説明

電子楽器のロック装置

【課題】各種パラメータを設定するためのスイッチやホイールなどの操作子のうち無効にしたい操作子を部分的に容易に無効に設定でき、操作子の機能を適宜選択して活用しつつ意図しない楽音が発生されるのを防ぐ。
【解決手段】ロックスイッチ3−8は、ロックを設定/解除(オン/オフ)するためのロックスイッチ3−8と、複数のロックタイプの中から必要なロックタイプを選択するパラメータ値選択用アップ/ダウンスイッチ(VALUE)3−13を有する。ロックタイプにはホイールロック、パネルロック、エックスプレッションペダルロック、フットスイッチロックなどがある。どのタイプのロックを有効とするかはパラメータ値選択用アップ/ダウンスイッチ(VALUE)3−13で選択される。現在のロックタイプはLCD3−12で表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子楽器のロック装置に関し、特に、各種パラメータを設定するためのパネルスイッチやホイールなどが誤って操作されて演奏者の意図しない楽音が発生されることを無くすことができる電子楽器のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子楽器には、ステージ演奏で使用されたりライブ演奏で使用されたりするステージピアノというジャンルの電子楽器がある。この電子楽器には、各種パラメータを設定するためのパネルスイッチ、ピッチやモジュレーションをコントロールするためのホイール、さらにはエックスプレッションを足でコントロールするためのエックスプレッションペダル(Expression Pedal) やフットスイッチ(Foot Switch)などが備えられている。
【0003】
電子楽器において、このように各種パラメータを設定するためのパネルスイッチやホイール、エックスプレッションペダルやフットスイッチなどの操作子を備えることは、表現が豊かで効果的な演奏を行う上で好ましいものである。
【0004】
電子楽器において音色変更に伴って演奏者が望まないようにエフェクトのパラメータが変更されないようにすることが特許文献1で提案されている。これでは、レジストデータによってエフェクト設定情報が設定されている間、このエフェクト設定情報を音色選択スイッチによって選択されるエフェクト設定情報に対して優先させることにより、レジストデータを展開してエフェクト設定情報により設定したエフェクトが音色変更によって変更されるのを防止するようにしている。
【0005】
電子楽器の一部機能を必要に応じて無効にすると共にプリセット情報に基づく制御を可能にすることにより初級演奏者が容易に演奏できるようにした電子楽器も特許文献2で提案されている。
【特許文献1】特開2003−44049号公報
【特許文献2】特公昭62−7559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子楽器において各種パラメータを設定するためのパネルスイッチやホイール、エックスプレッションペダルやフットスイッチなどの操作子を備えることは、効果的な演奏を行う上では好ましいものであるが、逆にマイナスになる面もある。例えば、ライブ演奏の場合、演奏者は激しい動きの中で演奏を行うことが多く、ついパネルスイッチやホイールなどの操作子に触れて演奏者の意図しない音色に変わってしまったり、調整済みのバランスが変わってしまったりすることがある。音色をピアノに設定した場合にはビブラートがかからないようにして演奏を行うのが普通であるが、演奏者がモジュレーションホイールに誤って触れてしまうとビブラートが付加されてしまう。
【0007】
特許文献1、2で提案されているように、電子楽器の一部機能を無効にするというだけでは、パネルスイッチ、ホイール、エックスプレッションペダル、フットスイッチなどの操作子の機能を適宜選択して活用しつつ、演奏中には固定しておきたい操作子の誤操作を無くすことはできない。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決し、電子楽器において各種パラメータを設定するためのスイッチやホイールなどの操作子のうち無効にしたい操作子を部分的に容易に無効に設定でき、操作子の機能を適宜選択して活用しつつ意図しない楽音が発生されるのを防ぐことができる電子楽器のロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、パネルスイッチ、ホイール、エックスプレッションペダル、フットスイッチのうちの少なくとも2つの操作部を有する電子楽器のロック装置において、パネルスイッチ、ホイール、エックスプレッションペダル、フットスイッチのうちの少なくとも2つの操作部を個別にロック範囲として設定するための設定手段と、ロックの設定および解除を行うためのロックスイッチとを備え、前記設定手段によりロック範囲を設定し、前記ロックスイッチによりロックの設定および解除を行う点に第1の特徴がある。
