説明

電子機器、電子機器の起動方法およびコンピュータプログラム

【課題】 他の電子機器の起動をトリガとして、ホットスタンバイ状態に遷移させることで、当該電子機器の体感的な起動時間を短縮することが可能な電子機器を提供すること。
【解決手段】 ホームネットワークに接続して使用される電子機器であって、通常スタンバイ状態である場合にホームネットワークに接続されている他の電子機器から電源投入通知を受けると、通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断し、ホットスタンバイ状態遷移通知を送出するネットワーク監視部と、ネットワーク監視部からのホットスタンバイ状態遷移通知に基づいて電源供給制御を行い、電子機器の状態を通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に状態を遷移する電源制御部と、を含むことを特徴とする、電子機器が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子機器の起動方法およびコンピュータプログラムに関し、特にホームネットワークに接続される電子機器、電子機器の起動方法および電子機器を起動させるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、パーソナルコンピュータのみならず、テレビやハードディスク録画機、ホームターミナルといった家電製品においても、ネットワークに接続することが出来る製品が多数登場している。そして、パーソナルコンピュータや家電製品を相互にネットワークに接続することで、デジタル放送や音楽(これらを「コンテンツ」とも称する)を機器間でやりとりすることが可能となる。
【0003】
このような、デジタル放送を受信するテレビやハードディスクレコーダ等のデジタル家電機器は、機器の機能が複雑化する傾向にある。従って、このようなデジタル家電機器は、電源を入れるための電源ボタンの押下から実際に機器が使用可能となるまでの時間が長くなる傾向にある。
【0004】
例えば、テレビの場合では電源ボタンが押下されてから画面に映像を表示するまでに、機器の初期設定、メモリからの各種プログラムのロード、受信したデジタル放送のデコード等を行う必要がある。従って、テレビの場合では電源ボタンを押下してから画面に映像が表示されるまでに5秒程度の時間を有する。
【0005】
また、ハードディスクレコーダのようにディスクデバイスを有するものは、ディスクのマウントを行う必要があるために、起動処理が完了して実際に使用可能な状態となるまでにさらに長い時間を有する。製品によっては電源ボタンを押下してから使用可能となるまでに20秒以上の起動時間が必要となるものもある。
【0006】
このようなデジタル家電機器の起動時間を短縮するためには、当該デジタル家電機器が有する機能をユーザに即座に提供できる準備ができている状態にしておくことで可能である。しかし、デジタル家電機器を常にそのような状態にしておくことは、電力を消費し続ける事となって消費電力の面で問題となる。
【0007】
そのため、ユーザの何らかの動作をトリガとして、また機器に対するユーザの過去の操作履歴から起動時刻を推測して、デジタル家電機器の起動時間を短縮するために、当該デジタル家電機器が有する機能をユーザに即座に提供できる準備ができている状態に遷移する技術がある(例えば特許文献1、2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2007−60223号公報
【特許文献2】国際公開第2004/092934号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、ユーザの過去の操作履歴から起動時刻を推測する方法は、内部に時計を持たない機器には適用できない問題がある。また、ユーザの動作をトリガとする方法は、ユーザが電源を投入したくない場合であっても状態の遷移が行われてしまうおそれがある。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、他の電子機器が起動されたことをトリガとして、電子機器が有する機能をユーザに提供できる準備ができており、機器が有する機能をユーザに即座に提供できる状態に遷移させることで、当該電子機器の体感的な起動時間を短縮することが可能な、新規かつ改良された、ホームネットワークに接続して使用される電子機器、電子機器の起動方法およびコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ホームネットワークに接続して使用され、通常スタンバイ状態、ホットスタンバイ状態および電源オン状態を有する電子機器であって、通常スタンバイ状態である場合にホームネットワークに接続されている他の電子機器から電源投入通知を受けると、通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断し、判断結果に基づいてホットスタンバイ状態遷移通知を送出するネットワーク監視部と、ネットワーク監視部からのホットスタンバイ状態遷移通知に基づいて電源供給制御を行い、電子機器の状態を通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に状態を遷移する電源制御部と、を含むことを特徴とする、電子機器が提供される。
