説明

電子機器及び電子部品

【課題】
デザイン性を損なうことなく、正面から電子機器を操作するユーザがボタンの発光状態を確認できる電子機器及び電子部品を提供する。
【解決手段】
リング状の遮光部21がボタン14の外周面44を取り囲んでいるので、デザイン性を損なうことはない。発光素子61で発光した光は、ボタン14の基部46の底面に設けられた拡散シート50に入射して散乱し、ボタン14内を通り押下面43から出射して押下面43が発光する。発光素子61で発光した光は、ボタン14の基部46の底面に設けられた拡散シート50から入射し散乱し、ボタン14内及びリング状の発光部31内を通り、発光部31内で散乱し、発光部31の外周面Sから出射してその外周面Sが発光する。リング状の発光部31の外周面Sの発光により、発光素子61を備えるだけで、一側面側からだけでなく、正面から電子機器1を操作するユーザがボタン14の発光状態を確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノートパソコンなどの電子機器及びこのような電子機器に実装される電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコンなどの電子機器は、デザイン性を向上させながら、電源スイッチなどのボタン類の小型薄型化を阻害することなく配置することが要求される。特許文献1によれば、キーボードなどが設けられた筐体と表示部が設けられた筐体とを回転可能に連結するヒンジの一端に電源スイッチが設けられている。電源スイッチは、発光素子によって例えば電源がオンになっているときにはスイッチが発光する。これにより、例えば電源がオンになっている状態は、可視的にわかりやすくなる。
【特許文献1】特開2005−128805号公報(段落[0135]、図3、図35など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載された技術では、電源スイッチはヒンジの一端に露出しているので、ユーザなどが誤って電源スイッチに接触し、不意に電源が落ちるなどの問題がある。そこで、このような電源スイッチの周囲を囲み、電源スイッチの押下面よりも突き出した突き出し部を有する遮光部を配置することが考えられる。遮光部は、主にデザイン性の観点からメッキなどが施されている。
【0004】
しかしながら、このような遮光部が設けられると、正面から電子機器を操作するユーザは、遮光部に遮られて電源スイッチの発光が確認できないことがある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、デザイン性を損なうことなく、正面から電子機器を操作するユーザがボタンの発光状態を確認できる電子機器及び電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、電子機器本体と、ボタンと、リング状の発光部と、リング状の遮光部と、発光素子と、スイッチ素子とを具備する。前記電子機器本体は、一側面側にボタン配置部を有する。前記ボタンは、前記ボタン配置部に配置され、光を透過する材料からなり、第1の半径の円柱形状をし、基部が前記第1の半径より大きい第2の半径をし、前記基部の反対側に押下面を有する。前記リング状の発光部は、前記ボタン配置部側に固定され、前記ボタンの基部及び基部近傍の外周面を取り囲む内周面及び外部に露出する外周面を有し、光を散乱させる材料からなる。前記リング状の遮光部は、前記ボタン配置部側との間で前記発光部を挟むように前記発光部に固定され、前記ボタンの外周面を取り囲む内周面を有し、前記押下面より突き出した突き出し部を有し、光を透過しない材料からなる。前記支持部材は、前記ボタンを前記電子機器本体側から弾性的に支持する。前記発光素子は、前記電子機器本体側に配置され、前記ボタンの基部の底面のほぼ中心に向けて発光する。前記スイッチ素子は、前記ボタンの基部側により押圧されて切り替えられる。
【0007】
本発明に係る電子機器では、リング状の遮光部がボタンの外周面を取り囲んでいるので、デザイン性を損なうことはない。発光素子で発光した光は、ボタンの基部の底面から入射し、ボタン内を通り押下面から出射して押下面が発光する。また、発光素子で発光した光は、ボタンの基部の底面から入射し、ボタン内及びリング状の発光部内を通り、リング状の発光部内で散乱し、その外周面から出射してその外周面が発光する。リング状の発光部の外周面の発光により、少なくとも1つの発光素子を備えるだけで、一側面側からだけでなく、正面から電子機器を操作するユーザがボタンの発光状態を確認できる。しかも、リング状の発光部は、ボタンの基部及び基部近傍の外周面を取り囲んでいるので、軸対象の構造である。従って、リング状の発光部は、その外周面から光を均一に発光する。
