説明

電子楽器の調律補正装置、電子楽器の調律補正方法、コンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】デュアル演奏時において、主体となる音色に適した調律を行うことができるようにする。
【解決手段】同時に発音する複数種類の音色の中から基準となる音色を決定する主音色決定手段と、上記複数種類の音色とキーナンバに応じたストレッチ調律データであって、複数の音色を同時に発音する演奏時に用いるストレッチ調律データを全鍵域にわたり記憶媒体に記憶する調律曲線情報記憶手段と、キー入力により複数の音色を同時に発音する演奏が指示された際に、上記音色決定手段で決定された音色とキーナンバに対応したストレッチ調律データを上記記憶媒体から読み出す調律データ読み出し手段と、上記調律データ読み出し手段により読み出したストレッチ調律データにより音色とキーナンバに応じたピッチを決定して、音高周波数を付与する制御手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子楽器の調律補正装置、電子楽器の調律補正方法、コンピュータプログラム及び記録媒体に関し、特に、ストレッチチューニングを行う電子楽器に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI技術に代表される電子回路技術によって、楽音信号の発生方法として「プログラムカウンタ方式」や「周波数ナンバ方式」等を用いることにより、デジタル的にピッチを容易に制御できるようになっている。
【0003】
例えば、「周波数ナンバ方式」は、デジタル的な時分割操作をすることにより、複数の発音チャンネルの音高周波数を単一の回路で同時に発生させたり、周波数ナンバデータをデジタル的に演算処理させたりすることにより実時間的な動作を表現することが可能になった。
【0004】
また、デジタル処理を行うことにより、音程設定精度の誤差を1%程度に固定できるので、専門家が音楽的に要求する「音律」の使い分けに必要な1セントから数セント程度の音程差の正確な音程の設定が実現可能になった。さらに、デジタル的に音高周波数と鍵盤の対応関係を制御することにより、任意の調に瞬時に移調した上で楽音を発生することが可能となっている。
【0005】
そこで、最近の電子楽器の場合においては、1オクターブ上がると周波数が倍、1オクターブ下がると周波数が半分になる厳密な平均律に対して、生ピアノの調律曲線を模して、下の鍵盤ほど低く、上の鍵盤ほど高めの調律(以後、ストレッチチューニングとする)を行うことを可能にした電子楽器も提案されている。
【0006】
上述のように、ストレッチチューニングを行うことができる電子楽器においては、ストレッチチューニングを行うか否かをユーザが設定することができるスイッチを備えているものもある。
【0007】
上記のように、ストレッチチューニングを行うことができる電子楽器においてデュアル演奏を行うときに、同時発音される複数音色のそれぞれの音色の押下されたキーナンバに応じたデータに基づいて各音色のピッチを制御すると、使用される各音色の調律曲線データが異なるために唸りを生じて聴きにくい場合がある。
【0008】
このような不都合を防止するために、例えば、特許文献1にて提案されている「電子楽器のピッチ制御装置」の場合には、デュアル演奏モードで調律制御の基準となる音色は1つであり、同時発音される各音色は、その基準に合わせて調律されるようにして、デュアル演奏時に唸りを生じないようにしていた。
【0009】
【特許文献1】特開平10−222167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
アンサンブルピアノ等のように、多種多様な楽器音色を持っている電子楽器の場合、ピアノ以外の楽器、例えばストリングス音色等は、華やかに聞こえるためにストレッチチューニングを行うことが好ましい。上記ストレッチチューニングを行う場合には、それを行う音色に合ったストレッチチューニング・カーブで行うことが好ましい。
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に記載の「電子楽器のピッチ制御装置」の場合には、デュアル演奏時で調律制御の基準となる音色は1つであり、同時発音する各音色は上記基準となる音色ストレッチチューニング・カーブに基づいて調律される。このため、或る音色においてはオクターブ演奏が不協となるようなデュアル演奏には適さない場合があった。
【0012】
このような不都合を防止するために、デュアル演奏時には全パートについてストレッチチューニングを止めてしまうと、華やかさに欠けてしまう演奏になってしまうという問題点があった。
【0013】
また、上記特許文献1においては、デュアル演奏時で調律制御の基準となる1つの音色を演奏者が選択するか、または基準となる音色は予め決められていた。
