説明

電子棚札及び電子棚札システム

【課題】電子棚札に表示される商品情報を視認しやすくすることが可能な技術を提案する。
【解決手段】電子棚札5は、ディスプレイ51と、通常画面、商品上側画面SC2及び商品下側画面を切り替えて、それらのうちの一つをディスプレイ51に表示させる制御部57とを備えている。通常画面では、電子棚札5に対応する商品6が当該電子棚札5に対してどの方向に位置しているかを示す商品方向情報51eは表示されずに、当該電子棚札5が対応する商品6に係る売価51aや商品名51bなどの商品情報が表示される。商品上側画面SC2及び商品下側画面のそれぞれでは、通常画面での商品情報と、商品方向情報51eとが表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に対応して配置され、当該商品に係る情報を表示する電子棚札と、当該電子棚札を備える電子棚札システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗では、POSシステム等に記憶される商品マスタによって、店舗内の商品の売価が一元的に管理されている。その一方で、顧客(消費者)への売価の伝達は、商品の位置に配置される紙媒体の棚札によりなされることが多い。このような紙媒体の棚札を採用した場合においては、棚札の管理は人手に頼らざるを得ないことから、売価の間違いなどの人為的ミスが生じやすい。このため、POSシステムのレジスタによる精算時の売価とは異なる誤った売価が、顧客に対して伝達されるおそれがある。
【0003】
このような問題を解決するため、特許文献1にも記載されているように、近年、電子棚札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)が実用化されている。店舗に導入される電子棚札システムにおいては、売価などの商品に係る商品情報を表示する可搬性の電子棚札が、各商品に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価の情報を含む通信信号が、情報を配信する情報配信装置から各電子棚札に送信され、その売価が各電子棚札に表示される。これにより、電子棚札において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−258572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1の技術では、電子棚札のディスプレイにおいて、複数のセグメントが上下方向に一列に並べられ、オンとなるセグメントが下側に移動するようなアニメーション表示が行われている。これにより、当該電子棚札が下側の商品に対応することを示している。特許文献1の技術では、オンとなるセグメントが下側に移動するようなアニメーション表示を行う複数のセグメントが売価表示部の横に設けられているため、売価が視認しにくくなる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は上記の点に鑑みて成されたものであり、電子棚札に表示される商品情報を視認しやすくすることが可能な技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品情報を表示する電子棚札であって、表示部と、第1及び第2表示画面を切り替えて当該第1及び第2表示画面の一つを前記表示部に表示させる表示制御部とを備え、前記第1表示画面では、前記電子棚札に対応する商品が当該電子棚札に対してどの方向に位置しているかを示す商品方向情報は表示されずに、前記電子棚札が対応する商品に係る商品情報が表示され、前記第2表示画面では、前記第1表示画面での前記商品情報と、前記商品方向情報とが表示される。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の電子棚札であって、前記第2表示画面では、前記第1表示画面での前記商品情報が縮小して表示されるとともに、前記商品情報と前記商品方向情報とが並べて表示される。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の電子棚札であって、前記第2表示画面では、前記商品情報と前記商品方向情報とが重ねて表示される。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の電子棚札であって、前記第2表示画面では、前記商品情報に含まれる売価が通常価格である場合と、前記商品情報に含まれる売価が特売価格である場合とでは、前記商品方向情報が異なった態様で示される。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の電子棚札であって、前記表示制御部は、可搬性の表示切り替え装置から特定の信号が前記電子棚札に入力されると、前記表示部での表示画面を切り替える。
【0012】
また、請求項6の発明は、電子棚札システムであって、請求項5に記載の電子棚札と、前記表示切り替え装置とを備える。
【0013】
また、請求項7の発明は、電子棚札システムであって、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の電子棚札と、前記電子棚札に前記商品情報及び前記商品方向情報を配信する情報配信装置とを備える。
【発明の効果】
【0014】
請求項1乃至請求項7の発明によれば、電子棚札では、商品情報が表示される第1表示画面と、当該第1表示画面での商品情報と商品方向情報とが表示される第2表示画面とが切り替えて表示されるため、必要があるときにだけ商品方向情報を表示することができる。よって、商品方向情報の表示が必要でない場合には、その表示を削除して、商品情報を視認しやすくすることができる。
【0015】
特に、請求項2の発明によれば、第2表示画面では、第1表示画面での商品情報が縮小して表示されるため、第1表示画面で商品情報を大きく表示した場合であっても、第2表示画面において商品方向情報を表示するスペースを確保することができる。よって、第1表示画面において商品情報を大きく表示しつつ、第2表示画面において商品情報と商品方向情報とを並べて表示することができる。
【0016】
特に、請求項3の発明によれば、第2表示画面では、商品情報と商品方向情報とが重ねて表示されるため、第2表示画面において、第1表示画面での商品情報と商品方向情報の両方を大きく表示することができる。よって、第2表示画面において、商品方向情報を大きく表示する場合であっても、商品情報が視認しにくくなることを抑制できる。
