説明

電子機器及び通信制御方法

【課題】近接状態で放置された2つのデバイスを有効に利用することができる電子機器及び通信制御方法を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、電子機器は、通信モジュール、近接状態検出手段、接続確立手段、及びセッション制御手段を具備する。通信モジュールは近接無線通信を実行する。近接状態検出手段は、前記通信モジュールと外部デバイスとが近接状態にあることを検出する。接続確立手段は、前記近接状態が検出されたとき、前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間の接続を確立する。セッション制御手段は、前記接続が確立されたとき、第1サービスを実行し、前記第1サービスの実行が完了した後、前記近接状態が維持されたまま第1しきい値時間が経過した場合、第2サービスを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、近接無線通信を実行する電子機器及び該機器に適用される通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード、携帯電話機等においては、NFCのような無線通信が利用され始めている。ユーザは、ICカード又は携帯電話をホスト装置のリーダ/ライタ部にかざすといった操作を行うだけで、認証、課金、データ交換等のための通信を容易に行うことができる。
【0003】
例えば、写真プリント装置に設けられた近接通信部(リーダ/ライタ部)にかざされた携帯端末から識別情報を読み出し、読み出された識別情報を用いて携帯端末との別の無線接続を確立し、写真データを配信する技術が提案されている。ユーザが写真プリント装置を使用している間に、近接通信を用いて携帯端末から識別情報を読み出しておくことにより、ユーザは該装置の使用を完了した後、その場にとどまることなく、別の無線通信によって写真データを受け取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−183156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近接無線通信方式では、デバイス同士を近づけるだけで自動的にサービスの実行を開始したいという要求がある。デバイス同士を近づけて自動的にサービスの実行を開始する場合、例えば、携帯電話機をパーソナルコンピュータに近づけるだけで、携帯電話機に保存されたデータとパーソナルコンピュータに格納されている当該データのバックアップとを同期させるといった機能を実現することができる。そのため、近接無線通信方式では、デバイス間の近接状態が検出されると、自動的にデバイス間の接続が確立される。
【0006】
しかし、サービスの実行が完了した後、さらに別のサービスを実行したい場合には、例えば、デバイス同士を離して再度デバイス同士を近づけるという操作が要求される。つまり、デバイス同士が近接状態で放置されている場合には、デバイス間でのサービスが実行可能であるにも関わらず、何等サービスが実行されず、デバイスのリソースが有効に利用されない可能性がある。
【0007】
本発明は上述の事情を考慮してなされたものであり、近接状態で放置された2つのデバイスを有効に利用することができる電子機器及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、電子機器は、通信モジュール、接続確立手段、及びセッション制御手段を具備する。通信モジュールは近接無線通信を実行する。接続確立手段は、前記通信モジュールと近接無線通信を実行する外部デバイスとが近接状態にある場合、前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間の接続を確立する。セッション制御手段は、前記接続が確立された場合、前記外部デバイスとの間で第1サービスを実行し、前記第1サービスの実行が完了した後、前記近接状態が維持され且つ前記外部デバイスとの間でいずれのサービスも実行されないまま第1しきい値時間が経過した場合、前記外部デバイスとの間で第2サービスを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係る電子機器の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間で実行される近接無線通信の例を示す図。
【図3】同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間で実行される近接無線通信の別の例を示す図。
【図4】同実施形態の電子機器に適用される、近接無線通信を制御するためのソフトウェアアーキテクチャの例を示す図。
【図5】同実施形態の電子機器によって実行される近接無線通信制御プログラムの構成の例を示すブロック図。
【図6】同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間で実行される近接無線通信のタイミングチャートの例を示す図。
【図7】同実施形態の同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間で実行される近接無線通信のタイミングチャートの別の例を示す図。
【図8】同実施形態の同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間におけるサービスセッション開始時のシーケンスの例を示す図。
【図9】同実施形態の同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間におけるサービスセッション開始時のシーケンスの別の例を示す図。
【図10】同実施形態の同実施形態の電子機器と外部デバイスとの間における第2サービスセッション開始時のシーケンスの例を示す図。
【図11】同実施形態の電子機器によって実行される近接無線通信処理の手順の例を示すフローチャート。
【図12】同実施形態の電子機器によって実行される近接無線通信処理の手順の別の例を示すフローチャート。
【図13】同実施形態の電子機器によって実行される第1サービスセッション制御処理の手順の例を示すフローチャート。
【図14】同実施形態の電子機器によって実行される第2サービスセッション制御処理の手順の例を示すフローチャート。
【図15】同実施形態の電子機器によって実行される近接無線通信処理の手順のさらに別の例を示すフローチャート。
【図16】同実施形態の電子機器によって実行される近接無線通信処理の手順の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る電子機器の構成を示している。この電子機器は、例えば、携帯機器(例えば、携帯電話機、PDA、オーディオプレーヤ、補助記憶媒体等)、パーソナルコンピュータ、又はコンシューマ機器(例えば、TV、ビデオレコーダ等)として実現される。この電子機器は近接無線通信を実行する通信モジュールを備えており、近接無線通信機能を有する他のデバイス(外部デバイス)との無線接続を確立し、そして外部デバイスとの近接無線通信をピアツーピア形式で実行する。
【0011】
この電子機器10は、システム制御部101、ROM102、RAM103、近接無線通信デバイス104、電源制御部105、ACアダプタ106、バッテリ107、記憶装置108、及び近接状態検出部109を備える。
【0012】
システム制御部101は、電子機器10内の各部の動作を制御する。システム制御部101は、CPU101Aを備え、ROM102、RAM103、近接無線通信デバイス104、電源制御部105、記憶装置108、及び近接状態検出部109に接続される。
【0013】
CPU101Aは、ROM102に格納された命令群及びデータをRAM103へロードし、必要な処理を実行するプロセッサである。RAM103には、近接無線通信を制御するための近接無線通信制御プログラム103Aがロードされている。CPU101Aは、RAM103にロードされた近接無線通信制御プログラム103Aを実行して、近接無線通信デバイス104及び近接状態検出部109を制御する。
【0014】
近接無線通信デバイス104は、近接無線通信を実行する通信モジュールである。近接無線通信デバイス104は、近接無線通信デバイス104から所定の距離内に存在する、近接無線通信機能を有する他のデバイス(外部デバイス)との無線接続を確立し、そしてファイルのようなデータの伝送を開始する。近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の近接無線通信は、ピアツーピア形式で実行される。通信可能距離は例えば3cmである。
【0015】
近接状態検出部109は、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとが近接状態であるか否かを検出する。近接状態検出部109は、例えば、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとが近接状態であるとき、つまり近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の距離が通信可能距離(例えば3cm)以内に接近したとき、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとが近接状態であることを検出する。なお、近接状態検出部109は、近接無線通信デバイス104によって出力される接続情報に基づいて、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとが近接状態であるか否かを検出してもよい。