本発明は上述の問題点にかんがみ、デュアル演奏時において、主体となる音色に適した調律を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の電子楽器の調律補正装置は、複数種類の音色を同時に発音することが可能な電子楽器における調律補正装置であって、上記同時に発音する複数種類の音色の中から基準となる音色を決定する主音色決定手段と、上記複数種類の音色とキーナンバに応じたストレッチ調律データであって、複数の音色を同時に発音する演奏時に用いるストレッチ調律データを全鍵域にわたり記憶媒体に記憶する調律曲線情報記憶手段と、キー入力により複数の音色を同時に発音する演奏が指示された際に、上記音色決定手段で決定された音色とキーナンバに対応したストレッチ調律データを上記記憶媒体から読み出す調律データ読み出し手段と、上記調律データ読み出し手段により読み出したストレッチ調律データにより音色とキーナンバに応じたピッチを決定して、音高周波数を付与する制御手段とを有することを特徴としている。
【0015】
本発明の電子楽器の調律補正方法は、複数種類の音色を同時に発音することが可能な電子楽器における調律補正方法であって、上記同時に発音する複数種類の音色の中から基準となる音色を決定する主音色決定工程と、上記複数種類の音色とキーナンバに応じたストレッチ調律データであって、複数の音色を同時に発音する演奏時に用いるストレッチ調律データを全鍵域にわたり記憶媒体に記憶する調律曲線情報記憶工程と、キー入力により複数の音色を同時に発音する演奏が指示された際に、上記音色決定工程で決定された音色とキーナンバに対応したストレッチ調律データを上記記憶媒体から読み出す調律データ読み出し工程と、上記調律データ読み出し手段により読み出したストレッチ調律データにより音色とキーナンバに応じたピッチを決定して、音高周波数を付与する制御工程とを有することを特徴としている。
【0016】
本発明のコンピュータプログラムは、上記に記載の調律補正方法の各処理をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0017】
本発明の記録媒体は、上記に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の音色を同時に発音する演奏が行われる際に、主として発音させる主音色を決定し、上記決定した主音色のストレッチ調律データを用いてストレッチチューニングを行うようにしたので、主体となる音色を生かした同時発音演奏を実現することができる。
【0019】
また、本発明の他の特徴によれば、オルガン音色の調律曲線データについては平均律調律データのみを用いるようにしたので、オルガン音色を主として同時発音演奏を行う場合においても、オルガン音色についてはストレッチチューニングを行わないようにすることができ、オルガン音色をストレッチチューニングした場合に発生する不都合を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1の実施の形態)
以下、添付図面を参照しながら本発明の電子楽器の調律補正装置、電子楽器の調律補正方法、コンピュータプログラム及び記録媒体の実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態において、複数の音を同時に発音する演奏をデュアル演奏と称しており、2つ以上の複数の音を同時に発音する演奏(アンサンブル演奏)も含むものとする。
図1は、本発明に係る電子楽器の調律補正装置を有する電子楽器の全体的な構成を示す概略ブロック図である。
【0021】
図1において、CPU1は、ROM2のプログラムメモリ部に記憶された制御プログラムに従って上記電子楽器の各部を制御するとともに、ROM2上に記憶されている演奏情報(ここでは主に鍵域情報)24と、音色情報25とに基づいて調律曲線データを読み出して、波形の読み出し速度を演算して、楽音信号発生部7に送る制御を行うものである。
【0022】
このような制御を行うために、上記CPU1には音色設定部21、音色選択部22及び制御部23、チューニングデータ選択部230、調律データ読み出し手段235が設けられている。上記音色設定部21は、音色選択スイッチの操作により指定された音色、例えばギターやピアノ等の音色を設定してRAM3の所定の領域に記憶させる。上記音色設定部21により行われる音色の設定状況は制御部23により読み取られ、ピッチの制御に使用される。
【0023】
音色選択部22は、音色設定部21により設定された複数の同時発音される音色の中から、デュアル演奏時に調律制御を行う対象となる音色を選択するものであり、上記音色選択部22により選択された音色は制御部23により読み取られ、RAM3の所定の領域に一時記憶される。
【0024】
制御部23は、押鍵されることにより発音が指示されると、音色設定部21により設定された音色と押下されたキーのキーナンバに対応した調律曲線データ(ストレッチチューニング)を調律曲線情報記憶部26から読み出す制御を行う。
【0025】
上記チューニングデータ選択部230は、後述するように、記憶媒体26に記憶されている平均律調律データ及びストレッチ調律データの何れを用いて調律を行うのかを選択するためのものである。
【0026】
上記調律データ読み出し手段235は、デュアル演奏時には、上記音色設定部21で設定された音色とキーナンバに対応した調律データを、上記音色選択部22による選択状態に従って記憶媒体26から読み出す処理を行う。
【0027】