【0017】
特に、請求項4の発明によれば、第2表示画面では、表示される売価が通常価格である場合と特売価格である場合とでは、商品方向情報が異なった態様で示されるため、商品方向情報を見ただけで、それと一緒に表示されている売価が通常価格であるのか特売価格であるのかを識別することができる。
【0018】
特に、請求項5,6の発明によれば、可搬性の表示切り替え装置を使用して電子棚札の表示画面を切り替えることができるため、作業者は、商品が配置される環境を実際に確認しながら商品方向情報の表示が必要か否かを判断して表示画面を切り替えることができる。よって、作業効率が飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子棚札システムが備える電子棚札が配置された様子を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る電子棚札システムを含む商品管理システムの構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るESLサーバの構成を示す図である。
【図4】商品ファイルの例を示す図である。
【図5】リンクファイルの例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る電子棚札の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る電子棚札が商品上側画面を表示している様子を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る電子棚札が商品下側画面を表示している様子を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る電子棚札が通常画面を表示している様子を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る電子棚札が商品上側画面を表示している様子を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る電子棚札が商品下側画面を表示している様子を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る電子棚札の配置例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る電子棚札が商品上側画面の変形例を表示している様子を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る電子棚札が商品上側画面の変形例を表示している様子を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る電子棚札が商品下側画面の変形例を表示している様子を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る電子棚札が商品上側画面の変形例を表示している様子を示す図である。
【図17】リンクファイルの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<電子棚札の概要>
図1は、本発明の実施の形態に係る電子棚札システム1が備える電子棚札5が、店舗の商品棚60に配置された様子を示す図である。本電子棚札システム1においては、売価などの商品6に係る商品情報を表示する可搬性の電子棚札5が、各商品6に対応して配置される。そして、商品マスタに基づく売価を示す情報を含む通信信号が情報配信装置から各電子棚札5に送信され、その売価が各電子棚札5に表示される。これにより、電子棚札5において精算時の売価と一致する正しい売価が表示され、正しい売価が顧客に伝達されるようになっている。
【0021】
図1に示されるように、商品棚60はフェース61と呼ばれる空間に区分され、各フェース61には同一種の商品6が集約されて載置される。商品棚60のフレーム62には、各フェース61に対応する位置にそれぞれ電子棚札5が取り付けられている。すなわち、電子棚札5はそれぞれ一の商品6(正確には、一の商品の種類)に対応づけられ、その対応する商品6の近傍(一般的には、商品6の下側)のフレーム62に配置される。各電子棚札5はそれぞれディスプレイを備えており、ディスプレイには対応する商品6の売価が表示される。店舗の顧客(消費者)は、このような電子棚札5の表示により商品6の売価を認識する。
【0022】
電子棚札5は可搬性の装置であり、商品6の配置変更に対応できるように、フレーム62から取り外して別の位置に再配置することも可能とされている。本実施の形態においては、図1に示すような商品棚60が店舗内の販売スペースに複数配置されている。
【0023】
<商品管理システムの構成>
図2は、店舗に適用される、電子棚札システム1を含む商品管理システム100の構成例を示す図である。図2に示されるように、商品管理システム100は、電子棚札システム1とともに、ストアコントローラ2及びPOSシステム3を備えている。POSシステム3が備えるPOSサーバ31と電子棚札システム1が備えるESLサーバ10は、LAN21を介してストアコントローラ2に接続されている。これにより、ストアコントローラ2、POSシステム3及び電子棚札システム1の相互間でデータ通信が可能とされている。
【0024】
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、商品管理システム100を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、店舗を統括管理する本部センターに配置されたサーバ装置等のコンピュータと通信可能とされている。
【0025】
POSシステム3は、商品6の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31とともに、商品6の精算を行う複数のレジスタ32を備えている。POSサーバ31とレジスタ32とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【0026】
POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、売価などの商品6に係る各種の情報を示す商品マスタ301が記憶されている。複数のレジスタ32のそれぞれにおいては、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品6の精算がなされる。