【0016】
近接無線通信デバイス104と外部デバイスとが通信可能距離以内に接近した場合、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の無線接続が確立される。そして、例えば、外部デバイスは、記憶装置108内の所定の記憶領域へアクセスし、所定の記憶領域からのデータファイルの読み出しや、所定の記憶領域へのデータファイルの書き込み等によるデータ伝送が、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間で実行される。
【0017】
近接無線通信では、例えば誘導電界が用いられる。近接無線通信方式としては、例えばTransferJet(登録商標)やFeliCa(登録商標)を使用し得る。TransferJetは、UWBを利用した近接無線通信方式であり、高速データ転送を実現することができる。
【0018】
近接無線通信デバイス104はアンテナ104Aに接続されている。アンテナ104Aはカプラと称される電極であり、誘導電界を用いた無線信号により、外部デバイスに対するデータの送受信を行う。外部デバイスがアンテナ104Aから通信可能距離(例えば3cm)以内の範囲内に接近した場合、近接無線通信デバイス104及び外部デバイスそれぞれのアンテナ(カプラ)間が誘導電界によって結合され、これによって近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の無線通信が実行可能となる。なお、近接無線通信デバイス104及びアンテナ104Aは、一つのモジュールとして実現され得る。
【0019】
電源制御部105は、ACアダプタ106を介して外部から供給される電力、又はバッテリ107から供給される電力を用いて、電子機器10内の各部に電力を供給する。換言すれば、電子機器10は、AC商用電源のような外部電源、又はバッテリ107によって駆動される。ACアダプタ106は電子機器10内に設けることもできる。
【0020】
なお、近接無線通信デバイス104(電子機器10)は、イニシエータ(Initiator)とレスポンダ(Responder)のいずれか一方として動作するように制御される。近接無線通信デバイス104は、イニシエータとして動作する場合、近接状態にある外部デバイス(レスポンダ)に対して接続を要求する。したがって、近接無線通信デバイス104が接続を要求するための接続要求信号を外部デバイスに送信し、外部デバイスがその接続要求信号に応答する接続受諾信号を近接無線通信デバイス104に送信することによって、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の接続が確立される。
【0021】
また、近接無線通信デバイス104は、レスポンダとして動作する場合、近接状態にある外部デバイス(イニシエータ)によって接続を要求される。したがって、外部デバイスが接続を要求するための接続要求信号を近接無線通信デバイス104に送信し、近接無線通信デバイス104がその接続要求信号に応答する接続受諾信号を外部デバイスに送信することによって、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の接続が確立される。
【0022】
図2及び図3には、2つのデバイス間で実行される近接無線通信の様子が示されている。ユーザは、例えば、デバイスBをデバイスAに近接させるという操作(タッチ操作)を行うことにより、デバイスA,B間のデータ転送を開始させることができる。デバイスA,B間のデータ転送は、デバイスA,Bが互いに近接したことをトリガに実行される。なお、電子機器10は、デバイスAとデバイスBのどちらとしても機能し得る。
【0023】
図2に示す例では、デバイスAがテレビと近接無線通信機能を有するパッドとで構成され、デバイスBが近接無線通信機能を有するデジタルスチルカメラ(DSC)で構成されている場合を想定する。なお、テレビとパッドとは、USBのようなレガシーなインタフェースによって接続されている。この例では、近接無線通信は、例えば、旅行先でDSCを使用して撮影した写真をテレビで見るために、写真のデータをDSCからパッドを介してテレビに送信することに利用される。ユーザは、DSC上でテレビに表示したい写真を選択し、テレビに接続されているパッドにDSCをタッチする。このタッチ操作により、DSC上で選択された写真がパッドを介してテレビに送信され、例えばスライドショーのような形式で写真が画面に表示される。ユーザは、写真の表示が完了した後、DSCをパッドから離す。
【0024】
また、図3に示す例では、デバイスAが近接無線通信機能を備えるノートブック型のパーソナルコンピュータ(PC)で構成され、デバイスBが近接無線通信機能を備えるスマートフォンで構成されている場合を想定する。この例では、近接無線通信は、例えば、外出先でスマートフォンにダウンロードされたコンテンツデータをPCにバックアップするために、スマートフォンからPCにコンテンツデータを送信することに利用される。ユーザは、スマートフォン上で、PCに保存したいコンテンツを選択して、PCの近接無線通信部にタッチする。このタッチ操作により、スマートフォン上で選択されたコンテンツがPCに送信され、PC内の記憶装置等に保存される。ユーザは、スマートフォン上で選択した全てのコンテンツがPCに保存された後、スマートフォンをPCから離す。
【0025】
上述のように、2つのデバイスを近接させるタッチ操作によって、デバイス間で近接無線通信を用いたデータ交換が実行される。この実行が完了した後、ユーザが、さらに何らかのサービスを実行する場合には、デバイス同士を離して、再度デバイスをタッチするという操作(再タッチ操作)が必要である。したがって、デバイス同士が近接状態で放置されている場合には、デバイス間でのサービスが実行可能であるにも関わらず、何等サービスが実行されず、デバイスのリソースが有効に利用されない可能性がある。そのため、本実施形態の電子機器10は、外部デバイスとの間で第1のサービスセッションが終了した後に、外部デバイスとの近接状態が維持されている場合(すなわち、近接状態のまま放置されている場合)、第2のサービスセッションを開始する。例えば、図2に示すテレビとDSCとでは、スライドショー(第1サービス)終了後に、デバイス間の近接状態が維持されたまま所定の期間が経過した場合、ストレージサービス(第2サービス)が開始され、テレビの画面上でDSCのメモリ内に格納されたデータ内容(例えば、メモリに格納されているディレクトリ、ファイル等)を確認することができる。また、例えば、図3に示すPCとスマートフォンとでは、コンテンツが保存された(第1サービス)後に、デバイス間の近接状態が維持されたまま所定の期間が経過した場合、ネットワークサービス(第2サービス)が開始され、スマートフォンを外部モデムとして利用することができる。これにより、近接状態に維持されているデバイスのリソースを有効に利用することができ、ユーザによる利便性も向上させることができる。
【0026】
次いで、図4は、近接無線通信デバイス104を用いて実行される近接無線通信を制御するためのソフトウェアアーキテクチャを示す。
図4のソフトウェアアーキテクチャは近接無線通信を制御するためのプロトコルスタックの階層構造を示している。プロトコルスタックは、物理層(PHY)、コネクション層(CNL)、プロトコル変換層(PCL)、アプリケーション層から構成されている。例えば、コネクション層(CNL)、プロトコル変換層(PCL)、アプリケーション層は通信制御プログラム103Aによって実現し得る。
【0027】
物理層(PHY)は物理的なデータ転送を制御する層であり、OSI参照モデル内の物理層に対応する。物理層(PHY)の一部の機能又は全ての機能は、近接無線通信デバイス104内のハードウェアを用いて実現することもできる。
【0028】
物理層(PHY)はコネクション層(CNL)からのデータを無線信号に変換する。コネクション層(CNL)はOSI参照モデル内のデータリンク層からトランスポート層に対応しており、近接状態に設定されている近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の接続(CNL接続)を確立し、データを伝送する処理を実行する。
【0029】
プロトコル変換層(PCL)は、OSI参照モデル内のセッション層に対応しており、アプリケーション層と、デバイスA,B間の接続の確立及び解除を制御するためのコネクション層(CNL)との間に位置する。プロトコル変換層(PCL)は、アプリケーション層内の各アプリケーション(通信プログラム)管理のフレームワークと、セッション制御とを実行する。セッションは、電子機器10のアプリケーション層と外部デバイスのアプリケーション層との間の通信路に相当する。
【0030】
アプリケーション層は、各種アプリケーションプロトコル(例えば、SCSI、OBEX、他の汎用プロトコル等)に対応した各種通信プログラム(アプリケーション)を含む。本実施形態の近接無線通信制御プログラム103Aは、コネクション層(CNL)に対応する機能を有する。なお、通信制御プログラム103Aは、プロトコル変換層(PCL)及びアプリケーション層に対応する機能を有してもよい。
【0031】
