説明

電子機器及びその制御方法、プログラム並びに記憶媒体

【課題】電子機器の振動を電子機器の操作に利用する際に、振動の加減に左右され難い操作性のよい電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器の一例であるデジタルカメラ101は、検知限界値403の大きさまでの振動を検知可能な加速度センサ203と、加速度センサ203が検知した振動の大きさを判定するための第1の閾値401と、第1の閾値401よりも大きい第2の閾値402とを記憶した不揮発性メモリ112と、加速度センサ203によって検知された振動の大きさが、第1の閾値401以上、第2の閾値402未満の場合は第1の処理を行い、検知された振動の大きさが第2の閾値402以上の場合は第2の処理を行うシステム制御部109を有する。第1の閾値401と第2の閾値402との差は、第2の閾値402と検知限界値403との差よりも大きくなるように設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に関し、特に振動による操作によって所定の指示を入力する電子機器及びその制御方法、電子機器で実行されるプログラム、プログラムを格納した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、カメラ本体の振動を検知する振動センサを備え、この振動センサの検出信号に基づいて撮影時の手ぶれ防止の制御や縦/横位置の判定の制御を行うカメラが知られている。また、振動センサを備えたカメラに振動等を与え、振動センサの検知結果に応じた画像処理を行うカメラが知られている。
【0003】
具体例としては、カメラボディの傾き角の検知を行い、その検知結果に基づいてスライドショーにおける画像の表示速度及び表示順番を変化させるデジタルカメラが提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1に示される技術によれば、大量の画像データがメモリカード上に記録されている場合でも、効率的にスライドショー表示を行うことができるとされている。
【0004】
また、装置の動き/姿勢がユーザが所定の指示を入力するための操作であるとして認識されるためには、検出有効スイッチがオン状態にあることを必要とする装置が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載された装置では、検出有効スイッチがオフ状態の場合、装置の動き/姿勢による操作入力が無効になり、ユーザが操作入力を意図しないときに、装置の動き/姿勢によって操作入力が行われたと誤認されることを防止することができる。
【0005】
さらに、手に持ったままで表示内容の操作を容易に指示できる情報処理装置が提案されている(特許文献3参照)。特許文献3に記載された情報処理装置では、情報処理装置の本体の移動や回転に拘わる量を検出センサで検出して、本体の移動や回転の方向、変化量及び回数を求めている。そして、例えば、1フレーム分の画像情報を読み出す領域を本体の移動量に対応する画素数だけ移動し、読み出した画像情報を表示部に表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−49484号公報
【特許文献2】特開2006−309064号公報
【特許文献3】特開平6−4208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に記載された技術では、ユーザは、自分が行った操作を装置がどのように認識して処理を行ったのかを、操作結果によってでしか把握することができない。特に、装置を振る等して装置に振動を与えて入力操作を行う場合、ユーザはその操作の瞬間には装置の表示画面を注視していないことがある。そのため、単に操作実行後の結果としての表示の変化を見ても、どのような操作が行われたのかわからなくなる可能性がある。また、引用文献2,3に開示された技術では、ユーザは、同じ操作を行ったつもりであっても、振動の強さ加減で別の操作として認識され、その結果、意図した処理が行われない虞がある。
【0008】
本発明は、電子機器の振動を電子機器の操作に利用する際に、振動の加減に左右され難く、操作性のよい電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、検知限界値の大きさまでの振動を検知可能な振動検知手段と、前記振動検知手段が検知した振動の大きさを判定するための第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値とを記憶した記憶手段と、前記振動検知手段によって検知された振動の大きさが、前記第1の閾値以上、前記第2の閾値未満である場合は予め設定された第1の処理を行い、前記振動検知手段によって検知された振動の大きさが前記第2の閾値以上の場合は予め設定された第2の処理を行う制御手段と、を有し、前記第1の閾値と前記第2の閾値との差が、前記第2の閾値と前記検知限界値との差よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電子機器は、電子機器の振動を電子機器の操作に利用する際に、振動の加減に左右され難く、良好な操作性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラの概略のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るデジタルカメラの外観背面図、及び、デジタルカメラの筐体の形状と加速度センサによる振動検出の方向軸である3軸との対応を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るデジタルカメラにおいて設定されている振動操作の内容と各振動操作に対応する処理内容とを関連付けた管理テーブルの例である。
【図4】第1実施形態に係るデジタルカメラにおいて、振動検知信号と図3に示される閾値との関係を模式的に示す図である。
【図5】第1実施形態に係るデジタルカメラにおける、振動の検知から、振動を解析し、対応する処理を実行するまでの一連の処理のフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートに従って実行される処理と並行して実行される表示処理のフローチャートである。
【図7】図6のフローチャートに示される表示処理の具体例を示す図である。
