説明

電子機器および電子機器の記憶部制御方法

【課題】大容量記憶部への電源の過度なオンオフを抑え、寿命を維持できるようにする。
【解決手段】大容量記憶部5は当該機器の電子データを記憶する。電源供給部15は大容量記憶部5に駆動電源を供給する。起動カウント部35は大容量記憶部5の起動回数をカウントする。記録部7は、大容量記憶部5に係る基準起動回数、使用予定年数、一定の稼働日数、稼働日数内の一定期間当たりの大容量記憶部5の起動制限回数を記録する。起動制御部37は、一定期間毎における起動カウント部35からのカウント値が当該一定期間の起動制限回数を超えるオーバ回数を算出し、次回の一定期間の起動制限回数からオーバ回数を減算した実起動制限回数を算出する。起動制御部37は、次回にて起動カウント部35のカウント値が次回起動制限回数を超えるとき、省電力モードに移行時に大容量記憶部5に電源を継続供給するよう電源供給部15を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器および電子機器の記憶部制御方法に係り、ハードディスク(HDD)等の大容量記憶部を搭載した複写機、ファクシミリ機又はこれらの複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等の電子機器およびこれに用いる記憶部制御方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器においては、大量の画像データを読み込んだり画像形成する一方、それら大量の画像データの蓄積やソーティング処理等の実行のために、ハードディスク等の大容量記憶部を搭載している。
【0003】
そして、ハードディスクは、スピンドルモータ等によって磁気ディスクを回転させながらヘッドをスライドさせてデータの記憶や読み出しを行っている。
【0004】
ところが、電子機器においては、起動に最低限必要な部分以外への電源供給を遮断して電力エネルギーを節約する省電力モードへ移行する場合、一般的にハードディスクへ供給する電源も遮断し、省電力モードから通常モードに復帰するとき再度電源を供給して起動を再開する。
【0005】
この場合、ハードディスクにおいては、電源遮断時にヘッドがホームポジションに戻る一方、電源供給再開時には素早くヘッドを移動させることから磁気ディスク盤面の損傷等が生じる可能性があり、使用の安全性や再利用の可能性を確保する工夫がなされている。
【0006】
特開2001−51557号公報(特許文献1)の画像形成装置に用いられるリサイクルユニットはこの種のものである。
【0007】
特許文献1は、モータユニット、スイッチユニット、電源ユニットからリサイクルユニットを形成し、このリサイクルユニットには、再生時に必要となる情報として、モータユニット、スイッチユニット、電源ユニットのリサイクルに適した情報が書き込まれる不揮発性メモリを設け、画像形成装置に用いられる特定のユニットについて、その構成部品の交換、修理等を最適に行い、ユニット単独で部品交換の要否等を判断できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−51557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ハードディスクは起動回数がその寿命に大きく影響するが、例えば特許文献1では、その起動回数についてはあまり注意が払われておらず、本来予定する製品寿命に到達する以前にハードディスクの寿命が尽きることも懸念される。
【0010】
特に近年、電子機器の省電力化の要求が高くなり、頻繁にハードディスクの電源供給をオンオフすることがあり、使用状況や節電モードの設定状況によってはハードディスクの不具合によって電子機器の動作に支障を来す心配が高まっている。
【0011】
そこで、本発明者は、電子機器およびこれに搭載したハードディスク等の大容量記憶部について鋭意観察および検討した結果、大容量記憶部、特にハードディスクの稼働日および使用予定年数から起動回数上限を設定し、これに基づいて日常の起動制限回数を制限すれば、大容量記憶部の致命的な不具合に至る前に対応可能である点に着目し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、所望の期間にわったって大容量記憶部の寿命を維持することの可能な電子機器およびこれに用いる記憶部制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのような課題を解決するために本発明の請求項1に係る電子機器は、当該機器の電子データを記憶する大容量記憶部と、この大容量記憶部に駆動電源を供給する電源供給部と、その大容量記憶部の起動回数をカウントする起動カウント部と、その大容量記憶部に係る基準起動回数、使用予定年数、一定の稼働日数、その記稼働日数内の一定期間における起動制限回数を記録する記録部と、その一定期間毎に、この一定期間内における起動カウント部からのカウント値が当該一定期間の起動制限回数を超えるオーバ回数を算出し、次回の一定期間における起動制限回数からオーバ回数を減算した次回起動制限回数を算出し、その次回において起動カウント部からのカウント値が次回起動制限回数を超えるとき、省電力モードに移行時に大容量記憶部に電源を継続供給するよう電源供給部を制御する起動制御部と、を具備している。
【0014】
本発明の請求項2に係る電子機器は、上記大容量記憶部がハードディスクである構成を有している。
【0015】
本発明の請求項3に係る電子機器は、上記一定期間を1日とする構成を有している。
【0016】
本発明の請求項4に係る電子機器は、上記起動制御部が、そのオーバ回数の算出に基づき当該一定期間の起動回数が起動制限回数を超える旨を表示部に表示制御する構成を有している。
【0017】
本発明の請求項5に係る電子機器は、上記起動制御部が、そのオーバ回数を表示部に表示制御する構成を有している。
【0018】
本発明の請求項6に係る電子機器の記憶部制御方法は、電源供給部からの駆動電源の供給と遮断によって起動と停止するとともに当該機器の電子データを記憶する大容量記憶部おける起動回数をカウント処理し、予めその大容量記憶部に係る基準起動回数、使用予定年数、一定の稼働日数、その稼働日数内の一定期間における起動制限回数を記録する記録部を用い、その一定期間毎に、この一定期間内における起動カウント部からのカウント値と当該一定期間の起動制限回数を比較して起動制限回数超えるオーバ回数を算出処理し、次回の一定期間における起動制限回数からオーバ回数を減算した次回起動制限回数を算出処理し、次回においてその起動カウント部からのカウント値が次回起動制限回数を超えるとき、省電力モードに移行時に、その大容量記憶部に電源を継続供給するよう電源供給部を制御する電源制御処理と、を具備している。
【0019】
本発明の請求項7に係る電子機器の記憶部制御方法は、上記大容量記憶部をハードディスクとして構成可能である。
【0020】
本発明の請求項8に係る電子機器の記憶部制御方法は、上記一定期間を1日として構成可能である。
【0021】
本発明の請求項9に係る電子機器の記憶部制御方法は、上記電源制御処理が、そのオーバ回数の算出に基づき当該一定期間の起動回数が起動制限回数を超える旨を表示部に表示する構成も可能である。
【0022】
本発明の請求項10に係る電子機器の記憶部制御方法は、上記電源制御処理が、そのオーバ回数を表示部に表示する構成も可能である。
【発明の効果】
【0023】
このような本発明の請求項1、6に係る電子機器および記憶部制御方法では、当該機器の電子データを記憶する大容量記憶部おける起動回数をカウントし、その一定期間毎に、一定期間内における起動カウント部からのカウント値と当該一定期間の起動制限回数を比較して起動制限回数超えるオーバ回数を算出し、次回の一定期間における起動制限回数からオーバ回数を減算した次回起動制限回数を算出し、次回において、その起動カウント部からのカウント値が次回起動制限回数(本日の起動制限回数)を超えるとき、省電力モードに移行時でも、その大容量記憶部に電源を継続供給するよう制御するから、所望の期間にわたって大容量記憶部の寿命を維持することが可能となる。
【0024】
本発明の請求項2、7に係る電子機器および記憶部制御方法は、上記大容量記憶部をハードディスクとして構成するから、特に、ハードディスクにあって所望の期間にわたる寿命の維持が可能となる。
【0025】
本発明の請求項3、8に係る電子機器および記憶部制御方法は、上記一定期間を1日とするから、日々の過度な消耗を抑えることが可能になる。
【0026】
本発明の請求項4、9に係る電子機器および記憶部制御方法は、そのオーバ回数の算出に基づき当該一定期間の起動回数が起動制限回数を超える旨を表示部に表示するから、使用者にとって過度な消耗を把握可能になる。
【0027】
