説明

電子機器および表示方法

【課題】本体側筐体と表示側筐体を有する電子機器において、表示側の筐体を薄型に保ち、直感的な操作によって観賞可能な画像表示を行なうことの可能な電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】本体側筐体11と、LCD13を持つ表示側筐体12とがヒンジ部14により回動可能に接続された、折りたたみ構造を持つ電子機器において、本体側筐体11に本体側筐体11の基準面に対する角度を測定する傾きセンサ17と、本体側筐体11に対する表示側筐体12の角度を計測する角度センサ18を設ける。傾きセンサ17の測定結果と角度センサ18の測定結果より、基準面に対する表示側筐体12の角度を算出する。LCD13の基準面に対する角度は表示側筐体12と同角度であり、電子機器は算出された角度に応じて画像をLCD13に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筐体上部に倒立する角度を変更可能な表示装置を備えた電子機器であって、特に表示装置に角度に応じて表示を変えることが可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビやワードプロセッサといった機器に搭載の従来の映像表示は2次元映像を表示するものであったが、近年はLCD(Liquid Crystal Display)などの平面状の通常の表示装置において3Dオブジェクトを表示する表示方法に関して多くの研究、開発がなされている。携帯電話、PDA等の機器において3Dオブジェクトを表示し、本体の角度を変化させることで本体に設けられた傾きセンサが角度の変化を検出し、検出された角度変化に合わせて3Dオブジェクトの表示視点が変化し、直感的な操作で3Dオブジェクトを所望の角度から観賞可能とする提案がなされている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2004−271671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記提案はノートPC等の電子機器にも応用できるとされているが、折りたたみ構造を有するノートPC等では表示部側の筐体内ではなく本体側の筐体に傾きを検出するセンサが内蔵されているものが一般的に提案されている。この場合、本体側の筐体に対する表示部側の筐体との角度を含めた3Dオブジェクトの見え方を考慮した表示がされず、実際の見え方に対して直感的な表示が十分になされていなかった。また、近年ノートPC等の電子機器の表示部は薄型化が求められており、仮に表示側筐体にセンサを内蔵するとしても、表示側筐体の薄型化に支障をきたすものとなっていた。
【0004】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、本体側筐体と表示側筐体を有する電子機器において、表示側の筐体を薄型に保ち、直感的な操作によって観賞可能な画像表示を行なうことの可能な電子機器および表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる電子機器は、本体側筐体と、前記本体側筐体と回動可能に取り付けられた表示側筐体と、前記表示側筐体に設けられた、画像を表示する表示部と、前記本体側筐体に設けられ、基準面に対する前記表示部の角度を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定される前記角度に基づいて該表示部に表示される画像を生成する画像生成手段とを具備することを特徴としている。
【0006】
また本発明にかかる表示方法は、本体側筐体と、前記本体側筐体と回動可能に取り付けられた表示側筐体と、前記表示側筐体に設けられた、画像を表示する表示部と、前記本体側筐体に設けられ、該本体側筐体の基準面に対する角度を測定する傾きセンサと、前記本体側筐体に設けられ、前記表示側筐体の該本体側筐体に対する角度を測定する角度センサとを具備する情報処理装置において前記表示部に像を表示する表示方法であって、前記傾きセンサによって測定される前記角度と前記角度センサによって測定される前記角度から前記表示側筐体の基準面に対する角度を求め、求められた前記基準面に対する角度に基づいて画像を生成し、前記表示部に生成された前記画像を表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、折りたたみ構造を有する電子機器において、表示部側の筐体内に表示部の傾きを検出するセンサを備えることなく表示部における表示面の基準面に対する角度を算出し、使用状況における直感的な観賞が可能な画像表示を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1は本実施形態におけるノートPCの概観の一例を示す斜視図である。図1にはPC10、本体側筐体11、表示側筐体12、LCD13、ヒンジ部14、キーボード15、タッチパッド16、傾きセンサ17、および角度センサ18が示されている。