【0008】
前記遮光部は、前記発光部を貫通する固定用の突起脚を有し、前記電子機器は、前記突起脚が前記電子機器本体の正面側に位置することを避けるように、前記発光部及び前記遮光部を回転方向に対して位置決めする位置決め部を具備してもよい。
前記突起脚が前記電子機器本体の正面側に位置することを避けるようにしたことで、正面から電子機器を操作するユーザにとって突起脚によってボタンの発光状態が損なわれることはなくなる。
【0009】
前記発光部は、前記ボタンの基部の外周面を取り囲み、前記ボタンの基部の外縁の角部と対向する位置に傾斜面を有する凹部を有してもよい。
傾斜面を有することで、ボタンの基部の外縁の角部付近から出射した光が発光部に入射する際に反射することが少なくなり、発光部から発光する光の光量はより多くなる。
【0010】
前記電子機器は、前記ボタンの基部の底面に配置された拡散シートを具備してもよい。
拡散シートにより、発光素子で発光した光は拡散してボタン内に入射する。従って、押下面及び発光部の外周面からより均一に光を発光させることができる。
【0011】
前記電子機器本体は、操作部が設けられた第1の面を有する第1の筐体と、前記第1の面と対面可能で、表示部が設けられた第2の面を有する第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを前記電子機器本体の背面側で回転可能に連結し、一端に前記ボタン配置部が設けられた円筒形状のヒンジとを有してもよい。
円筒形状のヒンジの一端に押下面及び発光部の外周面から発光するボタンを配置することで、デザイン性がより良いものとなる。
【0012】
本発明に係る電子部品は、ボタンと、リング状の発光部と、リング状の遮光部とを具備する。前記ボタンは、光を透過する材料からなり、第1の半径の円柱形状をし、基部が前記第1の半径より大きい第2の半径をし、前記基部の反対側に押下面を有する。前記リング状の発光部は、前記ボタンの基部及び基部近傍の外周面を取り囲む内周面及び外部に露出する外周面を有し、光を散乱させる材料からなる。前記リング状の遮光部は、前記発光部に固定され、前記ボタンの外周面を取り囲む内周面を有し、前記押下面より突き出した突き出し部を有し、光を透過しない材料からなる。
【0013】
本発明に係る電子部品では、リング状の遮光部がボタンの外周面を取り囲んでいるので、デザイン性を損なうことはない。発光素子で発光した光は、ボタンの基部の底面から入射し、ボタン内を通り押下面から出射して押下面が発光する。また、発光素子で発光した光は、ボタンの基部の底面から入射し、ボタン内及びリング状の発光部内を通り、リング状の発光部内で散乱し、その外周面から出射してその外周面が発光する。リング状の発光部の外周面の発光により、少なくとも1つの発光素子を備えるだけで、一側面側からだけでなく、正面から電子機器を操作するユーザがボタンの発光状態を確認できる。しかも、リング状の発光部は、ボタンの基部及び基部近傍の外周面を取り囲んでいるので、軸対象の構造である。従って、リング状の発光部は、その外周面から光を均一に発光する。
【0014】
前記遮光部は、前記発光部を貫通する固定用の突起脚を有し、前記電子部品は、前記発光部及び前記遮光部を回転方向に対して位置決めするための位置決め部材を具備してもよい。
前記突起脚が前記電子機器本体の正面側に位置することを避けるようにしたことで、正面から電子機器を操作するユーザにとって突起脚によってボタンの発光状態が損なわれることはなくなる。
【0015】
前記発光部は、前記ボタンの基部の外周面を取り囲み、前記ボタンの基部の外縁の角部と対向する位置に傾斜面を有する凹部を有してもよい。
傾斜面を有することで、ボタンの基部の外縁の角部付近から出射した光が発光部に入射する際に反射することが少なくなり、発光部から発光する光の光量はより多くなる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、デザイン性を損なうことなく、正面から電子機器を操作するユーザがボタンの発光状態を確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
本実施形態では電子機器としてノートブック型コンピュータを一例に挙げて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電子機器の開いた状態の斜視図、図2は電子機器の閉じた状態の斜視図、図3は電子機器の開いた状態の平面図である。
電子機器1は、表示部2と、本体部3と、これら表示部2と本体部3とを連結するヒンジ4とを備えている。
【0018】
表示部2は、ヒンジ4を介して本体部3に対して開閉可能である。表示部2は、表示側筐体5、表示面6と、表示側筐体5内に設けられた表示処理を行う図示しない表示処理ユニットとを備えている。