【図8】図6のフローチャートに示される表示処理の別の具体例を示す図である。
【図9】第2実施形態に係るデジタルカメラにおける、連続して行われた振動操作に対応して実行される処理及び実行された処理に対応して実行される表示処理のフローチャートである。
【図10】図9に示されるステップS411において第2実施形態に係るデジタルカメラの表示部に表示される連続操作の内容の表示例を示す図である。
【図11】第3実施形態に係るデジタルカメラにおける、閾値の変更処理のフローチャートである。
【図12】図11に示されるステップS502の処理のフローチャートである。
【図13】図11に示されるステップS503の処理のフローチャートである。
【図14】図13に示されるステップS704,S705で行われる強い振動操作の閾値の変更例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。各実施形態では、電子機器として、所謂、デジタルカメラを取り上げることとし、デジタルカメラを振動により操作する形態について説明する。
【0013】
<第1実施形態>
[ハードウェア構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るデジタルカメラの概略のハードウェア構成を示すブロック図である。デジタルカメラ101は、撮影レンズ102と、絞り機能を備えるシャッター103と、光学像を電気信号に変換する撮像素子104と、撮像素子104のアナログ信号出力をデジタル信号に変換するA/D変換器105を備える。
【0014】
デジタルカメラ101において、タイミング発生回路106は、撮像素子104やA/D変換器105、D/A変換器107にクロック信号や制御信号を供給し、メモリ制御部108及びシステム制御部109によって制御される。画像処理回路110は、A/D変換器105からのデータやメモリ制御部108からのデータに対して、所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
【0015】
メモリ制御部108は、A/D変換器105,タイミング発生回路106,画像処理回路110,画像表示メモリ111,D/A変換器107及びメモリ112を制御する。A/D変換器105のデータが画像処理回路110とメモリ制御部108を介して、又は直接にメモリ制御部108を介して、画像表示メモリ111又はメモリ112に書き込まれる。
【0016】
画像表示メモリ111に書き込まれた表示用の画像データは、D/A変換器107を介してLCD等からなる画像表示部113に画像として表示される。撮影した画像データを画像表示部113に逐次表示すれば、電子ファインダー機能を実現することができる。撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリ112は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。
【0017】
露光制御部114は、絞り機能を備えるシャッター103を制御し、フラッシュ117と連携したフラッシュ調光機能を有する。測距制御部115は、撮影レンズ102のフォーカシングを制御し、ズーム制御部116は撮影レンズ102のズーミングを制御する。フラッシュ117は、AF補助光の投光機能やフラッシュ調光機能を有する。
【0018】
システム制御部109は、デジタルカメラ101全体を制御する。記憶メモリ120は、システム制御部109の動作用の定数や変数、プログラム等を記憶する。電源制御部118は、電池検出回路やDC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されている。電源制御部118は、電池の装着の有無や電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果及びシステム制御部109の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。電源部119は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Liイオン電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。
【0019】
表示装置121は、システム制御部109でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示するための表示装置、スピーカー等を備えている。表示装置121は、デジタルカメラ101の操作部125の近辺の視認し易い位置に1箇所又は複数箇所設置され、例えばLCDやLED、発音素子等が組み合わされて構成される。なお、画像表示部113は、表示装置121の一部として構成することができる。
【0020】
不揮発性メモリ122は、データを電気的に消去・記録可能であり、デジタルカメラ101に対して与えられる振動に対して設定される閾値(後に説明する図3参照)や振動操作の回数等を記憶することができる。デジタルカメラ101は、メモリカードを接続するための為のメモリカードインタフェース123、他の装置をUSB接続する為のUSBインタフェース124を備えている。操作部125は、スイッチやダイアル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等を単独で又は複数を組み合わせて構成されており、操作部125の操作によってシステム制御部109に対して各種の動作指示が入力される。
【0021】
シャッタースイッチ126は、露光処理と現像処理という一連の処理の動作開始を指示する。露光処理は、撮像素子104から読み出した信号をA/D変換器105やメモリ制御部108を介してメモリ112に画像データを書き込む処理である。現像処理は、画像処理回路110やメモリ制御部108での演算処理である。
【0022】
デジタルカメラ101は、振動検知制御部127と、振動を検知する振動検知手段(振動センサ)としての加速度センサ128を備える。振動検知制御部127は、加速度センサ128から出力された振動検知信号を必要に応じてフィルタ処理し、フィルタ処理後の信号から振動の方向や信号の強さを解析し、その解析結果をシステム制御部109に出力する。なお、加速度センサ128は、振動を検出する方向軸として互いに直交する3軸を測定できるものとする。
【0023】