【0027】
店舗内の全商品6に係る情報は、この商品マスタ301により一元的に管理されている。商品マスタ301に記載される情報には、商品6を識別するための商品コード、商品6の名称である商品名、通常の売価である通常価格、特売における売価である特売価格、特売を実施する期間である特売期間、販売数、在庫数、所定量当りの単価などが含まれている。
【0028】
電子棚札システム1は、上述した複数の電子棚札5と、電子棚札5に表示すべき商品6の売価などを配信する情報配信装置40と、電子棚札5の表示画面を切り換える際に使用される可搬性のリモコン160とを備えている。
【0029】
情報配信装置40は、電子棚札システム1を統括的に管理するサーバ装置であるESLサーバ10と、複数の通信装置4と、ESLサーバ10と複数の通信装置4との間の信号の中継器として機能するベースステーション41とを備えている。ESLサーバ10と複数の通信装置4とは、ベースステーション41を通じて相互にデータ通信が可能とされている。各通信装置4は電子棚札5と赤外線通信を行う。複数の通信装置4は、販売スペース90内に配置された全ての電子棚札5と通信可能なように、販売スペース90の天井などに略一定距離ごとに配置される。
【0030】
ESLサーバ10のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。図3はESLサーバ10の構成を示す図である。ESLサーバ10は、各種演算処理を行うCPU11、ブートプログラム等を記憶するROM12、演算処理の作業領域となるRAM13、プログラムや各種のデータファイルなどを記憶するハードディスク14、各種表示を行うディスプレイ15、キーボード及びマウスなどで構成される入力部16、LAN21を介したデータ通信機能を有するデータ通信部17、並びに、ベースステーション41と通信するためのインターフェイス18を備えている。電子棚札5に送信すべき売価を示す信号はインターフェイス18及びベースステーション41を通じて通信装置4に伝達される。
【0031】
ESLサーバ10のハードディスク14には、動作プログラムが予め記憶されており、この動作プログラムに従ってCPU11が演算処理を行うことにより、ESLサーバ10としての各種機能が実現される。また、ESLサーバ10のハードディスク14には、商品ファイル101及びリンクファイル102が記憶されている。
【0032】
商品ファイル101は、商品6に係る各種の情報を示すデータファイルである。図4は商品ファイル101の例を示す図である。図4に示されるように、商品ファイル101はテーブル形式となっており、複数のレコード101aのそれぞれが一の商品6に係る情報を示している。具体的には、各レコード101aごとに、商品コード、商品名、通常価格、特売価格、特売期間、販売数、在庫数及び所定量当りの単価などが登録されている。これらの情報は、上述したPOSシステム3に記憶された商品マスタ301と同様の情報であり、ESLサーバ10とPOSシステム3との通信により商品マスタ301の情報に基づいて登録される。このため、商品ファイル101の情報と商品マスタ301の情報とは内容が一致する。
【0033】
リンクファイル102は、電子棚札5と商品6とをデータ的に対応付けるデータファイルである。図5はリンクファイル102の例を示す図である。図5に示されるように、リンクファイル102はテーブル形式となっており、各レコード102aが商品コードと装置コードとを対応付けるリンク情報となる。ここで、装置コードとは、電子棚札システム1が備える複数の電子棚札5のそれぞれに固有のハードウェアID(ハード識別情報)である。このようなリンクファイル102によって、電子棚札5と商品6とがデータ的に対応付けられる。そして、リンクファイル102中の装置コードが利用されることにより、ある商品6の商品情報が、その商品6に対応する電子棚札5に対して送信されるようになっている。
【0034】
以上の構成を有するESLサーバ10は、各電子棚札5に送信する送信データをCPU11で生成し、当該送信データをインターフェイス18及びベースステーション41を通じて各通信装置4に出力する。各通信装置4は、入力された送信データを含む通信信号を、自身が通信可能な各電子棚札5に出力する。具体的には、各通信装置4は、入力された送信データで変調した赤外線信号を送信する。これにより、販売スペース90に配置された各電子棚札5に対して同一の送信データが情報配信装置40から入力される。ESLサーバ10から送信される送信データには、商品ファイル101中の通常価格や特売価格などの商品情報や、装置コードなどが含まれている。
【0035】
次に電子棚札5の構成について詳細に説明する。図6は電子棚札5の構成を示す図である。図6に示されるように、電子棚札5の前面には、商品情報を表示するディスプレイ51と、情報配信装置40との通信を担う通信部54とが配置されている。また、電子棚札5の裏面には、自装置の装置コードを示す文字列とバーコードが印刷されたラベルが貼付されている。
【0036】
通信部54は、赤外線信号を出力する発光部52と、通信装置4からの赤外線信号及びリモコン160からの赤外線信号を受信し、それを電気信号に変換して後述の制御部57に出力する受光部53とを備えている。
【0037】
ディスプレイ51は、ドットマトリクス方式の不揮発性表示部であって、例えば電子ペーパで構成されている。電子ペーパ等の不揮発性表示部では、駆動電力を与えることなく表示内容を保持することができる。また、ディスプレイ51は、ドットマトリクス方式の表示部であるため、商品6の売価などを示す数値のみならず、文字、記号、図形などを表示することができる。電子棚札5のディスプレイ51には、自装置が対応付けられている商品6の売価51a、商品名51b及び100g当りの単価51cが表示される。さらにディスプレイ51には、自装置が対応付けられている商品6の商品コード51dが数字で表示される。図6に示される売価51aは通常価格を示しており、図6に示される単価51cは、通常価格についての100g当りの単価を示している。なお、電子棚札5の前面には、自装置が対応付けられている商品6の商品コードを示すバーコードが印刷されたラベルが、ディスプレイ51を避けて貼付されることもある。
【0038】