【0019】
表示側筐体5は、図示しない表示処理ユニットを収容する表示部2の筐体である。表示面6は、情報を表示するための画面であり、閉じた状態で本体部3に対面する。
【0020】
本体部3は、本体側筐体7、キーボードユニット8、図示しない中央処理装置、図示しないハードディスク装置などの部品を備えている。
【0021】
本体側筐体7は、本体部3の筐体であり、円筒状の連結部4aを2個有する。キーボードユニット8は、例えば複数のキー等を備えており、電子機器1の入力部として機能する。中央処理装置は、本体側筐体7内の多層プリント配線板に実装されている。中央処理装置は、キーボードユニット8からの入力信号を受けて、演算処理、制御処理、画像処理、表示部2への出力処理などの各種処理を行い、この電子機器1の実質的な機能上の本体として機能する。
【0022】
ヒンジ4は、本体部3に固定された連結部4aと、表示部2に形成された連結部4bとが回動自在に連結されることで構成されている。ヒンジ4の軸方向(図1のY方向)の右端の連結部4aには、電源スイッチユニット10が配置されている。電源スイッチユニット10は、例えば本体側筐体7に固定されている。
【0023】
図4は電源スイッチユニット10の斜視図、図5は電源スイッチユニット10の平面、左側面、正面、右側面及び底面図、図6は電源スイッチユニット10の分解斜視図、図7は図5(C)に示す電源スイッチユニット10のA−A断面図である。
電源スイッチユニット10は、図4〜図7に示すように、遮光部材11、発光部材12、包囲部材13、ボタン14、支持部材15及び基板16を備えている。電源スイッチユニット10は、これらの図に示すように、これらの部品が組み合わされて構成されている。
【0024】
図8(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は遮光部材11の平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
遮光部材11は、図6に示すように、リング状の遮光部21、複数の突起脚22を備える。リング状の遮光部21及び突起脚22は一体的に形成されている。リング状の遮光部21は、ボタン14が嵌る円形状の開口23が形成されている。リング状の遮光部21は、図7に示すように、ボタン14が押される方向(図7のY方向)で外側に突出した突出部24を備えている。開口23は、突出部24から陥没した位置に設けられている。リング状の遮光部21は、図7に示すように、遮光部21の外周側から一点鎖線で示す中心に近づくにつれY方向に凹む斜面25を備える。リング状の遮光部21は、図7に示すように、開口23を形成する内周面26を備えている。遮光部21の内周面26は、図7に示すように、ボタン14の外周面44の一部に対向する。突起脚22は、図8(E)に示すように、リング状の遮光部21の周方向に等間隔に(等角度間隔で)3本配設されている。
【0025】
遮光部材11は、例えば図4に示すその外表面が例えばスパッタリングされており、外表面に遮光膜が形成されている。遮光部21は、例えばスパッタリングによる遮光膜により光を透過させない。
【0026】
図9(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は発光部材12の平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
発光部材12は、図6に示すように、位置決め突出部30、リング状の発光部31及び脚部32を備えている。
【0027】
位置決め突出部30は、遮光部材11の複数の突起脚22に対応する位置に複数の孔33が形成されている。突起脚22が孔33内に挿入され、遮光部材11と、発光部材12とが位置決めされる。位置決め突出部30は、ボタン14が嵌る開口34が形成されている。
【0028】
リング状の発光部31は、図7に示すように、その外周面Sが、遮光部材11と包囲部材13との間から露出している。リング状の発光部31の材料は、例えば透光性を有する例えば乳白色の樹脂材料等が用いられる。
【0029】
脚部32は、図7に示すように、包囲部材13内に挿入され包囲部材13に固定される。
【0030】
発光部材12は、図7及び図9(E)に示すように、ボタン14の後述する基部46の外周面48を取り囲む凹部36を備えている。凹部36は、リング状の発光部31と、脚部32等により構成されている。凹部36は、ボタン14の角部49と対向する位置に傾斜面37を有する。
【0031】
図10(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)は包囲部材13の平面、左側面、正面、右側面、底面及び背面図である。