次いで、図5は、近接無線通信制御プログラム103Aの構成を示す。近接無線通信制御プログラム103Aは、サービスセッションを実行するためのセッション実行機能と、複数のセッションの実行を制御するためのセッション制御機能とを有する。セッション実行機能は、セッションを開始(確立)し、サービスを実行し、セッションを終了(解除)するための機能である。セッション制御機能は、例えば、外部デバイスとの間で第1のサービスセッションが終了した後、外部デバイスとの近接状態が維持されている場合に、第2のサービスセッションを開始するための制御機能である。
通信制御プログラム103Aは、接続制御部31、セッション制御部32、サービス実行部33、セッション監視部34、及びタイマー35等を備える。
【0032】
接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス(外部デバイス内に設けられた通信モジュール)との間の接続(CNL接続)を制御する。
【0033】
具体的には、接続制御部31は、イニシエータとして動作するとき、近接状態にある外部デバイスに接続を要求するための接続要求信号を送信する。そして、接続制御部31は、送信した接続要求信号に応答する接続応答信号を外部デバイスから受信したことによって、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の接続を確立する。
また、接続制御部31は、レスポンダとして動作するとき、近接状態にある外部デバイスによって送信された接続要求信号を受信する。そして、接続制御部31は、受信した接続要求信号に応答する接続応答信号を外部デバイスに送信したことによって、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の接続を確立する。
そして、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の接続が確立されたことを、セッション制御部32に通知する。
【0034】
セッション制御部32は、接続制御部31による通知に応じて、サービスを実行するためのセッションを制御する。セッション制御部32は、外部デバイスとのネゴシエーションによって、実行するサービスを決定し、セッションを確立する。また、セッション制御部32は、サービスの実行が完了した後、セッションを解除する。
【0035】
具体的には、セッション制御部32は、外部デバイスとの接続が確立された後、第1サービスを実行するための第1サービスセッションを制御する。
まず、セッション制御部32は、第1サービスセッションの確立(開始)を要求する第1サービスセッション要求信号を外部デバイスに送信する。第1サービスセッション要求信号は、第1サービスセッションで実行される第1サービスを示す情報を含む。また、第1サービスは、例えば、データ転送を行うためのサービスである。
【0036】
セッション制御部32は、第1サービスセッションの確立を受諾する第1サービスセッション受諾信号(すなわち、送信した第1サービスセッション要求信号に応答する第1サービスセッション受諾信号)を外部デバイスから受信した場合、第1サービスセッションを確立する。そして、セッション制御部32は、第1サービスを実行するための第1サービスセッションが確立されたことを、サービス実行部33に通知する。一方、セッション制御部32は、第1サービスセッションの確立を拒否する第1サービスセッション拒否信号を外部デバイスから受信した場合、第1サービスセッションを確立しない。なお、外部デバイスは、例えば、第1サービスセッション要求信号に指定された第1サービスが実行可能なサービスである場合に、第1サービスセッション受諾信号を近接無線通信デバイス104(電子機器10)に送信し、第1サービスセッション要求信号に指定された第1サービスが実行可能なサービスでない場合に、第1サービスセッション拒否信号を近接無線通信デバイス104に送信する。したがって、第1サービスが、電子機器10と外部デバイスの双方で実行可能なサービスである際に、電子機器10と外部デバイスとの間で第1サービスセッションが確立される。
【0037】
サービス実行部33は、セッション制御部32による第1サービスセッション確立の通知に応じて、第1サービスを実行する。すなわち、第1サービスの内容に応じて、電子機器10と外部デバイスとの間で、近接無線通信を用いた各種のデータ交換等を実行する。そして、第1サービスの実行が完了したとき、セッション制御部32に、第1サービスの実行完了を通知する。
【0038】
セッション制御部32は、サービス実行部33による第1サービスの実行完了の通知に応じて、第1サービスセッションを終了する。つまり、セッション制御部32は、外部デバイスとの間で確立された第1サービスセッションを解除する。
【0039】
なお、セッション制御部32は、第1サービスセッションの確立を要求する第1サービスセッション要求信号を外部デバイスから受信してもよい。第1サービスセッション要求信号は、上述のように、第1サービスセッションで実行される第1サービスを示す情報を含む。セッション制御部32は、その第1サービスを示す情報に基づいて、第1サービスが実行可能であるか否かを判定する。そして、第1サービスが実行可能である場合、第1サービスセッションの確立を受諾する第1サービスセッション受諾信号を外部デバイスに送信することによって、第1サービスセッションを確立する。また、第1サービスが実行可能でない場合、第1サービスセッションの開始を拒否する第1サービスセッション拒否信号を外部デバイスに送信することによって、第1サービスセッションを確立しない。
【0040】
また、セッション監視部34は、セッション制御部32によるセッションの確立/解除(すなわち、セッションの開始/終了)を監視する。セッション監視部34は、例えば、第1サービスセッションが解除されたことを検出する。セッション監視部34は、第1サービスセッション要求信号に指定されたサービスが、その第1サービスセッション要求信号を受信したデバイスにおいて実行可能でなかったことによって、第1サービスセッションが確立されなかったことも、第1サービスセッションの解除(終了)として検出する。つまり、セッション監視部34は、第1サービスセッションの確立の成功、失敗に関わらず、第1サービスを実行するための第1サービスセッション制御処理が終了したこと(以下、第1サービスセッションの終了とも称する)を検出する。
【0041】
セッション監視部34は、第1サービスセッションの終了(すなわち、第1サービスの実行の完了)を検出した後に、近接無線通信デバイス104(電子機器10)と外部デバイスとの近接状態がしきい値時間を超えて維持されている場合、第2サービスを実行するための第2サービスセッションが開始されるように制御する。また、セッション監視部34は、第1サービスセッションの終了を検出した後に、近接無線通信デバイス104(電子機器10)と外部デバイスとの間の接続がしきい値時間を超えて維持されている場合に、第2サービスを実行するための第2サービスセッションが開始されるように制御してもよい。
【0042】
具体的には、セッション監視部34は、第1サービスセッションの終了を検出したことに応じて、タイマー35に経過時間の計測を要求する。タイマー35は、ある時点からの相対的な時間の経過を検出する。具体的には、タイマー35は、第1サービスセッションが終了してからの経過時間を計測する。そして、タイマー35によって計測された経過時間がしきい値時間を超えた場合、セッション監視部34は、第2サービスとして実行されるサービスを決定する。そして、セッション監視部34は、セッション制御部32に、第2サービスを実行するための第2サービスセッションを開始することを要求する。また、セッション監視部34は、第2サービスセッションの開始が要求されたこと(第2サービスセッションが開始されたこと)に応じて、タイマー35に経過時間の計測の停止を要求する。第2サービスは、例えば、ストレージサービスやネットワークサービスのような常時接続型のサービスである。ストレージサービスは、一方のデバイスが他方のデバイス内のメモリ(記憶装置)をストレージとして利用するためのサービスである。また、ネットワークサービスは、一方のデバイスが他方のデバイスを外部モデムとして利用するためのサービスである。
【0043】
近接状態検出部109によって近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の近接状態が解除されたことが検出された場合、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の接続が解除されるので、セッション監視部34は、タイマー35に対して経過時間の計測の停止を要求し、セッション制御部32に対して第2サービスセッションの開始を要求しない。したがって、第2サービスを実行するための処理は行われない。なお、セッション監視部34は、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの間の接続が解除された場合に、タイマー35に対して経過時間の計測の停止を要求してもよい。
【0044】
また、セッション制御部32は、セッション監視部34による第2サービスセッション開始の要求に応じて、第2サービスセッションの確立を要求する第2サービスセッション要求信号を外部デバイスに送信する。第2サービスセッション要求信号は、第2サービスセッションで実行される第2サービスを示す情報を含む。
【0045】
