説明

電子機器および表示方法

【課題】ユーザがタッチパネルを介してより簡単な操作によって画面のスクロール命令と文字列の選択命令とを入力することができる電子機器および表示方法を提供する。
【解決手段】タッチパネル120と、テキストを記憶するメモリ130と、タッチパネル120にテキストを表示させ、タッチパネル120を介してタッチ位置を取得するためのプロセッサ110とを備える電子機器100が提供される。プロセッサ110は、タッチ位置のスライド方向を取得することによって、スライド方向が横方向である場合にタッチ位置に基づいて文字列の選択命令を受け付け、スライド方向が縦方向である場合にタッチ位置に基づいて画面のスクロール命令を受け付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル上にテキストを表示可能な電子機器および表示方法に関し、特に、タッチパネルを介してユーザから文字列の選択命令と画面のスクロール命令とを受け付けるための電子機器および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイにテキストを表示する技術が知られている。また、タッチパネルを介してタッチ位置を取得することによって、ユーザから命令を受け付ける技術も知られている。具体的には、電子機器は、タッチパネルを介して、ソフトウェアボタンの選択を受け付けたり、ユーザのスライド操作を検知することによってスライド量に応じて画面をスクロールしたりする。
【0003】
たとえば、特開2008−204402号公報(特許文献1)には、ユーザインターフェース装置が開示されている。特開2008−204402号公報(特許文献1)によると、デジタルカメラのUI部は、表示画面と、当該表示画面の左外側および右外側に配された左側タッチストリップと右側タッチストリップを備えている。各タッチストリップは、いずれも、ユーザによる上下方向へのスライド動作と左右方向へのスライド動作とを区別して検知できる。UI部の制御部は、上下方向のスライドが検知された場合には、項目の選択位置移動や画面のスクロールなど、スライド量が重視される操作指示として受け付け、左右方向のスライドが検知された場合には、ファイルの削除指示や新規階層項目の表示または非表示などのようにスライド量が重視されないトリガー的な意味合いの操作指示として受け付ける。
【0004】
また、特開2006−129942号公報(特許文献2)には、プログラム、情報記憶媒体及びゲーム装置が開示されている。特開2006−129942号公報(特許文献2)によると、野球ゲームにおいて投手の投球動作の操作入力を行う場合、操作画面において、タッチ位置変更領域で左右方向へスライド操作すると、この操作方向に沿った方向に操作量に応じた距離だけ、ゲーム画面における投手の立ち位置が変化する。そして、操作画面においてゲートを通過するように上から下方向へのスライド操作を行うと、ゲーム画面において投手の投球モーションが開始される。その後、球種・球速選択エリアまで続けてスライド操作すると、タッチ位置に応じた球種・球速が選択されるとともに、左右方向方向への操作量に応じて投球コースが左右方向に変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−204402号公報
【特許文献2】特開2006−129942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子機器が、テキストを表示する際に、当該テキストから文字列を選択するための命令をユーザから受け付けられると有益である場合がある。しかしながら、電子機器は、タッチ操作に基づいて、画面のスクロール命令と文字列の選択命令との両者を受け付けることが困難な場合がある。具体的には、ユーザは、別途、画面のスクロール命令を受け付けるためのモードと文字列の選択を受け付けるモードとを切り替える必要があるため、操作が面倒なものとなってしまう。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザがタッチパネルを介してより簡単な操作によって画面のスクロール命令と文字列の選択命令とを入力することができる電子機器および表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のある局面に従うと、タッチパネルと、テキストを記憶するメモリと、タッチパネルにテキストを表示させ、タッチパネルを介してタッチ位置を取得するためのプロセッサとを備える電子機器が提供される。プロセッサは、タッチ位置のスライド方向を取得することによって、スライド方向が横方向である場合にタッチ位置に基づいて文字列の選択命令を受け付け、スライド方向が縦方向である場合にタッチ位置に基づいて画面のスクロール命令を受け付ける。
【0009】
好ましくは、プロセッサは、タッチ開始位置が含まれる文字を内包する第1の矩形エリア外にタッチ位置が検出されたときに、タッチ位置に基づいてスライド方向を判断する。
【0010】
好ましくは、プロセッサは、第1の矩形エリア外かつタッチ開始位置を中心とした第2の矩形エリア外にタッチ位置が検出されたときに、タッチ位置に基づいてスライド方向を判断する。
【0011】
好ましくは、プロセッサは、タッチ位置が第1の矩形エリア外に位置し、タッチ開始位置からタッチ位置への方向と上下方向との角度が所定角度未満である場合に、スライド方向が縦方向であると判断し、タッチ位置が第1の矩形エリア外に位置し、タッチ開始位置からタッチ位置への方向と上下方向との角度が所定角度以上である場合に、スライド方向が横方向であると判断する。
【0012】
好ましくは、プロセッサは、タッチ位置が第1の矩形エリア外に位置し、タッチ開始位置からタッチ位置への方向と左右方向との角度が所定角度未満である場合に、スライド方向が横方向であると判断し、タッチ位置が第1の矩形エリア外に位置し、タッチ開始位置からタッチ位置への方向と上下方向との角度が所定角度以上である場合に、スライド方向が縦方向であると判断する。
【0013】
好ましくは、プロセッサは、タッチ位置が、第1の矩形エリアの略上方および略下方のいずれかに位置する場合に、スライド方向が縦方向であると判断し、タッチ位置が、第1の矩形エリアの略上方および略下方のいずれにも位置しない場合に、スライド方向が横方向であると判断する。
【0014】
好ましくは、プロセッサは、タッチ位置が、第1の矩形エリアの略右方および略左方のいずれかに位置する場合に、スライド方向が横方向であると判断し、タッチ位置が、第1の矩形エリアの略右方および略左方のいずれにも位置しない場合に、スライド方向が縦方向であると判断する。
【0015】
好ましくは、プロセッサは、タッチ位置が、第1の矩形エリア外かつタッチ開始位置が含まれる文字を含む行の外側に位置する場合に、スライド方向が縦方向であると判断し、タッチ位置が、第1の矩形エリア外かつタッチ開始位置が含まれる文字を含む行の内側に位置する場合に、スライド方向が横方向であると判断する。
【0016】