包囲部材13は、円筒状の包囲部材本体40と、位置決め部41とを備えている。包囲部材本体40は、発光部材12の脚部32を固定し、支持部材15及び基板16等を包囲する。位置決め部41は、包囲部材本体40の側面から突出して設けられている。位置決め部41は、本体側筐体7の例えば位置決め部71に固定される。包囲部材本体40の内周面側には位置決め部42が設けられている。位置決め部42は、遮光部材11の突起脚22が電子機器1の正面側(図6のX方向)に位置することを避けるように、発光部材12及び遮光部材11を回転方向(周方向)に対して位置決めする。
【0032】
図11(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)はボタン14の平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
ボタン14は、電子機器1に電源を投入するときにユーザにより押される電源スイッチのボタンである。ボタン14は、円柱形状であり、凸部45と、基部46とを備える。ボタン14は、光を透過する例えばABS樹脂等の透明な材料からなる。
【0033】
凸部45は、図7に示すように、遮光部材11の開口23及び発光部材12の開口34に嵌る。凸部45は、図11に示すように、半径が第1の半径r1であり、基部46は、第1の半径r1より大きい第2の半径r2である。凸部45は、ユーザにより押される押下面43を備える。ユーザにより押される押下面43は、図7に示すように、突出部24より凹んだ位置にある。
【0034】
基部46には、図11(C)に示すように、支持部材15との位置決めをするために例えば径の異なる一対の凸部47が形成されている。図7に示すように、基部46の外周面48の角部49は、発光部材12の傾斜面37に対向する。
【0035】
図7に示すように、図11(E)に示すボタン14の基部46の支持部材15側の面には、ほぼ全面を覆うように拡散シート50が配置されている。拡散シート50を配置したことにより、ボタン14の表面から光を均一に放射することが可能となる。更に、ボタン14の内側の構造、例えば基板16の表面状態を拡散シート50により隠すことが可能となる。
【0036】
図12(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は支持部材15の平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
支持部材15は、ユーザによりボタン14の押下面43が押されたときにボタン14が凹みユーザが押下面43を押さないときに図7に示す初期位置に戻るように、ボタン14を弾性的に支持する。支持部材15は、基板16を支持する。
【0037】
支持部材15は、リング部51、弾性部52、基板保持部53及び支持部54等を備えている。
リング部51は、図6に示すように、ボタン14の一対の凸部47が挿入される一対の孔55が形成されている。リング部51のボタン14側と反対側の面には、図7、図12(B)及び(E)に示すように突起部56が突設されている。突起部56は、図7に示すようにリング部51のスイッチ素子60に対向する第1の位置P1に設けられている。
【0038】
弾性部52は、図12(B)及び(D)に示すように湾曲形状であり、リング部51等に繋がって一体的に形成されている。弾性部52は、リング部51のリングの中心を挟んで第1の位置P1とは反対側の第2の位置P2(図7及び図12(B)参照)で、リング部51を弾性的に支持する。
【0039】
基板保持部53は、図6に示すように略U字枠形状であり、基板16が基板保持部53に挿入された状態で基板16を保持する。図7に示すように、基板16が基板保持部53に保持された状態では、スイッチ素子(タクトスイッチ)60が突起部56に対向しかつ発光素子61がリング部51のほぼ中心に対応する。
【0040】
支持部54は、例えば弾性部52、基板保持部53等を支持するために用いられる。支持部54は、弾性部52及び基板保持部等と一体的に形成されている。
【0041】
図13(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)は基板16の平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
基板16は、実装用基板70、及び実装用基板70に実装されたスイッチ素子60、発光素子61、62等を備えている。
【0042】
スイッチ素子60は、図7に示すように突起部56に対向して配置されている。スイッチ素子60は、オンオフ状態が突起部56に当接して切り替えられる。
【0043】
発光素子61、62は、例えばボタン14(拡散シート50)のほぼ中心に向けて発光する。発光素子61、62は、例えばLED(Light Emitting Diode)が用いられている。
