説明

電子機器、電子メール作成時の変換候補表示方法、および変換候補表示プログラム

【課題】作成する電子メールがHTML記述のテンプレートや通信規約に基づくメッセージにより定義されたテンプレートを用いた電子メールであるか、あるいは、テキストのみで構成された電子メールであるかをユーザが意識せずに簡単に電子メール作成を行うことができるようにする。
【解決手段】電子機器1は、電子メールの作成が可能に構成された電子機器であって、電子メール作成における文字又は文字列の入力に対応して、複数の変換候補の文字列を表示する選択画面に、HTML記述のテンプレートを伴う変換候補を表示させる変換候補表示手段11−2と、HTML記述のテンプレートを伴う変換候補が選択された場合に、該変換候補の文字列に割り当てられたHTML記述のテンプレートを表示し、該テンプレートを使用して電子メール作成可能に制御する電子メール作成制御手段11−1と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールの作成が可能に構成された電子機器、電子メール作成時の変換候補表示方法および変換候補表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子メールの本文をウェブページのレイアウトなどに使うHTML(ハイパー・テキスト・メークアップ・ランゲージ)で記述することで、通常の電子メールでは不可能な、色付け、フォントサイズの変更、画像の埋め込みなどの表現が可能なHTMLメールが知られている。
【0003】
このHTMLメールでは、例えば電子メールの作成画面およびこの作成画面におけるテキスト、音声、静止画、動画などを含むコンテンツデータのレイアウトや装飾を記述したテンプレート(文書の雛型など)に従って、そのコンテンツデータを配列した電子メールの作成画面を表示装置に表示可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
テンプレートをHTMLにより記述するほかにも、複数の電子機器が同じ通信方式を用いて通信を行う場合において、所定の通信規約に基づくメッセージまたはこのメッセージの組み合わせにより、テンプレートを定義し、電子装置を使用する者同士が、このようにして定義された“テンプレート”を用いて電子メールをやり取りする方法もある。
以下より、HTMLメールの作成手順を示すが、上記通信規約に基づくメッセージによる電子メール作成手順においても以下と同様となる。
【0005】
図5は、HTMLメールの作成手順を、電子機器である携帯端末(携帯電話機やPHS端末等)で実施する場合を示す説明図である。
まず、電子メール(E電子メール)の作成を行う場合は、キー操作等により電子メールメニューの画面M1を表示部に表示し、この画面M1上に表示された新規の電子メール作成を行う「E電子メール作成」および新規のHTMLメール作成を行う「HTMLメール作成」のうち、「HTMLメール作成」を選択する。ここで、「E電子メール作成」は、電子メール本文をテキストのみで作成するモードを指し、「HTMLメール作成」は、電子メールの本文をHTMLにて記述するモードを指す。
【0006】
なお、電子メールメニューに「HTMLメール作成」が無くても、「E電子メール作成」の選択後に、「テキスト電子メール作成」か「HTMLメール作成」かの選択画面となる場合も同様である。
【0007】
そして、「HTMLメール作成」を選択すると、HTMLメールを作成するための画面M1−2が表示され、「通信先名(To)」、「通信元名(From)」、「件名(Sub)」、「添付画像指定(添付)」、「本文入力(本文)」などの入力項目が表示される。各項目の入力が完了した後、続いてHTMLメールの編集メニュー画面M1−3が表示される。
【0008】
編集メニュー画面M1−3には、「テンプレートの読み込み」、「範囲指定」、「文字色」、「文字サイズ」、「文字点滅」、「画像挿入」、「テロップ」、「スイング」、「文字位置設定」、「背景色変更」、「ライン挿入」、「やり直し」、「全削除」などの編集項目が表示される。
【0009】
HTMLメールを作成する際は、最初に、あらかじめ定型的な文章や画像およびこれらの装飾がなされた各種のテンプレートを使用することが一般的である。テンプレートを使用する場合は、上記「テンプレートの読み込み」を選択すると、テンプレート選択画面が表示される(図示略)。例えば、テンプレートの内容を示す単語の一覧や、テンプレートのサムネイルを並べたものなどが表示される。
【0010】
このテンプレート選択画面において、ユーザが使用したいテンプレートを選択する。そして、選択したテンプレートにユーザが文字を入れたり、さらに装飾を施すなどの編集を行って、送信するHTMLメール文書を作成する。