【0010】
PC10は、2つのヒンジ部14を通る軸を中心に回動可能に構成されたノート型のPCであり、使用していないときや運搬時には表示画面や操作部を保護するように折りたたまれる折りたたみ構造を有している。
【0011】
本体側筐体11はPC10の下部を構成する筐体であり、CPU等のPC10を機能させるためのモジュールの多くを収容している。
【0012】
表示側筐体12はヒンジ部14を介して本体側筐体11に接続されており、2つのヒンジ部14を通る直線を軸として本体側筐体11に対して回動可能となっている。PC10使用時には表示側筐体12は、表面に設置されたLCD13をユーザが見ることのできるような角度に固定される。
【0013】
LCD13は例えば液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)であり、表示側筐体12を回動させ本体側筐体11と対向する折りたたみ状態となったとき、表示側筐体12の本体側筐体11と重なる側の面に設置される。LCD13はPC10が出力する画像情報をユーザに向けて表示する機能を有している。
【0014】
ヒンジ部14は表示側筐体12を本体側筐体11に回動可能に接続している。
【0015】
キーボード15は本体側筐体11の上部表面に設置され、ユーザがキーを押圧したことを検知し、その情報をPC10に伝達する機能を有している。
【0016】
タッチパッド16は本体側筐体11の上部表面に設置され、ユーザが表面を指でなぞるとその動きを検知し、電気信号として取得して、その情報をPC10に伝達する機能を有している。
【0017】
傾きセンサ17は本実施形態においては3軸加速度センサであり本体側筐体11に内蔵される。本体側筐体11が移動するとき、3軸に関してその移動による加速度を計測する機能を有している。またこの傾きセンサ17は3軸加速度センサと例示しているがこれに限定されるものではなく、本体側筐体11の角度および移動量を算出可能な物理量を計測できるセンサであればよい。
【0018】
角度センサ18は本体側筐体11のヒンジ部14付近に設置され、表示側筐体12の本体側筐体11に対する角度を計測する機能を有している。
【0019】
図2は本実施形態におけるPC10の内部構造の一例を示すブロック図である。図2にはCPU201、ROM202、RAM203、HDD204、キーボード15、タッチパッド16、KBC205、傾きセンサ17、角度センサ18、位置角度算出部206、GPU207、VRAM208、LCD13、3Dオブジェクト定義部209、2D画像生成部210、およびバス211が示されている。
【0020】
CPU201は中央演算処理装置(Central Processing Unit)であり、PC10全体を制御している。またプログラムを実行し、そのプログラムに応じた所定の処理を実行する機能を有している。
【0021】
ROM202は半導体メモリによって構成されCPU201の実行するプログラムを格納している。
【0022】
RAM203は半導体メモリにより構成され、CPU201がプログラムを処理する際にプログラムおよびデータを展開する領域として利用される。
【0023】
HDD204は例えば磁気ディスク装置であり、PC10のデータを保存する不揮発性の領域として利用される。CPU201の指示により、記憶されたプログラムやデータを読み出すことができる。また、HDD204には3Dオブジェクトをユーザに表示するアプリケーションである3Dオブジェクト表示アプリケーションプログラムが保存されている。
【0024】
KBC205はキーボード15およびタッチパッド16からの入力を制御するコントローラである。キーボード15およびタッチパッド16からユーザの操作情報を伝達され、入力情報としてPC10に入力を行なう。
【0025】