電子棚札5の内部には、当該電子棚札5の電源を供給する小型の電池56と、当該電子棚札5の動作を統括的に制御する制御部57とが設けられている。制御部57は、CPUやメモリ57aなどで構成されている。メモリ57aには、ディスプレイ51に表示すべき売価や商品名などの各種情報や、自装置の装置コードが記憶される。通信装置4から出力された赤外線信号に含まれる売価などの情報は、通信部54で受信されて、その後、制御部57に入力される。制御部57は、入力された当該情報を一旦メモリ57aに記憶する。そして、制御部57は、ディスプレイ51を制御して、メモリ57a内の各種情報をディスプレイ51に表示させる。このように、制御部57は、ディスプレイ51の表示を制御する表示制御部として機能する。
【0039】
本実施の形態では、リモコン160を利用して電子棚札5の表示画面を切り換えることができる。リモコン160には、図示しない操作ボタンと赤外線通信部とが設けられている。リモコン160は、操作ボタンが押下されるたびに赤外線信号を赤外線通信部から出力するように構成されている。電子棚札5では、受光部53がリモコン160からの赤外線信号を受信するたびに、制御部57がディスプレイ51を制御して、その表示画面を切り替える。
【0040】
本実施の形態に係る電子棚札5は、例えば、通常画面SC1と、商品上側画面SC2と、商品下側画面SC3とを切り替えて、そのうちの一つを表示することができる。商品上側画面SC2は、それを表示する電子棚札5に対応する商品6が、当該電子棚札5に対して上側に位置している場合に表示され、商品下側画面SC3は、それを表示する電子棚札5に対応する商品6が、当該電子棚札5に対して下側に位置している場合に表示される。商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3のそれぞれでは、それを表示する電子棚札5に対応する商品6が、当該電子棚札5に対してどの方向に位置しているかを示す商品方向情報51eが表示され、通常画面SC1では、その商品方向情報51eは表示されない。上述の図6の電子棚札5には通常画面SC1が表示されている。通常画面SC1では、商品方向情報51eは表示されないが、売価51a、商品名51b、100g当りの単価51c、商品コード51dなどの他の商品情報が表示される。
【0041】
図7は電子棚札5が商品上側画面SC2を表示している様子を示す図である。図7に示されるように、商品上側画面SC2では、通常画面SC1に表示されていた商品情報が縮小して表示されるとともに、当該商品情報に対して横に並んで商品方向情報51eが表示される。図7の例では、商品方向情報51eは、上方向を示す矢印(上矢印)であって、当該商品方向情報51eを表示する電子棚札5に対応する商品6が当該電子棚札5に対して上側に位置していることを示している。本実施の形態に係る商品上側画面SC2では、通常画面SC1に表示されていた画像が全体的に横方向に縮小されて表示され、その横方向の縮小により生じた空きの表示領域に商品方向情報51eが表示されている。
【0042】
図8は電子棚札5が商品下側画面SC3を表示している様子を示す図である。図8に示されるように、商品下側画面SC3では、商品上側画面SC2と同様に、通常画面SC1に表示されていた商品情報が縮小して表示されるとともに、当該商品情報に対して横に並んで商品方向情報51eが表示される。図8に示される商品方向情報51eは、下方向を示す矢印(下矢印)であって、当該商品方向情報51eを表示する電子棚札5に対応する商品6が当該電子棚札5に対して下側に位置していることを示している。
【0043】
なお、図6〜8では、電子棚札5に通常価格が売価51aとして表示されていたが、特売価格が売価51aとして表示されることもある。図9〜11は、通常画面SC1、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3に特売価格が表示される様子をそれぞれ示す図である。図9〜11に示される電子棚札5のディスプレイ51には、売価51aとして特売価格が表示されるとともに、通常価格51fが売価51aよりも小さく表示されている。
【0044】
<電子棚札システムの動作>
次に、電子棚札5に売価が表示されるまでの電子棚札システム1の動作について説明する。本電子棚札システム1において、情報配信装置40から電子棚札5への売価の配信は、システム起動時、及び電子棚札5に表示させる売価を更新する際などに行われる。ここで売価を更新する際とは、商品マスタ301の通常価格が変更されたときや、特売の実施にあたって売価を通常価格から特売価格に変更するときなどが該当する。システム起動時には、店舗内の全ての商品6に関して売価の配信がなされる。一方、売価を更新する際には、対象となる商品6のみに関して売価の配信がなされる。これにより、電子棚札5に表示される売価と、レジスタ32による精算時の売価とが常時に一致されることになる。以下では、一の商品6に関しての売価の配信に係る動作について説明する。以下の説明において、売価の配信の対象となる商品6を「対象商品6」という。
【0045】
まず、ESLサーバ10のCPU11において、商品ファイル101のうちの対象商品6に係るレコード101aが参照され、売価(通常価格あるいは特売価格)、商品コード及び商品名などの商品情報が取得される。次に、ESLサーバ10において、リンクファイル102が参照されて、対象商品6の商品コードに対応付けられた装置コードが取得される。ここで取得された装置コードは、対象商品6に対応する電子棚札5の装置コードであり、また、取得された商品情報はその電子棚札5が表示すべき商品情報となる。これらの商品情報及び装置コードは、ESLサーバ10から電気的な信号としてベースステーション41を介して通信装置4に送信される。
【0046】
ここで、ESLサーバ10から通信装置4に対して商品情報及び装置コードが送信される際には、CPU11は、対象商品6に対応する電子棚札5が表示する通常画面SC1全体の画像を示す画像データを生成する。さらに、CPU11は、対象商品6に対応する電子棚札5が表示する商品上側画面SC2全体の画像を示す画像データと、当該電子棚札5が表示する商品下側画面SC3全体の画像を示す画像データとを生成する。そして、CPU11は、生成した3種類の画像データと装置コードとを含む送信データをベースステーション41を通じて通信装置4に送信することによって、商品ファイル101から取得した商品情報と、リンクファイル102から取得した装置コードとを通信装置4に入力する。その後、通信装置4は、ESLサーバ10からの送信データで変調した赤外線信号を出力する。
【0047】
このように、本実施の形態では、電子棚札5に配信する商品情報が、当該電子棚札5に表示される画像についての画像データとして、情報配信装置40から当該電子棚札5に送信される。したがって、電子棚札5では、自身が表示する画像の画像データを生成する必要がない。よって、電子棚札5の回路構成を簡素化でき、店舗において大量に使用される電子棚札5のコストダウンを図ることができる。