【0044】
図14は電子機器1のシステムの構成を示すブロック図である。
電子機器1のシステム80は、基板16、電源回路81及びシステムコントローラ82を備える。
【0045】
基板16は、実装用基板70、及び実装用基板70に実装されたスイッチ素子60、スイッチコントローラ84、電源切替回路85、ドライバ86、発光素子61、ドライバ87及び発光素子62を備えている。
【0046】
電源回路81は、商用AC電源、バッテリからの直流DC電源から電子機器1内の各回路で使用される直流電源を生成する。
【0047】
システムコントローラ82は、電子機器1のシステムの制御を行う。例えばスイッチコントローラ84からのシステム起動命令を入力したとき、システムを起動する処理を行う。また、システムコントローラ82は、システムのステータスを管理しており、スイッチコントローラ84にシステムのステータス(システムオン/オフ/スタンバイ)を通知する。
【0048】
スイッチ素子60は、突起部56により押されるとオン、オフが切り替えられる。
【0049】
スイッチコントローラ84は、システムコントローラ82からのステータスとに基づき、例えば二値信号を電源切替回路85に出力する。スイッチコントローラ84は、例えばステータスがシステムオンのときには、「1」を電源切替回路85に出力し、ステータスがスタンバイのときには、「0」を電源切替回路85に出力する。
【0050】
電源切替回路85は、スイッチコントローラ84からの二値信号に基づき、ドライバ86、ドライバ87に二値信号を出力する。
【0051】
ドライバ86は、電源切替回路85からの信号に基づき、電源回路81で生成された直流電源を発光素子61に供給/遮断する。ドライバ87は、電源切替回路85からの信号に基づき、電源回路81で生成された直流電源を発光素子62に供給/遮断する。
【0052】
次に、電源スイッチユニット10の製造(取付)方法について説明する。
図15は電源スイッチユニット10の製造(取付)方法のフローチャートである。なお、表示部2、電源スイッチユニット10を取り付ける前の本体部3は既に製造されているものとする。
【0053】
遮光膜が形成される前の遮光部材11と発光部材12とを成形しスパッタリングにより遮光部材11に遮光膜を形成する(ST1501)。
【0054】
遮光部材11の基材には例えばスパッタリングにより遮光膜が形成される材料である例えばABS樹脂等の材料を用い、発光部材12には例えばスパッタリングにより遮光膜が形成されない透光性を有する乳白色の樹脂材料等を用いる。遮光部材11と、発光部材12とを予め製造しその後組み合わせてもよい。
【0055】
本体部3内からフレキシブル基板に接続された基板16を支持部材15の基板保持部53に挿入し、図6に示す遮光部材11、発光部材12、包囲部材13、ボタン14及び支持部材15を図7に示すように組み合わせ、図5に示す電源スイッチユニット10を製造する(ST1502)。このとき、位置決め部42は、図6に示す突起脚22が電子機器1の正面側に位置することを避けるように、発光部材12及び遮光部材11を回転方向(周方向)に対して位置決めする。
【0056】
図4に示す電源スイッチユニット10の位置決め部41を、図1に示すように本体側筐体7の位置決め部71に固定する(ST1503)。位置決め部71は、キーボードユニット8の平面(図1のXY平面)とほぼ平行に設けられた壁である。位置決め部41と、本体側筐体7の位置決め部71とが平面的に重なりネジ止めされる。
【0057】
次に、電源スイッチユニット10の発光素子61から発光された光の光路を説明する。
図16は電源スイッチユニット10の発光素子61から発光された光の光路図である。
例えば発光素子61から発光された光は、拡散シート50に入射する。拡散シート50に入射した光は、拡散シート50で散乱し透明なボタン14を透過し押下面43からボタン14の外部へ射出される。拡散シート50で散乱した光は、図16に示す一点鎖線の軸の周りに均一に散乱する。この結果、この散乱した光は、例えば基部46の中心付近から角部49付近を通過し発光部材12の傾斜面37等から発光部材12に入射し発光部材12内で散乱し、リング状の発光部31を透過し発光部31の外へリング状に均一に拡がる。
【0058】