好ましくは、プロセッサは、タッチ位置が、第1の矩形エリア外かつタッチ開始位置が含まれる文字を含む列の内側に位置する場合に、スライド方向が縦方向であると判断し、タッチ位置が、第1の矩形エリア外かつタッチ開始位置が含まれる文字を含む列の外側に位置する場合に、スライド方向が横方向であると判断する。
【0017】
この発明の別の局面に従うと、タッチパネルとプロセッサとを含む電子機器における表示方法が提供される。表示方法は、プロセッサが、タッチパネルにテキストを表示させるステップと、プロセッサが、タッチパネルを介してタッチ位置を取得するステップと、プロセッサが、タッチ位置のスライド方向を取得するステップと、スライド方向が横方向である場合に、プロセッサが、タッチ位置に基づいて文字列の選択命令を受け付け、スライド方向が縦方向である場合に、プロセッサが、タッチ位置に基づいて画面のスクロール命令を受け付ける。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、この発明によれば、ユーザがタッチパネルを介してより簡単な操作によって画面のスクロール命令と文字列の選択命令とを入力することができる電子機器および表示方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態に係る電子辞書100の動作概要を示すイメージ図である。
【図2】電子辞書100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る第1の判定方法を示すイメージ図である。
【図4】本実施の形態に係る第2の判定方法を示すイメージ図である。
【図5】本実施の形態に係る第3の判定方法を示すイメージ図である。
【図6】本実施の形態に係る第4の判定方法を示すイメージ図である。
【図7】本実施の形態に係る第5の判定方法を示すイメージ図である。
【図8】本実施の形態に係る第6の判定方法を示すイメージ図である。
【図9】本実施の形態に係る第7の判定方法を示す第1のイメージ図である。
【図10】本実施の形態に係る第7の判定方法を示す第2のイメージ図である。
【図11】本実施の形態に係る電子辞書100における表示処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本実施の形態に係る電子辞書100における表示処理の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本実施の形態に係る電子辞書100におけるスクロール処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第1の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第2の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第3の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第4の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】本実施の形態に係る電子辞書100における範囲選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】本実施の形態に係る電子辞書100における範囲選択処理の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。以下では、電子辞書を「電子機器」の代表例として説明を行う。ただし、「電子機器」は、パーソナルコンピュータ、携帯型電話機、電子ノート、PDA(Personal Digital Assistant)などのような、タッチパネルを有する他の情報端末によっても実現可能である。
【0021】
<電子辞書100の動作概要>
まず、本実施の形態に係る電子辞書100の動作概要について説明する。図1は、本実施の形態に係る電子辞書100の動作概要を示すイメージ図である。より詳細には、図1(a)は、電子辞書100がテキストを表示した状態を示すイメージ図である。図1(b)は、ユーザの指がタッチパネル120に表示されるテキスト上を左右方向にスライドした状態を示すイメージ図である。図1(c)は、テキストが選択された状態を示すイメージ図である。図1(d)は、ユーザの指がタッチパネル120に表示されるテキスト上を上下方向にスライドした状態を示すイメージ図である。図1(e)は、画面がスクロールされた状態を示すイメージ図である。
【0022】
図1(a)を参照して、電子辞書100は、たとえば、検索された単語と、当該単語の説明文を表示する。ユーザの指が、タッチパネル120のテキストにタッチする。
【0023】
図1(b)を参照して、ユーザの指が、タッチパネル120表面を左右方向へスライドする。たとえば、ユーザの指は、タッチパネル120に記載されているテキスト中の「B」という文字から「E」という文字までスライドする。
【0024】
図1(c)を参照して、電子辞書100は、タッチ操作(スライド操作)に基づいて、ユーザの指が通過した文字列の選択命令(範囲選択)を受け付ける。タッチパネル120は、選択された文字列を白黒反転させる。たとえば、電子辞書100は、文字列に基づいて、辞書データベースを検索することができる(ジャンプ機能)。
【0025】
一方、図1(d)を参照して、ユーザの指が、タッチパネル120表面を上下方向へスライドする。たとえば、ユーザの指が、タッチパネル120に記載されているテキスト中の「B」という文字から情報に向かってスライドする。
【0026】
図1(e)を参照して、電子辞書100は、タッチ操作(スライド操作)に基づいて、画面のスクロール命令を受け付ける。たとえば、ユーザの指が最初にタッチした文字が含まれる行が、ユーザの指が停止した位置(ユーザの指が離れた位置)まで移動するように、テキストの表示位置や表示対象のテキスト範囲を変更する。
【0027】
これによって、ユーザは、文字列の選択命令と画面のスクロール命令とを容易に(ワンタッチで)入力することができる。換言すれば、ユーザは、文字列の選択命令を入力するためのモードと、画面のスクロール命令を入力するためのモードとを切り替えるための命令を入力しなくとも、文字列の選択命令と画面のスクロール命令とを入力することができる。また、テキストと別にスクロールするためのソフトウェアボタンなどを表示する必要がなくなる。
【0028】
以下、このような機能を実現するための電子辞書100の具体的な構成について詳述する。
【0029】
<電子辞書100のハードウェア構成>
次に、電子辞書100の具体的構成の一態様について説明する。図2は、電子辞書100のハードウェア構成を表わすブロック図である。図2を参照して、電子辞書100は、主たる構成要素として、CPU110と、タッチパネル120と、メモリ130と、メモリインターフェイス140と、通信インターフェイス150と、時計160とを含む。
【0030】
