説明

電子情報端末及び領域設定制御プログラム

【課題】マルチタッチが可能なタッチパネルを用いて、簡単な動作で任意の形状の領域を設定することができる電子情報端末及び領域設定制御プログラムの提供。
【解決手段】表示部上に、2点以上のタッチ位置を検出可能なタッチパネルを備える電子情報端末において、複数のタッチ位置の内の、少なくとも1つのタッチ位置が移動した時に、前記複数のタッチ位置を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定し、設定した領域内に表示されている情報を消去、若しくは、設定した領域内に情報を付加して表示させる領域設定制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子情報端末及び領域設定制御プログラムに関し、特に、タッチパネルを備えた電子情報端末及びタッチパネル上の領域の設定を制御する領域設定制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末等の表示部にタッチパネルを備えた電子情報端末が普及している。この電子情報端末では、タッチパネル上に指をタッチさせたり、タッチパネル上で指をスライドさせたりすることにより、各種操作を行うことができる。特に、マルチタッチが可能なタッチパネルでは、2本の指を操作することによって、より複雑な操作を行うことができる。
【0003】
上記マルチタッチが可能なタッチパネルに関して、例えば、下記特許文献1には、タイピング、複数自由度の和音的操作、および手書きに関する手のコンフィギュレーションおよび行動の解釈を支援するために一連の近接値画像における手の接触部を追跡し識別する方法であって、各近接値画像を有意な近接値を示す電極のグループに分割するステップと、各グループは、手の識別可能な部分その他のタッチデバイスの近接値を表している、各電極グループから合計近接値、位置、形状、大きさ、および方向のパラメータを抽出するステップと、接触部がタッチダウンしリフトオフする経路終点の検出を含めて、連続する近接値画像を通るグループ経路を追跡するステップと、各経路に沿って速度ベクトルおよびフィルタ処理された位置ベクトルを計算するステップと、相対的な経路位置と速度、個々の接触部の特徴、および手と指位置の前の推定値を取り入れることによって、手と指アイデンティティを各接触部経路に割り当てるステップと、指に現在割り当てられている経路の軌跡から手と指位置の推定値を保持するステップと、を備える方法が開示されている。
【0004】
また、タッチパネルを用いて図形を描画する技術に関して、例えば、下記特許文献2には、互いに交差する行電極と列電極により構成されるタッチパネルと、前記タッチパネル上における指示手段による指示位置及び移動経路を検出する検出部と、前記タッチパネル上に表示された図形上において前記指示手段が指示した指示開始位置と前記指示開始位置から前記指示手段が移動した軌跡と前記指示手段が移動を終了させた指示終了位置とを前記検出手段が検出し、前記検出手段が検出した前記指示開始位置及び前記軌跡及び前記指示終了位置の情報に基づき、前記図形を変形させる制御部とを有するタッチパネルシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−501271号公報
【特許文献2】特開2011−022964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タッチパネル上で領域を設定する場合、1本の指を動かして始点と終点を対角とする矩形領域を設定したり、2本の指を動かして2本の指の終点の2点を対角とする矩形領域を設定したりする方法が用いられる。しかしながら、この方法で設定できるのは矩形領域であり、任意の形状の領域を設定することはできないため不便である。
【0007】
また、領域を設定する別の方法として、1本の指で閉曲線を描いて、その閉曲線で囲まれる領域を設定する方法もある。しかしながら、この方法では、マルチタッチの機能を生かすことができず、迅速且つ簡便に領域を設定することができないため不便である。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、マルチタッチが可能なタッチパネルを用いて、簡単な動作で任意の形状の領域を設定することができる電子情報端末及び領域設定制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、表示部上に、2点以上のタッチ位置を検出可能なタッチパネルを備える電子情報端末において、複数のタッチ位置の内の、少なくとも1つのタッチ位置が移動した時に、前記複数のタッチ位置を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定し、設定した領域内に表示されている情報を消去、若しくは、設定した領域内に情報を付加して表示させる領域設定制御部を備えるものである。