図2(A)は、デジタルカメラ101の外観背面図である。なお、デジタルカメラ101において、不図示の撮影レンズが配置されている面を正面とする。デジタルカメラ101の筐体211には、電源のオン/オフと電源をオンにすると同時に動作するモードを選択するためのメインスイッチ213が設けられている。また、筐体211には、表示部202、DISPボタン204、MENUボタン205、十字キー206、SETボタン207、振動検知ボタン208、LED209、光学ファインダ212が設けられている。筐体211の内部には、加速度センサ203(図1に示す加速度センサ128と同じ)が実装されており、筐体211に対して記憶媒体210が着脱自在となっている。
【0024】
表示部202は、図1に示す表示装置121に対応しており、筐体211において撮影レンズ(不図示)が設けられている面(正面)とは反対側の面(背面)に設けられている。表示部202は、例えば、LCDモニターであり、表示部202には撮影対象の被写体がライブで表示される。これにより、電子ビューファインダー機能による構図や露出の確認、撮影画像の確認を行うことができる。また、表示部202には、撮影済みの画像データや各種設定メニュー等が表示される。これにより、ユーザは、画像データを閲覧することができ、また、各種設定メニュー、振動による操作(以下「振動操作」という)の内容、振動を検知した動作、その強さを表すインジゲータ等を確認することができる。
【0025】
記憶媒体210には、例えば、画像データが保存される。記憶媒体210は、例えば、SDカード等のリムーバブルストレージデバイス、メモリカード、光磁気ディスクその他のリムーバブルメディアである。
【0026】
DISPボタン204は、電子ビューファインダー表示の指示を入力するためのボタンであり、撮影画像の再生(確認表示)の際には、DISPボタン204の操作によって、撮影補助情報や属性情報の表示/非表示を切り替えることができる。MENUボタン205は、デジタルカメラ101の撮影条件、撮影画像のデータ処理条件、撮影データの記憶条件等、各種の設定を行うためのボタンである。
【0027】
十字キー206の操作によって、撮影画像の確認表示の際に画像を順次切り替えるための指示を行うことができ、また、MENUボタン205によって表示部202に表示されたメニュー項目の切り替えを行うことができる。十字キー206の中央には、十字キー206とは独立して、SETボタン207が配置されている。SETボタン207は、表示部202に表示されたメニュー項目等の中から十字キー206の操作によって選択された項目を確定させ、確定された項目の内容をシステム制御部109へ指示する。
【0028】
振動検知ボタン208は、加速度センサ203による検知の有効/無効を切り替えるためのボタンである。LED209は、振動検知ボタン208内に設けられており、LED209が点滅又は点灯することにより、ユーザに加速度センサ203による振動の検知状況を知らせる。メインスイッチ213は、撮影モード(REC)、電源オフ、再生モード(PLAY)の3つのポジションを持っている。被写体を撮影する場合には、ユーザはメインスイッチを撮影モードに設定すればよく、撮影した画像データを閲覧する場合に、再生モードに設定すればよい。
【0029】
図2(B)は、デジタルカメラ101の筐体211の形状と加速度センサ203による振動検出の方向軸である3軸との対応を示す図である。デジタルカメラ101がユーザによって振られると、加速度センサ203が、上下方向(Y軸方向[Y−,Y+])、左右方向(X軸方向[X−,X+])、前後(Z軸方向[Z−,Z+])の各方向の振動成分を検知する。
【0030】
振動検知制御部127は、加速度センサ203の振動検知信号を受信し、振動の方向や信号の強さを解析し、その解析結果を示す制御信号をシステム制御部109に出力する。システム制御部109は、振動検知制御部127から制御信号を受信して、デジタルカメラ101がどの方向に振られたのかを判断し、検出された振動に対して設定された各種処理を実行し、また、検出された振動の強さに基づいて各種処理の内容を変更する。振動に応じた各種処理の内容や、振動の強さに対する閾値等は不揮発性メモリ122に記憶され、不揮発性メモリ122に記憶された情報に基づいて、以降の各種処理が行われる。
【0031】
[デジタルカメラの振動操作内容]
図3は、デジタルカメラ101において設定されている振動操作の内容と、各振動操作に対応する処理内容とを関連付けた管理データの例を示すテーブル(以下「管理テーブル」と記す)であり、この管理テーブルは不揮発性メモリ122に記憶されている。振動操作の内容としては振動を与える方向が設定されており、各振動操作に対して、実行される処理の内容と閾値とが設定されている。
【0032】
管理データにおける振動操作の内容と、振動操作に対応する処理内容及び閾値は、事前に登録されていてもよいし、振動操作の登録モード等によりメニュー上で対応付ける方法や、実際に振動操作を行って各種処理とを対応付ける方法等を採用してもよい。本実施形態では、何らかの方法によって管理データがデジタルカメラ101に登録されていればよく、その登録手法に制限はない。
【0033】
閾値は、デジタルカメラ101に与えられた振動が振動操作のための振動であるか否かを判定するための基準となるパラメータであり、振動の大きさの最大値(以下「振動量」という)が閾値の絶対値より大きい場合に、対応する各種の処理が実行される。閾値は、デジタルカメラ101の各方向軸に対して設定されており、同じ軸の同じ方向に対する振動でも、振動の大きさによって処理内容が異なるように設定されている。
【0034】
本実施形態では、図3(A)の管理テーブルにおいて、通常振動操作に対応する処理(第1の処理)が設定されており、図3(B)の管理テーブルにおいて、強い振動操作に対応する処理(第2の処理)が設定されている。また、各方向軸の各方向に対して、図3(A)に示される通常振動操作に対応して設定された閾値(第1の閾値)と、図3(B)に示される強い振動操作に対応して設定された閾値(第2の閾値)の2種類の閾値が設定されている。
【0035】
例えば、振動操作として、X軸のプラス方向(X軸+)で通常振動操作が行われた場合、第1の処理として、画像1枚送りの処理が行われる。また、振動操作として、X軸のプラス方向で強い振動操作が行われた場合、第2の処理として、画像10枚送りの処理が行われる。その他の方向軸の各方向での処理の内容は図3に示される通りであるので、ここでの説明を省略する。
【0036】
