個の供給リールからキャリアテープを供給する間の任意の時点で、もう一方のリール支軸に新たな供給リールをセットすることができる。これにより、使用中の供給リールのキャリアテープが使い切られると、待機している供給リールに巻回されたキャリアテープを使用済みのキャリアテープに自動的に継続させることができる。しかも、使用中の供給リールから待機中の供給リールへの移行は、円滑かつ迅速に行われるようになる。
【0043】
1−3.電子回路部品打ち抜き装置の動作例
次に、図3及び図5〜図9に基づいて、電子回路部品打ち抜き装置50の動作の手順について説明する。
図3に示すように、供給リール3Aに巻回されたキャリアテープ1Uが打ち抜き部12に供給されて、電子回路部2の打ち抜きが実行されているとする。
【0044】
このキャリアテープ1Uの供給が開始された後から使い切られる前までに、供給リール3Bのセットを行うことができる。この供給リール3Bのセットは作業者が手作業で行うことになる。作業者は、供給リール3Aに巻回されたキャリアテープ1Uの供給が始まったときに、もう一つのリール支軸15に使い切られた供給リールが装着されていると、それを取り外した後に、このリール支軸15に新たな供給リール3Bを装着する。そして、この供給リール3Bからキャリアテープ1Lを引き出して、テープ保持部材41Lの領域B側の位置決めピン44をキャリアテープ1Lの先頭部(図2のリーダテープ部1b)のスプロケット孔4に挿入する。すると、図5に示したように、キャリアテープ1Lの先頭部はテープ保持部材41Lの吸着孔43L(図4を参照)により吸着保持される。
【0045】
以上のような状態において、電子回路部品検出センサ30は、キャリアテープ1Uが使い切られたことを確認すると、使用完了信号を生成して経路切換部20へ出力する。すると、経路切換部20のスプロケット孔検出センサ47は、キャリアテープ1Uのスプロケット孔の検出を開始する。スプロケット孔4が検出されると、スプロケット孔検出センサ47は、スプロケット孔検出信号を生成する。そして、スプロケット孔検出信号が、予め設定された時間後に、制御部(不図示)に出力される。
【0046】
制御部(不図示)は、スプロケット孔検出センサ47からのスプロケット孔検出信号の入力をトリガーに、テープ保持部材41Uを下降させるとともに、テープ保持部材41Lを上昇させる。さらに、テープ保持部材41Lの上昇と連動させて、ローラ42Lを上昇させる。そして、図6に示すように、これらテープ保持部材41Uとテープ保持部材41Lとを接合させる。このとき、テープ保持部材41U,41Lの各位置決めピン44がキャリアテープ1Uのスプロケット孔に挿入される。位置決めピン44の近くに設けられたスプロケット孔検出センサ47でスプロケット孔を検出しているので、スプロケット孔を傷つけることなく、各位置決めピンをスプロケット孔に正確に挿入することができる。
【0047】
前述したように、待機中のキャリアテープ1Lの先頭側の所定のスプロケット孔4には、テープ保持部材41Lにおける領域B(図4を参照)の位置決めピン44が挿入されている。そのため、キャリアテープ1Lと、キャリアテープ1Uとのスプロケット孔4が一致した状態となっている。
【0048】
以上の処理が完了した後、制御部(不図示)は、カッタ45を作動させて、キャリアテープ1Uを切断する。このとき、キャリアテープ1Uは、リーダテープ部1c(図2を参照)で切断される。一方、キャリアテープ1Lは領域B側にしか載置されていないので、この待機中のキャリアテープ1Lが切断されることはない。勿論、待機中のキャリアテープ1Lの先頭部が多少はみ出しており、カッタ45の作動により待機中のキャリアテープ1Lの先頭部が切断されたとしても、何等の問題も生じない。
【0049】
次に、図7に示すように、制御部(不図示)は、テープ保持部材41Uをテープ走行経路Rから離間させる方向に変位させる。このとき、テープ保持部材41Uでは、その領域F(図4を参照)において、吸着孔43Uの吸着によりキャリアテープ1Uの後尾部が保持されている。一方、テープ保持部材41Uでも、領域Bにおいて、吸着孔43Uの吸着により、供給リール3A側にある切断後のキャリアテープ1Uの先頭部が保持されている。この段階で、供給リール3A側にある切断後のキャリアテープ1Uをテープ保持部材41Uから強制的に離脱させて、供給リール3Aに巻き取るようにしてもよい。ただし、新たな供給リール3Bがセットされるまで、テープ保持部材41Uに保持させたまま維持することもできる。