位置角度算出部206は傾きセンサ17および角度センサ18からの入力情報を基に、LCD13の基準面に対する角度および移動量を算出する機能を有している。ここでの基準面とは、LCD13の角度を決定する際に基準とする面である。以後、この基準面を水平面として説明を行なうが、これは本実施形態における例示であり、これに限定されることは無い。傾きセンサ17は加速度を測定するため、傾きセンサ17が静止状態で重力加速度を測定することにより位置角度算出部206は本体側筐体11の水平面に対する姿勢(角度)を算出することが可能である。また角度センサ18は本体側筐体11に対する表示側筐体12の角度を測定するため、位置角度算出部206は傾きセンサ17と角度センサ18の測定結果より表示側筐体12の水平面に対する角度を算出することが可能である。この角度算出に関しては図5、図6を用いて、後に詳細に説明する。また、LCD13は表示側筐体12の表面に設けられているため、表示側筐体12の基準面に対する角度を算出することはLCD13の表示面の基準面に対する角度を算出することと同義である。
【0026】
GPU207は画像処理用の半導体チップであり、CPU201からの描画指示に従って画像を生成し、LCD13に出力する機能を有する。また、GPU207は3Dオブジェクト定義部209および2D画像生成部210を備えている。また、CPU201からの指示によって3Dオブジェクト表示アプリケーションによる3Dオブジェクトの表示処理を行う。
【0027】
VRAM208は半導体メモリにより構成され、LCD13に表示される画像情報を保持する機能を持つ。
【0028】
3Dオブジェクト定義部209はユーザに表示する3Dオブジェクトを定義する機能を有している。また定義された3Dオブジェクトを一時的に格納する格納領域も有している。ここで3Dオブジェクトとは本実施形態における立体視観賞を行なう対象であり、LCD13に2D画像として表示されるが、ユーザは様々な視点より観賞すること可能であり、ユーザにとっては立体物のように認識されるオブジェクトである。
【0029】
2D画像生成部210は位置角度算出部206によって算出されたLCD13の水平面に対する角度および移動量に基づいて、3Dオブジェクト定義部209が定義した3Dオブジェクトより2D画像を生成する機能を有している。2D画像生成部210は位置角度算出部206の算出したLCD13の角度および移動量より3Dオブジェクトを観察する視点を決定し、該視点から3Dオブジェクトを観察したときの3Dオブジェクトの画像を生成し、その画像情報をLCD13へと出力する。ここで視点とは(x, y, z,θ123)のような視点位置と視点角度の情報をもつ。
【0030】
バス211には各モジュールが接続されており、モジュール相互間での通信を可能としている。
【0031】
図3は本実施形態における3Dオブジェクト31を様々な視点から観察するとしたときのLCD13に表示される画像の一例を示す図である。図3には3Dオブジェクト31、視点(A)で認識される像32、視点(B)で認識される像33、および視点(C)で認識される像34が示されている。本実施形態においてx軸、y軸、z軸を図3中に示すように定義し、x軸およびy軸を含む平面が実際の水平面に対応するものとする。
【0032】
本実施形態で定義される3Dオブジェクト31は円錐と円柱がx軸およびy軸を含む平面上に配置されているものとする。当然これは本実施形態における例示であり、3Dオブジェクトがこれに限定されるものではない。
【0033】
視点(A)、視点(B)、視点(C)の視点位置および視点角度をそれぞれ、(xA, yA, zA1A2A3A)、(xB, yB, zB1B2B3B)、(xC, yC, zC1C2C3C)とする。ここで(x, y, z,θ123)はそれぞれ、xはx軸上での視点位置、yはy軸上での視点位置、zはz軸上での視点位置、θ1はy軸回りのx軸と視点とがなす角度、θ2はx軸回りのy軸と視点とがなす角度、θ3はz軸回りのx軸と視点とがなす角度である。またここで、視点(A)、視点(B)、および視点(C)は全てx軸とz軸を含む平面上に存在する。
【0034】
3Dオブジェクト定義部209が定義した3Dオブジェクト31を視点(A)より観察するものとして、2D画像生成部210が生成する2D画像は像32となる。また、視点(B)より観察するものとして、2D画像生成部210が生成する2D画像は像33、視点(C)より観察するものとして、2D画像生成部210が生成する2D画像は像34となる。このように3Dオブジェクト31を異なる視点から観察したものとすると、それぞれ全く異なった画像としてLCD13に表示される。
【0035】
図4は本実施形態における3Dオブジェクトを異なる視点から観察した場合の認識される像の一例を示す図である。図4には3Dオブジェクト31、視点(A)で認識される像32、および視点(A’)で認識される像41が示されている。