制御部23は、音色選択部22により選択された音色について、同時発音される各音色のキーナンバに応じたデュアル演奏用の調律曲線データを上記調律曲線情報記憶部26から読み出す制御をする。
【0028】
ROM2は、上述したCPU1を動作させる制御プログラムの他、音色データ、その他、種々の固定データを記憶している。また、本実施の形態に直接関係する調律曲線データは上記ROM2の調律曲線情報記憶部26に記憶されている。なお、調律曲線情報記憶部26に記憶されている調律曲線データ(ストレッチチューニング・カーブ)については、図3を用いて後で詳述する。
【0029】
演奏情報記憶部24は、イベント情報の集合として構成されており、上記イベント情報は識別符号、鍵番号、打鍵強度、時間情報等により構成されている。なお、本実施の形態においては演奏情報のうち、主として鍵域情報が使用される。
【0030】
音色情報記憶部25は、各音色の楽音データを記憶するものであり、音色設定部21により設定された音色は音色ポインタによって指定されている。すなわち、パネル操作や鍵盤操作、ペダル操作等により上記音色ポインタが変更されると、変更された音色ポインタにより指定されたデータが音色波形メモリ8から読み出されて、所定の演算が施されて楽音信号発生部7に供給される。
【0031】
RAM3にはCPU1の作業用領域、上記電子楽器を制御するための各種レジスタ、カウンタ、フラグ等が定義されている他、ROM2に記憶されている必要なデータが転送されて一時格納されるデータエリア、楽音信号発生部7の各楽音発生回路を未使用チャンネルに割り付けるためのデータを記憶するアサイナメモ等が設けられている。
【0032】
また、操作パネル5の各キーやスイッチの状態に対応して放音に必要なデータがセットされた複数のレジスタ、鍵盤4のオン/オフにより発生された演奏情報を一時記憶する押鍵マップ、ノートオンカウンタも、このRAM3に設けられている。
【0033】
鍵盤4は、発生すべき楽音を指定するために使用されるものであり、複数のキーと、これらキーの押鍵・離鍵動作に連動して開閉するキースイッチとで構成され、検出された押鍵・離鍵動作に伴う信号は制御部23に通知されて、上記制御部23によりRAM3の所定の領域に一時記憶され必要に応じて読み出される。
【0034】
操作パネル5には、電源スイッチの他、モード指定スイッチ、メロディ選択スイッチ、リズム選択スイッチ等、各種のスイッチや表示器が設けられている。なお、本実施の形態に直接関係するデュアルスイッチ5Aや図示しない音色選択スイッチは上記操作パネル5に設けられている。
【0035】
操作パネル5の各スイッチのセット/リセット状態は、上記操作パネル5の内部に含まれるパネルスキャン回路によって検出され、検出されたスイッチのセット状態に関するデータは制御部23の制御の下にRAM3の所定の領域に記憶される。
【0036】
ペダル6は、電子楽器の種類に応じて例えばダンパーペダル、ソフトペダル、ラウドペダル等があり、ペダルの踏込み量に応じて音量を制御したり、音色を変化させて弱音効果を発揮したり、ディケイスピードを制御して、発音状態や発音後の音響状態に変化を与えるものである。
【0037】
楽音信号発生部7は、CPU1から送られた信号に対応する楽音波形データを音色波形メモリ8から読み出してエンベロープを付与することにより、各種楽器に対応した楽音信号を生成出力するものである。
【0038】
このため、上記楽音信号発生部7には、音色波形メモリ8の記憶内容に基づいて楽音を生成する楽音生成部7aと、エンベロープ情報メモリ9の記憶内容に基づいてエンベロープを設定するエンベロープ設定部7bと、波形にエンベロープを掛け合わせる乗算部7dと、打撃成分情報メモリ10の記憶内容に基づいて打撃成分を設定する打撃成分設定部7cと、上記乗算部7dの乗算結果に、この打撃成分設定部7cにより設定された打撃成分の波形を加算する加算部7eが設けられている。
【0039】
音色波形メモリ8は、例えばROM2で構成されて楽音信号を生成するためのデータである周波数ナンバ、波形ナンバ、モードデータ等の楽音の波形データを記憶するものである。弱打、強打等の波形データも上記音色波形メモリ8に記憶されており、楽音生成部7aの図示しない弱打成分楽音信号生成部や強打成分楽音信号生成部等によりアクセスされる。
【0040】
エンベロープ情報メモリ9は、楽音成分に応じた種々のエンベロープデータを記憶するものであり、各鍵を押鍵したときに得られる楽音波形のエンベロープが記憶されている。
【0041】
このエンベロープ情報メモリ9には、例えば同一鍵が押下された場合でも、ペダルがOFFのとき、ONのとき、その他、中間の複数位置のとき等に分けてエンベロープデータが記憶されており、楽音成分選択レジスタ(図示しない)の内容をアドレスとして所定のエンベロープデータが選択され、エンベロープ設定部7bに送られる。
【0042】
打撃成分情報メモリ10は、周波数が音高に応じて変化しない楽音成分の波形データ、即ち、打撃成分の波形データを記憶するものであり、各鍵を押鍵したときに得られる各音色の楽音波形から、打撃音に関する成分を抽出した結果が記憶されている。
【0043】
楽音信号発生部7が出力した楽音信号はD/A変換器11でアナログ変換されたのち音響システム12に送られ、増幅器で所定のレベルに増幅されたのちスピーカから放音される。