【0010】
また、ロックされた操作部についてのパラメータが、ロック状態に設定された時点の該操作部の操作状態に対応するパラメータに固定される点に第2の特徴がある。
【0011】
また、表示部を備え、ロックされている操作部が操作された場合、前記表示部が該操作部がロック状態にある旨を表示する点に第3の特徴がある。
【0012】
さらに、レジストレーションスイッチとレジストレーション登録部を備え、各操作部を個別にロックするためのロック情報を前記レジストレーションスイッチのそれぞれと対応させて前記レジストレーション登録部に登録し、前記レジストレーションスイッチが操作されたとき、対応するレジストレーション登録部からロック情報が呼び出して対応する操作部をロックする点に第4の特徴がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、複数に分けられたロックタイプをそれぞれ独立に設定することができるので、操作子の機能を適宜選択して活用しつつ演奏者の意図しない楽音が発生されないようにすることができる。
【0014】
また、第2の特徴によれば、パラメータを任意の固定値とした演奏とそれを変更できる状態での演奏とに容易に切り換えることができる。
【0015】
また、第3の特徴によれば、操作子の操作無効がロックオンによるものか装置不具合によるものかを容易に認識することができる。
【0016】
さらに、第4の特徴によれば、レジストレーションの呼出操作という簡単な操作でロック設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明が適用された電子楽器の一実施形態を示すブロック図である。同図において、MPU1は、ROMおよびRAMを内蔵し、ROMに格納されている制御プログラムに従って電子楽器全体の制御を行う。ROMは、制御プログラムの他、複数の音色パラメータやエフェクトについてのパラメータなど、演奏状態を設定するための各種パラメータを記憶している。RAMは、MPU1のワークエリアとして使用され、また、各種レジスタのデータを一時記憶するバッファとしても使用される。このRAMは、例えばバッテリによりバックアップされていてもよい。
【0018】
MPU1は、タイマ割り込み回路の他、MIDIインタフェース(MIDIin,MIDIout)2−1、2−2との接続用シリアルポートも備えている。MIDIインタフェース2−1、2−2は、外部MIDI機器との間においてMIDIメッセージのやり取りを行う信号送受信回路である。
【0019】
操作パネル3は、演奏時の状態を設定するための各種パネルスイッチを有し、後述するような外観構成を有する。パネルインタフェース(I/F)4は、操作パネル3をスキャンしてパネルスイッチのオン/オフを示すスイッチイベント情報を生成し、また、操作パネル3に配置されたLCDなどのディスプレイ(以下、LCDと称す。)をドライブしてMPU1からの各種設定情報などを表示させる。スイッチイベント情報は各パネルスイッチに対応付けられてMPU1のRAMに記憶される。
【0020】
キーボード(鍵盤)5は複数のキー(鍵)を有し、それぞれのキーのオン/オフを示すキーイベント情報や押鍵強さつまりベロシティを示すタッチ情報を検知するための、例えば2つのセンサを有している。キーボードI/F6は、前記センサをスキャンしてその状態に基づくキーイベント情報やタッチ情報を生成する。これらの情報はキーナンバに対応付けられてMPU1のRAMに記憶される。
【0021】
エックスプレッションペダル7の操作によるイベント情報はA/D変換器8でデジタル情報に変換された後、MPU1のRAMに記憶される。フットスイッチ9の操作によるオン/オフのイベント情報もMPU1のRAMに記憶される。
【0022】