【0050】
続いて、制御部(不図示)は、図8に示すように、テープ保持部材41Lをテープ走行経路R方向に前進させて、テープ保持部材41Lの領域Bをテープ保持部材41Uの領域Fと一致する位置まで変位させる。そして、図9に示すように、テープ保持部材41Uを下降させて、切断されたキャリアテープ1Uの後尾部に、キャリアテープ1Lの先頭部を所定の長さ分だけ重ね合わせる。
【0051】
次に、制御部(不図示)は、ステープラ機構46Bを作動させて、各キャリアテープ1U,1L間を止着し連結する。キャリアテープ1U,1L間の連結が行われると、テープ保持部材41U,41L及びローラ42Uをテープ走行経路Rから離間させて、ローラ42Lをテープ走行経路Rに臨む状態にする。これにより、供給リール3Bに巻回されたキャリアテープ1Lが打ち抜き部12に供給される状態に切り換わる。そして、キャリアテープ1Lは、電子回路部品検出センサ30が装着されている部位まで送り出される。つまり、キャリアテープ1Lの電子回路部品キャリアテープ部1aが打ち抜き部12に供給され、電子回路部2の打ち抜きが開始される。
【0052】
このように、使用後に切断されたキャリアテープ1Uの後尾部に、新たなキャリアテープ1Lの先頭部に連結することにより、キャリアテープ1Lがテープ走行経路Rに沿って自動的に導かれる。そのため、作業者の必要な作業は、新たな供給リール3Bのセットだけを行えばよい。このようにしてセットされた供給リール3Bを待機させることによって、キャリアテープ1Uの使い切り直後から、時間的なロスがなく待機状態の供給リール3Bに巻回されたキャリアテープ1Lの供給開始動作を行わせることができる。
【0053】
以上のように、供給リール3Bに巻回されたキャリアテープ1Lの供給が始まると、この供給リール3Bが使用中のものとなる。ここで、供給リール3Aをリール支軸15から取り外して、新たな供給リール3Aを待機中のものとしてリール支軸15にセットする。そして、キャリアテープ1Uの先頭部のスプロケット孔4を、テープ保持部材41Uの領域B側の位置決めピン44に挿入する。なお、テープ連結時には、このテープ保持部材41U側をテープ走行経路R方向に前進させて、使用中のキャリアテープ1Uの切断後尾部に重ね合わせるようにする。ただし、切断後尾部とは、切断されたキャリアテープ1Uの後尾部から所定の距離までの部分を指す。
【0054】
なお、上述した一実施形態において、待機中のキャリアテープ1Lには、電子回路部品キャリアテープ部1aの先頭側にかなりの長さのリーダテープ部1bが連設されている。テープ保持部材41Lに保持させるのは、このリーダテープ部1bの先頭であってもよいが、そうすると経路が切り換えられた後におけるキャリアテープ1Lの空送り距離が長くなる。したがって、供給リール3Bからキャリアテープ1Lを引き出し、リーダテープ部1bの大半を切り取って、電子回路部品キャリアテープ部1aへの接続部に近い位置をテープ保持部材41Lに保持させる。これにより、使用中のキャリアテープ1Uを使い切られると、より迅速に供給リール3Bからキャリアテープ1Uが供給できる状態に切り換えることができる。
【0055】
<2.変形例>
また、上述した一実施形態では、使用が終了したキャリアテープ1Uと待機中のキャリアテープ1Lとの連結をキャリアテープ1U,1Lを重ねた状態で行った。しかしながら、キャリアテープ1Uの切断部とキャリアテープ1Lの先頭部とを突き合わせた状態で、ステープラ機構や粘着テープなどの固着手段で接続してもよい。この接続を実現するための電子回路部品打ち抜き装置(以下、「変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置」という)の詳細な説明については、図10〜16を参照して以下に示す。なお、一実施形態と同じ部分には同じ符号を付して説明は省略する。