【0010】
また、本発明は、表示部上に、2点以上のタッチ位置を検出可能なタッチパネルを備える電子情報端末で動作する領域設定制御プログラムであって、前記電子情報端末を、複数のタッチ位置の内の、少なくとも1つのタッチ位置が移動した時に、前記複数のタッチ位置を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定し、設定した領域内に表示されている情報を消去、若しくは、設定した領域内に情報を付加して表示させる領域設定制御部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子情報端末及び領域設定制御プログラムによれば、マルチタッチが可能なタッチパネルを用いて、簡単な動作で任意の形状の領域を設定することができる。
【0012】
その理由は、電子情報端末(領域設定制御プログラム)は、タッチパネル上の複数の位置がタッチされ、少なくとも1つのタッチ位置が移動した時、複数のタッチ位置を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定し、設定した領域に対して、領域内の情報を消去したり、領域内に情報を付加したりする制御を行うからである。
【0013】
そして、この制御を図形の描画に適用することにより、簡単な操作で思い通りに図形を消去したり、図形を描画したりすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係る電子情報端末の外観を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係る電子情報端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る領域設定制御動作(領域内の情報を消去する動作)の一例を説明する図である。
【図4】本発明の一実施例に係る領域設定制御動作(領域内の情報を消去する動作)の他の例を説明する図である。
【図5】本発明の一実施例に係る領域設定制御動作(領域内の情報を消去する動作)の他の例を説明する図である。
【図6】本発明の一実施例に係る電子情報端末を用いた領域設定制御動作(領域内の情報を消去する動作)の手順を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の一実施例に係る領域設定制御動作(図形を描画する動作)の一例を説明する図である。
【図8】本発明の一実施例に係る領域設定制御動作(図形を描画する動作)の他の例を説明する図である。
【図9】本発明の一実施例に係る電子情報端末を用いた領域設定制御動作(図形を描画する動作)の手順を示すフローチャート図である。
【図10】本発明の一実施例に係る領域設定制御動作(移動速度に応じて濃淡を変化させる動作)の一例を説明する図である。
【図11】移動速度と濃度差との関係を示す図である。
【図12】本発明の一実施例に係る領域設定制御動作(停止時間に応じて滲ませる動作)の一例を説明する図である。
【図13】停止時間とニジミ量との関係を示す図である。
【図14】ニジミ量の時間変化を模式的に示す図である。
【図15】従来の領域設定制御動作の一例を説明する図である。
【図16】従来の領域設定制御動作の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
背景技術で示したように、タッチパネル上で領域を設定する場合、1本の指をスライドさせて始点と終点を対角とする矩形領域を設定する方法、又は、図15に示すように、2本の指をスライドさせて2本の指の終点の2点を対角とする矩形領域を設定する方法、又は、図16に示すように、1本の指で閉曲線を描き、その閉曲線で囲まれる領域を設定する方法が用いられる。しかしながら、矩形領域を設定する方法では、任意の形状の領域を設定することができず、閉曲線を描画する方法では、マルチタッチの機能を生かして迅速且つ簡便に領域を設定することができず、いずれの方法も不便であった。
【0016】
特に、タッチパネルを用いて図形を描画する場合、領域を設定する操作が重要になるため、上記問題が顕著に現れる。
【0017】