【0036】
ここで視点(A’)は視点(A)と視点角度は同様であり、視点位置は視点(A)より3Dオブジェクト31に近接した視点である。この視点(A’)より3Dオブジェクト31を観察するものとして2D画像生成部210が生成する2D画像は像41となる。
【0037】
このように異なる視点(視点位置、視点角度)から3Dオブジェクト31を観察したとするとそれぞれ異なる画像がLCD13に表示される。
【0038】
図5は本実施形態におけるPC10の概観を示す斜視図およびPC10の姿勢を変化させた場合の本体側筐体11と表示側筐体12の水平面に対する角度の一例を示した図である。図5にはPC10、本体側筐体11および表示側筐体12が示されている。
【0039】
図5(A)は本実施形態におけるPC10を示す斜視図ある。ここで図に示すようにx軸、y軸、およびz軸を定義する。図5(A)は水平な面上にPC10が置かれている図であり、z軸は高さ方向、x軸とy軸とを含む平面が水平な面である。
【0040】
図5(B1)(B2)にはy軸方向から見た本体側筐体11と表示側筐体12が示される。ここで傾きセンサ17によって測定される加速度を元に位置角度算出部206が算出する本体側筐体11のy軸回りの水平面への角度をωとする。また、角度センサ18によって測定される表示側筐体12の本体側筐体11に対する角度をφとする。さらに表示側筐体12の水平面となす角度を図のようにθとする。LCD13の水平面となす角度はすなわち表示側筐体12の水平面となす角度θとなる。
【0041】
図5(B1)の様に本体側筐体11が水平面置かれている場合は当然θ=φとなる。また、図5(B2)の様に本体側筐体11が水平面に対しωの角度をなしているときθはθ=ω+φとして算出される。このように本体側筐体11の水平面となす角度ωと表示側筐体12の本体側筐体11に対する角度φより、LCD13の水平面となす角度θを算出することができる。
【0042】
図6は本実施形態におけるPC10の姿勢を変化させた場合の本体側筐体11と表示側筐体12の水平面に対する角度の一例を示した図である。図6には本体側筐体11および表示側筐体12が示されている。ここでのx軸、y軸、z軸は図5で図示した軸と同様の軸を示している。
【0043】
図6(C1)(C2)にはx軸方向から見た本体側筐体11と表示側筐体12が示される。ここで傾きセンサ17によって測定される加速度を元に位置角度算出部206が算出する本体側筐体11のx軸回りの水平面への角度をωとする。また表示側筐体12の水平面となす角度を図のようにθとする。図6(C2)で見られるように表示側筐体12のx軸回りの水平面に対する角度すなわちLCD13の水平面に対する角度θはθ=ωとなる
図6(D1)(D2)においても図6(C1)(C2)の場合と同様にLCD13のz軸回りの水平面に対する角度θはθ=ωとして算出される。
【0044】
以上のように傾きセンサ17と角度センサ18によって得られる測定結果より、位置角度算出部206がLCD13の水平面に対する角度を算出することが可能である。またLCD13の移動量はそのまま本体側筐体11の移動量であるため傾きセンサ17によって測定できる。
【0045】
上述のように位置角度算出部206がLCD13の水平面に対する角度および移動した場合の移動量を算出できるため、その結果に基づいて2D画像生成部210は3Dオブジェクトを観察する視点(視点位置、視点角度)を決定し、該視点から観察される2D画像を生成し、LCD13に表示することで、ユーザはPC10の移動、また姿勢を変化させる操作によって3Dオブジェクトを直感的に観賞することが可能となる。
【0046】
図7は本実施形態におけるPC10の姿勢を変化させたときのLCD13に表示される画像の一例を示した図である。図7にはPC10、本体側筐体11、表示側筐体12、LCD13、および3Dオブジェクト31が示されている。
【0047】
最初にPC10が(A)で示される姿勢で3Dオブジェクト31を表示しているとき、(B)の様に姿勢を変化させても前述の処理によってLCD13に表示される3Dオブジェクト31は図のように水平面との角度を保ったまま表示される。このようにLCD13の角度を変化させてもそれに対応して3Dオブジェクト31は表示され、観賞者は直感的に3Dオブジェクト31を鑑賞することができる。
【0048】
図8は本実施形態におけるPC10を移動させたときのLCD13に表示される画像の一例を示した図である。図8にはPC10、本体側筐体11、表示側筐体12、仮想3Dオブジェクト81、位置AでLCD13に表示される表示画像82、および位置BでLCD13に表示される表示画像83が示されている。