RAMに記憶されたイベント情報は適宜トーン発生器10に入力される。トーン発生器10は、波形読み出し方式によりイベント情報に基づく楽音信号を発生する回路であり、デジタル楽音波形サンプル値が記憶されている波形メモリから、発音すべき音高に比例したアドレス間隔で順次波形データを読み出し、補間演算を行って楽音波形信号を発生させる。また、トーン発生器10は、エンベロープ発生回路を有し、設定されたエンベロープパラメータに基づいて発生したエンベロープ信号を楽音波形信号に乗算してエンベロープを付与し、楽音信号を出力する。トーン発生器10は、複数、例えば32の楽音発生チャネルを有しているが、実際には、1つのトーン発生器を時分割多重動作させることにより同時に複数の楽音信号を独立して発生可能に構成されている。
【0023】
エフェクタ11はDSP(Digital Signal Processor)を備え、操作パネル3の操作に従って、トーン発生器10で発生された楽音に対してリバーブ、エコーなどの各種エフェクトを付与することができる。
【0024】
D/A変換器12はデジタル楽音信号をアナログ信号に変換するものであり、このアナログ信号がサウンドシステム13に与えられて楽音が出力される。
【0025】
図2は、操作パネル3の外観構成を示す正面図である。この操作パネル3は、ホイール(ピッチベンドコントロール用、モジュレーションコントロール用)3−1、メインボリューム3−2、キーボード5における発音鍵域の設定を有効/無効(オン/オフ)にするためのゾーンオン/オフスイッチ3−3、発音鍵域の設定を可能するためのゾーンセレクトスイッチ3−4、発音鍵域での音量を調整するための音量バランス調整用ボリューム3−5、内部出力(INT)および外部出力(EXT)表示用LED3−6を有する。ゾーンオン/オフスイッチ3−3とゾーンセレクトスイッチ3−4と音量バランス調整用ボリューム3−5と内部出力(INT)および外部出力(EXT)表示用LED3−6は、ここでは4系列配置されており、これにより4つの発音鍵域を個別に設定することができる。ゾーンオン/オフスイッチ3−3とゾーンセレクトスイッチ3−4はLEDを内蔵し、現在それがオンかオフかをその点灯、消灯で知らせる。
【0026】
操作パネル3は、さらに、エフェクトやイコライザやトーンモディファイやMIDI CC(Control Change)パラメータ設定用スイッチ群3−7、ロックスイッチ3−8、エフェクトオン/オフスイッチ3−9、リバーブオン/オフスイッチ3−10、メニュー表示用アップ/ダウンスイッチ(MENU)3−11、LCD3−12、パラメータ値選択用アップ/ダウンスイッチ(VALUE)3−13、音色設定用スイッチ3−14、レジスト選択および呼出用スイッチ3−15、レジスト登録用スイッチ3−16を有する。LCD3−12は、例えば2×16文字を表示することができる。
【0027】
電子楽器では電源投入時などの初期状態においては最もシンプルなモードの標準状態、すなわち、ノーマルモードの標準状態に設定されるのが普通であるが、操作パネル3におけるスイッチを操作することによりそれとは異なる設定状態や演奏モードにすることができる。その際のメニューや操作指示や設定状態はLCD3−12に表示される。
【0028】
例えば、ゾーンオン/オフスイッチ3−3のうち系列1のSW1をオンすると、系列1に対して設定されている発音鍵域が有効になり、その旨をSW1内蔵のLEDが点灯して知らせる。また、系列1に対して現在設定されている音色がLCD3−12に表示される。ここで、系列1のゾーンセレクトスイッチSW1’を短時間押してオンすれば系列1に対して現在設定されている音色がLED3−12に表示され、長押しすれば系列1に対して設定されている発音鍵域(ゾーン)がLCD3−12に表示される。また、SW1’を押したままキーボード5の2つのキーを順次押鍵すれば、両キー間の鍵域が新たな発音鍵域として設定される。
【0029】
なお、発音鍵域がキーボード5の全鍵域である場合、SW1内蔵のLEDは赤色で点灯し、一部鍵域である場合にはそのLEDは緑色で点灯する。これにより、SW1を押した段階で、系列1に対して設定されている発音鍵域がキーボード5の全鍵域であるか一部鍵域であるかを認識できる。また、SW1内蔵のLEDがオフでえ系列1の設定が無効にされている状態でもSW1’をオンすることにより系列1に対して現在設定されている発音鍵域をLCD3−12で確認でき、その変更もできる。他のゾーンオン/オフスイッチSW2〜SW4の系列2〜4においても同様である。
【0030】