【0056】
2−1.電子回路部品の打ち抜き装置の構成例
図10は、本発明の変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置を構成する経路切換部の構成を示す説明図である。
変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置は、一実施形態に係る電子回路部品打ち抜き装置50(図3を参照)を構成する経路切換部20の代替として、経路切換部60を有する。
【0057】
この経路切換部60は、3つのテープ保持部材51A〜51Cと、固着部材52と、カッタ45と、スプロケット孔検出センサ47とを備える。
【0058】
テープ保持部材51A〜51Cは、テープ保持部材41Uからカッタ45(図4を参照)を取り除いたものであり、スプロケット孔4に位置決めピン44が挿入されたキャリアテープ1を吸着孔43Uで吸着して保持する。なお、テープ保持部材51Aは、使用が終了したキャリアテープ1U又はキャリアテープ1Lを保持し、テープ保持部材51Bは、待機中のキャリアテープ1Uを保持する。また、テープ保持部材51Cは、待機中のキャリアテープ1Lを保持する。
【0059】
固着部材52は、ステープラ機構、粘着テープあるいは熱圧着テープ等の固着手段を含んで構成されており、この固着手段により、使用が終了したキャリアテープ1U又はキャリアテープ1Lの切断部分と、待機中のキャリアテープ1L又はキャリアテープ1Uの先頭部分とを連結する。
【0060】
2−2.電子回路部品打ち抜き装置の動作例
次に、図10〜図16に基づいて、変形例に係る電子回路部品打ち抜き装置の動作の手順について説明する。
図10に示すように、供給リール3Aに巻回されたキャリアテープ1Uが打ち抜き部12に供給されて、電子回路部2の打ち抜きが実行されているとする。また、供給リール3Bからキャリアテープ1Lが引き出されて、このキャリアテープ1Lの先頭部(図2のリーダテープ部1b)がテープ保持部材51Cに保持されているものとする。
【0061】
このような状態において、電子回路部品検出センサ30(図3を参照)は、キャリアテープ1Uが使い切られたことを確認すると、使用完了信号を生成して経路切換部60へ出力する。すると、経路切換部60のスプロケット孔検出センサ47は、キャリアテープ1Uのスプロケット孔の検出を開始する。スプロケット孔4が検出されると、スプロケット孔検出センサ47は、スプロケット孔検出信号を生成する。そして、スプロケット孔検出信号が、予め設定された時間後に、制御部(不図示)に出力される。
【0062】
制御部(不図示)は、スプロケット孔検出センサ47からのスプロケット孔検出信号の入力をトリガーに、図11に示すように、テープ保持部材51Aを下降させる。すると、テープ保持部材51Aの位置決めピン44(図4を参照)がキャリアテープ1Uのスプロケット孔に挿入され、テープ保持部材51Aの吸着孔43によってキャリアテープ1Uが吸着される。テープ保持部材51Aの位置決めピン44の近くに設けられたスプロケット孔検出センサ47でスプロケット孔を検出しているので、スプロケット孔を傷つけることなく、各位置決めピンをスプロケット孔に正確に挿入することができる。
【0063】
続いて、制御部(不図示)は、図12に示すように、カッタ45を上昇させて、キャリアテープ1Uを切断する。このとき、キャリアテープ1Uは、リーダテープ部1c(図2を参照)で切断される。そして、制御部(不図示)は、図13に示すように、カッタ45を降下させて元の位置に戻す。
【0064】
次に、制御部(不図示)は、図14に示すように、現在待機中のキャリアテープ1Lを保持しているテープ保持部材51Cをテープ走行経路方向に移動させて、キャリアテープ1Uの切断部とキャリアテープ1Lの先頭部とを突き合わせる。そして、図15に示すように、キャリアテープ1Uの切断部とキャリアテープ1Lの先頭部とを突き合わせた位置に、固着部材52を移動させて前述の固着手段を作動させる。これにより、キャリアテープ1Uの切断部とキャリアテープ1Lの先頭部とが突き合わされた状態で、キャリアテープ1U,1L間の連結がなされる。