【0011】
なお、電子メールメニュー中の「E電子メール作成」を選択した場合には、「E電子メール作成」の画面M1−1が表示され、「通信先名(To)」、「通信元名(From)」、「件名(Sub)」、「添付画像指定(添付)」、「本文入力(本文)」などの入力項目が表示される。各項目の入力が完了した後、文字のみによるテキスト電子メールの送信が可能になる。
【特許文献1】特開2005−317038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のHTMLメールの作成にあっては、ユーザは、送信する電子メール文書を予めHTML記述とすることに決めてから、「HTMLメール作成」を前記電子メールメニュー上で選択し、HTMLメールの作成作業に入る必要がある。このため、ユーザがテキスト電子メールの作成の途中で装飾や画像を入れたくなった場合は、作成途中の電子メールを全て破棄して、電子メールメニューの画面M1に戻り、「HTMLメール作成」を選択して、HTMLメールの作成を行う必要がある。
【0013】
あるいは、HTMLメール作成(編集)の途中で、文字のみによるテキスト電子メールに変更したい場合には、作成途中のHTMLメールを全て破棄して、電子メールメニューの画面M1に戻り、「E電子メール作成」を選択して、最初から電子メール作成をやり直さなければならない。
【0014】
また、HTMLメールの作成(編集)の途中で、最初に選択したテンプレートを別のテンプレートに変えたい場合、作成途中のHTMLメールを全て破棄して、テンプレート選択画面に戻り、別の新たなテンプレートを選択してHTMLメール作成を最初からやり直す必要がある。
【0015】
特に、携帯端末においては、電子メール作成を気軽に簡単に行いたいとの要求が強く、現状では、作成する電子メールがHTMLであるかテキストであるかをユーザが意識して作成する必要があるとともに、上記のようなHTMLメール作成の煩雑さが生じ、結果としてユーザがHTMLメールを敬遠し、HTMLメールの利用頻度を下げるという問題点がある。
【0016】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、作成する電子メールがHTML記述のテンプレートや通信規約に基づくメッセージまたは該メッセージの組み合わせにより定義されたテンプレートを用いた電子メールであるか、あるいは、テキストのみで構成された電子メールであるかをユーザが意識せずに簡単に電子メール作成を行うことができる電子機器、電子メール作成時の変換候補の表示方法およびそのプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的達成のために、本発明に係る電子機器は、電子メールの作成が可能に構成された電子機器であって、電子メール作成における文字又は文字列の入力に対応して、複数の変換候補の文字列を表示する選択画面に、テンプレートを伴う変換候補を表示させる変換候補表示手段と、前記テンプレートを伴う変換候補が選択された場合に、該変換候補の文字列に割り当てられたテンプレートを表示し、該テンプレートを使用して電子メール作成可能に制御する電子メール作成制御手段と、を有することを特徴とする。
上記構成により、文字変換の変換候補として、テンプレートを伴う変換候補を表示させ、これを選択することにより、テンプレートの表示およびテンプレートを使用した電子メール作成を行うことができるので、作成する電子メールがテンプレートを用いた電子メールであるか、あるいは、テキストのみで構成された電子メールであるかをユーザが意識せずに簡単に電子メール作成を行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る電子機器は、前記テンプレートは、HTMLを用いて記述されたテンプレートであることを特徴とする。
上記構成により、作成する電子メールがHTMLを用いて記述されたものであるか、あるいは、テキストのみで構成された電子メールであるかをユーザが意識せずに簡単に電子メール作成を行うことができる。
【0019】
また、本発明に係る電子機器は、電子機器は更に所定の通信規約に基づき通信を行う通信部を含み、前記テンプレートは、前記通信部が従う通信規約に基づくメッセージまたは該メッセージの組み合わせにより定義されたテンプレートであることを特徴とする。
上記構成により、作成する電子メールが所定の通信規約に基づくメッセージまたは該メッセージの組み合わせにより定義されたテンプレートを用いた電子メールであるか、あるいは、テキストのみで構成された電子メールであるかをユーザが意識せずに簡単に電子メール作成を行うことができる。
【0020】
また、本発明に係る電子機器は、前記テンプレートを伴う変換候補には、テンプレートを伴うことを示す表示がなされていることを特徴とする。