【0012】
かかる構成によれば、ネットワーク監視部は通常スタンバイ状態である場合にホームネットワークに接続されている他の電子機器から電源投入通知を受けると、通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断し、判断結果に基づいてホットスタンバイ状態遷移通知を送出し、電源制御部はネットワーク監視部からのホットスタンバイ状態遷移通知に基づいて電源供給制御を行い、電子機器の状態を通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に状態を遷移する。その結果、ホームネットワークに接続されている他の機器の電源投入をトリガとして、電子機器が有する機能をユーザに提供できる準備ができている状態、つまりホットスタンバイ状態に遷移させることで、当該電子機器の体感的な起動時間を短縮することが可能となる。
【0013】
上記電子機器は、ホットスタンバイ状態から電源オン状態に遷移したかどうかの履歴である起動制御履歴を記録する起動履歴記録部をさらに含み、ネットワーク監視部は、起動履歴記録部に記録された起動制御履歴に基づいてホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断してもよい。かかる構成によれば、起動履歴記録部は起動制御履歴を記録し、ネットワーク監視部は、起動履歴記録部に記録された起動制御履歴に基づいてホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断する。その結果、ホームネットワークに接続されている他の機器の電源投入をトリガとしてホットスタンバイ状態に遷移した後に、実際に電源を投入したかどうかの履歴を記録しておき、当該履歴に基づいてホットスタンバイに遷移するかどうかを判断することで、例えば関連した機器の電源投入が行われればホットスタンバイ状態に遷移し、関連しない機器の電源投入が行われればホットスタンバイ状態には遷移しないように制御することができる。
【0014】
電源制御部は、ホットスタンバイ状態に遷移してから所定の時間以内に電源オン状態に遷移しなければ、ホットスタンバイ状態から通常スタンバイ状態に状態を遷移させてもよい。かかる構成によれば、電源制御部は、ホットスタンバイ状態に遷移してから所定の時間以内に電源オン状態に遷移しなければ、ホットスタンバイ状態から通常スタンバイ状態に状態を遷移させる。その結果、いつまでもホットスタンバイ状態を維持するのではなく、所定の時間が経過すれば通常スタンバイ状態に遷移することで、電力消費を抑えることができる。
【0015】
ホットスタンバイ状態は、電子機器がそれぞれ有する特有の機能を提供するための部位に通電が行われ、該機能の提供の準備ができている状態であってもよい。
【0016】
そして、ホットスタンバイ状態は、機能を提供するための初期設定処理が完了した状態であってもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、ホームネットワークに接続して使用され、通常スタンバイ状態、ホットスタンバイ状態および電源オン状態を有する電子機器の起動方法であって、通常スタンバイ状態である場合にホームネットワークに接続されている他の電子機器から電源投入通知を受けると通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断し、判断結果に基づいてホットスタンバイ状態遷移通知を送出するネットワーク監視ステップと、ネットワーク監視ステップで送出されるホットスタンバイ状態遷移通知に基づいて電源供給制御を行う電源制御ステップと、電源制御ステップにおける電源供給制御に基づいて通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に状態を遷移するシステム制御ステップと、を含むことを特徴とする、電子機器の起動方法が提供される。
【0018】
かかる構成によれば、ネットワーク監視ステップは通常スタンバイ状態である場合にホームネットワークに接続されている他の電子機器から電源投入通知を受けると、通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断し、判断結果に基づいてホットスタンバイ状態遷移通知を送出し、電源制御ステップはネットワーク監視ステップにおけるホットスタンバイ状態遷移通知に基づいて電源供給制御を行い、電子機器の状態を通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に状態を遷移する。その結果、ホームネットワークに接続されている他の機器の電源投入をトリガとして、電子機器が有する機能をユーザに提供できる準備ができている状態、つまりホットスタンバイ状態に遷移させることで、当該電子機器の体感的な起動時間を短縮することが可能となる。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、ホームネットワークに接続して使用され、通常スタンバイ状態、ホットスタンバイ状態および電源オン状態を有する電子機器を起動させるためのコンピュータプログラムであって、通常スタンバイ状態である場合にホームネットワークに接続されている他の電子機器から電源投入通知を受けると通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断し、判断結果に基づいてホットスタンバイ状態遷移通知を送出するネットワーク監視ステップと、ネットワーク監視ステップで送出されるホットスタンバイ状態遷移通知に基づいて電源供給制御を行う電源制御ステップと、電源制御ステップにおける電源供給制御に基づいて通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に状態を遷移するシステム制御ステップと、を含むことを特徴とする、コンピュータプログラムが提供される。
