説明

電子機器および電子機器の制御プログラム

【課題】複数のユーザの生体情報を取得し状況を判定した結果に応じて各種のサポートをする手段を提供する。
【解決手段】サーバ等の電子機器は、タスクを行う複数の人の生体に関する情報を入力するCPU210、生体センサ540の入力部と、生体に関する情報に基づいて複数の人を比較するCPU310の比較部と、比較部による比較結果に基づいて、タスクと異なるタスクに関する情報を出力するCPU310、外部接続インターフェイスの出力部213とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および電子機器の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの生体情報を取得して、各種のサポートをすることが提案されており、例えば、ユーザが音楽に集中しているかどうかを検出して、音楽に集中していない場合には音量を低くする音響再生装置が提案されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2005−34484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の装置では、複数のユーザの生体情報に応じて各種のサポートをすることについて何ら着目されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様における電子機器は、タスクを行う複数の人の生体に関する情報を入力する入力部と、生体に関する情報に基づいて複数の人を比較する比較部と、比較部による比較結果に基づいて、タスクと異なるタスクに関する情報を出力する出力部とを備える。
【0005】
本発明の第2の態様における電子機器は、タスクを行う複数の人の生体に関する情報を入力する入力部と、生体に関する情報に基づいて複数の人を比較する比較部と、比較部による比較結果に基づいて、タスクのやり方の変更に関する情報を出力する出力部とを備える。
【0006】
本発明の第3の態様における電子機器の制御プログラムは、タスクを行う複数の人の生体に関する情報を入力する入力ステップと、生体に関する情報に基づいて複数の人を比較する比較ステップと、比較ステップによる比較結果に基づいて、タスクと異なるタスクに関する情報を出力する出力ステップとをコンピュータに実行させる。
【0007】
本発明の第4の態様における電子機器の制御プログラムは、タスクを行う複数の人の生体に関する情報を入力する入力ステップと、生体に関する情報に基づいて複数の人を比較する比較ステップと、比較ステップによる比較結果に基づいて、タスクのやり方の変更に関する情報を出力する出力ステップとをコンピュータに実行させる。
【0008】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る状況判別システムの概要を示す図である。
【図2】本実施形態に係る状況判別システムにおけるパソコン200の概要を示す図である。
【図3】本実施形態に係る状況システムのブロック図である。
【図4】本実施形態に係る状況判別システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る状況判別システム100の概要を示す図である。図1に示すように、状況判別システム100は、複数のパーソナルコンピュータ(パソコン)200と、ネットワーク400を介して複数のパソコン200と接続する電子機器であるサーバ300と、を有している。本実施形態において、複数のユーザは各自パソコン200を用いてタスクを実行する。
【0012】
図2は、本実施形態に係る状況判別システム100におけるパソコン200の概要を示す図である。図2に示すように、パソコン200は、ディスプレイ201、キーボード202、タッチパッド203といった、ユーザの入力操作部材を備える。また、パソコン200には、マウス500が接続されており、ユーザはマウス500を操作することによっても、パソコン200に指示を与えることができる。
【0013】
パソコン200は、内蔵カメラ204、超音波センサ205を更に備える。内蔵カメラ204は、撮影レンズおよび撮像素子を含む。撮像素子には、CCDセンサ、CMOSセンサ等のイメージセンサが用いられる。この撮像素子から出力される画像信号に不図示の画像処理部による種々の画像処理が施されて、画像データが作成され、この画像データはサーバ300に出力される。内蔵カメラ204は、ディスプレイ201の上部に配設されており、ユーザの顔、手、腕を含む上半身と共に、キーボード202、タッチパッド203等の操作部材を同時に撮影できる画角を有する。なお、内蔵カメラ204に代えて、例えばクリップによりディスプレイ201の近傍に装着できる、カメラモジュールを採用しても良い。超音波センサ205は、内蔵カメラ204の近傍に設けられており、ディスプレイ201からユーザまでの距離を計測するための超音波の送受信を実行する。
【0014】
パソコン200は、スピーカ206、マイク207を更に備える。スピーカ206は、超音波トランスデューサを備え、特定の方向に対して指向性を有する指向性スピーカであり、ユーザに対して音を出力する。なお、スピーカ206の指向性の特性(方向、範囲等)は、主としてユーザが音を聞くことができるように設定されてもよい。マイク207は、特定の方向に対して指向性を有する指向性マイクであり、例えば、超指向性ダイナミック型マイクロホンや超指向性コンデンサ型マイクロホンなどを用いることができる。なお、マイク207の指向性の特性(方向、範囲等)は、ユーザが発生した音声を主として集音できるように設定されてもよい。
【0015】