上記構成により、テンプレートを伴う変換候補には、テンプレートを伴うことを示す表示がなされているので、変換候補に対するテンプレートの有無を確認し易くすることができる。
【0021】
また、本発明に係る電子機器は、前記テンプレートを伴うことを示す表示は、所定のマークを所定位置に表示することを特徴とする。さらに、前記所定位置は、前記変換候補の文字列に隣接した位置であることを特徴とする。
上記構成により、所定のマークを視認することにより、変換候補に対するテンプレートの有無を確認することができる。
【0022】
また、本発明に係る電子機器は、前記テンプレートを伴うことを示す表示は、テンプレートのサムネイル画像を前記変換候補の文字列に隣接した位置に表示する、又は、前記変換候補の文字列にカーソルを合わせたときにテンプレートのサムネイル画像をポップアップ表示させることを特徴とする。
上記構成により、変換候補を選択し確定する前に、テンプレートの内容を確認することができる。
【0023】
また、本発明に係る電子機器は、前記テンプレートを伴う変換候補に対して、テキストを入力するかテンプレートを入力するかを選択するキーを設けたことを特徴とする。
上記構成により、キーの選択により同じ文字列の変換候補に対して、テキストを入力するかテンプレートを入力するかを選択することができる。
【0024】
また、本発明に係る電子機器は、前記テンプレートを伴う変換候補を選択した場合に、テンプレート使用有無を選択する画面を表示することを特徴とする。
上記構成により、テンプレート使用有無を選択する画面において、選択をすることにより、同じ文字列の変換候補に対して、テキストを入力するかテンプレートを入力するかを選択することができる。
【0025】
また、本発明に係る電子機器は、前記テンプレートを伴う変換候補の文字列に対応するテンプレートを登録したテンプレート保存テーブルを有し、変換候補文字列およびテンプレートの新規登録または編集が可能に構成されていることを特徴とする。
上記構成により、新たなテンプレートを追加・登録して、この新たなテンプレートを伴う変換候補として表示し、テンプレートを呼び出して使用することができる。
【0026】
また、本発明に係る電子機器は、前記変換候補表示手段は、入力した文字又は文字列に続くと思われる単語や文字列を変換候補として示す予測変換候補の文字列を表示する。
上記構成により、予測変換候補文字列の選択によって、文字列の入力効率を高めて電子メールを作成することができる。
【0027】
また、本発明に係る電子メール作成時の変換候補表示方法は、電子機器における電子メール作成時の文字又は文字列の入力に対応して、複数の変換候補の文字列を表示する選択画面に、テンプレートを伴う変換候補を表示することを特徴とする。
上記方法により、文字変換の変換候補として、テンプレートを伴う変換候補を表示させ、これを選択することにより、テンプレートの表示およびテンプレートを使用した電子メール作成を行うことができるので、作成する電子メールがテンプレートを用いた電子メールであるか、あるいは、テキストのみで構成された電子メールであるかをユーザが意識せずに簡単に電子メール作成を行うことができる。
【0028】
また、本発明に係る電子メール作成時の変換候補表示プログラムは、電子メール作成が可能に構成された電子機器に対して、電子メール作成における文字又は文字列の入力に対応して、複数の変換候補の文字列を表示する選択画面に、テンプレートを伴う変換候補を表示する機能を実現させることを特徴とする。
上記プログラムを使用することにより、文字変換の変換候補として、テンプレートを伴う変換候補を表示させ、これを選択することにより、テンプレートの表示およびテンプレートを使用した電子メール作成を行うことができるので、作成する電子メールがテンプレートを用いた電子メールであるか、あるいは、テキストのみで構成された電子メールであるかをユーザが意識せずに簡単に電子メール作成を行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、電子メールの作成途中で、文字変換の変換候補としてHTML記述のテンプレートや通信規約に基づくメッセージまたは該メッセージの組み合わせにより定義されたテンプレートを伴う変換候補を表示させ、これを選択することで、テンプレートを用いた電子メールの作成をユーザに意識させずに行うことができるものである。
また、電子メールの作成中に、一旦入力したテンプレートを削除すれば、テキスト電子メールとして電子メール作成を続けることができ、あるいは、新たなテンプレートを伴う変換候補を選択すれば、作成中の電子メール本文のテンプレートが新たなテンプレートに自動的に置き換わり、電子メール作成を続けることができる。