【0020】
かかる構成によれば、ネットワーク監視ステップは通常スタンバイ状態である場合にホームネットワークに接続されている他の電子機器から電源投入通知を受けると、通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断し、判断結果に基づいてホットスタンバイ状態遷移通知を送出し、電源制御ステップはネットワーク監視ステップにおけるホットスタンバイ状態遷移通知に基づいて電源供給制御を行い、電子機器の状態を通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に状態を遷移する。その結果、ホームネットワークに接続されている他の機器の電源投入をトリガとして、電子機器が有する機能をユーザに提供できる準備ができている状態、つまりホットスタンバイ状態に遷移させることで、当該電子機器の体感的な起動時間を短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、他の電子機器の起動をトリガとして、電子機器が有する機能をユーザに提供できる準備ができており、機器が有する機能をユーザに即座に提供できる状態に遷移させることで、当該電子機器の体感的な起動時間を短縮することが可能な、新規かつ改良された、ホームネットワークに接続して使用される電子機器、電子機器の起動方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
まず、本発明の一実施形態にかかる電子機器の接続構成の例について説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる電子機器の接続構成の例について説明する説明図である。
【0024】
図1では、いずれも本発明のホームネットワークに接続して使用される電子機器の例である、テレビ100、スピーカ102、ハードディスクレコーダ104、コンポ106を、ホームネットワーク10に接続した場合を示している。この中で、テレビ100、ハードディスクレコーダ104およびコンポ106はホームネットワーク10に直接接続されており、スピーカ102はホームネットワーク10には直接接続されておらず、テレビ100とネットワークで接続されている。
【0025】
なお、図1には図示しないが、ホームネットワーク10はスイッチングハブ等によってインターネット等の外部のネットワークに接続することもできる。スイッチングハブを用いることにより、インターネット等の外部ネットワークとホームネットワーク10に接続されたそれぞれの機器との間でデータの送受信が可能になる。
【0026】
上述したように、テレビ100は電源ボタン(図示せず)が押下されてから画面に映像を表示するまでに、機器の初期設定、メモリからの各種プログラムのロード、アンテナを介して受信したデジタル放送のデコード等を行う必要がある。従って、テレビ100は電源ボタンを押下してから画面に映像が表示されるまでに、通常5秒程度の時間を有する。
【0027】
ここで、テレビ100は他の機器の電源が投入されると、当該電子機器から電源投入通知を受けて、状態を「通常スタンバイ状態」から「ホットスタンバイ状態」とすることで、電源ボタンを押下してから画面に映像が表示されるまでの時間を短縮することができる。「通常スタンバイ状態」も「ホットスタンバイ状態」も、本発明の一実施形態にかかる電子機器の電源状態の一種であり、ここで、本発明の一実施形態にかかる電子機器の電源状態について説明する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態にかかる電子機器の電源状態を説明する説明図である。本発明の一実施形態にかかる電子機器は、コンセントが接続されていない「非通電状態」と、コンセントが接続されている「通電状態」の2つの状態を有する。そして、「通電状態」はさらに、「通常スタンバイ状態」、「ホットスタンバイ状態」および「電源ON状態」の3つの状態を有している。
【0029】
「通常スタンバイ状態」は、電子機器の内部の必要最低限の部位にのみ通電が行われており、外部からのトリガを受けられる状態のことを指す。例えばテレビ100では、リモコンで電源をオフにして、画面が消えている状態が通常スタンバイ状態に相当する。
【0030】