タッチパネル120は、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式などのいずれのタイプであってもよい。タッチパネル120は、光センサ液晶を含んでもよい。タッチパネル120は、所定時間毎に外部の物体によるタッチパネル120へのタッチ操作を検知して、タッチ座標(タッチ位置)をCPU110に入力する。換言すれば、CPU110は、タッチパネル120から順次タッチ座標を取得する。
【0031】
メモリ130は、各種のRAM(Random Access Memory)や、ROM(Read-Only Memory)や、ハードディスクなどによって実現される。メモリ130は、CPU110によって実行されるプログラムや、単語と説明文(合せてテキストとも言う。)とが対応付けられた辞書データベース、タッチパネル120を介して入力されたタッチ座標の時系列データなどを記憶する。換言すれば、CPU110は、メモリ130に記憶されているプログラムを実行することによって、電子辞書100の各部を制御する。
【0032】
メモリインターフェイス140は、外部の記憶媒体141からデータを読み出す。換言すれば、CPU110は、メモリインターフェイス140を介して外部の記憶媒体141に格納されているデータを読み出して、当該データをメモリ130に格納する。逆に、CPU110は、メモリ130からデータを読み出して、メモリインターフェイス140を介して当該データを外部の記憶媒体141に格納する。
【0033】
なお、記憶媒体141としては、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0034】
通信インターフェイス150は、アンテナやコネクタによって実現される。通信インターフェイス150は、有線通信あるいは無線通信によって他の装置との間でデータをやり取りする。換言すれば、CPU110は、通信インターフェイス150を介して、他の装置からプログラムや画像データやテキストデータなどを受信したり、他の装置に画像データやテキストデータを送信したりする。
【0035】
時計160は、CPU110からの指令に基づいて、時刻あるいは期間を計測する。CPU110は、時計160からの時刻に基づいて、タッチ座標に対応する時刻を時系列としてメモリ130に記憶する。
【0036】
CPU110は、メモリ130あるいは記憶媒体141に記憶されているプログラムを実行することによって、電子辞書100の各部を制御する。すなわち、CPU110は、メモリ130あるいは記憶媒体141に記憶されているプログラムを実行することによって、図1に記載の動作、図3〜図10に記載の判定方法、および図11〜20に記載の処理を実現する。
【0037】
<モード判定方法>
以下では、CPU110によって実行されるモード判定方法について説明する。CPU110は、タッチパネル120にテキストを表示する。なお、本実施の形態においては、テキストが表示される際に、文字の各々に表示エリアが割り当てられている。表示エリアは、文字を内包する矩形である。
【0038】
CPU110は、タッチパネル120を介してタッチ座標(タッチ開始位置)を取得する。CPU110は、タッチ開始位置が含まれる文字(開始文字)を特定する。CPU110は、タッチパネル120を順次タッチ座標を取得する。CPU110は、現在のタッチ座標が、開始文字の表示エリア外に達したか否かを判断する。
【0039】
CPU110は、現在のタッチ座標が開始文字の表示エリア外に達したと判断したとき、当該現在のタッチ座標が、開始文字の表示エリアの上方または下方(両者をまとめて縦エリアともいう。)に位置するか否かを判断する。CPU110は、当該現在のタッチ座標が、開始文字の表示エリアの上方または下方に位置する場合、タッチ座標に基づいて画面のスクロール命令を受け付ける。CPU110は、当該現在のタッチ座標が、開始文字の表示エリアの上方および下方に位置しない場合、タッチ座標に基づいて文字列の選択命令を受け付ける。
【0040】
<第1の判定方法>
以下、より詳細に、第1の判定方法について説明する。図3は、本実施の形態に係る第1の判定方法を示すイメージ図である。
【0041】
図3を参照して、CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、かつタッチ開始位置の上下方向から所定角度θ1内(縦エリア、図3におけるドットエリア)に位置する場合に、スライド方向が縦方向であると判断する。換言すれば、CPU110は、タッチ座標が第1の矩形エリア外に位置し、タッチ開始位置からタッチ座標への方向と上下方向との角度が所定角度θ1未満である場合に、スライド方向が縦方向であると判断する。
【0042】
CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、かつタッチ開始位置の上下方向から所定角度θ1外(横エリア、図3におけるハッチングエリア)に位置する場合に、スライド方向が横方向であると判断する。換言すれば、CPU110は、タッチ座標が第1の矩形エリア外に位置し、タッチ開始位置からタッチ座標への方向と上下方向との角度が所定角度θ1以上である場合に、スライド方向が横方向であると判断する。
【0043】
あるいは、CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、かつタッチ開始位置の左右方向から所定角度θ2内(横エリア)に位置する場合に、スライド方向が横方向であると判断する。換言すれば、CPU110は、タッチ座標が第1の矩形エリア外に位置し、タッチ開始位置からタッチ座標への方向と左右方向との角度が所定角度θ2未満である場合に、スライド方向が横方向であると判断する。
【0044】
CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、かつタッチ開始位置の左右方向から所定角度θ2外(縦エリア)に位置する場合に、スライド方向が横方向であると判断する。換言すれば、CPU110は、タッチ座標が第1の矩形エリア外に位置し、タッチ開始位置からタッチ座標への方向と左右方向との角度が所定角度θ2以上である場合に、スライド方向が縦方向であると判断する。
【0045】
なお、第1の判定方法と第2の判断処理とに共通して、CPU110が、タッチパネル120あるいはボタンなどの入力装置を介して、ユーザから、縦方向の直線と第1の直線との角度θ1あるいは横方向の直線と第1の直線との角度θ2(=90−θ1)の設定を受け付けることが好ましい。すなわち、角度θ1を増加させる(角度θ2を低下させる)ことによって画面のスクロール命令の入力を容易にしたり、角度θ1を低下させる(角度θ2を増加させる)ことによっての文字列の選択命令の入力を容易にしたりすることができる。
【0046】
<第2の判定方法>
以下、より詳細に、第2の判定方法について説明する。図4は、本実施の形態に係る第2の判定方法を示すイメージ図である。
【0047】