キーボード202の裏面には、個々のキーに対応して圧電センサ208が設けられている。圧電センサ208は、ピエゾ素子を有し、外部から与えられた力を圧電効果により電圧に変換することで、振動を電気的に検出する。これにより、圧電センサ208は、ユーザがキーを叩く強さ、繰り返し動作を検出することができる。
【0016】
ユーザの足元には、床センサ510が設けられている。床センサ510は、圧電センサ208と同様にピエゾ素子等により構成され、ユーザの足踏み、貧乏ゆすり等の足の動作を検出する。床センサ510は、パソコン200と接続されており、検出した信号をパソコン200へ送信する。
【0017】
ユーザの頭上付近である天井部分には、天井カメラ520、天井マイク530が設けられている。天井カメラ520は、撮影レンズおよび撮像素子を含み、ユーザの頭部を撮影できる画角に調整されている。なお、天井カメラ520は、複数のユーザの頭部を撮影できる画角に調整されていても良い。天井カメラ520の撮像素子から出力される画像信号に不図示の画像処理部による種々の画像処理が施されて、画像データが作成され、この画像データは例えば無線LANによりパソコン200へ送信される。一方、パソコン200は、天井カメラ520に対して撮影の開始、撮影画像データの要求などの制御信号を送信する。
【0018】
天井マイク530は、無指向性マイクであり、少なくともユーザの周辺の音を検出する。なお、天井マイク530は、複数のユーザの周辺の音を検出するようにしても良い。天井マイク530は、検出した音の信号を、例えば無線LANによりパソコン200へ送信する。一方、パソコン200は、音検出の開始および終了の制御信号を天井マイク530へ送信する。
【0019】
生体センサ540は、ユーザの生体情報を検出するセンサであり、例えば、LEDにより生体に向けて照射光を照射し、この照射光に対して生体から反射した光を受光することにより、脈拍を検出する脈拍センサを含む。その構成は、例えば、特開2005−270543号(米国特許第7538890号)に開示されている。生体センサ540は、脈拍センサの他にも、複数の電極を配した発汗センサを設けることによりユーザの発汗量を検出することもできる。更に、生体センサ540は、体温を測る温度センサ、血圧を測る血圧センサを設けることもできる。生体センサ540は、ユーザの生体情報をセンシングして、その出力をパソコン200へ送信する。
【0020】
生体センサ540は、例えばユーザの腕に巻きつけられて装着されている。また、生体センサ540は、ユーザの腕に巻きつけるような腕時計型に限らず、ユーザの手、指(指輪型生体センサ)など身体の一部と接触すれば様々な形態を採用し得る。なお、赤外線センサを用いて体温などを検出する場合や、内蔵カメラ204により撮像されたユーザの表情からユーザの感情を検出する場合や、天井カメラ520により撮像されたユーザの頭の動き量からユーザの集中度を検出する場合には、非接触でユーザの生体情報を検出することも可能である。
【0021】
図3は、本実施形態に係る状況判別システムのブロック図である。なお、図3において、複数のパソコン200のうちの1台のパソコン200を代表として図示する。図示するように、パソコン200は、全体の制御を司るパソコンCPU210を中心として、図2を用いて説明したディスプレイ201、キーボード202等の要素を備える。
【0022】
タイマー211は、計時機能を有し、パソコンCPU210の開始の指示を受けて計時を開始し、終了の指示を受けてその計時結果をパソコンCPU210へ返す。
【0023】
ROM212は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、パソコン200を制御するプログラム、各種パラメータなどを記憶する役割を担う。
【0024】
外部接続インターフェイス213は、外部機器と接続するためのインターフェイスである。インターフェイスとしては、無線/有線LAN、USB、HDMI、Bluetooth(登録商標)等の様々な接続規格を採用することができる。また、外部接続インターフェイス213は、ネットワーク400を介してサーバ300等の電子機器との通信を可能にする。外部接続インターフェイス213は、インターネットプロトコル等の通信プロトコルに準拠している。
【0025】
サーバ300は、全体の制御を司るサーバCPU310を中心とし、ROM312、記録装置313、音声解析部314、画像解析部315、スケジュール作成部316および外部接続インターフェイス317を備える。
【0026】
ROM312は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、サーバ300を制御するプログラム、各種パラメータなどを記憶する役割を担う。
【0027】
記録装置313は、例えばハードディスクドライブであり、複数のユーザに関する記録を行う。記録装置313は、例えば複数のユーザが行ったタスクの内容、タスクを行っているときの複数のユーザ毎の生体情報などを記録する。
【0028】
音声解析部314は、マイク207、天井マイク530から取り込まれる音声を複数のパソコン200から取得し、取得した音声を解析する。音声解析部314は、例えばそれぞれのマイク207で集音したユーザが発生した音声を解析する。また、音声解析部314は、例えば天井マイク530で集音したユーザ周辺の騒音を解析する。
【0029】
さらに、音声解析部314は、周囲に居る同僚との会話に対して、ユーザの会話の速度(発話速度)、声の大きさ、会話時間などを検出する。発話速度は、例えば単位時間当たりの出力音素数、あるいは単位時間当たりのモーラ数として検出される。モーラとは一定の時間的長さをもった音の分節単位のことである。また、音声解析部314は、識別した音声をテキストデータに変換し、変換データをパソコン200に送信することができる。そして、パソコン200は、受信した変換データに基づいて、テキストをディスプレイ201に表示することができる。