【0044】
図2は、波形の読み出し速度を制御する各要因の関係を説明する図である。図2のような構成において所定のタイミングになると制御部23は、演奏情報記憶部24より押鍵されたキーのキーナンバを読み取り、これに基づいて図示しない音律記憶部より例えば平均律に基づく上記キーナンバに応じたデータを読み取る。
【0045】
続いて、音色情報記憶部25に設定されている音色が読み取られ、上記キーナンバと設定されている音色に基づき調律曲線情報記憶部26よりピッチを補正する調律曲線データが読み出されて上記ピッチが補正されて楽音信号発生部7に送られる。
【0046】
楽音信号発生部7の楽音生成部7aが使用する周波数ナンバは発音周波数に比例する値(Fナンバという)であり、例えば平均律におけるC,C♯,D,D♯,E,F,F♯,G,G♯,A,A♯,Bという12個のデータを有した構成となっている。
【0047】
したがって、キーナンバや音色に応じたピッチの補正は、これらのデータに対するピッチ調整値としてのセント値に対応した所定値(周波数比)を乗算器7dで乗算し、上記乗算により変更されたピッチを加算器7eで累算して所望の音高の楽音を生成するようになっている。
【0048】
図3は、調律曲線情報記憶部26に記憶されている調律曲線データの一例を示す図である。図3に示すように、本実施の形態においては音色毎に2種類のストレッチチューニング・カーブが上記調律曲線情報記憶部26に記憶されている。図3には、代表して「ピアノ」、「ストリングス」の各音色を示している。
【0049】
これらの音色において、本実施の形態においてはCPU1内に設けたチューニングデータ選択手段230がソロ演奏モードであるかデュアル演奏モードであるかを自動的に判断して、上記チューニングデータ選択手段230が判断した演奏モードに応じた調律曲線データを調律データ読み出し手段235が調律曲線情報記憶部26から読み出すようにしている。
【0050】
そして、上記調律データ読み出し手段235により読み出した調律曲線データにより音色とキーナンバに応じたピッチを決定して、制御手段23が音高周波数を付与することにより、ソロ演奏モードとデュアル演奏モードとで調律データを異ならせることが可能にしている。
【0051】
上記チューニングデータ選択手段230の判断は、自動伴奏装置を用いた演奏の場合にはアンサンブル演奏であると判断し、自動伴奏装置を用いない場合にはソロ演奏モードを認識するようにしている。なお、アンサンブル演奏モードまたはソロ演奏モードのどちらで演奏を行うのかを演奏者が任意に選択できるようにしている。
【0052】
上記のように、調律曲線情報記憶部26にデュアル演奏モード用のストレッチカーブ調律データ、及びソロ演奏モード用のストレッチカーブ調律データを記憶するようにするとともに、チューニングデータ選択手段230を設けることにより、華やかで且つ違和感のないデュアル演奏を実現できるようにしている。
【0053】
すなわち、本実施の形態においては、「ピアノ」においては、ソロ演奏モードでは(a1)で示したような平均律調律データ31とストレッチカーブ調律データ(第1のストレッチ調律データ)32とを有している。また、「ストリングス」においては、ソロ演奏モードでは(b1)で示したような平均律調律データ33とストレッチカーブ調律データ(第1のストレッチ調律データ)34とを有している。
【0054】
一方、図3(a2)及び(b2)に示したように、デュアル演奏モードにおいては、「ピアノ」の場合は上記ソロ演奏モード時のストレッチカーブ調律データ32とは異なるストレッチカーブ調律データ(第2のストレッチ調律データ)320を用いて調律を行うようにしている。
【0055】
「ストリングス」の場合も同様に、デュアル演奏モードにおいては、上記ソロ演奏モード時のストレッチカーブ調律データ34とは異なるストレッチカーブ調律データ(第2のストレッチ調律データ)340を用いて調律を行うようにしている。
【0056】
上記デュアル演奏モードのストレッチカーブ調律データ320は、ソロ演奏モードにおけるストレッチカーブ調律データ32とは異なり、高音域及び低音域において平均律調律データ31に近い調律データとなっている。上記「ストリングス」のストレッチカーブ調律データ340の場合も同様に、ソロ演奏モードにおけるストレッチカーブ調律データ34とは異なり、高音域及び低音域において平均律調律データ33に近い調律データとなっている。
【0057】
上述のように、本実施の形態においては、デュアル演奏モード時のストレッチカーブ調律データ(320、340)を、ソロ演奏モード時のストレッチカーブ調律データ(32、34)とは異ならせることにより、デュアル演奏モード時に複数の音色についてストレッチチューニングを実行しても、高音域及び低音域で発生する違和感がなく、且つ華やかなデュアル演奏を可能にしている。
【0058】
図4は、各音色とキーナンバに応じてピッチを制御する本実施の形態の電子楽器の調律補正装置の動作を説明するフローチャートである。以下、図面を参照しながら本実施の形態の動作について説明する。
【0059】