すなわち、作成する電子メールがテンプレートを用いた電子メールであるか、あるいは、テキストのみで構成された電子メールであるかをユーザが意識せずに簡単に電子メール作成を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態による電子機器を示すブロック図、図2は、本実施の形態によるHTMLメールの作成手順の概略を示す説明図、図3は、HTMLメールの作成手順を示すフローチャート、図4は、入力文字対応のテンプレートを示すテーブル図である。
【0031】
本実施の形態による電子機器が携帯端末(携帯電話機やPHS端末等)である場合を例にして、図1について説明する。
図1において、この携帯端末1は、通信や文字の入出力などを制御する制御部11を備えている。この制御部11には、操作部12、表示部13、メモリ部14および通信部15がそれぞれ接続されている。
【0032】
これらのうち、制御部11は、携帯端末1の各種機能に対する制御や演算を実行する。本実施形態では、制御部11は電子メール作成制御手段11−1と、文字列の入力に対して複数の変換候補文字を表示する選択画面に、テンプレート付きの変換候補を表示させる変換候補表示手段11−2とを備える。
【0033】
操作部12は、ダイヤルキー(数字キー)、電源キー、通話キー、保留キー、方向指示キーなどの各種キーを含む。本実施の形態では、電子メールモードに入るための選択キーとして、例えばこの方向指示キーが用いられる。携帯端末1では、配置できるキー数が限られているので、英字(アルファベット)、仮名文字、記号等を入力するためのキー(文字入力手段)は電話番号等の数字を入力するダイヤルキー(数字キー)と共通になっている。なお、入力文字の確定はいずれかの前記キーを用いて実施される。
【0034】
表示部13は、電子メール文のほか、電話番号、通信履歴、画像などを表示する液晶や有機EL等のディスプレイであり、使用者が文字入力を行う際には、入力した文字列の変換候補や予測変換候補の単語、あるいはこの単語の先頭文字等が表示される。
【0035】
メモリ部14は、変換候補テーブル14−1と、テンプレート保存テーブル14−2、プログラム格納部14−3とを有する。
【0036】
変換候補テーブル14−1は、入力文字列を他の文字列に変換するのに使用される。なお、この変換候補テーブル14−1は、電子機器に予め備わった辞書変換ソフトウエア(単語・文節の検索や変換のアルゴリズム等を含むシステム)の一部の機能として存在する。
【0037】
図2は、テンプレート保存テーブル14−2の一例を示す図である。このテンプレート保存テーブル14−2は、特定の、例えば挨拶などで使用される頻度が高い入力文字列ごとに、この入力文字列を含む電子メール文を装飾するテンプレート(temp1、temp2、・・・)が用意されている。例えば、「ありがとう」という文字列に対してはテンプレートtemp1が対応し、「アリガト」という文字列に対してはテンプレートtemp2が対応する。このテンプレートは電子メールフォーマットとして広く流通しているHTML構造化言語を用いて作られている。
【0038】
次に動作について、図3および図4を参照して説明する。図3は、本実施の形態による電子メールの作成手順の概略を示す説明図である。図4は、本実施の形態による電子メールの作成手順を示すフローチャートである。
【0039】
まず、携帯端末1における操作部12のE電子メールキーを操作する。このキー操作により、電子メールメニューの表示がなされる(ステップS1)。例えば、図3に示す電子メールメニューM2が表示される。
電子メールメニューM2には、「1.受信電子メール一覧」、「2.E電子メール作成」、「3.送信電子メール一覧」、「4.E電子メール受信」、「5.E電子メール送受信」、「6.E電子メール送信」、「7.設定」、などの機能選択の表示がなされ、ユーザによる番号入力又はカーソルを合わせて選択した番号の機能を実行する。
上記電子メールメニューM2には、従来例のような「HTMLメール作成」の表示はなく、本実施の形態の携帯端末では、ユーザは、電子メールの属性がテキスト電子メールであるかHTMLメールかの区別を意識することなく作成することができる。
【0040】
そして、電子メール作成制御手段11−1は、電子メールメニューM2に示されたいずれかの機能が選択されたことを検知し、E電子メール作成か否かを判定する(ステップS2)。
「2.E電子メール作成」以外の他の機能が選択される(ステップS2:No)と、選択された機能の処理が行われる(ステップS3)。
一方、「2.E電子メール作成」の選択が検知される(ステップS2:Yes)と、E電子メール作成のための各項目の入力選択画面M3が表示される(ステップS4)。入力選択画面M3には、「通信元名(From)」、「通信先名(To)」、「件名(Sub)」、「添付画像指定(添付)」、「本文入力(本文)」などの入力項目が表示される。