【0030】
画像解析部315は、内蔵カメラ204により撮影された撮影画像データ、天井カメラ520により撮影された撮影画像データを複数のパソコン200から取得し、取得した撮影画像データを解析する。画像解析部315は、ユーザの顔認識、さらには表情認識を実行する。例えば、画像解析部315は、画像データにおけるユーザの顔領域から、眉間に皺がある表情、笑顔ではなく目を細めている表情を検出する。また、画像解析部315は、各タイマー211の計時情報を取得して、例えば眉間に皺がある表情がどれくらい継続したかを検出する。また、目を細めている表情を検出する場合には、画像解析部315は、内蔵カメラ204による画像上の平均的な目の大きさについての情報を記録装置313から読み出して、現に撮影された目の大きさと比較して検出する。眉間の皺の検出は、眉間に皺のある画像をリファレンス画像として記録装置313に記憶させてパターンマッチングにより検出しても良く、また、左目と右目との間の部分の陰影分布から検出しても良い。なお、眉間の皺の検出は例えば米国公開特許2008−292148号にも開示がある。
【0031】
内蔵カメラ204により撮影される像の大きさは、内蔵カメラ204とユーザとの距離に依存する。本実施形態においては、画像解析部315は、超音波センサ205の情報をそれぞれのパソコン200から取得し、超音波センサ205の情報により内蔵カメラ204とユーザとの距離を検出して、像の大きさを補正することにより距離依存を解消している。距離の計測は、超音波センサ205を設ける場合に限らず、例えば、レーザ距離センサ、赤外線センサ等を用いても良い。また、ユーザの特定部分の大きさ(例えば顔の大きさ)が分かっている場合に、画像解析部315は、既知の顔の大きさと撮影した顔の大きさとのマッチングにより内蔵カメラ204とユーザの距離を算出できる。
【0032】
また、画像解析部315は、天井カメラ520の画像データを取り込んで、ユーザの頭の位置、移動量等を検出する。例えば、ユーザの頭部が絶え間なく揺れ動くことを画像解析部315が検出すれば、サーバCPU310は、ユーザの集中力散漫、居眠り等を判断することができる。なお、超音波センサ205等により、ユーザの頭部の位置、移動量を検出できる場合は、天井カメラ520を省略しても良い。逆に、天井カメラ520により内蔵カメラ204とユーザの距離を検出できるのであれば、超音波センサ205を省略しても良い。
【0033】
さらに、画像解析部315は、撮影画像を用いてユーザのしぐさを検出する。例えば、画像解析部315は、撮影画像と額に手をあてているしぐさ、腕を組んでいるしぐさなどのリファレンス画像とのパターンマッチングを行い、ユーザのしぐさを検出する。
【0034】
スケジュール作成部316は、複数のパソコン200からユーザ毎の入力を受け付けて、各ユーザが行うべきタスクのスケジュールを作成する。スケジュール作成部316は、例えばキーボード202、タッチパッド203、マウス500等で受け付けた各ユーザの入力を用いてユーザが行うべきタスクのスケジュールを作成する。また、スケジュール作成部316は、マイク207から入力されたユーザのスケジュールに関する音声を音声解析部314で解析した解析結果を用いて、スケジュールを作成しても良い。作成されたスケジュール情報は記録装置313に記憶される。
【0035】
外部接続インターフェイス317は、ネットワーク400を介してパソコン200の外部接続インターフェイス213に接続し、サーバ300とパソコン200との間の通信を可能にする。外部接続インターフェイス317は、インターネットプロトコル等の通信プロトコルに準拠している。外部接続インターフェイス317は、その他の外部機器と接続するためのインターフェイスであってもよい。
【0036】
なお、本実施形態において、サーバ300が音声解析機能および画像解析機能を実行するが、複数のパソコン200のそれぞれが、音声解析機能の少なくとも一部の機能または画像解析機能の少なくとも一部の機能を実行し、解析結果をサーバ300に送信するようにしてもよい。
【0037】
図4は、本実施形態に係る状況判別システムの処理を示すフローチャートである。本フローチャートにおいては、サーバCPU310は、複数のユーザの状況判定処理と判定結果に応じた処理とを実行する。なお、本フローチャートにおいては、複数のユーザが複数のパソコン200をそれぞれ操作してタスクを実行している状況を想定する。サーバCPU310は、複数のパソコン200の少なくとも1台との接続が確立した場合、パソコン200との接続確立後にキーボード202、タッチパッド203、マウス500等で受け付けたユーザの入力を取得した場合などに本フローチャートの処理を開始する。
【0038】
サーバCPU310は、各ユーザが行っているタスクの内容を判定する(ステップS101)。サーバCPU310は、例えば記録装置313に記録されているスケジュール情報を参照して、各ユーザが行っているタスクの内容を判定する。また、サーバCPU310は、キーボード202、タッチパッド203、マウス500等を用いて各ユーザが入力した情報をパソコン200から取得し、取得した情報を用いて各ユーザが行っているタスクの内容を判定してもよい。
【0039】
次に、サーバCPU310は、各ユーザの生体に関する情報を入力する(ステップS102)。具体的には、サーバCPU310は、生体センサ540が検出した各ユーザの脈拍、体温、発汗といった生体情報、圧電センサ208が検出した各ユーザのキーボード202を叩く強さ、キーボード202を叩く速度、各ユーザの貧乏揺すり、各ユーザの発話速度、各ユーザの発話量、各ユーザの独り言、各ユーザのため息などの情報を生体に関する情報として入力する。なお、上記の通り、生体に関する情報は、生体センサ540から取得される情報に限らず、内蔵カメラ204、マイク207、圧電センサ208、天井カメラ520などからも取得することができ、これらは広義の生体センサともいえ、その検出結果がサーバCPU310に入力される。また、サーバCPU310は、これら全ての生体に関する情報を入力しなくても良く、各ユーザの状況を判定できるだけの生体に関する情報を入力すれば良い。なお、本実施形態において、サーバCPU310が複数のユーザの生体に関する情報を入力する入力部として機能する。