【0048】
通信装置4から出力された赤外線信号は、電子棚札5の通信部54において受信されて電気信号に変換される。制御部57は、通信部54で得られた電気信号に対して復調処理を行って、ESLサーバ10からの送信データを取得する。
【0049】
次に、制御部57は、得られた送信データ中の装置コードが、メモリ57a内に予め記憶された自装置の装置コードと一致するか否かを判定する。制御部57は、取得した装置コードが自装置のものと一致しない場合は、受信した赤外線信号は他の電子棚札5のための信号と判断し、処理を終了する。一方で、制御部57は、取得した装置コードが自装置のものと一致した場合は、受信した赤外線信号は自装置のための信号と判断し、得られた送信データに含まれる、通常画面SC1、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3の画像データをメモリ57aに記憶する。
【0050】
制御部57は、メモリ57a内に記憶されている複数種類の画像データのうち、通常画面SC1についての画像データを読み出し、それに基づいてディスプレイ51を制御する。これにより、ディスプレイ51には、ESLサーバ10からの商品情報を示す、図6のような通常画面SC1が表示される。
【0051】
制御部57は、ディスプレイ51にESLサーバ10からの商品情報を表示すると、ESLサーバ10からの送信データを正常に受け取った旨を示す情報(以後、「ACK情報」と呼ぶ)を含む赤外線信号を発光部52に出力させる。この赤外線信号は通信装置4で受信されて、当該赤外線信号に含まれるACK情報がESLサーバ10に伝達される。ESLサーバ10は、電子棚札5からACK情報を含む赤外線信号が出力されない場合は、配信した商品情報が電子棚札5で正常に受信されなかったと判断して、当該赤外線信号が返答されるまで商品情報を繰り返し配信する。これにより、電子棚札5の表示を確実に更新でき、システムの信頼性を大幅に向上できる。
【0052】
以後、同様にして、電子棚札5が表示する対象の売価が更新されるたびに、更新後の売価を示す通常画面SC1、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3についての画像データが、当該電子棚札5に対してESLサーバ10から送信される。なお、電子棚札5が表示する対象の売価が通常価格から特売価格に変更される際には、特売価格を示す、図9〜11のような通常画面SC1、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3についての画像データが、当該電子棚札5に対してESLサーバ10から送信される。
【0053】
通常画面SC1を表示している電子棚札5では、通信部54がリモコン160からの赤外線信号を受信すると、制御部57は、メモリ57aから商品上側画面SC2の画像データを読み出し、それに基づいてディスプレイ51を制御する。これにより、ディスプレイ51には、図7のような商品上側画面SC2が表示されるようになる。
【0054】
商品上側画面SC2を表示している電子棚札5では、通信部54がリモコン160からの赤外線信号を受信すると、制御部57は、メモリ57aから商品下側画面SC3の画像データを読み出し、それに基づいてディスプレイ51を制御する。これにより、ディスプレイ51には、図8のような商品下側画面SC3が表示されるようになる。
【0055】
そして、商品下側画面SC3を表示している電子棚札5では、通信部54がリモコン160からの赤外線信号を受信すると、制御部57は、メモリ57aから通常画面SC1の画像データを読み出し、それに基づいてディスプレイ51を制御する。これにより、ディスプレイ51には通常画面SC1が表示されるようになる。
【0056】
このように、電子棚札5では、リモコン160からの赤外線信号が受信されるたびに表示画面が切り替えられ、通常画面SC1、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3が繰り返して表示される。
【0057】
ここで、一般的に、商品の売価を示す棚札は、その商品の下側に配置されることが多い。したがって、店舗の販売スペース90に配置されるすべての商品棚60について、図1に示されるように、各電子棚札5が対応する商品6の下側に配置されているのであれば、電子棚札5が表示する商品情報が、どの商品6についての情報なのかを、商品6を購入する顧客に対して積極的に通知する必要性は乏しい。
【0058】
しかしながら、販売スペース90に配置される複数の商品棚60の形状は一様ではなく、また複数の商品棚60のそれぞれに配置される商品6の数や種類も一様ではないことから、ある商品棚60については、各電子棚札5が、対応する商品6の下側に配置されるものの、別の商品棚60については、各電子棚札5が、対応する商品6の上側に配置されることがある。また、一つの商品棚60においても、対応する商品6の下側に位置するように取り付けられた電子棚札5と、対応する商品6の上側に位置するように取り付けられた電子棚札5とが混在することがある。このような場合には、電子棚札5に表示される商品情報を見た顧客は、その商品情報がどの商品6についての情報かが特定しにくい場合がある。
【0059】
本実施の形態に係る電子棚札5では、商品方向情報51eが表示されない通常画面SC1と、対応する商品6が上側に位置することを示す商品方向情報51eが表示される商品上側画面SC2と、対応する商品6が下側に位置することを示す商品方向情報51eが表示される商品下側画面SC3とを切り替えて表示することができることから、電子棚札5が配置される環境に応じて、適切な表示画面を電子棚札5に表示することができる。
【0060】
例えば、図1に示されるように、ある商品棚60に取り付けられる複数の電子棚札5のそれぞれが、対応する商品6の下側に位置する場合には、当該複数の電子棚札5に通常画面SC1を表示させる。また、別の商品棚60に取り付けれる複数の電子棚札5のそれぞれが、対応する商品6の上側に位置するのであれば、当該複数の電子棚札5に商品下側画面SC3を表示させる。そして、ある商品棚60に取り付けられ複数の電子棚札5において、対応する商品6の下側に位置する電子棚札5と、対応する商品6の上側に位置する電子棚札5とが混在する場合には、図12に示されるように、対応する商品6の下側に位置する電子棚札5には商品上側画面SC2を表示させ、対応する商品6の上側に位置する電子棚札5には商品下側画面SC3を表示させる。