図4は、加速度センサ203により検知された振動検知信号と図3に示される閾値との関係を模式的に示す図である。加速度センサ203には、振動の検知が可能な上限値である検知限界値403があり、検知可能域に第1の閾値401と第2の閾値402が設定されている。デジタルカメラ101に対して振動操作が行われると、加速度センサ203がその振動を検知し、振動検知信号が振動検知制御部127へ出力される。ここでは、振動検知制御部127が加速度センサ203の振動検知信号を解析した結果、図4に示される第1検知信号404と第2検知信号405がシステム制御部109に送られたものとする。システム制御部109は、第1検知信号404及び第2検知信号405を第1の閾値401及び第2の閾値402と比較し、実行する処理内容を判定する。
【0037】
振動検知信号の振動量が第1の閾値401未満の場合、振動操作とは判定されない。これにより、操作として意図されることなく発生した手振れ程度の小さな振動による誤動作を防ぐことができる。振動検知信号の振動量が、第1の閾値401以上、第2の閾値402未満の場合、通常振動操作(図3(A))と判定される。よって、第1検知信号404は通常振動操作と判定される。振動検知信号の振動量が第2の閾値402以上の場合、強い振動操作と判定される。よって、第2検知信号405は強い振動操作と判定される。
【0038】
第1の閾値401と第2の閾値402の間の幅は、第2の閾値402と検知限界値403との間の幅よりも広く設定されている。つまり、第1の閾値401と第2の閾値402の差の絶対値は、第2の閾値402と検知限界値403との差の絶対値よりも大きい。このように通常振動操作として認識される領域を広く設定することにより、振動の強さ加減や操作する人によって振動操作の認識結果にバラツキが生じることを防ぐことができ、操作性を高めることができる。また、振動量に応じて操作を割り当てることで、操作性を高めることができる。更に、デジタルカメラ101では、強い振動を与えることによって通常振動操作とは異なる操作を行うことができるようになっている。そこで、通常振動操作に対して頻繁に利用する操作を割り当てることで、その操作性を更に向上させることができ、強い振動操作が必要な他の操作との切り分けが容易となる。
【0039】
[振動操作による処理のフロー]
次に、デジタルカメラ101に対してなされた振動操作から、対応する各種処理の実行に至る処理の流れについて説明する。図5は、加速度センサ203による振動の検知から、振動検知信号を解析し、対応する処理を実行するまでの一連の処理を示すフローチャートである。
【0040】
最初に、加速度センサ203によって振動が検知されたかが判定される(ステップS101)。ステップS101では、振動検知制御部127が振動検知信号を受信したときに、加速度センサ203が振動を検知したと判定される。振動が検知された場合(S101で“YES”)、処理はステップS102へ進められ、振動が検知されない場合(S101で“NO”)、ステップS101で待機することになる。
【0041】
ステップS102では、振動検知制御部127により、ステップS101で検知された振動検知信号の解析が行われる。具体的には、検知された振動量と、振動の主軸と、主軸における振動の方向が解析される。ここで、振動の主軸とは、検知された振動の中心となる軸であり、3軸のうちで最も大きい振動量が検知された軸が主軸となる。振動の方向とは、振動の主軸のどの方向に振動が行われたかを示すものであり、主軸の+方向又は−方向のどちらか一方である。
【0042】
続いて、システム制御部109が、ステップS102で解析された振動の主軸及び方向を管理テーブル(適宜、図3参照)と対比して振動操作内容を確定し、確定された振動操作内容に対応する閾値とステップS102で解析された振動量とを比較する。具体的には、先ず、ステップS102で解析された振動量が、通常振動操作の閾値以上(第1の閾値以上)であるかが判定される(ステップS103)。
【0043】
振動量が通常振動操作の閾値未満(第1の閾値未満)の場合(S103で“NO”)、検知された振動は通常振動操作とは認識されず、管理テーブルに定義されている処理は行われることなく(ステップS107)、その後、処理は終了となる。振動量が通常振動操作の閾値以上の場合(S103で“YES”)、更に、振動量が強い振動操作の閾値以上(第2の閾値以上)であるかが判定される(ステップS104)。
【0044】
振動量が強い振動操作の閾値未満(第2の閾値未満)の場合(S104で“NO”)、検知された振動は通常振動操作と認識され、管理テーブルに定義された、対応する処理が行われ(ステップS106)、その後、処理は終了となる。振動量が強い振動操作の閾値以上の場合(S107で“YES”)、検知された振動は強い振動操作と認識され、管理テーブルに定義された、対応する処理が行われ(ステップS105)、その後、処理は終了となる。
【0045】
[振動操作による処理に伴う表示処理]
図6は、図5のフローチャートに従って実行される処理と並行して実行される表示処理のフローチャートである。最初に、加速度センサ203によって振動が検知されたかが判定される(ステップS201)。このステップS201の処理は、図5に示されるステップS101の処理と同じである。振動が検知された場合(S201で“YES”)、処理はステップS202へ進められ、振動が検知されない場合(S201で“NO”)、ステップS201で待機することになる。
【0046】
ステップS202において、振動検知制御部127により、ステップS201で検知された振動が判定され、判定された振動に対応する処理が実行される。ステップS202の処理は、図5に示されるステップS102〜107の処理と同じである。続いて、システム制御部109により、ステップS202において対応する処理が実行されたかが判定される(ステップS203)。実行されなかった場合(S203で“NO”)、処理はステップS201に戻される。実行された場合(S203で“YES”)、表示部202において、実行された処理に応じた表示が行われ(ステップS204)、その後、処理はステップS201に戻される。
【0047】