【0040】
そして、サーバCPU310は、各ユーザの状況を判定する(ステップS103)。サーバCPU310は、例えば各ユーザが独り言を言った回数やため息をついた回数を計測して、各ユーザの状況を判定する。サーバCPU310は、音声解析部314の解析結果を用いて独り言やため息を検出し、独り言の回数やため息の回数を計測する。また、サーバCPU310は、画像解析部315の解析結果を用いて各ユーザの表情、口の動き等を検出し、独り言の回数やため息の回数を計測するようにしても良い。
【0041】
サーバCPU310は、例えば各タイマー211を用いて各ユーザの独り言やため息の頻度(単位時間あたりの独り言・ため息の回数)を計測し、あるユーザの独り言やため息の頻度が閾値以上であればそのユーザのモチベーションが下がっていると判定する。また、サーバCPU310は、例えば、音声解析部314の解析結果を用いて、「あーあ」、「いやになっちゃう」等のネガティブな独り言か、「頑張ろう」、「良かった」等のポジティブな独り言かを識別する。そして、サーバCPU310は、あるユーザがネガティブな独り言を言っていると判断した場合にはそのユーザのモチベーションが下がっていると判定し、あるユーザがポジティブな独り言を言っていると判断した場合にはそのユーザのモチベーションが上がっていると判定する。さらに、サーバCPU310は、ネガティブな独り言の回数やため息の回数のログである独り言ログをユーザ毎に記録装置313に記録し、あるユーザの独り言ログに記録されたネガティブな独り言の回数やため息の回数が増加傾向である場合にはそのユーザのモチベーションが下がっていると判定することができる。ここで、モチベーションが上がっているときにはアドレナリン、セロトニン等のモノアミン神経伝達物質が分泌されて血圧や心拍数が上がる傾向にあることから、サーバCPU310は、生体センサ540の生体情報から得られたあるユーザの血圧や心拍数が上昇しておらず且つそのユーザのネガティブな独り言の回数やため息の回数が増加傾向である場合に、そのユーザのモチベーションが下がっていると判定しても良い。なお、サーバCPU310は、複数のユーザのモチベーションの度合いを比較可能にするために、モチベーションの度合いを数値またはレベルで管理する。
【0042】
サーバCPU310は、ステップS102で取得した生体に関する情報を用いて、各ユーザの集中度を各ユーザの状況として判定する。一般的に、人間は、集中しているときに脈拍数、体温が上昇する。また、急ぎのタスクをしていているときは(すなわち、集中度が高くなるとき)、キーボード202を叩く強さが強くなったり、キーボード202を叩く速度が速くなったり、貧乏揺すりを行なったりする場合もある。また、集中しているときには頭部が動くことが少ないのに対し、集中していない場合には、よそ見をしたり、場合によっては居眠りをしたりして頭部の動きが大きくなる。そこで、サーバCPU310は、記録装置313に継続的に記録された各ユーザの生体情報のログである生体情報ログとステップS102で入力した各ユーザの生体に関する情報とを比較することにより、各ユーザの集中度を判定する。この場合、サーバCPU310は、過去に各ユーザが集中したときの生体に関する情報と、ステップS102で入力した各ユーザの生体に関する情報とを比較して各ユーザの集中度を検出しても良く、また、あるユーザの通常の状態よりも脈拍、キーボード202を叩く力量が10%以上増加した場合に、そのユーザが集中していると判断しても良い。なお、貧乏揺すりは、集中しているときにする場合と、集中していないときにする場合とが考えられる。このような場合、サーバCPU310は、ユーザ毎に他の生体に関する情報から集中しているときに貧乏揺すりをするタイプかどうかを判別して、その後の集中度の判定に用いれば良い。なお、サーバCPU310は、複数のユーザの集中度を比較可能にするために、集中度を数値またはレベルで管理する。
【0043】
サーバCPU310は、タスクの名前であるタスク名と、タスクの内容であるタスク内容と、前述の生体情報ログとを対応付けてタスクログを作成し、作成したタスクログを記録装置313に記録する(ステップS104)。また、サーバCPU310は、タスクログにタスクの難易度(高、中、低)を付加したり、タスク内容のカテゴリー(創造型業務、事務型業務など)や、複数人によりタスクを行なう場合には、複数人の対人関係であるユーザ関係を付加したりしてもよい。
【0044】
サーバCPU310は、複数のユーザの状況を比較する(ステップS105)。サーバCPU310は、例えば複数のユーザのモチベーションの度合いを比較したり、複数のユーザの集中度を比較したりする。なお、本実施形態において、サーバCPU310が生体に関する情報に基づいて複数のユーザを比較する比較部として機能する。
【0045】
そして、サーバCPU310は、ステップS105の比較結果に基づいて、複数のユーザの中から対象ユーザを抽出する(ステップS106)。サーバCPU310は、例えば複数のユーザのうちモチベーションの度合いが一番低いユーザまたは集中度が一番低いユーザを抽出する。この場合において、モチベーションの度合いが一番低いユーザが複数存在する場合若しくは集中度が一番低いユーザが複数存在する場合には、サーバCPU310は、これら該当するユーザのタスクログを参照して、モチベーションが低い状況または集中度が低い状況が一番長く継続しているユーザを抽出しても良い。また、サーバCPU310は、複数のユーザのうちモチベーションの度合いが相対的に低いユーザまたは集中度が相対的に低いユーザを所定数抽出するようにしても良い。さらに、サーバCPU310は、抽出した対象ユーザのモチベーションの度合い若しくは集中度が閾値以上の場合には、対象ユーザなしと判断し、ステップS101へ戻るようにしても良い。なお、本実施形態において、サーバCPU310が比較結果に基づき相対的に集中度が低い人を抽出する抽出部として機能する。