【0061】
このように、本実施の形態に係る電子棚札5では、売価51aなどの商品情報が表示されるものの商品方向情報51eは表示されない通常画面SC1と、通常画面SC1が表示する商品情報と商品方向情報51eとが表示される商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3とを切り替えて表示できるため、必要があるときにだけ商品方向情報51eを表示することができる。よって、商品方向情報51eの表示が必要でない場合には、その表示を削除して、売価51aや商品名51bなどの商品情報を視認しやすくすることができる。
【0062】
また、本実施の形態に係る商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3では、通常画面SC1での商品情報が縮小して表示されるため、通常画面SC1において商品情報を大きく表示する場合であっても、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3において商品方向情報51eを表示するスペースを確保することができる。よって、通常画面SC1において商品情報を大きく表示しつつ、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3において商品情報と商品方向情報51eとを並べて表示することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、可搬性の表示切り替え装置であるリモコン160を使用して電子棚札5の表示画面を切り替えることができるため、作業者(店舗の従業員)は、販売スペース90において、商品6が配置される環境を実際に確認しながら商品方向情報51eの表示が必要か否かを判断して電子棚札5の表示画面を切り替えることができる。よって、作業効率が飛躍的に向上する。
【0064】
なお、図7,8,10,11に示される商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3では、通常画面SC1が表示する商品情報を縮小して表示し、その横に商品方向情報51eを表示していたが、通常画面SC1が表示する商品情報と商品方向情報51eとを重ねて表示しても良い。図13は、商品上側画面SC2において、通常画面SC1が表示する商品情報と、商品方向情報51eとを重ねて表示した様子を示す図である。図13に示される例では、通常画面SC1が表示する売価51aの背景に、上矢印が商品方向情報51eとして表示されている。電子棚札5のディスプレイ51をカラー表示可能な表示器で構成し、通常画面SC1が表示する商品情報と、商品方向情報51eとを異なった色で表示することによって、商品方向情報51eとその他の商品情報とを重ねて表示したとしても、顧客は両者を区別して視認することができる。
【0065】
このように、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3において、通常画面SC1での商品情報と、商品方向情報51eとを重ねて表示することによって、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3において、通常画面SC1での商品情報と商品方向情報51eの両方を大きく表示することができる。よって、商品方向情報51eを大きく表示する場合であっても、通常画面SC1での商品情報が視認しにくくなることを抑制できる。
【0066】
また、上記の例では、商品方向情報51eを矢印で示していたが、他の図形や文字で示しても良い。図14,15は、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3において、商品方向情報51eが文字列で示されている様子をそれぞれ示す図である。図14に示されるように、商品上側画面SC2においては、例えば「対応商品は上側」といった文字列で商品方向情報51eを表示しても良い。また、図15に示されるように、商品下側画面SC3においては、例えば「対応商品は下側」といった文字列で商品方向情報51eを表示しても良い。
【0067】
また、上記の例は、商品6が、対応する電子棚札5の上側及び下側のいずれかに配置される場合を想定して説明したが、商品6が、それ以外の方向にも配置される可能性がある場合には、その方向を示す商品方向情報51eを表示する表示画面を電子棚札5が表示できるようにすればよい。例えば、商品6が、対応する電子棚札5の右側及び左側にも配置される可能性がある場合には、電子棚札5が、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3だけではなく、対応する商品6が当該電子棚札5に対して右側に位置することを示す商品方向情報51e(例えば「右矢印」)を表示する表示画面と、対応する商品6が当該電子棚札5に対して左側に位置することを示す商品方向情報51e(例えば「左矢印」)を表示する表示画面を、通常画面SC1から切り替えて表示できるようにすれば良い。
【0068】
また、上述の図7,10に示されるように、上述の商品上側画面SC2では、売価51aとして通常価格が表示される場合と特売価格が表示される場合とで、商品方向情報51eは同じ態様で表示されていたが、異なる態様で表示しても良い。例えば、商品上側画面SC2において、売価51aとして通常価格が表示される場合と特売価格が表示される場合とで、商品方向情報51eを異なる色で表示しても良いし、異なる大きさで表示しても良い。図16は、商品上側画面SC2において、売価51aとして特売価格が表示される場合に、商品方向情報51eが、図7に示される商品方向情報51eとは異なる色で表示される様子を示す図である。図16では、商品方向情報51eを示す矢印のハッチングを図7と相違させることによって、商品方向情報51eの表示色が、図7とは異なっていることを示している。なお、商品下側画面SC3においても、売価51aとして通常価格が表示される場合と特売価格が表示される場合とで、商品方向情報51eを異なる態様で表示しても良い。
【0069】
このように、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3において、売価51aとして通常価格が表示される場合と特売価格が表示される場合とで、商品方向情報51eを異なる態様で表示することによって、顧客は、電子棚札5に表示される商品方向情報51eを見ただけで、それと一緒に表示されている売価51aが通常価格であるのか特売価格であるのかを識別することができる。