次いで、セッション制御部32は、第2サービスセッションの確立を受諾する第2サービスセッション受諾信号を外部デバイスから受信した場合、第2サービスセッションを確立する。そして、セッション制御部32は、第2サービスを実行するための第2サービスセッションが確立されたことを、サービス実行部33に通知する。一方、セッション制御部32は、第2サービスセッションの確立を拒否する第2サービスセッション拒否信号を外部デバイスから受信した場合、第2サービスセッションを確立しない。なお、外部デバイスは、例えば、第2サービスセッション要求信号に指定された第2サービスが実行可能なサービスである場合に、第2サービスセッション受諾信号を近接無線通信デバイス104に送信し、第2サービスセッション要求信号に指定された第2サービスが実行可能なサービスでない場合に、第2サービスセッション拒否信号を近接無線通信デバイス104に送信する。したがって、第2サービスが、電子機器10と外部デバイスの双方で実行可能なサービスである際に、電子機器10と外部デバイスとの間で第2サービスセッションが確立される。
【0046】
サービス実行部33は、セッション制御部32による第2サービスセッション確立の通知に応じて、第2サービスを実行する。すなわち、第2サービスの内容に応じて、電子機器10と外部デバイスとの間で、近接無線通信を用いた各種のデータ伝送等を実行する。そして、第2サービスの実行が完了したとき、セッション制御部32に、第2サービスの実行完了を通知する。
【0047】
セッション制御部32は、サービス実行部33による第2サービスの実行完了の通知に応じて、第2サービスセッションを終了する。つまり、セッション制御部32は、外部デバイスとの間で確立された第2サービスセッションを解除する。
【0048】
なお、セッション制御部32は、第2サービスセッションの確立を要求する第2サービスセッション要求信号を外部デバイスから受信してもよい。第2サービスセッション要求信号は、上述のように、第2サービスセッションで実行される第2サービスを示す情報を含む。また、例えば、近接無線通信デバイス104(電子機器10)から外部デバイスに送信される、第2サービスセッション要求信号で指定される第2サービスと、外部デバイスから近接無線通信デバイス104に送信される第2サービスセッション要求信号で指定される第2サービスとは異なる種類のサービスである。セッション制御部32は、その第2サービスを示す情報に基づいて、第2サービスが実行可能であるか否かを判定する。そして、第2サービスが実行可能である場合、第2サービスセッションの確立を受諾する第2サービスセッション受諾信号を外部デバイスに送信することによって、第2サービスセッションを確立する。そして、セッション監視部34は、タイマー35に、経過時間の計測を停止するように要求する。また、第2サービスが実行可能でない場合、第2サービスセッションの開始を拒否する第2サービスセッション拒否信号を外部デバイスに送信することによって、第2サービスセッションを確立しない。
【0049】
したがって、セッション監視部34及びセッション制御部32は、例えば、外部デバイスに第2サービスセッション要求信号を送信し、その外部デバイスから第2サービスセッション拒否信号を受信したことによって第2サービスセッションの確立が失敗した後に、外部デバイスから第2サービスセッション要求信号を受信し、その外部デバイスに第2サービスセッション受諾信号を送信したことによって第2サービスセッションの確立が成功するように動作し得る。
【0050】
外部デバイスへの第2サービスセッション確立の要求は、上述のように、タイマー35によって計測された、第1サービスセッションが終了してからの経過時間がしきい値時間を超えたことに応じて行われる。そのため、例えば、電子機器10で用いられる第1しきい値時間と外部デバイスで用いられる第2しきい値時間とに異なる時間が設定されることによって、電子機器10によって外部デバイスに第2サービスセッションの開始が要求されるタイミングと、外部デバイスによって電子機器10に第2サービスセッションの開始が要求されるタイミングとをずらすことができる。
【0051】
例えば、第2しきい値時間が第1しきい値時間よりも長いことを想定する。その場合、第1サービスセッションが終了してからの経過時間が第1しきい値時間を超えたとき、電子機器10(セッション制御部32)が外部デバイスに第2サービスセッションの確立を要求する。そして、この第2サービスセッションの確立が成功したとき、電子機器10と外部デバイスとの間で第2サービスが実行される。また、この第2サービスセッションの確立が失敗し、第1サービスセッションが終了してからの経過時間が第2しきい値時間を超えたとき、外部デバイスが電子機器10に第2サービスセッションの確立を要求する。すなわち、第1しきい値時間と第2しきい値時間とに異なる時間が設定されることによって、第2サービスセッションが確立される可能性(第2サービスが実行される可能性)を高めることができる。これら第1しきい値時間及び第2しきい値時間は、例えば第1サービスセッション時に設定される。また、第1しきい値時間及び第2しきい値時間は、例えばベンダーによってデバイスの出荷時等に設定されてもよい。
【0052】
以上の構成により、第1サービスセッションが終了した後に、電子機器10(近接無線通信デバイス104)と外部デバイスとの近接状態がしきい値時間を超えて維持されている場合、第2サービスセッションが開始されるように制御することができる。これにより、例えば、第1サービスの実行が完了した後に、電子機器10と外部デバイスとが近接状態で放置されている場合に、第2サービスを実行することができるので、ユーザによる利便性を向上させることができる。
【0053】
図6及び図7は、電子機器10Aと外部デバイス10Bとによって実行される近接無線通信処理のタイミングチャートの例を示す。電子機器10Aは、例えば、ノートブック型のパーソナルコンピュータである。また、外部デバイス10Bは、例えば、スマートフォンである。電子機器10Aと外部デバイス10Bとは、図1及び図5に示すような近接無線通信を実行するための近接無線通信機能を有する。図6に示す例では、ユーザが、第1サービスの実行が完了した後にデバイス同士を離す操作を行うことを想定する。一方、図7に示す例では、ユーザが、第1サービスの実行が完了した後にデバイス同士を近接状態にしたまま放置することを想定する。
【0054】
まず、図6に示す例では、ユーザが、電子機器10Aと外部デバイス10Bとを近接させることにより、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間の接続が確立される(T11)。そして、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間で、第1サービスを実行するための第1のサービスセッションが開始される(すなわち、セッションが確立される)(T12)。
【0055】
次いで、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間で第1サービスが実行される(T13)。第1サービスは、例えば、外部デバイス10B内に格納されたデータを、電子機器10Aに送信するデータ交換のためのサービスである。第1サービスの実行が完了した場合、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間に確立された第1のサービスセッションが終了する(すなわち、確立されたセッションが解除される)(T14)。そして、セッションの終了に応じて、電子機器10Aはタイマー35を開始し(T15A)、外部デバイス10Bもタイマーを開始する(T15B)。電子機器10Aのタイマー35及び外部デバイス10Bのタイマーは、第1のサービスセッションが終了してからの経過時間を計測する。
【0056】
そして、ユーザによって電子機器10Aと外部デバイス10Bとが離されたとき、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間の接続が切断(解除)される(T16)。電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間の接続が解除されたことに応じて、電子機器10Aはタイマー35を停止し(T17A)、外部デバイス10Bもタイマーを停止する(T17B)。
上述の処理では、タイマー35によって計測された経過時間が第1しきい値時間を超える前に、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの近接状態が解除されるので、第2サービスは実行されない。
【0057】
また、図7に示す例でも、図6に示す例と同様にして、第1サービスが完了した後にタイマーが開始される(T11〜T15)が、第1サービスの実行が完了した後に電子機器10Aと外部デバイス10Bとが近接状態のまま放置されているので、例えば、電子機器10Aのタイマー35が満了する(T18A)。すなわち、電子機器10Aのタイマー35によって計測された経過時間が第1しきい値時間を超える。
【0058】