【0065】
キャリアテープ1U,1L間の連結が完了すると、制御部(不図示)は、図16に示すように、テープ保持部材51をテープ走行経路から離間させる。これにより、供給リール3Bに巻回されたキャリアテープ1Lが打ち抜き部12に供給される状態に切り換わる。そして、キャリアテープ1Lは、電子回路部品検出センサ30が装着されている部位まで送り出される。つまり、キャリアテープ1Lの電子回路部品キャリアテープ部1aが打ち抜き部12に供給され、電子回路部2の打ち抜きが開始される。
【0066】
供給リール3Bに巻回されたキャリアテープ1Lの供給が始まると、この供給リール3Bが使用中のものとなる。ここで、供給リール3Aをリール支軸15(図3を参照)から取り外して、新たな供給リール3Aを待機中のものとしてリール支軸15にセットする。そして、図16に示すように、キャリアテープ1Uの先頭部のスプロケット孔4を、テープ保持部材51Bの位置決めピン44に挿入する。なお、テープ連結時には、このテープ保持部材51Bをテープ走行経路に接近させて、使用が終了して切断されたキャリアテープ1Lの切断部と、待機中のキャリアテープ1Uの先頭部とが突き合わさるようにする。
【符号の説明】
【0067】
1…キャリアテープ、2…電子回路部、3…供給リール、4…スプロケット孔、5…セパレータテープ、11…テープ供給部、12…打ち抜き部、13…テープ回収部、15…リール支軸、16,17…テープ回収ボックス、20…経路切換部、21…ガイドローラ、22…カッタユニット、23…スプロケット、25…ピンチローラ、27…固定刃、28…可動刃、29…カッタ駆動部、30…電子回路部品検出センサ、31…ガイド板、40L…下部構造部、40U…上部構造部、41…テープ保持部材、42…ローラ、43…吸着孔、44…位置決めピン、45…カッタ、47…スプロケット孔検出センサ、50…電子回路部品打ち抜き装置、R…テープ走行経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に一定の周期間隔で形成された電子回路部を有するとともに、スプロケット孔が長手方向に所定間隔で設けられたキャリアテープを走行経路に沿って送り出すテープ送部と、
前記キャリアテープの前記電子回路部を前記走行経路上で打ち抜いて、前記キャリアテープから前記電子回路部を分離する打抜部と、
前記キャリアテープの前記電子回路部がすべて打ち抜かれると、前記キャリアテープの前記スプロケット孔を検出するスプロケット孔検出部と、
前記スプロケット孔検出部の検出に基づいて、前記キャリアテープの前記スプロケット孔に位置決めピンを挿入して、前記キャリアテープを把持するテープ把持部と、を備え、
前記走行経路において、前記スプロケット孔検出部が前記スプロケット孔を検出する位置と前記テープ把持部が前記キャリアテープを把持する位置との間の距離は、前記スプロケット孔検出部が前記スプロケット孔を検出する位置と前記打抜部が前記電子回路部を打ち抜く位置との間の距離よりも短い
ことを特徴とする電子回路部品打ち抜き装置。
【請求項2】
前記キャリアテープの前記電子回路部がすべて打ち抜かれたことを検出する打抜完了検出部を、さらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電子回路部品打ち抜き装置。
【請求項3】
前記位置決めピンが挿入された前記スプロケット孔に応じた箇所で、前記キャリアテープを切断する切断部を、さらに備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子回路部品打ち抜き装置。
【請求項4】
前記切断部に切断された前記キャリアテープの後尾側と、交換用のキャリアテープの先頭側とを連結する連結部を、さらに備える
ことを特徴とする請求項3に記載の電子回路部品打ち抜き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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