【0070】
また、上記の例では、リモコン160によって電子棚札5の表示画面を切り替えていたが、その代わりに、あるいはそれに加えて、ESLサーバ10が、電子棚札5に対して表示画面の切り替えを指示しても良い。例えば、ESLサーバ10では、操作部たる入力部16に対して所定の操作が行われると、CPU11は、電子棚札5に対して表示画面の切り替えを指示する切替指示情報を生成し、当該切替指示情報と、対象の電子棚札5の装置コードとを含む送信データを、インターフェイス18、ベースステーション41及び通信装置4を通じて電子棚札5に送信する。電子棚札5では、受信した送信データに含まれる装置コードが、自身が記憶する装置コードと一致すると、送信データに含まれる切替指示情報を認識して、現在の表示画面を他の表示画面に切り替える。電子棚札5は、自身宛ての切替指示情報が入力されるたびに、通常画面SC1、商品上側画面SC2及び商品下側画面SC3を順に切り替えて表示する。このように、電子棚札5がESLサーバ10の指示によって表示画面を切り替える場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0071】
また、電子棚札5がESLサーバ10の指示によって表示画面を切り替える場合には、ESLサーバ10が、電子棚札5に表示画面を切り替えさせるたびに、当該電子棚札5に対して表示対象の画面の画像データを送信しても良い。以下にこの例についての本電子棚札システム1の動作について説明する。
【0072】
図17は、本例で使用されるリンクファイル102を示す図である。図17に示されるリンクファイル102では、各レコード102aには、装置コード及び商品コード以外にも、基本表示特定情報と付加表示特定情報が登録されている。
【0073】
ここで、「基本表示特定情報」とは、電子棚札5に表示される基本的な情報(以後、「基本表示情報」と呼ぶ)を特定するための情報である。本例では、「通常」、「特売A」及び「特売B」の3種類の基本表示情報が用意されている。「通常」の基本表示情報は、電子棚札5が売価として通常価格を表示する際に当該電子棚札に表示される基本的な情報であって、例えば、上述の図6〜8の売価51a、商品名51b、単価51c及び商品コード51dである。「特売A」及び「特売B」の基本表示情報のそれぞれは、電子棚札5が売価として特売価格を表示する際に当該電子棚札5に表示される基本的な情報である。「特売A」の基本表示情報は、例えば、上述の図9〜11の売価51a、商品名51b、単価51c、商品コード51d及び通常価格51fである。「特売B」の基本表示情報は、例えば、「特売A」の基本表示情報に他の商品情報を付加したものである。
【0074】
また、「付加表示特定情報」とは、基本表示情報に付加して電子棚札5に表示される情報(以後、「付加表示情報」と呼ぶ)の有無及びそれを特定するための情報である。本例では、付加表示情報として、「上矢印」、「下矢印」、「商品区分」、「エコ(エコロジー)マーク」、「エコ商品特定文字列」の5種類が用意されている。エコ商品特定文字列は、それを表示する電子棚札5に対応する商品6がエコ商品であることを特定するための文字列であって、例えば「エコ商品」といった文字列である。付加表示情報としての「上矢印」は図7,10の商品方向情報51eとして機能する情報であって、付加表示情報としての「下矢印」は図8,11の商品方向情報51eとして機能する情報である。
【0075】
なお、図17のあるレコード102aにおいて、付加表示特定情報の欄に記載されている「なし」は、当該レコード102aに登録されている装置コードで特定される電子棚札5に表示される付加表示情報は存在しないことを意味している。
【0076】
本例では、電子棚札5は、ESLサーバ10が記憶するリンクファイル102において、自身の装置コードに対応付けられている基本表示特定情報で特定される基本表示情報を表示する。さらに、電子棚札5は、リンクファイル102において、自身の装置コードに対応付けられている付加表示特定情報で特定される付加表示情報を表示する。ただし、電子棚札5は、その装置コードに対応付けられている付加表示特定情報が、付加表示情報が存在しないことを示す場合には、付加表示情報は表示せずに基本表示情報だけを表示する。
【0077】
例えば、あるレコード102aにおいて、装置コードに対して、基本表示特定情報として「通常」が、付加表示特定情報として「なし」がそれぞれ対応付けられている場合には、その装置コードで特定される電子棚札5には、図6の通常画面SC1が表示される。
【0078】
また、あるレコード102aにおいて、装置コードに対して、基本表示特定情報として「通常」が、付加表示特定情報として「上矢印」がそれぞれ対応付けられている場合には、その装置コードで特定される電子棚札5には、図7の商品上側画面SC2が表示される。
【0079】
また、あるレコード102aにおいて、装置コードに対して、基本表示特定情報として「特売A」が、付加表示特定情報として「なし」がそれぞれ対応付けられている場合には、その装置コードで特定される電子棚札5には、図9の通常画面SC1が表示される。
【0080】
また、あるレコード102aにおいて、装置コードに対して、基本表示特定情報として「特売A」が、付加表示特定情報として「下矢印」がそれぞれ対応付けられている場合には、その装置コードで特定される電子棚札5には、図11の商品下側画面SC3が表示される。
【0081】
ESLサーバ10は、電子棚札5が表示する表示画面での画像を示す画像データを、当該電子棚札5の装置コードに対応付けられている基本表示特定情報及び付加表示特定情報を使用して生成する。ESLサーバ10では、CPU11が、対象の電子棚札5の装置コードが登録されているレコード102aを参照し、当該レコード102aに登録されている基本表示特定情報と付加表示特定情報とから、当該電子棚札5に表示すべき情報を特定する。そして、CPU11は、売価や商品名など、対象の電子棚札5に表示すべき情報を商品ファイル101から取得し、取得した情報に基づいて、対象の電子棚札5に表示すべき表示画面の画像データを生成する。その後、CPU11は、生成した画像データと、対象の電子棚札5の装置コードとを含む送信データを、インターフェイス18、ベースステーション41及び通信装置4を通じて電子棚札5に送信する。
【0082】