電子機器10Aと外部デバイス10Bとは、タイマーが満了したことに応じて、第2のサービスセッションを開始する(T19)。また、外部デバイス10Bのタイマーが停止する(T20)。そして、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間で第2サービスが実行される(T21)。この第2サービスは、ストレージサービスやネットワークサービスのような常時接続型のサービスである。これは、所定の処理が完了した後にセッションが終了する常時接続型でないサービスが実行されることによって、第3サービス、第4サービスと、多くのサービスの実行が繰り返し行われることを避けるためである。したがって、第2サービスは、例えば、ユーザによるアクション(例えば、電子機器10Aと外部デバイス10Bとを離す操作や、アプリケーションプログラム上でサービスを停止する操作)によって完了するサービスである。
【0059】
上述の処理では、第1サービスの実行が完了した後に、タイマー35によって計測された時間が第1しきい値時間を超えたことに応じて、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間で第2サービスが実行される。つまり、第1サービスの実行完了後に、ユーザが電子機器10Aと外部デバイス10Bとを近接状態のまま放置していることが、ユーザによるアクション(操作)の1つと見なされ、第2サービスを開始するためのトリガとして用いられる。したがって、ユーザは、電子機器10Aと外部デバイス10Bとを近接状態にするタッチ操作を一度行うだけで、2つのサービスを実行することができるので、ユーザによる利便性を高めることができる。
【0060】
また、図8及び図9は、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間でサービスセッションを開始する際のシーケンスの例を示す。
図8に示す例では、まず、電子機器10Aは、外部デバイス10Bにサービスセッションの開始を要求する(S31)。外部デバイス10Bは、要求されたサービスが実行可能なサービスである場合、開始を承諾する(S32A)。そして、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間でサービスを実行する(T13)。
【0061】
図9に示す例では、電子機器10Aは、外部デバイス10Bにサービスセッションの開始を要求する(S31)。外部デバイス10Bは、要求されたサービスが実行可能なサービスでない場合、開始を拒否する(S32B)。したがって、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間でサービスは実行されない。
【0062】
以上のように、一方のデバイスからサービスセッションの開始が要求された場合であっても、他方のデバイスでそのサービスが実行可能でないときには、サービスは実行されない。そのため本実施形態では、図10に示すように、電子機器10Aに設けられたタイマーが満了するしきい値時間THPCと、外部デバイス10Bに設けられたタイマーが満了するしきい値時間THSMとに異なる時間を設定する。例えば、第1サービスセッション(直前のサービスセッション)の開始を要求した電子機器10Aのしきい値時間THPCは、第1サービスセッションの開始を要求された外部デバイス10Bのしきい値時間THSMよりも短く設定される。これらしきい値時間THPCとしきい値時間THSMとが異なることにより、一方のデバイスによるサービスセッションの開始要求が拒否されても、他方のデバイスによるサービスセッションの開始要求をさらに行うことができるので、サービスを実行できる可能性を高めることができる。
【0063】
図10に示す例では、第1のサービスセッションが終了した後に、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間で近接状態が維持されていることを想定する。したがって、電子機器10Aはタイマー35を開始し(T15A)、外部デバイス10Bはタイマーを開始する(T15B)。タイマーを開始してからしきい値時間THPCが経過したとき、電子機器10Aのタイマー35が満了する(T18A)。電子機器10Aは、タイマー35が満了したことに応じて、第2のサービスセッションの開始を外部デバイス10Bに要求する(S41)。外部デバイス10Bは、電子機器10Aによって要求された第2サービスが実行可能なサービスでないので、セッションの開始を拒否する(S42)。
【0064】
次いで、タイマーを開始してからしきい値時間THSMが経過したとき、外部デバイス10Bのタイマーが満了する(T18B)。外部デバイス10Bは、タイマーが満了したことに応じて、第2のサービスセッションの開始を電子機器10Aに要求する(S43)。電子機器10Aは、外部デバイス10Bによって要求された第2サービスが実行可能なサービスであるので、セッションの開始を受諾する(S44)。そして、電子機器10Aと外部デバイス10Bとの間で第2サービスが実行される(T21)。
【0065】
上述のような通信シーケンスにより、電子機器10Aによる第2のサービスセッションの開始要求が拒否されても、外部デバイス10Bによる第2のサービスセッションの開始要求をさらに行うことができるので、サービスを実行できる可能性を高めることができる。
【0066】
次いで、図11及び図12に示すフローチャートを参照して、電子機器10Aによって実行される近接無線通信処理の手順の例について説明する。
【0067】
図11のフローチャートは、電子機器10Aが、近接状態にある外部デバイス10Bに対して接続を要求するイニシエータとして動作する際の近接無線通信処理の手順の例を示す。
まず、近接状態検出部109は、外部デバイス10Bが近接状態にあるか否かを判定する(ブロックB11)。外部デバイス10Bが近接状態でない場合(ブロックB11のNO)、ブロックB11に戻り、再度外部デバイス10Bが近接状態にあるか否かを判定する。一方、外部デバイス10Bが近接状態にある場合(ブロックB11のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、接続を要求する接続要求信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB12)。
【0068】
次いで、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、接続を受諾する接続受諾信号を外部デバイス10Bから受信したか否かを判定する(ブロックB13)。接続受諾信号を受信していない場合(例えば、接続を拒否する接続拒否信号を受信した場合や、所定の期間が経過しても接続受諾信号を受信しない場合)(ブロックB13のNO)、ブロックB12に戻り、接続要求信号が再度送信される。なお、接続制御部31は、所定回数だけ接続要求信号を送信しても接続受諾信号が受信されない場合、処理を終了してもよい。
【0069】
一方、接続受諾信号を受信した場合(ブロックB13のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続(CNL接続)を確立する(ブロックB14)。そして、セッション制御部32及びサービス実行部33は、第1サービスを実行するための第1サービスセッション制御処理を実行する(ブロックB15)。この第1サービスセッション制御処理の手順については、図13を参照して後述する。
【0070】
第1サービスセッション制御処理が完了した後、セッション制御部32、サービス実行部33、セッション監視部34、及びタイマー35は、第2サービスを実行するための第2サービスセッション制御処理を実行する(ブロックB16)。この第2サービスセッション制御処理の手順については、図14を参照して後述する。
【0071】
第2サービスセッション制御処理が完了した後、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続を解除する(ブロックB17)。
【0072】
また、図12のフローチャートは、電子機器10Aが、近接状態にある外部デバイス10Bによって接続を要求されるレスポンダとして動作する際の近接無線通信処理の手順の例を示す。
【0073】
まず、近接状態検出部109は、近接状態にある外部デバイス10Bから、接続を要求する接続要求信号を受信したか否かを判定する(ブロックB21)。外部デバイス10Bから接続要求信号を受信していない場合(ブロックB21のNO)、ブロックB21に戻り、再度外部デバイス10Bから接続要求信号を受信したか否かを判定する。一方、外部デバイス10Bから接続要求信号を受信している場合(ブロックB21のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、接続を受諾する接続受諾信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB22)。そして、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続(CNL接続)を確立する(ブロックB23)。
【0074】
次いで、セッション制御部32及びサービス実行部33は、第1サービスを実行するための第1サービスセッション制御処理を実行する(ブロックB24)。第1サービスセッション制御処理は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間で接続が確立された後に、第1サービスを実行するための処理である。この第1サービスセッション制御処理の手順については、図13を参照して後述する。
【0075】