「ホットスタンバイ状態」は、電子機器がそれぞれ有している特有の機能を提供するための、電子機器の内部の部位に通電が行われ、機能の提供の準備ができている状態のことを指す。ホットスタンバイ状態を取るために電子機器のどの部位に通電を行うかは、機器によって異なる。また、ホットスタンバイ状態となるためには、機能を提供するための初期設定処理を完了してあることが望ましく、例えばデバイスの初期化やディスクのマウントが完了した状態であることが望ましい。そして「電源ON状態」は、電子機器がそれぞれ有している機能を実現する全ての部位に通電が行われており、ユーザに電子機器が有している特有の機能を提供している状態のことを指す。
【0031】
以下においては、テレビ100を例に挙げて、本発明の一実施形態にかかる電子機器の起動方法について説明する。
【0032】
次に、本発明の一実施形態にかかる電子機器の一例であるテレビ100について説明する。図3は、本発明の一実施形態にかかるテレビ100構成について説明する説明図である。以下、図3を用いて本発明の一実施形態にかかるテレビ100の構成について説明する。
【0033】
図3に示したように、本発明の一実施形態にかかるテレビ100は、システム部110と、CPU(Central Processing Unit)122と、ROM(Read Only Memory)124と、RAM(Random Access Memory)126と、受光部128と、電源回路130と、電源制御部132と、通信部134と、ネットワーク監視部136と、を含んで構成される。そしてシステム部110は、デジタル放送チューナ部112と、電子番組表作成部114と、デジタル放送デコード部116と、モニタ118と、スピーカ120と、を含んで構成される。
【0034】
システム部110は、テレビ100の機能の中核をなす部分であり、デジタル放送波の受信、受信したデジタル放送波のデコード、受信したデジタル放送波からの電子番組表(EPG)の作成、デコードしたデジタル放送の出力等の機能を有する。
【0035】
デジタル放送チューナ部112は、デジタル放送波を受信し、ユーザの選局指示に従って所望するMPEG(Moving Picture Experts Group)トランスポートストリームを抽出するものである。デジタル放送チューナ部112は、図示しないが、VSB(Vestigital Side Band)復調部やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)復調部を備えており、デジタル放送波の復調を行う。
【0036】
電子番組表作成部114は、デジタル放送波に搬送されて送られる放送局からの電子番組表(EPG)データに基づいて、電子番組表の作成を行うものである。作成した電子番組表は、ユーザの指示によってモニタ118に表示される。
【0037】
デジタル放送デコード部116は、デジタル放送チューナ部112で抽出したMPEGトランスポートストリームに対してデコード処理を行い、映像データ及び音声データを出力するものである。映像データはモニタ118に、音声データはスピーカ120にそれぞれ出力する。
【0038】
モニタ118は、デジタル放送デコード部116でデコードされた映像データや、電子番組表作成部114で作成された電子番組表を表示するものである。スピーカ120は、デジタル放送デコード部116でデコードされた音声データを出力するものである。
【0039】
なお、図2ではデジタル放送波を受信するテレビ100を例に挙げて説明したが、デジタル放送波と併せてアナログ放送波を受信してもよい。
【0040】
CPU122は、テレビ100の各部の制御を行うものであり、ROM124からコンピュータプログラムやデータを順次読み込んで実行することで、テレビ100の各部の制御を行う。ROM124は、読み取り専用のメモリであり、テレビ100の動作に必要となるコンピュータプログラムや各種データが格納されるものである。RAM126は、書き換えが可能なメモリであり、テレビ100の動作に用いられる各種データが格納される。RAM126は、本発明の起動履歴記録部の一例であり、どの機器の電源が投入された場合にテレビ100が通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に遷移したかを記録しておく。そのため、RAM126はテレビ100の電源が入っていない状態でもデータが消去しない不揮発性のメモリであることが望ましい。
【0041】
受光部128は、リモコンからの赤外線信号を受信し、受信した信号に基づいてCPU122や電源回路130との通信を行う。電源回路130は、テレビ100の各部への電源供給および電源供給の停止を行う。電源制御部132は、電源回路130からの電源供給および電源供給の停止の制御を行うものである。本実施形態においては、電源制御部132は、ホームネットワークに接続されている他の機器の電源が投入されると、テレビ100の一部に対して電源を供給するように電源回路130を制御する。
【0042】
通信部134は、ホームネットワークを通じてデータの授受を行うものである。通信部134は、シリアル接続、HDMI−CEC(High−Definition Multimedia Interface−Consumer Electronics Control)、無線IP(Internet Protocol)接続、EtherNet(商標)、PLC伝送など、複数のネットワークから情報を取得するインターフェースを有する。
【0043】