【0046】
サーバCPU310は、ステップS106において対象ユーザを抽出した場合に、対象ユーザに対する未読の事務連絡メールをディスプレイ201にポップアップ表示させる制御信号を対象ユーザのパソコン200に送信するようにしても良い。また、サーバCPU310は、ステップS106において対象ユーザを抽出した場合に、対象ユーザが事務連絡、雑用等を受付可能な状態である旨の通知を対象ユーザの管理者のパソコン200に送信するようにしても良い。
【0047】
サーバCPU310は、対象ユーザの環境を変更するか否かを判断する(ステップS107)。具体的には、サーバCPU310は、マイク207や天井マイク530が集音した音の大きさが通常に比べて5dB以上大きければ環境変更必要とし、5dB未満であれば環境変更不必要と判断する。なお、サーバCPU310は、日中であれば55dB、夜間であれば50dBというように時間帯により閾値を設けて、この閾値を超えたときに環境変更が必要と判断してもよく、また、この閾値をユーザ毎に設定してもよい。
【0048】
サーバCPU310は、ステップS107において対象ユーザの環境を変更すると判断した場合に、環境制御処理を実行する(ステップS108)。サーバCPU310は、天井マイク530から入力した音に対し反転アンプにより位相を反転させ、反転した音を対象ユーザのパソコン200のスピーカ206から対象ユーザに向けて出力する。この場合、天井マイク530が設けられている位置と対象ユーザの耳の位置とが異なるので、完全に騒音・ノイズを除去することはできないが、騒音・ノイズを低減することは可能である。この場合には、天井マイク530およびスピーカ206が対象ユーザ周辺の音(騒音・ノイズ)を検出して低減する低減装置として機能し、サーバCPU310がユーザの環境を制御する環境制御部として機能する。また、サーバCPU310は、コピー機やプリンタ等の近傍に予め設置されているスピーカからコピー機やプリンタ等の騒音の位相を反転した音を出力させる制御信号を無線LANで当該スピーカに送信してもよい。この場合には、コピー機やプリンタ等の近傍に予め設置されているスピーカおよび天井マイク530がユーザ周辺の音(騒音・ノイズ)を検出して低減する低減装置として機能し、サーバCPU310がユーザの環境を制御する環境制御部として機能する。さらに、サーバCPU310は、他のユーザの声が対象ユーザに対するノイズとなっていると判断した場合に、「お静かに」等の注意文をディスプレイ201に表示させる制御信号を他のユーザのパソコン200に送信するようにしても良い。なお、天井マイク530に代えてマイク207が入力した音に対して騒音・ノイズを低減するようにしてもよい。
【0049】
そして、サーバCPU310は、対象ユーザの気分を転換させるための処理を実施する。具体的には、まず、対象ユーザのパソコン200のパソコンCPU210は、外部接続インターフェイス213を介して外部機器等から取得された対象ユーザが好きな音楽、マイク207等から取得された対象ユーザの家族や恋人の声などのユーザによって選定された音に関する情報をROM212に登録する。そして、サーバCPU310は、対象ユーザのパソコン200のROM212に登録されている音をスピーカ206から出力する制御信号を対象ユーザのパソコン200に送信する。ユーザによって選定された音に関する情報は、ユーザが好きな音楽、ユーザの家族や恋人の声などの音の情報だけでなく、出力音量、出力音圧、出力時間等の出力条件の情報も含んでもよい。なお、本実施形態において、サーバCPU310がユーザの環境を制御する環境制御部として機能する。
【0050】
サーバCPU310は、対象ユーザのパソコン200のスピーカ206の指向性に関連する状況を確認し、確認した状況に応じてスピーカ206の出力音圧と出力音量の少なくとも一方を制御する制御信号を対象ユーザのパソコン200に送信する。例えば、サーバCPU310は、画像解析部315の解析結果を用いてスピーカ206の指向性の方向に対象ユーザ以外の者を検知した場合に、スピーカ206の出力音圧と出力音量の少なくとも一方の設定を変更する制御信号を対象ユーザのパソコン200に送信する。この場合に、サーバCPU310は、スピーカ206の出力音圧と出力音量の少なくとも一方の値を、ユーザ以外の者が検知されない場合における設定値より低く設定する制御信号を対象ユーザのパソコン200送信するようにしても良い。これに代えて、サーバCPU310は、画像解析部315の解析結果により対象ユーザ以外の者の位置を検出して、複数(本実施の形態では2つ)のスピーカ206のうち対象ユーザ以外の者には音の届かない指向性を有したスピーカ206を選択するようにしてもよい。また、サーバCPU310は、音楽を流す時間を例えば5分に制限したり、音楽を流す時間帯を制限したりする制御信号を対象ユーザのパソコン200に送信しても良い。さらに、サーバCPU310は、ディスプレイ201に長期目標、ユーザが好きな言葉などをポップアップ表示する制御信号を対象ユーザのパソコン200に送信するようにしても良い。サーバCPU310は、環境変更処理が完了したら、ステップS101へ戻る。
【0051】
