説明

電子機器のACコード取付装置

【課題】 キャビネットのコード取付部に亀裂などの損傷が生じないようにする。
【解決手段】 ブラウン管を収納するキャビネット2のボトム部2Cに一体形成したコー
ド取付部3が該ボトム部2Cの下面2aより下方に突出され、該コード取付部3の上面に
形成した収納凹部13の後端開口部13bがボトム部2Cの後端面に開口されると共に、
該収納凹部13の前端開口部13cがボトム部2Cに前後方向a,bに沿って形成したコ
ード案内部14に連通され、ACコード4の中央適所に嵌着させたストッパ10が前記収
納凹部13に嵌入され、該ACコード4の先端が前記コード案内部14を通ってキャビネ
ット2内の制御基板に接続されており、そのACコード4から制御基板を介してブラウン
管に通電するようにしたものであって、前記コード取付部3の両外側面3b,3cとボト
ム部2Cの下面2aとの間に補強リブ16が一体形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCRT式テレビ受像機、液晶テレビ受像機などの薄型表示装置、DV
Dレコーダ、DVDプレーヤなどの電子機器のACコード取付装置に関し、特に、キャビ
ネットのコード取付部に亀裂などの損傷が生じないようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の一例として図5〜図9に示すものがある。これはCRT式テレビ受像
機であって、図5は同側面図、図6(a)は同要部の下面側斜視図、図6(b)は同要部
の縦断面図、図6(c)は同下面図、図6(d)はB−B矢視図、図7は同要部の上面側
斜視図、図8は同要部の亀裂発生状態を示す説明図、図9(a)及び(b)は同要部の障
害物衝突状態の説明図である。
【0003】
図5に示すように、ブラウン管(機器本体)1を収納する合成樹脂製キャビネット2が
フロント部2A、リア部2B及びボトム部2Cからなり、該ボトム部2Cに一体形成した
コード取付部3が該ボトム部2Cの下面2aより下方に所定間隔hだけ突出され、そのコ
ード取付部3に取り付けたACコード4の先端がキャビネット2内のプリント配線基板か
らなる制御基板5に接続され、そのACコード4の後端のプラグ7がソケット8に接続さ
れている。なお、9はキャビネット2を載置する載置台である。
【0004】
上記構成において、ACコード4から制御基板5を介してブラウン管1に通電すること
により、映像を表示する。
【0005】
図6及び図7に示すように、前記コード取付部3に対向して、前記ACコード4の中央
適所に一対の四角形状鍔部10a,10bを有するストッパ10が嵌着され、該両鍔部1
0a,10b間に環状溝11が形成されている。
【0006】
図6及び図7に示すように、前記コード取付部3の上面にストッパ10を収納するため
の収納凹部13が形成され、該収納凹部13の底面中央から両側面中央にかけて環状溝1
1に嵌入可能な略U字状突条13aが一体突設されている。
【0007】
図6及び図7に示すように、収納凹部13の後端開口部13bがボトム部2Cの後端面
2bに開口されると共に、該収納凹部13の前端開口部13cがボトム部2Cに前後方向
a,bに沿って貫設した長孔状コード案内部14に連通されている。なお、関連する技術
として特許文献1に記載したものがある。
【特許文献1】実開昭63−110079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の構成では、図5に示すように、載置台9上のキャビネット2を持ち上げて移
動させようとした場合に、ACコード4のプラグ7がソケット8に接続されていると、そ
のACコード4が引っ張られてコード取付部3に強く押し付けられることになり、その結
果、図8に示すように、コード取付部3の後端開口部13bに過大な押付力Fがかかって
、ボトム部2Cとコード取付部3との間の境目に亀裂Kが発生し、その過大な押付力Fが
繰り返しかかることにより、亀裂Kが進行してコード取付部3が斜め下向きに傾き、その
コード取付部3からACコード4が脱落するおそれがある。
【0009】
また、コード取付部3がボトム部2Cから下方に突出しているため、図9(a)に示す
ように、障害物Mにコード取付部3の前端面3aが衝突したり、図9(b)に示すように
、障害物Mにコード取付部3の両外側面3b,3cが衝突して、そのコード取付部3が損
傷されるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、キャビネットのコード取付部に亀裂などの損傷が生
じないようにした電子機器のACコード取付装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、機器本体を収納するキャビネット
のボトム部に一体形成したコード取付部が該ボトム部の下面より下方に突出され、該コー
ド取付部の上面に形成した収納凹部の後端開口部がボトム部の後端面に開口されると共に
、該収納凹部の前端開口部がボトム部に前後方向に沿って形成したコード案内部に連通さ
れ、ACコードの中央適所に嵌着させたストッパが前記収納凹部に嵌入され、該ACコー
ドの先端が前記コード案内部を通ってキャビネット内の制御基板に接続されており、その
ACコードから制御基板を介して機器本体に通電するようにした電子機器のACコード取
付装置において、前記コード取付部の両外側面とボトム部の下面との間に補強リブが一体
形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記コード取付部の下面前
端からボトム部の下面にかけて一体形成されて前記コード案内部の下面から両側面を取り