第1サービスセッション制御処理が完了した後、セッション制御部32、サービス実行部33、セッション監視部34、及びタイマー35は、第2サービスを実行するための第2サービスセッション制御処理を実行する(ブロックB25)。第2サービスセッション制御処理は、第1サービスの実行が完了した後に、第2サービスを実行するための処理である。この第2サービスセッション制御処理の手順については、図14を参照して後述する。
そして、第2サービスセッション制御処理が完了した後、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続を解除する(ブロックB26)。
【0076】
以上、図11又は図12のフローチャートを参照して説明したように、電子機器10は、近接状態にある外部デバイス10Bとの間で近接無線通信による接続を確立し、第1サービスセッション及び第2サービスセッションを制御することができる。
【0077】
次いで、図13に示すフローチャートを参照して、第1サービスセッション制御処理の手順の例について説明する。第1サービスセッション制御処理は、上述のように、電子機器10と外部デバイス10Bとの間で接続が確立された後に、第1サービスの実行を制御するための処理である。
【0078】
まず、セッション制御部32は、第1サービスセッションの開始が要求されているか否かを判定する(ブロックB301)。第1サービスセッションは、第1サービスを実行するためのサービスセッションである。また、第1サービスセッションの開始は、例えば、近接無線通信を利用するアプリケーションプログラムが起動されたことによって要求される。
【0079】
第1サービスセッションの開始が要求されている場合(ブロックB301のYES)、セッション制御部32は、第1サービスセッションの開始を要求する第1サービスセッション要求信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB302)。第1サービスセッション要求信号は、第1サービスセッションで実行される第1サービスを示す情報を含む。
【0080】
次いで、セッション制御部32は、第1サービスセッションの開始を受諾する第1サービスセッション受諾信号を外部デバイス10Bから受信したか否かを判定する(ブロックB303)。なお、外部デバイス10Bは、第1サービスセッション要求信号に指定された第1サービスが実行可能なサービスである場合に、第1サービスセッション受諾信号を電子機器10に送信し、第1サービスセッション要求信号に指定された第1サービスが実行可能なサービスでない場合に、第1サービスセッション拒否信号を電子機器10に送信する。
【0081】
第1サービスセッション受諾信号を受信していない場合(すなわち、第1サービスセッションの開始を拒否する第1サービスセッション拒否信号を受信した場合)(ブロックB303のNO)、セッション制御部32は、第1サービスセッション制御処理を終了する。
一方、第1サービスセッション受諾信号を受信している場合(ブロックB303のYES)、セッション制御部32は第1サービスセッションを開始する(ブロックB304)。そして、サービス実行部33は、第1サービスセッション要求信号に指定された第1サービスを実行する(ブロックB305)。第1サービスの実行が完了した後、セッション制御部32は第1サービスセッションを終了する(ブロックB306)。
【0082】
また、ブロックB301において、第1サービスセッションの開始が要求されていない場合(ブロックB301のNO)、セッション制御部32は、第1サービスセッションの開始を要求する第1サービスセッション要求信号を外部デバイス10Bから受信したか否かを判定する(ブロックB307)。第1サービスセッション要求信号を受信していない場合(ブロックB307のNO)、ブロックB301に戻る。
【0083】
一方、第1サービスセッション要求信号を受信している場合(ブロックB307のYES)、セッション制御部32は、その第1サービスセッション要求信号に指定された第1サービスが、電子機器10で実行可能なサービスであるか否かを判定する(ブロックB308)。
第1サービスが実行可能なサービスでない場合(ブロックB308のNO)、セッション制御部32は、第1サービスセッションの確立を拒否する第1サービスセッション拒否信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB310)。
第1サービスが実行可能なサービスである場合(ブロックB308のYES)、セッション制御部32は、第1サービスセッションの確立を受諾する第1サービスセッション受諾信号を外部デバイス10Bに送信し(ブロックB309)、第1サービスセッションを開始する(ブロックB304)。そして、サービス実行部33は、第1サービスセッション要求信号に指定された第1サービスを実行する(ブロックB305)。第1サービスの実行が完了した後、セッション制御部32は第1サービスセッションを終了する(ブロックB306)。
【0084】
以上の処理により、第1サービスセッション制御処理が実行される。第1サービスセッション制御処理では、第1サービスが電子機器10と外部デバイス10Bの双方で実行可能である場合に第1サービスの実行が成功し、処理が終了する。また、第1サービスが電子機器10と外部デバイス10Bのいずれかで実行不能である場合に第1サービスの実行が失敗し、処理が終了する。そして、第1サービスの実行の成功、失敗に関わらず、第1サービスセッション制御処理の終了後に、第2サービスセッション制御処理が実行される。
【0085】
図14は、第2サービスセッション制御処理の手順の例を示す。第2サービスセッション制御処理は、第1サービスの実行が完了した後に、第2サービスの実行を制御するための処理である。
【0086】
まず、セッション監視部34は、第1サービスセッションが完了したか否かを判定する(ブロックB400)。第1サービスセッションが完了していない場合(ブロックB400のNO)、ブロックB400に戻り、再度、第1サービスセッションが完了したか否かが判定される。一方、第1サービスセッションが完了している場合(ブロックB400のYES)、セッション監視部34は、タイマー35に、第1サービスセッションが完了してからの経過時間の計測を開始させる(ブロックB401)。そして、セッション監視部34は、近接状態検出部109を用いて、外部デバイス10Bとの近接状態が維持されているか否かを判定する(ブロックB402)。外部デバイス10Bとの近接状態が維持されていない場合(ブロックB402のNO)、セッション監視部34は、タイマー35による経過時間の計測を停止させ(ブロックB403)、第2サービスセッション制御処理を終了する。
【0087】
また、外部デバイス10Bとの近接状態が維持されている場合(ブロックB402のYES)、セッション制御部32は、第2サービスセッションの開始を要求する第2サービスセッション要求信号を外部デバイス10Bから受信したか否かを判定する(ブロックB404)。第2サービスセッション要求信号を外部デバイス10Bから受信している場合(ブロックB404のYES)、セッション制御部32は、第2サービスセッション要求信号に指定された第2サービスが実行可能であるか否かを判定する(ブロックB405)。
【0088】
第2サービスが実行可能である場合(ブロックB405のYES)、セッション監視部34は、タイマー35による経過時間の計測を停止させる(ブロックB406)。また、セッション制御部32は、第2サービスセッションの開始を受諾する第2サービスセッション受諾信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB407)。次いで、セッション制御部32は、第2サービスセッションを開始する(ブロックB408)。そして、サービス実行部33は、第2サービスセッション要求信号に指定された第2サービスを実行する(ブロックB409)。第2サービスが実行されている間に、セッション制御部32は、近接状態検出部109を用いて、外部デバイス10Bとの近接状態が維持されているか否かを判定する(ブロックB410)。外部デバイス10Bとの近接状態が維持されている場合(ブロックB410のYES)、ブロックB410に戻る。すなわち、第2サービスの実行が続行される。外部デバイス10Bとの近接状態が維持されていない場合(ブロックB410のNO)、セッション制御部32は第2サービスセッションを終了する(ブロックB411)。
【0089】
また、第2サービスが実行可能でない場合(ブロックB405のNO)、セッション制御部32は、第2サービスセッションの開始を拒否する第2サービスセッション拒否信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB412)。そして、セッション監視部34は、タイマー35によって計測された経過時間がしきい値時間を超えているか否かを判定する(ブロックB413)。また、外部デバイス10Bから第2サービスセッション要求信号が受信されていない場合(ブロックB404のNO)にも、セッション監視部34は、タイマー35によって計測された経過時間がしきい値時間を超えているか否かを判定する(ブロックB413)。
タイマー35によって計測された経過時間がしきい値時間を超えていない場合(ブロックB413のNO)、ブロックB402に戻る。
【0090】
一方、タイマー35によって計測された経過時間がしきい値時間を超えている場合(ブロックB413のYES)、セッション監視部34は、タイマー35による経過時間の計測を停止させる(ブロックB414)。そして、セッション制御部32は、第2サービスセッションの開始を要求する第2サービスセッション要求信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB415)。