ホームネットワークに接続される機器は、電源を投入した際に、電源が投入されたことを通知するためのデータをホームネットワーク上に送出する。例えば、HDMI−CECでは機器の電源が投入された場合に電源の投入を通知するためのプロトコルが存在する。
【0044】
ネットワーク監視部136は、通信部134が受信したデータに、他の機器からの電源投入を通知するデータが含まれているかどうかを監視するものである。そして、他の機器からの電源投入を通知するデータが送られてきた場合には、所定の条件に合致したときにテレビ100をホットスタンバイ状態に遷移させる。所定の条件とは、例えば所定の機器の電源が投入された場合であってもよく、本実施形態においては、ハードディスクレコーダ104の電源が投入された場合にはテレビ100をホットスタンバイ状態に遷移させ、コンポ106の電源が投入された場合にはテレビ100をホットスタンバイ状態に遷移させない、という条件を定めることができる。
【0045】
なお、機器間でやりとりされる制御信号のプロトコルは、ホームネットワーク機器同士の取り決めで決まるものであって、任意のプロトコルを用いることができ、本発明においてはプロトコルは特定のものに限られるものではない。
【0046】
以上、本発明の一実施形態にかかるテレビ100の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかるテレビ100の起動方法について説明する。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態にかかるテレビ100の起動方法について説明する流れ図である。以下、図4を用いて本発明の一実施形態にかかるテレビ100の起動方法について説明する。
【0048】
まず、ネットワーク監視部136で、ホームネットワークに接続されている他の機器からの電源投入を監視する。そして、ホームネットワークに接続されている他の機器からの電源投入を検知すると(ステップS102)、ネットワーク監視部136は、当該他の機器の電源投入をトリガとして、RAM126に格納されている起動制御履歴を参照する(ステップS104)。起動制御履歴は、当該機器がホットスタンバイ状態に遷移した場合に、実際にホットスタンバイ状態から電源オン状態に遷移したかどうかの履歴である。起動制御履歴を参照することで、ネットワーク監視部136から電源制御部132に対して、システム部110に通電するかどうかを判断することができる。
【0049】
図5は、本発明の一実施形態にかかる、RAM126に格納されている起動制御履歴の一例を示す説明図である。図5は、テレビ100とホームネットワークで接続されている各機器の電源がオンとなった場合に、テレビ100の状態がホットスタンバイ状態に遷移してから実際にテレビ100の電源がオンになった確率を示している。このように、ホットスタンバイ状態に遷移した確率を記録しておくことで、テレビ100の状態がホットスタンバイ状態に遷移させるかどうかの判断に用いることができる。
【0050】
図5に示した例では、機器A(スピーカ102)の電源がオンになった場合に、テレビ100の状態がホットスタンバイ状態に遷移した後に、実際にテレビ100の電源がオンになった確率が2%であることを示している。また、機器Aと機器B(ハードディスクレコーダ104)の電源がオンになった場合に、テレビ100の状態がホットスタンバイ状態に遷移した後に、実際にテレビ100の電源がオンになった確率が38%であることを示している。
【0051】
その他、機器Bと機器C(コンポ106)の電源がオンになった場合に、テレビ100の状態がホットスタンバイ状態に遷移した後に、実際にテレビ100の電源がオンになった確率が35%であることを示し、機器Bのみの電源がオンになった場合に、テレビ100の状態がホットスタンバイ状態に遷移した後に、実際にテレビ100の電源がオンになった確率が33%であることを示し、機器Cのみの電源がオンになった場合に、テレビ100の状態がホットスタンバイ状態に遷移した後に、実際にテレビ100の電源がオンになった確率が0.1%であることを示している。
【0052】
このように起動制御履歴が記録されている場合に、予め定めた確率以上であれば、当該機器の電源がオンになったときにテレビ100の状態をホットスタンバイ状態に遷移すると定めてもよい。例えば、ホットスタンバイ状態から電源オンを行った確率が30%以上であれば、当該機器の電源がオンになった場合にテレビ100の状態をホットスタンバイ状態に遷移するように定めてもよい。
【0053】
なお、ホットスタンバイ状態に遷移するか否かの判断を行うかどうかを、外部から設定できるようにしてもよい。例えばテレビ100の設定画面に、ホットスタンバイ状態に遷移するか否かの判断を行うかどうかを設定する項目を設け、テレビ100の本体やリモコンを操作することで設定を行い、設定結果をRAM126に格納してもよい。
【0054】
ネットワーク監視部136で起動制御履歴を参照した結果、テレビ100をホットスタンバイ状態に遷移させるかどうかを判断する(ステップS106)。判断の結果、テレビ100の状態をホットスタンバイ状態に遷移させないと判断した場合には、そのまま処理を終了する。一方、判断の結果、テレビ100の状態をホットスタンバイ状態に遷移させると判断した場合には、電源制御部132に対して、システム部110に通電するような命令を与える。命令を受けた電源制御部132は、システム部110に通電する(ステップS108)。