囲む案内枠が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記各補強リブの端面及び
案内枠の下面が上向き外広がり状に傾斜されていることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明は、機器本体を収納するキャビネットのボトム部に一体形成した
コード取付部が該ボトム部の下面より下方に突出され、該コード取付部の上面に形成した
収納凹部の後端開口部がボトム部の後端面に開口されると共に、該収納凹部の前端開口部
がボトム部に前後方向に沿って形成したコード案内部に連通され、ACコードの中央適所
に嵌着させたストッパが前記収納凹部に嵌入され、該ACコードの先端が前記コード案内
部を通ってキャビネット内の制御基板に接続されており、そのACコードから制御基板を
介して機器本体に通電するようにした電子機器のACコード取付装置において、前記コー
ド取付部の両外側面とボトム部の下面との間に補強リブが一体形成され、前記コード取付
部の下面前端からボトム部の下面にかけて一体形成されて前記コード案内部の下面から両
側面を取り囲む案内枠が設けられ、前記各補強リブの端面及び案内枠の下面が上向き外広
がり状に傾斜されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、コード取付部の両外側面とボトム部の下面との間に補
強リブが一体形成されており、例えばキャビネットを持ち上げて移動させようとした場合
に、ACコードが引っ張られてコード取付部に強く押し付けられることにより、該コード
取付部の後端開口部に過大な押付力がかかり、ボトム部とコード取付部との間の境目に亀
裂が生じたとしても、その亀裂の進行が補強リブで止められるので、従来のように亀裂が
進行してコード取付部からACコードが脱落することがなく、そのコード取付部にACコ
ードを長期にわたって確実に取り付けることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、コード案内部の下面から両側面を取り囲む案内枠がボ
トム部に一体形成されているので、該案内枠に沿ってACコードの先端をコード取付部か
ら制御基板に向けて所望通りに延ばすことができると共に、その案内枠によりコード取付
部を一層確実に補強することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、障害物にコード取付部の前端面や両外側面が接近する
と、各補強リブの端面及び案内枠の下面が障害物に当たって衝撃を緩和するので、従来の
ように障害物にコード取付部の前端面や両外側面が衝突して該コード取付部が損傷される
のを確実に防ぐことができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は実施の一形態(図1〜図4参照)に対応するものであって、こ
れによれば、コード取付部の両外側面とボトム部の下面との間に補強リブが一体形成され
ており、例えばキャビネットを持ち上げて移動させようとした場合に、ACコードが引っ
張られてコード取付部に強く押し付けられることにより、該コード取付部の後端開口部に
過大な押付力がかかり、ボトム部とコード取付部との間の境目に亀裂が生じたとしても、
その亀裂の進行が補強リブで止められるので、従来のように亀裂が進行してコード取付部
からACコードが脱落することがなく、そのコード取付部にACコードを長期にわたって
確実に取り付けることができる。
【0019】
また、コード案内部の下面から両側面を取り囲む案内枠がボトム部に一体形成されてい
るので、該案内枠に沿ってACコードの先端をコード取付部から制御基板に向けて所望通
りに延ばすことができると共に、その案内枠によりコード取付部を一層確実に補強するこ
とができる。
【0020】
更に、障害物にコード取付部の前端面や両外側面が接近すると、各補強リブの端面及び
案内枠の下面が障害物に当たって衝撃を緩和するので、従来のように障害物にコード取付
部の前端面や両外側面が衝突して該コード取付部が損傷されるのを確実に防ぐことができ
る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1〜図4は本発明の実施の一形態である電子機器のACコード取付装置を示すもので
あり、これはCRT式テレビ受像機であって、図1は同側面図、図2(a)は同要部の下
面側斜視図、図2(b)は同要部の縦断面図、図2(c)は同下面図、図2(d)はA−
A矢視図、図3は同要部の上面側斜視図、図4(a)及び(b)は同要部の障害物衝突状
態の説明図である。以下、本発明の構成で図5〜図9に示す構成と同一部分に同一符号を
付し、その相違点だけを説明する。
【0022】
図2及び図3に示すように、コード取付部3の両外側面3b,3cとボトム部2Cの下
面2aとの間で前後方向a,bに所定間隔をおいて複数(この実施の形態では4つ)の補
強リブ16が一体形成されている。
【0023】
上記構成によれば、例えばキャビネット2を持ち上げて移動させようとした場合に、A
Cコード4が引っ張られてコード取付部3に強く押し付けられることにより、該コード取
付部3の後端開口部13bに過大な押付力F(図3参照)がかかり、ボトム部2Cとコー
ド取付部3との間の境目に亀裂K(図8参照)が生じたとしても、その亀裂Kの進行が補
強リブ16で止められるので、従来のように亀裂Kが進行してコード取付部3からACコ
ード4が脱落することがなく、そのコード取付部3にACコード4を長期にわたって確実
に取り付けることができる。
【0024】