本発明の請求項5、10に係る電子機器および記憶部制御方法は、そのオーバ回数を表示部に表示するから、使用者にとって過度な消耗をより具体体に把握可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る電子機器の実施の形態を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る電子機器の内部構成を説明する図である。
【図3】本発明に係る電子機器の設定情報テーブルを説明する図である。
【図4】本発明に係る電子機器の操作パネル部を説明する図である。
【図5】本発明に係る電子機器の主要部の構成を説明するブロック図である。
【図6】本発明に係る電子機器の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る電子機器および記憶部制御方法の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本発明に係る記憶部制御方法は本発明に係る電子機器を説明する過程で説明する。
【0030】
図1は本発明に係る電子機器Aの構成を示す概略ブロック図である。
【0031】
図1において、電子機器Aは、主制御部1を中心としてこれに接続された画像読取部3、ハードディスク(大容量記憶部)5、RAM7、操作パネル部9、通信部11、印刷部13および電源供給部15を有し、例えば複合機を構成している。電子機器Aは、これら以外にも電源部17その他の構成要素を有するが、本発明の要部ではないので説明および図示を省略する。
【0032】
ここで、複合機としての電子機器Aの内部構成を簡単に説明しておく。
【0033】
電子機器Aは、図2に示すように、本体ケース19内に、シート材21のセットされる複数の給紙段23(図中1個のみ示す。)と、後述する画像データに基づきトナーカセット25aからのトナーで感光体ドラム25bにトナー現像して中間転写ベルト27に転写する転写部25と、転写された中間転写ベルト27からトナー像の転写されたシート材21の転写画像を定着する定着部29と、定着されたシート材21を排紙する排紙部31等を有する印刷部13等とを有している。
【0034】
印刷部13において、モータ回転駆動された複数のローラ25cによってシート材21が1次給紙および2次給紙されて給紙搬送され、転写部25は、画像データを感光体ドラム25bに潜像を形成し、これにトナー現像してシート材21に転写するようになっている。図2中の感光体ドラム25bは、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)およびブラック(K)のカラー用転写ドラムを有している。
【0035】
上述したハードディスク5、RAM7、操作パネル部9、通信部11および電源供給部15は、本体ケース19内の適当な位置に配置されている。
【0036】
図1に戻って、画像読取部3は、主制御部1の制御の下、例えば印刷された複数頁の原稿から画像を光学的に読み込み、ディジタル画像データを生成して主制御部1からハードディスク5に出力する公知のスキャナ等であり、画像入力部として機能する。
【0037】
ハードディスク5は、主制御部1の制御の下、画像データ、種々のデータ等を蓄積記憶する読み書き可能な大容量記憶部(HDD)であり、電源供給部15によって供給電源がオンオフされるようになっている。
【0038】
RAM7は、主制御部1の起動プログラムや演算動作プログラム、ハードディスク5に係る設定情報テーブル等を格納した記録部としての不揮発性メモリである。
【0039】
設定情報テーブルは、図3に示すように、ハードディスク5について、「起動回数上限」、「使用予定年数」、「1ヶ月稼働日数」、「1日の起動制限回数」、「前日の制限オーバ回数」、「本日の制限オーバ回数」および「本日の起動制限回数」を変更可能にテーブル状に設定したものである。
【0040】
例えば、予め、「起動回数上限」は「50,000回」、「使用予定年数」は「5年」、「1ヶ月稼働日数」は「20日」に設定されており、これらに基づき「1日の起動制限回数」は主制御部1によって「41回」に算出され、設定されている。
【0041】
図1の操作パネル部9は、図2の本体ケース19の上部に配置され、主制御部1の制御の下、例えば、種々の動作状態の表示が可能な表示部としての公知の例えば液晶表示パネルと、装置の動作に係る画像が表示された箇所をタッチすることにより、画像読取、印刷指示、上述した「起動回数上限」、「使用予定年数」および「1ヶ月稼働日数」等を受付ける入力部としての機能を有している。
【0042】