図7及び図8はそれぞれ、ステップS204で行われる表示処理の具体例を示す図である。図7(A)は、ステップS203までに通常振動操作に対応する処理として「画像1枚送り」が行われた場合の表示例である。表示部202には、1枚送られた後の画像が表示されると共に、通常振動操作の実行表示として、1枚送り表示701(左下から左上を経由して右上へ向かう矢印と数字の1との組み合わせ)が表示部202に表示される。図7(B)は、ステップS203までに強い振動操作に対応する処理として「画像10枚送り」が行われた場合の表示例である。表示部202には、10枚送られた後の画像が表示されると共に、強い振動操作の実行表示として、10枚送り表示702(左下から左上を経由して右上へ向かう矢印と数字の10との組み合わせ)が表示部202に表示される。
【0048】
このように、デジタルカメラ101では、振動操作が検知されたことが、通常振動操作の表示(1枚送り表示701)と強い振動操作の表示(10枚送り表示702)とで区別されて表示される。つまり、ユーザが行った振動操作の結果だけの表示に止まらず、実行された処理の原因となった振動操作の内容が表示部202に表示される。よって、ユーザは、表示部202の表示から、ユーザが行った振動操作が通常振動操作であったのかそれとも強い振動操作であったのかを容易に理解することができる。
【0049】
図7の表示例に限られず、振動操作が検知されて対応する処理が実行されたことを表示し、且つ、通常振動操作と強い振動操作とを区別して表示する方法であれば、他の表示方法を採用することができる。例えば、振動操作が検知されたときに音を出す、LED209を点灯させる等を行ってもよい。その際は、振動操作の区別が容易となるように、音を変更する、LED209の表示色を変更する、LED209の点滅/点灯で区別する、LED209の点滅間隔を変える等、異なる表示方法を用いることが好ましい。
【0050】
図8は、図7(A)の場合と同様に、ステップS203までに通常振動操作に対応する処理として「画像1枚送り」が行われた場合の別の表示例である。この表示例では、1枚送りされた後の画像が表示されると共に、検知された振動操作の主軸とその方向を示す検知表示801と、振動量を示す振動インジケータ802が表示されている。振動インジケータ802は、通常振動操作と強い振動操作とを区別するための区切り表示803と、検知された振動の強さを棒の長さとして示すグラフ804で構成されている。なお、区切り表示803の位置は、強い振動操作の閾値である第2の閾値に相当する。
【0051】
ユーザは、検知表示801により、ユーザが行った振動操作をデジタルカメラ101がどの方向軸のどの方向に与えられた振動操作と認識したのかを容易に確認することができる。また、振動インジケータ802上に、検知された振動量であるグラフ804が表示されることによって、ユーザは、行った振動操作がデジタルカメラ101にどの程度の振動の強さとして認識されたのかを速やかに認識することができる。更に、区切り表示803とグラフ804との差を容易に確認することができるので、強い振動操作を行うためにはどの程度の力でデジタルカメラ101を振ればよいのか、その大凡の見当を付けることができる。
【0052】
なお、本実施形態に係るデジタルカメラ101では、操作性を向上させるために、ユーザが行った振動操作をデジタルカメラ101がどのように認識して実行したのかが表示されるようにしている。そのため、図7に示した振動操作の実行表示(1枚送り表示701,10枚送り表示702)と、図8に示した検知表示801及び振動インジケータ802とが、同時に表示部202に表示される構成にしてもよい。特に、ユーザは、振動操作を行った瞬間には表示部202を注視していないことがあると考えられ、従来のデジタルカメラのように、実行結果の表示を見ただけではどのような操作が行われたのかわからなくなる可能性がある。本実施形態では、ユーザが実行した振動操作をデジタルカメラ101がどのように認識して対応する処理を実行したのかが表示部202に表示され、振動操作の内容がユーザにフィードバックされるため、振動操作の操作性を向上させることができる。
【0053】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るデジタルカメラのハードウェア構成は、第1実施形態に係るデジタルカメラ101のハードウェア構成と同じであるため、その説明を省略する。第2実施形態に係るデジタルカメラは、連続して振動操作が行われた場合の処理に特徴を有しており、以下に詳細に説明する。
【0054】
図9は、振動操作が連続して行われた場合に、振動操作に対応して実行される処理及び実行された処理に対応して実行される表示処理のフローチャートである。最初に、加速度センサ203によって振動が検知されたかが判定され(ステップS401)。振動が検知された場合(S401で“YES”)、処理はステップS402へ進められ、振動が検知されない場合(S401で“NO”)、ステップS201で待機することになる。次に、振動検知制御部127により、ステップS401で検知された振動が判定され、判定された振動に対応する処理が実行される(ステップS402)。ステップS401〜402の処理は、図5に示されるステップS101〜107の処理と同じであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0055】
次に、ステップS402において対応する処理が実行されたかが判定される(ステップS403)。実行されなかった場合(S403で“NO”)、ステップS401に戻る。実行された場合(S403で“YES”)、実行された処理に応じた表示処理が行われる(ステップS404)。なお、ステップS404で行われる表示処理は、図6のステップS204で行われる表示処理と同じである。
【0056】
続いて、前回の振動を検知してから一定時間が経過する前に次の振動を検知したかが判定される(ステップS405)。振動が検知された場合(S405で“YES”)、ステップS402と同様に、振動が判定され、判定された振動に対応する処理が実行される(ステップS406)。振動が検知されない場合(S405で“NO”)、処理はステップS410へ進められる。
【0057】
ステップS406の後には、ステップS406において対応する処理が実行されたかが判定される(ステップS407)。実行された場合(S407で“YES”)、実行された処理に応じた表示処理が行われ(ステップS408)、実行されなかった場合(S407で“NO”)、処理はステップS410へ進められる。なお、ステップS408で行われる表示処理の内容は、ステップS404で行われる表示処理と同様である。
【0058】