このように本実施形態によれば、リング状の遮光部21がボタン14の外周面44を取り囲んでいるので、デザイン性を損なうことはない。発光素子61で発光した光は、ボタン14の基部46の底面に設けられた拡散シート50に入射して散乱し、ボタン14内を通り押下面43から出射して押下面43が発光する。また、発光素子61で発光した光は、ボタン14の基部46の底面に設けられた拡散シート50から入射し散乱し、ボタン14内及びリング状の発光部31内を通り、リング状の発光部31内で散乱し、発光部31の外周面Sから出射してその外周面Sが発光する。リング状の発光部31の外周面Sの発光により、発光素子61を備えるだけで、一側面側(図16のY方向側)からだけでなく、正面から電子機器1を操作するユーザがボタン14の発光状態を確認できる。しかも、リング状の発光部31は、ボタン14の基部46近傍の外周面44を取り囲んでいるので、軸(図16で一点鎖線で示すY方向に平行な軸)対象の構造である。従って、リング状の発光部31は、その外周面Sから光を均一に発光することができる。
【0059】
電子機器1の包囲部材13は、突起脚22が電子機器1の正面側(図6に示すX方向側)に位置することを避けるように、発光部材12及び遮光部材11を回転方向(周方向)に対して位置決めする位置決め部42を備えている。従って、突起脚22が電子機器1の正面側に位置することを避けるようにしたことで、正面から電子機器1を操作するユーザにとって突起脚22によってボタン14の発光状態が損なわれることはなくなる。
【0060】
発光部材12は、図7に示すように、ボタン14の基部46の外周面48を取り囲み、ボタン14の基部46の外縁の角部49と対向する位置に傾斜面37を有する凹部36を備える。発光部材12が傾斜面37を備えることで、ボタン14の基部46の外縁の角部49付近から出射した光が発光部材12に入射する際に反射することが少なくなり、発光部材12から発光する光の光量をより多くすることができる。
【0061】
電源スイッチユニット10のリング状の発光部31は、図3に示すように、電子機器1が開閉状態に関係なく、常に外部に露見された状態にある。このため、電源を入れたまま表示部2を閉じてしまっても、電子機器1のボタン14を見ることなくそのリング状の発光部31からの光を視認することができる。
【0062】
電子機器1は、例えば電源がオンになっているときは発光素子61に赤(オレンジ)色の光を点灯させて、あるいは省電力待機状態のときには発光素子62に緑色の光を点滅させて、それらの状態をユーザに確認させることができる。
【0063】
リング状の発光部31は、スパッタリングにより遮光膜が付着しない透光性の樹脂材料(Clear PC クリアポリカーボネート等)からなり、遮光部材11の基材は、このスパッタリングにより遮光膜が付着する基材からなる。このため、例えば同一のスパッタリング工程で、発光部31と遮光部21と形成することができる。従って、製造工程を短縮することができると共に、製造コストを低下させることができる。
【0064】
デッドスペースであったヒンジの連結部に電源スイッチユニット10を配置することで、その分、本体部3や表示部2の各部品配置に自由度が生じ、それら部品配置を工夫することで本体部3や表示部2の薄型化を促進する。また、電源スイッチユニット10はキーボードユニット8と離れた位置に設けられ、しかもボタン14の周囲を囲み、ボタン14のその外周が突き出すように構成されている。従って、使用中に誤って電源を切ってしまうことなどを防げる。
本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明は、その技術思想の範囲内で様々に変形して実施することが可能である。その実施の範囲は、本発明の技術的範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の開いた状態の斜視図である。
【図2】電子機器の閉じた状態の斜視図である。
【図3】電子機器の開いた状態の平面図である。
【図4】電源スイッチユニットの斜視図である。
【図5】電源スイッチユニットの平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
【図6】電源スイッチユニット10の分解斜視図である。
【図7】図5(C)に示す電源スイッチユニットのA−A断面図である。
【図8】遮光部材の平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
【図9】発光部材の平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
【図10】包囲部材の平面、左側面、正面、右側面、底面及び背面図である。
【図11】ボタンの平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
【図12】支持部材の平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
【図13】基板16の平面、左側面、正面、右側面及び底面図である。
【図14】電子機器のシステムの構成を示すブロック図である。