一方、サーバCPU310は、ステップS107において対象ユーザの環境を変更しないと判断した場合や、上述の騒音・ノイズの低減を行なったにも関わらず集中度またはモチベーションの改善がない場合には、スケジュール作成部316を用いて、対象ユーザの新たなスケジュールを作成する(ステップS109)。具体的には、サーバCPU310は、対象ユーザの生体に関する情報、対象ユーザの状況、対象ユーザのタスクログを用いて、対象ユーザが行っているタスクと異なるタスクを決定し、タスクの順番を変更した新たなスケジュールを作成する。
【0052】
まず、サーバCPU310は、対象ユーザのスケジュール情報から現在行っている第1のタスクを確認し、過去に行ったタスクの中から第1のタスクと同じ種類のタスクを抽出する。次に、サーバCPU310は、抽出したタスクを行ったときの対象ユーザの生体に関する情報または対象ユーザの状況を比較する。そして、サーバCPU310は、スケジュール情報に含まれる今後行うべきタスクのうち、過去にモチベーションが上がっている状況で行われたタスク、集中度が閾値以上の状況で行われたタスク、またはルーチンタスクのように数多く行われたタスクと同じ種類のタスクがあるかどうかを検出する。さらに、サーバCPU310は、対象ユーザのタスクログから対象ユーザの集中度が高い時間帯および集中度が低い時間帯を確認する。なお、同じ種類のタスクは、完全同一のタスクだけでなく、タスクを複数のカテゴリーに分類した場合に同じカテゴリーに属するタスクも含む。
【0053】
サーバCPU310は、対象ユーザのタスクログを用いて、対象ユーザの状況が現在行っている第1のタスクを行うのに好ましくないかどうかを確認し、過去におけるタスクの順番変更を確認する。そして、サーバCPU310は、対象ユーザのタスクログおよびスケジュール情報を用いて、今後行うべきタスクのうちから対象ユーザが第1のタスクよりも得意としたり、第1のタスクよりも難易度の低い第2のタスクを先に行うスケジュールを作成する。また、サーバCPU310は、今後行うべきタスクのうちからルーチンタスクのように数多く行われた第2のタスクを先に行うスケジュールを作成しても良い。なお、サーバCPU310は、対象ユーザがルーチンタスクに飽きているようであれば、創造型の業務を行なうようなスケジュールを作成してもよい。さらに、サーバCPU310は、対象ユーザの集中度が高くなる時間帯に第1のタスクを行うスケジュールを作成する。
【0054】
また、サーバCPU310は、例えば対象ユーザが過去に行ったタスクのうち集中度が閾値以上であったタスクを抽出し、対象ユーザのスケジュール情報に含まれる今後行うべきタスクの中から抽出したタスクと同じ種類の第2のタスクを決定する。なお、同じ種類のタスクは、完全同一のタスクだけでなく、タスクを複数のカテゴリーに分類した場合に同じカテゴリーに属するタスクも含む。今後行うべきタスクの中に抽出したタスクと同じ種類のタスクが複数ある場合には、サーバCPU310は、これら複数のタスクのうち、優先度の高いタスク、例えば一番早い時間帯に設定されていたタスクを第2のタスクとして決定する。
【0055】
サーバCPU310は、同種類に属する過去の複数のタスクに対する対象ユーザ状況の変移に応じて、第2のタスクを決定する。具体的には、まず、サーバCPU310は、対象ユーザのタスクログに記録されている各種類に属する複数のタスクの履歴をそれぞれ確認する。そして、サーバCPU310は、前々回のタスク時の集中度よりも前回のタスク時の集中度が高くなっている種類がある場合には、対象ユーザは同種類のタスクを前回より高い集中度で行うことができると推定し、今後行うべきタスクのうちから当該種類に属するタスクを第2のタスクとして決定する。ただし、前回のタスク時の集中度が閾値未満である場合には、サーバCPU310は当該種類を候補から除外する。
【0056】
サーバCPU310は、対象ユーザのタスクログからタスクの集中度が高い時間帯および集中度が低い時間帯を確認し、第1のタスクをタスクの集中度が高い時間帯に変更する。そして、サーバCPU310は、タスクの順番を変更した新たなスケジュールを作成する。
【0057】
サーバCPU310は、ステップS109で作成したスケジュール情報を、外部接続インターフェイス317を介して対象ユーザのパソコン200に送信する(ステップS110)。なお、本実施形態において、サーバCPU310および外部接続インターフェイス317が異なるタスクに関する情報を出力する出力部として機能する。また、本実施形態において、サーバCPU310および外部接続インターフェイス317がタスクのやり方の変更に関する情報の一つであるタスクを行う時間変更に関する情報を出力する出力部として機能する。
【0058】
サーバ300からスケジュール情報を取得した対象ユーザのパソコン200のパソコンCPU210は、取得したスケジュールを対象ユーザに提示し、タスクの順番を変更するかどうかを対象ユーザに問い合わせる。パソコンCPU210は、スピーカ206から音声を出力して対象ユーザの注意を喚起し、現在行っている第1のタスクに代えて行う第2のタスクの情報をディスプレイ201に表示するとともに、第1のタスクを行う日時を表示する。
【0059】
そして、対象ユーザのパソコン200のパソコンCPU210は、タスクの順番変更に同意する旨の対象ユーザの入力をキーボード202、タッチパッド203、マウス500等で受け付けた場合に、タスクの順番変更に同意する旨の情報を、外部接続インターフェイス213を介してサーバ300に送信する。また、対象ユーザのパソコン200のパソコンCPU210は、対象ユーザが発した「はい」、「OK」等の同意する旨の音声をマイク207で受け付けた場合に、タスクの順番変更に同意する旨の情報を、外部接続インターフェイス213を介してサーバ300に送信する。
【0060】