ここで、キーボードの全鍵域を例えば系列1、2に分割し、異なる音色を割り当てればSW1、SW2の両者をオンとすることによりスプリットモードでの演奏が可能になる。また、SW1、SW2に重複する発音鍵域を設定すればSW1、SW2の両者をオンとすることにより重複部分のキーを使用してデュアルモードでの演奏が可能になる。
【0031】
ロックスイッチ3−8は、ロックを設定/解除(オン/オフ)するために操作される。ロックには複数のロックタイプ、例えばホイールロック、パネルロック、エックスプレッションペダルロック、フットスイッチロックがある。ホイールロックではホイール3−1の操作が無効にされ、パネルロックではパネルスイッチ3−3〜3−11、3−13〜3−16の操作が無効にされ、エックスプレッションペダルロックではエックスプレッションペダル7の操作が無効にされ、フットスイッチロックではフットスイッチ9の操作が無効にされる。どのタイプのロックを有効とするかはパラメータ値選択用アップ/ダウンスイッチ(VALUE)3−13で選択される。
【0032】
ロックスイッチ3−8を操作してロックオンにすると現在のロックタイプがLCD3−12で表示される。例えば現在のロックタイプがパネルロックであるとすると、LCD3−12には「Lock Type 1:Panel Lock」が表示される。このときロックスイッチ3−8を再度操作してロックオフとすればパネルロックは解除される。
【0033】
ロックタイプの変更は、ロックスイッチ3−8とパラメータ値選択用アップ/ダウンスイッチ(VALUE)3−13で行うことができる。例えばパネルロックからホイールロックへの変更は、現在のロックタイプ「Lock Type 1:Panel Lock」を呼び出し、パラメータ値選択用アップ/ダウンスイッチ(VALUE)3−13でロックタイプ「Lock Type 2:Wheel Lock」を選択すればよい。その他、エックスプレッションペダルロックやフットスイッチロックへの変更も、パラメータ値選択用アップ/ダウンスイッチ(VALUE)3−13により「Lock Type 3:Expression Pedal Lock」、「Lock Type 4:Foot Switch Lock」を選択すればよい。
【0034】
なお、上記ロックタイプの1つに限らず、それらを複数組み合わせてロック範囲とすることができるようにすることが好ましい。これにより簡単な操作で必要部分を適宜選択してロックすることができる。どのようにロック範囲を決めるかも任意である。キーボード5やメインボリューム3−2以外の全ての操作子のロックを可能にするようにすることも好ましくい。
【0035】
パネルロックの状態で操作パネル3のパネルスイッチが操作されると、LCD3−12は、現在パネルロック状態にある旨を表示する。さらに必要ならばその操作を有効にするにはパネルロックを解除する必要がある旨を表示する。これにより演奏者は、操作パネル3のスイッチ操作が有効にならないのはパネルロックによるものであることを容易に認識でき、装置不具合と区別できる。これをLCD3−12以外のLEDなどの表示器で報知させることもできる。
【0036】
ロック設定された場合、ロックされた操作部についてのパラメータは、ロック状態に設定された時点の該操作部の操作状態に対応するパラメータに固定するようにすることができる。例えば、ホイールロックの場合、ホイールロックがなされたときのホイール3−1の設定状態のパラメータが固定値として設定される。このようにすることにより、ロックスイッチ3−8のオン/オフでピッチベンドやモジュレーションを任意の固定値とした演奏とそれを変更できる状態での演奏とに容易に切り換えることができる。
【0037】
また、エックスプレッションペダルロックの場合にも、エックスプレッションペダル7のある位置でロック操作すれば、ロックスイッチ3−8のオン/オフでロック状態での固定値の音量での演奏とペダルによりコントロールし得る音量での演奏とに容易に切り換えることができる。
【0038】
図3および図4は、MPU1でメインルーチンの一例を示すフローチャートであり、ここでは特にロック処理について詳細に示している。まず、電源が投入されたとき、MPU1、トーン発生器10を構成するLSI等を初期化する(S31)。次に、ロック機能のオン/オフおよび割り当て変更処理を実行する(S32)。この処理の詳細は後述する。次に、ロックスイッチ3−8以外のパネルスイッチのオンイベントの有無を判定する(S33)。S33でオンイベント有りと判定されれば、ロックオンか否かを判定し(S34)、ここでロックオンと判定された場合にはさらにパネルロックがオンであるか否かを判定する(S35)。S35でパネルロックがオンであると判定されれば、LCD3−12でパネルロックがオン状態である旨を所定時間(例えば1秒間)割込表示させるとともに、S33で判定されたオンイベントを無効にする(S36)。S35でパネルロックがオンでないと判定されれば、ゾーンオン/オフスイッチ処理(S37)、ゾーンセレクトスイッチ処理(S38)、その他のパネルスイッチ処理(S39)を順次実行する。