【0055】
電源制御部132からシステム部110に通電することで、テレビ100はホットスタンバイ状態を取る(ステップS110)。ここで、テレビ100におけるホットスタンバイ状態とは、デバイスの初期化等の初期設定、放送波の受信およびデコード、電子番組表の作成が含まれ、モニタ118およびスピーカ120への通電は含まれない。
【0056】
システム部110は、テレビ100の状態をホットスタンバイ状態に遷移させるような電源制御部132での電源制御に基づく電源回路130からの通電によって電力の供給を受ける。
【0057】
システム部110は、電源回路130から電力の供給を受けると、デジタル放送チューナ部112でデジタル放送波を受信して、ユーザが電源を切断する前に選択していたチャンネルに該当するMPEGトランスポートストリームを抽出する。デジタル放送チューナ部112でMPEGトランスポートストリームを抽出すると、デジタル放送デコード部116で抽出したMPEGトランスポートストリームに対してデコード処理を行い、電子番組表作成部114で、デジタル放送波に搬送されて送られる放送局からの電子番組表データに基づいて、電子番組表の作成を行う。
【0058】
このように、テレビ100の状態を、モニタ118およびスピーカ120に通電すれば放送の視聴が可能な状態、すなわちホットスタンバイ状態にしておくことで、テレビ100の見た目の起動時間を短縮することができる。テレビ100の状態がホットスタンバイ状態となっている場合において、ユーザがリモコン等でテレビ100の電源をオンにする指示を与えたときに、モニタ118およびスピーカ120に通電することで、ユーザがテレビ100の電源をオンにする指示を与えてからモニタ118に映像を表示するまでの時間を短縮することが出来る。
【0059】
テレビ100をホットスタンバイ状態に遷移させると、ネットワーク監視部136はRAM126に格納されている起動制御履歴を更新する(ステップS112)。起動制御履歴を更新しておくことで、次にホームネットワークに接続されている他の機器からの電源投入を検知した場合に、更新した起動制御履歴を参照してテレビ100をホットスタンバイ状態に遷移させるかどうかを判断することができる。
【0060】
以上、図4を用いて本発明の一実施形態にかかるテレビ100の起動方法について説明した。
【0061】
なお、本実施形態においては、テレビ100はホームネットワークに接続されている他の機器の電源オンに連動して、テレビ100の状態をホットスタンバイ状態に遷移させるものであるが、ホットスタンバイ状態は、通常スタンバイ状態と比較して消費電力が高くなってしまう。従って、ホットスタンバイ機能に遷移したのち、所定の時間ユーザから電源オン操作が行われなかった場合は、自動的にシステム部110への電力供給を取りやめて、通常スタンバイ状態に戻ることが望ましい。
【0062】
本実施形態では、テレビ100が同一のホームネットワークに接続されている他の機器からの電源投入を検知して、テレビ100の状態をホットスタンバイ状態に遷移させていたが、テレビ100以外の機器であっても、同一のホームネットワークに接続されている他の機器からの電源投入を検知して、当該機器の状態をホットスタンバイ状態に遷移させるような構成を有することができる。
【0063】
例えば、ハードディスクレコーダ104の場合であれば、電源を投入してから実際に使用可能となるまでに、デバイスの初期化処理、メモリのマウント処理、プログラムの展開処理、ハードディスクの起動処理等の処理を行う必要がある。従って、例えばテレビ100の電源が投入されたことをハードディスクレコーダ104で検知して、ハードディスクレコーダ104においてデバイスの初期化処理、メモリのマウント処理、プログラムの展開処理、ハードディスクの起動処理等の処理を行ってホットスタンバイ状態を取ることで、ハードディスクレコーダ104の見た目の起動時間を短縮することが可能となる。
【0064】
また、コンポ106の場合であれば、電源を投入してから実際に使用可能となるまでに、デバイスの初期化処理、メモリのマウント処理、プログラムの展開処理等の処理を行う必要がある。従って、例えばスピーカ102の電源が投入されたことをコンポ106で検知して、コンポ106においてデバイスの初期化処理、メモリのマウント処理、プログラムの展開処理等の処理を行ってホットスタンバイ状態を取ることで、コンポ106の見た目の起動時間を短縮することが可能となる。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、電子機器、電子機器の起動方法およびコンピュータプログラムに適用可能であり、特にホームネットワークに接続される電子機器、電子機器の起動方法および電子機器を起動させるためのコンピュータプログラムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態にかかる電子機器の接続構成の例について説明する説明図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる電子機器の電源状態を説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるテレビ100構成について説明する説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるテレビ100の起動方法について説明する流れ図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる、RAM126に格納されている起動制御履歴の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0068】