図4を参照して、CPU110は、第1の矩形エリアの右上端から右上方向に向かう第1の直線を、スライドの右方向と上方向の境界線と仮定する。CPU110は、第1の矩形エリアの左上端から左上方向に向かう第2の直線を、スライドの左方向と上方向の境界線と仮定する。CPU110は、第1の矩形エリアの右下端から右下方向に向かう第3の直線を、スライドの右方向と下方向の境界線と仮定する。CPU110は、第1の矩形エリアの左下端から左下方向に向かう第4の直線を、スライドの左方向と下方向の境界線と仮定する。
【0048】
CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリアの上方であって、かつ第1の直線と第2の直線との間(縦エリア、図4におけるドットエリア)に位置する場合に、スライド方向が縦方向であると判断する。CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリアの下方であって、かつ第3の直線と第4の直線との間(縦エリア、図4におけるドットエリア)に位置する場合に、スライド方向が縦方向であると判断する。
【0049】
CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリアの右方であって、かつ第1の直線と第3の直線との間(横エリア、図4におけるハッチングエリア)に位置する場合に、スライド方向が横方向であると判断する。CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリアの左方であって、かつ第2の直線と第4の直線との間(横エリア、図4におけるハッチングエリア)に位置する場合に、スライド方向が横方向であると判断する。
【0050】
<第3の判定方法>
以下、より詳細に、第3の判定方法について説明する。図5は、本実施の形態に係る第3の判定方法を示すイメージ図である。
【0051】
図5を参照して、CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、タッチ開始位置が含まれる文字が含まれる行の外側(縦エリア、図5におけるドットエリア)に位置する場合に、スライド方向が縦方向であると判断する。CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、タッチ開始位置が含まれる文字が含まれる行の内側(横エリア、図5におけるハッチングエリア)に位置する場合に、スライド方向が横方向であると判断する。
【0052】
換言すれば、第3の判定方法は、図4において、縦方向の直線と第1の直線との角度θ1が90度に設定された場合、あるいは横方向の直線と第1の直線との角度θ2(=90−θ1)が0度に設定された場合に該当する。
【0053】
<第4の判定方法>
以下、より詳細に、第4の判定方法について説明する。図6は、本実施の形態に係る第4の判定方法を示すイメージ図である。
【0054】
図6を参照して、CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、タッチ開始位置が含まれる文字が含まれる列の内側(縦エリア、図6におけるドットエリア)に位置する場合に、スライド方向が縦方向であると判断する。CPU110は、タッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、タッチ開始位置が含まれる文字が含まれる列の外側(横エリア、図6におけるハッチングエリア)に位置する場合に、スライド方向が横方向であると判断する。
【0055】
換言すれば、第4の判定方法は、図6において、縦方向の直線と第1の直線との角度θ1が0度に設定された場合、あるいは横方向の直線と第1の直線との角度θ2(=90−θ1)が90度に設定された場合に該当する。
【0056】
<第5の判定方法>
以下、より詳細に、第5の判定方法について説明する。図7は、本実施の形態に係る第5の判定方法を示すイメージ図である。
【0057】
図7を参照して、CPU110は、現在のタッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、かつタッチ開始位置を上下方向の中心とした第1の矩形エリアと同じサイズの第2の矩形エリア外に達したか否かを判断する。CPU110は、第1の矩形エリア外であって、かつ第2の矩形エリア外に達したと判断したとき、第1から第4の判定方法に基づいて、スライド方向を判断する。なお、図7は、第3の判定方法を採用した場合の判定方法を示すイメージ図である。
【0058】
<第6の判定方法>
以下、より詳細に、第6の判定方法について説明する。図8は、本実施の形態に係る第6の判定方法を示すイメージ図である。
【0059】
図8を参照して、CPU110は、現在のタッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、かつタッチ開始位置を左右方向の中心とした第1の矩形エリアと同じサイズの第2の矩形エリア外に達したか否かを判断する。CPU110は、第1の矩形エリア外であって、かつ第2の矩形エリア外に達したと判断したとき、第1から第4の判定方法に基づいて、スライド方向を判断する。なお、図8は、第4の判定方法を採用した場合の判定方法を示すイメージ図である。
【0060】
<第7の判定方法>
以下、より詳細に、第7の判定方法について説明する。図9は、本実施の形態に係る第7の判定方法を示す第1のイメージ図である。図10は、本実施の形態に係る第7の判定方法を示す第2のイメージ図である。
【0061】
図9および図10を参照して、CPU110は、現在のタッチ座標が、第1の矩形エリア外であって、かつタッチ開始位置を中心とした第1の矩形エリアと同じサイズの第2の矩形エリア外に達したか否かを判断する。CPU110は、第1の矩形エリア外であって、かつ第2の矩形エリア外に達したと判断したとき、第1から第4の判定方法に基づいて、スライド方向を判断する。なお、図9は、第3の判定方法を採用した場合の判定方法を示すイメージ図である。図10は、第4の判定方法を採用した場合の判定方法を示すイメージ図である。
【0062】
<表示処理>
次に、本実施の形態に係る電子辞書100における表示処理について説明する。なお、図11は、本実施の形態に係る電子辞書100における表示処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0063】
図11を参照して、CPU110は、タッチ操作の割り込み処理を待ち受ける(ステップS102)。すなわち、CPU110は、タッチパネル120に対するタッチ操作を待ち受ける。CPU110は、タッチパネル120からタッチ座標を取得したか否かを判断する(ステップS104)。CPU110は、タッチパネル120からタッチ座標を取得しなかった場合(ステップS104においてNOである場合)、ステップS102からの処理を繰り返す。
【0064】
CPU110は、タッチパネル120からタッチ座標を取得した場合(ステップS104においてYESである場合)、最初のタッチ座標をメモリ130に記憶する(ステップS106)。CPU110は、タッチパネル120を介して順次最新のタッチ座標を取得して、当該タッチ座標をメモリ130に記憶していく。