電子棚札5では、受信した送信データに含まれる装置コードが、自身が記憶する装置コードと一致すると、送信データに含まれる画像データに基づいてディスプレイ51を制御する。これにより、電子棚札5のディスプレイ51には、当該電子棚札5の装置コードが登録されているレコード102aに記録されている基本表示特定情報及び付加表示特定情報で特定される商品情報が表示されるようになる。
【0083】
また本例では、リンクファイル102のあるレコード102aにおいて、基本表示特定情報あるいは付加表示特定情報が変更されると、それに対応する装置コードで特定される電子棚札5の表示画面が切り替わるようになっている。例えば、あるレコード102aにおいて、基本表示特定情報として「通常」が、付加表示特定情報として「なし」が登録されている場合に、当該レコード102aの付加表示特定情報が「上矢印」に変更されると、当該レコード102aの装置コードで特定される電子棚札5の表示画面が、図6の通常画面SC1から、図7の商品上側画面SC2に切り替わる。また、あるレコード102aにおいて、基本表示特定情報として「特売A」が、付加表示特定情報として「上矢印」が登録されている場合に、当該レコード102aの付加表示特定情報が「下矢印」に変更されると、当該レコード102aの装置コードで特定される電子棚札5の表示画面が、図10の商品上側画面SC2から、図11の商品下側画面SC3に切り替わる。
【0084】
作業者は、ESLサーバ10の入力部16を操作することによって、リンクファイル102の情報を変更することができる。ESLサーバ10では、あるレコード102aにおいて、基本表示特定情報及び付加表示特定情報の少なくとも一方の情報が変更されると、CPU11は、変更後の情報に基づいて上述のように画像データを新たに生成する。そして、CPU11は、新たな画像データと、変更されたレコード102aに登録されている装置コードと含む送信データを生成し、インターフェイス18、ベースステーション41及び通信装置4を通じて電子棚札5に送信する。電子棚札5では、受信した送信データに含まれる装置コードが、自身が記憶する装置コードと一致すると、送信データに含まれる画像データに基づいてディスプレイ51を制御する。これにより、電子棚札5の表示画面が切り替わる。
【0085】
このように、複数の装置コードのそれぞれに対して固有の付加表示特定情報を対応付けることによって、電子棚札5に対応付けられている商品6にかかわらず、各電子棚札5に対して、表示する付加表示情報を個別に設定することができる。
【0086】
ここで、同一の複数の商品6は、図1のように、商品棚60の同じフェース61に陳列されることもあれば、複数のフェース61に渡って陳列されることもある。後者の場合には、複数のフェース61のそれぞれの近傍に、同じ商品6に対応付けられた電子棚札5が取り付けられる。このような場合、あるフェース61の近傍の電子棚札5は商品6の下側に配置され、別のフェース61の近傍の電子棚札5は商品6の上側に配置されることがある。このとき、本例とは異なり、対応する商品6が同じであれば常に同じ付加表示情報を電子棚札5が表示するのであれば、フェース61ごとに電子棚札5が表示する付加表示情報を変えることはできず、同じ商品6に対応付けられた複数の電子棚札5では、自身に対応する商品6がどの方向に位置しているかを適切に表示できない場合がある。
【0087】
本例では、対応する商品6にかかわらず、各電子棚札5に対して、表示する付加表示情報を個別に設定することができるため、電子棚札5ごとに適切な商品方向情報を選択することができる。よって、複数の電子棚札5に対して同一の商品6が対応付けられている場合であっても、当該複数の電子棚札5のそれぞれは、自身に対応する商品6が位置する方向を適切に表示することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 電子棚札システム
5 電子棚札
6 商品
40 情報配信装置
51 ディスプレイ
51a 売価
51b 商品名
51c 単価
51d 商品コード
51e 商品方向情報
51f 通常価格
57 制御部
160 リモコン
SC1 通常画面
SC2 商品上側画面
SC3 商品下側画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に対応して配置され、対応する商品に係る商品情報を表示する電子棚札であって、
表示部と、
第1及び第2表示画面を切り替えて当該第1及び第2表示画面の一つを前記表示部に表示させる表示制御部と
を備え、
前記第1表示画面では、前記電子棚札に対応する商品が当該電子棚札に対してどの方向に位置しているかを示す商品方向情報は表示されずに、前記電子棚札が対応する商品に係る商品情報が表示され、
前記第2表示画面では、前記第1表示画面での前記商品情報と、前記商品方向情報とが表示される、電子棚札。
【請求項2】
請求項1に記載の電子棚札であって、
前記第2表示画面では、前記第1表示画面での前記商品情報が縮小して表示されるとともに、前記商品情報と前記商品方向情報とが並べて表示される、電子棚札。
【請求項3】
請求項1に記載の電子棚札であって、
前記第2表示画面では、前記商品情報と前記商品方向情報とが重ねて表示される、電子棚札。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の電子棚札であって、
前記第2表示画面では、前記商品情報に含まれる売価が通常価格である場合と、前記商品情報に含まれる売価が特売価格である場合とでは、前記商品方向情報が異なった態様で示される、電子棚札。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の電子棚札であって、
前記表示制御部は、可搬性の表示切り替え装置から特定の信号が前記電子棚札に入力されると、前記表示部での表示画面を切り替える、電子棚札。
【請求項6】
請求項5に記載の電子棚札と、
前記表示切り替え装置と
を備える、電子棚札システム。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の電子棚札と、
前記電子棚札に前記商品情報及び前記商品方向情報を配信する情報配信装置と
を備える、電子棚札システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−194043(P2010−194043A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41065(P2009−41065)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】