操作パネル5に設けられている電源スイッチまたはリセットスイッチがオンされると、初期化処理が行われる(ステップS11)。この初期化処理は、CPU1内部のレジスタやRAM3の内部に定義されているレジスタの初期設定をしたり、ROM2に記憶されている所定データやプログラムをRAM3に移動したり、さらには、音色ポインタを初期化し、初期音色を設定する等の処理である。
【0060】
次いで、操作パネル5の音色選択スイッチの設定に変更があるか否かが調べられる(ステップS12)。そして、音色選択スイッチの設定に変更がある場合には、音色選択スイッチで設定されている音色に応じて音色ポインタを変更する(ステップS13)。
【0061】
次いで、押鍵された鍵のキーナンバが調べられ、基準となる音律とともに設定されている音色とキーナンバに応じた調律曲線データが調律曲線情報記憶部26より読み出されてRAM3の所定の領域に記憶された後にステップS12に戻る。
【0062】
これにより、音色を変更するイベントがあった際のメインルーチンの発音処理においては、上記音色とキーナンバに応じた調律曲線データによりピッチが制御される。
【0063】
一方、ステップS12の判断の結果、音色選択スイッチの設定に変更がない場合には、鍵盤4のキーが押鍵されたか否かが調べられる(ステップS14)。この判断の結果、キーが押鍵された場合には、押鍵されたキーに応じたアサイン処理を行い、所定の波形を読み出したのちステップS12に戻る(ステップS15)。
【0064】
このアサイン処理は、楽音信号発生部7にポリフォニック数分備えられている楽音生成部7aのいずれを使用して楽音信号を生成するかを、空きチャンネルの状況に応じて割り当てるための処理である。
【0065】
この割り当て処理により割り当てられた楽音生成部7aに設定されている音色や、タッチセンサで検出したキータッチ、キーナンバ等のデータが制御部23に送られ、押鍵状態に応じた楽音信号の生成が指示される。
【0066】
一方、ステップS14の判断の結果、押鍵されたキーがなかった場合には、次いで離鍵されたキーがあるか否かが調べられ(ステップS16)、離鍵されたキーがなかった場合には、そのままステップS12に戻り、同様の処理が繰り返される。
【0067】
一方、ステップS16の判断の結果、離鍵されたキーがあった場合には離鍵処理が行われる(ステップS17)。この離鍵処理とは、離鍵された鍵のキーナンバや、その時のペダル情報等に応じて、既に作動しているエンベロープ設定部7bに所定のエンベロープ情報を送出する処理である。
【0068】
このようにして上記ステップS13において、選択されている音色とキーナンバに応じた最適の調律曲線データが選択されて音高周波数が決定されるので、各音色とキーナンバに応じた制御が可能となり、アコースティックな楽器に近い良好な響きを持った電子楽器が提供できる。
【0069】
例えば、ペダル情報がOFFならば、所定のリリースデータを送出し、エンベロープを速やかに「0」に収束させて発音を打ち切る処理を行ったのち、ステップS12に戻り、以下同様の処理を繰り返す。
【0070】
図5は、デュアル演奏モードを有する電子楽器の調律補正装置の動作を説明するフローチャートである。以下、図面を参照しながら複数音色の同時発音時における音色変更に伴う調律曲線データの選択動作について説明する。
【0071】
操作パネル5に設けられている電源スイッチまたはリセットスイッチがオンされると初期化処理が行われる(ステップS21)。
【0072】
この初期化処理は、CPU1内部のレジスタやRAM3内部に定義されているレジスタの初期設定をしたり、ROM2に記憶されている所定データやプログラムをRAM3に移動したり、さらには、音色ポインタを初期化し、初期音色を設定する等の処理である。
【0073】
次いで、操作パネル5の音色選択スイッチの設定に変更があるか否かが調べられる(ステップS22)。その結果、音色選択スイッチの設定に変更のない場合は分岐してステップS26に進む。
【0074】
一方、音色選択スイッチの設定に変更があった場合は、RAM3のパネルイベントバッファが調べられ、デュアル演奏モードであるか否かが判定される(ステップS23)。上記デュアル演奏モードかソロ演奏モードかの判定は上記チューニングデータ選択手段230により行う。
【0075】
その結果、デュアル演奏モードの場合には、押鍵された鍵のキーナンバに応じたストレッチカーブ調律データが、チューニングデータ選択手段230により調律曲線情報記憶部26より読み出されて、基本となる音高に所定の修正が加えられて(ステップS24)、RAM3の所定の領域に一時記憶されたのちステップS22に戻り、以下同様の処理を繰り返す。
【0076】
これにより、デュアル演奏の際には、音色選択部22により選択された音色と、同時発音される各音色のキーナンバに基づいてストレッチカーブ調律データが読み出されて各音色のピッチの制御が行なわれるので、華やかで且つ違和感のないデュアル演奏を実現できる。
【0077】
一方、上記ステップS23でデュアル演奏モードではない場合には分岐してステップS24に進み、キーナンバが調べられ、設定されている音色とキーナンバに応じたストレッチカーブ調律データが調律曲線情報記憶部26より読み出されてRAM3の所定の領域に記憶されたのちステップS22に戻る。
【0078】
ステップS25〜ステップS28までの処理動作は、上記図4のステップS14〜ステップS17の処理と同じであるので説明を省略する。