サーバCPU310は、タスクの順番変更に同意する旨の情報を取得したか否かを判断する(ステップS111)。サーバCPU310は、タスクの順番変更に同意する旨の情報を取得した場合に、記録装置313に記憶されている対象ユーザのスケジュール情報を変更し(ステップS112)、本フローチャートを終了する。一方、サーバCPU310は、タスクの順番変更に同意する旨の情報を取得しなかった場合には、本フローチャートを終了する。なお、上述の説明では1人の対象ユーザが行うべき複数のタスクを行なう順番変更を行なったが、ステップS106で抽出された対象ユーザが複数の場合には、サーバCPU310は複数の対象ユーザ内で行うべきタスクの入れ換えを行なう(例えば対象ユーザAに対象ユーザBの第1のタスクを行わせ、対象ユーザBに対象ユーザAの第1のタスクを行わせる)ようにしてもよい。更に、サーバCPU310は、モチベーションの上がっているユーザにステップS106で抽出された対象ユーザの業務の一部を割り当てるようにステップS109でスケジュールを作成してもよい。サーバCPU310は、複数人の間でタスクの入れ換えを行なう場合は、相対的に負荷が増えるユーザにスケジュール変更を容認するかどうかを問い合わせ、容認された場合には相対的に負荷が減るユーザにスケジュール変更を連絡すればよい。
【0061】
上述の処理フローにおいては、サーバCPU310は、対象ユーザのパソコン200に対してタスクの順番を変更したスケジュール情報を送信したが、対象ユーザの管理者のパソコン200に対して対象ユーザのタスクの順番を変更したスケジュール情報を送信してもよい。なお、サーバCPU310は、対象ユーザの管理者のパソコン200からタスクの順番変更に同意する旨の情報を取得した場合には、タスクの順番を変更したスケジュール情報を対象ユーザのパソコン200に送信する。なお、管理パソコン200に音声解析部314、画像解析部315、スケジュール作成部316を設けることにより、サーバ300を省略した状況判別システム100を構成することができる。
【0062】
また、上述の処理フローにおいては、オフィス内のビジネスの場面を想定して説明したが、状況判別システム100の適用範囲はこれに限らない。例えば、状況判別システム100を在宅勤務に適用したり、複数の学生・受験生の学習科目のスケジュール変更に適用したりすることもできる。
【0063】
さらに、状況判別システム100を工場のラインで作業する複数の作業者のタスク変更に適用することもできる。具体的には、まず、サーバCPU310は、生体センサ540を装着した各作業者の生体に関する情報を取得する。次に、サーバCPU310は、モチベーションの度合いが一番低い作業者若しくは集中度が一番低い作業者を抽出し、この作業者が現在行っている第1タスクと異なるタスク、例えばラインでおこなうタスクとは関係のない業務をまず行い、その後に第1タスクを行うスケジュールを作成する。そして、サーバCPU310は、この作業者に対して第1タスクと異なるタスクをまず行うように作業場のディスプレイ、スピーカ等で報知するとともに、交代要員の作業者に対して第1タスクを行うように作業場のディスプレイ、スピーカ等で報知する。この場合に、サーバCPU310は、この作業者が第1タスクを再度行う時間に関する情報をあわせて作業場のディスプレイ、スピーカ等で報知する。なお、サーバCPU310は、作業者の交代に代えて集中度の下がっている作業者に対して事故防止のため指向性のスピーカを用いて注意を喚起するようにしてもよい。
【0064】
また、サーバCPU310は、モチベーションの度合いが一番低い作業者若しくは集中度が一番低い作業者を抽出した場合に、この作業者がモチベーションの高い状況で行った過去のラインでのタスク若しくは集中度の高い状況で行った過去のラインでのタスクであってこの作業者が現在行っている第1タスクと異なるタスクを第2タスクとして決定するようにしても良い。そして、サーバCPU310は、この作業者に対して第2タスクを行うように作業場のディスプレイ、スピーカ等で報知するとともに、第2タスクを現在行っている作業者に対して第1タスクを行うように作業場のディスプレイ、スピーカ等で報知する。この場合に、サーバCPU310は、第2タスクを現在行っている作業者が第1タスクをモチベーションの高い状況で行ったことがある若しくは集中度の高い状況で行ったことがある場合に、タスクの交代を報知する。
【0065】
なお、前述の図4のフローチャートのステップS112の後に職場のレイアウトの変更を行なうかどうかの判断を加えてもよい。具体的には、サーバCPU310は、前述したように、複数人によりタスクを行なう場合の対人関係であるユーザ関係や、職場全体の集中度やモチベーションの推移をタスクログから確認して、レイアウト変更の要否を判断する。
【0066】
そして、サーバCPU310は、職場全体の集中度やモチベーションが低下傾向にある場合や、業務のアウトプットが低下傾向である場合にレイアウト変更要と判断し、現在のレイアウト情報を記録装置313から取得する。なお、サーバCPU310は、複数のユーザまたは複数のユーザの管理者のパソコン200から現在のレイアウト情報を予め受信し、記録装置313に記録しておく。また、サーバCPU310は、天井カメラ520の撮影画像の解析結果等を用いて、現在のレイアウト情報を予め作成し、記録装置313に記録しておいても良い。
【0067】
そして、サーバCPU310は、現在のレイアウト情報、タスクログを参照し、複数のユーザの配置場所を決定する。サーバCPU310は、例えば、周囲の騒音のレベルが高くても集中度が高いユーザを、コピー機やプリンタ等の近傍、オフィスの出入り口などの騒音が発生しやすい場所の近くに配置する。一方、サーバCPU310は、周囲の騒音のレベルが低い場合には集中度が高いが騒音のレベルが高い場合には集中度が低いユーザを、騒音が発生しやすい場所から遠くに配置する。また、サーバCPU310は、ある特定のユーザと共同でタスクを実行する回数が多いユーザをその特定のユーザの近くに配置する。さらに、サーバCPU310は、ある特定のユーザにタスクについての相談をする回数が多いユーザをその特定のユーザの近くに配置する。サーバCPU310は、複数のユーザの配置場所を決定した後、現在のレイアウトを変更して新たなレイアウトを作成する。なお、このレイアウト変更にコピー機やプリンタ等の配置変更が含まれることは言うまでもない。