ステップS408の後には、ステップS402とステップS406で実行された各処理とその回数(つまり、連続操作数)が不揮発性メモリ122に記憶され(ステップS409)、その後、処理はステップS405に戻される。
【0059】
ステップS410では、ステップS409で記憶した連続操作数が2以上であるか、つまり、一定時間が経過する前に連続操作が行われたかが判定される(ステップS410)。連続操作数が2以上の場合(S410で“YES”)、連続操作の内容が表示部202に表示され(ステップS411)、続いて、記憶されている連続操作数(カウント)がリセットされる(ステップS412)。連続操作数が2未満の場合(S410で“NO”)、処理はステップS401に戻される。
【0060】
図10は、図9に示されるステップS411において表示部202に表示される連続操作内容の表示例を示す図である。第1実施形態において図8を参照して説明した内容と同様に、表示部202には、振動操作後の画像が表示されると共に、振動操作の主軸とその方向を示す検知表示1001と、振動の強さを表す振動インジケータ1002が表示されている。振動インジケータ1002には、通常振動操作と強い振動操作とを区別するための区切り表示1003と、検知された振動の強さを示すグラフ1004が表示されている。検知表示1001と振動インジケータ1002の表示対象は、連続操作の最後に実施された操作の内容である。
【0061】
表示部202には更に、連続操作数を示す連続操作表示1005が表示されている。連続操作表示1005は、通常振動操作と強い振動操作のそれぞれの実行回数を含んでいる。図10の例では、連続操作のうち、通常振動操作と強い振動操作のそれぞれで画像送りされた枚数の合計(“+32”)が表示されているが、振動操作毎に数字や文字等が表示されるようにしてもよい。
【0062】
先に述べたように、ユーザは、振動操作を行った瞬間は表示部202を注視していないことが多々あると考えられ、単に実行結果の表示を見てもどのような操作が行われたのか分からない可能性がある。振動操作が連続して行われた場合、その可能性は一層高まる。これに対し、本実施形態に係るデジタルカメラでは、振動操作が連続して行われた際に、1回毎の処理に応じた表示に加えて連続操作内容の表示が行われ、しかも、連続操作内容の表示では、通常振動操作と強い振動操作のそれぞれに対して実行回数が表示される。これにより、ユーザは、ユーザが行った振動操作が現在の表示状態となるまでにデジタルカメラにどのように認識されたのを容易に確認することができる。
【0063】
<第3実施形態>
第3実施形態に係るデジタルカメラのハードウェア構成は、第1実施形態に係るデジタルカメラ101のハードウェア構成と同じであるため、その説明を省略する。第3実施形態に係るデジタルカメラは、ユーザによる通常振動操作の振動量に基づいて第2の閾値の変更が行われる点に特徴があり、以下に詳細に説明する。
【0064】
図11は、閾値の変更処理のフローチャートである。最初に、振動が検知されたかが判断される(ステップS501)。振動が検知された場合(S501で“YES”)、振動が判定され、判定された振動に対応する処理が実行される(ステップS502)。振動が検知されていない場合(S501で“NO”)、閾値比較・変更処理(ステップS503)に進む。ステップS502,ステップS503の処理の終了後は、処理はステップS501へ戻される。
【0065】
図12は、図11に示されるステップS502の処理(振動判定・処理の実行)のフローチャートである。振動を判定し、判定された振動に対応する処理を実行するまでのフローは、第1実施形態において図5を参照して説明した通りである。具体的には、ステップS601,S602,S603,S604,S605,S606の各処理は、図5に示されるステップS102,S103,S104,S105,S106,S107の各処理に対応する。そのため、これらの処理についての説明を省略する。以下、図5のフローチャートに示された処理とは異なる処理について説明する。
【0066】
ステップS705において通常振動操作に対応する処理が実行された後には、その通常振動操作に対応する過去の振動の振動量(以下「最大振動量」という)が記憶されているかが判定される(ステップS607)。なお、最大振動量は、不揮発性メモリ122に記憶されるデータの1種である。最大振動量が記憶されている場合(S607で“YES”)、最大振動量が今回検知された振動量よりも大きいかが判定される(ステップS608)。最大振動量が記憶されていない場合(S607で“NO”)、今回検知された振動量が新たな通常振動操作の最大振動量として不揮発性メモリ122に記憶される(ステップS609)。
【0067】
最大振動量が今回検知された振動量よりも大きい場合(S608で“YES”)、処理はステップS610へ進められる。一方、最大振動量が今回検知された振動量以下の場合(S608で“NO”)、処理はステップS609へ進められる。こうして、ステップS609までの処理によって、最大振動量が新規に記憶され、又は維持され、又は更新される。最後に、ステップS610では、通常振動操作の連続操作数を1つ加算して不揮発性メモリ122に記憶し、フローは終了となる。
【0068】
図13は、図11に示されるステップS503の処理(閾値比較・変更処理)のフローチャートである。先ず、先のステップS502(振動判定・処理の実行)で記憶された通常振動操作の連続操作数が予め定められた規定値以上であるかが判定される(ステップS701)。つまり、通常振動操作に対応付けられた処理が規定値の回数以上行われたかが判定される。規定値は複数であって、このような規定値を設定しているのは、通常振動操作の連続操作数が極端に少ない場合、安定した通常振動操作を行うための閾値の設定ができない虞があるので、この問題を回避するためである。なお、規定値は、予め、不揮発性メモリ122に記憶されている。
【0069】
通常振動操作の連続操作数が規定値よりも少ない場合(S701で“NO”)、処理は終了となる。通常振動操作の連続操作数が規定値以上の場合(S701で“YES”)、不揮発性メモリ122に記憶されている最大振動量と強い振動操作の閾値(第2の閾値)との比較が行われ、具体的には、これらの値の差が求められる(ステップS702)。そして、ステップS702で求められた差が予め定められた所定値よりも大きいかが判定される(ステップS703)。なお、この所定値は、予め、不揮発性メモリ122に記憶されている。
【0070】