【0049】
最初に位置Aにて3Dオブジェクトを観賞すると、位置AにおいてはLCD13には表示画像82が表示され、次に位置(および角度)を変化させて位置B観賞を行なうと表示画像83が表示される。このように位置(および角度)を変化させても、3Dオブジェクトは仮想3Dオブジェクト81が実空間に存在するかのように表示することができる。
【0050】
図9は本実施形態における3Dオブジェクト31の表示処理フローの一例を示すフロー図である。
【0051】
最初にユーザからの指示に基づいてCPU201がHDD204に格納された3Dオブジェクト表示アプリケーションプログラムを取り出し、そのプログラムの実行を開始する(S901)。3Dオブジェクト表示アプリケーションが開始されると3Dオブジェクト定義部209がCPU201からの要求によってHDD204に格納されたユーザの所望の3Dオブジェクト31のデータを取り出し、3Dオブジェクト31を定義する(S902)。3Dオブジェクト31を定義すると、3Dオブジェクト定義部209は自身の格納領域にそのデータを格納する。次に位置角度算出部206が傾きセンサ17および角度センサ18で測定された測定値によってLCD13の水平面に対する角度を算出し(S903)、GPU207に算出されたLCD13の水平面に対する角度θの情報を送信する。2D画像生成部210はGPU207が受信した該角度情報と3Dオブジェクト定義部209に格納された3Dオブジェクト31の情報を元に、該角度に基づいた視点から観賞した3Dオブジェクト31の2D画像を生成する(S904)。ここで前述の該角度に基づいた視点とは3Dオブジェクト31から所定の距離にあってx軸とz軸を含む平面上において、x軸とθの角度をなす視点である。次にその2D画像をVRAM208に格納し、LCD13に該2D画像を表示する(S905)。その後、ユーザからの3Dオブジェクト表示アプリケーション終了の指示を待機する(S906)。終了の指示がなされない間(No)、傾きセンサ17または角度センサ18がPC10(LCD13)の移動もしくは角度の変化を検出すると(S907、Yes)、傾きセンサ17または角度センサ18の測定した測定値を元に位置角度算出部206がそのときのLCD13の移動量および角度変化を算出する。次に該算出結果より2D画像生成部210が位置又は角度変化後の視点から観賞される3Dオブジェクト31の2D画像を生成し(S908)、LCD13においてその2D画像を表示する(S909)。S907においてPC10変化を検出しない場合(S907、No)、またS909で2D画像を表示した後はステップは再びS906へ戻る。S906でユーザより3Dオブジェクト表示アプリケーションの終了の指示がなされると(Yes)、3Dオブジェクト表示アプリケーションを終了し(S910)、以上で表示処理フローは終了となる。
【0052】
本実施形態ではS904、S905において最初の表示から、LCD13の水平面に対する角度に基づいた視点から観賞した3Dオブジェクト31を表示するとしているが、これに限定されるものではなく、LCD13の角度に関係なく最初の表示のみは初期値として設定されている視点から観察される3Dオブジェクト31の表示を行なってもよい。
【0053】
また、表示側筐体12に傾き17センサ等のモジュールを搭載させたとすると電子情報を伝達するためのコードを他のコードが多く通るヒンジ部にさらに通す必要があるが、本実施形態で示されるPC10では本体側筐体11に傾きセンサ17および角度センサ18を搭載させるため、余計なコードをヒンジ部14に通す必要が無い。
【0054】
本発明では折りたたみ構造を有する電子機器において、本体側筐体に傾きセンサを設け、表示側筐体の本体側筐体に対する角度を計測可能な角度センサを設けることで、ユーザが直感的な操作によって観賞可能な3Dオブジェクトの表示を行なうことが可能であり、かつ、その表示側筐体を薄型に保つことができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態におけるノートPCの概観の一例を示す斜視図。
【図2】本実施形態におけるPCの内部構造の一例を示すブロック図。
【図3】本実施形態における3Dオブジェクトを様々な視点から観察した際の観察方向とその観察方向から観察した場合の認識される像の一例を示す図。
【図4】本実施形態における3Dオブジェクトを水平面に対して同じ角度で、異なる距離から観察した場合の認識される像の一例を示す図。