【0039】
ゾーンオン/オフスイッチ処理(S37)およびゾーンセレクト処理(S38)では、系列1〜4に対して設定されているパラメータを有効としたり、該パラメータを設定し直したりする。これらの処理の詳細は後述する。その他のパネルスイッチ処理(S39)は従来の電子楽器でのパネルスイッチ処理と同様である。
【0040】
S33でロックスイッチ3−8以外のパネルスイッチのオンイベント無しと判定された場合およびS36、S39の処理後には、続いてホイール3−1のイベントの有無を判定する(S40)。S40でイベント有りと判定されれば、ロックロックオンか否かを判定し(S41)、ここでロックオンと判定された場合にはさらにホイールロックがオンであるか否かをを判定する(S42)。S42でホイールロックがオンであると判定されれば、LCD3−12にホイールロックがオン状態である旨を所定時間表示するとともに、S40で判定されたイベントを無効にする(S43)。S42でホイールロックがオンでないと判定されれば、ホイール処理(S44)を実行する。
【0041】
S40でホイールのイベント無しと判定された場合およびS43、S44の処理後には、続いてエックスプレッションペダル7のイベントの有無を判定する(S45)。S45でイベント有りと判定されれば、ロッククオンか否かを判定し(S46)、ここでロックオンと判定された場合にはさらにエックスプレッションペダルロックがオンであるか否かをを判定する(S47)。S47でエックスプレッションペダルロックがオンであると判定されれば、LCD3−12にエックスプレッションペダル7がオン状態である旨を所定時間表示するとともに、S45で判定されたイベントを無効にする(S48)。S47でエックスプレッションペダルロックがオンでないと判定されれば、エックスプレッション処理(S49)を実行する。
【0042】
S45でエックスプレッションペダル7のイベント無しと判定された場合およびS48、S49の処理後には、続いてフットスイッチ9のイベントの有無を判定する(S50)。S50でイベント有りと判定されれば、ロックオンか否かを判定し(S51)、ここでロックオンと判定された場合にはさらにフットスイッチロックがオンであるか否かをを判定する(S52)。S52でフットスイッチロックがオンであると判定されれば、LCD3−12にフットスイッチ9がオン状態である旨を所定時間表示するとともに、S50で判定されたイベントを無効にする(S53)。S52でフットスイッチロックがオンで無いと判定されれば、フットスイッチ処理(S54)を実行する。
【0043】
S50でフットスイッチ9のイベント無しと判定された場合およびS53、S54の処理後には、キーボード5のキースイッチイベントの有無を判定する(S55)。S55でキースイッチイベント有りと判定されれば、系列毎に内部出力/外部出力(INT/EXT)および発音範囲をチェックし、そのチェック結果に従って発音処理やMIDI OUT処理を実行する(S56)。S55でキースイッチイベント無しと判定された場合およびS56の処理後には、操作パネル3の各ボリューム処理を実行し(S57)、S32に戻る。
【0044】
図5は、ロック機能のオン/オフおよび割り当て変更処理(S32)を示すフローチャートである。まず、ロックスイッチ3−8のオンイベントの有無を判定し(S58)、無いと判定されればこの処理を抜けるが、有る判定されれば現在ロックがオフであるか否かを判定する(S59)。ここで現在ロックがオンでない、つまりオンであると判定されれば、ロックオンをロックオフに変更した(S60)後、この処理を抜ける。なお、このときロックスイッチ3−8内蔵のLEDを消灯させる。
【0045】
S59で現在ロックがオフであると判定されれば、ロックオンにする(S61)とともに、LCD3−12に現在のロックタイプを表示する(S62)。次に、パラメータ値選択用アップ/ダウンスイッチ(VALUE)3−13のオンイベントの有無を判定し(S63)、オンイベント無しと判定されればこの処理を抜けるが、有ると判定されれば該イベントに従ってロックタイプを変更し、それを記憶するとともにLCD3−12に表示する(S64)。その後、この処理を抜ける。