差が所定値よりも大きい場合(S703で“YES”)、強い振動操作の閾値(第2の閾値)を小さくする閾値変更が行われ、具体的には、通常振動操作の振動の最大振動量に所定値を加算した値へと変更される(ステップS704)。これにより、通常操作としての実行判定に影響を与えることなく、強い振動操作の閾値が下げられたことにより、強い振動操作を実行しやすくなる。一方、差が所定値以下の場合(S703で“NO”)、強い振動操作の閾値を大きくする閾値変更が行われ、具体例としては、通常振動操作の振動の最大振動量に所定値を加算した値へと変更される(ステップS705)。これにより、通常振動操作を意図した振動が、誤って強い操作と判定されることを防ぐことができる。
【0071】
図14は、ステップS704,S705で行われる強い振動操作の閾値の変更例を模式的に示す図であり、図14(A)は強い振動操作の閾値を小さくする例を、図14(B)は強い振動操作の閾値を大きくする例を、それぞれ示している。図14(A),(B)に共通して、加速度センサ203の検知可能域の中央値1400、通常振動操作の閾値(第1の閾値)1401、強い振動操作の閾値(第2の閾値)1402、検知限界値1403が設定されている。通常振動操作の振動の最大振動量1404と強い振動操作の閾値1402との差1405が、所定値1406との比較対象となる。
【0072】
図14(A)の場合、差1405が所定値1406よりも大きい。そこで、強い振動操作の閾値1402を、通常振動操作の振動の最大振動量1404に所定値1406を加算した閾値1407へと変更する。こうして、強い振動操作の閾値1407が新たに設定される。一方、図14(B)の場合、差1405が所定値1406よりも小さい。そこで、強い振動操作の閾値1402を、通常振動操作の振動の最大振動量1404に所定値1406を加算した閾値1407へと変更する。こうして、強い振動操作の閾値1407が新たに設定される。
【0073】
このように、ステップS704とステップS705において、通常振動操作の振動の最大振動量に所定値を加算することによって、強い振動操作の閾値を変更するのは、次のような理由による。すなわち、通常振動操作の振動の最大振動量の値をそのまま強い振動操作の閾値として設定してしまうと、これまでの振動操作よりも少しだけ強い振動が与えられただけでも、強い振動操作として判定されてしまう確率が高まる。そこで、所定値を一種のマージンとして導入することによって、このような事態が生じないようにしている。なお、デジタルカメラ101では、この所定値の初期値は予め設定されているが、ユーザによって変更可能となっていてもよく、これにより、ユーザにとってより操作性を高めた仕様とすることができる。
【0074】
ステップS704,ステップS705の処理によって強い振動操作の閾値が変更された後には、不揮発性メモリ122に記憶されている通常振動操作の連続操作数がリセットされ(ステップS706)、フローは終了となる。
【0075】
上述のように、第3実施形態では、ユーザが実際に行った通常振動操作の振動の最大振動量に基づいて閾値を変更するため、通常振動操作と強い振動操作の区分けが容易になり、操作性を向上させることができる。
【0076】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明の一実施形態にすぎない。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能であり、各実施形態を組み合わせることが可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態では、振動操作が判定される方向軸と対応する操作とを固定して判定を行っていたが、振動操作には、デジタルカメラ101が横向きの状態で行われる場合と縦向きで行われる場合とがあると考えられる。よって、デジタルカメラ101の姿勢に関係なく振動を検知する軸を固定して振動の判定を行うと、デジタルカメラ101を横向きで持つ場合と縦向きで持つ場合とで異なる処理が実行されてしまう。例えば、ユーザにとっては左方向への振動操作であっても、デジタルカメラ101が横向き(図2(B)参照)の場合は振動はX軸+で検出されるが、示部202を下側にした縦向きの場合は振動はY軸−で検出されることとなる。
【0078】
この問題を回避するために、振動操作の判定を行う前に、デジタルカメラ101の姿勢を検出し、検出された姿勢に応じて振動を判定する軸が変更される構成としてもよい。これにより、デジタルカメラ101の姿勢に関係なく、常に決まった方向に振動操作を行えば決まった処理が実行されるようになるので、ユーザは、デジタルカメラ101の持ち方を意識せずに直感的に振動操作を行うことができる。こうして、操作性を向上させることができる。
【0079】
また、上記実施形態では、振動の検知をある1つの方向軸に対して行っていたが、誤検知を防止するために、他の方向軸の情報を利用してもよい。更に、振動検知の判定に振動量だけでなく、振動が発生している期間を利用すると、より精度の高い判定を行うことができるようになる。
【0080】
また、デジタルカメラ101のハードウェア構成においては、システム制御部109の制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、デジタルカメラ101全体の制御を行ってもよい。
【0081】
更に、上述した実施形態においては、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやPDA、携帯電話端末や携帯型の画像ビューワ、デジタルフォトフレーム等ど、振動操作により所定の処理が実行されるように制御可能な電子機器に適用される。
【0082】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介して電子機器に供給し、その電子機器のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0083】
101 デジタルカメラ
109 システム制御部
110 画像処理回路
112 メモリ
113 画像表示部
121,202 表示部
122 不揮発性メモリ
125 操作部
127 振動検知制御部
128,203 加速度センサ
210 記憶媒体
401 第1の閾値
402 第2の閾値
403 検知限界値
701、702 実行表示
801,1001 検知表示
802,1002 振動インジケータ