【0079】
これにより、複数音色が同時発音される際には、華やかで且つ違和感のないデュアル演奏を実現できる電子楽器の調律補正装置を提供することができる。
【0080】
また、本実施の形態は基本となる音高と、調律曲線情報記憶部26から読み出した基本となる音高に対する音色とキーナンバに応じた補正値に基づいて演算を施してピッチを制御する場合を例に説明しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0081】
例えば、調律曲線データ作成時に、基本となる音高と、上記基本となる音高に対する各音色とキーナンバに応じた補正値を加味した演算処理を行い、上記演算処理の結果を調律曲線情報記憶部26に記憶させ、上記調律曲線情報記憶部26から読み出したデータに基づいてピッチを制御するように構成してもよい。
【0082】
上述した実施の形態においては、「ピアノ」及び「ストリングス」について説明したが、ハープシコードなどの鍵盤楽器、フルート、トランペットなどの管楽器、ストリングス以外の弦楽器などについても同様に適用することができる。なお、「オルガン」等のように、ストレッチチューニングを行うと、和音を演奏するとうねりを生じてしまって好ましくない場合には行わない場合もある。
【0083】
(第2の実施の形態)
次に、図6〜図8を用いて本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態においては、デュアル演奏時において、主体となる音色に適した調律を行うことができるように設定するための設定手段240をCPU1に設けている。上記設定手段240は、「DualA」241、「DualB」242、ストレッチスイッチ243、及び主音色認識部244を有している。
【0084】
例えば、システムで設定可能なパラメータとして、鍵盤パートのピアノ調律曲線のストレッチスイッチ243を設け、上記ストレッチスイッチ243を「ON」と設定すれば、ストレッチスイッチを常にONとすることができ、上記ストレッチスイッチ243を「OFF」と設定すればストレッチスイッチを常にOFとすることができる。
【0085】
更に、ピアノ音色を含むデュアル演奏を行う場合、ピアノ音色とその他の音色(以後、例としてストリングス音色とする)との音量を比較して、主に使用したい音色を上記主音色認識部244により判断するようにしている。
【0086】
図7(a)〜(d)は、操作者がストレッチチューニングを行うか否かを設定可能とするシステムの仕組みを説明する図である。図7において、第1のフェーダ「DualA」241と付しているボリュームはピアノ、第2のフェーダ「DualB」242と付しているボリュームはストリングスを示している。
【0087】
図7(a)に示した状態は、「DualB」242が「DualA」241よりも大きく設定されている場合であり、上記「DualA」241が「ピアノ」で上記「DualB」242が「ストリングス」の場合には、ストレッチはストリングスとする。また、「DualA」241が「ストリングス」であり、「DualB」242が「ピアノ」である場合にはストレッチはピアノとしている。
【0088】
図7(b)は、図7(a)において「DualA」241が「ピアノ」で「DualB」242が「ストリングス」の場合にであって、「ピアノ」の設定音量が「ストリングス」の音量よりも小さいことにより、ストレッチスイッチ243がOFFとなり、ストリングスのストレッチチューニングとなっている状態を図示しているものである。
【0089】
図7(c)は、図7(b)の状態から「DualA」241の音量設定を大きく変更した状態を示しているものであり、「DualB」242の設定音量よりもm%大きく設定した場合に、ストレッチスイッチ243がONとなり、ピアノのストレッチチューニングが行われていることを示している。
【0090】
図7(d)は、図7(b)の状態から「DualA」241の音量設定を小さく変更した状態を示しているものであり、「DualB」242の設定音量よりもn%小さく設定した場合に、ストレッチスイッチ243がOFFとなり、ストリングスのストレッチチューニングが行われていることを示している。なお、上記「DualA」241、「DualB」242、ストレッチスイッチ243は機能を分かり易く説明するために図示したものであり、実際には内部のプログラム処理で実行可能であるので、これらの操作子を設ける必要はないものである。
【0091】
次に、図8のフローチャートを参照しながら本実施の形態のストレッチチューニング処理の手順を説明する。
処理が開始されると、最初にステップS81において初期化処理が行われる。この初期化処理は、上述した図4及び図5のフローチャートで説明したのと同じ処理であり、CPU1内部のレジスタやRAM3の内部に定義されているレジスタの初期設定をしたり、ROM2に記憶されている所定データやプログラムをRAM3に移動したり、さらには、音色ポインタを初期化し、初期音色を設定する処理である。
【0092】
次に、ステップS82において、音色スイッチの変更の有無を調べる。この処理も上述した図4及び図5のフローチャートで説明したのと同じ処理である。この変更の有無の判断の結果、変更が有った場合にはステップS83に進み、音色変更の処理を行う。