すなわち、操作パネル部9は、例えば図4に示すように、印刷(印字、コピー)処理、プリンタ処理、スキャナ処理、ファックス処理等の種々の操作指示や選択をする選択キー9a、それらの操作に係る動作機能の設定、変更等を入力する入力部としてのテンキー9b、スタートキー9c、表示パネル部9d等を有している。
【0043】
表示パネル部9dは、後述するように、オーバ回数の算出に基づき1日の起動回数が起動制限回数を超える旨、好ましくはオーバ回数を表示する表示部として機能する。
【0044】
図1の通信部11は、主制御部1の制御の下、ネットワークを介して例えば他の複合機(何れも図示せず。)との間で、種々の画像データ等を所定のプロトコルで送受信するインターフェース部であり、画像入力部として機能している。
【0045】
印刷部13は、上述したように、画像データに基づきシート材21にトナー画像を転写定着して排紙するカラー印刷エンジンである。
【0046】
電源供給部15は、主制御部1の制御の下、電源部17からの駆動電源をハードディスク5に供給制御するものであり、電子機器A本体の電源を遮断するときのみならず、起動に最低限必要な部分以外への電源供給を遮断する省電力モード(スリープモード)へ移行するときに供給電源を遮断制御し、電子機器A本体の電源を投入したとき、および省電力モードから通常モードに復帰するとき再度電源供給を再開制御する機能を有している。
【0047】
電源部17は、例えば商用交流電源から所定の直流電源等を生成して電源供給部15を介してハードディスク5に電源を供給する他、電子機器A本体内の各部分に電源を供給するものである。
【0048】
主制御部1は、CPUを主体に形成されており、上述した画像読取部3、ハードディスク5、RAM7、操作パネル部9、通信部11、印刷部13および電源供給部15等を制御し、所定期間(例えば1〜数分)にわたって操作パネル部9から入力指示や印刷部13等の動作がないとき、省電力モードへ移行制御する機能を有する他、起動回数算出部33、起動カウント部35、起動制御部37およびリセット部39としての機能を有している。
【0049】
図5は、それら起動回数算出部33、起動カウント部35、起動制御部37、リセット部39、電源供給部7およびハードディスク5を中心に構成を示すブロック図である。
【0050】
起動回数算出部33は、RAM7内の上述した設定情報テーブルを参照し、「起動回数上限」、「使用予定年数」および「1ヶ月稼働日数」から「1日の起動制限回数」を算出して設定情報テーブルに格納する機能を有している。なお、「1日の起動制限回数」の算出式は次のように示される。
【0051】
1日の起動制限回数 =
起動回数上限÷使用予定年数÷12÷1ヶ月の稼動日数(少数点以下切捨)」
【0052】
起動カウント部35は、1日毎に、ハードディスク5の起動回数をカウントする機能を有し、カウント値を起動制御部37に出力する。なお、ハードディスク5の起動回数は、電子機器Aの起動回数および省電力モードからの復帰回数でもある。
【0053】
起動制御部37は、1日毎に、起動カウント部35からのカウント値が「1日の起動制限回数」を超えたか否か監視してオーバするオーバ回数を算出し、「1日の起動制限回数」を超えてオーバするとき、オーバ回数を「本日の制限オーバ回数」として設置情報テーブルに格納するとともに、操作パネル部9の表示パネル部9dにオーバ回数を表示制御する機能を有している。なお、表示パネル部9dでの表示はオーバする旨の表示であっても良い。
【0054】
起動制御部37は、「1日の起動制限回数」を超えてオーバするとき、省電力モードへの移行時に、ハードディスク5への電源を継続供給するよう電源供給部15を制御する機能を有している。
【0055】
起動制御部37は、翌日において、「本日の制限オーバ回数」を「前日の制限オーバ回数」に置き換え、「1日の起動制限回数」から「前日の制限オーバ回数」を減算して「次回起動制限回数」としての「本日の起動制限回数」を算出し、オーバ回数を設置情報テーブルに格納するとともに、起動カウント部35からのカウント値が「1日の起動制限回数」を超えるとき、前日と同様の動作をする機能を有している。
【0056】
リセット部39は、日付が変わる毎に、起動カウント部35のカウント値を「1」にリセットする機能を有している。
【0057】
次に、上述した電子機器Aの動作を、図6を参照して簡単に説明する。
【0058】
なお、図3に示すような設定情報テーブルがRAM7に予め格納されているとして説明する。
【0059】