例えば、図形を部分的に消去する場合、任意の形状の領域を設定して、その領域内に描画された図形を消去することができれば便利であるが、図15及び図16に示すような従来の方法では、任意の形状の領域を迅速且つ簡便に設定することができない。そのため、図形を消去する場合は、消しゴムとして機能するペンを選択し、そのペンの太さを設定して、消去したい図形をなぞる方法が用いられるが、この方法では、その都度ペンの太さを設定しなければならず、また、広い範囲の図形を消去する場合は作業に時間を要する。
【0018】
また、領域を設定することによって、任意の形状の図形や任意の太さの線を描画することも可能であるが、図15及び図16に示すような従来の方法では、任意の形状の領域を迅速且つ簡便に設定することができない。そのため、図形を描画する場合は、その都度、所定の形状の図形を選択し、その図形のサイズを設定して描画しなければならず、不便である。また、線を描画する場合も、その都度、線を描画するペンを選択し、そのペンの太さを設定して描画しなければならず、不便である。
【0019】
そこで、本発明の一実施の形態では、マルチタッチが可能なタッチパネルを備える電子情報端末において、タッチパネル上の複数の位置がタッチされ、少なくとも1つのタッチ位置が移動した場合に、複数のタッチ位置を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定する。そして、設定した領域に対して、その領域内に表示されている情報を消去したり、その領域内に情報を付加して表示させたりする。
【0020】
これにより、マルチタッチが可能なタッチパネルを用いて簡単な動作で領域を設定し、設定した領域に対して情報の消去/付加を行うことができる。特に、上記手法を図形の描画に適用することにより、図形を部分的に消去したり、任意の形状の図形を描画したり、任意の形状の線を描画したりすることが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【実施例】
【0021】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る電子情報端末及び領域設定制御プログラムについて、図1乃至図14を参照して説明する。図1は、本実施例の電子情報端末の外観を模式的に示す斜視図であり、図2は、電子情報端末の構成を示すブロック図である。また、図3乃至図6は、領域内の情報を消去する場合の領域設定制御動作を示す模式図及びフローチャート図であり、図7乃至図9は、図形を描画する場合の領域設定制御動作を示す模式図及びフローチャート図である。また、図10及び図11は、移動速度に応じて濃淡を変化させる場合の領域設定制御動作を説明する図であり、図12乃至図14は、停止時間に応じて滲ませる場合の領域設定制御動作を説明する図である。
【0022】
なお、本発明の手法は、マルチタッチ機能を備えるタッチパネル上で領域を設定する動作全般に対して適用可能であるが、本実施例では、線や図形を消去したり描画したりする動作に対して適用する場合について説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施例の電子情報端末10は、ノート型のコンピュータ装置やモバイルフォン、タブレット端末等の表示機能を備えた装置である。この電子情報端末10は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、表示部13、操作部(タッチパネル)14、通信部15、電池16、領域設定制御部17などで構成される。
【0024】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムを実行し、各部の動作を制御する制御部として機能する。本実施例では、電子情報端末10は消去モードと描画モードの2つの動作モードを有し、制御部は、電子情報端末10の動作モードに応じて各部の動作を制御する。
【0025】
メモリ12は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などで構成され、CPU11で動作する各種プログラム、電子情報端末10の動作を制御するための設定情報、各種データ(後述する速度差と濃度差との関係を示すデータや停止時間とニジミ量との関係を示すデータ)などを記憶する。
【0026】