【0065】
CPU110は、最初のタッチ座標がテキスト上であるか否かを判断する(ステップS108)。すなわち、CPU110は、最初のタッチ座標が、テキストのいずれかの文字の表示エリア内に位置するか否かを判断する。
【0066】
CPU110は、最初のタッチ座標がテキスト上でない場合(ステップS108においてNOである場合)、スクロール処理を実行する(ステップS200)。スクロール処理については後述する。CPU110は、スクロール処理が終了すると、ステップS102からの処理を繰り返す。
【0067】
CPU110は、最初のタッチ座標がテキスト上である場合(ステップS108においてYESである場合)、CPU110は最初のタッチ座標が含まれる文字(開始文字)を特定するため情報のメモリ130に記憶する。CPU110は、タッチパネル120にタッチされた文字を白黒反転表示させる(ステップS110)。
【0068】
CPU110は、現在のタッチ座標が開始文字上であるか否かを判断する(ステップS112)。CPU110は、現在のタッチ座標が開始文字上である場合(ステップS112においてYESである場合)、ステップS112からの処理を繰り返す。
【0069】
CPU110は、現在のタッチ座標が開始文字上でない場合(ステップS112においてNOである場合)、モード判定処理を実行する(ステップS300)。モード判定処理については後述する。
【0070】
CPU110は、モード判定処理を終了すると、範囲選択モードが選択されたか否かを判断する(ステップS114)。CPU110は、範囲選択モードが選択された場合、範囲選択処理(ステップS400)を実行する。範囲選択処理については後述する。CPU110は、範囲選択処理が終了すると、ステップS102からの処理を実行する。
【0071】
CPU110は、範囲選択モードが選択されていない場合(ステップS114においてNOである場合)、すなわちスクロールモードが選択された場合、タッチパネル120に文字の反転表示を解除させる(ステップS116)。CPU110は、スクロール処理(ステップS200)を実行する。CPU110は、スクロール処理を終了すると、ステップS102からの処理を繰り返す。
【0072】
<表示処理の変形例>
次に、本実施の形態に係る電子辞書100における表示処理の変形例について説明する。なお、図12は、本実施の形態に係る電子辞書100における表示処理の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【0073】
図12を参照して、CPU110は、タッチ操作の割り込み処理を待ち受ける(ステップS152)。すなわち、CPU110は、タッチパネル120に対するタッチ操作を待ち受ける。CPU110は、タッチパネル120からタッチ座標を取得したか否かを判断する(ステップS154)。CPU110は、タッチパネル120からタッチ座標を取得しなかった場合(ステップS154においてNOである場合)、ステップS152からの処理を繰り返す。
【0074】
CPU110は、タッチパネル120からタッチ座標を取得した場合(ステップS154においてYESである場合)、最初のタッチ座標をメモリ130に記憶する(ステップS156)。CPU110は、タッチパネル120を介して順次最新のタッチ座標を取得して、当該タッチ座標をメモリ130に記憶していく。
【0075】
CPU110は、最初のタッチ座標がテキスト上であるか否かを判断する(ステップS158)。すなわち、CPU110は、最初のタッチ座標が、テキストのいずれかの文字の表示エリア内に位置するか否かを判断する。
【0076】
CPU110は、最初のタッチ座標がテキスト上でない場合(ステップS158においてNOである場合)、スクロール処理を実行する(ステップS200)。CPU110は、スクロール処理が終了すると、ステップS152からの処理を繰り返す。
【0077】
CPU110は、最初のタッチ座標がテキスト上である場合(ステップS158においてYESである場合)、CPU110は最初のタッチ座標が含まれる文字(開始文字)を特定するための情報をメモリ130に記憶する。CPU110は、タッチパネル120にタッチされた文字を白黒反転表示させる(ステップS160)。
【0078】
CPU110は、現在のタッチ座標が開始文字上であるか否かを判断する(ステップS162)。CPU110は、現在のタッチ座標が開始文字上である場合(ステップS162においてYESである場合)、時計160を参照して、ユーザが開始文字にタッチしてから所定時間(たとえば、5秒)以上経過しているか否かを判断する(ステップS164)。CPU110は、ユーザが開始文字にタッチしてから所定時間以上経過していない場合(ステップS164においてNOである場合)、ステップS162からの処理を繰り返す。
【0079】
一方、ユーザが開始文字にタッチしてから所定時間以上経過している場合(ステップS164においてNOである場合)、CPU110は、タッチパネル120に文字の白黒反転表示を終了させる(ステップS166)。CPU110は、タッチパネル120を介して、タッチが解除されたか否かを判断する(ステップS168)。
【0080】
CPU110は、タッチ解除されていない場合(ステップS168においてNOである場合)、ステップS168の処理を繰り返す。CPU110は、タッチが解除された場合(ステップS168においてYESである場合)、ステップS152からの処理を繰り返す。
【0081】
CPU110は、現在のタッチ座標が開始文字上でない場合(ステップS162においてNOである場合)、モード判定処理を実行する(ステップS300)。
【0082】
CPU110は、モード判定処理を終了すると、範囲選択モードが選択されたか否かを判断する(ステップS170)。CPU110は、範囲選択モードが選択された場合、範囲選択処理(ステップS400)を実行する。CPU110は、範囲選択処理が終了すると、ステップS152からの処理を実行する。
【0083】
CPU110は、範囲選択モードが選択されていない場合(ステップS170においてNOである場合)、すなわちスクロールモードが選択された場合、タッチパネル120に文字の反転表示を解除させる(ステップS172)。CPU110は、スクロール処理(ステップS200)を実行する。CPU110は、スクロール処理を終了すると、ステップS152からの処理を繰り返す。
【0084】
<スクロール処理>
次に、本実施の形態に係る電子辞書100におけるスクロール処理について説明する。なお、図13は、本実施の形態に係る電子辞書100におけるスクロール処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0085】
図13を参照して、CPU110は、タッチパネル120を介して、タッチ座標を取得したか否かを判断する(ステップS202)。CPU110は、タッチ座標を取得できない場合(ステップS202においてNOである場合)、表示処理へと制御を戻す。