【0068】
上述の処理においては、オフィス内のビジネスの場面を想定して説明したが、状況判別システム100の適用範囲はこれに限らない。例えば、状況判別システム100を複数の学生・受験生が教室で学習する場合におけるレイアウト変更、複数の作業者が工場のラインで作業する場合におけるレイアウト変更に適用することができる。
【0069】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0070】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0071】
100 状況判別システム、200 パソコン、201 ディスプレイ、202 キーボード、203 タッチパッド、204 内蔵カメラ、205 超音波センサ、206 スピーカ、207 マイク、208 圧電センサ、210 パソコンCPU、211 タイマー、212 ROM、213 外部接続インターフェイス、300 サーバ、310 サーバCPU、312 ROM、313 記録装置、314 音声解析部、315 画像解析部、316 スケジュール作成部、317 外部接続インターフェイス、400 ネットワーク、500 マウス、510 床センサ、520 天井カメラ、530 天井マイク、540 生体センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タスクを行う複数の人の生体に関する情報を入力する入力部と、
前記生体に関する情報に基づいて前記複数の人を比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記タスクと異なるタスクに関する情報を出力する出力部と
を備える電子機器。
【請求項2】
前記複数の人のスケジュール情報を作成するスケジュール作成部を備え、
前記出力部は、前記スケジュール作成部で作成された前記スケジュール情報に基づいて、前記異なるタスクに関する情報を出力する請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記出力部は、前記タスクと前記異なるタスクとを行うスケジュール情報を出力する請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記出力部は、前記複数の人のうちの少なくとも1人に前記異なるタスクに関する情報を出力する請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記出力部は、前記複数の人と異なる人に前記異なるタスクに関する情報を出力する請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
タスクを行う複数の人の生体に関する情報を入力する入力部と、
前記生体に関する情報に基づいて前記複数の人を比較する比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記タスクのやり方の変更に関する情報を出力する出力部と
を備える電子機器。
【請求項7】
前記出力部は、前記複数の人がいる空間のレイアウトの変更に関する情報を出力する請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記出力部は、前記タスクを行う時間変更に関する情報を出力する請求項6または7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記出力部は、前記複数の人とは異なる人に前記変更に関する情報を出力する請求項6から8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記複数の人のうちの少なくとも1人の環境を制御する環境制御部を備える請求項1から9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記比較部は、前記生体に関する情報に基づいて、前記複数の人の集中度を比較する請求項1から10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項12】
前記比較部の比較結果に基づき相対的に集中度が低い人を抽出する抽出部を備える請求項11に記載の電子機器。
【請求項13】
タスクを行う複数の人の生体に関する情報を入力する入力ステップと、
前記生体に関する情報に基づいて前記複数の人を比較する比較ステップと、
前記比較ステップによる比較結果に基づいて、前記タスクと異なるタスクに関する情報を出力する出力ステップと
をコンピュータに実行させる電子機器の制御プログラム。
【請求項14】
タスクを行う複数の人の生体に関する情報を入力する入力ステップと、
前記生体に関する情報に基づいて前記複数の人を比較する比較ステップと、
前記比較ステップによる比較結果に基づいて、前記タスクのやり方の変更に関する情報を出力する出力ステップと
をコンピュータに実行させる電子機器の制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−230535(P2012−230535A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98198(P2011−98198)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】