【0093】
次に、ステップS84に進み、変更された音色がピアノ音色であるか否かを判断する。この判断の結果、変更された音色がピアノ音色であった場合にはステップS85に進み、他方のパートがピアノ音色であるか否かを判断する。この判断の結果、他方のパートがピアノ音色であった場合にはステップS86に進み、ピアノ音色のストレッチ処理を行う。
【0094】
一方、上記ステップS85の判断の結果、他方のパートがピアノ音色でなかった場合にはステップS87に進み、上記図7(c)で説明したように、上記「DualA」241のボリュームが「DualB」242の値よりもm%以上であるか否かを判断する。この判断の結果、そうであった場合には上記ステップS86に進んで「ピアノ音色」のストレッチ処理を行う。
【0095】
また、ステップS87の判断の結果、上記「DualA」241のボリュームが「DualB」242の値よりもm%以上でなかった場合にはステップS88に進んで「ストリングス音色」のストレッチ処理を行う。
【0096】
一方、ステップS84の判断の結果、「ピアノ音色」でなかった場合にはステップS89に進んで、他方のパートがピアノ音色ではないか判断する。この判断の結果、他方のパートが「ピアノ音色」ではない場合にはステップS88に進んで「ストリングス音色」のストレッチ処理を行う。
【0097】
また、ステップS89の判断の結果、他方のパートがピアノ音色である場合にはステップS90に進んで、上記「DualA」241のボリュームが「DualB」242の値よりもn%以下であるか否かを判断する。この判断の結果、そうであった場合には上記ステップS88に進んで「ストリングス音色」のストレッチ処理を行う。
【0098】
また、ステップS90の判断の結果、上記「DualA」241のボリュームが「DualB」242の値よりもn%以下でなかった場合にはステップS91に進み、「ピアノ音色」のストレッチ処理を行う。本実施の形態においては、上述のようにしてストレッチ処理を行うので、複数の音色によるデュアル演奏を行う際に、主体となる音色に適した調律を行うことができる。
【0099】
また、ステップS82の判断の結果、音色スイッチの変更が無かった場合にはステップS92に進み、ボリュームが変更されているか否かを判断する。この判断の結果、変更されていた場合にはステップS93に進んで音量変更処理を行い、その後ステップS84に進む。
【0100】
また、ステップS92の判断の結果、ボリュームが変更されていなかった場合にはステップS94の鍵盤イベントの判断に進む。ステップS94の鍵盤イベントの判断、ステップS95の発音/消音処理、ステップS96のその他の処理は通常の電子楽器の処理と同様である。
【0101】
なお、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、「オルガン」については「平均律調律データ」と「ストレッチカーブ調律データ」とを同じにしている。逆に言えば、「オルガン」についてはストレッチ処理を行わないようにしている。したがって、主体となる音色が「オルガン」であった場合にはストレッチ処理をOFFにすることになる。
【0102】
(本発明の他の実施の形態)
上述した実施の形態の機能を実現するべく各種のデバイスを動作させるように、上記各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに対し、上記実施の形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納されたプログラムに従って上記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
【0103】
また、この場合、上記ソフトウェアのプログラムコード自体が上述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えば、かかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記録する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0104】
また、コンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、上述の実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施の形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施の形態に含まれる。
【0105】
さらに、供給されたプログラムコードがコンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合にも本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示し、電子楽器の調律補正装置を有する電子楽器の全体構成を説明するブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の電子楽器の波形の読み出し制御を説明する図である。