表示部13は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置、電子ペーパー(EPD:Electrophoretic Display)等からなり、描画した線や図形などを表示する。なお、電子ペーパーは、一対の透明なフィルム基板の内表面に透明導電性の電極が形成され、電極間に導電性を有する黒色トナーと電気絶縁性を有する白色トナーが封入され、電極間に電圧を印加すると黒色トナーが移動して白色トナーと入れ替わって色が変化する構造である。
【0027】
操作部14は、表示部13の前面又は背面に、透明電極が格子状に配置された静電容量方式のタッチパネル等であり、指などでタッチした部分に配置された透明電極から出力される信号をCPU11及び領域設定制御部17に送る。なお、本実施例のタッチパネルは、複数の透明電極から信号を同時に処理することができる(いわゆるマルチタッチ機能を備える)ものとする。
【0028】
通信部15は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、有線通信や無線通信によりネットワークに接続されたコンピュータ装置やサーバと交信し、データ送受信を行う。
【0029】
電池16は、電子情報端末10の各部を駆動するための電源を供給する二次電池などである。
【0030】
領域設定制御部17は、操作部14(タッチパネル)から出力される信号を処理し、複数の位置でタッチされ、少なくとも1つのタッチ位置を移動させる操作が行われた場合に、複数のタッチ位置を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定する。例えば、2つのタッチ位置を移動させる操作が行われた時は、操作開始時の2つのタッチ位置を繋ぐ線と、各々のタッチ位置の移動軌跡と、操作終了時の2つのタッチ位置を繋ぐ線と、によって囲まれる領域を指示された領域として設定する。また、一方のタッチ位置を固定し、他方のタッチ位置を移動させる操作が行われた時は、操作開始時の2つのタッチ位置を繋ぐ線と、他方のタッチ位置の移動軌跡と、操作終了時の2つのタッチ位置を繋ぐ線と、によって囲まれる領域を指示された領域として設定する。そして、設定した領域に対して、動作モードが消去モードの場合は、領域内に表示されている情報(図形や画像、文字等)を消去し、動作モードが描画モードの場合は、領域内に情報を付加する(領域の境界を示す枠を表示したり、領域内を塗りつぶしたりする)ことによって線や図形を描画する。この領域設定制御部17は、ハードウェアとして構成してもよいし、CPU11(制御部)を領域設定制御部17として機能させるプログラム(領域設定制御プログラム)として構成してもよい。
【0031】
なお、図2は、本実施例の電子情報端末10の一例であり、タッチパネル上の複数のタッチ位置に基づいて領域が設定可能であり、設定した領域に対して情報の消去や付加が可能な限りにおいて、その構成は適宜変更可能である。
【0032】
以下、本実施例の領域設定制御手法について、図面を参照して説明する。なお、本実施例の手法は3点以上をタッチした場合においても同様に適用することができるが、本実施例では、説明を簡単にするために2点をタッチした場合について説明する。
【0033】
まず、特定した領域内の情報を消去する場合の動作(消去モード時の動作)について、図3乃至図6を参照して説明する。
【0034】
図3は、表示部13にある図形が表示されている状態において、2つのタッチ位置を移動させる操作が行われた場合の制御を示している。まず、図3(a)に示すように、ユーザは2本の指をタッチパネル上に置き、各々の指をタッチパネル上で直線的に移動させる。このような動作を行った場合、領域設定制御部17は、2つのタッチ位置を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定(この場合は、操作始点時における2つのタッチ位置を繋ぐ線と、各々のタッチ位置の移動軌跡を示す2つの線と、操作終点時における2つのタッチ位置を繋ぐ線と、で囲まれる領域を指示された領域として設定)し、その領域内に描画されている図形を消去する制御を行う。
【0035】
ここで、領域内に描画されている図形を消去する方法としては、別の図形を上書きする方法と、描画されている図形そのものを消去する方法とがある。図3(b)は、別の図形を上書きする方法を示しており、例えば、設定した領域を一定の色(ここでは白色)で塗りつぶしした図形を上書きする。また、図3(c)は、図形そのものを消去する方法を示しており、元の図形から、設定した領域内の部分を消去する。具体的には、表示部13に描画された図形は点の集合であり、各々の点には座標が割り当てられており、設定した領域内の各点にも座標が割り当てられている。そこで、座標が一致する点のデータを順次消去することによって、領域内に描画された図形(図の破線で示した部分)のみを消去することができる。