1005 連続操作表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知限界値の大きさまでの振動を検知可能な振動検知手段と、
前記振動検知手段が検知した振動の大きさを判定するための第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値とを記憶した記憶手段と、
前記振動検知手段によって検知された振動の大きさが、前記第1の閾値以上、前記第2の閾値未満である場合は予め設定された第1の処理を行い、前記振動検知手段によって検知された振動の大きさが前記第2の閾値以上の場合は予め設定された第2の処理を行う制御手段と、を有し、
前記第1の閾値と前記第2の閾値との差が、前記第2の閾値と前記検知限界値との差よりも大きいことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の処理が行われた際に前記第1の処理が行われたことを示す表示を行い、前記第2の処理が行われた際に前記第2の処理が行われたことを示す表示を行う表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の処理又は前記第2の処理が開始された時間から一定時間が経過する前に連続して前記第1の処理又は前記第2の処理が行われた場合に、連続して行われた前記第1の処理又は前記第2の処理の回数を表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の処理又は前記第2の処理が行われた際に、検知された振動操作の内容を示す表示手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記検知された振動操作の内容とは、振動操作が行われた軸とその方向であることを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1の処理又は前記第2の処理が行われた際に、前記検知された振動の大きさと、前記第2の閾値をグラフとして表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1の処理が予め定められた規定値以上行われた場合に、前記第2の閾値と前記第1の処理の実行の原因となった振動の最大値とを比較し、前記第2の閾値を変更する閾値変更手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項8】
前記閾値変更手段は、前記第1の処理を実行する原因となった振動の最大値と前記第2の閾値との差を所定値を比較し、前記差が前記所定値より大きい場合は前記第2の閾値をより小さな値に変更し、前記差が前記所定値以下の場合は前記第2の閾値をより大きな値に変更することを特徴とする請求項7記載の電子機器。
【請求項9】
前記閾値変更手段は、前記第1の処理を実行する原因となった振動の最大値に前記所定値を加えた値へと前記第2の閾値を変更することを特徴とする請求項8記載の電子機器。
【請求項10】
電子機器に与えられた振動によって当該電子機器を操作する当該電子機器の制御方法であって、
当該電子機器に与えられた振動の大きさを判定するための第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値とを記憶手段に記憶する記憶ステップと、
当該電子機器に与えられた検知限界値の大きさまでの振動を検知する振動検知ステップと、
前記振動検知ステップで検知された振動の大きさが、前記第1の閾値以上、前記第2の閾値未満である場合は予め設定された第1の処理を行い、前記振動検知ステップで検知された振動の大きさが前記第2の閾値以上の場合は予め設定された第2の処理を行う制御ステップと、を有し、
前記第1の閾値と前記第2の閾値との差が、前記第2の閾値と前記検知限界値との差よりも大きいことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項11】
電子機器に与えられた振動によって当該電子機器を操作する当該電子機器の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記制御方法は、当該電子機器に与えられた振動の大きさを判定するための第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値とを記憶する記憶ステップと、当該電子機器に与えられた検知限界値の大きさまでの振動を検知する振動検知ステップと、前記振動検知ステップで検知された振動の大きさが、前記第1の閾値以上、前記第2の閾値未満である場合は予め設定された第1の処理を行い、前記振動検知ステップで検知された振動の大きさが前記第2の閾値以上の場合は予め設定された第2の処理を行う制御ステップと、を有し、前記第1の閾値と前記第2の閾値との差が前記第2の閾値と前記検知限界値との差よりも大きいことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
電子機器に与えられた振動によって当該電子機器を操作する当該電子機器の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納した、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、
前記制御方法は、当該電子機器に与えられた振動の大きさを判定するための第1の閾値と、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値とを記憶する記憶ステップと、当該電子機器に与えられた検知限界値の大きさまでの振動を検知する振動検知ステップと、前記振動検知ステップで検知された振動の大きさが、前記第1の閾値以上、前記第2の閾値未満である場合は予め設定された第1の処理を行い、前記振動検知ステップで検知された振動の大きさが前記第2の閾値以上の場合は予め設定された第2の処理を行う制御ステップと、を有し、前記第1の閾値と前記第2の閾値との差が、前記第2の閾値と前記検知限界値との差よりも大きいことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−205236(P2011−205236A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68618(P2010−68618)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】