【0086】
CPU110は、タッチ座標を取得した場合(ステップS202においてYESである場合)、開始文字が含まれる行が、現在のタッチ座標が位置する高さ(行)までに移動するように画面をスクロールする(ステップS204)。CPU110は、ステップS202からの処理を繰り返す。
【0087】
<モード判定処理>
次に、本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理について説明する。なお、図14は、本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0088】
図14を参照して、CPU110は、判定方法1〜8のいずれかに基づいて、現在のタッチ座標が、縦エリア内に位置するか否かを判断する(ステップS302)。CPU110は、現在のタッチ座標が、縦エリア内に位置する場合(ステップS302においてYESである場合)、画面のスクロール命令を受け付けるモードであると判定する(ステップS304)。CPU110は、表示処理に制御を戻す。
【0089】
CPU110は、現在のタッチ座標が、縦エリア内に位置しない場合、すなわち横エリア内に位置する場合(ステップS304においてNOである場合)、文字列の選択命令を受け付けるモードであると判定する(ステップS306)。CPU110は、表示処理に制御を戻す。
【0090】
<モード判手処理の第1の変形例>
次に、本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第1の変形例について説明する。なお、図15は、本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第1の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【0091】
図15を参照して、CPU110は、開始文字の文字幅が所定値(たとえば、10ドット)以上であるか否かを判断する(ステップS311)。CPU110は、開始文字の文字幅が所定値以上である場合(ステップS311においてYESである場合)、判定方法1に基づいて現在のタッチ座標が縦エリア内に位置するか否かを判断する(ステップS312,ステップS314)。
【0092】
CPU110は、開始文字の文字幅が所定値(たとえば、10ドット)未満である場合(ステップS311においてNOである場合)、判定方法7に基づいて現在のタッチ座標が縦エリア内に位置するか否かを判断する(ステップS313,ステップS314)。
【0093】
CPU110は、現在のタッチ座標が縦エリア内に位置する場合(ステップS314においてYESである場合)、画面のスクロール命令を受け付けるモードであると判定する(ステップS315)。CPU110は、表示処理に制御を戻す。
【0094】
CPU110は、現在のタッチ座標が、縦エリア内に位置しない場合、すなわち横エリア内に位置する場合(ステップS314においてNOである場合)、文字列の選択命令を受け付けるモードであると判定する(ステップS316)。CPU110は、表示処理に制御を戻す。
【0095】
なお、判定方法1および/または判定方法7の代わりに、CPU110は、開始文字の文字幅が所定値以上である場合(ステップS311においてYESである場合)、文字列の選択命令が入力し易い他の判定方法を採用し、開始文字の文字幅が所定値未満である場合(ステップS311においてNOである場合)、画面のスクロール命令が入力し易い他の判定方法を採用してもよい。たとえば、縦エリアの大きさの横エリアの大きさに対する比率が増加すると、画面のスクロール命令の入力がし易くなる。
【0096】
<モード判手処理の第2の変形例>
次に、本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第2の変形例について説明する。なお、図16は、本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第2の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【0097】
図16を参照して、CPU110は、開始文字のフォントが所定値(たとえば、10ドット)以上であるか否かを判断する(ステップS321)。CPU110は、開始文字のフォントが所定値以上である場合(ステップS321においてYESである場合)、判定方法1に基づいて現在のタッチ座標が縦エリア内に位置するか否かを判断する(ステップS322,ステップS324)。
【0098】
CPU110は、開始文字のフォントが所定値(たとえば、10ドット)未満である場合(ステップS321においてNOである場合)、判定方法7に基づいて現在のタッチ座標が縦エリア内に位置するか否かを判断する(ステップS323,ステップS324)。
【0099】
CPU110は、現在のタッチ座標が縦エリア内に位置する場合(ステップS324においてYESである場合)、画面のスクロール命令を受け付けるモードであると判定する(ステップS325)。CPU110は、表示処理に制御を戻す。
【0100】
CPU110は、現在のタッチ座標が、縦エリア内に位置しない場合、すなわち横エリア内に位置する場合(ステップS324においてNOである場合)、文字列の選択命令を受け付けるモードであると判定する(ステップS326)。CPU110は、表示処理に制御を戻す。
【0101】
なお、第2の変形例と同様に、判定方法1および/または判定方法7の代わりに、CPU110は、開始文字のフォントが所定値以上である場合(ステップS321においてYESである場合)、文字列の選択命令が入力し易い他の判定方法を採用し、開始文字のフォントが所定値未満である場合(ステップS321においてNOである場合)、画面のスクロール命令が入力し易い他の判定方法を採用してもよい。たとえば、縦エリアの大きさの横エリアの大きさに対する比率が増加すると、画面のスクロール命令の入力がし易くなる。
【0102】
<モード判手処理の第3の変形例>
次に、本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第3の変形例について説明する。なお、図17は、本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第3の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【0103】
図17を参照して、CPU110は、時計160を参照して、ユーザが開始文字にタッチしてから所定時間(たとえば、5秒)以上経過しているか否かを判断する(ステップS331)。CPU110は、ユーザが開始文字にタッチしてから所定時間以上経過していない場合(ステップS331においてNOである場合)、判定方法1に基づいて、現在のタッチ座標が縦エリア内に位置するか否かを判断する(ステップS332,ステップS334)。