【0091】
次いで、セッション制御部32は、第2サービスセッションの開始を受諾する第2サービスセッション受諾信号を外部デバイス10Bから受信したか否かを判定する(ブロックB416)。第2サービスセッション受諾信号を外部デバイス10Bから受信していない場合(すなわち、第2サービスセッションの開始を拒否する第2サービスセッション拒否信号を受信した場合)(ブロックB416のNO)、セッション制御部32は、第2サービスセッション制御処理を終了する。
【0092】
一方、第2サービスセッション受諾信号を外部デバイス10Bから受信している場合(ブロックB416のYES)、セッション制御部32は、第2サービスセッションを開始する(ブロックB408)。そして、サービス実行部33は、第2サービスセッション要求信号に指定された第2サービスを実行する(ブロックB409)。第2サービスが実行されている間に、セッション制御部32は、近接状態検出部109を用いて、外部デバイス10Bとの近接状態が維持されているか否かを判定する(ブロックB410)。外部デバイス10Bとの近接状態が維持されている場合(ブロックB410のYES)、ブロックB410に戻る。すなわち、第2サービスの実行が続行される。外部デバイス10Bとの近接状態が維持されていない場合(ブロックB410のNO)、セッション制御部32は第2サービスセッションを終了する(ブロックB411)。
【0093】
以上の処理により、第2サービスセッション制御処理が実行される。第2サービスセッション制御処理では、第1サービスセッションが終了した後に、電子機器10と外部デバイスとの近接状態がしきい値時間を超えて維持されている場合に、第2サービスセッションの開始が試行される。そして、第2サービスが電子機器10と外部デバイス10Bの双方で実行可能である場合に第2サービスが実行される。これにより、第1サービスの実行完了後に、ユーザが電子機器10Aと外部デバイス10Bとを近接状態のまま放置していることが、ユーザによるアクション(操作)の1つと見なされ、第2サービスを開始するためのトリガとして用いられる。したがって、ユーザが、電子機器10Aと外部デバイス10Bとを近接状態にするタッチ操作を一度行うだけで、2つのサービスを実行されるので、ユーザによる利便性を高めることができる。
【0094】
また、図15及び図16は、電子機器10によって実行される近接無線通信処理の手順の別の例を示す。図15及び図16に示す例では、セッションが終了した後に接続(CNL接続)が解除されることを想定する。
【0095】
図15のフローチャートは、電子機器10Aが、近接状態にある外部デバイス10Bに対して接続を要求するイニシエータとして動作する際の近接無線通信処理の手順の例を示す。
まず、近接状態検出部109は、外部デバイス10Bが近接状態にあるか否かを判定する(ブロックB501)。外部デバイス10Bが近接状態でない場合(ブロックB501のNO)、ブロックB501に戻り、再度外部デバイス10Bが近接状態にあるか否かを判定する。一方、外部デバイス10Bが近接状態にある場合(ブロックB501のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、接続を要求する接続要求信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB502)。
【0096】
次いで、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、接続を受諾する接続受諾信号を外部デバイス10Bから受信したか否かを判定する(ブロックB503)。接続受諾信号を受信していない場合(例えば、接続を拒否する接続拒否信号を受信した場合や、所定の期間が経過しても接続受諾信号を受信しない場合)(ブロックB503のNO)、ブロックB502に戻り、接続要求信号が再度送信される。なお、接続制御部31は、所定回数だけ接続要求信号を送信しても接続受諾信号が受信されない場合、処理を終了してもよい。
【0097】
一方、接続受諾信号を受信した場合(ブロックB503のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続(CNL接続)を確立する(ブロックB504)。そして、セッション制御部32及びサービス実行部33は、第1サービスを実行するための第1サービスセッション制御処理を実行する(ブロックB505)。この第1サービスセッション制御処理の手順については、図13を参照して説明した通りである。第1サービスセッション制御処理が完了した後、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続を解除する(ブロックB506)。
【0098】
外部デバイス10Bとの接続が解除された後、近接状態検出部109は、外部デバイス10Bが近接状態にあるか否かを判定する(ブロックB507)。外部デバイス10Bが近接状態でない場合(ブロックB507のNO)、近接無線通信処理を終了する。
【0099】
一方、外部デバイス10Bが近接状態にある場合(ブロックB507のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、接続を要求する接続要求信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB508)。そして、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、接続を受諾する接続受諾信号を外部デバイス10Bから受信したか否かを判定する(ブロックB509)。接続受諾信号を受信していない場合(例えば、接続を拒否する接続拒否信号を受信した場合や、所定の期間が経過しても接続受諾信号を受信しない場合)(ブロックB509のNO)、ブロックB508に戻り、接続要求信号が再度送信される。なお、接続制御部31は、所定回数だけ接続要求信号を送信しても接続受諾信号が受信されない場合、処理を終了してもよい。
【0100】
一方、接続受諾信号を受信した場合(ブロックB509のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続(CNL接続)を確立する(ブロックB510)。そして、セッション制御部32、サービス実行部33、セッション監視部34、及びタイマー35は、第2サービスを実行するための第2サービスセッション制御処理を実行する(ブロックB511)。この第2サービスセッション制御処理の手順については、図14を参照して説明した通りである。第2サービスセッション制御処理が完了した後(例えば、近接無線通信デバイス104と外部デバイスとの近接状態が解除されたとき)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続を解除する(ブロックB512)。
【0101】
また、上述のように、図16のフローチャートは、電子機器10Aが、近接状態にある外部デバイス10Bによって接続を要求されるレスポンダとして動作する際の近接無線通信処理の手順の例を示す。
【0102】
まず、近接状態検出部109は、外部デバイス10Bが近接状態にあるか否かを判定する(ブロックB600)。外部デバイス10Bが近接状態でない場合(ブロックB600のNO)、ブロックB600に戻り、再度外部デバイス10Bが近接状態にあるか否かを判定する。一方、外部デバイス10Bが近接状態にある場合(ブロックB600のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、近接状態にある外部デバイス10Bから、接続を要求する接続要求信号を受信したか否かを判定する(ブロックB601)。外部デバイス10Bから接続要求信号を受信していない場合(ブロックB601のNO)、ブロックB601に戻り、再度外部デバイス10Bから接続要求信号を受信したか否かを判定する。一方、外部デバイス10Bから接続要求信号を受信している場合(ブロックB601のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、接続を受諾する接続受諾信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB602)。そして、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続(CNL接続)を確立する(ブロックB603)。
【0103】
次いで、セッション制御部32及びサービス実行部33は、第1サービスを実行するための第1サービスセッション制御処理を実行する(ブロックB604)。第1サービスセッション制御処理は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間で接続が確立された後に、第1サービスを実行するための処理である。この第1サービスセッション制御処理の手順については、図13を参照して説明した通りである。第1サービスセッション制御処理が完了した後、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続を解除する(ブロックB605)。
【0104】