【0041】
ユーザは、上記入力項目をそれぞれ選択して、各入力項目の内容をそれぞれの入力画面(図示せず)において、操作部12に設置された各種のキーを操作して入力を行いE電子メールを作成する。
【0042】
電子メール作成制御手段11−1は、ステップS4で表示された入力選択画面M3の入力項目の選択を検知し、本文入力か否かを判定する(ステップS5)。
「本文入力(本文)」以外の他の入力項目が選択される(ステップS5:No)と、選択された入力項目の入力画面が表示される(ステップS6)。
一方、「本文入力(本文)」が選択される(ステップS5:Yes)と、本文入力画面M4が表示される。そして、この本文入力画面M4に対して、文字又は文字列が入力される(ステップS7)と、入力された文字又は文字列に対応する変換候補(または予測変換候補)が本文入力画面M4の下側に表示される(ステップS8)。
【0043】
なお、前記予測変換候補とは、ユーザが入力した文字又は文字列に続くと思われる単語や文字列を変換候補として示すものである。
【0044】
そして、変換候補(または予測変換候補)には、電子メール文を装飾するためのテンプレートを伴う変換候補が含まれるものがある。テンプレートを伴う変換候補にはテンプレート有りを示すマークKがこの変換候補に隣接した位置(変換候補の文字列の直前など)に表示される。例えば、本文入力画面M4では、「アリガト」と「ありがとう」はテンプレートを伴う変換候補であるので、その変換候補の文字列の直前にマークKが付けられている。あるいは、このマークKに代えて、テンプレートのサムネイル画像を表示させるなどでもよい。
【0045】
また、上記マークKなどを付けずに、テンプレートを伴う変換候補であることを他の変換候補と区別し明示するために、変換候補の文字列にカーソルを合わせたときに、テンプレートのサムネイル画像や「テンプレート付き」などの文字をポップアップ表示させるようにしてもよい。あるいは、テンプレートを伴う変換候補を強調表示したり、色を変えたり、文字を囲む枠を点灯または点滅させるなどしてもよい。
【0046】
次に、例えば「アリガト」が選択された場合、電子メール作成制御手段11−1が図2に示すテンプレート保存テーブル14−2を参照して、「アリガト」に対応するテンプレートtemp2が読み込まれ、表示部13に表示される。
【0047】
なお、テンプレートを伴う変換候補と同じ文字列をテキストで入力したい場合などは、HTML記述のテンプレートを伴う変換候補に対して、テキストを入力するかテンプレートを入力するかを選択するキーを設けるようにしてもよい。
例えば、画面M9に示すように、変換候補中にテンプレートを伴う変換候補が存在することを所定位置のマークで示されており、「アリガト」を選択し、画面M9の最下部にある「テンプレート」キーを選択した場合は、「アリガト」のテンプレートtemp2が読み込まれるが、画面M9の最下部にある「文字」キーを選択した場合は、“アリガト”という文字(テキスト)のみを入力する。
【0048】
あるいは、画面M10に示すように、HTML記述のテンプレートを伴う変換候補の「アリガト」が選択された後、テンプレート使用有無を選択する画面11を表示し、“はい”が選択されたら、「アリガト」のテンプレートtemp2を読み込んで表示し、“いいえ”が選択されたら、“アリガト”とうい文字(テキスト)のみを入力するようにしてもよい。
【0049】
次に、複数表示された各変換候補(または予測変換候補)の単語や文字列の中から、1つの変換候補を選択する(ステップS9)ことにより、確定した単語や文字列が本文入力画面M4に表示される。
【0050】
そして、電子メール作成制御手段11−1は、選択された変換候補がテンプレートを伴う変換候補であるか、(通常の)テキストのみの変換候補であるかを検知する(ステップS10)。
選択された変換候補がテンプレートを伴う変換候補である場合(ステップS10:YES)は、表示部13にテンプレートを表示する(ステップS11)。一方、選択された変換候補がテキストのみの変換候補である場合(ステップS10:NO)は、表示部13に変換されたテキストを表示する(ステップS12)。
【0051】
そして、電子メール作成制御手段11−1は、決定キーが操作されるなどの本文入力の終了の指示を検知する(ステップS13)。本文入力の終了が検知されると(ステップS13:YES)、表示部13は、本文が入った状態で、入力選択画面M3に戻る。このとき、「通信先名(To)」、「通信元名(From)」、「件名(Sub)」など送信に必要な項目が既に入力されていれば、電子メールメニューM2に戻り、「5.E電子メール送受信」または「6.E電子メール送信」の機能を選択するなどして、電子メール送信が実行される(ステップS14)。本文入力の終了が検知されない場合(ステップS13:NO)は、ステップS7に戻り、文字入力が続けられる。