【0104】
CPU110は、ユーザが開始文字にタッチしてから所定時間以上経過している場合(ステップS331においてYESである場合)、判定方法5に基づいて現在のタッチ座標が縦エリア内に位置するか否かを判断する(ステップS333,ステップS334)。
【0105】
CPU110は、現在のタッチ座標が縦エリア内に位置する場合(ステップS334においてYESである場合)、画面のスクロール命令を受け付けるモードであると判定する(ステップS335)。CPU110は、表示処理に制御を戻す。
【0106】
CPU110は、現在のタッチ座標が、縦エリア内に位置しない場合、すなわち横エリア内に位置する場合(ステップS334においてNOである場合)、文字列の選択命令を受け付けるモードであると判定する(ステップS336)。CPU110は、表示処理に制御を戻す。
【0107】
ただし、判定方法1の代わりに、CPU110は、ユーザが開始文字にタッチしてから所定時間以上経過している場合(ステップS331においてYESである場合)、ユーザがテキストを精読していると考えられるため、画面のスクロール命令が入力し易い他の判定方法を採用してもよい。そして、CPU110は、ユーザが開始文字にタッチしてから所定時間以上経過していない場合(ステップS331においてNOである場合)、文字列の選択命令が入力し易い他の判定方法を採用してもよい。たとえば、縦エリアの大きさの横エリアの大きさに対する比率が増加すると、画面のスクロール命令の入力がし易くなる。
【0108】
<モード判手処理の第4の変形例>
次に、本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第4の変形例について説明する。なお、図18は、本実施の形態に係る電子辞書100におけるモード判定処理の第4の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【0109】
図18を参照して、CPU110は、最初のタッチ座標と開始文字の範囲から出る直前のタッチ座標とが同じであるか否かを判断する(ステップS341)。最初のタッチ座標と開始文字の範囲に出る直前のタッチ座標とが同じである場合(ステップS341においてYESである場合)、判定方法1に基づいて、現在のタッチ座標が縦エリア内に位置するか否かを判断する(ステップS342,ステップS344)。
【0110】
最初のタッチ座標と開始文字の範囲に出る直前のタッチ座標とが同じでない場合(ステップS341においてNOである場合)、判定方法2に基づいて現在のタッチ座標が縦エリア内に位置するか否かを判断する(ステップS343,ステップS344)。
【0111】
CPU110は、現在のタッチ座標が縦エリア内に位置する場合(ステップS344においてYESである場合)、画面のスクロール命令を受け付けるモードであると判定する(ステップS345)。CPU110は、表示処理に制御を戻す。
【0112】
CPU110は、現在のタッチ座標が、縦エリア内に位置しない場合、すなわち横エリア内に位置する場合(ステップS344においてNOである場合)、文字列の選択命令を受け付けるモードであると判定する(ステップS346)。CPU110は、表示処理に制御を戻す。
【0113】
なお、第2の変形例と同様に、判定方法1の代わりに、CPU110は、CPU110は、ユーザが開始文字にタッチしてから所定時間以上経過している場合(ステップS341においてYESである場合)、文字列の選択命令が入力し易い他の判定方法を採用してもよい。そして、CPU110は、ユーザが開始文字にタッチしてから所定時間以上経過している場合(ステップS341においてNOである場合)、画面のスクロール命令が入力し易い他の判定方法を採用してもよい。たとえば、縦エリアの大きさの横エリアの大きさに対する比率が増加すると、画面のスクロール命令の入力がし易くなる。
【0114】
<範囲選択処理>
次に、本実施の形態に係る電子辞書100における範囲選択処理について説明する。なお、図19は、本実施の形態に係る電子辞書100における範囲選択処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0115】
図19を参照して、CPU110は、タッチパネル120を介して、タッチ座標を取得したか否かを判断する(ステップS402)。CPU110は、タッチ座標を取得できない場合(ステップS402においてNOである場合)、表示処理へと制御を戻す。
【0116】
CPU110は、タッチ座標を取得した場合(ステップS402においてYESである場合)、最初のタッチ座標を含む文字、現在のタッチ座標を含む文字、最初のタッチ座標と現在のタッチ座標とに挟まれる文字とを白黒反転表示する(ステップS404)。すなわち、CPU110は、白黒反転表示される文字列の範囲を変更する。CPU110は、ステップS402からの処理を繰り返す。
【0117】
<範囲選択処理の変形例>
次に、本実施の形態に係る電子辞書100における範囲選択処理の変形例について説明する。なお、図20は、本実施の形態に係る電子辞書100における範囲選択処理の変形例の処理手順を示すフローチャートである。
【0118】
図20を参照して、CPU110は、タッチパネル120を介して、タッチ座標を取得したか否かを判断する(ステップS412)。CPU110は、タッチ座標を取得できない場合(ステップS412においてNOである場合)、表示処理へと制御を戻す。
【0119】
CPU110は、タッチ座標を取得した場合(ステップS412においてYESである場合)、最初のタッチ座標を含む文字、現在のタッチ座標を含む文字、最初のタッチ座標と現在のタッチ座標とに挟まれる文字とを白黒反転表示する(ステップS414)。すなわち、CPU110は、白黒反転表示される文字列の範囲を変更する。CPU110は、時計160を参照して、タッチ座標が表示されているテキストの内の一番上の行または一番下の行に所定時間以上停止しているか否かを判断する(ステップS416)。
【0120】
タッチ座標が表示されているテキストの内の一番上の行または一番下の行に所定時間以上停止していない場合(ステップS416においてNOである場合)、CPU110は、ステップS420からの処理を実行する。タッチ座標が表示されているテキストの内の一番上の行または一番下の行に所定時間以上停止している場合(ステップS416においてYESである場合)、CPU110は、表示されている画面を1行分スクロールする(ステップS418)。
【0121】
たとえば、CPU110は、タッチ座標が表示されているテキストの内の一番上の行に所定時間以上停止している場合、テキストを一行分下降させる。CPU110は、タッチ座標が表示されているテキストの内の一番下の行に所定時間以上停止している場合、テキストを一行分上昇させる。
【0122】
CPU110は、最初のタッチ座標を含む文字、現在のタッチ座標を含む文字、最初のタッチ座標と現在のタッチ座標とに挟まれる文字とを白黒反転表示する(ステップS420)。すなわち、CPU110は、白黒反転表示される文字列の範囲を変更する。CPU110は、ステップS412からの処理を繰り返す。