【0036】
図4は、図3と同様に、表示部13にある図形が表示されている状態において、第1の指のタッチ位置を固定し、第2の指のタッチ位置を移動させる操作が行われた場合の制御を示している。図4(a)に示すように、ユーザは2本の指をタッチパネル上に置き、第2の指をタッチパネル上で自在に移動させる。このような動作を行った場合、領域設定制御部17は、2つのタッチ位置を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定(この場合は、操作始点時における2つのタッチ位置を結ぶ線と、第2の指のタッチ位置の移動軌跡を示す線と、操作終点時における2つのタッチ位置を結ぶ線と、で囲まれる領域を指示された領域として設定)し、その領域内に描画されている図形を消去する制御を行う。
【0037】
図5は、図4と同様に、第1の指のタッチ位置を固定し、第2の指のタッチ位置を移動させる操作が行われた場合の制御を示している。図5(a)に示すように、ユーザは2本の指をタッチパネル上に置き、第2の指をタッチパネル上で行き来するように移動させる。このように、第1の指のタッチ位置から見て、第2の指のタッチ位置が所定の方向(図の右方向)に移動し、所定の方向と逆の方向(図の左方向)に戻った後、再び所定の方向に移動した場合、領域の設定方法は2通りとなる。
【0038】
第1は、図5(b)に示すように、前述したように、操作始点時における2つのタッチ位置を結ぶ線と、第2の指のタッチ位置の移動軌跡を示す線と、操作終点時における2つのタッチ位置を結ぶ線と、で囲まれる領域を指示された領域として特定する方法である。第2は、図5(c)に示すように、各時刻の2つのタッチ位置を繋ぐ線分によって生成される領域を指示された領域として特定する方法であり、この場合は、図5(b)の領域に破線の領域が追加される。この2通りの領域の設定方法のいずれを採用するかは設定可能である。
【0039】
上記動作を、図6のフローチャート図を参照して詳細に説明する。
【0040】
まず、ユーザは、操作部14を操作して、電子情報端末10の動作モードを消去モードに設定する。そして、ユーザがタッチパネルにタッチすると、領域設定制御部17は、操作部(タッチパネル)14からの出力に基づいて、タッチパネル上のタッチ位置が1点であるかを判断する(S100)。1点の場合は、領域設定制御部17は、従来と同様に、そのタッチ位置の移動軌跡を検出し(S110)、移動軌跡を予め設定した線幅で描画することによってできる領域を消去領域として設定し、その領域内の図形を消去する(S120)。
【0041】
一方、タッチ位置が2点の場合は、領域設定制御部17は、各々のタッチ位置の移動軌跡を検出し(S130)、2点間の線分の移動軌跡に基づいて領域を設定し、その領域内の図形を消去する。
【0042】
このように、2点をタッチして移動させることにより、簡単な操作で迅速に領域を設定することができ、これにより、図形の任意の部分を消去することができる。
【0043】
次に、図形を描画する場合の動作(描画モード時の動作)について、図7乃至図9を参照して説明する。
【0044】
図7(a)に示すように、ユーザは各々の指をタッチパネル上に置き、各々の指をタッチパネル上で直線的に移動させる。このような動作を行った場合、領域設定制御部17は、図7(b)に示すように、2点間の線分の移動軌跡に基づいて領域を設定(この場合は、操作始点時における2つのタッチ位置を繋ぐ線と、各々のタッチ位置の移動軌跡を示す2つの線と、操作終点時における2つのタッチ位置を繋ぐ線と、で囲まれる領域を指示された領域として設定)し、設定した領域の境界を示す枠を描画したり、設定した領域内を予め定めた色で塗りつぶしたりして、図形を描画する制御を行う。
【0045】
また、図8(a)に示すように、ユーザは各々の指をタッチパネル上に置き、第1の指を固定し、第2の指をタッチパネル上で任意に移動させる。このような動作を行った場合、領域設定制御部17は、図8(b)に示すように、2点間の線分の移動軌跡に基づいて領域を設定(この場合は、操作始点時における2つのタッチ位置を繋ぐ線と、第2の指のタッチ位置の移動軌跡を示す線と、操作終点時における2つのタッチ位置を繋ぐ線と、で囲まれる領域を指示された領域として設定)し、設定した領域の境界を示す枠を描画したり、設定した領域内を予め定めた色で塗りつぶしたりして、図形を描画する制御を行う。
【0046】
上記動作を、図9のフローチャート図を参照して説明する。
【0047】