【0052】
例えば、本文入力画面M4において、テンプレートを伴う変換候補「アリガト」を選択した場合は、画面M5に示すテンプレートが表示部13に表示される。このテンプレートは、所定の箇所に文字列の入力が可能となっており、例えば、画面M6に示すように、「また遊ぼうね」などの文字列を入力することができる。
【0053】
そしてさらに、テンプレートの画像データ等の装飾を全て削除して、画面M7に示すようにテキストだけが残り、この本文入力をこの時点で終了すれば、作成された電子メールは自動的にテキスト電子メールとなる。
【0054】
また、例えば画面M7の段階から「おやすみなさい」と入力し、テンプレートを伴う変換候補「おやすみなさい」(図3のTemp6)を選択する(選択画面は図示せず)と、先に入力されたテキスト「アリガト また遊ぼうね」は削除されずに、新たなテンプレートが読み込まれて、画面M8のように表示される。さらに、このテンプレートを用いて本文入力を続けることもできる。
【0055】
このように、本実施の形態ではHTMLメールで使用するテンプレートの任意の意味の部分「ありがとう」、「アリガト」、「Hello」、「おはよう」、「おめでとう」、「おやすみなさい」、・・・・などを、文字入力の変換候補として表示し、これを選択するだけで、所望のテンプレートを読み込んでHTMLメールを作成することができる。
【0056】
なお、上記実施の形態において、テンプレート保存テーブル14−2に保存されているテンプレートは、予め用意されたもの以外のものでもよい。例えば、ダウンロード等によって取得したテンプレートや、ユーザが作成したHTML文書を任意の文字列に対応させてテンプレートとして登録・保存するなどしてもよい。
例えば、所定の設定メニューから「テンプレート登録」を選択すると、テンプレート名称の入力画面となるので、ここで任意のテンプレート名称を入力して、展開中の電子メールデータをテンプレートとして保存すれなどしてもよい。そして、テンプレート名称をユーザ辞書に登録し、テンプレート(画像等)との関連付けして追加する。
【0057】
以上のように、本実施の形態では、電子機器1は、電子メールの作成が可能に構成された電子機器であって、電子メール作成における文字又は文字列の入力に対応して、複数の変換候補の文字列を表示する選択画面に、HTML記述のテンプレートを伴う変換候補を表示させる変換候補表示手段11−2と、HTML記述のテンプレートを伴う変換候補が選択された場合に、該変換候補の文字列に割り当てられたHTML記述のテンプレートを表示し、該テンプレートを使用して電子メール作成可能に制御する電子メール作成制御手段11−1と、を有する。
これにより、電子機器1を用いて電子メールを作成するとき、文字変換の変換候補としてHTML記述のテンプレートを伴う変換候補を表示させ、これを選択することで、HTMLメールの作成をユーザに意識させずに行うことができる。
また、電子メールの作成中に、一旦入力したテンプレートを削除すれば、テキスト電子メールとして電子メール作成を続けることができ、あるいは、新たなテンプレートを伴う変換候補を選択すれば、作成中の電子メール本文のテンプレートが新たなテンプレートに自動的に置き換わり、電子メール作成を続けることができる。
すなわち、作成する電子メールがHTMLであるかテキストであるかをユーザが意識せずに簡単に電子メール作成を行うことができる。
【0058】
なお、電子機器1の通信部15は、更に所定の通信規約に基づき通信を行うものであってもよい。上述の実施の形態では、テンプレートがHTMLを用いて記述されたテンプレートである場合について述べたが、テンプレートは、この通信規約に基づき通信を行う通信部15が従う通信規約に基づくメッセージまたは該メッセージの組み合わせにより定義されたテンプレートであってもよい。
これにより、作成する電子メールが所定の通信規約に基づくメッセージまたは該メッセージの組み合わせにより定義されたテンプレートを用いた電子メールであるか、あるいは、テキストのみで構成された電子メールであるかをユーザが意識せずに簡単に電子メール作成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯端末(電子機器)を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る携帯端末(電子機器)による入力文字対応のテンプレートを示すテンプレート保存テーブル図である。
【図3】本実施の形態に係る携帯端末(電子機器)による電子メールの作成手順の概略を示す説明図である。