毎日、電子機器Aが最初に起動されると、動作プログラムも起動開始し、ステップS1にて、起動制御部37が設定情報テーブルに対し、「本日の制限オーバ回数」を「前日のオーバ回数」にセット処理し、ステップS2にてリセット部39が「本日のオーバ回数」をリセット処理し、ステップS3にて起動制御部37が「1日の起動制限回数」から「前日の制限オーバ回数」を減算して「本日の起動制限回数(次回起動制限回数)」にセット処理する。
【0060】
続くステップS4では、起動カウント部39がハードディスク5の起動回数(機器の起動回数と省電力モードからの復帰回数)をカウント処理し、ステップS5にて起動制御部37がオーバ回数の有無を判別する。
【0061】
オーバ回数がなくてステップS5がNOであればステップS7に移り、オーバ回数があってステップS5がYESであれば、ステップS6にて起動制御部37が「本日の制限オーバ回数」に「1」を加算して設定情報テーブルを更新し、ステップS7に移る。
【0062】
ステップS7では省電力モードへの移行指示を処理し、ステップS8にて起動制御部37が「オーバ回数」の有無を判別し、「オーバ回数」がなくてステップS8がNOであればステップS9に移り、起動制御部37が電源供給部15を制御してハードディスク5への電源供給を遮断してステップS4に戻り、「オーバ回数」があってステップS8がYESであればステップS10に移り、起動制御部37が電源供給部15を制御してハードディスク5への電源供給の継続を指示してステップS4に戻る。なお、上述した処理は、適当な操作によって処理ループを抜ける。
【0063】
そして、これらの工程や処理手順が、本発明に係る記憶装置制御方法に該当する。
【0064】
このように本発明に係る電子機器Aは、当該機器の電子データを記憶するハードディスク(大容量記憶部)5と、このハードディスク5に駆動電源を供給する電源供給部15と、そのハードディスク5の起動回数をカウントする起動カウント部35と、そのハードディスク5に係る基準起動回数、使用予定年数、1ヶ月の稼働日数、その稼働日数内の1日当たりのハードディスク5の起動制限回数を記録するRAM(記録部)7と、その1日毎に当日における起動カウント部35からのカウント値が当該1日当たりの起動制限回数を超えるオーバ回数を算出し、次の1日における起動制限回数からオーバ回数を減算した実起動制限回数を算出し、次の1日におけるその起動カウント部35からのカウント値が実起動制限回数を超えるとき、省電力モードへの移行時にハードディスク5に電源を継続供給するよう電源供給部15を制御する起動制御部37と、を具備している。
【0065】
そのため、毎日、当日の起動制限回数を超えるハードディスク5の電源オンオフがあったとき、省電力モードへの移行時に、ハードディスク5への電源供給がオフされず、ハードディスク5の過度なオンオフ繰り返しを抑え、所望の期間にわたってハードディスク5の寿命を維持することが可能となる。
【0066】
しかも、一定期間として1日毎に起動制限回数を超えるオーバ回数を算出して管理するから、日常から過度な消耗を抑えることが可能になる。
【0067】
また、本発明の電子機器Aにおいては、そのオーバ回数の算出に基づき当該一定期間の起動回数が起動制限回数を超える旨を操作パネル部9に表示したり、オーバ回数を表示する構成も可能であり、使用者にとって過度な消耗をより具体体に把握可能になり、より一層適切な使い方が可能で、ハードディスク5の寿命を維持することが容易となる。
【0068】
ところで、本発明の電子機器Aにおいては、ハードディスク5に係る基準起動回数、使用予定年数、一定の稼働日数、その稼働日数内の一定期間は、「50,000回」、「5年」、「20日」、「1日」等に限定されず、一定の稼働日数を「30日」、一定期間を「1週間」とする等、任意に設定可能である。
【0069】
要は、次回(例えば翌日)の一定期間(1日)における起動制限回数からオーバ回数を減算した「次回起動制限回数」を算出し、次回(翌日になれば当日)において、その起動カウント部からのカウント値が「次回起動制限回数(本日の起動制限回数)」を超えるとき、省電力モードに移行時でも、その大容量記憶部に電源を継続供給するよう制御すれば良い。
【0070】
また、本発明の電子機器Aにおいては、ハードディスク5に限らず、しばしば供給電源のオンオフを繰り返す大容量記憶部において実施可能である。
【0071】
さらに、本発明に係る電子機器Aは、上述したように画像形成装置に限定されず、コンピュータ等の情報処理装置、ゲーム機、測定機器その他、ハードディスク5等の大容量記憶部を搭載した種々の電子機器において実施可能である。