まず、ユーザは、操作部14を操作して、電子情報端末10の動作モードを描画モードに設定する。そして、ユーザがタッチパネルにタッチすると、領域設定制御部17は、操作部(タッチパネル)14からの出力に基づいて、タッチパネル上のタッチ位置が1点であるかを判断する(S200)。1点の場合は、領域設定制御部17は、従来と同様に、そのタッチ位置の移動軌跡を検出し(S210)、移動軌跡を予め設定した線幅、予め定めた色で塗りつぶして図形を描画する(S220)。
【0048】
一方、タッチ位置が2点の場合は、領域設定制御部17は、各々のタッチ位置の移動軌跡を検出し(S230)、2点間の線分の移動軌跡に基づいて領域を設定し、その領域の境界を示す枠を描画したり、その領域内を予め定めた色で塗りつぶしたりして、図形を描画する。
【0049】
このように、2点をタッチして移動させることにより、簡単な操作で迅速に領域を設定することができ、これにより、任意の形状の図形を描画することができる。
【0050】
図7乃至図9では、多角形や半円などの図形を描画する場合について記載したが、2本の指で線を描画することもできる。例えば、図10(a)に示すように、タッチパネル上に2本の指を置き、2本の指の間隔を変えながら曲線を描いた場合、2点間の線分の移動軌跡に基づいて領域を設定し、その領域の境界を示す枠を描画したり、その領域内を予め定めた色で塗りつぶしたりすることによって、線幅を自在に変化させた線を描画することができる。
【0051】
ここで、筆に墨を付けて曲線を描く場合、曲線の外側の領域は内側の領域に比べて移動速度が速くなるため、移動速度の差がある程度以上になると、外側の領域は墨がかすれて薄くなる。そこで、タッチパネル上に線を描く時に、筆で書いたような線を表現できるようにするために、図10(b)に示すように、タッチ位置の移動速度に応じて濃度を変化(移動速度が遅い部分は濃く、移動速度が速い部分は薄く)させることもできる。
【0052】
この場合、図11に示すような、タッチ位置の移動速度差と濃度差との関係を示すデータを、メモリ12などに記憶しておき、領域設定制御部17は、2本の指で線が描画された時、タッチ位置の移動速度差を取得し、図11の関係に基づいて色の濃度を設定することができる。
【0053】
また、筆で線を描く場合、止め位置で筆を停止させると、墨が広がってニジミが生じる。そこで、図12(a)のように2本の指で線を描画した時は、図12(b)に示すように、止め位置の停止時間に応じてニジミの大きさを変化させ、筆で書いたような線を表現することもできる。
【0054】
図13は、停止時間とニジミ量の関係を示したデータであり、図14はこの関係を模式的に表した図である。2本の指で線を描画した時は、図13の関係に基づいてニジミ量を変化させることによって、より筆に近い線を描画することができる。
【0055】
以上、説明したように、電子情報端末(領域設定制御プログラム)は、タッチパネル上の複数点がタッチされ、少なくとも1つのタッチ位置を移動させる操作が行われた時、複数点を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定し、設定した領域に対して、領域内に表示されている情報を消去したり、領域内に情報を付加して表示させたりする制御を行うため、簡単な操作で思い通りに図形を消去したり、図形を描画したり、線を引いたりすることが可能になる。
【0056】
なお、本発明は上記実施例の記載に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成及び制御は適宜変更可能である。
【0057】
例えば、上記実施例では、タッチパネル上の2点をタッチする場合の制御について記載したが、3点以上をタッチする場合においても、同様に適用することができる。例えば、3点以上をタッチした場合は、各々の2点のタッチ位置を繋ぐ線分、若しくは、3点以上のタッチ位置を繋いでできる領域の移動軌跡に基づいて領域を設定することができる。
【0058】
また、上記実施例では、図形を消去したり描画したりする場合の制御について記載したが、ドキュメントが表示されている状態において、所定の領域に表示されている文字を消去したり、所定の領域に文字を追加して表示させたりする場合においても、同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、タッチパネルを設けた表示部を備える装置、及び当該装置で動作するプログラムに利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 電子情報端末