100 テレビ
102 スピーカ
104 ハードディスクレコーダ
106 コンポ
110 システム部
112 デジタル放送チューナ部
114 電子番組表作成部
116 デジタル放送デコード部
118 モニタ
120 スピーカ
122 CPU
124 ROM
126 RAM
128 受光部
130 電源回路
132 電源制御部
134 通信部
136 ネットワーク監視部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホームネットワークに接続して使用され、通常スタンバイ状態、ホットスタンバイ状態および電源オン状態を有する電子機器であって、
前記通常スタンバイ状態である場合に前記ホームネットワークに接続されている他の電子機器から電源投入通知を受けると、前記通常スタンバイ状態から前記ホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断し、判断結果に基づいてホットスタンバイ状態遷移通知を送出するネットワーク監視部と;
前記ネットワーク監視部からの前記ホットスタンバイ状態遷移通知に基づいて電源供給制御を行い、前記電子機器の状態を前記通常スタンバイ状態から前記ホットスタンバイ状態に状態を遷移する電源制御部と;
を含むことを特徴とする、電子機器。
【請求項2】
前記ホットスタンバイ状態から前記電源オン状態に遷移したかどうかの履歴である起動制御履歴を記録する起動履歴記録部をさらに含み、
前記ネットワーク監視部は、前記起動履歴記録部に記録された起動制御履歴に基づいてホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断することを特徴とする、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電源制御部は、ホットスタンバイ状態に遷移してから所定の時間以内に電源オン状態に遷移しなければ、ホットスタンバイ状態からスタンバイ状態に状態を遷移させることを特徴とする、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ホットスタンバイ状態は、前記電子機器がそれぞれ有する特有の機能を提供するための部位に通電が行われ、該機能の提供の準備ができている状態であることを特徴とする、請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記ホットスタンバイ状態は、前記機能を提供するための初期設定処理が完了した状態であることを特徴とする、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
ホームネットワークに接続して使用され、通常スタンバイ状態、ホットスタンバイ状態および電源オン状態を有する電子機器の起動方法であって、
通常スタンバイ状態である場合に前記ホームネットワークに接続されている他の電子機器から電源投入通知を受けると通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断し、判断結果に基づいてホットスタンバイ状態遷移通知を送出するネットワーク監視ステップと;
前記ネットワーク監視ステップで送出されるホットスタンバイ状態遷移通知に基づいて電源供給制御を行う電源制御ステップと;
前記電源制御ステップにおける電源供給制御に基づいて通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に状態を遷移するシステム制御ステップと;
を含むことを特徴とする、電子機器の起動方法。
【請求項7】
ホームネットワークに接続して使用され、通常スタンバイ状態、ホットスタンバイ状態および電源オン状態を有する電子機器を起動させるためのコンピュータプログラムであって、
通常スタンバイ状態である場合に前記ホームネットワークに接続されている他の電子機器から電源投入通知を受けると通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に遷移するかどうかを判断し、判断結果に基づいてホットスタンバイ状態遷移通知を送出するネットワーク監視ステップと;
前記ネットワーク監視ステップで送出されるホットスタンバイ状態遷移通知に基づいて電源供給制御を行う電源制御ステップと;
前記電源制御ステップにおける電源供給制御に基づいて通常スタンバイ状態からホットスタンバイ状態に状態を遷移するシステム制御ステップと;
を含むことを特徴とする、コンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate