電子機器用カバー部材および電池蓋
【課題】
電子機器の落下に対する防護性を高め、かつ光源の位置と発光領域の形態に高い自由度を持たせることのできる電子機器用カバー部材および電池蓋を提供する。
【解決手段】
本発明は、電子機器2の操作面3側を開口して当該電子機器2の外側を覆う電子機器用カバー部材1であって、少なくとも操作面3の方向に開口するトレイ10と、トレイ10よりも低硬度であると共にトレイ10の開口側内面若しくは外面を覆う弾性部材20とを備え、トレイ10および弾性部材20の内のいずれか外側に位置する外側部材は、当該外側部材の外面に、トレイ10の内部若しくは弾性部材20の内部を通る光を出光する1以上の窓部24と、少なくとも窓部24を除いて外側部材の外側の面を覆う遮光層25とを備え、窓部24の深さ方向にあって、光を通すトレイ10若しくは弾性部材20の表面に、光を拡散する光拡散部30を備える電子機器用カバー部材1に関する。
電子機器の落下に対する防護性を高め、かつ光源の位置と発光領域の形態に高い自由度を持たせることのできる電子機器用カバー部材および電池蓋を提供する。
【解決手段】
本発明は、電子機器2の操作面3側を開口して当該電子機器2の外側を覆う電子機器用カバー部材1であって、少なくとも操作面3の方向に開口するトレイ10と、トレイ10よりも低硬度であると共にトレイ10の開口側内面若しくは外面を覆う弾性部材20とを備え、トレイ10および弾性部材20の内のいずれか外側に位置する外側部材は、当該外側部材の外面に、トレイ10の内部若しくは弾性部材20の内部を通る光を出光する1以上の窓部24と、少なくとも窓部24を除いて外側部材の外側の面を覆う遮光層25とを備え、窓部24の深さ方向にあって、光を通すトレイ10若しくは弾性部材20の表面に、光を拡散する光拡散部30を備える電子機器用カバー部材1に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用カバー部材および電池蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、携帯型のゲーム機器、電子ブック等の小型電子機器を持ち運ぶ機会が益々増えてきており、それに伴い、小型電子機器を落下させあるいは移動中に何かに接触させて破損する機会も増えている。小型電子機器を落下あるいは何かに接触させた際にその破損から防護する方法の一つに、小型電子機器をクッション性の高いカバーあるいはケースにて覆う方法が考えられる。
【0003】
例えば、小型電子機器の操作面のみを開口し、側面から裏面までを覆う形状であって、開口部分の伸縮性を高めて、小型電子機器の着脱容易にした電子機器用カバーが知られている(特許文献1を参照)。また、携帯電話の操作面側を開口した比較的硬質の材料(プラスチックあるいは金属)から構成される携帯電話用の容器および保持具も知られている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−027076号公報
【特許文献2】特開2000−201210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の従来から公知のカバーには、次のような欠点がある。特許文献1に開示されるカバーは、布のような柔らかい材料を縫合して形成されるものであるため、破れやすく、また、落下時の衝撃から電子機器を保護するには十分な強度を有していない。特許文献1は、カバーの裏面に別部材(弾性部材D)を固定し、衝撃を和らげる方法も開示しているが、電子機器を側面から落下させた場合には、衝撃緩和効果は低い。また、特許文献2に開示される容器および保持具(ここでは、「容器」と称する)は、比較的硬質な材料から構成されているため、電子機器を落下させたときに、容器自体が破損しやすく、繰り返しの使用に耐え得ない。また、容器により衝撃を十分に吸収できず、電子機器が破損する危険性も高い。ここで、容器を金属で構成すると、容器自体は壊れにくくなるが、電子機器への衝撃を十分吸収できず、かつ電子機器の表面に傷が付きやすくなるという問題も生じる。
【0006】
また、最近では、照光式の電子機器が広く普及しており、電子機器の主操作面のみならず、側面あるいは裏面からも発光可能な構成とし、電話の着信時や電子メールの受信時に点灯若しくは点滅させる機能を持つ電子機器もある。しかし、上記の従来から公知のカバーをかかる電子機器に取り付けると、主操作面以外からの出光を視認できなくなる。カバーの側面あるいは裏面に、電子機器に備えられている光源の位置に合わせて、貫通孔若しくはレンズを嵌め込んだ窓部(ここでは、「貫通孔等」と称する)を設けることも考えられるが、その場合、光源とほぼ同一の大きさの貫通孔等を光源と対向する位置に設けざるを得ないため、点灯・点滅の大きさおよび形成位置の自由度が低くなる。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、電子機器の落下に対する防護性を高め、かつ光源の位置と発光領域の形態に高い自由度を持たせることのできる電子機器用カバー部材および電池蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するため、本発明の一形態は、電子機器の操作面側を開口して電子機器の外側を覆う電子機器用カバー部材であって、少なくとも操作面の方向に開口するトレイと、トレイよりも低硬度であると共にトレイの開口側内面若しくは外面を覆う弾性部材とを備え、トレイおよび弾性部材の内のいずれか外側に位置する外側部材には、外側部材の外面にトレイの内部若しくは弾性部材の内部を通る光を出光する1以上の窓部と、少なくとも窓部を除いて外側部材の外側の面を覆う遮光層とを備え、窓部の深さ方向にあって、光を通すトレイ若しくは弾性部材の表面に、光を拡散する光拡散部を備える電子機器用カバー部材である。
【0009】
本発明の別の形態は、さらに、トレイ若しくは弾性部材のいずれか開口側の部材には、電子機器側からの光を開口側の部材の外側に位置する外側部材に入射させるための表裏方向に貫通する1以上の入光口を備える電子機器用カバー部材である。
【0010】
本発明の別の形態は、さらに、トレイ若しくは弾性部材には、光拡散部より内方にあって光拡散部と対向する位置に、光を窓部に向けて反射させる光反射層を備える電子機器用カバー部材である。
【0011】
本発明の別の形態は、さらに、トレイ若しくは弾性部材に光源を備える電子機器用カバー部材である。
【0012】
本発明の一形態は、上記の電子機器用カバー部材が電池収納部の開口面を覆う蓋を兼ねた電池蓋である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子機器を落下させても高い防護性を得ることができ、かつ光源の位置と発光領域の形態に高い自由度を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の形態に係る電子機器用カバー部材をその開口面側から見た斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す電子機器用カバー部材の構成部材の一つであるトレイの斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す電子機器用カバー部材をその開口面と反対側から見た図であって電子機器を取り付ける状況を示す斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す電子機器用カバー部材に電子機器を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図3に示すカバー部材に電子機器を取り付けた状態のA−A線断面図およびその一部の領域Xの拡大図である。
【図6】図6は、第一の実施の形態に係るカバー部材の製造工程を説明するための図であり、図5に示す領域Xの段階的な変化を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の第三の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の第六の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る電子機器用カバー部材および電池蓋の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
<第一の実施の形態>
図1は、本発明の第一の実施の形態に係る電子機器用カバー部材をその開口面側から見た斜視図である。図2は、図1に示す電子機器用カバー部材の構成部材の一つであるトレイの斜視図である。図3は、図1に示す電子機器用カバー部材をその開口面と反対側から見た図であって電子機器を取り付ける状況を示す斜視図である。図4は、図1に示す電子機器用カバー部材に電子機器を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0017】
(1)電子機器用カバー部材の構造
第一の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(以後、単に、「カバー部材」と称する)1は、電子機器2の操作面3側を開口して当該電子機器2の外側を覆うことのできる形態を有する。カバー部材1は、少なくとも操作面3の方向に開口するトレイ10と、トレイ10よりも低硬度であると共にトレイ10の開口面と反対側の面(外面という)を覆う弾性部材20とを備える。この実施の形態では、トレイ10は、カバー部材1の開口側に位置する開口側の部材であり、弾性部材20はトレイ10の開口側とは反対の外側に位置する外側部材である。
【0018】
トレイ10は、図1および図2に示すように、電子機器2の背面側に位置する底板11と、底板11から電子機器2の側面に向かって延出する側壁12とを連接して構成される部材である。側壁12は、電子機器2の一対の側面、この実施の形態では短辺側の両側面を十分に覆う一方、他方の一対の側面、この実施の形態では長辺側の両側面を大きく切り欠いた形状を有する。トレイ10は、電子機器2の長辺側の切り欠いた部分を有する2つの側壁12に、電子機器2側に向かって立設される規制板13を1つずつ備える。また、トレイ10は、電子機器2の短辺側の2つの側壁12に、内方に突出する規制凸部15を複数個備える。規制板13および規制凸部15は、カバー部材1の内側にあるトレイ10と電子機器2との固定を確実にし、電子機器2がカバー部材1から容易に脱落しないようにするための部分である。なお、規制板13は、トレイ10の長辺側の側壁12ではなく、底板11の長辺側に形成されていても良い。
【0019】
トレイ10は、底板11と短辺側の各側壁12にまたがって、それぞれ、2個の入光口14,14を備える。当該2個の入光口14,14は、当該側壁12の幅方向に所定間隔で形成されている。入光口14は、トレイ10をその表裏方向に貫通する穴であって、電子機器2側からの光を、トレイ10の外側に位置する弾性部材20に入射させるための穴である。図3に示すように、電子機器2は、その各短辺側に、光源の一例である2個のLED4,4をそれぞれ備えている。トレイ10に形成される合計4個の入光口14は、カバー部材1に電子機器2を取り付けた際に、LED4と対向する位置にある。入光口14の位置と数は、上記に限定されるものではなく、電子機器2の光源の位置と数に応じて、変更して形成可能である。ただし、入光口14は、必須の構成部分ではなく、LED4からの光をトレイ10と弾性部材20の両方に導くようにしても良い。
【0020】
トレイ10は、好適には樹脂から成り、より好適には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂から成り、その中でも特に好適には、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂あるいはポリアミド系樹脂から成る。トレイ10の底板11および側壁12の厚さは、電子機器2の大きさ、重量等によって適正な厚さに設計可能である。例えば、電子機器2の厚さが8〜20mm、短辺が50〜200mm、長辺が80〜300mmの範囲にある場合、樹脂製のトレイ10の底板11および側壁12は、最も厚い部分にて0.4〜1.4mm、より好適には0.4〜1.0mmの範囲に設計可能である。
【0021】
弾性部材20は、電子機器2の背面側に位置する底板21と、底板21から電子機器2の側面を覆う側壁22と、側壁22から電子機器2の操作面3の外縁の全部を覆う操作面側外縁部23とを連接して構成されるボート形状を有する部材である。弾性部材20は、トレイ10の開口側内面よりも当該開口側内面と反対側の面を広く覆う。弾性部材20は、トレイ10よりも低硬度の熱可塑性エラストマーあるいは熱硬化性エラストマーなどの材料から好適に構成され、例えば、ウレタン系あるいはシリコーン系エラストマーからさらに好適に構成される。弾性部材20は、その内部を導光させる必要から、より透光性に優れるシリコーン系エラストマーから特に好適に構成される。トレイ10の底板11および側壁12の最も厚い部分が0.4〜1.4mm、より好適には0.4〜1.0mmの範囲の場合、上記エラストマー製の弾性部材20の底板21および側壁22は、最も厚い部分にて0.4〜1.4mm、より好適には0.4〜1.0mmの範囲に設計可能である。
【0022】
弾性部材20の側壁22は、トレイ10の側壁12の高さ以上に形成されている。トレイ10の側壁12の内で最も高い位置でも、弾性部材20の操作面側外縁部23の内側に接する位置である。これによって、少なくとも、操作面側外縁部23は、トレイ10と接しない部分となり、電子機器2との脱着の際に自由に変形できる。また、カバー部材1の側方は、弾性部材20の側壁22の内側にトレイ10の側壁12を接する二重構造となっている。このため、カバー部材1は、電子機器2の側面からの落下に対して、高い防護性を発揮できる。弾性部材20は、トレイ10の底板11および側壁12の各外側を完全に覆う一方、それらの内側を完全に覆うことなく、当該内側の大部分を露出させる。すなわち、トレイ10の開口側内面は、その反対側にあたる外側の面よりも弾性部材20に覆われておらず、露出している。このため、トレイ10の内側の面は、広い範囲にて、直接、電子機器2に接触する。
【0023】
図3に示すように、弾性部材20は、その外側の面に、弾性部材20の内部を通る光を出光する1以上の窓部24を備える。窓部24は、弾性部材20の厚さ方向に貫通する孔ではなく、弾性部材20の外側の面を覆う後述の遮光層25に覆われていない透光可能な領域である。窓部24は、図3において、底板21に3個形成されているが、側壁22に形成されていても良く、また、その個数も3個に限定されない。
【0024】
図3に示すように、電子機器2は、その背面に、電池6を収納するための電池収納部5を備える。電子機器2は、電池収納部5のみを覆う専用の蓋を備えていない。カバー部材1は、電子機器2の電池収納部5に電池6を入れた状態にて電子機器2に取り付けることにより、電池蓋1’として機能し得る。このため、電子機器2に、電池6の脱落を防止するための蓋が無くても支障は無い。ただし、カバー部材1が電池蓋1’を兼ねることは、必須ではない。電子機器2の電池収納部5に、専用の電池蓋を備え、その上からカバー部材1を取り付けても良い。以後の各実施の形態でも同様である。
【0025】
図5は、図3に示すカバー部材に電子機器を取り付けた状態のA−A線断面図およびその一部の領域Xの拡大図である。
【0026】
弾性部材20は、その外面における窓部24以外の領域に遮光層25を備える。遮光層25は、弾性部材20の内部を通る光Lを出光させないようにその外面を覆う層であり、好適には黒色顔料、黒色染料を含むインク、黒色顔料を混練した樹脂フィルムにて構成される。ただし、遮光層25の色は、出光を防止できれば、銀色、白色等の他の色でも良い。窓部24の深さ方向には、光Lを通す弾性部材20の表面に、光Lを拡散する光拡散部30が配置されている。光拡散部30は、窓部24の領域内と同一領域あるいは窓部24の一部領域にのみ形成されていても良い。さらには、この実施の形態のように、複数の窓部24を備える場合には、それらの窓部24の内の一部若しくは全部に共有の光拡散部30を備えても良い。光拡散部30は、弾性部材20の内方に向けて窪む多数の凹部から形成される。光拡散部30を構成する凹部は、好ましくは、レーザー加工(例えば、炭酸ガスレーザーを用いた加工)によって形成される。具体的には、トレイ10の外側に弾性部材20を成形後に、弾性部材20の外側の面における窓部24を形成する領域に、レーザー光を照射して、多数の凹部から成る光拡散部30を形成する。また、凹部の別の好適な製造方法として、成形後のトレイ10をインサートする金型の所定箇所の内面に凹部を転写可能な多数の凸部を形成して、トレイ10の外側に弾性部材20を一体成形すると同時に、凹部を形成しても良い。凹部は、好ましくは、深さ0.03〜0.07mm(30〜70μm)、開口径0.1〜0.3mmで形成される。通常、LED4からの距離が長いほど、光量が少なくなる。そこで、複数の窓部24を均一に照光するために、LED4から遠い窓部24ほど反射率を高める必要が有る。かかる必要から、凹部は、LED4からの距離が長くなるほど、高密度にあるいは深く形成するのが好ましい。窓部24の光拡散部30の表面は、露出していても良く、透明インクあるいは透光可能な有色インクにて被覆されていても良い。例えば、光拡散部30の磨耗を防止するため、光拡散部30の上から透明インクにて印刷し、あるいは薄い透明フィルムを貼ることができる。遮光層25は、光拡散部30の上に形成した透明層の上から形成することができる。
【0027】
電子機器2のLED4が発光すると、その光Lは、トレイ10に形成された入光口14から弾性部材20の内部を通って、光拡散部30にて拡散して、窓部24から外に向けて出光する。このように、カバー部材1を構成する弾性部材20を導光手段として使用すれば、光拡散部30の位置と形態の設計に応じて、LED4の箇所から離れた位置であっても、さらにはLED4の大きさを超える領域を発光させたい場合でも、容易に発光させることができる。また、この実施の形態のように、4個のLED4の内の2個以上を任意に発光させた場合であって、それらLED4が互いに異なる色の発光を行う場合、窓部24からの発光を、当該異なる色の合成色にて行うことができる。
【0028】
(2)電子機器用カバー部材の製造方法
図6は、第一の実施の形態に係るカバー部材の製造工程を説明するための図であり、図5に示す領域Xの段階的な変化を示す図である。
【0029】
(A)に示すトレイ10は、例えば、金型内に溶融樹脂を射出して成形する射出成形法、軟化させた板状の樹脂を金型内で型締めする成形法にて好適に製造できる。また、後者の成形法の場合には、一方の金型側から減圧する方法、一方の金型側から高圧気体を送気する方法、当該減圧と送気とを組み合わせる方法を用いても良い。トレイ10には、特にその外側の面に反射の目的にて加飾を施される。その場合、トレイ10を塗料中にディッピングし、塗料をスプレーにて塗布し、印刷し、あるいは加飾シートを貼付することができる。また、トレイ10を製造するための溶融状態の樹脂中に遮光性の顔料を予め練り込んでおいてから成形しても良い。ただし、トレイ10の屈折率よりも弾性部材20の屈折率の方が大きい場合には、反射を目的とする加飾は必ずしも要しない。また、(B)に示す弾性部材20は、例えば、成形後のトレイ10を金型内にセットして、金型とトレイ10との隙間に弾性部材20を構成可能な組成物を供給して、当該組成物を架橋させる方法などにより成形できる。かかる成形法を用いると、トレイ10と弾性部材20とを容易に一体化することができる。なお、トレイ10と弾性部材20との密着性を高めるため、成形後のトレイ10における弾性部材20との密着領域に、プライマーを塗布してから金型にセットして、弾性部材20を構成する組成物を金型内に供給しても良い。また、トレイ10と弾性部材20とを別々に成形し、両者10,20を貼り合わせても良い。
【0030】
次に、(C)に示すように、弾性部材20の外面における窓部24の領域内にて、レーザー光を走査して、光拡散部30を形成する。光拡散部30は、別の好適な製造方法として、トレイ10をインサートして弾性部材20を一体成形するための金型に、光拡散部30を転写可能な多数の凸部からなる領域を形成しておき、インサート成形と同時に、弾性部材20の窓部24の領域に光拡散部30を形成することができる。光拡散部30の形成後、(D)に示すように、弾性部材20の外側の面における窓部24以外の領域に遮光層25を形成する。なお、光拡散部30に透光層を形成しても良く、その場合、光拡散部30の上から透明なインクを用いた印刷等を行っても良い。
【0031】
<第二の実施の形態>
次に、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。なお、当該第二の実施の形態において、第一の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0032】
図7は、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【0033】
第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(カバー部材)1は、第一の実施の形態と比較して、光拡散部30より内方にあって光拡散部30と対向する位置に、弾性部材20の内部を通る光および光拡散部30にて拡散された光を窓部24に向けて反射させる光反射層31を備える点で、異なる。光反射層31は、好適には、窓部24と同じ形態あるいは窓部24の径方向外側まで延出する形態で、トレイ10の外側の面に形成される。光反射層31は、好適には、銀色の表面を持つ層であり、銀色の顔料若しくは染料を含むインクを用いた印刷の他、アルミニウム等の金属を用いた蒸着、金属箔の貼り付け等の手法により形成可能である。また、光反射層31の色は、銀色以外の他の色、例えば、白色でも良い。その場合、酸化チタン顔料を含むインクを用いた印刷により、光反射層31を容易に形成可能である。
【0034】
第二の実施の形態に係るカバー部材1の製造方法は、第一の実施の形態に係るカバー部材1と同様の製造方法であって、追加工程として、トレイ10の成形後であって弾性部材20との一体化の前に、トレイ10の外側の面の窓部24と対向する位置に、光反射層31を形成する工程を含む。
【0035】
<第三の実施の形態>
次に、本発明の第三の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。なお、当該第三の実施の形態において、第一の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0036】
図8は、本発明の第三の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【0037】
第三の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(カバー部材)1は、第一の実施の形態と比較して、トレイ10と弾性部材20との間に、光源の一例であるLED4を固定した回路基板41を備える点で異なる。具体的には、トレイ10は、その外側の面に、内方に向かって窪む凹部40を備え、当該凹部40に回路基板41が埋め込まれる。回路基板41の一例として、着信時にLED4を点灯させる機能を持つ着信モジュールを挙げることができる。LED4が発光すると、LED4に対向する弾性部材20に入光した光は、光拡散部30にて拡散され、窓部24から外に向けて出光する。このカバー部材1は、トレイ10に光源を備え、電子機器2側からの制御信号に基づいて当該光源を発光させる場合に有効である。
【0038】
第三の実施の形態に係るカバー部材1の製造方法は、第一の実施の形態に係るカバー部材1と同様の製造方法であって、追加工程として、トレイ10の成形後であって弾性部材20との一体化の前に、トレイ10の凹部40に、回路基板41を固定する工程を含む。
【0039】
<第四の実施の形態>
次に、本発明の第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。なお、当該第四の実施の形態において、第一の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0040】
図9は、本発明の第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【0041】
第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(カバー部材)1は、第一の実施の形態と比較して、トレイ10を導光部材とし、トレイ10の外面に光拡散部50を備える点で、異なる。導光部材としてのトレイ10は、カバー部材1の開口側に位置する部材であるため、第一の実施の形態に形成されている入光口14を備えていない。
【0042】
トレイ10の内部を通る光Lが、光拡散部50以外の領域において弾性部材20に入光するのを防ぐため、トレイ10の外面において、光拡散部50以外の領域に、反射層51を形成するのが好ましい。また、反射層51の形成の代わりに、弾性部材20を、トレイ10からの光Lを入光しにくい低屈折率材料にするため、弾性部材20中に拡散材を分散させても良い。
【0043】
第四の実施の形態に係るカバー部材1の製造方法は、第一の実施の形態に係るカバー部材1と同様の製造方法であって、トレイ10の成形後であって弾性部材20との一体化の前に、トレイ10の外面に光拡散部50と反射層51を形成し、その後、トレイ10の外面に弾性部材20を被覆した後には、弾性部材20に光拡散部30を形成することなく、窓部24の周囲に遮光層25を形成する方法である。
【0044】
<第五の実施の形態>
次に、本発明の第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。なお、当該第五の実施の形態において、第一の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0045】
図10は、本発明の第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【0046】
第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(カバー部材)1は、第一〜第四の各実施の形態と異なり、トレイ10の開口側内面に、弾性部材20を形成するものである。このため、トレイ10は外側部材に相当し、弾性部材20は開口側の部材に相当する。トレイ10は、その外面に、弾性部材20の内部を通る光を出光する1以上の窓部24と、窓部24を除いてトレイ10の外側の面を覆う遮光層62とを備える。また、トレイ10の開口側内面であって、窓部24の深さ方向には、弾性部材20を通る光Lを拡散する光拡散部60を備える。弾性部材20の内部を通る光Lが、光拡散部60以外の領域においてトレイ10に入光するのを防ぐため、トレイ10の内面において、光拡散部60以外の領域に、反射層61を形成するのが好ましい。また、反射層61の形成の代わりに、トレイ10を、弾性部材20から入光しにくい低屈折率材料にするため、トレイ10中に拡散材を分散させても良い。さらに、弾性部材20の開口側内面であって窓部24の直下に、第二の実施の形態で説明した光反射層31と同様の層を設けても良い。なお、導光部材としての弾性部材20は、カバー部材1の開口側に位置する部材であるため、第一の実施の形態に形成されている入光口14を備えていない。
【0047】
第五の実施の形態に係るカバー部材1は、第一の実施の形態に係るカバー部材1と類似の製造方法にて製造でき、トレイ10の成形後であって弾性部材20との一体化の前に、トレイ10の内面に光拡散部60と反射層61を、外面に遮光層62をそれぞれ形成した後、トレイ10の内面に弾性部材20を被覆して製造できる。ただし、遮光層62は、トレイ10と弾性部材20との一体化後に形成しても良い。
【0048】
<第六の実施の形態>
次に、本発明の第六の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。なお、当該第六の実施の形態において、第一の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0049】
図11は、本発明の第六の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【0050】
第六の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(カバー部材)1は、第五の実施の形態と同様、トレイ10の開口側内面に、弾性部材20を形成するものである。このため、トレイ10は外側部材に相当し、弾性部材20は開口側の部材に相当する。第六の実施の形態に係るカバー部材1は、弾性部材20の開口側内面に光拡散部70を備える点で、第五の実施の形態と異なるが、それ以外の点は第五の実施の形態と共通する。
【0051】
第六の実施の形態に係るカバー部材1は、第一の実施の形態に係るカバー部材1と類似の製造方法にて製造でき、トレイ10の成形後であって弾性部材20との一体化の前に、トレイ10の内面に反射層61を、外面に遮光層62をそれぞれ形成した後、トレイ10の内面に弾性部材20を被覆して製造できる。その後、弾性部材20の開口側内面であって窓部24の直下の位置に、光拡散部70を形成する。なお、遮光層62は、トレイ10と弾性部材20との一体化後に形成しても良い。
【0052】
<その他の実施の形態>
以上、本発明の好適な各実施の形態について説明してきたが、本発明は、上記の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々変形実施可能である。
【0053】
例えば、必ずしも、窓部24以外の全ての領域を遮光層25にて覆うことを要しない。一例ではあるが、窓部24より輝度が低い出光を故意に行いたい場合、あるいは出光してもユーザに視認困難な箇所については、必ずしも遮光層25にて覆わなくても良い。すなわち、窓部24は、遮光層25で覆われていないことを要件とする箇所であるが、遮光層25で覆われていない箇所の全てが窓部24というわけではない。光源は、電子機器2、トレイ10の他、弾性部材20に備えても良い。また、その光源は、LED4以外の光源、例えばフィラメント式の電球であっても良い。
【0054】
上記の第一〜第六の各実施の形態は、互いにそれぞれの特徴を一以上組み合わせても良い。例えば、第一の実施の形態に係るカバー部材1は、電池蓋1’を兼用しているが、他の実施の形態において電池蓋1’を兼用しても良い。また、第三の実施の形態に係るカバー部材1において、第二の実施の形態に係るカバー部材1に備える光反射層31を備えても良い。第四の実施の形態に係るカバー部材1において、第三の実施の形態にて説明したように、トレイ10に凹部40を形成し、そこに回路基板41を配置しても良い。また、第五および第六の各実施の形態において、開口側の部材である弾性部材20を導光部材とせず、外側部材であるトレイ10を導光部材とし、トレイ10の開口側内面または外面に光拡散部を形成しても良い。その場合、弾性部材20に入光口14と同様の穴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、電子機器の照光式の保護カバーとして利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 カバー部材(電子機器用カバー部材)
1’ 電池蓋
2 電子機器
3 操作面
4 LED(光源の一例)
5 電池収納部
6 電池
10 トレイ(外側部材または開口側の部材)
14 入光口
20 弾性部材(外側部材または開口側の部材)
24 窓部
25 遮光層
30 光拡散部
31 光反射層
50 光拡散部
51 反射層
60 光拡散部
61 反射層
62 遮光層
70 光拡散部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用カバー部材および電池蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、携帯型のゲーム機器、電子ブック等の小型電子機器を持ち運ぶ機会が益々増えてきており、それに伴い、小型電子機器を落下させあるいは移動中に何かに接触させて破損する機会も増えている。小型電子機器を落下あるいは何かに接触させた際にその破損から防護する方法の一つに、小型電子機器をクッション性の高いカバーあるいはケースにて覆う方法が考えられる。
【0003】
例えば、小型電子機器の操作面のみを開口し、側面から裏面までを覆う形状であって、開口部分の伸縮性を高めて、小型電子機器の着脱容易にした電子機器用カバーが知られている(特許文献1を参照)。また、携帯電話の操作面側を開口した比較的硬質の材料(プラスチックあるいは金属)から構成される携帯電話用の容器および保持具も知られている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−027076号公報
【特許文献2】特開2000−201210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の従来から公知のカバーには、次のような欠点がある。特許文献1に開示されるカバーは、布のような柔らかい材料を縫合して形成されるものであるため、破れやすく、また、落下時の衝撃から電子機器を保護するには十分な強度を有していない。特許文献1は、カバーの裏面に別部材(弾性部材D)を固定し、衝撃を和らげる方法も開示しているが、電子機器を側面から落下させた場合には、衝撃緩和効果は低い。また、特許文献2に開示される容器および保持具(ここでは、「容器」と称する)は、比較的硬質な材料から構成されているため、電子機器を落下させたときに、容器自体が破損しやすく、繰り返しの使用に耐え得ない。また、容器により衝撃を十分に吸収できず、電子機器が破損する危険性も高い。ここで、容器を金属で構成すると、容器自体は壊れにくくなるが、電子機器への衝撃を十分吸収できず、かつ電子機器の表面に傷が付きやすくなるという問題も生じる。
【0006】
また、最近では、照光式の電子機器が広く普及しており、電子機器の主操作面のみならず、側面あるいは裏面からも発光可能な構成とし、電話の着信時や電子メールの受信時に点灯若しくは点滅させる機能を持つ電子機器もある。しかし、上記の従来から公知のカバーをかかる電子機器に取り付けると、主操作面以外からの出光を視認できなくなる。カバーの側面あるいは裏面に、電子機器に備えられている光源の位置に合わせて、貫通孔若しくはレンズを嵌め込んだ窓部(ここでは、「貫通孔等」と称する)を設けることも考えられるが、その場合、光源とほぼ同一の大きさの貫通孔等を光源と対向する位置に設けざるを得ないため、点灯・点滅の大きさおよび形成位置の自由度が低くなる。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、電子機器の落下に対する防護性を高め、かつ光源の位置と発光領域の形態に高い自由度を持たせることのできる電子機器用カバー部材および電池蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するため、本発明の一形態は、電子機器の操作面側を開口して電子機器の外側を覆う電子機器用カバー部材であって、少なくとも操作面の方向に開口するトレイと、トレイよりも低硬度であると共にトレイの開口側内面若しくは外面を覆う弾性部材とを備え、トレイおよび弾性部材の内のいずれか外側に位置する外側部材には、外側部材の外面にトレイの内部若しくは弾性部材の内部を通る光を出光する1以上の窓部と、少なくとも窓部を除いて外側部材の外側の面を覆う遮光層とを備え、窓部の深さ方向にあって、光を通すトレイ若しくは弾性部材の表面に、光を拡散する光拡散部を備える電子機器用カバー部材である。
【0009】
本発明の別の形態は、さらに、トレイ若しくは弾性部材のいずれか開口側の部材には、電子機器側からの光を開口側の部材の外側に位置する外側部材に入射させるための表裏方向に貫通する1以上の入光口を備える電子機器用カバー部材である。
【0010】
本発明の別の形態は、さらに、トレイ若しくは弾性部材には、光拡散部より内方にあって光拡散部と対向する位置に、光を窓部に向けて反射させる光反射層を備える電子機器用カバー部材である。
【0011】
本発明の別の形態は、さらに、トレイ若しくは弾性部材に光源を備える電子機器用カバー部材である。
【0012】
本発明の一形態は、上記の電子機器用カバー部材が電池収納部の開口面を覆う蓋を兼ねた電池蓋である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子機器を落下させても高い防護性を得ることができ、かつ光源の位置と発光領域の形態に高い自由度を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第一の実施の形態に係る電子機器用カバー部材をその開口面側から見た斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す電子機器用カバー部材の構成部材の一つであるトレイの斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す電子機器用カバー部材をその開口面と反対側から見た図であって電子機器を取り付ける状況を示す斜視図である。
【図4】図4は、図1に示す電子機器用カバー部材に電子機器を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図3に示すカバー部材に電子機器を取り付けた状態のA−A線断面図およびその一部の領域Xの拡大図である。
【図6】図6は、第一の実施の形態に係るカバー部材の製造工程を説明するための図であり、図5に示す領域Xの段階的な変化を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明の第三の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【図9】図9は、本発明の第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の第六の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る電子機器用カバー部材および電池蓋の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
<第一の実施の形態>
図1は、本発明の第一の実施の形態に係る電子機器用カバー部材をその開口面側から見た斜視図である。図2は、図1に示す電子機器用カバー部材の構成部材の一つであるトレイの斜視図である。図3は、図1に示す電子機器用カバー部材をその開口面と反対側から見た図であって電子機器を取り付ける状況を示す斜視図である。図4は、図1に示す電子機器用カバー部材に電子機器を取り付けた状態を示す斜視図である。
【0017】
(1)電子機器用カバー部材の構造
第一の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(以後、単に、「カバー部材」と称する)1は、電子機器2の操作面3側を開口して当該電子機器2の外側を覆うことのできる形態を有する。カバー部材1は、少なくとも操作面3の方向に開口するトレイ10と、トレイ10よりも低硬度であると共にトレイ10の開口面と反対側の面(外面という)を覆う弾性部材20とを備える。この実施の形態では、トレイ10は、カバー部材1の開口側に位置する開口側の部材であり、弾性部材20はトレイ10の開口側とは反対の外側に位置する外側部材である。
【0018】
トレイ10は、図1および図2に示すように、電子機器2の背面側に位置する底板11と、底板11から電子機器2の側面に向かって延出する側壁12とを連接して構成される部材である。側壁12は、電子機器2の一対の側面、この実施の形態では短辺側の両側面を十分に覆う一方、他方の一対の側面、この実施の形態では長辺側の両側面を大きく切り欠いた形状を有する。トレイ10は、電子機器2の長辺側の切り欠いた部分を有する2つの側壁12に、電子機器2側に向かって立設される規制板13を1つずつ備える。また、トレイ10は、電子機器2の短辺側の2つの側壁12に、内方に突出する規制凸部15を複数個備える。規制板13および規制凸部15は、カバー部材1の内側にあるトレイ10と電子機器2との固定を確実にし、電子機器2がカバー部材1から容易に脱落しないようにするための部分である。なお、規制板13は、トレイ10の長辺側の側壁12ではなく、底板11の長辺側に形成されていても良い。
【0019】
トレイ10は、底板11と短辺側の各側壁12にまたがって、それぞれ、2個の入光口14,14を備える。当該2個の入光口14,14は、当該側壁12の幅方向に所定間隔で形成されている。入光口14は、トレイ10をその表裏方向に貫通する穴であって、電子機器2側からの光を、トレイ10の外側に位置する弾性部材20に入射させるための穴である。図3に示すように、電子機器2は、その各短辺側に、光源の一例である2個のLED4,4をそれぞれ備えている。トレイ10に形成される合計4個の入光口14は、カバー部材1に電子機器2を取り付けた際に、LED4と対向する位置にある。入光口14の位置と数は、上記に限定されるものではなく、電子機器2の光源の位置と数に応じて、変更して形成可能である。ただし、入光口14は、必須の構成部分ではなく、LED4からの光をトレイ10と弾性部材20の両方に導くようにしても良い。
【0020】
トレイ10は、好適には樹脂から成り、より好適には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂から成り、その中でも特に好適には、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂あるいはポリアミド系樹脂から成る。トレイ10の底板11および側壁12の厚さは、電子機器2の大きさ、重量等によって適正な厚さに設計可能である。例えば、電子機器2の厚さが8〜20mm、短辺が50〜200mm、長辺が80〜300mmの範囲にある場合、樹脂製のトレイ10の底板11および側壁12は、最も厚い部分にて0.4〜1.4mm、より好適には0.4〜1.0mmの範囲に設計可能である。
【0021】
弾性部材20は、電子機器2の背面側に位置する底板21と、底板21から電子機器2の側面を覆う側壁22と、側壁22から電子機器2の操作面3の外縁の全部を覆う操作面側外縁部23とを連接して構成されるボート形状を有する部材である。弾性部材20は、トレイ10の開口側内面よりも当該開口側内面と反対側の面を広く覆う。弾性部材20は、トレイ10よりも低硬度の熱可塑性エラストマーあるいは熱硬化性エラストマーなどの材料から好適に構成され、例えば、ウレタン系あるいはシリコーン系エラストマーからさらに好適に構成される。弾性部材20は、その内部を導光させる必要から、より透光性に優れるシリコーン系エラストマーから特に好適に構成される。トレイ10の底板11および側壁12の最も厚い部分が0.4〜1.4mm、より好適には0.4〜1.0mmの範囲の場合、上記エラストマー製の弾性部材20の底板21および側壁22は、最も厚い部分にて0.4〜1.4mm、より好適には0.4〜1.0mmの範囲に設計可能である。
【0022】
弾性部材20の側壁22は、トレイ10の側壁12の高さ以上に形成されている。トレイ10の側壁12の内で最も高い位置でも、弾性部材20の操作面側外縁部23の内側に接する位置である。これによって、少なくとも、操作面側外縁部23は、トレイ10と接しない部分となり、電子機器2との脱着の際に自由に変形できる。また、カバー部材1の側方は、弾性部材20の側壁22の内側にトレイ10の側壁12を接する二重構造となっている。このため、カバー部材1は、電子機器2の側面からの落下に対して、高い防護性を発揮できる。弾性部材20は、トレイ10の底板11および側壁12の各外側を完全に覆う一方、それらの内側を完全に覆うことなく、当該内側の大部分を露出させる。すなわち、トレイ10の開口側内面は、その反対側にあたる外側の面よりも弾性部材20に覆われておらず、露出している。このため、トレイ10の内側の面は、広い範囲にて、直接、電子機器2に接触する。
【0023】
図3に示すように、弾性部材20は、その外側の面に、弾性部材20の内部を通る光を出光する1以上の窓部24を備える。窓部24は、弾性部材20の厚さ方向に貫通する孔ではなく、弾性部材20の外側の面を覆う後述の遮光層25に覆われていない透光可能な領域である。窓部24は、図3において、底板21に3個形成されているが、側壁22に形成されていても良く、また、その個数も3個に限定されない。
【0024】
図3に示すように、電子機器2は、その背面に、電池6を収納するための電池収納部5を備える。電子機器2は、電池収納部5のみを覆う専用の蓋を備えていない。カバー部材1は、電子機器2の電池収納部5に電池6を入れた状態にて電子機器2に取り付けることにより、電池蓋1’として機能し得る。このため、電子機器2に、電池6の脱落を防止するための蓋が無くても支障は無い。ただし、カバー部材1が電池蓋1’を兼ねることは、必須ではない。電子機器2の電池収納部5に、専用の電池蓋を備え、その上からカバー部材1を取り付けても良い。以後の各実施の形態でも同様である。
【0025】
図5は、図3に示すカバー部材に電子機器を取り付けた状態のA−A線断面図およびその一部の領域Xの拡大図である。
【0026】
弾性部材20は、その外面における窓部24以外の領域に遮光層25を備える。遮光層25は、弾性部材20の内部を通る光Lを出光させないようにその外面を覆う層であり、好適には黒色顔料、黒色染料を含むインク、黒色顔料を混練した樹脂フィルムにて構成される。ただし、遮光層25の色は、出光を防止できれば、銀色、白色等の他の色でも良い。窓部24の深さ方向には、光Lを通す弾性部材20の表面に、光Lを拡散する光拡散部30が配置されている。光拡散部30は、窓部24の領域内と同一領域あるいは窓部24の一部領域にのみ形成されていても良い。さらには、この実施の形態のように、複数の窓部24を備える場合には、それらの窓部24の内の一部若しくは全部に共有の光拡散部30を備えても良い。光拡散部30は、弾性部材20の内方に向けて窪む多数の凹部から形成される。光拡散部30を構成する凹部は、好ましくは、レーザー加工(例えば、炭酸ガスレーザーを用いた加工)によって形成される。具体的には、トレイ10の外側に弾性部材20を成形後に、弾性部材20の外側の面における窓部24を形成する領域に、レーザー光を照射して、多数の凹部から成る光拡散部30を形成する。また、凹部の別の好適な製造方法として、成形後のトレイ10をインサートする金型の所定箇所の内面に凹部を転写可能な多数の凸部を形成して、トレイ10の外側に弾性部材20を一体成形すると同時に、凹部を形成しても良い。凹部は、好ましくは、深さ0.03〜0.07mm(30〜70μm)、開口径0.1〜0.3mmで形成される。通常、LED4からの距離が長いほど、光量が少なくなる。そこで、複数の窓部24を均一に照光するために、LED4から遠い窓部24ほど反射率を高める必要が有る。かかる必要から、凹部は、LED4からの距離が長くなるほど、高密度にあるいは深く形成するのが好ましい。窓部24の光拡散部30の表面は、露出していても良く、透明インクあるいは透光可能な有色インクにて被覆されていても良い。例えば、光拡散部30の磨耗を防止するため、光拡散部30の上から透明インクにて印刷し、あるいは薄い透明フィルムを貼ることができる。遮光層25は、光拡散部30の上に形成した透明層の上から形成することができる。
【0027】
電子機器2のLED4が発光すると、その光Lは、トレイ10に形成された入光口14から弾性部材20の内部を通って、光拡散部30にて拡散して、窓部24から外に向けて出光する。このように、カバー部材1を構成する弾性部材20を導光手段として使用すれば、光拡散部30の位置と形態の設計に応じて、LED4の箇所から離れた位置であっても、さらにはLED4の大きさを超える領域を発光させたい場合でも、容易に発光させることができる。また、この実施の形態のように、4個のLED4の内の2個以上を任意に発光させた場合であって、それらLED4が互いに異なる色の発光を行う場合、窓部24からの発光を、当該異なる色の合成色にて行うことができる。
【0028】
(2)電子機器用カバー部材の製造方法
図6は、第一の実施の形態に係るカバー部材の製造工程を説明するための図であり、図5に示す領域Xの段階的な変化を示す図である。
【0029】
(A)に示すトレイ10は、例えば、金型内に溶融樹脂を射出して成形する射出成形法、軟化させた板状の樹脂を金型内で型締めする成形法にて好適に製造できる。また、後者の成形法の場合には、一方の金型側から減圧する方法、一方の金型側から高圧気体を送気する方法、当該減圧と送気とを組み合わせる方法を用いても良い。トレイ10には、特にその外側の面に反射の目的にて加飾を施される。その場合、トレイ10を塗料中にディッピングし、塗料をスプレーにて塗布し、印刷し、あるいは加飾シートを貼付することができる。また、トレイ10を製造するための溶融状態の樹脂中に遮光性の顔料を予め練り込んでおいてから成形しても良い。ただし、トレイ10の屈折率よりも弾性部材20の屈折率の方が大きい場合には、反射を目的とする加飾は必ずしも要しない。また、(B)に示す弾性部材20は、例えば、成形後のトレイ10を金型内にセットして、金型とトレイ10との隙間に弾性部材20を構成可能な組成物を供給して、当該組成物を架橋させる方法などにより成形できる。かかる成形法を用いると、トレイ10と弾性部材20とを容易に一体化することができる。なお、トレイ10と弾性部材20との密着性を高めるため、成形後のトレイ10における弾性部材20との密着領域に、プライマーを塗布してから金型にセットして、弾性部材20を構成する組成物を金型内に供給しても良い。また、トレイ10と弾性部材20とを別々に成形し、両者10,20を貼り合わせても良い。
【0030】
次に、(C)に示すように、弾性部材20の外面における窓部24の領域内にて、レーザー光を走査して、光拡散部30を形成する。光拡散部30は、別の好適な製造方法として、トレイ10をインサートして弾性部材20を一体成形するための金型に、光拡散部30を転写可能な多数の凸部からなる領域を形成しておき、インサート成形と同時に、弾性部材20の窓部24の領域に光拡散部30を形成することができる。光拡散部30の形成後、(D)に示すように、弾性部材20の外側の面における窓部24以外の領域に遮光層25を形成する。なお、光拡散部30に透光層を形成しても良く、その場合、光拡散部30の上から透明なインクを用いた印刷等を行っても良い。
【0031】
<第二の実施の形態>
次に、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。なお、当該第二の実施の形態において、第一の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0032】
図7は、本発明の第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【0033】
第二の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(カバー部材)1は、第一の実施の形態と比較して、光拡散部30より内方にあって光拡散部30と対向する位置に、弾性部材20の内部を通る光および光拡散部30にて拡散された光を窓部24に向けて反射させる光反射層31を備える点で、異なる。光反射層31は、好適には、窓部24と同じ形態あるいは窓部24の径方向外側まで延出する形態で、トレイ10の外側の面に形成される。光反射層31は、好適には、銀色の表面を持つ層であり、銀色の顔料若しくは染料を含むインクを用いた印刷の他、アルミニウム等の金属を用いた蒸着、金属箔の貼り付け等の手法により形成可能である。また、光反射層31の色は、銀色以外の他の色、例えば、白色でも良い。その場合、酸化チタン顔料を含むインクを用いた印刷により、光反射層31を容易に形成可能である。
【0034】
第二の実施の形態に係るカバー部材1の製造方法は、第一の実施の形態に係るカバー部材1と同様の製造方法であって、追加工程として、トレイ10の成形後であって弾性部材20との一体化の前に、トレイ10の外側の面の窓部24と対向する位置に、光反射層31を形成する工程を含む。
【0035】
<第三の実施の形態>
次に、本発明の第三の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。なお、当該第三の実施の形態において、第一の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0036】
図8は、本発明の第三の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【0037】
第三の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(カバー部材)1は、第一の実施の形態と比較して、トレイ10と弾性部材20との間に、光源の一例であるLED4を固定した回路基板41を備える点で異なる。具体的には、トレイ10は、その外側の面に、内方に向かって窪む凹部40を備え、当該凹部40に回路基板41が埋め込まれる。回路基板41の一例として、着信時にLED4を点灯させる機能を持つ着信モジュールを挙げることができる。LED4が発光すると、LED4に対向する弾性部材20に入光した光は、光拡散部30にて拡散され、窓部24から外に向けて出光する。このカバー部材1は、トレイ10に光源を備え、電子機器2側からの制御信号に基づいて当該光源を発光させる場合に有効である。
【0038】
第三の実施の形態に係るカバー部材1の製造方法は、第一の実施の形態に係るカバー部材1と同様の製造方法であって、追加工程として、トレイ10の成形後であって弾性部材20との一体化の前に、トレイ10の凹部40に、回路基板41を固定する工程を含む。
【0039】
<第四の実施の形態>
次に、本発明の第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。なお、当該第四の実施の形態において、第一の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0040】
図9は、本発明の第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【0041】
第四の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(カバー部材)1は、第一の実施の形態と比較して、トレイ10を導光部材とし、トレイ10の外面に光拡散部50を備える点で、異なる。導光部材としてのトレイ10は、カバー部材1の開口側に位置する部材であるため、第一の実施の形態に形成されている入光口14を備えていない。
【0042】
トレイ10の内部を通る光Lが、光拡散部50以外の領域において弾性部材20に入光するのを防ぐため、トレイ10の外面において、光拡散部50以外の領域に、反射層51を形成するのが好ましい。また、反射層51の形成の代わりに、弾性部材20を、トレイ10からの光Lを入光しにくい低屈折率材料にするため、弾性部材20中に拡散材を分散させても良い。
【0043】
第四の実施の形態に係るカバー部材1の製造方法は、第一の実施の形態に係るカバー部材1と同様の製造方法であって、トレイ10の成形後であって弾性部材20との一体化の前に、トレイ10の外面に光拡散部50と反射層51を形成し、その後、トレイ10の外面に弾性部材20を被覆した後には、弾性部材20に光拡散部30を形成することなく、窓部24の周囲に遮光層25を形成する方法である。
【0044】
<第五の実施の形態>
次に、本発明の第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。なお、当該第五の実施の形態において、第一の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0045】
図10は、本発明の第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【0046】
第五の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(カバー部材)1は、第一〜第四の各実施の形態と異なり、トレイ10の開口側内面に、弾性部材20を形成するものである。このため、トレイ10は外側部材に相当し、弾性部材20は開口側の部材に相当する。トレイ10は、その外面に、弾性部材20の内部を通る光を出光する1以上の窓部24と、窓部24を除いてトレイ10の外側の面を覆う遮光層62とを備える。また、トレイ10の開口側内面であって、窓部24の深さ方向には、弾性部材20を通る光Lを拡散する光拡散部60を備える。弾性部材20の内部を通る光Lが、光拡散部60以外の領域においてトレイ10に入光するのを防ぐため、トレイ10の内面において、光拡散部60以外の領域に、反射層61を形成するのが好ましい。また、反射層61の形成の代わりに、トレイ10を、弾性部材20から入光しにくい低屈折率材料にするため、トレイ10中に拡散材を分散させても良い。さらに、弾性部材20の開口側内面であって窓部24の直下に、第二の実施の形態で説明した光反射層31と同様の層を設けても良い。なお、導光部材としての弾性部材20は、カバー部材1の開口側に位置する部材であるため、第一の実施の形態に形成されている入光口14を備えていない。
【0047】
第五の実施の形態に係るカバー部材1は、第一の実施の形態に係るカバー部材1と類似の製造方法にて製造でき、トレイ10の成形後であって弾性部材20との一体化の前に、トレイ10の内面に光拡散部60と反射層61を、外面に遮光層62をそれぞれ形成した後、トレイ10の内面に弾性部材20を被覆して製造できる。ただし、遮光層62は、トレイ10と弾性部材20との一体化後に形成しても良い。
【0048】
<第六の実施の形態>
次に、本発明の第六の実施の形態に係る電子機器用カバー部材について説明する。なお、当該第六の実施の形態において、第一の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、重複した説明を省略する。
【0049】
図11は、本発明の第六の実施の形態に係る電子機器用カバー部材において、図5に示す領域Xと同じ領域を示す断面図である。
【0050】
第六の実施の形態に係る電子機器用カバー部材(カバー部材)1は、第五の実施の形態と同様、トレイ10の開口側内面に、弾性部材20を形成するものである。このため、トレイ10は外側部材に相当し、弾性部材20は開口側の部材に相当する。第六の実施の形態に係るカバー部材1は、弾性部材20の開口側内面に光拡散部70を備える点で、第五の実施の形態と異なるが、それ以外の点は第五の実施の形態と共通する。
【0051】
第六の実施の形態に係るカバー部材1は、第一の実施の形態に係るカバー部材1と類似の製造方法にて製造でき、トレイ10の成形後であって弾性部材20との一体化の前に、トレイ10の内面に反射層61を、外面に遮光層62をそれぞれ形成した後、トレイ10の内面に弾性部材20を被覆して製造できる。その後、弾性部材20の開口側内面であって窓部24の直下の位置に、光拡散部70を形成する。なお、遮光層62は、トレイ10と弾性部材20との一体化後に形成しても良い。
【0052】
<その他の実施の形態>
以上、本発明の好適な各実施の形態について説明してきたが、本発明は、上記の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々変形実施可能である。
【0053】
例えば、必ずしも、窓部24以外の全ての領域を遮光層25にて覆うことを要しない。一例ではあるが、窓部24より輝度が低い出光を故意に行いたい場合、あるいは出光してもユーザに視認困難な箇所については、必ずしも遮光層25にて覆わなくても良い。すなわち、窓部24は、遮光層25で覆われていないことを要件とする箇所であるが、遮光層25で覆われていない箇所の全てが窓部24というわけではない。光源は、電子機器2、トレイ10の他、弾性部材20に備えても良い。また、その光源は、LED4以外の光源、例えばフィラメント式の電球であっても良い。
【0054】
上記の第一〜第六の各実施の形態は、互いにそれぞれの特徴を一以上組み合わせても良い。例えば、第一の実施の形態に係るカバー部材1は、電池蓋1’を兼用しているが、他の実施の形態において電池蓋1’を兼用しても良い。また、第三の実施の形態に係るカバー部材1において、第二の実施の形態に係るカバー部材1に備える光反射層31を備えても良い。第四の実施の形態に係るカバー部材1において、第三の実施の形態にて説明したように、トレイ10に凹部40を形成し、そこに回路基板41を配置しても良い。また、第五および第六の各実施の形態において、開口側の部材である弾性部材20を導光部材とせず、外側部材であるトレイ10を導光部材とし、トレイ10の開口側内面または外面に光拡散部を形成しても良い。その場合、弾性部材20に入光口14と同様の穴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、電子機器の照光式の保護カバーとして利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 カバー部材(電子機器用カバー部材)
1’ 電池蓋
2 電子機器
3 操作面
4 LED(光源の一例)
5 電池収納部
6 電池
10 トレイ(外側部材または開口側の部材)
14 入光口
20 弾性部材(外側部材または開口側の部材)
24 窓部
25 遮光層
30 光拡散部
31 光反射層
50 光拡散部
51 反射層
60 光拡散部
61 反射層
62 遮光層
70 光拡散部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の操作面側を開口して当該電子機器の外側を覆う電子機器用カバー部材であって、
少なくとも上記操作面の方向に開口するトレイと、
当該トレイよりも低硬度であると共に上記トレイの開口側内面若しくはその外面を覆う弾性部材と、
を備え、
上記トレイおよび上記弾性部材の内のいずれか外側に位置する外側部材は、当該外側部材の外面に、上記トレイの内部若しくは上記弾性部材の内部を通る光を出光する1以上の窓部と、少なくとも当該窓部を除いて上記外側部材の外側の面を覆う遮光層とを備え、
上記窓部の深さ方向にあって、光を通す上記トレイ若しくは上記弾性部材の表面に、光を拡散する光拡散部を備えることを特徴とする電子機器用カバー部材。
【請求項2】
前記トレイ若しくは前記弾性部材のいずれか開口側の部材は、前記電子機器側からの光を当該開口側の部材の外側に位置する前記外側部材に入射させるための表裏方向に貫通する1以上の入光口を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用カバー部材。
【請求項3】
前記トレイ若しくは前記弾性部材は、前記光拡散部より内方にあって前記光拡散部と対向する位置に、光を前記窓部に向けて反射させる光反射層を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器用カバー部材。
【請求項4】
前記トレイ若しくは前記弾性部材は、光源を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子機器用カバー部材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器用カバー部材が電池収納部の開口面を覆う蓋を兼ねることを特徴とする電池蓋。
【請求項1】
電子機器の操作面側を開口して当該電子機器の外側を覆う電子機器用カバー部材であって、
少なくとも上記操作面の方向に開口するトレイと、
当該トレイよりも低硬度であると共に上記トレイの開口側内面若しくはその外面を覆う弾性部材と、
を備え、
上記トレイおよび上記弾性部材の内のいずれか外側に位置する外側部材は、当該外側部材の外面に、上記トレイの内部若しくは上記弾性部材の内部を通る光を出光する1以上の窓部と、少なくとも当該窓部を除いて上記外側部材の外側の面を覆う遮光層とを備え、
上記窓部の深さ方向にあって、光を通す上記トレイ若しくは上記弾性部材の表面に、光を拡散する光拡散部を備えることを特徴とする電子機器用カバー部材。
【請求項2】
前記トレイ若しくは前記弾性部材のいずれか開口側の部材は、前記電子機器側からの光を当該開口側の部材の外側に位置する前記外側部材に入射させるための表裏方向に貫通する1以上の入光口を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用カバー部材。
【請求項3】
前記トレイ若しくは前記弾性部材は、前記光拡散部より内方にあって前記光拡散部と対向する位置に、光を前記窓部に向けて反射させる光反射層を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器用カバー部材。
【請求項4】
前記トレイ若しくは前記弾性部材は、光源を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電子機器用カバー部材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器用カバー部材が電池収納部の開口面を覆う蓋を兼ねることを特徴とする電池蓋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−244351(P2012−244351A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111552(P2011−111552)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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