【図15】電源スイッチユニットの製造(取付)方法のフローチャートである。
【図16】電源スイッチユニットの発光素子から発光された光の光路図である。
【符号の説明】
【0066】
1 電子機器
2 表示部
3 本体部
4 ヒンジ
4a、4b 連結部
5 表示側筐体
6 表示面
7 本体側筐体
10 電源スイッチユニット
S 外周面
11 遮光部材
12 発光部材
13 包囲部材
14 ボタン
15 支持部材
21 遮光部
22 突起脚
26 内周面
31 発光部
36 凹部
37 傾斜面
42 位置決め部
43 押下面
44、48 外周面
46 基部
47 凸部
49 角部
50 拡散シート
60 スイッチ素子
61、62 発光素子
P1 第1の位置
P2 第2の位置
r1 第1の半径
r2 第2の半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面側にボタン配置部を有する電子機器本体と、
前記ボタン配置部に配置され、光を透過する材料からなり、第1の半径の円柱形状をし、基部が前記第1の半径より大きい第2の半径をし、前記基部の反対側に押下面を有するボタンと、
前記ボタン配置部側に固定され、前記ボタンの基部及び基部近傍の外周面を取り囲む内周面及び外部に露出する外周面を有し、光を散乱させる材料からなるリング状の発光部と、
前記ボタン配置部側との間で前記発光部を挟むように前記発光部に固定され、前記ボタンの外周面を取り囲む内周面を有し、前記押下面より突き出した突き出し部を有し、光を透過しない材料からなるリング状の遮光部と、
前記ボタンを前記電子機器本体側から弾性的に支持する支持部材と、
前記電子機器本体側に配置され、前記ボタンの基部の底面のほぼ中心に向けて発光する発光素子と、
前記ボタンの基部側により押圧されて切り替えられるスイッチ素子と
を具備する電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記遮光部は、前記発光部を貫通する固定用の突起脚を有し、
前記電子機器は、前記突起脚が前記電子機器本体の正面側に位置することを避けるように、前記発光部及び前記遮光部を回転方向に対して位置決めする位置決め部を具備する
電子機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子機器であって、
前記発光部は、前記ボタンの基部の外周面を取り囲み、前記ボタンの基部の外縁の角部と対向する位置に傾斜面を有する凹部を有する
電子機器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の電子機器であって、
前記ボタンの基部の底面に配置された拡散シート
を具備する電子機器。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
前記電子機器本体は、操作部が設けられた第1の面を有する第1の筐体と、前記第1の面と対面可能で、表示部が設けられた第2の面を有する第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを前記電子機器本体の背面側で回転可能に連結し、一端に前記ボタン配置部が設けられた円筒形状のヒンジとを有する
電子機器。
【請求項6】
光を透過する材料からなり、第1の半径の円柱形状をし、基部が前記第1の半径より大きい第2の半径をし、前記基部の反対側に押下面を有するボタンと、
前記ボタンの基部及び基部近傍の外周面を取り囲む内周面及び外部に露出する外周面を有し、光を散乱させる材料からなるリング状の発光部と、
前記発光部に固定され、前記ボタンの外周面を取り囲む内周面を有し、前記押下面より突き出した突き出し部を有し、光を透過しない材料からなるリング状の遮光部と
を具備する電子部品。
【請求項7】
請求項6に記載の電子部品であって、
前記遮光部は、前記発光部を貫通する固定用の突起脚を有し、
前記電子部品は、前記発光部及び前記遮光部を回転方向に対して位置決めするための位置決め部材を具備する
電子部品。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の電子部品であって、
前記発光部は、前記ボタンの基部の外周面を取り囲み、前記ボタンの基部の外縁の角部と対向する位置に傾斜面を有する凹部を有する
電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−294807(P2009−294807A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146371(P2008−146371)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】