【0046】
図6は、ゾーンオン/オフスイッチ処理(S37)を示すフローチャートである。まず、ゾーンオン/オフスイッチ3−3のオンイベントの有無を判定し(S65)、オンイベント有りと判定されれば、オンイベント有りの系列のゾーンセレクトスイッチ3−4内蔵のLEDを点灯し、他の系列のゾーンセレクトスイッチ3−4内蔵のLEDを消灯する(S66)。次に、オンイベントの系列のナンバ(No.・・)とその音色名をLCD3−12に表示し(S67)、オンイベントの系列のゾーンオン/オフスイッチ3−3内蔵のLEDを点灯する(S68)。ここで、LEDは、発音範囲がキーボード5の全領域ならば赤色で点灯させ、一部領域ならば緑色で点灯させる。
【0047】
S65でオンイベント無しと判定された場合には、ゾーンオン/オフスイッチ3−3のオフイベントの有無を判定する(S69)。ここでオフイベント無しと判定されればこの処理を抜けるが、有りと判定されれば他の系列の少なくとも1つのゾーンオン/オフスイッチ3−3内蔵のLEDが点灯しているか否か、つまり他の系列がオンであるか否かを判定する(S70)。S70で他の系列がオンでないと判定されればこの処理を抜けるが、オンであると判定されればオン中の系列の中で系列ナンバが小さい系列を選択し、該系列のゾーンセレクトスイッチ3−4内蔵のLEDを点灯し(S71)、さらに該系列の系列ナンバとその音色名をLCD3−12に表示する(S72)。
【0048】
以上のように、ある系列のゾーンオン/オフスイッチ3−3のオンイベントに伴ってその系列の発音鍵域の設定を可能とし、オフイベントに伴って、オンにある他の系列の発音鍵域の設定を可能にするより、発音鍵域設定の際の操作性を向上させることができる。なお、ゾーンオン/オフスイッチ3−3のオフイベントに伴って、オン中の系列の中で系列ナンバが小さい系列を選択することとしたのは、ナンバの小さい系列が普通よく使われることが予測されるからであるが、どのような形態で系列を変更するかは適宜設定できる。
【0049】
図7は、ゾーンセレクトスイッチ処理(S38)を示すフローチャートである。まず、ゾーンセレクトスイッチ3−4のオンイベントの有無を判定し(S73)、オンイベント有りと判定されれば、オンイベント有りの系列のゾーンセレクトスイッチ3−4内蔵のLEDを点灯し、他の系列のゾーンセレクトスイッチ3−4内蔵のLEDを消灯する(S74)。次に、オンイベントの系列のナンバ(No.・・)とその音色名をLCD3−12に表示する(S75)。ここで、LEDが点灯しているゾーンセレクトスイッチ3−4の系列の音色は、音色設定用スイッチ3−14により変更することができ、ゾーンセレクトスイッチ3−4を長押しして発音鍵域を変更することもできる。
【0050】
S73でオンイベント無しと判定された場合およびS75の処理後には、ゾーンセレクトスイッチ3−4がオン中であるか否かを判定する(S76)。ここでオン中でないと判定されればこの処理を抜けるが、オン中であると判定されれば、オン中に押鍵されたキーに基づいてその系列の発音範囲を設定する。このときLCD3−12は新たに設定された発音範囲を表示する(S77)。次に、その系列のゾーンオン/オフスイッチ3−3内蔵のLEDが点灯しているか否か、つまりその系列がオンであるか否かを判定する(S78)。S78でオンでないと判定されればこの処理を抜けるが、オンであると判定されれば、ここで設定された発音範囲がキーボード5の全領域か一部領域かに従ってゾーンオン/オフスイッチ3−3内蔵のLEDを赤色または緑色で点灯する(S79)。
【0051】
以上、実施形態を説明したが、本発明はこれに限られず、種々に変形することができる。例えば、ロックスイッチ3−8は、ロック設定以外の他の設定にも利用できる。これはロックスイッチ3−8を押圧した後にメニュー表示用アップ/ダウンスイッチ(MENU)3−11を操作して他の設定用画面を順次表示させ、ここでパラメータ値選択用アップ/ダウンスイッチ(VALUE)3−13でパラメータ値の選択操作を行うようにして実現できる。
【0052】