【0123】
<その他の応用例>
本発明は、システム或いは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適用できることはいうまでもない。そして、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した外部の記憶媒体141(メモリ130)を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が外部の記憶媒体141(メモリ130)に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0124】
この場合、外部の記憶媒体141(メモリ130)から読出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した外部の記憶媒体141(メモリ130)は本発明を構成することになる。
【0125】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0126】
さらに、外部の記憶媒体141(メモリ130)から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる他の記憶媒体に書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0127】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0128】
100 電子辞書、110 CPU、120 タッチパネル、130 メモリ、140 メモリインターフェイス、141 記憶媒体、150 通信インターフェイス、160 時計、θ1 所定角度、θ2 所定角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
テキストを記憶するメモリと、
前記タッチパネルに前記テキストを表示させ、前記タッチパネルを介してタッチ位置を取得するためのプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、前記タッチ位置のスライド方向を取得することによって、前記スライド方向が横方向である場合に前記タッチ位置に基づいて文字列の選択命令を受け付け、前記スライド方向が縦方向である場合に前記タッチ位置に基づいて画面のスクロール命令を受け付ける、電子機器。
【請求項2】
前記プロセッサは、タッチ開始位置が含まれる文字を内包する第1の矩形エリア外に前記タッチ位置が検出されたときに、前記タッチ位置に基づいて前記スライド方向を判断する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記第1の矩形エリア外かつ前記タッチ開始位置を中心とした第2の矩形エリア外に前記タッチ位置が検出されたときに、前記タッチ位置に基づいて前記スライド方向を判断する、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記タッチ位置が前記第1の矩形エリア外に位置し、前記タッチ開始位置から前記タッチ位置への方向と上下方向との角度が所定角度未満である場合に、前記スライド方向が縦方向であると判断し、
前記タッチ位置が前記第1の矩形エリア外に位置し、前記タッチ開始位置から前記タッチ位置への方向と上下方向との角度が所定角度以上である場合に、前記スライド方向が横方向であると判断する、請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記タッチ位置が前記第1の矩形エリア外に位置し、前記タッチ開始位置から前記タッチ位置への方向と左右方向との角度が所定角度未満である場合に、前記スライド方向が横方向であると判断し、
前記タッチ位置が前記第1の矩形エリア外に位置し、前記タッチ開始位置から前記タッチ位置への方向と上下方向との角度が所定角度以上である場合に、前記スライド方向が縦方向であると判断する、請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記タッチ位置が、前記第1の矩形エリアの略上方および略下方のいずれかに位置する場合に、前記スライド方向が縦方向であると判断し、
前記タッチ位置が、前記第1の矩形エリアの略上方および略下方のいずれにも位置しない場合に、前記スライド方向が横方向であると判断する、請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記タッチ位置が、前記第1の矩形エリアの略右方および略左方のいずれかに位置する場合に、前記スライド方向が横方向であると判断し、
前記タッチ位置が、前記第1の矩形エリアの略右方および略左方のいずれにも位置しない場合に、前記スライド方向が縦方向であると判断する、請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記タッチ位置が、前記第1の矩形エリア外かつ前記タッチ開始位置が含まれる文字を含む行の外側に位置する場合に、前記スライド方向が縦方向であると判断し、
前記タッチ位置が、前記第1の矩形エリア外かつ前記タッチ開始位置が含まれる文字を含む行の内側に位置する場合に、前記スライド方向が横方向であると判断する、請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記タッチ位置が、前記第1の矩形エリア外かつ前記タッチ開始位置が含まれる文字を含む列の内側に位置する場合に、前記スライド方向が縦方向であると判断し、
前記タッチ位置が、前記第1の矩形エリア外かつ前記タッチ開始位置が含まれる文字を含む列の外側に位置する場合に、前記スライド方向が横方向であると判断する、請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項10】
タッチパネルとプロセッサとを含む電子機器における表示方法であって、
前記プロセッサが、前記タッチパネルにテキストを表示させるステップと、
前記プロセッサが、前記タッチパネルを介してタッチ位置を取得するステップと、
前記プロセッサが、前記タッチ位置のスライド方向を取得するステップと、
前記スライド方向が横方向である場合に、前記プロセッサが、前記タッチ位置に基づいて文字列の選択命令を受け付け、
前記スライド方向が縦方向である場合に、前記プロセッサが、前記タッチ位置に基づいて画面のスクロール命令を受け付ける、表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−123525(P2012−123525A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272580(P2010−272580)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】