【0072】
さらに、本発明に係る電子機器Aに搭載された記憶部制御方法においても、電子機器Aと同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0073】
1 主制御部
3 画像読取部(画像入力部)
5 ハードディスク(大容量記憶部)
7 RAM
9 操作パネル部
11 通信部(画像入力部)
13 印刷部(画像形成部)
15 電源供給部
17 電源部
19 本体ケース
21 シート材
23 給紙段
25 転写部
25a トナーカセット
25b 感光体ドラム
25c ローラ
27 中間転写ベルト
29 定着部
31 排紙部
33 起動回数算出部
35 起動カウント部
37 起動制御部
39 リセット部
A 電子機器(複合機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該機器の電子データを記憶する大容量記憶部と、
この大容量記憶部に駆動電源を供給する電源供給部と、
前記大容量記憶部の起動回数をカウントする起動カウント部と、
前記大容量記憶部に係る基準起動回数、使用予定年数、一定の稼働日数、前記稼働日数内の一定期間における起動制限回数を記録する記録部と、
前記一定期間毎に、当該一定期間内における前記起動カウント部からのカウント値が当該一定期間の前記起動制限回数を超えるオーバ回数を算出し、次回の前記一定期間における前記起動制限回数から前記オーバ回数を減算した次回起動制限回数を算出し、次回において、前記起動カウント部からのカウント値が前記次回起動制限回数を超えるとき、省電力モードに移行時に前記大容量記憶部に電源を継続供給するよう前記電源供給部を制御する起動制御部と、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記大容量記憶部はハードディスクである請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記一定期間は、1日である請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項4】
前記起動制御部は、前記オーバ回数の算出に基づき、当該一定期間の起動回数が起動制限回数を超える旨を表示部に表示制御する請求項1〜3いずれか1記載の電子機器。
【請求項5】
前記起動制御部は、前記オーバ回数を前記表示部に表示制御する請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
電源供給部からの駆動電源の供給と遮断によって起動と停止するとともに、当該機器の電子データを記憶する大容量記憶部おける起動回数をカウント処理し、
予め、前記大容量記憶部に係る基準起動回数、使用予定年数、一定の稼働日数、前記稼働日数内の一定期間における起動制限回数を記録する記録部を用い、前記一定期間毎に、当該一定期間内における前記起動カウント部からのカウント値と当該一定期間の前記起動制限回数を比較して前記起動制限回数を超えるオーバ回数を算出処理し、
次回の前記一定期間における前記起動制限回数から前記オーバ回数を減算した次回実起動制限回数を算出処理し、
次回において前記起動カウント部からのカウント値が前記次回起動制限回数を超えるとき、省電力モードに移行時に、前記大容量記憶部に電源を継続供給するよう前記電源供給部を制御する電源制御処理と、
を具備することを特徴とする電子機器の記憶部制御方法。
【請求項7】
前記大容量記憶部はハードディスクである請求項6記載の電子機器の記憶部制御方法。
【請求項8】
前記一定期間は、1日である請求項6又は7記載の電子機器の記憶部制御方法。
【請求項9】
前記電源制御処理は、前記オーバ回数の算出に基づき、当該一定期間の起動回数が起動制限回数を超える旨を表示部に表示する請求項6〜8いずれか1記載の電子機器の記憶部制御方法。
【請求項10】
前記電源制御処理は、前記オーバ回数を前記表示部に表示する請求項9記載の電子機器の記憶部制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−25423(P2011−25423A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170801(P2009−170801)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】