また、ロックタイプをレジストレーションとして登録させることができる。上述のようにロックタイプを設定した後にレジスト選択および呼出用スイッチ3−15のうちのレジスト選択用スイッチを押し、さらにレジスト登録用スイッチ3−16を押せばよい。これにより例えばレジスト選択用スイッチ1、2、3、4のそれぞれに対してパネルロックタイプ、ホイールロックタイプ、エックスプレッションペダルロックタイプ、フットスイッチロックタイプをレジストレーションとして登録することができる。レジスト選択および呼出用スイッチ3−15を操作すれば、登録されたロックタイプを呼び出して設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明が適用された電子楽器の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】操作パネルの外観構成を示す正面図である。
【図3】MPUでのメインルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートの続きである。
【図5】ロック機能のオン/オフおよび割り当て変更処理を示すフローチャートである。
【図6】ゾーンオン/オフスイッチ処理を示すフローチャートである。
【図7】ゾーンセレクトスイッチ処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1・・・MPU、2−1,2−2・・・MIDIインタフェース、3・・・操作パネル、3−1・・・ホイール、3−2・・・メインボリューム、3−3・・・ゾーンオン/オフスイッチ、3−4・・・ゾーンセレクトスイッチ、3−5・・・音量バランス調整用ボリューム、3−6・・・内部出力および外部出力表示用LED、3−7・・・エフェクトなどのパラメータ設定用スイッチ、3−8・・・ロックスイッチ、3−9・・・エフェクトオン/オフスイッチ、3−10・・・リバーブオン/オフスイッチ、3−11・・・メニュー表示用アップ/ダウンスイッチ、3−12・・・LCD、3−13・・・パラメータ値選択用アップ/ダウンスイッチ、3−14・・・音色設定用スイッチ、3−15・・・レジスト選択および呼出用スイッチ、3−16・・・レジスト登録用スイッチ、4・・・パネルインタフェース、5・・・キーボード(鍵盤)、6・・・キーボードインタフェース、7・・・エックスプレッションペダル、8・・・A/D変換器、9・・・フットスイッチ、10・・・トーン発生器、11・・・エフェクタ、12・・・D/A変換器、13・・・サウンドシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルスイッチ、ホイール、エックスプレッションペダル、フットスイッチのうちの少なくとも2つの操作部を有する電子楽器のロック装置において、
パネルスイッチ、ホイール、エックスプレッションペダル、フットスイッチのうちの少なくとも2つの操作部を個別にロック範囲として設定するための設定手段と、
ロックの設定および解除を行うためのロックスイッチとを備え、前記設定手段によりロック範囲を設定し、前記ロックスイッチによりロックの設定および解除を行うことを特徴とする電子楽器のロック装置。
【請求項2】
ロックされた操作部についてのパラメータは、ロック状態に設定された時点の該操作部の操作状態に対応するパラメータに固定されることを特徴とする請求項1に記載の電子楽器のロック装置。
【請求項3】
表示部を備え、ロックされている操作部が操作された場合、前記表示部は該操作部がロック状態にある旨を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の電子楽器のロック装置。
【請求項4】
レジストレーションスイッチとレジストレーション登録部を備え、各操作部を個別にロックするためのロック情報を前記レジストレーションスイッチのそれぞれと対応させて前記レジストレーション登録部に登録し、前記レジストレーションスイッチが操作されたとき、対応するレジストレーション登録部からロック情報が呼び出して対応する操作部をロックすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子楽器のロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−201349(P2006−201349A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−11447(P2005−11447)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】