【図5】本実施形態におけるPCの概観を示す斜視図およびPCの姿勢を変化させた場合の本体側筐体と表示側筐体の水平面に対する角度の一例を示した図。
【図6】本実施形態におけるPCの姿勢を変化させた場合の本体側筐体と表示側筐体の水平面に対する角度の一例を示した図。
【図7】本実施形態におけるPCの姿勢を変化させたときのLCDに表示される画像の一例を示した図。
【図8】本実施形態におけるPCを移動させたときのLCDに表示される画像の一例を示した図。
【図9】本実施形態における3Dオブジェクトの表示処理フローの一例を示すフロー図。
【符号の説明】
【0057】
10:PC
11:本体側筐体
12:表示側筐体
13:LCD
14:ヒンジ部
15:キーボード
16:タッチパッド
17:傾きセンサ
18:角度センサ
201:CPU
202:ROM
203:RAM
204:HDD
205:KBC
206:位置角度算出部
207:GPU
208:VRAM
209:3Dオブジェクト定義部
210:2D画像生成部
211:バス
31:3Dオブジェクト
32:視点(A)で認識される像
33:視点(B)で認識される像
34:視点(C)で認識される像
41:視点(A’)で認識される像
81:仮想3Dオブジェクト
82:位置AでLCDに表示される表示画像
83:位置BでLCDに表示される表示画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体側筐体と、
前記本体側筐体と回動可能に取り付けられた表示側筐体と、
前記表示側筐体に設けられた、画像を表示する表示部と、
前記本体側筐体に設けられ、基準面に対する前記表示部の角度を測定する測定手段と、
前記測定手段によって測定される前記角度に基づいて該表示部に表示される画像を生成する画像生成手段と
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記画像生成手段は、
三次元画像を定義する三次元画像定義手段と、
前記測定手段によって測定される前記角度に基づいて三次元画像から二次元画像を作成し、前記表示部に該二次元画像を表示する二次元画像表示手段と
から構成されることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記測定手段は前記表示側筐体が移動した際にその移動量をさらに測定し、
前記二次元画像表示手段は前記測定手段が前記移動量を測定したとき、該移動量および前記角度に基づいて三次元画像から二次元画像を作成し、前記表示部に該二次元画像を表示する
ことを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記測定手段は、
前記本体側筐体に設けられ、基準面に対する該本体側筐体の角度を求めることの可能な物理量を測定する傾き測定手段と、
前記本体側筐体に設けられ、前記表示側筐体の該本体側筐体に対する角度を測定する角度測定手段と、
前記本体側筐体に設けられ、前記傾き測定手段によって測定される前記基準面に対する前記本体側筐体の角度と前記角度測定手段によって測定される前記表示側筐体の前記本体側筐体に対する角度より、前記基準面に対する前記表示側筐体に設けられた前記表示部の前記基準面に対する角度を算出する角度算出部と
から構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の電子機器。
【請求項5】
本体側筐体と、
前記本体側筐体と回動可能に取り付けられた表示側筐体と、
前記表示側筐体に設けられた、画像を表示する表示部と、
前記本体側筐体に設けられ、該本体側筐体の基準面に対する角度を測定する傾きセンサと、
前記本体側筐体に設けられ、前記表示側筐体の該本体側筐体に対する角度を測定する角度センサと
を具備する情報処理装置において前記表示部に像を表示する表示方法であって、
前記傾きセンサによって測定される前記角度と前記角度センサによって測定される前記角度から前記表示側筐体の基準面に対する角度を求め、
求められた前記基準面に対する角度に基づいて画像を生成し、
前記表示部に生成された前記画像を表示する
ことを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−145837(P2010−145837A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324295(P2008−324295)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】