【図4】本実施の形態に係る携帯端末(電子機器)による電子メールの作成手順を示すフローチャートである。
【図5】従来のHTMLメールの作成手順の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 携帯端末(電子機器)
11 制御部
11−1 電子メール作成制御手段
11−2 テンプレート利用可能表示手段
12 操作部
13 表示部
14 メモリ部
14−1 変換候補テーブル
14−2 テンプレート分類テーブル
15 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールの作成が可能に構成された電子機器であって、
電子メール作成における文字又は文字列の入力に対応して、複数の変換候補の文字列を表示する選択画面に、テンプレートを伴う変換候補を表示させる変換候補表示手段と、
前記テンプレートを伴う変換候補が選択された場合に、該変換候補の文字列に割り当てられたテンプレートを表示し、該テンプレートを使用して電子メール作成可能に制御する電子メール作成制御手段と、を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記テンプレートは、HTMLを用いて記述されたテンプレートであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
電子機器は更に所定の通信規約に基づき通信を行う通信部を含み、
前記テンプレートは、前記通信部が従う通信規約に基づくメッセージまたは該メッセージの組み合わせにより定義されたテンプレートであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記テンプレートを伴う変換候補には、テンプレートを伴うことを示す表示がなされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記テンプレートを伴うことを示す表示は、所定のマークを所定位置に表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記所定位置は、前記変換候補の文字列に隣接した位置であることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記テンプレートを伴うことを示す表示は、テンプレートのサムネイル画像を前記変換候補の文字列に隣接した位置に表示する、又は、前記変換候補の文字列にカーソルを合わせたときにテンプレートのサムネイル画像をポップアップ表示させることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項8】
前記テンプレートを伴う変換候補に対して、テキストを入力するかテンプレートを入力するかを選択するキーを設けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記テンプレートを伴う変換候補を選択した場合に、テンプレート使用有無を選択する画面を表示することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
前記テンプレートを伴う変換候補の文字列に対応するテンプレートを登録したテンプレート保存テーブルを有し、
変換候補文字列およびテンプレートの新規登録または編集が可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記変換候補表示手段は、入力した文字又は文字列に続くと思われる単語や文字列を変換候補として示す予測変換候補の文字列を表示することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
電子機器における電子メール作成時の文字又は文字列の入力に対応して、複数の変換候補の文字列を表示する選択画面に、テンプレートを伴う変換候補を表示することを特徴とする電子メール作成時の変換候補表示方法。
【請求項13】
電子メール作成が可能に構成された電子機器に対して、電子メール作成における文字又は文字列の入力に対応して、複数の変換候補の文字列を表示する選択画面に、テンプレートを伴う変換候補を表示する機能を実現させることを特徴とする電子メール作成時の変換候補表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−9262(P2009−9262A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168575(P2007−168575)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】