図2及び図3に示すように、コード案内部14の下面前端からボトム部2Cの下面2a
にかけて一体形成されてコード案内部14の下面から両側面を取り囲む横断面略U字状案
内枠17が設けられている。
【0025】
上記構成によれば、案内枠17に沿ってACコード4の先端をコード取付部3から制御
基板5に向けて所望通りに延ばすことができると共に、その案内枠17でコード取付部3
を一層確実に補強することができる。
【0026】
図2に示すように、各補強リブ16が三角形状に形成されてその端面16aが上向き外
広がり状に傾斜され、また、案内枠17の下面17aも前後方向a,bに沿って上向き外
広がり状に傾斜されている。
【0027】
上記構成によれば、図4(a)に示すように、障害物Mにコード取付部3の前端面3a
が接近すると、案内枠17の下面17aが障害物Mに当たって衝撃を緩和し、また、図4
(b)に示すように、障害物Mにコード取付部3の両外側面3b,3cが接近すると、補
強リブ16の端面16aが障害物Mに当たって衝撃を緩和するようになっており、これに
よれば、従来のように障害物Mにコード取付部3の前端面3aや両外側面3b,3cが衝
突して該コード取付部3が損傷されるのを確実に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
上記の実施の形態では、CRT式テレビ受像機を例にあげて説明したが、これに限定さ
れるわけはなく、例えば液晶テレビ受像機などの薄型表示装置、DVDレコーダ、DVD
プレーヤなどの各種電子機器のACコード取付装置にも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の一形態である電子機器のACコード取付装置を示す側面図である。
【図2】(a)は同要部の下面側斜視図、(b)は同要部の縦断面図、(c)は同下面図、(d)はA−A矢視図である。
【図3】同要部の上面側斜視図である。
【図4】(a)及び(b)は同要部の障害物衝突状態の説明図である。
【図5】従来例を示す側面図である。
【図6】(a)は同要部の下面側斜視図、(b)は同要部の縦断面図、(c)は同下面図、(d)はB−B矢視図である。
【図7】同要部の上面側斜視図である。
【図8】同要部の亀裂発生状態を示す説明図である。
【図9】(a)及び(b)は同要部の障害物衝突状態の説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ブラウン管(機器本体)
2 キャビネット
2C キャビネットのボトム部
2a ボトム部の下面
2b ボトム部の後端面
3 コード取付部
3a コード取付部の前端面
3b,3c コード取付部の外側面
4 ACコード
5 制御基板
10 ストッパ
13 コード取付部の収納凹部
13b 後端開口部
13c 前端開口部
14 コード案内部
16 補強リブ
16a 補強リブの端面
17 案内枠
17a 案内枠の下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体を収納するキャビネットのボトム部に一体形成したコード取付部が該ボトム部
の下面より下方に突出され、該コード取付部の上面に形成した収納凹部の後端開口部がボ
トム部の後端面に開口されると共に、該収納凹部の前端開口部がボトム部に前後方向に沿
って形成したコード案内部に連通され、ACコードの中央適所に嵌着させたストッパが前
記収納凹部に嵌入され、該ACコードの先端が前記コード案内部を通ってキャビネット内
の制御基板に接続されており、そのACコードから制御基板を介して機器本体に通電する
ようにした電子機器のACコード取付装置において、前記コード取付部の両外側面とボト
ム部の下面との間に補強リブが一体形成されていることを特徴とする電子機器のACコー
ド取付装置。
【請求項2】
前記コード取付部の下面前端からボトム部の下面にかけて一体形成されて前記コード案
内部の下面から両側面を取り囲む案内枠が設けられていることを特徴とする請求項1に記
載の電子機器のACコード取付装置。
【請求項3】
前記各補強リブの端面及び案内枠の下面が上向き外広がり状に傾斜されていることを特
徴とする請求項2に記載の電子機器のACコード取付装置。
【請求項4】
機器本体を収納するキャビネットのボトム部に一体形成したコード取付部が該ボトム部
の下面より下方に突出され、該コード取付部の上面に形成した収納凹部の後端開口部がボ
トム部の後端面に開口されると共に、該収納凹部の前端開口部がボトム部に前後方向に沿
って形成したコード案内部に連通され、ACコードの中央適所に嵌着させたストッパが前
記収納凹部に嵌入され、該ACコードの先端が前記コード案内部を通ってキャビネット内
の制御基板に接続されており、そのACコードから制御基板を介して機器本体に通電する
ようにした電子機器のACコード取付装置において、前記コード取付部の両外側面とボト
ム部の下面との間に補強リブが一体形成され、前記コード取付部の下面前端からボトム部
の下面にかけて一体形成されて前記コード案内部の下面から両側面を取り囲む案内枠が設
けられ、前記各補強リブの端面及び案内枠の下面が上向き外広がり状に傾斜されているこ
とを特徴とする電子機器のACコード取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−300706(P2008−300706A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146438(P2007−146438)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】