外部デバイス10Bとの接続が解除された後、近接状態検出部109は、外部デバイス10Bが近接状態にあるか否かを判定する(ブロックB606)。外部デバイス10Bが近接状態でない場合(ブロックB606のNO)、近接無線通信処理を終了する。
【0105】
一方、外部デバイス10Bが近接状態にある場合(ブロックB606のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、近接状態にある外部デバイス10Bから、接続を要求する接続要求信号を受信したか否かを判定する(ブロックB607)。外部デバイス10Bから接続要求信号を受信していない場合(ブロックB607のNO)、ブロックB607に戻り、再度外部デバイス10Bから接続要求信号を受信したか否かを判定する。一方、外部デバイス10Bから接続要求信号を受信している場合(ブロックB607のYES)、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104を介して、接続を受諾する接続受諾信号を外部デバイス10Bに送信する(ブロックB608)。そして、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの間の接続を確立する(ブロックB609)。
【0106】
外部デバイス10Bとの接続が確立されて後、セッション制御部32、サービス実行部33、セッション監視部34、及びタイマー35は、第2サービスを実行するための第2サービスセッション制御処理を実行する(ブロックB610)。第2サービスセッション制御処理は、第1サービスの実行が完了した後に、第2サービスを実行するための処理である。この第2サービスセッション制御処理の手順については、図14を参照して説明した通りである。
そして、第2サービスセッション制御処理が完了した後、接続制御部31は、近接無線通信デバイス104と外部デバイス10Bとの接続を解除する(ブロックB611)。
【0107】
以上、図15又は図16のフローチャートを参照して説明したように、電子機器10は、近接状態にある外部デバイス10Bとの間で近接無線通信による接続を確立し、第1サービス及び第2サービスの実行を制御することができる。
【0108】
以上説明したように、本実施形態によれば、近接状態で放置された2つのデバイスを有効に利用することができる。第1サービスセッションが終了した後に、電子機器10(近接無線通信デバイス104)と外部デバイスとの近接状態がしきい値時間を超えて維持されている場合、第2サービスセッションが開始されるように制御することができる。これにより、例えば、第1サービスの実行が完了した後に、電子機器10と外部デバイスとが近接状態で放置されている場合に、その放置されていること自体をユーザによるアクション(操作)と見なして、常時接続型の第2サービスに移行することができるので、ユーザによる利便性を向上させることができる。
【0109】
なお、本実施形態の近接無線通信処理の手順は全てソフトウェアによって実行することができる。このため、近接無線通信処理の手順を実行するプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのプログラムを通常のコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
103A…近接無線通信制御プログラム、104…近接無線通信デバイス、109…近接状態検出部、31…接続制御部、32…セッション制御部、33…サービス実行部、34…セッション監視部、35…タイマー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接無線通信を実行する通信モジュールと、
前記通信モジュールと近接無線通信を実行する外部デバイスとが近接状態にある場合、前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間の接続を確立する接続確立手段と、
前記接続が確立された場合、前記外部デバイスとの間で第1サービスを実行し、前記第1サービスの実行が完了した後、前記近接状態が維持され且つ前記外部デバイスとの間でいずれのサービスも実行されないまま第1しきい値時間が経過した場合、前記外部デバイスとの間で第2サービスを実行するセッション制御手段とを具備する電子機器。
【請求項2】
前記セッション制御手段は、前記接続が確立された場合、前記第1サービスを実行するための第1サービスセッション要求信号を前記外部デバイスに送信し、前記第1サービスの実行を受諾する第1サービスセッション受諾信号を前記外部デバイスから受信した場合、第1サービスセッションを確立し、前記第1サービスを実行する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記セッション制御手段は、前記接続が確立された場合、前記第1サービスを実行するための第1サービスセッション要求信号を前記外部デバイスから受信し、前記第1サービスの実行を受諾する第1サービスセッション受諾信号を前記外部デバイスに送信した場合、第1サービスセッションを確立し、前記第1サービスを実行する請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記セッション制御手段は、前記第1サービスの実行が完了した後、前記近接状態が維持され且つ前記外部デバイスとの間でいずれのサービスも実行されないまま前記第1しきい値時間が経過した場合、前記第2サービスを実行するための第2サービスセッション要求信号を前記外部デバイスに送信し、前記第2サービスの実行を受諾する第2サービスセッション受諾信号を前記外部デバイスから受信した場合、第2サービスセッションを確立し、前記第2サービスを実行する請求項2又は請求項3記載の電子機器。
【請求項5】
前記セッション制御手段は、前記第1サービスの実行が完了した後、前記近接状態が維持され且つ前記外部デバイスとの間でいずれのサービスも実行されないまま前記第1しきい値時間が経過した場合、前記第2サービスを実行するための第2サービスセッション要求信号を前記外部デバイスから受信し、前記第2サービスの実行を受諾する第2サービスセッション受諾信号を前記外部デバイスに送信した場合、第2サービスセッションを確立し、前記第2サービスを実行する請求項2又は請求項3記載の電子機器。
【請求項6】
前記セッション制御手段は、前記第1サービスの実行が完了した後、前記近接状態が維持されたまま前記第1しきい値時間が経過した場合、前記第2サービスを実行するための第2サービスセッション要求信号を前記外部デバイスから受信し、前記第2サービスの実行を拒否する第2サービスセッション拒否信号を前記外部デバイスに送信し、前記近接状態が維持されたまま前記第1しきい値時間よりも長い第2しきい値時間が経過した場合、前記第2サービスを実行するための第2サービスセッション要求信号を前記外部デバイスに送信し、前記第2サービスの実行を受諾する第2サービスセッション受諾信号を前記外部デバイスから受信した場合、第2サービスセッションを確立し、前記第2サービスを実行する請求項2又は請求項3記載の電子機器。
【請求項7】
前記セッション制御手段は、前記第1サービスの実行が完了した後、前記近接状態が維持されたまま前記第1しきい値時間が経過した場合、前記第2サービスを実行するための第2サービスセッション要求信号を前記外部デバイスから受信し、前記第2サービスが前記電子機器で実行可能なサービスである場合、前記第2サービスの実行を受諾する第2サービスセッション受諾信号を前記外部デバイスに送信し、前記第2サービスが前記電子機器で実行可能なサービスでない場合、前記第2サービスの実行を拒否する第2サービスセッション拒否信号を前記外部デバイスに送信する請求項2又は請求項3記載の電子機器。
【請求項8】
前記セッション制御手段は、前記第1サービスの実行が完了した後、前記接続の確立が維持され且つ前記外部デバイスとの間でいずれのサービスも実行されないまま前記第1しきい値時間が経過した場合、前記第2サービスを実行する請求項1記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1サービスの実行が完了してからの経過時間を計測するタイマーをさらに具備し、
前記セッション制御手段は、前記タイマーによって計測された経過時間が前記第1しきい値時間を超えた場合、前記第2サービスを実行する請求項1記載の電子機器。
【請求項10】
通信モジュールによる近接無線通信を制御する通信制御方法であって、
前記通信モジュールと外部デバイスとが近接状態にある場合、前記通信モジュールと前記外部デバイスとの間の接続を確立し、
前記接続が確立された場合、前記外部デバイスとの間で第1サービスを実行し、前記第1サービスの実行が完了した後、前記近接状態が維持され且つ前記外部デバイスとの間でいずれのサービスも実行されないまま第1しきい値時間が経過した場合、前記外部デバイスとの間で第2サービスを実行する通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−42550(P2013−42550A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248278(P2012−248278)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2011−99741(P2011−99741)の分割
【原出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】