【図3】第1の実施の形態の電子楽器の調律曲線情報記憶部に記憶されているストレッチカーブ調律データの一例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態の電子楽器において、各音色とピッチ制御の動作を説明するフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態の電子楽器において、デュアル演奏モード時のピッチ制御の動作を説明するフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態を示し、電子楽器の調律補正装置を有する電子楽器の全体構成を説明するブロック図である。
【図7】第2の実施の形態の電子楽器に設けられる設定手段を説明する図である。
【図8】第2の実施の形態において行われるストレッチ処理の一例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
4 鍵盤
5 操作パネル
5A デュアルスイッチ(デュアル演奏指示手段)
6 ペダル
7 楽音信号発生部
7a 楽音生成部
7b エンベロープ設定部
7c 打撃成分設定部
7d 乗算器
7e 加算器
8 音色波形メモリ
9 エンベロープ情報メモリ
10 打撃成分情報メモリ
11 D/A変換器
12 音響システム
21 音色設定部(音色設定手段)
22 音色選択部(音色選択手段)
23 制御部(制御手段)
24 演奏情報記憶部
25 音色情報記憶部
26 調律曲線情報記憶部(調律曲線情報記憶手段)
230 チューニングデータ選択手段
235 調律データ読み出し手段
240 設定手段
241 第1のフェーダ
242 第2のフェーダ
243 ストレッチスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の音色を同時に発音することが可能な電子楽器における調律補正装置であって、
上記同時に発音する複数種類の音色の中から基準となる音色を決定する主音色決定手段と、
上記複数種類の音色とキーナンバに応じたストレッチ調律データであって、複数の音色を同時に発音する演奏時に用いるストレッチ調律データを全鍵域にわたり記憶媒体に記憶する調律曲線情報記憶手段と、
キー入力により複数の音色を同時に発音する演奏が指示された際に、上記音色決定手段で決定された音色とキーナンバに対応したストレッチ調律データを上記記憶媒体から読み出す調律データ読み出し手段と、
上記調律データ読み出し手段により読み出したストレッチ調律データにより音色とキーナンバに応じたピッチを決定して、音高周波数を付与する制御手段とを有することを特徴とする電子楽器の調律補正装置。
【請求項2】
上記主音色決定手段は、同時に発音される複数音色の音量を比較して上記基準となる主音色を決定することを特徴とする請求項1に記載の電子楽器の調律補正装置。
【請求項3】
上記複数種類の音色を同時に発音する時に、オルガン音色については平均律調律データを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子楽器の調律補正装置。
【請求項4】
複数種類の音色を同時に発音することが可能な電子楽器における調律補正方法であって、
上記同時に発音する複数種類の音色の中から基準となる音色を決定する主音色決定工程と、
上記複数種類の音色とキーナンバに応じたストレッチ調律データであって、複数の音色を同時に発音する演奏時に用いるストレッチ調律データを全鍵域にわたり記憶媒体に記憶する調律曲線情報記憶工程と、
キー入力により複数の音色を同時に発音する演奏が指示された際に、上記音色決定工程で決定された音色とキーナンバに対応したストレッチ調律データを上記記憶媒体から読み出す調律データ読み出し工程と、
上記調律データ読み出し手段により読み出したストレッチ調律データにより音色とキーナンバに応じたピッチを決定して、音高周波数を付与する制御工程とを有することを特徴とする電子楽器の調律補正方法。
【請求項5】
上記主音色決定工程において、同時に発音される複数音色の音量を比較して上記基準となる主音色を決定することを特徴とする請求項4に記載の電子楽器の調律補正方法。
【請求項6】
上記複数種類の音色を同時に発音する時に、オルガン音色については平均律調律データを用いることを特徴とする請求項4又は5に記載の電子楽器の調律補正方法。
【請求項7】
上記請求項4〜6の何れか1項に記載の調律補正方法の各処理をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
上記請求項7に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−282056(P2008−282056A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215891(P2008−215891)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【分割の表示】特願2004−99521(P2004−99521)の分割
【原出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】