11 CPU
12 メモリ
13 表示部
14 操作部
15 通信部
16 電池
17 領域設定制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部上に、2点以上のタッチ位置を検出可能なタッチパネルを備える電子情報端末において、
複数のタッチ位置の内の、少なくとも1つのタッチ位置が移動した時に、前記複数のタッチ位置を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定し、設定した領域内に表示されている情報を消去、若しくは、設定した領域内に情報を付加して表示させる領域設定制御部を備える、ことを特徴とする電子情報端末。
【請求項2】
前記電子情報端末は、図形を消去する消去モードと図形を描画する描画モードとが選択可能であり、
前記領域設定制御部は、前記電子情報端末の動作モードが前記消去モードに設定されている場合は、前記設定した領域を予め定めた色で塗りつぶした図形を上書きするか、若しくは、前記設定した領域内に表示されている図形を消去する、ことを特徴とする請求項1に記載の電子情報端末。
【請求項3】
前記電子情報端末は、図形を消去する消去モードと図形を描画する描画モードとが選択可能であり、
前記領域設定制御部は、前記電子情報端末の動作モードが前記描画モードに設定されている場合は、前記設定した領域の境界を示す枠を描画するか、若しくは、前記設定した領域内を予め設定した色で塗りつぶす、ことを特徴とする請求項1に記載の電子情報端末。
【請求項4】
前記領域設定制御部は、曲線が描画された時は、当該曲線の内側と外側の前記タッチ位置の移動速度の差に応じて、塗りつぶす色の濃度を変化させる、ことを特徴とする請求項3に記載の電子情報端末。
【請求項5】
前記領域設定制御部は、前記複数のタッチ位置が停止した時は、停止時間に応じて、停止位置近傍の前記領域を拡張する、ことを特徴とする請求項3に記載の電子情報端末。
【請求項6】
前記領域設定制御部は、前記停止時間に応じて、前記拡張した領域の大きさ及び/又は色の濃度を変化させる、ことを特徴とする請求項5に記載の電子情報端末。
【請求項7】
表示部上に、2点以上のタッチ位置を検出可能なタッチパネルを備える電子情報端末で動作する領域設定制御プログラムであって、
前記電子情報端末を、
複数のタッチ位置の内の、少なくとも1つのタッチ位置が移動した時に、前記複数のタッチ位置を繋ぐ線分の移動軌跡に基づいて領域を設定し、設定した領域内に表示されている情報を消去、若しくは、設定した領域内に情報を付加して表示させる領域設定制御部、として機能させる、ことを特徴とする領域設定制御プログラム。
【請求項8】
前記電子情報端末は、図形を消去する消去モードと図形を描画する描画モードとが選択可能であり、
前記領域設定制御部は、前記電子情報端末の動作モードが前記消去モードに設定されている場合は、前記設定した領域を予め定めた色で塗りつぶした図形を上書きするか、若しくは、前記設定した領域内に表示されている図形を消去する、ことを特徴とする請求項7に記載の領域設定制御プログラム。
【請求項9】
前記電子情報端末は、図形を消去する消去モードと図形を描画する描画モードとが選択可能であり、
前記領域設定制御部は、前記電子情報端末の動作モードが前記描画モードに設定されている場合は、前記設定した領域の境界を示す枠を描画するか、若しくは、前記設定した領域内を予め設定した色で塗りつぶす、ことを特徴とする請求項7に記載の領域設定制御プログラム。
【請求項10】
前記領域設定制御部は、曲線が描画された時は、当該曲線の内側と外側の前記タッチ位置の移動速度の差に応じて、塗りつぶす色の濃度を変化させる、ことを特徴とする請求項9に記載の領域設定制御プログラム。
【請求項11】
前記領域設定制御部は、前記複数のタッチ位置が停止した時は、停止時間に応じて、停止位置近傍の前記領域を拡張する、ことを特徴とする請求項9に記載の領域設定制御プログラム。
【請求項12】
前記領域設定制御部は、前記停止時間に応じて、前記拡張した領域の大きさ及び/又は色の濃度を変化させる、ことを特徴とする請求項11に記載の領域設定制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−45362(P2013−45362A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184034(P2011−184034)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】